(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】自動薬物送達装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20230817BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20230817BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/32 500
A61M5/32 510K
A61M5/24 502
(21)【出願番号】P 2020564913
(86)(22)【出願日】2019-05-23
(86)【国際出願番号】 IB2019054299
(87)【国際公開番号】W WO2019224783
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-08
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アプイ,ジャックス
(72)【発明者】
【氏名】ブライアント,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カミシュ,ネイル
(72)【発明者】
【氏名】ファン,コンギィ
(72)【発明者】
【氏名】パルマー-フェルゲイト,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ,クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】シェルゴールド,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】トルディ,ジャンルカ
(72)【発明者】
【氏名】フォン ムラルト,エイドリアン フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ホーロック,マーク
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/016832(WO,A1)
【文献】特表2009-525059(JP,A)
【文献】特開2009-090140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/32
A61M 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品を分注するための自動薬物送達装置であって、
長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、前記近位端と反対側の遠位端及び中空内部を有する、長手方向筐体と、
前記筐体の前記近位端に装着可能な取り外し可能なキャップと、
前記筐体の内側の装着位置に配置され、中空注射器体及び前記流体製品を含む前記中空注射器体と共に形成された注射針を有する、注射器アセンブリと、
前記流体製品の分注を開始するためにトリガ要素によって始動することができる、駆動機構とを含み、
前記駆動機構は、前記長手方向筐体内で移動可能な安全シールドと作動可能に結合され、
前記安全シールドは、前記安全シールドが前記注射針の針先を覆うために、前記長手方向筐体の前記近位端から突出する近位位置に付勢され、前記安全シールドは、前記注射針が注入のために露出する遠位位置に移動可能であり、
前記長手方向筐体は、前記長手方向筐体内に注射器ホルダを受領して、前記注射器ホルダの所定の半径及び軸位置を提供するために、それに固定された内部受領構成要素を提供し、
前記注射器アセンブリは、第1の注射器アセンブリであり、第1の注射器ホルダにより前記長手方向筐体内に受領され、前記第1の注射器ホルダは、前記長手方向筐体と前記注射器アセンブリとの間に接合部を提供し、
前記長手方向筐体及び受領構成要素は、第2の注射器ホルダ及び第2の注射器アセンブリを受領できるようにサイズ化されて構成され、前記第2の注射器アセンブリは、前記第1の注射器アセンブリと異なる直径を有
し、
前記駆動機構は、駆動バネにより近位方向に付勢されたプランジャを含み、前記プランジャは、前記注射器体内に密封可能に案内され、前記注射器体内に含まれた前記流体製品に作用するストッパに作用し、前記注射器ホルダは、前記プランジャにより前記注射器体上に加えられた軸力を受領して、前記力を前記長手方向筐体に伝達し、前記駆動機構は、半径方向内方突起部の前記プランジャ内のスロットとの係合を通して、前記プランジャを初期位置に保持し、前記プランジャは、複数の保持スロットを異なる軸位置に備える、
装置。
【請求項2】
前記内部受領構成要素は、前記長手方向筐体の内周面に固定して装着され、前記注射器ホルダは、その近位端と共に前記受領構成要素内に受領される、請求項1
に記載の装置。
【請求項3】
前記受領構成要素は、前記筐体内に一体形成される、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記注射器ホルダは、その近位端から少し離れて、前記長手方向筐体の内周面に接触するための少なくとも1つの接触構造を備える、請求項1~
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記接触構造は、前記注射器ホルダの遠位端から半径方向に延在する2つの対向する支持アーチによって形成され、前記安全シールドは、前記長手方向筐体内で遠位方向に延在する2つの長手方向アームを有し、前記安全シールドは、前記長手方向アームを介して前記安全シールドを近位方向に付勢する安全シールドバネと相互作用し、前記2つの長手方向アームは、前記支持アーチの間の前記注射器ホルダ内に形成された凹部を通って案内される、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記プランジャは、複数の保持スロットを異なる周位置に備える、請求項
1に記載の装置。
【請求項7】
前記プランジャは、位置合わせスロットを前記プランジャの端部内に備える、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記注射器ホルダは、前記注射器体の近位肩を近位軸方向に支持するために、半径方向内部突起部を近位端に含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記注射器アセンブリは、前記中空注射器体の近位端に固定され、前記針を覆う剛性針シールドを含み、前記注射器ホルダは、前記注射器アセンブリを半径方向に受領し、前記半径方向内部突起部は、前記注射器体と前記針シールドとの間に配置され
る、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記注射器ホルダは、周方向又は半径方向に弾性変形が可能な少なくとも1つの可撓性部を含む、請求項
8又は
9に記載の装置。
【請求項11】
前記注射器ホルダは、予め充填した注射器を
軸方向と直交する半径方向から前記注射器ホルダの中に導くことができるように、その近位端及び又はその遠位端において剛性で非弾性のU字形要素と共に形成される、長手方向体を含む、請求項
8~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記注射器ホルダは、2つの連結アームによって連結された1対の剛性で非弾性のU字形要素を含み、前記連結アームのそれぞれは、注射器を前記注射器ホルダ内に解除可能に保持するために半径方向内方に突起する突起部を含み、前記アームは、注射器体が前記突起部の間を通過できるように変形可能である、請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
前記駆動機構は、前記装置の遠位端から前記注射器体に延在する保持部材を含み、前記保持部材は、前記注射器体を
近位方向に付勢するために弾性的に変形可能であり、前記保持部材は、2つの対向する突起部を有する近位リング形状頭部を含み、前記突起部は、前記注射器体に接触し、前記近位リング形状頭部が前記注射器体に接触するように、より大きい直径を有する注射器体内に嵌合するように構成される、請求項1~
12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか一項に記載の自動薬物送達装置を組み立てる
ことができる部品キットであって、前記キットは、電源ユニット・サブアセンブリ、第1の注射器アセンブリ、第2の注射器アセンブリ、及び近位サブアセンブリであって、
前記近位サブアセンブリは、長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、前記近位端と反対側の遠位端及び中空内部を有する長手方向筐体、並びに前記筐体の前記近位端に装着された取り外し可能なキャップを含み、
前記第1の注射器アセンブリは、中空注射器体及び流体製品を含む前記中空注射器体と共に形成された注射針を含み、
前記第2の注射器アセンブリは、前記第1の注射器アセンブリの中空注射器体の直径より大きい直径を有する前記注射器体、及び前記流体製品を含む前記中空注射器体と共に形成された注射針を含み、
前記電源ユニット・サブアセンブリは、前記流体製品の分注を開始するために、トリガ要素によって始動することができる駆動機構を含む、電源ユニット・サブアセンブリ、第1の注射器アセンブリ、第2の注射器アセンブリ、及び近位サブアセンブリと、
前記長手方向筐体と前記第1の注射器アセンブリとの間に接合部を提供するための第1の注射器ホルダと、
前記長手方向筐体と前記第2の注射器アセンブリとの間に接合部を提供するための第2の注射器ホルダとを含み、
前記組み立てた自動薬物送達装置は、前記電源ユニット・サブアセンブリ及び前記近位サブアセンブリ、並びに前記第1の注射器アセンブリ及び前記第1の注射器ホルダ、又は前記第2の注射器アセンブリ及び前記第2の注射器ホルダのいずれかを含む、キット。
【請求項15】
請求項
14に記載の部品キットを使用して自動薬物送達装置を組み立てるための方法であって、
第1の注射器アセンブリ及び第1の注射器ホルダ、又は第2の注射器アセンブリ及び第2の注射器ホルダのいずれかを選択することと、
前記選択された注射器アセンブリを前記選択された注射器ホルダ内に装着することと、
注射器及び注射器ホルダを近位サブアセンブリの中に置くことと、
電源ユニット・サブアセンブリを前記近位サブアセンブリの上に組み立てることとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動薬物送達装置、詳細には流体製品、詳細には流体薬剤を患者に送達するための自己注射器に関する。
【0002】
自己注射器として形成された自動薬物送達装置は、先行技術分野で周知である。市場で入手可能な様々な型の自動薬物送達装置がある。現材の技術分野の自動薬物送達装置は、信頼できる機能を提供する一方で、克服するべき多くの欠点を依然として有している。
【背景技術】
【0003】
欧州特許第2745866B1号明細書は、トリガ要素として作用する安全シールドを有する自動薬物送達装置について記載している。自動薬物送達装置は、注入を行うべき患者の皮膚上の注入場所に対して安全シールドを加圧することによって始動される。安全シールドは、自動薬物送達装置の長手方向筐体の中に押圧され、それによって注入工程を始動する。注入が完了した時、且つ自動薬物送達装置が注入場所から取り外された時に、安全シールドは長手方向筐体から押し出され、遮断機構により針先を覆う安全位置において遮断される。遮断機構は安全シールド内に形成され、複数の構成要素内に可撓性アームを含む。この構造により、安全シールドは幾何形状及び製造が複雑になる。その上、この特定の安全シールドの可撓性アームは、使用後に安全シールドが長手方向筐体の中に動くのに対して十分な保護を提供しない。
【0004】
欧州特許第2903670B1号明細書は、連動部材が作動部材に対して回転することによって作動する、自動薬物送達装置について記載している。それによって、作動機構の異なる構成要素間の回転相対運動が必要とされる。自動薬物送達装置を作動するためのこのような回転運動は、直感的ではないことが多く、これによりこのような自動薬物送達装置の使用はユーザを不快にさせる。回転構成要素を有する更なる自動薬物送達装置は、欧州特許出願公開第2583711A1号明細書から公知である。
【0005】
その上、注入工程が装置の遠位端上又は外周側面上に形成されたボタンを押すことによって始動される、自動薬物送達装置がある。このような装置は、薬物送達装置が注入場所に正確に置かれていないにもかかわらず始動機構が作動することができるので、誤用の可能性を含む。
【0006】
欧州特許第2978471B1号明細書は、安全シールドで注入場所に対して押圧することによっても始動される、自動薬物送達装置について記載している。しかし作動機構はその構造が複雑であり、互いの相対運動の間に相互作用する複数の部品が必要である。結果として、製造及び組立は複雑である。
【0007】
米国特許出願公開第2016/0331905A1号明細書は、ラチェットアセンブリを備えた作動機構を含む、自動薬物送達装置について記載している。異なる可撓性アームは、刻み目を有するラックと相互作用する。複数の構成要素及び移動要素に起因して、装置は誤用及び誤った作動に関して認識できる。その上、製造及び組立は複雑である。
【0008】
作動機構の組立及び機能に加えて、自動薬物送達装置の更なる課題は、予め充填した注射器アセンブリの位置付け及び保持である。このように予め充填した注射器アセンブリは、分注する流体製品を予め充填したガラス体を通常は含む。ガラス体は、ガラス体が損傷或いは影響されないように、組立中に細心の注意で取り扱うべきである。ガラス体を直接取り扱うのを回避するために、この先行技術の文書は注射器ホルダの使用を提案している。
【0009】
又予め組み立てた状態から曲がり、軸力が注射器搬送容器に作用する場合に解除する、可撓性アームを有する特定の注射器ホルダについて記載している国際公開第2016/193374A1号パンフレットも参照する。代替の注射器搬送容器が、国際公開第206/193355A1号パンフレットに記載されている。この注射器搬送容器は、自動薬物送達装置の筐体内で注射器上に軸方向に付勢力を提供する。注射器に軸力を提供する別の注射器ホルダは、国際公開第2007/083115A1号パンフレットの文書から公知である。その上、国際公開第2015/015230A2号パンフレットの文書は、軸荷重を注射器支持部に伝達するためのガード要素を備えた注射器ホルダについて記載している。先行技術による更なる注射器運搬容器は、C字形の近位受領部材を備えた2つの連結アームを用いて相互連結された環状部材を提供する、国際公開第/089620A1号パンフレットから公知である。
【0010】
自動薬物送達装置の更なる課題は、フィードバック信号をユーザに提供することである。このようなフィードバック信号は、可聴、可視又は触覚信号であることが可能である。国際公開第2016/193343A1号パンフレットの文書は、弾性アームを含む可聴表示器を備えた自動薬物送達装置について記載しており、弾性アームは、使用中に半径方向外方に偏向し、その後解除し、それによって可聴信号が発生する。
【0011】
その上、自動薬物送達装置の別の態様は、取り外し可能なキャップを使用し、取り外し可能なキャップは、自動薬物送達装置の筐体から取り外している間に、予め充填した注射器アセンブリの針から剛性針シールドを取り外す。このような取り外し可能なキャップは、国際公開第2012/103140A1号パンフレットから公知である。この文書は、複数のキャップ係合機構を有する取り外し可能なキャップの比較的複雑な構造について記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
プラットフォームの特徴
本発明は、流体製品を分注するための自動薬物送達装置であって、
長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、近位端と反対側の遠位端、及び中空内部を有する長手方向筐体と、
筐体の近位端に装着可能な取り外し可能なキャップと、
筐体の内側の装着位置に配置され、中空注射器体及び流体製品を含む中空注射器体と結合した注射針を有する、注射器アセンブリと、
流体製品の分注を開始するためにトリガ要素によって始動することができる、駆動機構とを含み、
駆動機構は、長手方向筐体内で移動可能な安全シールドと作動可能に結合され、
安全シールドは、安全シールドが注射針の針先を覆うために長手方向筐体の近位端から突出する近位位置に付勢され、安全シールドは、注射針が注入のために露出する遠位位置に移動可能であり、
長手方向筐体は、注射器ホルダを受領し、長手方向筐体内の注射器ホルダの所定の半径及び軸位置を提供するために、それに固定された内部受領構成要素を提供し、
注射器アセンブリは第1の注射器アセンブリであり、第1の注射器ホルダにより長手方向筐体内に受領され、第1の注射器ホルダは、長手方向筐体と注射器アセンブリとの間に接合部を提供し、
長手方向筐体及び受領構成要素は、第2の注射器ホルダ及び第2の注射器アセンブリを受領できるようにサイズ化されて構成され、第2の注射器アセンブリは第1の注射器アセンブリと異なる直径を有する、自動薬物送達装置も提供する。
【0013】
単一部品、この場合は注射器ホルダを交換して、異なる注射器の直径に適合する装置のこの機能により、この装置を種々の注射器アセンブリ用のプラットフォーム装置として使用することができ得る。長手方向筐体及び受領構成要素は、第2の注射器ホルダ及び第2の注射器アセンブリを受領できるようにサイズ化されて構成されてもよく、第2の注射器アセンブリは、第1の注射器アセンブリより大きい直径を有する。
【0014】
内部受領構成要素は、長手方向筐体の内周面に固定して装着されてもよく、長手方向筐体内に注射器ホルダの所定の半径及び軸位置を提供してもよい。注射器ホルダは、受領構成要素内にその近位端と共に受領されてもよい。受領構成要素は、筐体内に一体形成されてもよい。別法として、受領構成要素は、長手方向筐体の内部面に固定して装着された少なくとも1つの分離片として形成されてもよい。
【0015】
注射器ホルダを使用することにより、注射器ホルダ及び注射器アセンブリによって形成されたサブアセンブリを予め製造することができることがある。次の組立工程では、このサブアセンブリは、長手方向筐体内で使用して装着することができる。これは、注射器アセンブリのガラス体が組立工程の間に直接取り扱われることを防ぐ。その代わりに注射器ホルダは、注射器アセンブリのガラス体の少なくとも一部をすでに覆い、組立中にそれを保護する。その上、本発明による注射器ホルダは、注射器アセンブリに作用する力を受領し、これらの力を筐体に伝達するために提供され、ガラス体に作用する応力は回避又は少なくとも実質的に低減することができる。
【0016】
受領構成要素は、注射器ホルダの近位端をその内周面と共に受領する環状部材として形成されてもよい。環状部材の外周面は、少なくとも2つの相互連結アームを用いて長手方向筐体の内周面に装着されてもよい。受領構成要素と長手方向筐体との間で相互連結するアームは、作動中にそれに作用する軸方向負荷を受けて筐体に対して受領構造のいかなる意図しない動きも回避するために、十分な壁の厚さを有する固体構造によって形成することができる。
【0017】
注射器ホルダは、その近位端から離れて、好ましくはその遠位端上に更に提供してもよく、少なくとも1つの接触構造は長手方向筐体の内周面に接触する。このようにして、注射器ホルダは、長手方向筐体内の2つの離れた軸位置、すなわち受領構造を用いて、更に接触構造によりその近位前端上で支持することができる。こうして注射器ホルダは、長手方向筐体内の注射器アセンブリ用の安定位置を提供する。
【0018】
接触構造は、注射器ホルダの遠位端から半径方向に延在する2つの対向する支持アーチによって形成されてもよい。2つのアーチの間の凹部は、トリガ機構など、例えば本明細書で検討したような安全シールドの長手方向アームの更なる機能構成要素を案内するために使用することができる。2つの長手方向アームは、支持アーチの間の注射器ホルダ内に形成された凹部を通って案内されてもよい。
【0019】
上記のように、駆動機構はプランジャを含んでもよく、プランジャは駆動バネにより近位方向に付勢されてもよい。プランジャは、注射器体内に密封可能に案内されたストッパに作用してもよく、注射器体内に含まれた流体製品に作用する。注射器ホルダは、プランジャにより注射器体上に加えられた軸力を受容してもよく、その力を長手方向筐体に伝達してもよい。
【0020】
注射器ホルダは、少なくとも2つの弾性アームを用いてその近位端に近い注射器ガラス体を弾性的に係合してもよい。具体的には、注射器ホルダは、弾性アームが組立中にわずかに屈曲し、注射器ガラス体の針ハブを中心に半径方向に形成された半径方向の段面上でガラス注射器体と係合するように、注射器のガラス体の近位前肩の周りを把持するように適合されてもよい。
【0021】
異なる流体製品容積を有する異なる予め充填した注射器のために、本発明による全く同一の装置を使用する可能性を提供するために、すなわち本発明の別の態様による異なる予め充填した注射器の大きさに使用できるプラットフォーム装置を提供するために、注射器ホルダは、注射器体の異なる大きさに適合可能な異なる大きさで提供されてもよい。それによって、注射器ホルダは、異なる注射器の大きさを受領し、これらの異なる注射器の大きさを、長手方向筐体又はそのあらゆる他の構成要素を修正する必要なしに本発明による装置内に収容するために、異なる構成で提供することができる。
【0022】
本発明は、本明細書に記載されたような自動薬物送達装置用の注射器ホルダにも関し、注射器ホルダは、注射器アセンブリを長手方向筐体内に受領するように適合され、注射器ホルダは、長手方向筐体と注射器アセンブリとの間に接合部を提供し、長手方向筐体は、注射器ホルダの所定の半径及び軸位置を長手方向筐体内に提供する、長手方向筐体の内周面に固定して装着された内部受領構成要素を提供し、注射器ホルダはその近位端と共に受領構成要素内に受領される。
【0023】
注射器ホルダは、注射器を半径又は軸方向に受領してもよい。注射器ホルダは、注射器アセンブリの一部を形成してもよく、接合部、スペーサ、又はアダプタとして作用してもよく、特定の自動薬物送達装置と共に使用するために注射器体と注射針の様々な組み合わせが可能になる。具体的には、注射器ホルダは、唯一の構成要素を変える/追加することにより、第1の外形寸法より小さい第2の外形寸法を有する注射器を受容するために、第1の外形寸法を有する注射器体を(注射器ホルダの有無に関わらず)受容するように装置を設計することができ得る。注射器体の外形寸法は直径であってもよく、又は長さであってもよい。
【0024】
注射器ホルダは、注射器アセンブリが自動薬物送達装置の他の部分と相互作用する接触点、接合点、又は装着点を提供するように配置されてもよい。注射器ホルダによって提供された接触点、接合点、又は装着点は、別の注射器アセンブリの接触点、接合点、又は装着点、例えば注射器ホルダを必要としない注射器アセンブリ、若しくは異なる注射器ホルダを含む注射器アセンブリを複製してもよい。このようにして、自動薬物送達装置は、恐らく注射器ホルダなしに、第1の大きさ及び形状の注射器アセンブリを受領して相互作用するように設計されてもよく、依然として適切な注射器ホルダの使用を通して異なる注射器アセンブリを受領して相互作用することができる。
【0025】
接触点、接合点、又は装着点は、注射器ホルダのあらゆる適切な部分に提供してもよい。接触点、接合点、又は装着点は、1つ又は複数のフランジ、リッジ、又は注射器ホルダの本体からの他の伸長部のうちの1つ又は複数の面に提供してもよい。少なくとも2つの接触点、接合点、又は装着点が存在してもよく、これらは注射器ホルダの長さに沿って長手方向に分離されてもよい。1つの接触点、接合点、又は装着点は、注射器ホルダの一端に置かれ、1つは注射器ホルダの反対側の端部に置かれてもよい。例として、注射器ホルダは、注射器のフランジを実質的に複製する第1の接合部を含んでもよい。
【0026】
種々の注射器アセンブリを受領して相互作用する自動薬物送達の機能は、単一装置の設計が異なる注射器体から、恐らく異なる容積の薬剤を投与するために使用することができるのに十分である。複数の注射器ホルダが、適切な注射器ホルダが特定の注射器体と針の組合せと共に使用するために選択できるように、装置に提供されてもよい。
【0027】
従って本発明は、流体製品、具体的には流体薬剤を分注するための自動薬物送達装置であって、
長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、近位端と反対側の遠位端、及び中空内部を有する長手方向筐体と、
筐体の近位端に装着可能な取り外し可能なキャップと、
筐体の内側の装着位置に配置された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリは、中空注射器体及び中空注射器体と結合した注射針を有し、中空注射器体は流体製品を含有する、注射器アセンブリと、
流体製品の分注を開始するためにトリガ要素によって始動することができる、駆動機構とを含み、
負荷された駆動機構は、長手方向筐体内で移動可能な安全シールドと作動可能に結合され、
安全シールドは、安全シールドが注射針の針先を覆うために長手方向筐体の近位端から突出する近位位置に付勢され、安全シールドは、注射針が注入のために露出する遠位位置に移動可能であり、
注射器アセンブリは、注射器ホルダを更に含み、注射器ホルダは筐体内で注射器体を支持する、自動薬物送達装置を更に提供する。
【0028】
本発明は、以下のステップを含む自動薬物送達装置を製造する方法であって、
筐体、駆動機構及び安全シールドを提供するステップと、
中空注射器体及び中空注射器体と結合した注射針を提供するステップであって、中空注射器体は流体製品を含有する、提供するステップと、
注射器ホルダが中空注射器体と注射針の組合せを支持する必要があるかどうかを判定するステップと、
必要であれば、適切な注射器ホルダを選択して、注射器ホルダ、中空注射器体及び注射針を含む注射器アセンブリを生成するステップと、
自動薬物送達装置を生成するために、駆動機構、安全シールド及び注射器アセンブリを筐体の中に挿入するステップとを含む、方法を更に提供する。
【0029】
複数の注射器ホルダが提供されてもよい。注射器ホルダは、異なる幾何形状に構成され、異なる容積の薬剤を備えた異なる注射器を受領するように適合されてもよく、受領した注射器と無関係に、それぞれの注射器ホルダは、前記自動薬物送達装置の同じ筐体の中に嵌合するように適合される。換言すると、本発明による注射器ホルダは、注射器ホルダが、異なる注射器の大きさ(例えば1ml及び2ml)を組み立てが容易で一貫しており、注射器を筐体内に安全に保持する方法で受領するように、異なる幾何形状を異なる構造で提供することができる。具体的には、異なる注射器ホルダの幾何形状は、更なる修正なしに全く同じ筐体に嵌合するように適合される。これは、プラットフォームシステム、すなわち同じ外形寸法を有する薬物送達装置、並びに異なる投与量及び薬剤のための組立要件を提供することができる。又プランジャを交換し、適合する部材を近位プランジャ端部に提供する、例えば異なる内径の注射器及び/又は注射器ストッパに適合する必要があることがある。
【0030】
注射器ホルダは、周囲又は半径方向に弾性変形できる少なくとも1つの可撓性部を含んでもよい。これにより、注射器ホルダが注射器ホルダ内に注射器体及び/又は注射針を受領して弾性的に保持することができ得る。
【0031】
注射器ホルダは、長手方向体を含んでもよく、長手方向体は、その近位端及び又はその遠位端で、予め充填した注射器が軸方向と直交する半径方向から注射器ホルダの中に導くことができるように、剛性で実質的に非弾性のU字形要素で形成される。
【0032】
注射器ホルダは、少なくとも1つの可撓性V字形部によって連結された2つの長手方向シェルによって形成されてもよく、可撓性V字形部は、注射器ホルダに周方向に可撓性を提供し、シェルは、注射器を導く時に弾性的に遠ざかることができる。
