(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】減価償却費算出装置、減価償却費算出方法および減価償却費算出プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20230817BHJP
【FI】
G06Q40/12
(21)【出願番号】P 2022080853
(22)【出願日】2022-05-17
(62)【分割の表示】P 2018108478の分割
【原出願日】2018-06-06
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福岡 則行
(72)【発明者】
【氏名】橋本 広樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-296584(JP,A)
【文献】特開2010-225103(JP,A)
【文献】特開2018-036780(JP,A)
【文献】特開2013-218500(JP,A)
【文献】特開2005-122524(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0125488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備え、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を算出する減価償却費算出装置であって、
前記制御部は、
前記建物を識別するための建物識別データと前記テナントについての所定の要素に応じて設定された配賦率であって前記テナント別の前記減価償却費の算出に用いるものとを含む配賦率管理マスタから、建物識別データと前記建物の取得価額と
前記建物の耐用年数とを含む建物管理テーブル中の前記建物識別データと同じものと紐付く配賦率を取得する取得手段と、
前記建物管理テーブル中の前記取得価額および前記建物管理テーブル中の前記耐用年数を用いて1年あたりの前記減価償却費を算出し、当該算出した1年あたりの前記減価償却費を所定の月数で割ることにより前記建物についての月別の前記減価償却費を算出し、当該算出した月別の前記減価償却費を、前記取得手段で取得した前記配賦率に応じて按分することにより、前記テナント別の前記減価償却費を算出する算出手段と、
を備えること、
を特徴とする減価償却費算出装置。
【請求項2】
前記算出手段は
、
前記建物についての月別の前記減価償却費を、前記建物管理テーブル中の前記取得価額を前記建物管理テーブル中の前記耐用年数で割った値を算出し、更に、当該算出した値を12で割ることにより算出すること、
を特徴とする請求項1に記載の減価償却費算出装置。
【請求項3】
前記所定の要素が、前記建物内での前記テナント別の専有面積または賃料であること、
を特徴とする請求項1または2に記載の減価償却費算出装置。
【請求項4】
制御部を備える情報処理装置で実行される、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を算出する減価償却費算出方法であって、
前記制御部で実行される、
前記建物を識別するための建物識別データと前記テナントについての所定の要素に応じて設定された配賦率であって前記テナント別の前記減価償却費の算出に用いるものとを含む配賦率管理マスタから、建物識別データと前記建物の取得価額と
前記建物の耐用年数とを含む建物管理テーブル中の前記建物識別データと同じものと紐付く配賦率を取得する取得ステップと、
前記建物管理テーブル中の前記取得価額および前記建物管理テーブル中の前記耐用年数を用いて1年あたりの前記減価償却費を算出し、当該算出した1年あたりの前記減価償却費を所定の月数で割ることにより前記建物についての月別の前記減価償却費を算出し、当該算出した月別の前記減価償却費を、前記取得ステップで取得した前記配賦率に応じて按分することにより、前記テナント別の前記減価償却費を算出する算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする減価償却費算出方法。
【請求項5】
制御部を備える情報処理装置に実行させるための、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を算出する減価償却費算出プログラムであって、
前記制御部に実行させるための、
前記建物を識別するための建物識別データと前記テナントについての所定の要素に応じて設定された配賦率であって前記テナント別の前記減価償却費の算出に用いるものとを含む配賦率管理マスタから、建物識別データと前記建物の取得価額と
前記建物の耐用年数とを含む建物管理テーブル中の前記建物識別データと同じものと紐付く配賦率を取得する取得ステップと、
前記建物管理テーブル中の前記取得価額および前記建物管理テーブル中の前記耐用年数を用いて1年あたりの前記減価償却費を算出し、当該算出した1年あたりの前記減価償却費を所定の月数で割ることにより前記建物についての月別の前記減価償却費を算出し、当該算出した月別の前記減価償却費を、前記取得ステップで取得した前記配賦率に応じて按分することにより、前記テナント別の前記減価償却費を算出する算出ステップと、
を含むこと、
を特徴とする減価償却費算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕訳作成装置、仕訳作成方法および仕訳作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所有する現況不動産の収支状況入力画面において、所有する各物件毎に、減価償却費等が入力されることが開示されている(特許文献1の0019段落等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、物件別に減価償却費を管理したい場合、従来、以下のような課題があった。
【0005】
