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特許7333222四塩化チタン処理装置、四塩化チタンの処理方法、精製四塩化チタン製造装置、及び精製四塩化チタンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】四塩化チタン処理装置、四塩化チタンの処理方法、精製四塩化チタン製造装置、及び精製四塩化チタンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/02 20060101AFI20230817BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
C01G23/02 E
B01D15/00 101Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019140346
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021020837
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390007227
【氏名又は名称】東邦チタニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丸山 雄市
(72)【発明者】
【氏名】増田 知徳
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0228292(US,A1)
【文献】特開2003-251338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 23/02
B01D 15/00
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化炉と、該塩化炉と連通し四塩化チタンに含まれる不純物の分離を行う分離設備と、精留塔と、四塩化チタン処理装置と、を備える精製四塩化チタン製造装置であって、
前記四塩化チタン処理装置は、四塩化チタンに含まれる不純物を活性炭で除去するものであって、前記活性炭が充填される活性炭充填容器と、前記活性炭充填容器の端部に位置する四塩化チタン流入口と、前記活性炭充填容器の他の端部に位置する四塩化チタン流出口と、前記活性炭充填容器の周囲に設けられる加熱部とを含み
前記精留塔の塔底と前記四塩化チタン処理装置の前記四塩化チタン流入口とが連通され、
前記四塩化チタン処理装置の前記四塩化チタン流出口と前記分離設備とが連通され、
前記分離設備は、前記四塩化チタン流出口から供給される四塩化チタンを噴霧する噴霧部と、底側に設けられた残渣分離部とを含む、精製四塩化チタン製造装置。
【請求項2】
前記四塩化チタン処理装置は、前記四塩化チタン流入口と連通した液流入用管と、前記四塩化チタン流出口と連通した液排出用管とを更に含む、請求項1に記載の精製四塩化チタン製造装置。
【請求項3】
前記四塩化チタン処理装置はキャリアガス導入管を更に備える、請求項1または2に記載の精製四塩化チタン製造装置。
【請求項4】
前記四塩化チタン流入口が、複数の孔を有する仕切材で構成され、
前記四塩化チタン流出口が、複数の孔を有する仕切材で構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の精製四塩化チタン製造装置。
【請求項5】
前記活性炭充填容器の形状が、筒状であり、
前記四塩化チタン流入口が、前記活性炭充填容器の軸方向の端部に設けられ、
前記四塩化チタン流出口が、前記活性炭充填容器の軸方向の他の端部に設けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の精製四塩化チタン製造装置。
【請求項6】
前記加熱部は、熱媒流路である、請求項1~5のいずれか一項に記載の精製四塩化チタン製造装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の精製四塩化チタン製造装置を使用する精製四塩化チタンの製造方法であって、
前記四塩化チタン処理装置の前記活性炭が充填された前記活性炭充填容器に不純物を含む四塩化チタンを通液する通液工程と、
前記不純物を含む四塩化チタンの通液を停止した後、前記活性炭充填容器から四塩化チタンを排出させ、更に、前記加熱部で前記活性炭を加熱する液除去工程とを含
前記通液工程で処理した四塩化チタンを前記分離設備内に供給する再利用工程を更に含み、
前記再利用工程では、前記分離設備内に四塩化チタンを噴霧することで供給する、精製四塩化チタンの製造方法。
【請求項8】
