(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】噴射装置
(51)【国際特許分類】
E01H 8/10 20060101AFI20230817BHJP
E01B 19/00 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
E01H8/10
E01B19/00 A
(21)【出願番号】P 2019176659
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木上 昭吾
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓也
(72)【発明者】
【氏名】衣笠 有輝
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109269(JP,A)
【文献】特開2001-131849(JP,A)
【文献】特開2012-117201(JP,A)
【文献】国際公開第2015/049879(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03168365(EP,A1)
【文献】特開平06-240605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 8/10
E01B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道分岐部に流体を噴射する噴射部に流体を供給する供給部と、
前記噴射部に供給する流体の圧力を制御する圧力制御部とを備え
、
前記圧力制御部は、昼間の前記圧力よりも夜間の前記圧力を低くさせる
噴射装置。
【請求項2】
軌道分岐部に流体を噴射する噴射部に流体を供給する供給部と、
前記噴射部に供給する流体の圧力を制御する圧力制御部とを備え
、
前記圧力制御部は、前記軌道分岐部が不転換となったときに流体を噴射する事後噴射のときの前記圧力よりも前記軌道分岐部を列車が通過する毎に流体を噴射する予防噴射のときの前記圧力を低くさせる
噴射装置。
【請求項3】
軌道分岐部に流体を噴射する噴射部に流体を供給する供給部と、
前記噴射部に供給する流体の圧力を制御する圧力制御部とを備え
、
前記圧力制御部は、前記軌道分岐部を加熱する加熱装置が動作しているときは前記噴射部に供給する圧力を低圧に変更して協働する
噴射装置。
【請求項4】
前記圧力制御部は、昼間の前記圧力よりも夜間の前記圧力を低くさせる
請求項
2又は
3に記載の噴射装置。
【請求項5】
前記圧力制御部は、前記軌道分岐部が不転換となったときに流体を噴射する事後噴射のときの前記圧力よりも前記軌道分岐部を列車が通過する毎に流体を噴射する予防噴射のときの前記圧力を低くさせる
請求項1又は
3に記載の噴射装置。
【請求項6】
前記圧力制御部は、前記軌道分岐部を加熱する加熱装置が動作しているときは前記噴射部に供給する圧力を低圧に変更して協働する
請求項1
又は2に記載の噴射装置。
【請求項7】
前記圧力制御部は、前記噴射部に供給する流体の圧力を降下させる弁と、
前記弁を駆動させる制御部とを備える
請求項1
~6のいずれか一項に記載の噴射装置。
【請求項8】
前記供給部は、第1圧力の流体を供給する高圧回路と、
前記第1圧力よりも低い第2圧力の流体を供給する低圧回路とを備え、
前記圧力制御部は、前記高圧回路が供給する流体の流量と前記低圧回路が供給する流体の流量とを調整することで前記圧力を変更する
請求項1~
7のいずれか一項に記載の噴射装置。
【請求項9】
前記圧力制御部は、前記噴射部に供給する圧力を調整する調圧弁を備える
請求項1~
8のいずれか一項に記載の噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
降雪のある地域では、軌道に設置された軌道分岐部の基本レールと基本レールの隣りに位置し基本レールに対して接離可能なトングレールとの間に存在する雪等の異物を空気噴射によって除去する噴射装置が設置されている。
【0003】
特許文献1に記載の噴射装置は、トングレールの先端方向に開口を有するノズルを設け、圧縮機によって圧縮された空気をノズルから噴射することで、基本レールとトングレールとの間の雪を吹き飛ばして除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような噴射装置は、空気を噴射するときに大きな噴射音が発生するため、噴射音を低減することが望まれている。なお、空気に限らず水等の流体を噴射する噴射装置においても同様の課題がある。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、噴射音を低減可能な噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する噴射装置は、軌道分岐部に流体を噴射する噴射部に流体を供給する供給部と、前記噴射部に供給する流体の圧力を制御する圧力制御部とを備える。
上記構成によれば、噴射部に供給する流体の圧力を圧力制御部にて降下させることができる。このため、制御可能な圧力範囲の中で、相対的に高い圧力で発生する噴射音を相対的に低い圧力で発生する噴射音まで低減することができる。
【0008】
上記噴射装置について、前記圧力制御部は、前記噴射部に供給する流体の圧力を降下させる弁と、前記弁を駆動させる制御部とを備えることが好ましい。
上記構成によれば、制御部によって弁を駆動させることで噴射部に供給する流体の圧力を降下させることができる。
【0009】
上記噴射装置について、前記圧力制御部は、昼間の前記圧力よりも夜間の前記圧力を低くさせることが好ましい。