すなわち、同一の建物内に複数のテナントが入居している場合、償却資産税申告や資産管理の都合上、固定資産として1件にまとめて登録管理を行う必要がある。ここで、前記複数のテナント別収支を正確に把握するためには、前記複数のテナント別の減価償却費を含む仕訳を作成する必要がある。しかしながら、従来においては、前記仕訳を担当者が手作業で作成する必要があり、効率性および正確性に欠けるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を含む仕訳を作成できる仕訳作成装置、仕訳作成方法および仕訳作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る仕訳作成装置は、制御部および記憶部を備え、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を含む仕訳を作成する仕訳作成装置であって、前記記憶部には、前記建物を識別するための建物識別データと前記建物の取得価額とを含む建物管理テーブルと、建物識別データと前記テナントについての所定の要素に応じて設定された配賦率であって前記テナント別の前記減価償却費の算出に用いるものとを含む配賦率管理マスタと、が格納されており、前記制御部は、前記配賦率管理マスタから、前記建物管理テーブル中の前記建物識別データと同じものと紐付く配賦率を取得する取得手段と、前記建物管理テーブル中の前記取得価額に基づく値を、前記取得手段で取得した前記配賦率に応じて按分することにより、前記テナント別の前記減価償却費を算出する算出手段と、前記算出手段で算出した前記テナント別の前記減価償却費を含む仕訳を作成する仕訳作成手段と、を備えること、を特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る仕訳作成装置は、前記建物管理テーブルが、前記建物の耐用年数を更に含み、前記算出手段が、前記基づく値としての前記建物についての月別の前記減価償却費を、前記建物管理テーブル中の前記取得価額を前記建物管理テーブル中の前記耐用年数で割った値を算出し、更に、当該算出した値を12で割ることにより算出すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る仕訳作成装置は、前記所定の要素が、前記建物内での前記テナント別の専有面積または賃料であること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る仕訳作成装置は、前記制御部が、前記算出手段で算出した前記テナント別の前記減価償却費を含む損益計算書を作成するPL作成手段を更に備えること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る仕訳作成方法は、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を含む仕訳を作成する仕訳作成方法であって、前記記憶部には、前記建物を識別するための建物識別データと前記建物の取得価額とを含む建物管理テーブルと、建物識別データと前記テナントについての所定の要素に応じて設定された配賦率であって前記テナント別の前記減価償却費の算出に用いるものとを含む配賦率管理マスタと、が格納されており、前記制御部で実行される、前記配賦率管理マスタから、前記建物管理テーブル中の前記建物識別データと同じものと紐付く配賦率を取得する取得ステップと、前記建物管理テーブル中の前記取得価額に基づく値を、前記取得ステップで取得した前記配賦率に応じて按分することにより、前記テナント別の前記減価償却費を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出した前記テナント別の前記減価償却費を含む仕訳を作成する仕訳作成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る仕訳作成プログラムは、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を含む仕訳を作成する仕訳作成プログラムであって、前記記憶部には、前記建物を識別するための建物識別データと前記建物の取得価額とを含む建物管理テーブルと、建物識別データと前記テナントについての所定の要素に応じて設定された配賦率であって前記テナント別の前記減価償却費の算出に用いるものとを含む配賦率管理マスタと、が格納されており、前記制御部に実行させるための、前記配賦率管理マスタから、前記建物管理テーブル中の前記建物識別データと同じものと紐付く配賦率を取得する取得ステップと、前記建物管理テーブル中の前記取得価額に基づく値を、前記取得ステップで取得した前記配賦率に応じて按分することにより、前記テナント別の前記減価償却費を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出した前記テナント別の前記減価償却費を含む仕訳を作成する仕訳作成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を含む仕訳を作成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、仕訳作成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、テナント別の減価償却費を含む仕訳の、従来における作成の仕方の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、テナント別の減価償却費を含む仕訳の、本実施形態における作成の仕方の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、配賦率入力画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、テナント別の減価償却費を含む損益計算書の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、仕訳作成装置、仕訳作成方法および仕訳作成プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
[1.概要]
