(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】燃料電池用の冷却プレート
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0258 20160101AFI20230817BHJP
H01M 8/0267 20160101ALI20230817BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/0267
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021197133
(22)【出願日】2021-12-03
(62)【分割の表示】P 2020005009の分割
【原出願日】2015-03-27
【審査請求日】2021-12-21
(32)【優先日】2014-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガーニー,クリストファー・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】アドコック,ポール・レナード
(72)【発明者】
【氏名】クリスティ,カール
(72)【発明者】
【氏名】ジョージー,リディア
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンソン,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】コンロン,クリストファー
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-105960(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102008033210(DE,A1)
【文献】特開2011-3377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/0258
H01M 8/0267
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空冷式燃料電池のセパレータプレートであって、
一連の空気流チャネルを備え、各チャネルが、前記セパレータプレートの第1及び第2の反対の縁部間で縦方向に延在し、
各チャネルが、前記チャネルの長さに沿った地点で、空気流断面を画定する断面プロファイルを有し、
複数の前記チャネルがそれぞれ、前記チャネルの選択した中間の縦方向位置で、前記チャネル
の断面の一部の中へ延在する熱伝導
構造のバンプを有し、
前記一連の空気流チャネルの幅は一定であり、前記一連の空気流チャネルは、前記バンプと凹部とが交互に並ぶシケイン状の構造に形成され、前記バンプが、凹部に対向して、チャネル壁にあり、
前記
縦方向位置が、前記
セパレータプレートを介した活性領域から、前記チャネルを通って移動する空気流への熱伝達を局所的に高めるために、前記
空冷式燃料電池の前記活性領域の上に配置される
、セパレータプレート。
【請求項2】
前記チャネルの前記長さに沿った距離の関数として、前記
バンプの高さが変動
し、対応する前記凹部が同じ量だけ変動する、
請求項1に記載
のセパレータプレート。
【請求項3】
前記チャネルの前記長さに沿った距離の関数として、前記高さが増加する、
請求項2に記載
のセパレータプレート。
【請求項4】
前記バンプが、前記チャネルの第2の縦方向半分の範囲でだけ前記チャネル
の断面の中へ延在する、請求項1に記載
のセパレータプレート。
【請求項5】
前記バンプが、前記チャネルの最後の縦方向1/3の範囲でだけ前記チャネル
の断面の中へ延在する、請求項1に記載
のセパレータプレート。
【請求項6】
前記チャネルの長さに沿って、
前記バンプの熱伝導率が変動する、請求項1に記載
のセパレータプレート。
【請求項7】
前記バンプおよび前記凹部の周期性は、前記チャネルの長さに沿った距離の関数として変動させることができる、
請求項1に記載
のセパレータプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用のセパレータプレートに関し、具体的には、電池の冷却及び/または酸化剤の空気流をセルの活性領域に提供するセパレータプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
オープンカソード燃料電池スタックにおいて、空気流は、各燃料電池のカソード側を横断して導かれ、よって、酸化剤は、典型的には、ディフュージョン層を介して、燃料電池の膜-電極組立体(MEA)のカソード側で利用することができる。スタック全体を横断する空気の均一な流れを達成するために、一般的な配設は、スタックの対向する表面間でセルスタックを横断して並列に空気流を提供するものであり、よって、空気流は、セルの一方の縁部からセルの対向する縁部まで、各セルを横断する。
【0003】
スタックの全体的な重量を抑えながら、スタックの各セルを横断する十分な程度の空気流を達成する典型的な方法は、波形カソードセパレータプレートを使用することによるものである。そのようなセパレータプレートは、燃料電池の電解質のカソード側との電気接続の形成、及び下にあるディフューザ層を横断する空気流の経路の提供の双方を行う。セパレータプレートは、各プレートの幅を横断して1組の平行な流れチャネルを画定し、このチャネルはそれぞれ、各プレートの長さに沿って延在する。