夜間は昼間よりも環境音が減ることで流体の噴射音が相対的に目立つおそれがある。そこで、上記構成によれば、夜間に昼間よりも噴射する流体の圧力を低くすることで、流体の噴射音が目立つことを抑制することができる。
【0010】
上記噴射装置について、前記圧力制御部は、前記軌道分岐部が不転換となったときに流体を噴射する事後噴射のときの前記圧力よりも前記軌道分岐部を列車が通過する毎に流体を噴射する予防噴射のときの前記圧力を低くさせることが好ましい。
上記構成によれば、予防噴射のときに事後噴射のときよりも噴射する流体の圧力を低くすることで、大きい噴射音の発生回数を低減することができる。
【0011】
上記噴射装置について、前記供給部は、第1圧力の流体を供給する高圧回路と、前記第1圧力よりも低い第2圧力の流体を供給する低圧回路とを備え、前記圧力制御部は、前記高圧回路が供給する流体の流量と前記低圧回路が供給する流体の流量とを調整することで前記圧力を変更することが好ましい。上記構成によれば、高圧回路と低圧回路とを備え、これら回路の異なる圧力の流量を調整することで流体の圧力を変更することができる。
【0012】
上記噴射装置について、前記圧力制御部は、前記噴射部に供給する圧力を調整する調圧弁を備えることが好ましい。
上記構成によれば、調圧弁を動作させることで供給部の流体の圧力を変更可能であるため、異なる圧力の流体を供給する回路を設けることなく流体の圧力を変更することができる。
【0013】
上記噴射装置について、前記圧力制御部は、前記軌道分岐部を加熱する加熱装置が動作しているときは前記噴射部に供給する圧力を低圧に変更して協働することが好ましい。
上記構成によれば、噴射装置と加熱装置とを組み合わせて動作させることで、噴射装置と加熱装置とが別々に稼働されることで発生する無駄を減らして噴射装置及び加熱装置を効果的に稼働させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、噴射音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】除雪装置の第1の実施形態の概略構成を示すブロック図。
【
図2】同実施形態の除雪装置が設置される軌道分岐部の概略構成を示す図。
【
図3】同実施形態の噴射装置の各噴射における圧力を示す図。
【
図4】除雪装置の第2の実施形態の概略構成を示すブロック図。
【
図5】除雪装置の第3の実施形態の概略構成を示すブロック図。
【
図6】除雪装置の第4の実施形態の概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、
図1~
図5を参照して、噴射装置を備えた除雪装置の第1の実施形態について説明する。
【0017】
図1に示すように、軌道分岐部には、降雪のある地域では、除雪装置である除雪システム1が設置されている。除雪システム1は、軌道分岐部に存在する雪を流体の噴射によって除去する噴射装置2と、軌道分岐部のレールを加熱する加熱装置3とを備えている。ここで、雪には、雪そのものに加え、雪が解けて固まった氷も含む。
【0018】
図2に示すように、軌道分岐部10は、軌道を分岐させるとともに、軌道を転換する部分である。軌道分岐部10は、枕木11に固定されている一対の基本レール12と、基本レール12に対して移動する一対のトングレール13と、トングレール13を移動させる転てつ器14とを備えている。軌道分岐部10は、トングレール13が転てつ器14によって移動されることで軌道を転換する。転てつ器14は、モータによってトングレール13を移動させる電気式である。軌道分岐部10では、軌道分岐部10を列車が通過するときに、基本レール12とトングレール13との乗り移りに伴う振動で列車の床下の雪が落下する。この列車の床下に付着していた雪は固い雪も含む。そして、軌道分岐部10において、基本レール12とトングレール13との間に雪等の異物が存在することで軌道を転換することができないことを不転換という。
【0019】
噴射装置2は、圧縮空気式であって、流体として圧縮空気を噴射することで軌道分岐部10の基本レール12とトングレール13との間に存在する雪を吹き飛ばす装置である。噴射装置2は、基本レール12の側面に設置される配管21と、この配管21の先端にそれぞれ設置されるエアノズル22とを備えている。エアノズル22の開口部は、基本レール12とトングレール13とが密着した状態で基本レール12とトングレール13との間に位置する。エアノズル22の開口部は、トングレール13の先端方向に指向し、雪をトングレール13の先端方向に吹き飛ばす。基本レール12には、配管21とエアノズル22とのセットが複数設置されている。なお、エアノズル22が噴射部に相当する。
【0020】
加熱装置3は、電熱式であるヒータ31を備えている。ヒータ31は、基本レール12の側面に設置され、基本レール12を加熱することで雪や氷を解かす。なお、基本レール12に限らず、トングレール13を加熱してもよい。また、ヒータパネル等を枕木11間に設置して基本レール12やトングレール13を加熱してもよい。ヒータ31は、電熱式に限らず、ガス式であってもよい。
【0021】
図1に示すように、噴射装置2は、一対の基本レール12のうち定位側基本レール12Aの側面に第1配管21Aが設置され、反位側基本レール12Bの側面に第2配管21Bが設置されている。第1配管21Aの先端には、第1エアノズル22Aが設置されている。第1配管21Aには、第1配管21Aを開閉する第1電磁弁24Aが設置されている。第2配管21Bの先端には、第2エアノズル22Bが設置されている。第2配管21Bには、第2配管21Bを開閉する第2電磁弁24Bが設置されている。第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bには、圧縮空気が溜められた空気タンク25が接続されている。空気タンク25と第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bとは、第1供給配管28によって直接接続されている。
