(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】照明制御回路、照明設備及び方法
(51)【国際特許分類】
H05B 45/345 20200101AFI20230817BHJP
H05B 45/355 20200101ALI20230817BHJP
H05B 45/357 20200101ALI20230817BHJP
H05B 45/36 20200101ALI20230817BHJP
【FI】
H05B45/345
H05B45/355
H05B45/357
H05B45/36
(21)【出願番号】P 2020533328
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 AU2018050915
(87)【国際公開番号】W WO2019040978
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520069796
【氏名又は名称】トレストト プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マジェウスキー ドナット
(72)【発明者】
【氏名】マジェウスキー シェーン
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084566(JP,A)
【文献】特開平11-307278(JP,A)
【文献】特開2016-081684(JP,A)
【文献】特開平04-169342(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0030192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
B60Q 1/00-1/56
3/00-3/88
9/00-11/00
F21P 1/00-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷となるLEDランプユニットに一定の直流電流を供給するための制御回路であって、前記回路は、AC主電源へ接続するための、供給電圧
のフリッカ変動及び過渡的変動を伴うAC入力(A、N)と、前記LEDランプユニット(19)へ接続するための一対のランプ出力と、前記AC入力から電力供給され、かつ前記ランプ出力に直流電圧と前記一定の直流電流を供給する全波ブリッジ整流回路(20、200)とを含み、前記AC入力と前記整流回路との間にAC制御回路が配置され、該AC制御回路は、該AC制御回路から前記整流回路
へ流れるAC電流の大きさの変動を減少させて前記一定の直流電流の対応する変動を減少させるものであり、前記AC制御回路は、コンデンサ(C1、C10,Cr)と,
誘導部品(L2、T2、T10、Tr)のインダクタ配線を有し、前記インダクタ配線は、動作中に
少なくともその一部が少なくとも部分的に飽和される透磁性コアを有し、
前記飽和は鉄共振によりもたらされ、前記コンデンサと前記整流回路(20、200)と前記LEDランプユニット(19)とは、前記鉄共振により制御される負荷電流を通すように接続され、前記鉄共振は前記負荷電流に依存する
ことを特徴とする、制御回路。
【請求項2】
前記コンデンサ(C1、C10、Cr)は、前記鉄共振のための共振リアクタンス及び前記一定の直流電流のための限流インピーダンスの両方を含むことを特徴とする、請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記AC主電源は、3相電源(P1、P2、P3)を含み、少なくとも1つの調光スイッチ(S1)が前記3相電源の対応する相(P3)を
切断することを特徴とする、請求項
1又は2に記載の制御回路。
【請求項4】
請求項1~請求項
3のいずれか1項に記載の制御回路により一定の直流電流を供給されるLEDランプ器具(19)を含むことを特徴とする、照明設備。
【請求項5】
AC主電源(A、N)により電力供給され、HIDランプ器具、安定器及び関連した制御装置を含む高輝度放電(HID)ランプ設備を、請求項13に記載のLEDランプ設備に変換する方法であって、
前記HIDランプ器具を前記LEDランプ器具(19)に置換するステップと、
前記安定器及び前記関連した制御装置を、入力及び出力を有する整流回路(20、200)に置換するステップと、