前記液除去工程では、熱媒が流れる熱媒流路で前記活性炭を加熱する、請求項7に記載の精製四塩化チタンの製造方法。
【請求項9】
前記熱媒は、空気、蒸気、及びオイルよりなる群から選択される1以上である、請求項8に記載の精製四塩化チタンの製造方法。
【請求項10】
前記四塩化チタン処理装置において、前記四塩化チタン流入口よりも前記四塩化チタン流出口を鉛直方向上側に位置させ、
前記通液工程においては、前記不純物を含む四塩化チタンを、前記四塩化チタン流入口から前記活性炭に通液し前記四塩化チタン流出口に流出する、請求項7~9のいずれかに記載の精製四塩化チタンの製造方法。
【請求項11】
前記不純物は、アンチモンを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の精製四塩化チタンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四塩化チタン処理装置、四塩化チタンの処理方法、精製四塩化チタン製造装置、及び精製四塩化チタンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
四塩化チタンは、スポンジ状の固体金属チタン(以下、「スポンジチタン」と称する。)の製造原料のみならず、酸化チタンや触媒の製造或いは医薬の分野に幅広く利用されている。四塩化チタンは、コークスを配合したチタン鉱石と塩素ガスを高温にて反応させることにより製造されている。四塩化チタンの生成は、塩化炉内に形成された鉱石とコークスを塩素ガスで流動化した流動層内で行われている。生成された四塩化チタンについては、その純度を高めるために、活性炭が利用可能であるとされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「粗四塩化チタン(A)を、強熱残分量が0.5質量%未満の活性炭(B)と接触させる工程を含む高純度四塩化チタンの製造方法」が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、「流動層反応による塩化工程で生成された粗TiCl4を、精留工程で処理した後に吸着工程で処理し、吸着工程で使用する吸着剤は比表面積が1100~1600m2/gの活性炭であるTiCl4製造方法」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-223877号公報
【文献】特開2009-012993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~2に開示の技術は、活性炭を使用して四塩化チタンの不純物濃度を低減している。しかしながら、精製四塩化チタン製造装置において使用後の活性炭を交換することについては記載されていない。活性炭使用後にその活性炭の充填容器を精製四塩化チタン製造装置から取り出したとき、活性炭に残存した四塩化チタンが大気中の水分と反応することで塩化水素ガスが発生し、該塩化水素ガスが精製四塩化チタン装置から外部に排出されるおそれがある。即ち、使用後の活性炭の処理や取扱いについては改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、一実施形態において、四塩化チタンの不純物濃度を低減しつつ、活性炭に残存した四塩化チタン由来のガスの発生を有効に抑制し、装置内の使用後の活性炭を安全に取り出すことが可能な四塩化チタン処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は一側面において、四塩化チタンに含まれる不純物を活性炭で除去する四塩化チタン処理装置であって、前記活性炭が充填される活性炭充填容器と、前記活性炭充填容器の端部に位置する四塩化チタン流入口と、前記活性炭充填容器の他の端部に位置する四塩化チタン流出口と、前記活性炭充填容器の周囲に設けられる加熱部とを備える、四塩化チタン処理装置である。
【0009】
本発明に係る四塩化チタン処理装置の一実施形態においては、前記四塩化チタン処理装置は、前記四塩化チタン流入口と連通した液流入用管と、前記四塩化チタン流出口と連通した液排出用管とを更に備える。
【0010】
本発明に係る四塩化チタン処理装置の一実施形態においては、前記四塩化チタン処理装置はキャリアガス導入管を更に備える。
【0011】
本発明に係る四塩化チタン処理装置の一実施形態においては、前記四塩化チタン流入口が、複数の孔を有する仕切材で構成され、前記四塩化チタン流出口が、複数の孔を有する仕切材で構成される。
【0012】
本発明に係る四塩化チタン処理装置の一実施形態においては、前記活性炭充填容器の形状が、筒状であり、前記四塩化チタン流入口が、前記活性炭充填容器の軸方向の端部に設けられ、前記四塩化チタン流出口が、前記活性炭充填容器の軸方向の他の端部に設けられる。
