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特許7333324ビーム障害回復を実行するための方法および無線通信装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】ビーム障害回復を実行するための方法および無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/19 20180101AFI20230817BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20230817BHJP
   H04W 72/21 20230101ALI20230817BHJP
【FI】
H04W76/19
H04W16/28
H04W72/21
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020534279
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2017117937
(87)【国際公開番号】W WO2019119399
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-12-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シー,シアオジュエン
(72)【発明者】
【氏名】ブツクリ,エスワー・カルヤン
【審査官】伊藤 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】Huawei, HiSilicon,RAN2 aspects of DL beam management[online],3GPP TSG RAN WG2 Meeting NR#2 R2-1706718,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_AHs/2017_06_NR/Docs/R2-1706718.zip>,2017年06月17日
【文献】MediaTek Inc.,Design Details on Beam Failure Recovery[online],3GPP TSG RAN WG1 #90bis R1-1718334,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_90b/Docs/R1-1718334.zip>,2017年10月03日
【文献】Nokia, Nokia Shanghai Bell,Beam Indication, Measurements and Reporting[online],3GPP TSG RAN WG1 #91 R1-1720890,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_91/Docs/R1-1720890.zip>,2017年11月18日
【文献】Ericsson,On the use of SS for beam management and beam recovery[online],3GPP TSG RAN WG1 #90 R1-1714295,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_90/Docs/R1-1714295.zip>,2017年08月12日
【文献】InterDigital, Inc.,Remaining issues on beam recovery[online],3GPP TSG RAN WG1 #91 R1-1720631,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_91/Docs/R1-1720631.zip>,2017年11月18日
【文献】Qualcomm Incorporated,PRACH Procedure Considerations[online],3GPP TSG RAN WG1 #90bis R1-1718532,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_90b/Docs/R1-1718532.zip>,2017年10月03日
【文献】Huawei, HiSilicon,non-contention based random access for beam failure recovery in CA[online],3GPP TSG RAN WG2#AH-1801 R2-1801049,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_AHs/2018_01_NR/Docs/R2-1801049.zip>,2018年01月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム障害から回復するための無線通信装置のための方法であって、
プライマリセルでのビーム障害の検出に応答して、前記無線通信装置とネットワークノードとの間の無線リンクを回復するための候補ビームを識別することと、
メディアアクセス制御プロトコル制御要素内の前記候補ビームの識別情報を前記ネットワークノードに送信することと、
ランダムアクセス応答でネットワークによって新しい送信用に割当てられたアップリンクリソースで、前記メディアアクセス制御プロトコル制御要素をシグナリングすることとを備え、前記ランダムアクセス応答は、コンテンションベースのランダムアクセス手順内にあり、前記プライマリセルでのビーム障害からの回復が失敗した場合には無線リンク障害を宣言し、
前記ビーム障害が発生した周波数位置の識別情報および前記ビーム障害が発生したサービングセルの識別情報を前記メディアアクセス制御プロトコル制御要素に含めることをさらに備える、方法。
【請求項2】
応答について前記候補ビームを監視することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記無線通信装置のセル無線ネットワーク一時的識別子(C-RNTI)宛ての物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視することをさらに備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記候補ビームの前記識別情報は、基準信号リソースの識別情報を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記候補ビームは、同期信号またはチャネル状態情報基準信号である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記候補ビームの品質が閾値より大きいという判断に基づいて、前記候補ビームを認定された候補ビームであると識別することをさらに備え、前記閾値は基準信号受信電力閾値であり、前記閾値は基地局から受信される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記無線通信装置は新しい送信用に割当てられたアップリンクリソースを有し、前記方法はさらに、前記アップリンクリソースで前記メディアアクセス制御プロトコル制御要素をシグナリングすることを備える、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記無線通信装置は、スケジューリングリクエストを送信するために構成された有効な物理アップリンク制御チャネルリソースを有し、前記方法はさらに、スケジューリングリクエストをトリガすることを備える、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成された無線通信装置。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の方法を実行するためのコンピュータ実施可能命令を格納した、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に無線ネットワークにおける通信に関し、特に、ビーム障害回復を実行するための方法および無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
