(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】空中ドローンのための高速電解液補充システム
(51)【国際特許分類】
B64U 50/32 20230101AFI20230817BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230817BHJP
B64D 39/00 20060101ALI20230817BHJP
H01M 50/673 20210101ALI20230817BHJP
H01M 50/609 20210101ALI20230817BHJP
B64F 3/02 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
B64U50/32
B64C27/08
B64D39/00
H01M50/673
H01M50/609
B64F3/02
(21)【出願番号】P 2021510053
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 IB2019001449
(87)【国際公開番号】W WO2020121067
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-06-16
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520116780
【氏名又は名称】アルマパワー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】シーリン,ジェフリー・ティー
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0179535(US,A1)
【文献】特開2015-202860(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154473(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0193677(US,A1)
【文献】特開2017-109553(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0202088(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00
B64B 1/60
B64C 1/00 -99/00
B64D 1/00 -47/08
B64F 1/28
B64F 3/02
B64U 50/32
B64U 80/25
H01M 50/609-50/682
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中ドローンシステムであって、前記空中ドローンシステムが、空中ドローンと、高速電解液補充システムとを備え、
前記空中ドローンは、
金属空気バッテリー;
熱交換器;
受け口を検出するためのセンサのアレイ;
電解液タンクであって、(1)第1の入口弁および第1の出口弁を備える第1のブラダ、(2)第2の入口弁および第2の出口弁を備える第2のブラダ、を備え、前記第1のブラダおよび前記第2のブラダが可撓性膜によって分離される、電解液タンク;
前記電解液タンクに流体的に接続されるプローブであって、前記プローブが:
(1)前記第1のブラダに接続される第1の充填弁、または(2)前記第2のブラダに接続される第2の充填弁、のいずれかに選択的に接続される充填ポート、および
共通の排水ラインを通して前記第1のブラダまたは前記第2のブラダのいずれかに選択的に接続される排水弁
を備える、プローブ;ならびに、
前記金属空気バッテリー、前記熱交換器、および前記共通の排水ラインに流体的に接続され、前記第1の入口弁または前記第2の入口弁をそれぞれ通して前記第1のブラダまたは前記第2のブラダのいずれかに選択的に接続される電解液ポンプ、
を備え、
前記高速電解液補充システムは、
前記プローブを受けるための前記受け口であって、前記受け口が、
前記充填ポートを受けるためのアパーチャ;および
前記排水弁から電解液を受け取るための少なくとも1つの排水孔、
を備える、前記受け口;
電解液タンクから前記アパーチャに電解液を圧送するための供給ポンプ;ならびに
前記少なくとも1つの排水孔から電解液保管タンクに電解液を圧送するための真空ポンプ、
を備える、
空中ドローンシステム。
【請求項2】
