IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 宏達國際電子股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7333304画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム
<>
  • 特許-画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム 図1
  • 特許-画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム 図2A
  • 特許-画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム 図2B
  • 特許-画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム 図3
  • 特許-画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム 図4
  • 特許-画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム 図5
  • 特許-画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム 図6
  • 特許-画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム 図7A
  • 特許-画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム 図7B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】画像処理方法、画像処理システムおよびコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/174 20170101AFI20230817BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230817BHJP
   G06T 7/136 20170101ALI20230817BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G06T7/174
G06T7/00 616
G06T7/136
A61B6/03 360J
A61B6/03 360P
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020213084
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2021108119
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】62/952,498
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502160992
【氏名又は名称】宏達國際電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】王 浩任
(72)【発明者】
【氏名】張 富傑
(72)【発明者】
【氏名】呉 億澤
【審査官】宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0297659(US,A1)
【文献】特表2017-522912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医用画像を処理する画像処理方法であって、前記医用画像は、シリアル断面画像であり、前記医用画像のそれぞれに垂直である第1軸に沿って配置され、前記医用画像は、第1医用画像および少なくとも1つの隣り合う医用画像を備え、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像は、第1軸に平行な方向に第1医用画像に隣り合い、前記画像処理方法は、
第1医用画像にマークされた第1ラベルの面積を計算するステップであって、第1ラベルは、第1医用画像における第1の疑わしい組織画像に対応する、計算するステップと、
前記第1ラベルの面積が閾値を超えない場合に、前記第1医用画像上の前記第1ラベルを維持するステップと、
前記第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きく、かつ、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像が、重なるラベルでマークされている場合に、前記第1医用画像上の前記第1ラベルを維持するステップであって、
前記重なるラベルは前記少なくとも1つの隣り合う医用画像における疑わしい組織画像に対応し、かつ前記少なくとも1つの隣り合う医用画像上の前記第1ラベルの投影領域に重なり、前記投影領域は、前記第1軸に平行な方向に前記第1ラベルを前記少なくとも1つの隣り合う医用画像上に投影することによって形成される、維持するステップと