【0033】
注射器ホルダは、注射器体を軸方向に、具体的には近位軸方向に支持するための半径方向内部突起部を含んでもよい。注射器ホルダの半径方向内部突起部は、注射器体の近位肩を支持してもよい。
【0034】
注射器アセンブリは、中空注射器体の近位端に固定されて針を覆う、恐らく剛性の針シールドを含んでもよい。注射器ホルダは、半径方向内部突起部が注射器体と針シールドとの間に置かれるように、注射器アセンブリを半径方向に受領してもよい。半径方向内部突起部は、より小さい直径の次に剛性の針シールドを有してもよい。
【0035】
注射器ホルダは、半径及び/又は周方向に曲がることができる、1つ、2つ又はそれ以上の可撓性ゾーン若しくは部分、具体的にはz字形の可撓性部を備えてもよい。可撓性部/ゾーンは、一旦遠位方向から差し込まれてその中に受領されると、注射器を軸方向に支持することができる一方で、例えばエネルギーの衝撃を吸収するため及び組立の不整合のために、軸方向にある程度動くことができる。
【0036】
駆動機構は、半径方向内方突起部のプランジャ内のスロットとの係合を通して、初期位置でプランジャを保持してもよい。プランジャは、異なる注射器の大きさ又は相違した充填に適合した複数の保持スロットを備えてもよい。複数の保持スロットは、異なる軸位置にスロットを含んでもよい。1つ又は複数の保持スロットは、駆動機構と係合し、それによって注射器アセンブリの可動ストッパ又は他の特徴に対してプランジャの開始位置を決定してもよい。異なる長手方向位置を有するスロットを提供することにより、スロットは、プランジャを製造中に異なる長手方向位置で駆動機構と係合させることができる。プランジャは、長手方向及び周方向にずれる保持スロットを含んでもよい。これは、スロットが特定の回転方向に駆動機構と係合するだけでよいので、製造を促進できる。スロットを周方向にずらすことによって、プランジャは、所望の位置における長手方向スロットが駆動機構係合部品と位置合わせするように、正しい配向に回転したアセンブリに対して駆動機構と位置合わせすることができる。プランジャは、次いで所望のスロットが駆動機構と係合するように、線形運動により駆動機構に組み立てることができる。スロットが周方向にずれていなかった場合、アセンブリの動きは必要な線形と回転が複合して動いてもよく、これは組立誤差をもたらすことがある。
【0037】
プランジャは、回転位置合わせを促進するために位置合わせマーカを含んでもよい。位置合わせマーカは、あらゆる適切なマーカ、例えば可視マーク、例えば1つのプランジャに印刷若しくはエッチングしたマークであってもよく、又はマーカは、物理的マーカ、例えば組立装置によって係合できる突起部若しくは溝であってもよい。位置合わせマーカは、プランジャの端部における位置合わせスロットであってもよい。位置合わせスロットは、実質的に円筒プランジャの端部の直径全体を横切って延在してもよい。位置合わせスロットは、組立を促進するためにプランジャの端部を係合するストッパ又はプランジャ頭部に存在してもよい。
【0038】
プランジャロッドのプランジャ頭部は、一部のストッパの直径に対してプランジャ頭部の直径を増加するためにアダプタを含んでもよい。プランジャ・アダプタは、プランジャと一体成形されてもよい。注射器ホルダのように、様々な選択肢は、複数のプランジャが特定の装置に組み立てるために利用できることを意味することができる。
【0039】
これは、上述した自動薬物送達装置を製造する方法が、どのプランジャ頭部の大きさが特定の注射器体と注射針の組合せに必要かを決定して、装置を組み立てるために適切なプランジャを選択するステップを更に含んでもよいことを意味する。選択は、単に頭部の大きさに基づかなくてもよいので、製造方法は、
複数のプランジャのどれが選択した注射器アセンブリと共に使用するために必要かを決定するステップと、
選択したプランジャを装置に組み立てるステップとを含んでもよい。
【0040】
プランジャが駆動機構と係合するために長手方向にずれたスロットを有する場合、上述した自動薬物送達装置を製造する方法は、どの長手方向スロットが特定の注射器アセンブリを駆動機構と係合するべきかを決定して、組立中に適切な長手方向スロットを駆動機構と係合するステップを更に含んでもよい。長手方向スロットが周方向にずれている場合、方法は、組み立てる前にプランジャを駆動機構に対して所定の回転に回転するステップを更に含んでもよい。
【0041】
上記のように、複数のプランジャ及び注射器ホルダを特定の装置の設計に提供することは、異なる大きさ及び充填容積を有する複数の注射器体から薬剤を送達するために使用できる、プラットフォーム装置を提供することができる。
【0042】
従って本発明は、それに結合した注射針を有する中空注射器体から薬剤を送達するための自動薬物送達装置を組み立てるために部品キットを提供し、中空注射器体は流体製品を含有し、キットは標準筐体、標準駆動機構及び標準安全シールド、複数の注射器ホルダ並びに/又は複数のプランジャを含む。これは、部品の組合せが特定の中空注射器体及び注射針に適切な自動薬物送達装置を生成するために、一緒に組み立てることができることを意味する。この「プラットフォーム」型構築により、装置は1つ又は2つのみの部品を変えることにより、異なる大きさ/形状/充填容積を有する注射器体/針の組合せと共に使用するように適合することができる。
【0043】
本発明は、本明細書に記載されたような自動薬物送達装置を組み立てるための部品キットも提供し、キットは、電源ユニット・サブアセンブリ、第1の注射器アセンブリ、第2の注射器アセンブリ、及び近位サブアセンブリであって、
近位サブアセンブリは、長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、近位端と反対側の遠位端及び中空内部を有する長手方向筐体、並びに筐体の近位端に装着された取り外し可能なキャップを含み、
第1の注射器アセンブリは、中空注射器体及び流体製品を含む中空注射器体と共に形成された注射針を含み、
第2の注射器アセンブリは、第1の注射器アセンブリの注射器体の直径より大きい直径を有する中空注射器体、及び流体製品を含む中空注射器体に結合した注射針を含み、
電源ユニット・サブアセンブリは、流体製品の分注を開始するために、トリガ要素によって始動することができる駆動機構を含む、電源ユニット・サブアセンブリ、第1の注射器アセンブリ、第2の注射器アセンブリ、及び近位サブアセンブリと、
長手方向筐体と第1の注射器アセンブリとの間に接合部を提供するための第1の注射器ホルダと、
長手方向筐体と第2の注射器アセンブリとの間に接合部を提供するための第2の注射器ホルダとを含み、
組み立てた自動薬物送達装置は、電源ユニット・サブアセンブリ及び近位サブアセンブリ、並びに第1の注射器アセンブリ及び第1の注射器ホルダ、又は第2の注射器アセンブリ及び第2の注射器ホルダを含む。
【0044】
本発明は、上述したような部品キットを使用して自動薬物送達装置を組み立てるための方法であって、
第1の注射器アセンブリ及び第1の注射器ホルダ、又は第2の注射器アセンブリ及び第2の注射器ホルダのいずれかを選択することと、
選択された注射器アセンブリを選択された注射器ホルダ内に装着することと、
注射器及び注射器ホルダを近位サブアセンブリの中に置くことと、
電源ユニット・サブアセンブリを近位サブアセンブリの上に組み立てることとを含む、方法も提供する。
【0045】
本明細書で検討したように、注射器ホルダは予め充填した注射器を筐体内に受領して保持する目的を有する。注射器ホルダは、サブアセンブリのその他の構成要素を変える必要なしに、異なる容積の薬剤を備えた異なる種類の注射器を受領するように適合される。従って異なる注射器ホルダは、異なる種類/容積の注射器への適合性を提供するべきである。
【0046】
注射器ホルダは、長手方向体を含んでもよい。その近位端で、注射器ホルダは、実質的に剛性で非弾性のU字形要素で形成されてもよい。U字形要素は、1つの半径方向に開いてもよい。近位端におけるこの剛性のU字形要素は、平行な周囲リブによって補強されてもよい。近位前面に、U字形要素は、横方向リブ又は突起部を備えてもよい。その遠位端に、注射器ホルダは、実質的に剛性で非弾性の類似U字形要素を備えてもよい。遠位のU字形要素は周囲リブで補強されてもよい。周囲リブは、対向する位置で半径方向外方に面する切欠きを備えてもよい。剛性のU字形要素は、2つの恐らく実質的に剛性の長手方向の連結アームによって連結されてもよい。各連結アームは線形に延在してもよい。各アームは、注射器を注射器ホルダ内に解除可能に保持するために半径方向内方に突起する突起部を含んでもよく、アームは、注射器体が突起部の間を通過できるために変形可能である。突起部の内部面は、注射器のガラス体をその中に配置して保持できるような輪郭にされてもよい。
【0047】
長手方向筐体内に置かれると、予め充填した注射器アセンブリを保持する注射器ホルダは、あらゆる突起部が二重リング構造の一致する切欠きに係合するように位置付けられてもよい。注射器ホルダは、長手方向筐体内でリング構造又は二重リング構造により適切な軸方向及び長手方向軸を中心に回転位置に位置付けられてもよい。
【0048】
注射器ホルダの一部の例によれば、注射器ホルダは、複数の長手方向シェルによりそれらの間の長手方向切込みと共に形成することができる。シェルは、可撓性V字形部により遠位領域及び近位領域上のそれぞれで連結することができ、可撓性V字形部は、注射器ホルダに周囲方向に可撓性を提供し、それによってシェルが注射器を導く時に弾性的に遠ざかることができる。注射器ホルダは、注射器ホルダを自己注射器の筐体内に固定するために、その遠位端及びその近位端付近に半径方向外方突起構造を更に含んでもよい。
【0049】
内部半径方向突起部は、一旦遠位方向から挿入されて注射器ホルダ内に受領されると、注射器を軸方向に支持するために両方のシェル内に形成することができる。
【0050】
別法として、注射器ホルダは、遠位端及び近位端を備えた中空円筒受領管を有してもよい。本明細書に記載された他の例と同様に、この注射器ホルダは、注射器ホルダを自己注射器の筐体内に保持するために、半径方向外方突起構造も含んでもよい。
【0051】
その近位端付近に、注射器ホルダは1つ又は複数の二重z部を備えることができ、二重z部は、周囲リブによって相互連結された傾斜した可撓性アームを含む。その内周面に、注射器ホルダは半径方向内方突起部を含み、半径方向内方突起部は、注射器が一旦遠位方向から挿入されてその中に受領されると、軸方向に支持するために両方の可撓性二重z部内に周方向に形成することができる。この注射器ホルダの例では、注射器は、中空円筒受領管内でわずかな半径方向の遊びを備えてその遠位端から押し入れられる。注射器のガラス体の近位前端を把持するために、2つの二重z部の弾性可撓性に起因して、アームは、周囲リブが半径方向外方に動くようにわずかに曲がる。
【0052】
本明細書に記載された注射器ホルダの例は、若干の可撓性を半径方向又は周方向に提供する特徴を備えた周方向に閉鎖した構造を有する。それによって、予め充填した注射器を注射器ホルダと容易に組み立てることができる。注射器は、組立中に半径方向外方に変形する可撓性要素によって単純に保持される。それによって、注射器アセンブリの公差変動は、半径方向並びに軸方向の両方に釣り合いを取ることができる。それにもかかわらず、注射器ホルダは、剛性シェル又は円筒受領管によって頑強な構造を有する。
【0053】
プランジャは、長手方向円筒中空要素によって形成されてもよく、長手方向円筒中空要素は、その近位端にプランジャ頭部を有する。プランジャ頭部は、前面及び横方向スロットを備えてもよい。前面は小さい円筒貫通孔を含んでもよい。任意の横方向スロット及び円筒貫通孔を備えた前面は、必要な場合、例えば対応する大きいストッパと相互作用するより大きい内径を有する注射器のために、より大きい直径のプランジャ頭部要素と結合又は形成することができる。この追加の拡大されたプランジャ頭部の特徴は、より大きい注射器、例えば2.25mlの流体容積に適するように使用することができる。より小さい注射器、例えば1mlの流体容積に適する場合、拡大されたプランジャ頭部の構成要素又は特徴は省略され、プランジャは単純な平行の円筒形状をその近位端に有する。
【0054】
プランジャの中央部に、1対の対向する長方形の貫通孔が、中空要素の壁内に提供されてもよい。1対の貫通孔又はスロットが必要とされるのではなく、単一の貫通孔を使用することができることに留意されたい。プランジャは、異なる注射器の大きさ又は薬物の充填容積に適合できる異なる軸位置で、貫通孔に匹敵する追加の貫通孔又は対の貫通孔を有してもよい。遠位端に、中空要素は、駆動バネを受領するために長手方向に接近させる円形開口を備えてもよい。中空要素の近位端は、上に検討したような端部を係合するストッパ又はプランジャ頭部を含んでもよく、回転位置合わせ特徴を含んでもよい。
【0055】
保持具は、電源ユニットの複数の制御機能のための制御部材として作用してもよい。保持具は、中空円筒体から形成されてもよい。2つの対向する側面で、円筒体は、それぞれが長手方向可撓性アームを形成するU字形切欠きを含んでもよい。長手方向可撓性アームは、中空円筒体にその遠位端で一体的に連結されてもよい。その近位端で、可撓性アームは、半径方向外方突起部に突起する面取りした特徴、及び反対側、すなわちその半径方向内側に、半径方向内方に突起する対応する面取りした特徴を備えることができる。その上、円筒体は、切欠きによって形成された可撓性アームに対して90°だけ回転した領域に2つの対向する長手方向切欠きを備えることができる。長手方向切欠きは、U字形切欠きとほぼ同じ長手方向伸長部、又は更に遠位方向に延在してもよい。切欠きの遠位端に近い切欠きの長手方向長さの約3分の1の領域で、円筒体は、切欠きに横方向に架橋する横方向突起部を含んでもよい。これらの横方向に架橋する突起部は、同じ外周形状を有する追加の突起部により近位端に引き続き近づく。
【0056】
その近位端で、保持具の円筒体は、円筒体と一体形成され、中空円筒体の近位前面に対してある角度で傾斜する複数の可撓性アームを備えてもよい。これらの可撓性アームは、リング形状頭部に連結することができる。リング形状頭部は、円筒部及び2つの対向する近位アーチ状突起部を備えたブッシングとして形成することができる。頭部は、可撓性アームと一体形成することができ、又は可撓性アームに例えば中間連結リングを用いて堅固に連結された別個の片として形成することができる。
【0057】
可撓性アームは、異なる注射器の大きさに対するある程度の公差及び補償をすることができる。その上、これらの可撓性アームは、注射器をほぼ固定位置に保つために注射器の遠位端に作用することにより、注射器を軸方向に近位方向に付勢する。逆に付勢要素は、確実に保持具及び連結した構成要素を遠位方向に付勢する。
【0058】
その遠位端で、保持具の円筒体は、円周溝と共に形成できる。遠位端は、中心開口を有する遠位端面を備えてもよい。遠位端に近いその内部で、円筒体は、遠位端面と円周溝を有する長手方向部との間に軸方向又は長手方向に走る内部ガイドリブを備えることができる。円筒体は、保持具を中心に同軸に配置又は連結された他のシステム構成要素の範囲内で組み立てるために、直径の大きさの間に従って混合した、変化する直径を有してもよい。
【0059】
その上、安全シールドは、軸位置において取り外し可能なキャップによって組み立てた初期状態に保持される。具体的には、これは遠位方向への意図しない動き、すなわち装置が落下して、装置が地面に落ちた時の衝撃を経験する場合を避ける狙いを有する。これは、安全シールドの近位端で円筒体の外周面に形成した突起部と、取り外し可能なキャップの内部リング部の内周面に形成した2つの突起部との間の係合によって達成される。それによって、突起部は、筐体に装着された取り外し可能なキャップに対して、それによって筐体に対して遠位方向への安全シールドのいかなる軸運動も遮断することができる。
【0060】
遠位端で、遠位端キャップは、スナップ嵌合の配置によって長手方向筐体に固定して密接に取り付けることができ、遠位端キャップのスカート部の外周面に形成した突起部は、筐体の遠位端に形成した貫通孔の中で貫通孔と係合する。
【0061】
その上組み立てた状態で、注射器は、注射器ホルダ内に維持することができ、注射器ホルダは筐体のリング構造内に受領される。上記のように、注射器ホルダは、リング構造を用いて筐体に関連して位置付けることができ、横方向突起部はそれぞれの切欠きの中に係合することができ、更なる突起部は、注射器ホルダのU字形要素によって提供された中空空間の中に突起してもよい。注射器は、注射器ホルダを筐体の中に組み立てる前、又は注射器ホルダを注射器の幾何形状に依存して筐体の中に組み立てた後に、注射器ホルダの中に軸方向又は横方向に組み立てられてもよい。注射器ホルダのあらゆるU字形要素は堅固であり、剛性針シールドが通過できるために注射器を組立中又は作動中に曲がらないことを意図する。注射器は、注射器ホルダ内で回転して保持することができ、又は自由に回転することができることに留意されたい。
【0062】
注射器を装置の内側に組み立てることは、ガラスの破損及び最終位置の検査が難しいという問題がある可能性がある。注射器ホルダに注射器を側面に負荷することで、重要な特徴に対するより良い制御及び接近を達成することができる。組立は目視の位置付け及び検査によってなされてもよい。組立は、寸法及び力の制御並びに検査によって行われてもよい。
【0063】
その上、注射器は、注射器ホルダと一緒に保持具の頭部を用いて注射器フランジを介して筐体の円錐で段付きのリング構造に対して近位方向に加圧することができ、一旦電源ユニットを備えて完全に組み立てられると、保持具の可撓性アームは、注射器を注射器ホルダ内の適所に維持して、それによって位置付けるために、バネ力を軸方向に近位方向に提供する軸方向付勢手段として作用する。
【0064】
キャップの特徴
本発明は、流体製品、具体的には流体薬剤を分注するための自動薬物送達装置であって、
長手方向軸に沿って延在し、近位端を有する長手方向筐体と、
近位端と反対の遠位端及び中空内部と、
筐体の近位端に装着可能な取り外し可能なキャップと、
筐体の内側の装着位置に配置された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリは、中空体及び中空注射器体に結合した注射針を有し、注射器体は流体製品を含む、注射器アセンブリと、
流体製品の分注を開始するために、トリガ要素によって始動することができる駆動機構とを含み、
負荷された駆動機構は、長手方向筐体内で動くことができる安全シールドと作動可能に結合され、
安全シールドは、安全シールドが注射針の針先を覆うために長手方向筐体の近位端から突出する近位位置に付勢され、安全シールドは、注射針が注入のために露出される遠位位置に動かすことができ、
取り外し可能なキャップは、キャップと長手方向筐体との間の保持要素の係合により、長手方向筐体の近位端上に軸方向に保持され、保持要素は、筐体に対するキャップの軸方向の動きが前記キャップを取り外すことができるために、長手方向筐体に対するキャップの回転によって係脱され、筐体に対するキャップの軸方向の動きは、安全シールドに加えられた付勢力によって支持される、自動薬物送達装置に関する。
【0065】
取り外し可能なキャップは、キャップと長手方向筐体との間の保持要素の係合により、長手方向筐体の近位端上に軸方向に保持される。長手方向筐体は、取り外し可能なキャップ上に提供された少なくとも1つの係合構造を係合するために、1つの保持構造を含んでもよい。係合構造は、長手方向筐体上に取り外し可能なキャップを保持するために、保持構造と係合してもよい。このような係合は、キャップと長手方向筐体との間の嵌合の安全性を高めてもよい。
【0066】
保持要素、例えば保持構造又は係合構造の設計は、キャップを取り外す方法を設定し、又は少なくとも好ましい取り外し方法を設定するように設計することができる。例えば引抜きによるキャップの取り外しは遮られ、それによって押し付けて捻り取るだけであってもよい。引抜きによるキャップの取り外しができてもよく、これは典型的には適切な力に設定されるはずである。ユーザが両方の取り外し方法の間で選択することができ得る。引抜きによるキャップの取り外しに必要な力は、捻り取るための力より低いレベルに設定してもよい。
【0067】
取り外し可能なキャップは、軸方向に開く受領部を画定する少なくとも1つの内部面を有し、端部キャップ体に連結される内部リングを有する端部キャップ体を含んでもよく、取り外し可能な端部キャップの内部面及び内部リングは、長手方向筐体の近位端を受領するための空間を形成する。内部面と内部リングとの間のこの空間は、長手方向筐体の近位端を受領することができる確実な方法を提供することがあり、これはキャップが位置合わせされず、又は偶発的に取り外され若しくは払い除け得る危険性を低減する。キャップ内の内部リング形成は好都合である可能性があるが、本発明によって提供された他の特徴に関連した選択肢を考えてもよい。
【0068】
適切な保持機能を実施するために、保持構造は、近位端付近の長手方向筐体の外周面に形成され、半径方向外方に突出する少なくとも1つの突起部、例えばU字形突起部によって形成されてもよく、U字形突起部の凹部は遠位方向に開く。係合構造は、取り外し可能なキャップの半径方向内周面上の少なくとも1つの保持リブによって形成されてもよい。取り外し可能なキャップと長手方向筐体との間の保持作用は、長手方向筐体上に形成されたU字形突起部の中に保持リブを係合することによって提供される。
【0069】
又適切な保持機能は、長手方向筐体及び取り外し可能なキャップが少なくとも1つの係合突起部を含むことを提供し、取り外し可能なキャップを長手方向筐体に対して係止位置に維持するための形成を受領することによっても実施されてもよい。
【0070】
長手方向筐体は、長手方向筐体の近位端の内周面上に形成された少なくとも1つの半径方向内方係合突起部を含んでもよく、係合突起部は、内部リングの外周面上に形成された少なくとも1つの対応する半径方向外方突起部と係合するように適合されてもよい。
【0071】
少なくとも1つの半径方向内方係合突起部は、リブにより、好ましくは食付き部、例えば面取りした又は丸みを帯びた縁部を備えて形成されてもよく、少なくとも1つの受領形成は、2つの対向する面取りした突起部及び1つの軸方向突起部によって形成されてもよい。長手方向筐体の近位端上に取り外し可能なキャップを軸方向に保持する保持要素は、長手方向筐体の近位端上に形成された内部突出部及び端部キャップ体の内側に形成された突起部を含んでもよく、キャップ体の内側の突起部は凹部を含み、凹部の内側で内部突出部は面取りした突起部によって周囲に保持される。
【0072】
安全シールドのキャップは、例えばキャップを取り外す間に、取り外し可能なキャップが長手方向筐体に装着されると、取り外し可能なキャップを針シールドの近位端上又は付近に形成された近位接触面と係合してもよい。近位接触面は、針シールドの近位前面又は針シールドの近位端付近に提供された段付き面若しくは肩であることが可能である。自動薬物送達装置は、長手方向筐体の前記近位端が取り外し可能な端部キャップを少なくとも1つの内部面上及び/又は内部リングにおいて係合することを更に提供してもよい。
【0073】
取り外し可能なキャップは、取り外し可能なキャップを近位方向にそれを捻る動きの少なくとも一部に沿って案内するために、長手方向軸に対して傾斜したガイド面として形成され得る、少なくとも1つのガイド面又はカム経路面を含んでもよい。少なくとも1つのガイド面又はカム経路面は、内部リングの外周面に配置されてもよい。カム経路面は、取り外し可能なキャップを近位方向に(長手方向筐体から遠ざかって)その回転若しくは捻る動きの少なくとも一部に沿って案内するために、長手方向軸に対して適合又は傾斜してもよい。更なる選択肢として、ガイド面は、取り外し可能な筐体の近位端上に調和して閉鎖して湾曲した前面として提供されてもよく、又は取り外し可能なキャップの内周面上に形成されてもよく、ガイド面を係合する対応するガイド突起部は、取り外し可能なキャップの内周面上又は長手方向筐体の前面上に形成される。
【0074】
安全シールドは、その近位端に円筒及び/又はリング形状の中空体を含んでもよく、少なくとも1つの安全シールド突起部は、中空体上に提供される。少なくとも1つの安全シールド突起部は、取り外し可能なキャップに対する安全シールドの遠位方向への動きを制限するために、取り外し可能なキャップの突起部又は凹部と係合するように適合されてもよい。それによって安全シールドは、安全シールドが意図しない衝撃を受けた時に、具体的には自然落下及びそれに続いて硬い面との衝撃の後に、自動薬物送達装置が意図せず、すなわち装置が薬物の送達を開始するように始動するのを防ぐことができる。
【0075】
取り外し可能なキャップは、その保持位置において長手方向筐体に装着された時、破断可能なシールによって長手方向筐体に固定されてもよい。破断可能なシールは、長手方向筐体の外周面と、及び取り外し可能なキャップと重複する、取り付けられたステッカであってもよく、長手方向筐体と取り外し可能なキャップとの間の接合部で破断した場合に、装置はすでに使用されているかどうか、又は前記接合部で無傷である場合に、その元の使用されていない状態であるかどうかを示す可視シールとして作用してもよい。シールの破断は、筐体に対して取り外し可能なキャップを捻る時にある特定の閾力も必要とすることがあり、これはユーザによって検知されることがある。
【0076】
本発明は、本明細書に記載されたような自動薬物送達装置から取り外し可能なキャップを取り外す方法であって、
キャップと長手方向筐体との間の保持要素を係脱するために、長手方向体に対して取り外し可能なキャップを回転することと、
取り外し可能なキャップを長手方向体から分離するために除去力を提供することと、
取り外し可能なキャップの長手方向体からの分離を支援するために、安全シールドに加えた付勢力を使用することとを含む、方法も提供する。
【0077】
取り外し可能なキャップをキャップと長手方向筐体との間の保持要素が係脱される位置を超えて回転することにより、取り外し可能なキャップ又は筐体のカム経路が長手方向筐体又は取り外し可能なキャップの一部と係合し、取り外し可能なキャップを長手方向体から分離するために除去力の少なくとも一部を提供する。
【0078】
一旦保持要素が係脱すると、取り外し可能なキャップは、安全シールドに作用する付勢力によって近位方向に押圧することができ、可聴又は触覚フィードバックは、係合構造と保持構造との間の係合が解除されていることを表示してもよい。フィードバックは、係合に起因して筐体に対するキャップの捻りへの初期抵抗は、十分に大きい捻り力、例えば手動の捻り力が加えられことに対する反応に勝ることの検知をユーザによって提供されてもよい。一旦係合が十分に大きい閾の捻り力を加えることによって係脱されると、取り外し可能なキャップは更に回転することができる。回転のある特定のレベルの後に、安全シールドに作用する軸力は、取り外し可能なキャップを支持して長手方向筐体から遠ざかる近位方向に押圧する。これは、ユーザが経験した別の触覚フィードバックを提供し、これは装置を取り扱う正しい方法を表示してもよい。
【0079】
筐体の近位端に装着された時、取り外し可能なキャップは安全シールドに接触し、キャップが取り外されるように、安全シールドを近位位置に付勢する付勢力がキャップの取り外しを支援するように、安全シールドをキャッピングした位置に保持してもよい。取り外し可能なキャップは、キャップと長手方向筐体との間の保持要素の係合により、長手方向筐体の近位端に軸方向に保持されなくてもよく、これは前記キャップを取り外すために筐体に対してキャップが軸方向に動くことができるように、長手方向筐体に対してキャップを回転することによって係脱することができることに留意されたい。
【0080】
安全シールドのキャッピングした位置は、キャップによって拘束されていない時に安全シールドが付勢される近位位置と遠位位置との間であってもよい。このようにして、安全シールドは、その予期した作動範囲内の位置に保持される。上記のように、キャッピングした位置は、付勢力に対する更なる移動が、安全シールドを遠位位置に動かすために必要とされるはずであってもよい。