【0004】
他のタイプの燃料電池スタックは、空気流を冷却するだけの目的で波形セパレータプレートを配置することができ、カソード(酸化剤)空気流は、別に提供される。
【0005】
燃料電池スタックの最適な性能のために、各セルの表面全体にわたって、すなわち、各プレートの幅を横断して横方向及びプレートの各チャネルの長さに沿って縦方向の双方に、十分な冷却を維持することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、そのようなセパレータプレートによって提供される冷却プロファイルの改善を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、本発明は、空冷式燃料電池のセパレータプレートを提供し、該セパレータプレートは、
一連の空気流チャネルを備え、各チャネルが、セパレータプレートの第1及び第2の対向する縁部間で縦方向に延在し、
各チャネルが、前記チャネルの長さに沿った地点で、空気流断面を画定する断面プロファイルを有し、
チャネルのうちの少なくとも選択したチャネルがそれぞれ、チャネルの選択した中間の縦方向位置で、チャネル断面の中へ延在する熱伝導構造を有し、該位置が、プレートを介した活性領域から、チャネルを通って移動する空気流への熱伝達を局所的に高めるために、燃料電池の活性領域の上に配置される。
【0008】
チャネル断面の中へ延在する熱伝導構造は、フィンとすることができる。チャネル断面の中へ延在する熱伝導構造は、1つ以上のバンプを備えることができる。チャネル断面の中へ延在する熱伝導構造は、チャネル断面の高さまたは幅まで延在する仕切り壁とすることができる。フィンまたはバンプは、チャネルの長さに沿った距離の関数として、高さを
変動させることができる。高さは、チャネルの長さに沿った距離の関数として増加させることができる。熱伝導構造は、チャネルの第2の縦方向半分の範囲でだけチャネル断面の中へ延在させることができる。熱伝導構造は、チャネルの最後の縦方向の1/3の範囲でだけチャネル断面の中へ延在させることができる。熱伝導構造は、一連のチャネルの中の異なるチャネルに対してサイズを変動させることができる。熱伝導構造は、一連のチャネルの中の異なるチャネルに対して長さを変動させることができる。熱伝導構造は、チャネルの長さに沿って熱伝導率を変動させることができる。フィンまたはリッジは、チャネルを少なくとも2つの空気流断面に分割することができ、それぞれが実質的に層流を提供する。仕切り壁は、チャネルを2つ以上のサブチャネルに分割することができる。バンプは、凹部に対向して、チャネル壁にあり得る。一連の空気流チャネルは、第1の波形プレートによって画定することができ、チャネル断面の中へ延在する熱伝導構造は、第1の波形プレートに隣接して配置される第2の波形プレートによって画定することができ、第2の波形プレートは、第1の波形プレートの波形から横方向にオフセットされる波形を有することができる。波形の横方向のオフセットは、(i)異なる波形の空間周波数を有するか、または(ii)同じ波形の空間周波数であるが第1及び第2の波形プレート間に位相シフトを有する、第1及び第2の波形プレートによって作成することができる。
【0009】
以下、本発明の実施形態を、一例として、及び添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1の燃料電池のカソードセパレータプレートの斜視図である。
【
図3】
図3a~dは、
図2、
図4a、4b、
図6a、6b、及び
図7のカソードセパレータプレートの矩形の流れチャネルを通る断面空気流のシミュレーションした温度プロファイルを示す図である。
【
図4a】それぞれ、チャネルの中にフィンを有するカソードセパレータプレートの斜視図及び端面図である。
【
図4b】それぞれ、チャネルの中にフィンを有するカソードセパレータプレートの斜視図及び端面図である。
【
図5】チャネルの中に仕切り壁を有し、該仕切り壁の後ろに幅を低減させたチャネルを有する、カソードセパレータプレートの斜視図である。
【
図6a】それぞれ、チャネルの中に仕切り壁を有するカソードセパレータプレートの斜視図及び端面図である。
【
図6b】それぞれ、チャネルの中に仕切り壁を有するカソードセパレータプレートの斜視図及び端面図である。
【
図7a】それぞれ、チャネルの中に空気流攪乱バンプを有するカソードセパレータプレートの斜視図及び端面図である。
【
図7b】それぞれ、チャネルの中に空気流攪乱バンプを有するカソードセパレータプレートの斜視図及び端面図である。
【
図8】チャネルの中に横方向の空気流攪乱バンプを有するカソードセパレータプレートの斜視図である。
【
図9】三角形構成のチャネルを有する代替のカソードセパレータプレートを示す図であり、
図9aは、
図9eの端面図に見られるセパレータプレートの拡大端面図の詳細を示す図であり、
図9bは、プレートのカソード表面の平面図であり、
図9cは、
図9fの斜視図に見られるプレートの拡大詳細図であり、
図9dは、
図9gの斜視図に見られるプレートの拡大詳細図である。
【
図10】
