(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】閉じたデバイスおよび開いたデバイスのためのMEMSベース冷却システム
(51)【国際特許分類】
H01L 23/467 20060101AFI20230817BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230817BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
H01L23/46 C
H05K7/20 G
B81B3/00
(21)【出願番号】P 2021571295
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(86)【国際出願番号】 US2020064950
(87)【国際公開番号】W WO2021126791
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2021-11-30
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521496984
【氏名又は名称】フロー・システムズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Frore Systems Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガンティ・スリャプラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】マダヴァペディー・セシャジリ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】サティヤマーシー・プラブ
(72)【発明者】
【氏名】マクンダン・ヴィクラム
(72)【発明者】
【氏名】アフマド・ルマヤ
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-085511(JP,A)
【文献】特開2008-159688(JP,A)
【文献】特開平09-246766(JP,A)
【文献】特開2018-022868(JP,A)
【文献】特開2001-119181(JP,A)
【文献】特開2013-223818(JP,A)
【文献】特開2018-085510(JP,A)
【文献】特開2011-144743(JP,A)
【文献】実開昭59-152793(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0048154(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0292537(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36-23/473
H05K 7/20
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
流体と連通し、少なくとも1つの熱発生構造から熱を除去するために振動運動を利用して流体を前記少なくとも1つの熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムを備え、
前記システムは、前記流体が、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面よりも低い温度の構造体を通過する経路をたどるように構成されており、前記構造体は前記流体から熱を吸収し、前記構造体は前記システム内で前記アクティブ冷却システムから遠位に存在
し、前記システムは、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する前記経路をたどって前記アクティブ冷却システムに戻るように構成されている、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記冷却素子は、第1側および第2側を備え、前記第1側は、前記少なくとも1つの熱発生構造の遠位にあり、前記流体と連通しており、前記第2側は、前記少なくとも1つの熱発生構造の近位にあり、前記冷却素子は、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面に向かって移動するように、前記振動運動を利用して前記流体を前記第1側から前記第2側へ方向付けるよう構成されている、システム。
【請求項3】
請求項
2に記載のシステムであって、前記アクティブ冷却システムは、さらに、支持構造を備え、前記冷却素子は、中央を固定されている冷却素子および端部を固定されている冷却素子から選択され、前記中央を固定されている冷却素子は、中央領域および外周を有し、前記中央を固定されている冷却素子は、前記中央領域で前記支持構造によって支持され、前記外周の少なくとも一部が固定されておらず、前記端部を固定されている冷却素子は、中央部分および端部を有し、前記端部を固定されている冷却素子は、前記端部で前記支持構造によって支持され、少なくとも1つの開口部を有する、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記システムは、カバーを備え、前記アクティブ冷却システムは、流入口を備
える、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、前記アクティブ冷却システムは、2ミリメートル以下の厚さを有する、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、前記少なくとも1つの熱発生構造は、特性的なスロットリング点を第1時点に有する特性的な電力対時間曲線を有し、前記少なくとも1つの熱発生構造は、アクティブ冷却された場合のスロットリング点を第2時点に有するアクティブ冷却された場合の電力対時間曲線を有し、前記第1時点は、前記第2時点未満である、システム。
【請求項7】
システムであって、
複数の冷却セルを備えているアクティブ冷却システムを備え、前記複数の冷却セルの各々は、流体と連通し、少なくとも1つの熱発生構造から熱を除去するために振動運動を利用して前記流体を前記少なくとも1つの熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成されている冷却素子を備え、
前記システムは、前記流体が、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記システム内の構造体を通過する経路をたどるように構成されており、前記構造体は、前記流体から熱を吸収し、前記構造体は、前記システム内で、前記アクティブ冷却システムから遠位に存在
し、前記システムは、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する前記経路をたどって前記アクティブ冷却システムに戻るように構成されている、システム。
【請求項8】
請求項
7に記載のシステムであって、前記冷却素子は、第1側および第2側を備え、前記第1側は、前記少なくとも1つの熱発生構造の遠位にあり、前記流体と連通しており、前記第2側は、前記少なくとも1つの熱発生構造の近位にあり、前記冷却素子は、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面に向かって移動するように、前記振動運動を利用して前記流体を前記第1側から前記第2側へ方向付けるよう構成されている、システム。
【請求項9】
請求項
8に記載のシステムであって、前記複数の冷却セルは、さらに、支持構造を備え、前記冷却素子は、中央を固定されている冷却素子および端部を固定されている冷却素子から選択され、前記中央を固定されている冷却素子は、中央領域および外周を有し、前記中央を固定されている冷却素子は、前記中央領域で前記支持構造によって支持され、前記外周の少なくとも一部が固定されておらず、前記端部を固定されている冷却素子は、中央部分および端部を有し、前記端部を固定されている冷却素子は、前記端部で前記支持構造によって支持され、少なくとも1つの開口部を有する、システム。
【請求項10】
請求項
7に記載のシステムであって、前記システムは、カバーを備え、前記複数の冷却セルの各々は、さらに、流入口を備
える、システム。
【請求項11】
請求項
7に記載のシステムであって、前記アクティブ冷却システムは、2ミリメートル以下の厚さを有する、システム。
【請求項12】
請求項
7に記載のシステムであって、前記少なくとも1つの熱発生構造は、特性的なスロットリング点を第1時点に有する特性的な電力対時間曲線を有し、前記少なくとも1つの熱発生構造は、アクティブ冷却された場合のスロットリング点を第2時点に有するアクティブ冷却された場合の電力対時間曲線を有し、前記第1時点は、前記第2時点未満である、システム。
【請求項13】
方法であって、
ある周波数の振動運動を引き起こすようにアクティブ冷却システムの冷却素子を駆動し、前記冷却素子は、流体と連通し、少なくとも1つの熱発生構造から熱を除去するために前記振動運動を利用して前記流体を前記少なくとも1つの熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成され、
前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から
前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面よりも低い温度を有する前記アクティブ冷却システムの構造体を通過する経路をたどるように前記流体を方向付け
ることを備え、前記構造体は、前記流体から熱を吸収し、前記構造体は
、システム内で、前記アクティブ冷却システムから遠位に存在し
、前記システムは前記アクティブ冷却システムを含み、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する経路をたどるように前記流体を方向付けすることは、
前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する前記経路をたどって前記アクティブ冷却システムに戻るように、前記流体を方向付けることを備える、方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の方法であって、前記少なくとも1つの熱発生構造は、特性的なスロットリング点を第1時点に有する特性的な電力対時間曲線を有し、前記少なくとも1つの熱発生構造は、アクティブ冷却された場合のスロットリング点を第2時点に有するアクティブ冷却された場合の電力対時間曲線を有し、前記第1時点は、前記第2時点未満である、方法。
【請求項15】
システムであって、
流体と連通し、少なくとも1つの熱発生構造から熱を除去するために振動運動を利用して流体を前記少なくとも1つの熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムと、
外部環境と流体連通することを許容する少なくとも1つのベントとを備え、
前記システムは、前記流体が、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面よりも低い温度の構造体を通過する経路をたどるように構成されており、前記構造体は前記流体から熱を吸収し、前記構造体は前記システム内で前記アクティブ冷却システムから遠位に存在し、前記システムは、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する前記経路をたどって前記システムから前記少なくとも1つのベントを通して前記外部環境へ出るように構成されている、システム。
【請求項16】
システムであって、
複数の冷却セルを備えているアクティブ冷却システムと、前記複数の冷却セルの各々は、流体と連通し、少なくとも1つの熱発生構造から熱を除去するために振動運動を利用して前記流体を前記少なくとも1つの熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成されている冷却素子を備え、
外部環境と流体連通することを許容する少なくとも1つのベントとを備え、
前記システムは、前記流体が、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記システム内の構造体を通過する経路をたどるように構成されており、前記構造体は、前記流体から熱を吸収し、前記構造体は、前記システム内で、前記アクティブ冷却システムから遠位に存在し、前記システムは、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する前記経路をたどって前記システムから前記少なくとも1つのベントを通して前記外部環境へ出るように構成されている、システム。
【請求項17】
方法であって、
ある周波数の振動運動を引き起こすようにアクティブ冷却システムの冷却素子を駆動し、前記冷却素子は、流体と連通し、少なくとも1つの熱発生構造から熱を除去するために前記振動運動を利用して前記流体を前記少なくとも1つの熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成され、
前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面よりも低い温度を有する前記アクティブ冷却システムの構造体を通過する経路をたどるように前記流体を方向付けることを備え、前記構造体は、前記流体から熱を吸収し、前記構造体は、システム内で、前記アクティブ冷却システムから遠位に存在し、前記システムは前記アクティブ冷却システムを含み、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する経路をたどるように前記流体を方向付けすることは、
前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する経路をたどって前記システムから少なくとも1つのベントを通して外部環境へ出るように、前記流体を方向付けることを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
他の出願の相互参照
本願は、名称を「MEMS BASED COOLING SYSTEM FOR CLOSED DEVICES」とする2020年9月16日出願の米国仮特許出願第63/079,448号、および、名称を「AIRFLOW CONTROL SYSTEM IN PIEZOELECTRIC COOLING FOR DEVICES」とする2019年12月17日出願の米国仮特許出願第62/949,383号に基づく優先権を主張し、それらは双方とも、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
コンピュータデバイスが、速度および演算算能力を増すにつれて、コンピュータデバイスによって発せられる熱も増大する。様々なメカニズムが、熱の発生に対処するために提案されてきた。アクティブな装置(ファンなど)が、大型のコンピュータデバイス(ラップトップコンピュータまたはデスクトップコンピュータなど)に空気を通すために利用されうる。パッシブな冷却装置(ヒートスプレッダなど)が、より小型のモバイルコンピュータデバイス(スマートフォン、仮想現実デバイス、および、タブレットコンピュータなど)で利用されうる。しかしながら、かかるアクティブな装置およびパッシブな装置は、モバイルデバイス(スマートフォンなど)を十分に冷却できない場合がある。したがって、コンピュータデバイスのためのさらなる冷却ソリューションが望まれている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下の詳細な説明および添付の図面において、本発明の様々な実施形態を開示する。
【0004】
【
図1A】中央を固定されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図1B】中央を固定されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図1C】中央を固定されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図1D】中央を固定されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図1E】中央を固定されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0005】
【
図2A】中央を固定されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムで利用できる冷却素子の実施形態を示す図。
【
図2B】中央を固定されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムで利用できる冷却素子の実施形態を示す図。
【0006】
【
図3A】中央を固定されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムで利用できる冷却素子の実施形態を示す図。
【
図3B】中央を固定されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムで利用できる冷却素子の実施形態を示す図。
【0007】
【
図4A】アクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図4B】アクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図4C】アクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0008】
【
図5A】タイルに形成されたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図5B】タイルに形成されたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図5C】タイルに形成されたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図5D】タイルに形成されたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図5E】タイルに形成されたアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0009】
【
図6A】デバイスで利用されているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図6B】デバイスで利用されているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0010】
【
図7A】デバイスで利用されているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図7B】デバイスで利用されているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0011】
【
図8】スマートフォンで利用されているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0012】
【
