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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20230817BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/639 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020084081
(22)【出願日】2020-05-12
(62)【分割の表示】P 2019000797の分割
【原出願日】2019-01-07
(65)【公開番号】P2020181818
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】10 2018 101 431.7
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501016102
【氏名又は名称】ノイトリーク・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ドブラー
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-195142(JP,A)
【文献】特開2000-208209(JP,A)
【文献】特開2007-323905(JP,A)
【文献】実開平02-029176(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64-13/645
H01R 13/62-13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オスコネクタ(2)およびメスコネクタ(3)を有し、電流を伝送するためのコネクタ(1)であって、
前記オスコネクタ(2)がプラグエクステンション外套壁部(5)および電気接点(6)を有するプラグエクステンション(4)を備え、前記電気接点(6)が前記プラグエクステンション外套壁部(5)により囲まれているプラグエクステンション内部空間(7)に設けられ、
前記メスコネクタ(3)がプラグエクステンションレシーバ外套壁部(9)および相手側電気接点(10)を有するプラグエクステンションレシーバ(8)を備え、前記相手側電気接点(10)が前記プラグエクステンションレシーバ外套壁部(9)により囲まれているプラグエクステンションレシーバ内部空間(11)に設けられ、
前記プラグエクステンション外套壁部(5)または前記プラグエクステンションレシーバ外套壁部(9)である一方の外套壁部に少なくとも1つの突出部(12)が設けられ、他方の外套壁部が前記突出部(12)に対応する少なくとも1つの受入スリット(13)を備え、
前記突出部(12)および前記受入スリット(13)の非破損状態において、前記プラグエクステンション(4)が、前記突出部(12)および前記受入スリット(13)に固有の所定の差込位置から、差込方向(14)について前記プラグエクステンションレシーバ(8)に差し込み可能であり、
前記オスコネクタ(2)が前記プラグエクステンション内部空間(7)において機能部位(15)を備え、かつ、前記メスコネクタ(3)が前記プラグエクステンションレシーバ内部空間(11)において相手側機能部位(16)を備え、
前記所定の差込位置とは異なる位置から前記プラグエクステンション(4)が前記プラグエクステンションレシーバ(8)に差し込まれた際、前記電気接点(6)の前記相手側電気接点(10)に対する電気的接触を防止するための係止機構を前記機能部位(15)および前記相手側機能部位(16)が構成しており、
前記プラグエクステンション(4)が、前記所定の差込位置から前記差込方向(14)について完全差込位置を実現するために前記プラグエクステンションレシーバ(8)に対して差し込み可能であり、前記完全差込位置から前記差込方向(14)のまわりに終端位置まで回転可能であり、前記終端位置において前記電気接点(6)が前記相手側電気接点(10)に対して電気的に接触し、
前記受入スリット(13)が設けられている前記一方の外套壁部に、周方向(21)に延在し、かつ、前記受入スリット(13)に連続する少なくとも1つの受入チャンネル(22)が設けられ、前記完全差込位置から前記終端位置まで回転される際に前記突出部(12)が前記受入チャンネル(22)に案内され、
前記メスコネクタ(3)の前記プラグエクステンションレシーバ(8)にシール部材(35)が設けられ、前記完全差込位置において前記プラグエクステンション外套壁部(5)の先端部が前記シール部材(35)に押し付けられ、