図6aのカソードセパレータプレートに類似するが、複数のオフセットした波形を有する、カソードセパレータプレートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、実施例となる空冷式燃料電池アセンブリ100の分解斜視図を示す。燃料電池アセンブリ100は、順番に、陽極プレート101と、陽極側ディフューザ層102と、陽極ガスケット103と、膜電極アセンブリ(MEA)104と、カソードガスケット105と、カソード側ディフューザ層106と、波形カソードセパレータプレート108と、一対のガスケット109a、109bとを備える。波形カソードセパレータプレート108は、第1の縁部110と、反対の第2の縁部111とを有し、また、セパレータプレート108の第1及び第2の反対の縁部間で縦方向に延在する一連の空気流チャネル112、113を画定する。
【0012】
図1の燃料電池アセンブリ100は、層状構造に何回も繰り返して燃料電池スタックを形成することができ、例えば、一対の端部プレート間で1つのスタックに全てが含まれる数十の、更には数百のセルを備える。
【0013】
図2は、波形カソードセパレータプレート108の一部の拡大図を示す。セパレータプレートは、第1の表面204と、反対の第2の表面205とを有する。プレート108は、第1の縁部110と反対の第2の縁部111との間に延在する一連の空気流チャネル112、113を画定する、一連の波形201を有する。プレート108の各波形201は、空気流チャネル112、113を画定する、頂上213と、谷214とを備える。プレート108の厚さ、すなわち、全ての頂上213の平面と全ての谷214の平面との分離は、チャネル高さhに対応する。一対の隣接する頂上213間の、または一対の隣接する谷214間の分離は、チャネル幅wに対応する。第1の縁部110と、反対の第2の縁部111との距離は、チャネル長l(
図1に見られる)に対応する。
【0014】
波形カソードセパレータプレート108の機能は、全般的に、一連の空気流チャネル112、113を提供するものとして説明することができ、該空気流チャネルの各々は、チャネル112、113の長さlに沿った任意の特定の縦方向地点で空気流断面を画定する、断面プロファイルを有する。
図1及び
図2の実施例において、空気流チャネル112、113は、断面が矩形であり、該空気流チャネルの長さに沿って幅または深さが変動せず、また、チャネル毎に変動しない。しかしながら、矩形以外の断面プロファイルを有することもでき、また、空気流チャネル112、113の長さに沿って、または隣接するチャネル毎に、または双方において、該空気流チャネルの断面プロファイルを変動させることもできる。
【0015】
空気流チャネル112は、
図1及び
図2に描写されるように「下向き」であり、すなわち、カソードディフューザ106及びその下のMEAに向かって開いており、それによって、酸化剤及び冷却剤の双方として、空気を燃料電池の活性領域に供給する。燃料電池の活性領域は、プレート101、108及びディフューザ102、106を介してアノード及びカソード流体流(燃料及び酸化剤)に晒されるMEAの領域として画定することができる。対照的に、空気流チャネル113は、
図1及び
図2に描写されるように「上向き」であり、隣接するセルのアノードプレート101の下面に隣接させることによって頂部で閉じる。このように、空気流チャネル113は、空気流の冷却だけを提供し、酸化剤をMEAに供給しない。
【0016】
空気流チャネル112、113の重要な機能は、流れる空気が、セパレータプレートから熱を抽出することである。セパレータプレートは、好ましくは、ステンレス鋼などの適切な電気伝導性材料及び熱伝導性材料から形成される。活性領域の中の燃料電池によって発生する熱は、MEA104への損傷を防止するために、燃料電池スタックから抽出しなければならない。
図1及び
図2に示されるような直線状で均一な断面のチャネル112、113は、良好で高速な空気流を提供し、これは、低いインピーダンス、少ない圧力降下、及び冷却空気の高いスループットを提供する。
【0017】
しかしながら、均一な断面の直線チャネルは、高いスループットを提供するが、該チャネルは、ほぼ層流の状態に向かう傾向があり、その結果、チャネル断面にわたって大きな温度勾配をもたらすことが観察された。
【0018】
図3aは、頂上213及び谷214によって画定されるチャネル112、113の矩形チャネル断面のシミュレーションされた温度プロファイルを示す。
図3aから、最高温度帯A(図の左側のカラースケールにおいて、温度Kで示される)を、プレート108に隣接する燃料電池の活性領域(ディフューザ106及びMEA104)で呈することが分かる。チャネル112において、チャネル断面にわたる温度勾配は、チャネル壁に隣接する温度帯Bから、断面中央の温度帯F、G、Hの大きい領域までであることが分かる。類似するプロファイルがチャネル113に見られ、おそらくはディフーザ106への直接的な空気流及び該ディフーザからの熱伝達がないため、温度帯F、G、Hの低温領域がいくらか大きい。この実施例において、温度勾配は、冷却チャネル113について約2.2mmの幅、また、酸化剤及び冷却チャネル112について2.05mmの幅、及び1.4mmの高さを有するチャネルにおいて、最高15度Kになる場合があり、また、チャネル長lが50mmで、プレート幅が166.9mmのセルにおいて、40mmのチャネルに沿った距離で起こる。この実施例において、プレート幅は、ガスケット109a、109b(
