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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】医療用処置具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/128 20060101AFI20230817BHJP
   A61B 17/122 20060101ALI20230817BHJP
   A61B 90/17 20160101ALN20230817BHJP
   A61B 17/02 20060101ALN20230817BHJP
【FI】
A61B17/128
A61B17/122
A61B90/17
A61B17/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019168995
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2021045300
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 大和
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-523780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位側と近位側を有する内筒体と、
前記内筒体の内腔に配置されている糸状物と、
前記内筒体の遠位側に配置され、前記糸状物の遠位側に接続されている処置部と、
前記内筒体の近位側に配置され、前記糸状物の近位側を挟持し、かつ、下記条件を満たす固定器具と、を有し、
前記処置部は前記内筒体の前記内腔に配置可能であり、
前記固定器具は、ナット部を有する第1固定部材と、前記ナット部に嵌め合わされて前記糸状物を挟持するボルト部を有する第2固定部材と、を有し、
前記糸状物の近位側に結び目が設けられており、前記糸状物の遠近方向において前記結び目が下記接触面よりも近位側に配置されている医療用処置具。
[条件]
前記固定器具は、前記糸状物を挟持していない状態で前記ナット部に対して前記ボルト部を旋回前進させたときに、法線ベクトルが前記ボルト部の前進方向と平行な成分を有する接触面において、前記第1固定部材と前記第2固定部材が互いに直接接触する、または互いに間接的に接触することにより前記前進が制止される。
但し、前記接触面は前記第1固定部材のうち前記ナット部以外の部分と前記第2固定部材のうち前記ボルト部以外の部分である。
【請求項2】
前記糸状物がフッ素樹脂を含む材料から構成されている請求項1に記載の医療用処置具。
【請求項3】
前記第2固定部材は、前記ボルト部の前進方向において前記ボルト部に隣接して設けられ、前記ボルト部の最大外径よりも大きな外径を有する大径部を有し、
前記第1固定部材は、前記ボルト部の前進方向において前記ナット部に隣接して設けられ、前記大径部を受け入れる凹部を有し、
前記固定器具が前記糸状物を挟持していない状態で、前記第1固定部材の前記凹部の底面が、前記第2固定部材の前記大径部の遠位端面または近位端面に直接または間接的に接触している請求項1または2に記載の医療用処置具。
【請求項4】
前記固定器具が前記糸状物を挟持していない状態で、前記第1固定部材の前記凹部の内周面が、前記第2固定部材の前記大径部の外周面に直接または間接的に接触している請求項3に記載の医療用処置具。
【請求項5】
前記結び目が、前記接触面に当接していない請求項1~4のいずれか一項に記載の医療用処置具。
【請求項6】
前記結び目が、前記第1固定部材と前記第2固定部材によって挟持されている請求項1~5のいずれか一項に記載の医療用処置具。
【請求項7】
前記結び目が、前記固定器具の外部に存在する請求項1~のいずれか一項に記載の医療用処置具。
【請求項8】
前記ボルト部が前記ナット部に嵌め合わされたときに、前記第1固定部材の遠位端が、前記第2固定部材の遠位端よりも前記糸状物の遠近方向において遠位側に配置されている請求項1~7のいずれか一項に記載の医療用処置具。
【請求項9】
前記ボルト部が前記ナット部に嵌め合わされたときに、前記第2固定部材の遠位端が、前記第1固定部材の遠位端よりも前記糸状物の遠近方向において遠位側に配置されている請求項1~7のいずれか一項に記載の医療用処置具。
【請求項10】
前記固定器具は、前記第1固定部材と前記第2固定部材が互いに接着されている接着部を有する請求項1~9のいずれか一項に記載の医療用処置具。
【請求項11】
前記ボルト部の前進方向が、前記内筒体の遠近方向と平行である請求項1~10のいずれか一項に記載の医療用処置具。
【請求項12】
前記固定器具が前記糸状物を挟持していない状態で、前記接触面において、前記第1固定部材と前記第2固定部材がリング部材を介して接触している請求項1~11のいずれか一項に記載の医療用処置具。
【請求項13】
前記処置部が、体内組織を把持するクリップであり、
前記クリップは、2つの挟持基材を有しており、
前記挟持基材の外側には、前記内筒体の内径よりも外径が大きく、軸方向に移動可能な締結具が設けられている請求項1~12のいずれか一項に記載の医療用処置具。
【請求項14】
前記内筒体と前記処置部を収容可能であり、かつ、前記内筒体に対して遠近方向に移動可能な外筒体をさらに有する請求項1~13のいずれか一項に記載の医療用処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用処置具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
がん等の腫瘍の治療において、病変部の保持、止血、焼灼等の各種処置を行うための医療用処置具が使用される。そのような処置具として、処置具の遠位側に設けられているクリップ等の処置部に糸状物が結び付けられているものがある。術者が糸状物を遠近方向に移動させることによって、例えばクリップの開閉等の処置部を作動させることができる。そして、術者による糸状物の遠近方向における移動操作を行いやすくするために、糸状物の遠近方向の近位側には術者が把持するための固定器具を設けることが提案されている。
【0003】
特許文献1には、結び目のない縫合糸をプラグとアンカーの壁の内面との間にアンカーするように構成された手術器具において、アンカーは、アンカーの第一端部から第二端部へテーパーしており、アンカーの第一端部は第二端部よりも大きい径を有することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、穴部を有する穴部材と、穴部に嵌合しかつ穴部材との間に糸状物を挟み込む軸部材とを有しており、軸部材の側面には、糸状物を巻回するための溝が形成されている医療用固定器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5323694号公報