前記整流回路の前記出力を前記LEDランプ器具に接続するステップと、
前記AC制御回路を前記AC主電源と前記整流回路との間に配置するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明に関し、特定的には、街路照明又はスタジアム照明のような屋外照明に関する。本発明はまた、屋内証明(ハイベイなど)にも関する。現在に至るまで、そうした照明は、高輝度放電(HID)ランプを用いて行われてきた。
【背景技術】
【0002】
HIDランプは、本質的に、ACデバイスであり、負抵抗特性を有する。その結果、電力はAC主電源により供給され、安定器つまりチョークがランプと直列接続され、過電流によるランプの損傷を防止する。1000Wのハロゲン化金属などの典型的なHIDランプは、750Vピークの起動電圧、260Vの動作電圧、及び4Aの動作電流を有して約1000Wのランプ出力及び100,000ルーメンの光出力を与える。
【0003】
近年、1つ又はそれ以上の発光ダイオード(LED)を有するランプが、白熱電球、及び蛍光灯などの低輝度放電ランプに取って代わってきた。そうしたLEDの出力能力は増大しているため、LEDは、相当の出力(例えば、1kWを上回る)が必要とされる、街路照明及びスタジアム照明などの屋外照明で使用されている。
【0004】
明らかに、「ダイオード」という語が意味するように、LEDは、DC(つまり一方向電流)デバイスである。さらに、LEDは、正抵抗特性を有する(LEDを流れる電流により抵抗が変化する)。DCデバイスのように、LEDがAC主電源から電力供給される場合、通常、主電源により電力供給される何らかの整流器があり、LEDは(ドライバ又は制御回路と共に)、整流器の出力により電力供給される。結果として、LEDランプ用のDC制御回路は、HIDランプ用のAC制御回路とは完全に異なる。
【0005】
高出力LEDの一例は、名目電圧が6V、名目電流が2.1Aである。しかしながら、LEDは、電流を最大4.8Aとすることができる。LEDランプ器具は、典型的には、直列接続された24個のそうしたLEDを含むことができる。そうしたLEDランプ器具は、150Vの動作電圧、及び2.1Aの名目動作電流で、ランプ出力が約315W、光出力が30,000ルーメンである。場合によっては、整合LEDを並列接続して、合計電流を共有する。
【0006】
高出力LEDの別の例は、1つのストリングに36個のLEDを有し、名目電圧225V、名目電流2.1A、名目ワット数475W、及び光出力45,000ルーメンを有する。
【0007】
通常、何らかの種類の電子ドライバの形態の制御回路(定電流回路及び/又は定電圧回路のいずれか)により、LED電流をその定格限度内に維持する必要がある。この制御回路は、整流器とLEDとの間に接続され、その最も簡単な形態は、単一抵抗器である。さらに、整流器の出力は、許容できないリップルを有することがあり、従って、1つ又はそれ以上のコンデンサを含むフィルタを、整流器とLEDとの間に接続することができる。
【0008】
調光などの更に別の何らかの制御機能が必要とされる場合、これは、整流器とLEDとの間に接続された制御回路により実行される。例えば、パルス幅変調(PWM)を用いてLEDの輝度を制御することが多い。従って、PWM変調器の形態の制御回路が、整流器とLEDとの間に接続される。
【0009】
上述の従来技術に関連する特定の問題は、ドライバつまり制御回路が、通常、高レベルの容量を有する1つ又はそれ以上の電解コンデンサを含むことである。このことは、コンデンサが、その動作電圧に達するために大量の電荷を必要とするので、起動時の初期過渡電流が非常に高くなる結果を伴う。本発明に想到したのち行った従来技術の新規性調査により特許文献1(Schijffelen)が開示された。全ての制御は、整流器とLEDのストリングとの間で実行される。
【0010】
さらに、高電圧半導体は非常に高価である。その結果、設計者は、多くの場合、経済的理由から、より低電圧でより安価な半導体を組み込む複数のドライバシステムを使用せざるを得ない。複数のドライバシステムは、制御配線が増え、複雑さが増すため、動作時に回路故障の可能性が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の起源は、LEDランプの代替的な制御構成を採用することにより、そうした問題を回避したいと願うことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によると、LEDランプユニットのための制御回路が開示され、この回路は、AC主電源へ接続するためのAC入力と、LEDランプユニットへ接続するための一対のランプ出力と、AC入力から電力供給され、かつランプ出力に電力供給する整流回路とを含み、制御回路は、AC入力と整流回路との間に配置される。