図1)の下に延在する部分を含まない、チャネルの全幅を表す。シミュレーションは、2つのチャネルを考慮し、モデルは、左/右及び頂部/底部の境界に対する対称性を使用し、無数のチャネルに関する結果を示す。示される温度勾配は、小さい幾何学的形状のチャネルの層流において生じる熱境界層によって生じ得る。この温度勾配は、チャネル断面の中央に見られるより低い温度を使用することができる場合に、潜在的に利用されていない更なる冷却能力を示す。
【0019】
1つの可能性は、チャネル112、113を更に小さいチャネルに分割し、それによって、断面サイズを減少させることである。しかしながら、これは、より小さいチャネルが、より大きい空気流抵抗を提供し、それによって、空気のスループットを維持するために、チャネル入口からチャネル出口へのより高い圧力差を必要とする、という不利な点がある。これは、燃料電池スタックのためにより高容量のファンが必要になる場合があり、したがって、燃料電池支持基盤においてより大きい寄生損失をもたらす場合がある。
【0020】
別の重要な考慮事項は、空気流がチャネル112、113の長さlに沿って移動するときに、空気流の温度が上昇し、その結果、燃料電池の活性領域にわたって熱勾配がもたらされることである。したがって、空気流の温度が入口端部(第1の縁部110)から出口端部(第2の縁部111)へ上昇するので、チャネル112、113の空気流への熱の熱伝達があまり効果的でなくなる。よって、局所的なホットスポットにおいて、特にセパレータプレート108の出口縁部111に向かって過熱が生じる場合がある。
【0021】
以下、チャネルに沿った選択した中間の縦方向位置でのプレート108から空気流への増加した熱伝達を提供する、種々の異なる構造を説明する。これらの構造は、層流空冷の性能を制限し得る任意の熱境界層を攪乱するように設計される。
【0022】
図4a及び4bは、セパレータプレート400の第1の配設を示し、チャネル412、413はそれぞれ、チャネル412の出口端部411に向かってチャネル断面の中へ延在するフィン420の形態の熱伝導構造を含む。この実施例において、フィン420は、チャネル413の基部から上方へ延在し、そして、
図4bから分かるように、チャネル412の最高点から下方へ延在する。代替の配設(
図4a及び4bに示さず)において、フィンは、チャネル断面の中へ横方向に、例えば図面の配向において水平方向に延在させることができる。同様に、フィンは、チャネル断面の中へ斜めに延在させることができる。
【0023】
フィン420は、チャネルの長さに沿って任意の所望の場所または複数の場所に配置することができ、また、チャネル毎に異ならせることができる。より全般的には、フィン420は、燃料電池の活性領域の上のいずれかの部分の、チャネルの任意の選択した中間の縦方向位置でチャネル断面の中へ延在する、熱伝導構造を例示する。各チャネルには、2つ以上のフィンを配置することができる。フィンは、チャネルに沿って任意の所望の距離だけ延在させることができる。空気流の中で熱の蓄積が生じる傾向がある場所であるので、最も好ましくは、フィン420は、出口端部(第2の縁部411)に向かって位置付けられる。例えば、フィン420は、
図4aでほぼ例示されるように、チャネル長の第2の縦方向半分を、またはチャネル長の最後の縦方向1/3を占有することができる。より全般的には、フィン420によって例示される熱伝導構造は、チャネル長の第2の縦方向半分またはチャネル長の最後の縦方向1/3などの、チャネル長の下流部分内のいずれかの部分だけ、またはあらゆる所で、チャネル断面の中へ延在させることができる。
【0024】
フィンの高さhfは、チャネルの高さhよりもいくらか低くすることができる。フィンの高さhfは、フィンの長さlfに沿って変動させることができる。1つの配設において、フィンは、チャネルの長さに沿った距離の関数として高さを変動させることができ、このフィン高さの変動は、チャネルの出口端部に向かって増加させることができる。このようにして、空気流への熱伝達のための表面積は、チャネルの出口端部に向かって増加させることができる。フィンの「高さ」hfという表現は、距離がセパレータプレートの平面に対して垂直方向であるか、水平方向であるか、または斜め方向であるかにかかわらず、フィンがチャネル壁からチャネル断面の中へ延在する距離を示すことを意図する。
【0025】
フィン420は、チャネル412、413の長さに沿って断続的とすることができる。周期性は、チャネルの長さに沿った距離の関数として変動させることができる。周期性は、チャネルの出口端部に向かってフィンの長さの増大を提供することができる。このようにして、空気流への熱伝達のための表面積は、チャネルの出口端部に向かって平均的に増加させることができる。
【0026】
図3bは、フィン420を各チャネルの断面空気流の中へ延在させた、チャネル412、413のチャネル断面のシミュレーションされた温度プロファイルを示す。
図3bから、最低温度の領域F、G、Hは、サイズが大幅に減少し、各フィン420の両側で2つの部分に断片化されていることが分かる。フィンは、断面のそれまでの最低温領域の中へ大量の熱を効果的に伝達し、したがって、それまでチャネル断面の中央に見られたより低い温度の更なる冷却容量を利用している。フィン420の適切な設計によって、フィンは、チャネルを通してほぼ層流を維持することを可能にすることができ、それによって、空気流インピーダンスの大幅な増加を伴わずに、大量の更なる冷却容量を利用する。