前記完全差込位置において、前記オスコネクタ(2)を構成する前記機能部位(15)の停止面(17)が、前記メスコネクタ(3)を構成する前記プラグエクステンションレシーバ内部空間(11)を画定する壁部に当接していることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ(1)において、前記完全差込位置において、前記オスコネクタ(2)を構成するハウジング(29)の先端部と、前記メスコネクタ(3)の前記プラグエクステンションレシーバ外套壁部(9)の後端部と、が当接していることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1または2記載のコネクタ(1)において、前記機能部位(15)が少なくとも1つの停止面(17)を有し、かつ、前記相手側機能部位(16)が少なくとも1つの相手側停止面(18)を有し、
前記係止機構を構成するため、前記所定の差込位置とは異なる位置から前記プラグエクステンション(4)が前記プラグエクステンションレシーバ(8)に差し込まれた際、前記停止面(17)および前記相手側停止面(18)が相互に当接し、前記電気接点(6)の前記相手側電気接点(10)に対する電気的接触を防止するため、前記プラグエクステンション(4)が前記差込方向(14)について前記プラグエクステンションレシーバ(8)に完全に差し込まれることが防止されることを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載のコネクタ(1)において、前記機能部位(15)が前記プラグエクステンション内部空間(7)の中央部に、または前記プラグエクステンション(4)の縦中心軸線(19)に沿って設けられ、付加的または代替的に、前記電気接点(6)の間に設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項に記載のコネクタ(1)において、前記相手側機能部位(16)が前記プラグエクステンションレシーバ内部空間(11)の中央部に、または前記プラグエクステンションレシーバ(8)の縦中心軸線(20)に沿って設けられ、付加的または代替的に、前記相手側電気接点(10)の間に設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載のコネクタ(1)において、前記プラグエクステンション外套壁部(5)またはプラグエクステンションレシーバ外套壁部(9)である一方の外套壁部に、異なる形状を有し、付加的または代替的に、異なる箇所に設けられた複数または4つの突出部(12)が設けられ、他方の外套壁部が、異なる形状を有し、付加的または代替的に、異なる箇所に設けられた複数または4つの受入スリット(13)を備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項に記載のコネクタ(1)において、少なくとも一部の前記電気接点(6)が共通円形経路(23)の上に設けられ、付加的または代替的に、少なくとも一部の相手側電気接点(10)が共通円形経路(24)の上に設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか1項に記載のコネクタ(1)において、前記プラグエクステンション外套壁部(5)の外側面(25)および前記プラグエクステンションレシーバ外套壁部(9)の内側面(26)のうちの少なくとも一方が、前記突出部(12)または前記受入スリット(13)および受入チャネル(22)を除き、少なくとも部分的に円筒形状に形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか1項に記載のコネクタ(1)において、前記機能部位(15)または相手側機能部位(16)である一方の部位が、前記プラグエクステンション(4)が前記所定の差込位置から前記差込方向(14)について前記プラグエクステンションレシーバ(8)に差し込まれた際に他方の部位が入り込む平面視で任意形状またはV字状の少なくとも1つの間隙(27)を有し、前記間隙(27)に入り込んだ当該部分が前記間隙(27)において2つの回転停止部(28)の間で回転可能であることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オスコネクタおよびメスコネクタを有し、電流を伝送するためのコネクタであって、特に次の構成を有するコネクタに関する。オスコネクタがプラグエクステンション外套壁部および電気接点を有するプラグエクステンションを備え、電気接点がプラグエクステンション外套壁部により囲まれているプラグエクステンション内部空間に設けられている。メスコネクタがプラグエクステンションレシーバ外套壁部および相手側電気接点を有するプラグエクステンションレシーバを備え、相手側電気接点がプラグエクステンションレシーバ外套壁部により囲まれているプラグエクステンションレシーバ内部空間に設けられている。プラグエクステンション外套壁部またはプラグエクステンションレシーバ外套壁部である一方の外套壁部に少なくとも1つの突出部が設けられ、他方の外套壁部が突出部に対応する少なくとも1つの受入スリットを備えている。突出部および受入スリットの非破損状態において、プラグエクステンションが、突出部および受入スリットに固有の所定の差込位置から、差込方向について前記プラグエクステンションレシーバに差し込み可能である。