【0022】
噴射装置2は、第1供給配管28を介して第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bに供給される第1圧力よりも低い第2圧力の圧縮空気を供給する低圧回路50を備えている。以下では、第1圧力を高圧とし、第2圧力を低圧とする。第1供給配管28、第1電磁弁24A、及び第2電磁弁24Bを含む回路を高圧回路29とする。
【0023】
低圧回路50は、第1供給配管28から分岐して、減圧弁51を経由して、第1配管21A及び第2配管21Bと接続される第2供給配管52を備えている。第2供給配管52は、分岐して第3電磁弁53を介して第1配管21Aに接続され、第4電磁弁54を介して第2配管21Bに接続されている。第3電磁弁53及び第4電磁弁54は、それぞれの配管を開閉する。減圧弁51は、空気タンク25の第1圧力を予め設定した第2圧力に減圧して、第2供給配管52に供給する。なお、減圧弁51の第2圧力は変更可能であってもよい。噴射装置2において、高圧回路29と低圧回路50とは、空気タンク25と第1配管21A及び第2配管21Bとの間において並列に接続されている。よって、これら高圧回路29と低圧回路50とが供給部として機能する。
【0024】
空気タンク25には、空気タンク25の圧力を検出する圧力センサ27が設置されている。コンプレッサ26は、空気タンク25の圧力が閾値以下となると、稼働して圧縮空気を空気タンク25に供給する。すなわち、コンプレッサ26から供給された圧縮空気が空気タンク25に溜められて、空気タンク25に接続された第1電磁弁24A、第2電磁弁24B、第3電磁弁53、及び第4電磁弁54のオンオフ切替によって第1エアノズル22A及び第2エアノズル22Bから空気が噴射される。噴射装置2は、噴射圧、噴射回数、噴射時間を変更することができる。第1電磁弁24Aのみが開くと高圧の第1圧力の圧縮空気が第1エアノズル22Aから噴射される。第2電磁弁24Bのみが開くと高圧の第1圧力の圧縮空気が第2エアノズル22Bから噴射される。第3電磁弁53のみが開くと低圧の第2圧力の圧縮空気が第1エアノズル22Aから噴射される。第4電磁弁54のみが開くと低圧の第2圧力の圧縮空気が第2エアノズル22Bから噴射される。よって、第1電磁弁24A、第2電磁弁24B、第3電磁弁53、及び第4電磁弁54が圧力制御部として機能する。
【0025】
噴射装置2は、圧縮空気の噴射を制御する噴射制御装置20を備えている。噴射制御装置20は、シーケンス制御装置であるプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を備え、ラダープログラムと呼ばれる専用プログラムに従って動作する。PLCは、CPU(Central Processing Unit)及び記憶部を備えている。噴射制御装置20には、圧力センサ27、ポイント位置センサ41、列車検知センサ42、降雪検知センサ43等の入力機器が接続されている。また、噴射制御装置20には、第1電磁弁24A、第2電磁弁24B、第3電磁弁53、第4電磁弁54、コンプレッサ26、圧力センサ27等の出力機器が接続されている。噴射制御装置20は、ラダープログラムによってこれら被制御機器を制御する。噴射制御装置20は、第1電磁弁24A、第2電磁弁24B、第3電磁弁53、及び第4電磁弁54に対してオンオフ制御を行うことで圧縮空気の噴射圧、噴射回数、噴射時間を制御する。なお、噴射制御装置20が圧力制御部及び制御部として機能する。
【0026】
加熱装置3は、一対の基本レール12のうち定位側基本レール12Aの側面に延出方向に沿って第1ヒータ31Aが設置され、反位側基本レール12Bの側面に延出方向に沿って第2ヒータ31Bが設置されている。加熱装置3は、定位側基本レール12Aの温度を検出する第1温度センサ32Aが定位側基本レール12Aに設置され、反位側基本レール12Bの温度を検出する第2温度センサ32Bが反位側基本レール12Bに設置されている。第1温度センサ32A及び第2温度センサ32Bは、検出した温度情報を含む温度信号を出力する。なお、第1温度センサ32A及び第2温度センサ32Bを加熱装置3の構成としたが、噴射装置2の構成としてもよく、除雪システム1の構成であればよい。
【0027】
加熱装置3は、加熱を制御する加熱制御装置30を備えている。加熱制御装置30は、シーケンス制御装置であるプログラマブルロジックコントローラ(PLC)を備え、ラダープログラムと呼ばれる専用プログラムに従って動作する。PLCは、CPU(Central Processing Unit)及び記憶部を備えている。加熱制御装置30には、第1温度センサ32A、第2温度センサ32B等の入力機器が接続されている。また、加熱制御装置30には、第1ヒータ31A、第2ヒータ31B等の出力機器が接続されている。加熱制御装置30は、ラダープログラムによってこれら被制御機器を制御する。加熱制御装置30は、第1ヒータ31A及び第2ヒータ31Bのオンオフ制御を行うことで加熱を制御する。
【0028】
ポイント位置センサ41は、基本レール12の定位と反位との間におけるトングレール13の位置を転てつ器14のモータの電流値に基づいて検出して、位置情報を含む位置信号を出力する。噴射制御装置20は、ポイント位置センサ41から入力された位置信号に基づいて転換したか否かを判定する。例えば、ポイント位置センサ41は、基本レール12とトングレール13との間に雪や氷が存在してトングレール13が移動できないと、移動できていない位置情報を含む位置信号を出力する。軌道分岐部10は、不転換が発生すると、転換を再度行うリトライや、不転換の情報を含む転換信号を運転指令所等に送信する。