【0027】
空気流またはチャネル容積を増加させることなく、チャネルからより多くの熱を除去する能力は、燃料電池スタックが、チャネル容積を相応して増加させることなく、より高い電流レベルで動作することを可能にする。これは、燃料電池の単位容積あたりの電流容量を高める。
【0028】
図5は、セパレータプレート500の第2の配設を示し、チャネル512、513はそれぞれ、チャネル512の出口端部511に向かってチャネル断面の中へ延在する仕切り壁520の形態の熱伝導構造を含む。この実施例において、仕切り壁は、チャネル513の基部から上方へ、またはチャネル512の最高点から下方へ延在する。代替の配設(
図5において図示せず)において、仕切り壁520は、チャネル断面にわたって水平または斜めに延在させることができる。仕切り壁または壁520は、チャネル512または513を、2つ以上のサブチャネル515、516に効果的に分割することができる。
図5に
示される実施例において、仕切り壁520は、第1の波形プレート508の波形周波数の2倍の波形空間周波数を有する第2の波形セパレータプレート528を提供することによって、効果的に構築することができる。波形の周波数の任意の差異を使用することができ、その結果、チャネル512または513の断面を2つ以上の部分に効果的に分割する、第2のセパレータプレート528のチャネル壁をもたらすことが認識されるであろう。
図5の図示される実施例において、第1の波形プレート508のチャネル512、513は、
図2のプレートのチャネル112、113と比較して2倍の幅であり、第2の波形プレート528のチャネルまたはサブチャネル515、516は、
図2のプレートのチャネル112、113と同じ幅である。仕切り壁520は、1つの大きいチャネルから2つ以上のより小さいチャネルに、チャネル寸法を効果的に低減させ、それによって、空気流インピーダンスを増加させるが、それは、チャネルの限定され、選択された中間の縦方向位置に対してだけであり、同時に最も必要とされる場所のある位置で大幅に改善された熱伝達を提供する。したがって、空気流に対する高いインピーダンスを有さず、それは、セパレータプレートの全長にわたる狭幅チャネルの特徴となる。全体として、これは、圧力降下を低減させることができ、よって、空気流をより少ないファン動力によって維持することができ、それによって、寄生損失を低減させる。
【0029】
図4a及び4bに関連して説明される配設と同様に、仕切り壁520は、チャネルの長さに沿った任意の所望の場所または複数の場所に配置することができ、また、チャネル毎に異ならせることができる。より全般的には、仕切り壁520は、燃料電池の活性領域の上のいずれかの部分の、チャネルの任意の選択した中間の縦方向位置でチャネル断面の中へ延在する、熱伝導構造を例示する。各チャネル512、513には、2つ以上の仕切り壁520を配置することができる。仕切り壁は、チャネルに沿って任意の所望の距離だけ延在させることができる。熱の蓄積が生じる傾向がある場所であるので、最も好ましくは、仕切り壁520は、出口端部(第2の縁部511)に向かって位置付けられる。例えば、仕切り壁520は、
図5でほぼ例示されるように、チャネル長の第2の縦方向半分を、またはチャネル長の最後の縦方向1/3を占有することができる。より全般的には、仕切り壁によって例示される熱伝導構造は、チャネル長の第2の縦方向半分またはチャネル長の最後の縦方向1/3などの、チャネル長の下流部分内のいずれかの部分だけ、またはあらゆる所で、チャネル断面を占有することができる。
【0030】
仕切り壁520は、チャネル512、513の長さに沿って断続的とすることができる。周期性は、チャネルの長さに沿った距離の関数として変動させることができる。周期性は、チャネルの出口端部に向かって仕切り壁の長さの増大を提供することができる。このようにして、空気流への熱伝達のための表面積は、チャネルの出口端部に向かって平均的に増加させることができる。
【0031】
図6は、
図5に示されるセパレータプレート配設500の別の変形例600を示す。
図5において、仕切り壁520は、ゼロオフセットであり、第1の波形プレート508の波形空間周波数の2倍の波形空間周波数を有する、第2の波形セパレータプレート528によって提供した。
図6において、仕切り壁620は、第1の波形プレート608の波形空間周波数と同じ波形空間周波数を有するが、π/2の位相オフセットを有する、第2の波形セパレータプレート628によって提供される。チャネル612または613の断面を2つ以上の部分に効果的に分割する第2のセパレータプレート628のチャネル壁をもたらす、任意の波形のオフセットを使用することできることが認識されるであろう。しかしながら、π/2オフセットは、仕切り壁620をチャネル612及び613の正確に中央に配置することによって最適な構成を提示することができ、それによって、増加した空気流のインピーダンスを最小にしながら、空気流の最低温部分への熱伝達を最大にする。そのような構成において、熱プロファイルは、
図3cに示されるものと類似する。
【0032】