前記第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きく、かつ、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像の各々が前記重なるラベルでマークされていない場合に、前記第1医用画像上の前記第1ラベルを削除するステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理方法であって、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像は、第1軸に平行な方向に第1医用画像に隣り合う第2医用画像および第3医用画像を備え、第1医用画像は、第2医用画像と第3医用画像との間にあり、前記画像処理方法は、第2医用画像が前記重なるラベルでマークされているかどうかを判定するステップをさらに含む、画像処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理方法であって、前記第2医用画像が前記重なるラベルでマークされていない場合に、前記画像処理方法は、
前記第3医用画像が前記重なるラベルでマークされているかどうかを判定するステップをさらに含む、画像処理方法。
【請求項4】
請求項2に記載の画像処理方法であって、前記画像処理方法は、
第1ラベルの面積が閾値よりも大きいかどうかを判定するステップをさらに含む、画像処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理方法であって、前記第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きい場合に、前記第2医用画像が前記重なるラベルでマークされているかどうかを判定する動作が行われる、画像処理方法。
【請求項6】
請求項2に記載の画像処理方法であって、前記第2医用画像が前記重なるラベルでマークされている場合、前記第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きく、かつ、前記第3医用画像が前記重なるラベルでマークされているときに、前記第1医用画像上の前記第1ラベルを維持する動作が行われる、画像処理方法。
【請求項7】
請求項1に記載の画像処理方法であって、第1ラベルは、第1の疑わしい組織画像の輪郭に対応する、画像処理方法。
【請求項8】
請求項4に記載の画像処理方法であって、第1ラベルの面積が閾値よりも大きいかどうかを判定する動作の前に、前記画像処理方法は、
第1軸に沿った医用画像の空間分解能に従って前記閾値を決定するステップであって、空間分解能が高いほど、前記閾値は小さく、空間分解能が低いほど、前記閾値は大きい、決定するステップを、さらに含む、画像処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理方法であって、前記閾値は、空間分解能に反比例して変化し、空間分解能は、第1医用画像と第2医用画像との間の垂直距離に反比例して変化する、画像処理方法。
【請求項10】
請求項4に記載の画像処理方法であって、第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きいかどうかを判定する動作の前に、前記画像処理方法は、
感度およびダイス係数に従って閾値を決定するステップであって、感度が高いほど、閾値は高く、ダイス係数が低いほど、閾値は高い、決定するステップを、さらに含み、
感度は、前記医用画像における少なくとも1つの病変組織画像が少なくとも1つのラベルでマークされる確率であり、ダイス係数は、
【数1】
として表され、Dはダイス係数であり、Gは医用画像の全病変組織画像の領域であり、Pは医用画像にマークされた全ラベルの領域である、画像処理方法。
【請求項11】
複数の医用画像を処理する画像処理システムであって、前記医用画像は、シリアル断面画像であり、前記医用画像のそれぞれに垂直である第1軸に沿って配置され、前記医用画像は、第1医用画像および少なくとも1つの隣り合う医用画像を備え、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像は、第1軸に平行な方向に第1医用画像に隣り合い、前記画像処理システムは、
少なくとも1つのプログラムコードを記憶するメモリと、
動作を行うように前記少なくとも1つのプログラムコードを実行するプロセッサと、
を備え、前記動作は、
第1医用画像にマークされた第1ラベルの面積を計算することであって、第1ラベルは、第1医用画像における第1の疑わしい組織画像に対応する、計算することと、
前記第1ラベルの面積が閾値を超えない場合に、前記第1医用画像上の前記第1ラベルを維持することと、
前記第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きく、かつ、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像が、重なるラベルでマークされている場合に、前記第1医用画像上の前記第1ラベルを維持することであって、
