(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】エレベータの制御方法、および制御システム
(51)【国際特許分類】
B66B 5/02 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
B66B5/02 Q
(21)【出願番号】P 2022150861
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2019235617の分割
【原出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-09-22
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Otis Elevator Company
【住所又は居所原語表記】One Carrier Place,Farmington,Connecticut,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ランディ ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ スコット コープランド
(72)【発明者】
【氏名】ルイス シー.エンシーナス カッレーノ
(72)【発明者】
【氏名】パトリシア ダーウィンスキ
(72)【発明者】
【氏名】クアウテモック カストロ
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-152000(JP,A)
【文献】特開2009-143679(JP,A)
【文献】国際公開第2009/028070(WO,A1)
【文献】特開2012-246073(JP,A)
【文献】特開2013-209210(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0213013(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103979378(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルディングの昇降路内に置かれたエレベータの制御方法であって、
前記ビルディングの揺れを検出することと、
前記
ビルディングの揺れの複数の周波数及び
前記ビルディングの関連する周期を含む、前記検出された揺れの特性を判定することと、
前記ビルディングの前記揺れの前記特性と前記エレベータシステムの構成要素の配置との間の関係を判定することと、
前記判定された特性に基づいて、前記エレベータシステムの細長部材の予測される揺れを判定することと、
前記細長部材の前記予測される揺れ
および前記判定された関係に基づいて、前記昇降路内のエレベータかごの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御することと、
を備え
、
前記エレベータかごの位置及び動きのうちの前記少なくとも1つを制御することは、前記判定された特性が特性の第1のセットを含むときの第1の制御戦略、または前記判定された特性が特性の第2のセットを含むときの第2の制御戦略を含み、
前記特性の第1のセットは、前記特性の第2のセットとは異なり、
前記第1の制御戦略は、前記第2の制御戦略とは異なる、方法。
【請求項2】
前記特性を判定することは、少なくとも2つの軸に沿った揺れの動きを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビルディングの前記揺れを検出することは、前記少なくとも2つの軸の各々に沿った動きの量を示す出力を提供する検出器を使用して前記揺れを検出することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出器は、MEMs加速度計を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ビルディングは、複数の主軸を有し、
前記ビルディングの前記揺れを検出することは、前記主軸に沿った動きをそれぞれ検出することを含み、
前記判定された特性は、前記主軸のどれが前記検出された揺れを含むかを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記判定された特性に基づいて、前記昇降路内の少なくとも1つのクリティカルゾーンを判定することを含み、
前記エレベータかごの位置及び動きのうちの前記少なくとも1つを制御することは、前記クリティカルゾーンの位置に基づいている、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのクリティカルゾーンを判定することは、前記予測される揺れの揺れ周波数、周期、またはその両方を判定することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ビルディングの昇降路内のエレベータシステムについての制御システムであって、前記制御システムは、
前記ビルディングの揺れのインジケーションを受信し、
前記揺れの周波数及び対応する周期を含む、前記ビルディングの揺れの複数の特性を判定し、
前記特性に基づいて、前記エレベータシステムの少なくとも1つの細長部材の予測される揺れを判定し、
前記ビルディングの前記揺れの前記特性と前記エレベータシステムの構成要素の配置との間の関係を判定し、
前記予測される揺れ
および前記判定された関係に基づいて、前記昇降路内の前記エレベータ
かごの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御する、
ように構成されたコントローラを備え
ており、