図3cは、仕切り壁620を各チャネルの断面空気流の中へ延在させた、チャネル612、613のチャネル断面のシミュレーションされた温度プロファイルを示す。
図3cから、最低温度の領域F、G、Hは、サイズが大幅に減少し、各仕切り壁620の両側で2つの部分に断片化されていることが分かる。仕切り壁620は、断面のそれまでの最低温領域の中へ大量の熱を効果的に伝達し、したがって、それまでチャネル断面の中央に見られたより低い温度の更なる冷却容量を利用している。
【0033】
一般的態様において、
図5及び
図6の配設は、一連の空気流チャネルが、第1の波形プレート508、608によって画定され、チャネル断面の中へ延在する熱伝導構造が、第1の波形プレートに隣接して縦方向に配置される第2の波形プレート528、628によって画定され、第2の波形プレートが、第1の波形プレートの波形から横方向にオフセットされた波形を有する構造を例示することが分かる。波形の横方向のオフセットは、(i)(
図5によって例示されるように)異なる波形の空間周波数を有するか、または(ii)(
図6によって例示されるように)同じ波形の空間周波数であるが第1及び第2の波形プレート間に位相シフトを有する、第1及び第2の波形プレートによって作成される。
【0034】
図5の配設に関連して説明される、縦方向の位置決めなどの、他の随意の特徴もまた、
図6の配設に適用され、更にここで論じる必要はない。
図10のセパレータプレート1000に例示されるように、チャネルの長さに沿って複数の横方向のオフセットを作成するために、2つを超える波形プレートを使用することができる。
図10において、第1の波形プレート1008は、チャネル1012、1013を画定し、第2の波形プレート1028は、第1のオフセットを有する横方向にオフセットされたチャネルを画定し、第3の波形プレート1028’は、第2のオフセットを有する横方向にオフセットされたチャネルを画定し、第4の波形プレート1028’’は、第3のオフセットを有する横方向にオフセットされたチャネルを画定する、などである。示されるように、第1及び第3のオフセットは、プレート1008の波形に対してπ/2とすることができ、第2及び第4のオフセットは、プレート1008の波形に対してゼロとすることができる。
【0035】
波形プレート1008、1028、1028’、1028’’などは、単一のシートから一体構造として形成することができ、セパレータプレートを画定し、シートの中へ切り抜き及びプレス加工されるか、または別様に形成される。第1及び第2の波形プレート508、528、608、628もそれぞれ同様である。
【0036】
図5及び
図6の配設は、チャネル全長の一部について、チャネル512、513または612、613を2つのサブチャネル515、516または615、616に効果的に分割するが、
図6の事例において、メインチャネル613からのサブチャネル616における空気流及びメインチャネル612からのサブチャネル615における空気流は、少なくとも仕切り壁620の縦方向範囲について、効果的に混合する/組み合わせることができることが分かる。
【0037】
図7は、セパレータプレート700の別の配設を示し、チャネル712、713はそれぞれ、チャネル712、713の出口端部711に向かってチャネル断面の中へ延在するバンプ720の形態の熱伝導構造を含む。この実施例において、バンプは、チャネル713の基部から上方へ延在し、バンプは、チャネル712の最高点から下方へ延在する。代替の配設(
図7a及び7bに示さず)において、バンプは、チャネル断面の中へ横方向に、例えば図面の配向において水平方向に延在させることができる。
【0038】
バンプは、プレート708のシートの中に、丸いまたは楕円のボス、細長いリッジ、エンボス付きプロファイル、またはディンプルなどの、任意の突起を備えることができる。バンプ720は、チャネルの長さに沿った任意の所望の場所または複数の場所に配置する
ことができ、また、チャネル毎に異ならせることができる。より全般的には、バンプ720は、燃料電池の活性領域の上のいずれかの部分の、チャネルの任意の選択した中間の縦方向位置でチャネル断面の中へ延在する、熱伝導構造を例示する。
図7aに示されるように、各チャネルには、2つ以上のバンプを配置することができる。バンプは、チャネルに沿って任意の所望の距離だけ延在させることができる。熱の蓄積が生じる傾向がある場所であるので、最も好ましくは、バンプ720は、出口端部(出口端部711)に向かって位置付けられる。例えば、バンプ720は、
図7aでほぼ例示されるように、チャネル長の第2の縦方向半分を、またはチャネル長の最後の縦方向1/3を占有することができる。より全般的には、バンプ720によって例示される熱伝導構造は、チャネル長の第2の縦方向半分またはチャネル長の最後の縦方向1/3などの、チャネル長の下流部分内のいずれかの部分だけ、またはあらゆる所で、チャネル断面の中へ延在させることができる。
【0039】
バンプの高さhbは、好ましくは、チャネルの高さhよりもいくらか低い。バンプの高さhbは、チャネルの中の該バンプの縦方向位置に従って変動させることができる。1つの配設において、バンプは、チャネルの出口端部に向かって増加させることができる。バンプの「高さ」hbという表現は、バンプが垂直方向であるか、水平方向であるか、斜め方向であるかにかかわらず、バンプがチャネル壁から一連のチャネル断面の中へ突出する距離を示すことを意図する。バンプは、チャネルを通る空気流の中に乱流を作成し、それによって、より多くのより冷たい空気とチャネル壁とを接触させるように分流するのに十分であるが、チャネルの空気流インピーダンスを大幅に増加させるには不十分である、戦略的な縦方向位置での空気の混合を促進する。