帯域幅の高まる必要性を対象にして、次世代システムの無線システムは、最大で100GHzの高い動作周波数を採用するであろう。そのような高い動作周波数が使用されると、伝搬損失が高くなる傾向がある。この問題に取組むために、次世代無線通信装置は、ビームアラインメントを実現し十分高いアンテナ利得を得るために、大規模多重入出力(MIMO)技術(たとえば、1つのノードに対して1024個のアンテナ要素)を用いたアンテナアレイおよびビーム形成(BF)訓練技術を採用し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無線ネットワークは現在、ビーム障害回復の場合、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)を使用する。PRACHを用いたビーム障害回復方式が作動するように、無線ネットワークは、各候補ビーム、すなわち各候補基準信号(RS)リソースと関連付けられた専用のランダムアクセスチャネル(RACH)リソースを明示的にまたは暗黙的に提供する必要がある。候補RSリソースは、同期信号(SS)ブロックまたはチャネル状態情報基準信号(CSI-RS)リソースのどちらかであり得る。しかしながら、ビーム障害回復についてのこれらのRACHリソースは、無線通信装置のサービングビームペアリンク(複数可)が故障しているときにのみ使用される。そのため、これらのリソースを常に確保すると、これらの無線リソースは無駄になる。これは、コンテンションベースでないランダムアクセスの場合に使用される専用RACHリソースの場合に特に当てはまる(すなわち、これらのリソースは、無線通信装置ごとに排他的に確保される)。ビーム障害回復の目的専用のRACHリソース(複数可)は、ビーム障害の前に可能性のある候補ビーム用に構成される必要がある(かつ、そのような構成に関する情報は、ネットワーク上で無線装置に知られている必要がある)。これらの専用リソース(複数可)は、無線装置が実行可能な他のPRACH送信(すなわち、無線装置が他の目的で行うPRACH送信)に対して直交である必要があり、他の無線装置用に構成された専用RACHリソース(複数可)に対しても直交である必要がある。
【0004】
図面
添付の特許請求の範囲では特に本発明の技術の特徴について説明されるが、これらの技術はそれらの目的および利点と共に、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から最良に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本明細書で説明されるさまざまな実施形態が実現され得る無線通信システムを示す図である。
図2】一実施形態に係る、図1の無線通信装置の各々によって実現される基本的なハードウェアアーキテクチャを示す図である。
図3】ビーム障害の事例を示す図である。
図4】ビーム障害の事例を示す図である。
図5】一実施形態に係る、ビーム障害回復手順を示す図である。
図6】一実施形態に係る、BFRR MAC CEの可能な実現例を示す図である。
図7】一実施形態に係る、BFRR MAC CEの可能な実現例を示す図である。
図8】一実施形態に係る、BFRR MAC CEの可能な実現例を示す図である。
図9A】BWP通信を示す図である。
図9B】BWP通信を示す図である。
図10】一実施形態に係る、最良の候補RSリソースのみを含むBFRR MAC CEを示す図である。
図11】一実施形態に係る、2つ以上の候補RSリソースを含む可能なBFRR MAC CEの例を示す図である。
図12】一実施形態に係る、2つ以上の候補RSリソースを含む可能なBFRR MAC CEの例を示す図である。
図13】キャリアアグリゲーションを示す図である。
図14】最良の候補RSリソースのみを含む、一実施形態に係るBFRR MAC CEを示す図である。
図15】一実施形態に係る、2つ以上の候補RSリソースを含む可能なBFRR MAC CEの例を示す図である。
図16】一実施形態に係る、2つ以上の候補RSリソースを含む可能なBFRR MAC CEの例を示す図である。
図17】1つのPCellおよび2つのSCellで構成される通信装置を示す図である。
図18】一実施形態に係る、最良の候補RSリソースのみを含むBFRR MAC CEを示す図である。
図19】一実施形態に係る、2つ以上の候補RSリソースを含む実現可能なBFRR MAC CEの例を示す図である。
図20】一実施形態に係る、2つ以上の候補RSリソースを含む実現可能なBFRR MAC CEの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
説明
本開示は一般に、ビーム障害回復を実行するための方法および無線通信装置に向けられている。一実施形態によると、ビーム障害回復リクエストメディアアクセス制御プロトコル制御要素(BFRR MAC CE)は、(たとえば、モバイル無線通信装置から基地局(BS)にといった、無線ネットワークの1つのノードから他のノードに)ビーム障害回復情報を転送するために使用される。BFRR MAC CEは、基準信号(RS)タイプ(すなわち、RSリソースのタイプ)、RSリソースの識別情報、周波数位置の識別情報、たとえば帯域幅部分の識別情報(たとえば、帯域幅部分(BWP)が使用される場合)、およびサービングセルの識別情報、たとえば、セカンダリサービングセルの識別情報のうち1つ以上を含み得る。
【0007】
一実施形態では、無線通信装置はBFRR MAC CE内に、(1)通信装置が識別した最良の候補RSリソースのみ、(2)通信装置が識別した1つ以上の認定された候補RSリソース、または(3)最大数N個までの、通信装置が識別した候補RSリソースを含み得る。
【0008】
一実施形態によると、RSリソース(たとえば、ビーム)は、(たとえば、SSBインデックス番号によって識別された)SSブロック(SSB)またはチャネル状態情報基準信号(CSI-RS)リソースのどちらかである。2つ以上の候補RSリソースがBFRR MAC CEに含まれる場合、BFRR MAC CE内の各RSタイプビットは、対応するRSリソースのRSタイプを示す。
【0009】
一実施形態において、「認定された」候補RSリソースは、その品質、たとえばRSRPが閾値より大きいRSリソースのことをいう。
【0010】
一実施形態では、BFRR MAC CEは、ネットワークからシグナリングされたアップリンク(UL)リソースでネットワークにシグナリングされる(たとえば、モバイル無線通信装置によってBSにシグナリングされる)。そのようなULリソースは、ビーム障害が発生する前に(たとえば、無線通信装置のMAC層に割当てられた)MACエンティティに割当てられたULリソースであり得る。たとえば、ビーム障害宣言がMACエンティティにおいて診断される場合、「ビーム障害が発生する前」とは、障害が発生しているとMACエンティティが宣言する前の時間のことをいう。ビーム障害宣言がMACエンティティ以外の無線通信装置の他の層で診断される場合、「ビーム障害が発生する前」とは、MACエンティティが、障害が診断された層からビーム障害の表示を受信する前の時間のことをいう。ビーム障害を診断した無線通信装置の層は、物理層(たとえば、無線通信装置の物理層)または上位層(たとえば、無線通信装置の無線リソース制御(RRC)層)のどちらかであり得る。さまざまな実施形態では、ULリソースは、ネットワークが無線通信装置からスケジューリングリクエスト(SR)を受信した後でネットワークによって割当てられてもよい、または、無線通信装置によって行われたランダムアクセスリクエストに応答してネットワークによって割当てられてもよい。