【0081】
キャッピングした位置では、注射針の先端は、安全シールドを超えて突出してもよい。キャップは、安全シールドをキャッピングした位置に保持し、注射針への接近を防ぐ。キャップが取り外されると、安全シールドはその近位位置に移動し、そこで安全シールドは、注射針の針先を覆うために長手方向筐体の近位端から突出する。
【0082】
取り外し可能な端部キャップ体は、端部キャップが平坦又はわずかに傾斜した面に置かれた時に、本体が揺れ止め形状を提供する非円形断面形状を有するように、弓状伸長部又はローブなどの伸長部と一体形成された円筒体を有するように形成されてもよい。本体の外部面は、把持を改良するために織り目加工又は刻みを付けられてもよい。例えば本体の外部面は、本体の近位端と遠位端との間で長手方向に延在する多数の一体形成された半径方向把持凹部又は突出部を有してもよい。本体の近位部品は平滑な外部面によって形成されてもよい。この面は矢印形状の貫通孔、凹部若しくは突起部、又は長手方向筐体に対して端部キャップを捻って外す且つ/又は押圧するために動く方向を表示する他の印を含んでもよい。
【0083】
端部キャップ体の内部は、平滑な受領面を備えた軸方向に開いた受領部を形成する、円筒面を含んでもよい。受領部の隣に、一体形成された内部リング部が存在してもよい。リング部は、実質的に平坦な遠位に面する面を含んでもよい。リング部と端部キャップ体の内周面との間に、1つ又は複数の開口断面及び両方の要素を連結する1つ又は複数の連結構造が提供されてもよい。リング部は、開口断面に半径方向外方に延在する1つ又は複数の突起部をその外周面上に提供してもよい。突起部の両側に、リング部の外周面は、突起部に近い最遠レベルを有し、先端に一致するために遠位方向に傾斜する、傾斜した挙上形成を備えることができる。
【0084】
リング部の外周面は、その間に受領空間を形成する面取り又は半径などの食付き部を備えた2つの突起部を有してもよい。この受領空間は、装置を見て取り扱う時に隠れるように、その近位端上に長手方向筐体の内周面上に形成された突起部を受領して固定するように提供されてもよい。これは、筐体と取り外し可能なキャップとの間の隠れた結合を可能にし、これは操作することができない。その上、自己注射器を再度キャッピングすることは妨害又は回避することができる。
【0085】
その半径内部面上に、リング体は、半径方向内方に突出する1つ又は複数の対向する突起部を含んでもよい。これらの突起部は、安全シールドの近位端の外周面上に形成された対応する半径方向外方突起部と相互作用して固定するために提供される。
【0086】
その近位端に近い取り外し可能な端部キャップ体は、対向して配置され、連結部及び連結リブを用いて端部キャップ体の内周面に固定された、2つの環状アーチと面してもよい。
【0087】
取り外し可能な端部キャップ体のために提供された端部キャップカバーは、わずかに傾斜した突起部を備えて、端部キャップ体と同じ基本面を有する、近位端キャップ部を有してもよい。環状円筒体は、端部キャップ部の近位面から延在してもよい。環状円筒体は、その外周面上に環状円筒体の遠位端を超えて突出する複数の長手方向リブを備えてもよい。これらの長手方向リブの自由端部に、半径方向外方に突出するスナップ嵌合突起部が必要なだけ提供することができ、これは取り外し可能な端部キャップ体内で対応する(環状)凹部の中に係合する。環状円筒体の内部は、内部円筒体の中に走る面取りした半径方向に延在するリブを備えてもよく、これも端部キャップ部の遠位面と一体形成される。円筒体、リブの突起部、半径方向内部リブ及び内部円筒体によって形成された配置の遠位前面は、円錐又は円錐台輪郭を形成することができる。
【0088】
把持要素
注射器アセンブリは、好ましくは剛性針シールドを備えてもよい。針シールドは、中空注射器体の近位端に結合されてもよい。針シールドは、好ましくはその鋭い針先と一緒に針を覆ってもよい。針シールドが含むことは、針及び流体製品、例えば流体薬剤を清潔で無菌に保つことを意味することがある。
【0089】
取り外し可能なキャップの被覆機能及びフィードバック機能の他に、取り外し可能なキャップは装置のために別の目的を有してもよい。又取り外し可能なキャップは、針シールドを係合してもよい。取り外し可能なキャップを取り外す時、剛性針シールドは、ユーザが剛性針シールドに直接触れなくてもよいように、キャップと一緒に掴まれて取り外されてもよい。注射針及び注射器のガラス体は傷つきやすい構成要素であるので、剛性針シールドは、組立中及び注射器アセンブリから取り外している間のどちらも注意して取り扱わなければならない。取り外し可能なキャップは、針シールドをその外部輪郭に係合するために可撓性把持要素を含んでもよい。
【0090】
本発明は、流体製品を分注するための自動薬物送達装置であって、
長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、近位端と反対側の遠位端、及び中空内部を有する長手方向筐体と、
筐体の近位端に装着可能な取り外し可能なキャップと、
筐体の内側の装着位置に配置され、中空注射器体及び流体製品を含む中空注射器体と結合した注射針を有する、注射器アセンブリと、
流体製品の分注を開始するためにトリガ要素によって始動することができる、駆動機構とを含み、
駆動機構は、長手方向筐体内で移動可能な安全シールドと作動可能に結合され、
安全シールドは、安全シールドが注射針の針先を覆うために長手方向筐体の近位端から突出する近位位置に付勢され、安全シールドは、注射針が注入のために露出する遠位位置に移動可能であり、
注射器アセンブリは、中空注射器体の近位端に固定されて針を覆う、針シールドを備え、
取り外し可能なキャップは、取り外し可能なキャップの取り外しにより、針シールドを取り外すように、針シールドをその外周面に係合するための可撓性把持要素を含み、可撓性把持要素は、安全シールドの近位端より大きい直径を有する、自動薬物送達装置も提供する。
【0091】
安全シールドの近位端より大きい直径を有する可撓性把持要素を提供することにより、より低い組立力で脚又はローブなどのより長い可撓性把持要素を利用できるように実現することができる。把持要素は安全シールドの近位端より大きい直径を有するので、把持要素は安全シールドの中に延在しなくてもよく、これは梱包の利点を提供することができる。装置上に取り外し可能なキャップを備えた初期状態で、安全シールドは、これにより組立が促進されるので、針シールドの少なくとも一部が安全シールドの近位端を超えて延在する位置に保持されてもよい。
【0092】
針シールドは、挿入部によって中空円錐ガラス部を係合してもよい。針及び針先を緩衝的及び無菌状態で受領するために、針シールドは、注射針を受領する柔軟な挿入部を含んでもよい。柔軟な挿入部は、針を安全に覆い、注射針並びに注射器及び針の内部に含有された薬剤の無菌を維持する。針シールドは、柔軟な挿入部を含有する管状部材を含んでもよい。管状部材の外部面は横方向把持リブ、及び、又は別法として、単に相対的に柔軟な外部面を含んでもよい。把持リブ又は柔軟な外部面は、把持要素によって係合されてもよい。
【0093】
針シールドは、その外周面上に把持されることを意図してもよい。針シールドは、例えば少なくとも1つの突起部又は凹部によって形成されて、可撓性把持要素と係合する、その外周面輪郭上に少なくとも1つの把持構造を備えてもよい。可撓性把持要素は、針シールドの外部輪郭と係合するように形成される。別法として把持することは、把持要素が剛性針シールドの挿入部のより柔軟な外部面と係合することによって実現することができる。
【0094】
可撓性把持要素は固定して装着されてもよく、又は取り外し可能なキャップ内に軸方向及び/若しくは半径方向隙間を有して配置されてもよい。可撓性把持要素を取り外し可能なキャップ内に軸方向隙間を有して浮動して配置することは、組立中に把持要素が針シールドと接触するとリムが曲がるのを促進する。把持要素は、典型的には剛性針シールドに掛かる軸方向の力を低減するように設計されてもよい。これは、崩壊を最小にし、予め充填した注射器の容器閉鎖の完全性を確実に維持するためである。把持要素が堅固に保持された場合、可撓性の力は増加し、針シールドに掛かる軸力ははるかに高くなることがある。小さい隙間の浮動を可能にし、把持要素に接触する縁部を有することは、組立力を低減し、容器閉鎖の完全性を維持する助けとなる設計の特徴である。隙間は、キャップを取り外す間に把持要素の回転も可能にすることがある。これも、コアリングの可能性を低減する有利な特徴である。
【0095】
可撓性把持要素は、取り外し可能なキャップ内に装着する装着部を有する、可撓性座金型構成要素、例えばブレードワッシャによって形成されてもよい。可撓性座金型構成要素などの可撓性把持要素は、針シールドを係合するために半径方向内方に突起する少なくとも1つの把持アーム又はローブを含んでもよい。ブレードワッシャは、設置する時に概ね円錐台形状を有してもよい。
【0096】
可撓性把持要素は、外周、例えばリング形状体を包囲する円形外周を有してもよい。可撓性把持要素は、リング形状体と一体形成された少なくとも2つの半径方向内方に延在するローブ又はアームを含んでもよく、リング形状体は円形半径方向内部の把持特徴で終了してもよい。
【0097】
可撓性把持要素は、平坦又は円錐台形状を有してもよく、使用時にあらゆる把持アーム又はローブは、軸バネ作用及び/又は把持力、すなわち剛性針シールドの外部面を把持する力を提供するために、曲げるように適合されてもよい。このような把持力は、半径方向中心位置に向かって、ひいては剛性針シールドに向かって曲げられた把持アームを付勢する力であってもよい。
【0098】
把持要素の外部幾何形状は、利用可能な組立負荷若しくは梱包空間に適する円形又はあらゆる他の幾何形状であってもよい。把持要素の一部に半径方向に形成された複数の延在するローブが存在してもよく、ブレードの幾何形状は、組立中にある特定の挿入力、及び取り外し可能なキャップが長手方向筐体から取り外される時に、剛性針シールドからの力を保持する機能を実現するために、あらゆる型であってもよい。把持要素は、一部を予め形成することができる。把持要素の外周に沿ってリブを形成することは有利であることがある。これは、キャップを取り外す間に取り外し可能なキャップの内側で把持要素を回転できることがある。取り外し可能なキャップが回転し、把持要素が長手方向に引かれるだけである場合、コアリングと呼ばれる阻害条件はそれによって取り除くことができる。意図しないコアリングは、例えば先行技術で剛性針シールドの材料が注射器アセンブリの針ハブを中心に回転する時に起きる。コアリングは、次いで意図せずに取り外されたゴムのプラグを針の内側に残す可能性があり、これは装置が正しく機能するのを止める妨害を妨げるために全体的に回避される。
【0099】
取り外し可能なキャップは、取り外し可能なキャップ上又は内側に装着可能な近位端キャップカバーを含んでもよく、可撓性把持要素は、取り外し可能なキャップ上又は内に形成された受領構造と近位端キャップカバーとの間の装着空間に配置される。
【0100】
剛性針シールドは、組立中に把持要素によって軸方向に加えられた最小抵抗力と、好ましくは1N~50Nの範囲で把持要素によって係合可能であってもよい。
【0101】
本発明は、前述の請求項のいずれかに主張されたように、自動薬物送達装置を組み立てる方法であって、
電源ユニット・サブアセンブリ、注射器アセンブリ、注射器ホルダ、及び近位サブアセンブリを提供することであって、
近位サブアセンブリは、長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、近位端と反対側の遠位端、及び中空内部を有する長手方向筐体、並びに筐体の近位端に装着された取り外し可能なキャップを含み、取り外し可能なキャップは可撓性把持要素を含み、近位サブアセンブリは、安全シールドを更に含み、可撓性把持要素は安全シールドの近位端より大きい直径を有し、
第1の注射器アセンブリは、中空注射器体及び流体製品を含む中空注射器体と共に形成された注射針を含み、注射器アセンブリは、中空注射器体の近位端に固定されて針を覆う、針シールドを備え、
電源ユニット・サブアセンブリは、流体製品の分注を開始するために、トリガ要素によって始動できる駆動機構を含む、提供することと、
注射器アセンブリを注射器ホルダ内に装着することと、
可撓性把持要素が針シールドをその外周面で係合するように、針シールドが可撓性把持要素を通って延在するように、注射器アセンブリ及び注射器ホルダを近位サブアセンブリの中に挿入することと、
駆動機構が安全シールドと作動可能に結合されるように、電源ユニット・サブアセンブリを近位サブアセンブリに装着することとを含む、方法も提供する。
【0102】
取り外し可能なキャップは、取り外し可能なキャップに装着可能な近位端キャップカバーを含んでもよく、可撓性把持要素は、取り外し可能なキャップの内側の受領部と近位端キャップカバーとの間の装着空間内に配置される。
【0103】
把持要素は、針シールドが位置合わせされていない位置、例えば取り外し可能なキャップ内で軸方向に位置合わせされずに付勢されるように、非対称の把持力を提供してもよい。これは、種々のやり方で達成されてもよく、例えば把持要素の1つ又は複数のローブは、剛性針シールドを係合する時に剛性針シールド上に非対称力の負荷が存在するように、その他のローブと異なる形状及び/若しくは長さを有することができる。これは、剛性針シールドがその元の位置から偏向するように、傾斜又は回転作用を引き起こす。それによってキャップが一旦取り外されると、筐体上に再度キャッピングすること、すなわちキャップを再度取り付けることは、妨げる又は避けることができる。
【0104】
投与端部の特徴
自動薬物送達装置は、作動状態を示すためにユーザに触覚及び/又は可聴及び/又は可視フィードバックを提供するフィードバック機構を更に含んでもよく、フィードバック機構は、筐体の遠位端内に現れる可視表示器を含んでもよい。可視表示器は窓内に現れてもよく、窓は孔によって提供されてもよく、又は透明若しくは半透明材料から作成されてもよい。前記窓及び/又は筐体の遠位端は、可視表示器が360°までの範囲の角度で現れるように、その全周を中心に透明又は半透明であってもよい。窓及び又は筐体の遠位端は、筐体によって、又は筐体に結合された別個の部品、例えば端部キャップによって提供されてもよい。
【0105】
本発明は、流体製品を分注するための自動薬物送達装置であって、
長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、近位端と反対側の遠位端、及び中空内部を有する長手方向筐体と、
筐体の近位端に装着可能な取り外し可能なキャップと、
筐体の内側の装着位置に配置され、中空注射器体及び流体製品を含む中空注射器体に結合した注射針を有する、注射器アセンブリと、
流体製品の分注を開始するためにトリガ要素によって始動することができる、駆動機構とを含み、
駆動機構は、長手方向筐体内で移動可能な安全シールドと作動可能に結合され、
安全シールドは、安全シールドが注射針の針先を覆うために長手方向筐体の近位端から突出する近位位置に付勢され、安全シールドは、注射針が注入のために露出する遠位位置に移動可能であり、
装置は、ユーザに作動の実際の状態を示す可視フィードバックを提供するフィードバック機構を更に含み、フィードバック機構は、筐体の遠位端上の透明窓内に現れる可視表示器を含む、自動薬物送達装置も提供する。
【0106】
可視表示器は、透明窓内に現れるために遠位に動いてもよい。可視表示器は、表示器のバネにより表示器の位置に付勢した半径方向内部表示器構成要素及び半径方向外部表示器構成要素によって形成されてもよい。外部表示器は、薬物の所定の投与量の送達が患者に送達された後に、表示位置に解除されてもよい。所定の投与量はあらゆる所定の投与量であってもよいが、大半の投与量、投与量の70%超、投与量の90%超、又は投与量の実質的に全てであってもよい。所定の投与量は、可視表示器の出現が注入の終わりを表示するように、投与量の大部分であってもよい。可視表示器は、注入の終わりを表示するために筐体の遠位端上の透明窓内に現れてもよい。
【0107】
外部表示器構成要素は、可視面を含んでもよい。可視面は、可視表示器を提供することを意図した面である。可視面は、可視面が装置の他の面又は構成要素と容易に区別できるように、色、形状、パターン、記号及び画像の1つ又は複数を含んでもよい。内部表示器構成要素は、可聴及び/若しくは触覚信号を提供するために、筐体又は別個の部品、例えば筐体に結合された端部キャップと相互作用してもよい。
【0108】
装置は、遠位面によって閉鎖される遠位端キャップを含んでもよい。遠位端キャップは、透明窓を提供するために、透明材料から形成されてもよい。遠位面は、透明材料から形成されてもよい。
【0109】
安全シールドバネは、シールド保持トリガ要素とシールド保持表示器部材との間で支持されてもよい。シールド保持トリガ部材は、安全シールドバネの近位端を支持してもよく、安全シールドを近位方向に付勢するために安全シールドのその長手方向アーム又は各長手方向アームの遠位端に付勢力を加えてもよい。シールド保持表示器部材は、安全シールドバネの遠位端を支持してもよい。
【0110】
本発明は、流体製品を分注するための自動薬物送達装置であって、
長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、近位端と反対側の遠位端、及び中空内部を有する長手方向筐体と、
筐体の近位端に装着可能な取り外し可能なキャップと、
筐体の内側の装着位置に配置され、中空注射器体及び流体製品を含む中空注射器体に結合した注射針を有する、注射器アセンブリと、
流体製品の分注を開始するためにトリガ要素によって始動することができる、駆動機構とを含み、
駆動機構は、長手方向筐体内で移動可能な安全シールドと作動可能に結合され、
安全シールドは、安全シールドが注射針の針先を覆うために、長手方向筐体の近位端から突出する近位位置に付勢され、安全シールドは、注射針が注入のために露出する遠位位置に移動可能であり、
安全シールドは、長手方向筐体内に案内された遠位方向に延在する少なくとも1つの長手方向アームを有し、安全シールドは、少なくとも1つの長手方向アームを介して安全シールドを近位方向に付勢する安全シールドバネと相互作用し、安全シールドバネは、シールド保持トリガ部材とシールド保持表示器部材との間で支持され、シールド保持トリガ部材は、安全シールドバネの近位端を支持し、安全シールドの長手方向アームの遠位端に付勢力を加え、シールド保持表示器部材は、安全シールドバネの遠位端を支持する、自動薬物送達装置も提供する。
【0111】
駆動機構は、駆動バネによって近位方向に付勢されたプランジャを含んでもよい。プランジャは、注射器体内に密封可能に案内され、注射器体内に含まれた流体製品に作用するストッパに作用してもよい。注射器ホルダは、プランジャによって注射器体上に加えた軸力を受領してもよく、力を長手方向筐体に伝達してもよい。
【0112】
負荷又は活性化された駆動機構は、保持具を含んでもよい。保持具は、装置の遠位端から注射器体まで延在してもよい。保持具は、半径方向に偏向可能な少なくとも1つの可撓性アームを含んでもよい。少なくとも1つの可撓性アームは、プランジャを負荷された位置に保持するために使用されてもよく、そこでプランジャは近位方向に付勢される。
【0113】
保持具は、注射器体を近位方向に付勢するために弾性的に偏向可能であってもよい。保持具は、2つの対向する突起部を有する近位リング形状頭部を含んでもよい。突起部は注射器体に接触してもよく、近位リング形状頭部が注射器体に接触するように、より大きい直径を有する注射器体内に嵌合するように構成されてもよい。例えば突起部は、1mlの注射器の注射器体に接触してもよく、2mlの注射器体内に嵌合するように構成されてもよく、2mlの注射器体は、近位リング形状頭部が2mlの注射器体に接触するように、より大きい直径を有する。
【0114】
少なくとも1つの可撓性アームは、面取りした半径方向外方突起部及び面取りした半径方向内方突起部を更に備えてもよい。面取りした半径方向内方突起部は、プランジャを負荷された位置に保持するために、プランジャの対応する係合面と相互作用するように提供されてもよい。少なくとも1つの可撓性アームは、面取りした半径方向外方突起部を用いてシールド保持トリガ要素の内周面と相互作用してもよい。
【0115】
安全シールドは、流体製品の分注を開始するために遠位方向に押圧されると、シールド保持トリガ要素が安全シールドバネを圧縮するように、シールド保持トリガ要素を遠位方向に動かしてもよい。安全シールドの所定のストロークの後、シールド保持トリガ要素は、半径方向外方に動くために少なくとも1つの可撓性アームを解除してもよく、それによってプランジャは流体製品が注射器体から針を通って押し出されて分注するために、駆動バネの付勢力を受けて近位方向に動くように解除される。
【0116】
シールド保持表示器は、少なくとも1つの長手方向保持アームを含んでもよく、シールド保持表示器は、表示面が筐体を通して見えない(窓開口を通して、又は筐体の透明部を通して、見えない位置にある少なくとも1つの保持アームによって保持されてもよい。こうしてシールド保持表示器は、可視表示器を提供する。少なくとも1つの保持アームは、プランジャが所定の分注位置に届かない限り、保持具によって保持されてもよい。プランジャは、所定の分注位置に届くと、保持具から少なくとも1つの保持アームを解除する。少なくとも1つの保持アームを解除した後、シールド保持表示器は、安全シールドバネにより、表示面が筐体を通して見ることができる可視位置に押圧されてもよい。触覚及び/又は可聴信号は、シールド保持表示器がその最終的な可視位置に届くと発生される。
【0117】
シールド保持表示器が解除されて可視位置に動かされ、安全シールドが針先を覆う位置に付勢された後、シールド保持表示器は、シールド保持トリガ部材の遠位の動きを防ぎ得、シールド保持トリガ部材は、安全シールドの遠位の動きを防ぎ得る。このやり方で、構成要素の係止した鎖は、安全シールドの遠位方向の動きを防ぐために、装置の一端から他端に形成することができる。
【0118】
シールド保持表示器は、環状円筒要素を有する中空円筒体によって形成されてもよく、環状円筒要素は、筐体の幾何形状に適合した弓状伸長部又はローブによって伸長することができる。シールド保持表示器は、摺動可能だが形を適合して、長手方向筐体の中空円筒体の伸長部によって受領されてもよい。シールド保持表示器は、平滑な外周面を有する。その近位端で、シールド保持表示器は、複数の、好ましくは4つの長手方向可撓性アームを備えてもよく、それぞれは近位自由端部を有する。可撓性アームの自由端部は、半径方向内方に延在する突出部を備え、短い長手方向の面取りしたリブによって補強することができる。シールド保持表示器の遠位端は、円形開口を備えることができる。
【0119】
シールド保持表示器のアームは、上記のように可撓性であり、従って使用後に安全シールドの遠位方向の動きの程度をある特定の非常に限られた量に減らす。しかしこのわずかに低減した動きの他に、これらのアームは、安全シールドの遠位方向の動きを遮断し、アームは、長手方向筐体の中空円筒体に対して半径方向外方に歪むように構成される。それによって装置は、使用後に非常に安全なロックアウトを提供し、針に容易に接近するのを防ぐ。
【0120】
シールド保持表示器の外周面は、信号色、すなわち黄色、オレンジ色若しくは赤色、又はユーザに明瞭に見える信号パターンを有してもよい。それによって本発明による薬物送達装置の作動について検討するように、自己注射器のユーザ、すなわち医師若しくは患者、又は介護者は、シールド保持表示器が外側から長手方向筐体を通して明瞭に見える信号位置に移動された時に、容易に認識することができる。
【0121】
シールド保持表示器の内部要素は、より小さい直径を持つ第1の中空円筒部及びより大きい直径を持つ拡大した第2の中空円筒部を有する、段付き管体によって形成されてもよい。その近位端では、シールド保持表示器の内部要素は、近位方向に延在する2つの対向する可撓性長手方向アームを備えてもよく、第1の部分は長手方向に走り、第2の部分は半径方向内方にわずかに傾斜し、第3の部分は長手方向だが第1の部分より更に半径方向内方である半径方向レベルに延在する。その近位端では、各アームは、半径方向外方に延在する傾斜した保持突起部を有してもよい。
【0122】
シールド保持表示器の内部要素の遠位部は、シールド保持表示器の遠位端とほぼ同じ丸みを帯びて伸長した断面を有する端板を備えてもよい。第2の中空円筒部の外周面の直径は、シールド保持表示器の遠位端に提供された円形開口内に受領するように適合することができる。
【0123】
装置の安全基準を増すために、装置は、初期位置で長手方向筐体内にロックリングを更に提供してもよい。ロックリングは、作動中に安全シールドに係止されてもよく、ロックリングは、流体製品が最終的に分注されて自動薬物送達装置が注入場所から取り外された後、安全シールドが針を覆うと、安全シールドの遠位方向の動きを遮断する。
【0124】
初期状態でロックリングは、受領構成要素によって保持されてもよく、ロックリングは、安全シールドが遠位方向に押圧された後に安全シールドと係合する。ロックリングは、自動薬物送達装置を注入場所から取り外した時、安全シールドバネのバネ力を受けて安全シールドと共に近位方向に動かされる。その上、ロックリングは、針を覆う時に受領構成要素に対して安全シールドの遠位方向のあらゆる動きを遮断してもよい。
【0125】
プランジャが保持具から解除された後、安全シールドの近位の動きは、プランジャが所定の分注位置に届くまで防止されてもよい。この所定の位置は、シールド保持表示器と同じ所定の位置であってもよいが、同じである必要はない。これは、偶発的に取り外されたことにより安全シールドが針を覆い、ひいては残りの投与量を無駄にするより、むしろ偶発的に取り外され、次いで針を再挿入できてもよい。安全シールドが縮小状態に留まることにより、安全シールドに作用する付勢力が装置を皮膚から動くように作用しないので、ユーザが装置を皮膚に保持することも容易にさせることができる。
【0126】
安全シールドは、シールドバネの力に対して長手方向アームを介して端部キャップによって遠位方向に部分的に筐体の中に加圧されてもよい。トリガ要素は、長手方向アームとシールドバネとの間で中間要素として作用してもよい。組み立てた状態のトリガ要素は、その突起部及びあらゆるクリップ特徴を介して安全シールドのアームの遠位端内で、遠位端に永久に結合することができる。突起部は、長手方向アームの遠位端で内部ガイド輪郭内に受領することができる。その上、面取りした突起部は、それぞれがあらゆるクリップ特徴の際に貫通孔又は凹部の中に係合することができ、それによって組み立てた状態で、安全シールドのアームがトリガ要素から軸力を受けて分離するのを防ぐ。突起部のチャンバ及びアームの遠位端のガイド輪郭は、組立工程を促進する。
【0127】
シールドバネの近位端は、トリガ要素の遠位部に対して係合してもよく、トリガ要素の周囲又は横方向リブに対して当接してもよい。シールドバネの遠位端は、シールド保持表示器の遠位端を介してシールド保持表示器の内部要素の板のフランジを付けた近位面に対して加圧してもよい。
【0128】
その円筒体を備えたシールド保持表示器は、シールド保持表示器の内部要素並びにシールドバネを受領して包囲してもよい。シールド保持表示器の長手方向アームは、あらゆる横方向タブ及び/又は箱型構造の間に提供された間隙を通って近位方向に延在してもよく、長手方向アームのそれぞれは、トリガ要素から半径方向外方に突起してもよい。長手方向アームは、シールド保持表示器のアームの突出部が保持具の外周面を係合するように、トリガ要素を通過してもよい。
【0129】
保持具及び連結した構成要素は、遠位端キャップ内に、例えば内周突起部と共に把持する中空円筒体によって形を適合して保持具の外周スロットの中に固定して保持されてもよい。それによって保持具は、軸方向のあらゆる動きに対して、並びに傾斜に対して装置内に固定することができる。
【0130】