【0014】
本発明の第2の態様によると、整流器により電力供給されるLEDランプ器具を含む照明設備が開示され、この整流器は、AC主電源により電力供給され、制御回路は、整流器とAC主電源との間に配置される。
【0015】
本発明の別の態様によると、AC主電源により電力供給され、HIDランプ器具、安定器及び関連した制御装置を含む高輝度放電(HID)ランプ設備を、LEDランプ器具を含み、該電源により電力供給されるLEDランプ設備に変換する方法が提供され、この方法は、
HIDランプ器具をLEDランプ器具に置換するステップと、
安定器及び関連した制御装置を、入力及び出力を有する整流器に置換するステップと、
整流器の出力をLEDランプ器具に接続するステップと、
制御回路をAC主電源と整流器の入力との間に配置するステップと、
を含む。
【0016】
上記の方法の具体的利点は、従前のHID設備用に使用した既存の配線及び制御装置ハウジングの使用を可能にするため、簡単で費用対効果が高い変換プロセスをもたらすことである。
【0017】
制御回路の種々の形態が、上記の変形として開示され、ここでAC主電源は3相電源である。
ここで、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を単なる例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】LEDランプ用の電子ドライバを示す従来技術の回路である。
【
図2】第1の実施形態の単一のインダクタ制御回路、並びに随意的なフィルタコンデンサ及び随意的な力率補正コンデンサを用いるLEDランプの動作についての回路図である。
【
図3】電流制御を改善するため、
図2の回路図を修正したものである。
【
図4】高漏れリアクタンス変圧器を組み込む第3の実施形態の回路図である。
【
図5】絶縁型定電流変圧器を組み込む第4の実施形態の回路図である。
【
図6】
図2及び
図3の回路の組み合わせである第5の実施形態の回路図である。
【
図9】調光機能を組み込む第7の実施形態の回路図である。
【
図11】
図3の回路の3相バージョンである第9の実施形態の回路図である。
【
図12】
図4の回路の3相バージョンである第10の実施形態の回路図である。
【
図14】制御回路に鉄レギュレータを組み込む第11の実施形態の回路図である。
【
図15】
図14の回路を3相に修正した第12の実施形態の回路図である。
【
図16】単相二重整流器回路である更に別の実施形態の回路図である。
【
図17】分流飽和インダクタを有する更に別の単相回路である。
【
図18】
図17の回路の3相に修正した別の実施形態の回路図である。
【
図19】オートトランスを組み込む単相の実施形態である。
【
図19A】
図19の回路について、より一般的に作成することができる変形を示す。
【
図20】オートトランスを組み込む単相の実施形態である。
【
図20A】
図20の回路について、より一般的に作成することができる変形を示す。
【
図21】二重出力巻線を有する絶縁型高漏れ変圧器を組み込む単相回路である。
【
図22】二重出力巻線を有する絶縁型高漏れ変圧器を組み込む単相回路である。
【
図23】二重出力巻線を有する絶縁型高漏れ変圧器を組み込む単相回路である。
【
図24】二重出力巻線を有する絶縁型高漏れ変圧器を組み込む単相回路である。
【
図26】単一の二次巻線を有する単相定電流変圧器である。
【
図27】2つの二次巻線を有する別の単相定電流変圧器である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に見られるように、従来技術のLEDランプ回路は、AC主電源により電力供給される変圧器11、及び必要なDC電圧を供給する全波ブリッジ整流器20の形を取る。整流器20は、4つのレギュラーダイオード21を含む。LEDランプ19は、発光ダイオード18のストリングの形態を取る。