【文献】国際公開第2016/104075号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の器具では、縫合糸が外れることがあり、特に縫合糸がフッ素樹脂等の滑りやすい材料を含む場合には顕著であった。また、特許文献2に記載の器具に糸状物を固定するためには、糸状物を軸部材の溝に巻回する必要があるため、固定器具への糸状物の取り付けに時間を要することがあった。そこで、本発明は、糸状物の抜けを防ぎつつ、糸状物を効率よく固定することができる固定器具を有する医療用処置具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成し得た本発明の医療用処置具の一実施態様は、遠位側と近位側を有する内筒体と、内筒体の内腔に配置されている糸状物と、内筒体の遠位側に配置され、糸状物の遠位側に接続されている処置部と、内筒体の近位側に配置され、糸状物の近位側を挟持し、かつ、下記条件を満たす固定器具と、を有し、固定器具は、ナット部を有する第1固定部材と、ナット部に嵌め合わされて糸状物を挟持するボルト部を有する第2固定部材と、を有し、糸状物の近位側に結び目が設けられており、糸状物の遠近方向において結び目が下記接触面よりも近位側に配置されている点に要旨を有する。
[条件]
固定器具は、糸状物を挟持していない状態でナット部に対してボルト部を旋回前進させたときに、第1固定部材と第2固定部材が、法線ベクトルがボルト部の前進方向と平行な成分を有する接触面において互いに直接または間接的に接触することにより前進が制止される。
【0008】
上記医療用処置具によれば、第1固定部材と第2固定部材の間に糸状物を配置した状態で第2固定部材のボルト部を第1固定部材のナット部に嵌め合わせることによって、糸状物への固定器具の取り付けを効率よく行うことができる。また、上記医療用処置具では、糸状物の結び目が、糸状物を挟持していない状態における第1固定部材と第2固定部材の接触面よりも糸状物の遠近方向の近位側に配置されている。このとき、糸状物の結び目以外の部分が接触面で強く挟持されているが、仮に糸状物を遠近方向に引っ張ったとしても、結び目は接触面の部分を通過することができない。したがって、上記医療用処置具によれば固定器具からの糸状物の抜けを防ぐことができる。
【0009】
上記医療用処置具において、糸状物がフッ素樹脂を含む材料から構成されていることが好ましい。
【0010】
上記医療用処置具において、第2固定部材は、ボルト部の前進方向においてボルト部に隣接して設けられ、ボルト部の最大外径よりも大きな外径を有する大径部を有し、第1固定部材は、ボルト部の前進方向においてナット部に隣接して設けられ、大径部を受け入れる凹部を有し、固定器具が糸状物を挟持していない状態で、第1固定部材の凹部の底面が、第2固定部材の大径部の遠位端面または近位端面に直接または間接的に接触していることが好ましい。
【0011】
上記医療用処置具において、固定器具が糸状物を挟持していない状態で、第1固定部材の凹部の内周面が、第2固定部材の大径部の外周面に直接または間接的に接触していることが好ましい。
【0012】
上記医療用処置具において、結び目が、接触面に当接していないことが好ましい。
【0013】
上記医療用処置具において、結び目が、第1固定部材と第2固定部材によって挟持されていることが好ましい。
【0014】
上記医療用処置具において、結び目が、固定器具の外部に存在することが好ましい。
【0015】
上記医療用処置具において、ボルト部がナット部に嵌め合わされたときに、第1固定部材の遠位端が、第2固定部材の遠位端よりも糸状物の遠近方向において遠位側に配置されていることが好ましい。
【0016】
上記医療用処置具において、ボルト部がナット部に嵌め合わされたときに、第2固定部材の遠位端が、第1固定部材の遠位端よりも糸状物の遠近方向において遠位側に配置されていることが好ましい。
【0017】
上記医療用処置具において、固定器具は、第1固定部材と第2固定部材が互いに接着されている接着部を有することが好ましい。
【0018】
上記医療用処置具において、ボルト部の前進方向が、内筒体の遠近方向と平行であることが好ましい。
【0019】
上記医療用処置具では、固定器具が糸状物を挟持していない状態で、接触面において、第1固定部材と第2固定部材がリング部材を介して接触していることが好ましい。
【0020】
上記医療用処置具において、処置部が、体内組織を把持するクリップであり、クリップは、2つの挟持基材を有しており、挟持基材の外側には、内筒体の内径よりも外径が大きく、軸方向に移動可能な締結具が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
上記医療用処置具によれば、第1固定部材と第2固定部材の間に糸状物を配置した状態で第2固定部材のボルト部を第1固定部材のナット部に嵌め合わせることによって、糸状物への固定器具の取り付けを効率よく行うことができる。また、上記医療用処置具では、糸状物の結び目が、糸状物を挟持していない状態における第1固定部材と第2固定部材の接触面よりも糸状物の遠近方向の近位側に配置されている。このとき、糸状物の結び目以外の部分が接触面で強く挟持されているが、仮に糸状物を遠近方向に引っ張ったとしても、結び目はこの接触面の部分を通過することができない。したがって、上記医療用処置具によれば固定器具からの糸状物の抜けを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態1に係る医療用処置具の側面図(一部断面図)を表す。
図2図1に示した固定器具の第1固定部材の断面図を表す。
図3図1に示した固定器具の第2固定部材の側面図を表す。
図4図1に示した医療用処置具の固定器具の断面図(一部側面図)を表し、糸状物を挟持していない状態を示す。
図5図4に示した固定器具によって糸状物を挟持した状態を示す断面図(一部側面図)を表す。
図6図5の変形例を示す断面図(一部側面図)を表す。
図7】本発明の実施の形態2に係る医療用処置具の固定器具の断面図(一部側面図)を表し、糸状物を挟持していない状態を示す。
図8図7に示した固定器具によって糸状物を挟持した状態を示す断面図(一部側面図)を表す。
図9】本発明の実施の形態3に係る医療用処置具の固定器具の断面図(一部側面図)を表し、糸状物を挟持していない状態を示す。
図10図9に示した固定器具によって糸状物を挟持した状態を示す断面図(一部側面図)を表す。
図11】本発明の実施の形態4に係る医療用処置具の固定器具の断面図(一部側面図)を表し、糸状物を挟持していない状態を示す。
図12図11に示した固定器具によって糸状物を挟持した状態を示す断面図(一部側面図)を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0024】
本発明に係る医療用処置具の一実施態様は、遠位側と近位側を有する内筒体と、内筒体の内腔に配置されている糸状物と、内筒体の遠位側に配置され、糸状物の遠位側に接続されている処置部と、内筒体の近位側に配置され、糸状物の近位側を挟持し、かつ、下記条件を満たす固定器具と、を有し、固定器具は、ナット部を有する第1固定部材と、ナット部に嵌め合わされて糸状物を挟持するボルト部を有する第2固定部材と、を有し、糸状物の近位側に結び目が設けられており、糸状物の遠近方向において結び目が下記接触面よりも近位側に配置されている点に要旨を有する。
[条件]
固定器具は、糸状物を挟持していない状態でナット部に対してボルト部を旋回前進させたときに、第1固定部材と第2固定部材が、法線ベクトルがボルト部の前進方向と平行な成分を有する接触面において互いに直接または間接的に接触することにより前進が制止される。