【0011】
一実施形態によると、ビーム障害が発生すると、たとえばビーム障害を宣言する層からのビーム障害の表示の受信に応答して、またはMACエンティティがビーム障害が発生していると判断すると、ビーム障害回復について候補ビームのうちいずれかと関連付けられた専用RACHリソースがない場合、無線通信装置は以下を行う。
【0012】
(1)(無線通信装置の)MACエンティティがそのときに新しい送信用に割当てられたULリソースを有する場合、無線通信装置は、ULリソースでBFRR MAC CEをシグナリングする。(2)そのときに新しい送信用に割当てられたULリソースがないが他の通常動作アクティブBWPのいずれか上にまたは他の通常動作サービングセルのいずれか上に構成されたSR用に有効な物理アップリンク制御チャネル(PUCCH)リソースがある場合、MACエンティティは、物理層にSRをシグナリングするように指示する。物理層はその後、SRを受信した結果ネットワークによって割当てられたULリソースで、BFRR MAC CEをシグナリングする。(3)そのときに新しい送信用に割当てられたULリソースもなければ、他の通常動作アクティブBWPのいずれか上にまたは他の通常動作サービングセルのいずれか上に構成されたSR用に有効なPUCCHリソースもない場合、無線通信装置は、コンテンションベースランダムアクセスを開始し、ランダムアクセス応答においてネットワークによって割当てられたULリソースでBFRR MAC CEをシグナリングする。
【0013】
一実施形態では、無線通信装置は、候補ビームを用いたコンテンションベースRACHなどのレガシー手順を用いてもよく、候補ビームがコンテンションベースRACHリソースを有する場合、MAC CEを介した明示的な表示を含んでもよい。
【0014】
一実施形態によると、BFRR MAC CEがシグナリングされた後で、MACエンティティは、無線通信装置のセル無線ネットワーク一時的識別子(C-RNTI)宛ての物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を監視する。
【0015】
一実施形態では、最良のRSリソースはBFRR MAC CEに含まれ、MACエンティティは、最良の候補ビームでPDCCHを監視する。C-RNTI宛てのPDCCH送信が最良の候補ビームで受信される場合、通信装置は、ビーム障害回復手順が無事終了したとみなす。
【0016】
一実施形態によると、認定された候補RSリソース(複数可)がBFRR MAC CEに含まれる場合、通信装置は、これらの認定された候補RSリソース(複数可)でPDCCHを監視する。無線通信装置のC-RNTI宛てのPDCCH送信が認定された候補RSリソース(複数可)のうちいずれかで受信される場合、通信装置は、ビーム障害回復手順が無事終了したとみなす。
【0017】
一実施形態では、通信装置によって識別される最大数N個までの候補RSリソースがBFRR MAC CEに含まれる場合、通信装置は、これらN個の候補RSリソースのすべてでPDCCHを監視する。無線通信装置のC-RNTI宛てのPDCCH送信がN個の候補RSリソースのいずれかで受信されると、通信装置は、ビーム障害回復手順が無事終了したと判断する。
【0018】
一実施形態によると、BSは、無線通信装置へのRRCシグナリングを介して、どのタイプのBFRR MAC CEを無線通信装置が使用することになっているかを明示的に示す。通信装置は、BSの表示に従ってBFRR MAC CEタイプを採用する。
【0019】
図1は、本明細書で説明されるさまざまな実施形態を実現可能な無線通信システム100を示す図である。通信システム100は、複数の無線通信装置(「無線通信装置」は本明細書では、参照が便利なように、「通信装置」または「装置」と省略されることもある)を備える。図示される通信装置は、第1の通信装置102(ユーザ装置(UE)とも表示される)、第2の通信装置104(基地局と示される)、および第3の通信装置106(UEと示される)を含む。なお、多くの他の通信装置が設けられてもよく、図1で表示されたものは例示にすぎない。一実施形態では、無線通信システム100は図1に表示されない多くの他の構成要素を有し、これらの構成要素には、他の基地局、他のUE、無線インフラストラクチャ、有線インストラクチャ、および無線ネットワークで通常見られる他の装置が含まれる。通信装置の他の実現例には、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、および非伝統的な装置(たとえば、家電または「インターネット・オブ・シングス」の他の部分)などの、無線通信可能な装置が含まれる。
【0020】
無線通信システムの一部として動作するとき、無線通信装置は、「無線ネットワークノード」と呼ばれることもある。さらに、BSと他の通信装置(UEなど)との間の通信を説明するために、非BSデバイスが「無線通信装置(または「通信装置」)と呼ばれて、無線BSが「無線通信装置」のタイプである場合であってもBSから区別される。
【0021】
さらに、無線通信装置のMAC層は、本明細書では「MACエンティティ」(すなわち、メディアアクセス制御エンティティ)と呼ばれることもある。この専門用語によって、MAC層と他の層、たとえば無線通信装置の物理層またはRRC層などとの間のインタラクションを表現しやすくなる。なお、本開示でアクションを実行しているMACエンティティまたは物理層またはRRC層というときは、それは、そのアクションを実行している無線通信装置のことである。
【0022】
なお、最後に、さまざまな実施形態では、1つ以上の無線ネットワークノードは本明細書で説明されるBFRR MAC CEを受信し、これを処理し、およびこれに応答する。たとえば、ネットワークノードは、1つ以上の候補ビームの識別情報を示すMAC CEの受信、MAC CEの内容に基づいた候補ビームの識別、および識別された候補ビームでの無線通信装置に対する応答の送信を行い得る。
【0023】
図2は、一実施形態に係る、図1の無線通信装置の各々によって実現される基本的なハードウェアアーキテクチャを示す図である。図1の構成要素は、他の構成要素も有し得る。図2に示すハードウェアアーキテクチャは、論理回路202、メモリ204、送受信機206、ならびに(送信アンテナおよび/または受信アンテナを含む)アンテナ208によって表現される1つ以上のアンテナを含む。メモリ204は、たとえば、論理回路が送信を処理可能になるまで、入力される送信を保留するバッファであり得る、またはこれを含み得る。メモリ204は、たとえば、本明細書で説明される方法のうち1つ以上を実行するためのコンピュータが実行可能な命令を格納した、非一時的なコンピュータ可読媒体として実現可能である。図2の要素は、1つ以上のデータ経路210を介して互いに通信可能にリンクされる。データ経路の例としては、電線、マイクロチップ上の導電性パス、および無線接続が挙げられる。
【0024】
本明細書で用いられる「論理回路」という用語は、数理論理学に関して定義される複雑な関数を実行するように設計された回路(電子ハードウェアのタイプ)を表す。論理回路の例としては、マイクロプロセッサ、コントローラ、または特定用途向け集積回路が挙げられる。本開示がアクションを実行しているデバイスのことをいうとき、これは、このデバイスと統合された論理回路が実際にアクションを実行していることを意味し得る。
【0025】
2つの変化の間の無線リンクとして送信機と受信機との間のビームアラインメントを(再)取得するためのさまざまな既存の方法があるが、受信機が(たとえば、受信機と送信機とのリンクを阻害している物理的なオブジェクトによる)信号強度の突然の急激な低下をもたらすこともある阻害事象に悩まされる場合がある。そのような場合、ビーム障害が発生する。図3および図4は、ビーム障害の2つの事例を示す。