【0020】
主電源電圧が変動するランプ電流を制御するために、抵抗器R1及びR2、トランジスタQ1、及び制御電圧の形態の制御回路が提供される。調光を必要としない制御電圧は、逆バイアスツェナーダイオードの形を取ることができる。制御電圧は、トランジスタQ1のベースエミッタ電圧及び抵抗器R1にわたる電圧に等しい。ベースエミッタ電圧は、トランジスタを流れるコレクタエミッタ電流に伴って著しく変化しないので、これは抵抗器R1にわたる電圧が略一定であることを意味する。従って、ランプ19を通る電流は略一定である。
【0021】
ランプ19が調光される場合、制御電圧自体は、制御電圧の調整を可能にする更に別の調光器設定回路により調整可能である。そのため、ポール又はタワーの上部に配置されたランプ19及びその関連回路は、4本の配線によって回路の残りに接続される。
【0022】
ここで
図2を参照すると、ランプ19は、既述のように、直列接続された一連の発光ダイオード18で構成される。ランプ19は、全波整流のために従来の方法で接続された4つのレギュラーダイオード21からなる全波ブリッジ(FWB)整流器20に直接接続される。整流器20は、活線端子A及び中性端子Nを有するAC主電源によって電力供給される。鉄芯インダクタ23は、好ましくは図示の活性リードにおいて、主電源と整流器20との間に配置される。インダクタ23は、制御回路として動作する。ブリッジ整流器20によりLEDランプ19に供給される電流は、インダクタ23のインピーダンスによりLED電流電導値の上限及び下限内に維持される。
【0023】
さらに、インダクタ23は、主電源電流の相シフトを行うので、主電源電流は、連続し、本質的に形状は正弦波である。2つのコンデンサCi及びC27は、これらが随意のものであり、必要に応じて設けられることを示すように、
図2に破線で描かれる。コンデンサC27の機能は、全波ブリッジ整流器20によりもたらされるリップル電圧を平滑にすることである。コンデンサCiの機能は、主電源電流の力率を改善することである。
【0024】
LEDランプ19に電力供給するためには、2本の配線のみが必要であることが分かるであろう。そのため、ランプ19は、タワー又はポール(図示せず)の上部に配置することができ、インダクタ23及び整流器20の形態の動作回路は、タワー又はポールの基部に配置することができる。これにより、既存のHID照明設備を置換して後付けすることが容易になる。
【0025】
ここで
図3を参照すると、この実施形態においては、全波ブリッジ整流器20及びLEDランプ19、並びにインダクタ23は既述の通りであるが、コンデンサC1が、インダクタ23と直列に付加されて、
図2の遅れ低力率回路(コンデンサCiがない)を進み低力率回路に変換する。コンデンサC1を含めることで、主電源電圧の変動に起因するLED19に供給される電流の変動も低減される。インダクタ23にある程度の非線形性を導入することにより、主電源電圧の変動に起因する電流の変動をさらに低減させることができる。
【0026】
代替的に又は付加的に、必要な場合は、随意的に分流インダクタ25(
図3に破線で示す)を主電源端子にわたって接続して力率を改善できる。さらに随意で、整流器20の出力にわたってフィルタ27を接続できる。フィルタ27を設けることにより、LED19を通る電流のリップルが減衰される。
【0027】
図4の実施形態において、磁気分流器を組み込む絶縁型漏れリアクタンス変圧器T1が、主電源にわたって接続され、従って、インダクタ23と置き換わる。ブリッジ整流器20及びLEDランプ19は、既述の通りである。随意的なフィルタ27も既述の通りである。随意のコンデンサC2を主電源端子にわたって接続して力率を改善できる。変圧器T1の高漏れリアクタンスは、
図2のインダクタ23により与えられるのと本質的に同じ出力電流の位相シフトをもたらす。その結果、絶縁型漏れリアクタンス変圧器T1の一次巻線及び二次巻線の両方に連続しかつ本質的に正弦波の電流が流れる。
【0028】
図4の回路の変形を
図5に示す。
図5の絶縁型漏れリアクタンス変圧器T2は、その二次巻線と直列に接続されたコンデンサC1を有する。二次巻線と関連付けられた磁気回路は、部分飽和を許容するように改修されることが好ましい。コンデンサC1と接続された二次巻線インダクタンスの非線形性質は、主電源電圧の変動とは関係なく、LED19を通る電流を比較的一定にする。