前記重なるラベルは前記少なくとも1つの隣り合う医用画像における疑わしい組織画像に対応し、かつ前記少なくとも1つの隣り合う医用画像上の前記第1ラベルの投影領域に重なり、前記投影領域は、前記第1軸に平行な方向に前記第1ラベルを前記少なくとも1つの隣り合う医用画像上に投影することによって形成される、維持することと
前記第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きく、かつ、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像の各々が前記重なるラベルでマークされていない場合に、前記第1医用画像上の前記第1ラベルを削除することと、
を含む、画像処理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の画像処理システムであって、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像は、第1軸に平行な方向に第1医用画像に隣り合う第2医用画像および第3医用画像を備え、第1医用画像は、第2医用画像と第3医用画像との間にあり、前記プロセッサは、
第2医用画像が前記重なるラベルでマークされているかどうかを判定することをさらに行う、画像処理システム。
【請求項13】
請求項12に記載の画像処理システムであって、前記第2医用画像が前記重なるラベルでマークされていない場合に、前記プロセッサは、前記第3医用画像が前記重なるラベルでマークされているかどうかを判定することをさらに行う、画像処理システム。
【請求項14】
請求項12に記載の画像処理システムであって、前記プロセッサは、第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きいかどうかを判定することをさらに行う、画像処理システム。
【請求項15】
請求項14に記載の画像処理システムであって、第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きい場合に前記第2医用画像が前記重なるラベルでマークされているかどうかを判定する動作が行われる、画像処理システム。
【請求項16】
請求項14に記載の画像処理システムであって、第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きいかどうかを判定する動作の前に、前記プロセッサは、
第1軸に沿った医用画像の空間分解能に従って前記閾値を決定することであって、空間分解能が高いほど、前記閾値は小さく、空間分解能が低いほど、前記閾値は大きい、決定することを、さらに行う、画像処理システム。
【請求項17】
請求項16に記載の画像処理システムであって、前記閾値は、空間分解能に反比例して変化し、空間分解能は、第1医用画像と第2医用画像との間の垂直距離に反比例して変化する、画像処理システム。
【請求項18】
コンピュータに複数の医用画像を処理する画像処理方法を実行させるプログラムであって、前記医用画像は、シリアル断面画像であり、前記医用画像のそれぞれに垂直である第1軸に沿って配置され、前記医用画像は、第1医用画像および少なくとも1つの隣り合う医用画像を備え、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像は、第1軸に平行な方向に第1医用画像に隣り合い、前記画像処理方法は、
第1医用画像にマークされた第1ラベルの面積を計算するステップであって、第1ラベルは、第1医用画像における第1の疑わしい組織画像に対応する、計算するステップと、
前記第1ラベルの面積が閾値を超えない場合に、前記第1医用画像上の前記第1ラベルを維持するステップと、
前記第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きく、かつ、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像が、重なるラベルでマークされている場合に、前記第1医用画像上の前記第1ラベルを維持するステップであって、
前記重なるラベルは前記少なくとも1つの隣り合う医用画像における疑わしい組織画像に対応し、かつ前記少なくとも1つの隣り合う医用画像上の前記第1ラベルの投影領域に重なり、前記投影領域は、前記第1軸に平行な方向に前記第1ラベルを前記少なくとも1つの隣り合う医用画像上に投影することによって形成される、維持するステップと
前記第1ラベルの面積が前記閾値よりも大きく、かつ、前記少なくとも1つの隣り合う医用画像の各々が前記重なるラベルでマークされていない場合に、前記第1医用画像上の前記第1ラベルを削除するステップと、
を含む、プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月23日に出願された米国仮特許出願第62/952,498号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、画像処理方法およびシステムに関し、特に、医用画像処理方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