【0029】
列車検知センサ42は、例えば超音波センサを備え、列車が通過すると列車通過検知信号を出力する。
降雪検知センサ43は、軌道分岐部10及び軌道分岐部10の周囲に設置されて、検知部に付着する雪の水分量に応じて降雪量を検出して、降雪量を含む降雪信号を出力する。また、降雪検知センサ43は、水分検知方式に限らず、雪が反射した赤外線を検知することで降雪量を検知する赤外線方式であってもよい。噴射制御装置20は、降雪検知センサ43から入力された降雪信号の降雪量の情報を取得する。なお、噴射制御装置20は、軌道分岐部10及び軌道分岐部10の周囲の降雪量に加えて、軌道分岐部10及び軌道分岐部10の周囲の積雪量を取得してもよい。降雪量は、所定時間に降った雪の量であって、現在降っている雪の量を把握することができる。積雪量は、積もっている雪の量であって、現在積もっている雪の量を把握することができる。
【0030】
図3に示すように、噴射制御装置20は、噴射装置2によって「事後噴射」と「予防噴射」と「間欠噴射」とを行う。「事後噴射」は、軌道分岐部10が不転換となったときに、存在する雪や氷を除去する目的で圧縮空気を噴射することである。なお、軌道分岐部10が不転換時にリトライ動作を行うときには、リトライ動作する度に圧縮空気を噴射する「リトライ噴射」を行う。「予防噴射」は、軌道分岐部10を列車が通過したときに雪が落下するおそれがあるため、不転換を予防する目的で列車が通過する毎に圧縮空気を噴射することである。「間欠噴射」は、降雪時に積雪を回避する目的で圧縮空気を一定間隔で噴射することである。また、作業者が軌道分岐部10において、手動で噴射装置2に圧縮空気を噴射させる「手動噴射」がある。噴射制御装置20は、レールの温度及び降雪情報に応じて加熱装置3と協働して軌道分岐部10に雪等が存在しないように動作させる。
【0031】
噴射制御装置20は、「事後噴射、リトライ噴射」及び「手動噴射」のときは、高圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bから噴射させる。すなわち、噴射制御装置20は、第3電磁弁53及び第4電磁弁54を閉じて、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bを開くことで、高圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bから噴射させる。また、「予防噴射」及び「間欠噴射」のときは、低圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとから噴射させる。すなわち、噴射制御装置20は、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bを閉じて、第3電磁弁53及び第4電磁弁54を開くことで、低圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとから噴射させる。
【0032】
図2に示すように、噴射制御装置20は、第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとの両方から同時に噴射せず、第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとの一方から噴射させる。噴射制御装置20は、基本レール12からトングレール13が離れている側の配管21に圧縮空気を供給するように、第1電磁弁24A及び第3電磁弁53又は第2電磁弁24B及び第4電磁弁54をオン制御して開放させる。このように片側噴射とすることで必要となる空気圧又は空気量を抑制することができる。なお、第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとの両方からの同時噴射が必要であれば、空気タンク25の空気圧を必要圧力とすればよい、又は空気量を必要量とすればよい。噴射制御装置20は、圧力センサ27から空気タンク25の圧力値を取得して、圧力値が閾値以下となると、コンプレッサ26を稼働させて圧縮空気を空気タンク25に供給させる。
【0033】
図1に示すように、噴射装置2の構成のうち、第1電磁弁24A、第2電磁弁24B、空気タンク25、コンプレッサ26、圧力センサ27、及び噴射制御装置20を含む構成を、空気源ユニット23とする。空気源ユニット23は、軌道分岐部10に設置される機器を接続することで噴射装置2として機能させることができるユニットである。軌道分岐部10に設置される機器は、第1配管21A、第1エアノズル22A、第2配管21B、第2エアノズル22B、ポイント位置センサ41、列車検知センサ42、降雪検知センサ43等である。加熱装置3の構成である第1ヒータ31A、第2ヒータ31B、第1温度センサ32A、第2温度センサ32Bが接続された加熱制御装置30を、空気源ユニット23に接続することで、噴射装置2の機能に加えて、加熱装置3の機能を有することができる。そして、空気源ユニット23の噴射制御装置20が噴射装置2及び加熱装置3を制御することができる。空気源ユニット23は、第1供給配管28と第1配管21A及び第2配管21Bとを接続するように低圧回路50を追加することで、第2圧力の圧縮空気を第1エアノズル22A及び第2エアノズル22Bから噴射することが可能となる。
【0034】