図9A】閉じたスマートフォンで利用されているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図9B】閉じたスマートフォンで利用されているアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0013】
【
図10A】冷却システムを備えていないスマートフォンの実施形態を示す図。
【
図10B】冷却システムを備えているスマートフォンの実施形態を示す図。
【
図10C】冷却システムを備えているスマートフォンの実施形態を示す図。
【
図10D】冷却システムを備えているおよび備えていないスマートフォンの性能を示す図。
【0014】
【
図11A】冷却システムを備えていないノートブックの実施形態を示す図。
【
図11B】冷却システムを備えているノートブックの実施形態を示す図。
【
図11C】冷却システムを備えているおよび備えていないノートブックの実施形態の性能を示す図。
【0015】
【
図12A】冷却システムを備えていないノートブックの実施形態を示す図。
【
図12B】冷却システムを備えているノートブックの実施形態を示す図。
【
図12C】冷却システムを備えているノートブックの実施形態を示す図。
【
図12D】冷却システムを備えているおよび備えていないノートブックの実施形態の性能を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、処理、装置、システム、物質の組成、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/または、プロセッサ(プロセッサに接続されたメモリに格納および/またはそのメモリによって提供される命令を実行するよう構成されたプロセッサ)を含め、様々な形態で実施されうる。本明細書では、これらの実施例または本発明が取りうる任意の他の形態が、技術と呼ばれうる。一般に、開示されている処理の工程の順序は、本発明の範囲内で変更されてもよい。特に言及しない限り、タスクを実行するよう構成されるものとして記載されたプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、或る時間にタスクを実行するよう一時的に構成された一般的な構成要素として、または、タスクを実行するよう製造された特定の構成要素として実装されてよい。本明細書では、「プロセッサ」という用語は、1または複数のデバイス、回路、および/または、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するよう構成された処理コアを指すものとする。
【0017】
以下では、本発明の原理を示す図面を参照しつつ、本発明の1または複数の実施形態の詳細な説明を行う。本発明は、かかる実施形態に関連して説明されているが、どの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、本発明は、多くの代替物、変形物、および、等価物を含む。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細事項が記載されている。これらの詳細事項は、例示を目的としたものであり、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも特許請求の範囲に従って実施可能である。明確にするために、本発明に関連する技術分野で周知の技術事項については、本発明が必要以上にわかりにくくならないように、詳細には説明していない。
【0018】
半導体デバイスがますますパワフルになるにつれて、動作中に発せられる熱も増大する。例えば、モバイルデバイス(スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブック、および、仮想現実デバイスなど)用のプロセッサは、高クロック速度で動作するが、かなりの量の熱を発生しうる。発生する熱の量のため、プロセッサは、比較的短期間しか最高速度で動作できない。この期間が経過した後、スロットリング(例えば、プロセッサのクロック速度の減速)が起きる。スロットリングは、熱の発生を低減できるが、プロセッサの速度ひいてはプロセッサを利用する機器の性能に悪影響を与える。技術が5G以降の世代に移行すると、この問題は、悪化すると予想される。
【0019】
より大型のデバイス(ラップトップまたはデスクトップコンピュータなど)は、回転翼を有する電動ファンを備える。ファンは、内部の構成要素の温度上昇に応じて給電されうるファンである。ファンは、より大型のデバイスを通して空気を駆動することで、内部の構成要素を冷却する。しかしながら、かかるファンは、典型的に、モバイルデバイス(スマートフォンなど)にとって、または、より薄いデバイス(タブレットコンピュータなど)にとって、大きすぎる。ファンは、空気の境界層が構成要素の表面に存在して、冷却したい高温表面における空気流の空気速度を制限することから、有効性が制限され、また、過剰な量のノイズを発生しうる。パッシブな冷却ソリューションは、熱交換器に熱を伝達するために、ヒートスプレッダならびにヒートパイプまたはベイパーチャンバなどの構成要素を含む。ヒートスプレッダは、ホットスポットでの温度上昇をいくぶん緩和するが、現在および将来のデバイスで発生する熱の量に十分に対処することができない。同様に、ヒートパイプまたはベイパーチャンバは、発生した過剰な熱を除去するのに十分な量の熱伝達を提供できない。
【0020】
コンピュータデバイスの様々な構成が、熱管理をさらに複雑にする。例えば、ラップトップなどのコンピュータデバイスは、しばしば、外部環境に対して開かれているが、スマートフォンなどの他のコンピュータデバイスは、一般に、外部環境に対して閉じられている。したがって、開いたデバイスのためのアクティブな熱管理ソリューション(ファンなど)が、閉じたデバイスに対しては不適切な場合がある。加熱された流体をコンピュータデバイスの内部から外部環境へ駆動するファンは、スマートフォンのような閉じたコンピュータデバイスにとって大きすぎる場合があり、提供する流量が制限されうる。また、閉じたコンピュータデバイスにファンを組み込むことができたとしても、閉じたコンピュータデバイスには、加熱された流体の流出口がない。そのため、かかる開いたデバイスのメカニズムによって提供される熱管理は、有効性が限られうる。開いたコンピュータデバイスについても、流入口および/または流出口の位置は、デバイスによって異なって構成されうる。例えば、ラップトップ内でファンによって駆動された流体流の流出口は、加熱された流体の流出物に触れる可能性のあるユーザの手またはその他の構造物から離れて配置されることが望ましい場合がある。かかる構成は、ユーザの不快感を防ぐだけでなく、ファンが所望の冷却を提供することを可能にする。別の構成を有する別のモバイルデバイスが、流入口および/または流出口を異なって構成することを必要とし、かかる熱管理システムの有効性を低下させ、かかる熱管理システムの利用を妨げる場合もある。したがって、コンピュータデバイスにおける冷却を改善するためのメカニズムが望まれている。
【0021】
アクティブ冷却システムを備えているシステムについて説明する。アクティブ冷却システムは、流体と連通し、振動運動を用いて流体を1または複数の熱発生構造の表面に向けるよう構成されている冷却素子を備える。熱は、熱発生構造から流体へ伝達される。システムは、流体が熱発生構造の表面から熱発生構造の表面よりも低い温度の構造体を通過する経路をたどるように構成されている。その構造体は、流体から熱を吸収する。その構造体は、システム内で、アクティブ冷却システムの遠位に存在する。
【0022】
いくつかの実施形態において、システムは、流体が熱発生構造の表面から構造体を通過する経路をたどってアクティブ冷却システムに戻るように構成されている。このように、システムは、閉じたシステムであってよい。システムは、外部環境と流体連通することを許容する少なくとも1つのベントを備えてもよい。このように、システムは、開いたシステムであってもよい。かかる実施形態において、システムは、流体が熱発生構造の表面から構造体を通過する経路をたどってシステムからベントを通して外部環境へ出るように構成される。例えば、システムは、流入口および流出口を備えてよい。流体は、流入口を通して入り、アクティブ冷却システムへ移動し、熱発生構造の表面に向かって駆動されてよい。このように、流体は、熱発生構造の表面から構造体を通過して流出口を通る経路をたどる。
【0023】
アクティブ冷却システムの冷却素子は、第1側および第2側を備えてよい。第1側は、熱発生構造の遠位(離間位置)にあり、流体と連通している。第2側は、熱発生構造の近位(近接位置)にある。冷却素子は、流体が熱発生構造の表面に向かって駆動されるように、振動運動を利用して流体を第1側から第2側へ方向付けるよう構成されている。いくつかの実施形態において、アクティブ冷却システムは、さらに、支持構造を備えており、冷却素子は、中央を固定されている冷却素子および端部を固定されている冷却素子から選択される。中央を固定されている冷却素子は、中央領域および外周を有する。中央を固定されている冷却素子は、中央領域で支持構造によって支持されている。外周の少なくとも一部は、固定されていない。端部を固定されている冷却素子は、中央部分および端部を有する。端部を固定されている冷却素子は、端部で支持構造によって支持されており、少なくとも1つの開口部を有する。アクティブ冷却システムは、さらに、1または複数のオリフィスを有するオリフィスプレートを備えてよい。オリフィスプレートは、冷却素子と、1または複数の熱発生構造の表面との間に配置されている。冷却素子は、1または複数のオリフィスを通して流体を駆動するよう作動される。流体は、1または複数のオリフィスから1または複数の熱発生構造の表面に向かって移動する。いくつかの実施形態において、アクティブ冷却システムは、2ミリメートル以下の厚さを有する。
【0024】
1または複数の熱発生構造は、特性的な電力対時間曲線を有しうる。曲線は、特性的なスロットリング点を第1時点に有しうる。1または複数の熱発生構造は、アクティブ冷却された場合の1または複数の電力対時間曲線を有しうる。アクティブ冷却に対するこれらの曲線は、アクティブ冷却された場合のスロットリング点を第2時点に有しうる。第1時点は、第2時点未満である。
【0025】
いくつかの実施形態において、システムは、複数の冷却セルを備える。冷却セルの各々は、流体と連通している冷却素子を備える。また、冷却素子は、熱発生構造から熱を除去するために振動運動を利用して流体を熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成されている。システムは、流体がシステム内で熱発生構造の表面から構造体を通過する経路をたどるように構成されており、その構造体は、熱発生構造の表面よりも低い温度を有し、アクティブ冷却システムから遠位にある。その構造体は、流体から熱を吸収する。いくつかの実施形態において、システムは、流体が熱発生構造の表面から構造体を通過する経路をたどってアクティブ冷却システムに戻るように構成されている。いくつかの実施形態において、システムは、外部環境と流体連通することを許容する少なくとも1つのベントを備える。かかる実施形態において、システムは、流体が熱発生構造の表面から構造体を通過する経路をたどってシステムから少なくとも1つのベントを通して外部環境へ出るように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態において、冷却素子は、第1側および第2側を備える。第1側は、熱発生構造の遠位にあり、流体と連通している。第2側は、熱発生構造の近位にある。冷却素子は、流体が少なくとも1つの熱発生構造の表面に向かって移動するように、振動運動を利用して流体を第1側から第2側へ方向付けるよう構成されている。冷却素子は、中央を固定されている冷却素子および端部を固定されている冷却素子から選択されてよい。いくつかの実施形態において、アクティブ冷却システムは、1または複数のオリフィスを有するオリフィスプレートを備える。オリフィスプレートは、冷却素子と、1または複数の熱発生構造の表面との間に配置されている。冷却素子は、1または複数のオリフィスを通して流体を駆動するよう作動される。流体は、1または複数のオリフィスから1または複数の熱発生構造の表面に向かって移動する。いくつかの実施形態において、アクティブ冷却システムは、2ミリメートル以下の厚さを有する。
【0027】
1または複数の熱発生構造は、特性的な電力対時間曲線を有しうる。曲線は、特性的なスロットリング点を第1時点に有しうる。1または複数の熱発生構造は、アクティブ冷却された場合の1または複数の電力対時間曲線を有しうる。アクティブ冷却に対するこれらの曲線は、アクティブ冷却された場合のスロットリング点を第2時点に有しうる。第1時点は、第2時点未満である。
【0028】
また、方法についても説明する。方法は、ある周波数の振動運動を引き起こすようにアクティブ冷却システムの冷却素子を駆動する工程を備える。冷却素子は、流体と連通しており、熱発生構造から熱を除去するために振動運動を利用して流体を熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成されている。また、方法は、熱発生構造の表面から熱発生構造の表面よりも低い温度の構造体を通過する経路をたどるように流体を方向付ける工程を備える。その構造体は、システム内でアクティブ冷却システムの遠位にあり、流体から熱を吸収する。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造の表面から構成要素を通過する経路をたどるように方向付けられ、アクティブ冷却システムに戻る。いくつかの実施形態において、流体は、少なくとも1つの熱発生構造の表面から構成要素を通過する経路をたどってシステムから少なくとも1つのベントを通して外部環境へ出るように方向付けられる。
【0029】
図1A~
図1Eは、熱発生構造102と共に利用可能であり、中央を固定されている冷却素子120を備えているアクティブ冷却システム100の実施形態例を示す図である。明確にするために、特定の構成要素だけが図示されている。
図1A~
図1Eは、正確な縮尺ではない。対称に図示されているが、冷却システム100は、対称である必要はない。
【0030】
冷却システム100は、ベント112を有する上部プレート110と、冷却素子120と、オリフィス132を有するオリフィスプレート130と、支持構造(すなわち「アンカ」)160と、システム内に形成されたチャンバ140および150(集合的にチャンバ140/150)と、を備える。冷却素子120は、その中央領域でアンカ160によって支持されている。冷却素子の外周の一部(例えば、チップ121)に近く、外周の一部を含む冷却素子120の領域が、作動時に振動する。いくつかの実施形態において、冷却素子120のチップ121は、アンカ160から最も遠い外周の部分を含み、冷却素子120の作動中に最大のたわみを受ける。明確にするために、冷却素子120の1つのチップ121のみが、
図1Aで符号を付されている。
【0031】
図1Aは、中立位置にある冷却システム100を示している。したがって、冷却素子120は、実質的に平坦である様子が示されている。同相動作中、冷却素子120は、
図1Bおよび
図1Cに示す位置の間で振動するように駆動される。この振動運動は、流体(例えば、空気)をベント112に引き込んで、チャンバ140および150を通過させ、高速および/または高流量でオリフィス132から流出させる。例えば、流体が熱発生構造102に衝突する速度は、少なくとも30メートル/秒でありうる。いくつかの実施形態において、流体は、少なくとも45メートル/秒の速度で熱発生構造102に向かうように冷却素子120によって駆動される。いくつかの実施形態において、流体は、少なくとも60メートル/秒の速度で熱発生構造102に向かうように冷却素子120によって駆動される。その他の速度も、いくつかの実施形態において可能でありうる。また、冷却システム100は、冷却素子120の振動運動によってオリフィス132を通してチャンバ140/150に戻る流体がほとんどまたは全くないように構成されている。
【0032】
熱発生構造102は、冷却システム100によって冷却されることが望ましい。いくつかの実施形態において、熱発生構造102は、熱を発生させる。例えば、熱発生構造は、集積回路であってよい。いくつかの実施形態において、熱発生構造102は、冷却されることが望ましいが、それ自体は熱を発生しない。熱発生構造102は、(例えば、熱を発生させる近くの物体から)熱を伝導してもよい。例えば、熱発生構造102は、ヒートスプレッダまたはベイパーチャンバであってよい。したがって、熱発生構造102は、プロセッサなどの個々の集積回路構成要素、他の集積回路、ならびに/もしくは、1または複数のチップパッケージを含む半導体構成要素、センサ、光学デバイス、1または複数のバッテリ、コンピュータデバイスなどの電子デバイスのその他の構成要素、ヒートスプレッダ、ヒートパイプ、冷却が望まれるその他の電子構成要素および/またはその他のデバイス、を含みうる。
【0033】
また、冷却システム100が利用されることが望ましいデバイスは、冷却システムを配置する空間が限られている場合がある。例えば、冷却システム100は、コンピュータデバイスで用いられてよい。かかるコンピュータデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、2in1ラップトップ、携帯型ゲームシステム、デジタルカメラ、仮想現実ヘッドセット、拡張現実ヘッドセット、複合現実ヘッドセット、および、その他の薄いデバイス、を含みうるが、これらに限定されない。冷却システム100は、モバイルコンピュータデバイスおよび/または少なくとも1つの寸法で空間が限られているその他のデバイスの中に設置可能な微小電気機械システム(MEMS)冷却システムであってよい。例えば、冷却システム100の全体高さ(熱発生構造102の上部から上部プレート110の上部まで)は、2ミリメートル未満であってよい。いくつかの実施形態において、冷却システム100の全体高さは、1.5ミリメートル以下であってもよい。いくつかの実施形態において、この全体高さは、1.1ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、全体高さは、1ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、全体高さは、250マイクロメートル以下である。同様に、オリフィスプレート130の底部と熱発生構造102の上部との間の距離yは、小さくてよい。いくつかの実施形態において、yは、200マイクロメートル以上かつ1ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、yは、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下である。したがって、冷却システム100は、コンピュータデバイスおよび/または少なくとも1つの寸法で空間が限られているその他のデバイスにおいて利用可能である。ただし、空間の制限があまりないデバイスで、および/または、冷却以外の目的で、冷却システム100を利用することを妨げるものではない。1つの冷却システム100が図示されているが(例えば、1つの冷却セル)、複数の冷却システム100が、熱発生構造102に関連して利用されてもよい。例えば、一次元アレイまたは二次元アレイの冷却セルが用いられてよい。