機械学習の技術の開発を受けて、多くのモデル(例えば、オブジェクトセグメンテーションモデル)が、病変組織を識別するのに使用されてきた。しかしながら、病院から提供された医用画像は、病変組織と正常組織(例えば、血管)の両方をマークすることがあり、モデルが高い偽陽性率を伴う結果を生成することがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の態様は、画像処理方法に関する。画像処理方法は、複数のラベルを有する複数の医用画像の第1医用画像の第1ラベルの面積を計算するステップと、第1ラベルの面積が閾値よりも大きいかどうかに基づいて第1判定結果を取得するステップと、第1医用画像に隣り合う医用画像の第2医用画像が、第2医用画像上の第1ラベルの第1投影領域に重なる第2ラベルを含むかどうかに基づいて、第2判定結果を取得するステップと、第1判定結果および第2判定結果に従って第1医用画像上の第1ラベルを選択的に削除するステップとを含む。
【0005】
本開示の別の態様は、画像処理システムに関する。画像処理システムは、メモリとプロセッサとを含む。メモリは、少なくとも1つのプログラムコードを記憶するように構成される。プロセッサは、動作を行うように少なくとも1つのプログラムコードを実行するように構成され、その動作は、複数のラベルを有する複数の医用画像の第1医用画像の第1ラベルの面積を計算することと、第1ラベルの面積が閾値よりも大きいかどうかに基づいて第1判定結果を取得することと、第1医用画像に隣り合う医用画像の第2医用画像が、第2医用画像上の第1ラベルの第1投影領域に重なる第2ラベルを含むかどうかに基づいて、第2判定結果を取得することと、第1判定結果および第2判定結果に従って第1医用画像上の第1ラベルを選択的に削除することとを含む。
【0006】
本開示の別の態様はコンピュータに画像処理方法を実行させるプログラムに関する。像処理方法は、複数のラベルを有する複数の医用画像の第1医用画像の第1ラベルの面積を計算するステップと、第1ラベルの面積が閾値よりも大きいかどうかに基づいて第1判定結果を取得するステップと、第1医用画像に隣り合う医用画像の第2医用画像が、第2医用画像上の第1ラベルの第1投影領域に重なる第2ラベルを含むかどうかに基づいて、第2判定結果を取得するステップと、第1判定結果および第2判定結果に従って第1医用画像上の第1ラベルを選択的に削除するステップとを含む。
【0007】
要約すると、第1医用画像の第1ラベルの面積が閾値よりも大きいかどうかを判定するとともに、第1医用画像に隣り合う第2医用画像が、第1ラベルの投影領域に重なる第2ラベルを含むかどうかを判定することによって、本開示の画像処理システムおよび画像処理方法は、誤ったラベルを削除することができ、ダイス係数が増加するようになっている。換言すれば、偽陽性の確率が減少する。
【0008】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、実施例によるものであり、特許請求される本発明のさらなる説明を提供することが意図されることを、理解されたい。
【0009】
本開示は、以下の添付図面を参照して、実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示のいくつかの実施形態による画像処理システムの模式図である。
図2A】本開示のいくつかの実施形態による画像処理方法のフロー図である。
図2B】本開示のいくつかの実施形態による画像処理方法の動作の1つのフロー図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による医用画像の模式図である。
図4図4A-4Cは、本開示のいくつかの実施形態によるラベルでマークされた医用画像の模式図である。
図5図5A-5Bは、本開示のいくつかの実施形態による隣り合う医用画像のラベルの投影領域を有する医用画像の模式図である。
図6】処理された後の図4Bの医用画像の模式図である。
図7A】本開示のいくつかの実施態様によるダイス係数と直径閾値との間の関係の曲線図である。
図7B】本開示のいくつかの実施形態による感度と直径閾値との間の関係の曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態は、本願の態様をより良く理解するように添付図面を参照して以下で詳細に記載される。しかしながら、提供される実施形態は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、構造的動作の説明は、それらが実行される順序を限定することを意図するものではない。構成要素によって再結合されて同等の機能を生成する任意のデバイスは、本開示によってカバーされる範囲内である。
【0012】
本明細書で使用されるように、「結合された」および「接続された」は、2つ以上の要素が互いに直接的または間接的に物理的または電気的に接触することを示すのに使用されてよく、2つ以上の要素が互いに協働または相互作用することを示すのに使用されてもよい。
