IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 財團法人工業技術研究院の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】マルチステージバックコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
H02M3/155 W
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022055927
(22)【出願日】2022-03-30
(65)【公開番号】P2023081812
(43)【公開日】2023-06-13
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】110144821
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】蔡文田
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/175078(WO,A1)
【文献】特開2005-027488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続されたN個のキャパシタを含むキャパシタストリングと、
上記キャパシタストリングに接続されているとともに、N個のパワースイッチグループを含むパワースイッチモジュールと、
上記パワースイッチモジュールに接続されているとともに、エネルギー蓄積素子を含むパワー変換モジュールと、を備えており、
上記パワー変換モジュールの動作周波数は、N個の上記パワースイッチグループのそれぞれのスイッチング周波数のN倍に等しく、
Nは、以上の正の整数であり、
上記動作周波数は、上記エネルギー蓄積素子が単位時間内に充放電を完了する回数である、マルチステージバックコンバータ。
【請求項2】
N個の上記パワースイッチグループにおける第nパワースイッチグループは、第1パワースイッチと第2パワースイッチとを含み、
第nキャパシタは、上記第nパワースイッチグループにおける上記第1パワースイッチと上記第2パワースイッチとに接続されており、
nは、1からNまでの正の整数である、請求項1に記載のマルチステージバックコンバータ。
【請求項3】
第n充電インターバルにおいて、
上記第nパワースイッチグループにおける上記第1パワースイッチと上記第2パワースイッチとが同時に導通し、かつ、
N個の上記パワースイッチグループのその他のパワースイッチグループのそれぞれにおける上記第1パワースイッチと上記第2パワースイッチとが非導通となることにより、
上記第nキャパシタが上記パワー変換モジュールを充電する、請求項2に記載のマルチステージバックコンバータ。
【請求項4】
上記パワー変換モジュールは、パワースイッチをさらに含み、
放電インターバルにおいて、
上記パワー変換モジュールにおける上記パワースイッチが導通し、かつ、
N個の上記パワースイッチグループの全てが非導通となることにより、
上記パワー変換モジュールが放電する、請求項1に記載のマルチステージバックコンバータ。
【請求項5】
上記パワー変換モジュールは、パワースイッチをさらに含み、
上記パワースイッチの2つの端子は、上記パワースイッチモジュールの2つの端子にそれぞれ接続されており、
上記エネルギー蓄積素子の2つの端子は、上記パワースイッチモジュールの2つの端末にそれぞれ接続されている、請求項1に記載のマルチステージバックコンバータ。
【請求項6】
N個の上記パワースイッチグループのそれぞれは、複数のパワースイッチを含み、
放電インターバルにおいて、
N個の上記パワースイッチグループのうちの2つのパワースイッチグループにおける複数の上記パワースイッチのうちの2つが導通し、
N個の上記パワースイッチグループにおけるその他の複数の上記パワースイッチが非導通となることにより、
上記パワー変換モジュールが放電する、請求項1に記載のマルチステージバックコンバータ。
【請求項7】
N個のパワースイッチグループは、複数のパワースイッチを含み、
上記パワー変換モジュールと上記パワースイッチモジュールとが、複数の上記パワースイッチのうちの1つ以上を共有している、請求項1に記載のマルチステージバックコンバータ。
【請求項8】
上記第nキャパシタの第1端子は、第(n-1)キャパシタの第2端子に接続されており、
上記第nパワースイッチグループにおける上記第1パワースイッチの第1端子は、第1パワースイッチグループにおける上記第1パワースイッチと上記エネルギー蓄積素子の第1端子との間に位置するトレースに接続されており、
上記第nパワースイッチグループにおける上記第1パワースイッチの第2端子は、上記第(n-1)キャパシタの第2端子と第(n-1)パワースイッチグループにおける上記第2パワースイッチとの間に位置するトレースに接続されており、
上記第nパワースイッチグループにおける上記第2パワースイッチは、上記第nキャパシタの上記第2端子と上記エネルギー蓄積素子の第2端子との間に位置するトレースに接続されており、
nは、2からNまでの正の整数である、請求項2に記載のマルチステージバックコンバータ。
【請求項9】
上記第nパワースイッチグループにおける上記第1パワースイッチの第1端子は、上記パワー変換モジュールの第1端子に接続されており、
上記第nパワースイッチグループにおける上記第1パワースイッチの第2端子は、第(n-1)パワースイッチグループにおける上記第2パワースイッチの第1端子に接続されており、
上記第(n-1)パワースイッチグループにおける上記第2パワースイッチの第2端子は、上記パワー変換モジュールの第2端子に接続されており、
nは、2からNまでの正の整数である、請求項2に記載のマルチステージバックコンバータ。
【請求項10】
上記パワー変換モジュールは、ダイオードを含み、
上記パワースイッチモジュールの2つの端子は、上記ダイオードの2つの端子に接続されている、請求項1に記載のマルチステージバックコンバータ。
【請求項11】
N個の上記パワースイッチグループにおける第nパワースイッチグループは、パワースイッチとダイオードとを含み、
第nキャパシタは、上記第nパワースイッチグループにおける上記パワースイッチと上記ダイオードとに接続されており、
nは、1からNまでの正の整数である、請求項1に記載のマルチステージバックコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、マルチステージバックコンバータ(multi-stage buck converter)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のバックコンバータでは、パワースイッチのスイッチング周波数を増加させることにより、高電力密度(high power density)を増加させることができる。但し、このことは、スイッチング損失および発熱の増加を招く(電源能力(power supply capacity)の限界)。また、高周波信号は、寄生特性(parasitic characteristics)(インダクタンスまたはキャパシタンス)と共振しやすい。これらのことは、コンポーネント損傷(component burnout)およびシステム不安定性(system instability)を引き起こす。それゆえ、上述の従来の問題を改善するための新規なバックコンバータを提案することは、本技術分野における産業上の複数の目的のうちの1つである。
【0003】
米国特許公報US10,811,962B2におけるマルチレベルスイッチングパワーコンバータ(multi-level switching power converter)は、入力電力を出力電力に変換するマルチレベルパワーステージ回路(multi-level power stage circuit)を含む。当該パワーステージ回路は、インダクタと変換キャパシタ(conversion capacitor)と複数のパワースイッチとを含む。コントローラ回路は、マルチレベルパワーステージ回路を制御する。当該コントローラ回路は、(i)トリガパルスを発生させるフィードバックパルスジェネレータ回路と、(ii)上記トリガパルスに応じて、第1時間周期(first time period)および第2時間周期(second time period)をそれぞれ決定する第1タイマ回路および第2タイマ回路と、(iii)上記変換キャパシタに印加される電圧の平均が基準電圧(reference voltage)のレベルに実質的に等しく(substantially equal)なるように、上記変換キャパシタに印加される電圧と上記基準電圧との差に応じて上記第1時間周期を調整する調整回路(adjusting circuit)と、を含む。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態に係るマルチステージバックコンバータが提供されている。当該マルチステージバックコンバータは、キャパシタストリング(capacitor string)とパワースイッチモジュール(power switch module)とパワー変換モジュール(power conversion module)とを含む。キャパシタストリングは、直列接続されたN個のキャパシタ(N capacitors connected in series)を含む。パワースイッチモジュールは、キャパシタストリングに接続されているとともに、N個のパワースイッチグループ(N power switch groups)を含む。パワー変換モジュールは、パワースイッチモジュールに接続されているとともに、エネルギー蓄積素子(energy storage element)を含む。パワー変換モジュールの動作周波数(working frequency)は、N個のパワースイッチグループのそれぞれのスイッチング周波数のN倍に等しい。Nは、2以上の正の整数である。動作周波数は、エネルギー蓄積素子が単位時間(unit time)内に充放電(charging and discharging)を完了する回数である。