前記充填ポートが、前記受け口の前記アパーチャの中に嵌め込まれる細長い突出部をさらに備える、請求項1に記載の空中ドローンシステム。
【請求項3】
前記細長い突出部が少なくとも1つのOリングを備える、請求項2に記載の空中ドローンシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの排水孔が前記受け口の液滴カップ内に配置される、請求項1に記載の空中ドローンシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの排水孔が複数の排水孔を含む、請求項1に記載の空中ドローンシステム。
【請求項6】
前記アパーチャが前記複数の排水孔によって囲まれる、請求項5に記載の空中ドローンシステム。
【請求項7】
前記センサのアレイが、少なくとも1cmの距離で分離される第1のセンサおよび第2のセンサを含む、請求項1に記載の空中ドローンシステム。
【請求項8】
前記センサのアレイが3次元(3D)ステレオカメラを含む、請求項1に記載の空中ドローンシステム。
【請求項9】
空中ドローン上の金属空気バッテリーの電解液を回復させるための方法であって、前記方法が:
請求項1に記載の前記空中ドローンを請求項1に記載の高速電解液補充システムの受け口に合体させるステップであって、合体させるステップが、充填ポートをアパーチャに挿入するステップを含む、ステップと;
排水弁および第1の充填弁を開けるステップと;
供給ポンプを作動させて電解液タンクから前記第1の充填弁を通して第1のブラダの中まで電解液を圧送し、同時に、共通の排水ラインを通して第2のブラダから排出される使用済みの電解液を少なくとも1つの排水孔の中に収集するために真空ポンプを作動させる、ステップと;
前記排水弁および前記第1の充填弁を閉じるステップと;
第2の入口弁および第2の出口弁を閉じて、同時に、第1の入口弁および第1の出口弁を開ける、ステップであって、その結果、電解液ポンプが前記第1のブラダと直列に配置される、ステップと;
前記高速電解液補充システムの前記受け口から前記空中ドローンを脱着するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記空中ドローンを前記高速電解液補充システムの前記受け口に合体させるステップと;
前記排水弁および第2の充填弁を開けるステップと;
前記供給ポンプを作動させて前記電解液タンクから前記第2の充填弁を通して前記第2のブラダの中まで電解液を圧送し、同時に、前記共通の排水ラインを通して前記第1のブラダから排出される使用済みの電解液を前記少なくとも1つの排水孔の中に収集する、ステップと;
前記排水弁および前記第2の充填弁を閉じるステップと;
前記第1の入口弁および前記第1の出口弁を閉じて、同時に、前記第
2の入口弁および第
2の出口弁を開ける、ステップであって、その結果、前記電解液ポンプが前記第2のブラダと直列に配置される、ステップと;
前
記高速電解液補充システムの前記受け口から前記空中ドローンを脱着するステップと
をさらに含む、
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、米国特許出願第62/720,965号(2018年8月22日に出願した)の優先権を主張するものであり、その非仮特許出願である。
【背景技術】
【0002】
[0002]金属空気バッテリー、具体的にはアルミニウム空気バッテリーは、可動式および固定式の分散電源として有望な用途が見込まれる高エネルギー密度の電源を提供するものである。金属空気バッテリーは、ドローンエアクラフトでの内燃エンジン、燃料電池、および他の再充電可能バッテリーに取って代わる可能性を有する。その理由は、エネルギー密度および変換効率が炭化水素燃料のエネルギー密度および変換効率に匹敵するからである。
【0003】
[0003]アルミニウム空気バッテリーはバッチモードまたは定常状態モードのいずれかで動作することができる。バッテリーの動作中、アルミニウム金属が消費されてアルミン酸塩の形成を伴って電解液となり、結果として電解質溶液を飽和状態にし、最終的にバッテリーの動作を停止させる。約1kgの水酸化カリウム電解液または水酸化ナトリウム電解液が、消耗しきって補充が必要となるまでに400Wh以上のエネルギーを放出するのを可能にする。
【0004】