【0013】
図1を参照すると、本開示のいくつかの実施形態による画像処理システム100は、メモリ110と、プロセッサ120と、入力/出力(I/O)デバイス130とを含む。プロセッサ120は、メモリ110およびI/Oデバイス130に結合される。そのような配置では、画像処理システム100は、人体の複数の医用画像(図3参照)を処理する機能を提供することができ、偽陽性の確率を低減することができるようになっている。
【0014】
メモリ110は、1つ以上のプログラムコードを記憶するように構成される。プロセッサ120は、1つ以上の入力信号に従ってメモリ110に記憶されたプログラムコードを実行するように構成され、多数の動作(例えば、図2に示す画像処理方法200)を自動的に実行することができるようになっている。
【0015】
いくつかの実施形態では、プロセッサ120は、1つ以上の中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、システム・オン・チップ(SoC)、または他の適切な処理装置によって実施される。メモリ110は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、ハードディスク・ドライブ(HDD)、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD))によって実施される。
【0016】
いくつかの実施形態では、I/Oデバイス130は、ユーザーの操作を入力信号に変換し、入力信号をプロセッサ120に送信するために、キーボード、マウス、タッチスクリーン、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、I/Oデバイス130は、情報またはデータを転送するための通信インターフェース(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース、Bluetooth(登録商標)インターフェース、Wi-Fiインターフェース、イーサネット(登録商標)インターフェース)を含む。いくつかの実施形態では、I/Oデバイス130は、ユーザーの操作に応答する状態を提示するための画面、スピーカ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0017】
図2A-2Bを参照すると、本開示のいくつかの実施形態による画像処理方法200も提供される。画像処理方法200は、図1のプロセッサ120によって実行することができる。しかしながら、本開示は、それに限定されるべきではない。図2Aに示すように、画像処理方法200は、動作S201-S206を含む。
【0018】
図3を参照すると、図3は、ラベルが付されていない複数の医用画像M[1]-M[n]を描写する。動作S201-S211が実行される前に、ユーザーは、I/Oデバイス130を通じて医用画像M[1]-M[n]を入力することができ、医用画像M[1]-M[n]は、プロセッサ120が処理するためにメモリ110に記憶することができる。
【0019】
医用画像M[1]-M[n]は、医用画像システム(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴画像(MRI)、陽電子放出断層撮影(PET)、光干渉断層撮影(OCT))によって生成される。図3に示されるように、医療用画像M[1]-M[n]は、2次元画像であり、所定の高さH、所定の幅Wおよび所定の深さDを有する3次元医療用画像を構成してもよい。例えば、3次元医用画像は、人間の頭部の3次元画像であり、医用画像M[1]-M[n]は、異なる水平レベルにおける人間の頭部の断面画像である。
【0020】
いくつかの実施形態では、医療画像M[1]-M[n]は、第1軸A1に沿った空間分解能を有する(図4A-4C参照)。図4A-4Cに示されるように、第1軸A1(上方を指して医用画像M[2]-M[4]から出る符号によって表される)は、医用画像M[1]-M[n]のそれぞれに垂直である。医用画像M[1]-M[n]の空間分解能は、2つの隣り合う医用画像(例えば、医用画像M[1]およびM[2]、医用画像M[2]およびM[3])間の垂直距離d(図3に示される)によって決定され得る。垂直距離dは、第1軸A1に平行な距離であり、所定の高さHを医用画像M[1]-M[n]の数nで割って算出される。
【0021】
医用画像M[1]-M[n]の空間分解能は垂直距離dに反比例して変化することに、注目すべきである。換言すれば、垂直距離dが短いほど、空間分解能は高くなる。一方、垂直距離dが長いほど、空間分解能は低くなる。
【0022】