【0029】
コンデンサC1と直列の随意的なコンデンサC3(
図5に破線で示す)及び変圧器T2の二次巻線を含ませることにより、変圧器T2の出力回路における容量性リアクタンスが増大する。従って、これにより、LED19を通る電流が減少し、光出力が調光される。随意的なスイッチS1を閉にすると、最大光出力が復元する。
【0030】
調光を可能にする代替的な技術は、コンデンサC1を並列コンデンサで代用することである。両方のコンデンサが回路内にあると、最大光出力が達成されるが、回路から2つの並列コンデンサのうち1つを切り離すと、調光出力が可能になる。コンデンサの直列及び/又は並列の切り替えを様々に組み合わることにより、1つより多い光出力の調光レベルを達成することができる。
【0031】
図6において、
図2及び
図3の回路を組み合わせて、2つのランプ19を進み遅れ構成で動作させる高力率回路を生成する。これは、主電源供給網にとって非常に有益である。
【0032】
図2及び
図3に示すフィルタ27又はフィルタコンデンサC27を必要とせずに、LED19を通るリップル電流を低減するために、3相主電源入力を用いることができる。
図7は、
図2の回路の簡単な3相の実施形態を示す。6つのレギュラーダイオード21を用いる従来の3相全波ブリッジ整流器200で、
図2の整流器20を置き換える。3相P1~P3の各々に対して、インダクタ23を設ける。
【0033】
図8は、
図7の回路図の修正形態を示し、ここで各相に対して入力分流コンデンサC2が付加される。これは、
図7の回路の力率を改善する。分流コンデンサは、図のようにY構成で随意の中性端子Nに接続するので、結果として4線電源となる。代替的に、3線電源構成においては、分流コンデンサC2をY構成で浮動スターポイントに接続できる。代替的に、力率補正コンデンサC2に対して相間にデルタ接続を使用することにより、これも3線電源とすることができる。
【0034】
図9は、単一の相をオフにするのを可能にするスイッチS1を設けることにより、
図7の3相回路を修正した、更に別の実施形態を示す。これは、3相整流器200を介してLEDランプ19に供給される電流を低減させる結果をもたらす。しかしながら、ランプ19を通る電流は減少しているが、依然としてランプ19の指定電流範囲内にあり、ランプの調光ができる。そうした調光は、夕暮れ時のスポーツ会場において照明を導入するのに特に有用である。節電に加えて、観客及び選手の目を、人工的な照明環境に慣らすことが可能である。代替的に、試合への適合とは対照的に、そうした調光は、活動を訓練するために、受容可能な低い照明レベルである。
図7及び
図8の回路の相の1つへの電力をオフにすることにより、同一の調光機能も利用可能である。
図9の特定の実施形態において、各相に対して、直列コンデンサC1が設けられる。
【0035】
図6と同様に、
図10は、2つのLEDランプ19を、高力率進み遅れ構成で動作させることを可能にする、
図7及び
図9の回路の組み合わせである。スイッチS1は、相の1つの電力を低減させて、両方のランプ19の調光を可能にする。
【0036】
同様に、
図11は、各相について1つ、分流インダクタ25を用いる、
図3の回路の3相バージョンを表す。スイッチS1を開にして、LED19の第1水準の調光を行える。必要に応じて、随意的なスイッチS2(
図11に破線で示す)を、別の相に設けることができる。スイッチS1及びS2の両方が開の場合、第2のより低い調光水準を達成できる(LED順電圧を低下させ、かつLEDに十分な電流を流すために、適切な電圧を利用できる場合)。
【0037】
同様に、
図12は、同じく各相について1つ、3つの絶縁型漏れリアクタンス変圧器T1を用いた、
図4の回路の3相バージョンを表す。同じように、スイッチS1によって、調光機能を達成できる。3つの一次巻線は、スター又はY構成で接続され、スターポイントは、浮動であり3線電源を形成することが好ましい。代替的に、スターポイントを主電源の中性端子Nに接続して、4線電源を形成できる。
図8に関しては、力率補正コンデンサC2は、デルタ又はスター構成のいずれかで電源端子に接続することができる。
【0038】
さらに、
図13は、同じく各相について1つ、3つの絶縁型定電流変圧器T2を用いた、
図5の回路の3相バージョンを表す。各相に対して、直列コンデンサC1が設けられる。
【0039】
