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特許7333163地形状態検出装置、地形状態検出方法および地形状態検出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】地形状態検出装置、地形状態検出方法および地形状態検出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/04 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
G01C7/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018044606
(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2019158530
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2019-12-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000213909
【氏名又は名称】朝日航洋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 陽子
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 由起子
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 研一
【合議体】
【審判長】岡田 吉美
【審判官】濱野 隆
【審判官】濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156251(JP,A)
【文献】特開2001-328600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 1/00-1/14
G01C 5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元計測情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得した3次元計測情報に基づいて、所定エリアにおいて第1範囲を設定して当該第1範囲の3次元計測情報に基づく第1傾斜量を算出し、前記所定エリアの前記第1範囲内において前記第1範囲よりも狭い第2範囲を設定して当該第2範囲の3次元計測情報に基づく第2傾斜量を算出し、前記第1傾斜量と前記第2傾斜量との差分に基づいて、斜面の所定の地形状態を検出する地形状態検出部とを備え、
前記地形状態検出部は、
前記第1傾斜量と前記第2傾斜量との差分が所定の閾値を超えるか否かを判断し、
前記差分が所定の閾値を超える場合には、局所的な傾斜状態を検出する、地形状態検出装置。
【請求項2】
前記3次元計測情報に基づいて複数地点のグリッドデータを生成するグリッドデータ生成部をさらに備え、
前記地形状態検出部は、
前記第1範囲に含まれる第1の所定間隔互いに離れた複数地点のグリッドデータに基づいて第1傾斜量を算出し、
前記第2範囲に含まれる前記第1の所定間隔より狭い第2の所定間隔互いに離れた複数地点のグリッドデータに基づいて第2傾斜量を算出する、請求項1記載の地形状態検出装置。
【請求項3】
前記地形状態検出部の検出結果を表示する表示部をさらに備える、請求項1記載の地形状態検出装置。
【請求項4】
3次元計測情報を取得するステップと、
取得した3次元計測情報に基づいて、所定エリアにおいて第1範囲を設定して当該第1範囲の3次元計測情報に基づく第1傾斜量を算出するステップと、
取得した3次元計測情報に基づいて、前記所定エリアの前記第1範囲内において前記第1範囲よりも狭い第2範囲を設定して当該第2範囲の3次元計測情報に基づく第2傾斜量を算出するステップと、
前記第1傾斜量と前記第2傾斜量との差分に基づいて、斜面の所定の地形状態を検出するステップとを備え、
前記所定の地形状態を検出するステップは、
前記第1傾斜量と前記第2傾斜量との差分が所定の閾値を超えるか否かを判断するステップと、
前記差分が所定の閾値を超える場合には、局所的な傾斜状態を検出するステップとを含む、地形状態検出方法。
【請求項5】
コンピュータを、地形状態検出装置として機能させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
3次元計測情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得した3次元計測情報に基づいて、所定エリアにおいて第1範囲を設定して当該第1範囲の3次元計測情報に基づく第1傾斜量を算出し、前記所定エリアの前記第1範囲内において前記第1範囲よりも狭い第2範囲を設定して当該第2範囲の3次元計測情報に基づく第2傾斜量を算出し、前記第1傾斜量と前記第2傾斜量との差分に基づいて、斜面の所定の地形状態を検出する地形状態検出部として、機能させ、
前記地形状態検出部は、
前記第1傾斜量と前記第2傾斜量との差分が所定の閾値を超えるか否かを判断し、