【0034】
冷却システム100は、熱発生構造102を冷却するために用いられる流体と連通する。流体は、気体または液体であってよい。例えば、流体は、空気であってよい。いくつかの実施形態において、流体は、冷却システム100が存在するデバイスの外側からの(例えば、デバイスにおける外部ベントを通して提供された)流体を含む。いくつかの実施形態において、流体は、冷却システムが存在するデバイス内で(例えば、密閉されたデバイス内で)循環する。
【0035】
冷却素子120は、アクティブ冷却システム100の内部を、上部チャンバ140および下部チャンバ150に分割していると考えることができる。上部チャンバ140は、冷却素子120、側面、および、上部プレート110によって形成されている。下部チャンバ150は、オリフィスプレート130、側面、冷却素子120、および、アンカ160によって形成されている。上部チャンバ140および下部チャンバ150は、冷却素子120の外周で接続され、共にチャンバ140/150(例えば、冷却システム100の内部チャンバ)を形成している。
【0036】
上部チャンバ140のサイズおよび構成は、セル(冷却システム100)の寸法、冷却素子120の運動、および、動作周波数の関数であってよい。上部チャンバ140は、高さh1を有する。上部チャンバ140の高さは、所望の流量および/または速度で、オリフィス132を通して下部チャンバ150へ流体を駆動するのに十分な圧力を提供するよう選択されてよい。また、上部チャンバ140は、冷却素子120が作動時に上部プレート110に接触しない十分な高さを有する。いくつかの実施形態において、上部チャンバ140の高さは、50マイクルメートル以上かつ500マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、上部チャンバ140は、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の高さを有する。
【0037】
下部チャンバ150は、高さh2を有する。いくつかの実施形態において、下部チャンバ150の高さは、冷却素子120の運動を許容するのに十分である。したがって、冷却素子120のどの部分も、通常動作中にオリフィスプレート130に接触しない。下部チャンバ150は、一般に、上部チャンバ140よりも小さく、オリフィス132への流体の逆流を低減するのに役立ちうる。いくつかの実施形態において、下部チャンバ150の高さは、(冷却素子120の最大たわみ)+(5マイクロメートル以上かつ10マイクロメートル以下)である。いくつかの実施形態において、冷却素子120のたわみ(例えば、チップ121のたわみ)zは、10マイクロメートル以上かつ100マイクロメートル以下の振幅を有する。いくつかのかかる実施形態において、冷却素子120のたわみの振幅は、10マイクロメートル以上かつ60マイクロメートル以下である。ただし、冷却素子120のたわみの振幅は、冷却システム100を通した所望の流量および冷却システム100の構成などの要素に依存する。したがって、下部チャンバ150の高さは、一般に、冷却システム100を通した流量および冷却システム100のその他の構成要素に依存する。
【0038】
上部プレート110は、流体が冷却システム100に引き込まれる際に通りうるベント112を備える。上部ベント112は、チャンバ140における所望の音圧に基づいて選択されたサイズを有してよい。例えば、いくつかの実施形態において、ベント112の幅wは、500マイクロメートル以上かつ1000マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、ベント112の幅は、250マイクロメートル以上かつ2000マイクロメートル以下である。図の実施形態において、ベント112は、上部プレート110の中心に配置された開口部である。別の実施形態において、ベント112は、他の場所に配置されてもよい。例えば、ベント112は、上部プレート110の端部の1つにより近くてもよい。ベント112は、円形、長方形、または、その他の形状のフットプリントを有してよい。単一のベント112が図示されているが、複数のベントが用いられてもよい。例えば、ベントは、上部チャンバ140の縁部に向かってオフセットされてよく、または、上部チャンバ140の側面に配置されてよい。上部プレート110は実質的に平坦であると図示されているが、いくつかの実施形態において、トレンチおよび/またはその他の構造が、上部チャンバ140の構成および/または上部プレート110の上方の領域を変更するために、上部プレート110に提供されてもよい。
【0039】
アンカ(支持構造)160は、冷却素子120の中央部分で冷却素子120を支持している。したがって、冷却素子120の外周の少なくとも一部は、固定されておらず、自由に振動する。いくつかの実施形態において、アンカ160は、冷却素子120の中心軸に沿って(例えば、
図1A~
図1Eにおいて紙面と垂直に)伸びている。いくつかの実施形態において、振動する冷却素子120の一部(例えば、チップ121を含む)が、片持ち状態で運動する。したがって、冷却素子120の一部が、蝶の翅に類似した方法で(すなわち、同じ位相で)、および/または、シーソーに類似した方法で(すなわち、異なる位相で)運動してよい。したがって、片持ち状態で振動する冷却素子120の部分は、いくつかの実施形態では同じ位相で、そして、他の実施形態では異なる位相で振動する。いくつかの実施形態において、アンカ160は、冷却素子120の軸に沿って伸びていない。かかる実施形態では、冷却素子120の外周のすべての部分が、自由に振動する(例えば、クラゲに類似する)。図の実施形態において、アンカ160は、冷却素子120の底部から冷却素子120を支持している。他の実施形態において、アンカ160は、別の方法で冷却素子120を支持してもよい。例えば、アンカ160は、上部から冷却素子120を支持してもよい(例えば、冷却素子120が、アンカ160からぶら下がっている)。いくつかの実施形態において、アンカ160の幅aは、0.5ミリメートル以上かつ4ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、アンカ160の幅は、2ミリメートル以上かつ2.5ミリメートル以下である。アンカ160は、冷却素子120の10パーセント以上かつ50パーセント以下を占めてよい。
【0040】
冷却素子120は、熱発生構造102の遠位にある第1側と、熱発生構造102の近位にある第2側と、を有する。
図1A~
図1Eに示す実施形態において、冷却素子120の第1側は、(上部プレート110に近い)冷却素子120の上部であり、第2側は、(オリフィスプレート130に近い)冷却素子120の底部である。冷却素子120は、
図1A~
図1Eに示すように、振動運動を行うよう作動される。冷却素子120の振動運動は、熱発生構造102の遠位の冷却素子120の第1側から(例えば、上部チャンバ140から)熱発生構造102の近位の冷却素子120の第2側へ(例えば、下部チャンバへ)流体を駆動する。また、冷却素子120の振動運動は、ベント112を通して上部チャンバ140へ流体を引き込み、上部チャンバ140から下部チャンバ
150へ流体を送り、下部チャンバ150からオリフィスプレート130のオリフィス132を通して流体を駆動する。
【0041】
冷却素子120は、冷却素子120が振動する際の所望の周波数に依存する長さLを有する。いくつかの実施形態において、冷却素子120の長さは、4ミリメートル以上かつ10ミリメートル以下である。いくつかのかかる実施形態において、冷却素子120は、6ミリメートル以上かつ8ミリメートル以下の長さを有する。冷却素子120の奥行き(例えば、
図1A~
図1Eに示す紙面に垂直な奥行き)は、Lの4分の1からLの2倍まで様々であってよい。例えば、冷却素子120は、長さと同じ奥行きを有してよい。冷却素子120の厚さtは、冷却素子120の構成および/または冷却素子120が作動される際の所望の周波数に基づいて、異なってよい。いくつかの実施形態において、8ミリメートルの長さを有し、20キロヘルツ以上かつ25キロヘルツ以下の周波数で駆動される冷却素子120について、冷却素子の厚さは、200マイクロメートル以上かつ350マイクロメートル以下である。チャンバ140/150の長さCは、冷却素子120の長さLに近い。例えば、いくつかの実施形態において、冷却素子120の端部と、チャンバ140/50の壁との間の距離dは、100マイクロメートル以上かつ500マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、dは、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下である。
【0042】
冷却素子120は、上部チャンバ140における流体の圧力波の音響共振の共振周波数および冷却素子120の構造共振の共振周波数の両方と同じまたは近い周波数で駆動されてよい。振動運動を行う冷却素子120の部分は、冷却素子120の共振(「構造共振」)でまたはその付近で駆動される。振動を行う冷却素子120のこの部分は、いくつかの実施形態において、片持ち部分であってよい。構造共振の振動の周波数は、構造共振周波数と呼ばれている。冷却素子120を駆動する際に構造共振周波数を利用することは、冷却システム100の電力消費を削減する。また、冷却素子120および上部チャンバ140は、この構造共振周波数が、上部チャンバ140を通して駆動される流体中の圧力波における共振(上部チャンバ140の音響共振)に対応するように構成されていてよい。かかる圧力波の周波数は、音響共振周波数と呼ばれている。音響共振時に、圧力の節が、ベント112の近くで発生し、圧力の腹が、冷却システム100の外周の近く(例えば、冷却素子120のチップ121の近く、かつ、上部チャンバ140と下部チャンバ150との間の接続の近く)で発生する。これらの2つの領域の間の距離は、C/2である。したがって、C/2=nλ/4であり、ここで、λは、流体の音波長であり、nは、奇数(例えば、n=1、3、5、など)である。最低次モードに対しは、C=λ/2である。チャンバ140の長さ(例えば、C)は、冷却素子120の長さに近いので、いくつかの実施形態において、L/2=nλ/4もほぼ正しく、ここで、λは流体の音波長であり、nは奇数である。したがって、冷却素子120が駆動される周波数γは、冷却素子120の構造共振周波数と同じまたは近い周波数である。周波数γは、少なくとも上部チャンバ140の音響共振周波数と同じまたは近い周波数である。上部チャンバ140の音響共振周波数は、一般に、温度およびサイズなどのパラメータによる変化が、冷却素子120の構造共振周波数ほどは著しくない。したがって、いくつかの実施形態において、冷却素子120は、音響共振周波数よりも、構造共振周波数で(またはその近くの周波数で)駆動されてよい。
【0043】
オリフィスプレート130は、オリフィス132を有する。特定の数および分布のオリフィス132が図示されているが、別の数および/または別の分布が用いられてもよい。単一のオリフィスプレート130が、単一の冷却システム100のために用いられている。他の実施形態において、複数の冷却システム100が、オリフィスプレートを共有してもよい。例えば、複数のセル100が、所望の構成で一緒に提供されてよい。かかる実施形態において、セル100は、同じサイズおよび構成であってもよいし、異なるサイズおよび/または構成であってもよい。オリフィス132は、熱発生構造102の表面と垂直に方向付けられた軸を有する様子が示されている。他の実施形態において、1または複数のオリフィス132の軸は、別の角度であってもよい。例えば、軸の角度は、略ゼロ度および非ゼロの鋭角から選択されてよい。また、オリフィス132は、オリフィスプレート130の表面の法線と実質的に平行である側壁を有する。いくつかの実施形態において、オリフィスは、オリフィスプレート130の表面の法線に対して非ゼロの角度の側壁を有してもよい。例えば、オリフィス132は、円錐形であってもよい。さらに、オリフィスプレース130は実質的に平坦であると図示されているが、いくつかの実施形態において、トレンチおよび/またはその他の構造が、下部チャンバ150の構成および/またはオリフィスプレート130と熱発生構造102との間の領域を変更するために、オリフィスプレート130に提供されてもよい。
【0044】
オリフィス132のサイズ、分布、および、位置は、熱発生構造102の表面へ駆動される流体の流量を制御するように選択される。オリフィス132の位置および構成は、下部チャンバ150からオリフィス132を通ってジェットチャネル(オリフィスプレート130の底部と熱発生構造102の上部との間の領域)へ至る流体流を増大/最大化するよう構成されていてよい。また、オリフィス132の位置および構成は、ジェットチャネルからオリフィス132を通る吸引流(例えば、逆流)を低減/最小化するよう選択されてよい。例えば、オリフィスの位置は、オリフィス132を通して下部チャンバ150に流体を引き込む冷却素子120のアップストローク(チップ121がオリフィスプレート13から離れるストローク)時の吸引が低減されるのに十分にチップ121から離れていることが望ましい。また、オリフィスの位置は、冷却素子120のアップストローク時の吸引により、上部チャンバ140からのより高い圧力が流体を上部チャンバ140から下部チャンバ150へ押すことが可能になるように十分にチップ121に近いことが望ましい。いくつかの実施形態において、アップストローク時に、上部チャンバ140から下部チャンバ150への流量と、ジェットチャネルからオリフィス132を通る流量との比(「正味流量比」)は、2:1よりも大きい。いくつかの実施形態において、正味流量比は、少なくとも85:15である。いくつかの実施形態において、正味流量比は、少なくとも90:10である。所望の圧力、流量、吸引、および、正味流量比を提供するには、オリフィス132は、冷却素子120のチップ121から距離r1以上、かつ、チップ121から距離r2以下にあることが望ましい。いくつかの実施形態において、r1は、100マイクロメートル以上であり(例えば、r1≧100μm)、r2は、1ミリメートル以下である(例えば、r2≦1000μm)。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、冷却素子120のチップ121から200マイクロメートル以上の位置にある(例えば、r1≧200μm)。いくつかのかかる実施形態において、オリフィス132は、冷却素子120のチップ121から300マイクロメートル以上の位置にある(例えば、r1≧300μm)。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、100マイクロメートル以上かつ500マイクロメートル以下の幅oを有する。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の幅を有する。いくつかの実施形態において、オリフィスの間隔sは、100マイクロメートル以上かつ1ミリメートル以下である。いくつかのかかる実施形態において、オリフィスの間隔は、400マイクロメートル以上かつ600マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、また、オリフィスプレート130の面積の特定のわずかな部分を占めることが望ましい。例えば、オリフィス132は、オリフィス132を通る流体の所望の流量を達成するために、オリフィスプレート130のフットプリントの5パーセン以上かつ15パーセント以下を占めてよい。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、オリフィスプレート130のフットプリントの8パーセント以上かつ12パーセント以下を占める。
【0045】
いくつかの実施形態において、冷却素子120は、圧電体を用いて作動される。したがって、冷却素子120は、圧電型冷却素子であってよい。冷却素子120は、冷却素子120に取り付けられまたは一体化された圧電体によって駆動されてよい。いくつかの実施形態において、冷却素子120は、冷却システム100内の別の構造上に圧電体を提供することを含むがこれに限定されない別の方法で駆動される。以下では、冷却素子120および類似の冷却素子を圧電型冷却素子と呼ぶが、圧電体以外のメカニズムが冷却素子を駆動するために用いられうる可能性もある。いくつかの実施形態において、冷却素子120は、基板上に圧電体層を備える。基板は、ステンレス鋼、Ni合金、および/または、ハステロイ基板であってよい。いくつかの実施形態において、圧電体層は、基板上に薄膜として形成された複数のサブ層を含む。他の実施形態において、圧電体層は、基板に付着されたバルク層であってよい。かかる圧電型冷却素子120は、さらに、圧電体を活性化するために用いられる電極を備える。基板は、いくつかの実施形態において、電極として機能する。他の実施形態において、下部電極が、基板と圧電体層との間に提供されてもよい。シード層、キャッピング層、不動態化層、または、その他の層を含むがこれらに限定されないその他の層が、圧電型冷却素子に備えられてもよい。このように、冷却素子120は、圧電体を用いて作動されてよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、冷却システム100は、排気筒(図示せず)またはその他のダクトを備える。かかるダクトは、加熱された流体が熱発生構造102から離れるように流れるための経路を提供する。いくつかの実施形態において、ダクトは、上部プレート110を挟んで熱発生構造102の遠位側に流体を戻す。いくつかの実施形態において、ダクトは、その代わりに、熱発生構造102に平行な方向へ、または、熱発生構造102に垂直であるが反対方向へ(例えば、紙面の下方に向かって)、熱発生構造102から離れるように流体を方向付けてもよい。装置の外部の流体が冷却システム100で用いられる装置では、ダクトは、加熱された流体をベントに導いてよい。かかる実施形態において、さらなる流体が、流入ベントから提供されてもよい。デバイスが密閉されている実施形態において、ダクトは、ベント112に近く熱発生構造102から遠い領域に戻る遠回りの経路を提供してよい。かかる経路は、熱発生構造102の冷却に再利用される前に、流体が熱を放散することを可能にする。他の実施形態において、ダクトは、省略され、または、別の方法で構成されてもよい。このように、流体は、熱発生構造102から熱を取り除くことが可能になる。
【0047】
冷却システム100の動作について、
図1A~
図1Eの文脈で説明する。特定の圧力、ギャップサイズ、および、流れのタイミングの文脈で説明されているが、冷却システム100の動作は、本明細書の説明には依存しない。
図1B~
図1Cは、冷却システム100の同相動作を図示している。
図1Bを参照すると、冷却素子120は、それのチップ121が上部プレート110から離れて動くように、作動されている。したがって、
図1Bは、冷却素子120のダウンストロークの終わりを図示していると考えることができる。冷却素子120の振動運動のために、下部チャンバ150のギャップ152は、サイズが減少しており、ギャップ152Bとして示されている。逆に、上部チャンバ140のギャップ142は、サイズが増大し、ギャップ142Bとして示されている。ダウンストローク中、冷却素子120が中立位置にある時の外周において、より低い(例えば、最小の)圧力が発生する。ダウンストロークが継続すると、