噴射装置2は、レールの温度及び降雪情報に応じて加熱装置3と協働して軌道分岐部10に雪等が存在しないように動作する。噴射制御装置20と加熱制御装置30とは、接続線100によって通信可能に相互接続されている。噴射制御装置20は、加熱制御装置30から接続線100を介してレールの温度を取得する。一方、加熱制御装置30は、噴射制御装置20から接続線100を介して降雪情報及び不転換情報を取得する。なお、接続線100が通信部に相当し、接続線100に代えて無線通信を可能とする通信部を噴射制御装置20と加熱制御装置30とにそれぞれ備えてもよい。
【0035】
次に、上記のように構成された除雪システム1の作用について説明する。
噴射制御装置20が加熱装置3を制御する。すなわち、噴射制御装置20が加熱装置3の加熱制御装置30に対して指示することで、加熱制御装置30を介して加熱装置3を制御する。
【0036】
噴射制御装置20は、軌道分岐部10のレールの温度及び降雪情報に基づいて噴射装置2と加熱装置3とを制御する。すなわち、基本レール12の温度が比較的高ければ、降雪があったとしても雪はすぐに解けてしまう一方で、基本レール12の温度が比較的低ければ、降雪があると雪は解けずに積もる可能性がある。そのため、噴射制御装置20が基本レール12の温度に基づいて噴射装置2と加熱装置3とを制御すれば、軌道分岐部10の不転換を抑制しつつ、除雪システム1を効果的に稼働させることができる。
【0037】
噴射制御装置20は、軌道分岐部10の降雪量に基づいて噴射装置2の稼働を制御する。噴射制御装置20は、軌道分岐部10が雪により動作が阻害される阻害状態であるか否かを判定する。噴射制御装置20は、軌道分岐部10が阻害状態であると判定したときに噴射装置2に事後噴射を行わせる。噴射制御装置20は、軌道分岐部10を列車が通過する毎に噴射装置2に予防噴射を行わせる。また、噴射制御装置20は、降雪時に積雪を回避する目的で噴射装置2に間欠噴射を行わせる。
【0038】
上記のように、噴射装置2は、低圧回路50を備えることで、高圧の圧縮空気と低圧の圧縮空気とを噴射することが可能であり、予防噴射及び間欠噴射のときに低圧の圧縮空気を噴射することで噴射音を低減することができる。また、軌道分岐部10に存在する雪等の異物を吹き飛ばす必要があるときは従来と同様の高圧の圧縮空気を噴射することで除去性能を低下することなく噴射音を低減することができる。
【0039】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)エアノズル22に供給する圧縮空気の圧力を高圧回路29の第1圧力の圧縮空気と低圧回路50の第2圧力の圧縮空気とを供給することができる。このため、変更可能な圧力範囲の中で、相対的に高い圧力で発生する噴射音を相対的に低い圧力で発生する噴射音まで低減することができる。
【0040】
(2)高圧回路29と低圧回路50とを備え、これら回路の異なる圧力を組み合わせることで圧縮空気の圧力を変更することができる。
(3)圧縮空気の圧力を予防噴射のときに事後噴射のときよりも低くすることで、大きい噴射音の発生回数を低減することができる。
【0041】
(4)噴射装置2と加熱装置3とを組み合わせて動作させることで、噴射装置2と加熱装置3とが別々に稼働されることで発生する無駄を減らして噴射装置2及び加熱装置3を効果的に稼働させることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
以下、
図4を参照して、噴射装置を備えた除雪装置の第2の実施形態について説明する。この実施形態の噴射装置は、供給部及び圧力制御部が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0043】
図4に示すように、噴射装置2は、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bに圧縮空気を供給する第1供給配管28上に高圧回路60と低圧回路70とが並列に設けられている。高圧回路60は、空気タンク25の第1圧力の圧縮空気を供給する。一方、低圧回路70は、高圧回路60の第1圧力よりも低い第2圧力の圧縮空気を供給する。よって、これら高圧回路60と低圧回路70とが供給部として機能する。
【0044】
高圧回路60は、空気タンク25の第1圧力のまま圧縮空気を供給する高圧配管61を備えている。高圧配管61には、高圧配管61を開閉する第5電磁弁62が設けられている。第5電磁弁62が開くと、高圧である第1圧力の圧縮空気が第1供給配管28を介して第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bに供給される。
【0045】
低圧回路70は、空気タンク25の第1圧力を減圧して第2圧力の圧縮空気を供給する低圧配管71を備えている。低圧配管71には、空気タンク25から供給された圧縮空気の第1圧力を予め設定した第2圧力に減圧する減圧弁72と、低圧配管71を開閉する第6電磁弁73とが設けられている。第6電磁弁73が開くと、低圧である第2圧力の圧縮空気が第1供給配管28を介して第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bに供給される。なお、減圧弁72の第2圧力は変更可能であってもよい。
【0046】
噴射装置2は、第1供給配管28に接続された第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bのオンオフ切替によって第1エアノズル22A及び第2エアノズル22Bから圧縮空気が噴射される。噴射装置2は、第5電磁弁62及び第6電磁弁73のオンオフ切替によって高圧と低圧とを切り替えることができる。第5電磁弁62のみが開くと高圧の第1圧力の圧縮空気が第1供給配管28に供給される。第6電磁弁73のみが開くと低圧の第2圧力の圧縮空気が第1供給配管28に供給される。よって、第5電磁弁62及び第6電磁弁73が圧力制御部として機能する。