動作S201では、プロセッサ120は、医用画像M[1]-M[n]を認識し、医用画像M[1]-M[n]上に複数のラベル(図4A-4Cを参照)をマークする。例えば、図4Bに示されるように、プロセッサ120は、医療画像M[3]から3つの疑わしい組織(斜線で満たされた領域によって表される)を、オブジェクトセグメンテーションモデル(例えば、セマンティックセグメンテーションのU-NetまたはC-LSTM、インスタンスセグメンテーションのMask R-CNN)によって認識する。そして、プロセッサ120は、医用画像M[3]上に、上記の疑わしい組織の輪郭に対応する3つのラベルP1[3]、P2[3]、P3[3]をマークする。同様に、図4Aおよび4Cに示されるように、プロセッサ120は、医用画像M[2]上に1つのラベルP1[2]を、医用画像M[4]上に2つのラベルP1[4]、P2[4]をマークする。
【0023】
いくつかの他の実施形態では、医用画像は、画像処理システム100に入力される前にラベルでマークされている。従って、動作S201は省略される。
【0024】
いくつかの実施形態では、疑わしい組織は、病変組織(例えば、腫瘍、小結節)および正常組織(例えば、血管)を含み得るので、プロセッサ120によってマークされたラベルのいくつかは、偽陽性として分類されるように、正常組織に対応し得る。従って、プロセッサ120は、医用画像M[1]-M[n]上の誤ったラベルを削除するために、以下のステップS202-S206を実行する。
【0025】
動作S202では、プロセッサ120は、医用画像の第1医用画像の少なくとも1つの第1ラベルの面積を計算する。医用画像M[3]の例(図4Bに示される)では、プロセッサ120は、ラベルP1[3]によって囲まれている表面の面積を計算する。同様に、プロセッサ120は、ラベルP2[3]によって囲まれている表面の面積と、ラベルP3[3]によって囲まれている表面の面積とを計算する。
【0026】
動作S203では、プロセッサ120は、医用画像M[1]-M[n]の空間分解能に応じて閾値を決定する。例えば、空間分解能が高いほど、閾値(例えば、πm )は小さくなる。一方、空間分解能が低いほど、閾値(例えば、100πm )は大きくなる。換言すれば、閾値は空間分解能に反比例して変化する。閾値と空間分解能との関係については、後述する。
【0027】
動作S204では、プロセッサ120は、少なくとも1つの第1ラベルの面積が閾値よりも大きいかを判定して第1判定結果を取得し、第1判定結果に応じて動作S205または動作S206を選択的に実行する。具体的には、プロセッサ120は、ラベルP1[3]-P3[3]のそれぞれの上記で計算された面積を閾値と比較する。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1判定結果は、ラベルP2[3]の面積が閾値以下であることを示し、従って、プロセッサ120は、動作S205を実行する。動作S205では、第1判定結果は、ラベルP2[3]の面積が閾値を超えないことを示しているので、ラベルP2[3]に対応する疑わしい組織は、病変組織(例えば、体積の小さい腫瘍)と考えられ得る。従って、プロセッサ120は、ラベルP2[3]を削除しない(または維持する)。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1判定結果は、ラベルP1[3](またはラベルP3[3])の面積が閾値よりも大きいことを示し、従って、プロセッサ120は、動作S206を実行する。動作S206では、第1の判定結果は、ラベルP1[3](またはラベルP3[3])の面積が閾値よりも大きいことを示しているので、ラベルP1[3](またはラベルP3[3])に対応する疑わしい組織は、病変組織または正常組織であることが依然として疑われる。従って、プロセッサ120は、第1医用画像に隣り合う少なくとも1つの医用画像(例えば、医用画像M[2]、医用画像M[4])が、第1ラベル(例えば、ラベルP1[3]、ラベルP3[3])の投影領域に重なる少なくとも1つのラベルを含むか否かをさらに判定する。
【0030】
図2Bに示されるように、動作S206は、動作S207-S211を含む。動作S207では、プロセッサ120は、第2医用画像が、第2医用画像上の第1ラベルの投影領域に重なる第2ラベルを含むかを判定する。そのような方法で、プロセッサ120は、第2判定結果を取得し、第2判定結果に応じて動作S208または動作S209を選択的に実行する。
【0031】
図5Aおよび5Bを参照すると、図5Aおよび5Bは、2つの隣り合う医用画像上に形成される第1医用画像のラベルP1[3]-P3[3]の投影領域を描写する。ラベルP1[3]の例では、ラベルP1[3]は、第1軸A1と平行な方向に投影され、医用画像M[2]P上に投影領域PJ1[32]、および医用画像M[4]P上に投影領域PJ1[34]を形成するようになっている。同様に、医用画像M[3]のラベルP2[3]、P3[3]を投影してよく、医用画像M[2]P上に投影領域PJ2[32]、PJ3[32]、および医用画像M[4]P上に投影領域PJ2[34]、PJ3[34]を形成する。図5(a)に示されるように、投影領域PJ1[32]は、医用画像M[2]P上のラベルP1[2]と重なり、重複領域PO1[2](黒と白の四角で塗りつぶされた領域で表される)が生成されるようになっている。図5(b)に示されるように、投影領域PJ1[34]は、医用画像M[4]P上のラベルP1[4]と重なり、重複領域PO1[4](黒と白の四角で塗りつぶされた領域で表される)が生成されるようになっている。
