(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】結合エピトープを含有する融合タンパク質を封入する粒子
(51)【国際特許分類】
A61K 9/51 20060101AFI20230817BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20230817BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230817BHJP
A61K 39/35 20060101ALI20230817BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230817BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20230817BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20230817BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
A61K9/51 ZNA
A61K38/00
A61K39/00 G
A61K39/35
A61K47/34
A61K47/65
A61P21/04
A61P37/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021105106
(22)【出願日】2021-06-24
(62)【分割の表示】P 2018534626の分割
【原出願日】2017-01-04
【審査請求日】2021-06-25
(32)【優先日】2016-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515245424
【氏名又は名称】クール ファーマシューティカルズ ディベロップメント カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ,ダニエル アール.
【審査官】松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/023796(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0010394(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0070252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/51
A61K 38/00
A61K 39/00
A61K 39/35
A61K 47/34
A61K 47/65
A61P 21/04
A61P 37/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子であって、
前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、重症筋無力症に関連する2つ以上の抗原エピトープを含み、
前記2つ以上の抗原エピトープの各々は、アセチルコリン受容体(AChR)タンパク質の少なくとも一部を含み、
前記2つ以上の抗原エピトープは、
細胞内プロテアーゼによって切断可能なリンカーによって分離され
、
前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する、生分解性粒子。
【請求項2】
前記生分解性粒子はポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)を含む、請求項1に記載の生分解性粒子。
【請求項3】
前記生分解性粒子は
、50:50のポリ乳酸:ポリグリコール酸のコポリマー比でPLGを含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の生分解性粒子。
【請求項4】
前記生分解性粒子は
、-100mV
~0mVのゼータ電位を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の生分解性粒子。
【請求項5】
前記生分解性粒子は
、0.1μm
~10μmの直径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の生分解性粒子。
【請求項6】
前記リンカ
ーは、細胞の
ファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の
アミノ酸配列、または
細胞の
サイトゾルに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の部位を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の生分解性粒子。
【請求項7】
前記リンカ
ーは、細胞の
ファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の
アミノ酸配列、及び
細胞の
サイトゾルに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の部位を含む、請求項
1~5のいずれか一項に記載の生分解性粒子。
【請求項8】
前記ファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の前記部位は、フューリンまたはカテプシンプロテアーゼによる切断に感受性である、請求項6または7に記載の生分解性粒子。
【請求項9】
前記ファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の前記部位は、カテプシンA、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンD、カテプシンE、カテプシンF、カテプシンG、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL、カテプシンO、カテプシンW、またはカテプシンZのうちの1つ以上である、請求項6~8のいずれか一項に記載の生分解性粒子。
【請求項10】
前記リンカーの前記アミノ酸配列は、Gly-Ala-Val-Val-Arg-Gly-Ala(配列番号5141)である、請求項1~9のいずれか一項に記載の生分解性粒子。
【請求項11】
請求項1~1
0のいずれか一項に記載の生分解性粒子を含む、薬学的組成物。
【請求項12】
薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、請求項1
1に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
有効量の請求項1~1
0のいずれか一項に記載の生分解性粒子を含む、重症筋無力症を有する対象において抗原特異的寛容を誘導するための薬学的組成物。
【請求項14】
前記有効量の前記生分解性粒子は、対象に、経口、静脈内、舌下、頬側、腸内、局所、直腸、皮下、経鼻、骨内(すなわち、骨内注入)、腹腔内、くも膜下腔内、経皮、または経粘膜投与される、請求項1
3に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
対象に有効量の請求項1~1
0のいずれか一項に記載の生分解性粒子を含む、対象において組織再生を増加させるための薬学的組成物。
【請求項16】
有効量の請求項1~1
0のいずれか一項に記載の生分解性粒子を含む、対象において防御免疫応答を増大または誘導させるための薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその内容全体が本明細書中に組み込まれる、2016年1月4日に出願された米国仮特許出願第62/274,711号の優先権を主張する。
【0002】
電子的に提出されるテキストファイルの記載
本明細書とともに電子的に提出されるテキストファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:配列表のコンピュータ可読形式のコピー(ファイル名:COUR-013_01WO_Seqlist.txt、記録日:2016年1月4日、ファイルサイズ:1.17メガバイト)。
【背景技術】
【0003】
炎症性疾患及び障害は、異常なまたは別様に無秩序な炎症反応が疾患の病因または重症度に寄与する状態であり、自己免疫疾患、アレルギー、癌、及び感染症を含む様々な病気を包含する。
【0004】
望ましくない免疫応答に関連する障害における一般的な長期免疫抑制のための従来の臨床ストラテジーは、広く作用する免疫抑制薬、例えば、シクロスポリンA(CsA)、FK506(タクロリムス)、及び副腎皮質ステロイド等のシグナル1ブロッカーの長期投与に基づいている。しかしながら、これらの薬物は、所望の有効性を達成するために高用量を必要とすることが多く、長期使用は、しばしば毒性の副作用をもたらす。さらに、たとえこれらの薬物に耐容性を示す患者であっても、生涯にわたる免疫抑制薬療法が必要になると、重度の副作用、腎毒性、及び代謝障害のリスクを伴う。さらに、一般的に、非特異的免疫抑制は、病的な免疫応答(例えば、自己反応性)、及び癌細胞及び感染病原体に対して誘発される応答のような有益な免疫応答の両方を阻害する。結果として、免疫抑制治療を受けている患者は、種々の癌の発生及び重度の感染症の罹患のリスクが高い。
【0005】
同様に、癌治療は通常、癌細胞を根絶させるための試みにおいて、幅広い非特異的免疫の活性化をもたらす。しかしながら、これらの幅広い活性化ストラテジーは、健康な非癌性または非悪性の組織の損傷及びさらには死滅をもたらす。したがって、当該技術分野には、抗原特異的な様式で免疫応答を効果的に制御することができる改善された治療薬の必要性が存在する。そのような治療薬は、自己免疫疾患及び癌等の炎症性疾患の標的化治療を可能にし、それによって免疫系の幅広く非特異的な活性化または阻害に関連する負の副作用を最低限に抑える。
【0006】
抗原またはペプチドの細胞結合を含む、抗原特異的寛容を誘導する方法が開発されてきた。例えば、ある方法において、ペプチド誘導性の、細胞結合による寛容は、無菌状態下で疾患特異的自己抗原及びエチレンカルボジイミド(ECDI)結合試薬を用いた末梢血液細胞の収集、分離、及び処理を含む。これらのペプチド結合細胞は、その後、ドナー/患者に再注入される。このプロセスは、費用が高く、熟練した実践者によって厳密に監視された条件下で行われなければならず、この手技を行うことができる施設の数には限りがある。ドナー細胞型としての赤血球の使用により、同種異系ドナーを含むように潜在的な源が拡大され、源細胞の供給が劇的に増加し、輸血が認められている任意の環境を含むように好適な送達施設の数が潜在的に増加するが、源細胞の供給限界、及びドナー細胞に対する免疫応答を最小限に抑えるための血液型一致の必要性を含む著しい欠点が依然として残る。
【0007】
最近、源細胞の供給に関する要件を排除し、先行手法の組織型要件を回避するペプチド結合粒子が記載された(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2012-0076831号を参照のこと)。それにもかかわらず、粒子の外側に結合した抗原の使用は、アナフィラキシーの増加と関連しており、重大な化学、製造、及び管理の問題を有する。しかしながら、抗原を粒子内に封入すると、これらの有害事象を回避することができる。驚くべきことに、サイズ及び電荷は、誘発される免疫応答の表現型を制御するように変更することができ、特異的抗原に対して増強された寛容原性応答もしくは制御性応答(例えば、自己免疫との関連において)または増強された防御免疫応答(例えば、癌との関連において)のいずれかを誘導する。
【0008】
単一のエピトープまたはタンパク質を封入する粒子が作製されているが、病態の多くは複数のタンパク質と関連している。さらには、単一の疾患が、各抗原内にいくつかの免疫原性エピトープを有する場合もある。例えば、多発性硬化症(MS)は、少なくともプロテオリピドタンパク質(PLP)、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、及びミエリン塩基性タンパク質(MBP)を含む、いくつかの異なる自己タンパク質の複数部位に対する炎症反応に関与すると考えられる。しかしながら、主要な標的抗原は確実には分かっていない。その上、標的抗原は患者間で異なり、異なる抗原に対するT細胞反応性は、エピトープスプレッディングとして知られるプロセスにおいて経時的に変化する。したがって、特定のMS患者が任意の所与の時点で反応性であり得る全ての可能な抗原エピトープの範囲を確保するために、タンパク質全体の封入が必要となる。しかしながら、これらの大きなタンパク質のサイズ及び物理的特性を考慮すると、封入は極めて困難である。そのため、特定の疾患に関連する複数のエピトープを封入する粒子は、そのような粒子の治療効果を増大させる可能性が高い。しかしながら、溶解性または等電点等の異なるタンパク質の特性は、1つより多くのタンパク質またはエピトープを封入する粒子を製造する複雑性を高め、変動しやすく制御困難な封入効率をもたらすことが多い。
【0009】
さらに、頭部及び頸部の扁平細胞細胞腫の治療におけるMAGE3及びHPVを発現する複数のエピトープ構築物の使用を含む、例えば、腫瘍抗原に対する、抗原特異的免疫活性化を誘導する方法も開発されている(米国特許第8,263,560号及び米国特許第US7,842,480号を参照のこと]。さらに、リポソームに封入された4つの腫瘍抗原(NY-ESO-1、MAGE-A3、チロシナーゼ、及びTPTE)をコードする個々のRNAベクターを用いるRNA-リポプレックス(RNA-LPX)を使用したマルチエピトープシステムも記載されている(Kranz et al.,Nature,V.534,pp.396-401,2016を参照のこと)。これらのRNA-LPXの投与は全身のIFNα応答を誘導し、コードされた抗原に対するT細胞応答を増幅した。しかしながら、このシステムは、複数の独立した成分を単一粒子に封入することに関連する困難を克服できない。封入効率のばらつきは、一方の成分が他方の成分と比べて不均衡に組み込まれる結果となり得る。さらに、核酸ベースのワクチンの使用は、内因性転写及び翻訳経路の使用を必要とする。これらの要因の各々が、システムの変動性を増加させ、コードされたタンパク質の相対的発現を変化させ、組成物の治療効果を低下させる。そのため、当該技術分野には、炎症性疾患、特に、複数のエピトープまたはタンパク質が発病に関与する疾患の治療に使用される単一の治療用組成物への複数の疾患エピトープの組込みを可能にする組成物及び方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、1つ以上のリンカーによって一緒に結合された2つ以上のエピトープを封入する生分解性粒子を提供する。リンカーは、特異的プロテアーゼによる切断に感受性のアミノ酸配列であり、主要組織適合性(MHC)-IまたはMHC-IIによる抗原提示の制御を可能にし、得られた免疫応答の制御をさらに強化する。単一のタンパク質中にエピトープを結合させることにより、互いに制御された比率でエピトープを送達することができる、複数のエピトープに対する寛容を誘導することができる粒子が可能となる。そのような粒子は、1つより多くのエピトープに関連する炎症性疾患、例えば、自己免疫疾患またはアレルギーを改善するために有用である。免疫調節因子及びアゴニスト、例えば、TLRアゴニストの組込みもまた、癌の治療におけるそのような粒子の使用に有用である。
【0011】
本発明のいくつかの態様は、封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を提供し、1つ以上の融合タンパク質の各々は、2つ以上の抗原エピトープを含み、2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、約-100mV~約0mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、生分解性粒子は、約-50mV~約-40mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、生分解性粒子は、約-75mV~約-50mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、生分解性粒子は、約-50mVのゼータ電位を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)を含む。さらなる実施形態において、生分解性粒子は、約50:50のポリ乳酸:ポリグリコール酸のコポリマー比でPLGを含む。いくつかの実施形態において、生分解性粒子の表面はカルボキシル化される。さらなる実施形態において、カルボキシル化は、ポリ(エチレン-無水マレイン酸)(PEMA)、ポリアクリル酸、またはコール酸ナトリウムを使用することによって達成される。
【0013】
いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、約0.1μm~約10μmの直径を有する。いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、約0.3μm~約5μmの直径を有する。いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、約0.5μm~約3μmの直径を有する。いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、約0.5μm~約1μmの直径を有する。いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、約0.5μmの直径を有する。いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、約0.6μmの直径を有する。
【0014】
本発明のいくつかの態様は、封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を提供し、1つ以上の融合タンパク質の各々は、2つ以上の抗原エピトープを含み、2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、リンカーは、細胞のサイトゾルに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の細胞または部位のファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、細胞のサイトゾルに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の細胞及び部位のファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、ファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の部位は、フューリンまたはカテプシンプロテアーゼによる切断に感受性である。さらなる実施形態において、ファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の部位は、フューリンプロテアーゼによる切断に感受性である。さらなる実施形態において、ファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の部位は、カテプシンプロテアーゼによる切断に感受性である。なおもさらなる実施形態において、ファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の部位は、カテプシンA、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンD、カテプシンE、カテプシンF、カテプシンG、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL、カテプシンO、カテプシンW、またはカテプシンZのうちの1つ以上である。なおもさらなる実施形態において、ファゴリソソームに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の部位は、カテプシンLである。
【0016】
さらなる実施形態において、サイトゾルに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の部位は、フューリンまたはカテプシンプロテアーゼによる切断に感受性である。さらなる実施形態において、サイトゾルに位置するプロテアーゼによる特異的切断に感受性の部位は、カテプシンSによる切断に感受性である。さらなる実施形態において、リンカーのアミノ酸配列は、カテプシンLによる特異的切断に感受性の部位、及びカテプシンSによる特異的切断に感受性の部位を含む。なおもさらなる実施形態において、リンカーのアミノ酸配列は、Gly-Ala-Val-Val-Arg-Gly-Ala(配列番号5141)である。
【0017】
本発明のいくつかの態様は、封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を提供し、1つ以上の融合タンパク質の各々は、2つ以上の抗原エピトープを含み、2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、自己免疫抗原、対象に移植されるべき組織上に発現する抗原、酵素補充療法のための酵素由来の抗原、またはアレルゲン由来の抗原を含む。さらなる実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、各々、タンパク質の少なくとも一部を含み、前記一部は同じタンパク質に由来する。さらなる実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、各々、タンパク質の少なくとも一部を含み、前記一部は異なるタンパク質に由来する。いくつかの実施形態において、異なるタンパク質は、同じ自己免疫障害、対象に移植されるべき同じ組織、または同じアレルゲンに関連する。
【0018】
本発明のいくつかの態様は、封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を提供し、1つ以上の融合タンパク質の各々は、2つ以上の抗原エピトープを含み、2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、各々、ミエリン塩基性タンパク質、アセチルコリン受容体、内因性抗原、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、膵β細胞抗原、インスリン、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、11型コラーゲン、ヒト軟骨gp39、fp130-RAPS、プロテオリピドタンパク質、フィブリラリン、低分子核小体タンパク質、甲状腺刺激因子受容体、ヒストン、糖タンパク質gp70、ピルビン酸脱水素酵素ジヒドロリポアミドアセチルトランスフェラーゼ(PCD-E2)、毛包抗原、Α-グリアデン、グリアデン、インスリン、プロインスリン、膵島特異的グルコース-6-フォスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、ヒトトロポミオシンアイソフォーム5、バヒアグラス花粉(BaGP)、モモアレルゲン Pru p3、αS-1カエイン牛乳アレルゲン、Apig1セロリアレルゲン、Bere1ブラジルナッツアレルゲン、B-ラクトグロブリン牛乳アレルゲン、ウシ血清アルブミン、Cor a 1.04ヘーゼルナッツアレルゲン、ミエリン関連糖タンパク質、アクアポリン、IV型コラーゲンのα3鎖、オボアルブミン卵アレルゲン、Advate、抗血友病因子、Kogenate、Eloctate、遺伝子組換え第VIII因子融合タンパク質、Refacto、Novo VIIa、遺伝子組換え第VII因子、エプタコグアルファ、Helixate、Monanine、凝固第IX因子、Wilate、Ceredase、アルグルセラーゼ、Cerezyme、イミグルセラーゼ、Elelso、タリグルセラーゼアルファ、Fabrazyme、アガルシダーゼベータ、Aldurazyme、-I-イズロニダーゼ、Myozyme、酸グルコシダーゼ、エラプレース、イズロン酸-2-スルファターゼ、NaglazymeアリールスルファターゼB、またはN-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼからなる群から選択されるタンパク質の少なくとも一部を含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号2~1294からなる群から選択される。さらなる実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号1295~1724;配列番号1726~1766;配列番号4986~5140;及び配列番号1725に由来する不連続エピトープからなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号1767~1840;配列番号1842~1962;配列番号1964~2027;配列番号2029~2073;配列番号2075~2113;配列番号2115~2197;配列番号2199~2248;配列番号2250~2259;配列番号2261~2420;配列番号2422~2486;配列番号2489~2505、ならびに配列番号1841、1963、2028、2074、2114、2198、2260、2249、2421、2487、及び2488に由来する不連続エピトープからなる群から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号2506~3260;配列番号3262~3693;及び3261に由来する不連続エピトープからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号3694~3857;配列番号3860~4565;ならびに3857、3858、及び3859に由来する不連続エピトープからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号4566~4576;配列番号4578~4610;配列番号4612~4613;及び配列番号5018~5039;ならびに4357、4577、及び4611に由来する不連続エピトープからなる群から選択される。