前記差分が所定の閾値を超える場合には、局所的な傾斜状態を検出する、地形状態検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地形状態検出装置に関し、斜面の亀裂を含む地形等の特徴的な地形状態を検出する方式に関する。
【背景技術】
【0002】
豪雨などの自然災害によって、地滑りなどの斜面崩壊が発生すると、交通路が土砂で塞がれたり、道路や鉄道盛土が変形したりすることによって、交通網が麻痺する被害を蒙る。さらには、崩壊した土砂が土石流となって、下流側の住民などに大きな被害をもたらす場合もある。このような被害を未然に防ぐため、あるいは、被害を最小限に抑えるためには、斜面崩壊のおそれがある場所を検出することが重要である。
【0003】
この点で、空中写真等を用いて画像処理により特徴的な地形を検出する方式が提案されている(特許文献1)。
【0004】
この場合、撮影条件により得られる空中写真が異なるため検出結果が異なる可能性があり、精度の高い検出が難しいという可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-140544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、簡易な方式で特徴的な地形を検出することが可能な地形状態検出装置、地形状態検出方法および地形状態検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施形態に地形状態検出装置は、3次元計測情報を取得する取得部と、取得部で取得した3次元計測情報に基づいて、比較対象となる第1範囲の第1傾斜量を算出し、第1範囲よりも狭い第2範囲の第2傾斜量を算出し、第1傾斜量と第2傾斜量との差分に基づいて、所定の地形状態を検出する地形状態検出部とを備える。
【0008】
好ましくは、3次元計測情報に基づいて複数地点のグリッドデータを生成するグリッドデータ生成部をさらに備える。地形状態検出部は、第1範囲に含まれる隣接する複数地点のグリッドデータに基づいて第1傾斜量を算出し、第2範囲に含まれる隣接する複数地点のグリッドデータに基づいて第2傾斜量を算出する。
【0009】
好ましくは、地形状態検出部は、第1傾斜量と第2傾斜量との差分が所定の閾値を超えるか否かを判断し、差分が所定の閾値を超える場合には、亀裂を含む地形があると検出する。
【0010】
ある実施形態に従う地形状態検出方法は、3次元計測情報を取得するステップと、取得した3次元計測情報に基づいて、比較対象となる第1範囲の第1傾斜量を算出するステップと、取得した3次元計測情報に基づいて、第1範囲よりも狭い第2範囲の第2傾斜量を算出するステップと、第1傾斜量と第2傾斜量との差分に基づいて、所定の地形状態を検出するステップとを備える。
【0011】
ある実施形態に従う地形状態検出プログラムは、コンピュータを、地形状態検出装置として機能させるためのプログラムであって、プログラムは、コンピュータに、3次元計測情報を取得する取得部と、取得部で取得した3次元計測情報に基づいて、比較対象となる第1範囲の第1傾斜量を算出し、第1範囲よりも狭い第2範囲の第2傾斜量を算出し、第1傾斜量と第2傾斜量との差分に基づいて、所定の地形状態を検出する地形状態検出部として、機能させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の地形状態検出装置、地形状態検出方法および地形状態検出プログラムは、簡易な方式で特徴的な地形を検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に従う地形状態検出装置10について説明する図である。
図2】実施形態に基づくグリッドデータ生成部24の処理について説明する図である。
図3】実施形態に基づくグリッドデータに基づいて地形の標高を陰影表現で描画した場合を説明する図である。
図4】実施形態に基づく地形状態検出装置10の処理について説明するフロー図である。
図5】実施形態に基づく傾斜量を算出する範囲を説明する図である。
図6】実施形態に基づく任意のセル座標と隣接するセルとの位置関係を説明する図である。
図7】実施形態に基づいて所定エリアにおける第1範囲に基づいて算出した第1傾斜量の傾斜区分図である。
図8】実施形態に基づいて所定エリアにおける第2範囲に基づいて算出した第2傾斜量の傾斜区分図である。
図9】実施形態に基づく亀裂を含む地形の検出の方式を説明する概念図である。
図10】実施形態に基づく平面モデルで傾斜量の差分を説明する概念図である。
図11】実施形態に基づく差分のイメージを説明する概念図である。
図12】実施形態に基づく所定エリアの亀裂を含む地形を描画した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0015】
図1は、実施形態に従う地形状態検出装置10について説明する図である。
図1を参照して、地形状態検出装置10は、CPU(Central Processing Unit)20と、表示部14と、メモリ16と、操作部18とを含む。
【0016】
CPU20は、地形状態検出装置10全体を制御する。
CPU20は、メモリ16に格納されているプログラムを実行することにより種々の機能ブロックを実現する。