不動産業(特に商業賃貸業)の分野においては、管理する一つの建物内に、複数の賃貸テナントが入居する場合がある。このように複数の賃貸テナントが入居している建物であっても、償却資産税申告や資産管理の都合上、固定資産としては1件にまとめて登録管理を行う必要がある。
【0017】
このため、入居しているテナントごとに減価償却費を按分する場合には、従来においては、財務会計で、
図2に示すように、振替仕訳の手入力が必要であるという問題あった。更に、入居しているテナントの件数が多い場合、業務負担が増えるため振替仕訳入力を行えず、物件別(テナント別)収支管理の精度向上を図れないという問題もあった。
【0018】
そこで、本実施形態においては、例えば、一つの建物内に複数の賃貸テナントが入居する場合に、テナント単位で減価償却費の計上を行い、物件別(テナント別)収支管理の精度向上を図れるようにした。具体的には、物件別(テナント別)の償却費配賦率を登録しておくことで、当該配賦率に応じて金額を按分した仕訳が計上される。前記配賦率は、例えば、各テナントの月額賃料や専有面積等の配賦係数を用いて登録することができる。
【0019】
このように、本実施形態においては、例えば、テナント別の減価償却費を含む仕訳を自動作成できるため、振替仕訳作成の作業が不要になるという効果がある。また、本実施形態においては、例えば、テナント別の減価償却費の正確な算出が保証されることから、減価償却費の物件別(テナント別)収支の管理精度が向上するという効果もある。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0020】
[2.構成]
本実施形態に係る仕訳作成装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、仕訳作成装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
仕訳作成装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、仕訳作成装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0022】
仕訳作成装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。仕訳作成装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0023】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、仕訳作成装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、仕訳作成装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0024】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0025】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0026】
記憶部106は、建物管理テーブルとしての固定資産登録テーブル106aと、配賦率管理マスタ106bと、を備えている。
【0027】
本実施形態に係る仕訳作成装置100によれば、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を含む仕訳を作成することができる。なお、本明細書および本図面において、テナントと物件は同義である。
【0028】
固定資産登録テーブル106aは、
図3に示すように、例えば、前記建物を識別するための建物識別データ(資産NOおよび資産名)、前記建物の取得価額、前記建物の耐用年数、部門を識別するための部門識別データ(部門CD)および前記テナントを識別するためのテナント識別データ(
物件CD)等を含む。
【0029】
配賦率管理マスタ106bは、
図3に示すように、例えば、前記建物識別データ(資産NOおよび資産名)、前記テナント識別データ(物件CD)、配賦係数および前記テナントについての所定の要素に応じて設定された配賦率であって前記テナント別の前記減価償却費の算出に用いるもの(配賦率)等を含む。前記所定の要素は、例えば、前記建物内での前記テナント別の専有面積または賃料等である。
【0030】
前記配賦率は、
図4に示す配賦率入力画面から入力される。具体的には、
図4に示すように、物件ごと(テナントごと)の配賦係数が、前記建物内での前記テナント別の専有面積または賃料等に応じて入力されると、当該入力された配賦係数の比に応じて、配賦率が自動計算される。
【0031】
制御部102は、仕訳作成装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0032】
制御部102は、機能概念的に、例えば、(1)前記配賦率管理マスタから、前記建物管理テーブル中の前記建物識別データと同じものと紐付く配賦率を取得する取得手段としての取得部102aと、(2)前記建物管理テーブル中の前記取得価額に基づく値を、前記取得手段で取得した前記配賦率に応じて按分することにより、前記テナント別の前記減価償却費を算出する算出手段としての算出部102bと、(3)前記算出手段で算出した前記テナント別の前記減価償却費を含む仕訳を作成する仕訳作成手段としての仕訳作成部102cと、(4)前記算出手段で算出した前記テナント別の前記減価償却費を含む損益計算書を作成するPL作成手段としてのPL作成部102dと、を備えている。各部が実行する処理の詳細については、以下の[3.処理の具体例]で説明する。
【0033】
[3.処理の具体例]
以下、本実施形態に係る処理の具体例について説明する。本項目においては、●●ビルに入居するテナントである物件X、物件Yおよび物件Zそれぞれの減価償却費を含む仕訳を作成するという場面を例にとって、説明をする。なお、前提条件として、固定資産登録テーブル106aおよび配賦率管理マスタ106bにおける内容は、
図3に示すとおりであるとする。
【0034】
[3-1.取得処理]
取得部102aは、配賦率管理マスタ106bから、固定資産登録テーブル106a中の建物識別データ(資産名)と同じものと紐付く配賦率を取得する。
【0035】