[0004]定常状態モードでは、アルミン酸塩が溶液から結晶化してハイドラーギライト、Al(OH)3、と呼ばれる不溶性の水酸化物を形成する。従来、これらの結晶は電解液流から濾過されて、バッテリーシステムから後で回収されるために保管される。回収された結晶は修復施設(refurbishing facility)で再びアルミニウムへと変質させられ得る。この電解液修復システム(electrolyte refurbishing system)の利点は、動作中にバッテリーが一定を維持しているときの電力曲線であり、ここではバッテリーの再充電のために水およびアルミニウム材料を加えることのみが必要となる。
【0005】
[0005]バッチモードでは、アルミニウム空気バッテリーは、アルミン酸塩により電解液が飽和状態になるまで、動作する。飽和状態になると、バッテリーシステムの外部での処理のためにアルミン酸塩を除去する必要があり、バッテリーの動作を継続するために新しい電解液を導入する必要がある。このシステムはバッテリーからの電力出力を経時的に低下させるという欠点を有するが、使用するための電解液を保管することのみが必要となることを理由としてバッテリーシステム全体がより単純でより軽量になるという追加の利点を有する。
【0006】
[0006]以前では空中で人によって操作されるシステムによって行われていた多くのタスクにおいて飛行ドローンが検討されるようになっている。例えば、顧客までの最後の数マイルにおける荷物の配達のために、送電線またはパイプラインの安全のための長距離調査のために、および農業者の農場の農作物状態の監視のために、ドローンが使用される。現在、これらの用途においてドローンに電力供給するのに再充電可能なリチウムイオンバッテリーが使用されており、この場合では飛行時間および飛行範囲が大きく制限される。これらの制限は最大積載量が増すにつれて大きくなる。この問題を軽減するために、ドローンの範囲および最大積載量を向上させることを目的として発電機または燃料電池を備える内燃(IC:internal combustion)エンジンがドローンに設置されてきた。これらのシステムの問題の一部に、可燃性のまたは爆発性の液体およびガスを機内で保管するということがあり、これには各電力ユニットのためのサポートシステムの重量が増すということが含まれる。
【0007】
[0007]したがって、空中ドローンの長時間使用を可能にするための改善された方法が所望される。残念ながら、完全に満足のいく解決策は見出されていない。
[0008]上記の考察は単に一般的な背景技術の情報のために提供されるものであり、特許請求される主題の範囲を決定するのを補助するものとして使用されることを意図されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0009]ドッキングレセプタ装置を備えるベースステーションおよび飛行ドローン上にある適合するドッキングプローブから構成される金属空気バッテリー用電解液補充システム(metal air battery electrolyte replenishment system)。ドローンの機内にあるプローブが、ベースステーション上の電解液ドッキングレセプタに接続するためにドローンを誘導するセンサを有する。ドローンが、飛行を継続しながらまたは短時間の着陸中に、新しい電解液を入手するためにおよび同時に使用済みの電解液をベースステーションの中へ排出するためにプローブを使用する。電解液を迅速に交換することにより、機内の電解液再調整システムおよびそれに付随する重量による不利益なしで、範囲を広げて飛行時間を延ばすのを可能にする。
【0009】
[0010]第1の実施形態で、空中ドローンシステムが提供される。空中ドローンシステムが:空中ドローンであって、空中ドローンが:金属空気バッテリー;熱交換器;受け口を検出するためのセンサのアレイ;電解液タンクであって、(1)第1の入口弁および第1の出口弁を備える第1のブラダ(2)第2の入口弁および第2の出口弁を備える第2のブラダ、を備え、第1のブラダおよび第2のブラダが可撓性膜によって分離される、電解液タンク;電解液タンクに流体的に接続されるプローブであって、プローブが、(1)第1のブラダに接続される第1の充填弁、または(2)第2のブラダに接続される第2の充填弁、のいずれかに選択的に接続される充填ポート、および共通の排水ラインを通して第1のブラダまたは第2のブラダのいずれかに選択的に接続される排水弁を備える、プローブ;ならびに、金属空気バッテリー、熱交換器、および共通の排水ラインに流体的に接続され、第1の入口弁または第2の入口弁をそれぞれ通して第1のブラダまたは第2のブラダのいずれかに選択的に接続される電解液ポンプ、を備える、空中ドローンと;高速電解液補充システムであって、高速電解液補充システムが:充填ポートを受けるためのアパーチャ;および排水弁から電解液を受け取るための少なくとも1つの排水孔、を備える、プローブを受けるための受け口;電解液タンクからアパーチャに電解液を圧送するための供給ポンプ;ならびに少なくとも1つの排水孔から電解液保管タンクに電解液を圧送するための真空ポンプ、を備える、高速電解液補充システムと、を備える、空中ドローンシステム。