【0005】
本開示における上述の態様および他の態様は、好適であり非限定的な(1つ以上の)実施形態についての以下の詳細な説明に関して、より良く理解されるであろう。以下、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態に係るマルチステージバックコンバータ100Aの概略図である。
図2】(i)パワースイッチグループSWにおける充放電電流(charging and discharging current)Iと制御信号VQ1_SW1とVQ2_SW1とのタイミング、および、(ii)パワースイッチグループSWにおける充放電電流Iと制御信号VQ1_SW2とVQ2_SW2とのタイミングについての概略図である。
図3A】パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図1における電源10についての概略図である。
図3B図3Aにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。
図3C】パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図1における電源10についての概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係るマルチステージバックコンバータ100Bの概略図である。
図5図4のマルチステージバックコンバータ100Bに関しての、(i)パワースイッチグループSWにおける充放電電流Iと制御信号VQ1_SW1とVQ2_SW1とのタイミング、および、(ii)パワースイッチグループSWにおける充放電電流Iと制御信号VQ1_SW2とVQ2_SW2とのタイミングについての概略図である。
図6A】パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図4における電源10についての概略図である、
図6B図6Aにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。
図6C】パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図4における電源10についての概略図である。
図7】本発明の別の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ100Cの回路についての概略図である。
図8】本発明の他の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ100Dの回路についての概略図である。
図9】本発明の別の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ200Aの回路についての概略図である。
図10A】パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図9における電源10についての概略図である。
図10B図10Aにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。
図10C】パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図9における電源10についての概略図である。
図10D図10Cにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。
図10E図9におけるパワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、電源10についての概略図である。
図11】本発明の別の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ200Bの回路についての概略図である。
図12】本発明の他の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ300Aの回路についての概略図である。
図13A】パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図12における電源10の概略図である。
図13B図13Aにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。
図13C】パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図12における電源10についての概略図である。
図13D図13Cにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。
図13E】パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図12における電源10についての概略図である。
図13F図13Eにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。
図13G】パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図12における電源10についての概略図である。
図14】本発明の他の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ300Bの回路についての概略図である。
図15A】本開示の別の実施形態に係るNステージバックコンバータへと拡張される、シングルステージバックコンバータについての概略図である。
図15B】本開示の別の実施形態に係るNステージバックコンバータへと拡張される、シングルステージバックコンバータについての概略図である。
図15C】本開示の別の実施形態に係るNステージバックコンバータへと拡張される、シングルステージバックコンバータについての概略図である。
図15D】本開示の別の実施形態に係るNステージバックコンバータへと拡張される、シングルステージバックコンバータについての概略図である。
図16】本開示の実施形態に係るマルチステージバックコンバータにおけるインダクタ電流の模擬出力曲線(simulation output curve)についての概略図である。
図17】本開示の実施形態に係るマルチステージバックコンバータにおけるキャパシタ電圧の模擬出力曲線についての概略図である。
【0007】
以下の詳細な説明では、説明を目的として、開示されている実施形態についての十分な理解を提供するために、多数の特定の詳細部が記載されている。しかしながら、これらの特定の詳細部が無くとも、1つ以上の実施形態が実施されうることは明らかであろう。他の例では、図面を簡略化するために、周知の構造およびデバイスは概略的に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
開示されている各実施形態は、マルチステージバックコンバータを提供している。当該マルチステージバックコンバータは、キャパシタストリングとパワースイッチモジュールとパワー変換モジュールとを含んでいてよい。キャパシタストリングは、直列接続されたN個のキャパシタを含む。パワースイッチモジュールは、キャパシタストリングに接続されているとともに、N個のパワースイッチグループSWを含む。パワー変換モジュールは、パワースイッチモジュールに接続されている。パワー変換モジュールの動作(オペレーション)周波数fは、N個のパワースイッチグループSWのスイッチング周波数fのN倍に等しい。Nは、2以上の正の整数である。その結果、各パワースイッチグループの1スイッチング周期(one switching period)において、パワー変換モジュールはN回充放電させられる。これにより、マルチ周波数出力(複数倍周波数出力)(multiple frequency buck output)という技術的効果が達成される。さらに、nは、1からNまでの正の整数である。Nは、2以上の任意の正の整数である。本開示におけるNは、マルチステージバックコンバータのステージの数を表してよい。nは、マルチステージバックコンバータにおけるN個の対応するコンポーネントのうちの1つを表す。
【0009】
一実施形態におけるスイッチング周波数fは、中低周波数範囲(mid-low frequency range)において動作しさえすればよい。このため、(1)スイッチングロスを低減して電源効率(power supply efficiency)を向上させる(電源能力を向上させる)ことができ、かつ、(2)マルチステージバックコンバータ100Aの安定性を改善することにより、非理想特性(non-ideal characteristics)により引き起こされる不安定要因(unstable factors)を低減することができる。また、マルチステージバックコンバータの構成では、パワー変換モジュール130の動作周波数fは、スイッチング周波数fの複数(N)倍である。従って、パワー変換モジュール130は、中高周波数範囲(mid-to-high frequency range)において動作し、マルチステージバックコンバータの電力密度を改善できる。要するに、本開示の実施形態におけるマルチステージバックコンバータは、高電力密度および低スイッチング損失(low switching loss)という二重の技術的効果(dual technical effects)を有することができる。上述の中低周波数範囲は、例えば、F1よりも小さい。F1は、例えば、20kHzから1000kHzまでの任意の整数である。上述の中高周波数範囲は、例えば、F1よりも大きい。