シールド保持表示器は、シールド保持表示器の内部要素と一緒に圧縮したシールドバネ及び得られる軸駆動力にもかかわらず、シールド保持表示器の内部アームを用いて軸位置に保持されてもよい。これは、保持具の長手方向切欠きを通して到達し、保持具の対応する切欠きに架橋する保持具の横方向突起部の背後でそれらの半径方向に保持突起部と係合する、アームによって達成することができる。その上、この状態でアームの内側で半径方向に配置されたプランジャの外周面は、アームが半径方向内方に曲がって横方向突起部上で保持機能から逃れるのを防いでもよい。
【0131】
プランジャは、圧縮状態で主バネを保持することができる。圧縮した主バネの近位端は、プランジャの近位端に対して加圧してもよい。プランジャの近位端は、ストッパ要素に近い注射器の中空ガラス体内に摺動可能に受領することができる。主バネの遠位端は、プランジャから突出してもよく、その遠位端に対して支持される保持具の中空内部内に受領することができる。プランジャは、可撓性アームの間で半径方向内方突起部との係合に起因して、主バネの駆動力に対してその軸位置に保持することができ、突起部はプランジャ内に提供された貫通孔の中に係合する。可撓性アームは、それらの外方半径方向突起部とトリガ要素の内周面との間の接触によって適位置に保たれるので、可撓性アームは、圧縮された主バネの駆動力に反応して半径方向外方に曲げることができない。それによってプランジャは、保持具の可撓性アーム及びそれらの半径方向内方突起部によって保持される。
【0132】
更なる特徴
注射器アセンブリは、流体製品を含有する中空注射器体及び中空注射器体と共に形成した注射針を含んでもよい。用語中空注射器体は、中空カートリッジ又は他の中空体を含むことを意図し、中空体の中でピストン又は可動ストッパは、そこから流体が出口を介して排出することができる可変容積チャンバを生成するために動くことができることを理解するべきである。出口は、固定針注射器に見られる針などの一体注射針を含んでもよく、又は注射針は、ルアーロック、ネジ式連結若しくは他の適切な連結などの別の方法で中空体に結合してもよい。そこから流体を排出できる出口は、自動薬物送達装置の作動中に、例えば膜に穴を開ける注射針の裏部によって生成することも可能である。
【0133】
筐体の少なくとも一部の断面における筐体は、揺れ止め機能を提供するために非円形形状を有してもよい。筐体は、不透明又は透明材料によって全体又は一部が形成されてもよい。
【0134】
流体製品は、典型的にはヒト又は動物対象への非経口投与に適した医薬組成物/製剤である。医薬組成物/製剤は、低分子量化合物及び/若しくは組換産物などの生物学的医薬品を含む、1つ又は複数の医薬用活性物質を含む。医薬用活性物質の例は、抗体(その全長又は活性断片)、ポリペプチド/ペプチド及び誘導体、従って更に核酸分子を含み、核酸分子は、媒介体、ウイルス粒子、任意選択で脂質などの送達ビヒクルとの組合せの一部であってもよい。核酸及びポリペプチド/ペプチドは、生物学的過程又は合成的に生成されてもよい。一例では、流体製品は、セクキヌマブ(secukinumab)、カンキヌマブ(cankinumab)、ビマグルマブ(bimagrumab)、オマリズマブ(omalizumab)、テシドルマブ(tesidolumab)、イオデルシズマブ(iodelcizumab)、エルゲムツマブ(elgemtumab)、ラクノツズマブ(lacnotuzumab)、オファツムマブ(ofatumumab)、リゲリズマブ(ligelizumab)、ラニミズマブ(ranibizumab)、ブロルシズマブ(brolucizumab)及びイアナルマブ(ianalumab)から選択した医薬用活性物質を含む。
【0135】
本発明は、流体製品、具体的には流体薬剤を分注するための自動薬物送達装置、具体的には自己注射器であって、
長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、近位端と反対側の遠位端、及び中空内部を有する長手方向筐体と、
筐体の近位端に装着可能な取り外し可能なキャップと、
筐体の内側の装着位置に装着され、中空注射器体及び流体製品を含む中空注射器体と一体形成された注射針を有する、注射器アセンブリと、
流体製品の分注を開始するためにトリガ要素によって始動することができる、負荷又は活性化された駆動機構と、
ユーザに作動の実際の状態を表示する触覚及び/又は可聴及び/又は可視フィードバックを提供する、フィードバック機構とを含み、
注射針は、注射器アセンブリがその装着位置にある時に、筐体の近位端から鋭い針先で突出し、
負荷又は活性化された駆動機構は、長手方向筐体内で移動可能な安全シールドに作動可能に結合され、
安全シールドは、安全シールドがその鋭い針先を備えた注射針を覆うために長手方向筐体の近位端から突出する近位位置に付勢され、安全シールドは、その鋭い針先を備えた注射針が注入のために露出する遠位位置で付勢する力に対して移動可能であり、
使用中に自動薬物送達装置は以下の作動状態、すなわち
自動薬物送達装置が完全に組み立てられ、取り外し可能な端部キャップが長手方向筐体に装着された、初期状態と、
取り外し可能な端部キャップが筐体から取り外されており、安全シールドが針先を覆う、すぐに使える状態と、
自動薬物送達装置が患者の皮膚に押圧され、それによって安全シールドが長手方向筐体の中に押圧されて注入のために針先を解除する、トリガ状態と、
流体製品が患者の組織の中に分注される、分注状態と、
流体製品が完全に分注されており、自動薬物送達装置が患者の皮膚から取り除かれており、安全シールドが針先を覆う、使用状態とを含む、自動薬物送達装置にも関する。
【0136】
安全シールドは、長手方向筐体内に案内された遠位方向に延在する、少なくとも1つ、恐らく2つの長手方向アームを備えてもよい。安全シールドは、安全シールドバネと相互作用してもよく、安全シールドバネは、その長手方向アーム又は各長手方向アームを介して安全シールドに近位方向に付勢する。これにより、比較的単純で小型の始動機構が可能になり得る。基本の機械的な始動及び付勢機能は、安全シールド及び注射器アセンブリから離れた筐体の遠位端に集中させることができる。
【0137】
負荷又は活性化された駆動機構は、駆動バネにより近位方向に付勢されたプランジャを含んでもよい。プランジャはストップに作用してもよく、ストッパは注射器体内に密封可能に案内されてもよい。プランジャは、注射器体内に含まれる流体製品に作用してもよい。
【0138】
駆動バネの近位端は、プランジャの遠位端に作用してもよい。駆動バネの遠位端は、固定端部キャップに作用してもよく、端部キャップは長手方向筐体の遠位端に固定されてもよい。固定端部キャップは、駆動バネを長手方向に案内するためにロッド部材を含んでもよい。固定端部キャップは、又スナップ嵌合係合により長手方向筐体に装着されてもよい。
【0139】
駆動バネの遠位端は、プランジャの遠位端と一緒に固定端部キャップ内に回転可能に配置された回転クリック要素内に受領されてもよい。回転クリック要素及び固定端部キャップは、鋸歯輪郭を係合して対応してもよく、固定端部キャップに対して1つの回転方向に回転クリック要素の相対回転を可能にし、反対の回転方向への相対回転を防ぐ。回転クリック要素は、固定端部キャップに対して回転クリック要素の回転位置に依存して、その軸位置に設定可能であってもよい。回転クリック要素の最初に選択した回転位置に依存して、可聴又は触覚信号の強度を選択することができる。
【0140】
本発明による自己注射器は、異なるサブアセンブリ、例えば端部キャップ、予め充填した注射器ユニット、及び電源ユニット・サブアセンブリを含む近位サブアセンブリによって形成されてもよい。これらの3つのサブアセンブリは、本発明による装置を組み立てるための別個の予め組み立てたモジュールとして提供されてもよい。これは、注射器ユニット及び電源ユニットを予め組み立てることができる。その上、対応する予め充填した注射器は、密封して薬物送達のために所定の容積を備えてその中に提供された需要のある薬剤と共に使用することができる。
【0141】
3つのサブアセンブリは、(必要であれば)注射器ユニット内で又は注射器ユニットなしに予め充填した注射器を注射器ホルダの中に挿入することにより、完全な自己注射器を形成するために組み立てることができ、その後遠位側から注射器ユニットの本体の開口遠位端の中に、所定の分離不可能な位置で係止するまで電源ユニットに差し込む。このモジュラ構造により、本発明による装置は、誤差のないやり方で容易に組み立てることができる。用語予め充填した注射器ユニット又は予め充填した注射器は、本明細書では注射針に結合された注射器体を指すために使用することを理解するべきである。注射器体は、注射針を通して排出できる薬剤を充填した可変容積のチャンバを含む。
【0142】
必要であれば、注射器は、注射器アセンブリ若しくは注射器サブアセンブリを提供するために、筐体内若しくは筐体の外側で注射器ホルダに取り付け、又は結合してもよい。
【0143】
近位注射器ユニット・サブアセンブリは、端部キャップ体、ブレードワッシャ及び近位端部キャップカバーによって形成された取り外し可能なキャップを含んでもよい。その上、近位注射器ユニット・サブアセンブリは、安全シールド、長手方向筐体及び注射器ホルダを含んでもよい。
【0144】
注射器サブアセンブリは、挿入部を備えた剛性針シールド、固定針を備えたガラス体、薬剤及びストッパを含んでもよい。
【0145】
電源ユニット・サブアセンブリは、トリガ要素、トリガバネ、シールド保持表示器、プランジャ、駆動バネ、保持具、シールド保持表示器内部要素及び遠位端キャップを含んでもよい。
【0146】
プランジャは近位端を有してもよく、近位端は、異なる注射器の大きさに、好ましくはアダプタ片と結合することにより適切に適合できる。
【0147】
装置は、筐体の外側にラベルを有してもよく、ラベルは、使用前に光及び使用表示器の端部を見る機能を抑制する、黒い内部面を含む。装置は、不透明であり、それによって使用前に使用表示器の端部を見る機能を防ぐ、又は使用前に使用表示器の端部をユーザが見る機能を制限するように十分に不透明である、筐体の外側にラベルを有してもよい。
【0148】
安全シールドは、その近位端に2つの直径方向に対向する長手方向アームを備えた、リング形状の中空円筒体を含んでもよい。本体及び長手方向アームのこの配置は、一体形成又は別個の片で形成することができる、すなわち円筒体は着色した材料から形成することができる別個のカバーを含んでもよい。
【0149】
リング形状体は、その遠位端付近に1つ又は複数の突起部を有してもよい。リング形状体の遠位端は、1つ又は複数の対向するスロットを持つ丸みを帯びた外周リングを有する環状襟を備えてもよい。長手方向中空部は、この環状襟から遠位方向に延在してもよく、スロットによって2つの別個の半体に分割される。2つの長手方向アームは、襟の遠位端と一体形成することができ、襟と第1の長手方向アーム部との間の第1の移行部が第1の肩を形成するように段付きコースを有し、第1の長手方向アーム部と第2の長手方向アーム部との間の第2の移行部は、第2の傾斜した肩を形成する。各第2の長手方向アーム部は、その外周面に半径方向外方に突出し、近位方向に面する鋭い半径面及び遠位方向に面する傾斜した面取りした面を有する、突起部を有してもよい。突起部と同一直線上で、長手方向アーム部はその遠位端付近に長方形の貫通孔を有する。
【0150】
各第2の長手方向アーム部の外周面は、内部ガイド突起部を含んでもよい。その上、円筒体の内周面は、半径方向内方に突出するガイドリブを含んでもよい。これらの内部ガイドリブは、注射器を組立中に剛性針シールドを案内することができる。別法として、各第2の長手方向アーム部の外周面は、ガイドリブを有してもよく、円筒体の内周面はガイド突起部を含んでもよい。
【0151】
円筒体は、円筒体が患者の皮膚を損傷又は擦傷しないように、平滑に形成してその前(近位)端上を面取りしてもよい。上述したように、円筒体は、長手方向アームと一緒に単一片構造又は複数片アセンブリであってもよい。
【0152】
筐体は、装置の本体を形成する目的を有する。筐体は、安定した剛性で透明又は不透明の材料から形成される。全体が透明でない場合、筐体は、ユーザに注射器の液体内容物及び装置の状態を見せることができるために、薬物を見る切欠き又は透明窓を備えて形成することができる。追加として又は別法として、ストッパの位置は、ユーザがこのような窓を通して見ることができてもよい。装置の状態は、注射器体内にストッパの位置を含んでもよい。筐体は、長手方向管状部材によって形成される。その近位端に、管状部材は、概ね円形断面及び前面を有する中空円筒部を備えてもよい。近位端から少し離れて、長手方向部材は、例えば取り外し可能な端部キャップが取り外された時のために、平面上に揺れ止め機能を備えた更なる幾何形状を提供するために、端部キャップカバーと概ね同じ形状及び断面を有するアーチ状伸長部又はローブを備えることができる。
【0153】
筐体の近位端に、円筒部は、その内周面に半径方向内方に突出するリブ状の対向する突起部を備えてもよく、突起部は隠れており、又は外側に目立たないことがあり、突起部は取り外し可能な端部キャップと相互作用するように適合される。その上その中央部に、筐体は、ガイドスロットの機能を有する2つの対向する長手方向貫通孔を備えてもよい。別法として、これらの貫通孔は、ガイドチャネルによって置換することができ、ガイドチャネルは、筐体の内側に開くが、その外周面上で閉じる。ガイドスロットと同一直線上だが遠位端により近くで、筐体は更に対向する貫通孔を備えてもよく、貫通孔は別法として内部凹部として提供することもでき、内部凹部は外周面で閉じる。その遠位端の近くで、筐体は、1対の対向する横方向貫通孔を備えてもよく、貫通孔は別法として内部凹部として提供することもでき、内部凹部は、電源ユニット・サブアセンブリに取り付けるために外周面で閉じる。遠位端は、遠位前面を更に備えてもよく、遠位前面は、電源ユニットとの回転結合を高めるために2つの対向する短いノッチを有する。
【0154】
その内部に、筐体はリング又は二重リング構造を備えてもよく、リング又は二重リング構造は、少なくとも1つの剛性連結アームを用いて円筒部の領域で管状部材に一体的に連結される。連結アームは、周方向に走る2つの横長手方向連結リブ及び1つの横方向連結リブを備えた、安定したU字形構造によって形成することができる。連結リブの大きさ及びU字形断面形状は、構造の剛性を筐体に提供するべきである。この接合幾何形状も、構成要素が成形される時に材料の流れにとって重要である。
【0155】
その上、リング構造又は二重リング構造は、円錐移行部と共に中空内部リングに走る外部リングを有してもよい。近位端まで、補強リブは、外部リングと内部リングとの間の連結を安定させてもよい。遠位端に、円錐移行部は、1つ若しくは複数の切欠き及び/又はリブ状軸突起部を備えてもよい。切欠き及び軸突起部の配置は、予め充填した注射器を直接又は注射器ホルダと連結して位置付けてもよい。
【0156】
トリガ要素は、広く円筒形状の中空体によって形成されてもよい。その近位端で、トリガ要素は、面取りしたリムによって囲まれ、半径方向に延在する2つの対向する横方向タブを備えた前面を有する。これらの横方向タブの前面から、2つの長方形突起部は、長手方向軸方向に延在してもよい。突起部は、安全シールドを付勢するために半径方向外方に延在する、面取りした突起部を備えることができる。管形状中空体は、遠位方向に延在してもよく、その中間部に長手方向リブにより補強した近位端に連結した包囲環状補強リブを提供する。近位端と補強リブとの間に、2つの対向する長方形中空箱要素又は他の壁構造によって形成された凹部は、トリガ要素の外周面に提供されてもよく、これらの箱要素又は凹部はそれぞれが中空空間を提供し、その中に追加の構成要素、例えば電子センサなどを提供することができる。トリガ要素は、薬物送達装置の使用中に以下に記載したシールド保持表示器のための臨時の遮断要素として作用する。
【0157】
更に遠位方向に、管状中空体の外周面は、例えばバネを支持するためにL字形輪郭を有する、更なる環状及び周囲補強リブを備えることができる。トリガ要素の管状中空体の遠位端は、前面を有する中空円筒部によって形成することができる。その内部に、トリガ要素は、複数の、好ましくは4つの長手ガイドリブを備えてもよく、2対のこれらのガイドリブはそれぞれがアーチ状連結リブによって連結され、アーチ状連結リブは管状中空体の内周面に沿って周方向に延在する。
【0158】
端板は、ラベルが透明筐体の外部面上にある時に、不透明で容易に見える表示器の着色した面であってもよい。
【0159】
シールド保持表示器内部要素を遠位方向に付勢するシールドバネは、シールド保持表示器内部要素とシールド保持表示器との間に隠すように配置することができる。表示器全体の配置は、使用時にユーザに面し、容易に見える薬物送達装置の遠位で一部に配置することができる。
【0160】
遠位端キャップは、長手方向筐体の遠位端と同じ断面輪郭を有する、すなわちアーチ状伸長部又はローブで丸みを帯びた遠位端キャップ体を有してもよい。遠位端キャップ体は、透明材料から形成され、遠位面によって閉鎖されてもよい。周囲面と遠位面との間の移行部は、丸みを帯び又は面取りすることができる。その近位端に、遠位端キャップは、組み立てた状態で長手方向筐体の遠位端内に形を適合して受領することができる、スカート部を備えてもよい。従ってスカート部は、低減した外径及び段付き面を介して遠位端キャップ体への移行部を有する。
【0161】
段付き面の領域に、遠位端キャップは、長手方向筐体について記載されたノッチに対応する長手方向突出部を提供してもよい。突出部とノッチとの相互作用により、遠位端キャップは、長手方向筐体に対して位置付けることができる。その上、スカート部は、複数の長手方向突起部を提供するためにスロットを付けてもよい。これらの長手方向突起部の外周面は、それぞれが面取りしたスナップ嵌合突起部を備えて形成されてもよい。これらの突起部は、装置を組み立てる時に、長手方向筐体に提供された対応する貫通孔とスナップ嵌合して係合される。
【0162】
突起部と貫通孔との間のスナップ嵌合係合は、一旦組み立てられると容易に分離できるべきではないことを述べておく。本発明による装置は、使い捨て装置であり、遠位端キャップは、長手方向筐体に固定した後に再度筐体から取り外されることはない。装置は、使用後に注射器を交換若しくは再充填すること、若しくは一旦使用されると装置の内部及び構成要素に何らかの他の接近をさせることを、提供又は意図しない。
【0163】
遠位端キャップの内部を見ると、端部キャップは、遠位端キャップの底面と一体形成された中空円筒体を備えてもよい。好ましくは、遠位端キャップは、表示器が装置の使用状態を示すために360°の窓を提供する、透明又は不透明材料によって形成される。その内部に、遠位端キャップは、保持具の遠位端内に受領した駆動バネの遠位体を受領するための中空受領部、例えば円筒中空体を含む。しかし保持具に中間色を選ぶことにより、この配置は外側から透明の遠位端キャップを通して見えない。
【0164】
装置を組み立てた状態又は初期状態で、端部キャップは長手方向筐体の上に取り付けられ、端部キャップは、端部キャップ体の内側に形成された2つの突起部の間の対応する受領空間内で、筐体の近位端上に形成された各内部突出部の係合によって周方向に保持される。その上、端部キャップは、それぞれが端部キャップ体の内部リング部上に形成された突起部の背後に置かれた、筐体の近位端内に形成された内部突出部のそれぞれの係合によって長手方向に保持することができる。それによって、取り外し可能なキャップは、突起部により軸引抜力に対抗して、更に受領空間を形成する対向する突起部によって捻り取る力の閾値より低い小さい捻り取る力に対抗して、筐体上に保持することができる。
【0165】
長手方向筐体は、それを通して操作の実際の状態がユーザに見える、少なくとも透明部若しくは窓を有する、透明又は不透明材料によって形成されてもよい。
【0166】
本発明について、例のみとして以下の図面を参照して更に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【
図2-3】
図2はそのサブアセンブリ、具体的には取り外し可能なキャップ、安全シールド、長手方向筐体及び注射器ホルダを示す、
図1による薬物送達装置の分解図である。
図3はそのサブアセンブリ、具体的には予め充填した注射器を示す、
図1による薬物送達装置の分解図である。
【
図4】そのサブアセンブリ、具体的にはトリガ要素、トリガバネ、シールド保持表示器、プランジャ及びゼンマイバネ、保持具、シールド保持表示器内部、及び遠位端キャップを示す、
図1による薬物送達装置の分解図である。
【
図8-13】
図8及び9はキャップ挿入部の異なる斜視図を示す。
図10~13は、針シールド把持部の例の異なる斜視図を示す。
【
図23-25】
図23及び24は注射器ホルダの斜視図を示す。
図25は、組み立てた予め充填した注射器を示す。
【
図26-29】
図26及び27は剛性針シールド及びその挿入部の分解斜視図を示す。
図28は注射器体の斜視図を示す。
図29はストッパの斜視図である。
【
図34-37】
図34及び35はシールド保持表示器の異なる斜視図を示す。
図36及び37はプランジャの斜視図である。
【
図38-41】
図38はシールド保持表示器内部の斜視図である。
図39~41は保持具の異なる図である。
【
図42-43】遠位端キャップの異なる斜視図である。
【
図44】
図44a~44dは初期状態の本発明による装置の側面図(
図44a)及び異なる長手方向断面図であり、
図44bは
図44aに対して90°だけ回転した長手方向断面図であり、
図44cは
図44aに対して180°だけ回転した長手方向断面図であり、
図44dは
図44aに対して45°だけ回転した長手方向断面図である。
【
図45】
図45a~45dは取り外し可能なキャップが長手方向筐体から部分的に捻り取られた状態の
図44a~44dによる図である。
【
図46】
図46a~46dは取り外し可能なキャップが長手方向筐体から完全に取り外され、装置が流体製品を分注する準備ができている状態の
図44a~44dによる図である。
【
図47】
図47a~47dは装置が患者の皮膚に対してすでに加圧された状態の
図44a~44dによる図であり、安全シールドは長手方向筐体の中に部分的に加圧されている。
【
図48】
図48a~48dは装置が患者の皮膚に対して加圧された状態の
図44a~44dによる図であり、注射針は患者の皮膚の中に突き刺され、安全シールドは長手方向筐体の中に完全に押し下げられ、流体製品の分注が開始される。
【
図49】
図49a~49dは流体製品の一部が分注されている状態の
図44a~44dによる図である。
【
図50】
図50a~50dは流体製品がほぼ完全に分注された状態の
図44a~44dによる図であり、表示機構が始動される。
【
図51】
図51a~51dは流体表示器がその最終位置に届く状態の
図44a~44dによる図である。
【
図52】
図52a~52dは流体製品が完全に分注された状態の
図44a~44dによる図である。
【
図53】
図53a~53dは装置が患者の皮膚上で注入場所から取り外される過程にある状態の
図44a~44dによる図であり、針は一部が患者の組織から後退して安全シールドは一部が解除されている。
【
図54】
図54a~54dは装置が患者の皮膚上で注入場所から取り外される過程にある状態の
図44a~44dによる図であり、針が完全に患者の組織から後退して安全シールドは更に解除されている。
【
図55】
図55a~55dは装置が患者の皮膚上で注入場所から完全に取り外された状態の
図44a~44dによる図であり、針は完全に患者の組織から後退して安全シールドは完全に解除されている。
【
図56】
図56a~56dは装置が患者の皮膚上で注入場所から完全に取り外された状態の
図44a~44dによる図であり、安全シールドは更なる軸方向陥没部に対して遮断される。
【
図57-58】注射器ホルダの更なる例の異なる図である。
【
図59-60】注射器ホルダの更なる例の異なる図である。
【
図61-62】
図61は組み立てた状態の異なる薬物送達装置の斜視図である。
図62はそのサブアセンブリを示す、
図1による薬物送達装置の分解図である。
【
図63-65】
図63は
図62による前キャップを含む注射器ユニット・サブアセンブリの構成要素を示す分解図である。
図64は
図62による注射器サブアセンブリの構成要素を示す分解図である。
図65は
図62による電源ユニット・サブアセンブリの構成要素を示す分解図である。
【
図66-68】
図66a~66bは遠位端キャップ体の異なる斜視図である。
図67は遠位端キャップカバーの斜視図である。
図68はブレードワッシャの斜視図である。
【
図69-70】
図69a及び69bは注射器ユニット・サブアセンブリの安全シールドの斜視図である。
図70は安全シールド表示器の斜視図である。
【
図71-72】
図71a及び71bは注射器ユニット・サブアセンブリのロックリングの斜視図である。
図72a及び72bは注射器ユニット・サブアセンブリの注射器ホルダの斜視図である。
【
図73】
図73a及び73bは注射器ユニット・サブアセンブリの筐体の斜視図である。
図73cは内部構造を示す、右からの注射器ユニット・サブアセンブリの筐体の側面図である。
【
図74-77】
図74は剛性針シールドの斜視側面図である。
図75は剛性針シールド用の針受領挿入部の斜視側面図である。
図76は針を含むガラス体の斜視図である。
図17ストッパの斜視図である。
【
図78-79】
図78a及び78bは電源ユニット・サブアセンブリのプランジャロッドの異なる斜視図である。
図79a及び79bは電源ユニット・サブアセンブリのシールド保持具トリガの斜視図である。
【
図80-81】
図80a及び80bは電源ユニット・サブアセンブリのシールド保持表示器の斜視図である。
図81a及び81bは電源ユニット・サブアセンブリの保持具の斜視図である。
【
図82-83】
図82a及び82bは電源ユニット・サブアセンブリの回転クリック要素の斜視図である。
図83a及び83bは電源ユニット・サブアセンブリのスナップ嵌合遠位端キャップの斜視図である。
【
図84】
図84a及び84bは使用する準備ができている状態の薬物送達装置を示し、
図84aは側面図を示し、
図84bは長手方向断面図を示す。
【
図85】
図85a及び85bは端部キャップが丁度取り外された状態の薬物送達装置の長手方向断面図であり、
図85aは
図61に示された平面Aに沿った長手方向断面図であり、
図85bは
図61に示された平面Bに沿った長手方向断面図である。
【
図86】
図86a及び86bは薬物送達装置が完全に患者の皮膚に対して加圧され、薬物送達が丁度始まった時の状態の
図85a及び85bによる長手方向断面図である。
【
図87】
図87a及び87bは薬物送達装置が薬物を患者に送達する時の中間状態の
図85a及び85bによる長手方向断面図である。
【
図88】
図88a及び88bは薬物送達が終わりに近い時の中間状態の
図85a及び85bによる長手方向断面図である。
【
図89】
図89a及び89bは薬物送達装置が薬物を患者に完全に送達した時の状態の
図85a及び85bによる長手方向断面図である。
【
図90-1】
図90:
図90a及び90cは薬物送達装置が患者の皮膚から取り外されて、使用後に係止状態に固定された時の状態の
図85a及び85bによる長手方向断面図である。
図90cは使用後に係止状態の薬物送達装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0168】
図1は、本発明による自己注射器として形成された自動機械薬物送達装置10を斜視側面図で示す。装置10は、軸Xに沿って延在する長手方向体12及び装置10の近位端における取り外し可能なキャップ50を含む。それに対して取り外し可能な端部キャップ50が置かれる装置10の端部は、この記載内で近位端と呼ばれ、近位端は患者と接触する。
図1の右側の反対側の端部は、この記載内で遠位端と呼ばれる。
【0169】
図1は、視線(上面視A)並びに長手方向断面B、C及びDを表す、2つの異なる視線方向A、B、C及びDを更に概略的に示す。以下で装置10の構造及び操作を記載する時、それはこれらの特定の視線A及び長手方向断面B、C、Dを指す。