【0040】
バンプ720は、チャネル712、713の長さに沿って断続的とすることができる。周期性は、チャネルの長さに沿った距離の関数として変動させることができる。周期性は、チャネルの出口端部に向かってバンプ間の距離の減少を提供することができる。このようにして、プレートから空気流への熱伝達のために混合する攪乱空気流は、チャネルの出口端部に向かって平均的に増加させることができる。
【0041】
図3dは、空気流を局所的に攪乱するために、各チャネルの断面空気流の中へ延在させたバンプ720の下流の、チャネル712、713のチャネル断面のシミュレーションされた温度プロファイルを示す。
図3dから、最低温度の領域F、G、Hは、サイズがいくらか減少し、全体的な温度勾配が低減されていることが分かる。
【0042】
図8は、セパレータプレート800の別の配設を示し、チャネル812、813はそれぞれ、チャネル812、813の出口端部811に向かってチャネル断面の中へ横方向に延在するバンプ820の形態の熱伝導構造を含む。この実施例において、バンプは、チャネル813の側壁から横方向に延在する。対応するバンプは、他の方法でチャネル812の中へ横方向に延在する。
【0043】
図8に示される実施例において、各バンプ820は、面するチャネル壁の対応する凹部821に対向し、それによって、チャネル空気流の少なくとも一部をそこまで直線状である流路から逸脱させるシケイン状の構造を作成するように組み合わせている。連続するバンプ820/凹部821の構造は、空気流のための波打った経路を形成することができ、それによって、層流に向かう任意の傾向を攪乱し、チャネル幅にわたる任意の温度勾配を低減させる。
【0044】
横方向のバンプ820、またはバンプ820及び凹部821は、チャネル812、813の長さに沿った任意の所望の場所または複数の場所に配置することができ、また、チャネル毎に異ならせることができる。より全般的には、バンプ820は、燃料電池の活性領域の上のいずれかの部分の、チャネルの任意の選択した中間の縦方向位置でチャネル断面
の中へ延在する、熱伝導構造を例示する。バンプ820(随意に、対応する凹部821を有する)は、チャネルに沿って任意の所望の距離だけ延在させることができる。。最も好ましくは、バンプ820/凹部821は、出口端部811に向かって位置付けられるが、これはこの場所が熱の蓄積が生じる傾向にある場所であるためである。例えば、バンプ820/凹部821は、
図8でほぼ例示されるように、チャネル長の第2の縦方向半分を、またはチャネル長の最後の縦方向1/3を占有することができる。より全般的には、バンプ820によって例示される熱伝導構造は、チャネル長の第2の縦方向半分またはチャネル長の最後の縦方向1/3などの、チャネル長の下流部分内のいずれかの部分だけ、またはあらゆる所で、チャネル断面の中へ延在させることができる。
【0045】
各バンプの横方向の「高さ」hbは、好ましくは各チャネルの幅wよりもいくらか低い。バンプの横方向の高さhbは、チャネルの中の該バンプの縦方向位置に従って変動させることができる。バンプは、チャネルを通る空気流の中に乱流を作成し、それによって、より多くのより冷たい空気とチャネル壁とを接触させるように分流するのに十分であるが、チャネルの空気流インピーダンスを大幅に増加させるには不十分である、戦略的な縦方向位置での空気の混合を促進する。
【0046】
バンプ820(随意に、対応する凹部821を有する)は、チャネル812、813の長さに沿って断続的とすることができる。周期性は、チャネルの長さに沿った距離の関数として変動させることができる。周期性は、チャネルの出口端部に向かってバンプ間の距離の減少を提供することができる。このようにして、プレートから空気流への熱伝達のために混合する攪乱空気流は、チャネルの出口端部に向かって平均的に増加させることができる。
【0047】
図1~
図8及び
図10に関連して例示されるセパレータプレートはそれぞれ、酸化剤空気供給チャネル112及び冷却空気供給チャネル113の双方を組み合わせる、カソードセパレータプレートを例示する。本明細書で説明されるセパレータプレートは、代替的に、MEAに流体連結されるチャネルにカソード酸化剤及び冷却空気だけを提供するセパレータプレートとして、またはMEAから独立して冷却空気だけを提供するセパレータプレートとして構成することができる。
図1~
図8及び
図10に関連して例示されるセパレータプレートは、熱伝導構造がセパレータプレートの両側のチャネル断面の中へ延在する、すなわち、熱伝導構造が酸化剤空気供給チャネル及び冷却空気供給チャネルの双方の中へ延在する、カソードセパレータプレートを例示する。本明細書で説明される全ての実施形態のセパレータプレートは、代替的に、プレートの片側だけでチャネルの中へ延在する熱伝導構造を有するように構成することができる。
【0048】
図1~
図8及び
図10に関連して例示されるチャネルは、矩形断面で形成される。別の配設において、チャネルは、異なる幾何学的形状を有することができる。一例を