【0025】
上記医療用処置具によれば、第1固定部材と第2固定部材の間に糸状物を配置した状態で第2固定部材のボルト部を第1固定部材のナット部に嵌め合わせることによって、糸状物への固定器具の取り付けを効率よく行うことができる。また、上記医療用処置具では、糸状物の結び目が、糸状物を挟持していない状態における第1固定部材と第2固定部材の接触面よりも糸状物の遠近方向の近位側に配置されている。このとき、糸状物の結び目以外の部分が接触面で強く挟持されているが、仮に糸状物を遠近方向に引っ張ったとしても、結び目はこの接触面の部分を通過することができない。したがって、上記医療用処置具によれば固定器具からの糸状物の抜けを防ぐことができる。
【0026】
医療用処置具は、がん等の腫瘍の処置(好ましくは内視鏡下での処置)の際、臓器の病変部を摘まんで保持(カウンタートラクション)、止血、縫縮およびマーキングのために体内組織を摘まむために用いられる。以下では、医療用処置具を単に処置具と称することがある。処置具は体内に挿入されるものであるため、処置具を構成する各部材の材料は生体適合性を有することが望ましい。
【0027】
本発明において、医療用処置具の近位側とは、内筒体の延在方向に対して使用者、つまり術者の手元側を指し、遠位側とは近位側の反対方向、すなわち処置対象側を指す。また、内筒体の近位側から遠位側への方向または、遠位側から近位側への方向を遠近方向と称する。医療用処置具の内方とは、内筒体の径方向において内筒体の長軸中心に向かう方向を指し、外方とは、内方とは反対方向の放射方向を指す。
【0028】
まず、図1を参照しながら、内筒体、糸状物および処置部について説明した後、好ましく設けられる外筒体および操作部について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る医療用処置具の側面図(一部断面図)を表す。なお、図1においては左側が内筒体の遠位側、右側が内筒体の近位側を表している。
【0029】
内筒体10は、遠位側と近位側を有しており、遠近方向に延在している部材である。内筒体10の内腔11には糸状物20の一部が配置されている。内筒体10は、その内腔11に糸状物20を配置するために筒状構造を有している。内筒体10はその遠位側に設けられている開口を介して外部と連通している。処置部30は、内筒体10の遠位側の開口から露出している糸状物20の遠位側に設けられている。処置部30の一部が内筒体10の内腔11に配置されてもよい。内筒体10は、体腔内の形状に沿って屈曲する可撓性を有していることが好ましい。また、内筒体10は、処置対象の組織まで処置部30を確実に送達するための剛性を有していることが好ましい。
【0030】
内筒体10としては、樹脂チューブ、単線または複数の線材、撚線の線材を特定のパターンで配置することによって形成された筒状体、金属管またはこれらを組み合わせたものが挙げられる。樹脂チューブは、例えば押出成形によって製造することができる。線材が特定のパターンで配置された筒状体としては、線材が単に交差される、または編み込まれることによって網目構造を有する筒状体や、線材が巻回されたコイルが示される。網目構造の種類は特に制限されず、コイルの巻き数や密度も特に制限されない。網目構造やコイルは軸方向の全体にわたって一定の密度で形成されていてもよく、遠近方向の位置によって異なる密度で形成されていてもよい。金属管の可撓性を高めるために、金属管の外側表面には複数の環状の溝やらせん状の溝が形成されていてもよい。中でも、溝が金属管の軸方向の中央よりも遠位側の外表面、特に外周面に形成されていることが好ましい。
【0031】
内筒体10は樹脂または金属から構成されることが好ましい。内筒体10を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、天然ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂が好適に用いられる。内筒体10を構成する金属としては、例えば、SUS301、SUS302、SUS303、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、金、Ni-Ti合金、Co-Cr合金、またはこれらの組み合わせが挙げられる。特に、Ni-Ti合金から構成されている線材は、形状記憶性および高弾性に優れている。また、線材は、上述の金属、ポリアリレート繊維、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、PBO繊維、炭素繊維等の繊維材料であってもよい。繊維材料は、モノフィラメントであっても、マルチフィラメントであってもよい。また、樹脂から構成されている筒状体に金属線材等の補強材が配設されているものを内筒体10として用いてもよい。
【0032】
内筒体10は、単層から構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。また、遠近方向において、内筒体10の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。
【0033】
糸状物20は、内筒体10の内腔11に配置されているものであり、その遠位側が処置部30に接続されている牽引部材である。糸状物20を近位側に引っ張ることにより、処置部30に対してテンションをかけることができる。また、糸状物20を内筒体10から引き抜くことによって、処置部30および病変部を体外に取り出すこともできる。内筒体10と同様に、糸状物20も遠位側と近位側を有している。
【0034】
糸状物20は、処置部30から内筒体10の内腔11を経て、内筒体10の近位側から内筒体10の外に延在していることが好ましい。詳細には、糸状物20は内筒体10の近位側の開口から露出していることが好ましい。これにより、糸状物20の近位側を後述する固定器具40によって挟持することができる。なお、内筒体10の近位側に後述する第1操作部61が接続されている場合には、糸状物20は第1操作部61の近位側の開口から露出していることが好ましい。
【0035】
糸状物20は、長手方向を有している。図1に示すように、糸状物20の長手方向の一方端部が処置部30に接続されており、糸状物20の長手方向の他方端部が固定器具40に挟持されていてもよい。図示していないが、糸状物20の長手方向の中途部が折り返されており、糸状物20の長手方向の中途部が処置部30に接続されており、糸状物20の一方端部および他方端部が固定器具40に挟持されていてもよい。また、図示していないが、糸状物20の長手方向の中途部が折り返されている場合、糸状物20の長手方向の一方端部と他方端部が処置部30に接続されており、糸状物20の長手方向の折り返し部が固定器具40に挟持されていてもよい。
【0036】
糸状物20と処置部30の接続方法は特に限定されず、糸状物20の長手方向の一方端部または他方端部、あるいは一方端部と他方端部の両方を処置部30に結び付けてもよく、糸状物20の長手方向の中途部を処置部30に引っ掛けてもよい。加えて、糸状物20と処置部30を接続するための接続部材を、糸状物20、処置部30またはその両方に設けてもよい。
【0037】
糸状物20は、単糸であってもよいし複数本の糸から形成されている撚糸でもよい。また、糸状物20は、複数の単糸または撚糸が、互いに織られてまたは編み込まれて形成されたものでもよい。なお、糸状物20は、中実状であっても中空状であってもよい。