前記コントローラは、前記判定された特性が特性の第1のセットを含むときに第1の制御戦略を使用し、または前記判定された特性が特性の第2のセットを含むときに第2の制御戦略を使用することにより、前記エレベータかごの位置及び動きのうちの前記少なくとも1つを制御するように構成され、
前記特性の第1のセットは、前記特性の第2のセットとは異なり、
前記第1の制御戦略は、前記第2の制御戦略とは異なる、システム。
【請求項9】
前記特性は、少なくとも2つの軸に沿ったビルディングの揺れの動きを含む、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ビルディングの揺れのインジケーションを提供する少なくとも1つの検出器を含み、
前記少なくとも1つの検出器は、MEMs加速度計を含む、
請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ビルディングは、複数の主軸を有し、
前記検出器は、前記主軸に沿ったビルディングの動きをそれぞれ検出するように置かれ、
前記コントローラは、前記主軸のどれが前記検出された揺れを含むかに基づいて、前記エレベータかごの位置及び動きのうちの前記少なくとも1つを制御する、
請求項
8に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記予測される揺れに基づいて、前記昇降路内の少なくとも1つのクリティカルゾーンを判定し、前記クリティカルゾーンの位置に基づいて、前記エレベータかごの位置及び動きのうちの前記少なくとも1つを制御する、請求項
8に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記予測される揺れの複数の揺れ周波数、周期、またはその両方を判定することによって、前記少なくとも1つのクリティカルゾーンを判定する、請求項
12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ビル内の様々な階の間で搭乗者を搬送するために、エレベータシステムが広く使用されている。その時々において、様々な要因がエレベータシステムの動作に影響を与える。例えば、ビルディングが揺れている状態は、トラクションベースのエレベータシステムのローピングの横方向の動きをもたらすことがある。そのような揺れ状態に対処するべき方式においてエレベータシステムを制御するために様々な提案が行われてきた。
【背景技術】
【0002】
前のアプローチと関連付けられた1つの欠点は、揺れ状態を検出するセンサデバイスが高価であり、提供する情報が制限される傾向があることである。前のアプローチと関連付けられた別の問題は、高層ビルディング及び超高層ビルディングにおいて存在することがある更に甚大且つ潜在的に変化する揺れ状態に対処するのにそれらがあまり適していないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明は、ビルディングの揺れに基づくエレベータシステムの制御を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ビルディングの昇降路内に置かれたエレベータを制御する例示的な実施例の方法は、ビルディングの揺れを検出することと、揺れの複数の周波数及び関連する周期を含む、検出された揺れの特性を判定することと、判定された特性に基づいて、エレベータシステムの細長部材の予測される揺れを判定することと、予測される揺れに基づいて、昇降路内のエレベータかごの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御することと、を含む。
【0005】
前の段落の方法の1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、特性を判定することは、少なくとも2つの軸に沿ったビルディングの揺れの動きを判定することを含む。
【0006】
前の段落のいずれかの方法の1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、ビルディングの揺れを検出することは、少なくとも2つの軸の各々に沿った動きの量を示す出力を提供する検出器を使用して揺れを検出することを含む。
【0007】
前の段落のいずれかの方法の1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、検出器は、MEMs加速度計を含む。
【0008】
前の段落のいずれかの方法の1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、ビルディングは、複数の主軸を有し、ビルディングの揺れを検出することは、主軸に沿った動きをそれぞれ検出することを含み、判定された特性は、主軸のどれが検出された揺れを含むかを含む。
【0009】
前の段落のいずれかの方法の1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態は、判定された特性に基づいて、昇降路内の少なくとも1つのクリティカルゾーンを判定することを含み、エレベータかごの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御することは、クリティカルゾーンの位置に基づいている。
【0010】
前の段落のいずれかの方法の1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、少なくとも1つのクリティカルゾーンを判定することは、予測される揺れの周期を判定することを含む。
【0011】
前の段落のいずれかの方法の1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態は、ビルディングの揺れの特性とエレベータシステムの構成要素の配置との間の関係を判定することを含み、エレベータかごの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御することは、判定された関係に基づいている。