図9に例示する。具体的には、
図9aを参照すると、プレート900の波形は、頂点903で閉じた頂部を有する、三角形チャネル901、902を形成する。この配設では、チャネルの中へ斜めに延在する一連のフィン920によって、チャネル901、902の選択した中間の縦方向位置のチャネル断面の中へ延在する熱伝導構造が例示される。フィン920は、
図9c及び9dの斜視図からも分かるように、チャネル壁のプレススルー部分によって形成することができる。フィンのサイズ、例えばプレスアウト及び折り畳み部分の高さは、切り抜き窓930、931、・・・、937のサイズを変動させることによって、
図9bから最も良く分かるように、チャネルに沿った距離の関数として変動させることができる。この事例において、上流の入口端部910に向かって提供される窓930は、下流の出口端部911に向かって提供される窓937よりも狭い幅を、したがってより低いフィン920の高さを有することができ、より広い幅の窓937は、より高いフィン920を提供する。フィン920は、それぞれの窓930、931、・・・、937の長さに対応
する長さを有することができる。
【0049】
上で説明される配設、特にフィン420のように、フィン920は、選択した中間の縦方向位置に、すなわち、燃料電池の活性領域の上のチャネルの長さに沿った任意の所望の場所または複数の場所に離間配置することができ、また、チャネル毎に異ならせることができる。窓930、・・・、937は、適切な切り抜き及びプッシュスルー作業によって1つまたは2つのフィンを形成するために使用することができる。空気流の中で熱の蓄積が生じる傾向がある場所であるので、最も好ましくは、フィン920は、出口端部(出口端部911)に向かって位置付けられる。例えば、フィン920は、チャネル長の第2の縦方向半分を、またはチャネル長の最後の縦方向1/3を占有することができる。より全般的には、フィン920によって例示される熱伝導構造は、チャネル長の第2の縦方向半分またはチャネル長の最後の縦方向1/3などの、チャネル長の下流部分内のどこかだけ、またはあらゆる所で、チャネル断面の中へ延在させることができる。
【0050】
切り抜き及びプッシュスルー配設は、
図9aに示される斜めの形態に代わるものとして、チャネル基部に対して直角であるフィンを作成するために使用することができる。フィン920は、チャネル901、902の長さに沿って断続的とすることができる。周期性は、チャネルの長さに沿った距離の関数として変動させることができる。周期性は、チャネルの出口端部に向かってフィンの長さの増大を提供することができる。このようにして、空気流への熱伝達のための表面積は、チャネルの出口端部に向かって平均的に増加させることができる。
【0051】
切り抜き及びプッシュスルー配設はまた、窓920のサイズを通してMEAに到達することができる酸化剤空気流の連通レベルを変動させるために使用することもでき、これは更に、酸化剤供給と冷却流とのバランスを調整するために使用することができる。
【0052】
図1~
図9に関連して例示されるセパレータプレートはそれぞれ、プレートからプレートのチャネルに沿って通る空気流の中への熱伝達の効果を局所的に変動させるために、チャネル断面の中へ延在する熱伝導構造を有するセパレータプレートを例示する。熱伝導構造は、単にそれらのサイズ、形状、及びチャネルに沿った縦方向の範囲によって熱伝導率のレベルを変動させることができるだけでなく、例えば、該熱伝導構造が製作される1つ若しくは複数の材料、または該熱伝導構造のコーティングによって熱伝導率を変動させることもできる。
【0053】
例示されるセパレータプレートは、チャネルの幅wを変化させることなく、プレートからプレートのチャネルに沿って通る空気流への熱伝達の効果の局所的な変動を可能にする。これは、チャネル幅を変化させことで下のディフューザ層106の局所的な圧縮に影響を及ぼし得る場合に好都合であり得る。
【0054】
例示されるセパレータプレートは、プレートの局所的な熱伝達係数を燃料電池の熱発生プロファイルに整合させることを効果的に可能にすることができる。例示されるセパレータプレートは、チャネルに沿った距離の関数として、熱伝達の最適化を効果的に可能にすることができる。
【0055】
セパレータプレートの最適な設計を作成する際には、チャネルを通る空気流に対する最も低い最適な抵抗を作成するために、チャネルの中へ延在する熱伝導構造の全長及びサイズを最小にすること、及び燃料電池の活性領域の最高温領域における熱伝導構造の全長及びサイズを最大にすること、という相反する要件のバランスを達成することを考慮することができる。各チャネル内の熱伝導構造の全長、サイズ、縦方向位置は、例えば、チャネルの高さ及びチャネル幅、セパレータプレートの幅及び長さ、セパレータプレート内のチ
ャネルの位置、スタックの深さの範囲内のセパレータプレートの位置(スタックの中央区間における熱の蓄積が、スタックの端部プレートに向かって大きくなる傾向がある)、セパレータプレートの材料の熱伝導率、通常の、または例外的な荷重でのスタックの予想される熱出力、及びスタック内の熱分布に影響を及ぼす任意の他のパラメータ、のうちの少なくとも1つ以上を考慮して、各チャネルでのスタックの正確な熱プロファイルに従って変動させることができる。
【0056】
他の実施形態は、意図的に、添付の特許請求の範囲の範囲内である。