【背景技術】
【0002】
このような電力伝送コネクタは、当該技術分野において公知である(例えば、非特許文献1~3参照)。先行技術によれば、適切な操作に際して、複数の突出部およびそれぞれに対応する受入スリットによって、関連していないコネクタが相互に差し込まれることが防止される。さらに、所定のまたは意図された差込位置においてのみ適切に使用される場合、関連するコネクタが相互に差し込まれることが保証される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】コミュニティデザイン(Gemeinschaftsgesscmacksmustern) 001229827、特に001229827-0001および0006
【文献】コミュニティデザイン 002677641、特に002677641-0001
【文献】コミュニティデザイン 001393623-0001および0002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、実際には、不適切な使用によってだけでなく、突出部および/または受入スリットの摩耗によって、コネクタが意図しない位置および/または組み合わせに差し込まれる場合がある。これにより、電気接点が、予期せぬ相手側電気接点と電気的に接触し、電気的に接続される。これは、コネクタに連結されたケーブルおよびデバイスのみならず、当該ケーブルおよびデバイスまたはコネクタを取り扱うユーザにとっても危険である。
【0005】
本発明の目的は、前記先行技術におけるケーブルに存在する問題、すなわち、関連していないコネクタの連結および/またはコネクタの意図しない位置での予期せぬ連結により、電気接点が相手側電気接点に誤って電気的に接触するという問題を解決する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題を解決するため、本発明は、請求項1記載のコネクタを提案する。
【0007】
本発明のコネクタは、オスコネクタがプラグエクステンション内部空間において機能部位を備え、かつ、メスコネクタがプラグエクステンションレシーバ内部空間において相手側機能部位を備え、所定の差込位置とは異なる位置からプラグエクステンションがプラグエクステンションレシーバに差し込まれた際、電気接点の相手側電気接点に対する電気的接触を防止するための係止機構を機能部位および相手側機能部位が構成していることを特徴とする。
【0008】
オスコネクタのプラグエクステンション内部空間における機能部位およびメスコネクタのプラグエクステンションレシーバ内部空間における相手側機能部位により、オスコネクタの電気接点がメスコネクタの相手側電気接点に誤って電気的に連通かつ接続されることが防止されることにより安全性および信頼性が向上する。本発明のコネクタに係るオスコネクタおよび/またはメスコネクタが、摩耗、摩滅または消耗した場合、突出部および/または受入スリットの損傷または完全な損失が生じ、それ以上安全性が維持されない。しかるに、オスコネクタおよびメスコネクタが固有に定まる差込位置から相互に差し込まれ、機能部位及び相手側機能部位が付加的な安全機構を構成し、これによりオスコネクタおよびメスコネクタが誤って差し込まれた場合に電気接点および相手側電気接点の誤って電気的に接続しない。これは、コネクタが意図的にまたは予期せずに、通常の力をもって互いに間違って差し込まれる場合も同様である。この場合も、電気接点および相手側電気接点の少なくとも誤った電気的な接続は、機能部位および相手側機能部位の相互作用または協働によって防止される。
【0009】
プラグエクステンションにおける突出部および/または受入スリットが、プラグエクステンション内部空間から離間しているプラグエクステンション外套壁部の外表面または外側面に設けられている。その結果、突出部および/または受入スリットはより摩耗しやすくなり、損傷を受けたり完全に除去されたりすることさえある。プラグエクステンション内部空間に機能部位が配置され、かつ、プラグエクステンションレシーバ内部空間に相手側機能部位が配置されることにより、機能部位および相手側機能部位が、対応するプラグエクステンション外套壁部または対応するプラグエクステンションレシーバ外套壁部からの外的な影響、特に摩耗または他の損傷から確実に保護され、電気接点および相手側電気接点の電気的接続が確実に防止されるという利点を有している。電気的接続は、相手側電気接点に対する電気接点の電気的連通(導通)として説明されることに留意されたい。
【0010】
本発明に係るコネクタによれば電力が伝送される。これは、低電力での電気信号伝送および相応の電流および/または電圧での電力伝送であってもよい。したがって、本発明に係るコネクタは、電子データの伝送および電気機器の電源などの電力伝送の両方に使用される。電気エネルギーおよび/または電気信号の伝送のためのコネクタであってもよい。また、これらの任意の組み合わせも可能である。さらに、本発明に係るコネクタは、電流および/または電圧のみを伝送することに限定される必要はない。本発明に係るコネクタにおいて、例えば、光データの伝送等が統合されてもよい。