【0026】
図3では、通信装置302は現在、1つの送信/受信ポイント(TRP)304のサービスエリア内にあり、beam2(B2)およびbeam3(B3)を有するTRP304によるサービスを受けている。その後、車(物理的なオブジェクト)306が現れると、B2およびB3の信号強度は突然低下し、ビーム障害が生じる。
【0027】
図4では、通信装置402は現在、TRP1およびTRP2のサービスエリア内にある。TRP1およびTRP2は、同じ基地局(BS)404に接続している、たとえば、ベースバンドユニット(BBU)またはBS404の中央ユニットに接続している2つのTRPである。また、通信装置は、TRP2から放出されるビームによるサービスを受けている。その後、車406が現れると、TRP2からのビームの信号強度は突然低下し、再びビーム障害が生じる。
【0028】
高周波数で動作している送信機-受信機ビームのペアリンクは、放射線環境の影響をきわめて受けやすい。障害の出現/消失ならびにハンドセット受信機の回転および移動によって、上述のように、ビーム障害は時々生じる。多くの場合、現在阻害されているまたは正しく整列されていないサービングビーム(複数可)に取って代わる、および通信装置をビーム障害から回復させるための実現可能な/代替的なビームが存在する。そこで、通信装置は、ネットワークへのコネクティビティを維持するために、ビーム障害から回復する方法を探す。
【0029】
ビーム障害回復手順は、ビーム障害検出、新しい候補/代案/実現可能なビーム(「候補ビーム」と呼ぶ)のID(Identification)、ネットワーク(たとえば、BS)へのビーム障害回復情報の送信、すなわち、ビーム障害回復手順、およびビーム障害回復情報に対するネットワークの応答の監視の4つの段階を含み得る。
【0030】
ビーム障害検出:この段階の間、通信装置は、(たとえば、CSI-RSなどの基準信号に基づいて)現在のサービングビームの品質を監視して、品質が所定の閾値より大きいかどうかを診断する。品質が閾値より小さい場合、ビーム障害を検出するトリガ条件は満たされているとみなされる。ビーム障害を検出するトリガ条件はたとえば、すべてのサービングビームについて構成された最大数を超える、連続して検出されたビーム障害の実例の数であり得る。また、ビーム障害の実例は、関連付けられた制御チャネルのビームペアリンク(複数可)の品質が(たとえば、閾値または関連付けられたタイマのタイムアウトと比較して)十分低い場合である。上述のトリガ条件は、通信装置の物理層内で診断可能である。この場合、物理層がビーム障害を検出すると、ビーム障害の表示をMACエンティティに送信する。代替的に、ビーム障害の実例の各々は、物理層内で診断可能である。しかしながら、ビーム障害事象の宣言は、上位層において、たとえばRRC層においてまたはMACエンティティそのものにおいて実行される。物理層は、上位層に対してビーム障害の各実例を示す。上位層は、少なくとも最大数の連続ビーム障害の実例の表示が物理層から受信される場合、ビーム障害が発生していると宣言する。この場合、上位層がRRC層である場合、RRCがビーム障害が発生していると検出すると、MACエンティティにビーム障害の表示を送信する。
【0031】
新しい候補/代替/実行可能なビームのID:上述のようなビーム障害の検出に続いて、通信装置は、高品質の新しいビームの計測および識別を行う。これらの新しいビームは、候補ビームと呼ばれる。候補ビームのIDは、候補ビームを用いて送信される基準信号(RS)の信号強度/品質の測定に基づく。これらのRSは、SSブロックおよび/またはCIS-RSであり得る。たとえば測定されたRSの信号品質/強度が所定の閾値より大きい場合、ビームは選択されて候補ビームになる。
【0032】
ネットワークへのビーム障害回復情報の送信:ビーム障害の識別に続いて、少なくとも1つの候補ビームが識別される場合、ビーム障害回復手順がトリガされる。ビーム障害回復手順は、ビーム障害宣言がMACで行われMACエンティティがビーム障害が発生していると判断する場合、MACエンティティによってトリガされる。また、ビーム障害回復手順は、上述のように他の層からビーム障害の表示を受信すると、MAC層によってトリガされ得る。ビーム障害回復手順をトリガすると、MACエンティティは、ランダムアクセス手順をトリガする。ランダムアクセス手順は、コンテンションフリーまたはコンテンションベースのいずれかであり得る。両方の場合において、ネットワークは、RACHリソースとビームとの間の関連付けに従って、候補ビームを識別する。なお、候補ビームは、SSブロックまたはCSI-RSリソースに対応し得る。受信したRACHメッセージに基づいて、および候補ビームに対するRACHリソースの関連付けに基づいて、ネットワーク(たとえば、BS)は、候補ビームの識別情報を理解する。
【0033】
ネットワークの応答:ネットワークが候補ビームを利用してRACH信号を受信すると、ネットワークは、UEのC-RNTIに宛てられ、かつ、識別された候補ビームで送られたPDCCH(たとえば、ダウンリンク割当てまたはULグラント)を利用してメッセージを送信することによって、UEに応答する。このネットワークの応答を受信すると、ビーム回復のための手順が終了したとみなされる。
【0034】
上述のメカニズムでは、候補ビームは、RACHリソースとSSBブロック/CSI-RSリソースとの間の関連付けを介して、ネットワークに示される。各候補SSブロックと関連付けられたRACHリソースは、ネットワークによって明示的に提供される必要がある。しかしながら、前述のように、RACHリソースを提供すると、特にコンテンションベースでないランダムアクセス用に使用される専用RACHリソースの場合、すなわち、これらのリソースが特定のUEのために確保される場合、オーバヘッドが大きくなる。本明細書で説明されるさまざまな実施形態は、これらの問題に取組む。
【0035】
一実施形態によると、ビーム障害から回復するための方法は、ネットワークが候補ビームの一部でRACHリソースを構成しないことを含む。これによって、他の態様ではすべての候補ビームでRACHリソースを用いることになるシグナリングオーバヘッドが減少する。そのため、他のビーム(たとえば、コンテンションベースRACHリソース)でのRACHリソースは、ビーム障害から回復するためにUEによって使用される必要がある。この場合にネットワークに対して最良の候補ビームを示すために、UEは、RACH手順の間に候補ビーム識別情報の明示的な表示を含む。
【0036】
一実施形態によると、上述のように、無線通信装置はBFRR MAC CE(MAC CEとも呼ばれる)を用いる。さまざまな実施形態では、MAC CEは、少なくともRSリソース(複数可)のRSタイプおよび識別情報を含む。さらに、いくつかの実施形態では、周波数位置(たとえば、帯域幅部分)の識別情報および/またはサービングセルの識別情報がMAC CEに含まれ得る。BFRR MAC CEは、(a)通信装置が識別した最良の候補ビームのみ、(b)通信装置が識別した認定された候補ビーム(複数可)、または(c)通信装置が識別した最大数N個までの候補ビームを含み得る。MAC CEでなく、候補ビーム識別情報を明示的に示すために他の表示(たとえば、PUCCHなどのアップリンク制御チャネルを用いた物理層の表示)を用い得る。
【0037】
さまざまな実施形態では、無線通信装置は、ビーム回復用に1つ以上の候補ビームを識別し、物理層からのビーム障害の表示の受信に応答して、これらの候補ビームのうち1つ以上の識別情報を含むMAC CEを生成する。これが起こり得る基本的なネットワークシナリオのいくつかは、以下の通りである。
【0038】
事例1:BWPの動作を有さない1つのサービングセル。
事例2:BWPの動作を有する1つのサービングセル。