【0038】
糸状物20の長手方向と垂直な断面の形状は、円形状、楕円形状、多角形状、またはこれらの組み合わせにすることができる。糸状物20の取り扱いのしやすさの観点からは、偏平な断面形状を有していることが好ましい。
【0039】
糸状物20の近位側には結び目21が設けられている。結び目21は、糸状物20の一部を結んで形成されたこぶの部分である。結び目21の最大外径は、糸状物20のうち結び目21以外の部分の外径よりも大きくなっている。
【0040】
結び目21は一つのみ設けられていてもよく、複数設けられていてもよい。結び目21が複数設けられている場合、複数の結び目21は糸状物20の遠近方向において互いに離隔して配置されていることが好ましい。また、複数の結び目21の最大外径は同じであってもよく、互いに異なってもよい。複数の結び目21の最大外径は、近位側に配置されているものほど大きくてもよい。なお、ここで説明している結び目21の数は、糸状物20の近位側(すなわち、糸状物20の遠近方向の中央よりも近位側)に配置されている結び目21の数を指すものとし、糸状物20を処置部30に接続する際に形成される結び目は含まれない。
【0041】
結び目21の種類としては、例えば、止め結び、固め止め結び、8の字結び、二重止め結び、二重8の字結び、両結び等を挙げることができる。図示していないが、糸状物20の遠近方向において、結び目21よりも近位側には輪が形成されていてもよい。術者は、固定器具40を把持する際に輪に指を通して引っ掛けることができるため、固定器具40からの糸状物20の抜けをより一層防ぐことができる。
【0042】
糸状物20は、生体適合性、および強度を有する材料から形成されていることが好ましく、例えば、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、PTFE等のフッ素樹脂等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、糸状物20がフッ素樹脂を含む材料から構成されていることが好ましい。これにより、糸状物20の摺動性を向上させて、糸状物20と処置部30の間の摩擦を低減することができるため、糸状物20を体外に引き抜く操作を行うときに糸状物20の切断を防ぐことができる。また、糸状物20の外側表面にフッ素樹脂が被覆されていてもよい。フッ素樹脂としては、例えば、PTFE、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等を用いることができる。糸状物20へのフッ素樹脂の被覆には、例えば、浸漬法、スプレー法、流動床法、ニーダーコーター法等を用いることができる。
【0043】
糸状物20の体外への引き抜き操作を円滑に行うためには、手技の種類に応じて糸状物20の長さを適切に調整することが望ましい。糸状物20の遠位端は処置部30に接続され、近位端は結び目21の近位側にあることが好ましい。ここで、糸状物20の長さとは、例えば、糸状物20が折り返されるなどして複数本である場合も、糸状物20の全長ではなく遠位端から近位端までの間の長さをいう。
【0044】
処置部30は、内筒体10の遠位側に配置され、糸状物20の遠位側に接続されている部分である。処置部30としては、体内組織を把持するためのクリップ31や留置スネア等の結紮装置を挙げることができる。処置部30は、内筒体10の遠位側の開口から突出するように配置されている。
【0045】
処置部30が、体内組織を把持するクリップ31であり、クリップ31は、2つの挟持基材32を有しており、挟持基材32の外側には、内筒体10の内径よりも外径が大きく、軸方向に移動可能な締結具35が設けられていることが好ましい。処置部30がクリップ31であることにより、体内組織の止血等に使用することができる。また、クリップ31に締結具35が設けられていることにより、クリップ31の開閉度を調整することができる。締結具35を開状態のクリップ31の近位側の外方を囲むように配置する。次いで、クリップ31を内筒体10の近位側に引き込むことによって、クリップ31の遠位側に締結具35を移動させる。締結具35がクリップ31の遠位側に移動するのに伴い、挟持基材32には締結具35によって径方向の内方に向かう押力が負荷されて、2つの挟持基材32が互いに近接するため、クリップ31が閉じられる。
【0046】
挟持基材32は、長手方向と短手方向を有する帯状部材から形成することができる。帯状部材の厚さ(すなわち、長手方向および短手方向の双方と垂直な方向における厚さ)は、例えば、0.1mm以上0.5mm以下である。挟持基材32は、帯状部材の長手方向の一部を折り曲げる、または複数の帯状部材を個別に製造した後でこれら帯状部材をレーザー溶接等の方法で互いに接合することによって形成することができる。2つの挟持基材32は、互いに向かい合って配置されている。クリップ31が閉じたときに2つの挟持基材32の近接するタイミングを合わせやすくするために、2つの挟持基材32は、クリップ31の長軸に対称な形状に形成することができる。また、2つの挟持基材32の近位端部が互いに固定されていてもよい。固定方法は特に限定されないが、例えば、ねじ、カシメ等による機械的固定、溶接、接着等の方法を用いることができる。
【0047】
締結具35は、クリップ31の少なくとも一部を内包するものであり、筒状に形成されることが好ましい。締結具35は、クリップ31の長軸方向に移動可能にクリップ31の外方に配置される。締結具35としては、円筒体や角筒体等の筒状部材を用いることができる。筒状部材は単筒状であってもよく、線材を巻回して形成された中空コイル状であってもよい。また、筒状部材は周方向に閉じている閉リング形状でもよく、周方向に開いている開リング形状であって例えば長軸方向に垂直な断面がC字形状をなしていてもよい。
【0048】
処置部30は、例えば、SUS301、SUS302、SUS303、SUS304、SUS631等のステンレス鋼やNi-Ti合金等から構成されていることが好ましい。処置部30がクリップ31である場合、クリップ31と締結具35は同じ材料から構成されていてもよく、異なる材料から構成されていてもよい。
【0049】
処置具1は、さらに、内筒体10の遠近方向の少なくとも一部を内包する外筒体55を有していることが好ましい。外筒体55は、内筒体10と同様に遠位側と近位側を有しているものである。外筒体55は、内筒体10と同様に筒状構造を有している。これにより、外筒体55の内腔56に内筒体10の少なくとも一部と処置部30が収められるため、治療非対象の組織や内視鏡の鉗子チャンネル内や鉗子口が傷付きにくい。
【0050】
外筒体55は内筒体10と同様に、樹脂チューブ、単線または複数の線材、撚線の線材を特定のパターンで配置することによって形成された筒状体、金属管またはこれらを組み合わせたものを用いることができる。外筒体55は、内筒体10の構成材料として説明した樹脂または金属から構成することができる。外筒体55の材料は、内筒体10の材料と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0051】
内筒体10を外筒体55に対して遠近方向に移動可能に構成するため、内筒体10と外筒体55は互いに固定されていないことが好ましい。