【0170】
図2、3及び4は、装置10のサブアセンブリ100、200及び300を示す。
図2では、端部キャップ50を含む近位サブアセンブリ100を見ることができる。
図3では、予め充填した注射器ユニット200を含むサブアセンブリを見ることができる。
図4では、電源ユニット・サブアセンブリ300を見ることができる。これらの3つのサブアセンブリ100、200及び300は、本発明による装置10を組み立てる時の別個の予め組み立てたモジュールとして提供される。これにより注射器ユニット200及び電源ユニット300を予め組み立てて、必要とされた薬剤は密封してその中に提供され、薬物送達のために所定の容積を備えた、対応する予め充填した注射器204を提供することができる。
【0171】
以下に見られるように、3つのサブアセンブリ100、200及び300は、予め充填した注射器200を受領注射器ユニット100の中に差し込み、その後電源ユニット300を右側、すなわち遠位側から注射器ユニット100の本体12の開口遠位端の中に、電源ユニット300が所定の分離不可能な位置に係止するまで差し込むことにより、装置10に組み立てることができる。このモジュラ構造により、本発明による装置は誤差のない方式で容易に組み立てることができる。
【0172】
以下で装置10の具体例は図に関してその構造及び機能について記載されているが、以下に記載されたような装置10の構成要素は、それぞれの構造と無関係に使用することもできることに留意されたい。具体的には、それぞれの3つのサブアセンブリ100、200及び300並びにそれらの構成要素は、別個にその他のサブアセンブリと無関係に使用することができる。例えば近位サブアセンブリ100及びその構成要素は、注射器ユニット200又は電源ユニット300の特定の設計と無関係に別の自己注射器内で別個に使用することができる。従って以下の記載は、ありとあらゆる構成要素が以下の文脈で記載された更なる構成要素と一緒に使用することしかできないように限定する開示と理解するべきではない。その代わりに、本開示は、そこに開示されたありとあらゆる構成要素は、それぞれのサブアセンブリの構成要素の相互作用と無関係に、そのそれぞれの特徴を別個に主張することができるように理解されたい。
【0173】
以下に、サブアセンブリの構成要素が詳しく記載されている。
【0174】
図2は、近位サブアセンブリ100の分解図を示す。この近位サブアセンブリ100は、端部キャップ体52、ブレードワッシャ54及び近位端キャップカバー56によって形成された取り外し可能な端部キャップ50を含む。その上、近位サブアセンブリ100は、安全シールド102、長手方向筐体104及び注射器ホルダ106を含む。これらの構成要素は、以下で
図4~24に関連して詳しく記載される。
【0175】
図3は、予め充填した注射器200を形成するサブアセンブリの構成要素の分解図を示す。この注射器サブアセンブリ200は、挿入部207を備えた剛性針シールド202、一体的に提供された針206を備えたガラス体204、液柱として示された薬剤208及びストッパ210を含む。予め充填した注射器200のこれらの構成要素は、
図25~29に関連して詳しく記載される。
【0176】
図4は、電源ユニット300を形成するサブアセンブリの構成要素の分解図を示す。この電源ユニット・サブアセンブリ300は、トリガ要素302、トリガバネ304、シールド保持表示器306、プランジャ308、駆動バネ310、保持具312、シールド保持表示器内部要素314及び遠位端キャップ316を含む。これらの構成要素は、以下で
図30~43に関連して詳しく記載される。
【0177】
図5~7は、異なる斜視図からの取り外し可能な端部キャップ体52を示す。端部キャップが平坦又はわずかに傾斜した面に置かれた時に、円筒体58が揺れ止め形状を提供する非円形周囲を形成するように、アーチ状伸長部60と一体形成された円筒体58を見ることができる。本体58の外周面は、本体58の近位端と遠位端との間で長手方向に延在する、多くの一体形成された半径方向把持凹部62を有する。本体58の近位部分は、平滑な外部面64によって形成される。この面は矢印形状の面オフセット66を含み、オフセット66は、長手方向筐体12に対して端部キャップ50を捻り入れ又は捻り取るための運動方向を示す。
【0178】
その内部に、端部キャップ体52は、平滑な受領面を持つ軸方向に開いた受領部70を形成する円筒面68を含む。受領部70の隣に一体形成されたリング72部がある。リング部72は、遠位方向に面した実質的に平坦な円筒上前面74を含む。端部キャップ体52のリング部72と内周面68との間に、開放隙間75及び両方の構成要素を連結する連結構造76がある。リング部72はその外周面上に隙間74の中に半径方向外方に延在する2つの突起部78を提供する。突起部78の両側で、リング部72の外周面は傾斜した挙上形成80及び82を備え、挙上形成80及び82は、突起部78の近くに最遠位レベルを有し、頂点84で接触するために遠位方向に傾斜している。
【0179】
図6で各突起部78のすぐ下を見てわかるように、リング部72の外周面は、2つの面取りした突起部86及び88を有し、突起部86及び88はその間に受領空間90を形成する。この受領空間90は、
図19及び20に関連した記載されるように、内周面上に形成された突起部198を受領して固定するために、その近位端上に長手方向筐体104が提供される。
【0180】
その半径方向内部面上に、リング体72は、半径方向内方に突出する2つの対向する突起部92を含む。これらの2つの突起部92は、
図14~18に関連して記載されるように、安全シールド102の近位端の外周面上に形成された対向する半径方向外方突起部156と相互作用して突起部156を固定するために提供される。
【0181】
図6に焦点を合わせると、その近位端に近い端部キャップ体52は、対向して配置され、連結部96及び連結リブ98を用いて端部キャップ体52の内周面に固定された、2つの環状アーチ94と面することが見られる。
【0182】
図8及び9は、端部キャップカバー56を示す。端部キャップカバー56は、わずかに傾斜した突起部112を備えた端部キャップ体52と同じ基本的面を有する近位端キャップ部110を有する。環状円筒体114は、端部キャップ部110の近位面から延在する。環状円筒体114は、その外周面116上に複数の長手方向リブ118を備え、長手方向リブ118は、環状円筒体114の遠位端の上に突出する。これらの長手方向リブ118の自由端部で、半径方向外方に突出するスナップ嵌合する突起部が必要なだけ提供することができ、これは端部キャップ体52内の対応する(環状)凹部内で係合する。その内部で、環状円筒体114は、内部円筒体122の中に走る面取りした半径方向に延在するリブ120を備え、内部円筒体122は端部キャップ部110の遠位面とも一体形成される。円筒体114、リブ118の突起部、半径方向内部リブ120及び内部円筒体122によって形成された配置の遠位前面は、円錐輪郭を形成する。
【0183】
図10~13は、ブレードワッシャ54の2つの異なる例を示す。ブレードワッシャ54は、リング形状体132を包囲する円形外周130を有する。ブレードワッシャ54は、リング形状体132と一体形成され、円形半径方向内部の把持面136で終了する、4つの半径方向内方に延在するローブ134を含む。側面図で、
図10及び11に示された例によるブレードワッシャ54は、平坦であるのに反して、
図12及び13に示された例によるブレードワッシャ54は、円錐台形状を有することが見られる。どちらの例でも、ローブ84は軸バネ作用を提供する、すなわちローブ84は軸方向に弾性的に偏向することができる。
【0184】
端部キャップ50を組み立てた状態で、ブレードワッシャ54は、環状アーチ94の近位面に配置される。端部キャップカバー56は、端部キャップ体52の近位端の中に加圧され、それによってリブ118の突出端部は、ブレードワッシャ54のリング形状体132を係合し、リング形状体132を(任意選択の特徴として)環状アーチ94に対して加圧する。ブレードワッシャ54は、それによって堅固に保持されて付勢され、又は別法としてブレードワッシャ54は、環状アーチ94の近位前面と端部キャップカバー56の遠位側面上に形成された円錐構造との間に若干の軸方向の間隔をもって配置される。端部キャップカバー56の遠位側面上の円錐構造は、ローブがこのアセンブリ内で軸方向に近位に曲げることができるように、ローブ84に十分な距離を提供する。
【0185】
任意選択の特徴として、1つ又は2つのローブ134は、剛性針シールド202を係合すると、剛性針シールド202上で負荷の均衡を取る非対称の力が存在するように、その他のローブ134と異なる長さを有することができる。これにより、剛性針シールド202がその元の位置から偏向するように傾斜又は回転する。それによって一旦キャップ50が取り外されると、再キャッピング、すなわちキャップ50を筐体の上に再度差し込むことは回避することができる。
【0186】
図14~18は、安全シールド102を異なる斜視図で示す。安全シールド102は、その近位端に2つの直径方向に対向する長手方向アーム152、154を備えた、リング形状の中空円筒体150を含む。本体150及び長手方向アーム152、154のこの配置は、一体形成又は別個の片から形成することができる、すなわち円筒体は着色した材料から形成することができる別個のカバーを含んでもよい。
【0187】
リング形状体150は、その遠位端の近くに2つの突起部156を有する。リング形状体150の遠位端は、2つの対向するスロットを備えた丸みを帯びた外周リング160を有する、環状襟158を備える。長手方向中空部164は、この環状襟158から遠位方向に延在し、スロット162によって2つの分離した半体に分割する。2つの長手方向アーム152、154は、襟158の遠位端と一体形成され、襟158と第1の長手方向アーム部168との間の第1の移行部166が第1の肩を形成し、第1の長手方向アーム部168と第2の長手方向アーム部172との間の第2の移行部170が第2の傾斜した肩を形成するように、段付きコースを有する。各第2の長手方向アーム部172は、その外周面上に半径方向外方に突出し、近位方向に面する鋭い半径方向面、及び遠位方向に面する傾斜した面取りした面を有する、突起部174を有する。突起部174と同一直線上に、長手方向アーム部172はその遠位端の近くに長方形の貫通孔176を有する。
【0188】
各第2の長手方向アーム部172の遠位端における内周面は、内部ガイド輪郭178を含む。その上、円筒体150の内周面は、半径方向内方に突出する4つのガイドリブ180を含む。これらの内部ガイドリブ180は、剛性針シールド202を案内するために提供される。
【0189】
円筒体150は、円筒体150が患者の皮膚を損傷又は擦傷しないように、その前(近位)端上に平滑に形成されてアール型にされる。上述したように、円筒体150は、長手方向アーム152、154と一緒に単一片構造又は複数片アセンブリであることが可能である。
【0190】
図19~22は、筐体104の異なる図を示す。筐体104は、装置10の本体12を形成する目的を有する。筐体104は、安定した剛性の透明又は不透明材料から形成される。全体が透明でない場合、筐体は、薬物及び装置の状態をユーザに見えるようにするために、薬物を見る切欠き又は透明窓を備えて形成することができる。筐体104は、長手方向管状部材190によって形成される。その近位端に、管状部材190は円形断面を有する中空円筒部192及び前面194を備える。近位端から少し離れて、長手方向部材190は、平坦な面上に揺れ止め機能を持つ幾何形状を提供するために、取り外し可能なキャップの伸長部60と同じ形状及び断面を有する、丸みを帯びた中空伸長部196を備える。近位端に、円筒部192は、半径方向内方に突出する2つのリブ状の対向する突起部198をその内周面上に備え、突起部198は、それによって外側から隠され、取り外し可能な端部キャップ50と相互作用するように適合される。その上その中間部に、筐体104は、ガイドスロットの機能を有する2つの対向する長手方向貫通孔220を備える。別法として、これらの貫通孔220は、筐体104の内側に開くが、その外周面上で閉じる、ガイドチャネルに交換することができる。ガイドスロット220と同一直線上だが遠位端により接近して、筐体は2つの更に対向する貫通孔222を備え、貫通孔222は別法として外周面で閉じる内部凹部としても提供することができる。その遠位端の近くに、筐体104は、1対の対向する横方向貫通孔224を備え、貫通孔224は、別法として外周面で閉じる内部凹部としても提供することができる。遠位端は遠位前面226を更に備え、遠位前面226は2つの対向する短いノッチ228を有する。
【0191】
その内部に、筐体104は、二重リング構造230を備え、二重リング構造230は、対の対向する剛性連結アーム232を用いて円筒部192の領域で管状部材190と一体的に連結される。連結アーム232は、周方向に走る2つの横長手方向連結リブ234及び1つの横方向連結リブ236を備えた、安定したU字形構造によって形成される。連結リブ及びU字形断面形状の大きさは、構造の剛性を筐体104に提供するべきである。この接合する幾何形状も、構成要素が成形される時に材料の流れにとって重要である。
【0192】
その上、二重リング構造230は、円錐移行部240と共に中空内部リング242の中に走る外部リング238を有する。近位端まで、2つの補強リブ244は、外部リング238と内部リング242との間の連結を安定させる。遠位端に面して、円錐移行部240は、2つの対向する切欠き246及び1つのリブ状軸突起部248を備える。2つの対向する切欠き246及び軸突起部248の配置は、注射器ホルダ106と連結した予め充填した注射器200の位置付けを提供する。一部の変形のために、突起部248は含まれても、含まれなくてもよい。
【0193】
図23及び24は、注射器ホルダ106用の一例を示す。注射器ホルダの他の例は、
図57~60に関連して記載されている。
【0194】
注射器ホルダ106は、予め充填した注射器204を筐体104内に受領して保持する目的を有する。注射器ホルダ106は、装置10の他の構成要素の寸法を変える必要なしに、異なる容積の薬剤を備えた異なる種類の注射器を受領するように適合される。従って異なる大きさの注射器ホルダ106は、異なる種類/容積の注射器に対する適合性を提供するべきである。
【0195】
注射器ホルダ106は、長手方向体260を提供する。その近位端に、注射器ホルダ106は剛性で非弾性のU字形要素262と共に形成され、U字形要素262は、
図23を見てわかるように1つの半径方向に開く。この剛性のU字形要素262は、近位端で2つの平行な周囲リブ264、266によって補強される。近位前面に、U字形要素262は、2つの横方向リブ又は突起部268を備える。その遠位端に、注射器ホルダ106は、2つの平行な周囲リブ272、274で補強される、剛性で非弾性の同様のU字形要素270を備える。2つの周囲リブ272、274は、対向する位置で半径方向外方に面する切欠き276、278を備える。2つの剛性のU字形要素262及び272は、2つの長手方向の剛性連結アーム280、282によって連結される。各連結アームは真っ直ぐに延在し、各連結アームが互いに面するように、半径方向内方に突起する突起部284、286を上端に
図23においてその中間部に含む。突起部284、286の内部面288は、注射器200のガラス体をその中に配置して保持できるように、
図23及び24を見てわかるように丸みを帯びる。
【0196】
長手方向筐体104内に置かれると、予め充填した注射器200を好ましくは回転式で保持する注射器ホルダ106は、2つの突起部268が二重リング構造230の切欠き246に係合し、突起部248が近位のU字形要素262によって提供された中空空間の中に係合するように位置付けられる。それによって注射器ホルダ106は、長手方向筐体104内で二重リング構造230により、長手方向軸を中心に適切な軸及び回転位置に位置付けられる。
【0197】
図25は予め充填した注射器200を組み立てた状態で示し、剛性針シールド202は、注射針206を覆う注射器の近位前端部上に置かれる。
【0198】
図26及び27は、挿入部207を備えた剛性針シールド202の斜視図を示す。剛性針シールド202は、開口遠位端322及び閉鎖近位端324を備えた管状部材320によって形成される。その前部に、剛性針シールド202は横方向把持リブ326と共に形成された面を有する。その遠位端の近くに、剛性針シールド202は2つの対向する長方形の貫通孔328を有する。
【0199】
挿入部207は柔軟な変形可能な材料によって形成され、挿入部207がその中にしっかりと保持されるように、剛性針シールド202の中に加圧することができる。挿入部207は、その遠位端の近くに環状襟330を有し、環状襟330は剛性針シールド202の長方形の貫通孔328と係合する。
【0200】
図28は注射器204を示す。注射器204は、開口遠位端334を有する中空円筒ガラス体332によって形成され、開口遠位端334は、2つの平坦な対向する側面338を備えた周方向環状襟336によって包囲される。その近位部に、円筒ガラス体332は、丸みを帯びた先細部340と共に形成され、中空円錐ガラス部342の中に移行し、球又は丸みを帯びた近位頭部346を備えた段付き針ハブ344内で終了する。近位頭部346は、鋭い針先348を備えた前記注射針206をしっかりと保持する。
【0201】
図29は、可撓性材料、例えばゴムから形成されたストッパ要素210を示す。その近位部に、ストッパ要素210は平滑な円筒外周面350を有し、円筒外周面350は、ストッパ要素210が中空円筒ガラス体332の内周面を液密で摺動可能に係合するように、注射器204の中空円筒ガラス体332の内径に適合する直径を有する。外部面の遠位部上で、ストッパ要素210は、3つの周方向密封リブ352を形成する4つの周方向環状凹部を備える。ストッパ要素210は、閉鎖近位端354及び開口遠位端356を備えたカップ形状を有する。
【0202】
次に電源ユニット又は駆動アセンブリの構成要素を参照すると、
図30~33は、トリガ要素302を異なる図で示す。トリガ要素は、管形状中空体360によって形成される。その近位部に、トリガ要素は、面取りしたリム363によって包囲され、半径方向に延在する2つの対向する横方向タブ364、366を備えた前面362を有する。これらの横方向タブ364、366の前面362から、2つの長方形突起板368、370は長手軸方向に延在する。突起板368、370は、半径方向外方に延在する面取りした突起部372を備える。管形状中空体360は遠位方向に延在し、長手方向リブ376によって補強された近位端に連結された包囲する環状補強リブ374をその中間部に提供する。その上近位端362と補強リブ374との間で、2つの対向する長方形の中空箱要素378又は他の壁構造によって形成された凹部は、トリガ要素302の外周面に提供され、これらの箱要素378又は凹部はそれぞれが中空空間を提供し、その中に追加の構成要素、例えば電子センサなどを提供することができる。
【0203】
更に遠位方向に、管状中空体360の外周面は、バネ304を支持するためにL字形輪郭を有する、更なる環状の周方向補強リブ380を備える。トリガ要素302の管状中空体360の遠位端は、前面384を有する中空円筒部382によって形成される。その内部に、トリガ要素302は、4つの長手方向ガイドリブ386を備え、2対のこれらのガイドリブ386は、それぞれがアーチ状連結リブ388によって連結され、連結リブ388は、管状中空体360の内周面に沿って周方向に延在する。
【0204】
図34及び35は、シールド保持表示器306を示す。シールド保持表示器306は、環状円筒構成要素402を有する中空円筒体400によって形成され、環状円筒構成要素402は、筐体104の幾何形状に適合する丸みを帯びた伸長部404によって拡張される。シールド保持表示器306は、長手方向筐体190の中空円筒体190の拡張部196内に摺動可能だが形が嵌合する方法で受領することができる。シールド保持表示器306は、平滑な外周面406を有する。その近位端に、シールド保持表示器306は、4つの長手方向可撓性アーム408を備え、それぞれが近位自由端部410を有する。可撓性アーム408の自由端部410は、半径方向内方に延在し、短い長手方向の面取りしたリブ414によって補強された、突起部412を備える。シールド保持表示器306の遠位端は、円形開口416を備える。
【0205】
シールド保持表示器306の外周面406は、信号色、すなわち黄色、オレンジ色若しくは赤色、又はユーザに明瞭に見える信号パターンを有する。それによって本発明による薬物送達装置10の作動について詳細に検討するように、装置10のユーザ、すなわち医師若しくは患者は、シールド保持表示器306が外側から長手方向筐体104を通して明瞭に見える信号位置に移動された時に、容易に認識することができる。
【0206】
図36及び37は、プランジャ308を異なる斜視図で描く。プランジャ308は、長手方向のパイプ形状の中空要素420によって形成され、中空要素420は、その近位端にプランジャ頭部422を有する。プランジャ頭部422は、前面424及び横方向スロット426を備える。前面424は、小さい円筒貫通孔428を含む。横方向スロット426及び円筒貫通孔428を持つ前面は、必要であれば、例えば対応する大きいストッパ210と相互作用するより大きい内径を有する注射器のために、追加のプランジャ頭部要素と結合することができる。この追加の拡大したプランジャ頭部は、例えば2.25mlの薬物容積を有する、より大きい注射器のために使用することができる。例で示したようにより小さい注射器、例えば1mlの薬物容積を有する注射器の場合、拡大したプランジャ頭部は削除され、プランジャ308はその近位端上にただ真っ直ぐな円筒形状を有する。
【0207】
プランジャ308の中間部に、1対の対向する長方形の貫通孔430が、中空要素420の壁内に提供される。別の例によれば、プランジャは、異なる注射器の大きさ又は薬物の充填容積に適合することができる貫通孔430に匹敵する、追加の対の貫通孔を有してもよい。遠位端に、中空要素420は、駆動バネ310を受領するために長手方向に接近させる円形開口432を備える。
【0208】
図38は、シールド保持表示器内部要素314を示す。この要素は、より小さい直径を持つ第1の中空円筒部442、及びより大きい直径を持つ拡大した第2の中空円筒部444を有する、段付き管状体440によって形成される。その近位端に、シールド保持表示器内部要素314は、近位方向に延在する2つの対向する可撓性長手方向アーム446を備え、第1の部分448は長手方向に走り、第2の部分450は半径方向内方にわずかに傾斜し、第3の部分452は長手方向だが、第1の部分448より更に半径方向内方である半径方向レベルに延在する。その近位端に、各アーム446は半径方向外方に延在する傾斜した保持突起部454を有する。
【0209】
シールド保持表示器内部要素314の遠位部は、シールド保持表示器306の遠位端と同じ丸みを帯びて延在した断面を有する、端板456を備える。第2の中空円筒部444の外周面の直径は、シールド保持表示器306の遠位端に提供された円形開口416内に受領するように適合される。
【0210】
図39~41は、電源ユニット300又は駆動アセンブリの保持具312を描く。保持具312は、電源ユニット300の複数の制御機能を含む制御部材として作用する。保持具312は、中空円筒体470から形成される。2つの対向する側面に、円筒体470は、それぞれが長手方向可撓性アーム474を形成するU字形切欠き472を含む。長手方向可撓性アーム474は、その遠位端476で中空円筒体470に一体的に連結される。その遠位端に、可撓性アーム474は、面取りした半径方向外方突起部478を備え、反対側の側面、すなわちその半径方向内部側面に、対応する面取りした半径方向内方突起部480を備える。その上、円筒体470は切欠き472によって形成された可撓性アーム474に対して90°だけ回転した領域に、2つの対向する長手方向切欠き482を備える。長手方向切欠き482は、U字形切欠き472とほぼ同じ長手方向伸長だが、わずかに更に遠位方向に延在する。それらの近位端に近い切欠き482の長手方向長さの約3分の1の領域に、円筒体470は、切欠き482に横方向に架橋する横方向突起部484を含む。これらの横方向に架橋する突起部484は、同じ外周形状を有する追加の突起部486により近位端に引き続き近づく。
【0211】
その近位端に、円筒体470は、円筒体470と一体形成され、中空円筒体耐470の近位前面に対して約45°の角度だけ傾斜した、2つの可撓性アーム490を備える。これらの可撓性アーム490は、リング形状頭部492に連結される。リング形状頭部492は、円筒部494及び2つの対向する近位アーチ状突起部496を備えたブッシングとして形成される。頭部492は、可撓性アーム490と一体形成することができ、又は可撓性アーム490に例えば中間連結リングを用いて堅固に連結された別個の片として形成することができる。
【0212】
その遠位端に、円筒体470は、円周溝500と共に形成される。遠位端は、中心開口504を有する遠位端面502を備える。遠位端に近いその内部に、円筒体470は、遠位端面502と円周溝500を有する長手方向部との間で軸方向又は長手方向に走る内部ガイドリブ498を備える。
【0213】
図42及び43は、装置10の遠位端キャップ316を描く。遠位端キャップ316は、長手方向筐体104の遠位端と同じ断面輪郭、すなわち伸長部を備えた丸みを帯びた輪郭を有する、遠位端キャップ体510を有する。遠位端キャップ体510は、透明材料から形成され、遠位面512によって閉鎖される。周方向面514及び遠位面512との間の移行部516は、丸みを帯びるか又は面取りされる。その近位端で、遠位端キャップ316は差込部520を備え、差込部520は、長手方向筐体104の遠位端内に組み立てた状態で形が嵌合して受領される。従って、差込部520は低減した外径を有し、段付き面522を介して遠位端キャップ体510に移行する。
【0214】
段付き面522の領域で、遠位端キャップ316は、長手方向筐体104について
図19~22に関連して記載されたノッチ228に対応する、長手方向突出部524を提供する。突出部524とノッチ228の相互作用により、遠位端キャップ316は、長手方向筐体104に対して位置付けられる。その上、差込部520は、近位端上に2つの長手方向突起部526を提供する。これらの長手方向突起部526の外周面は、それぞれが面取りしたスナップ嵌合突起部528と共に形成される。これらの突起部528は、装置を組み立てる時に、長手方向筐体に提供された対応する貫通孔224とスナップ嵌合して係合するように提供される。
【0215】
突起部528と貫通孔224との間のスナップ嵌合係合は、一旦組み立てると、分離できないことを述べておく。本発明による装置は、使い捨て装置であり、遠位端キャップ316が、長手方向筐体104に固定された後に、再度筐体104から取り外されないようにする。装置は、使用後に注射器200を交換若しくは補充すること、又は一旦使用されると装置10の内部及び構成要素に何らかの他の接近をすることをさせず若しくは意図しない。
【0216】
遠位端キャップ316の内部を参照すると、端キャップは、遠位端キャップ316の底面532と一体形成された中空円筒体530を備えることが
図43に見られる。
【0217】
以下に、装置10を組み立てた状態が
図44a及び44dに関連して記載されている。
図44aは、側面図を示し、
図44b~44dは初期状態の本発明による装置の異なる長手方向断面図を示し、
図44bは
図44aに対して90°だけ回転した長手方向断面図であり、
図44cは
図44aに対して180°だけ回転した長手方向断面図であり、
図44dは
図44aに対して45°だけ回転した長手方向断面図である。
図1に描かれた平面及び矢印A、B、C、Dを参照する。示された状態も装置10の初期状態、すなわち装置がユーザに送達される方法の装置の状態である。
【0218】