【0022】
いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号4614~4653からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号4654~4694;配列番号4696~4894;配列番号4896~4901;ならびに4695及び4895に由来する不連続エピトープからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号4902~4906からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号4907~4914からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号4915~4917からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号4918~4941からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号4942~4952からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号4953~4963からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、配列番号4964~4974からなる群から選択される。
【0023】
本発明のいくつかの態様は、封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を提供し、1つ以上の融合タンパク質の各々は、2つ以上の抗原エピトープを含み、2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、治療抗体、またはその抗原結合断片、Fc断片に由来する。いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、ヒトモノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、抗原結合断片領域(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、または一本鎖抗原結合ドメインである。
【0024】
さらなる実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、α4β1インテグリン、炭疽菌、B-L(γS)、C5、CD3、CD11a、CD20、CD25、CD30、CD33、CD52、CD59、CTLA4、EGFR、GD2、GPIIb、IIIa、HER2、IgE、IL-1β、IL-5、IL12/23、PCSK9、PD1、RANK、RSV-Fタンパク質、TNFα、またはVEGF-Aに結合する。さらなる実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アドトラスツズマブエムタンシン、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、ベリムマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、カナキヌマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、セルトリズマブペゴール、ダクリズマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エボロクマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、イピリムマブ、インフリキシマブ、モタビズマブ、ムロノマブ、ナタリズマブ、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、パニツムマブ、パリビズマブ、ペンブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、シルツキシマブ、トラスツズマブ、トシリズマブ、トシツモマブ-I-131、ウステキヌマブ、またはベドリズマブである。
【0025】
本発明のいくつかの態様において、2つ以上の抗原エピトープは、機能的相補性決定領域(CDR)を欠く治療抗体またはその抗原結合断片の変異体に由来する。さらなる態様において、機能的CDRを欠く抗体またはその抗原結合断片の変異体は、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、ヒトモノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、抗原結合断片領域(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、または一本鎖抗原結合ドメインである。
【0026】
本発明のいくつかの態様は、封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を提供し、1つ以上の融合タンパク質の各々は、2つ以上の抗原エピトープを含み、2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、前記1つ以上の融合タンパク質のうちの1つは、抗原エピトープMOG1-20、MBP13-32、MOG35-55、MBP146-170、PLP139-154、MBP111-129、及びMBP83-99を含む。さらなる態様において、前記1つ以上の融合タンパク質のうちの1つは、抗原エピトープ配列番号1350、配列番号4986、及び配列番号4987を含む。
【0027】
本発明のいくつかの態様は、本明細書に記載の生分解性粒子を含む薬学的組成物を提供する。さらなる態様において、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含む。さらなる態様において、薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0028】
本発明のいくつかの態様は、有効量の本明細書に記載の生分解性粒子を投与することを含む、対象において抗原特異的寛容を誘導する方法を提供する。いくつかの態様において、対象において抗原特異的寛容を誘導する方法は、前記対象に有効量の封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を投与することを含み、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、2つ以上の抗原エピトープを含み、前記2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、前記リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、有効量の生分解性粒子は、対象に、経口、静脈内、舌下、頬側、腸内、局所、直腸、皮下、経鼻、骨内(すなわち、骨内注入)、腹腔内、くも膜下腔内、経皮、または経粘膜投与される。さらなる実施形態において、有効量の生分解性粒子は、対象に静脈内または皮下投与される。さらなる実施形態において、有効量の生分解性粒子は、対象に静脈内投与される。さらなる実施形態において、有効量の生分解性粒子は、対象に皮下投与される。
【0029】
いくつかの実施形態において、有効量の本明細書に記載の生分解性粒子は、疾患または状態を治療または予防するために対象に投与される。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、自己免疫疾患、リソソーム蓄積症、酵素欠損症、炎症性疾患、アレルギー、移植拒絶反応、及び過免疫応答からなる群から選択される。さらなる実施形態において、疾患または状態は、多発性硬化症、1型糖尿病、喘息、食物アレルギー、環境アレルギー、セリアック病、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)、ムコ多糖蓄積症、ガングリオシドーシス、低アルカリホスファターゼ、コレステロールエステル蓄積症、高尿酸血症、成長ホルモン欠乏症、腎性貧血、血友病、血友病A、血友病B、フォン・ヴィルブランド病、ゴーシェ病、ファブリー病、ハーラー病、ポンペ病、ハンター病、マロトー・ラミー病、及び抗原に対する過剰反応をもたらすように対象の抗原によって引き起こされる状態からなる群から選択される。
【0030】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、多発性硬化症であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号2~1294からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、セリアック病であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号1295~1724;配列番号1726~1766;配列番号4986~5140;及び配列番号1725に由来する不連続エピトープからなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0032】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、1型糖尿病であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号1767~1840;配列番号1842~1962;配列番号1964~2027;配列番号2029~2073;配列番号2075~2113;配列番号2115~2197;配列番号2199~2248;配列番号2250~2259;配列番号2261~2420;配列番号2422~2486;配列番号2489~2505;ならびに配列番号1841、1963、2028、2074、2114、2198、2260、2249、2421、2487、及び2488に由来する不連続エピトープからなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0033】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、関節リウマチであり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号2506~3260;配列番号3262~3693;及び3261に由来する不連続エピトープからなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、全身性ループスであり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号3694~3857;配列番号3860~4565;ならびに3857、3858、及び3859に由来する不連続エピトープからなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、グッドパスチャー症候群であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4566~4576;配列番号4578~4610;配列番号4612~4613;及び配列番号5018~5039;ならびに4357、4577、及び4611に由来する不連続エピトープからなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、ぶどう膜炎であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4614~4653からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、甲状腺炎であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4654~4694;配列番号4696~4894;配列番号4896~4901;ならびに4695及び4895に由来する不連続エピトープからなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、筋炎であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4902~4906からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、血管炎であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4907~4914からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、または状態は、膵炎であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4915~4917からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、クローン病であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4918~4941からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、潰瘍性大腸炎であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4942~4952からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、乾癬であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4953~4963からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、疾患または状態は、反応性関節炎であり、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4964~4974からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0045】
本発明のいくつかの態様は、対象に有効量の本明細書に記載の生分解性粒子を投与することを含む、対象において抑制性好中球蓄積を減少させるための方法を提供する。いくつかの実施形態において、対象は、癌を有する。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、各々、CD19、CD20、BCMA、CD22、CLL1、CD33、CEA、CD123、CS1、EGFR、PSMA、EphA2、MCSP、ADAM17、PSCA、TPTE、HPU16、未成熟ラミニン受容体、TAG-72、HPV E6、HPV E7、BING-4、カルシウム活性化クロライドチャネル2、シクリンB1、9D7、Ep-CAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、メソテリン、SAP-1、サバイビン、BAGEファミリーのタンパク質、CAGEファミリーのタンパク質、GAGEファミリーのタンパク質、MAGEファミリー(例えば、MAGE-A3)、SAGEファミリーのタンパク質、XAGEファミリーのタンパク質、CT9、CT10、NY-ESO1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、メランA/MART-1、Cp100/pmel17、チロシナーゼ、TRP-1/TRP-2、P.ポリペプチド、MC1R、前立腺特異抗原、β-カテニン、BRCA1/2、CDK4、CML66、フィブロネクチン、MART-2、p53、Ras、TGF-βRII、及びMUC1からなる群から選択されるタンパク質の少なくとも一部を含む。
【0046】
本発明のいくつかの態様は、対象に有効量の封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を投与することを含む、対象において組織再生を増加させるための方法を提供し、1つ以上の融合タンパク質の各々は、2つ以上の抗原エピトープを含み、2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、大腸炎患者において上皮細胞の再生を増加させる。さらなる実施形態において、粒子に封入された1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号4918~4941及び配列番号4942~4952からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。いくつかの実施形態において、粒子は、多発性硬化症患者において再ミエリン形成を増加させる。さらなる実施形態において、粒子に封入された1つ以上の融合タンパク質の各々は、ミエリン塩基性タンパク質及び/またはミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質に由来する2つ以上の抗原エピトープを含む。さらなる実施形態において、粒子に封入された前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、配列番号2~1294からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含む。
【0047】
本発明のいくつかの態様は、対象に有効量の封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を投与することを含む、対象による治療タンパク質に対する免疫応答の発生率及び/または程度を低下するための方法を提供し、1つ以上の融合タンパク質の各々は、2つ以上の抗原エピトープを含み、2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、対象は、血友病、血友病A、血友病B、フォン・ヴィルブランド病、ゴーシェ病、ファブリー病、ハーラー病、ポンペ病、ハンター病、ムコ多糖蓄積症、ガングリオシドーシス、低アルカリホスファターゼ、コレステロールエステル蓄積症、高尿酸血症、成長ホルモン欠乏症、腎性貧血、及びマロトー・ラミー病からなる群から選択される疾患の治療のために酵素補充療法を受けている。
【0048】
さらなる実施形態において、抗原エピトープは、Advate、抗血友病因子、Kogenate、Eloctate、遺伝子組換え第VIII因子融合タンパク質、Refacto、Novo VIIa、遺伝子組換え第VII因子、エプタコグアルファ、Helixate、Monanine、凝固第IX因子、Wilate、Ceredase、アルグルセラーゼ、Cerezyme、イミグルセラーゼ、Elelso、タリグルセラーゼアルファ、Fabrazyme、アガルシダーゼベータ、Aldurazyme、-I-イズロニダーゼ、Myozyme、酸グルコシダーゼ、エラプレース、イズロン酸-2-スルファターゼ、NaglazymeアリールスルファターゼB、及びN-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼからなる群から選択される1つ以上の酵素を含む。さらなる実施形態において、抗原エピトープは、インターフェロンα、インターフェロンα-2a、インターフェロンβIb、インターフェロンβIa、インスリン、DNAase、Neupogen、Epogen、Procrit(エポテインアルファ)、Aranesp(第二世代Procrit)、イントロンA(インターフェロンα-2b)、IL-2(Proleukin)、IL-I ra、BMP-7、TNF-α Ia、tPA、PDGF、インターフェロンγ-Ib、uPA、GMCSF、第VII因子、第VIII因子、Betaferon(インターフェロンβ-Ia)、ソマトトロピン、及びRebif(インターフェロンβ-Ia)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質を含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、治療タンパク質は、抗体、またはその抗原結合断片、Fc断片である。さらなる実施形態において、抗体、またはその抗原結合断片、Fc断片は、抗体またはその抗原結合断片は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アドトラスツズマブエムタンシン、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、ベリムマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、カナキヌマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、セルトリズマブペゴール、ダクリズマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エボロクマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、イピリムマブ、インフリキシマブ、モタビズマブ、ムロノマブ、ナタリズマブ、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、パニツムマブ、パリビズマブ、ペンブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、シルツキシマブ、トラスツズマブ、トシリズマブ、トシツモマブ-I-131、ウステキヌマブ、ベドリズマブである。
【0050】
本発明のいくつかの態様は、有効量の本明細書に記載の生分解性粒子を投与することを含む、対象において防御免疫応答を増大または誘導させるための方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、対象に有効量の封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を投与することを含み、1つ以上の融合タンパク質の各々は、2つ以上の抗原エピトープを含み、2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、対象に、経口、静脈内、舌下、頬側、腸内、局所、直腸、皮下、経鼻、骨内(すなわち、骨内注入)、腹腔内、くも膜下腔内、経皮、または経粘膜投与される。いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、対象に静脈内または皮下投与される。さらなる実施形態において、生分解性粒子は、対象に静脈内投与される。さらなる実施形態において、生分解性粒子は、対象に皮下投与される。
【0051】
本発明のいくつかの態様は、有効量の本明細書に記載の生分解性粒子を投与することを含む、対象において防御免疫応答を増大または誘導させるための方法を提供し、生分解性粒子は、疾患または状態を治療または予防するために対象に投与される。いくつかの実施形態において、疾患または状態は、癌または感染性疾患である。いくつかの実施形態において、癌は、細胞腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、例えば、脂肪肉腫、骨肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、平滑筋肉腫、脊索腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、横紋筋肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、軟骨肉腫、神経内分泌腫瘍、中皮腫、滑膜腫、シュワン腫、髄膜腫、腺癌、黒色腫、白血病、及びリンパ系腫瘍等からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、2つ以上の抗原エピトープは、各々、CD19、CD20、BCMA、CD22、CLL1、CD33、CEA、CD123、CS1、EGFR、PSMA、EphA2、MCSP、ADAM17、PSCA、TPTE、HPU16、未成熟ラミニン受容体、TAG-72、HPV E6、HPV E7、BING-4、カルシウム活性化クロライドチャネル2、シクリンB1、9D7、Ep-CAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、メソテリン、SAP-1、サバイビン、BAGEファミリーのタンパク質、CAGEファミリーのタンパク質、GAGEファミリーのタンパク質、MAGEファミリー(例えば、MAGE-A3)、SAGEファミリーのタンパク質、XAGEファミリーのタンパク質、CT9、CT10、NY-ESO1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、メランA/MART-1、Cp100/pmel17、チロシナーゼ、TRP-1/TRP-2、P.ポリペプチド、MC1R、前立腺特異抗原、β-カテニン、BRCA1/2、CDK4、CML66、フィブロネクチン、MART-2、p53、Ras、TGF-βRII、及びMUC1からなる群から選択されるタンパク質の少なくとも一部を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、感染性疾患は、細菌感染症、真菌感染症、寄生虫感染症、またはウイルス感染症である。いくつかの実施形態において、ウイルス感染症は、ヘルペスウイルス感染症、肝炎ウイルス感染症、ウエストナイルウイルス感染症、フラビウイルス感染症、インフルエンザウイルス感染症、ライノウイルス感染症、パピローマウイルス感染症、パラミクソウイルス感染症、パラインフルエンザウイルス感染症、及び/またはレトロウイルス感染症からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、細菌感染症は、ブドウ球菌感染症、連鎖球菌感染症、マイコバクテリア感染症、桿菌感染症、サルモネラ感染症、ビブリオ感染症、スピロヘータ感染症、及びナイセリア感染症からなる群から選択される。