図1Bに示すように、下部チャンバ150のサイズが減少し、上部チャンバ140のサイズが増大する。したがって、流体は、オリフィスプレート130の表面および/または熱発生構造102の上面と垂直の方向またはそれに近い方向へ、オリフィス132から駆動される。流体は、オリフィス132から熱発生構造102に向かって高速で(例えば、35メートル/秒を超える速度で)駆動される。いくつかの実施形態において、流体は、その後、熱発生構造102の表面に沿って熱発生構造102の外周に向かって移動し、そこでの圧力は、オリフィス132付近よりも低い。また、ダウンストローク中、上部チャンバ140のサイズは増大し、より低い圧力が上部チャンバ140に存在する。結果として、流体は、ベント112を通して上部チャンバ140へ引き込まれる。ベント112内に入ってオリフィス132を通り熱発生構造102に沿って流れる流体の動きが、
図1Bに符号なしの矢印で示されている。
【0048】
また、冷却素子120は、
チップ121が熱発生構造102から離れて上部プレート110に向かって動くように作動される。したがって、
図1Cは、冷却素子120のアップストロークの終わりを図示していると考えることができる。冷却素子120の運動のために、ギャップ142は、サイズが減少しており、ギャップ142Cとして示されている。ギャップ152は、サイズが増大し、ギャップ152Cとして示されている。アップストローク中、冷却素子120が中立位置にある時の外周において、より高い(例えば、最大の)圧力が発生する。アップストロークが継続すると、
図1Cに示すように、下部チャンバ150のサイズが増大し、上部チャンバ140のサイズが減少する。したがって、流体は、上部チャンバ140(例えば、チャンバ140/150の外周)から下部チャンバ150へ駆動される。このように、冷却素子120のチップ121が上方に動くと、上部チャンバ140は、入ってくる流体が速度を増して下部チャンバ150へ向かって駆動されるためのノズルとして機能する。下部チャンバ150への流体の動きが、
図1Cに符号なしの矢印で示されている。冷却素子120およびオリフィス132の位置および構成は、吸引を低減し、ひいては、アップストローク中の(熱発生構造102とオリフィスプレート130との間の)ジェットチャネルからオリフィス132への流体の逆流を低減するように選択される。したがって、冷却システム100は、ジェットチャネルから下部チャンバ10に入る加熱流体の逆流を過度に引き起こすことなしに、上部チャンバ140から下部チャンバ150へ流体を駆動することができる。
【0049】
図1Bおよび
図1Cに示す位置の間の運動は繰り返される。したがって、冷却素子120は、
図1A~
図1Cに示す振動運動を行うことで、ベント112を通して上部プレート110の遠位側から上部チャンバ140内に流体を引き込み、上部チャンバ140から下部チャンバ150へ流体を送り、オリフィス132を通して熱発生構造102へ向かって流体を押し出す。上述のように、冷却素子120は、冷却素子120の構造共振周波数またはそれに近い周波数で振動するように駆動される。さらに、冷却素子120の構造共振周波数は、チャンバ140/150の音響共振と一致するよう構成されている。構造共振周波数および音響共振周波数は、一般に、超音波領域にあるように選択される。例えば、冷却素子120の振動運動は、15kHz~30kHzの周波数の運動であってよい。いくつかの実施形態において、冷却素子120は、20kHz以上かつ30kHz以下の周波数で振動する。冷却素子120の構造共振周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の10パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の5パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の3パーセント以内である。結果として、効率および流量が高められうる。ただし、その他の周波数が用いられてもよい。
【0050】
熱発生構造102に向かって駆動された流体は、熱発生構造102の上面と実質的に垂直(鉛直)に移動しうる。いくつかの実施形態において、流体の動きは、熱発生構造102の上面の法線に対して非ゼロの鋭角を有してもよい。いずれの場合でも、流体は、熱発生構造102において薄くなり、および/または、流体の境界層に開口部を形成しうる。結果として、熱発生構造102からの熱の伝達が改善されうる。流体は、熱発生構造102で逸れて、熱発生構造102の表面に沿って移動する。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造102の上面と実質的に平行な方向に移動する。したがって、熱発生構造102からの熱が、流体によって除去されうる。流体は、冷却システム100の端部において、オリフィスプレート130と熱発生構造102との間の領域から出る。冷却システム100の端部にある排気筒またはその他のダクト(図示せず)が、熱発生構造102から流体を運び去ることを可能にする。他の実施形態において、加熱された流体は、別の方法で熱発生構造102から遠くへ移動されてもよい。流体は、熱発生構造102から伝達された熱を別の構造または周囲環境へ交換しうる。したがって、上部プレート110遠位端側の流体は、比較的冷たいままでありうるため、さらなる熱の除去を可能にする。いくつかの実施形態において、流体は循環されて、冷却後に上部プレート110の遠位側に戻る。他の実施形態において、加熱された流体は運び去られて、冷却素子120の遠位側で新たな流体に置き換えられる。結果として、熱発生構造102は、冷却されうる。
【0051】
図1D~
図1Eは、中央を固定されている冷却素子120を備えているアクティブ冷却システム100の実施形態を示しており、冷却素子が異なる位相で駆動されている。より具体的には、アンカ160の両側にある冷却素子120の部分(したがって、アンカ160によって支持されている冷却素子120の中央領域の両側にある部分)が、異なる位相で振動するように駆動されている。いくつかの実施形態において、アンカ160の両側にある冷却素子120の部分は、180度または180度近くずれた位相で駆動される。したがって、冷却素子120の一方の部分が、上部プレート110に向かって振動し、それと同時に、冷却素子120の他方の部分が、オリフィスプレート130/熱発生構造102に向かって振動する。冷却素子120の部分の上部プレート110に向かう動き(アップストローク)は、上部
チャンバ140内の流体をアンカ160のその側の下部
チャンバ150へ駆動する。冷却素子120の部分のオリフィスプレート130に向かう動きは、オリフィス132を通って熱発生構造102に向かうように流体を駆動する。したがって、高速(例えば、同相動作に関して上述した速度)で移動する流体が、アンカ160の両側のオリフィス132から交互に駆動される。流体の運動は、
図1Dおよび
図1Eに符号なしの矢印で示されている。
【0052】
図1Dおよび
図1Eに示す位置の間の運動は繰り返される。したがって、冷却素子120は、
図1A、
図1D、および、
図1Eに示す振動運動を行うことで、交互に、冷却素子120の各側についてベント112を通して上部プレート110の遠位側から上部チャンバ140内に流体を引き込み、上部チャンバ140の各側から下部チャンバ150の対応する側へ流体を送り、アンカ160の各側のオリフィス132を通して熱発生構造102へ向かって流体を押し出す。上述のように、冷却素子120は、冷却素子120の構造共振周波数またはそれに近い周波数で振動するように駆動される。さらに、冷却素子120の構造共振周波数は、チャンバ140/150の音響共振と一致するよう構成されている。構造共振周波数および音響共振周波数は、一般に、超音波領域にあるように選択される。例えば、冷却素子120の振動運動は、同相振動について記載した周波数の運動であってよい。冷却素子120の構造共振周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の10パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の5パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の3パーセント以内である。結果として、効率および流量が高められうる。ただし、その他の周波数が用いられてもよい。
【0053】
異相振動中に熱発生構造102に向かって駆動された流体は、同相動作について上述したのと類似した方法で、熱発生構造102の上面と実質的に垂直(鉛直)に移動しうる。同様に、冷却システム100の端部にある排気筒またはその他のダクト(図示せず)が、熱発生構造102から流体を運び去ることを可能にする。他の実施形態において、加熱された流体は、別の方法で熱発生構造102から遠くへ移動されてもよい。流体は、熱発生構造102から伝達された熱を別の構造または周囲環境へ交換しうる。したがって、上部プレート110遠位端側の流体は、比較的冷たいままでありうるため、さらなる熱の除去を可能にする。いくつかの実施形態において、流体は循環されて、冷却後に上部プレート110の遠位側に戻る。他の実施形態において、加熱された流体は運び去られて、冷却素子110の遠位側で新たな流体に置き換えられる。結果として、熱発生構造102は、冷却されうる。
【0054】
同相振動または異相振動のために作動される冷却システム100を用いると、ベント112を通して引き込まれてオリフィス132を通して駆動された流体が、熱発生構造102から熱を効率的に放散させうる。流体は、十分な速度(例えば、少なくとも30メートル/秒)で、いくつかの実施形態においては熱発生構造に対して実質的に垂直に、熱発生構造に衝突するので、熱発生構造における流体の境界層は、薄くなり、および/または、部分的に除去されうる。その結果、熱発生構造102と、移動する流体との間の熱伝達が改善される。熱発生構造が、より効率的に冷却されるので、対応する集積回路は、より高い速度および/または電力で長時間にわたって動作されてよい。例えば、熱発生構造が高速度プロセッサに対応する場合、かかるプロセッサは、スロットリングまでに、より長時間にわたって実行されてよい。したがって、冷却システム100を利用するデバイスの性能が改善されうる。さらに、冷却システム100は、MEMSデバイスであってよい。その結果として、冷却システム100は、スマートフォン、その他の携帯電話、仮想現実ヘッドセット、タブレット、2in1コンピュータ、ウェアラブル、携帯ゲーム機など、利用可能なスペースか限られている、より小型および/またはモバイル型のデバイスでの利用に適しうる。したがって、かかるデバイスの性能は改善されうる。冷却素子120は、15kHz以上の周波数で振動されてよいので、ユーザは、冷却素子の作動に関連するノイズを全く聞きえない。構造共振周波数および/または音響共振周波数と同じまたは近い周波数で駆動された場合、冷却システムを動作させる際に用いられる電力が、大幅に低減されうる。冷却素子120は、振動中に上部プレート110ともオリフィスプレート130とも物理的に接触しない。したがって、冷却素子120の共振は、より容易に維持されうる。より具体的には、冷却素子120とその他の構との間の物理的接触は、冷却素子120の共振条件を妨げうる。これらの条件を妨げると、共振させずに冷却素子120を駆動しうる。したがって、冷却素子120の作動を維持するために、さらなる電力を利用する必要が生じる。さらに、冷却素子120によって駆動される流体の流量が減少しうる。これらの問題は、上述のように、圧力差および流量を利用して回避される。改善された静かな冷却の利点は、限られた追加電力で達成されうる。さらに、冷却素子120の異相振動は、冷却素子100の重心の位置をより安定なままにすることを可能にする。トルクが冷却素子120に掛かるが、重心の移動による力は、低減または排除される。結果として、冷却素子120の動きによる振動が低減されうる。さらに、冷却装置100の効率が、冷却素子120の2つの側に異相振動運動を利用することによって改善されうる。その結果として、冷却システム100を組み込んだデバイスの性能が改善されうる。さらに、冷却システム100は、高い流量および/または流速が望ましいその他の応用例(例えば、熱発生構造102が存在する、または、存在しない)で利用可能でありうる。
【0055】
図2A~
図2Bは、アクティブ冷却システム(冷却システム100など)と類似した冷却システム200Aおよび200Bの実施形態を示す平面図である。
図2Aおよび
図2Bは、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却素子220Aおよび220Bならびにアンカ260Aおよび260Bの部分のみが、それぞれ示されている。冷却素子220Aおよび220Bは、冷却素子120と類似している。したがって、冷却素子220Aおよび/または220Bに用いられるサイズおよび/または材料は、冷却素子120のものと類似していてよい。アンカ(支持構造)260Aおよび260Bは、アンカ160と類似しており、破線で示されている。
【0056】
冷却素子220Aおよび220Bについて、アンカ260Aおよび260Bが、中央に配置され、それぞれ、冷却素子220Aおよび220Bの中心軸に沿って伸びている。したがって、振動するように作動される片持ち部分は、アンカ260Aおよび260Bの右側および左側にある。いくつかの実施形態において、冷却素子220Aおよび/または220Bは、連続構造であり、その中の2つの部分が作動される(例えば、アンカ260Aおよび260Bの外側の片持ち部分)。いくつかの実施形態において、冷却素子220Aおよび/または220Bは、別個の片持ち部分を備えており、片持ち部分は、それぞれ、アンカ260Aおよび260Bに取り付けられていて、作動されるしたがって、冷却素子220Aおよび220Bの片持ち部分は、蝶の翅に類似した方法(同相)またはシーソーに類似した方法(異相)で振動するよう構成されていてよい。
図2Aおよび
図2Bにおいて、Lは、冷却素子の長さであり、
図1A~
図1Eに図示したものと類似する。また、
図2Aおよび
図2Bでは、冷却素子220Aおよび220Bの奥行きPが示されている。
【0057】
また、
図2A~
図2Bには、圧電体223が点線で示されている。圧電体223は、冷却素子220Aおよび220Bを作動させるために用いられる。いくつかの実施形態において、圧電体223は、別の領域に配置されてもよく、および/または、異なる構成を有してもよい。圧電体の文脈で記載されているが、冷却素子
220Aおよび
220Bを作動させるための別のメカニズムが用いられてもよい。かかる別のメカニズムは、圧電体223の位置にあってもよいし、別の場所に配置されてもよい。冷却素子
220Aにおいて、圧電体223は、片持ち部分に固定されてもよいし、冷却素子220Aに一体化されてもよい。さらに、圧電体223は、
図2Aおよび
図2Bにおいて特定の形状およびサイズを有するものとして示されているが、その他の構成が用いられてもよい。
【0058】
図2Aに示す実施形態において、アンカ260Aは、冷却素子220Aの奥行き全体に伸びている。したがって、冷却素子
220Aの外周の一部が固定されている。冷却素子
220Aの外周の固定されていない部分は、振動運動を行う片持ち部分の一部である。他の実施形態において、アンカは、中心軸の長さ全体に伸びている必要はない。かかる実施形態では、冷却素子の外周全体が固定されていない。しかしながら、かかる冷却素子は、それでも、本明細書に記載の方法で振動するよう構成されている片持ち部分を有する。例えば、
図2Bにおいて、アンカ260Bは、冷却素子220Bの外周まで伸びていない。したがって、冷却素子220Bの外周は、固定されていない。しかしながら、アンカ260Bは、冷却素子220Bの中心軸に沿って伸びている。この場合でも、冷却素子220Bは、片持ち部分が振動するように作動される(例えば、蝶の翅と類似している)。
【0059】
冷却素子220Aは長方形として図示されているが、冷却素子は、別の形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、冷却素子220Aの角が、丸みを帯びていてもよい。
図2Bの冷却素子220Bは、丸みのある片持ち部分を有する。その他の形状も可能である。
図2Bに示す実施形態において、アンカ260Bは、中空であり、開口部263を備える。いくつかの実施形態において、冷却素子220Bは、アンカ260Bの領域内に1または複数の開口部を有する。いくつかの実施形態において、冷却素子220Bは、1または複数の開口部がアンカ260Bの領域内に存在するように、複数の部分を備える。結果として、流体が、冷却素子220Bを通して、そして、アンカ260Bを通して引き込まれうる。したがって、冷却素子220Bは、上部プレート(上部プレート110など)の代わりに用いられてよい。かかる実施形態において、冷却素子220Bの開口部と、開口部263は、ベント112と類似した方法で機能しうる。さらに、冷却素子200Aおよび200Bは、中央領域で支持されている様子が図示されているが、いくつかの実施形態において、冷却素子220Aおよび/または220Bの一方の片持ち部分が省略されてもよい。かかる実施形態において、冷却素子220Aおよび/または220Bは、一方の端部またはその近くで支持または固定されている一方で、少なくとも反対側の端部の少なくとも一部が自由に振動運動を行う、と考えられてよい。いくつかのかかる実施形態において、冷却素子220Aおよび/または220Bは、振動運動を行う単一の片持ち部分を備えてよい。
【0060】
図3A~
図3Bは、アクティブ冷却システム(冷却システム100など)と類似した冷却システム300Aおよび300Bの実施形態を示す平面図である。
図3Aおよび
図3Bは、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却素子320Aおよび320Bならびにアンカ360Aおよび360Bのみが、それぞれ示されている。冷却素子320Aおよび320Bは、冷却素子120と類似している。したがって、冷却素子320Aおよび/または320Bに用いられるサイズおよび/または材料は、冷却素子120のものと類似していてよい。アンカ360Aおよび360Bは、アンカ160と類似しており、破線で示されている。
【0061】
冷却素子320Aおよび320Bについて、アンカ360Aおよび360Bは、それぞれ、冷却素子320Aおよび320Bの中央領域に限定されている。したがって、アンカ360Aおよび360Bを囲む領域が、振動運動を行う。したがって、冷却素子320Aおよび320Bは、クラゲに類似した方法、または、傘の開閉と同様の方法で、振動するよう構成されていてよい。いくつかの実施形態において、冷却素子320Aおよび320Bの外周全体が、同じ位相で振動する(例えば、すべてが一緒に上下に動く)。他の実施形態において、冷却素子320Aおよび320Bの外周の複数部分が、異なる位相で振動する。
図3Aおよび
図3Bにおいて、Lは、冷却素子の長さ(例えば、直径)であり、
図1A~
図1Eに図示したものと類似する。冷却素子320Aおよび320Bは円形として図示されているが、冷却素子は、別の形状を有してもよい。さらに、圧電体(
図3A~
図3Bには図示せず)および/またはその他のメカニズムが、冷却素子320Aおよび320Bの振動運動を駆動するために用いられてよい。
【0062】
図3Bに示す実施形態において、アンカ360Bは、中空であり、開口部363を有する。いくつかの実施形態において、冷却素子320Bは、アンカ360Bの領域内に1または複数の開口部を有する。いくつかの実施形態において、冷却素子320Bは、1または複数の開口部がアンカ360Bの領域内に存在するように、複数の部分を備える。結果として、流体が、冷却素子320Bを通して、そして、アンカ360Bを通して引き込まれうる。流体は、開口部363を通して出て行きうる。したがって、冷却素子320Bは、上部プレート(上部プレート110など)の代わりに用いられてよい。かかる実施形態において、冷却素子320Bの開口部と、開口部363は、ベント112と類似した方法で機能しうる。
【0063】
冷却システム(冷却システム100など)は、冷却素子220A、220B、320A、320B、および/または、類似の冷却素子を利用できる。また、かかる冷却システムは、冷却システム100の利点を共有しうる。冷却素子220A、220B、320A、320B、および/または、類似の冷却素子を用いる冷却システムは、高速で熱発生構造に向かって流体をより効率的に駆動しうる。その結果、熱発生構造と、移動する流体との間の熱伝達が改善される。熱発生構造が、より効率的に冷却されるので、対応するデバイスは、より高い速度および/または電力で長時間にわたって動作するなど、動作の改善を示しうる。冷却素子220A、220B、320A、320B、および/または、類似の冷却素子を用いる冷却システムは、利用可能なスペースか限られている、より小型および/またはモバイル型のデバイスでの利用に適しうる。したがって、かかるデバイスの性能は改善されうる。冷却素子220A、220B、320A、320B、および/または、類似の冷却素子は、15kHz以上の周波数で振動されてよいので、ユーザは、冷却素子の作動に関連するノイズを全く聞きえない。冷却素子220A、220B、320A、320B、および/または、類似の冷却素子の音響共振周波数および/または構造共振周波数と同じまたは近い周波数で駆動された場合、冷却システムを動作させる際に用いられる電力が、大幅に低減されうる。冷却素子220A、220B、320A、320B、および/または、類似の冷却素子は、利用中にプレートと物理的に接触しえないため、共振をより容易に維持することが可能になる。改善された静かな冷却の利点は、限られた追加電力で達成されうる。その結果として、冷却素子220A、220B、320A、320B、および/または、類似の冷却素子を組み込んだデバイスの性能が改善されうる。
【0064】
いくつかの実施形態において、冷却素子は、その中央ではなく1または複数の端部で固定されてもよい。例えば、
図4A~
図4Cは、冷却素子の端部が固定されている冷却システム400の実施形態を示す。
【0065】
図4A~
図4Cは、熱発生構造402で利用可能なアクティブ冷却システム400の実施形態例を示す図である。明確にするために、特定の構成要素だけが図示されており、
図4A~4Cは、正確な縮尺ではない。冷却システム400は、熱発生構造402に関連して用いられる。対称に図示されているが、冷却システム400は、対称である必要はない。
【0066】
冷却システム400は、冷却素子410および420を備える。冷却システム400は、さらに、オリフィス432を有するオリフィスプレート430と、上部チャンバ440と、下部チャンバ450と、を備えており、これらの構成要素は、オリフィス132を有するオリフィスプレート130と、上部チャンバ140と、下部チャンバ150と、に類似していてよい。また、流体を方向付けるために用いられる任意選択的な導管(chimney)460も示されている。
【0067】
冷却素子410は、熱発生構造402の遠位にある第1側と、熱発生構造402の近位にある第2側と、を有する。冷却素子410の第1側は、冷却素子410の上部であり、第2側は、冷却素子410の底部である。冷却素子410は、さらに、パッシブベント412を有する。図の実施形態において、パッシブベント412は、冷却素子410の中心に配置された開口部である。別の実施形態において、パッシブベント412は、他の場所に配置されてもよい。例えば、パッシブベント412は、冷却素子410の端部の1つにより近くてもよい。パッシブベント412は、円形、長方形、または、その他の形状のフットプリントを有してよい。1つのパッシブベント412が図示されているが、複数のパッシブベントが用いられてもよい。
【0068】
冷却素子420は、冷却素子410と熱発生構造402との間にある。図の実施形態において、冷却素子420は、また、冷却素子410とオリフィスプレート430との間にある。冷却素子410および420は、ギャップ442によって分離されており、上部チャンバ440を形成している。下部チャンバ450は、冷却素子420とオリフィスプレート430との間に形成されている。冷却素子420は、さらに、アクティブベント422を有する。図の実施形態において、アクティブベント422は、冷却素子420の中央領域から離れて配置された開口部である。他の実施形態において、アクティブベント422は、他の場所に配置されてもよい。例えば、アクティブベントは、冷却素子420の中心に配置されてもよい。2つのアクティブベント422が図示されているが、別の数(例えば、1つ、3つ、など)が存在してもよい。いくつかの実施形態において、アクティブベント422は、アクティブベント422がパッシブベント412と整列されないように配置される。アクティブベント422は、円形、長方形、または、その他の形状のフットプリントを有してよい。いくつかの実施形態において、ベントを備えない単一の冷却素子410または420が、2つの冷却素子の代わりに用いられてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、冷却システム400は、導管460を備える。導管460は、加熱された流体が熱発生構造402から離れるように流れるための帰還経路を提供する。いくつかの実施形態において、導管460は、熱発生構造402から遠位の冷却素子410の側に流体を戻す。図の実施形態において、導管460は、加熱された流体を、熱発生構造402と実質的に垂直に、熱発生構造402から遠位の冷却素子410の側に向かって方向付ける。他の実施形態において、導管460は、省略され、または、別の方法で構成されてもよい。例えば、導管は、その代わりに、熱発生構造402に平行な方向へ、または、熱発生構造402に垂直であるが図の方向と反対の方向へ(例えば、紙面の下方に向かって)、熱発生構造402から離れるように流体を方向付けてもよい。複数の冷却システム400がアレイで提供される場合、各冷却システム400が導管を備えてよく、端部にある冷却システム400のみが導管を含んでよく、加熱された流体が流れる経路を提供するために、その他のダクトがアレイの端部または他の位置に提供されてよく、および/または、加熱された流体が熱発生構造402に近接した領域から除去されることを可能にするために、その他のメカニズムが利用されてよい。
【0070】
図4Aは、中立位置にある冷却システム400を示している。したがって、冷却素子410および420は、実質的に平坦である様子が示されている。動作中、圧電型冷却素子410および420は、
図4Bおよび
図4Cに示す位置の間で振動するように作動される。したがって、圧電型冷却素子410および420は、圧電型アクチュエータである。冷却システム400の動作について、
図4Bおよび
図4Cの文脈で説明する。
図4Bを参照すると、圧電型冷却素子410は、熱発生構造402から離れる(凸状に変形する)ように作動され、圧電型冷却素子420は、熱発生構造402に向かう(凹状に変形する)ように作動されている。この構成を吸引配置と呼ぶことにする。圧電型冷却素子410および420の振動運動のために、ギャップ442は、サイズが増大しており、ギャップ442Aとして示されている。例えば、いくつかの実施形態において、ギャップ442は、中立位置で10マイクロメートル以上かつ20マイクロメートル以下の高さを有する(
図4A)。ギャップ442Aは、吸引配置において、20マイクロメートル以上かつ30マイクロメートル以下の高さを有してよい(
図4B)。したがって、上部チャンバ440は容積が増大し、一方、下部チャンバ450は容積が減少している。吸引配置では、パッシブベント412の流れ抵抗(パッシブ吸引流れ抵抗)が低い。結果として、パッシブベント412における圧力が低い。対照的に、アクティブベント422の流れ抵抗(アクティブ吸引流れ抵抗)は高い。結果として、アクティブベント422における圧力は高い。低いパッシブ吸引流れ抵抗のために、流体が、パッシブベント412を通して上部チャンバ440へ引き込まれる。これは、
図4Bに矢印で示されている。しかしながら、流体は、高いパッシブ吸引流れ抵抗のために、アクティブベント422から流れ出ることがない(または、限られた程度で流れ出る)。しかしながら、アクティブベント422は、この構成において物理的に閉じられていない。例えば、アクティブベント422は、吸引配置においてオリフィスプレート430と接触していない。
【0071】
図4Cは、放出配置を示す。圧電型冷却素子410は、熱発生構造402に向かう(凹状に変形する)ように作動され、圧電型冷却素子420は、熱発生構造402から離れる(凸状に変形する)ように作動されている。圧電型冷却素子410および420の振動運動のために、ギャップ442は、サイズが減少しており、ギャップ442Bとして示されている。例えば、いくつかの実施形態において、ギャップ442は、中立位置で10マイクロメートル以上かつ20マイクロメートル以下の高さを有する(
図4A)。ギャップ442Bは、放出配置において、5マイクロメートル以上かつ10マイクロメートル以下の高さを有する(
図4C)。したがって、上部チャンバ440は容積が減少し、一方、下部チャンバ450は容積が増大している。放出配置では、パッシブベント412の流れ抵抗(パッシブ放出流れ抵抗)が高い。結果として、パッシブベント412における圧力が高い。対照的に、アクティブベント422の流れ抵抗(アクティブ放出流れ抵抗)は低い。結果として、アクティブベント422における圧力は低い。低いアクティブ放出流れ抵抗のために、流体は、上部チャンバ440からアクティブベント422を通り、オリフィス432を通して下部チャンバ450へ放出される。これは、
図4Cに矢印で示されている。しかしながら、流体は、高いパッシブ放出流れ抵抗のために、パッシブベント412から流れ出ることがない(または、限られた程度で流れ出る)。したがって、放出配置においては、パッシブベント412は閉じられていると見なされ、アクティブベント422は開いていると見なされる。しかしながら、パッシブベント412は、この構成において物理的に閉じられていない。例えば、パッシブベント412は、放出配置において冷却素子420と接触していない。ギャップ442Bの長さは、ゼロではない。
【0072】
仮想バルブが、アクティブベント422およびパッシブベント412に、または、それらの近くに形成されると見なされてよい。仮想バルブは、閉じられた時に、高いが無限ではない流れ抵抗を有する。したがって、仮想バルブは、物理的に流れを遮断しないが、その代わりに、高い流れ抵抗または高い圧力を利用して、流れを絞りまたは阻止する。仮想バルブは、開いた時に、著しく低い流れ抵抗または圧力を有し、流れを許容する。いくつかの実施形態において、仮想バルブの閉状態と開状態との間の流れ抵抗または圧力の比は、3以上かつ10以下である。したがって、アクティブベント422およびその仮想バルブ(「アクティブ仮想バルブ」)は、吸引配置において流体がほとんどまたは全くアクティブベント422を通して流れないほど十分に流れ抵抗が高いことから、吸引配置では閉じられていると見なされる。パッシブベント412およびその仮想バルブ(「パッシブ仮想バルブ」)は、流体がパッシブベント412を通して上部チャンバ440に引き込まれることを許容するほど十分に圧力または流れの抵抗が低いことから、吸引配置では開いていると見なされる。対照的に、アクティブベント422およびアクティブ仮想バルブは、流体がアクティブベント422を通して流れてオリフィス432から駆動されることを許容するほど十分に圧力または流れの抵抗が低いことから、放出配置では開いていると見なされる。パッシブベント412およびパッシブ仮想バルブは、圧力または流れの抵抗が十分に高く、放出配置において流体がほとんどまたは全くパッシブベント412を通して引き込まれないことから、放出配置では閉じられていると見なされる。
【0073】
冷却要素410および420の振動運動(および、それに伴う
図4Bから
図4Cへのギャップ442A/442Bの減少)により、流体は、上部チャンバ440へ引き込まれ、オリフィス432を通る。流体の動きは、オリフィス432を通る矢印で示されている。流体は、
図4Cに一部のオリフィス432に対する破線および矢印で示されているように、オリフィスプレート420から離れると拡散しうる。流体は、熱発生構造402で逸れて、熱発生構造402とオリフィスプレート430との間のチャネルに沿って移動する。
【0074】
図4Bおよび
図4Cに示す位置の間の運動は、繰り返されてよい。したがって、圧電型冷却素子410および420が振動することで、冷却素子410の遠位側からパッシブベント412を通して上部チャンバ440に流体を引き込み、チャンバ440からアクティブベント422を通して送り、オリフィス432を通して熱発生構造402に向かって流体を押し出す。いくつかの実施形態において、冷却素子410および/または420の振動の周波数は、冷却素子120と類似している。さらに、いくつかの実施形態において、圧電型冷却素子410および/または420は、共振周波数またはその近くの周波数で駆動されてよい。また、圧電型冷却素子410および420の共振周波数は、近いことが望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、圧電型冷却素子410および420の共振周波数は、100ヘルツ以内であることが望ましい。いくつかの実施形態において、フィードバックが、共振状態またはその近くに圧電型冷却素子410および/または420を維持するために用いられる。いくつかの実施形態において、冷却素子410および/または420の共振周波数は、チャンバ440および/または450の音響共振周波数と密接に整合される。いくつかの実施形態において、流体が熱発生構造402に衝突する速度は、冷却システム100について本明細書に記載されている範囲内にある。
【0075】
図4Cに示すように、熱発生構造402に向かって駆動された流体は、熱発生構造402の上面と実質的に垂直(鉛直)に移動しうる。他の実施形態において、流体の動きは、熱発生構造402の上面の法線に対して非ゼロの鋭角を有してもよい。いずれの場合でも、流体は、熱発生構造402において薄くなり、および/または、流体の境界層に開口部を形成しうる。一例の境界層が、
図4Cで熱発生構造402の上面に曲線状の点線で示されている。結果として、熱発生構造402からの熱の伝達が改善されうる。流体は、熱発生構造402で逸れて、熱発生構造402の表面に沿って移動する。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造402の上面と実質的に平行な方向に移動する。したがって、熱発生構造402からの熱が、流体によって除去されうる。流体は、冷却システム400の端部において、オリフィスプレート430と熱発生構造402との間の領域から出る。図の実施形態において、冷却システム400の端部にある導管460が、熱発生構造402から流体を運び去ることを可能にする。他の実施形態において、加熱された流体は、別の方法で熱発生構造402から遠くへ移動されてもよい。流体は、冷却要素410の遠位側に戻ってよく、そこで、流体は、熱発生構造102から伝達された熱を別の構造または周囲環境へ交換しうる。次いで、流体は、さらなる熱を除去するために、冷却システム400を通して循環されてよい。他の実施形態において、加熱された流体は運び去られて、冷却素子410の遠位側で新たな流体に置き換えられる。結果として、熱発生構造402は、冷却されうる。
【0076】
チャンバ450へ流体を引き込んでオリフィス432を通して流体を放出するために行うパッシブベント412(パッシブ仮想バルブ)およびアクティブベント422(アクティブ仮想バルブ)の開閉は、流れ抵抗の動的な変化に基づいている。いくつかの実施形態において、アクティブ放出流れ抵抗に対するアクティブ吸引流れ抵抗の比は、3以上である。いくつかのかかる実施形態において、アクティブ放出流れ抵抗に対するアクティブ吸引流れ抵抗の比は、10以下である。いくつかの実施形態において、パッシブ吸引流れ抵抗に対するパッシブ放出流れ抵抗の比は、3以上である。いくつかのかかる実施形態において、パッシブ吸引流れ抵抗に対するパッシブ放出流れ抵抗の比は、10以下である。このように、ベント410および/または420に対応する仮想バルブが、開閉されうる。これらの圧力の比は、ギャップ442/442A/442Bのサイズの変化(例えば、いくつかの実施形態では、5~30マイクロメートル)に起因すると考えられてよい。いくつかの実施形態において、開状態と閉状態との間の圧力の差は、0.1気圧~0.2気圧である。例えば、吸引配置でのパッシブベント412における圧力は、放出配置でのパッシブベント412における圧力よりも0.1気圧以上かつ0.2気圧以下だけ低くてよい。同様に、放出配置でのアクティブベント422における圧力は、吸引配置でのアクティブベント422における圧力よりも0.1気圧以上かつ0.2気圧以下だけ低くてよい。
【0077】
冷却システム400を利用して、流体が、(吸引配置で)パッシブベント412を通して引き込まれ、(放出配置で)アクティブベント422およびオリフィス432を通して駆動されてよい。したがって、流体は、冷却システム100によって駆動される流体と類似した方法で、熱発生構造402から熱を効率的に放散させうる。したがって、冷却システム400を利用するデバイスの性能が改善されうる。さらに、冷却システム400は、MEMSデバイスであってよい。したがって、冷却システム400は、500マイクロメートルを超えない全体高さを有する小型になりうる。その結果として、冷却システム400は、スマートフォン、その他の携帯電話、仮想現実ヘッドセット、タブレット、2in1コンピュータ、ウェアラブル、携帯ゲーム機など、利用可能なスペースか限られているモバイル型のデバイスでの利用に適しうる。アクティブ冷却システム400は、その他のコンピュータデバイスで用いられてもよい。圧電型冷却素子410および/または420は、超音波周波数で振動されてよいので、ユーザは、冷却素子の作動に関連するノイズを全く聞きえない。第1および第2圧電型冷却素子の共振周波数またはそれに近い周波数で駆動された場合、冷却システムを動作させる際に用いられる電力が、大幅に低減されうる。
【0078】
図5A~
図5Eは、タイルまたはアレイとして構成された複数の冷却セルを備えているアクティブ冷却システム500の実施形態を示す。
図5Aは、上面図を示し、
図5B~
図5Eは、側面図を示している。
図5A~
図5Eは、正確な縮尺ではない。冷却システム500は、4つの冷却セル501A、501B、501C、および、501D(集合的または総称的に、501)を備えており、それらの冷却セルは、本明細書に記載されている冷却システムの内の1または複数に類似している。より具体的には、冷却セル501は、冷却システム100に類似している。いくつかの実施形態において、冷却セル501は、冷却システム400および/または別の冷却システムに類似していてよい。2×2構成の4つの冷却セル501が示されているが、いくつかの実施形態において、別の数および/または別の構成の冷却セル501が用いられてもよい。図の実施形態において、冷却セル501は、開口部512を有する共有上部プレート510と、冷却素子520と、オリフィス532を備えている共有オリフィスプレート530と、上部チャンバ540と、下部チャンバ550と、アンカ(支持構造)560と、を備えており、これらの構成要素は、開口部112を有する上部プレート110と、冷却要素120と、オリフィス132を有するオリフィスプレート130と、上部チャンバ140と、下部チャンバ150と、アンカ160と、に類似している。いくつかの実施形態において、冷却セル501は、一緒に加工され、例えば、上部プレート510およびオリフィスプレート530を切断することによって分離されてよい。冷却素子520は、異なる位相で(すなわち、シーソーに類似した方法で)駆動されている。さらに、
図5B~
図5Cおよび
図5D~
図5Eに見られるように、あるセル内の冷却素子520が、隣接するセル内の冷却素子520と異なる位相で駆動されている。
図5B~
図5Cでは、行方向に並んだ冷却素子520が、異なる位相で駆動されている。したがって、セル501A内の冷却素子520は、セル501B内の冷却素子520と位相が異なる。同様に、セル501C内の冷却素子520は、セル501D内の冷却素子520と位相が異なる。
図5D~
図5Eでは、列方向に並んだ冷却素子520が、異なる位相で駆動されている。したがって、セル501A内の冷却素子520は、セル501C内の冷却素子520と位相が異なる。同様に、セル501B内の冷却素子520は、セル501D内の冷却素子520と位相が異なる。冷却素子520を異なる位相で駆動することにより、冷却システム500における振動が低減されうる。
【0079】
冷却システム500の冷却セル501は、冷却システム100、400、および/または、類似の冷却システムと類似した方法で機能する。その結果として、本明細書に記載されている利点が、冷却システム500によって共有されうる。近くのセル内の冷却素子が異なる位相で駆動されるため、冷却システム500における振動が低減されうる。複数の冷却セル501が利用されるので、冷却システム500は、冷却力が改善されうる。さらに、複数の個々の冷却セル501および/または冷却システム500は、冷却セルの所望のフットプリントを実現するために様々な方法で組み合わせられてよい。
【0080】
図6Aおよび
図6Bは、閉じたデバイス610Aおよび開いたデバイス610Bで利用されている冷却システム600Aおよび600Bを示す。
図6Aを参照すると、アクティブ冷却システム600Aは、閉じたデバイス610Aで用いられている。したがって、流体(例えば、空気)は、デバイス内にとどまる。閉じたデバイス610Aは、モバイルデバイス(スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブック、仮想現実デバイス、および/または、その他のデバイスなど)であってよい。アクティブ冷却システム600Aは、1または複数の冷却セル601、(複数の冷却セル601で形成された)タイル、ならびに/もしくは、本明細書に記載されている冷却セル、冷却システム、および、それらの構成要素に類似した装置、を備える。ただし、明確にするために、一部のかかる構造は図示されていない。
【0081】
冷却セル601は、本明細書に記載されている冷却セル501、冷却システム100および/または400、ならびに、それらの構成要素に類似している。したがって、冷却セル601は、例えば、その中のチャンバの構造共振周波数および/または音響共振周波数で、振動運動を行うように駆動される冷却要素と、オリフィスプレートと、その他の構造と、を備えてよい。ただし、明確にするために、一部のかかる構造は図示されていない。冷却セル601も、振動運動を用いて、本明細書に記載されている速度で流体を駆動する。さらに、冷却セル601、ならびに、いくつかの実施形態において、アクティブ冷却システム600Aおよび/または600Bは、低プロファイルを有する。例えば、冷却セル601ならびに/もしくはアクティブ冷却システム600Aおよび/または600Bの合計厚さは、3ミリメートル以下でありうる。いくつかの実施形態において、冷却セル601ならびに/もしくはアクティブ冷却システム600Aおよび/または600Bの合計厚さは、2ミリメートル以下でありうる。
【0082】
熱発生構造602は、基板670上に存在する集積回路(例えば、チップパッケージ)および/またはその他の構造であってよい。熱発生構造602は、熱源であり、熱発生構造102および/または402もしくはヒートスプレッダと類似していてよい。単一の構成要素として記載されているが、いくつかの実施形態において、複数の構成要素が熱発生構造602内に存在し、冷却システム600Aによって冷却されてもよい。例えば、熱発生構造602は、熱源である構成要素に加えて、ヒートスプレッダ、ベイパーチャンバ、複数の集積回路、ならびに/もしくは、熱を拡散および/または低減するための他のメカニズム、を含みうる。基板670は、プリント回路基板またはその他の構造であってよい。集積回路またはその他の構成要素であってよい構成要素664、666、および、667も示されている。構成要素664、666、および、667を取り付けるためのメカニズムは図示されていない。図示されていないが、内部および/または外部の温度センサならびにその他の構成要素(ヒートスプレッダを含むが、それに限定されない)が用いられてもよい。デバイス610Aを囲むカバー604も示されている。
【0083】
冷却システム600Aは、熱発生構造602に近接して取り付けられている。例えば、冷却システム600Aは、熱発生構造602に近接したフレームに取り付けられてよい。いくつかの実施形態において、ヒートスプレッダ、ベイパーチャンバ、もしくは、熱を拡散および/または低減するためのその他のメカニズムが、構成要素662と冷却システム600との間に挿入されてよい。オリフィスプレートと、構成要素662、対応するヒートスプレッダ、および/または、その他の熱発生構造との間のジェットチャネルが、流体の流れを許容するために維持されてよい。
図6Aにおける流体の流れは、符号なしの矢印で示さている。
【0084】
冷却システム600Aは、本明細書に記載されている冷却システムと類似した方法で動作する。
図6Aにおける矢印でわかるように、構成要素667付近のより冷たい流体(例えば、空気)が、冷却システム600Aに向かって引っ張られる。冷却システム600Aは、その遠位側から近位側へ流体を駆動する。したがって、流体は、熱生成構造602に向かって駆動され、それに衝突する。熱発生構造602からの熱は、流体へ伝達される。流体は、熱発生構造602付近の領域から出て、熱発生構造602から熱を運び去る。流体は、閉じたデバイス610Aを通って、熱が流体流の経路に沿った1または複数の構造体に伝達されて構造体によって放散されうるのに十分に離れたデバイス610Aの領域へ駆動される。つまり、流体は、冷却システム600Aを出た流体が、熱発生構成要素602の表面よりも低い温度を有するデバイス610A内の1または複数の構造体を通過するような経路をたどる。いくつかの実施形態において、これらの構造体は、構造体を通過する流体よりも低い温度を有する。したがって、デバイス610A内のかかる構造体は、熱発生構造602からの熱を運ぶ流体から或る程度の熱を吸収しうる。いくつかの実施形態において、流体は、冷却システム600Aに戻る前に、冷却システム600Aから遠位の領域に駆動される。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造602から伝達された熱の少なくとも90%が流体から除去されるのに十分な数および/または構成の低温構造体を通過する。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造602から伝達された熱の少なくとも80%が流体から除去されるのに十分な数および/または構成の低温構造体を通過する。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造602の定常状態動作時に熱発生構造602から伝達された熱の少なくとも50%が流体から除去されるのに十分な数および/または構成の低温構造体を通過する。いくつかの実施形態において、熱発生構造602から伝達された熱は、他の割合で、流体から除去される。いくつかの実施形態において、デバイス610Aは、ダクト、基板670および/またはケース604の溝、もしくは、流体の流れを方向付けるために用いられるその他の特徴を備える。いくつかの実施形態において、流体の経路は、ヒートシンクまたは熱を放散させるためのその他のメカニズムを含んでもよい。例えば、カバー604が、熱を放散させるために利用されてよい。
【0085】
例えば、デバイス610Aにおいて、熱発生構造602の領域を出た流体は、基板670の一部に沿って構成要素664および666を通り過ぎるように駆動される。また、流体は、構成要素666および664に沿って戻る前に、カバー604に沿って構成要素667の周りを進む様子が示されている。次いで、流体は、冷却セル601に再び入り、再利用されてよい。
図6Aでは明示的に示されていないが、一部の流体は、構成要素664および666の間、ならびに、構成要素666および666の間、を流れうる。さらに、いくつかの実施形態において、流体は、所望の通りに冷却されるために、(例えば、構成要素667を通り過ぎて)反対端にまで流れる必要はない。カバー604、ならびに/もしくは、構成要素664、666、および、667の内の1または複数は、熱発生構造602よりも冷たく、かつ、熱発生構造602からの熱を運ぶ流体よりも冷たいので、流体中の熱は、構成要素604、664、666、および、667の内の1または複数によって吸収されうる。いくつかの実施形態において、構成要素604、664、666、および、667の内の1または複数に伝達される熱の割合は、上述の通りである。したがって、冷却セル601に戻る流体は、熱発生構造602の領域を離れる流体よりも冷たい。冷却セル601は、より冷たい流体を熱発生構造602に向かって駆動する。流体は、デバイス610A内を移動する間に冷却されているので、熱発生構造602から熱を吸収することができる。
【0086】
アクティブ冷却システム600Aは、冷却システム100、400、および/または、500の利点を提供しうる。したがって、冷却システム600Aは、より低い電力で、より効率的かつ静かに熱発生構造602を冷却しうる。したがって、熱発生構造602の性能が改善されうる。デバイスのさらなる部分(構成要素664および/または667など)を冷却するために、さらなる冷却システム(図示せず)が利用されてもよく、および/または、冷却システム600Aのサイズが、例えば、さらなるセルを追加することによって、増大されてもよい。アクティブ冷却システム600Aは、閉じたデバイス610A内で加熱された流体を循環させるので、熱発生構造602からの熱は、熱をより良好に放散させることができうる様々な構造の間に拡散されうる。したがって、閉じたデバイス610Aの性能が改善されうる。
【0087】
さらに、アクティブ冷却システム600Aは、デバイス610Aのカバー604上のホットスポットに関連する問題を軽減するために利用されてもよい。アクティブ冷却システム600Aを利用しない従来のデバイスでは、ホットスポットは、典型的に、輻射および/または自由対流により、集積回路またはヒートスプレッダのすぐ上のカバーの裏側部分(熱発生構造602のすぐ上のカバー604の部分に対応する)で発生する。これらのホットスポットの温度を下げるために、従来の装置は、典型的に、ヒートスプレッダとバックカバーとの間の距離を長くし(例えば、熱発生構造602とカバー604との間の距離を長くし)、ヒートスプレッダ/集積チップの領域の上に穴を配置して(例えば、カバー604において熱発生構造602の上方に穴を配置して)、ファンシステムを用いてこれらの穴から空気を引き抜こうとし、または、ヒートスプレッダ/集積回路の近くのバックカバーに伝熱テープを配置して(例えば、熱発生構造602の近くのカバー604の領域に伝熱テープを配置して)、ホットスポットから熱を奪うことで、ホットスポットから熱を奪う。しかしながら、従来のシステムにおいて、バックカバーとヒートスプレッダ/集積回路との間の距離を長くできるのには限界がありうる。典型的には、ヒートスプレッダ/集積回路の領域に高い流れ抵抗が存在する。したがって、ファンがホットスポットを軽減するのに十分な流れをこの領域で発生させる能力には限界がありうる。さらに、スマートフォンなどのデバイスでは、複数のファンを利用できない場合がある。同様に、伝熱テープの利用は、カバーにわたって熱を拡散するのに限られた能力しか発揮しない。対照的に、アクティブ冷却システム600Aがオンにされると、アクティブ冷却システム600Aに向かって流れるより冷たい流体(例えば、空気)が、熱発生構造602を冷却するために利用されるだけでなく、アクティブ冷却システム600Aの近くのカバー604の領域を自然に冷却しうる。例えば、いくつかの実施形態において、アクティブ冷却システム600Aの流入口付近の領域は、デバイス610の定常状態動作時に、熱発生構造602付近の領域を出る流体よりも少なくとも20℃低くなりうる。いくつかの実施形態において、アクティブ冷却システム600Aの流入口付近の領域は、デバイス610の定常状態動作時に、熱発生構造602付近の領域を出る流体よりも少なくとも30℃低くなりうる。いくつかの実施形態において、アクティブ冷却システム600Aの流入口付近の領域は、デバイス610の定常状態動作時に、熱発生構造602付近の領域を出る流体よりも最大で35℃まで低くなりうる。同様の理由で、システム600Aがオンであり、熱発生構造602を冷却するために用いられている時、アクティブ冷却システム600Aの流入口(例えば、ベント112および/または422と類似したベント)に近接する(例えば、真っ直ぐに整列した)ケース604の外面温度は、少なくとも5℃低下する。いくつかの実施形態において、システム600Aがオンであり、熱発生構造602を冷却するために用いられている時、アクティブ冷却システム600Aの流入口に近接するケース604の外面温度は、少なくとも10℃低下する。その他の(例えば、より大きい)低下が、いくつかの実施形態において可能である。このように、カバー604上のホットスポット領域が、低減または排除されうる。
【0088】
図6Bは、開いたデバイス610Bで用いられている冷却システム600Bを示す。このように、流体(例えば、空気)は、デバイスに入って、その中を移動して、デバイスを出る。冷却システム600Bおよび開いたデバイス610Bは、それぞれ、冷却システム600Aおよび閉じたデバイス610Aと類似している。開いたデバイス610Bは、モバイルデバイス(スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブック、仮想現実デバイス、および/または、その他のコンピュータデバイスなど)であってよい。アクティブ冷却システム600Bは、1または複数の冷却セル601を備えており、冷却セル601は、本明細書に記載されている冷却セル501および601、冷却システム100および/または400、ならびに、それらの構成要素に類似している。したがって、冷却セル601は、例えば、構造共振周波数および/または音響共振周波数で、振動運動を行うように駆動される冷却要素と、オリフィスプレートと、その他の構造と、を備えてよい。ただし、明確にするために、一部のかかる構造は図示されていない。
【0089】
デバイス610Bは、デバイス610Aと類似している。したがって、類似した構造は、同様の符号を有する。デバイス610Bは、基板670上の熱発生構造602と、カバー604と、さらなる構成要素664、666、および、667と、を備えており、それらは、それぞれ、デバイス610Aの熱発生構造602と、基板670と、カバー604と、さらなる構成要素664、666、および、667と、に類似している。構成要素664、666、および、667を取り付けるためのメカニズムは図示されていない。図示されていないが、内部および/または外部の温度センサならびにその他の構成要素が用いられてもよい。冷却システム600Bは、熱発生構造602に近接して取り付けられている。例えば、冷却システム600Bは、熱発生構造602に近接したフレームに取り付けられてよい。オリフィスプレートと、熱発生構造602、対応するヒートスプレッダ、および/または、その他の熱発生構造との間のジェットチャネルが、流体の流れを許容するために維持されてよい。
図6Bにおける流体の流れは、符号なしの矢印で示さている。ベント690および692が、デバイス610Bの内部と外部環境との間の流体連通を許容する。図の実施形態において、ベント690は流入口690として動作し、ベント692は流出口692として動作する。
【0090】
冷却システム600Bの冷却セル601は、本明細書に記載されている冷却システムと類似した方法で動作する。
図6Bにおける矢印でわかるように、冷却システム600B付近のより冷たい流体(例えば、空気)が、冷却セル601に向かって引っ張られる。特に、流入口690からの流体が、冷却セル601に向かって移動する。冷却セル601は、熱発生構造602の遠位側から熱発生構造602の近位側へ流体を駆動する。したがって、流体は、熱発生構造602に向かって駆動され、それに接触する。熱が、流体へ伝達される。流体は、熱発生構造602に沿って流れ、熱発生構造602付近の領域から出て、熱発生構造602から熱を運び去る。このように、熱発生構造602からの熱を運ぶ流体をデバイス610Bから放出し、外部環境から新たな流体を流入口690から引き込むことで、熱発生構造602を冷却することができる。さらに、流体は、冷却セル601から遠位にある流出口692へ導かれるため、熱は、冷却システム600Aについて上述したのと類似した方法で、経路に沿った1または複数の構造体に伝達され、構造体によって放散されうる。例えば、構造体604、664、666、および、667は、熱発生構造602よりも低い温度を有し、および/または、熱発生構造602からの熱を運ぶ流体よりも低い温度を有しうるため、熱は、カバー604、ならびに/もしくは、構成要素664、666、および、667へ伝達されうる。したがって、流体は、デバイス610Bを出る前に、少なくとも幾分冷却されうる(すなわち、1または複数の構造体604、664、666、および/または、667へ熱を伝達しうる)。
【0091】
いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造602から伝達された熱の少なくとも90%が流体から除去されるのに十分な数または構成の低温構造体ならびに/もしくは十分な距離を通過する。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造602から伝達された熱の少なくとも80%が流体から除去されるのに十分な数および/または構成の低温構造体ならびに/もしくは十分な距離を通過する。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造602の定常状態動作時に熱発生構造602から伝達された熱の少なくとも50%が流体から除去されるのに十分な数および/または構成の低温構造体ならびに/もしくは十分な距離を通過する。その他の量の熱が、他の実施形態において放散されうる。いくつかの実施形態において、デバイス610Bは、ダクト、基板670および/またはケース604の溝、もしくは、流体の流れを方向付けるために用いられるその他の特徴を備える。いくつかの実施形態において、流体の経路は、ヒートシンクまたは熱を放散させるためのその他のメカニズムを含んでもよい。例えば、カバー604が、熱を放散させるために利用されてよい。結果的に、熱が、デバイス610Bから効率的に除去されうる。
【0092】
アクティブ冷却システム600Bは、アクティブ冷却システム100、400、500、および/または、600Aの利点を共有しうる。さらに、デバイス610Bの外側からの冷却流体を利用して熱発生構造602を冷却できるため、熱管理が改善されうる。したがって、熱発生構造602の性能がさらに改善されうる。デバイスのさらなる部分(構成要素664および/または667など)を冷却するために、さらなる冷却システム(図示せず)が利用されてもよく、および/または、冷却システム600Bのサイズが、例えば、さらなるセルを追加することによって、増大されてもよい。さらに、流体は、デバイス610Bを出る前に流体が少なくとも幾分冷却されるのに十分離れた流出口692まで駆動されうる。したがって、デバイス610Bにおける流出口692およびその他の構造は、望ましい場所に配置されてよい。それゆえ、デバイス610Bの構成が、より柔軟になりうる。デバイス610Bから出る流体は、ベント692が熱発生構造602の近くに配置された場合よりも冷たくなりうるため、ベント692を通して流れる流体に起因するユーザの不快感または負傷が軽減または回避されうる。さらに、カバー604上のホットスポットが、温度低下または排除されうる。
【0093】
同様に、
図7A~
図7Bは、閉じたデバイス710Aおよび開いたデバイス710Bでそれぞれ利用されているアクティブ冷却システム700Aおよび700Bを示す。冷却システム700Aおよび700Bは各々、1または複数の冷却セル、タイル、ならびに/もしくは、本明細書に記載されている冷却セル、冷却システム、および、それらの構成要素に類似した装置、を備える。例えば、冷却システム700Aおよび700Bは、アクティブ冷却システム100、400、500、600A、および/または、600Bの内の1または複数と類似している。ただし、明確にするために、一部のかかる構造は図示されていない。特に、冷却セル701を備えている冷却システム700A、および、閉じたデバイス710Aは、アクティブ冷却システム600A、冷却セル601、および、デバイス610Aと類似している。アクティブ冷却システム700B、冷却セル701、および、開いたデバイス710Bは、冷却システム600A、冷却セル601、および、開いたデバイス610Bと類似している。アクティブ冷却システム700Aおよび700Bは各々、明示的に複数の冷却セル701を備えており、各図で、冷却セルの内の1つのみに符号が付されている。
【0094】
熱発生構造760は、基板770上に存在する構成要素762(例えば、チップパッケージ)と、ヒートスプレッダ764とを含む。単一の構成要素として記載されているが、いくつかの実施形態において、複数の構成要素が構成要素762内に存在してもよい。ヒートスプレッダ764は、構成要素762から熱を拡散し、冷却システム700Aによって冷却される。したがって、装置710Aにおいて、ヒートスプレッダ764は、冷却システム700Aによって駆動される流体と、熱を発する構成要素762との間に明示的に挿入されている。基板770は、プリント回路基板であってよい。ヒートスプレッダ764は、冷却システム700Aと構成要素762との間に存在する。集積回路またはその他の構成要素であってよい構成要素765、766、および、767も示されている。構成要素765、766、および、767を取り付けるためのメカニズムは図示されていない。デバイス710Aを囲むカバー780も示されている。冷却システム700Aは、構成要素762に近接して取り付けられている。例えば、冷却システム700Aは、構成要素762に近接したフレームに取り付けられてよい。したがって、オリフィスプレートとヒートスプレッダ764との間にジェットチャネルが存在する。
図7Aにおける流体の流れは、符号なしの矢印で示さている。
【0095】
冷却システム700Aは、本明細書に記載されている冷却システム(特に、システム600A)と類似した方法で動作する。
図7Aにおける矢印でわかるように、構成要素766および767の間からのより冷たい流体(例えば、空気)が、冷却システム700Aに向かって引っ張られる。冷却システム700Aは、その遠位側から近位側へ、ヒートスプレッダ764に沿って、流体を駆動する。したがって、熱が、ヒートスプレッダ764から流体へ伝達され、ヒートスプレッダ764に沿って運ばれる。さらに、ヒートスプレッダ764は、その中に開口部を備える。加熱された流体は、ヒートスプレッダ764の端部付近の領域を出て、構成要素762およびヒートスプレッダ764から熱を運び去る。デバイス710Aは、流体が、デバイス710Aを通って、熱が流体流の経路に沿った1または複数の構造体に伝達されて構造体によって放散されうるのに十分に離れたデバイス710Aの領域まで移動するように構成されている。つまり、流体は、ヒートスプレッダ764付近の領域を出た流体が、ヒートスプレッダ764の表面よりも低い温度を有する1または複数の構造体を通過するような経路をたどる。いくつかの実施形態において、これらの構造体は、構造体を通過する流体よりも低い温度を有する。したがって、デバイス710A内のかかる構造体は、ヒートスプレッダ764からの熱を運ぶ流体から或る程度の熱を吸収しうる。いくつかの実施形態において、流体は、冷却システム700Aに戻る前に、冷却システム700Aから遠位のシステム710Aの領域に駆動される。いくつかの実施形態において、流体は、構成要素762から伝達された熱の少なくとも90%が流体から除去されるのに十分な数および/または構成の低温構造体を通過する。いくつかの実施形態において、流体は、構成要素762から伝達された熱の少なくとも80%が流体から除去されるのに十分な数および/または構成の低温構造体を通過する。いくつかの実施形態において、流体は、構成要素762の定常状態動作時に構成要素762から伝達された熱の少なくとも50%が流体から除去されるのに十分な数および/または構成の低温構造体を通過する。いくつかの実施形態において、熱発生構造760から伝達された熱は、他の割合で、流体から除去される。いくつかの実施形態において、デバイス710Aは、ダクト、基板770および/またはケース780の溝、もしくは、流体の流れを方向付けるために用いられるその他の特徴を備える。いくつかの実施形態において、流体の経路は、ヒートシンクまたは熱を放散させるためのその他のメカニズムを含んでもよい。例えば、カバー780および/またはその他の構造が、熱を放散させるために利用されてよい。
【0096】
アクティブ冷却システム700Aは、冷却システム100、400、500、600A、および/または、600Bの利点を提供しうる。したがって、冷却システム700Aは、より低い電力で、より効率的かつ静かに熱発生構造760を冷却しうる。したがって、構成要素762の性能が改善されうる。デバイスのさらなる部分(構成要素765、766、および/または、767など)を冷却するために、さらなる冷却システム(図示せず)が利用されてもよく、および/または、冷却システム700Aのサイズが、例えば、さらなるセルを追加することによって、増大されてもよい。アクティブ冷却システム700Aは、閉じたデバイス710A内で加熱された流体を循環させるので、熱発生構造660からの熱は、熱をより良好に放散させることができうる様々な構造の間に拡散されうる。したがって、閉じたデバイス710Aの性能が改善されうる。さらに、ケース780上のホットスポットが、温度低下または排除されうる。
【0097】
図7Bは、開いたデバイス710Bで用いられている冷却システム700Bを示す。このように、流体(例えば、空気)は、デバイスに入って、その中を移動して、デバイスを出る。冷却システム700Bおよび開いたデバイス710Bは、それぞれ、冷却システム700Aおよび閉じたデバイス710Aと類似している。開いたデバイス710Bは、モバイルデバイス(スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブック、仮想現実デバイス、および/または、その他のコンピュータデバイスなど)であってよい。アクティブ冷却システム700Bは、複数の冷却セル701を備えており、冷却セル701は、本明細書に記載されている冷却セル501、601、および、701、冷却システム100および/または400、ならびに、それらの構成要素に類似している。したがって、冷却セル701は、例えば、構造共振周波数および/または音響共振周波数で、振動運動を行うように駆動される冷却要素と、オリフィスプレートと、その他の構造と、を備えてよい。ただし、明確にするために、一部のかかる構造は図示されていない。
【0098】
デバイス710Bは、デバイス710Aと類似している。したがって、類似した構造は、同様の符号を有する。デバイス710Bは、構成要素762から離れたヒートスプレッダ764を明示的に含む基板670上の熱発生構造660を備える。さらなる構成要素765、766、および、767、ならびに、カバー780も示されており、これらは、
図7Aに示したものと類似している。図示されていないが、内部および/または外部の温度センサならびにその他の構成要素が用いられてもよい。冷却システム700Bは、熱発生構造760に近接して取り付けられている。例えば、冷却システム700Bは、熱発生構造760に近接したフレームに取り付けられてよい。オリフィスプレートとヒートスプレッダ764との間のジェットチャネルが、流体の流れを許容するために維持されてよい。
図6Bにおける流体の流れは、符号なしの矢印で示さている。ベント790および792が、デバイス610Bの内部と外部環境との間の流体連通を可能にする。図の実施形態において、ベント790は流入口790として動作し、ベント792は流出口792として動作する。
【0099】
冷却システム700Bの冷却セル701は、本明細書に記載されている冷却システムと類似した方法で動作する。
図7Bにおける矢印でわかるように、流入口790からのより冷たい流体(例えば、空気)が、冷却セル701に向かって引っ張られる。冷却セル701は、ヒートスプレッダ764の遠位側からヒートスプレッダ764の近位側へ流体を駆動する。したがって、流体は、ヒートスプレッダ764の表面に向かい、そして、それに沿うように駆動される。熱が、流体へ伝達される。流体は、ヒートスプレッダ764付近の領域を出て、熱を運び去る。デバイス710Bの構成により、流体は、流出口792に向かって方向付けられる。このように、熱発生構造760からの熱を運ぶ流体をデバイス710Bから放出し、外部環境から新たな流体を流入口790から引き込むことで、熱発生構造760を冷却することができる。流体は、冷却セル701から遠位にある流出口792へ導かれるため、熱は、冷却システム700Aについて上述したのと類似した方法で、経路に沿った1または複数の構造体に伝達され、構造体によって放散されうる。例えば、構造体704、765、766、および、767は、ヒートスプレッダ764よりも低い温度を有し、および/または、熱発生構造760からの熱を運ぶ流体よりも低い温度を有しうるため、熱は、カバー704、ならびに/もしくは、構成要素765、766、および、767へ伝達されうる。したがって、流体は、デバイス710Bを出る前に、少なくとも幾分冷却されうる(すなわち、1または複数の構造体704、765、766、および/または、767へ熱を伝達しうる)。いくつかの実施形態において、流体は、本明細書に記載の熱発生構造760から伝達された熱の一部が流体から除去されるのに十分な数または構成の低温構造体ならびに/もしくは十分な距離を通過する。結果的に、熱が、デバイス710Bから効率的に除去されうる。
【0100】
アクティブ冷却システム700Bは、アクティブ冷却システム100、400、500、600A、600B、および/または、700Aの利点を共有しうる。さらに、デバイス710Bの外側からの冷却流体を利用して熱発生構造760を冷却できるため、熱管理が改善されうる。したがって、熱発生構造760の性能がさらに改善されうる。デバイスのさらなる部分(構成要素765および/または767など)を冷却するために、さらなる冷却システム(図示せず)が利用されてもよく、および/または、冷却システム700Bのサイズが、例えば、さらなるセルを追加することによって、増大されてもよい。さらに、流体は、デバイス710Bを出る前に流体が少なくとも幾分冷却されるのに十分離れた流出口792まで駆動されうる。したがって、デバイス610Bにおける流出口792およびその他の構造は、望ましい場所に配置されてよい。それゆえ、デバイス710Bの構成が、より柔軟になりうる。デバイス710Bから出る流体は、ベント792が熱発生構造760の近くに配置された場合よりも冷たくなりうるため、ベント792を通して流れる流体に起因するユーザの不快感または負傷が軽減または回避されうる。さらに、ケース780上のホットスポットが、温度低下または排除されうる。
【0101】
図8は、スマートフォン810で用いられている冷却システム800を示す。冷却システム800は、1または複数の冷却セル、タイル、ならびに/もしくは、本明細書に記載されている冷却セル、冷却システム、および、それらの構成要素に類似した装置、を備える。ただし、明確にするために、かかる構造は図示されていない。図の実施形態において、スマートフォン810は閉じている。したがって、スマートフォン810内の熱発生構造を冷却するために用いられた流体(例えば、空気)は、スマートフォン810内にとどまる。スマートフォンは、さらに、筐体820およびミッドフレーム840を備える。他の実施形態において、スマートフォン810は、外部環境との流体連通を可能にするために、流入口および/または流出口を備えてもよい。いくつかの実施形態において、複数のアクティブ冷却システム800が、スマートフォン810に配備されてもよい。明確にするために、スマートフォン810の上部の一部が除去されている。
【0102】
動作中、アクティブ冷却システム800は、下層にある1または複数の熱発生構造(例えば、1または複数のプロセッサ)に向かって流体を駆動する。
図8において符号なしの矢印の方向でわかるように、加熱された流体は、スマートフォン810に沿ってバッテリを通り過ぎる。加熱された流体がスマートフォン810を横切る時に、熱が、より低い温度を有する他の構造へ伝達される。例えば、熱は、筐体820および/またはミッドフレーム840へ伝達されうるスマートフォン810は、この流体の流れを許容するよう構成されている。例えば、流体の流れを方向付けるために、溝またはチャネル820(それらの内の1つのみに符号が付されている)が、ミッドフレーム840および/または筐体820に提供されてよい。同様に、空間832が、アクティブ冷却システム800付近の領域を出るための流体の経路を提供している。このように、デバイス810内の1または複数の熱吸収構造を通る流体の流れのための経路が提供されている。冷却システム800から遠位のスマートフォン810の領域(図の実施形態において、スマートフォン810の反対端)において、冷却された流体が冷却システム800へ戻る帰還経路が始まっている。したがって、流体は、スマートフォン810の中を循環する。
【0103】
このように、冷却システム800は、スマートフォン810を冷却するために用いられてよい。この冷却は、より効率がよく、熱発生構造からより大量の熱を伝達できうる。さらに、冷却システム800は、薄いので、厚さをほとんどまたは全く変えることなしに、スマートフォン800に組み込まれうる。したがって、スマートフォン800の性能が改善されうる。さらに、筐体820上のホットスポットが、温度低下または排除されうる。
【0104】
図9A~
図9Bは、冷却システム900を利用したスマートフォン910、および、冷却システム900を示す。冷却システム900は、本明細書に記載されている冷却セル/冷却システムと類似した4つの冷却セル901を備える。冷却セル901、フレキシブルコネクタ904、および、関連電子機器906の周りの流体の流れを制御するために用いられる任意選択的なダクト903も示されている。図の実施形態において、スマートフォン910は閉じている。したがって、スマートフォン910内の熱発生構造を冷却するために用いられた流体(例えば、空気)は、スマートフォン910内にとどまる。スマートフォン910は、カバーガラス922およびバックカバー924を有する筐体920を備える。スマートフォン910は、さらに、カメラモジュール912と、マザーボード914と、熱発生構造を形成するプロセッサ960およびヒートスプレッダ962と、その他の電子構成要素916と、バッテリ918と、ミッドフレーム940と、を備える。
【0105】
図9Aに見られるように、冷却システム900は、冷却された流体(符号のない実線矢印)を熱発生構造上へ駆動する。この実施形態において、熱発生構造は、マザーボード914上のプロセッサ960へ熱的に結合されているヒートスプレッダ962を含む。冷却システム900は、この実施形態において、ミッドフレーム940に結合されている。いくつかの実施形態において、冷却システム900は、別の構成要素に接続されてもよい。冷却システム900によって駆動された流体は、プロセッサ960およびヒートスプレッダ962に向かって駆動され、ヒートスプレッダ962に沿って流れ、プロセッサ960によって発せられた熱を除去する。加熱された流体(符号のない破線矢印)は、ミッドフレーム940およびバッテリ918に沿って移動する。バックカバー924が、熱を放散させるために利用されてよい。例えば、流体の熱は、バックカバー924へ対流されて、外へ放射されうる。同様に、熱は、ミッドフレーム940にも伝達されて発散されうる。バックカバー924およびミッドフレーム940は、加熱された流体よりも温度が低いため、これらの構造へ熱が伝達されうる。ミッドフレーム940におけるバッテリ918への近位側にあるミッドフレーム940の溝941(点線で示されている)、および、バックカバー924にある溝944(点線で示されている)が、流体の流れを制御するために利用されてよい。いくつかの実施形態において、溝は、0.2ミリメートル~0.4ミリメートル(例えば、公称で0.3ミリメートル)のオーダーの深さを有してよい。したがって、流体は、ミッドフレーム940およびバックカバー924に沿って流れる時に冷却される。これは、符号のない長い破線矢印で示されている。バッテリ918を通り過ぎて、より冷たい流体は、カバーガラス922に沿って戻り、そこで、冷却され続ける。流体は、ミッドフレーム940とカバーガラス922との間の空間に、および/または、ミッドフレーム940の溝942(点線で示されている)に導かれうる。いくつかの実施形態において、空間および/または溝942は、0.2ミリメートル~0.4ミリメートル(例えば、公称で0.3ミリメートル)のオーダーの深さを有してよい。冷却された流体は、冷却システム900に戻り、そこで、プロセッサおよび/またはその他の構成要素の冷却に再び利用されうる。
【0106】