【0052】
外筒体55の遠近方向は、内筒体10の遠近方向と平行であることが好ましい。これにより、外筒体55が内筒体10の遠近方向に沿って動きやすくなる。
【0053】
処置具1の近位側には術者が処置具1を把持するための操作部が設けられていることが好ましい。例えば、処置具1は、内筒体10の近位側に接続されている第1操作部61を有していてもよい。これにより、内筒体10を把持することができるため、内筒体10に対する外筒体55の遠近方向への移動操作が行いやすくなる。なお、第1操作部61は、内筒体10よりも径方向の外方に突出していることが好ましい。図示していないが、第1操作部61は、その内部に糸状物20を遠近方向に挿通するための中空部を有していることが好ましい。
【0054】
処置具1は、外筒体55の近位側に接続されている第2操作部62を有していてもよい。これにより、外筒体55の遠近方向への移動操作が行いやすくなる。なお、第2操作部62は、外筒体55よりも径方向の外方に突出していることが好ましい。第2操作部62としては筒状体を用いることができる。
【0055】
第1操作部61および第2操作部62の構成材料としては、後述する固定器具40の材料の説明を参照することができる。
【0056】
第1操作部61と内筒体10、第2操作部62と外筒体55の接合は、接着剤や熱溶着など従来公知の接合手段を用いて行うことができる。
【0057】
図2図5を参照しながら、固定器具40の基本構成について説明する。図2図3はそれぞれ図1に示した固定器具40の第1固定部材41の断面図、第2固定部材45の側面図を表す。図4および図5図1に示した医療用処置具1の固定器具40の断面図(一部側面図)を表し、図4は固定器具40が糸状物20を挟持していない状態、図5は固定器具40が糸状物20を挟持している状態を示している。
【0058】
固定器具40は、内筒体10の近位側に配置され、糸状物20の近位側を挟持し、かつ、下記条件を満たすものであり、固定器具40は、ナット部42を有する第1固定部材41と、ナット部42に嵌め合わされて糸状物20を挟持するボルト部46を有する第2固定部材45と、を有している。そして、糸状物20の遠近方向において結び目21が下記接触面49よりも近位側に配置されている。
[条件]
固定器具40は、糸状物20を挟持していない状態でナット部42に対してボルト部46を旋回前進させたときに、第1固定部材41と第2固定部材45が、法線ベクトルNがボルト部46の前進方向xと平行な成分Nxを有する接触面49において互いに直接または間接的に接触することにより前進が制止される。
【0059】
固定器具40は、糸状物20の近位側を挟持しているため、固定器具40を挟持することで糸状物20の遠近方向への移動操作を行うことができる。術者は、糸状物20を直接把持する場合に比べて、糸状物20の移動操作を行いやすくなる。処置具1によれば、図4図5に示すように、第1固定部材41と第2固定部材45の間に糸状物20を配置した状態で第2固定部材45のボルト部46を第1固定部材41のナット部42に嵌め合わせることによって、糸状物20への固定器具40の取り付けを効率よく行うことができる。また、処置具1では、糸状物20の結び目21が、糸状物20を挟持していない状態での第1固定部材41と第2固定部材45の接触面49よりも糸状物20の遠近方向の近位側に配置されている。このとき、糸状物20の結び目21以外の部分が接触面49で強く挟持されているが、仮に糸状物20を遠近方向に引っ張ったとしても、結び目21はこの接触面49の部分を通過することができない。したがって、処置具1によれば固定器具40からの糸状物20の抜けを防ぐことができる。
【0060】
接触面49の法線ベクトルNは、ボルト部46の前進方向xと平行な成分Nxを含んでいればよい。なお、図4では接触面49の法線ベクトルNは、ボルト部46の前進方向xと平行な成分Nxのみから構成されている例を示している。後述する図7のように、接触面49の法線ベクトルNがボルト部46の前進方向xと平行な成分Nxと、ボルト部46の前進方向xと垂直な成分Nyと、を有していてもよい。
【0061】
固定器具40の接触面49と糸状物20の結び目21が上記の位置関係にあればよく、固定器具40は、糸状物20の長手方向の他方端部を挟持していてもよく、糸状物20の長手方向の一方端部と他方端部を挟持していてもよく、糸状物20の長手方向の折り返し部を挟持していてもよい。
【0062】
本発明において、接触面49は固定器具40が糸状物20を挟持していない状態によって規定されるが、本明細書では便宜上、固定器具40が糸状物20を挟持している状態においても接触面49に相当する部分を接触面49として説明を記載している。
【0063】
図2に示すように、第1固定部材41は、ナット部42を有している限りその形状は特に限定されないが、例えば円筒や角筒等の筒形状とすることができる。ここで筒形状には、筒の一方端が開口しており他方端が塞がっている有底筒形状も含まれる。筒形状の第1固定部材41の内側表面にねじ山が形成されている部分をナット部42とすることができる。筒形状の第1固定部材41の外径および内径は、それぞれ第1固定部材41の筒軸方向において一定の値を有していてもよく、筒軸方向の位置によって大きさが異なっていてもよい。
【0064】
図3に示すように、第2固定部材45は、ボルト部46を有している限りその形状は特に限定されないが、ボルト部46の前進方向xと、該前進方向xと垂直な径方向を有する形状、具体的には棒形状とすることができる。第2固定部材45は、中実状でも中空状でもよい。第2固定部材45の外側表面にねじ山が形成されている部分をボルト部46とすることができる。ボルト部46の前進方向xと径方向を有する第2固定部材45の外径は、第2固定部材45のボルト部46の前進方向xにおいて一定の値を有していてもよく、ボルト部46の前進方向xの位置によって大きさが異なっていてもよい。
【0065】
第1固定部材41と第2固定部材45は、樹脂、金属、またはセラミックから構成されていることが好ましい。第1固定部材41と第2固定部材45を構成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、アクリロニトルブタジエンスチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂等を挙げることができる。また、第1固定部材41と第2固定部材45を構成する金属としては、SUS301、SUS302、SUS303、SUS304、SUS631等のステンレス鋼やNi-Ti合金等を挙げることができる。第1固定部材41と第2固定部材45の構成材料は同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0066】
第1固定部材41と第2固定部材45はそれぞれ弾性部材から構成されていることが好ましい。これにより、第1固定部材41に第2固定部材45を嵌め合わせるときに、これら部材の弾性変形が可能となるため、第1固定部材41と第2固定部材45の間の摩擦力を高めることができる。
【0067】
第1固定部材41と第2固定部材45のいずれか一方が、いずれか他方よりも弾性率が高い材料から構成されていてもよい。例えば、第1固定部材41の弾性率が、第2固定部材45の弾性率よりも高いことが好ましい。これにより、第1固定部材41と第2固定部材45をより確実に篏合することができる。