【0013】
本発明に係る四塩化チタン処理装置の一実施形態においては、前記加熱部は熱媒流路である。
【0014】
また、本発明は別の側面において、上記いずれかの四塩化チタン処理装置を使用する四塩化チタンの処理方法であって、前記活性炭が充填された前記活性炭充填容器に不純物を含む四塩化チタンを通液する通液工程と、前記四塩化チタンの通液を停止した後、前記活性炭充填容器から四塩化チタンを排出させ、更に、前記加熱部で前記活性炭を加熱する液除去工程とを含む、四塩化チタンの処理方法である。
【0015】
本発明に係る四塩化チタンの処理方法の一実施形態においては、前記液除去工程では、熱媒が流れる前記熱媒流路で前記活性炭を加熱する。
【0016】
本発明に係る四塩化チタンの処理方法の一実施形態においては、前記熱媒は、空気、蒸気、及びオイルよりなる群から選択される1以上である。
【0017】
本発明に係る四塩化チタンの処理方法の一実施形態においては、前記四塩化チタン処理装置において、前記四塩化チタン流入口よりも前記四塩化チタン流出口を鉛直方向上側に位置させ、前記通液工程においては、前記四塩化チタンを、前記四塩化チタン流入口から前記活性炭に通液し前記四塩化チタン流出口に流出する。
【0018】
本発明に係る四塩化チタンの処理方法の一実施形態においては、前記不純物は、アンチモンを含む。
【0019】
また、本発明は別の側面において、塩化炉と、該塩化炉と連通し四塩化チタンに含まれる不純物の分離を行う分離設備と、精留塔と、上記いずれかの四塩化チタン処理装置と、を備える精製四塩化チタン製造装置であって、前記精留塔の塔底と前記四塩化チタン処理装置の前記四塩化チタン流入口とが連通され、前記四塩化チタン処理装置の前記四塩化チタン流出口と前記分離設備とが連通される、精製四塩化チタン製造装置である。
【0020】
また、本発明は別の側面において、上記の精製四塩化チタン製造装置を使用する精製四塩化チタンの製造方法であって、前記四塩化チタン処理装置の前記活性炭充填容器に充填された前記活性炭に不純物を含む四塩化チタンを通液する通液工程と、前記四塩化チタンの通液を停止した後、前記活性炭充填容器から四塩化チタンを排出させ、更に、前記加熱部で前記活性炭を加熱する液除去工程とを含む、精製四塩化チタンの製造方法である。
【0021】
本発明に係る精製四塩化チタンの製造方法の一実施形態においては、前記通液工程で処理した四塩化チタンを前記分離設備内に供給する再利用工程を更に含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態によれば、四塩化チタンの不純物濃度を低減しつつ、活性炭に残存した四塩化チタン由来のガスの発生を有効に抑制し、装置内の使用後の活性炭を安全に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る四塩化チタン処理装置の一実施形態の内部構造を模式的に示す概略断面図である。
図2】本発明に係る四塩化チタン処理装置の別の実施形態の内部構造を模式的に示す概略断面図である。
図3】本発明に係る四塩化チタンの処理方法の一実施形態を模式的に示すフロー図である。
図4】本発明に係る精製四塩化チタン製造装置の一実施形態を模式的に示す概略図である。
図5】本発明に係る精製四塩化チタン製造装置の別の実施形態を模式的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。なお、本明細書において、「上方」は、図1及び図2に示すように、鉛直方向Vにおいて底部30から上蓋40へ向かう方向を意味し、「下方」は、図1及び図2に示すように、鉛直方向Vにおいて上蓋40から底部30へ向かう方向を意味する。更に、本明細書において、四塩化チタン処理装置1、5が、液体四塩化チタンを四塩化チタン流入口32から活性炭22に通液している間、液抜き用管36のバルブとキャリアガス導入管38、48(図2)のバルブが閉じているものとする。
【0025】
[1.四塩化チタン処理装置]
図1に示す四塩化チタン処理装置1の一実施形態においては、四塩化チタンに含まれるアンチモン(Sb)等の不純物を活性炭で除去する四塩化チタン処理装置1であって、胴部10と、活性炭充填容器20と、底部30と、上蓋40と、加熱部(熱媒流路50)とを備える。四塩化チタン処理装置1の胴部10の形状は特に限定されないが、例えば、円筒状や角筒状等の筒状が挙げられる。
【0026】
精製四塩化チタンの製造操業のうち四塩化チタンの生成においては、塩化炉内でアンチモン等の不純物を含む鉱石とコークスを塩素ガスで流動化している。ここで、塩化炉で生成された四塩化チタンには不純物が混入し得る。精製四塩化チタンの製造操業においては、一般的に酸化チタンの製造等に精製四塩化チタンを使用すること等を勘案し、精製した四塩化チタン中のアンチモン濃度が低減されていることが望ましい。