ここで
図14を参照すると、単相回路において、鉄制御変圧器T3は、タンク回路を形成するように、二次巻線にわたって接続されたコンデンサC3を有する。二次巻線をタップして、全波ブリッジ整流器20に適切な入力電圧を与える。ランプ19は既述の通りである。必要に応じて、随意のフィルタコンデンサC27を整流器20にわたって接続することができる。
【0040】
図15は、3つの鉄制御変圧器T3を用いた、
図14の回路の3相バージョンを表す。3つの一次巻線は、スター又はY構成で接続され、スターポイントは、浮動であり3線電源を形成することが好ましい。代替的に、スターポイントを主電源の中性端子Nに接続して、4線電源を形成できる。
【0041】
図16は、
図6に類似した更に別の単相の実施形態を示す。6つのダイオード21が、二重全波ブリッジ整流器20を構成し、これに対して、一方でインダクタ23を介して、他方で直列接続されたインダクタ23及びコンデンサC1を介して給電する。その結果、進み及び遅れ電流の両方がLED19に同時に供給される。結果として得られるLED電流は、フィルタコンデンサがなくても、リップルがほとんどない(約5%)。さらに、回路は、力率が非常に高く(ほとんど1)、主電源電流の高調波歪みが低い。
【0042】
ここで
図17を参照すると、この単相回路において、インダクタL1は、比較的線形のインダクタであり、一方、インダクタL2は、芯の少なくとも一部が飽和しており、インダクタL2にわたる電圧は比較的一定である。その結果、コンデンサC1を通って流れる電流は略一定であるため、主電源電圧の変動にもかかわらず、定電流がLED19を通って流れる。
【0043】
図18は、
図17の3相バージョンを示す。インダクタL2のコモン接続点は、3線主電源の浮動スターポイントとする、又は4線主電源の中性端子Nに接続することができる。
【0044】
図19及び
図20はそれぞれ、タップ巻線から整流器20に電力供給するオートトランスT5を有する構成を示す。インダクタ23は、オートトランスT5と直列接続される。タップを選択して、供給電圧と反射負荷電圧X-Y(主電源回路に反射されるLEDにわたる電圧)との間の整合を可能にする。
図19において、反射LED電圧は増大する。一方、
図20においては、反射LED電圧は減少する。どちらの場合も、供給端子にわたってコンデンサを接続することにより、力率補正を加えることができる
【0045】
図19A及び
図20Aは、LED19を調光するために、オートトランスT5に対して行える変形を示す。
図19Aにおいて、スイッチS5が、オートトランスT5の一次巻線の巻きの一部の間に接続される。スイッチS5が位置2にある場合、より低い電圧がインダクタ23に印加され、これによりLED19が調光される。スイッチS5が位置1にある場合、主電源電圧が一次巻線の少数の巻きにわたって印加され、これによりインダクタ23及び整流器20に印加される電圧が増大し、従って、LED19は調光されない。
【0046】
図20Aは、類似の構成で、スイッチS5がオートトランスT5の二次側に接続された構成を示す。スイッチS5が位置1にある場合、インダクタ23及び整流器20に最大電圧が印加されるので、LED19は調光されない。しかしながら、スイッチS5が位置2にある場合、より低い電圧がインダクタ23及び整流器20に印加されるので、LEDは調光される。
【0047】
上述のように一次側又は二次側のいずれかをオンにして調光を行うことは、オートトランス以外の変圧器にも応用可能であり、従って、例えば、
図5、
図12~
図15、及び
図21~
図25に示す変圧器構成にも応用可能であることが、当業者には明らかであろう。
【0048】
さらに、
図19A及び
図20Aは、整流器20、200に対する主電源に配置されたインピーダンスに応用可能なスイッチによる調光技術も示す。
図19Aにおいて、インダクタ23は、巻線にタップを有する。スイッチS8が位置1にある場合、インピーダンスはより低く、LED19は調光されない。スイッチS8が位置2にある場合、インダクタ23のインピーダンスはより高く、LED19は調光される。
【0049】
図20Aに、類似の構成が示される。第1の構成において、インダクタL8は、整流器20と直列接続される。更に別のインダクタL9と直列接続されたスイッチS7は、インダクタL9をインダクタL8と並列接続するように動作され、それにより、整流器20への電流が増大できる。従って、スイッチS7が開である場合、LED19は調光され、スイッチS7が閉である場合、LED19は調光されない。