【0068】
第1固定部材41と第2固定部材45を嵌め合わせるために、第1固定部材41のナット部42のねじの軸線L1の延在方向(以下、「ナット部42の軸線方向」と称する)は、後述する第2固定部材45のボルト部46の前進方向x(すなわち、ボルト部46のねじの軸線L2の延在方向)と平行である。
【0069】
ナット部42の軸線方向は特に限定されず、内筒体10の遠近方向と平行であっても内筒体10の径方向と平行であってもよいが、内筒体10の遠近方向と平行であることが好ましい。これにより、糸状物20の遠近方向への移動操作が行いやすくなる。
【0070】
第2固定部材45のボルト部46の前進方向x、すなわちボルト部46のねじの軸線L2の延在方向は特に限定されず、内筒体10の遠近方向と平行であっても内筒体10の径方向と平行であってもよいが、中でも内筒体10の遠近方向と平行であることが好ましい。これにより、糸状物20の遠近方向への移動操作が行いやすくなる。
【0071】
図2に示すように、ナット部42の軸線方向において、第1固定部材41の一部にナット部42が配置されていることが好ましい。これにより、第1固定部材41の形状の設計に自由度を持たせることができるため、ナット部42以外に後述する管部43や凹部44を設けることができる。なお、図示していないが、ナット部42の軸線方向において、第1固定部材41全体にわたってナット部42が配置されていてもよい。
【0072】
図2に示すように、第1固定部材41は、ナット部42の軸線方向においてナット部42に隣接して設けられている管部43を有していることが好ましい。これにより、管部43内に糸状物20を配置することができるため、糸状物20は、管部43からナット部42に向かって延在しやすくなり、固定器具40で糸状物20を挟持しやすくなる。
【0073】
図3に示すように、第2固定部材45は、ボルト部46の前進方向xにおいてボルト部46に隣接して設けられている把持部48を有していることが好ましい。術者が把持部48を把持することによって、糸状物20の移動操作が行いやすくなる。
【0074】
術者が把持部48を把持しやすくするために、把持部48はボルト部46の前進方向xに沿って延在していることが好ましい。また、同様の趣旨から、ボルト部46の前進方向xにおいて、把持部48はボルト部46よりも長く形成されていることが好ましい。したがって、把持部48は、例えば中実状または中空状の棒状に形成することができる。
【0075】
把持部48の外側表面には凹凸が形成されていることが好ましい。これにより、術者が把持部48を把持する際に滑りにくくなるため、術者は糸状物20の移動操作を行いやすくなる。把持部48の外側表面に凹凸を設ける方法としては、例えば、凹凸を設けた型で成形する方法、凹凸を付けられるように切削の加工を行う方法などが挙げられる。
【0076】
図示していないが、把持部48の外側表面に滑り防止のための弾性材が設けられていてもよい。このように弾性材を設けることによっても、術者は把持部48を確実に把持しやすくなる。弾性材の構成材料としては、後述するリング部材50の材料の説明を参照することができる。
【0077】
図3に示すように、第2固定部材45は、ボルト部46の前進方向xにおいてボルト部46に隣接して設けられ、ボルト部46の最大外径よりも大きな外径を有する大径部47を有していることが好ましい。大径部47は、ボルト部の前進方向xに対して、ボルト部46の手前側に配置される。これにより、固定器具40が糸状物20を挟持していない状態で、第2固定部材45の大径部47が第1固定部材41に接触することで、ボルト部46の前進が制止されやすくなる。その結果、固定器具40によって糸状物20を強固に挟持することが可能となる。
【0078】
ボルト部46の前進方向xにおいて、ボルト部46は大径部47よりも長いことが好ましい。これにより、ボルト部46とナット部42を広範囲で篏合させることができるため、糸状物20のうち固定器具40に挟持されている区間を長く確保することができ、糸状物20の抜け防止効果を高めることができる。なお、ボルト部46の前進方向xにおいて、ボルト部46は大径部47よりも短くてもよい。これにより、ボルト部46とナット部42の篏合を素早く行うことができる。
【0079】
大径部47の外径は、ボルト部46の前進方向xにおいて一定の大きさであってもよく、ボルト部46の前進方向xの位置によって異なっていてもよい。また、大径部47は段差を有していてもよく、大径部47はボルト部46側に向かって外径が小さくなっているテーパー部を有していてもよい。なお、図3では、大径部47が、ボルト部46の前進方向xにおいて、第1大径部47Aと、第1大径部47Aに隣接して設けられかつ第1大径部47Aよりも外径が大きい第2大径部47Bと、を有しており、第1大径部47Aがボルト部46側に配置されている例を示している。
【0080】
図示していないが、第2固定部材45がボルト部46と大径部47を有している場合、大径部47が把持部を兼ねていてもよい。すなわち、大径部47の外側表面に凹凸が設けられているか、または大径部47の外側表面に弾性材が設けられていてもよい。その場合、術者は大径部47を把持することで糸状物20の操作を行うことができる。
【0081】
第2固定部材45が、ボルト部46と大径部47と把持部48を有している場合、図3に示すように、ボルト部46の前進方向xにおいて、ボルト部46、大径部47、把持部48の順に配置されていることが好ましい。その場合、大径部47の外径は、把持部48の外径よりも大きいことが好ましい。これにより、大径部47が第1固定部材41と接触しやすくなり、また、術者は把持部48を把持しやすくなる。
【0082】
図5に示すように、ボルト部46がナット部42に嵌め合わされたときに、第1固定部材41の遠位端が、第2固定部材45の遠位端よりも糸状物20の遠近方向において遠位側に配置されていることが好ましい。このように第1固定部材41と第2固定部材45を配することにより、糸状物20が強固に挟持される。なお、この態様では、処置具1の製造工程において、第1固定部材41の近位側から第2固定部材45のボルト部46を第1固定部材41のナット部42に挿入し旋回前進させることによって、ボルト部46をナット部42に嵌め合わせて糸状物20を挟持している。
【0083】
図4図5に示すように、第1固定部材41は、遠位側から順に管部43、ナット部42が設けられており、第2固定部材45は、遠位側から順にボルト部46、大径部47、把持部48が設けられていることが好ましい。
【0084】
第1固定部材41は、ボルト部46の前進方向xにおいてナット部42に隣接して設けられ、大径部47を受け入れる凹部44を有していることが好ましい。これにより、固定器具40が糸状物20を挟持していない状態で、第2固定部材45の大径部47が第1固定部材41の凹部44に接触することで、ボルト部46の前進が制止されやすくなる。
【0085】