【0012】
前の段落のいずれかの方法の1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、エレベータかごの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御することは、判定された特性が特性の第1のセットを含むときの第1の制御戦略、または判定された特性が特性の第2のセットを含むときの第2の制御戦略を含む。特性の第1のセットは、特性の第2のセットとは異なり、第1の制御戦略は、第2の制御戦略とは異なる。
【0013】
ビルディングの昇降路内のエレベータシステムについての例示的な実施例の制御システムは、ビルディングの揺れのインジケーションを受信し、揺れの周波数及び対応する周期を含む、検出された揺れの複数の特性を判定するように構成されたコントローラを含む。コントローラは、特性に基づいて、エレベータシステムの少なくとも1つの細長部材の予測される揺れを判定する。コントローラは、予測される揺れに基づいて、昇降路内のエレベータの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御する。
【0014】
前の段落のシステムの1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、特性は、少なくとも2つの軸に沿ったビルディングの揺れの動きを含む。
【0015】
前の段落のいずれかのシステムの1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態は、ビルディングの揺れのインジケーションを提供する少なくとも1つの検出器を含み、少なくとも1つの検出器は、MEMs加速度計を含む。
【0016】
前の段落のいずれかのシステムの1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、ビルディングは、複数の主軸を有し、検出器は、主軸に沿ったビルディングの動きをそれぞれ検出するように置かれ、コントローラは、主軸のどれが検出された揺れを含むかに基づいて、エレベータかごの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御する。
【0017】
前の段落のいずれかのシステムの1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、コントローラは、予測される揺れに基づいて、昇降路内の少なくとも1つのクリティカルゾーンを判定し、クリティカルゾーンの位置に基づいて、エレベータかごの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御する。
【0018】
前の段落のいずれかのシステムの1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、コントローラは、予測される揺れの複数の周期を判定することによって、少なくとも1つのクリティカルゾーンを判定する。
【0019】
前の段落のいずれかのシステムの1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、コントローラは、ビルディングの検出された揺れの特性と昇降路内のエレベータシステムの構成要素の位置付けとの間の関係を判定する。コントローラは、判定された関係に基づいて、エレベータかごの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御する。
【0020】
前の段落のいずれかのシステムの1つ以上の特徴を有する例示的な実施形態では、コントローラは、ビルディングの揺れの方向が第1の方向にあるときの第1の制御戦略、またはビルディングの揺れの方向が第2の方向にあるときの第2の制御戦略を使用して、エレベータかごの位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御する。第1の方向は、第2の方向とは異なり、第1の制御戦略は、第2の制御戦略とは異なる。
【0021】
実施例の実施形態の様々な特徴及び利点は、以下の詳細な説明から当業者にとって明らかになるであろう。詳細な説明と共に図面は、以下のように簡潔に説明されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】エレベータシステムの選択された部分を概略的に例示する図である。
【
図2】実施例のビルディングの揺れ状態を概略的に示す図である。
【
図3】ビルディングの揺れ状態に基づく実施例の制御技術を要約したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
エレベータシステム20の選択された部分が
図1に概略的に例示される。エレベータシステム20は、ビルディング28の昇降路26内に置かれたエレベータかご22及びカウンタウェイト24を含む。昇降路26は、ビルディングの構成に応じて、ビルディング28内の様々な位置に置かれてもよい。いくつかの例では、昇降路26の少なくとも一部は、ビルディング28の外面に沿ってもよい。
【0024】
実施例のエレベータシステム20は、トラクションベースのシステムであり、トラクションベースのシステムでは、コントローラ30は、荷重負荷ローピングアセンブリ34の選択された動きを生じさせるように機構32の動作を制御し、荷重負荷ローピングアセンブリ34は、例えば、円筒ロープまたは平ベルトを含む。