【0010】
以下、マルチステージバックコンバータの具体的/詳細な構成および動作原理(working principle)についてさらに説明する。
【0011】
図1および図2を参照する。図1は、本発明の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ100Aの回路についての概略図である。図2は、(i)パワースイッチグループSWにおける充放電電流Iと制御信号VQ1_SW1とVQ2_SW1とのタイミング、および、(ii)パワースイッチグループSWにおける充放電電流Iおよび制御信号VQ1_SW2とVQ2_SW2とのタイミングについての概略図である。
【0012】
図1に示されている通り、マルチステージバックコンバータ100Aは、電源10および負荷(load)20に接続されていてよい。電源10は、例えば、DC電源(直流電源)である。マルチステージバックコンバータ100Aは、電源10のDC電圧VをあるDC電圧に変換し、当該あるDC電圧を負荷20に供給できる。負荷20は、例えば、発光ダイオードなどの発光素子、または、電力を必要とする他の電子デバイスである。
【0013】
図1に示されている通り、一例として、マルチステージバックコンバータ100Aは、2ステージ(N=2)バックコンバータとして例示されている。マルチステージバックコンバータ100Aは、キャパシタストリング110とパワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とを含む。キャパシタストリング110は、直列接続された2つの(N=2)キャパシタCおよびCを含む。パワースイッチモジュール120は、キャパシタストリング110に接続されているとともに、2つの(N=2)パワースイッチグループSWおよびSWを含む。パワー変換モジュール130は、パワースイッチモジュール120に接続されている。パワー変換モジュール130の動作周波数fは、パワースイッチグループSWまたはSWのスイッチング周波数fの2倍(N=2)に等しい。その結果、図2に示されている通り、パワースイッチグループSWまたはSWの1スイッチング周期T(当該スイッチング周期Tは、図2に示されている)において、パワー変換モジュール130が複数の充放電周期(charging and discharging period)T1およびT2において2回(N=2)動作しうる。それゆえ、2倍周波数出力(double frequency output)という技術的効果を達成できる。
【0014】
図1に示されている通り、パワースイッチモジュール120におけるパワースイッチグループSWをスイッチングすることにより、パワー変換モジュール120のエネルギー蓄積素子を制御してエネルギーを蓄積できる。パワースイッチモジュール120におけるパワースイッチグループSWは、第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとを含む。パワースイッチグループSWは、第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとを含む。キャパシタCは、パワースイッチグループSWの第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとに接続されている。キャパシタCは、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとに接続されている。パワー変換モジュール130は、パワースイッチQ_130とエネルギー蓄積素子131とを含む。エネルギー蓄積素子131は、例えば、インダクタおよび/またはキャパシタを含む。さらに、本明細書におけるパワースイッチは、例えば、金属-酸化物-半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor,MOSFET)である。パワー変換モジュール130の動作周波数fは、エネルギー蓄積素子131が単位時間内に充放電を完了する回数である。
【0015】
図1に示されている通り、パワースイッチQ_130の第1端子Qaおよび第2端子Qbはそれぞれ、パワースイッチグループ120の2つの端子に接続されている。また、エネルギー蓄積素子131の第1端子131aおよび第2端子131bは、パワースイッチモジュール120の2つの端子にそれぞれ接続されている。
【0016】
開示されている実施形態は、パワー変換モジュール130の構成および/またはタイプを限定していない。実施形態は、バックブースト(Buck-Boost)、フライバック(Fly-back)、フォワード(Forward)、またはLLC(Logical Link Control,論理リンク制御)などの様々な電力変換構成であってもよい。
【0017】
本開示の実施形態において、N個のパワースイッチグループSWのうちの第nパワースイッチグループ(nth power switch group)SWは、第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとを含む。第nキャパシタ(nth capacitor)Cは、第nパワースイッチグループSWの第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとに接続されている。nは、1からNまでの正の整数である。第n充電インターバル(nth charging interval)では、N個のパワースイッチグループSWのうちの第nパワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWが同時に導通する(conducted)。その一方、N個のパワースイッチグループSWのうちのその他は、全て非導通となる(non-conducted)。その結果、第nキャパシタCは、第nパワースイッチグループSWを通じて、パワー変換モジュール130を充電する(またはエネルギーを蓄積する)。第n放電インターバル(nth discharging interval)では、エネルギー変換モジュール130のエネルギースイッチQ_130が導通する。その一方、N個のエネルギースイッチグループSWの全てが非導通となる。これにより、エネルギー変換モジュール130は、負荷20に向けて放電する(またはエネルギーを放出する)。以下、図3A図3Cを用いてさらに説明する。
【0018】
以下、図3A図3Cを用いてマルチステージバックコンバータ100Aの充放電について説明する。
【0019】
図3A図3Cを参照する。図3Aは、パワー回路スイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図1における電源10の概略図である。図3Bは、図3Aにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。図3Cは、パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図1における電源10についての概略図である。
【0020】
図3Aに示されている通り、第1(n=1)充放電周期T1における第1(n=1)充電インターバルT11(当該充電インターバルT11は、図2に示されている)では、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが同時に導通する。その一方、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワー変換モジュール130におけるパワースイッチQ_130とは、非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する。
【0021】
図3Bに示されている通り、第1(n=1)充放電周期T1における第1(n=1)放電インターバルT12(当該放電インターバルT12は、図2に示されている)では、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その一方、パワー変換モジュール130におけるパワースイッチQ_130が導通する。これにより、パワースイッチQ_130とエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。また、放電インターバルにおいて、電源10は、キャパシタCおよびCを同時に充電する。
【0022】
要するに、マルチステージバックコンバータ100Aにおける放電インターバルでは、パワー変換モジュール130におけるパワースイッチQ_130が導通する。その一方、2つのパワースイッチグループSWおよびSWは両方とも非導通となる。その結果、パワー変換モジュール130が放電する。
【0023】
図3Cに示されている通り、第2(n=2)充放電周期T2における第2(n=2)充電インターバルT21(当該充電インターバルT21は、図2に示されている)では、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが導通する。その一方、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワー変換モジュール130におけるパワースイッチQ_130とは、非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループを通じて、エネルギー蓄積素子131を充電する。
【0024】