第2固定部材45は、ボルト部46の前進方向xにおいてボルト部46に隣接して設けられ、ボルト部46の最大外径よりも大きな外径を有する大径部47を有し、第1固定部材41は、ボルト部46の前進方向xにおいてナット部42に隣接して設けられ、大径部47を受け入れる凹部44を有し、固定器具40は、糸状物20を挟持していない状態で、第1固定部材41の凹部44の底面44Aが、第2固定部材45の大径部47の遠位端面または近位端面に直接または間接的に接触していることが好ましい。このように第1固定部材41と第2固定部材45を接触面49で接触させることによって、糸状物20の結び目21が接触面49の部分を通過しにくくなる。なお、図4では、糸状物20を挟持していない状態で、第1固定部材41の凹部44の底面44Aが、第2固定部材45の大径部47の遠位端面47Cに直接接触している例を示している。
【0086】
第1固定部材41の凹部44の最大内径は、ナット部42の最大内径よりも大きいことが好ましい。これにより、第1固定部材41の凹部44が第2固定部材45の大径部47に突き当たりやすくなるため、第1固定部材41と第2固定部材45を確実に接触させることができる。
【0087】
固定器具40は、糸状物20を挟持していない状態で、第1固定部材41の凹部44の内周面44Bが、第2固定部材45の大径部47の外周面47Dに直接または間接的に接触していることが好ましい。これにより、第1固定部材41と第2固定部材45を、接触面49以外の部分で更に接触させることができるため、固定器具40からの糸状物20の抜けを防ぐことができる。なお、図4では、第1固定部材41の凹部44の内周面44Bが、第2固定部材45の大径部47の外周面47D(より詳しくは第1大径部47Aの外周面47AD)に直接接触している例を示している。
【0088】
図示していないが、第2固定部材45の最大外径は、第1固定部材41の最大外径よりも大きくても小さくてもよい。また、術者が固定器具40を把持しやすくするために、第1固定部材41の最大外径と第2固定部材45の最大外径は一致していてもよい。
【0089】
糸状物20の遠近方向における結び目21の位置は接触面49よりも近位側に配置されている限り特に限定されないが、図5に示すように、結び目21が接触面49に当接していないことが好ましい。これにより、結び目21が接触面49の部分を通過しにくくなるため、固定器具40からの糸状物20の抜けを防ぐことができる。
【0090】
図5に示すように、結び目21が固定器具40の外部に存在することが好ましい。これにより、接触面49には糸状物20の結び目21以外の部分が配されるため、糸状物20を挟持したときに形成されてしまう第1固定部材41と第2固定部材45の隙間を小さくすることができる。したがって、固定器具40からの糸状物20の抜けを防ぐことができる。結び目21が固定器具40の外部に存在するとは、結び目21が固定器具40よりも径方向外方に配置されていることを意味する。
【0091】
図5では、内筒体10の遠近方向において、糸状物20の結び目21が第1固定部材41よりも近位側に配置されている例を示したが、内筒体10の遠近方向において、糸状物20の結び目21は第2固定部材45よりも近位側に配置されていてもよい。
【0092】
図6は、図5の変形例を示す断面図(一部側面図)を表す。図6に示すように、結び目21が、第1固定部材41と第2固定部材45によって挟持されていてもよい。これにより糸状物20の結び目21以外の部分が接触面49によって強く挟持されるとともに、結び目21が接触面49以外の部分で挟持されることにより、固定器具40からの糸状物20の抜けをより一層防ぐことができる。
【0093】
例えば、図6に示すように、結び目21は、ボルト部46の前進方向xと平行な方向から第1固定部材41と第2固定部材45によって挟持されていてもよい。詳細には、第2固定部材45に第1大径部47Aと第2大径部47Bが設けられている場合、結び目21は、第1固定部材41の近位端面と、第2大径部47Bの遠位端面によって挟持されていることが好ましい。
【0094】
図示していないが、結び目21は、第1固定部材41の凹部44の内周面44Bと、第2固定部材45の第1大径部47の外周面47ADによって挟持されていてもよい。
【0095】
結び目21の一部のみが第1固定部材41と第2固定部材45によって挟持されていてもよいが、固定器具40からの糸状物20の抜け防止効果を高めるためには、結び目21全体が第1固定部材41と第2固定部材45によって挟持されていることが好ましい。
【0096】
図示していないが、糸状物20の遠近方向において、糸状物20の結び目21よりも遠位側が第2固定部材45のボルト部46に巻き付けられていてもよい。術者が固定器具40を把持して糸状物20の移動操作を行っても、糸状物20がボルト部46に巻き付けられているため、固定器具40からの糸状物20の抜け防止効果がより一層高められる。
【0097】
図示していないが、固定器具40は、第1固定部材41と第2固定部材45が互いに接着されている接着部を有することが好ましい。これにより、第1固定部材41と第2固定部材45を強固に固定することができるため、固定器具40からの糸状物20の抜けを防ぐことができる。
【0098】
接着部は、糸状物20に接合されていることが好ましい。これにより第1固定部材41と第2固定部材45だけでなく、糸状物20も互いに接着することができるため、固定器具40からの糸状物20の抜け防止効果をより一層高めることができる。
【0099】
接着部を構成する材料としては、例えば、ポリウレタン系、エポキシ系、シアノ系、シリコーン系の接着剤を挙げることができる。
【0100】
本発明の実施の形態2に係る医療用処置具1の固定器具40について説明する。図7図8は、本発明の実施の形態2に係る医療用処置具1の固定器具40の断面図(一部側面図)を表し、図7は固定器具40が糸状物20を挟持していない状態、図8は固定器具40が糸状物20を挟持している状態を示している。なお、実施の形態1に係る医療用処置具1と同様の構成については説明を省略する。
【0101】
図7図8に示すように、固定器具40は、糸状物20を挟持していない状態でナット部42に対してボルト部46を旋回前進させたときに、第1固定部材41と第2固定部材45が互いに接触する接触面49の法線ベクトルNがボルト部46の前進方向xと平行な成分Nxと、ボルト部46の前進方向xと垂直な成分Nyとを有していてもよい。すなわち、接触面49がボルト部46の前進方向xに対して傾斜していてもよい。このように接触面49を形成することでも固定器具40からの糸状物20の抜け防止効果が奏される。
【0102】
第1固定部材41と第2固定部材45が互いに接触する接触面49の法線ベクトルNがボルト部46の前進方向xと平行な成分Nxと、ボルト部46の前進方向xと垂直な成分Nyとを有する構成とするためには、例えば、第2固定部材45の大径部47がボルト部46の前進方向xに向かって外径が小さくなっているテーパー部を有している態様が挙げられる。このように大径部47がテーパー部を有していることにより、第1固定部材41への第2固定部材45の挿入もスムーズに行うことができる。図7では、大径部47の第1大径部47Aが、ボルト部46の前進方向xに向かって外径が小さくなっているテーパー部47Eを有している例が示されている。
【0103】
第2固定部材45の大径部47が、ボルト部46の前進方向xに向かって外径が小さくなっているテーパー部47Eを有している場合、第1固定部材41の凹部44はその内径がボルト部46の前進方向xに向かって小さくなっている内テーパー部44Cを有していることが好ましい。これにより、第1固定部材41が第2固定部材45を受け入れやすくなるとともに接触面49を広く確保しやすくなる。