図1はまた、補強ローピング機構36を示す。荷重負荷ローピングアセンブリ34のロープまたはベルト、及び補強ローピング機構36のロープまたはベルトは、エレベータシステム20の細長部材である。エレベータシステムの他の既知の特徴及び構成要素は示されない。例えば、移動ケーブルは、そのようなシステムに存在する別のタイプの細長部材である。
【0025】
ビルディング28の揺れを検出するために、少なくとも1つの検出器40がビルディング28の上または中に置かれる。検出器40は、42、44及び46に概略的に示されるものなど、複数の軸に沿ったビルディング28の動きを検出するように構成される。いくつかの実施形態では、検出器40は、ビルディング28の主軸に沿った動きを検出するように置かれる。議論の目的のために単一の検出器40が例示されるが、いくつかのビルディング28は、1つよりも多い検出器を含む。
【0026】
実施例の検出器40は、加速度計を含む。いくつかの実施形態は、MEMs加速度計を含む。そのような検出器の1つの特徴は、振り子タイプの揺れ検出器よりもはるかに安価であることである。加えて、小型サイズの検出器40は、ビルディングまたは昇降路内の様々な位置にそれが更に容易に組み込まれることを可能にする。
【0027】
検出器40は、ビルディングの動きのインジケーションをコントローラ30に提供する。検出器40は、動きの振幅、動きの周波数、及び動きの方向のインジケーションを提供する。いくつかの実施例では、3つの軸42、44及び46の各々に沿ったいずれかの動きは、コントローラ30に提供される検出器40からの各々のインジケーションと共に含まれる。
【0028】
検出器40からのインジケーションは、ビルディング28の揺れに関する情報をコントローラ30に提供する。コントローラ30は、プロセッサまたは他のコンピューティングデバイス、及びメモリを含み、ビルディング28の揺れの特性を判定するために検出器40からの情報を利用するように構成される。エレベータシステム20の位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御する。ほとんどの実施例では、コントローラ30は、そのような制御のためにエレベータかご22に関する位置または動き情報を利用する。コントローラ30は、エレベータの位置または動きを制御するための適切な制御戦略を選択するために、ビルディング28の検出された揺れの特性に関する情報を使用するように構成される。異なるビルディングの揺れ状態は、エレベータシステム20の構成要素、特に、細長部材への異なる影響を有する。コントローラ30は、エレベータシステム20への対応する予測される影響に対処するために、揺れの特性に関する情報を利用する。
【0029】
図2は、矢印48によって示されるように、ビルディング28の少なくとも一部が側面から側面に(図に従って)動いているビルディングの揺れ状態を概略的に例示する。この実施例では、ビルディングの揺れは、軸42及び44(
図1に示された)のうちの少なくとも1つに沿って動いているビルディングの一部を含む。
図2では、ビルディング28の設計位置または静的位置が実線で示され、揺れ状態が破線で示される。そのようなビルディングの揺れは、エレベータシステムの構成要素に影響を与える。議論の目的のため、荷重負荷ローピングアセンブリ34は、正確に垂直な位置または設計位置から動く傾向がある、エレベータシステム20内の実施例の細長部材として考えられる。ビルディングの揺れによって、それらの細長部材が揺れる傾向にあり、それは、
図2では、34’において細長部材の3つの実施例の位置によって概略的に示される。ローピングアセンブリ34の細長部材は、簡易化のために
図2には例示されない他の位置にビルディング28と共に動く。コントローラ30は、例えば、いずれかのエレベータシステムの構成要素への損傷を回避するために、昇降路26内の少なくともエレベータかご22の位置、動き、またはその両方を制御することによって、そのような状態に対処する。
【0030】
図3は、実施例の制御アプローチを要約したフローチャート50を含む。52において、検出器40は、ビルディングの揺れを検出する。検出器40は、少なくとも2つの軸42及び44に沿った動きのインジケーションをコントローラ30に提供する。54において、コントローラは、ビルディングの時間的に変化する振動に対応する、ビルディングの揺れの特性を判定する。判定された特性は、揺れの複数の周波数及び対応する周期(すなわち、周期=1/周波数)を含む。例示される実施例と同様の実施形態において使用される周波数及び周期情報は、エレベータシステム20の改善された制御を可能にする。判定された特性はまた、ビルディングの揺れの振幅及び方向を含む。
【0031】
ビルディング28の揺れの特性を判定するとき、コントローラ30は、いずれかの単一の軸での揺れにおける複数の階調の潜在的な存在を識別する。この実施例では、ビルディング28内の「カンチレバー」モードが重要であり、一般的に2つの周波数が存在する。検出器40は、ビルディング28の主軸とはおそらくは完全に調整されず、各々のチャネルにおいて少なくとも2つの周波数が存在する可能性が高い。
【0032】
実施例の実施形態におけるビルディング28の揺れの特性を判定することの一部は、デジタル信号処理ロジックを含む。検出器40によって提供される各々の軸に沿った未処理加速度データは、ビルディングの揺れの検出のために対象の周波数範囲にあるビルディングの運動を分離するために、バンドパスフィルタを使用してフィルタリングされる。実施例の周波数範囲は、0.05~1.00ヘルツ周波数であり、それは、1~20秒からの対応する周期を有する。そのような周波数範囲は、エレベータ機構32など、ビルディング28内の機械的構成要素からの高周波数の振動入力に敏感になることを回避する。この実施例は、振動を平滑にし、検出されたビルディングの揺れ状態が単に1回ではなく、または分離されたイベントではないが、エレベータシステム20の細長部材の揺れの懸念を提示するのに十分に永続的であることを保証するために、2つの軸における感知された加速度の移動平均を使用することを含む。