このように、冷却システム900は、スマートフォン900を冷却するために用いられてよい。また、スマートフォン900の構成(溝、および、スマートフォン900内での構造の配置、など)は、流体の流れを方向付け、流体から熱を吸収するのに役立ちうる。この冷却は、より効率がよく、熱発生構造からより大量の熱を伝達できうる。さらに、冷却システム900は、薄いので、厚さをほとんどまたは全く変えることなしに、スマートフォン900に組み込まれうる。したがって、スマートフォン900の性能が改善されうる。さらに、カバー922上のホットスポットが、温度低下または排除されうる。
【0107】
図10A~
図10Dは、本明細書に記載したような冷却システムを備えているおよび備えていないスマートフォンの実施形態および性能を示す。より具体的には、
図10Aは、ベイパーチャンバのみを用いて冷却されているスマートフォン1000Aを示す。そのため、アクティブ冷却システムは利用されていない。したがって、スマートフォン1000A内では、流体の流れが最小限である。
図10Bは、本明細書に記載のアクティブ冷却システム1001Bを備える閉じたスマートフォン1000Bの実施形態を示す。したがって、
図10Bに示すスマートフォンの冷却に用いられる流体(例えば、空気)は、スマートフォン内にとどまる。スマートフォン1000Bは、流体が、冷却システム1001Bの近くの熱発生構造の表面から、熱発生構造の表面よりも低い温度を有する構造体を通過する経路をたどるように構成されている。構造体は、流体から熱を吸収する。次いで、流体は、冷却システム1001Bに戻る。流体の経路は、その内の2つのみに符号が付されており、ライン1002Bによってわかりうる。
【0108】
図10Cは、本明細書に記載の冷却システム1001Cを備えるベント型スマートフォン1000Cの実施形態を示す。ベント型スマートフォン1000Cは、さらに、流入口1003Cおよび流出口1004Cを備える。したがって、
図10Cに示すスマートフォン1000Cについては、スマートフォン1000Cの外部からの冷却された空気が、熱発生構造を冷却するために冷却システムによって用いられ、加熱された流体が、スマートフォンから放出されうる。スマートフォン1000Cは、上述のように、より冷たい流体が流入口1003Cを介して入り、アクティブ冷却システム1001Cによって熱発生構造に向かって駆動されるように構成されている。流体は、熱発生構造から熱を除去し、冷却システム1001Cの近くにある熱発生構造の表面から、熱発生構造の表面よりも低い温度を有する構造体を通過する経路をたどる。構造体は、流体から熱を吸収する。流体は、流出口1004Cを介してベント型スマートフォン1000Cの外へ方向付けられる。流体の経路は、その内の3つのみに符号が付されており、ライン1002Cによってわかりうる。
【0109】
図10Dは、
図10A、
図10B、および、
図10Cのそれぞれのスマートフォン1000A、1000B、および、1000Cのプロセッサによって利用可能な電力をそれぞれ示す曲線1010、1020、および、1030を含むグラフである。
図10Dは、説明を目的としたものにすぎず、特定のデバイスに対応することを意図していない。
図10Dに見られるように、スマートフォン1000A(本明細書に記載のアクティブ冷却システムなし)の曲線1010は、プロセッサの加熱によって、より低い電力を利用している。さらに、プロセッサは、点1012において、より早く、かつ、より低い電力で、スロットリングを開始している。曲線1020は、本明細書に記載されている冷却システム1001Bを利用する閉じたスマートフォン1000Bのプロセッサが、より高い電力を利用(および消費)できることを示している。さらに、点1022におけるスロットリングは、曲線1010よりも遅く、かつ、高い電力で起こっている。曲線1030は、本明細書に記載されている冷却システムを利用するベント型スマートフォン1000Cのプロセッサが、さらに高い電力を利用し、より長い期間にわたってスロットリングなしで耐えうることを示している。このように、性能が改善されうる。さらに、上述のように、冷却システムのサイズ故に、冷却システムを利用するスマートフォンの厚さを変えないままでよい。さらに、スマートフォン1000Bおよび1000Cのカバー上のホットスポットが、温度低下または排除されうる。
【0110】
本明細書に記載されている冷却システムは、他のデバイスで利用され、同様の性能改善を実現しうる。例えば、
図11A~
図11Cは、本明細書に記載のアクティブ冷却を備えていないノートブックコンピュータ1100A(
図11Aに示す)と、本明細書に記載のアクティブ冷却システムを備えているノートブックコンピュータの実施形態(ベント型ノートブックコンピュータ1100Bなど)とについて、性能を比較している。より具体的には、
図11Aは、本明細書に記載の冷却システムを利用していないノートブックコンピュータ1100Aを示す。ノートブックコンピュータ1100Aは、ベントを有するが、ライン1102Aで示される流体の流れは、最小限である。
図11Bは、本明細書に記載の冷却システム1102Bを備える開いた(すなわち、ベント型の)ノートブックコンピュータ1100Bの実施形態を示す。したがって、ノートブックコンピュータ1100Bについては、ノートブックコンピュータの外部からの冷却された空気が、流入口1103Bを介して入り、冷却システム1001Bに向かって方向付けられ、熱発生構造を冷却するために冷却システムによって利用されうる。加熱された流体は、流出口1104Bに向かって方向付けられる。このように、加熱された流体は、ノートブックコンピュータ1100Bから放出される。流体の流れは、その内の3つのみに符号が付されており、ライン1102Bによって示されている。
図11Cは、ノートブックコンピュータ1100A、閉じたノートブックコンピュータの実施形態(
図11A~
図11Cには図示せず)、および、ベント型ノートブックコンピュータ1100Bのプロセッサによって利用可能な電力をそれぞれ示す曲線1110、1120、および、1130を含むグラフである。
図11Dに見られるように、本明細書に記載の冷却システムを利用しないノートブックコンピュータの曲線1110は、プロセッサの加熱によって、より低い電力を利用している。曲線1120は、本明細書に記載されている冷却システムを利用する閉じたノートブックコンピュータのプロセッサが、より高い電力を利用(および消費)できることを示している。曲線1130は、本明細書に記載されている冷却システムを利用するベント型ノートブックコンピュータのプロセッサが、さらに高い電力を利用し、より長い期間にわたってスロットリングなしで耐えうることを示している。このように、性能が改善されうる。さらに、上述のように、冷却システムのサイズ故に、冷却システムを利用するノートブックコンピュータの厚さを変えないままでよい。さらに、ノートブック1100Bのカバー上のホットスポットが、温度低下または排除されうる。
【0111】
同様に、
図12A~
図12Dは、本明細書に記載したような冷却システムを備えているおよび備えていない仮想現実デバイスの実施形態および性能を示す。より具体的には、
図12Aは、本明細書に記載の冷却システムを利用していない仮想現実デバイス1200Aを示す。したがって、仮想現実デバイス1200A内では、流体の流れが最小限である。
図12Bは、本明細書に記載のアクティブ冷却システム1201Bを備える閉じた仮想現実デバイス1200Bの実施形態を示す。したがって、
図12Bに示す仮想現実デバイス1200Bの冷却に用いられる流体(例えば、空気)は、仮想現実デバイス内にとどまる。仮想現実デバイス1200Bは、流体が、冷却システム1201Bの近くの熱発生構造の表面から、熱発生構造の表面よりも低い温度を有する構造体を通過する経路をたどるように構成されている。構造体は、流体から熱を吸収する。次いで、流体は、冷却システム1201Bに戻る。流体の経路は、その内の2つのみに符号が付されており、ライン1202Bによってわかりうる。
【0112】
図12Cは、本明細書に記載の冷却システム1201Cを備えるベント型仮想現実デバイス1200Cの実施形態を示す。ベント型仮想現実デバイス1200Cは、さらに、流入口1203Cおよび流出口1204Cを備える。したがって、
図12Cに示す仮想現実デバイス1200Cについては、仮想現実デバイス1200Cの外部からの冷却された空気が、熱発生構造を冷却するために冷却システムによって用いられ、加熱された流体が、仮想現実デバイスから放出されうる。仮想現実デバイス1200Cは、上述のように、より冷たい流体が流入口1203Cを介して入り、アクティブ冷却システム1201Cによって熱発生構造に向かって駆動されるように構成されている。流体は、熱発生構造から熱を除去し、冷却システム1201Cの近くにある熱発生構造の表面から、熱発生構造の表面よりも低い温度を有する構造体を通過する経路をたどる。構造体は、流体から熱を吸収する。流体は、流出口1204Cを介してベント型仮想現実デバイス1200Cの外へ方向付けられる。流体の経路は、その内の2つのみに符号が付されており、ライン1202Cによってわかりうる。
【0113】
図12Dは、仮想現実デバイス1200A、1200B、および、1200Cによって利用可能な電力をそれぞれ示す曲線1210、1220、および、1230を含むグラフである。
図12Dは、説明を目的としたものにすぎず、特定のデバイスに対応することを意図していない。
図12Dに見られるように、仮想現実デバイス1200A(本明細書に記載のアクティブ冷却システムなし)の曲線1210は、プロセッサの加熱によって、より低い電力を利用している。さらに、プロセッサは、点1212において、より早くスロットリングを開始している。曲線1220は、本明細書に記載されている冷却システム1201Bを利用する閉じた仮想現実デバイス1200Bのプロセッサが、より高い電力を利用(および消費)できることを示している。さらに、点1222におけるスロットリングは、曲線1210よりも遅く起こっている。曲線1230は、本明細書に記載されている冷却システムを利用するベント型仮想現実デバイス1200Cのプロセッサが、さらに高い電力を利用し、より長い期間にわたってスロットリングなしで耐えうることを示している。このように、性能が改善されうる。さらに、上述のように、冷却システムのサイズ故に、冷却システムを利用する仮想現実デバイスの厚さを変えないままでよい。さらに、仮想現実デバイス1200A、1200B、および、1200Cのカバー上のホットスポットが、温度低下または排除されうる。
【0114】
上述の実施形態は、理解しやすいようにいくぶん詳しく説明されているが、本発明は、提供された詳細事項に限定されるものではない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示されている実施形態は、例示であり、限定を意図するものではない。
[適用例1]システムであって、
流体と連通し、少なくとも1つの熱発生構造から熱を除去するために振動運動を利用して流体を前記少なくとも1つの熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成されている冷却素子を備えているアクティブ冷却システムを備え、
前記システムは、前記流体が、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面よりも低い温度の構造体を通過する経路をたどるように構成されており、前記構造体は前記流体から熱を吸収し、前記構造体は前記システム内で前記アクティブ冷却システムから遠位に存在する、システム。
[適用例2]適用例1に記載のシステムであって、前記システムは、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する前記経路をたどって前記アクティブ冷却システムに戻るように構成されている、システム。
[適用例3]適用例1に記載のシステムであって、さらに、
外部環境と流体連通することを許容する少なくとも1つのベントを備え、
前記システムは、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する前記経路をたどって前記システムから前記少なくとも1つのベントを通して前記外部環境へ出るように構成されている、システム。
[適用例4]適用例1に記載のシステムであって、前記冷却素子は、第1側および第2側を備え、前記第1側は、前記少なくとも1つの熱発生構造の遠位にあり、前記流体と連通しており、前記第2側は、前記少なくとも1つの熱発生構造の近位にあり、前記冷却素子は、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面に向かって移動するように、前記振動運動を利用して前記流体を前記第1側から前記第2側へ方向付けるよう構成されている、システム。
[適用例5]適用例4に記載のシステムであって、前記アクティブ冷却システムは、さらに、支持構造を備え、前記冷却素子は、中央を固定されている冷却素子および端部を固定されている冷却素子から選択され、前記中央を固定されている冷却素子は、中央領域および外周を有し、前記中央を固定されている冷却素子は、前記中央領域で前記支持構造によって支持され、前記外周の少なくとも一部が固定されておらず、前記端部を固定されている冷却素子は、中央部分および端部を有し、前記端部を固定されている冷却素子は、前記端部で前記支持構造によって支持され、少なくとも1つの開口部を有する、システム。
[適用例6]適用例1に記載のシステムであって、前記システムは、カバーを備え、前記アクティブ冷却システムは、流入口を備え、前記アクティブ冷却システムは、前記流入口に近接する前記カバーの領域の外面温度を少なくとも5℃低下させるよう構成されている、システム。
[適用例7]適用例1に記載のシステムであって、前記アクティブ冷却システムは、2ミリメートル以下の厚さを有する、システム。
[適用例8]適用例1に記載のシステムであって、前記少なくとも1つの熱発生構造は、特性的なスロットリング点を第1時点に有する特性的な電力対時間曲線を有し、前記少なくとも1つの熱発生構造は、アクティブ冷却された場合のスロットリング点を第2時点に有するアクティブ冷却された場合の電力対時間曲線を有し、前記第1時点は、前記第2時点未満である、システム。
[適用例9]システムであって、
複数の冷却セルを備えているアクティブ冷却システムを備え、前記複数の冷却セルの各々は、流体と連通し、少なくとも1つの熱発生構造から熱を除去するために振動運動を利用して前記流体を前記少なくとも1つの熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成されている冷却素子を備え、
前記システムは、前記流体が、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記システム内の構造体を通過する経路をたどるように構成されており、前記構造体は、前記流体から熱を吸収し、前記構造体は、前記システム内で、前記アクティブ冷却システムから遠位に存在する、システム。
[適用例10]適用例9に記載のシステムであって、前記システムは、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する前記経路をたどって前記アクティブ冷却システムに戻るように構成されている、システム。
[適用例11]適用例9に記載のシステムであって、さらに、
外部環境と流体連通することを許容する少なくとも1つのベントを備え、
前記システムは、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構造体を通過する前記経路をたどって前記システムから前記少なくとも1つのベントを通して前記外部環境へ出るように構成されている、システム。
[適用例12]適用例9に記載のシステムであって、前記冷却素子は、第1側および第2側を備え、前記第1側は、前記少なくとも1つの熱発生構造の遠位にあり、前記流体と連通しており、前記第2側は、前記少なくとも1つの熱発生構造の近位にあり、前記冷却素子は、前記流体が前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面に向かって移動するように、前記振動運動を利用して前記流体を前記第1側から前記第2側へ方向付けるよう構成されている、システム。
[適用例13]適用例12に記載のシステムであって、前記複数の冷却セルは、さらに、支持構造を備え、前記冷却素子は、中央を固定されている冷却素子および端部を固定されている冷却素子から選択され、前記中央を固定されている冷却素子は、中央領域および外周を有し、前記中央を固定されている冷却素子は、前記中央領域で前記支持構造によって支持され、前記外周の少なくとも一部が固定されておらず、前記端部を固定されている冷却素子は、中央部分および端部を有し、前記端部を固定されている冷却素子は、前記端部で前記支持構造によって支持され、少なくとも1つの開口部を有する、システム。
[適用例14]適用例9に記載のシステムであって、前記システムは、カバーを備え、前記複数の冷却セルの各々は、さらに、流入口を備え、前記アクティブ冷却システムは、前記流入口に近接する前記カバーの領域の外面温度を少なくとも5℃低下させるよう構成されている、システム。
[適用例15]適用例9に記載のシステムであって、前記アクティブ冷却システムは、2ミリメートル以下の厚さを有する、システム。
[適用例16]適用例9に記載のシステムであって、前記少なくとも1つの熱発生構造は、特性的なスロットリング点を第1時点に有する特性的な電力対時間曲線を有し、前記少なくとも1つの熱発生構造は、アクティブ冷却された場合のスロットリング点を第2時点に有するアクティブ冷却された場合の電力対時間曲線を有し、前記第1時点は、前記第2時点未満である、システム。
[適用例17]方法であって、
ある周波数の振動運動を引き起こすようにアクティブ冷却システムの冷却素子を駆動し、前記冷却素子は、流体と連通し、少なくとも1つの熱発生構造から熱を除去するために前記振動運動を利用して前記流体を前記少なくとも1つの熱発生構造の表面へ方向付けるよう構成され、
前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から通過する経路をたどるように、前記流体を方向付け、前記システムは、前記流体が、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から、前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面よりも低い温度の構造体を通過する経路をたどるように構成されており、前記構造体は、前記流体から熱を吸収し、前記構造体は、前記システム内で、前記アクティブ冷却システムから遠位に存在する、こと、
を備える、方法。
[適用例18]適用例17に記載の方法であって、前記方向付けは、さらに、
前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構成要素を通過する前記経路をたどって前記アクティブ冷却システムに戻るように、前記流体を方向付けることを含む、方法。
[適用例19]適用例17に記載の方法であって、前記方向付けは、さらに、
前記少なくとも1つの熱発生構造の前記表面から前記構成要素を通過する経路をたどって前記システムから少なくとも1つのベントを通して外部環境へ出るように、前記流体を方向付けることを含む、方法。
[適用例20]適用例17に記載の方法であって、前記少なくとも1つの熱発生構造は、特性的なスロットリング点を第1時点に有する特性的な電力対時間曲線を有し、前記少なくとも1つの熱発生構造は、アクティブ冷却された場合のスロットリング点を第2時点に有するアクティブ冷却された場合の電力対時間曲線を有し、前記第1時点は、前記第2時点未満である、方法。