【0032】
ラベルP1[3]に関して、いくつかの実施形態では、プロセッサ120は、医用画像M[2]Pが、ラベルP1[3]の投影領域PJ1[32]に重なるラベルP1[2]を含むと判定し、動作S208を実行し得る。いくつかの他の実施形態では、プロセッサ120は、医用画像M[4]Pが、ラベルP1[3]の投影領域PJ1[34]に重なるラベルP1[4]を含むと判定し、動作S208を実行し得る。
【0033】
動作S208では、第2判定結果は、第2医用画像(例えば、医用画像M[2]P、医用画像M[4]P)が第1ラベル(例えば、ラベルP1[3])の投影領域(例えば、投影領域PJ1[32]、投影領域PJ1[34])に重なる第2ラベル(例えば、ラベルP1[2]、ラベルP1[4])を含むことを示しているので、ラベルP1[3]に対応する疑わしい組織は、病変組織(例えば、体積の大きい腫瘍)と考えられる。従って、プロセッサ120は、ラベルP1[3]を削除しない(または維持する)。
【0034】
ラベルP3[3]に関して、いくつかの実施形態では、プロセッサ120は、医用画像M[2]Pが、ラベルP3[3]の投影領域PJ3[32]に重なるラベルを含まないと判定し、動作S209を実行し得る。いくつかの他の実施形態では、プロセッサ120は、医用画像M[4]Pが、ラベルP3[3]の投影領域PJ3[34]に重なるラベルを含まないと判定し、動作S209を実行し得る。
【0035】
動作S209では、第2判定結果は、第2医用画像(例えば、医用画像M[2]P、医用画像M[4]P)が、第1ラベル(例えば、ラベルP3[3])の投影領域(例えば、投影領域PJ3[32]、投影領域PJ3[34])に重なる第2ラベルを含まないことを示しているので、ラベルP3[3]に対応する疑わしい組織は、依然として病変組織または正常組織であると疑われる。従って、プロセッサ120は、第3医用画像が、第1ラベルの別の投影領域に重なる第3ラベルを含むか否かをさらに判定する。
【0036】
いくつかの実施形態では、プロセッサ120は、医用画像M[2]P(第2医用画像と見なされる)が、第1ラベルの投影領域に重なる第2ラベルを含まないと判定するだけでなく、医用画像M[4]P(第3医用画像と見なされる)が、第1ラベルの別の投影領域に重なる第3ラベルを含むと判定し、動作S210を実行する。いくつかの他の実施形態では、プロセッサ120は、医用画像M[4]P(第2医用画像と見なされる)が、第1ラベルの投影領域に重なる第2のラベルを含まないと判定するだけでなく、医用画像M[2]P(第3医用画像と見なされる)が、第1ラベルの別の投影領域に重なる第3ラベルを含むと判定し、動作S210を実行する。
【0037】
動作S210では、第3判定結果は、第3医用画像(例えば、医用画像M[2]P、医用画像M[4]P)が、第1ラベルの別の投影領域に重なる第3ラベルを含むことを示すので、第1ラベルに対応する疑わしい組織は、病変組織(例えば、体積の大きい腫瘍)と考えられる。従って、プロセッサ120は、第1ラベルを削除しない(または維持する)。
【0038】
手短に言えば、プロセッサ120は、少なくとも1つの隣り合う医用画像が、第1ラベルの投影領域に重なる少なくとも1つのラベルを含むときに、第1ラベルを維持する。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、プロセッサ120は、2つの隣り合う医用画像(例えば、医用画像M[2]PおよびM[4]P)が、2つの隣り合う医用画像上の第1ラベルの2つの投影領域にそれぞれ重なる第2ラベルおよび第3ラベルを含む場合に、第1ラベルを維持し得る。
【0039】
ラベルP3[3]を決定する例(図5Aおよび5B参照)では、プロセッサ120は、医用画像M[2]Pが、ラベルP3[3]の投影領域PJ3[32]に重なるラベルを含まないと判定し、医用画像M[4]Pが、ラベルP3[3]の他の投影領域PJ3[34]に重なるラベルを含まないと判定して、動作S211を実行する。
【0040】
動作S211では、第3判定結果は、第3医用画像(例えば、医用画像M[2]P、医用画像M[4]P)が、第1ラベル(例えば、ラベルP3[3])の別の投影領域(例えば、投影領域PJ3[32]、投影領域PJ3[34])に重なる第3ラベルを含まないということであるため、ラベルP3[3]に対応する疑わしい組織は、正常組織と考えられる(病変組織は、通常球状であり、まれに平坦であるため)。従って、プロセッサ120は、ラベルP3[3]を削除する。
【0041】
図6を参照すると、動作S202-S211を実行した後に、プロセッサ120は、処理済み医用画像M[3]Dを生成し、医用画像M[4]を処理する。いくつかの実施形態では、プロセッサ120は、誤ったラベルを削除するために、未処理の医用画像M[1]-M[n]を連続的に処理する。
【0042】