【0039】
事例3:(a)任意のサービングセルでBWPの動作を有さない複数のサービングセル、または(b)BWPの動作を有する複数のサービングセルであるが、1つのアクティブBWPのみが各サービングセルで所与の時間に許可される。
【0040】
事例4:BWPの動作を有する複数のサービングセル、2つ以上のアクティブBWPが各サービングセルで所与の時間に許可される。
【0041】
次に、これらの事例の各々に向けられた実施形態について説明する。
事例1:BWPの動作を有さない1つのサービングセル。
【0042】
一実施形態では、通信装置は、CSI-RSを監視してビーム障害の実例があるかどうかを判断する。ビーム障害が検出される場合、通信装置はSSブロックおよび/またはCSI-RSリソースを監視して、可能な候補ビームを識別する。典型的には、SSブロックは、より広い帯域幅で送信され、そのため、セル内の広い領域をカバーし、より多くの通信装置にサービスを提供する。対照的に、CSI-RSは、より狭い帯域幅で送信され、そのためセル内で高空間分解能を提供可能であり、その結果、より少ない通信装置にサービスを提供する。SSブロックはセル特有RSであるとみなすことができる一方で、CSI-RSは、常時オンで送信しないが効率的にターンオンオフ可能な、通信装置に特有に構成されたRSとみなすことができる。ビーム用の共通RACHリソースは、SSブロックに関連付けて構成できるにすぎないが、専用RACHリソースは、SSブロックまたはCSI-RSリソースのいずれかに関連付けて構成可能である。共通RACHリソースは、セルにアクセスしている通信装置によってシェアされる。通信装置に対して構成された専用RACHリソースは、提供される場合、他の通信装置によって再利用されなくてもよい。
【0043】
一実施形態によると、SSブロックに関連付けられた共通RACHリソースは、通信装置に対して設けられなければならない。対照的に、専用RACHリソースは、必要であれば通信装置に対して構成されるにすぎない。たとえば、ビーム障害回復が目的の専用RACHリソース(複数可)は、他の目的で通信装置によって使用される他のPRACH送信に対して直交する必要があり、他の通信装置用にビーム障害目的で構成された専用RACHリソース(複数可)に対して直交する必要がある。そのため、ネットワークは、最初から各SSブロック/CSI-RSに関連付けられた専用RACHリソースを通信装置に提供しない。その代わりに、ネットワークは、アップリンクで受信されたビーム管理品質リポートに従って、可能な候補ビームに関連付けられた専用RACHリソースを提供可能であるにすぎない。しかしながら、高周波数信号の電波特性は、障害の出現、デバイスの回転、ハンドセット受信機の移動などで突然変化し得る。そのため、ビーム障害が発生すると、通信装置が、専用RACHリソース(複数可)で構成された候補ビーム(SSブロックまたはCSI-RSリソース)を探すことができない。
【0044】
一実施形態では、上述のようにビーム障害が発生すると、通信装置が専用RACHリソース(複数可)で構成された候補ビームを探すことができない場合、MACエンティティは、SSブロックを選択してコンテンションベースランダムアクセスを開始することができるにすぎない。すなわち、ビーム障害は、CSI-RSよりも低い空間分解能を有することが典型的な、選択されたSSブロックで回復できるにすぎない。通信装置が識別した最良の候補ビーム、または通信装置が識別した認定された候補ビーム(複数可)、または通信装置が識別した候補ビームのすべてさえもネットワークに知らせるために、通信装置は、ランダムアクセス応答でスケジュールされたULグラントにBFRR MAC CEを含む。
【0045】
図5を参照して、一実施形態に係る手順について説明する。
S0において:ビーム障害が発生すると、たとえば、物理層またはRRC層からビーム障害の表示を受信すると、通信装置502はランダムアクセス手順を開始する。通信装置502はまず、専用RACHリソース(複数可)を有する候補ビームを探そうとする。残念なことに、そのようなビームは見つからない。そのため、通信装置502は、(良い品質を有する、たとえば閾値より大きい品質を有する)SSブロックを代わりに選択して、コンテンションベースビーム障害回復手順を開始する。
【0046】
S1(Msg1)において:通信装置502は、選択されたSSブロックに関連付けられたランダムアクセスプリアンブルをBS504に送信する。
【0047】
S2(Msg2)において:ランダムアクセスプリアンブルを受信すると、BS504は、RACHリソースとSSブロックとの間の関連付けに従って、SSブロック(通信装置によって選択されたSSブロック)を識別する。BS504は、識別されたSSブロックで、ランダムアクセス応答を通信装置502に送信する。ULグラントは、ランダムアクセス応答に含まれる。通信装置502は、選択されたSSブロックに対応するBS Txビームで、BS504からのランダムアクセス応答の監視および受信を行う。
【0048】
S3(Msg3)において:ランダムアクセス応答の受信に応答して、通信装置502は、ランダムアクセス応答で受信されたULグラントに従って、次のアップリンク送信にBFRR MAC CEを含める。コンテンション解決の目的で、C-RNTI MAC CEは、アップリンク送信に同時に含まれる必要がある。
【0049】
S4(Msg4)において:通信装置502は、BS504から応答を受信する。無線通信装置502のC-RNTI宛てのPDCCH送信がBS504から受信される場合、通信装置502は、ビーム障害回復手順が無事終了したとみなす。通信装置502は、BFRR MAC CEで報告された候補ビーム(複数可)に従って、対応するBS Txビーム(複数可)でPDCCHを監視する。ここで、BS Txビームとは、SSブロックまたはCSI-RSリソースのどちらかのことをいう。
【0050】
一実施形態では、最良の候補ビームがBFRR MAC CEに含まれる場合、通信装置502は、最良の候補ビームでPDCCHを監視する。C-RNTI宛てのPDCCH送信が最良の候補ビームで受信される場合、通信装置502は、ビーム障害回復手順が無事終了したとみなす。
【0051】
一実施形態では、認定された候補ビーム(複数可)がBFRR MAC CEに含まれる場合、通信装置502は、これらの認定された候補ビーム(複数可)でPDCCHを監視する。C-RNTI宛てのPDCCH送信が認定された候補ビーム(複数可)のうちいずれかで受信されると、通信装置502は、ビーム障害回復手順が無事終了したとみなす。ここで、認定された候補ビームとは、その品質、たとえばRSRPが閾値より大きいビーム(SSブロックまたはCSI-RSリソースのいずれか)のことをいう。閾値は、BS504によって提供される、または通信仕様において指定される。閾値に加えて、BS504はまた、最大数(たとえば、M個)のさらに含まれることが許可された認定された候補ビームを提供する。最大でM個の認定された候補ビームは、提供されると、BFRR MAC CEに含まれ得る。
【0052】
一実施形態によると、通信装置によって識別された最大数N個までの候補ビームがBFRR MAC CEに含まれる場合、通信装置は、これらN個の候補ビームのすべてでPDCCHを監視する。C-RNTI宛てのPDCCH送信がこれらN個の候補ビームのうちいずれかで受信される場合、通信装置は、ビーム障害回復手順が無事終了したとみなす。ここで、最大数NはBSによって提供される、または明細書で指定される。
【0053】
このように、空間分解能が低いSSブロックのみでのビーム回復の代わりに、ネットワークは、最良の候補ビーム、または認定された候補ビーム(複数可)、または最大数N個までの候補ビームの情報を取得可能であり、ビーム障害が空間分解能の高いCSI-RSで回復可能な場合がある。
【0054】