図3Bにおける動作モードと同様に、第2(n=2)充放電周期T2における第2(n=2)放電インターバルT22(当該放電インターバルT22は、図2に示されている)では、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その一方、パワー変換モジュール130におけるパワースイッチQ_130が導通する。その結果、パワースイッチQ_130とエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。同様に、放電インターバルにおいて、電源10は、キャパシタCおよびCを同時に充電しうる。
【0025】
図2に示されている通り、上述の第1充電インターバルT11と第1放電インターバルT12とは、第1充放電周期T1を構成する。また、第2充電インターバルT21と第2放電インターバルT22とは、第2充放電周期を構成する。パワースイッチグループSWおよびSWがそれぞれ1回ずつ動作するスイッチング周期Tにおいて、パワー変換モジュール130が2回充放電させられることにより、2倍周波数出力という技術的効果が達成される。
【0026】
図4図5を参照する。図4は、本発明の一実施形態に係るマルチステージバックコンバータ100Bの回路についての概略図である。図5は、図4のマルチステージバックコンバータ100Bに関しての、(i)パワースイッチグループSWにおける充放電電流Iと制御信号VQ1_SW1とVQ2_SW1とのタイミング、および、(ii)パワースイッチグループSWにおける充放電電流Iと制御信号VQ1_SW2とVQ2_SW2とのタイミングについての概略図である。
【0027】
マルチステージバックコンバータ100Bは、2ステージ(N=2)バックコンバータである。マルチステージバックコンバータ100Bは、キャパシタストリング110とパワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とを含む。キャパシタストリング110は、直列接続された2つの(N=2)キャパシタCおよびCを含む。パワースイッチモジュール120は、キャパシタストリング110に接続されているとともに、2つの(N=2)パワースイッチグループSWおよびSWを含む。パワー変換モジュール130は、パワースイッチモジュール120に接続されている。パワー変換モジュール130の動作周波数fは、パワースイッチグループSWまたはSWのスイッチング周波数fの2倍(N=2)に等しい。その結果、図5に示されている通り、パワースイッチグループSWまたはSWの1スイッチ周期T(当該スイッチ周期Tは、図5に示されている)において、パワー変換モジュール130が複数の充放電周期T1およびT2において2回動作することにより、2倍周波数出力という技術的効果を達成できる。
【0028】
マルチステージバックコンバータ100Bは、マルチステージバックコンバータ100Aと同一または類似の技術的構成を有する。マルチステージバックコンバータ100Bにおけるパワー変換モジュール130とパワースイッチモジュール120とは、少なくとも1つの素子(例:各パワースイッチグループSWにおける複数のパワースイッチのうちの1つ)を共有している。具体的には、マルチステージバックコンバータ100Bにおけるパワー変換モジュール130とパワースイッチモジュール120とは、(i)パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SW、および、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWを共有している。充電インターバルおよび放電インターバルでは、共有パワースイッチ(shared power switches)の1つ以上が導通する。
【0029】
以下、図6A図6Cを用いてマルチステージバックコンバータ100Bの充放電動作について説明する。
【0030】
図6A図6Cを参照する。図6Aは、パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図4における電源10についての概略図である。図6Bは、図6Aにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。図6Cは、パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図4における電源10についての概略図である。
【0031】
図6Aに示されている通り、第1(n=1)充放電周期T1における第1(n=1)充電インターバルT11(当該充電インターバルT11は、図5に示されている)では、パワースイッチグループSW1における第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが導通する。その一方で、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する。
【0032】
図6Bに示されている通り、第1(n=1)充放電周期T1における第1(n=1)放電インターバルT12(当該放電インターバルT12は、図5に示されている)では、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWとパワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとが非導通となる。その一方、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWとパワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとが導通する。その結果、第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。
【0033】
要するに、放電インターバルでは、2つの(N=2)パワースイッチグループ(例:パワースイッチグループSWおよびSW)における複数のパワースイッチ(すなわち、第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWなどの共有パワースイッチ)が導通する。その一方、上記2つの(N=2)パワースイッチグループにおけるその他のパワースイッチ(すなわち、第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWなどの非共有パワースイッチ(non-shared power switches))が非導通となる。その結果、パワー変換モジュール130は、放電して負荷20に電力を供給する。
【0034】
図6Cに示されている通り、第2(n=2)充放電周期T2における第2(n=2)充電インターバルT21(当該充電インターバルT21は、図5に示されている)では、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが導通する。その一方、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する。
【0035】
図6Bにおける動作モードと同様に、第2(n=2)充放電周期T2における第2(n=2)放電インターバルT22(当該放電インターバルT22は、図5に示されている)では、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWとパワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとが非導通となる。その一方、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWとパワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとが導通する。その結果、第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。
【0036】
図7を参照する。図7は、本開示の別の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ100Cの回路についての概略図である。
【0037】
マルチステージバックコンバータ100Cは、2ステージ(N=2)バックコンバータである。マルチステージバックコンバータ100Cは、キャパシタストリング110とパワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とを含む。キャパシタストリング110は、直列接続された2つの(N=2)キャパシタCおよびCを含む。パワースイッチモジュール120は、キャパシタストリング110に接続されているとともに、2つの(N=2)パワースイッチグループSWおよびSWを含む。パワー変換モジュール130は、パワースイッチモジュール120に接続されている。パワー変換モジュール130の動作周波数fは、パワースイッチグループSWまたはSWのスイッチング周波数fの2倍(N=2)に等しい。上述のマルチステージバックコンバータ100Aと同様に、パワースイッチグループSWまたはSWの1スイッチング周期Tにおいて、パワー変換モジュール130が複数の充放電周期において2回(N=2)動作することにより、2倍周波数出力という技術的効果を達成できる。
【0038】