【0047】
噴射制御装置20には、第5電磁弁62、第6電磁弁73等の出力機器が接続されている。噴射制御装置20は、第1電磁弁24A、第2電磁弁24B、第5電磁弁62、及び第6電磁弁73に対してオンオフ制御を行うことで圧縮空気の噴射圧、噴射回数、噴射時間を制御する。
【0048】
噴射制御装置20は、「事後噴射、リトライ噴射」及び「手動噴射」のときは、高圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bから噴射させる。すなわち、噴射制御装置20は、第5電磁弁62を開いて第6電磁弁73を閉じて、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bを開くことで、高圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bから噴射させる。また、「予防噴射」及び「間欠噴射」のときは、低圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとから噴射させる。すなわち、噴射制御装置20は、第6電磁弁73を開いて第5電磁弁62を閉じて、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bを開くことで、低圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとから噴射させる。
【0049】
上記のように、噴射装置2は、高圧回路60及び低圧回路70を備えることで、高圧の圧縮空気と低圧の圧縮空気とを噴射することが可能であり、予防噴射及び間欠噴射のときに低圧の圧縮空気を噴射することで噴射音を低減することができる。また、軌道分岐部10に存在する雪等の異物を吹き飛ばす必要があるときは従来と同様の高圧の圧縮空気を噴射することで除去性能を低下させることなく噴射音を低減することができる。
【0050】
次に、本実施形態の効果について説明する。なお、第1の実施形態の(2)~(4)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(1)エアノズル22に圧縮空気を供給する第1供給配管28に高圧回路60と低圧回路70とを備えることで、高圧回路60の第1圧力の圧縮空気と低圧回路70の第2圧力の圧縮空気とを供給することができる。このため、変更可能な圧力範囲の中で、相対的に高い圧力で発生する噴射音を相対的に低い圧力で発生する噴射音まで低減することができる。
【0051】
(5)第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bによる第1エアノズル22A及び第2エアノズル22Bから噴射する圧縮空気の制御を変更することなく圧縮空気の圧力を変更することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
以下、
図5を参照して、噴射装置を備えた除雪装置の第3の実施形態について説明する。この実施形態の噴射装置は、供給部及び圧力制御部が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0053】
図5に示すように、噴射装置2は、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bに圧縮空気を供給する第1供給配管28上に調圧弁80を備えている。調圧弁80は、空気タンク25の第1圧力の圧縮空気を調整して、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bに供給する。調圧弁80は、噴射制御装置20によって制御され、高圧の第1圧力及び低圧の第2圧力が設定される。よって、調圧弁80が圧力制御部として機能する。
【0054】
噴射制御装置20は、「事後噴射、リトライ噴射」及び「手動噴射」のときは、高圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bから噴射させる。すなわち、噴射制御装置20は、調圧弁80によって第1圧力の圧縮空気を第1供給配管28に供給させて、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bを開くことで、高圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bから噴射させる。また、「予防噴射」及び「間欠噴射」のときは、低圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとから噴射させる。すなわち、噴射制御装置20は、調圧弁80によって第2圧力の圧縮空気を第1供給配管28に供給させて、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bを開くことで、低圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとから噴射させる。
【0055】
上記のように、噴射装置2は、第1供給配管28に調圧弁80を備えることで、高圧の圧縮空気と低圧の圧縮空気とを噴射することが可能であり、予防噴射及び間欠噴射のときに低圧の圧縮空気を噴射することで噴射音を低減することができる。また、軌道分岐部10に存在する雪等の異物を吹き飛ばす必要があるときは従来と同様の高圧の圧縮空気を噴射することで除去性能を低下することなく噴射音を低減することができる。
【0056】