次に、図6図7、および図8を参照して、一実施形態に係るBFRR MAC CEの可能な実現について説明する。上述のように、最良の候補ビームのみ、または認定された候補ビーム(複数可)、または最大数N個までの候補ビームを、MAC CEに含めることができる。最良の候補ビームのみがBFRR MAC CEに含まれる場合、最良のRSリソースの識別情報(すなわち、最良の候補ビームの識別情報)および最良のRSリソースのRSタイプは、BFRR MAC CEに含まれる。2つ以上の候補ビームがBFRR MAC CEに含まれる場合、RSリソース(複数可)のRSタイプ(複数可)および識別情報(複数可)が、BFRR MAC CEに含まれる。MAC CE内の各RSタイプビットは、対応するRSリソースのRSタイプを示す。
【0055】
一実施形態によると、RSタイプ(以下のすべての例ではRSと省略する)は、対応するRSリソースの基準信号のタイプを表す。たとえば、「1」に設定されたRSタイプは、対応するRSリソースがSSブロックであることを示す。そのため、RSリソースの対応する識別情報は、SSブロック(以下のすべての例では、SSBインデックスと表記する)の識別情報である。「0」に設定されたRSタイプは、対応するRSリソースがCSI-RSリソースであることを示す。そのため、RSリソースの対応する識別情報は、CSI-RSリソースの識別情報(以下の例ではCSI-RSリソースIDと表記する)である。
【0056】
RSリソースの各識別情報のフィールド用に7ビットの長さ(たとえば、SSブロックインデックス(SSB)またはCSI-RSリソースIDなどの、リソースのID用に7ビット)を想定すると、図6は、一実施形態に係る、最良の候補RSリソースのみを含むBFRR MAC CEを示す。図7および図8は、一実施形態に係る、2つ以上の候補RSリソースを含むBFRR MAC CEの2つの可能な例を示す。
【0057】
図6の例から分かるように、MAC CEは1つのOctetを占有する。RSタイプビットは、Octetの一番右のビットにおいて設定されている。残りの7ビットは、最良の候補RSリソースの識別情報である。図7および図8の例では、占有される実際のOctetは、含まれる候補RSリソースの数によって決まる。
【0058】
図7では、RSタイプビットは、各Octetの一番右のビットにおいて設定される。各Octet内の残りの7ビットは、対応するRSリソースの識別情報である。
【0059】
図8では、RSタイプビットは、最初の1つ以上のOctetにおいて設定される。RSビットの数は、含まれる候補RSリソースの数によって決まる。Rビットは、予約ビットである。事例1に関するBFRR MAC CEは、本明細書ではType1 BFRR MAC CEと表記される。なお、RSリソースの識別情報に関する7ビットの長さは一例にすぎない。SSBインデックスおよびCSI-RSリソースIDの長さは、同じでも異なっていてもよく、実際の長さは、実際のシステム設計によって決まる。
【0060】
事例2:BWPの動作を有する1つのサービングセル
レガシーシステムでは、チャネル帯域幅を割当てる場合、チャネル帯域幅は、BSとBSが通信する通信装置のすべてとの双方の帯域幅の送受信に関する。しかしながら、より新しい世代の無線システムについては、異なる通信装置のチャネル帯域幅が同じスペクトル内でサポートされ得る。これは、帯域幅部分(BWP)動作と呼ばれる。BWP動作では、通信装置は、中心周波数調整によるRF適応、帯域幅適応、または両方を、広帯域キャリアで行う。BWPによって、広帯域キャリア内での通信装置帯域幅能力が低下し、帯域幅適応による通信装置の消費電力エネルギーが減少し、通信装置は、広帯域キャリア内の周波数分割多重(FDM)において異なるニューメロロジー(numerologies)を用いることができる。
【0061】
たとえば、図9Aに示すように、BSは広いBSチャネル帯域幅で動作している。しかしながら、異なる通信装置は異なるチャネル帯域幅で構成され得る。たとえば、狭い帯域UE1に、BSチャネル帯域幅全体のほんの一部が割当てられ得る。キャリアアグリゲーション能力または広帯域能力を有するUE2に、2つ以上のBWP(たとえば、3つのBWP)を割当てることが可能である。広帯域能力を有するUE3には、全BSチャネル帯域幅を割当てることが可能である。一方で、1つの通信装置について、割当てられたBWPは、必要とされるデータレートに従って変更可能である。たとえば、通信装置が低データレートで送信している場合、より小さなBWPを通信装置に対して構成可能である。そうではなく、通信装置が高データレートを要求する場合、より広いBWPを通信装置に対して構成可能である。異なるBWPが、異なるニューメロロジーで、たとえば異なるサブキャリア間隔で構成可能である。
【0062】
現在の実現例では、(ダウンリンク(DL)とULとの両方用の)複数のBWPを通信装置に対して構成可能であるが、(DLとULとの両方用の)これらのうち1つのみが所与の時間にオンにされ得る。複数のBWPの中には、少なくとも初期DL BWPと初期UL BWPとがある。ネットワークは、初期UL BWPでRACHリソースを構成するが、他のBWPについては、常にRACHリソースがあるとみなすことはできない。
【0063】
一実施形態では、アクティブなDL BWPでビーム障害が発生し、専用RACHリソースで構成されたアクティブBWPの候補ビーム(複数可)がある場合、MACエンティティは、コンテンションフリーランダムアクセスを開始可能である。候補ビームは、ランダムアクセスプリアンブルを送信するためにMACエンティティによって選択された候補ビームと関連付けられたRACHリソースに従って識別可能である。または、アクティブBWPで専用RACHリソースで構成された候補ビームはないがこのアクティブBWPで共通RACHリソースと関連付けられた候補SSブロックがある場合、コンテンションベースランダムアクセスをアクティブBWPで実行可能である。または、専用RACHリソースで構成された候補ビームもなければ、アクティブBWPで共通RACHリソースと関連付けられた候補SSブロックもない場合、通信装置は、初期BWPに戻ってコンテンションベースランダムアクセスを開始可能である。コンテンションベースランダムアクセスが開始される場合、事例1についての図5に示す手順および図6図8に示す同じBFRR MAC CEは、ビーム障害回復情報を(たとえばBSに)転送するために無線通信装置によって使用可能である。
【0064】
しかしながら、無線技術がさらに発達すると、たとえば、通信装置は複数のニューメロロジーで同時に動作することが可能になり、(DLとULとの両方用の)2つ以上のBWPが所与の時間にオンにされ得る。その後、ビーム障害が1つのアクティブBWPで発生し、候補ビームのいずれかと関連付けられた専用RACHリソースがない場合、他の通常動作アクティブBWPを用いてビーム回復を支援可能である。
【0065】
たとえば、図9Bでは、通信装置は3つのBWP、BWP1~BWP3で構成される。BWP3は、そこから通信装置が基地局にアクセスする初期アクティブBWPである。3つのBWPすべてが同時にオンにされる。その後(図9B)、物理層(PHY)が、ビーム障害事象がBWP1で発生していると検出する。しかしながら、BWP2およびBWP3は依然として通常動作である。PHYは、MACエンティティに対してBWP1のビーム障害を示す。
【0066】
一実施形態によると、ビーム障害が発生すると、たとえばPHYからビーム障害の表示を受信すると、このビーム障害BWPの候補ビームのいずれかと関連付けられた専用RACHリソースがない場合、MACエンティティ(すなわち、無線通信装置)は、帯域幅部分の識別情報、RSタイプ(複数可)、およびRSリソース(複数可)の識別情報(複数可)を含むBFRR MAC CEを生成する。帯域幅部分の識別情報(以下の例ではbandwidthPartIdと表記する)は、ビーム障害が発生しているBWPを示す。事例1と同じ可能性を用いて、RSリソース(複数可)のRSタイプ(複数可)と識別情報(複数可)とを含めることが可能である。すなわち、最良の候補ビームのみ、または認定された候補ビーム(複数可)、または最大数N個までの候補ビームをMAC CEに含めることが可能である。