【0017】
具体的には、CPU20は、データ取得部22と、グリッドデータ生成部24と、地形状態算出部25とを含む。
【0018】
地形状態算出部25は、セル設定部27と、第1算出部26と、第2算出部28と、検出部30とを含む。
【0019】
メモリ16は、コンピュータに内蔵されるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置である。メモリ16は、データ取得部22、グリッドデータ生成部24、および地形状態算出部25の処理プログラムを含む各種プログラムや各種データを記憶し、CPU20との間でこれらの情報を入出力する。
【0020】
表示部14は液晶モニタ等の画像表示装置であり、操作部18はキーボードやマウスなどで構成される。
【0021】
地形状態検出装置10は、取得した3次元計測情報に基づいて特徴的な地形状態を検出する。
【0022】
本例においては、航空レーザ測量で計測した3次元計測データを用いる場合について説明する。
【0023】
データ取得部22は、航空レーザ測量の計測結果である3次元計測データに基づいてグラウンドデータを取得する。
【0024】
なお、データ取得部22は、航空レーザ測量で計測される3次元計測データのオリジナルデータである数値表層モデル、DSM(Digital Surface Model)データを取得して、建物や樹木の高さの情報を除くフィルタリング処理してグラウンドデータを取得するようにしても良い。
【0025】
図2は、実施形態に基づくグリッドデータ生成部24の処理について説明する図である。
【0026】
図2に示されるように、グリッドデータ生成部24は、グラウンドデータから内挿補間により格子状の標高データ(グリッドデータ)を作成する。
【0027】
なお、内挿補間の方式としては、TIN(Triangulated irregular Network)、最近隣法等を用いることが可能である。あるいは、Kringing法を用いることも可能である。
【0028】
図3は、実施形態に基づくグリッドデータに基づいて地形の標高を陰影表現で描画した場合を説明する図である。
【0029】
図3に示されるように、一例として、地形の標高が高いところが色が濃くなり、標高が低いところが色が薄く示されている。本例においては、一例として当該所定エリアにおける特徴的な地形を検出する方式について説明する。特徴的な地形として亀裂を含む地形を検出する場合について説明する。
【0030】
図4は、実施形態に基づく地形状態検出装置10の処理について説明するフロー図である。
【0031】
図4を参照して、CPU20は、3次元計測データを取得する(ステップS2)。具体的には、データ取得部22は、グラウンドデータを取得する。当該グラウンドデータは、図示しない外部装置から取得する。たとえば、航空測量計測装置から取得するようにしても良い。あるいは、外部のサーバからグラウンドデータをダウンロードして取得するようにしても良い。
【0032】
次に、CPU20は、グリッドデータを生成する(ステップS4)。グリッドデータ生成部24は、取得したグランドデータに基づいて図2で説明したグリッドデータを生成する。
【0033】
次に、CPU20は、地形量算出セルを設定する(ステップS5)。
セル設定部27は、地形状態を検出する所定の領域を複数のセル状に分割する。
【0034】
次に、CPU20は、第1傾斜量を算出する(ステップS6)。
第1算出部26は、第1範囲に含まれる複数地点のグリッドデータに基づいて第1傾斜量を算出する。
【0035】
次に、CPU20は、第2傾斜量を算出する(ステップS8)。
第2算出部28は、第2範囲に含まれる複数地点のグリッドデータに基づいて第2傾斜量を算出する。
【0036】
次に、CPU20は、差分量を算出する(ステップS10)。検出部30は、第1算出部26で算出した第1傾斜量と、第2算出部28で算出した第2傾斜量との差分量を算出する。
【0037】
次に、CPU20は、差分量が所定の閾値以上か否かを判断する(ステップS12)。検出部30は、算出した差分量が所定の閾値以上か否かを判断する。
【0038】
次に、CPU20は、ステップS12において、算出した差分量が所定の閾値以上であると判断した場合(ステップS12においてYES)には、亀裂を含む地形有りと判定する(ステップS14)。検出部30は、第1算出部26で算出した第1傾斜量と、第2算出部28で算出した第2傾斜量との差分量が所定の閾値以上であると判断した場合には、亀裂を含む地形有りと判定する。
【0039】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、CPU20は、ステップS12において、算出した差分量は所定の閾値以上でないと判断した場合(ステップS12においてNO)には、亀裂を含む地形無しと判定する(ステップS16)。検出部30は、第1算出部26で算出した第1傾斜量と、第2算出部28で算出した第2傾斜量との差分量が所定の閾値以上でないと判断した場合には、亀裂を含む地形無しと判定する。
【0040】
そして、処理を終了する(エンド)。
図5は、実施形態に基づく地形量を算出するセルおよび範囲について説明する図である。
【0041】