【0050】
代替的に又は付加的に、スイッチS8を
図19Aのように設けて、インダクタ23の有効巻き数を変えることができる。スイッチS8が位置1にある場合、インダクタ23のインピーダンスは低減し、整流器20への電流は最大となり、LED19は調光されない。しかし、スイッチS8が位置2にある場合、インダクタ23のインピーダンスは最大となり、従って、整流器20への電流は減少し、LEDが調光される。幾つかの回路構成において、コンデンサのスイッチングを、インピーダンス変更の代替的形式として用いることは当業者には明らかであろう。切り換え可能な直列及び/又は並列の相互接続で電流のレベルを変える他の形式も当業者には明らかであろう。
【0051】
図21~
図24はそれぞれ、二重出力巻線を有する絶縁型高漏れ変圧器T10を備えた単相回路を示す。これらは、適切かつ許容可能な電圧で一対のLEDランプ19に電力供給するために使用され、特に2線LED電圧回路が許容不能の高電圧の使用を必要とする場合に用いられる。調光は、回路に結合されたり切り離されたりする二重出力巻線に追加の直列又は並列コンデンサを含めることにより可能になる。力率補正は、活線端子と中性端子との間に接続された随意的なコンデンサにより達成できる。
【0052】
図21及び
図23において、2つの全波ブリッジ整流器20が互いから完全に絶縁され、これによりLEDランプモジュール19への4線電源を形成する。代替的に、
図22及び
図24に示すように、2つの全波ブリッジ整流器20は共通の接続を有し、それにより、LEDランプモジュール19への3線電源を形成できる。
【0053】
図23及び
図24の回路において、絶縁型高漏れ変圧器T10の二重出力巻線はそれぞれ、直列接続されたコンデンサC10を有する。この構成は、供給電圧の変化に関係なく、LEDランプモジュール19を通る電流が比較的一定であるという点で、本質的に、
図5と関連した構成と同じ利点をもたらす。しかしながら、
図21及び
図22の回路と同様に、個々のLEDランプモジュール19に印加される電圧が低減するという付加的な利点がある。
【0054】
図25は、整流器20が、変圧器T4及び一対のレギュラーダイオード21及び一対のコンデンサC4により形成された倍電圧ユニットに置き換えられたことを除き、
図2に類似した単相回路を示す。
図25の回路の利点は、LEDランプ19にわたる電圧がかなり増大することにより、直接接続されたLEDダイオード18の数を増大させられることである。従って、
図25のランプ19は、他の回路のランプ19に対してワット数を増加させることができる。
【0055】
上記は、本発明の幾つかの実施形態のみを説明するものであり、LED照明回路における当業者には明らかな修正を、本発明の範囲から逸脱することなく行える。特に、電流制御は、LEDに電力供給する整流器の上流の回路のAC部分において可能であることが理解されるであろう。これは、従来技術からの有意な脱却を表す。
【0056】
さらに、幾つかの変形を以下のように分類することができる。フィルタ27を整流器20、200とLEDモジュール19との間に配置することができる。このフィルタは、分流コンデンサC27、又は直列インダクタ、又は直列インダクタと分流コンデンサの組み合わせのいずれかの形態をとることができる。
【0057】
制御回路は、最も簡単な形において、インダクタ23により構成される。しかしながら、制御回路は、インダクタ23及び直列コンデンサの両方の形を取ることが好ましい。
【0058】
さらに、制御回路は、漏れリアクタンス変圧器、鉄共振変圧器、及び定電流変圧器を含む種々の変圧器の形態を取ることができる。これらは、オートトランス、又は従来の絶縁変圧器のいずれかにより実現できる。また、制御回路は、
図26及び
図27に示す定電流変圧器の形態を取ることもできる。
【0059】
図26において、定電流変圧器Trは、紙面に平行な積層で描かれる一次磁気回路と、紙面に垂直な積層で描かれる漏れ磁気回路とともに示される。従って、一次巻線WPはAC主電源により電力供給され、二次巻線WSは、出力電圧を負荷回路に提供する。漏れ磁気回路の分流器は、略漏れインダクタンスを提供し、それにより、二次巻線の出力を、主電源電圧の変動から磁気的に分離する。二次巻線WSと関連付けられた磁気回路を回収して、通常の動作中、少なくとも相当部分が磁気飽和に至ることが好ましい。