【0011】
本発明に係るコネクタのオスコネクタおよびメスコネクタの両方が、ケーブルに直接的に接続されているケーブルコネクタであってもよく、デバイスハウジングに取り付けられるコネクタであるいわゆるシャーシコネクタであってもよい。メスコネクタは、ソケットとも呼ばれる。
【0012】
突出部は隆起部とも呼ばれ、受入スリットは凹部またはサグリまたは溝とも呼ばれる。突出部は、プラグエクステンション外套壁部のみならず、プラグエクステンションレシーバ外套壁部にも設けられ、当該外套壁部を越えて突出していてもよい。突出部は各内部空間に向かう内側のみならず、外側に突出していてもよい。受入スリットは、プラグエクステンション外套壁部のみならずプラグエクステンションレシーバ外套壁部にも取り付けられてもよく、またはそれぞれの外套壁部に形成されていてもよい。これらが組み合わせられた形態であってもよい。一の外套壁部に複数の突出部および/または受入スリットが設けられていてもよい。以下に説明する全ての実施形態において、一または複数の突出部だけでなく、一または複数の受入スリットが設けられていてもよい。突出部およびそれに対応する受入スリットは、オスコネクタが、突出部および受入スリットの非損傷状態において、突出部および受入スリットによって固有に定められる差込位置からのみ、差込方向についてプラグエクステンションレシーバに対して差し込まれうる。簡単に言えば、非損傷状態でかつ適切に取り扱われている突出部および受入スリットは、オスコネクタがメスコネクタに誤って差し込まれていないことを保証する。上述のように、突出部および受入スリットの摩耗、摩滅または他の消耗のみならず不適切な取り扱いによって、オスコネクタのプラグエクステンションが、固有に定まる差込位置とは異なる位置からメスコネクタのプラグエクステンションレシーバに差し込まれうる。この場合、本発明に係る機能部位が対応する相手側機能部位と協働して、少なくともオスコネクタをメスコネクタにさらに押し込まれること、さらには電気接点と相手側電気接点が相互に誤って接続されることが防止される。突出部および受入スリットによって固有に定まる差込位置は、固有の所定の差込位置または単に所定の差込位置と呼ばれる。
【0013】
それぞれの突出部に対応する受入スリットは、その外形および姿勢が対応する突出部の形状および位置または姿勢に対応しており、突出部および受入スリットの非損傷状態において適切に使用される場合に、固有の所定の差込位置からのみ挿入が可能になる。
【0014】
相手側電気接点という用語は、これがメスコネクタの電気接点要素であることを明確にするためにのみ使用される。オスコネクタの電気接点という用語も、メスコネクタの相手側電気接点も、それぞれの電気接点要素の数および物理的構成を限定するものではない。これは非常に異なっており、互いに対応するように設計変更されうる。オスコネクタの電気接点の数およびメスコネクタの相手側電気接点の数は変更されてもよい。1、2、3またはそれ以上の個数の電気接点があってもよく、それに対応して1、2、3またはそれ以上の個数の相手側電気接点があってもよい。特に好ましいのは、3つの電気接点とそれに対応する3つの相手側電気接点である。本発明に係るコネクタによれば、一般的にオスコネクタの電気接点の数はメスコネクタの相手側電気接点の数に対応している。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、機能部位が少なくとも1つの停止面を有し、かつ、相手側機能部位が少なくとも1つの相手側停止面を有し、係止機構を構成するため、所定の差込位置とは異なる位置からプラグエクステンションがプラグエクステンションレシーバに差し込まれた際、停止面および相手側停止面が相互に当接し、電気接点の相手側電気接点に対する電気的接触を防止するため、プラグエクステンションが差込方向についてプラグエクステンションレシーバに完全に差し込まれることが防止される。
【0016】
電気接点と相手側電気接点という用語と同様に、機能部位および相手側機能部位という用語、ならびに停止面および相手側停止面という用語が使用される場合、オスコネクタおよびメスコネクタのそれぞれとの言語の関連付けを容易にしかつ統一するために役立つ。これらの用語は、各コネクタの特定の設計および配置について限定するものではない。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、機能部位がプラグエクステンション内部空間の中央部に、またはプラグエクステンションの縦中心軸線に沿って設けられ、好ましくは、電気接点の間に設けられている。相手側機能部位がプラグエクステンションレシーバ内部空間の中央部に、またはプラグエクステンションレシーバの縦中心軸線に沿って設けられ、好ましくは、相手側電気接点の間に設けられている。
【0018】