次に、本実施形態の効果について説明する。なお、第1の実施形態の(2)~(4)、第2の実施形態の(5)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(1)エアノズル22に圧縮空気を供給する第1供給配管28に調圧弁80を追加することで、第1圧力の圧縮空気と第2圧力の圧縮空気とを供給することができる。このため、異なる圧力の圧縮空気を供給する回路を設けることなく流体の圧力を変更することができる。よって、変更可能な圧力範囲の中で、相対的に高い圧力で発生する噴射音を相対的に低い圧力で発生する噴射音まで低減することができる。
【0057】
(第4の実施形態)
以下、
図6を参照して、噴射装置を備えた除雪装置の第4の実施形態について説明する。この実施形態の噴射装置は、供給部が上記第2の実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0058】
図6に示すように、噴射装置2は、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bに圧縮空気を供給する第1供給配管28上に高圧回路160と低圧回路170とが並列に設けられている。高圧回路160は、コンプレッサ26から供給された第1圧力の圧縮空気を供給する。一方、低圧回路170は、高圧回路160の第1圧力よりも低い第2圧力の圧縮空気を供給する。よって、高圧回路160と低圧回路170とが供給部として機能する。
【0059】
高圧回路160の高圧配管61には、コンプレッサ26から供給された第1圧力の圧縮空気を溜める第1タンク63と、高圧配管61を開閉する第5電磁弁62とが設けられている。第5電磁弁62が開くと、高圧である第1圧力の圧縮空気が第1タンク63から第1供給配管28を介して第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bに供給される。
【0060】
低圧回路170の低圧配管71には、コンプレッサ26から供給された第1圧力を予め設定した第2圧力に減圧する減圧弁72と、第2圧力に減圧された圧縮空気を溜める第2タンク74と、低圧配管71を開閉する第6電磁弁73とが設けられている。第6電磁弁73が開くと、低圧である第2圧力の圧縮空気が第2タンク74から第1供給配管28を介して第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bに供給される。なお、減圧弁72の第2圧力は変更可能であってもよい。
【0061】
噴射装置2は、第1供給配管28に接続された第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bのオンオフ切替によって第1エアノズル22A及び第2エアノズル22Bから圧縮空気が噴射される。噴射装置2は、第5電磁弁62及び第6電磁弁73のオンオフ切替によって高圧と低圧とを切り替えることができる。第5電磁弁62のみが開くと高圧の第1圧力の圧縮空気が第1タンク63から第1供給配管28に供給される。第6電磁弁73のみが開くと低圧の第2圧力の圧縮空気が第2タンク74から第1供給配管28に供給される。よって、第5電磁弁62及び第6電磁弁73が圧力制御部として機能する。
【0062】
噴射制御装置20には、第5電磁弁62、第6電磁弁73、第1タンク63の圧力を検出する圧力センサ(図示略)、第2タンク74の圧力を検出する圧力センサ(図示略)等の出力機器が接続されている。噴射制御装置20は、第1電磁弁24A、第2電磁弁24B、第5電磁弁62、及び第6電磁弁73に対してオンオフ制御を行うことで圧縮空気の噴射圧、噴射回数、噴射時間を制御する。
【0063】
噴射制御装置20は、「事後噴射、リトライ噴射」及び「手動噴射」のときは、高圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bから噴射させる。すなわち、噴射制御装置20は、第5電磁弁62を開いて第6電磁弁73を閉じて、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bを開くことで、第1タンク63から供給された高圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bから噴射させる。また、「予防噴射」及び「間欠噴射」のときは、低圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとから噴射させる。すなわち、噴射制御装置20は、第6電磁弁73を開いて第5電磁弁62を閉じて、第1電磁弁24A及び第2電磁弁24Bを開くことで、第2タンク74から供給された低圧の圧縮空気を第1エアノズル22Aと第2エアノズル22Bとから噴射させる。
【0064】
上記のように、噴射装置2は、タンクを含む高圧回路160及び低圧回路170を備えることで、高圧の圧縮空気と低圧の圧縮空気とを噴射することが可能であり、予防噴射及び間欠噴射のときに低圧の圧縮空気を噴射することで噴射音を低減することができる。また、軌道分岐部10に存在する雪等の異物を吹き飛ばす必要があるときは従来と同様の高圧の圧縮空気を噴射することで除去性能を低下させることなく噴射音を低減することができる。
【0065】
次に、本実施形態の効果について説明する。なお、第1の実施形態の(2)~(4)、第2の実施形態の(5)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(1)エアノズル22に圧縮空気を供給する第1供給配管28に高圧回路160と低圧回路170とを備えることで、第1圧力の圧縮空気と第2圧力の圧縮空気とを供給することができる。このため、変更可能な圧力範囲の中で、相対的に高い圧力で発生する噴射音を相対的に低い圧力で発生する噴射音まで低減することができる。