【0104】
固定器具40のボルト部46の前進方向xに沿った断面において、ボルト部46の前進方向xに対する第1固定部材41の大径部47のテーパー部47Eの外形線の延在方向の傾斜角度は、例えば、20度以上、30度以上、45度以上とすることができ、あるいは、80度以下、70度以下、60度以下とすることも許容される。
【0105】
固定器具40のボルト部46の前進方向xに沿った断面において、ボルト部46の前進方向xに対する第2固定部材45の凹部44の内テーパー部44Cの外形線の延在方向の傾斜角度は、例えば、20度以上、30度以上、45度以上とすることができ、あるいは、80度以下、70度以下、60度以下とすることも許容される。
【0106】
ボルト部46の前進方向xに対するテーパー部47Eの外形線の延在方向の傾斜角度と、ボルト部46の前進方向xに対する内テーパー部44Cの外形線の延在方向の傾斜角度は互いに異なっていてもよいが、接触面49を広く確保するためには傾斜角度が同じであることが好ましい。
【0107】
本発明の実施の形態3に係る医療用処置具1の固定器具40について説明する。図9図10は、本発明の実施の形態3に係る医療用処置具1の固定器具40の断面図(一部側面図)を表し、図9は固定器具40が糸状物20を挟持していない状態、図10は固定器具40が糸状物20を挟持している状態を示している。なお、実施の形態1~2に係る医療用処置具1と同様の構成については説明を省略する。
【0108】
図10に示すように、ボルト部46がナット部42に嵌め合わされたときに、第2固定部材45の遠位端が、第1固定部材41の遠位端よりも糸状物20の遠近方向において遠位側に配置されていることが好ましい。このように第1固定部材41と第2固定部材45を配することによっても、糸状物20を強固に挟持することができる。なお、この態様では、処置具1の製造工程において、第2固定部材45の近位側から第1固定部材41のナット部42を第2固定部材45のボルト部46に被せて旋回前進させることによって、ナット部42をボルト部46に嵌め合わせて糸状物20を挟持している。
【0109】
図10に示すように、ボルト部46の前進方向xにおいて、糸状物20の結び目21は第2固定部材45よりも近位側に配置されていることが好ましい。これにより、術者は糸状物20の結び目21の位置を目視で確認することができるため、固定器具40から糸状物20が抜けていないかを確認しやすくなる。
【0110】
図示していないが、糸状物20の結び目21は第1固定部材41の管部43内に配置されていてもよく、第1固定部材41のナット部42と第2固定部材45のボルト部46に挟持されていてもよい。
【0111】
本発明の実施の形態4に係る医療用処置具1の固定器具40について説明する。図11図12は、本発明の実施の形態4に係る医療用処置具1の固定器具40の断面図(一部側面図)を表し、図11は固定器具40が糸状物20を挟持していない状態、図12は固定器具40が糸状物20を挟持している状態を示している。なお、実施の形態1~3に係る医療用処置具1と同様の構成については説明を省略する。
【0112】
図11図12に示すように、固定器具40が糸状物20を挟持していない状態で、接触面49において、第1固定部材41と第2固定部材45がリング部材50を介して接触していることが好ましい。このようにリング部材50を設けることによって、第1固定部材41と第2固定部材45の隙間を塞ぐことができるため、接触面49の部分における結び目21の通過を防ぐことができる。
【0113】
リング部材50の形状は特に限定されず、断面が円形または楕円形の丸リング(換言すればOリング)であってもよく、断面が多角形の角リング、あるいは断面が円形、楕円形、または多角形を組み合わせた形状のリングであってもよい。また、リング部材50は、断面が偏平な長方形の平リングであってもよい。その他、Dリング、Xリング、Tリング、Cリング、Eリング、Uリングであってもよい。図11では、リング部材50が、その断面が偏平な長方形の平リングである例を示している。
【0114】
リング部材50は、閉じられている閉リング形状であってもよく、周方向の一部が開いている開リング形状であってもよいが、糸状物20の結び目21が、第1固定部材41と第2固定部材45の接触面49の部分を通過することを防ぐ観点からは、閉リング形状であることが好ましい。
【0115】
リング部材50は、第1固定部材41の凹部44内に設けられることが好ましい。このため、リング部材50は、第2固定部材45の大径部47(好ましくは第1大径部47A)に設けられていることが好ましい。図11図12では、接触面49において、リング部材50は、第1固定部材41の凹部44の底面44Aと、第2固定部材45の第2大径部47Bの遠位端面と接触している。なお、リング部材50の開口中心が、ボルト部46の前進方向xと一致していることが好ましい。
【0116】
図12に示すように、接触面49において、糸状物20はリング部材50と第1固定部材41の間に挟持されていてもよく、接触面49において、糸状物20はリング部材50と第2固定部材45の間に挟持されていてもよい(図示せず)。
【0117】
リング部材50は樹脂または金属から構成されることが好ましい。リング部材50を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ラテックス等の天然ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム等が挙げられる。リング部材50を構成する金属としては、例えば、SUS301、SUS302、SUS303、SUS304、SUS316等のステンレス鋼、白金、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タングステン、金、Ni-Ti合金、Co-Cr合金、またはこれらの組み合わせが挙げられる。第1固定部材41と第2固定部材45の隙間を効果的に塞ぐためにはリング部材50が弾性変形することが好ましいため、リング部材50は樹脂から構成されていることが好ましい。リング部材50の構成材料は、第1固定部材41と第2固定部材45の少なくともいずれか一方と同じであってもよく、少なくともいずれか一方と互いに異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1:医療用処置具
10:内筒体
11:内腔
20:糸状物
21:結び目
30:処置部
31:クリップ
32:挟持基材
35:締結具
40:固定器具
41:第1固定部材
42:ナット部
43:管部
44:凹部
44A:底面
44B:内周面
44C:内テーパー部
45:第2固定部材
46:ボルト部
47:大径部
47A:第1大径部
47AD:第1大径部の外周面
47B:第2大径部
47C:遠位端面
47D:外周面
47E:テーパー部
48:把持部
49:接触面
50:リング部材
55:外筒体
56:内腔
61:第1操作部
62:第2操作部
L1:ナット部のねじの軸線
L2:ボルト部のねじの軸線
N:法線ベクトル
Nx:ボルト部の前進方向と平行な成分
Ny:ボルト部の前進方向と垂直な成分
x:ボルト部の前進方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12