【0010】
[0011]第2の実施形態で、空中ドローン上の金属空気バッテリーの電解液を回復させるための方法が提供される。この方法が:空中ドローンを高速電解液補充システムの受け口に合体させることであって、合体させることが、充填ポートをアパーチャに挿入することを含む、ことと;排水弁および第1の充填弁を開けることと;供給ポンプを作動させて電解液タンクから第1の充填弁を通して第1のブラダの中まで電解液を圧送し、同時に、共通の排水ラインを通して第2のブラダから排出される使用済みの電解液を少なくとも1つの排水孔の中に収集するために真空ポンプを作動させる、ことと;排水弁および第1の充填弁を閉じることと;第2の入口弁および第2の出口弁を閉じて、同時に、第1の入口弁および第1の出口弁を開ける、ことであって、その結果、電解液ポンプが第1のブラダと直列に配置される、ことと;高速電解液補充システムの受け口から空中ドローンを脱着することとを含む。
【0011】
[0012]本発明のこの簡単な説明は、1つまたは複数の例示の実施形態による本明細書で開示される主題の概要を提供することのみを意図され、特許請求の範囲を解釈するためのあるいは本発明の範囲を画定または制限するための案内として働くものではない。本発明の範囲は添付の特許請求のみによって画定される。この簡単な説明は、概念の例示の選択肢を単純な形で案内するために提供されるものであり、概念の例示の選択肢を以下の詳細な説明でさらに説明する。この簡単な説明は、特許請求される主題の重要な特徴または不可欠な特徴を明らかにすることを意図されず、また特許請求される主題の範囲を決定するのを補助するものとして使用されることを意図されない。特許請求される主題は、背景技術に記載される任意のまたはすべての欠点を解決する実装形態のみに限定されない。
【0012】
[0013]本発明の特徴を理解することができるようにするために、特定の実施形態を参照して本発明を詳細に説明することができる。特定の実施形態の一部が添付図面に示される。しかし、本発明の範囲が他の同様に効果的な実施形態を包含することを理由として、図面が本発明の特定の実施形態のみを示すものであり、したがって本発明の範囲を限定するものとみなされない、ことに留意されたい。図面は必ずしも正確な縮尺ではなく、本発明の特定の実施形態の特徴を示す場合には一般に強調が行われる。図面では、種々の図を通して同様の部品を示すために同様の符号が使用される。したがって、本発明をさらに理解するために、図面と併せて読まれる以下の詳細な説明を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0014]高速電解液補充システムに合体しているところのドローンを示す図である。
【
図2A】[0015]ドローンの選択された構成要素を示す概略図である。
【
図2B】[0016]ドローンに電解液を再充填する一段階の流路を示す概略図である。
【
図2C】ローンに電解液を再充填する一段階の流路を示す概略図である。
【
図2D】ローンに電解液を再充填する一段階の流路を示す概略図である。
【
図2E】ローンに電解液を再充填する一段階の流路を示す概略図である。
【
図3】[0017]高速電解液補充システムを示す概略図である。
【
図4】[0018]ドローンのプローブを示す図である。
【
図5】[0019]
図5Aは、高速電解液補充システムに合体する前のプローブを示す図である。[0020]
図5Bは、高速電解液補充システムに合体した後のプローブを示す図である。
【
図6】[0021]高速電解液補充システムの受け口を示す図である。
【
図7】[0022]ドローンのプローブを受けるための受け口を示す切欠図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0023]