【0053】
本発明のいくつかの態様は、封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を提供し、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、MOG1-20、MBP13-32、MOG35-55、MBP146-170、PLP139-154、MBP111-129、及びMBP83-99からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含み、前記2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、前記リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、約200~nm~1000nmの直径を有し、前記生分解性粒子は、-30mV未満の負のゼータ電位を有する。
【0054】
本発明のいくつかの態様は、有効量の封入された1つ以上の融合タンパク質を含む生分解性粒子を投与することを含む、対象において多発性硬化症を治療する方法を提供し、前記1つ以上の融合タンパク質の各々は、MOG1-20、MBP13-32、MOG35-55、MBP146-170、PLP139-154、MBP111-129、及びMBP83-99からなる群から選択される2つ以上の抗原エピトープを含み、前記2つ以上の抗原エピトープは、リンカーによって分離され、前記リンカーは、特異的切断に感受性のアミノ酸配列を含み、前記生分解性粒子は、約200nm~1000nmの直径を有し、前記生分解性粒子は、-30mV未満の負のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、対象に、経口、静脈内、舌下、頬側、腸内、局所、直腸、皮下、経鼻、骨内(すなわち、骨内注入)、腹腔内、くも膜下腔内、経皮、または経粘膜投与される。いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、対象に静脈内または皮下投与されるさらなる実施形態において、生分解性粒子は、対象に静脈内投与される。さらなる実施形態において、生分解性粒子は、対象に皮下投与される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1】生分解性粒子に封入された例示的な融合タンパク質を示す。
【
図2】複数ペプチドの概念を例示する。寛容原性及び対照抗原、アミノ酸配列、及び部試料が示された表である(
図2A)。また、1つの封入ペプチド(上)と複数の封入ペプチド(下)との差を強調した図も示される(
図2B)。
【
図3】光散乱によって決定された、PLP139-151を封入する粒子のサイズ分布(
図3A)及びゼータ電位(
図3B)を含む物理的分析を示す。
【
図4】DO11.10トランスジェニックT細胞を用いたPLGナノ粒子のin vitro増殖アッセイの結果を示す。
図4Aは、ナノ粒子を単独で用いた細胞の結果を示す。
図4Bは、ナノ粒子及び1μgのOva323を用いた細胞の結果を示す。
【
図5】トランスジェニックDO11.10トランスジェニックT細胞を用いたPLGナノ粒子のin vitro増殖アッセイの結果を示す。ナノ粒子単独(
図5A)、ナノ粒子のみを含む細胞(
図5B)、ナノ粒子及び1μgのOva323を含む細胞(
図5C)、ならびにナノ粒子及び1μg/mLのαCD28を含む細胞(
図5D)の結果が示される。
【
図6】寛容原性抗原を個別に(PLP
139-151、PLP
178-191、MBP
84-104、及びMOG
92-106)または一緒に(全寛容原性)封入する粒子バッチの一覧を示す。
【
図7】対照ペプチドを個別に(Ova
323-339、PLP
56-70、VP1
233-250、及びVP2
70-86)または一緒に(全対照)封入する粒子バッチの一覧を示す。
【
図8】対照(OVA
323-339-PLG)または寛容原性(PLP
139-151-PLG)ペプチドを封入するPLG粒子が脾臓の制御性1型制御性T細胞(TR1)集団に与える影響を示す。
図8Aは、3日目(左)及び5日目(右)に対照または寛容原性ペプチドを封入するPLG粒子を注射したマウスにおけるLAG3
+FoxP3
-細胞の割合、及び同様にIFNγ
+IL-10
+である抗原特異的TR1細胞(LAG3
+FoxP3
-)の割合を示す。
図8Bは、対照または寛容原性ペプチドを封入するペプチドで処理したマウスにおけるLAG3
+FoxP3
-細胞の数を示す。
図8Cは、対照または寛容原性ペプチドを封入するペプチドで処理したマウスにおけるLAG3
+FoxP3
-IFNγ
+IL-10
+細胞の数を示す。
【
図9】
図8の別個ではあるが重複する実験からのデータを示す。このグラフではTR1がFoxP3
-として確認されていないという点で、これらのデータは
図8に示すデータとは異なる。
【
図10】ナイーブ5B6(PLP
139-151TCRトランスジェニックマウス)リンパ球をナイーブSJLマウスに移入し、PLP
139-151-PLG粒子または対照OVA
323-339-SE PLG粒子のいずれかで処理した後の、脾臓の制御性T細胞集団のフローサイトメトリーの結果を示す。全ての結果は、CD90.1/Thy1.1(PLP
139-151 TCR
+)集団にゲートをかけたものである。
【
図11】5B6ドナーからのCD4
+細胞をナイーブSJLマウスに移入し、PLP
139-151-SE PLG粒子または対照OVA
323-339-SE PLG粒子のいずれかで処理した後のT細胞集団を示す(d3及びd5)。EAEを別のコホートで誘導した(EAE後5日目及びEAE後17日目)。抗原特異的T細胞(
図11A)、増殖する抗原特異的T細胞(
図11B)、抗原特異的制御性T細胞(
図11C)、及び非抗原特異的制御性T細胞(
図11D)の数に関するフローサイトメトリー分析が示される。別段の指示のない限り、全ての結果はCD90.1/Thy1.1(PLP
139-151 TCR
+)集団にゲートをかけたものである(
図11D)。
【
図12】DO11(OVA
323-339TCRトランスジェニックマウス)ドナーからのCD4
+細胞をナイーブBalb/c RAG KOマウスに移入し、OVA
323-339-SE PLG粒子または対照PLP
139-151-SE PLG粒子のいずれかで処理した後の抗原特異的制御性T細胞の増加を示す。制御性CD25+FoxP3+T細胞集団の割合(
図12A)及び数(
図12B)のフローサイトメトリー分析が示される。全ての結果は、DO11 TCR
+集団にゲートをかけたものである。
【
図13】DO11(OVA
323-339TCRトランスジェニックマウス)ドナーからのCD4
+細胞をナイーブBalb/c RAG KOマウスに移入し、OVA
323-339-SE PLG粒子または対照PLP
139-151-SE PLG粒子のいずれかで処理した後のIFNγを産生する抗原特異的制御性T細胞を示すIFNγを産生する抗原特異的制御性T細胞の割合(
図13A)及び数(
図13B)のフローサイトメトリー分析が示される。
【
図14】DO11(OVA
323-339TCRトランスジェニックマウス)ドナーからのCD4
+細胞をナイーブBalb/c RAG KOマウスに移入し、OVA
323-339-SE PLG粒子または対照PLP
139-151-SE PLG粒子のいずれかで処理した後のTR1集団を示す。割合(
図14A)及び数(
図14B)のフローサイトメトリー分析が示される。
【
図15】OVA
323-339-SE PLG粒子または対照PLP
139-151-SE PLG粒子の注入後の抗原特異的制御性T細胞集団の増殖を示す。Ki67
+ DO11 TCR
+ CD4
+細胞(
図15A)、DO11 TCR
+ CD4
+細胞にゲートをかけたCD25
+FoxP3
+(
図15B)、及びKi67
+CD49b
+LAG3
+細胞(
図15C、別の実験から、FoxP3
-として確認されていない)のフローサイトメトリーの結果が示される。
【
図16】カテプシン特異的切断部位によって結合されたPLP139-Ova323融合ペプチドのアミノ酸配列を示す。
【
図17】PLP139-Ova323融合ペプチド及びDO11(
図17A)または5B6(
図17B)細胞を用いたin vitro増殖アッセイの結果を示す。
【
図18】PLP139-Ova323融合ペプチドの封入における3回の試行の特徴付けを示す。
【
図19】PLG(PLP139-Ova323)粒子、PLG(Ova323)粒子、またはPLG(PLP139)粒子で処理したDO11.10トランスジェニックT細胞のin vitro増殖アッセイの結果を示す。ナノ粒子単独(
図19A)、ナノ粒子及び1μgのOva323(
図19B)、ならびにナノ粒子、1μgのOva323、及び1μg/mLのαCD28(
図19C)で処理した細胞の結果が示される。
【
図20】PLG(PLP139-Ova323)粒子、PLG(Ova323)粒子、またはPLG(PLP139)粒子で処理した5B6トランスジェニックT細胞を用いたin vitro増殖アッセイの結果を示す。ナノ粒子単独(
図20A)、ナノ粒子及び1μgのPLP139(
図20B)、ならびにナノ粒子、1μgのPLP139、及び1μg/mLのαCD28(
図20C)で処理した細胞の結果が示される。
【
図21】PLP139-Ova323融合ペプチドを封入する粒子バッチの一覧を示す表である。
【
図22】疾患スコア(
図22A)及び平均耳腫脹(
図22B)によって示される、PLP139-Ova323融合ペプチドの投与後のEAEの誘導を示す。
【
図23】4エピトープ融合ペプチド;EAE-1結合エピトープ、PLP139:PLP178:MOG92:MBP(
図23A)、及び対照結合エピトープ、OVA323:PLP56:VP1-233:VP2-70(
図23B)のアミノ酸配列を示す。
【
図24】寛容原性抗原融合ペプチド(EAE-1結合エピトープ)を封入するナノ粒子の特徴付けを示す。
【
図25】寛容原性融合ペプチド(EAE-1結合エピトープ)または陰性対照融合ペプチドを封入する粒子バッチの一覧を示す表である。
【
図26】単一のEAE特異的エピトープ及び結合したEAE特異的エピトープの封入効率を示す。
【
図27】封入された対照結合エピトープ(対照結合エピトープ寛容)、OVA、及びPLP139と比較した、封入されたEAE-1結合エピトープ(EAE-1寛容処理)がEAE疾患スコアに与える影響を示す。
【
図29】ネオエピトープ、免疫調節因子、及びTLRアゴニストを含む潜在的な融合ペプチドを示す。
【
図30】結合腫瘍エピトープタンパク質の開発、その後のナノ粒子封入、及び患者への投与プロトコルの概要を示す。
【
図31】抗PD1を用いてまたは用いずに封入されたNyEso1で末梢血単球を処理した機能的in vitroアッセイの予想される結果を示す。T細胞増殖(
図31A)、IFNγ産生(
図31B)、及びIFNα産生(
図31C)に与える影響についてのアッセイが示される。
【
図32】黒色腫のマウスモデルにおいて、抗PD1を用いてまたは用いずに封入されたNyEso1で処理したマウスの予想される生存曲線を示す。
【
図33】封入された、結合NY-ESO-1:Mage-A3:TPTE:チロシナーゼ融合タンパクで処理したPBMCの例示的なin vitro機能アッセイを示す。T細胞増殖アッセイ(
図33A)及びIFNγ産生(
図33B)の予想される結果を示す。
【
図34】多数の疾患及び障害に見られるエピトープを含む潜在的な融合ペプチドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明の発明者は、特異的プロテアーゼ部位を有する切断可能なリンカーによって接続された複数のペプチドエピトープからなる融合タンパク質を封入するナノ粒子が、抗原特異的免疫寛容を誘導することができ、したがって、多数の疾患モデルにおいて免疫応答を制御することを発見した。一実施形態において、そのような粒子は、融合タンパク質のペプチドエピトープのうちの1つ以上に対する免疫応答を低減することができ、1つより多くの抗原エピトープに関連する過剰な炎症性免疫応答によって特徴付けられる疾患または状態、例えば、自己免疫疾患またはアレルギーの治療において特に有用である。別の実施形態において、そのような粒子は、融合タンパク質のペプチドエピトープのうちの1つ以上に対する防御免疫応答を誘導することが可能であり、免疫原性応答の非存在によって特徴付けられる疾患または状態、例えば、癌の治療において特に有用である。
【0057】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈上明らかに別段の指示のない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数の指示対象を含む。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「及び/または」は、文脈上別段の指示のない限り、「及び」または「または」のいずれかを意味するために本開示において使用される。
【0059】
本明細書を通して、文脈上別段の要求のない限り、「含む(comprise)」という語またはその変形例、例えば、「含む(comprising)」または「含む(comprises)」は、記載される要素または整数または要素もしくは整数の群の包含を意味するが、他のあらゆる要素または整数または要素もしくは整数の群の排除を意味するものではないことを理解されたい。
【0060】
本出願に記載される及び/または後に列挙される全ての刊行物及び特許は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0061】
融合タンパク質
本発明の特定の実施形態は、複数の抗原またはエピトープを封入する粒子が、切断可能なリンカーによって融合タンパク質中で抗原が一緒に結合される場合、これらの抗原の各々に対して寛容を誘導することができるという新規発見に少なくとも一部基づいている。いくつかの実施形態において、リンカーは、特異的プロテアーゼ部位を含有するアミノ酸配列であり、クラスI経路またはクラスII経路によるプロセシングを可能にするように設計することができる。そのような実施形態において、同じ融合タンパク質上で結合した粒子に封入されたエピトープは、クラスI経路及びクラスII経路の両方によってプロセシングされ得る。したがって、クラスI経路によってプロセシングされるエピトープは、封入された融合タンパク質中でクラスII経路によってプロセシングされるエピトープと結合され得る。
【0062】
本明細書に記載のいくつかの実施形態において、融合タンパク質は生分解性粒子によって封入される。「融合タンパク質」、「融合ペプチド」、「融合ポリペプチド」、及び「キメラペプチド」は、本明細書において交換可能に使用され、本来は異なるタンパク質または同じタンパク質の異なる部分をコードする2つ以上のヌクレオチド配列の結合によって作製されるポリペプチド鎖を指す。本明細書に記載の融合タンパク質への組込みに好適な抗原の断片は、本発明の所望の抗原特異的寛容機能を生じる機能を保持する全長ペプチドの任意の断片を含む。「断片」は、タンパク質の一部を指す。この一部は、好ましくは、タンパク質の参照配列の全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を含有する。
【0063】
融合タンパク質は、当該技術分野で理解される種々の手段(例えば、遺伝子融合、化学的結合等)によって作製され得る。融合タンパク質を形成するポリペプチドは、典型的にはC末端とN末端で結合するが、それらはまた、C末端とC末端、N末端とN末端、またはN末端とC末端で結合してもよい。融合タンパク質のポリペプチドは、任意の順序であり得る。2つのタンパク質は、直接的に、またはアミノ酸リンカーを介してのいずれかで融合され得る。ペプチドリンカー配列は、各ポリペプチドがその二次構造及び三次構造に折り畳むことを確実にするのに十分な距離だけ第1のポリペプチド成分と第2のポリペプチドとを分離するために用いられ得る。リンカーとして有用に用いられ得るアミノ酸配列は、Maratea et.al.,Gene 40:39-46(1985);Murphy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8258-8262(1986);米国特許第4,935,233号、及び米国特許第4,751,180号に記載されるものを含み、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。リンカー配列は、一般的に、1~約50アミノ酸長であり得る。いくつかの実施形態において、例えば、第1及び第2のポリペプチドが、機能的ドメインを分離し、立体障害を防止するために使用され得る非必須N末端アミノ酸領域を有する場合、リンカー配列は必要ではなく、かつ/または用いられない。
【0064】
好ましい実施形態において、個々の抗原またはエピトープは、細胞内プロテアーゼ(例えば、細胞のファゴリソソームまたはサイトゾルに存在するプロテアーゼ)に特異的なプロテアーゼ切断部位を含むアミノ酸リンカーを介して結合する。いくつかの実施形態において、個々の抗原またはエピトープは、同じプロテアーゼ切断部位を含むリンカーによって結合される。いくつかの実施形態において、個々の抗原またはエピトープは、異なるプロテアーゼ切断部位を含むリンカーによって結合される。さらなる実施形態において、融合タンパク質中のリンカー配列のうちの1つ以上は、1つ以上のプロテアーゼ切断部位を含み得る。
【0065】
ファゴリソソームまたはサイトゾルに位置するプロテアーゼによる融合タンパク質の切断は、クラスIまたはクラスII抗原の提示のために切断産物(例えば、個々のペプチドエピトープ)を誘導する。クラスI抗原の提示は、サイトゾルプロテアーゼ及び主要組織適合性複合体(MHC)-Iによって媒介され、細胞内タンパク質の提示を促進する。そのため、MHCI分子は、典型的には、細胞内感染の結果として、自己抗原または異種タンパク質として提示する。MHCIに関連して提示される抗原は、CD8+T細胞によって認識され、典型的には細胞傷害性応答を引き起こす。クラスII抗原の提示は、ファゴリソソームに存在するプロテアーゼによって分解される細胞外抗原の食作用によって媒介される。細胞外抗原は、MHCIIに関連して提示され、CD4+T細胞によって認識される。この認識は、抗原の性質、抗原提示細胞の活性化状態、及び局所的なサイトカイン微小環境に依存して、複数の下流の免疫応答、例えば、Th1、Th2、Th17、Th22、または制御性T細胞応答を引き起こすことができる。
【0066】
そのため、特異的切断部位の導入は、下流の免疫応答表現型の制御を可能にする。例えば、自己免疫に関連して、融合タンパク質に存在するエピトープがMHCIIに存在する可能性を増加させ、制御応答または寛容原性応答を引き起こすために、ファゴリソソームに存在するプロテアーゼのための切断部位を導入することが望ましい場合がある。代替として、癌治療薬に関連して、融合タンパク質に存在するエピトープがMHCIに存在する可能性を増加させ、癌細胞を死滅させる細胞傷害性応答をもたらすために、サイトゾルに存在するプロテアーゼのための切断部位を導入することが望ましい場合がある。
【0067】
切断部位は、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ(例えば、カテプシン)、メタロプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、及び他等の任意の種類のプロテアーゼに特異的であり得る。いくつかの実施形態において、ファゴリソソームに位置するカテプシン及び/またはフューリンプロテアーゼに特異的である。いくつかの実施形態において、切断部位は、ファゴリソソームに位置するカテプシンプロテアーゼのいずれかうちの1つ以上、例えば、カテプシンA、カテプシンB、カテプシンC、カテプシンD、カテプシンE、カテプシンF、カテプシンG、カテプシンH、カテプシンK、カテプシンL、カテプシンO、カテプシンW、またはカテプシンZに特異的である。特定の実施形態において、切断部位は、カテプシンLに特異的である。いくつかの実施形態において、切断部位は、サイトゾルに位置するカテプシン及び/またはフューリンプロテアーゼに特異的である。特定の実施形態において、切断部位は、カテプシンSに特異的である。さらなる実施形態において、融合タンパク質は、カテプシンS及びカテプシンLに特異的な切断部位を含む。特定の実施形態において、リンカー配列は、Gly-Ala-Val-Val-Arg-Gly-Ala(配列番号5141)である。
【0068】
本明細書で使用される場合、「抗原」または「抗原部分」は、任意の部分、例えば、宿主の免疫系によって認識されるペプチドを指す。抗原部分の例として、限定されないが、自己抗原、酵素、及び/または細菌性もしくはウイルス性タンパク質、ペプチド、薬物、または成分が挙げられる。抗原は、1つ以上のエピトープを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「エピトープ」は、抗体またはT細胞受容体によって認識される抗原の一部を指す。全てのエピトープが線形エピトープではなく、エピトープは、不連続な、立体構造的なエピトープであってもよい。自己免疫疾患もしくは炎症性疾患及び/または障害に関連する不連続なエピトープの数は未知である。いくつかの実施形態において、本発明の融合タンパク質は、PCT出願公開第WO2015/023796号、米国特許公開第US2015-0283218号、及び米国特許公開第US2015-0190485号によって以前に記載されたエピトープまたは抗原を含み、それらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される配列識別子は、米国特許公開第US2015-0190485号の配列識別子とそれらの番号が一致している。
【0069】
本発明のある特定の実施形態において、抗原またはエピトープは、治療を受ける対象に発現されるのと同じ形態ではないが、その断片または誘導体である。本発明の誘導性抗原は、適切な特異性の分子に基づいているが、断片化、残基置換、標識、コンジュゲーション、及び/または他の機能特性を有するペプチドとの融合によって適合されるペプチドを含む。適合は、限定されないが、毒性もしくは免疫原性等の任意の望ましくない特性の排除;または粘膜結合、粘膜浸透、もしくは免疫応答の寛容原性アームの刺激等の任意の望ましい特性を増強することを含む、任意の望ましい目的のために行われ得る。インスリンペプチド、コラーゲンペプチド、及びミエリン塩基性タンパク質ペプチド等の用語は、本明細書で使用される場合、無傷なサブユニットのみでなく、アロタイプ及び合成の変異体、断片、融合ペプチド、コンジュゲート、ならびに類似体であるそれぞれの分子の少なくとも10個、また好ましくは20個の連続的なアミノ酸と相同(アミノ酸レベルで好ましくは、70%同一、より好ましくは80%同一、またさらにより好ましくは90%同一)な領域を含有する他の誘導体も指し、誘導体の相同領域は、それぞれの親分子と、標的抗原に対する寛容を誘導する能力を共有する。
【0070】
誘導性抗原の寛容原性領域は、例えば、抗体応答及び/またはT細胞応答の刺激のための、免疫優勢エピトープとはしばしば異なることを認識されたい。寛容原性領域は、一般的に、T細胞に関与する特定の細胞相互作用において提示され得る領域である。寛容原性領域は、存在してもよく、無傷な抗原が提示されると寛容を誘導することができる。天然抗原のプロセシング及び提示は、通常、寛容を引き起こさないという点において、いくつかの抗原は、潜在性の寛容原性領域を含有する。潜在性抗原及びそれらの同定の詳細については、国際特許公開第WO94/27634号に見出される。
【0071】
本発明のある特定の実施形態において、融合タンパク質は、2つ、3つ、またはそれより多くの複数の抗原またはエピトープからなる。複数の標的抗原が存在する場合にこれらの実施形態を実行することが望ましいかもしれない。
【0072】
抗原は、分子の性質に応じて、当該技術分野で既知の多数の技術によって調製することができる。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、及び炭水化物抗原は、それらが豊富に含まれた処理される種の細胞から単離することができる。短ペプチドは、アミノ酸合成によって都合よく調製される。既知の配列のより長いタンパク質は、コード配列を合成するか、または天然の源もしくはベクターからコード配列をPCR増幅し、次いで、好適な細菌性または真核性宿主細胞中でコード配列を発現させることよって調製することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、抗原またはエピトープは、治療抗体、またはその抗原結合断片、Fc断片に由来する。いくつかの実施形態において、抗原は、機能的相補性決定領域(CDR)を欠く変異治療抗体またはその抗原結合断片に由来する。そのような実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、ヒトモノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、抗原結合断片領域(Fab)、一本鎖可変断片(scFv)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、または一本鎖抗原結合ドメインを含み得る。いくつかの実施形態において、治療抗体またはその抗原結合断片は、α4β1インテグリン、炭疽菌、B-L(γS)、C5、CD3、CD11a、CD20、CD25、CD30、CD33、CD52、CD59、CTLA4、EGFR、GD2、GPIIb、IIIa、HER2、IgE、IL-1β、IL-5、IL12/23、PCSK9、PD1、RANK、RSV-Fタンパク質、TNFα、またはVEGF-Aに結合する。