図5を参照して、本例においては、セル設定部27により所定の領域が複数のセル状に分割された場合が示されている。セル間隔は、一例として2m×2mに設定されている。なお、当該セル間隔は、任意の値に設定することが可能である。
【0042】
各セルには、それぞれグリッドデータが対応付けられている。なお、1つのセルの中に複数のグリッドデータが含まれる場合には、その代表的なグリッドデータを用いても良いし、平均化したグリッドデータを用いるようにしても良い。
【0043】
実施形態においては、複数地点(本例においては複数セル)のグリッドデータに基づいて傾斜量を算出する。
【0044】
具体的には、地形量を算出するセル(地形量算出セル)に対して隣接するセルのグリッドデータを用いて傾斜量を算出する。
【0045】
本例においては、第1範囲として広範囲の領域を設定する。第2範囲として狭範囲の領域を設定する。具体的には、第1範囲として、10m離れた隣接するセルのグリッドデータを用いて第1傾斜量を算出する。第2範囲として、2m離れた隣接するセルのグリッドデータを用いて第2傾斜量を算出する。なお、当該数値は一例であり当該値に限定されるものではない。
【0046】
図6は、実施形態に基づく任意のセル座標と隣接するセルとの位置関係を説明する図である。
【0047】
図6には、地形量を算出するセルの座標(xi,yi)が示されている。また、地形量を算出するセルに対して隣接するセルの座標が示されている。
【0048】
本例においては、地形量を算出するセルに対して、隣接する上下左右のセルのグリッドデータに基づいて傾斜量を算出する。
【0049】
具体的には、傾斜量は、地形量を算出するセルのグリッドデータu(xi,yi)に隣接するセルのグリッドデータu(xi-1,yi)、u(xi+1,yi)、u(xi,yi-1)、u(xi,yi+1)を用いて次式に基づいて算出することが可能である。
【0050】
【数1】
【0051】
図7は、実施形態に基づいて所定エリアにおける第1範囲に基づいて算出した第1傾斜量の傾斜区分図である。
【0052】
図8は、実施形態に基づいて所定エリアにおける第2範囲に基づいて算出した第2傾斜量の傾斜区分図である。
【0053】
図7および図8に示されるように傾斜量が大きい箇所が濃くなり、傾斜量が小さい箇所が薄く示されている。
【0054】
また、図7の方が粗い傾斜量の変化が示されており、図8の方が密な傾斜量の変化が示されている。
【0055】
図9は、実施形態に基づく亀裂を含む地形の検出の方式を説明する概念図である。
図9に示されるように、第1範囲として広範囲の領域を設定して第1傾斜量を算出する場合には地形量を算出するセルの周辺に隣接するグリッドデータに基づいて平滑化した基準平面に対する傾斜量が算出される。
【0056】
一方、第2範囲として狭範囲の領域を設定して第2傾斜量を算出する場合には、局所的な地形に対する傾斜量が算出される。
【0057】
したがって、第1傾斜量と第2傾斜量とを比較すると、亀裂を含む地形は、第1傾斜量と第2傾斜量との差分の値が大きくなる。
【0058】
一方で、第1傾斜量と第2傾斜量とを比較すると、亀裂無しの地形は、第1傾斜量と第2傾斜量との差分の値は小さくなる。
【0059】
本例の場合には、差分の値が所定の閾値以上である場合に亀裂を含む地形有りと判定する。
【0060】
図10は、実施形態に基づく平面モデルで傾斜量の差分を説明する概念図である。
図10に示されるように、広範囲に基づく数値地形モデルは、地形を全体的に平滑化した基準平面の傾斜量として算出される。
【0061】
狭範囲に基づく数値地形モデルは、局所平面の精度の高い傾斜量が算出される。
図11は、実施形態に基づく差分のイメージを説明する概念図である。
【0062】
図11に示されるように、全て0の数値モデルは、広範囲に基づく基準平面の傾斜量である。5が含まれる数値モデルは、狭範囲に基づく局所平面の傾斜量である。
【0063】
その差分により局所的な傾斜量の変化が表面化する。
これにより亀裂を含む地形を判定することが可能である。
【0064】
図12は、実施形態に基づく所定エリアの亀裂を含む地形を描画した図である。
図12に示されるように、亀裂を含む地形のみ抽出することが可能である。
【0065】
これにより、簡易な方式で斜面の亀裂を含む地形を判定することが可能であり、亀裂を含む地形を精度よく判定することが可能である。
【0066】
当該亀裂を含む地形の判定により深層崩壊が生じ易い地形形状を簡易に把握することが可能である。
【0067】
また、本実施形態におけるプログラムとして、パーソナルコンピュータで実行可能なアプリケーションを提供してもよい。このとき、本実施の形態に係るプログラムは、パーソナルコンピュータ上で実行される各種アプリケーションの一部の機能として組み込まれてもよい。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
10 地形状態検出装置、14 表示部、16 メモリ、18 操作部、22 データ取得部、24 グリッドデータ生成部、25 地形状態算出部、26 第1算出部、28 第2算出部、30 検出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12