【0033】
56において、コントローラ30は、ビルディング28の揺れの特性に基づいて、細長部材の予測される揺れを判定する。ビルディングの設計及びビルディングの揺れモードに関する情報、並びにエレベータシステムの構成要素の構成または特徴に関する情報が与えられると、ビルディング28の揺れの特性のセットとエレベータシステムの細長部材の結果として生じる揺れとの間の関係を確立することが可能である。いくつかの実施例の実施形態は、既知の分析技術を使用してそのような関係を事前に判定することを含む。コントローラ30は、エレベータシステム20の細長部材の予測される揺れを判定するために、そのような関係を使用する。
【0034】
特性の様々なセットについての細長部材の予測される揺れは、複数の周波数をそれぞれ有する。現在予測される揺れの周波数及び対応する周期は、特定のタイプの細長部材の揺れを回避するためにエレベータシステムがどのように制御されるべきかに関する情報を提供する。例えば、エレベータシステムの構成要素のどの配置または状態が共鳴周波数においてまたはその近くでの細長部材の揺れをもたらす可能性が高いかを判定することが望ましい。コントローラ30は、そのような揺れ状態を回避するために、予測される細長部材の揺れに基づいて判定された制御戦略を使用する。
【0035】
そのような揺れ状態を回避する1つの実施例の方式は、昇降路26内の少なくとも1つのクリティカルゾーンを識別することを含む。クリティカルゾーンは、例えば、荷重負荷ローピングアセンブリ34または補強ローピングアセンブリ36の対応する構成が、回避されるべき昇降路26内の著しい横方向の動きを細長部材が経験することを可能にすることができることを理由に、揺れ状態の間にエレベータかご22が置かれるべきではない昇降路26の一部であってもよい。クリティカルゾーンは、細長部材の自然の揺れ周波数を既知のビルディングの揺れ周波数のうちの1つの10%以内に置く、エレベータかご22の駐車位置を含んでもよい。そのような位置にあるエレベータかご22により、細長部材の揺れは、ビルディングの揺れによりほぼ共鳴する。
【0036】
コントローラ30によって判定された制御戦略は、ロープの揺れを最小にするように、揺れイベントの間の識別されたクリティカルゾーンにおいてまたはその近くで、いかなる著しい時間も費やすことを回避するために、エレベータかご22の位置及び動きのうちの少なくとも1つを制御することを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、コントローラ30は、ビルディングの揺れの判定された特性に基づいて、複数の可能な制御戦略から一つのある制御戦略を決定する。例えば、コントローラ30は、エレベータシステムの特徴とビルディングの揺れの特性の異なるセットとの間の異なる関係に関する情報をメモリ内に有する。コントローラ30は、揺れ状態の間に所望のエレベータシステムの状態または性能を保証するために、適切な制御戦略の特徴を選択するためにそのような関係を使用する。例えば、その昇降路における側面から側面への、または昇降路26及びエレベータシステムの構成要素に対して横方向のビルディングの動きを揺れが伴う場合、そのタイプの揺れは、昇降路26に対する前から後ろまたは後方から前方方向での揺れとは異なる効果を有する傾向がある。ビルディングの揺れの方向に関する情報により、コントローラ30は、その揺れの状態に対する適切な制御戦略を決定することが可能である。
【0038】
ビルディングは、異なる方向での異なるタイプまたは量の揺れを経験する。風のパターンは、例えば、ビルディング28の位置及び方位に応じて異なる。いくつかの実施形態では、検出器からの方向情報は、予め定められた予測される揺れの振る舞いと関連付けられる。
【0039】
いくつかの実施例では、検出器40は、ビルディングの主軸のうちの少なくとも1つに沿ったビルディングの動きを検出する。コントローラ30によって選択された制御戦略は、少なくとも部分的に、それに沿ってビルディングの動きが生じる軸(複数可)に依存する。ビルディングの揺れ周期は、ビルディングの動きの方向及びそのような動きがビルディング軸のどれに沿うかに応じて変化する傾向がある。例示される実施例におけるコントローラ30は、適切な制御戦略を選択するためにそのような情報を利用するように構成される。
【0040】
コントローラ30が有する異なるビルディングの揺れ状態に関する情報は、予め定められてもよく、または経時的に経験的に判定されてもよい。エレベータシステム20及びその構成要素上での異なるタイプの揺れまたは異なる特性の揺れの影響も、予め定められてもよく、または経時的に経験的に確立されてもよい。情報が判定される方式は、本開示の範囲の外である。
【0041】
60において、コントローラ30は、検出器40によって示された揺れ状態に対処するように、決定された制御戦略を使用してエレベータの位置または動きのうちの少なくとも1つを制御する。
【0042】
開示された実施例の実施形態と一致するエレベータシステムの制御は、揺れ状態の特性に基づいて、エレベータの位置、動き、またはその両方にわたって更なる特定の制御及び効果的な制御を提供する。周期及び方向など、ビルディングの揺れの特定の特性へのそのような応答は、エレベータシステムの構成要素の所望の状態を維持し、所望のエレベータシステムの性能を達成するための能力を改善する。
【0043】
上述した説明は、本質的に限定するものではなく例示的である。本発明の本質から必ずしも逸脱しない、開示された実施例への変形及び修正が当業者にとって明らかになり得る。本発明に与えられる法的保護の範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによってのみ判定されることができる。