図1を参照すると、ペイロード106を配達するためのドローン100が示されている。ドローン100が、ドローン100に電力を提供する金属空気バッテリー102のバッチ動作のために構成される。ドローン100が、複数のプロペラ、無線通信デバイス、およびドローン100の機能を制御するためのマイクロプロセッサを含めた、ドローンの従来の構成要素を有する。ドローンシステム100が、数時間の通常動作にわたって電解液を保持するのに十分な容積を有する電解液保管タンク104をさらに備える。電解液がアルミン酸塩により充填状態になると、金属空気バッテリー102が電力出力閾値未満に低下する。これによりドローン100をベースステーションまで飛行させるためのプロトコルが始動し、高速電解液補充システム200がベースステーションのところに位置している。飛行中、ドローンが前進し、その結果、機内のプローブ400が受け口500に取り付けられ、使用済みの電解液を取り除きながら同時に新しい電解液を保管タンク104の中へ移す。これがほんの数秒で行われ、ドローン100が飛行して離れてペイロード106を配達するというその任務を継続する。この構成により、多くの従来の定常状態システムで見られるような重量および複雑さがドローンから取り除かれる。この重量は、ペイロード106およびドローン内の構造のために直接に使用され得る。
【0015】
[0024]
図2Aが、ドローン100の選択された構成要素の概略図である。ドローン100が、電解液を保管するためのタンク104と、金属空気バッテリー102と、ドッキングプローブ400とを備える。ドローン100が、バッテリー102および熱交換器208を通して電解液を循環させるための小型ポンプ206を含む。タンク104が、可撓性膜210によって分離される二重ブラダシステムを有し、その結果、1つのブラダが充填状態であり、もう一方のブラダが空である。これにより、充填される電解液が、同時に、もう一方のブラダ内の電解液を押し出す。
【0016】
[0025]
図2Bが、金属空気バッテリー102がブラダ104aからの電解液を使用しているときの流体経路を描いている。ポンプ206が、ブラダ104aから、弁OUT-Aを通して、熱交換器208を通して、金属空気バッテリー102の中まで、電解液を圧送する。その後、電解液が弁IN-Aを通してブラダ104aに戻される。金属空気バッテリー102の動作により電解液がゆっくり消費される。所定の条件が満たされた後(例えば、バッテリーが閾値の電力出力未満に低下するかまたは所定の動作時間が経過すると)、ドローンが高速電解液補充システム200と合体し、このタイミングで流体経路が
図2Cの流体経路へ変化する。
【0017】
[0026]
図2Cでは、充填弁F2および排水弁D1が開けられている。ポンプ206が、
図2Bに示される流体経路を通して電解液を継続して圧送し、同時に新しい電解液が充填弁F2を通してブラダ104bの中まで圧送される。この新しい電解液がブラダ104bを拡大させ、それによりブラダ104aを圧縮する。この圧縮により、余分な使用済みの電解液が、共通の排水ライン204に接続される排水弁D1を通してブラダ104aから押される。所定の量の電解液が交換されるまで、継続して、新しい電解液が充填され、使用済みの電解液が排除される。例えば、タンク104の容積の90%に等しい量の電解液が交換されるまで、流体の交換を継続することができる。完了後、流体経路が
図2Dの流体経路へ変化する。
【0018】
[0027]
図2Dでは、充填弁F2および排水弁D1が閉じられている。同時に、弁IN-AおよびOUT-Aが閉じられており、ブラダ104aを密閉しており、対して弁IN-BおよびOUT-Bが開けられており、ブラダ104bをポンプ206と直列に配置している。ブラダ104b内の電解液が十分に消費されると、ドローン100が高速電解液補充システム200と合体し、このタイミングで流体経路が
図2Eの流体経路へ変化する。
【0019】
[0028]
図2Eの流体経路は、ブラダ104aが充填弁F1を通して充填を行われており対してブラダ104bが排水弁D1を通して排水を行われていることを除いて、
図2Cの流体経路に類似する。充填および排水が完了すると、ドローン100が
図2Bに示される状態に戻る。
【0020】
[0029]
図3に示されるように、プローブ400が高速電解液補充システム200の受け口500のところで合体し、プローブ400が電解液回復ライン300および電解液供給ライン302の両方に流体的に接続される。供給ポンプ308が、新しい電解液タンク310から、それぞれの充填弁F1、F2を通して、その時点のブラダ104a、104bまで、加圧された電解液を供給する。真空ポンプ304が、受け口500内に置かれる使用済みの電解液を排出して使用済みの電解液を使用済み電解液タンク306内で保管する。真空空気の流れが受け口500を迅速に空にするのを補助し、また高速電解液補充システム200から離れるときにプローブ400から液滴も取り除く。高速電解液補充システム200上の供給ポンプ308および真空ポンプ304が、ドローン100上のバッテリー102を通して電解液を継続的に循環させる機内のポンプ206を用いてブラダに対して充填を行ったりブラダを空にしたりする。有利には、これにより、バッテリー102を動作させながらの電解液の交換が可能となる。