再度説明されるように、本発明に係るコネクタならびにそのオスコネクタおよびオスコネクタによれば、一の突出部および一の対応する受入スリットのみが各外套壁部に設けられるほか、複数の突出部および複数の受入スリットが設けられていてもよい。プラグエクステンション外套壁部またはプラグエクステンションレシーバ外套壁部である一方の外套壁部に、異なる形状を有し、付加的または代替的に、異なる箇所に設けられた複数または4つの突出部が設けられ、他方の外套壁部が、異なる形状を有し、付加的または代替的に、異なる箇所に設けられた複数または4つの受入スリットを備えていることも本発明の思想の範囲内にある。本発明に係る係止機構を構成し、かつ、その機能を発揮させるため、機能部位および対応する相手側機能部位の両方が様々に異なる形態で形成されてもよい。本発明の他の変形実施形態によれば、機能部位または相手側機能部位である一方の部位が、プラグエクステンションが所定の差込位置から差込方向についてプラグエクステンションレシーバに差し込まれた際に他方の部位が入り込む少なくとも1つの間隙を有している。間隙は機能部位のほか相手側機能部位に形成されてもよい。機能部位または相手側機能部位である他方の部品が、プラグエクステンションが固有の所定の差込位置からプラグエクステンションレシーバに差し込まれる際、対応する当該間隙に入り込むことができる。平面視において、特に差込方向に臨んだ場合、間隙はV字状であってもよい。例えば2つの対向する間隙が設けられていてもよい。間隙または間隙に入り込んだ機能部位または相手側機能部位に相当する部分が、間隙において、好ましくは2つの回転停止部の間で回転可能に設けられている。
【0019】
基本的に、本発明に係るコネクタによれば、電気的接点が相手側電気接点に対して電気的に接続される終端位置を実現するため、プラグエクステンションが固有の所定の差込位置から差込方向についてプラグエクステンションレシーバに直線的に差し込まれる必要がある。本発明の他の実施形態において、プラグエクステンションが、所定の差込位置から差込方向について完全差込位置を実現するためにプラグエクステンションレシーバに対して差し込み可能であり、完全差込位置から差込方向のまわりに終端位置まで回転可能であり、終端位置において電気接点が相手側電気接点に対して電気的に接触する。差込方向は、プラグエクステンションおよびプラグエクステンションレシーバの縦中心軸線と一致するか、またはこれらと同軸である。本発明の当該実施形態では、最初に固有の所定の差込位置から直線的に差し込まれた後、電気接点が相手側電気接点に電気的に接続された終端位置が実現される。当該直線的な挿入により完全差込位置が実現され、そこからプラグエクステンション、好ましくはオスコネクタが全体的に差込方向のまわりに終端位置まで回転される。
【0020】
受入スリットが設けられている一方の外套壁部に、周方向に延在し、かつ、受入スリットに連続する少なくとも1つの受入チャンネルが設けられ、完全差込位置から終端位置まで回転される際に突出部が受入チャンネルに案内されることが好ましい。
【0021】
好ましくは、少なくとも一部の電気接点が共通円形経路の上に設けられ、付加的または代替的に、少なくとも一部の相手側電気接点が共通円形経路の上に設けられている。好ましくは、プラグエクステンション外套壁部の外側面およびプラグエクステンションレシーバ外套壁部の内側面のうちの少なくとも一方が、突出部または受入スリットおよび受入チャネルを除き、少なくとも部分的に円筒形状に形成されている。
【0022】
本発明のさらなる利点および詳細は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るコネクタのオスコネクタの斜視図。
図2】本発明に係るコネクタのオスコネクタの側面図。
図3】本発明に係るコネクタのオスコネクタの正面図。
図4】本発明に係るコネクタのメスコネクタの斜視図。
図5】本発明に係るコネクタのメスコネクタの側面図。
図6】本発明に係るコネクタのメスコネクタの正面図。
図7】オスコネクタおよびメスコネクタが完全差込位置にある状態におけるコネクタの図8の切断線C-Cに沿った縦断面図。
図8図7の切断線A-Aに沿ったコネクタの横断面図。
図9図8の切断線B-Bに沿ったコネクタの横断面図。
図10図8のD部分の拡大図。
図11】電気接点が相手側電気接点と電気的に接触する終端位置におけるコネクタの図12の切断線G-Gに沿った縦断面図。
図12図11の切断線E-Eに沿ったコネクタの横断面図。
図13図11の切断線F-Fに沿ったコネクタの横断面図。
図14図12のH部分の拡大図。
図15】オスコネクタが所定の差込位置とは異なる位置から差し込まれた状態におけるコネクタの図16の切断線K-Kに沿った縦断面図。
図16図15の切断線I-Iに沿ったコネクタの断面図。
図17図15の切断線J-Jに沿ったコネクタの断面図。