装置10を組み立てた又は初期状態では、端部キャップ50は長手方向筐体104の上にねじ込まれ、端部キャップ50は、端部キャップ体52の内側に形成された2つの突起部86と88との間の対応する受領空間90内で筐体104の近位端上に形成された、各内部突出部198の係合により周方向に保持される。その上、端部キャップ50は、それぞれが端部キャップ体52の内部リング部72上に形成された突起部78の背後に配置された、筐体104の近位端に形成された各内部突出部198のそれぞれの係合により長手方向に保持される。それによって取り外し可能なキャップ50は、突起部78により軸引抜力に対抗して、並びに受領空間90を形成する対向する突起部86及び88によって捻り取る力の閾値より低い小さい捻り取る力に対抗して、筐体上に保持される。
【0219】
その上、安全シールド102は、
図44b~44dに示された軸位置における取り外し可能なキャップ50により、
図44a~44dによる組み立てた初期状態に保持される。具体的には、これは遠位方向への意図しない動き、すなわち装置10が落下し、装置10が地面に落ちた時の衝撃を経験する場合を避ける狙いを有する。これは、安全シールド102の近位端で円筒体150の外周面に形成した突起部156と、取り外し可能なキャップ体52の内部リング部の内周面上に形成した2つの突起部92との間の係合によって達成される。それによって、突起部92は、筐体104に装着された取り外し可能なキャップ50に対して、それによって筐体104に対して遠位方向への安全シールド102のいかなる軸運動も遮断する。
【0220】
遠位端で、遠位端キャップ316は、スナップ嵌合の配置によって長手方向筐体104に固定して密接に取り付けられ、遠位端キャップ316の差込部520の外周面上に形成した突起部526は、筐体104の遠位端上に形成した貫通孔224の中に係合する。
【0221】
その上組み立てた状態で、注射器204は、注射器ホルダ106内に保持され、注射器ホルダ106は筐体104のリング構造230内に受領される。上記のように、注射器ホルダは、リング構造230を用いて筐体104に対して位置付けられ、横方向突起部268はそれぞれの切欠き246の中に係合し、突起部248は、注射器ホルダ(上を参照)のU字形要素262によって提供された中空空間の中に突起する。注射器204は、注射器ホルダ106の中に軸方向に加圧される。U字形要素262及び272は剛性であり、組立中又は操作中に曲がらない。注射器204は、注射器ホルダ106内で回転して保持されることに留意されたい。
【0222】
その上、注射器204は、注射器ホルダ106と一緒に保持具312の頭部494を用いて注射器フランジ336を介して近位方向に筐体104の円錐で段付きのリング構造230に対して加圧され、保持具の可撓性アーム490は、注射器204を注射器ホルダ106内の適所に保持し、それによって位置付けるために、バネ力を軸近位方向に提供する軸バネ手段として作用する。剛性針シールド202は、挿入部207を用いて中空円錐ガラス部344を係合する。柔軟な挿入部207は、針206を安全に覆い、注射針206並びに注射器204及び針206の内部に含有された薬剤の無菌を維持する。
図44bを見てわかるように、横方向把持リブ326を備えた、又は別法として柔軟な外部面のみを備えた管状部材320の外部面は、この例では円錐形状を有するブレードワッシャ54の可撓性ローブ134によって係合される。上述したように、可撓性ローブ134は、剛性針シールド202の上に不均衡な力を提供するために異なる半径方向長さを有することができる。ブレードワッシャ54は、キャップカバー56を用いて取り外し可能な端部キャップ50内に維持される。
【0223】
その上、
図44b~44dは、安全シールド102のリング形状の円筒体150を示す。安全シールド102は、長手方向アーム152、154を介して端部キャップ50によってシールドバネ308の力に対して遠位方向に部分的に筐体104の中に加圧される。トリガ要素302は、長手方向アーム152、154とシールドバネ304との間の中間要素として作用する。
図44cを見てわかるように、トリガ要素302は、その突起板368、370を介して安全シールド102のアーム152、154の遠位端と永久に結合された組み立てた状態にある。突起板368、370は、アーム152、154の遠位端で内部ガイド輪郭178内に受領される。その上、面取りした突起部372は、それぞれが貫通孔176の中に係合し、それによって組み立てた状態で、安全シールド102のアーム152、154がトリガ要素302の突起板368、370から軸力を受けて分離するのを防ぐ。突起部372のチャンバ及びアーム152、154の遠位端のガイド輪郭178は、組立工程を促進する。
【0224】
シールドバネ304の近位端は、トリガ要素302の遠位部382に対して係合し、トリガ要素302の周囲リブ380に対して当接し、L字形輪郭を有する周囲リブ380は、シールドバネ304の近位端を緊密に保持する。シールドバネ304の遠位端は、シールド保持表示器306の遠位端を介してシールド保持表示器内部要素314の板456のフランジを付けた近位面に対して加圧する。
【0225】
更に、その円筒体406を備えたシールド保持表示器306は、シールド保持表示器内部要素314並びにシールドバネ308を受領して包囲する。シールド保持表示器306の4つの長手方向アーム408は、横方向タブ364、366と箱構造378との間に提供された隙間を通って近位方向に延在し、アーム408は、それぞれがトリガ要素302から半径方向外方に突起する。4つの長手方向アーム408は、アーム408の突出部412が、
図44b及び44cに見られるように、保持具314の外周面を係合するように、トリガ要素302を通過する。
【0226】
保持具312は、内周突起で保持具の外周溝500の中に形が嵌合して把持する中空円筒体530により遠位端キャップ316内にしっかりと保持される。それによって保持具312は、軸方向のあらゆる動きに対して、並びに傾斜に対して装置10内に固定される。
【0227】
シールド保持表示器306は、シールド保持表示器内部要素314と一緒に、圧縮されたシールドバネ304及び得られる軸方向駆動力にもかかわらず、アーム446を用いて軸位置に保持される。これは、アーム446が保持具312の長手方向切欠き482を通して届き、保持具312の切欠き382に架橋する保持具312の横方向突起部484の背後で、それらの半径方向に保持する突出部454と係合するという事実に起因して実現される。その上この状態では、アーム446の内側で半径方向に配置されたプランジャ308の外周面は、アーム446が半径方向内方に曲がって横方向突起部484上で保持機能から逃れるのを防ぐ。
【0228】
プランジャ308は、以下に記載されるように、圧縮状態で主バネ310を保持する。圧縮された主バネ310の近位端は、プランジャ308の近位端に対して加圧する。プランジャ308の近位端422は、ストッパ要素210に近い注射器204の中空ガラス体332内に摺動可能に受領されることが見られる。その上、注射器204内に含まれた液柱として薬剤208を見ることができる。主バネ310の遠位端はプランジャ308から突出し、主バネ310がその遠位端に対して支持される保持具310の中空内部に受領される。プランジャ308は、可撓性アーム474の間でプランジャ308内に提供された貫通孔430の中に係合する半径方向内方突起部480との係合に起因して、主バネ310の駆動力に対してその軸位置に保持される。上の説明に記載したように、突起部480がそれと係合する、追加の貫通孔430又はスロットを提供することが可能である。突起部480の長手方向位置は装置内に固定されるので、貫通孔430の長手方向位置は装置内のプランジャの初期位置に決定される。示されたように、プランジャ頭部422は、ストッパ210にかなり近いが、充填容積がより小さいストッパ210は近位端により近くてもよいので、プランジャ頭部422から更に遠くてもよい。これは、プランジャ頭部422と210との間に望ましくない大きい衝撃を引き起こす可能性がある。このような場合、元の貫通孔430から長手方向にずれた追加の貫通孔430は、プランジャ308の初期位置をずらすためにプランジャ308上に含むことができる。可撓性アーム474がそれらの半径方向外方突起部478とトリガ要素302の内周面との間の接触により適位置に保たれるように、可撓性アーム474は、圧縮した主バネ310の駆動力に反応して半径方向外方に曲がることができない。それによってプランジャ308は、可撓性アーム及びそれらの半径方向内方突起部480により適所に保持される。
【0229】
この完全に組み立てた初期位置から、本発明のこの例による装置10は以下のように使用される。
【0230】
取り外し可能な端部キャップ50の捻り
図45a~45dは、取り外し可能なキャップが部分的に長手方向筐体から捻り取られた状態の
図44a~44dによる図を示す。取り外し可能な端部キャップ50は、筐体104に対してわずかに回転されている。軸方向の動きは起きていない。相対回転は、筐体104の近位端の内側に形成された突起部198と端部キャップ体52の内部リング部72上に形成された突起部86及び88との間の係合が解かれるような程度に実行された。これを実現するために、捻り取る力のためのある特定の閾値は、筐体104の突起部198と取り外し可能な端部キャップ50の突起部86、88との間の係合に勝るように提供しなければならない。その上、安全シールド102の近位端150上の突起部156と端部キャップ体52上の突起部92との間の係合も、この相対運動の間に解かれる。この状態では、取り外し可能な端部キャップ50と筐体104との間に軸方向の係合はない。
【0231】
取り外し可能な端部キャップ50と筐体104との間に更なる回転を受けて、突起部198は挙上形成80、82の傾斜面に沿って案内される。その上、捻り取る力を加えることにより、ユーザによって実施された取り外し可能な端部キャップ50と筐体104との間の更なる相対回転の間、安全シールド102は、安全シールドバネ304により近位軸方向に押し出される。その近位部150を持つ安全シールド102は、長手方向筐体104から押し出される一方で、この力は取り外し可能な端部キャップ50の取り外しを支持し、機械的利点を使用することにより取り外し可能な端部キャップ50と筐体104との間の相対回転も支持する。こうしてバネ304によって提供された力を経験することにより、ユーザは、筐体104に対して端部キャップ50を更に回転させて、2つの構成要素を互いから分離するように案内される。
【0232】
筐体104から移動する安全シールド102の近位部150は、針を覆う。安全シールド102と筐体104との間の相対運動は、安全シールドの各アーム152、154上に形成された突起部174と、長手方向ガイドチャネルとして作用する長手方向貫通孔220との間の相互作用によって案内される。
【0233】
その上端部キャップ50を取り外す間、ブレードワッシャ54のローブ134によって把持された剛性針シールド202は、その挿入部207と一緒に注射器204の中空円錐ガラス部344から引き抜かれる。注射器204は注射器ホルダ内で回転して支持されるという事実に起因して、不要なコアリングは回避することができ、注射器は剛性針シールド202の取り外しによって損傷しない。最後にその針先348を備えた針206は、安全シールド102のリング形状の近位体150内に露出される。
【0234】
筐体102から分離した取り外し可能な端部キャップ50
図46a~46dは、取り外し可能なキャップが長手方向筐体から完全に取り外され、装置が流体製品を分注する準備ができている状態の
図44a~44dによる図を示す。取り外し可能な端部キャップ50は、筐体104から完全に分離していることが見られる。安全シールド102の近位部150は、筐体104から完全に突起し、その針先348を備えた注射針206を覆う。
【0235】
装置を患者の皮膚に対して加圧することによる注入の開始
図47a~47dは、装置10が患者の皮膚に対してすでに加圧された状態の
図44a~44dによる図を示し、安全シールドは長手方向筐体104の中に部分的に加圧されている。
【0236】
見てわかるように、安全シールド102の近位部150の近位前面は、患者の皮膚Sと接触している。装置10は、筐体104を保持することにより患者の皮膚Sに対して加圧される。それによって安全シールド102は筐体104の中に加圧されることにより、これらの2つの構成要素の間に相対運動が起きる。再度、安全シールド102のアーム152、154上に形成され、筐体104の長手方向穴220の中に係合する突起部174は、筐体104に対するその相対線形運動に沿って安全シールド102を案内する。
【0237】
筐体104の中への安全シールド102の動きに起因して、アーム152、154は、トリガ要素302を遠位方向に加圧する。それによってトリガ要素302は、シールド保持表示器306のアーム408の下でその面取りした近位リム363と共に移動する。結果として、アーム408は
図47dに示されたように屈曲する。
【0238】
装置を患者の皮膚に対して更に加圧することによる薬物の分注の開始
装置10が患者の皮膚Sに対して更に加圧されると、安全シールド102が筐体104の中に遠位方向に更に動くように、針206は、患者の皮膚の中に突き刺されて、最後に
図48a~48dに示されたような状況に到達する。
図48a~48dは、装置が患者の皮膚に対して加圧された状態の44a~44dによる図を示し、注射針は患者の皮膚の中に突き刺され、安全シールド102は長手方向筐体104の中に完全に押し下げられ、流体製品の分注が開始される。
【0239】
安全シールド102と筐体104との間の相対運動に起因して、針206は露出して患者の皮膚Sの中に突出する。安全シールド102は、バネ304の圧縮を受けて安全シールド102がその前面362を備えたトリガ要素302を保持具314の可撓性アーム474の突起部478を越えて動かす程度に筐体104の中に加圧される。主バネ310の作用を受けて、プランジャ308は、貫通孔430の包囲面により軸方向に加圧される。可撓性アーム474の半径方向内方突起部480の面取りと係合する貫通孔430の包囲面は、主バネ310の力を受けて保持具312の可撓性アーム474を半径方向外方に加圧する。これは、
図48cに示されたように、保持具が可撓性アーム474の外部突起部478を越えて動いているので可能である。その結果、可撓性アーム474は屈曲し、近位方向に軸を動かすためにプランジャ308を解除する。
【0240】
患者の組織の中への薬物の分注
図49a~49dは、流体製品の一部がすでに分注されている状態の
図44a~44dによる図を示す。プランジャ308が保持具312の可撓性アーム374により軸位置にもはや保持されないので、プランジャ308は近位方向に動き、ストッパ要素210を係合し、主バネ310の作用を受けて停止要素210を近位方向に加圧する。それによって、薬物は3つの細い矢印によって示されたように、注射針206を通して患者の組織の中に注射器204のガラス体332から押し出される。
【0241】
この工程は、患者の組織の中に薬物の完全な分注を続ける。
【0242】
分注工程の端部への到達、及び表示機構の開始
図50a~50dは、流体製品がほぼ完全に分注された状態の
図44a~44dによる図を示す。装置のこの段階で、表示機構は開始される。見てわかるように、ストッパ要素210は、注射器204の円筒ガラス体332の近位底面にほぼ届いている。プランジャ308は、主バネ310の拡張を受けて対応して更に近位方向に動いている。それによって、プランジャ308の遠位端は、シールド保持表示器内部要素314の可撓性長手方向アーム446の端部を越えて近位方向に動いている。こうしてプランジャ308の外周面は、もはや長手方向アーム446の半径方向内方の屈曲を遮断しない。
【0243】
バネ304がトリガ要素302を介して安全シールド104に対して支持され、遠位方向に拡大する傾向があるバネ304が圧縮した状態に起因して、バネ304の遠位端は、シールド保持表示器306の遠位端に対して加圧し、シールド保持表示器306をシールド保持表示器内部要素314と一緒に組み合わせた配置を遠位方向に押圧する。それによって、長手方向可撓性アーム446は、傾斜した保持突起部454に起因して、半径方向内方に屈曲して、切欠き482に架橋する横方向突起部484を通過する。こうしてシールド保持表示器306をシールド保持表示器内部要素314と一緒に組み合わせた配置は、遠位方向に自由に動く。
【0244】
上に概説したように、シールド保持表示器306の外周面406は信号色又はパターンを有する。外周面406は、全周の周りが透明である遠位端キャップ316の透明領域に入ると、直ちにユーザは信号色又はパターンを見ることができる。
【0245】
表示器が最終位置に到達する
図51a~51dは、シールド保持表示器306がその最終位置に到達する状態の
図44a~44dによる図を示す。
図50a~50dによる状態から
図51a~51dによる状態までを見てわかるように、シールド保持表示器306は、拡大するバネ304の作用を受けて全体が遠位端キャップ316の中に加圧される。
【0246】
端部キャップ316の遠位内部底面に到達すると、シールド保持表示器内部要素314は、その端板456と遠位端キャップ316の内部底面532に衝突し、それによって可聴及び/又は触覚信号を発生する。解除するバネ304の作用を受けて達したこの衝突接触は、軸方向に作用し、ユーザによって明らかに触知できる。その上、それによって発生した音は、明らかに聞こえるクリック信号として正常な状態でユーザが聞き取るように十分に大きい。こうしてユーザは、流体分注工程の終わりに近い状況に達した直後に、装置10からフィードバックを得る。
【0247】
シールド保持表示器306をシールド保持表示器内部要素314と一緒に遠位方向に組み合わせた組合せを解除する時のバネ304のバネ力は、十分に強いので非常に短期間、例えば数ミリ秒又は10分の1秒の間にこのトリガ機能を開始することを述べておく。
【0248】
分注工程の終わりへの到達
上述したように、信号機構は、分注工程の終わりに達する直前に開始する。これは、信号機構が開始された時に、
図51aに示されたように、ストッパ要素210がまだ注射器ガラス体332内でその端部位置に到達していないという事実に起因する。
【0249】
図52a~52dは、流体製品が完全に分注された状態の
図44a~44dによる図を示す。この状態では、ストッパ要素210は、注射器204のガラス体332の近位端に到達している。結果として、薬物の完全な投与量は、注射器204から押し出される。
【0250】
患者の皮膚からの装置10の取除きの開始
投与量が患者の組織の中に完全に分注されると、装置10は注入場所から取り外すことができる。
図53a~53dは、装置が患者の皮膚上で注入場所から取り外される過程にある状態の
図44a~44dによる図を示し、針は一部が患者の組織から後退し、安全シールドは一部が解除されている。
【0251】
装置10の筐体104の一部が患者の皮膚から引き抜かれているのが見られ、安全シールド102の近位前部150は、患者の皮膚Sと依然として接触している。これは、依然として圧縮したバネ304が、トリガ要素302を介して安全シールド102の長手方向アーム152、154に作用し、それによって圧縮したバネ304の作用を受けて筐体104から安全シールド102を押し出すという事実に起因する。それによって注射針206は患者の皮膚Sから筐体104と一緒に後退し、この後退の工程の間は永久に覆われる。
【0252】
これは
図53a~53dに見られる。筐体104が後退する間、その近位端部150を備えた安全シールド102は、針が永久に覆われるように患者の皮膚Sと接触したままである。
【0253】
装置10の患者の皮膚からの完全な取り除き
最後に筐体104は、それまでに患者の皮膚から持ち上げられているので、針は安全シールド102の近位端部150によって完全に覆われ、近位端部150は注射針の鋭い針先348を越えて延在する。換言すると、拡大するバネ304の作用に起因して、安全シールド102は筐体104からこのように押し出されるので、安全シールド102は針を完全に覆って針先348の上に突出する。
【0254】
図54a~54dは、装置が患者の皮膚上で注入場所から取り除かれる過程にある中間状態の
図44a~44dによる図を示し、針が完全に患者の組織から後退して安全シールドが更に解除される。
【0255】
図55a~55dは、装置が患者の皮膚上で注入場所から完全に取り除かれた状態の
図44a~44dによる図を示し、針は完全に患者の組織から後退して安全シールドは完全に解除される。安全シールド102の軸端位置、すなわち拡大するバネ304の作用により筐体104から押し出された後のその最終位置は、長手方向貫通孔220の近位端に対する突起部174の鋭い近位縁部の当接によって決定される。この位置では、バネ304によって近位方向に依然としてバネ力が掛けられるにもかかわらず、安全シールド102は更に近位方向に動くことはできない。安全シールド102の近位部150は、近位部150が最大で筐体104から突出する位置に届いている。この位置では、鋭い針先348は、近位端部150の背後に良好に位置付けられてその中で安全に覆われる。
【0256】
使用後の安全シールド102の遠位方向への動きの遮断
上記のように安全シールド102を筐体104から押し出すと、シールド保持表示器306及びシールド保持表示器内部要素314によって形成された組み合わせた配置は、遠位端キャップ316内で遠位端位置に保たれる。しかし上記のように、バネ304のバネ作用に起因して、トリガ要素302は近位方向に動かされる。こうしてトリガ要素302は、バネ304のバネ力を受けてシールド保持表示器306のアーム408の係合から押し出される。換言すると、アーム408は再度
図52a~52dに見られるように屈曲し、2つはトリガ要素302の近位の面取りしたリム363を越える。
【0257】
トリガ要素302が近位方向に更に動いている間、アーム408の半径方向内方突起部412は、突起部412がトリガ要素302の面取りした環状補強リブ374に届くまで、トリガ要素302の外周に沿って摺動する。これは
図53a~53dに見られる。
図54a~54dに見られるように更なる動きに反応して、アーム408は、面取りした環状補強リブ374を越えるために、再度半径方向外方に屈曲する。
【0258】
面取りした環状補強リブ374を通過して、アーム408は本来の弾性に起因して半径方向内方にスナップ嵌合し、面取りした環状補強リブ374のすぐ背後で遠位に把持する。面取りした環状補強リブ374の遠位面は、リブ374が凹状円錐輪郭を有するようにわずかに傾斜する。加えて、突起部412は、突起部412がこの凹状円錐輪郭の中に形が嵌合して係合するように対応して傾斜する。この係合は、アーム408がいかなる意図しない更なる屈曲も防ぐ。その代わりに係合は、アーム408が環状補強リブ374の凹状円錐遠位面を係合させ続ける。それによってシールド保持表示器306は、トリガ要素302のいかなる遠位の動きも遮断する。結果として、安全シールド102のいかなる遠位の動きも遮断される。これは、
図55a~55dに示されたような状態に達した安全シールド102は、長手方向筐体104の中に押圧できないことを意味する。
【0259】
これは、装置が患者の皮膚上で注入場所から完全に取り除かれた状態の
図44a~44dによる図を描く
図56a~56dに示されており、安全シールドは更なる軸方向陥没に対して遮断される。この状態で一旦安全シールド102の近位部150の上に力が加わると、シールド保持表示器306のアーム408はいかなる遠位方向の動きも遮断する。シールド保持表示器306は、この状態でシールド保持表示器内部要素314を用いて、具体的にはその端板456を遠位端キャップ316の底面532に対して支持される。上述したように、文字は筐体104に分離不可能に連結される。
【0260】
その結果、その近位部150を備えた安全シールド104は、あらゆる誤用に対して針206を安全に不可逆的に覆う。
【0261】
利点
本発明の上記の例による装置10は、特に以下の有利な特徴を有する。
・装置10は、3つの異なる予め組み立てたサブアセンブリ注射器ユニット100、予め充填した注射器200及び電源ユニット300から容易に組み立てることができる。
・予め充填した注射器200は、まさに注射器ホルダ106の適合を必要とする異なる形状及び大きさに提供することができる。
・遠位端キャップ50は筐体104から容易に取り外すことができ、捻り取る操作はシールドバネ304の作用によって支持される。
・装置を使用中に、装置は操作の異なる状態の可聴及び/又は触覚及び/又は可視信号を与える。
・薬物が送達されない限り、ユーザはこの状態を透明筐体104又はその中に提供された窓を通して認識することができる。
・装置は、薬物送達が終わるまでいかなる可視表示器も示さない。
・薬物送達が装置を患者の皮膚に対して加圧することにより装置を始動することによって開始されると、薬物の送達を止めることはできない。これは、装置が複数回使用されるのを防ぐ。
・装置は、装置が分離したトリガ要素、例えばボタンなどを有さないので、容易に直感的に使用される。始動は、その安全シールド104を備えた装置を患者の皮膚に対して加圧することだけでもたらされる。
・装置は、回転部品も対応する複雑な回転運動も持たない。これにより装置の製造を単純にし、使用を容易に、並びに信頼可能にさせる。
【0262】
要するに、装置は異なる種類の注射器を使用することができる構造の組立を容易にする。装置は、安全な方法で容易に直感的に使用することができる。装置は、数個のフィードバック信号をユーザに提供する。
【0263】
注射器ホルダの代替例
図57及び58は、注射器ホルダ600のための代替例を示す。注射器ホルダ600は、2つの長手方向シェル602、604によって形成され、シェル602、604はその間に長手方向切込み606、608を形成する。2つのシェル602、604は、それぞれが遠位及び近位部上の2つの可撓性V字形アーム610、612によって連結され、アーム610、612は、注射器ホルダ600に周方向に可撓性を提供し、それによって注射器を導入する時にシェル602、604が弾性的に遠ざかることを可能にする。注射器ホルダ600は、その遠位端614及びその近位端616の近くに、注射器ホルダを自己注射器の筐体内に固定するために、半径方向外方突起構造618、620を更に含む。
【0264】
図58では、一旦遠位方向から差し込まれて、注射器ホルダ600内に受領されると、注射器を軸方向に支持するために両方のシェル602、604内に形成される半径方向内部突起部622を見ることができる。
【0265】
図59及び60は、注射器ホルダ640の更なる代替例を示す。この注射器ホルダは、遠位端644及び近位端646を備えた中空円筒受領管642を有する。
図57及び58による例と同様に、この注射器ホルダ640は、注射器ホルダを自己注射器の筐体内に保持するために、半径方向外方突起構造648、650も含む。
【0266】
その近位端の近くに、注射器ホルダは2つの二重z部652、654を備え、二重z部652、654は、周囲リブ660によって相互連結された傾斜した可撓性アーム656、658を含む。その内周面に、注射器ホルダは半径方向内方突起部662を含み、突起部662は、一旦遠位方向から差し込まれて、その中に受領されると、注射器を軸方向に支持するために両方の可撓性二重z部652、654内に周方向に形成される。この注射器ホルダ640内で、注射器は中空円筒受領管642内にわずかな半径方向の遊びを備えてその遠位端644から押し入れる。注射器のガラス体の近位前端を把持するために、2つの二重z部652、654の弾性可撓性に起因して、アーム656、658は、周囲リブ660が半径方向外方に動くようにわずかに曲がる。
【0267】
図57~60による注射器ホルダの両方の代替例は、半径方向又は周方向に若干可撓性を提供する特徴をもつ周方向に閉鎖した構造を有する。それによって、予め充填した注射器を注射器ホルダと容易に組み立てることを可能にする。注射器は、半径方向外方に与える可撓性要素により単純に保持される。それによって、ガラス注射器の公差変動は、半径方向外方並びに軸方向の両方を補償することができる。それにもかかわらず、注射器ホルダは、シェル又は円筒受領管により頑強な構造を有する。