マルチステージバックコンバータ100Cは、マルチステージバックコンバータ100Aと同一または類似の技術的構成を有する。但し、マルチステージバックコンバータ100Cにおけるパワースイッチモジュール120およびパワー変換モジュール130のそれぞれは、少なくとも1つのダイオードを含むことに留意されたい。例えば、パワースイッチグループSWは、第1パワースイッチQ1_SWおよびダイオードD_SWを含む。パワースイッチグループSWは、第2パワースイッチQ2_SWおよびダイオードD_SWを含む。パワー変換モジュール130は、ダイオードD_130を含む。上述のマルチステージバックコンバータ100Aと比較すると、本実施形態のパワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWは、ダイオードD_SWに置き換えられている。そして、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWは、ダイオードD_SWに置き換えられている。パワースイッチモジュール120の第1端子120aおよび第2端子120bは、ダイオードD_130の2つの端子にそれぞれ接続されている。
【0039】
加えて、パワースイッチグループSWにおける2つのパワースイッチに関して、そのボディダイオードの正極(p電極)から当該ボディダイオードの負極(n電極)への向きが電流の向きと同じであるパワースイッチのみが、ダイオードに置き換えられてよい。例えば、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWについては、そのボディダイオードの正極から当該ボディダイオードの負極への向きが、電流の向きとは逆である。このため、第1パワースイッチQ1_SWは、ダイオードによる置き換えには適していない。第2パワースイッチQ2_SW図1を参照)については、そのボディダイオードの正極から当該ボディダイオードの負極への向きが、電流の向きと同じである。このため、第2パワースイッチQ2_SWは、ダイオードによって置き換えられてよい。
【0040】
制御の観点からは、マルチステージバックコンバータ100Cの各パワースイッチグループSWについて、1つのパワースイッチが導通または非導通となるように制御しさえすれば、2倍(n=2)周波数出力という技術的効果を達成できる。例えば、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWが導通または非導通となるように制御し、かつ、(ii)パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWが導通または非導通となるように制御しさえすれば、2倍周波数出力という技術的効果を達成できる。
【0041】
図8を参照する。図8は、本開示の別の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ100Dの回路についての概略図である。
【0042】
マルチステージバックコンバータ100Dは、2ステージ(N=2)バックコンバータである。マルチステージバックコンバータ100Dは、キャパシタストリング110とパワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とを含む。キャパシタストリング110は、直列接続された2つの(N=2)キャパシタCおよびCを含む。パワースイッチモジュール120は、キャパシタストリング110に接続されており、2つの(N=2)パワースイッチグループSWおよびSWを含む。パワー変換モジュール130は、パワースイッチモジュール120に接続されている。パワー変換モジュール130の動作周波数fは、パワースイッチグループSWまたはSWのスイッチング周波数fの2倍(N=2)に等しい。その結果、上述したマルチステージバックコンバータ100Bと同様に、パワースイッチグループSWまたはSWの1スイッチング周期Tにおいて、パワー変換モジュール130が複数の充放電周期において2回動作することにより、2倍周波数出力という技術的効果を達成できる。
【0043】
マルチステージバックコンバータ100Dは、マルチステージバックコンバータ100Cと同一または類似の技術的構成を有する。マルチステージバックコンバータ100Dにおけるパワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とは、一部のコンポーネントを共有していることに留意されたい。例えば、パワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とは、ダイオードD_SWおよびD_SWを共有している。さらに、パワー変換モジュール130は、ダイオードD_130を省略してよい。
【0044】
図9を参照する。図9は、本開示の別の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ200Aの回路についての概略図である。
【0045】
マルチステージバックコンバータ200Aは、3ステージ(N=3)バックコンバータである。マルチステージバックコンバータ200Aは、キャパシタストリング110とパワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130を含む。キャパシタストリング110は、直列接続された3つの(N=3)キャパシタC~Cを含む。パワースイッチモジュール120は、キャパシタストリング110に接続されているととともに、3つの(N=3)パワースイッチグループSW~SWを含む。パワー変換モジュール130は、パワースイッチモジュール120に接続されている。パワー変換モジュール130の動作周波数fは、パワースイッチグループSW、SW、またはSWのスイッチング周波数fの3倍(N=3)に等しい。その結果、上述したタイミング制御方式と同様に、パワースイッチグループSW、SW、またはSWの1スイッチング周期Tにおいて、パワー変換モジュール130が複数の充放電周期において3回(N=3)動作することにより、3倍周波数出力という技術的効果を達成できる。
【0046】
本実施形態では、パワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とは、一部のコンポーネントを共有している。例えば、パワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とは、パワースイッチQ2_SW、Q1_SW、Q2_SW、およびQ1_SWのうちの少なくとも1つを共有している。共有パワースイッチのうちの1つ以上は、充電インターバルおよび放電インターバルにおいて導通する。
【0047】
図10A図10Eを参照する。図10Aは、パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図9における電源10についての概略図である。図10Bは、図10Aにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。図10Cは、パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図9における電源10についての概略図である。図10Dは、図10Cにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。図10Eは、図9におけるパワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、電源10についての概略図である。
【0048】
マルチステージバックコンバータ200Aのタイミング制御原理は、図5におけるタイミング制御原理に類似しているので、ここでは繰り返さない。
【0049】
図10Aに示されている通り、第1(n=1)充放電周期における第1(n=1)充電インターバルでは、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが同時に導通する。その一方、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する。
【0050】
図10Bに示されている通り、第1(n=1)充放電周期における第1(n=1)放電インターバルでは、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。一方、パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとパワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWとが導通する。その結果、第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。また、放電インターバルにおいて、電源10は、キャパシタC、C、およびCを同時に充電する。
【0051】
要するに、放電インターバルでは、3つの(N=3)パワースイッチグループのうちの2つのパワースイッチグループ(例:パワースイッチグループSWおよびSW)におけるパワースイッチ(例:第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SW)が導通する。その一方、3つの(N=3)パワースイッチグループにおけるその他のパワースイッチ(例:第1パワースイッチQ1_SW、第2パワースイッチQ2_SW、第1パワースイッチQ1_SW、および第2パワースイッチQ2_SW)が非導通となる。その結果、パワー変換モジュール130は、放電して負荷20に電力を供給する。
【0052】
別の実施形態では、第1(n=1)充放電周期における放電インターバルにおいて、パワースイッチモジュール120は、図10Dに示されているスイッチングモードを用いてパワー変換モジュール130を制御して放電させることもできる。詳細については後述する。
【0053】
図10Cに示されている通り、第2(n=2)充放電周期における第2(n=2)充電インターバルでは、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが同時に導通する。その一方、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する。