【0067】
たとえば、各RSリソースの識別フィールド用に7ビットの長さを想定し、(DLとULとの両方用に)最大で4つのBWPを通信装置について構成可能である、すなわち、bandwidthPartIdが2ビットであると想定する。図10は、一実施形態に係る、最良の候補RSリソースのみを含むBFRR MAC CEを示す図である。図11および図12は、一実施形態に係る、2つ以上の候補RSリソースを含むBFRR MAC CEの2つの可能な例を示す図である。事例2についてのBFRR MAC CEは、本明細書ではType2 BFRR MAC CEと表記される。
【0068】
一実施形態によると、ビーム障害が発生すると、たとえばPHYからのアクティブBWPのうち1つでビーム障害の表示を受信すると、このビーム障害が起こったBWPの候補ビームのうちいずれかと関連付けられた専用RACHリソースがない場合、無線通信装置は、通常動作アクティブBWPを用いて、以下のようにビーム回復を支援可能である。
【0069】
MACエンティティがそのとき(すなわち、ビーム障害が発生しているとき)に(たとえば、他の通常動作アクティブBWPのうちいずれかから)新しい送信用に割当てられた利用可能なULリソースを有する場合、通信装置は、ULリソースを用いてBFRR MAC CEをシグナリングする。他の態様では、そのときに新しい送信用に割当てられたULリソースはないが他の通常動作アクティブBWPのうちいずれかで構成されたSR用に有効なPUCCHがある場合、MACエンティティは物理層に、SR用に有効なPUCCHリソースを有するアクティブBWPのうち1つでSRをシグナリングするように指示する。SRを受信すると、BSは、このアクティブBWPでアップリンク送信用に割当てられたULリソースを含むULグラントで応答する。この割当てられたULリソースで、BFRR MAC CEをBSに対してシグナリングすることが可能である。
【0070】
他の態様では、そのときに新しい送信用に割当てられたULリソースもなければ、他の通常動作アクティブBWPのいずれかで構成されたSR用に有効なPUCCHリソースもない場合、コンテンションベースランダムアクセスを開始可能であり、ビーム障害回復情報を転送するためにBFRR MAC CEを図5に示すようなMsg3に含めることが可能である。
【0071】
事例3:任意のサービングセルでBWPの動作を有さない複数のサービングセル、またはBWPの動作を有する複数のサービングセルであるが、1つのアクティブBWPのみが各サービングセルで所与の時間に許可される。
【0072】
キャリアアグリゲーション(CA)能力を有する通信装置を、2つ以上のサービングセルで構成可能である。構成されたサービングセルのうち、1つはプライマリサービングセル(PCell)である一方で、その他はセカンダリサービングセル(SCell)である。これらのサービングセルはすべて、共通のMACエンティティを共用する。たとえば、図13では、通信装置は1つのPCellと2つ以上のSCellとで構成される。PCellおよび2つのSCellは、同じMACエンティティを共用する。CAで動作しているとき、PCellは常にオンにされる、言い換えると、PCellをオフにすることはできない。SCellは、BSによってオン/オフ可能である。2つ以上のSCellを所与の時間にオンにすることができる。各サービングセルは、BWPを用いてまたは用いずに動作可能である。この例ではここでは、BWPで動作する場合、ただ1つのBWPを各サービングセルで所与の時間にオンにしてもよいと想定する。
【0073】
本実施形態では、通信装置がCA動作のとき、ビーム障害がアクティブサービングセルのうち1つで発生すると、たとえば図13に示すようにPHYからビーム障害の表示を受信すると、このアクティブサービングセルの候補ビームのいずれかと関連付けられた専用RACHリソースがない場合、(無線通信装置の)MACエンティティは、サービングセルの識別情報と、RSリソースタイプ(複数可)と、RSリソース(複数可)の識別情報(複数可)とを含むBFRR MAC CEを生成する。(以下のすべての図示された例ではSCellIndexIDと表記される)サービングセルの識別は、ビーム障害が発生しているサービングセルを示す。再び、RSリソース(複数可)のRSタイプ(複数可)および識別情報(複数可)を含むように、事例1で説明された同じ可能性を用いることが可能である。すなわち、最良の候補ビームのみ、または認定された候補ビーム(複数可)、または最大数N個までの候補ビームを、MAC CEに含めることが可能である。
【0074】
たとえば、各RSリソースの識別情報フィールドについて7ビットの長さを想定する。さらに、最大で32個のサービングセルを通信装置のために構成可能である、すなわち、SCellIndexIDが5ビットであると想定する。図14は、最良の候補RSリソースのみを含む、一実施形態に係るBFRR MAC CEを示す図である。図15および図16は、一実施形態に係る、2つ以上の候補RSリソースを含むBFRR MAC CEの2つの可能な例を示す図である。事例3についてのBFRR MAC CEは、本明細書ではType3 BFRR MAC CEと表記される。
【0075】
一実施形態では、PHYからアクティブサービングセルのうち1つでビーム障害の表示を受信すると、このビーム故障したサービングセルの候補ビームのいずれかと関連付けられた専用RACHリソースがない場合、無線通信装置は、他の通常動作アクティブサービングセルを用いて、以下のようにビーム回復を支援可能である。
【0076】
MACエンティティがそのときに新しい送信用に(たとえば、他の通常動作アクティブサービングセルのいずれかから)割当てられたULリソースを有する場合、通信装置は、ULリソースを用いて(たとえばBSに)BFRR MAC CEをシグナリングする。他の態様では、そのときに新しい送信用に割当てられたULリソースはないが他の通常動作アクティブサービングセルのいずれかで構成されたSR用の有効なPUCCHリソースがある場合、(通信装置の)MACエンティティは、物理層に、SR用の有効なPUCCHリソースを用いてアクティブサービングセルのうち1つでSRをシグナリングするように指示する。SRを受信すると、BSは、このアクティブサービングセルでアップリンク送信用に割当てられたULリソースを含むULグラントで応答する。割当てられたULリソースを用いて、無線通信装置は、BSにBFRR MAC CEをシグナリングすることができる。
【0077】
他の態様では、そのときに新しい送信用に割当てられたULリソースもなければ、他の通常動作アクティブBWPのうちいずれかで構成されたSR用の有効なPUCCHリソースもない場合、無線通信装置は、コンテンションベースランダムアクセスを開始可能であり、ビーム障害回復情報を転送するために、図5に示すようにMsg3にBFRR MAC CEを含めることが可能である。
【0078】
事例4:BWPの動作を有する複数のサービングセルであり、2つ以上のアクティブBWPが各サービングセルで所与の時間に許可される。
【0079】
一実施形態では、キャリアアグリゲーション能力を有すると同時に1つのサービングセル内で同時にオンにされる複数のBWPを有するさらに別の通信装置について、通信装置は2つ以上のサービングセルで構成可能であり、各サービングセルで、2つ以上のBWPは所与の時間にアクティブな状態になり得る。これらのサービングセルおよびBWPはすべて、共通のMACエンティティを共用する。たとえば、図17では、通信装置は1つのPCellと2つのSCellとで構成される。そしてSCell1およびSCell2で、2つのBWPが同時にオンにされる。