【0021】
[0030]
図4がプローブ400をさらに詳細に描いている。プローブ400が、プローブ400を高速電解液補充システム200の受け口500まで誘導するのを補助する細長い突出部を有する。プローブ400が、充填弁F1および充填弁F2の両方につながる中央充填ポート400aを細長い突出部の端部のところに有する。プローブ400を受け口500の中に配置するのを補助するセンサ402のアレイが存在する。一実施形態では、少なくとも1cmの距離(d)で分離される少なくとも2つのセンサ402が存在する。このような構成により、合体を容易にするような、受け口500の立体視が可能となる。一実施形態では、センサ402が3次元(3D)ステレオカメラである。受け口500の中に嵌め込まれるプローブ400上に少なくとも1つのOリング400cがさらに存在し、それにより電解液を機内のタンク104の中に高圧供給することが可能となる。排水孔400bが排水弁D1に接続され、使用済みの電解液を受け口500の中に放出する。受け口500は地面または表面から十分に離れた高さのところに設置され、それにより、ドローン100のクリアランスにより、飛行中にまたは小さいプラットフォームに着地しているときに燃料補給を行うことが可能となる。
図5Aおよび
図5Bが、受け口500の中へのプローブ400の合体のより詳細な図を提供する。
【0022】
[0031]
図5Aに示されるように、受け口500が、壁506によって画定される液滴カップ502を有し、底部に中央アパーチャ504を有する。中央アパーチャ504が、電解液回復ライン300に流体的に接続される排水真空孔600(
図6)によって囲まれる。中央アパーチャ504が電解液供給ライン302に流体的に接続される。プローブ400が受け口500に接近すると、Oリング400cが周りの壁に係合されるまで、細長い突出部404が中央アパーチャ504の中に挿入される。
図5Bが係合後の組立体を描いている。新しい電解液が電解液供給ライン302を通して提供され、対して使用済みの電解液が排水孔400bを通して排出されて排水真空孔600の中まで流れる。液滴カップ502が存在することにより、排水孔400bが排水真空孔600との液密シールを形成する必要がない。
図7が、排水真空孔600および中央アパーチャ504をさらに示す、受け口500の切欠図である。
【0023】
[0032]いくつかの実施形態では、複数のドローンに対して仕事を行う、複数のシステムとのネットワークが存在する。各高速電解液補充システム200が、中央ネットワークに電解液の利用可能性を報告するコンピュータネットワークを有し、その結果、各々の個別のシステムの仕事が適宜遂行され得るようになり、他のドローンが、いずれのステーションが電解液で満たされているかまたは電界液を欠いているかを決定することが可能となる。各高速電解液補充システム200のための全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)の座標がドローン100を概略のロケーションまで誘導するのに使用され、ドローン100に対して充填および排水を行うために最後の0.5メートルでは視覚により合体が行われる。
【0024】
[0033]ドローン100が、予めプラグラムされた命令に従って各々の弁を選択的に作動させるためのマイクロプロセッサを有する。また、マイクロプロセッサが、再充填プロセス/排水プロセス中の各ブラダの容積を決定するためにブラダ104a、104bの充填状態を監視する。各ブラダの容積は、圧力センサ、超音波センサなどの、多様な従来のセンサのうちの任意のセンサを使用して決定される。
【0025】
[0034] 記載される本説明は、最良の形態を含めて本発明を開示するために、さらには、任意のデバイスまたはシステムを作ったり使用したりすることおよび任意の組み込まれる方法を実施することを含めて当業者が本発明を実施するのを可能にするために、実施例を使用するものである。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者の思い付く他の例を含むことができる。このような他の例が特許請求の範囲の文言と違わない構造要素を有するかまたは特許請求の文言に対して有意な違いを有さない等価の構造要素を含む場合、このような他の例も特許請求の範囲の範囲内にあることを意図される。