いくつかの実施形態では、医用画像M[1]またはM[n]を処理するときに、プロセッサ120は、医用画像M[1]またはM[n]に隣り合う1つの医用画像M[2]またはM[n-1]を判定するだけでよい。従って、医用画像M[2]またはM[n-1]が、医用画像M[1]またはM[n]の第1ラベルの投影領域に重なる第2のラベルを含むときに、プロセッサ120は、第1ラベルを維持する。医用画像M[2]またはM[n-1]が、医用画像M[1]またはM[n]の第1ラベルの投影領域に重なる第2ラベルを含まないときに、プロセッサ120は、第1ラベルを削除する。
【0043】
図7A-7Bを参照すると、図7Aは、ダイス係数と直径閾値との関係を描写し、図7Bは、感度と直径閾値との関係を描写する。ダイス係数は、異なるセット(例えば、病変組織の第1セット(熟練した医師によって識別される)とラベルの第2セット(オブジェクトセグメンテーションモデルによって認識される))の類似性を比較するのに使用されることができる。基本的に、ダイス係数が高いほど、偽陽性の確率は低くなる。感度は、病変組織がラベルでマークされる確率(すなわち、真陽性の確率)である。閾値は、直径閾値を有する円形表面の面積によって定義され得る。例えば、直径閾値が10mmの場合、閾値は25πm である。いくつかの実施形態では、ダイス係数および感度は、以下の式(1)および(2)のように表すことができる
【0044】
【数1】
および
【0045】
【数2】
【0046】
ここで、Dはダイス係数であり、Sは感度であり、Gは医用画像M[1]-M[n]の実際の病変組織の領域であり、Pは医用画像M[1]-M[n]上のラベルの領域である。
【0047】
誤ったラベルを削除する前は、ダイス係数は、実質的に56.82%である(図7Aに示される破線参照)。感度は、実質的に84.27%である(図7Bに示される破線参照)。動作S202-S211を実行して誤ったラベルを削除した後に、直径閾値の長さに応じて、ダイス係数を62.05%から69.65%までの範囲(図7Aに示される実線参照)で変化させてよい。感度は、直径閾値の長さに応じて、79.97%から84.27%までの範囲(図7Bに示される実線参照)で変化させてよい。図7Aおよび7Bに示されるように、直径閾値が10mmのときに、ダイス係数が5.23%増加し、感度は変化しない。直径閾値が1mmのときに、ダイス係数は12.83%増加し、感度はわずかに4.3%低下する(動作S202-S211を実行した後に感度を増加させることができないため)。
【0048】
上述したように、閾値は、医用画像M[1]-M[n]の空間分解能に応じて決定される。また、閾値は、感度およびダイス係数の要望に応じて決定される。高度のダイス係数が望まれる場合に、より多くの誤ったラベルを削除するために(換言すれば、ダイス係数を著しく増加させるために)、閾値を減少させるべきである(例えば、直径閾値を1mmとするべきである)。対照的に、高度の感度が望まれる場合に、感度を維持しながら誤ったラベルを削除するために(換言すれば、ダイス係数をわずかに増加させるために)、閾値を増加させるべきである(例えば、直径閾値を10mmとするべきである)。
【0049】
要約すると、第1医用画像の第1ラベルの面積が閾値よりも大きいかどうかを判定するとともに、第1医用画像に隣り合う第2医用画像が、第1ラベルの投影領域に重なる第2ラベルを含むかどうかを判定することによって、本開示の画像処理システム100および画像処理方法200は、誤ったラベルを削除することができ、ダイス係数が増加するようになっている。換言すれば、偽陽性の確率が減少する。
【0050】
情報流通の方法は、フロッピー・ディスケット、CD-ROM、ハードドライブ、または任意の他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体などの、有形媒体で具体化されたプログラムコード(すなわち、実行可能命令)の形態をとってよく、プログラムコードがコンピュータにロードされて実行されると、コンピュータは、それによって方法を実行する装置になる。方法は、電気配線またはケーブルなどの、何らかの伝送媒体によって、光ファイバを通じて、または任意の他の伝送形態を介して、伝送されるプログラムコードの形態で具体化されてもよく、プログラムコードがコンピュータに受信されてロードされて実行されると、コンピュータは、開示された方法を実行する装置になる。汎用プロセッサ上で実施されると、プログラムコードは、特定用途向け論理回路に類似して動作する固有の装置を提供するように、プロセッサと結合する。
【0051】
本開示は、その特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明されたが、他の実施形態も可能である。従って、添付の「特許請求の範囲」の趣旨および範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本開示の構造に様々な修正および変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。上記に鑑みて、本発明は、以下の「特許請求の範囲」内に入る限り、本発明の修正および変更をカバーすることが意図される。



図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B