【0054】
図10Dに示されている通り、第2(n=2)充放電周期における第2(n=2)放電インターバルでは、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その一方、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWとパワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとが導通する。その結果、第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。また、放電インターバルにおいて、電源10は、キャパシタC、C、およびCを同時に充電する。
【0055】
別の実施形態では、第2(n=2)充放電周期における放電インターバルにおいて、パワースイッチモジュール120は、図10Bに示されているスイッチングモードを採用してパワー変換モジュール130の放電を制御してもよい。
【0056】
図10Eに示されている通り、第3(n=3)充放電周期における第3(n=3)充電インターバルでは、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが同時に導通する。その一方、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する。
【0057】
図10Dにおける動作モードと同様に、第3(n=3)充放電周期における第3(n=3)放電インターバルでは、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その一方、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWとパワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとが導通する。その結果、第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。また、放電インターバルにおいて、電源10は、キャパシタC、C、およびCを同時に充電する。
【0058】
別の実施形態では、第3(n=3)充放電周期における第3(n=3)放電インターバルにおいて、パワースイッチモジュール120は、図10Bに示されているスイッチングモードを採用してパワー変換モジュール130の放電を制御してもよい。
【0059】
図11を参照する。図11は、本開示の別の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ200Bの回路についての概略図である。
【0060】
マルチステージバックコンバータ200Bは、マルチステージバックコンバータ200Aと同一または類似の技術的構成を有する。マルチステージバックコンバータ200Bにおけるパワースイッチモジュール120は、少なくとも1つのダイオードを含むことに留意されたい。例えば、パワースイッチグループSWは、第1パワースイッチQ1_SWおよびダイオードD_SWを含む。パワースイッチグループSWは、第1パワースイッチQ1_SWおよびダイオードD_SWを含む。マルチバックコンバータ200Aと比較すると、本実施形態では、マルチバックコンバータ200BのパワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWが、ダイオードD_SWに置き換えられている。そして、パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWが、ダイオードD_SWに置き換えられる。制御の観点からは、パワースイッチグループSWについて、一部のパワースイッチが導通または非導通となるように制御しさえすれば、マルチ周波数出力という技術的効果を達成できる。例えば、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWが導通または非導通となるように制御し、かつ、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWが導通または非導通となるように制御しさえすれば、マルチ周波数出力という技術的効果を達成できる。
【0061】
図12を参照する。図12は、本開示の別の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ300Aの回路についての概略図である。
【0062】
マルチステージバックコンバータ300Aは、4ステージ(N=4)バックコンバータである。マルチステージバックコンバータ300Aは、キャパシタストリング110とパワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とを含む。キャパシタストリング110は、直列接続された4つの(N=4)キャパシタC~Cを含む。パワースイッチモジュール120は、キャパシタストリング110に接続されているとともに、4つの(N=4)パワースイッチグループSW~SWを含む。パワー変換モジュール130は、パワースイッチモジュール120に接続されている。パワー変換モジュール130の動作周波数fは、パワースイッチグループSW、SW、SW、またはSWのスイッチング周波数fの4倍(N=4)に等しい。その結果、上述したタイミング制御方式と同様に、パワースイッチグループSW、SW、SW、またはSWの1スイッチング周期Tにおいて、パワー変換モジュール130が複数の充放電周期において4回(N=4)動作することにより、4倍周波数出力という技術的効果を達成できる。
【0063】
本実施形態では、パワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とは、一部のコンポーネントを共有している。例えば、パワースイッチモジュール120とパワー変換モジュール130とは、パワースイッチQ2_SW、Q1_SW、Q2_SW、Q1_SW、Q2_SW、およびQ1_SWのうちの少なくとも1つを共有している。共有パワースイッチのうちの1つ以上は、充電インターバルおよび放電インターバルにおいて導通する。
【0064】
図13A図13Gを参照する。図13Aは、パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図12における電源10についての概略図である。図13Bは、図13Aにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。図13Cは、パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131充電する、図12における電源10についての概略図である。図13Dは、図13Cにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。図13Eは、パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図12における電源10についての概略図である。図13Fは、図13Eにおけるエネルギー蓄積素子131の放電についての概略図である。図13Gは、パワースイッチグループSWを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する、図12における電源10についての概略図である。
【0065】
マルチステージバックコンバータ300Aのタイミング制御原理は、図5のタイミング制御原理に類似しているので、ここでは繰り返さない。
【0066】
図13Aに示されている通り、第1(n=1)充放電周期における第1(n=1)充電インターバルでは、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが同時に導通する。その一方、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループ回路を通じてエネルギー蓄積素子131を充電する。
【0067】
図13Bに示されている通り、第1(n=1)充放電周期における第1(n=1)放電インターバルでは、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(iv)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その一方、パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとパワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWとが導通する。その結果、第2パワースイッチQ2_SWと第1パワースイッチQ1_SWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。また、放電インターバルにおいて、電源10は、キャパシタC、C、C、およびCを同時に充電する。
【0068】
別の実施形態では、第1(n=1)充放電周期における第1(n=1)放電インターバルにおいて、パワースイッチモジュール120は、図13Dまたは図13Fに示されているスイッチングモードを採用して、パワー変換モジュール130の放電を制御してもよい。
【0069】
図13Cに示されている通り、第2(n=2)充放電周期における第2(n=2)充電インターバルでは、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが同時に導通する。その一方、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとが、非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する。