【0074】
いくつかの実施形態において、抗原は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アドトラスツズマブエムタンシン、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、ベリムマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブベドチン、カナキヌマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、セルトリズマブペゴール、ダクリズマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エボロクマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゴリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、イピリムマブ、インフリキシマブ、モタビズマブ、ムロノマブ、ナタリズマブ、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、パニツムマブ、パリビズマブ、ペンブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、シルツキシマブ、トラスツズマブ、トシリズマブ、トシツモマブ-I-131、ウステキヌマブ、またはベドリズマブ等の治療抗体に由来する。
【0075】
本発明のある特定の実施形態において、組み合せは、細胞または組織から得られた抗原の複雑な混合物を含み、そのうちの1つ以上が誘導性抗原の役割を果たす。抗原は、無傷であるか、またはホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、もしくはアルコール等の固定液で処理されているかのいずれかの、全細胞の形態であってもよい。抗原は、細胞もしくは組織の界面活性剤による可溶化または機械的破裂の後に清澄化することによって作製される細胞可溶化物の形態であってもよい。抗原はまた、細胞成分分画、特に、分画遠心法等の技術により形質膜を濃縮した後、任意選択的に界面活性剤による可溶化及び透析によって得ることもできる。可溶化した膜タンパク質のアフィニティークロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィー等の他の分離技術もまた好適である。
【0076】
一実施形態において、抗原ペプチドまたはタンパク質は、自己抗原、同種抗原、ネオ抗原、癌抗原、または移植抗原である。さらに別の特定の実施形態において、自己抗原は、ミエリン塩基性タンパク質、コラーゲンまたはその断片、DNA、核及び核タンパク質、ミトコンドリアタンパク質、及び膵β細胞タンパク質からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、1つ以上の融合タンパク質は、抗原エピトープMOG1-20、MBP13-32、MOG35-55、MBP146-170、PLP139-154、MBP111-129、及び/またはMBP83-99を含む。いくつかの実施形態において、抗原ペプチドまたはタンパク質は、グリアジンまたはグリアデンエピトープである。いくつかの実施形態において、抗原は、配列番号1295~1724、配列番号1726~1766、及び配列番号4986~5140からなる群から選択される1つ以上の抗原である。
【0077】
本発明は、寛容が所望される抗原を投与することによる、自己免疫疾患の治療のための自己抗原に対する寛容の誘導を提供する。例えば、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)に対する自己抗体が多発性硬化症を有する患者において観察されており、したがって、多発性硬化症を治療及び予防するために、本発明の組成物を用いて送達されるMBP抗原ペプチドまたはタンパク質が、本発明において使用され得る。
【0078】
別の非限定的な例として、二卵性双生児からの移植の候補である対象は、移植される抗原がレシピエントにとって外来性であるため、移植された細胞、組織または臓器の拒絶反応に苦しむ可能性がある。意図される移植片に対するレシピエント対象の事前の寛容が、後の拒絶反応を抑制または低減する。長期の抗拒絶反応療法の削減または排除は、本発明の実施によって達成され得る。別の例において、多くの自己免疫疾患が、内因性または自己抗原に対する細胞の免疫応答によって特徴付けられる。内因性抗原に対する免疫系の寛容は、疾患の制御に望ましい。
【0079】
さらなる例において、仕事中に遭遇し得るような産業汚染物質または化学物質に対する対象の感作は、免疫応答の危険を提示する。特に、対象の内因性タンパク質と反応する化学物質/汚染物質の形態の化学物質/汚染物質に対して対象の免疫系を事前に寛容にすることは、後の職業的な免疫応答の発生の予防に望ましい場合がある。
【0080】
アレルゲンは、それに対する免疫応答の寛容も望ましい他の抗原である。一実施形態において、抗原は、グリアデンまたはグリアデンエピトープである。さらなる実施形態において、抗原は、Α-グリアデンまたはΑ-グリアデンエピトープである。いくつかの実施形態において、抗原は、グリアデンまたはグリアデンエピトープの混合物である。さらなる実施形態において、グリアデンまたはグリアデンエピトープは、配列番号4983~4985のうちの1つ以上を含む。
【0081】
特に、病原性自己抗原が不明である疾患であっても、解剖学的に近接して存在する抗原を用いてバイスタンダー抑制を誘導することができる。例えば、コラーゲンに対する自己抗体が関節リウマチにおいて観察されており、したがって、コラーゲンをコードする遺伝子が、関節リウマチを治療するために抗原を発現する遺伝子モジュールとして用いられてもよい(例えば、Choy(2000)Curr Opin Investig Drugs 1:58-62を参照のこと)。さらに、β細胞自己抗原に対する寛容は、1型糖尿病の発症を予防するために用いられ得る(例えば、Bach and Chatenoud(2001)Ann Rev Immunol 19:131-161を参照のこと)。
【0082】
別の例として、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)に対する自己抗体が、自己免疫性脳脊髄炎において、また多くの他のCNS疾患及び多発性硬化症において観察されている(例えば、Iglesias et al.(2001)Glia 36:22-34を参照のこと)。したがって、本発明におけるMOG抗原を発現する構築物の使用は、多発性硬化症及び関連する中枢神経系の自己免疫障害の治療を可能にする。
【0083】
自己免疫疾患の治療に使用される候補自己抗原のさらなる他の例として、ミエリン塩基性タンパク質、アセチルコリン受容体、内因性抗原、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質、膵β細胞抗原、インスリン、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、11型コラーゲン、ヒト軟骨gp39、fp130-RAPS、プロテオリピドタンパク質、フィブリラリン、低分子核小体タンパク質、甲状腺刺激因子受容体、ヒストン、糖タンパク質gp70、ピルビン酸脱水素酵素ジヒドロリポアミドアセチルトランスフェラーゼ(PCD-E2)、毛包抗原、Α-グリアデン、グリアデン、インスリン、プロインスリン、膵島特異的グルコース-6-フォスファターゼ触媒サブユニット関連タンパク質(IGRP)、ヒトトロポミオシンアイソフォーム5、バヒアグラス花粉(BaGP)、モモアレルゲンPru p3、αS-1カエイン牛乳アレルゲン、Apig1セロリアレルゲン、Bere1ブラジルナッツアレルゲン、B-ラクトグロブリン牛乳アレルゲン、ウシ血清アルブミン、Cor a 1.04ヘーゼルナッツアレルゲン、ミエリン関連糖タンパク質、アクアポリン、IV型コラーゲンのα3鎖、オボアルブミン卵アレルゲン、Advate、抗血友病因子、Kogenate、Eloctate、遺伝子組換え第VIII因子融合タンパク質、Refacto、Novo VIIa、遺伝子組換え第VII因子、エプタコグアルファ、Helixate、Monanine、凝固第IX因子、Wilate、Ceredase、アルグルセラーゼ、Cerezyme、イミグルセラーゼ、Elelso、タリグルセラーゼアルファ、Fabrazyme、アガルシダーゼベータ、Aldurazyme、-I-イズロニダーゼ、Myozyme、酸グルコシダーゼ、エラプレース、イズロン酸-2-スルファターゼ、NaglazymeアリールスルファターゼB、またはN-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ膵β細胞抗原、インスリン、及びインスリン依存性糖尿病を治療するためのGAD;11型コラーゲン、ヒト軟骨39(HCgp39)、及び関節リウマチの治療に使用されるgpl30-RAPS;ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、及び多発性硬化症を治療するためのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG、上記参照);フィブリラリン、及び強皮症を治療するための低分子核小体タンパク質(snoRNP);グレーブス病の治療に使用される甲状腺刺激因子受容体(TSH-R);核内抗原、ヒストン、糖タンパク質gp70、及び全身性エリテマトーデスの治療に使用されるリボソームタンパク質;原発性胆汁性肝硬変の治療に使用されるピルビン酸脱水素酵素ジヒドロリポアミドアセチルトランスフェラーゼ(PCD-E2);円形脱毛症の治療に使用される毛包抗原;ならびに潰瘍性大腸炎の治療に使用されるヒトトロポミオシンアイソフォーム5(hTM5)が挙げられる。いくつかの実施形態において、抗原は、配列番号2~1294から選択される。
【0084】
単離された細胞を用いてまたは動物モデルにおいて実験を行うことによって寛容を促進する能力のために組み合わせをヒト化することができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、本発明の寛容誘導性組成物は、(例えば、融合タンパク質に加えて)アポトーシスシグナル伝達分子を含有する。いくつかの実施形態において、アポトーシスシグナル伝達分子は、担体の表面と結合及び/または会合する。いくつかの実施形態において、アポトーシスシグナル分子は、担体が、宿主の抗原提示細胞、例えば、宿主の細網内皮系細胞によって、アポトーシス小体として認識されることを可能にする:これにより、関連ペプチドエピトープを寛容を誘導する様式で提示することが可能となる。理論に束縛されるものではないが、これは、免疫細胞刺激に関与する分子、例えば、MHCクラスI/II、及び共刺激分子の上方制御を防止すると推定される。これらのアポトーシスシグナル伝達分子は、食作用マーカーとしての役割も果たし得る。例えば、本発明に好適なアポトーシスシグナル伝達分子は、米国特許第8,198,020号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明に好適な分子は、食細胞を標的とする分子を含み、それらはマクロファージ、樹状細胞、単球、及び好中球を含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、アポトーシスシグナル伝達分子として好適な分子は、関連ペプチドの寛容を増強するように作用する。さらに、アポトーシスシグナル伝達分子に結合した担体は、アポトーシス細胞認識においてClqによって結合され得る(Paidassi et al.,(2008)J.Immunol.180:2329-2338;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、アポトーシスシグナル伝達分子として有用であり得る分子は、ラパマイシン、ホスファチジルセリン、アネキシン-1、アネキシン-5、乳脂肪球-EGF-因子8(MFG-E8)、またはトロンボスポンジンのファミリー(例えば、トロンボスポンジン-(TSP-1))を含む。本発明とともにアポトーシスシグナル伝達分子として使用するのに好適な種々の分子は、例えば、米国特許公開第2012/0076831号に論じられており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0087】
いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、1つ以上の免疫アゴニストを含む。免疫アゴニストは、本明細書で使用される場合、特定の免疫シグナル伝達経路、特に免疫原性シグナル伝達経路を活性化する分子を指す。いくつかの実施形態において、免役アゴニストは、パターン認識受容体、例えば、Toll様受容体(TLR)、C型レクチン受容体(CLR)、NOD様受容体、RIG様受容体、またはその他を活性化する。特定の実施形態において、アゴニストは、TLRアゴニスト、例えば、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR9、またはTLR10アゴニストである。そのような実施形態において、免疫アゴニストは、融合タンパク質内に含まれるエピトープのうちの1つ以上に対する免疫原性応答の生成を促進する。そのような実施形態は、ワクチン及び癌免疫療法に関連して特に有用である。
【0088】
例として、限定的であることを意図するものではないが、仮説上の例示的融合タンパク質が、
図1に示され、多発性硬化症(MS)に関連するエピトープMOG
1-20、MOG
35-55、MBP
13-32、MBP
83-99、MBP
111-129、MBP
146-170、及びPLP
139-154を含有する。融合タンパク質は、これら7つのポリペプチドエピトープを特異的リンカーを用いて一緒に結合させることによって構築される。これらのリンカーは、特異的プロテアーゼによる切断を受けやすい反復アミノ酸配列である。このタンパク質は、一般的な等電点(PI)及び溶解性を有する。粒子に封入されると、粒子は、互いに等しい比率でポリペプチドエピトープを封入する。
【0089】
生分解性粒子
ある特定の実施形態は、特異的プロテアーゼ部位を含むアミノ酸リンカー配列によって接続された2つ以上のペプチド、抗原、またはエピトープを含む融合タンパク質を封入する生分解性粒子を対象とする。特定の実施形態は、これらの粒子が、融合タンパク質の結合したペプチド、抗原、またはエピトープのうちのいくつかまたは全てに対する寛容を誘導するのに驚くほど効果的であることを企図する。ある特定の実施形態は、これらの生分解性粒子の製造が、融合タンパク質中の結合していない1つより多くのペプチド、抗原、及び/またはエピトープを封入する生分解性粒子と比較して改善されることを企図する。
【0090】
本明細書で使用される「粒子」は、組織由来ではない任意の組成物を指し、それは、球体もしくは球状の実態、ビーズ、またはリポソームであり得る。用語「粒子」、用語「免疫修飾粒子」、用語「担体粒子」、及び用語「ビーズ」は、文脈に応じて交換可能に使用されてもよい。さらに、「粒子」という用語は、ビーズ及び球体を包含するために使用されてもよい。粒子は、任意の粒子形状または立体構造を有してもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、in vivoで凝集しにくい粒子を使用することが好ましい。これらの実施形態内の粒子の例は、球形状を有するものである。
【0091】
本明細書で使用される「負電荷を帯びた粒子」は、ゼロ未満の正味表面電荷を有するように修飾された粒子を指す。
【0092】
「カルボキシル化粒子」または「カルボキシル化ビーズ」または「カルボキシル化球体」は、その表面上にカルボキシル基を含有するように修飾された任意の粒子を含む。いくつかの実施形態において、カルボキシル基の付加は、例えば、MARCO等のスカベンジャー受容体との相互作用を通して、循環からの粒子の貪食細胞/単球による取り込みを増強する。粒子のカルボキシル化は、限定されないが、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-無水マレイン酸)(PEMA)、ポリ(ビニルアルコール)及びコール酸ナトリウムを含む、カルボキシル基を付加する任意の化合物を用いて達成することができる。
【0093】
いくつかの実施形態において、抗原ペプチド分子は、コンジュゲート分子及び/またはリンカー基によって担体粒子(例えば、免疫修飾粒子)に結合される。いくつかの実施形態において、抗原ペプチド及び/またはアポトーシスシグナル分子の担体粒子(例えば、PLG粒子)への結合は、1つ以上の共有結合的及び/または非共有結合的な相互作用を含む。いくつかの実施形態において、抗原ペプチドは、負のゼータ電位を有する担体粒子の表面に付着する。いくつかの実施形態において、抗原ペプチドは、負のゼータ電位を有する担体粒子内に封入される。いくつかの実施形態において、抗原ペプチドは、抗原にコンジュゲートされた粒子を生成するように担体粒子にコンジュゲートまたは結合される(参照によりその内容全体が本明細書中に組み込まれるPCT出願第PCT/US2016/068423号を参照のこと)。
【0094】
一実施形態において、免疫修飾粒子と接触する緩衝液は塩基性pHを有し得る。塩基性溶液に好適な塩基性pHは、7.1、7.5、8.0、8.5、9.5、10.0 10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、及び13.5を含む。また緩衝液は、任意の好適な塩基及びそのコンジュゲートで作られてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、緩衝液は、限定されないが、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、またはリン酸二水素リチウム、及びそれらのコンジュゲートを含んでもよい。
【0095】
一実施形態において、免疫修飾粒子と接触する緩衝液は酸性pHを有し得る。酸性溶液に好適な酸性pHは、4、4.1、4.2、4.5、5、5.5、6及び6.5を含む。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態において、免疫修飾粒子はコポリマーを含有する。これらのコポリマーは、様々なモル比を有し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の担体粒子の好適なコポリマーの比率は、50:50である。さらなる実施形態において、本明細書に記載の担体粒子の好適なコポリマーの比率は、80:20、81:19、82:18、83:17、84:16、85:15、86:14、87:13、88:12、89:11、90:10、91:9、92:8、93:7、94:6、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、または100:0であり得る。別の実施形態において、コポリマーは、周期的、統計的、直線状、分岐状(星形、ブラシ型、または櫛形コポリマーを含む)のコポリマーであり得る。いくつかの実施形態において、コポリマー比は、限定されないが、ポリスチレン:ポリ(カルボン酸ビニル)/80:20、ポリスチレン:ポリ(カルボン酸ビニル)/90:10、ポリ(カルボン酸ビニル):ポリスチレン/80:20、ポリ(カルボン酸ビニル):ポリスチレン/90:10、ポリ乳酸:ポリグリコール酸/80:20、またはポリ乳酸:ポリグリコール酸/90:10であり得る。
【0097】
一実施形態において、粒子はリポソームである。さらなる実施形態において、粒子は、以下のモル比で以下の脂質からなるリポソームである:30:30:40のホスファチジルコリン:ホスファチジルグリセロール:コレステロール。なおもさならる実施形態において、粒子は、リポソーム内に封入される。
【0098】
各粒子が均一なサイズである必要はないが、粒子は、一般的に、抗原提示細胞または他のMPS細胞において食作用を引き起こすのに十分なサイズでなければならない。好ましくは、溶解性を高め、in vivoでの凝集によって引き起こされる可能性のある合併症を回避し、飲作用を促進するために、粒子は顕微鏡スケールまたはナノスケールのサイズである。粒径は、間質腔からリンパ球成熟の領域への取り込みの要因であり得る。約0.1μm~約10μmの直径を有する粒子は、食作用を引き起こすことができる。したがって、一実施形態において、粒子はこれらの限度内の直径を有する。別の実施形態において、粒子は、約0.3μm~約5μmの直径を有する。さらに別の実施形態において、粒子は、約0.5μm~約3μmの直径を有する。さらなる実施形態において、粒子は、約0.2μm~約1μmの直径を有する。さらなる実施形態において、粒子は、約0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μm、または約5.0μmの直径を有する。特定の実施形態において、粒子は、約0.5μmのサイズを有する。いくつかの実施形態において、粒子の全重量は、約10,000kDa未満である。いくつかの実施形態において、粒子の全量は、約5,000kDa、1,000kDa、500kDa、400kDa、300kDa、200kDa、100kDa、50kDa、20kDa未満、または約10kDa未満である。組成物中の粒子が均一の直径である必要はない。例として、薬学的製剤は、複数の粒子を含有してもよく、それらのうちのあるものは約0.5μmであり、あるものは約1.0μmである。これらの所与の範囲内の粒径のいずれの混合物も有用である。
【0099】
本発明の粒子は、特定のゼータ電位を有することができる。ある特定の実施形態において、ゼータ電位は負である。一実施形態において、ゼータ電位は、約-100mV未満である。一実施形態において、ゼータ電位は、約-50mV未満である。ある特定の実施形態において、粒子は、-100mV~0mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-75mV~0mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-60mV~0mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-50mV~0mVのゼータ電位を有する。なおもさらなる実施形態において、粒子は、-40mV~0mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-30mV~0mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-20mV~0mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-10mV~0mVのゼータ電位を有する。いくつかの実施形態において、粒子は、-80mV~-30mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-80mV~-20mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-80mV~-10mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-70mV~-30mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-70mV~-20mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、--70mV~-10mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-60mV~-30mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-60mV~-20mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、--60mV~-10mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-50mV~-30mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-50mV~-20mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-50mV~-10mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、粒子は、-50mV~-40mVのゼータ電位を有する。さらなる実施形態において、ゼータ電位は-約30mV未満である。
【0100】
いくつかの実施形態において、担体粒子の電荷(例えば、正、負、中性)は、用途に固有の利益(例えば、生理的適合性、有益な表面-ペプチド相互作用等)を付与するように選択される。いくつかの実施形態において、担体粒子は、(例えば、概して正味の負電荷を帯びた細胞表面への非特異的結合を低減するために)正味の中性電荷または負電荷を有する。ある特定の実施形態において、担体粒子は、寛容が所望される抗原(本明細書において、抗原特異的ペプチド、抗原ペプチド、自己抗原、誘導性抗原、または寛容化抗原とも称される)に、直接的または間接的のいずれかでコンジュゲートされ得る。いくつかの場合において、担体粒子は、(例えば、寛容応答の可能性を高めるために)抗原特異的ペプチドの複数のコピーまたは複数の異なるペプチドを表面上で曝露するために、複数の結合部位(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、またはそれ以上)を有する。いくつかの実施形態において、担体粒子は、単一の種類の抗原ペプチドを提示する。いくつかの実施形態において、担体粒子は、表面上で複数の異なる抗原ペプチドを提示する。いくつかの実施形態において、担体粒子表面は、選択された部分(例えば、抗原ペプチド)の共有結合的付着のために官能基を提示する。いくつかの実施形態において、担体粒子表面の官能基は、選択された部分(例えば、抗原ペプチド)との非共有結合的な相互作用のための部位を提供する。いくつかの実施形態において、担体粒子は、コンジュゲート部分が化学結合を形成することなく吸着され得る表面を有する。
【0101】
いくつかの実施形態において、粒子は非金属性である。それらの実施形態において、粒子は、ポリマーから形成されてもよい。好ましい実施形態において、粒子は、対象において生分解性である。この実施形態では、対象において粒子が蓄積することなく、粒子が複数回投与にわたって対象に提供され得る。好適な粒子の例として、ポリスチレン粒子、PLGA粒子、クエン酸粒子、及びダイアモンド粒子が挙げられる。
【0102】
好ましくは、粒子表面は、非特異的または望ましくない生物学的相互作用を最小限に抑える材料からなる。粒子表面と間質との間の相互作用は、リンパ取り込みにおいて役割を果たす要因であり得る。粒子表面は、非特異的相互作用を防止するかまたは減少させるための材料でコーティングされてもよい。皮下注射後に改善されるリンパの取り込みによって実証されるように、ポリ(エチレングリコール)(PEG)及びそのコポリマー、例えば、PLURONICS(ポリ(エチレングリコール)-bl-ポリ(プロピレングリコール)-bl-ポリ(エチレングリコール)のコポリマーを含む)等の親水性層で粒子をコーティングすることによる立体安定化は、間質のタンパク質との非特異的相互作用を低減し得る。これらの事実の全てが、リンパの取り込みに関連して粒子の物理的特性の有意性を示している。生分解性ポリマーは、ポリマー及び/または粒子及び/または層の全てまたは一部を構成するように使用され得る。生分解性ポリマーは、例えば、官能基が水溶液中で水と反応した結果によって、分解を受け得る。本明細書で使用される「分解」という用語は、分子量の減少によって、または疎水性基の親水性基への変換によって可溶性になることを指す。エステル基を有するポリマー、例えば、ポリ乳酸及びポリグリコリドは、概して自発的加水分解に供される。
【0103】
本発明の粒子は、追加の成分を含有してもよい。例えば、担体は、担体に組み込まれるかまたはコンジュゲートされた造影剤を有してもよい。現在市販されている、造影剤を有する担体ナノスフェアの例は、Kodak X-sightナノスフェアである。量子ドット(QD)として知られる無機量子閉じ込め発光ナノ結晶が、FRET用途における理想的なドナーとして浮上してきた:それらの高い量子収率及び調整可能なサイズ依存性ストークスシフトは、単一の紫外線波長で励起されたときに青色から赤外までの異なるサイズが放出することを可能にする。(Bruchez,et al.,Science,1998,281,2013;Niemeyer,C.M Angew.Chem.Int.Ed.2003,42,5796;Waggoner,A.Methods Enzymol.1995,246,362;Brus,L.E.J.Chem.Phys.1993,79,5566)デンドリマーとして知られるポリマーのクラスに基づく、ハイブリッド有機/無機量子ドット等の量子ドットは、生物学的標識、撮像、及び光学的バイオセンシングシステムにおいて使用され得る。(Lemon,et al.,J.Am.Chem.Soc.2000,122,12886)従来の無機量子ドットの合成とは異なり、これらのハイブリッド量子ドットナノ粒子の合成は、高温、または毒性の高い不安定な試薬を必要としない。(Etienne,et al.,Appl.Phys.Lett.87,181913,2005)
【0104】
粒子は、幅広い材料から形成することができる。粒子は、好ましくは、生物学的使用に好適な材料からなる。例えば、粒子は、ガラス、シリカ、ヒドロキシカルボン酸のポリエステル、ジカルボン酸のポリ無水物、またはヒドロキシカルボン酸及びジカルボン酸のコポリマーからなってもよい。より一般的には、担体粒子は、直鎖もしくは分枝鎖、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和、線形もしくは架橋された、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、へテロアリール、もしくはアルコキシヒドロキシ酸のポリエステル、または直鎖もしくは分枝鎖、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和、線形もしくは架橋された、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリール、もしくはアルコキシジカルボン酸のポリ無水物からなってもよい。さらに、担体粒子は、量子ドットであり得るか、または量子ドットポリスチレン粒子等の量子ドットからなり得る(Joumaa et al.(2006)Langmuir 22:1810-6)。エステル及び無水物結合の混合物を含む担体粒子(例えば、グリコール酸及びセバシン酸のコポリマー)も用いられ得る。例えば、担体粒子は、ポリグリコール酸ポリマー(PGA)、ポリ乳酸ポリマー(PLA)、ポリセバシン酸ポリマー(PSA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸コポリマー(PLGAまたはPLG、これらの用語は交換可能である)、[rho]oly(乳酸-コ-セバシン)酸コポリマー(PLSA)、ポリ(グリコール-コ-セバシン)酸コポリマー(PGSA)等を含む材料を含んでもよい。
【0105】
本発明において有用な他の生体適合性、生分解性ポリマーは、カプロラクトン、カーボネート、アミド、アミノ酸、オルトエステル、アセタール、シアノアクリレート、及び分解性ウレタンのポリマーまたはコポリマー、ならびに直鎖または分岐、置換または非置換の、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルケニル、または芳香族ヒドロキシカルボン酸もしくはジカルボン酸とのこれらのコポリマーを含む。さらに、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン及びシステイン、またはそれらの鏡像異性体等の反応性側鎖基を有する生物学的に重要なアミノ酸が、抗原ペプチド及びタンパク質またはコンジュゲート部分にコンジュゲートするための反応基を提供するように、前述の材料のうちのいずれかとのコポリマーに含まれてもよい。本発明に好適な生分解性材料は、ダイアモンド、PLA、PGA、及びPLGAポリマーを含む。生体適合性であるが非生分解性である材料も、本発明の担体粒子に使用され得る。例えば、アクリレート、エチレン-酢酸ビニル、アシル置換酢酸セルロース、非分解性ウレタン、スチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルイミダゾール、クロロスルホン化オレフィン、エチレンオキシド、ビニルアルコール、TEFLON(登録商標)(DuPont、Wilmington,Del.)、及びナイロンの非生分解性ポリマーが用いられてもよい。
【0106】
現在市販されている好適なビーズは、FluoSpheres(Molecular Probes、Eugene,Oreg.)等のポリスチレンビーズを含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明は、(a)化学的薬剤及び/または生物学的薬剤の対象への送達のために構成される送達用足場と、(b)抗原特異的寛容の誘導のために抗原に結合したポリ(ラクチド-コ-グリコリド)粒子とを含むシステムを提供する。いくつかの実施形態において、前記送達用足場の少なくとも一部は微孔性である。いくつかの実施形態において、抗原に結合したポリ(ラクチド-コ-グリコリド)粒子は、前記足場内に封入される。いくつかの実施形態において、化学的薬剤及び/または生物学的薬剤は、タンパク質、ペプチド、小分子、核酸、細胞、及び粒子からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、化学的薬剤及び/または生物学的薬剤は細胞を含み、前記細胞は膵臓の膵島細胞を含む。
【0108】
物理的特性もまた、未成熟なリンパ球を有する領域における取り込み及び保留後のナノ粒子の有用性に関連する。これらは、剛性またはゴム性(rubberiness)等の機械的特性を含む。いくつかの実施形態は、最近、(標的または免疫ではなく)全身送達のために開発され、特徴付けられたPPS-PEG系におけるように、上層、例えば、PEGにおけるような親水性上層を有するゴム状コア、例えば、ポリ(プロピレンスルフィド)(PPS)コアに基づいている。ゴム状コアは、ポリスチレンまたは金属ナノ粒子系におけるような実質的に剛性のコアとは対照的である。ゴム状という用語は、天然または合成ゴム以外の特定の弾性材料を指し、ゴム状とは、ポリマー技術分野の当業者によく知られた用語である。例えば、架橋されたPPSは、疎水性ゴム状コアを形成するために使用することができる。PPSは、酸化条件下でポリスルホキシド及び最終的にはポリスルホンに分解し、疎水性ゴムから親水性、水溶性ポリマーに推移するポリマーである。他の硫化物ポリマーを使用のために適合させてもよく、硫化物ポリマーという用語は、ポリマーの骨格に硫黄を有するポリマーを指す。使用され得る他のゴム状ポリマーは、水和条件下で約37℃未満のガラス転移温度を有するポリエステルである。コア及び上層は、混合する傾向がなく、そのため上層がコアから離れて立体的に拡大する傾向があるため、疎水性コアは、親水性上層とともに有利に使用することができる。コアは、その上に層を有する粒子を指す。層は、コアの少なくとも一部を覆う材料を指す。層は、吸着されてもよいか、または共有結合的に結合されてもよい。粒子またはコアは、中実または中空であり得る。ゴム状疎水性コアは、ゴム状疎水性コアを有する粒子によってより多くの疎水性薬物の充填を行うことができるという点において、結晶性またはガラス状(ポリスチレンの場合のように)コア等の剛性疎水性コアよりも有利である。
【0109】
別の物理的特性は、表面の親水性である。親水性材料は、架橋されていないとき、1リットル当たり少なくとも1グラムの水溶性を有し得る。親水性ポリマーによる粒子の立体安定化は、非特異的相互作用を低減することによって間質からの取り込みを改善することができる:しかしながら、粒子の高いステルス性が、未成熟なリンパ球を有する領域で食細胞による内部移行を低下させる可能性もある。これらの競合する特徴の均衡を保つという課題は満たされたが、本出願は、リンパ節におけるDC及び他のAPCへの効果的なリンパ送達のためのナノ粒子の創出を実証する。いくつかの実施形態は、親水性成分、例えば、親水性材料の層を含む。好適な親水性材料の例は、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリサッカリド、ポリアクリル酸、及びポリエーテルのうちの1つ以上である。層中のポリマーの分子量は、in vivoで有用な程度の立体障害を提供するように、例えば、約1,000から約100,000またはさらにそれ以上に調整することができる:当業者は、明示的に記載される範囲内の全ての範囲及び値、例えば、10,000~50,000が企図されることを直ちに理解するであろう。
【0110】
ナノ粒子は、さらなる反応のために官能基を組み込んでもよい。さらなる反応のための官能基は、求電子剤または求核剤を含み、これらは他の分子と反応させるのに好都合である。求核剤の例は、第1級アミン、チオール、及びヒドロキシルである。求電子剤の例は、スクシンイミジルエステル、アルデヒド、イソシアネート、及びマレイミドである。
【0111】
当該技術分野で周知の多様な手段が、抗原ペプチド及びタンパク質を担体にコンジュゲートさせるために用いられ得る。これらの方法は、抗原ペプチド及びタンパク質の生物学的活性を破壊しないかまたは大幅に制限せず、かつ、十分な数の抗原ペプチド及びタンパク質を、抗原ペプチドまたはタンパク質と同族のT細胞受容体との相互作用を可能にする配向で担体にコンジュゲートさせることができる、任意の標準的な化学を含む。一般的に、抗原ペプチドもしくはタンパク質のC末端領域、または抗原ペプチドもしくはタンパク質融合タンパク質のC末端領域を担体にコンジュゲートさせる方法が好ましい。正確な化学は、当然のことながら、担体材料の性質、抗原ペプチドもしくはタンパク質へのC末端融合の有無、及び/またはコンジュゲート部分の有無に依存する。
【0112】
官能基は、利用可能性のために、必要に応じて粒子上に位置してもよい。1つの位置は、コアポリマー、またはコア上の層であるポリマー、または別様に粒子に繋ぎ止められたポリマー上の、側基または終端であり得る。例えば、特定の細胞標的化、またはタンパク質及びペプチド薬物送達のために容易に官能化され得るナノ粒子を安定化するPEGについて記載する例が本明細書に含まれる。
【0113】
エチレンカルボジイミド(ECDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、2つのエポキシ残基を含有するプロピレングリコールジグリシリジルエーテル、及びエピクロロヒドリン等のコンジュゲートが、ペプチドまたはタンパク質を担体表面に固定するために使用され得る。理論に束縛されるものではないが、ECDIは、寛容を誘導するための2つの主要な機能を果たすと考えられる:(a)遊離アミノ基と遊離カルボキシル基との間のペプチド結合形成の触媒作用を介してタンパク質/ペプチドを細胞表面に化学的に結合させる、及び、(b)アポトーシス細胞死を模倣するように担体を誘導し、そうすることでそれらが脾臓内の宿主抗原提示細胞によって選択され、寛容を誘導する。自己反応性細胞におけるアネルギーの直接的な誘導をもたらすのは、この非免疫原性の様式における宿主T細胞への提示である。さらに、ECDIは、特異的制御性T細胞を誘導するための強力な刺激としての役割を果たす。
【0114】
一連の実施形態において、抗原ペプチド及びタンパク質は、共有化学結合を介して担体に結合する。例えば、抗原のC末端近くの反応基または部分(例えば、C末端カルボキシル基、またはアミノ酸側鎖のヒドロキシル基、チオール基、もしくはアミン基)は、直接的な化学反応によって担体の表面上の反応基または部分(例えば、PLAもしくはPGAのヒドロキシルもしくはカルボキシル基、デンドリマーの末端アミンもしくはカルボキシル基、またはリン脂質のヒドロキシル基、カルボキシル基、もしくはリン酸基)に直接コンジュゲートされてもよい。代替として、抗原ペプチド及びタンパク質の両方を担体に共有結合的にコンジュゲートさせ、それによってそれらを一緒に結合させるコンジュゲート部分が存在してもよい。
【0115】
担体の表面上の反応性カルボキシル基は、例えば、1-エチル-3-[3,9-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)またはN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS)とそれらを反応させることによって、抗原ペプチドまたはタンパク質上の(例えば、Lys残基からの)遊離アミンに結合させてもよい。同様に、担体の表面上の遊離アミンを、抗原ペプチドまたはタンパク質上の(例えば、C末端、またはAspもしくはGIu残基からの)遊離カルボキシルとコンジュゲートさせるために同じ化学が用いられてもよい。代替として、担体の表面上の遊離アミンは、Arano et al.(1991)Chem.2:71-6に本質的に記載されるようなsulfo-SIAB化学を用いて、抗原ペプチド及びタンパク質、または抗原ペプチドもしくはタンパク質融合タンパク質に共有結合的に結合されてもよい。
【0116】
別の実施形態において、抗原ペプチドまたはタンパク質に結合したリガンドと、担体に付着した抗リガンドとの間の非共有結合的な結合によって、抗原を担体にコンジュゲートさせてもよい。例えば、ビオチンリガーゼ認識配列タグが抗原ペプチドまたはタンパク質のC末端に結合されてもよく、このタグは、ビオチンリガーゼによってビオチン化されてもよい。ビオチンは、次いで、抗原ペプチドまたはタンパク質を、抗リガンドとして担体の表面に吸着されるかまたは別様に結合したアビジンまたはストレプトアビジンに非共有結合的にコンジュゲートさせるためのリガンドとしての役割を果たし得る。代替として、抗原ペプチド及びタンパク質が、Fc領域を担持する免疫グロブリンドメインと融合される場合、上述のように、Fcドメインはリガンドとして作用することができ、担体の表面に共有結合的にまたは非共有結合的に結合したプロテインAは、抗原ペプチドまたはタンパク質を担体に非共有結合的にコンジュゲートさせるための抗リガンドとしての役割を果たし得る。金属イオンキレート化技術(例えば、抗原ペプチドもしくはタンパク質または抗原ペプチドもしくはタンパク質融合タンパク質のC末端のポリ-Hisタグ、及びNi+でコーティングした担体を使用)を含む、抗原ペプチド及びタンパク質を担体に非共有結合的にコンジュゲートさせるために用いられ得る他の手段は、当該技術分野で周知であり、これらの方法は、本明細書に記載の方法と置き換えられてもよい。
【0117】
核酸部分のプラットホーム分子へのコンジュゲーションは、任意の数の方法で達成され得るが、典型的には、1つ以上の架橋剤、ならびに核酸部分及びプラットホーム分子上の官能基が必要である。結合基は、標準的な合成化学技術を用いてプラットホームに付加される。結合基は、標準的な合成化学技術を用いて核酸部分に付加され得る。実施者は、本発明の組み合わせに使用される抗原について多数の選択肢を有する。組み合せに存在する誘導性抗原は、誘導される寛容原性応答の特異性に寄与する。それは、標的抗原と同じでもまたは同じでなくでもよく、不要な免疫学的応答の標的であり、寛容が所望される治療を受ける対象に存在するかまたは与えられる抗原である。
【0118】
本発明の誘導性抗原は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、炭水化物、糖脂質、もしくは生物学的源から単離された他の分子であってもよいか、または化学的に合成された小分子、ポリマー、もしくは生物学的材料の誘導体であってもよいが、但し、粘膜結合性成分と組み合わせたときに、本明細書による寛容を誘導する能力を有するものとする。
【0119】
いくつかの実施形態において、本発明は、1つ以上のペプチド、ポリペプチド、及び/またはタンパク質に結合した担体(例えば、免疫修飾粒子)を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるもの等の担体(例えば、PLG担体)は、抗原特異的寛容を誘導する、及び/または免疫関連疾患(マウスモデルにおける実験的な自己免疫性脳脊髄炎(EAE)等)の発症を予防する、及び/または既存の免疫関連疾患の重症度を低減するのに効果的である。いくつかの実施形態において、本発明の組成物及び方法は、T細胞にT細胞活性化に関連する初期事象を開始させることができるが、T細胞にエフェクター機能を獲得させることはできない。例えば、本発明の組成物の投与は、CD69及び/またはCD44上方制御等の準活性化(quasi-activated)表現型を有するT細胞を生じさせることができるが、IFN-γまたはIL-17合成の欠如によって示唆されるように、エフェクター機能は示さない。いくつかの実施形態において、本発明の組成物の投与は、ナイーブな抗原特異的T細胞を、例えば、CD25+Foxp3+表現型を有するもの等の制御性表現型に変換することなく、準活性化表現型を有するT細胞を生じさせる。
【0120】
いくつかの実施形態において、担体(例えば、粒子)の表面は、抗原ペプチド及び/または他の機能的要素の担体への付着(例えば、共有結合的、非共有結合的)を可能にする化学的部分及び/または官能基を含む。いくつかの実施形態において、担体(例えば、粒子)上の化学的部分及び/または官能基の数、配向、間隔等は、担体の化学、所望の用途等に従って異なる。
【0121】
いくつかの実施形態において、担体は、該担体に接着された、吸着された、封入された、及び/または全体に含有された、1つ以上の生物学的または化学的薬剤を含む。いくつかの実施形態において、化学的薬剤または生物学的薬剤は、粒子に封入される、及び/または粒子全体に含有される。本発明は、化学的薬剤または生物学的薬剤の性質によって限定されない。そのような薬剤は、限定されないが、タンパク質、核酸分子、小分子薬、脂質、炭水化物、細胞、細胞成分等を含む。いくつかの実施形態において、2つ以上(例えば、3つ、4つ、5つ等)の異なる化学的薬剤または生物学的薬剤が、担体の上または中に含まれる。いくつかの実施形態において、薬剤は、特定の放出速度のために構成される。いくつかの実施形態において、複数の異なる薬剤が、異なる放出速度のために構成される。例えば、第1の薬剤は、数時間の期間にわたって放出してもよく、第2の薬剤は、より長い期間(例えば、数日、数週間、数ヶ月等)にわたって放出してもよい。いくつかの実施形態において、担体またはその一部は、生物学的薬剤または化学的薬剤の徐放のために構成される。いくつかの実施形態において、徐放は、少なくとも30日(例えば、40日、50日、60日、70日、80日、90日、100日、180日等)の期間にわたって生物学的に活性な量の薬剤の放出を提供する。いくつかの実施形態において、担体またはその一部は、細胞の細孔内への内部成長を許容するのに十分多孔性であるように構成される。細孔のサイズは、対象とする特定の細胞型及び/または所望の内部成長の量のために選択され得る。
【0122】
驚くべきことに、本発明の粒子への抗原、生物学的薬剤、及び/または化学的薬剤の封入が、免疫寛容を誘導し、いくつかの利点を有することが分かった。第1に、封入された粒子は、より緩徐なサイトカイン応答を有する。第2に、複数の抗原、生物学的薬剤、及び/または化学的薬剤を使用する場合、粒子の表面に薬剤を付着した場合に起こる可能性があるこれらの種々の分子間の競合が、封入によってなくなる。第3に、封入により、より多くの抗原、生物学的薬剤、及び/または化学的薬剤を粒子に組み込むことができる。第4に、封入により、複合タンパク質抗原または臓器ホモジネート(例えば、1型糖尿病の場合の膵臓ホモジネートまたはピーナッツアレルギーにおけるピーナッツ抽出物)の使用をより容易にできる。最後に、粒子の表面へのコンジュゲーションの代わりに、粒子内に抗原、生物学的薬剤、及び/または化学的薬剤を封入することで、粒子の表面上の正味の負電荷を維持する。
【0123】
いくつかの実施形態において、本発明の合成の生分解性粒子は、製造の容易性、治療剤の広い利用可能性、及び治療部位の増加を提供する。特定の実施形態において、界面活性剤ポリ(エチレン-alt-無水マレイン酸)を使用して合成した高密度の表面カルボキシレート基を有する表面官能化生分解性ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)粒子は、他の担体粒子及び/または表面よりも優れた数多くの利点をもたらす担体を提供する。本発明の実施形態の開発中に実施された実験により、これらの粒子へのペプチド(PLP139-151ペプチド)のコンジュゲーションが実証された。そのようなペプチドに結合された粒子は、それらが疾患発症の予防及び免疫学的寛容の誘導に効果的であることを示した(例えば、多発性硬化症のSJL/J PLP139-151/CFAで誘導したR-EAEマウスモデル)。本発明のペプチド結合担体は、他の寛容誘導構造よりも優れた数多くの利点を提供する。いくつかの実施形態において、粒子は生分解性であり、したがって体内では長期間存続しない。完全分解のための時間は、制御することができる。いくつかの実施形態において、粒子は、細胞を活性化することなく内部移行を促進するように官能化される(例えば、PLG微粒子に充填されたホスファチジルセリン)。いくつかの実施形態において、粒子には、特定の細胞集団に対する標的リガンドが組み込まれる。いくつかの実施形態において、粒子を内部移行させる細胞型の活性化を制限し、かつ、エネルギーならびに/または制御性T細胞の欠失及び活性化を介して寛容の誘導を促進するように、IL-10及びTGF-β等の抗炎症性サイトカインが粒子の上または中に含まれる。
【0124】
組成物
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の融合タンパク質を封入する生分解性粒子は、組成物に配合され得る。本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、対象及び/または細胞に投与することができる1つ以上の融合タンパク質を封入する1つ以上の粒子の配合物を指す。いくつかの実施形態において、組成物は複数の粒子からなってもよく、それらの各々が同じ融合タンパク質を封入する。いくつかの実施形態において、組成物は複数の粒子からなってもよく、それらの各々が2つ以上の異なる融合タンパク質を封入する。例えば、組成物は、各々が、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の異なる融合タンパク質のうちの1つを封入する複数の粒子からなってもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、任意選択的に、1つ以上の追加の治療剤をさらに含む。代替として、本発明の粒子は、それを必要とする患者に、1つ以上の他の治療剤の投与と組み合わせて投与されてもよい。例えば、本発明の化合物との共同投与のため、または本発明の化合物を含む薬学的組成物中に包含するための追加の治療剤は、承認された抗炎症剤であり得るか、あるいは制御されない炎症性免疫応答または細菌もしくはウイルス感染によって特徴付けられる任意の障害の治療のために最終的に承認を得る、Food and Drug Administrationで承認段階にある多くの薬剤のうちのいずれか1つであり得る。また、本発明の粒子は、治療のために遊離形態で存在し得るか、または必要に応じて、その薬学的に許容される誘導体として存在し得ることも理解されたい。
【0125】
組成物の配合物は、本明細書に記載の粒子の誘導体、プロドラッグ、溶媒和物、立体異性体、ラセミ体、及び/または互変異性体を、任意の許容される担体、希釈剤、及び/または賦形剤とともに含み得る。「治療用組成物」または「薬学的組成物」(本明細書において交換可能に使用される)は、患者及び/または細胞に投与することができ、特定の生理学的結果(例えば、抗原特異的寛容)をもたらすことができる、本明細書に記載の1つ以上の融合タンパク質を封入する粒子の組成物である。
【0126】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」は、限定されないが、過度な毒性、刺激作用、アレルゲン性、または他の問題もしくは合併症なしにヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適な、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、香味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒、界面活性剤、または乳化剤を含む。薬学的に許容される担体の例として、限定されないが、糖類、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及びセルロースアセテート;トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター,ワックス,動物性及び植物性脂肪、パラフィン、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、酸化亜鉛;油類、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張性生理食塩水;リンガー液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに薬学的製剤に用いられる任意の他の適合性を示す物質が挙げられる。任意の従来の媒体及び/または薬剤が本開示の粒子及び/または融合タンパク質に不適合である限りを除いて、治療用組成物におけるその使用が企図される。
【0127】
「薬学的に許容されるは、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含む。薬学的に許容される塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基とともに形成される)を含み、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、及び有機酸、例えば、限定されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ショウノウ酸、ショウノウ-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソ-グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、pトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸等とともに形成される。遊離カルボキシル基によって形成される塩はまた、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、マンガン塩、アルミニウム塩等の無機塩基にも由来し得る。有機塩基に由来塩は、限定されないが、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然起源の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デアノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネタミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等の塩を含む。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである。
【0128】
湿潤剤、乳化剤、及び滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤もまた、組成物中に存在し得る。
【0129】
薬学的に許容される抗酸化剤の例として、水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム塩、メタ亜重硫酸ナトリウム塩、亜硫酸ナトリウム等;脂溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸パルミチン酸塩、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、胆汁酸プロピル、α-トコフェロール等;及び金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等が挙げられる。
【0130】
経口投与のための液体剤形は、限定されないが、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、液剤、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシル剤を含む。活性化合物に加えて、液体剤形は、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤の他にも、経口組成物は、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤、及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明は、有効量の本明細書に記載の生分解性粒子または組成物を投与することを含む、対象において特定の生理学的効果(例えば、免疫応答の調節/抗原特異的寛容の誘導)を誘導する方法を提供する。したがって、一態様において、寛容原性免疫修飾粒子が提供される。そのような寛容誘導性粒子は、リンカー(例えば、プロテアーゼ特異的リンカー)によって分離された、寛容の誘導が所望される最低でも2つ以上の抗原エピトープを含む(例えば、自己抗原、アレルゲン、及び/または移植抗原)。別の態様において、活性化免疫修飾粒子が提供される。一実施形態において、そのような免疫活性化粒子は、リンカー(例えば、プロテアーゼ特異的リンカー)によって分離された、防御免疫応答が所望される2つ以上の抗原エピトープを含む(例えば、腫瘍抗原及び/または感染病原体)。特定の実施形態において、活性化免疫修飾粒子は、免役活性化剤をさらに含む。一実施形態において、免役活性化剤はTLRアゴニストである。特定の実施形態において、免役活性化剤は、TLR7、TLR3、またはTLR9アゴニストである。さらなる実施形態において、免役活性化剤はTLR7アゴニストである。
【0131】
組成物は、所望の投与経路に好適であり、かつ/または所望の結果を達成するのに好適な、特定の様式において配合され得る。「投与」は、生分解性粒子もしくはその組成物を対象に導入もしくは送達すること、または生分解性粒子もしくはその組成物を細胞もしくは試料と接触させることを指す。「試料」という用語は、得られる、提供される、及び/または分析に供される体積及び/または質量を指す。いくつかの実施形態において、試料は、組織試料、細胞試料、体液試料等を含む。いくつかの実施形態において、試料は対象(例えば、ヒトまたは動物対象)から採取される。いくつかの実施形態において、組織試料は、任意の内蔵、癌性、前癌性、もしくは非癌性の腫瘍、皮膚、毛髪(毛根を含む)、目、筋肉、骨髄、軟骨、白色脂肪組織、または褐色脂肪組織から採取された組織の一部を含む。いくつかの実施形態において、体液試料は、頬側スワブ、血液、臍帯血、唾液、精液、尿、腹水、胸水、髄液、肺洗浄液、涙、汗等を含む。当業者は、いくつかの実施形態において、対象から直接得られるという点において、「試料」が「一次試料」であることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、「試料」は、例えば、特定の潜在的に汚染されている成分を除去するため、ならびに/または対象とする特定の成分を単離及び/もしくは精製するための、一次試料の処理の結果である。
【0132】
投与は、注射、灌注、吸入、摂取、電気浸透、血液透析、イオン泳動、及び当該技術分野で既知の他の方法によって行うことができる。本発明の粒子及び組成物は、限定されないが、経口、静脈、舌下、頬側、腸内、局所、直腸、皮下、経鼻、骨内(例えば、骨内注入)、腹腔内、くも膜下腔内、経皮、または経粘膜を含む任意の許容される経路を介して投与され得る。特定の実施形態において、本発明の粒子は、静脈内にまたは皮下に投与される。
【0133】
投与の頻度は、所望の生理学的結果、治療及び/もしくは予防される障害の性質、障害の重症度、及び配合物に対する対象の応答に基づいて決定され得る。いくつかの態様において、組成物の投与は、少なくとも1回行われる。さらなる態様において、投与は、1回よりも多く、例えば、所与の期間内に2、3、4、5、6、7、8、9、10回、またはそれ以上の回数行われる。各投与の投与量及び/または投与の頻度は、患者の状態及び生理学的応答に基づいて、必要に応じて調整されてもよい。組成物が1回よりも多く投与される場合、各投与は、同じ行為者によって、かつ/または同じ地理的位置で行われてもよい。代替として、各投与は、異なる行為者によって、かつ/または異なる地理的位置で行われてもよい。
【0134】
いくつかの実施形態において、有効量の本明細書に記載の粒子及び/または組成物が対象に投与される。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、有効量の本明細書に記載の粒子及び/または組成物を用いた治療に好適な動物(例えば、哺乳動物、ブタ、魚、鳥、昆虫等)を指す。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物、例えば、霊長類、ヒト、またはウサギ;家畜、例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ブタ等;家禽、例えば、ニワトリ、アヒル、カモ、シチメンチョウ等;飼育動物、例えば、イヌ及びネコ;げっ歯類、例えば、マウス、ラット、またはハムスターである。いくつかの実施形態において、特に研究環境において、対象はマウスである。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0135】
「有効量」という用語は、特定の生理学的効果を誘導するために必要な生分解性粒子または組成物の最低量を指す。例えば、有効量は、抗原特異的寛容を誘導するために、または別様に免疫応答を制御するために必要な最低量であり得る。本明細書に記載される場合、免疫応答の制御は、体液性及び/または細胞性であり得、当該技術分野における標準的な技術を用いて、本明細書に記載されるように測定される。所与の粒子または組成物の有効量は、治療される障害の性質及び障害の重症度;用いられる組成物(複数可)の特定の粒子(複数可)の活性;対象の年齢、体重、一般的健康状態、性別、及び食生活;投与時間、投与経路、及び用いられる粒子(複数可)または組成物(複数可)の排泄率;治療期間;用いられる粒子(複数可)または組成物(複数可)と組み合わせてまたは同時に使用される薬物;処方医師または獣医師の判断;粒子または組成物のサイズ及び物理的特性;ならびに当該技術分野で既知の同様の要因を含む様々な要因に依存する。本明細書に記載の粒子または組成物の有用な投与量範囲は、例えば、以下のうちの大体いずれかであり得る:0.5~10mg/kg、1~9mg/kg、2~8mg/kg、3~7mg/kg、4~6mg/kg、5mg/kg、1~10mg/kg、5~10mg/kg。代替として、投与量は、粒子の数に基づいて投与されてもよい。例えば、送達される担体の量で示される有用な担体の投与量は、例えば、約106、107、108、109、1010、またはそれよりも多い用量当たりの粒子の数であり得る。各患者に与えられる絶対量は、バイオアベイラビリティ、クリアランス速度、及び投与経路等の薬理学的特性に依存する。薬学的に許容される担体、希釈剤、及び賦形剤の詳細、ならびに薬学的組成物及び配合物の調製方法は、Remmingtons Pharmaceutical Sciences 18th Edition,1990,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,USA.,に提供され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、1つ以上の足場、マトリックス、及び/または送達系を用いる用途を見出す(例えば、米国特許出願第2009/0238879号、米国特許第7,846,466号、米国特許第7,427,602号、米国特許第7,029,697号、米国特許第6,890,556号、米国特許第6,797,738号、米国特許第6,281,256を参照されたく、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、粒子は、足場、マトリックス、及び/または送達系(例えば、化学的/生物学的材料、細胞、組織、及び/または臓器の対象への送達のため)に会合する、吸着される、埋め込まれる、コンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、足場、マトリックス、及び/または送達系(例えば、化学的/生物学的材料、細胞、組織、及び/または臓器の対象への送達のため)は、本明細書に記載の材料を含み、かつ/またはそれらからできている。
【0137】
いくつかの実施形態において、微孔性の足場(例えば、生物学的材料(例えば、細胞、組織等)を対象に移植するための)が提供される。いくつかの実施形態において、その上に薬剤(例えば、細胞外マトリックスタンパク質、エキセンディン-4)及び生物学的材料(例えば、膵臓の膵島細胞)を有する微孔性の足場が提供される。いくつかの実施形態において、足場は、疾患(例えば、1型糖尿病)の治療、及び関連方法(例えば、診断方法、研究方法、薬物スクリーニング)において使用される。いくつかの実施形態において、足場の上及び/または中に本明細書に記載の担体粒子を有する足場が提供される。いくつかの実施形態において、足場は、抗原にコンジュゲートされた材料(例えば、抗原にコンジュゲートされたPLG)から生成される。
【0138】
いくつかの実施形態において、足場及び/または送達系は、1つ以上の層を含み、かつ/または1つ以上の化学的及び/もしくは生物学的実体/薬剤(例えば、タンパク質、ペプチドにコンジュゲートされた粒子、小分子、細胞、組織等)を有する:例えば、米国特許公開第2009/0238879号を参照されたく、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子は、足場及び会合した材料に対する免疫学的寛容の誘導を誘発するために足場送達系と同時投与される。いくつかの実施形態において、微孔性の足場は、足場の上または中の本明細書に記載の粒子とともに対象に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子は、足場送達系に結合される。いくつかの実施形態において、足場送達系は、本明細書に記載の担体粒子のうちのいずれかを含む。
【0139】
また、本発明の粒子及び組成物は、併用療法において配合されて用いられ得ること、すなわち、粒子及び組成物は、1つ以上の他の所望の治療薬もしくは医学的手技を用いて配合され得るか、またはそれと同時に、その前に、もしくはその後に投与され得ることも理解されたい。併用投与計画に用いるための特定の治療の組み合わせ(例えば、治療化合物及び/または手技の組み合わせ)は、所望の治療薬及び/または手技、ならびに達成される所望の治療効果の適合性を考慮に入れる。また、用いられる治療は、同じ障害に対して所望の効果を達し得る(例えば、本発明の化合物は、別の抗炎症剤と同時に投与されてもよい)か、またはそれらは、異なる効果を達成し得る(例えば、任意の有害作用の制御)ことも理解されたい。
【0140】
ある特定の実施形態において、本発明の修飾粒子を含有する薬学的組成物は、1つ以上の追加の治療的に活性な成分(例えば、抗炎症薬及び/または緩和薬)をさらに含む。本発明の目的のために、「緩和」という用語は、疾患の症状及び/または治療計画の副作用の軽減に焦点を当てているが、治癒的ではない処置を指す。例えば、緩和療法は、鎮痛剤、制吐薬、及び鎮吐薬を包含する。
【0141】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、インプラント及び/または移植片に関連する免疫応答を媒介するため、無効にするため、制御するため、及び/または軽減するために、インプラント(例えば、デバイス)及び/または移植片(例えば、組織、細胞、臓器)とともに(例えば、同時に、前に、もしくは後に)投与される。
【0142】
使用方法
いくつかの実施形態において、本発明は、対象に本明細書に記載の粒子または組成物を投与することを含む、対象、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおいて、既存の免疫応答を誘導するかまたは別様に制御するための方法を提供する。本明細書で使用される場合、「免疫応答」という用語は、自然免疫応答及び獲得免疫応答の両方(例えば、T細胞媒介性及び/またはB細胞媒介性免疫応答)を含む。一般的に、自然及び獲得免疫応答は、抗原特異性のレベルによって区別される。例えば、獲得免疫応答に直接関与する細胞(例えば、T細胞及びB細胞)は、特定の抗原に特異的なT細胞受容体(TCR)及びB細胞受容体を発現する。したがって、獲得免疫受容体は、活性化され、特異的抗原(例えば、より大きな抗原の特異的エピトープまたは成分)に応答する。対照的に、自然免疫の細胞は、TLR、CLR、NLR、RLR、及び他の自然免疫受容体(例えば、パターン認識受容体(PRR))を発現する。PRRは、幅広い種類の抗原を認識する生殖系列にコードされる、再編成しない受容体である(例えば、CLRは一般的に炭水化物部分を認識し、RLRはウイルス核酸を認識する)。したがって、自然免疫系の受容体は、活性化され、広い範囲の抗原に応答し、抗原特異的であるとは見なされない。
【0143】
免疫応答に関与する細胞は、リンパ球、例えば、B細胞及びT細胞(CD4+、CD8+、Th1、Th2、Th17、T制御性細胞);抗原提示細胞(APC)(プロフェッショナルAPC、例えば、樹状細胞、マクロファージ、Bリンパ球、ランゲルハンス細胞、及び非プロフェッショナルAPC、例えば、ケラチノサイト、内皮細胞、星状膠細胞、線維芽細胞、乏突起膠細胞を含む);ナチュラルキラー細胞;ならびに骨髄性細胞、例えば、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、及び他の顆粒球を含む。例示的な免疫応答は、T細胞応答、例えば、T細胞増殖、T細胞増加、サイトカイン産生、ケモカイン産生、及びT細胞媒介性細胞傷害性(例えば、CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)によって媒介される応答)を含む。さらに、免疫応答という用語は、APCの遊走、増殖、及び活性化、ならびに抗原提示の機構等の、T細胞活性化またはT細胞抑制を間接的にまたは直接的に媒介する免疫応答を含む。免疫応答という用語はまた、T細胞活性化、例えば、抗体産生(体液性応答)、及びサイトカイン応答性細胞、例えば、マクロファージ、樹状細胞、好中球、マスト細胞、好塩基球、B細胞、T細胞自体、ならびに構造細胞、例えば、上皮細胞、内皮細胞、及び/または他の間質細胞の活性化によって間接的に影響を受ける免疫応答を含む。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、炎症性細胞の炎症部位への輸送を低減するのに効果的である。
【0144】
「免疫応答の制御」は、免疫応答の任意の態様の調節、または複数の態様の調節を指してもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるような免疫応答を制御するための方法は、(例えば、活性化免疫修飾粒子の使用によって)免疫原性、炎症促進性、または別様に活性化する免疫応答を調節することを含む。そのような実施形態において、本明細書に提供される方法は、TH1、TH2、もしくはTH17応答を特異的に誘導すること、制御性T細胞応答を低減もしくは抑制すること、またはそれらの応答の組み合わせを包含する。TH1応答の誘導は、例えば、IFNγ及び/もしくはIL-12の発現を増加させること、ならびに/またはTH1細胞の集団を増加させること(例えば、IFNγ+、IL-12+、及び/もしくはT-bet+細胞の数もしくは割合を増加させること)を包含する。TH2応答の誘導は、例えば、IL-4、IL-5、IL-10、IL-13、またはそれらの任意の組み合わせの発現を増加させることを包含する。典型的には、TH2応答の増加は、IL-4、IL-5、IL-10、またはIL-13のうちの少なくとも1つの発現の増加を含み;より典型的には、TH2応答の増加は、IL-4、IL-5、IL-10、またはIL-13のうちの少なくとも2つの発現の増加を含み、最も典型的には、TH2応答の増加は、IL-4、IL-5、IL-10、またはIL-13のうちの少なくとも3つの発現の増加を含むが、理想的には、TH2応答の増加は、IL-4、IL-5、IL-10、及びIL-13の全ての発現の増加を含む。TH2応答の誘導はまた、TH2細胞の集団を増加させること(例えば、IL-4+、IL-5+、IL-10+、IL-13+、及び/またはGATA3+細胞の数または割合を増加させること)を含み得る。TH17応答の誘導は、例えば、TGF-β、IL-6、IL-21、IL-23、またはそれらの任意の組み合わせの発現、ならびにIL-17、IL-21、及びIL-22の効果レベルを増加させることを包含する。TH17応答の誘導はまた、TH17細胞の集団を増加させること(例えば、IL-17+、IL-21+、IL-22+、及び/またはRORγt+細胞の数または割合を増加させること)を含み得る。制御性T細胞応答の低減は、TGFβ、IL-10、またはそれらの任意の組み合わせの発現を低減することを包含する。制御性T細胞応答の低減はまた、T制御性細胞の集団の低減(例えば、TGFβ+、IL-10+、及び/またはFoxP3+細胞の数または割合を低減すること)を含み得る。
【0145】
いくつかの実施形態において、本明細書に提供されるような免疫応答を制御するための方法は、(例えば、寛容原性免疫修飾粒子の使用によって)制御性、寛容原性、または別様に抑制性の免疫応答を調節することを含む。そのような実施形態において、本明細書に提供される方法は、TH1、TH2、もしくはTH17応答を特異的に低減すること、制御性T細胞応答を増加させること、またはそれらの応答の組み合わせを包含する。TH1応答の低減は、例えば、IFNγ及び/もしくはIL-12の発現を低減すること、ならびに/またはTH1細胞の集団を低減すること(例えば、IFNγ+、IL-12+、及び/もしくはT-bet+細胞の数もしくは割合を低減すること)を包含する。TH2応答の低減は、例えば、IL-4、IL-5、IL-10、IL-13、またはそれらの任意の組み合わせの発現を低減することを包含する。典型的には、TH2応答の低減は、IL-4、IL-5、IL-10、またはIL-13のうちの少なくとも1つの発現の低減を含み;より典型的には、TH2応答の低減は、IL-4、IL-5、IL-10、またはIL-13のうちの少なくとも2つの発現の低減を含み、最も典型的には、TH2応答の低減は、IL-4、IL-5、IL-10、またはIL-13のうちの少なくとも3つの発現の低減を含むが、理想的には、TH2応答の低減は、IL-4、IL-5、IL-10、及びIL-13の全ての発現の低減を含む。TH2応答の低減はまた、TH2細胞の集団を低減すること(例えば、IL-4+、IL-5+、IL-10+、IL-13+、及び/またはGATA3+細胞の数または割合を低減すること)を含み得る。TH17応答の低減は、例えば、TGF-β、IL-6、IL-21、IL-23、またはそれらの任意の組み合わせの発現、ならびにIL-17、IL-21、及びIL-22の効果レベルを低減することを包含する。TH17応答の低減はまた、TH17細胞の集団の低減すること(例えば、IL-17+、IL-21+、IL-22+、及び/またはRORγt+細胞の数または割合を低減すること)を含み得る。制御性T細胞応答の誘導は、TGFβ及び/またはIL-10の発現を増加させることを包含する。制御性T細胞応答の誘導はまた、T制御性細胞の集団を増加させること(例えば、TGFβ+、IL-10+、及び/またはFoxP3+細胞の数または割合を増加させること)を含み得る。
【0146】
本明細書で使用される場合、「寛容」または「免疫学的寛容」という用語は、免疫系の不応答の状態を指す。免疫学的寛容は、異常な(例えば、自己免疫に関連して自己抗原に対する反応性)及び/または過剰な免疫応答を防止する上で必要不可欠である。「特異的な」免疫学的寛容は、免疫学的寛容が、他と比較してある特定の抗原に対して優先的に惹起されたときに生じる。「非特異的な」免疫学的寛容は、免疫学的寛容が、炎症性免疫応答を引き起こす抗原に対して無差別に惹起されたときに生じる。「準特異的な」免疫学的寛容は、免疫学的寛容が、保護免疫応答を引き起こす他の抗原ではなく、病原性免疫応答を引き起こす抗原に対して半差別的に惹起されたときに生じる。特定の実施形態において、本発明は、有効量の本明細書に記載の生分解性粒子または組成物を投与することを含む、対象において抗原特異的寛容を誘導する方法を提供する。本明細書で使用される場合、「抗原特異的寛容」は、特定の抗原によるTCR媒介性刺激に対するT細胞の非感受性及び/または不応答性を指す。
【0147】
免疫学的寛容は、中枢性寛容及び末梢性寛容の両方の結果である。中枢性寛容は、機能的な抗原特異的T細胞の選択(正の選択)及び自己反応性T細胞の排除(負の選択)をもたらす、胸腺におけるT細胞の正の選択及び負の選択を指す。末梢性寛容は、末梢(例えば、骨髄、リンパ節、脾臓、及び/または粘膜表面)に存在する寛容機構を指す。末梢性寛容の機構は、胸腺欠損を逃れた自己反応性T細胞による異常な応答を防止し、異種抗原に対する免疫応答の過剰な活性化を防止する。末梢性寛容は、T細胞アネルギー、活性化誘導性のT細胞の細胞死を含む様々な機構、及び制御性T細胞によって媒介される免疫抑制の機構を包含する。