【0060】
共振コンデンサCRのリアクタンスに伴う二次巻線WSのインダクタンスの非線形性質により、二次巻線磁気回路の少なくとも一部が、共振により、磁気的に飽和した状態に維持される。
【0061】
二次巻線WSと関連した磁心は飽和されるので、主電源電圧の変化は、二次巻線WSの出力に事実上影響を及ぼさず、その結果、電圧は一定である。その結果、負荷を通る電流が一定に維持され、その大きさは、主として共振コンデンサCRのサイズに支配される。
【0062】
図26に示すように、負荷は、全波ブリッジ整流器を形成する4つのレギュラーダイオードと負荷を形成するLEDモジュール19からなることが好ましい。必要に応じて、随意的なフィルタコンデンサC27を、LED19と並列接続できる。
【0063】
負荷電流を略一定になるように制御することに加えて、この回路の他の利点がある。そうした利点の1つは、動作力率が、1に極めて近く、非常に高いことである。別の利点は、主電源回路における全高調波歪みが、典型的には10%の歪みを下回り、必要に低いことである。更に別の利点は、二次回路が、主電源における過渡電圧に対して非常に高い免疫を有し、この免疫は、横方向モード過渡電圧及び共通モード過渡電圧の両方に適用可能なことである。
【0064】
ラインレギュレーションのさらなる改善が求められる場合、小さいバッキング巻線(図示しないが従来のもの)を一次巻線WPの上に巻き付け、二次巻線WSと直列に、しかし誘導的に対向させて接続することができる。
【0065】
図26の破線で示すように、それぞれ独自のLED19のストリングを有する複数の負荷回路を、1つの定電流変圧器Trと並列に動作させることができる。3相への拡張は、
図12~
図15に示す通りである。
【0066】
ここで
図27を参照すると、単一の一次巻線WPと、2つの完全に独立した二次巻線WS1及びWS2とを有する定電流変圧器Trを構築できる。単一の一次巻線WPは、一対の磁気分流器の間に配置され、二次巻線WS1及びWS2の各磁気回路の略飽和をもたらす。二次巻線の各々は、
図26の方法で、多数の並列負荷回路に電力供給できる。
【0067】
一般に、AC主電源は、単相又は多相(通常は、3相)のいずれかであることができる。3相構成に対して変圧器が使用される場合、変圧器の一次巻線は、Y又はデルタ構成のいずれかで接続できる。力率補正回路を用いて回路全体の力率を改善できる。典型的な力率補正回路は、電源の相間、又は各相とスターポイント若しくは中性接続点との間に接続した分流コンデンサである。
【0068】
回路全体を二重化し、LEDモジュール19の2つのセットを進み遅れ構成で動作させることにより、力率補正を実施することもできる。
【0069】
調光は、進み遅れ構成の二重回路の1つをオフにする又は多相回路の相の1つ又はそれ以上をオフにすることによって可能である。また、調光は、整流器20、200の電源回路にインピーダンスを結合する又は切り離すことによっても可能である。同様に、調光は、整流器20、200に適用される変圧器構成の巻数の増減させることによっても可能である。
【0070】
3相回路などの多相回路の場合、3線電源又は4線電源が可能である。3線電源は、デルタ結線するか、又は浮動スターポイントを持たせることができる。4線電源は、中性端子に接続されたスターポイントを有することができる。
【0071】
上記は、本発明の幾つかの実施形態のみを説明し、本発明の範囲から逸脱することなく、電子工学の技術分野における当業者には明らかな修正をこれに対して行うことができる。
【0072】
本明細書で用いられる場合、「備えている(及びその文法的変形)」という用語は、「含んでいる」又は「有している」の包括的意味で用いられ、「それのみから成る」の排他的意味ではない。
【符号の説明】
【0073】
11:変圧器
18:発光ダイオード
19:LEDランプ
21:ダイオード
20、200:整流器
23、L1、L2、L8、L9:インダクタ
25:分流インダクタ
C1、C2、C3、C4、C10、Ci:コンデンサ
C27:分流コンデンサ
CR:共振コンデンサ
S1、S2、S5、S7、S8:スイッチ
T1、T2、T3、T10、Tr:変圧器
T5:オートトランス
WP:一次巻線
WS、WS1、WS2:二次巻線