【0070】
図13Dに示されている通り、第2(n=2)充放電周期における第2(n=2)放電インターバルでは、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWと、(iv)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その一方、パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWと第1パワースイッチQ1_SWとが導通する。その結果、第2パワースイッチQ2_SWと第1パワースイッチQ1_SWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。また、放電インターバルにおいて、電源10は、キャパシタC、C、C、およびCを同時に充電する。
【0071】
別の実施形態では、第2(n=2)充放電周期における第2(n=2)放電インターバルにおいて、パワースイッチモジュール120は、図13Bまたは図13Fに示されているスイッチングモードを採用して、パワー変換モジュール130の放電を制御してもよい。
【0072】
図13Eに示されている通り、第3(n=3)充放電周期における第3(n=3)充電インターバルでは、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが同時に導通する。その一方、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する。
【0073】
図13Fに示されている通り、第3(n=3)充放電周期における第3(n=3)放電インターバルでは、(i)パワースイッチグループSW1における第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと、(iv)パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとは、非導通となる。その一方、パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとパワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWとが導通する。その結果、第2パワースイッチQ2_SWと第1パワースイッチQ1_SWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。また、放電インターバルにおいて、電源10は、キャパシタC、C、C、およびCを同時に充電する。
【0074】
別の実施形態では、第3(n=3)充放電周期における第3(n=3)放電インターバルにおいて、パワースイッチモジュール120は、図13Bまたは図13Dに示されているスイッチングモードを採用して、パワー変換モジュール130の放電を制御してもよい。
【0075】
図13Gに示されている通り、第4(n=4)充放電周期における第4(n=4)充電インターバルでは、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとが同時に導通する。その一方、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWとが、非導通となる。その結果、キャパシタCとパワースイッチグループSWとエネルギー蓄積素子131とは、ループ(太い実線によって示されている)を形成する。充電電流IL1は、当該ループを通じてエネルギー蓄積素子131を充電する。
【0076】
図13Fの動作モードと同様に、第4(n=4)充放電周期における第4(n=4)放電インターバルでは、(i)パワースイッチグループSW1における第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWおよび第2パワースイッチQ2_SWと、(iii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと、(iv)パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとが、非導通となる。その一方、パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとパワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWとが導通する。その結果、第2パワースイッチQ2_SWと第1パワースイッチQ1_SWとエネルギー蓄積素子131とは、ループを形成する。エネルギー蓄積素子131は、当該ループを通じて、放電電流IL2を放出して負荷20に電力を供給する。
【0077】
別の実施形態では、第4(n=4)充放電周期における第4(n=4)放電インターバルにおいて、パワースイッチモジュール120は、図13Bまたは図13Dに示されているスイッチングモードを採用して、パワー変換モジュール130の放電を制御してもよい。
【0078】
図14を参照する。図14は、本開示の別の実施形態に係るマルチステージバックコンバータ300Bの回路についての概略図である。
【0079】
マルチステージバックコンバータ300Bは、マルチステージバックコンバータ300Aと同一または類似の技術的構成を有する。マルチステージバックコンバータ300Bのパワースイッチモジュール120は、少なくとも1つのダイオードを含むことに留意されたい。例えば、パワースイッチグループSWは、第1パワースイッチQ1_SWとダイオードD_SWとを含む。パワースイッチグループSWは、第1パワースイッチQ1_SWとダイオードD_SWとを含む。パワースイッチグループSWは、第1パワースイッチQ1_SWとダイオードD_SWとを含む。マルチステージバックコンバータ300Aと比較すると、本実施形態では、マルチステージバックコンバータ300BのパワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWが、ダイオードD_SWに置き換えられている。そして、パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWが、ダイオードD_SWに置き換えられている。また、パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWが、ダイオードD_SWに置き換えられている。制御の観点からは、マルチステージバックコンバータ300BのパワースイッチグループSWにおける一部のパワースイッチが導通または非導通となるように制御しさえすれば、マルチ周波数出力という技術的効果を達成できる。例えば、(i)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWが導通または非導通となるように制御し、(ii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWが導通または非導通となるように制御し、かつ、(iii)パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWが導通または非導通となるように制御しさえすれば、マルチ周波数出力という技術的効果を達成できる。
【0080】
上述の各実施形態は、上述の原理に従って、例えば、2ステージ(N=2)バックコンバータ、3ステージ(N=3)バックコンバータ、および4ステージ(N=4)バックコンバータを採用している。但し、本開示の実施形態におけるマルチステージバックコンバータは、5ステージ以上に拡張されてよい。以下では、さらなる例を説明する。
【0081】
図15A~15Dを参照する。図15A図15Dは、本開示の別の実施形態に係るNステージバックコンバータに拡張される、シングルステージバックコンバータについての概略図である。
【0082】
図15Aに示されている通り、パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWは、キャパシタCの第1端子C1aとエネルギー蓄積素子131の第1端子131aとに接続されている。パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWは、キャパシタCの第2端子C1bとエネルギー蓄積素子131の第2端子131bとに接続されている。
【0083】
図15Bに示されている通り、2ステージ(N=2)バックコンバータの場合、キャパシタCの第1端子C2aは、キャパシタCの第2端子C1bに接続されている。パワースイッチグループSWにおけるパワースイッチQ1_SWの第1端子Q1aは、第1パワースイッチQ1_SWとエネルギー蓄積素子131の第1端子131aとの間に位置するトレース(trace)L1に接続されている(当該トレースL1は、図15Aにも示されている)。第1パワースイッチQ1_SWの第2端子Q1bは、キャパシタCの第2端子C1bと第2パワースイッチQ2_SWとの間に位置するトレースL2に接続されている(当該トレースL2は、図15Aにも示されている)。パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWは、キャパシタCの第2端子C2bと、シリーズにおけるエネルギー蓄積素子131の第2端子131bとの間に位置するトレースL3に直列接続されている。
【0084】