【0080】
本実施形態では、ビーム障害が1つのアクティブサービングセルのアクティブBWPのうち1つで発生すると、たとえば図17に示すようにPHYからビーム障害の表示を受信すると、アクティブサービングセルのこのアクティブBWPの候補ビームのいずれかと関連付けられた専用RACHリソースがない場合、(無線通信装置の)MACエンティティは、サービングセルの識別情報と、帯域幅部分の識別情報と、RSリソースタイプ(複数可)と、RSリソース(複数可)の識別情報(複数可)とを含むBFRR MAC CEを生成する。(以下のすべての図示された例でbandwidthPartIdと表記される)帯域幅部分の識別情報および(以下のすべての図示された例ではSCellIndexIDと表記される)サービングセルの識別情報は、ビーム障害が発生しているサービングセルのBWPを示す。同様に、RSリソース(複数可)のRSタイプ(複数可)および識別情報(複数可)を含むように、事例1について説明された同じ可能性を用いることが可能である。すなわち、最良の候補ビームのみ、認定された候補ビーム(複数可)、または最大数N個までの候補ビームを、MAC CEに含めることが可能である。
【0081】
たとえば、各RSリソースの識別フィールドについて7ビットの長さ、SCellIndexIDについて5ビット、およびbandwidthPartIdについて2ビットがあると想定する。図18は、一実施形態における、最良の候補RSリソースのみを含むBFRR MAC CEを示す図である。図19および図20は、一実施形態に係る、2つ以上の候補RSリソースを含むBFRR MAC CEの2つの可能な例を示す図である。事例4についてのBFRR MAC CEは、本明細書ではType4 BFRR MAC CEと表記される。
【0082】
一実施形態では、PHYから1つのサービングセルのアクティブBWPのうち1つでビーム障害の表示を受信すると、このビーム障害が発生したBWPの候補ビームのいずれかと関連付けられた専用RACHリソースがない場合、無線通信装置は、このサービングセル上の他の通常動作アクティブBWPまたは他の通常動作アクティブサービングセルを用いて、以下のアクションを実行することによってビーム回復を支援可能である。
【0083】
MACエンティティがそのときに(たとえば、このサービングセルの他の通常動作アクティブBWPのいずれかから、または他の通常動作アクティブサービングセルのいずれかからの)新しい送信用に割当てられたULリソースを有する場合、通信装置は、ULリソースでBFRR MAC CEをシグナリングする。
【0084】
他の態様では、そのときに新しい送信用に割当てられたULリソースはないがこのサービングセルの他の通常動作アクティブBWPのいずれかまたは他の通常動作アクティブサービングセルのいずれか上で構成されたSR用に有効なPUCCHリソースがある場合、(無線通信装置の)MACエンティティは、物理層に、SR用に有効なPUCCHリソースを有するアクティブサービングセルのうち1つでSRをシグナリングするように指示する。SRを受信すると、BSは、このアクティブサービングセルでアップリンクリソース用に割当てられたULリソースを含むULグラントで応答する。割当てられたULリソースを用いて、無線通信装置は、BFRR MAC CEをBSにシグナリングする。
【0085】
他の態様では、そのときに新しい送信用に割当てられたULリソースもなければ、このサービングセルの他の通常動作アクティブBWPまたは他の通常動作アクティブBWPのうちいずれか上で構成されたSR用の有効なPUCCHリソースもない場合、無線通信装置は、コンテンションベースランダムアクセスを開始可能であり、ビーム障害回復情報を転送するために図5に示すようなMsg3にBFRR MAC CEを含めることが可能である。
【0086】
上述したのは、さまざまな実施形態に係る、異なる事例についての異なるタイプのBFRR MAC CEフォーマットである。通信装置は、どのタイプのBFRR MAC CEを使用するか判断しなければならない場合がある。一実施形態では、通信装置がキャリアアグリゲーションおよび/またはBWPで動作しているかどうかにかかわらず、通信装置は常に、ビーム障害回復情報を転送するためにType4を用いる。通信装置は、bandwidthPartIDビットおよびSCellIndexビットを0に設定する。この場合、通信装置がBWPの動作を有さない1つのサービングセルで動作しているだけである場合、bandwidthPartIDフィールドおよびSCellIndexフィールドで消費されるビットは無駄になる。
【0087】
他の実施形態では、通信装置は、現在の動作状態に対応したタイプを選択する。たとえば、事例1で動作している場合、通信装置はType1を選択する。事例2で動作している場合、通信装置はType2を選択する、などである。この場合、この点についての通信装置の挙動はネットワークで制御できない。しかしながら、通信装置の理解とBSとの間でずれがある場合がある。このように、ビーム障害回復の失敗は起こる場合がある。そのため、他の実施形態では、BSは明示的に、RRCシグナリングでBFRR MAC CEタイプを示す。そして通信装置は、BS表示に従ってBFRR MAC CE Typeを採用する。
【0088】
シナリオによっては、デュアルコネクティビティ動作について、無線ネットワークのセルは特別なセル(SPCell)として機能し得る。SPCellは、MACエンティティがそれぞれMCGまたはSCGと関連付けられているかどうかによって、マスターセルグループ(MCG)のプライマリセル(PCell)またはセカンダリセルグループ(SCG)のプライマリセカンダリセル(PSCell)のことをいう場合がある。他の態様では、SPCellという用語はPCellのことをいう。一実施形態では、MACエンティティがビーム障害回復が失敗したと判断すると、無線通信装置は以下を行う。
【0089】
(1)ビーム障害が特別なセル(SpCell)で発生している場合、無線通信装置は無線リンクの失敗を宣言する。(2)ビーム障害がSpCell以外のセカンダリサービングセル(SCell)で発生している場合、無線通信装置は、SCellの失敗をネットワークに報告する。無線通信は、SpCellを介してまたは他の通常に動作しているSCellを介して、SCellの失敗をネットワークに送信する。
【0090】
一実施形態では、ビーム障害が発生すると、たとえばビーム障害を宣言する層からのビーム障害表示の受信に応答して、またはMACエンティティがビーム障害が発生していると判断すると、MACエンティティは回復タイマを開始する。無線通信装置のC-RNTI宛てのPDCCH送信が受信されると、たとえば、BFRR MAC CEに応答して、MACエンティティは回復タイマの停止およびリセットを行う。MACエンティティは、回復タイマがタイムアウトすると、ビーム障害回復が失敗していると判断する。または、上述のようにコンテンションベースランダムアクセスがビーム障害回復の目的で開始される場合、かつ、MACエンティティが許可された最大数のランダムアクセスを試みようとしている場合、MACエンティティは、ビーム障害回復が失敗したと判断する。
【0091】
なお、本明細書で説明された例示的な実施形態は説明目的のみで考慮されるべきであり、限定する目的で考慮されるべきではない。各実施形態内の特徴または態様の説明は一般に、他の実施形態における他の類似の特徴または態様にも利用可能であると考慮されるべきである。当業者であれば、以下の特許請求の範囲によって定義されるような精神および範囲から逸脱することなく、本明細書でなされた形式および詳細におけるさまざまな変更が可能であると理解するであろう。たとえば、さまざまな方法のステップは、当業者にとって明らかな態様で並べ替えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20