【0027】
特許文献1~2に記載された技術においては、四塩化チタンに含まれる不純物を除去するという観点から、活性炭に四塩化チタンを通液または通気している。しかしながら、四塩化チタン処理後の活性炭は、アンチモン等の不純物を吸着するだけでなく、四塩化チタンも捕捉している。よって、装置内の使用後の活性炭を別の未使用活性炭に交換する際に、使用後の活性炭を大気に開放することで大気中の水分と活性炭に残存した四塩化チタンが下記式(1)に示すように反応し、塩化水素ガスが発生しうる。
TiCl4(l)+2H2O →TiO2+4HCl(g)・・・式(1)
【0028】
そこで、本発明者は鋭意検討の結果、四塩化チタン処理後の活性炭を大気に開放する前に該活性炭を液抜きし、その後、加熱により活性炭中に残存した四塩化チタンをガス化して除去することが有用であると知見した。すなわち、活性炭内の温度が四塩化チタンの沸点(b.p.136.4℃)以上になるように加熱部により四塩化チタン処理装置の周囲から活性炭を加熱処理した後、四塩化チタン処理装置の内部を大気に開放しても、使用後の活性炭から四塩化チタンが十分に除去されているので、有害なガスの外部への漏出を良好に抑制できる。
以下、各構成要素をそれぞれ説明する。
【0029】
(活性炭充填容器)
活性炭充填容器20は、胴部10内において活性炭22を充填する。よって、図1に示すように、活性炭充填容器20は底部および上下方向に沿った壁部を有してよい。さらに活性炭充填容器20は蓋部を有してよい。前記活性炭充填容器20壁部の上下方向に対し垂直な方向に沿った断面形状は胴部10の該断面形状と相似の形状であることが好ましい。このような活性炭充填容器20は、活性炭22を充填したまま上蓋40を開口した四塩化チタン処理装置1から取外し可能であり、活性炭取替作業を簡便化可能である。よって、未使用の活性炭22を充填した活性炭充填容器20を、上蓋40を開口した四塩化チタン処理装置1に簡便に取付け可能である。
活性炭充填容器20は、その一の端部である下側端部に四塩化チタン流入口32が位置し、その他の端部である上側端部に四塩化チタン流出口42が位置している。四塩化チタン流入口32および四塩化チタン流出口42は活性炭充填容器20の適宜の位置に設けられればよい。通液される四塩化チタンの流れに基づき、四塩化チタン流入口32および四塩化チタン流出口42はそれぞれ活性炭充填容器20の端部に位置することとなる。
活性炭22が充填される活性炭充填容器20は、胴部10内に配置されている。活性炭22は、液体四塩化チタンに含まれるアンチモン等の不純物を吸着する。
【0030】
本発明の一実施形態においては、充填された活性炭22を有効利用する観点から、活性炭充填容器20の形状が筒状である場合、後述する四塩化チタン流入口32が、活性炭充填容器20の軸方向の端部に設けられ、後述する四塩化チタン流出口42が、活性炭充填容器20の軸方向の他の端部に設けられてよい。
【0031】
活性炭充填容器20は、例えば四塩化チタンを通液可能のカートリッジ又は袋体(不図示)等であってよい。当該カートリッジの材質は、例えば、金属材料又はセラミックス等が挙げられる。当該袋体は例えばフィルムにより形成されてよく、その材質は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。活性炭充填容器20は四塩化チタンを通液するので、複数の通液孔を有する。もちろん、該通液孔は通気孔としての機能も有する。なお、活性炭22の粒径や形状は特に限定されず、活性炭22は公知のものを適宜使用可能である。図1に図示する実施形態では活性炭充填容器20と仕切材33、43が別部材とされているが、これらは一体であってもよい。即ち、例えば、活性炭充填容器20の上下各端面に四塩化チタン流入口32と四塩化チタン流出口42を形成してもよい。
【0032】
(底部)
底部30は、胴部10の下側であって、四塩化チタン流入口32と、液流入用管34と、液抜き用管36と、キャリアガス導入管38と連結されている。
【0033】
(四塩化チタン流入口)
四塩化チタンは、四塩化チタン流入口32から活性炭充填容器20に流入させる。当該四塩化チタン流入口32が、複数の孔33aを有する仕切材33で構成されている。即ち、孔33aの集合が四塩化チタン流入口32に該当する。孔33aの断面形状は特に限定されないが、例えば円及び多角形が挙げられる。孔33aのサイズは、活性炭22を底部30に落下させないという観点から、活性炭22の粒径よりも狭くなるように適宜調整可能である。
【0034】
(液流入用管)
図1に示す実施形態において、液流入用管34は、底部30を介して四塩化チタン流入口32に連通され、液体四塩化チタンを活性炭充填容器20に流入させる。
【0035】
(液抜き用管)
液抜き用管36は、液流入用管34のバルブ(不図示)を閉じて液体四塩化チタンを活性炭充填容器20に流入することを停止した後、四塩化チタン処理装置1内に残存した液体四塩化チタンを重力により外部に排出することに用いられる。
【0036】
(キャリアガス導入管)
キャリアガス導入管38は、液抜き用管36と連通している。よって、キャリアガス導入管38から液抜き用管36の一部、底部30を経由してキャリアガスを活性炭22に供給可能である。液抜き用管36を使用した四塩化チタンの排出後、図示省略の液抜き用管36のバルブを閉じて、窒素(N2)又はアルゴン(Ar)等のキャリアガスを活性炭22に向けて供給する。本発明の一実施形態では、液流入用管34のバルブを閉じて、四塩化チタン処理装置1内に残存した液体四塩化チタンを排出した後に、後述する加熱部で活性炭22を液体四塩化チタンが気化する温度以上に加温保持しつつ、キャリアガスを活性炭22に通すことにより、高温化したキャリアガスが活性炭22に接触して、活性炭22に残存した液体四塩化チタンの気化を促進させることができる。
【0037】
(上蓋)
上蓋40は、四塩化チタン流出口42と、液排出用管44と連結され、胴部10の上面開口部を閉じている。
【0038】
(四塩化チタン流出口)
四塩化チタン流出口42は、活性炭22に通液された液体四塩化チタンを流出させる。当該四塩化チタン流出口42が、複数の孔43aを有する仕切材43で構成されている。孔43aの断面形状は特に限定されないが、例えば円及び多角形が挙げられる。
【0039】
また、四塩化チタン流出口42は、四塩化チタン流入口32よりも鉛直方向V上側に位置している。そうすることで、四塩化チタン流入口32から流入された液体四塩化チタンが上側に向かって活性炭22に通液されるので、液体四塩化チタンが活性炭22に接触する接触面積を増やし、かつ接触時間も適宜調整することができる。その結果、液体四塩化チタンに含まれるアンチモン等の不純物が効率良く除去される。
【0040】
(液排出用管)
液排出用管44は、図1に示す実施形態では、四塩化チタン流出口42に上蓋40を介して連通され、液体四塩化チタンを四塩化チタン処理装置1の外部に排出させる。また、液排出用管44は、先述した活性炭22を熱処理した場合、気化した四塩化チタンガスを四塩化チタン処理装置1の外部に排出させる。なお、キャリアガス導入管38がキャリアガスを供給した場合、キャリアガスが下側から上側へと活性炭22に通気されるので、その四塩化チタンガスは、液排出用管44から排出される。
【0041】
(加熱部)
加熱部は、活性炭充填容器20に充填された活性炭22を加熱する。加熱部は、活性炭充填容器20の周囲に設けられる。図1に示す実施形態では、加熱部は胴部10の外側周囲に設けられている。当該加熱部は特に限定されないが、例えば熱媒流路50又はヒーター(不図示)等が挙げられる。
【0042】
(熱媒流路)
熱媒流路50は、活性炭22に残存した液体四塩化チタンを気化するために、活性炭充填容器20の周囲に熱媒を流す。当該熱媒流路50には、熱交換器(不図示)、又は熱媒を加温するヒーター(不図示)を接続すればよい。これにより、胴部10周囲に供給される熱媒は適切に高温であり、活性炭22を加熱できる。熱媒は、空気、蒸気、及びオイルよりなる群から選択される1以上でよい。
【0043】
(ヒーター)
ヒーターは、活性炭22に残存した液体四塩化チタンを気化するために、活性炭22を加熱する。ヒーターは、活性炭充填容器20の外周面上に当接してもよく、又は該外周面から離間してもよい。例えば、図1に示す実施形態において胴部10の外側周囲を覆うようにヒーターが設けられてもよい。
【0044】
(別の実施形態)
また、図2に示す四塩化チタン処理装置5においては、キャリアガス導入管48は、上蓋40に連結されている。この実施形態では、液抜き用管36により四塩化チタンを四塩化チタン処理装置5から除去した後、加熱部である熱媒流路50に熱媒を流すとともにキャリアガス導入管48からキャリアガスを活性炭充填容器20に供給し、液流入用管34および/または液抜き用管36からキャリアガスを排気すればよい。
【0045】
活性炭充填容器20が袋体である場合を除き、図1及び図2に示す四塩化チタン処理装置1、5の各部材は金属製としてよい。該金属として、炭素鋼、ステンレス鋼等を適宜採用可能である。
【0046】
[2.四塩化チタンの処理方法]
本発明に係る四塩化チタンの処理方法の一実施形態においては、図3に示すように、四塩化チタン処理装置1、5を使用する四塩化チタンの処理方法であって、通液工程S11と、液除去工程S21とを含む。以下、各工程をそれぞれ説明する。なお、上述した四塩化チタン処理装置1、5と重複する説明は割愛する。
【0047】
(通液工程)
通液工程S11においては、活性炭充填容器20に充填された活性炭22にアンチモン等の不純物を含む液体四塩化チタンを通液する。より詳細には、液体四塩化チタンは、四塩化チタン流入口32から活性炭22に通液され、四塩化チタン流入口32よりも鉛直方向V上側に位置した四塩化チタン流出口42に流れる。その際に、液体四塩化チタンに含まれるアンチモン等の不純物は、活性炭22に吸着される。
【0048】
(液除去工程)
液除去工程S21においては、液体四塩化チタンの通液を停止した後、活性炭充填容器20から液体四塩化チタンを排出させ、更に、加熱部で前記活性炭22を加熱する。より詳細には、液体四塩化チタンの通液を停止した後、活性炭充填容器20から液抜き用管36を介して液体四塩化チタンを四塩化チタン処理装置1、5の外部に排出する。そして、活性炭22に残存した液体四塩化チタンは、熱媒流路50に熱交換機やヒーター等で加熱された熱媒を流し、またはヒーターにより直接加熱することで活性炭充填容器20内が136.4℃以上に加熱され、気化する。四塩化チタンガスは、四塩化チタン流出口42を介して液排出用管44から、または四塩化チタン流入口32を介して液流入用管34や液抜き用管36から、四塩化チタン処理装置1、5の外部に排出される。
なお、熱媒の温度又は流量は、活性炭充填容器20内の温度を四塩化チタンの沸点以上に加熱できるように、活性炭充填容器20内の容量を勘案して適宜調整すればよい。
【0049】
また、液除去工程S21においては、活性炭22に残存した液体四塩化チタンを効率的に除去するという観点から、熱媒流路50に熱媒を流す際に窒素又はアルゴン等のキャリアガスを活性炭22に通気してもよい。
なお、キャリアガスの流量は、活性炭充填容器20内の容量又は活性炭22の量を勘案して適宜調整すればよい。
【0050】
[3.精製四塩化チタン製造装置]
図4に示す精製四塩化チタン製造装置100の一実施形態においては、塩化炉110と、分離設備120と、凝縮塔130と、蒸留釜140と、精留塔150と、リボイラー160と、タンク170とを備える。そして、本発明の一実施形態においては、先述した四塩化チタン処理装置1、5を更に備える。四塩化チタン処理装置1、5の内部には活性炭22が充填された活性炭充填容器20が取外し可能に嵌め込まれている。活性炭22への通液により四塩化チタンに含まれるアンチモン等の不純物濃度を低減し、その後の液除去工程S21により活性炭22に残存した四塩化チタンを十分に低減できるので、四塩化チタン由来のガスの発生を伴うことなく、活性炭充填容器20とともに使用後の活性炭22を取り出すことができる。
【0051】
四塩化チタン処理装置1、5においては、液体四塩化チタンを活性炭22に通液するとアンチモン等の不純物を低減できる一方で、当該液体四塩化チタン中に炭素微粉が混入して炭素量が増加することが懸念される。一般に、精製四塩化チタン製造装置では、塩化炉にて生成した粗四塩化チタンガスを分離設備に導入し、コークスや鉱石のキャリーオーバー等の粉体である不純物の除去が行われる。そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、精製四塩化チタン製造装置100が四塩化チタン処理装置1、5を備えるものとし、その活性炭22に通液した後の不純物量が低減された液体四塩化チタンを分離設備120にスプレー噴霧等により供給することで活性炭22由来の炭素微粉が仮に混入されたとしても該炭素微粉を残渣として除去できることを見出した。
【0052】
また、本発明者は、当該精製四塩化チタン製造装置100が、精留塔150における塔底側から留出した不純物量が比較的多い液体四塩化チタンを有効に再利用することも可能であることを見出した。塔底側から留出した四塩化チタンはアンチモン量が比較的多く、活性炭22で処理したことによりアンチモン量を良好に低減できる。一方、精留塔150の塔頂側から排出される四塩化チタンも不純物量が比較的多く、該四塩化チタンを活性炭22に通液しても不純物量を良好に低減可能である。
以下、各構成要素を説明する。
【0053】
(塩化炉)
塩化炉110では、アンチモン等の不純物を含むチタン鉱石と、コークスと、塩素ガスを混合することにより粗四塩化チタンガスが得られる。そして、塩化炉110は、冷却塔などの分離設備120に粗四塩化チタンガスを供給する。
【0054】
(分離設備)
分離設備120は、塩化炉110と連通し、粗四塩化チタンに含まれる不純物の分離を行う。より詳細には、分離設備120は、塩化炉110で得られた粗四塩化チタンガスの不純物(未反応のコークス、鉱石等のキャリーオーバーを含む)を低減し、更に後述するタンク170から供給された液体四塩化チタンに含まれうる炭素微粉をも低減する。本発明の一実施形態においては、活性炭22に通液した後の液体四塩化チタンを一旦タンク170に供給し、その後分離設備120の頂部からスプレー噴霧することで、活性炭由来の炭素微粉は、残渣として分離設備120の底に沈積する。次に、粗四塩化チタンガスは分離設備120から凝縮塔130に供給される。なお、分離設備120と四塩化チタン処理装置1、5の四塩化チタン流出口42とがタンク170を介して連通されている。
【0055】
(凝縮塔)
凝縮塔130は、四塩化チタンの沸点以下まで冷却することで、液状の粗四塩化チタンと、塩化炉110で生成した二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスとを分離する。次に、液状の粗四塩化チタンは、凝縮塔130から蒸留釜140に供給される。一方、凝縮塔130では、二酸化炭素ガス及び一酸化炭素ガスは、排ガス処理設備(不図示)に供給され処理される。
【0056】
(蒸留釜)
蒸留釜140は、液体の粗四塩化チタンに含まれる高沸点成分を分離する。例えば、蒸留釜140での四塩化チタンの滞留時間を十分に長くすることにより、先述した高沸点成分の分離を効率よく行うことが可能となる。次に、高沸点成分が分離された液体又は気体の粗四塩化チタンは、蒸留釜140から精留塔150に供給される。
【0057】
(精留塔)
精留塔150は、粗四塩化チタンを精製することで、不純物が低減された精製四塩化チタンを与える。一方、精留塔150の塔底ではアンチモン等の不純物を多く含む液体四塩化チタンが溜まる。精留塔150の塔底と四塩化チタン処理装置1、5の四塩化チタン流入口32とは、リボイラー160、ポンプPを介して連通されている。
【0058】
(リボイラー)
リボイラー160は、精留塔150の塔底から液体四塩化チタンの一部を抜き出し、加熱し精留塔150に四塩化チタンガスを戻す。また、液体四塩化チタンは、ポンプPを介して流量を調整し、タンク170又は四塩化チタン処理装置1、5に供給される。
【0059】
(四塩化チタン処理装置)
四塩化チタン処理装置1、5は、図4に示すように、リボイラー160とタンク170との間に配置される。リボイラー160から供給される液体四塩化チタンの一部は、四塩化チタン処理装置1、5でアンチモン等の不純物を除去するために、四塩化チタン処理装置1、5に供給される。また図5に示す精製四塩化チタン製造装置105では、先述した四塩化チタン処理装置1、5を複数備える。一方の四塩化チタン処理装置1、5内の活性炭充填容器20の活性炭22を交換する場合に、交換を行う側である一方の四塩化チタン処理装置1、5のバルブV1又はV2を閉じてその四塩化チタン処理装置1、5への液体四塩化チタンの供給を停止し、他方の四塩化チタン処理装置1、5に通液して液体四塩化チタンに含まれるアンチモン等の不純物を除去することができる。このような操業により、不純物量が低減した四塩化チタンをより長時間にわたり得ることができる。
【0060】
(タンク)
タンク170は四塩化チタンを貯留し、アンチモン等の不純物の量が低減された液体四塩化チタンは分離設備120に供給される。
【0061】
[4.精製四塩化チタンの製造方法]
本発明に係る精製四塩化チタンの製造方法の一実施形態においては、先述した精製四塩化チタン製造装置100、105を使用する精製四塩化チタンの製造方法であって、四塩化チタン処理装置1、5の活性炭充填容器20に充填された活性炭22に不純物を含む液体四塩化チタンを通液する通液工程S11と、液体四塩化チタンの通液を停止した後、活性炭充填容器20から液体四塩化チタンを排出させ、更に、加熱部により活性炭22を加熱する液除去工程S21とを含む。なお、上述した四塩化チタン処理装置1、5、四塩化チタンの処理方法、及び精製四塩化チタン製造装置100、105と重複する説明は割愛する。
【0062】
精製四塩化チタンの製造方法の一実施形態においては、通液工程S11で処理した液体四塩化チタンを分離設備120内に供給する再利用工程を更に含んでもよい。すなわち、当該精製四塩化チタン製造装置100、105では、精留塔150の塔底側から回収される不純物量が比較的多い液体四塩化チタンの少なくとも一部を当該四塩化チタン処理装置1、5に通液してアンチモン等の不純物を除去して、その処理後の液体四塩化チタンを分離設備120に供給する。そして、分離設備120の例えば頂部から液体四塩化チタンをスプレー噴霧して、活性炭由来の炭素微粉が含まれる場合はこれを残渣として分離設備120に沈積させる。そして、四塩化チタンは、下流側の精留塔150へと供給され、精製四塩化チタンが得られる。このように、本発明の一実施形態においては、不純物濃度が低減された液体四塩化チタンを再利用することができる。
【実施例
【0063】
以下、本発明の内容を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0064】
[実施例1]
実施例1では、図4に示す精製四塩化チタン製造装置100を用いた。その際、四塩化チタン処理装置として、図1に示す四塩化チタン処理装置1を使用した。塔底から留出した液体四塩化チタンの5質量%を四塩化チタン処理装置1の活性炭22に通液させて、アンチモンを含む不純物量を低減しつつ、1ヶ月間、精製四塩化チタンを製造した。該1ヶ月間の操業後、四塩化チタン処理装置1のバルブV1を閉じて、四塩化チタン処理装置1を停止した。次いで、液抜き用管36のバルブを開けて、四塩化チタン処理装置1内に残存した液体四塩化チタンは、液抜き用管36から外部に排出した。次いで、液抜き用管36のバルブを閉じた後、四塩化チタン処理装置1の熱媒流路50に熱媒を流通させて、四塩化チタン処理装置1の内部温度を150℃以上に加熱保持し、さらにキャリアガスとしてアルゴンガスをキャリアガス導入管38から活性炭充填容器20に連続的に供給した。なお、活性炭充填容器20として、金属製カートリッジを使用した。
【0065】
その後、熱媒およびキャリアガスの供給を停止し、四塩化チタン処理装置1を空冷後、使用後の活性炭22を大気に開放したが、目視にて白煙が確認されなかった。また、活性炭22に通液前と通液後の液体四塩化チタンをそれぞれ採取して、液体四塩化チタンをICP発光分光分析装置で測定した。その結果、活性炭22に通液した後の四塩化チタン中のアンチモン濃度は、活性炭22に通液する前と比べて質量基準で27%減少した。さらに、四塩化チタン処理装置1への通液開始前(操業前)と1ヶ月間の操業終了時点における精製四塩化チタン中のアンチモン濃度を比較したところ、通液開始前と比べて操業終了時点では質量基準でアンチモン濃度が25%減少した。
【0066】
更に、四塩化チタン処理装置1で処理した四塩化チタンを分離設備120に噴霧にて供給開始後、精製四塩化チタンを回収してフィルターろ過(フィルター:フロン工業社製PTFEメンブランフィルター、フィルター型番:FP-010)したが炭素微粉は確認されなかった。また、四塩化チタン処理装置1への通液開始前(操業前)と1ヶ月間の操業終了時点の精製四塩化チタンの炭素濃度を燃焼-赤外線吸収法による炭素分析装置(ELTRA社製 CS-580)を用いて測定した。その結果、両精製四塩化チタンで炭素濃度の有意な差はなかった。即ち、四塩化チタン処理装置1で処理した四塩化チタンを分離設備120に供給し再利用しても精製四塩化チタン中の炭素濃度は有意な増加を示さなかった。
【0067】
[比較例1]
比較例1では、熱媒流路を備えていない四塩化チタン処理装置を使用して、活性炭を熱処理しなかった点以外、実施例1と同様に実施した。四塩化チタン処理装置のバルブを閉じて、四塩化チタン処理装置を停止し、次いで、液抜き用管のバルブを開けて四塩化チタン処理装置内に残存した液体四塩化チタンは液抜き用管から外部に排出した。次いで、活性炭充填容器を大気に開放したところ、白煙が確認された。
【0068】
(実施例による考察)
実施例1では、比較例1と異なり、目視にて白煙が確認されなかった。この理由としては、四塩化チタン処理装置1の熱媒流路50に熱媒を流通させて、四塩化チタン処理装置1の内部温度を四塩化チタンの沸点以上にした結果、活性炭22に残存した液体四塩化チタンが気化して、活性炭22から四塩化チタンが除去されたことが挙げられる。このように、実施例1においては、四塩化チタン処理装置1内から活性炭22が充填された活性炭充填容器(カートリッジ)20を安全に取り外して別の活性炭が充填された活性炭充填容器(カートリッジ)20に交換することが可能であるといえる。更に、分離設備120の頂部から液体四塩化チタンをスプレー噴霧したことにより活性炭由来の炭素微粉に基づく不具合の発生を抑止できた。以上より、実施例1で使用した四塩化チタン処理装置1は、精製四塩化チタンの製造操業において有用であるといえる。
【符号の説明】
【0069】
1、5 四塩化チタン処理装置
10 胴部
20 活性炭充填容器
22 活性炭
30 底部
32 四塩化チタン流入口
33、43 仕切材
33a、43a 孔
34 液流入用管
36 液抜き用管
38、48 キャリアガス導入管
40 上蓋
42 四塩化チタン流出口
44 液排出用管
50 熱媒流路
100、105 精製四塩化チタン製造装置
110 塩化炉
120 分離設備
130 凝縮塔
140 蒸留釜
150 精留塔
160 リボイラー
170 タンク
P ポンプ
S11 通液工程
S21 液除去工程
V 鉛直方向
V1、V2 バルブ
図1
図2
図3
図4
図5