【0268】
図61は、本発明により自己注射器として形成された自動機械薬物送達装置1010の斜視側面図を示す。装置1010は、装置の近位端で軸Xに沿って延在する長手方向体1012及び取り外し可能な端部キャップ1050を含む。それに取り外し可能な端部キャップ1050が配置される装置1010の端部は、本明細書内で近位端と呼ばれ、近位端は患者と接触する。
図61の右側の反対側の端部は、本明細書内で遠位端と呼ばれる。
【0269】
本体1012の一部は、ラベル1014によって覆われ、ラベル1014は装置1010の中間部から遠位端部に向かって延在する。
図61に示された使用する準備ができている状態で、本体1012並びに端部キャップ1050の遠位部に付いたタンパーラベル1016を見ることができる。端部キャップ1050が取り外されると、タンパーラベル1016は破れ、それによって端部キャップ1050が取り外されたことを示す。
【0270】
図61は、長手方向断面の平面を表す、2つの異なる平面A及びBを更に概略的に示す。以下で、装置1010の構造及び操作を記載する時、平面A及びBは長手方向断面のこれらの特定の平面を指す。
【0271】
図62は、装置1010の3つのサブアセンブリを示す。左側に、端部キャップ1050を含む注射器ユニット・サブアセンブリ1100を見ることができる。注射器ユニット・サブアセンブリ1100の隣に、予め充填した注射器ユニット1200を含むサブアセンブリを見ることができる。右側に、電源ユニット・サブアセンブリ1300を見ることができる。これらの3つのサブアセンブリ1100、1200、1300は、本発明による装置1010を組み立てる時に、別個の予め組み立てたモジュールとして提供される。これにより、注射器ユニット1100及び電源ユニット1300を予め組み立てて、その中に密封して提供された必要とされる薬剤を薬物送達のために所定の容積を備えた、対応する予め充填した注射器1200を提供することができる。
【0272】
以下に見られるように、3つのサブアセンブリ1100、1200及び1300は、予め充填した注射器1200を受領注射器ユニット1100の中に差し込み、その後電源ユニット1300を右側から注射器ユニット1100の本体1012の開口遠位端の中に、電源ユニット1300が所定の位置の中に係止するまで差し込むことにより、装置に組み立てることができる。このモジュール構造により、本発明による装置は、誤差のない方法で容易に組み立てることができる。
【0273】
装置1010の具体例が以下に図面に関連してその構造及び機能に記載されているが、以下に記載されるような装置1010の構成要素は、それぞれの構造と無関係にも使用することができることに留意されたい。具体的には、3つのサブアセンブリ1100、1200及び1300並びにそれらの構成要素は、それぞれを別個に且つその他のサブアセンブリと無関係に使用することができる。例えば近位サブアセンブリ1100及びその構成要素は、別の自己注射器内で別個に、注射器ユニット1200又は電源ユニット1300の特定の設計と無関係に使用することができる。従って以下の記載は、ありとあらゆる構成要素が、以下の文脈で記載された更なる構成要素と一緒に使用できるだけの方法に限定する開示と理解するべきではない。その代わりに、本開示は、そこに開示されたありとあらゆる構成要素は、それぞれのサブアセンブリの構成要素の相互作用と無関係に、そのそれぞれの特徴を別個に主張することができるように理解されたい。
【0274】
以下に、サブアセンブリの構成要素が詳しく記載される。
【0275】
図3は、注射器ユニット・サブアセンブリ1100の分解図を示す。この注射器ユニット・サブアセンブリ1100は、端部キャップ体1052、ブレードワッシャ1054及び近位端キャップカバー1056によって形成された端部キャップ1050を含む。その上、注射器ユニット・サブアセンブリ1100は、安全シールド表示器1102、安全シールド1104、ロックリング1106、長手方向筐体1108及び注射器ホルダ1110を含む。これらの構成要素は、
図66a~73に関連して以下に詳細に記載される。
【0276】
図64は、予め充填した注射器1200を形成するサブアセンブリの構成要素の分解図を示す。この注射器サブアセンブリは、剛性針シールド1202、一体的に提供された針1206を備えたガラス体1204、液柱として示された薬剤1208及びストッパ1210を含む。予め充填した注射器1200のこれらの構成要素は、
図74~77に関連して詳細に記載される。
【0277】
図65は、電源ユニット1300を形成するサブアセンブリの構成要素の分解図を示す。この電源ユニット・サブアセンブリ1300は、プランジャ1302、駆動バネ1304、シールド保持トリガ要素1306及びシールドバネ1308を含む。その上、電源ユニット・サブアセンブリ1300は、シールド保持表示器1310、保持具1312、回転クリック要素1314及び遠位端キャップ1316を含む。これらの構成要素は、
図78a~83bに関連して以下に詳細に記載される。
【0278】
図66a及び66bは、異なる斜視図からの端部キャップ体1052を示す。本体1052の近位端からその中間部に長手方向に延在する、多数の一体形成された半径方向把持リッジ1058を有する円筒体を見ることができる。遠位部品は、平滑な外部面1060を有する円筒体によって形成される。この面は矢印形状の貫通孔1059を含み、貫通孔1059は、本体1012に対して端部キャップ1050を捻り取るための運動方向を示す。その上
図66a及び66bに、2つの対向する保持リブ1061を見ることができ、保持リブ1061は、それぞれが端部キャップ体1052の内周面上に提供され、貫通孔1059によって妨害される。これらの保持リブ1061は、
図73に関連して下に検討するように、U字形突起部1178の中に係合すると、端部キャップ体1052を筐体1108上に保持するために提供される。
【0279】
その内側に、端部キャップ体1052は、平滑な受領面を備えた軸方向に開いた受領部1062を含む。受領部1062の隣に、半径方向内方に延在するリブ1064の形成を有する部分がある。リブ1064を含む部分に続いて、端部キャップ体1052は、端部キャップ体1052の内径を突然増加させる段付き面66を含む。段付き面1066は、段付き面1066が本体1012に対して端部キャップ1050を捻り入れ又は捻り取るために筐体1108の対応する駆動突起部と係合する時に、駆動曲線として作用する閉鎖した洞形状を軸方向に辿る。遠位部では、端部キャップ体1052の内部は、筐体1108の外周面と相互作用する接触手段として作用する、更に半径方向内方に延在するリブ1068を含む。
【0280】
図67はキャップカバー1056を示す。キャップカバー1056は、加圧嵌合係合で端部キャップ体1052の実際に開いた受領部1062の中に導くために、外周面1070を備えた円筒を含む。キャップカバー1056は、閉鎖した近位端壁1072を有する。この端壁1072から遠位方向に軸方向に延在して、キャップカバー1056は、半径方向内部リブ1076の形成を備えた内部円筒リング1074を提供する。内部リブ1076の遠位端面1078は、周方向斜面を形成するために内方にわずかに傾いている。
【0281】
図68はブレードワッシャ1054を示す。ブレードワッシャ1054は、リング形状体1082を包囲する円形外周1080を有する。ブレードワッシャ1054は、リング形状体1082と一体形成され、円形半径方向内部の把持面1086で終了する、4つの半径方向内方に延在するローブ1084を含む。側面図では、ブレードワッシャ1054は円錐台形状を有することを見ることができ、ローブ1084は軸方向バネ作用を提供し、すなわちローブ1084は軸方向に弾性的に偏向することができる。
【0282】
概してブレードワッシャ1054の外部幾何形状1080は、円形又は利用可能な組立負荷又は梱包空間に適するあらゆる他の幾何形状であってもよい。複数の延在するローブ1084が存在してもよく、ブレード幾何形状は、ある特定の挿入力を実現するためにあらゆる形式であってもよく、端部キャップが筐体から取り外された時に、剛性針シールドからの力を保持するあらゆる機能であってもよい。概してブレードワッシャ1054は、平面又は平坦な形状を有してもよい。他の例では、ブレードワッシャは、一部の非平面の予備形成を有することもでき、例えばブレードワッシャは、円錐又は波状に形成することができる。一例では、リブを強化するためにブレードワッシャの外部リムの周りにリブを形成することができ得る。これにより、キャップを取り外す間にブレードワッシャの回転が可能であることがある。キャップが回転し、ブレードワッシャが長手方向に引かれるだけの場合、コアリングと呼ばれる不利益な条件を取り除くことができる。コアリングは、剛性針シールドのゴムが針を中心に回転する場合に起きる。次いでゴムのプラグが針の内側に残る可能性があり、これは望ましくない。これは、装置が正しく機能するのを止める妨害になることがある。
【0283】
端部キャップ1050を組み立てた状態で、ブレードワッシャ1054はリブ1064の近位面上に配置され、キャップカバー1056を受領部1062の中に加圧することにより、リブ1064に対して締付られる。それによってブレードワッシャ1054は、固定して保持され、又は軸方向の弾性偏向により下に記載された剛性針シールド1202を把持できるために、キャップカバー1056の円筒半径方向外部の前面1086とリブ1064との間に若干の軸方向隙間を備えて配置される。内部リング1074は、ローブが近位に軸方向に曲げることができるように、ローブ1084に十分な距離を取って配置される。
【0284】
図69a及び69bは、安全シールド1104を異なる斜視図で示す。安全シールド1104は、2つの直径方向に対向する長手方向アーム1114、1116を備えた、リング形状体1112を含む。リング形状体は、リング形状体が円筒部1118から軸開口1122を有する突起して丸みを帯びた前端部1120に直径を低減するように、段付きで丸みを帯びた外部面輪郭を有する。軸開口の内径は、剛性針シールド1202と一緒に注射器がそれを通って摩擦なしに動くことができるために、剛性針シールド1202の外径よりわずかに大きい。安全シールド1104の前端部1120は、丸みを帯びて鋭い縁部がなく、患者の皮膚と接触させる。その上、本発明による装置1010の安全シールド1104は、患者の皮膚に対して必要な始動力で加圧する時にトリガ要素を形成する。従ってこの前端部1120は、前端部1120が患者の皮膚を損傷又は擦傷しないように平滑に形成される。
【0285】
2つの長手方向アーム1114及び1116は、それぞれがわずかに丸みを帯びた形状を有し、円筒部1118の隣に長手方向に溝がある貫通孔1124を含む。それ故、2つの貫通孔1124は、互いに対して対抗した位置に提供される。これらの貫通孔1124は、針シールド1104を装置1010内に長手方向の動きを案内するための案内手段として作用する。
【0286】
針シールド1104のリング形状体1112は、4つの半径方向内方に延在するリブ1126を含む。これらの内部リブ1126は、剛性針シールド1202を偏向に対して支持するために提供され、それによって予め充填した注射器1200の位置を組み立てた状態で、例えば輸送中に支持する。その上、針シールド1104のリング形状体1112は、それぞれが主軸Xに対して実質的に垂直方向に走る、近位壁1129及び遠位壁1130を備えた2つの対向する貫通孔1128を含む。
【0287】
図70は、安全シールド表示器1102を示す。安全シールド表示器1102は、加圧嵌合及び/又はスナップ嵌合係合により針シールド1104の近位リング形状体1112に連結可能な、薄壁要素として形成される。別法として、安全シールド表示器は、単に針シールド1104の前面上の着色した被覆として提供することができ、又は針シールド1104の着色した部分として一体成形されてもよい。このために、安全シールド表示器1102は、針シールド1104のリング形状体1112の外部面輪郭に対応する内部面輪郭を有する。安全シールド表示器1102は、ユーザに明瞭に見える信号色、すなわち黄色、オレンジ色又は赤色を有する周外部面を備える。それによって本発明による薬物送達装置1010の操作に関連して詳細に検討するように、装置1010のユーザ、すなわち医師又は患者は、安全シールド表示器1102が筐体1108から突出して針1206を覆う時を容易に認識することができる。
【0288】
図71a及び71bは、ロックリング1106の構造を示す。ロックリング1106は、装置1010が薬剤を患者に送達するように始動されると、安全シールド1104が筐体1108の中に完全に加圧されるので、使用中に安全シールド1104と係合するために提供される。安全シールド1104と係合した後、ロックリング1106は安全シールド1104に永久に結合され、装置が使用されて薬物が完全に送達された後に、安全シールド1104が2回目に筐体1108の中に押し戻されることを防ぐ。
【0289】
ロックリング1106は、2つの対向する凹部1134を備えた閉リング1132を含む。これらの凹部1134の半径方向内側に、ロックリング1106は、ロックリングから半径方向内方に突出する対向するローブ1138上に形成された、2つの可撓性アーム1136を備える。加えてロックリングは、2つの更に半径方向内方に突起するローブ1140を含む。2つの可撓性アーム1136は、それぞれが近位方向に突出し、半径方向外方に延在するスナップラグ1142を有する。その上近位端に、可撓性アーム1136は実質的に半径方向に走る前面を有する。
【0290】
他の例では、リングは異なる断面幾何形状であってもよく、脚の数は単数から複数であってもよい。
【0291】
閉リング1132の遠位側面上に、ロックリング1106は、遠位方向に延在する4つのわずかな可撓性のアーム1146を備える。各可撓性アーム1146は、わずかに傾斜した遠位壁1150を備えた、半径方向内方に延在するその遠位端上にスナップラグ1148を有する。それによって各可撓性アーム1146は、その遠位端上に鋭い歯の輪郭を提供する。アーム1146の可撓性の程度は、これらのアーム1146の力を超える摺動が安全シールドバネ力より小さいように、バネ1308のバネ定数に適合するべきであると述べることは重要である。これは、注入後の閉塞及び皮膚からの装置の取り外しが常に作用することを確実にするためである。これは、以下に機能について記載する時に論じる。
【0292】
図72a及び72bは、注射器ホルダ1110についての一例を示す。注射器ホルダ1110は、予め充填した注射器1204を筐体1108内に受領して保持する目的を有する。注射器ホルダ1110は、異なる容積の薬剤を備える異なる種類の注射器を、装置1010の他の構成要素の寸法を実質的に変える必要なしに受領するように適合される。従って注射器ホルダ1110用の異なる大きさは、異なる種類の注射器に適合性を提供するべきである。
【0293】
注射器ホルダ1110は、長手方向管状体1152を提供する。その近位端に、管状体1152は4つの突起する可撓性アームを有し、2つの対向するアーム1154の第1の対の各アーム1154は、把持要素を形成する半径方向内方に突起するラグ1156を有する。十字の横方向支持リブ1162を用いて支持される、傾いたラグ1160のような2つの対向するアーム1158の第2の対の各アーム1158。傾いたラグ1160は、その近位部に傾斜面1164を備える。注射器ホルダ1110の遠位端は、2つの凹部1168をその対向する側面に備える角度のある襟1166を有する。襟1166は、丸みを帯びた移行部によって連結される半径方向部1170及び長手方向部1172を有する。半径方向部1170は、組立を促進するために、具体的には注射器ホルダ1110を注射器1200と一緒に筐体1108の中に導くために、長手方向部1172へその移行部で丸みを帯び、又は面取りすることができる。
【0294】
図73a~73cは、筐体1108の異なる図を示す。筐体1108は、装置1010の本体1012を形成する目的を有する。筐体1108は、安定した剛性の透明又は不透明の材料から形成される。全体が透明でない場合、筐体は、薬物及び装置の実際の状態をユーザに見えるようにするために、薬物を見る切欠き又は透明窓を備えて形成することができる。筐体1108は、長手方向管状部材1174によって形成される。その近位端に、管状部材は、閉鎖した洞形状の外形を有する前面1176を備える。近位端及び前面1176の近くで、筐体1108は2つのU字形横方向突起部1178を備え、横方向突起部1178は互いに対向して配置されて、半径方向外方に突出する。U字形横方向突起部1178は、使用前に端部キャップ体1052を筐体1108上の適位置に保持するために、
図66aに関連して記載された端部キャップ体1052の保持リブ1061を受領するために提供される。その遠位端に、筐体は円形前面1180を有する。端面の近くで突起部1178と実質的に長手方向に位置合わせされて、筐体1108は2つの対向する横方向切込み1182を有する。遠位端と切込み1182との間の領域で、筐体は2対の突起ノブ1184と一体形成される。突起ノブ1184は代替形状も有することができる。突起ノブ1184は、装置1010の揺れ止め特徴を平坦な面上に提供するための機能を有する。各対のノブ1184は、それぞれの横方向切込み1182と位置合わせされる。
【0295】
その内部に、筐体1108はリング構造1186を備え、リング構造1186は、1対の対向する剛性連結アーム1188を用いて管状部材1174と一体的に連結される。連結アーム1188は、3つの長手方向連結リブ及び1つの横方向連結リブを備えた、安定したE字形構造によって形成される。連結リブ及びE字形断面形状の大きさは、筐体1108に構造的剛性を提供するべきである。この接合幾何形状は、構成要素が成形される時に材料の流れのためにも重要である。その上、リング構造1186は、遠位方向に開き、近位方向に半径方向円形基面1194で終了する2つのV字形切欠き1192を備える、長手方向頂部1190を有する。V字形切欠き1192は、注射器ホルダ1110の横方向支持リブ1162を備えた傾いたラグ1160を受領するために提供された。長手方向襟1196は、基面1194から近位方向に延在する。この幾何形状は、装置1010の作動中に安全シールド1104の動きを案内し、更に注射器ホルダ1110を筐体1108内の適所に配置する。襟1196は、装置が駆動した時に、下に検討するように、注射器1200を通って加えられた負荷を抑制するために剛性の基準を有する。
【0296】
図74及び75は、剛性針シールド1202及びその挿入部1212の斜視図を示す。剛性針シールド1202は、開口遠位端1216及び閉鎖近位端1218を備えた管状部材1214によって形成される。その前部に、剛性針シールド1202は、横方向把持リブ1220と共に形成された面を有する。その遠位端の近くに、剛性針シールド1202は、2つの対向する長方形の貫通孔1222を有する。
【0297】
図75に示された挿入部1212は、柔軟な変形可能な材料によって形成され、挿入部1212がその中に堅固に保持されるように、剛性針シールド1202の中に加圧することができる。挿入部1212は、剛性針シールド1202の長方形の貫通孔1222と係合する、その遠位端の近くに環状襟1224を有する。
【0298】
図76は注射器1204を示す。注射器1204は、開口遠位端1232を有する中空円筒ガラス体1230によって形成され、開口遠位端1232は、2つの平坦な対向する側面1235を備えた周方向環状襟1234によって包囲される。その近位部で、円筒ガラス体1230は、丸みを帯びた先細部1233と共に形成され、中空円錐ガラス部1236の中に移行する。中空円錐ガラス部1236は、近位頭部1238内で終了し、その中で鋭い針先1240を備えた前記針1206は堅固に受領される。
【0299】
図77は、可撓性材料、例えばゴムから形成されたストッパ要素1210を示す。その近位部に、ストッパ要素1210は平滑な円筒外周面1242を有し、円筒外周面1242は、ストッパ要素1210が中空円筒ガラス体1230の内周面を液密で摺動可能に係合するように、注射器の中空円筒ガラス体1230の内径に適合する直径を有する。外部面の遠位部上に、ストッパ要素1210は、3つの周方向を密封するリブ1244を形成する4つの周方向環状凹部を備える。ストッパ要素1210は、閉鎖近位端1246及び開口遠位端1248を備えたカップ形状を有する。
【0300】
次に電源ユニットの構成要素を参照すると、
図78a及び78bは、プランジャ1302を異なる斜視図で描く。プランジャ1302は、長手方向のパイプ形状の中空要素1320によって形成され、中空要素1320は、その近位端にプランジャ頭部1322を有する。中空要素1320と一体的に形成することができ、又は別個の片として形成することができる、プランジャ頭部1322は、示された例で拡大された外径を備えた円筒部1324を有する。この拡大されたプランジャ頭部1322は、例えば1mlのみの代わりに2.25mlの薬物容積を有する、より大きい注射器のために使用される。例えば1mlの薬物容積を有する、より小さい注射器の場合、拡大されたプランジャ頭部1322は省略することができ、プランジャ1302は単に真っ直ぐな円筒形状をその近位端に有する。プランジャ1302の中間部に、1対の対向する長方形の貫通孔1326は、中空要素1320の壁内に提供される。遠位端に、中空要素1320は、中空要素1320の周囲を中心に等距離に配置された、4つの長手方向リブ1328を備える。その上、プランジャ1302の遠位端は、遠位端面1331に開いた2つの溝を付けた経路1330を提供し、それぞれは傾斜部1332及び長手方向端部1334を有する。
【0301】
図79a及び79bは、シールド保持トリガ要素1306を描く。シールド保持トリガ要素1306は、その近位端に一体的に形成された半径方向環状襟1342を有する、中空ブッシング1340によって形成される。ブッシング1340は、その遠位端に開いた2つの対向する切込み1344を備える。2つの対向する切込み1344は、全筐体1340を通って延在する長手方向ガイド面1346を提供する。
【0302】
図80a及び80bは、シールド保持表示器1310を描く。シールド保持表示器1310は、使用の実際の状態のために見える表示器、具体的には装置1010が薬物を送達するためにすでに使用されたことを示す表示器を提供する目的を有する。シールド保持表示器1310は、その近位内周面に半径方向内方に突出するリブ1352を有する、環状円筒体1350を含む。その上、環状円筒体1350は、近位方向に延在する2つの対向する可撓性アーム1354を有し、第1の部分1356は長手方向に走り、第2の部分1358は半径方向内方に傾斜し、第3の部分1360は長手方向だが更に半径方向内方、次いで第1の部分1356であるレベルに延在する。その近位端に、各アーム1354は、半径方向外方に延在する保持突起部1362を有する。
【0303】
その中間部に、環状円筒体1350は、半径方向外方に延在する環状フランジ1364を有する。2つの対向する弓型壁部材1366は、フランジ1364から遠位方向に延在する。これらの弓型壁部材1366の外周面1368は、信号色及び/又は信号可視パターンを備える。
【0304】
図81a及び81bは、電源ユニット1300の保持具1312を描く。保持具1312は、電源ユニット1300の複数の制御機能を含む制御部材として作用する。保持具は、中空円筒体1370から形成される。2つの対向する側面上に、円筒体1370は、長手方向可撓性アーム1374を形成するU字形切欠き1372を含む。長手方向可撓性アーム1374は、その遠位端1376で中空円筒体1370と一体的に連結される。その遠位端に、可撓性アーム1374は、面取りした半径方向外方突起部1378を備え、反対側の側面に対応する面取りした半径方向内方突起部1380を備える。その上、円筒体1370は切欠き1372によって形成された可撓性アーム1374に対して90°だけ回転した領域に、2つの対向する長手方向切欠き1382を備える。長手方向切欠き1382は、U字形切欠き1372とほぼ同じ長手方向伸長を延在する。それらの近位端に近い切欠き1382の長手方向長さの約3分の1の領域に、円筒体1370は、切欠き1382に横方向に架橋する横方向突起部1384を含む。
【0305】
その近位端に、円筒体1370は、円筒体1370と一体形成され、中空円筒体耐1370の近位前面に対して約45°の角度だけ傾斜した、2つの可撓性アーム1390を備える。これらの可撓性アーム1390は、リング形状頭部1392に連結される。リング形状頭部1392は、円筒部1394及び近位フランジ部1396を備えたブッシングとして形成される。頭部1392は、可撓性アーム1390と一体形成する、又は可撓性アーム1390に例えば中間連結リングを用いて堅固に連結された別個の片として形成することができる。
【0306】
その遠位端に、円筒体1370は、円筒体1370から半径方向外方に延在する、外部長手方向リッジ1400、1402、1404の2つの対向する群と共に形成される。リッジ1400、1402、1404から遠位方向に、円筒体1370は、増加した直径を持つ円筒部1406を含む。増加した直径を持つこの円筒部1406は、2つの対向する丸みを帯びた横方向切欠き1408を含み、切欠き1408は、円筒体1370の切欠き1382と長手方向に位置合わせされる。円筒部1406の残りの切欠きのない壁断面は、半径方向外方にわずかに延在し、側面を見ると長方形形状を有する、2つの長手方向突起部1410を備える。これらの突起部1410は、それぞれがそれらの中間部で横方向スロット1412を備える。
【0307】
図82a及び82bは、回転クリック要素1314を描く。回転クリック要素は、主バネ1304の駆動力を変えるために提供される。回転クリック要素1314は、平滑な近位前面1422及びサメの歯1424の環状頂部と共に形成された遠位面を有する、中空円筒ブッシング1420によって形成される。サメの歯1424の頂部から半径方向内方に、回転クリック要素1314は、2つの対向する円筒形状の壁部1426を含み、壁部1426は横方向切込み1428によって分割される。内周面上に、ブッシング1420は、主バネ1304を一般的な回転のためにそれと係合するための突起部を備える。
【0308】
図83a及び83bは、装置1010の遠位端キャップ1316を描く。遠位端キャップ1316は、筐体1108の遠位開口を閉じる遠位板で形成した端部キャップ体1440を有する。そのために、端部キャップ体1440は、係合突起部1444をそれらの近位端に有する、2つの突起する可撓性アーム1442と共に形成される。これらの可撓性アーム1442は、筐体1174の対応する開口1182と係合するスナップフックとして作用する。その上、可撓性アーム1442から半径方向内方に、端部キャップ体1440は中空円筒体1446と共に形成される。中空円筒体1446は、半径方向外方に延在する2つの対向する鼻要素1448を備える。その上、中空円筒体1446は、長手方向に延在する2つの近位傾斜1450を備える。中空円筒体1446の内側で端部キャップ体1440の面上に、回転クリック要素1314上に形成されたサメの歯1424の頂部を係合するように適合された、サメの歯1452のさらなる頂部が提供される。長手方向円筒ロッド部材1454は、サメの歯1452の頂部の中心で端部キャップ体1440の面から近位方向に延在する。
【0309】
以下に、装置1010を組み立てた状態が