【0066】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0067】
・上記第1,2,4の実施形態では、高圧回路29,60,160が供給する流体と低圧回路50,70,170が供給する流体とを切り替えてエアノズル22に供給する圧力を変更した。しかしながら、高圧回路29,60,160が供給する流体の流量と低圧回路50,70,170が供給する流体の流量とを調整することでエアノズル22に供給する圧力を変更してもよい。
【0068】
・上記各実施形態において、噴射制御装置20が昼間の圧力よりも夜間の圧力を低くさせてもよい。すなわち、噴射制御装置20は、夜間においては、昼間よりも相対的に低い圧力に設定して第1エアノズル22A及び第2エアノズル22Bから圧縮空気を噴射させる。例えば、昼間は「事後噴射」、「予防噴射」、「間欠噴射」、及び「手動噴射」の全てにおいて高圧の圧縮空気を噴射して、夜間は「事後噴射」、「予防噴射」、「間欠噴射」、及び「手動噴射」の全てにおいて低圧の圧縮空気を噴射してもよい。
【0069】
・上記各実施形態において、軌道分岐部10を加熱する加熱装置3が動作しているときは噴射装置2のエアノズル22に供給する圧力を低圧に変更して噴射装置2と加熱装置3とが協働してもよい。このようにすれば、噴射装置2と加熱装置3とが別々に稼働することで発生する無駄を減らして噴射装置2及び加熱装置3を効果的に稼働させることができる。
【0070】
・上記各実施形態において、軌道分岐部10に雪が存在するときに、噴射制御装置20と加熱制御装置30との少なくとも一方が噴射装置2及び加熱装置3を稼働させてもよい。
【0071】
・上記各実施形態では、レールの温度及び降雪量の情報に基づいて噴射装置2及び加熱装置3を稼働させたが、降雪情報又はレール温度のいずれかのみに基づいて噴射装置2及び加熱装置3を稼働させてもよい。
【0072】
・上記各実施形態では、基本レール12の温度に基づいて制御を行ったが、トングレール13の温度に基づいて制御を行ってもよい。また、基本レール12の温度及びトングレール13の温度の両方に基づいて制御を行ってもよい。例えば、基本レール12の温度とトングレール13の温度とを比較して低い方の温度に基づいて制御を行ってもよい。
【0073】
・上記各構成において、
図1及び
図4に示すように、除雪システム1は、軌道分岐部10の周囲の気温を検出して、気温情報を含む気温信号を出力する気温センサ44を備えてもよい。そして、噴射制御装置20及び加熱制御装置30は、レール温度ではなく、外気温でオンオフ制御してもよい。
【0074】
・上記各実施形態では、噴射制御装置20及び加熱制御装置30をPLCとしたが、噴射制御装置20及び加熱制御装置30はPLCに限らず、ラダープログラム以外によって被制御機器を制御する装置としてもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、噴射制御装置20が加熱装置3を制御したが、噴射制御装置20が加熱装置3を制御しなくてもよい。すなわち、加熱制御装置30がレールの温度に基づいて加熱装置3を自ら制御する。また、加熱装置3の構成を省略してもよい。
【0076】
・上記各構成において、軌道分岐部10のレールの温度に基づいて噴射装置2の流体の噴射圧、噴射回数、噴射時間を稼働時に変更してもよい。流体の噴射圧を高めれば吹き飛ばすことができる雪の量や距離を増やすことができ、噴射回数を増やせば吹き飛ばすことができる雪の量や距離を増やすことができ、噴射時間が長くなれば吹き飛ばすことができる雪の量や距離を増やすことができる。
【0077】
・上記各実施形態において、手動噴射では、作業者が軌道分岐部10において、手動で噴射装置2に圧縮空気を噴射させた。しかしながら、作業者による噴射操作を、軌道分岐部10に限らず、遠隔地の監視盤やPC、タブレット端末等で行ってもよい。
【0078】
・上記各実施形態では、単に雪を吹き飛ばして除去するものについて説明したが、噴射する空気を加熱する加熱手段を設けて熱風を噴射してもよい。また、この他にも前述したノズルを備えた配管ユニットを加熱装置として用いて、軌道分岐部10が不転換時に基本レール12とトングレール13との間の加熱に用いてもよい。
【0079】
・上記構成において、エアノズル22及び噴射制御装置20を含まない空気源ユニット23のみを噴射音を低減可能な噴射装置としてもよい。
・噴射装置2は、流体として空気に限らず、水や熱水を噴射してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1…除雪システム、2…噴射装置、3…加熱装置、10…軌道分岐部、11…枕木、12A…転位側基本レール、12B…反位側基本レール、13…トングレール、14…転てつ器、20…噴射制御装置、21A…第1配管、21B…第2配管、22A…第1エアノズル、22B…第2エアノズル、23…空気源ユニット、24A…第1電磁弁、24B…第2電磁弁、25…空気タンク、26…コンプレッサ、27…圧力センサ、28…第1供給配管、29…高圧回路、30…加熱制御装置、31A…第1ヒータ、31B…第2ヒータ、32A…第1温度センサ、32B…第2温度センサ、41…ポイント位置センサ、42…列車検知センサ、43…降雪検知センサ、44…気温センサ、50…低圧回路、51…減圧弁、52…第2供給回路、53…第3電磁弁、54…第4電磁弁、60,160…高圧回路、61…高圧配管、62…第3電磁弁、63…第1タンク、70,170…低圧回路、71…低圧配管、72…減圧弁、73…第4電磁弁、74…第2タンク、80…調圧弁、100…接続線。