【0148】
本明細書で使用される場合、「アネルギー」という用語は、T細胞受容体(TCR)媒介性の刺激に対するT細胞の非感受性を指す。そのような非感受性は、抗原特異的であり、一般的に、抗原ペプチドへの曝露が終了した後も存続する。T細胞アネルギーは、T細胞が抗原に曝露され、第2のシグナル(共刺激シグナル)の非存在下で第1のシグナル(T細胞受容体またはCD3媒介性シグナル)を受け取るときに起こる。これらの条件下では、同じ抗原への細胞の再曝露によって、たとえ、共刺激分子の存在下で再曝露が行われる場合であっても、T細胞はサイトカイン(例えば、IL-2)を産生することができなくなり、その後、増殖することができない。したがって、サイトカインを産生できないことによって増殖が阻止される。しかしながら、アネルギーT細胞は、サイトカイン(例えば、IL-2)とともに培養されると増殖することができる。T細胞アネルギーは、ELISAによって、または指標細胞株を用いた増殖アッセイによって測定されるように、T細胞によるIL-2産生の欠如によって観察され得る。代替として、レポーター遺伝子構築物が用いられてもよい。例えば、アネルギーT細胞は、5’IL-2遺伝子エンハンサーの制御下で異種プロモーターによって、またはエンハンサー内に見出すことができるAPI配列のマルチマーによって誘導されるDL-2遺伝子の転写を開始することができない(Kang et al.1992 Science.257:1134)。
【0149】
「制御性T細胞」、「T制御性細胞」、及び「Treg」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、免疫応答の誘導を抑制または防止するT細胞である。Tregという用語は、内在性Treg(例えば、抑制性細胞として胸腺から生じるTreg)及び誘導性Treg(例えば、末梢刺激に応じて抑制性細胞に分化するTreg)の両方を指すことができる。誘導性Tregは、それらの転写因子、FoxP3、細胞表面マーカーの発現、及びサイトカイン産生に基づいて複数の亜集団に分割され得る。いくつかの実施形態において、Tregは、Tr1、Th3、CD8+サプレッサー細胞、及びその他等の誘導性Treg集団を指してもよい。特定の実施形態において、Tregは、CD4+FoxP3-LAG3+IFNγ+IL-10+として定義されるTr1細胞を指してもよい。いくつかの実施形態において、免疫応答のTreg媒介性抑制は、抗原特異的または非抗原特異的であり得る。いくつかの実施形態において、免疫応答のTreg媒介性抑制は、Tregによるサイトカイン産生(例えば、IL-10及び/もしくはTGFβの産生)の結果であり得るか、または別の免疫抑制メディエーターの産生によるものであり得る。
【0150】
Tregは、末梢性寛容を媒介及び維持する上で重要な役割を果たす。例えば、Walker et al.(2002)Nat.Rev.Immunol.2:11-19;Shevach et al.(2001)Immunol.Rev.182:58-67を参照されたい。ある状況において、自己抗原に対する末梢性寛容が失われ(または破壊され)、自己免疫応答が結果として生じる。例えば、EAEの動物モデルにおいて、Toll様受容体等の自然免疫受容体によるAPCの活性化が自己寛容を破壊し、その結果としてEAEの誘導をもたらすことが示された(Waldner et al.(2004)J.Clin.Invest.113:990-997)。さらに、Tregは、ウイルス感染または細菌感染に応じて生成されるもの等の有益な免疫応答に関連して過剰な免疫活性化を防止することができる。したがって、これらの免疫応答の制御は、健康な細胞または組織片の過剰な損傷を阻止することができる。
【0151】
いくつかの実施形態において、免疫学的寛容は、例えば、抗原特異的エフェクターTリンパ球、Bリンパ球、抗体、もしくはそれらの均等物によって少なくとも部分的に媒介されるもの等の特異的免疫応答レベルの低減;特異的免疫応答の開始もしくは進行の遅延;または特異的免疫応答の開始もしくは進行のリスク低減によって測定することができる。免疫学的寛容は、未治療の対象と比較した治療済み対象の割合に基づいて行われる方法によって決定することができ、T細胞及び/またはB細胞の増殖及び/または活性化、サイトカイン産生、抗体産生は、当該技術分野で既知の方法によって例えば、in vitro 増殖アッセイ、フローサイトメトリー、ELISA、ウェスタンブロット等において)決定することができる。
【0152】
いくつかの実施形態において、抗原特異的免疫応答の誘導は、寛容原性活性の増加を誘導することを含む。いくつかの実施形態において、寛容原性活性の増加は、Tregの増加及び/または増殖を含む。いくつかの実施形態において、寛容原性活性の増加は、IL-10及び/またはTGFβ等の制御性サイトカインの産生増加を含む。寛容原性活性の代わりとなるものは、無傷の抗原または断片が、標的部位で適切なサイトカインの産生を刺激する能力である。標的部位でT制御性細胞によって放出される免疫制御性サイトカインはTGF-βであると考えられる(Miller et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:421,1992)。寛容の間に産生され得る他の因子は、サイトカインIL-4及びIL-10、ならびにメディエーターPGEである。対照的に、活性化免疫応答が生じている組織中のリンパ球は、IL-1、IL-2、IL-6、及びIFNγ等のサイトカインを分泌する。故に、寛容原性または免疫原性応答を誘導する抗原の能力は、免疫活性化サイトカイン(例えば、IFNγ、IL-2、IL-6、IL-17等)と比較して免疫制御性サイトカイン(例えば、TGFβ及び/またはIL-10)の産生を刺激するその能力を測定することによって評価することができる。
【0153】
ある特定の実施形態において、本発明は、治療的介入によって以前に寛容化されていない対象における免疫寛容の予備刺激に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象における治療タンパク質に対する異常な免疫応答の発生率及び/または重症度を軽減するための方法に関する。これらの実施形態は、一般的に、抗原と粘膜結合成分との組み合わせの複数回の投与を含む。典型的には、長期にわたる結果を達成するために、予備刺激中は、少なくとも3回の投与、頻繁に少なくとも4回の投与、また時には少なくとも6回の投与が行われるが、対象は、治療過程の早い段階で寛容の徴候を示す場合がある。ほとんどの場合、各用量はボーラス投与として投与されるが、粘膜放出が可能な持続性製剤もまた好適である。複数回投与が行われる場合、投与間の時間は、一般的に1日~3週間、また典型的には約3日~2週間である。一般的に、同じ抗原及び粘膜結合成分は同じ濃度で存在し、投与は同じ粘膜表面に対して行われるが、治療過程の間は、これらの変数のいずれかの変動が適応され得る。
【0154】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、標的抗原等の特定の抗原に対する防御免疫応答を誘導することを含む。そのような方法は、癌治療薬及び感染性疾患に関連して特に有用である。そのような実施形態において、方法は、プロテアーゼ特異的リンカーによって分離された2つ以上の標的抗原(腫瘍抗原等)を含む融合タンパク質を封入する粒子の投与を含む。ある特定の実施形態において、結合エピトープを封入する粒子は、免疫アゴニストをさらに含む。免疫アゴニストは、タンパク質、ハプテン、毒素、脂質、及び/または核酸のうちのいずれかを含んでもよく、標的抗原に対する抗原特異的免疫応答をもたらすためのアジュバントとして作用することができる。免疫アゴニストは、ハプテン、例えば、ビオチン、ジニトロフェノール、ウルシオール、フルオレセイン、及びその他を含み得る。いくつかの実施形態において、免疫アゴニストは、一本鎖(ss)ならびに二本鎖RNA及びDNA、またそれらの修飾形態を含む核酸を含み得る。いくつかの実施形態において、免疫アゴニストは毒素である。いくつかの実施形態において、免疫アゴニストは、免疫活性化サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、IFNγ、IFNα、IFNβ、TNFα等);T細胞、抗原提示細胞、及び/または顆粒球をリクルートすることができるケモカイン;免疫チェックポイント受容体に結合して阻害する抗体またはその断片(例えば、PD1、PDL1、CTLA4、LAG3、TIM3、またはA2aR)等のタンパク質である。
【0155】
いくつかの実施形態において、免疫アゴニストは、CLR(例えば、DEC-205、DC-SIGN、DCIR、CLEC-1、デクチン1、デクチン2、またはDLEC)、TLR(例えば、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12、またはTLR13)、NLR(例えば、NOD1、NOD2、NAIP、NLRC4、NLRC3、NLPR1、NLPR3、NLRP10)、RLR(例えば、MDAまたはRIG1)、STING、インフラマソーム(例えば、NLPR3またはAIM2)のアゴニストである。さらなる実施形態において、免疫アゴニストは、TLR7またはTLR9アゴニストである。さらなる特定の実施形態において、免疫アゴニストは、CD8+CTLの活性化をもたらす。さらなる実施形態において、免疫アゴニストは、標的抗原を発現する細胞の細胞溶解をもたらす。いくつかの実施形態において、標的抗原は、CD19、CD20、BCMA、CD22、CLL1、CD33、CEA、CD123、CS1、EGFR、PSMA、EphA2、MCSP、ADAM17、PSCA、TPTE、HPU16、未成熟ラミニン受容体、TAG-72、HPV E6、HPV E7、BING-4、カルシウム活性化クロライドチャネル2、シクリンB1、9D7、Ep-CAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、メソテリン、SAP-1、サバイビン、BAGEファミリーのタンパク質、CAGEファミリーのタンパク質、GAGEファミリーのタンパク質、MAGEファミリー(例えば、MAGE-A3)、SAGEファミリーのタンパク質、XAGEファミリーのタンパク質、CT9、CT10、NY-ESO1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、メランA/MART-1、Cp100/pmel17、チロシナーゼ、TRP-1/TRP-2、P.ポリペプチド、MC1R、前立腺特異抗原、β-カテニン、BRCA1/2、CDK4、CML66、フィブロネクチン、MART-2、p53、Ras、TGF-βRII、及びMUC1等の腫瘍抗原である。
【0156】
抗原特異的免疫応答の増加は、抗原特異的エフェクターT細胞増殖の増加、炎症促進性及び/または免疫活性化サイトカイン(例えば、IFNγもしくはIFNα)の産生の増加、または標的抗原を発現する細胞の細胞溶解の増加によって測定され得る。
【0157】
さらなる実施形態において、特定の疾患または障害の治療のための方法が提供される。本明細書で使用される「治療すること」及び「治療」は、疾患、または疾患の症状の改善を指し、測定可能もしくは観察可能な改善、または対象の全般的な健康における改善であり得る。特定の実施形態において、特定の疾患または障害を治療することは、病的炎症(例えば、自己免疫疾患に関連する)を軽減または改善するために抗原特異的寛容を誘導することまたは別様に制御性免疫応答を増加させることを指す。
【0158】
いくつかの実施形態において、本発明は、疾患が発症する前の本明細書に記載の粒子及び組成物の使用に関する。他の実施形態において、本発明は、進行中の疾患を阻害するための本明細書に記載の粒子及び組成物の使用に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、対象における疾患を改善することに関する。対象における疾患を改善するとは、対象における疾患を治療、予防、または抑制することを含むことを意味する。
【0159】
いくつかの実施形態において、本発明は、疾患の再発を予防することに関する。例えば、不要な免疫応答は、ペプチドのある領域(抗原決定基等)で生じ得る。不要な免疫応答に関連する疾患の再発は、ペプチドの異なる領域で免疫応答による攻撃を受けることによって起こり得る。MS及び他のTh1/17媒介性自己免疫疾患を含むいくつかの免疫応答障害におけるT細胞応答は動的であり得、再発寛解型及び/または慢性進行性疾患の過程において進化する。疾患が進行するにつれて標的が変化し得るため、T細胞レパートリーの動的性質は、特定の疾患の治療に影響を与える。以前は、疾患の進行を予測するために、応答のパターンについての事前の知識が必要であった。本発明は、動的に変化する疾患の影響である「エピトープスプレッディング」の機能を妨げ得る組成物を提供する。再発の既知のモデルは、多発性硬化症(MS)のモデルとしてのプロテオリピドタンパク質(PLP)に対する免疫反応である。初期の免疫応答は、PLP139-15に対する応答によって生じ得る。その後の疾患の発症は、PLP[pi]s-iβiに対する再発免疫応答によって生じ得る。本発明の組成物は、疾患を引き起こすエピトープが複数のタンパク質(例えば、PLP、MBP、及びMOG)中に存在するか、または複数の疾患を引き起こすエピトープが単一のタンパク質上に存在し、タンパク質全体の封入がそれ以外の形では不可能である、MS及び他の自己免疫疾患の治療に特に有用である。
【0160】
ある特定の実施形態において、対象は、アレルギー性疾患または状態、アレルギー、及び喘息等の不要な免疫活性化に関連する疾患に罹患する。アレルギー性疾患または喘息を有する対象は、既存のアレルギー性疾患または喘息の認識可能な症状を伴う対象である。例えば、アレルギー反応を誘発する特定の食物(例えば、ピーナッツタンパク質等)、注入される物質(例えば、ハチ毒タンパク質等)、または吸入される物質(例えば、ブタクサ花粉タンパク質、ペットのふけタンパク質等)と複合化した粒子によって、そのような対象に寛容を誘導することができる。
【0161】
ある特定の実施形態において、対象は、自己免疫疾患及び炎症性疾患等の不要な免疫活性化に関連する疾患に罹患する。自己免疫疾患または炎症性疾患を有する対象は、既存の自己免疫疾患または炎症性疾患の認識可能な症状を伴う対象である。例えば、特定の自己免疫疾患を駆動する関連自己抗原と複合化した粒子によって、そのような対象に寛容を誘導することができる。
【0162】
ある特定の実施形態において、対象は、酵素補充療法に関連する疾患に罹患する。例えば、特定の欠陥を治療するために投与される組換えによって生成された酵素に対して患者が中和抗体応答を示すのを阻止するために、遺伝的欠陥を有する患者が産生することができない酵素と複合化した粒子を用いてそのような対象に寛容を誘導することができる(例えば、第VIII因子を産生する能力における遺伝的欠陥に起因して血友病に罹患する患者におけるヒト第VIII因子に対する寛容)。
【0163】
ある特定の実施形態において、対象は、疾患の治療に関連する障害に罹患する。組換え抗体の場合、例えば、患者が抗体治療薬に対する中和抗体を形成するのを防ぐために治療状況において用いられるヒト化抗体に対して、寛容が誘導される(自己免疫疾患の治療薬として使用されるヒト化免疫サブセット枯渇抗体または抗サイトカイン抗体に対する寛容)。
【0164】
自己免疫疾患は、臓器特異性及び全身性の2つの幅広いカテゴリーに分類することができる。自己免疫疾患は、限定されないが、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、1型糖尿病、2型糖尿病、多発性硬化症(MS)、早期卵巣機能不全等の免疫媒介性不妊症、強皮症、シェーグレン病、白斑、脱毛症(禿頭症)、多腺性不全、グレーブス病、甲状腺機能低下症、多発性筋炎、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、B型肝炎ウイルス(HBV)及びC型肝炎ウイルス(HCV)に関連するものを含む自己免疫肝炎、下垂体機能低下症、移植片対宿主疾患(GvHD)、心筋炎、アジソン病、自己免疫皮膚疾患、ぶどう膜炎、悪性貧血、セリアック病、及び副甲状腺機能低下症を含む。
【0165】
自己免疫疾患はまた、限定されないが、橋本甲状腺炎、多腺性自己免疫症候群1型及び2型、腫瘍随伴性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、線状IgA病、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、妊娠性類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、小児慢性水疱性疾患、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、自己免疫好中球減少症、重症筋無力症、イートン・ランバート筋無力症症候群、全身硬直症候群、急性播種性脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、伝導ブロックを伴う多巣性運動ニューロパチー、単クローン性免疫グロブリン血症を伴う慢性ニューロパチー、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、小脳変性症、脳脊髄炎、網膜症、原発性胆管硬化症、硬化性胆管炎、グルテン過敏性腸疾患、強直性脊椎炎、反応性関節炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、混合性結合組織疾患、ベチェット症候群、乾癬、結節性多発動脈炎、アレルギー性脈管炎及び肉芽腫症(チャーグ・ストラウス病)、多発性血管炎重複症候群、過敏性血管炎、ウェーゲナー肉芽腫症、側頭動脈炎、高安動脈炎、川崎病、中枢神経系の孤立性血管炎、閉塞性血栓血管炎、サルコイドーシス、糸球体腎炎、ならびに寒冷症も含む。これらの状態は、医学分野において周知であり、例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine,14th ed.,Fauci A S et al.,eds.,New York:McGraw-Hill,1998に記載されている。
【0166】
自己免疫疾患の研究のための動物モデルは当該技術分野で既知である。自己免疫疾患の研究のための動物モデルは、当該技術分野において既知である。例えば、ヒト自己免疫疾患に最も類似していると考えられる動物モデルは、高い発生率で特定の疾患を自然に発症する動物株を含む。そのようなモデルの例として、限定されないが、1型糖尿病に類似する疾患を発症する非肥満糖尿病(NOD)マウス、ならびに狼瘡様疾患に罹患しやすい動物、例えば、ニュージーランドハイブリッド、MRL-Faslpr及びBXSBマウスが挙げられる。自己免疫疾患が誘導されている動物モデルは、限定されないが、EAE(多発性硬化症のマウスモデル)、コラーゲン誘導性関節炎(CIA、関節リウマチのマウスモデル)、及び実験的自己免疫ぶどう膜炎(EAU、ぶどう膜炎のマウスモデル)を含む。また、自己免疫疾患の動物モデルは、遺伝子操作によっても作製されており、例えば、炎症性腸疾患のIL-2/IL-10ノックアウトマウス、SLEのFasまたはFasリガンドノックアウト、及び関節リウマチのIL-1受容チアアンタゴニストノックアウトを含む。
【0167】
ある特定の実施形態において、対象は感染症に罹患する。細菌、真菌、寄生虫、またはウイルス感染症を有する対象は、既存の細菌、真菌、寄生虫、またはウイルス感染症の認識可能な症状を伴う対象である。感染病原体は、限定されないが、細菌性、真菌性、寄生虫性、及びウイルス性病原体を含む。そのような感染病原体の例として以下が挙げられる:ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、大腸菌、連鎖球菌科、ナイセリア科、球菌、腸内細菌科、腸球菌、バンコマイシン耐性腸球菌、クリプトコッカス、ヒストプラスマ症、コウジカビ、シュードモナス科、ビブリオ目、カンピロバクター、パスツレラ科、ボルデテラ、フランシセラ、ブルセラ、レジオネラ科、バクテロイデス科、グラム陰性桿菌、クロストリジウム、コリネバクテリウム、プロピオン酸菌、グラム陽性桿菌、炭疽菌、アクチノマイセス、ノカルジア、マイコバクテリウム、トレポネーマ、ボレリア、レプトスピラ、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、リケッチア、クラミジア、カンジダ、全身性真菌症、日和見真菌症、原虫、線形動物、吸虫、条虫、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス及びエプスタイン・バーウイルス、ならびに帯状疱疹ウイルスを含む)、ポックスウイルス、パポーバウイルス、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス及びC型肝炎ウイルスを含む)、パピローマウイルス、オルソミクソウイルス(例えば、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、及びC型インフルエンザを含む)、パラミクソウイルス、コロナウイルス、ピコルナウイルス、レオウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、ブニヤウイルス科、ラブドウイルス、ロタウイルス、呼吸器多核体ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、及びレトロウイルス。例示的な感染性疾患は、限定されないが、カンジダ症、カンジダ血症、アスペルギルス症、連鎖球菌肺炎、連鎖球菌性の皮膚及び中咽頭疾患、グラム陽性敗血症、結核、単核球症、インフルエンザ、呼吸器多核体ウイルスによって引き起こされる呼吸器疾患、マラリア、住血吸虫症、及びトリパノソーマ症を含む。
【0168】
いくつかの実施形態において、ウイルス感染症は、ヘルペスウイルス感染症、肝炎ウイルス感染症、ウエストナイルウイルス感染症、フラビウイルス、インフルエンザウイルス感染症、ライノウイルス感染症、パピローマウイルス感染症、パラミクソウイルス感染症、パラインフルエンザウイルス感染症、及び/またはレトロウイルス感染症である。好ましいウイルスは、対象の中枢神経系に感染するウイルスである。最も好ましいウイルスは、脳炎または髄膜炎を引き起こすものである。
【0169】
いくつかの実施形態において、細菌感染症は、ブドウ球菌感染症、連鎖球菌感染症、マイコバクテリア感染症、桿菌感染症、サルモネラ感染症、ビブリオ感染症、スピロヘータ感染症、及びナイセリア感染症である。好ましいのは、対象の中枢神経系に感染する細菌である。最も好ましいのは、脳炎または髄膜炎を引き起こすものである。
【0170】
本発明の他の実施形態は、移植に関する。移植は、ドナー対象からレシピエント対象への試料または移植片の移植を指し、組織によって提供される生理学的機能を回復するために組織を必要とするヒトレシピエントに対して頻繁に行われる。移植される組織は、(限定されないが)腎臓、肝臓、心臓、肺等の全臓器;皮膚移植片及び目の角膜等の臓器構成要素;ならびに骨髄細胞、及び骨髄または循環血液から選択及び展開される細胞の培養物等の細胞懸濁液、そして全血輸血を含む。
【0171】
宿主レシピエントと移植された組織との間の抗原性の違いから、任意の移植の重篤な潜在的合併症が起こる。その違いの性質及び程度に応じて、宿主による移植片の、または移植片による宿主の、またはその両方の免疫学的攻撃が起こり得るリスクが存在し得る。リスクの程度は、類似する表現型を有する同様に治療を受けた対象の集団における応答パターンを追跡し、広く認められている臨床手技に従って、考えられる種々の要因を相関させることによって決定される。免疫学的攻撃は、既存の免疫学的応答(予め形成されている抗体等)、またはほぼ移植の時期に始まった応答(TH細胞の産生等)の結果であり得る。抗体、TH細胞、またはTC細胞は、互いとの、ならびに種々のエフェクター分子及び細胞との任意の組合せに関与し得る。しかしながら、免疫応答に関与する抗原は概して未知であり、したがって、抗原特異的治療法の設計または抗原特異的寛容の誘導は困難をきたす。
【0172】
本発明のある特定の実施形態は、レシピエントによる組織移植片の拒絶反応を引き起こす宿主対移植片病のリスク軽減に関する。治療は、超急性、急性、または慢性拒絶応答の影響を阻止または低減するために行われ得る。移植片が設置されたときに寛容ができているように、治療は移植の十分前に優先的に開始されるが、これが不可能である場合、治療は、移植と同時にまたは移植後に開始されてもよい。開始の時期に関わらず、移植は、一般的に、少なくとも移植後の最初の1ヶ月は規則的な間隔で継続する。追加投与は、移植片の十分な適応が起こる場合には必要ないかもしれないが、移植片の拒絶反応または炎症の何らかの証拠が見られる場合には再開され得る。当然のことながら、さらに低いレベルのリスクを達成するために、本発明の寛容化手順を他の形態の免疫抑制と組み合わせてもよい。
【0173】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象において癌を治療する方法を提供する。本明細書における「癌」は、典型的には未制御な細胞増殖によって特徴付けられる、哺乳動物における生理学的状態を指すかまたは説明する。癌の例として、限定されないが、細胞腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫(脂肪肉腫、骨肉腫、血管肉腫、内皮肉腫、平滑筋肉腫、脊索腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、横紋筋肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、軟骨肉腫を含む)、神経内分泌腫瘍、中皮腫、滑膜腫、シュワン腫、髄膜腫、腺癌、黒色腫、及び白血病、またはリンパ系腫瘍が挙げられる。そのような癌のより具体的な例として、扁平細胞癌(例えば、扁平上皮細胞癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌腫、小細胞肺癌を含む肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎性癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝細胞癌、肛門癌、陰茎癌、精巣癌、食道癌、胆道腫瘍、ユーイング腫瘍、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胚性癌腫、ウィルムス腫瘍、精巣腫瘍、肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、骨髄異形成疾患、重鎖病、神経内分泌腫瘍、シュワン腫、及び他の細胞腫、ならびに頭頸部癌が挙げられる。
【0174】
いくつかの実施形態において、本発明は、対象においてアレルギーを治療する方法を提供する。「アレルギー」は、本明細書で使用される場合、IgEによって媒介される全ての免疫反応、及びIgE媒介性反応を模倣する反応を含む。アレルギーは、IgEまたはIgE様免疫応答を引き起こす、タンパク質、ペプチド、炭水化物、及びそれらの組み合わせを含むアレルゲンによって誘導される。アレルギーは、食物アレルギー(例えば、ナッツ、牛乳、卵、魚、甲殻類、コムギ、または大豆アレルギー)を含む。例示的な食物アレルゲンは、ピーナッツのAra h1、Ara h2、及びAra h3エピトープ;セロリの15kd抗原;リンゴ抗原Mal d1;桃のPru p3;ならびにグルテンのα-グリアジン及びγ-グリアジンエピトープを含む。アレルギーはまた、他の環境アレルギー(例えば、花粉、昆虫刺傷、ほこり、カビ、真菌アレルギー等)も含む。例示的な環境アレルゲンは、ツタウルシ及びオークのウルシオール;ハウスダスト抗原;カバノキ花粉成分Bet v1及びBet v2;チモシー牧草花粉アレルゲンPhl p1;ホソムギのLol p3、Lol pI、またはLol pV;バミューダグラスのCyn d1;イエダニアレルゲンイエダニDer p1、Der p2、またはDerf1;ハチ毒ホスホリパーゼA2;ならびにスギ花粉を含む。
【0175】
当業者には、本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、記載される特徴及び実施形態の種々の修正、再構成、及び改変が明白であろう。特定の実施形態について記載してきたが、請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるものではないことを理解されたい。実際に、関連分野の当業者には明らかな記載される様式及び実施形態の種々の修正は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【実施例】
【0176】
以下の実施例は、本発明の利点及び特徴をさらに例示するために提供されるのであって、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0177】
実施例1.ペプチドエピトープを封入するPLG粒子の特徴付け
異なるペプチドエピトープを封入するPLG粒子の物理的特性及び機能的特性を決定するために実験を行った。寛容原性及び対照エピトープの一覧を
図2に示す。一例として、PLP
139-151を封入するPLG粒子を生成し、光散乱によってサイズ分布及びゼータ電位を決定した。PLP
139-151を封入するPLG粒子のサイズ分布のピークは748.9nm、Z平均サイズは882.6nmであり、より大きな種の存在も示唆された(
図3A)。さらに、恐らく乳化剤としてポリ(エチレン-コ-マレイン酸)(PEMA)を使用したために、PLP
139-151を封入するPLG粒子は非常に高い負電荷を有していた(Z電位=-97.5mV、
図3B)。
【0178】
次いで、異なるペプチドエピトープを封入するPLGナノ粒子が細胞増殖に与える影響を決定した。DO11.10トランスジェニックマウス(Ova323に特異的なTCRトランスジェニックマウス)からの2x10
5脾細を、PLP
139-151(0.737ng/μg)もしくはOva
323-339(1.729ng/μg)を個別に封入するPLGナノ粒子、またはPLP
139-151及びOva
323-339を一緒に封入する(0.615ng/μg)PLGナノ粒子とともにインキュベートした。Ova323(1μg)を用いてまたは用いずにナノ粒子及び脾細胞を播種し、2日間増殖させ、次いで、チミジンでパルス処理し、さらに3日間培養した。ナノ粒子の非存在下における細胞のOva323への曝露は、細胞増殖の増加をもたらした(
図4B)。しかしながら、Ova
323-339を個別に封入するナノ粒子、またはPLP
139-151及びOva
323-339を一緒に封入するナノ粒子とともにOva323に曝露された細胞の処理は、細胞増殖を著しく減少させた(
図4B)。Ova323に曝露されなかった細胞は増殖しなかった(
図4A、陰性対照)。
【0179】
異なる量のOva
323-339(1.1ng/μg、23.1ng/μg、0.2ng/μg)を封入するナノ粒子、または全長Ovaを封入するナノ粒子を使用して同様の実験を行った(
図5)。培養物にOva323ペプチドを添加しない場合、最も多い量のOva
323-339ペプチド(23.1ng/μg)または全長Ovaを封入するナノ粒子とともにインキュベートした細胞のみが増殖した(
図5B)。さらに、最も多い量のOva
323-339ペプチドを封入するナノ粒子は、2日目にOva323を培養物に添加したことによって誘導された増殖を阻害しなかった(
図5C)。しかしながら、より少ない量のOva
323-339(1.1ng/μg及び0.2ng/μg)を封入するより高い用量のナノ粒子は、Ova323によって誘導された細胞増殖のレベルを減少させた(
図5C)。培養物へのαCD28の添加が細胞増殖に著しい影響を与えなかったことから、Ova323に応じた増殖は抗原特異的であったことが示唆される。これらの結果は、ペプチドエピトープを封入するナノ粒子が抗原誘導性細胞増殖を調節できることを示唆するものである。
【0180】
さらに、様々なペプチドエピトープをナノ粒子に封入することができる。例えば、
図6及び
図7は、寛容原性及び対照ペプチドエピトープの封入効率をそれぞれ示す。ペプチドエピトープは、個別にまたは一緒に封入され得る。予め重量を計測した試験管にバッチを等分し、乾燥させ、重量を測定して、予め重量を計測した試験管中の粒子の質量(mg/試験管)を決定した。μgペプチド/mg粒子を3-(4-カルボキシベンゾイル)キノリン-2-カルボキシアルデヒド(CBQCA)タンパク質定量化アッセイを使用して決定した。
【0181】
実施例2.PLP
139-151ペプチドエピトープを封入するナノ粒子は1型制御性T細胞集団を調節する
ペプチドエピトープを封入するナノ粒子が異なる細胞集団に与える影響を評価するために、ex vivoアッセイを使用して実験を行った。端的に述べると、-2日目に、PLP
139-151TCRトランスジェニックマウス(5B6マウス、ドナー、Thy1.1
+)からの3.5x10
6 CD4
+細胞を、ナイーブな6~8週齢の雌SJLレシピエントマウスの静脈内に移入した。0日目に、SJLレシピエントマウスに、PLP
139-151-SEを封入するPLGナノ粒子またはOVA
323-339-SE(対照粒子)を封入するPLGナノ粒子のいずれかを注入した。注入後3日目及び5日目に、レシピエントマウスから脾臓を採取し、フローサイトメトリーにより制御性T細胞集団を分析した(
図8)。全ての集団のCD90.1/Thy1.1
+細胞にゲートをかけてPLP
139-151-TCR
+集団を選別した。
【0182】
3日目(
図8A、左パネル)及び5日目(
図8A、右パネル)にOVA
323-339-SE PLGまたはPLP
139-151-SE PLGを注射したマウスにおいてLag3
+FoxP3
-細胞に最初にゲートをかけることにより、1型制御性T細胞(TR1)の割合を決定した。3日目には、Lag3
+FoxP3
-集団において差は観察されなかった。しかしながら、5日目までに、PLP
139-151-PLGを注入した動物において、OVA
323-339-SE PLG対照と比較して明らかなLag3
+ FoxP3
-集団の増加が見られた。これらの細胞はまた、大部分がIFNγ
+IL-10
+であることから、それらがTR1表現型を有することが示唆される(
図8A、下パネル)。Lag3
+FoxP3
-細胞の数の定量化により、PLP
139-151-PLG処理マウスとOVA
323-339-SE PLG処理マウスとの間に差がないことが示された。しかしながら、PLP
139-151-PLG処理マウスは、OVA
323-339-SE PLG処理対照と比較して、抗原特異的TR1細胞(LAG3
+FoxP3
-IFNγ
+IL-10
+)の数に著しい増加を示した。PLP
139-151-SE PLGまたはOVA
323-339-SE PLGの注入後3日目、5日目、及び7日目に、採取した脾臓を用いて同様の実験を行った(
図9)。
図8の結果と同様に、PLP
139-151-PLGで処理したマウスにおいてTR1細胞の数が著しく増加した。これらのデータは、ペプチドエピトープを封入するPLGナノ粒子が制御性T細胞の数を増加させることを実証するものであり、寛容誘導における潜在的な治療的役割が示唆される。
【0183】
同じプロトコルに従って別の実験を行い、フローサイトメトリーにより脾臓の制御性T細胞を分析した。上述のようにCD90.1/Thy1.1(PLP
139-151TCR
+)集団の細胞にゲートをかけ、制御性T細胞マーカーCD25、FoxP3、Helios、NP1、及びIFNγの発現について分析した。
図10に示すように、PLP
139-151-PLGの注入は、CD25
+FoxP3+、Helios
+NP1
+、及びIFNγ
+制御性T細胞集団の数を増加させた。これらの結果は、ペプチドエピトープを封入するPLGナノ粒子が寛容誘導において潜在的な治療的役割を有するという結論をさらに支持するものである。
【0184】
ペプチドエピトープを封入するPLGナノ粒子が疾患の活性を調節する能力を、多発性硬化症のマウスモデルであるEAEにおいて試験した。端的に述べると、-2日目に、5B6ドナーからの3.5x10
6 CD4
+細胞を、ナイーブな6~8週齢の雌SJLマウスの静脈内に移入した。0日目に、SJLレシピエントマウスにPLP
139-151-SE PLGまたは対照OVA
323-339-SE PLGのいずれかを注入した。注入から+3日目及び+5日目に、マウスから脾臓を採取した。7日目に別のコホートでEAEを誘導し、誘導後5日目及び17日目に、分析のためにこれらのマウスから脾臓を採取した。次いで、脾臓のT細胞集団をフローサイトメトリーによって分析した。細胞集団はCD90.1/Thy1.1(PLP
139-151 TCR
+)集団にゲートをかけた(
図11A)。図示されるように、EAE及び非EAEマウスの両方において、後の時点で、PLP
139-151-SE PLGの注入が、OVA
323-339-SE PLGを注入した対照と比較して抗原特異的T細胞の数を著しく増加させた(
図11A)。さらに、PLP
139-151-SE PLGの注入は、OVA
323-339-SE PLGを注入した対照と比較して、増殖する抗原特異的T細胞の数(
図11B)及び抗原特異的制御性T細胞の数を著しく増加させた(
図11C)。非抗原特異的制御性T細胞の数に著しい差は見られなかった(
図11D)。これらの結果は、PLP
139-151-SE PLGが抗原特異的T制御性細胞の増殖増加をもたらしたことを示しており、ペプチドエピトープを封入するナノ粒子が自己免疫のモデルにおいて寛容原性応答を媒介することが示唆される。
【0185】
実施例3.OVA
323-339ペプチドエピトープを封入するナノ粒子は1型制御性T細胞集団を調節する
OVA
323-339TCRドナー(DO11マウス)からの2.5x10
6 CD4
+細胞を、6~8週齢のナイーブなメスBalb/c RAG KOレシピエントマウスの静脈内に移入して、相補的実験を行った。移入の2週間後、レシピエントマウスにOVA
323-339-SE PLGまたはPLP
139-151-SE PLG(対照)のいずれかを注入した。注入後にマウスから脾臓を採取し、フローサイトメトリーにより制御性T細胞集団を分析した(
図12)。細胞集団はDO11-TCR
+集団にゲートをかけた。図示されるように、PLP
139-151-SE PLGを注入した対照と比較して、OVA
323-339-PLGを注入した動物からのCD25
+FoxP3
+CD4
+ T細胞の割合(
図12A)及び合計数(
図12B)の両方に著しい増加が見られた。同様の実験において、IFNγを産生する抗原特異的制御性T細胞の割合(
図13A)及び数(
図13B)も、PLP
139-151-SE PLGを注入した対照と比較して、OVA
323-339-PLGを注入した動物において著しく増加した。IFNγ
+非制御性T細胞の数には、実験群と対照群との間に著しい差は見られなかった(
図13)。さらに、DO11ドナーからのTR1集団の割合(
図14A)及び数(
図14B)の増加には、SJLマウスから単離した5B6 CD90.1
+TR1細胞に見られた傾向と同様の傾向が見られた。
【0186】
また、増殖する抗原特異的細胞の数(
図15A)、増殖する抗原特異的T制御性細胞の数(
図15B)、及び増殖する抗原特異的TR1細胞の数(
図15C、別の実験から、FoxP3
-として確認されていない)にも増加が見られた。これらの結果は、実施例2における5B6移入実験と同様に、ペプチドエピトープを封入するPLGナノ粒子が制御性T細胞集団の増加を制御することを示しており、寛容の誘導における役割を示唆するものである。
【0187】
実施例4.PLP139-Ova323融合ペプチドを封入するナノ粒子の特徴付け
カテプシン特異的切断部位を含むペプチドリンカーによって結合されたPLP
139-151及びOVA
323-339エピトープの融合ペプチドを生成した(
図16、PLP139-Ova323融合ペプチド)。DO11.10(
図17A)または5B6(
図17B)トランスジェニックマウスからの2x10
5脾細胞を様々な量のOVA
323-339、PLP
139-151、OVA
323-339+PLP
139-151、またはPLP139-Ova323融合ペプチド(リンカー)とともに播種し、細胞増殖を評価した。PLP139-Ova323融合ペプチドは、DO11細胞でOVA
323-339及び5B6細胞でPLP
139-151によって誘導された応答に匹敵する細胞増殖を誘導した。これらの結果は、エピトープ単独または組み合わせのいずれかと同様に、融合タンパク質が細胞応答を調節することが可能であることを示唆するものである。
【0188】
PLP139-Ova323融合ペプチドを封入するナノ粒子の物理的特性(Z平均直径、PDI、ピーク直径、及びゼータ電位)を動的光散乱(DLS)により決定した(
図18)。Z平均直径は、3回の試行にわたって1203~3316nmの範囲であり、ゼータ電位は-95~-115mVであった。カーボンでコーティングした銅メッシュ網上で粒子を乾燥させ、透過型電子顕微鏡法(TEM)を使用して、ナノ粒子の画像も得た(
図18)。
【0189】
ナノ粒子が細胞増殖に与える影響は、2x10
5 DO11脾細胞を1~100μgのナノ粒子(PLP139-Ova323融合物、PLP
139-151、またはOVA
323-339を封入するナノ粒子)とともに播種することによって評価した。細胞を2日間増殖させ、次いで、チミジンでパルス処理し、さらに3日間培養した。PLP139-Ova323融合物またはOVA
323-339封入ナノ粒子のいずれかを用いた細胞の処理は、未処理の対照と比較して細胞増殖の増加をもたらした(
図19A)。2日目に1μgのOva323(
図19B)または1μgのOva323及び1μg/mLのαCD28(
図19C)を培養物に添加したときに同様の結果が観察された。
【0190】
5B6脾細胞を用いて相補的実験を行った(
図20)。2x10
5 5B6脾細胞を播種し、2日間増殖させ、次いで、チミジンでパルス処理し、さらに3日間培養した。PLP139-Ova323融合物またはPLP
139-151のいずれかを封入するナノ粒子を用いた細胞の処理は、未処理の対照またはOVA
323-339を封入するナノ粒子を用いて処理した細胞と比較して、より高い用量で細胞増殖の増加をもたらした(
図20A)。2日目に1μgのPLP139(
図20B)または1μgのPLP139及び1μg/mLのαCD28(
図20C)を培養物に添加したときに同様の結果が観察された。これらのデータは、結合エピトープタンパク質融合物が免疫原性であることを実証するものであり、それらが単一エピトープ単独と比較して免疫調節の可能性を増加させたことを示唆している。
【0191】
図21に示すように、融合タンパク質は、ナノ粒子に効率的に封入することができる。予め重量を計測した試験管にバッチを等分し、乾燥させ、重量を測定して、予め重量を計測した試験管中の粒子の質量(mg/試験管)を決定した。μgペプチド/mg粒子をCBQCAタンパク質定量化アッセイを使用して決定した。
【0192】
実施例5.PLP139-Ova323融合ペプチドを封入するナノ粒子はEAEにおいて寛容原性応答を媒介する
EAEのモデルにおいてPLP139-OVA323融合タンパク質を封入するナノ粒子のin vivoでの影響を決定するために実験を行った。アジュバントに乳化したPLP
139-151ペプチドエピトープまたはPLP139-OVA323融合タンパク質を用いた免疫化によりSLJマウスにおいてEAEを誘導した(群当たりN=5)。
図22Aに示すように、PLP139-OVA323融合タンパク質を用いた免疫化は、EAEを誘導するのに十分であった。結果として得られた疾患スコアの大きさは、PLP
139-151ペプチドによる免疫化によって誘導されたものに匹敵するものであった(
図22A)。
図22→PLP-OVA結合EAEスコア。PLP-OVA結合ペプチドは、疾患を誘導し、PLGAナノ粒子に封入されると寛容を誘導する。重要なのは、封入されたPLP-OVA融合タンパク質(PLP-OVA)の投与がEAE疾患スコアの抑止をもたらしたということである(
図22A)。さらに、封入されたPLP-OVA融合タンパク質が、PLPで免疫化したSLJマウスの免疫応答のみを低減させ、MOGペプチドによる免疫化によって誘導された免疫応答には影響を与えなかったことから、この免疫調節は抗原特異的であった(
図22B)。これらの結果は、結合エピトープ融合ペプチドを封入するナノ粒子が抗原特異的な様式で寛容原性免疫応答を誘導することを示唆するものである。
【0193】
実施例6.マルチエピトープ融合ペプチドを封入するナノ粒子の特徴付け
カテプシン特異的切断部位を含むペプチドリンカーによって結合されたPLP PLP
139-151、PLP
178-191、MOG
92-106、及びMBP
84-104エピトープの融合ペプチドを生成した(
図23A、寛容原性EAE-1融合ペプチド)。さらに、カテプシン特異的切断部位を含むペプチドリンカーによって結合されたOVA
323-339、PLP
56-
70、VP1
233-250、及びVP2
70-86エピトープを含む対照融合ペプチドも生成した(
図23B、EAE-1対照融合ペプチド)。寛容原性融合ペプチドを封入するナノ粒子の物理的特性(Z平均直径、PDI、ピーク直径、及びゼータ電位)をDLSにより決定した。粒子の画像は、カーボンでコーティングした銅メッシュ網上で粒子を乾燥させ、透過型電子顕微鏡法(TEM)を使用して得た。DLS及びEMの両方のデータが、通常よりもサイズ分布が大きいことを示唆している(
図24)。
【0194】
寛容原性融合ペプチドまたは陰性対照融合ペプチドの封入効率を
図25に示す。予め重量を計測した試験管にバッチを等分し、乾燥させ、重量を測定して、予め重量を計測した試験管中の粒子の質量(mg/試験管)を決定した。μgペプチド/mg粒子をCBQCAタンパク質定量化を使用して決定した。
【0195】
単一エピトープ及び結合エピトープのPLGAナノ粒子への封入を
図26に示す。一方向ANOVA統計検定(p<0.0001)によって決定されるように、単一のミエリン特異的T細胞エピトープ(PLP139、PLP178、MBP84、及びMOG92)を、結合したEAE-1ペプチド(PLP139:PLP178:MOG92:MBP)よりも低い効率で封入した。同様に、個々の対照エピトープ(Ova323、PLP56、VP1233、及びVP270)を、結合したEAE-対照エピトープ(OVA323:PLP56:VP1:VP2)よりも低い効率で封入した。
【0196】
実施例7.マルチエピトープ融合ペプチドを封入するナノ粒子の特徴付け
EAEモデルにおいて、結合したEAE-1融合ペプチド(PLP139:PLP178:MOG92:MBP)を封入するPLGAナノ粒子の影響を決定するために実験を行ったところ、無関係な対照ペプチド(OVA)または対照結合エピトープ(OVA323:PLP56:VP1:VP2)と比較して、EAE疾患において著しい低減をもたらした。封入された結合EAE-1融合ペプチドを用いたマウスの処理は、対照融合ペプチドまたは無関係な対照ペプチド(OVA)を用いた処理と比較してEAE疾患スコアを著しく減少させた(
図28)。これらのデータは、複数の結合した疾患エピトープを含む融合ペプチドが自己免疫モデルにおいて寛容を誘導することができることを実証するものであり、それらの治療的可能性を示唆している。
図29は、FALKペプチドもまたEAEを誘導することができることを示しており、このタンパク質中に見られるエピトープも寛容原性EAE融合タンパク質に組み込まれ得ることが示唆される。
【0197】
実施例8.癌の治療における封入された結合エピトープ融合タンパク質の使用
ネオ抗原または腫瘍抗原の結合エピトープを含む融合ペプチドも癌の治療に使用される。そのようなエピトープは、治療効果を増大するためにPD1等の免疫調節因子またはToll様受容体アゴニストと組み合わされる(
図29を参照のこと)。データは、抗PD1等の免疫調節因子とともに送達されるNy-Eso1等の封入された癌抗原が、T細胞増殖(
図31Aの例示的な結果を参照のこと)、IFNγ産生(
図31Bの例示的な結果を参照のこと)、及びIFNα産生(
図31Cの例示的な結果を参照のこと)をもたらすことを示している。これらの結果は、封入された癌抗原が免疫原性応答を媒介し、炎症促進性サイトカインの産生をもたらすことを示している。
【0198】
さらに、封入されたNy-Eso1は、黒色腫のマウスモデルにおいてマウスの生存率を増加させた。封入されたNY-ESO-1(TIMP-NY-ESO-1)の0.01mg/Kg輸液を1ヶ月に2回(7日間間隔を空けて)、6ヶ月間投与する。PD1/PD-L1の阻害は、ペンブロリズマブまたはニボルマブまたはアテゾリズマブによって達成される。TIMP-NY-ESO-1処理単独は、生存期間を延長するのに十分であり、抗PD1処理と組み合わせたるとその効果が増強される(
図32の例示的な結果を参照のこと)。
【0199】
結合癌エピトープ(NY-ESO-1、Mage-A3、TPTE、チロシナーゼ、HPU16)を含む融合ペプチドが以前に記載されている(Kranz et al.,Nature,V.534,pp 396-401,2016;U.S.Patent Pub.No.2011-0070252を参照のこと)。4つの癌エピトープ(NY-ESO-1、Mage-A3、TPTE、チロシナーゼ)を含む融合タンパク質を生成してNMTT融合タンパク質を形成する。種々の濃度の封入されたNMTT(TIMP-NMTT)を、抗PD1/PDL1処理を用いてまたは用いずに、健常な対象からの末梢血単球(PBMC)とともにインキュベートした。培養物を3~5日間インキュベートし、cell-tire glowまたはトリチウム標識したチミジンの取り込みを用いてT細胞増殖を決定する。ELISAを用いてIFNγ濃度を決定する。抗PD1/PDL1と組み合わせたTIMP-NMTTとともにPBMCをインキュベーションすることにより、対照と比較してT細胞増殖の増加がもたらされる(
図33Aの例示的な結果)。さらに、抗PD1/PDL1と組み合わせたTIMP-NMTTは、PBMCからIFNγの産生をもたらす一方で、TIMP-NY-ESO-1単独ではほとんど影響を及ぼさない。これらの結果は、癌エピトープの封入された融合タンパク質が、癌治療の状況において有益な免疫原性応答を媒介することを示している。
【0200】
TIMP-NMTTの臨床効果を決定するために、GMPの下で専用の薬局においてGMPに従って製造された成分からTIMP-NMTTをコードする腫瘍抗原を調製する。患者に、抗原NY-ESO-149、チロシナーゼ50、MAGE-A351、及びTPTE52をコードする毎週漸増する用量のTIMP-NMTT(1.9、3.6、または7.2μgの各抗原のTIMP-NMTT)を静脈内注射する。ELISPOT及びMHCクラスI Dextramer染色分析のために、ワクチン接種の前、1日目のワクチン接種後2、6、及び24時間、ならびにワクチン接種後8日目及び15日目に、サイトカイン測定用の血液試料を採取する。各ワクチン接種日のワクチン投与前に、T細胞モニタリングのための血液試料を得る。臨床的に投与されたTIMP-NMTTワクチンは、全身のINFα及びデノボT細胞応答を用量依存的に誘導する。
【0201】
実施例9.封入された結合エピトープ融合タンパク質のさらなる使用
結合エピトープを含むさらなる融合タンパク質が生成されてもよい。例えば、複数の疾患の種類に由来するエピトープを含む融合タンパク質を生成して1つより多くの疾患の治療に使用することができる。代替として、TLRアゴニストをさらに含む疾患関連エピトープを含む融合タンパク質が生成されてもよい。そのようなアゴニストの包含は、タンパク質の免疫原性を増加させ、治療効果を増大させる。感染性ウイルス、細菌、または真菌に由来するエピトープを用いてさらなる融合タンパク質が生成されてもよい。そのような構築物に対するTLRアゴニストの添加もまた、治療効果を増大させることができる。
【配列表】