図18図16のL部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態ではケーブルコネクタである本発明に係るコネクタ1のオスコネクタ2について、図1は斜視図を示し、図2は側面図を示している。図3は、オスコネクタ2のプラグエクステンション4を臨む正面図を示している。対応するメスコネクタ3は、電気機器のハウジングに取り付けられることが意図された、いわゆるシャーシソケットまたはいわゆるシャーシコネクタとして構成されている。本発明に係るメスコネクタ3も、本発明に必須の構成要素が変更されることなく、本実施形態のオスコネクタ2と同様にケーブルコネクタとして設計されてもよいことはもちろんである。これは逆にオスコネクタ2についても同様に適用される。オスコネクタ2は基本的にシャーシコネクタとして設計されてもよい。本実施形態におけるメスコネクタ3は、既存の方法にしたがって、フランジ33の取り付け穴36によって電気機器のハウジングに対してネジ止めまたは他の方法で固定される。図4はこのメスコネクタ3の斜視図を示し、図5は側面図を示している。図6は、メスコネクタ3またはそのプラグエクステンションレシーバ8のプラグエクステンションレシーバ内部空間11を臨む正面図を示している。
【0025】
オスコネクタ2は、周知のように、プラグエクステンション4が突出するハウジング29を有している。プラグエクステンション4の反対側には、ケーブルグロメット31が設けられ、これによって電気ケーブルが既存技術にしたがってオスコネクタ2に案内され、プラグエクステンション4またはオスコネクタ2の電気接点6に接続される。本実施形態では、オスコネクタ2のハウジング29の外側に、既存技術にしたがって構成された係止機構を解放するための既知のスライド30が設けられている。ハウジング29、ケーブルグロメット31およびスライド30は、最終的に本発明とは無関係であり、ハウジング29およびケーブルグロメット31の内部構造は既存技術においてそれ既知であるように構成される。
【0026】
プラグエクステンション4は、本実施形態ではその外側に突出する突出部12を除いて円筒形状に形成されたプラグエクステンション外套壁部5を有し、円筒ジャケット状の外側面25を有している。本実施形態では、合計4つの突出部12がこの外面25の外方に突出して設けられている。当該4つの突出部12は、それぞれの形状および位置が異なっている。上述のように、突出部12の数は4より多くても少なくてもよく、形状および位置が様々に変更されてもよい。対応する突出部12がメスコネクタ3のプラグエクステンションレシーバ外套壁部9に形成されている場合、対応する受入スリット13がプラグエクステンション外套壁部5に設けられていてもよい。突出部12および受入スリット13の両方が、プラグエクステンション外套壁部5およびプラグエクステンションレシーバ外套壁部9の両方に設けられていてもよい。
【0027】
プラグエクステンション外套壁部5は電気接点6が設けられたプラグエクステンション内部空間7を取り囲んでいる。プラグエクステンション外套壁部5は、本実施形態のように、電気接点6がプラグエクステンション内部空間7に完全に沈んでいるまたは引っ込んでおり、プラグエクステンション外套壁部5を越えない程度の長さまたは高さを有していることが好ましい。図3から、電気接点6がプラグエクステンション内部空間7に沈んで配置されていることがわかる。本実施形態では、これらの電気接点6が、共通円形経路23の上に設けられていることもわかる。本発明に係るプラグエクステンション内部空間7の中央部には、その外側に停止面17を有する機能部位15が設けられている。機能部位15の形状および機能、特にメスコネクタ3の相手側機能部位16との相互作用については、以下でより詳細に説明する。中央部に設けられた機能部位15は、プラグエクステンション4の縦中心軸線19に沿って、かつ、電気接点6の間に配置されている。
【0028】
プラグエクステンションレシーバ8のプラグエクステンションレシーバ外套壁部9は、相手側電気接点10が設けられているプラグエクステンションレシーバ内部空間11を取り囲んでいる。当該相手側電気接点10のすべては、本実施形態では共通円形経路24の上に配置され、プラグエクステンションレシーバ内部空間11に沈められて設けられている。電気接点10に対して電気的に接続されている外部接点34は、ケーブル等を接続する役割を果たし、後部、すなわちフランジ33の反対側でメスコネクタ3のハウジング32を越えて延在している。プラグエクステンションレシーバ内部空間11の中央部には、2つの相手側停止面18を有する本発明に係る相手側機能部位16と、2つの間隙27と回転停止部28と、が設けられている。対応機能部位16がプラグエクステンションレシーバ8の縦中心軸線20に沿って延在している。本実施形態におけるプラグエクステンションレシーバ外套壁部9は、受入スリット13によって分断された円筒形状の内側面26を有する。各受入スリット13には、同様にプラグエクステンションレシーバ外套壁部9に設けられた、内側面26を貫通する受入チャネル22が設けられている。
【0029】