図84a及び84bに関連して記載される。これも、装置1010の初期状態、すなわち装置がユーザに送達される方法の装置の状態である。装置1010を組み立てた状態で、端部キャップ1050は長手方向筐体1108に取り外し可能に固定され、端部キャップ1050は、その保持リブ1061及び対応する凹部で筐体1108のU字形突起部1178内に保持される。注射器1204は注射器ホルダ1110内に保持され、注射器ホルダ1110は、筐体1108のリング構造1186内に受領される。その上、注射器1204は、その環状襟1234又はフランジを介して、頭部1392を用いて筐体1108のリング構造1186に対して近位方向に加圧され、可撓性アーム1390は、注射器1204を注射器ホルダ1110内で適所に保持するために、バネ力を軸方向に提供するバネ手段として作用する。剛性針シールド1202は、挿入部1212を用いて中空円錐ガラス部1236を係合する。柔軟な挿入部1212は針1206を安全に覆い、接触針及び含有した薬剤の無菌状態を持続する。見てわかるように、横方向把持リブ1220を備えた管状部材1214の外部面は、ブレードワッシャ1054の可撓性ローブ1084によって係合される。ブレードワッシャ1054は、キャップカバー1056を用いて1050内に保持される。
【0310】
その上、
図84bは、安全シールド1104のリング形状体1112を示す。安全シールド1104は、端部キャップ1050により長手方向アーム1114、1116を介してシールドバネ1308の力に対して加圧され、シールド保持トリガ要素1306は、長手方向アーム1114、1116とシールドバネ1308との間の接合部として作用する。シールドバネ1308の近位端は、シールド保持トリガ要素1306のフランジ1342に対して係合し、シールドバネ1308の遠位端は、シールド保持表示器1310のフランジ1364に対して加圧する。
【0311】
シールド保持表示器1310は、圧縮したシールドバネ1308及び得られる力にもかかわらず、そのアーム1354を用いてその軸位置に保持される。これは、アーム1354が保持具1312の長手方向切欠き1382を通して届き、それらの半径方向保持突起部1362と保持具1312の切欠き1382に架橋する横方向突起部1384の背後で係合するという事実に起因して実現される。その上この状態で、アーム1354の半径方向内側に配置したプランジャ1302は、アーム1354が半径方向内方に曲がるのを防ぐ。
【0312】
プランジャ1302は、主バネ1304を圧縮状態に保持する。主バネ1304の近位端は、プランジャ1302の近位端に対して加圧し、プランジャ頭部1322はプランジャ1302に固定される。プランジャ頭部1322は、ストッパ要素1210付近で注射器1204の中空ガラス体1230内に摺動可能に受領されることが見られる。その上、
図84bは、注射器1204内に含まれた液柱として薬剤1208を示す。
【0313】
主バネ1304の遠位端は、プランジャ1302から突出し、回転クリック要素1314の中空内部内に受領され、そこで主バネ1304の遠位端も回転できないように係合される。回転クリック要素1314は、次いで遠位端キャップ1316の中空円筒体1446内に受領され、2つのサメの歯形成1424及び1452は互いに係合する。回転クリック要素1314及び遠位端キャップ1316の相対回転により、ユーザが聞こえる又は感知できるクリック音をもたらす。
【0314】
図84bの右側に見られるように、円筒柱部材1454は主バネ1304の中空内部の中に近位方向に延在し、圧縮した主バネ1304に対して軸方向ガイド要素として作用する。遠位端キャップ1316は筐体1108の中に差し込まれ、可撓性アーム1442はそれらの半径方向外方を指す係合突起部1444は、筐体の横方向切込み1182と係合し、突起部1444は、それによって遠位端キャップ1316を得られるバネ力に対して適所に保持する。
【0315】
この完全に組み立てた初期位置から、本発明のこの例による装置1010は、以下のように使用される。
【0316】
端部キャップ1050を取り外すために、端部キャップ1050は、筐体1108から矢印形状の開口1059の方向に従って捻り取られる。それによって、テンパーラベル1016は断裂する。捻り取る力は、端部キャップ体1052の内部面上に提供された保持リブ1061を受領する、筐体1108上のU字形突起部1178の間の相互作用に勝るために、十分に大きくなければならない。捻り取る動きは、筐体1108の洞形状の前面1176の輪郭を辿る。使用する準備ができている状態の安全シールド1104は、シールドバネ1308により端部キャップ1050に対して付勢される事実に起因して、端部キャップ1050を捻り取る動きは、シールドバネ1308のこの付勢力によって支持される。それによって、タンパーラベル1016によっても提供された初期耐性を克服した後に、端部キャップ1050を捻り取る動きはバネ力によって支持され、ユーザは端部キャップ1050を取り外す支持を経験する。端部キャップ1050を取り外す間、シールドバネ1308は端部キャップ1050を捻り取る動きを支持する一方で、シールドバネ1308は軸方向に拡大し、安全シールド1104が針1206を覆うその完全に伸長した位置に安全シールド1104が最終的に届くまで、筐体1108から安全シールド1104を加圧する。その上、端部キャップ1050を取り外す間、ブレードワッシャ1054のローブ1084によって把持される剛性針シールド1202は、その挿入部1212と一緒に注射器1204の中空円錐ガラス部1236から引き抜かれる。それによって、その針先1240を備えた針1206は、安全シールド1104のリング形状体1112内に露出される。
【0317】
換言すると、取り外し可能な端部キャップ1050は、U字形突起部1178により筐体1108に保持される。これはUの形状として示されているが、多数の他の幾何形状の型であってもよい。その機能は、Uの中間上の制限である。これは、引いた場合に取り外し可能な端部キャップ1050のために引張力を設定する。取り外し可能な端部キャップ1050は、U字形突起部1178の中間に接触する矢印の切欠きの中間にリブ1061を有する。引き抜きを停止し、より大きい時に引き抜き力をあまり必要としない角度に、位置合わせしたそれぞれの角度。矢印の切欠き1059のプラスチック領域の機能と角度を組合せることにより、引き抜き力を必要なレベルに変えることができる。U字形突起部1178の側面は、取り外し可能な端部キャップ1050の取り外しを開始するのに必要な初期トルクを調整するために回転して傾斜される。U字形突起部1178及び抑制リブ1061の長手方向の回転抑制。
【0318】
図85a及び85bは、端部キャップ1050が丁度完全に取り外された状態の本発明の例による、薬物送達装置の長手方向断面図を示し、
図85aは、
図61に示された平面Aに沿った長手方向断面であり、
図85bは
図61に示された平面Bに沿った長手方向断面である。
【0319】
この状態で、安全シールド1104は、そのリング形状体1112と共に筐体1108から突起する。ユーザは、その信号色を備えた安全シールド表示器1102が筐体から突出するのを見ることができる。シールドバネ1308は、一部が弛緩しているが、依然として実質的に押し付けた状態にある。主バネ1304は依然として完全に圧縮されており、主バネ1304は、保持具1312の可撓性アーム1374が面取りした半径方向内方突起部1380とプランジャ1302の対向する長方形の貫通孔1326の中に係合するという事実に起因して、この完全に圧縮した状態を保つ。それによって、プランジャ1302は主バネ1304のバネ力に対して軸位置に保持され、主バネ1304の拡大を防ぐ。電源ユニット1300は与圧される。
【0320】
安全シールド1104の軸方向運動の可能な範囲は、注射器ホルダ1110の傾いたラグ1160を受領する、長手方向アーム1114、1116のそれぞれにおける長手方向の溝を付けた貫通孔1124の長さによって決定される。これは代替方法、すなわち筐体1108内などの長手方向スロットの中に案内された突起部によっても実現することができる。上に検討したように、組み立てた状態では注射器ホルダ1110は筐体1108内に堅固に保持される。
【0321】
装置1010を使用するために、
図85a及び85bに示されたように、装置は、患者が薬剤を注入するように意図する場所、例えば患者の大腿部に対して、患者の皮膚S上に位置付けられる。装置1010は、次いで患者の皮膚S上で近位方向にユーザによって押圧される。それによって、安全シールド1104は、シールドバネ1308の付勢力に対して筐体1108の中に加圧される一方で、装置の押圧運動に起因して、針先1240は患者の皮膚Sに突き刺さり、針1206は患者の皮膚Sを通して患者の組織の中に押圧される。最後に安全シールド1104が筐体1108の中に完全に押し下げられると、安全シールド1104は、連結アーム1188の近位前面に対してそのリング形状体1112の遠位端面と衝突し、連結アーム1188は、筐体1108をリング構造1186と連結させる。この時点で、安全シールド1104が筐体1108の中に更に軸方向に動く可能性はなく、安全シールド1104は遮断される。
【0322】
安全シールド1104が完全に押し下げられたこの位置は、
図86a及び86bに示されており、薬物送達装置が患者の皮膚に対して丁度完全に加圧され、薬物送達が丁度開始した状態の長手方向断面図を描く。
【0323】
この状態で、ロックリング1106の2つの可撓性アーム1136は、それらのスナップラグ1142と係合して安全シールド1104のリング形状体1112の対応する開口1128の中に入る。それによって、ロックリング1106は、安全シールド1104に堅固に結合され、更に使用中に一般的な動きを軸方向に提供する。その上この状態で、安全シールド表示器1102は、リング形状体1112が筐体1108内に実質的に受領されるので、主に筐体1108によって覆われる。
【0324】
図86bに見られるように、安全シールド1104を筐体の中に押圧することにより、2つの長手方向アーム1114、1116は、長手方向アーム1114、1116が傾いたラグ1160とスロット1124の係合によって案内される間、遠位方向に動かされる。それによって、シールド保持トリガ1306は、シールドバネ1308の圧縮力に対して遠位方向に動かされる。シールド保持トリガ1306は、シールド保持トリガ1306が保持具1312の可撓性アーム1374の面取りした半径方向外方突起部1378の遮断を解除する程度に遠位方向に動かされる。結果として、可撓性アーム1372は、半径方向外方に自由に曲がる。主バネ1304がプランジャ1302を近位方向に加圧する付勢に起因して、且つ半径方向内方突起部1380の面取りした設計がプランジャ1302の貫通孔1326の対応する面取りしたリムと相互作用することに起因して、可撓性アーム1374はプランジャ1302により半径方向外方に押し付けられ、それによって開口326から係脱する。以下でプランジャ1302は、近位方向に動き、ストッパ要素1210に接触し、ストッパ要素1210を注射器1204のガラス体内で近位方向に移し、針1206を通して薬剤を患者の組織の中に送達することを開始する、すなわち押し出すことができる。
【0325】
図87a及び87bは、薬物送達装置が薬物を患者に送達する時の中間状態の長手方向断面図を示し、プランジャ1302はストッパ要素1210に接触しており、針を通して薬剤を押し出すために、プランジャ1302を注射器1204内である特定の距離にわたって動かしている。
図87bでは、可撓性アーム1374は半径方向外方に曲がっており、開口1326を解除していることが明瞭に見られる。当然のことながら、プランジャ1302は、拡大する傾向がある主バネ1304のバネ力を受けて近位方向に動かされる。
【0326】
最後に主バネ1304は、プランジャ1302を、それによってストッパ要素1210を注射器1204の丸みを帯びた先細1233のすぐ近くで駆動している。
図88a及び88bは、薬物送達が終わりに近づいた時のこの状態を描く、長手方向断面図を示す。この状態で、プランジャ1302の遠位端は、その端面1331で保持具1312の可撓性アーム1374の半径方向内方に延在する突起部1380の近位側部を丁度通過する。プランジャ1302の端面1331が、突起部1380の近位側部を通過する時、可撓性アーム1374は端面1331の背後で半径方向内方に曲がることができる。その上、可撓性アーム1374のこの半径方向内方の動きは、可撓性アーム1374の近位前部がプランジャ1302の遠位端の外周面に衝突するので、ある特定の可聴及び又は触覚信号をユーザに提供してもよい。
【0327】
その上
図88bに見られるように、プランジャ1302が注射器1204内で近位方向にほぼ完全に前進した薬物送達の終わりに近い状態で、プランジャ1302は、その遠位端面1331でシールド保持表示器1310の可撓性アーム1354の近位端も通過している。こうしてプランジャ1302は、シールド保持表示器1310の可撓性アーム1354の遮断を半径方向内方に解除する。結果として、圧縮したシールドバネ1308の付勢力に起因して、アーム1354の面取りした保持突起部1362は、保持具1312の切欠き1382に横方向に架橋する、横方向突起部1384の近位前面に沿って摺動する。それによって、可撓性アーム1354は半径方向内方に押し付けられて、内方に曲がる。可撓性アーム1354は、ここで横方向突起部1384を遠位方向に自由に通過する。圧縮したシールドバネ1308は拡大する傾向があるので、シールドバネ1308は、シールドバネ1308が遠位端キャップ1316に衝突することにより、可聴及び/又は触覚信号をユーザに与えるまで、シールド保持表示器1310を遠位方向に動かす。
【0328】
その上、信号色を持つそれらの外周面を備えた対向する弓型壁部材1366は、可撓性アーム1442の間の自由な周囲空間の中に入る。上述したように、筐体1108は透明材料から形成される。ラベル1014は、筐体1108の近位端から実質的に離れて、例えば6~20mmの距離で終了し、それによってユーザが筐体1108の内部を見ることができる円形透明窓1198を提供する。
【0329】
図84a、84b~87a、87bに示された状態で、窓は透明である。しかし
図89bに示されたように、シールド保持表示器1310がアーム1354の半径方向内方の動きによって解除されて、シールドバネ1308により遠位方向に加圧されると直ちに、着色又はパターンを付けた周囲面1368を備えた弓型壁部材1366は、周囲自由空間の中に入り、前記円形透明窓1198を通して見える。それによってユーザも、薬物送達が終わることを示す、窓1198内の可視表示を受領する。別の例では、これは、ラベル又は筐体が不透明及び透明領域を生成した場合、1つ又は複数の窓であることが可能である。
【0330】
図89a及び89bは、薬物送達装置が薬物を患者に完全に送達した時の状態の長手方向断面図を示す。主バネ1304は実質的に解除しており、プランジャ1302をストッパ要素1210と一緒に注射器1204の丸みを帯びた先細1233の内部面に対して完全に加圧したことがわかる。薬剤は、針1206を通して患者の組織の中に完全に押し出されている。シールド保持表示器1310はシールドバネ1308により完全に遠位端に加圧され、窓1198を通してユーザが見ることができる。
【0331】
ユーザは、可聴及び/又は触覚信号により、並びに窓1198を通して可視表示により、薬物送達が終わることを知る。次いでユーザは、その皮膚から、装置1010を軸方向に後退させ、それによって針をその組織から引き抜くことによって、装置1010を取り除く。装置1010をその皮膚から取り除く間、すなわち針をその組織から引き抜く間、安全シールド1104は、安全シールド1104が完全に覆ってその針先1240を備えた針1206の上に突出するまで、患者の皮膚Sと永久に接触したままである。これは、針シールドが、シールド保持トリガ要素1306と一緒にシールドバネ1308により近位方向に筐体1108から押し出されるという事実に起因する。
【0332】
図90a~90cは、薬物送達装置が患者の皮膚から取り除かれて、使用後にロック状態に固定された時の状態の異なる図を示す。ロックリング1106(
図86a参照)に永久に結合された安全シールド1104は、筐体1108から突出する。その可撓性アーム1136を用いて対応する開口1128とリング形状体1112内で係合するロックリング1106は、安全シールド1104を筐体1108内のあらゆる更なる遠位方向の動きに対して遮断する。換言すると、ロックリング1106は、安全シールド1104が筐体の中に押し戻されるのを防ぐ。それによって安全シールド1104は、あらゆる操作又は患者若しくは施術者とのあらゆる接触に対して、患者の血液で汚染する、その針先1240を備えた針1206を安全に覆う。
【0333】
安全シールド1104の遠位方向のあらゆる動きに対する遮断は、ロックリング1106の遠位側面上に形成された4つの可撓性アーム1146によって実現される。装置1010が安全シールド1104を備えたアーム1136を永久に結合することに起因して、患者の皮膚上で挿入場所から取り除かれる間に、安全シールド1104が、シールドバネ1308の力を受けて筐体1108から押し出される時、安全シールド1104はロックリング1106をこの動きで引っ張る。それによってロックリング1106は、その4つの可撓性アーム1146と共に、筐体1108内に一体形成されたリング構造1186の外周面を横切って動かされる。最後に可撓性アーム1146は、それらの遠位壁1150と共に筐体1108のリング構造1186の近位前縁部を通過して、半径方向内方に曲がる。それによってそれらの遠位壁1150を備えた4つの可撓性アーム1146は、リング構造1186の近位面の前で半径方向内方にスナップ嵌合する。結果として、可撓性アーム1146は、安全シールド1104とリング構造1186の近位前面との間の固定スペーサとして作用する。ロックリング1106を用いて、安全シールド1104は、筐体1108の中へのあらゆる相対的遠位の動きに対して固定される。その上、安全シールド1104は、安全シールド1104が傾斜したラグ1160の半径方向遠位面を用いて、アーム1114、1116の長手方向スロット1124の中に係合することを遮断されるので、筐体1104から出るあらゆる更なる近位の動きに対して、すなわち筐体から引き抜かれることに対しても固定される。
【0334】
それによって、装置1010のあらゆる更なる使用は防止される。装置1010は、突出部及びロック安全シールド1104によって遮断されるので、端部キャップ1050を筐体1108の上に螺合又は押圧することもできない。ユーザは、窓1198を通して着色したシールド表示器1102並びにシールド保持表示器1310の着色した壁セグメント1366を見ることができる。
【0335】
本発明の上記の例による装置1010は、特に以下の有利な特徴を有する。
・装置1010は、3つの異なる予め組み立てたサブアセンブリ注射器ユニット1100、予め充填した注射器1200及び電源ユニット1300から容易に組み立てることができる。
・予め充填した注射器1200は、注射器ホルダ1110の適合に丁度必要な、異なる形状及び大きさで提供することができる。
・遠位端キャップ1050は筐体1108から容易に取り外すことができ、その中で捻り取る操作がシールドバネ1308の作用によって支持される。
・装置の使用中、装置は、操作の異なる状態の可聴及び/又は触覚及び/又は可視信号を与える複数の可能性を提供する。
・薬物が送達されない限り、ユーザは、薬物送達が完了するまで、いかなる可視表示器も示さない窓1198を通して、この状態を認識することができる。
・薬物送達が装置を患者の皮膚に対して加圧することを用いて、装置を始動することによって開始すると、薬物の送達を止める恐れはない。これは、装置が複数回使用されるのを防ぐ。
・装置は、装置が別個のトリガ要素、例えばボタンなどを有さないので、使用が容易で直感的である。始動することは、その安全シールド1104を備えた装置を患者の皮膚に対して加圧することだけでもたらされる。
【0336】
要するに、装置は、異なる種類の注射器を使用することができる構造の容易な組立を提供する。装置は、容易に直感的に誤差なく使用することができる。装置は、ユーザにいくつかのフィードバック信号を提供する。
なお、本発明には以下の態様が含まれることを付記する。
[態様1]
流体製品を分注するための自動薬物送達装置であって、
長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、前記近位端と反対側の遠位端及び中空内部を有する、長手方向筐体と、
前記筐体の前記近位端に装着可能な取り外し可能なキャップと、
前記筐体の内側の装着位置に配置され、中空注射器体及び前記流体製品を含む前記中空注射器体と共に形成された注射針を有する、注射器アセンブリと、
前記流体製品の分注を開始するためにトリガ要素によって始動することができる、駆動機構とを含み、
前記駆動機構は、前記長手方向筐体内で移動可能な安全シールドと作動可能に結合され、
前記安全シールドは、前記安全シールドが前記注射針の針先を覆うために、前記長手方向筐体の前記近位端から突出する近位位置に付勢され、前記安全シールドは、前記注射針が注入のために露出する遠位位置に移動可能であり、
前記長手方向筐体は、前記長手方向筐体内に注射器ホルダを受領して、前記注射器ホルダの所定の半径及び軸位置を提供するために、それに固定された内部受領構成要素を提供し、
前記注射器アセンブリは、第1の注射器アセンブリであり、第1の注射器ホルダにより前記長手方向筐体内に受領され、前記第1の注射器ホルダは、前記長手方向筐体と前記注射器アセンブリとの間に接合部を提供し、
前記長手方向筐体及び受領構成要素は、第2の注射器ホルダ及び第2の注射器アセンブリを受領できるようにサイズ化されて構成され、前記第2の注射器アセンブリは、前記第1の注射器アセンブリと異なる直径を有する、装置。
[態様2]
前記長手方向筐体及び受領構成要素は、第2の注射器ホルダ及び第2の注射器アセンブリを受領できるようにサイズ化されて構成され、前記第2の注射器アセンブリは、前記第1の注射器アセンブリより大きい直径を有する、態様1に記載の装置。
[態様3]
前記内部受領構成要素は、前記長手方向筐体の内周面に固定して装着され、前記注射器ホルダは、その近位端と共に前記受領構成要素内に受領される、態様1又は2に記載の装置。
[態様4]
前記受領構成要素は、前記筐体内に一体形成される、態様1~3のいずれか一項に記載の装置。
[態様5]
前記注射器ホルダは、その近位端から少し離れて、前記長手方向筐体の内周面に接触するための少なくとも1つの接触構造を備える、態様1~4のいずれか一項に記載の装置。
[態様6]
前記接触構造は、前記注射器ホルダの遠位端から半径方向に延在する2つの対向する支持アーチによって形成され、前記安全シールドは、前記長手方向筐体内で遠位方向に延在する2つの長手方向アームを有し、前記安全シールドは、前記長手方向アームを介して前記安全シールドを近位方向に付勢する安全シールドバネと相互作用し、前記2つの長手方向アームは、前記支持アーチの間の前記注射器ホルダ内に形成された凹部を通って案内される、態様5に記載の装置。
[態様7]
前記駆動機構は、駆動バネにより近位方向に付勢されたプランジャを含み、前記プランジャは、前記注射器体内に密封可能に案内され、前記注射器体内に含まれた前記流体製品に作用するストッパに作用し、前記注射器ホルダは、前記プランジャにより前記注射器体上に加えられた軸力を受領して、前記力を前記長手方向筐体に伝達する、態様1~6のいずれか一項に記載の装置。
[態様8]
前記駆動機構は、半径方向内方突起部の前記プランジャ内のスロットとの前記係合を通して、前記プランジャを初期位置に保持する、態様7に記載の装置。
[態様9]
前記プランジャは、複数の保持スロットを異なる軸位置に備える、態様8に記載の装置。
[態様10]
前記プランジャは、複数の保持スロットを異なる周位置に備える、態様9に記載の装置。
[態様11]
前記プランジャは、位置合わせスロットを前記プランジャの端部内に備える、態様10に記載の装置。
[態様12]
前記注射器ホルダは、前記注射器体の近位肩を近位軸方向に支持するために、半径方向内部突起部を近位端に含む、態様1~11のいずれか一項に記載の装置。
[態様13]
前記注射器アセンブリは、前記中空注射器体の近位端に固定され、前記針を覆う剛性針シールドを含み、前記注射器ホルダは、前記注射器アセンブリを半径方向に受領し、前記半径方向内部突起部は、前記注射器体と前記針シールドとの間に配置されて、より小さい直径の次に前記剛性針シールドを有する、態様12に記載の装置。
[態様14]
前記注射器ホルダは、周方向又は半径方向に弾性変形が可能な少なくとも1つの可撓性部を含む、態様12又は13に記載の装置。
[態様15]
前記注射器ホルダは、予め充填した注射器を前記軸方向と直交する半径方向から前記注射器ホルダの中に導くことができるように、その近位端及び又はその遠位端において剛性で非弾性のU字形要素と共に形成される、長手方向体を含む、態様12~14のいずれか一項に記載の装置。
[態様16]
前記注射器ホルダは、2つの連結アームによって連結された1対の剛性で非弾性のU字形要素を含み、前記連結アームのそれぞれは、注射器を前記注射器ホルダ内に解除可能に保持するために半径方向内方に突起する突起部を含み、前記アームは、注射器体が前記突起部の間を通過できるように変形可能である、態様15に記載の装置。
[態様17]
前記駆動機構は、前記装置の遠位端から前記注射器体に延在する保持部材を含み、前記保持部材は、前記注射器体を前記近位方向に付勢するために弾性的に変形可能であり、前記保持部材は、2つの対向する突起部を有する近位リング形状頭部を含み、前記突起部は、前記注射器体に接触し、前記近位リング形状頭部が前記注射器体に接触するように、より大きい直径を有する注射器体内に嵌合するように構成される、態様1~16のいずれか一項に記載の装置。
[態様18]
態様1~17のいずれか一項に記載の自動薬物送達装置のための注射器ホルダであって、前記注射器ホルダは、注射器アセンブリを長手方向筐体内に受領するように適合され、前記注射器ホルダは、前記長手方向筐体と前記注射器アセンブリとの間に接合部を提供し、前記長手方向筐体は、前記注射器ホルダの所定の半径及び軸位置を前記長手方向筐体内に提供する、前記長手方向筐体の内周面に固定して装着された内部受領構成要素を提供し、前記注射器ホルダは、その近位端と共に前記受領構成要素内に受領される、注射器ホルダ。
[態様19]
態様1~17のいずれか一項に記載の自動薬物送達装置を組み立てるための部品キットであって、前記キットは、電源ユニット・サブアセンブリ、第1の注射器アセンブリ、第2の注射器アセンブリ、及び近位サブアセンブリであって、
前記近位サブアセンブリは、長手方向軸に沿って延在し、分注場所に近い近位端、前記近位端と反対側の遠位端及び中空内部を有する長手方向筐体、並びに前記筐体の前記近位端に装着された取り外し可能なキャップを含み、
前記第1の注射器アセンブリは、中空注射器体及び流体製品を含む前記中空注射器体と共に形成された注射針を含み、
前記第2の注射器アセンブリは、前記第1の注射器アセンブリの中空注射器体の直径より大きい直径を有する前記注射器体、及び前記流体製品を含む前記中空注射器体と共に形成された注射針を含み、
前記電源ユニット・サブアセンブリは、前記流体製品の分注を開始するために、トリガ要素によって始動することができる駆動機構を含む、電源ユニット・サブアセンブリ、第1の注射器アセンブリ、第2の注射器アセンブリ、及び近位サブアセンブリと、
前記長手方向筐体と前記第1の注射器アセンブリとの間に接合部を提供するための第1の注射器ホルダと、
前記長手方向筐体と前記第2の注射器アセンブリとの間に接合部を提供するための第2の注射器ホルダとを含み、
前記組み立てた自動薬物送達装置は、前記電源ユニット・サブアセンブリ及び前記近位サブアセンブリ、並びに前記第1の注射器アセンブリ及び前記第1の注射器ホルダ、又は前記第2の注射器アセンブリ及び前記第2の注射器ホルダのいずれかを含む、キット。
[態様20]
態様19に記載の部品キットを使用して自動薬物送達装置を組み立てるための方法であって、
第1の注射器アセンブリ及び第1の注射器ホルダ、又は第2の注射器アセンブリ及び第2の注射器ホルダのいずれかを選択することと、
前記選択された注射器アセンブリを前記選択された注射器ホルダ内に装着することと、
注射器及び注射器ホルダを近位サブアセンブリの中に置くことと、
電源ユニット・サブアセンブリを前記近位サブアセンブリの上に組み立てることとを含む、方法。