加えて、図15Bに示されている通り、第2パワースイッチグループSWにおけるパワースイッチ(例:第1パワースイッチQ1_SW)の第1端子Q1aは、パワー変換モジュール(例:エネルギー蓄積素子131)の第1端子131aに接続されている。第2パワースイッチグループSWにおけるパワースイッチ(例:第1パワースイッチQ1_SW)の第2端子Q1bは、第1パワースイッチグループSWにおけるパワースイッチ(例:第2パワースイッチQ2_SW)の第1端子Q1aに接続されている。第1パワースイッチグループSWにおけるパワースイッチ(例:第2パワースイッチQ2_SW)の第2端子Q1bは、パワー変換モジュール(例:エネルギー蓄積素子131)の第2端子131bに接続されている。その結果、第2パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第1パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとが導通した場合、第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとエネルギー蓄積素子131とは、負荷20に電力を供給するループを形成できる。
【0085】
図15Cに示されている通り、3ステージ(N=3)バックコンバータの場合、キャパシタCの第1端子C3aは、キャパシタCの第2端子C2bに接続されている。パワースイッチグループSWにおけるパワースイッチQ1_SWの第1端子Q1aは、第1パワースイッチQ1_SWとエネルギー蓄積素子131の第1端子131aとの間に位置するトレースL1に接続されている。第1パワースイッチQ1_SWの第2端子Q1bは、キャパシタCの第2端子C2bと第2パワースイッチQ2_SWとの間に位置するトレースL2に接続されている。パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWは、キャパシタCの第2端子C3bとエネルギー蓄積素子131の第2端子131bとの間に位置するトレースL3に接続されている。加えて、第3パワースイッチグループSWにおけるパワースイッチ(例:第1パワースイッチQ1_SW)の第1端子Q1aは、パワー変換モジュール(例:エネルギー蓄積素子131)の第1端子131aに接続されている。第3パワースイッチグループSWにおけるパワースイッチ(例:第1パワースイッチQ1_SW)の第2端子Q1bは、第2パワースイッチグループSWにおけるパワースイッチ(例:第2パワースイッチQ2_SW)の第1端子Q1aに接続されている。第2パワースイッチグループSWにおけるパワースイッチ(例:第2パワースイッチQ2_SW)の第2端子Q1bは、パワー変換モジュール(例:エネルギー蓄積素子131)の第2端子131bに接続されている。その結果、第3パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWとが導通した場合、第1パワースイッチQ1_SWと第2パワースイッチQ2_SWとエネルギー蓄積素子131とは、負荷20に電力を供給するループを形成できる。
【0086】
図15Dに示されている通り、この原則に従って、Nステージバックコンバータの場合、キャパシタCの第1端子Cnaは、キャパシタC(n-1)の第2端子C(n-1)bに接続されている。パワースイッチグループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWの第1端子Q1aは、第1パワースイッチQ1_SWとエネルギー蓄積素子131の第1端子131aとの間に位置するトレースL1に接続されている。第1パワースイッチQ1_SWの第2端子Q1bは、キャパシタC(n-1)の第2端子C(n-1)bと第2パワースイッチQ2_SW(n-1)との間に位置するトレースLnに接続されている。パワースイッチグループSWにおける第2パワースイッチQ2_SWは、キャパシタCの第2端子Cnbとエネルギー蓄積素子131の第2端子131bとの間に位置するトレースL3に接続されている。第nパワースイッチググループSWにおけるパワースイッチ(例:第1パワースイッチQ1_SW)の第1端子Q1aは、パワー変換モジュール(例:エネルギー蓄積素子131)の第1端子131aに接続されている。第nパワースイッチググループSWにおけるパワースイッチ(例:第1パワースイッチQ1_SW)の第2端子Q1bは、第(n-1)パワースイッチググループSW(n-1)におけるパワースイッチ(例:第2パワースイッチQ2_SW(n-1))の第1端子Q1aに接続されている。第(n-1)パワースイッチググループSW(n-1)におけるパワースイッチ(例:第2パワースイッチQ2_SW(n-1))の第2端子Q1bは、パワー変換モジュール(例:エネルギー蓄積素子131)の第2端子131bに接続されている。その結果、第nパワースイッチググループSWにおける第1パワースイッチQ1_SWと第(n-1)パワースイッチググループSW(n-1)における第2パワースイッチQ2_SW(n-1)とが導通した場合、パワースイッチQ1_SWとパワースイッチQ2_SW(n-1)とエネルギー蓄積素子131とは、負荷20に電力を供給するループを形成できる。
【0087】
図16および図17を参照する。図16は、本開示の実施形態に係るマルチステージバックコンバータにおけるインダクタ電流の模擬出力曲線についての概略図である。図17は、本開示の実施形態に係るマルチステージバックコンバータにおけるキャパシタ電圧の模擬出力曲線についての概略図である。
【0088】
図16に示されている通り、曲線C11は、シングルステージ(N=1)バックコンバータにおけるインダクタ(エネルギー蓄積素子)電流の出力曲線を表している。曲線C12は、2ステージ(N=2)バックコンバータにおけるインダクタ電流の出力曲線を表している。曲線C13は、3ステージ(N=3)バックコンバータにおけるインダクタ電流の出力曲線を表している。曲線C14は、4ステージ(N=4)バックコンバータにおけるインダクタ電流の出力曲線を表している。スイッチング周波数fsが111kHzである場合、2ステージバックコンバータにおけるインダクタ電流の動作周波数は、シングルステージバックコンバータにおける動作周波数の2倍である。3ステージバックコンバータにおけるインダクタ電流の動作周波数は、シングルステージバックコンバータにおける動作周波数の3倍である。4ステージバックコンバータにおけるインダクタ電流の動作周波数は、シングルステージバックコンバータにおける動作周波数の4倍である。
【0089】
図16におけるトレンド変化から理解できる通り、ステージ数が多くなるにつれて(Nの値が大きくなるにつれて)、インダクタ電流の動作周波数がより高くなり、かつ、出力電流リップルがより小さくなる。電流リップルが小さくなるにつれて、より小型のインダクタを選択して使用することが可能となり、かつ、より高い電力密度がもたらされる。
【0090】
図17に示されている通り、曲線C21は、シングルステージ(N=1)バックコンバータにおけるキャパシタ(エネルギー蓄積素子)電圧の出力曲線を表している。曲線C22は、2ステージ(N=2)バックコンバータにおけるキャパシタ電圧の出力曲線を表している。曲線C23は、3ステージ(N=3)バックコンバータにおけるキャパシタ電圧の出力曲線を表している。曲線C24は、4ステージ(N=4)バックコンバータにおけるキャパシタ電圧の出力曲線を表している。スイッチング周波数fsが111kHzである場合、2ステージバックコンバータにおけるキャパシタ電圧の動作周波数は、シングルステージバックコンバータにおける動作周波数の2倍になる。3ステージバックコンバータにおけるキャパシタ電圧の動作周波数は、シングルステージバックコンバータにおける動作周波数の3倍である。4ステージバックコンバータにおけるキャパシタ電圧の動作周波数は、シングルステージバックコンバータにおける動作周波数の4倍である。
【0091】
図17におけるトレンド変化から理解できる通り、ステージ数が多くなるにつれて(Nの値が大きくなるにつれて)、キャパシタ電圧の動作周波数がより高くなり、かつ、出力電圧リップルがより小さくなる。電圧リップルが小さくなるにつれて、より小型のキャパシタを選択して使用することが可能となり、かつ、より高い電力密度がもたらされる。
【0092】
さらに、開示されている各実施形態におけるマルチステージバックコンバータは、パワースイッチモジュールの損失を効果的に低減できる。シミュレーション実験によると、軽負荷動作モード(light-load working mode)(パワー変換モジュールの出力電流が3~10アンペアの範囲内にある場合)では、シングルステージバックコンバータに比べて、4ステージバックコンバータの導通損失(パワースイッチが導通すると損失が発生する)が50%低減し、かつ、4ステージバックコンバータのスイッチング損失(パワースイッチが非導通となると損失が発生する)が25%低減する。重負荷動作モード(heavy-load working mode)(パワー変換モジュールの出力電流が20~100アンペアの範囲内にある場合)では、シングルステージバックコンバータに比べて、4ステージバックコンバータの導通損失が50%低減し、かつ、4ステージバックコンバータのスイッチング損失が25%低減する。
【0093】
要するに、本開示の実施形態におけるマルチステージバックコンバータは、高電力密度および低損失という二重の技術的効果を達成できる。
【0094】
開示されている実施形態に対して様々な修正および変形がなされてよいことは、当業者にとって明らかであろう。説明および各例は例示に過ぎないと考慮されており、本開示の真の範囲は以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示されていると意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17