適切な使用に際して、オスコネクタ2がプラグエクステンション4とともに、突出部12および対応する受入スリット13によって定まる差込位置から、差込方向14についてプラグエクステンションレシーバ8に対して差し込まれる。これにより、プラグエクステンション4が差込方向14についてプラグエクステンションレシーバ8に対してさらに差し込まれることで、本実施形態では電気接点6が相手側電気接点10と電気的に連通または接続されていない完全差込位置が実現される。この場合、終端位置を達成するため、プラグエクステンション4は完全差込位置から周方向21に回転され、本実施形態では、電気接点6が相手側電気接点10に電気的に接続される。
【0030】
図7図10には、電気接点6および相手側電気接点10が電気的に接触していない完全差込位置におけるコネクタが示されている。相手側電気接点10は図9において特にわかりやすく示されている。図7図8および図10から、無傷の突出部12および対応する受入スリット13によって定まる差込位置から始まる挿入過程において、プラグエクステンション4の機能部位15の鼻部のそれぞれが相手側機能部位16のV字状の間隙27に入り込み、機能部位15の停止面17が、当該挿入過程において相手側機能部位16の相手側停止面18に対して当接または相互作用していないことがわかる。
【0031】
本実施形態では、コネクタ1には、メスコネクタ3のプラグエクステンションレシーバ8に既知のシール部材35が設けられている。完全差込位置においてプラグエクステンション外套壁部5の先端部がシール部材に押し付けられる。
【0032】
図11図14に示されている終端位置を達成し、電気接点6を相手側電気接点10に対して電気的に接続するため、プラグエクステンション4またはオスコネクタ2の全体が、図7図10に示されている完全差込位置から周方向21に回転される。この際、プラグエクステンション4の突出部12が、プラグエクステンションレシーバ外套壁部9の受入チャネル22に案内される。図11図14に示されている終端位置において、図11および図13において特にわかりやすく示されているように、電気接点6が相手側電気接点10に対して電気的に接続される。なお、図12および図14において、周方向21への当該回転運動によって、機能部位15の鼻部および機能部位15が、相手側機能部位16の間隙27において一方の回転停止部28(図10参照)から他方の回転停止部28(図14参照)まで回転させられる。当該回転停止部28は、周方向21の回転運動の付加的な境界部として用いられるが、必ずしも存在する必要はない。
【0033】
図1図14には、本発明に係るコネクタ1の適切な使用が記載されており、突出部12および対応する受入スリット13は非損傷状態にあり、固有の差込位置を定める。
【0034】
ここまで説明してきたように、突出部12および/または受入スリット13の損傷または摩耗等が生じた場合、これによりまたは不適当な使用によって、固有の所定の差込位置とは異なる位置から始まるプラグエクステンションレシーバ8に対するプラグエクステンション4の挿入過程が実現される。図15図18には、このような場合、本発明に係る機能部位15および本発明に係る相手側機能部位16の協働または相互作用により、電気接点6および相手側電気接点10の電気的連通または電気的接続を防止する係止機構が構成されていることが示されている。電気的に接触する。図15図16および18から、当該挿入過程におけるように、電気接点6および相手側電気接点10の電気的連通または接続の前に、機能部位15の停止面17が相手側機能部位16の相手側停止面18に当接することがよくわかる。機能部位15および相手側機能部位16、または停止面17および相手側停止面18の協働により電気接点6および相手側電気接点10の電気的接続が防止され、プラグエクステンション4が差込方向14についてプラグエクステンションレシーバ8に対して完全に差し込まれえない。これは、図15に示されているように、停止面17が相手側停止面18に当接した際、電気接点6が相手側電気接点10から離間しているように配置され、これにより電気的に接続していない状態が実現される。
【符号の説明】
【0035】
1‥コネクタ、2‥オスコネクタ、3‥メスコネクタ、4‥プラグエクステンション、5‥プラグエクステンション外套壁部、6‥電気接点、7‥プラグエクステンション内部空間、8‥プラグエクステンションレシーバ、9‥プラグエクステンションレシーバ外套壁部、10‥相手側電気接点、11‥プラグエクステンションレシーバ内部空間、12‥突出部、13‥受入スリット、14‥差込方向、15‥機能部位、16‥相手側機能部位、17‥停止面、18‥相手側停止面、19‥縦中心軸線、20‥縦中心軸線、21‥周方向、22‥受入チャネル、23‥共通円形経路、24‥共通円形経路、25‥外面、26‥内面、27‥間隙、28‥回転停止部、29‥ハウジング、30‥スライダ、31‥ケーブルグロメット、32‥ハウジング、33‥フランジ、34‥外部接点、35‥シール部材、36‥取付孔。
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