具体的には、
図3の固定資産登録テーブル106a中において、資産名は●●ビルである。一方で、
図3の配賦率管理マスタ106bを参照すると、●●ビルについての各物件の配賦率は、物件Xについては20%、物件Yについては30%、物件Zについては50%であるため、取得部102aは、これらの配賦率を取得する。
【0036】
[3-2.算出処理]
算出部102bは、固定資産登録テーブル106a中の取得価額に基づく値を、取得部102aで取得した前記配賦率に応じて按分することにより、前記テナント別(物件別)の減価償却費を算出する。
【0037】
まず、前記基づく値の算出について説明する。算出部102bは、前記基づく値としての前記建物についての月別の減価償却費を、固定資産登録テーブル106a中の前記取得価額を固定資産登録テーブル106a中の耐用年数で割った値を算出し、更に、当該算出した値を12で割ることにより算出する。
【0038】
具体的には、
図3の固定資産登録テーブル106aを参照すると、●●ビルの取得価額は36,000千円であり、また、●●ビルの耐用年数は30年である。このため、算出部102bは、●●ビルについての1年あたりの減価償却費を、取得価額36,000千円÷耐用年数30年=1,200千円と算出する。更に、算出部102bは、●●ビルについての月別の減価償却費を、当該算出した1,200千円÷12=100千円と算出する。当該算出した100千円が、前記基づく値となる。
【0039】
次に、当該算出した基づく値の按分について説明する。取得部102aで取得した配賦率は、[3-1]で説明したように、物件Xについては20%、物件Yについては30%、物件Zについては50%である。このため、算出部102bは、物件Xについての減価償却費を、前記基づく値100千円×20%=20千円と算出し、物件Yについての減価償却費を、前記基づく値100千円×30%=30千円と算出し、物件Zについての減価償却費を、前記基づく値100千円×50%=50千円と算出する。
【0040】
[3-3.仕訳作成処理]
仕訳作成部102cは、算出部102bで算出した前記テナント別(物件別)の減価償却費を含む仕訳を作成する。
【0041】
具体的には、仕訳作成部102cは、
図3の財務会計仕訳に示すように、物件Xについては借方勘定科目「建物減価償却費(A部門)(X-物件X)」と借方金額「20千円」と貸方勘定科目「建物」と貸方金額「20千円」とを含み、物件Yについては借方勘定科目「建物減価償却費(A部門)(Y-物件Y)」と借方金額「30千円」と貸方勘定科目「建物」と貸方金額「30千円」とを含み、物件Zについては借方勘定科目「建物減価償却費(A部門)(Z-物件Z)」と借方金額「50千円」と貸方勘定科目「建物」と貸方金額「50千円」とを含む、2017年4月度の仕訳を作成する。
【0042】
以上、[3-1]~[3-3]で説明したように、本実施形態に係る仕訳作成装置100によれば、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を含む仕訳を作成できる。これにより、例えば、業務負担を増やすことなく、テナント別(物件別)の収支管理の精度向上を図ることができる。
【0043】
[3-4.PL作成処理]
PL作成部102dは、算出部102bで算出した前記テナント別(物件別)の減価償却費を含む損益計算書(PL)を作成する。
【0044】
具体的には、PL作成部102dは、
図5に示すように、物件Xについては減価償却費20千円を含み、物件Yについては減価償却費30千円を含み、物件Zについては減価償却費50千円を含む損益計算書を作成する。このように、本実施形態に係る仕訳作成装置100がPL作成部102dを備えれば、同一の建物内に入居する複数のテナント別の減価償却費を正確に反映した、正確性の高い損益計算書を作成することができる。
【0045】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0046】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0047】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0048】
また、仕訳作成装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0049】
例えば、仕訳作成装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて仕訳作成装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0050】
また、このコンピュータプログラムは、仕訳作成装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0051】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0052】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0053】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0054】
また、仕訳作成装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、仕訳作成装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0055】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、例えば、不動産賃貸業において有用である。
【符号の説明】
【0057】
100 仕訳作成装置
102 制御部
102a 取得部
102b 算出部
102c 仕訳作成部
102d PL作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 固定資産登録テーブル
106b 配賦率管理マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク