IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プロステップ株式会社の特許一覧 ▶ 日電工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-冷媒作業支援装置 図1
  • 特許-冷媒作業支援装置 図2
  • 特許-冷媒作業支援装置 図3
  • 特許-冷媒作業支援装置 図4
  • 特許-冷媒作業支援装置 図5
  • 特許-冷媒作業支援装置 図6
  • 特許-冷媒作業支援装置 図7
  • 特許-冷媒作業支援装置 図8
  • 特許-冷媒作業支援装置 図9
  • 特許-冷媒作業支援装置 図10
  • 特許-冷媒作業支援装置 図11
  • 特許-冷媒作業支援装置 図12
  • 特許-冷媒作業支援装置 図13
  • 特許-冷媒作業支援装置 図14
  • 特許-冷媒作業支援装置 図15
  • 特許-冷媒作業支援装置 図16
  • 特許-冷媒作業支援装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】冷媒作業支援装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 45/00 20060101AFI20230818BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
F25B45/00 C
F25B45/00 A
F25B45/00 B
F25B45/00 F
F25B49/02 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019135680
(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公開番号】P2021018042
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】305062457
【氏名又は名称】プロステップ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591053786
【氏名又は名称】日電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 茂
(72)【発明者】
【氏名】大橋 智文
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直礎
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-197107(JP,A)
【文献】特開2008-082652(JP,A)
【文献】特開2016-121850(JP,A)
【文献】特開2005-114313(JP,A)
【文献】実開平04-090865(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1727540(KR,B1)
【文献】特開2001-324097(JP,A)
【文献】特開2004-044901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 45/00
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの圧力センサーを設けた2つの第1の開口部と、真空ポンプ、冷媒ボンベ、窒素ボンベおよび冷媒回収機の少なくとも2つが接続される複数の第2の開口部とを有するマニホールドと、
前記第1および第2の開口部のそれぞれに設けられる第1および第2の弁と、
前記第2の開口部のいずれか一つのみが前記第1の開口部と同時に開となるように、前記第1および第2の弁のそれぞれを制御可能な制御部と、
を備え
前記第2の開口部には、少なくとも前記窒素ボンベが接続され、
前記制御部は、気密試験の指示を受け付けた場合に、
前記第1の弁のそれぞれと、前記第2の弁のうち前記窒素ボンベが接続されたものである入力弁とを開き、
前記圧力センサーからの信号に基づいて第1の圧力を測定し、
測定した前記第1の圧力が事前に設定された指定値に達すると、前記第1の弁と前記入力弁とを閉じ、
事前に設定された時間が経過すると、前記圧力センサーからの信号に基づいて第2の圧力を測定し、
前記第1および第2の圧力の差が、事前に設定された閾値以下であるか否かにより、前記気密試験の合否を判定すること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記マニホールドは、前記マニホールド内の流体を外部に排出するための第3の開口部をさらに有し、
前記第3の開口部にはそれぞれ第3の弁が設けられ、
前記制御部は、前記第2の弁および第3の弁の中のいずれか一つのみが前記第1の開口部と同時に開くように、前記第2および第3の弁のそれぞれを制御可能であること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
【請求項3】
請求項に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第2の開口部には、少なくとも前記真空ポンプが接続され、
前記制御部は、真空引き作業の指示を受け付けた場合に、
前記第1の弁のそれぞれと、前記第2の弁のうち前記真空ポンプが接続されたものである真空弁とを開き、
事前に設定された第1の時間が経過するまでに、前記圧力センサーからの測定値が示す負圧が所定の閾値に達しない場合には、リークが発生している旨を報知し、
事前に設定された、前記第1の時間よりも長い第2の時間が経過した場合に、前記第1の弁および前記真空弁を閉じた後、事前に設定された第3の時間が経過するまでに前記圧力センサーからの測定値が示す前記負圧前記所定の閾値よりも下がったときには、リークが発生している旨を報知すること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
【請求項4】
請求項に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第2の開口部には、少なくとも前記冷媒ボンベが接続され、
前記制御部は、前記冷媒ボンベから排出された冷媒の量を示す信号を出力するデバイスに接続され、
前記制御部は、冷媒充填作業の指示を受け付けた場合に、
前記第1の弁のそれぞれと、前記第2の弁のうち前記冷媒ボンベが接続されたものである冷媒弁とを開き、
前記デバイスから前記信号を受信し、
前記信号に基づいて前記冷媒の充填量を算出し、
算出した前記充填量が事前に設定された閾値以上となった場合に、前記第1の弁と前記冷媒弁とを閉めること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
【請求項5】
請求項に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第1の開口部には、空調機の高圧側および低圧側のポートが接続され、
前記制御部は、前記充填量が前記閾値よりも小さい設定値以上となった時に、前記高圧側のポートを閉じるように指示する信号を出力し、前記冷媒ボンベから前記低圧側のポートへの前記冷媒の流量が少なくなるように前記第1の弁を制御すること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
【請求項6】
請求項に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第2の開口部には、前記冷媒回収機も接続され、
前記制御部は、前記充填量が前記閾値以上となった場合に、前記第1の弁と前記冷媒弁とを閉めた後に、前記第2の弁のうち前記冷媒回収機が接続されたものである回収弁を開き、前記冷媒作業支援装置内に残留する前記冷媒を回収させること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
【請求項7】
請求項に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第2の開口部には、少なくとも前記冷媒回収機が接続され、
前記制御部は、冷媒回収作業の指示を受け付けた場合に、
前記第1の弁のそれぞれと、前記第2の弁のうち前記冷媒回収機が接続されたものである回収弁とを開き、
指示に応じて前記第1の弁および前記回収弁を閉めること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒作業支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調機や冷凍機などの冷媒ユニットには、冷媒回収、真空引き、気密試験、冷媒充填などの冷媒作業が必要である。特許文献1では、冷媒ガスを大気中に漏出させることなく、冷媒液を回収する装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-2994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒作業を行うにあたっては、作業ごとに異なる機器を冷媒ユニットに接続する必要がある。しかしながら、従来は、作業毎に機器をポートに接続し直す必要があり、手間がかかっていた。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、複数の冷媒作業関連機器を同時に接続したまま冷媒作業ができるようにする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、冷媒作業支援装置であって、2つの圧力センサーを設けた2つの第1の開口部と、真空ポンプ、冷媒ボンベ、窒素ボンベおよび冷媒回収機の少なくとも2つが接続される複数の第2の開口部とを有するマニホールドと、前記第1および第2の開口部のそれぞれに設けられる第1および第2の弁と、前記第2の開口部のいずれか一つのみが同時に開となるように、前記第1および第2の弁のそれぞれを制御可能な制御部と、を備えることとする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の冷媒作業関連機器を同時に接続したまま冷媒作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】冷媒作業支援装置1の斜視図である。
図2】冷媒作業支援装置1の正面図である。
図3】冷媒作業支援装置1の背面図である。
図4】冷媒作業支援装置1の上面図である。
図5】冷媒作業支援装置1の下面図である。
図6】冷媒作業支援装置1の側面図である。
図7】冷媒作業支援装置1のA-A断面図である。
図8】冷媒作業支援装置1に係る回路図である。
図9】制御部16に入出力される信号を説明する図である。
図10】冷媒作業支援装置1の動作を説明する図である。
図11】気密試験に係る処理の流れを説明する図である。
図12】漏れの確認に係る処理の流れを説明する図である。
図13】真空引き作業に係る処理の流れを説明する図である。
図14】冷媒充填作業に係る処理の流れを説明する図である。
図15】冷媒回収作業に係る処理の流れを説明する図である。
図16】冷媒充填作業に係る冷媒作業支援装置1の動作の変形例を示す図である。
図17】従来の冷媒作業を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による冷媒作業支援装置は、以下のような構成を備える。
【0011】
[項目1]
2つの圧力センサーを設けた2つの第1の開口部と、真空ポンプ、冷媒ボンベ、窒素ボンベおよび冷媒回収機の少なくとも2つが接続される複数の第2の開口部とを有するマニホールドと、
前記第1および第2の開口部のそれぞれに設けられる第1および第2の弁と、
前記第2の開口部のいずれか一つのみが同時に開となるように、前記第1および第2の弁のそれぞれを制御可能な制御部と、
を備える冷媒作業支援装置。
[項目2]
項目1に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記マニホールドは、前記マニホールド内の流体を外部に排出するための第3の開口部をさらに有し、
前記第3の開口部にはそれぞれ第3の弁が設けられ、
前記制御部は、前記第2の弁および第3の弁の中のいずれか一つのみが同時に開くように、前記第2および第3の弁のそれぞれを制御可能であること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
[項目3]
項目2に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第2の開口部には、少なくとも前記窒素ボンベが接続され、
前記制御部は、気密試験の指示を受け付けた場合に、
前記第1の弁のそれぞれと、前記第2の弁のうち前記窒素ボンベが接続されたものである入力弁とを開き、
前記圧力センサーからの信号に基づいて第1の圧力を測定し、
測定した前記第1の圧力が事前に設定された指定値に達すると、前記第1の弁と前記入力弁とを閉じ、
事前に設定された時間が経過すると、前記圧力センサーからの信号に基づいて第2の圧力を測定し、
前記第1および第2の圧力の差が、事前に設定された閾値以下であるか否かにより、前記気密試験の合否を判定すること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
[項目4]
項目2ないし3のいずれか1項に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第2の開口部には、少なくとも前記真空ポンプが接続され、
前記制御部は、真空引き作業の指示を受け付けた場合に、
前記第1の弁のそれぞれと、前記第2の弁のうち前記真空ポンプが接続されたものである真空弁とを開き、
事前に設定された第1の時間が経過するまでに、前記圧力センサーからの測定値が示す圧力が所定の閾値に達しない場合には、リークが発生している旨を報知し、
事前に設定された、前記第1の時間よりも長い第2の時間が経過した場合に、前記第1の弁および前記真空弁を閉じた後、事前に設定された第3の時間が経過するまでに前記圧力センサーからの測定値が示す前記圧力が所定の閾値よりも下がったときには、リークが発生している旨を報知すること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
[項目5]
項目2ないし4のいずれか1項に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第2の開口部には、少なくとも前記冷媒ボンベが接続され、
前記制御部は、前記冷媒ボンベから排出された冷媒の量を示す信号を出力するデバイスに接続され、
前記制御部は、冷媒充填作業の指示を受け付けた場合に、
前記第1の弁のそれぞれと、前記第2の弁のうち前記冷媒ボンベが接続されたものである冷媒弁とを開き、
前記デバイスから前記信号を受信し、
前記信号に基づいて前記冷媒の充填量を算出し、
算出した前記充填量が事前に設定された閾値以上となった場合に、前記第1の弁と前記冷媒弁とを閉めること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
[項目6]
項目5に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第1の開口部には、空調機の高圧側および低圧側のポートが接続され、
前記制御部は、前記充填量が前記閾値よりも小さい設定値以上となった時に、前記高圧側のポートを閉じるように指示する信号を出力し、前記冷媒ボンベから前記低圧側のポートへの前記冷媒の流量が少なくなるように前記第1の弁を制御すること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
[項目7]
項目5または6に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第2の開口部には、前記冷媒回収機も接続され、
前記制御部は、前記充填量が前記閾値以上となった場合に、前記第1の弁と前記冷媒弁とを閉めた後に、前記第2の弁のうち前記冷媒回収機が接続されたものである回収弁を開き、前記冷媒作業支援装置内に残留する前記冷媒を回収させること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
[項目8]
項目2ないし6のいずれか1項に記載の冷媒作業支援装置であって、
前記第2の開口部には、少なくとも前記冷媒回収機が接続され、
前記制御部は、冷媒回収作業の指示を受け付けた場合に、
前記第1の弁のそれぞれと、前記第2の弁のうち前記冷媒回収機が接続されたものである回収弁とを開き、
指示に応じて前記第1の弁および前記回収弁を閉めること、
を特徴とする冷媒作業支援装置。
【0012】
<概要>
以下、本発明の一実施形態に係る冷媒作業支援装置1について説明する。本実施形態の冷媒作業支援装置1は、空調機や冷凍機など冷媒を利用している機器(以下、冷媒ユニットという。)に係る冷媒作業を支援する装置である。冷媒作業には、気密試験、真空引き作業、冷媒充填作業、冷媒回収作業などがある。
【0013】
気密試験とは、冷媒ユニットを設置した際に配管接続部からの漏れなどが無いかを確認する作業である。真空引き作業とは、規定時間配管中の空気を抜くとともに真空乾燥する作業である。冷媒充填作業とは、冷媒ユニットに冷媒を充填する作業である。冷媒回収作業とは、冷媒ユニットから冷媒を取り出す作業である。
【0014】
これらの冷媒回収作業は、従来マニホールドに冷媒回収機25を繋ぎ替えて行っていた。図17は従来の冷媒作業を説明する図である。同図に示すように、マニホールド91のポート92に、気密試験の際には窒素ボンベ21を接続し、真空引き作業の際には真空ポンプ22を接続し、冷媒充填作業の際には冷媒充填ボンベ23を接続し、冷媒回収作業の際には冷媒回収機25を接続していた。
【0015】
しかしながら、冷媒作業は連続的に行うこともあり、一連の作業の途中で冷媒回収機25や窒素ボンベ21、真空ポンプ22、冷媒充填ボンベ23などの冷媒作業に関する機器(以下、冷媒作業関連機器という。)を繋ぎ替えるのは手間であった。
【0016】
たとえば、冷媒回収機25をマニホールド91に接続して冷媒回収作業を行った後、マニホールド91に窒素ボンベを繋ぎ替え、窒素加圧後にマニホールドのバルブを閉じ、指定圧力にて規定時間放置後の圧力降下量を元に配管の漏れが無いかを確認する気密試験を行い、気密試験で漏れが無いことを確認したうえで、窒素ガスを抜き、マニホールド91に真空ポンプを繋ぎ替えて真空引き作業を行い(空気を抜いた後、マニホールドの手動弁を閉じ、規定時間放置した後に、真空が保持できているのかを、負圧で気密を確認する作業をするケースもある。)、配管を真空にした後、マニホールド91に冷媒充填ボンベ23を繋ぎ替えて冷媒充填作業を行うということが行われうるところ、この一連の作業において4度の冷媒関連機器の接続作業を行う必要があった。
【0017】
そこで、本実施形態の冷媒作業支援装置1は、マニホールドに複数の冷媒関連機器を接続したまま冷媒作業を行うことができるように、それぞれ弁を設けた複数のポートと、弁を自動制御する機構を設けるようにしている。
【0018】
<外観>
図1ないし図7に本実施形態に係る冷媒作業支援装置1の外観を示す。図1は冷媒作業支援装置1の斜視図である。図2は冷媒作業支援装置1の正面図である。図3は冷媒作業支援装置1の背面図である。図4は冷媒作業支援装置1の上面図である。図5は冷媒作業支援装置1の下面図である。図6は冷媒作業支援装置1の側面図である。図7図6の冷媒作業支援装置1のA-A断面図である。
【0019】
冷媒作業支援装置1は、筐体11の外部に6つのポート131ないし136が設けられており、パージ用のポート(不図示、以下排出口という。)が別途設けられる。また、冷媒作業支援装置1の前面にはタッチパネルディスプレイ等の表示部12が設けられる。本実施形態では、表示部12はタッチパネル等により冷媒作業者からの情報の入力を受け付け可能であるものとする。
【0020】
各ポート131ないし136および排出口にはそれぞれ弁が設けられる。図7に示すように、冷媒作業支援装置1は7つの弁SV1ないしSV7を備える。ポート131および132には、電動弁である弁SV1およびSV2がそれぞれ設けられ、ポート133ないし136には、電磁弁である弁SV3ないしSV6が設けられ、排出口には電磁弁である弁SV7が設けられる。また、弁SV1ないしSV7を制御する制御部16が筐体11内部に配される。弁SV1ないしSV7は、マニホールド13に取り付けられて連通する。本実施形態では、マニホールド13は、第1のマニホールド14と第2のマニホールド15とを連結させた形態であるが、一体的なマニホールド13として形成してもよい。
【0021】
図8に示すように、冷媒作業にあたり、弁SV1に接続するポート131と、弁SV2に接続するポート132とは、空調機などの冷媒ユニット31に接続される。具体的には、ポート131は低圧側のサービスポート311に、ポート132は高圧側のサービスポート312にそれぞれ接続される。ポート131および132には、圧力センサー17および18がそれぞれ設けられる。
【0022】
弁SV3が設けられたポート133には真空ポンプ22が接続可能である。真空引き作業は、弁SV3を開けて真空ポンプ22を動作させることにより行われる。
【0023】
弁SV4が設けられたポート134には窒素ボンベ21が接続可能である。気密試験は、弁SV4を開けて窒素ボンベ21から窒素を注入して圧力を上げた後に、弁SV4を閉
じ、圧力センサー17および18を用いて測定した圧力の低下具合により合否を判断することができる。
【0024】
弁SV5が設けられたポート135には冷媒充填ボンベ23が接続可能である。冷媒充填作業では、弁SV5を開けて冷媒充填ボンベ23を動作させて、冷媒を冷媒ユニット31に注入することができる。冷媒ボンベ23はチャージングスケール24上に載置され、チャージングスケール24は冷媒ボンベ23の重量を測定する。チャージングスケール24により測定された重量の変化により、充填された冷媒の量を計算することができる。
【0025】
弁SV6が設けられたポート136には冷媒回収機25が接続可能である。冷媒回収作業では、弁SV6を開けて冷媒回収機25を動作させることにより、冷媒ユニット31から冷媒が取り出されて回収ボンベ26に回収される。
【0026】
弁SV7は排出口を介してマニホールド13の外部と連通しており、弁SV7が開けられると、マニホールド13の内部に存在する流体が排出口から外部に排出される。
【0027】
弁SV1ないしSV7は、制御部16により制御され、冷媒作業に応じた弁が開閉されるので、各冷媒作業時にポート133ないし136の全てまたは一部に、複数の冷媒関連機器を接続しておくことができる。
【0028】
図9は制御部16に入出力される信号を説明する図である。制御部16には圧力センサー17および18からの信号(以下、圧力信号という。)が入力される。また、制御部16からは、電動弁SV1およびSV2ならびに電磁弁SV3ないしSV7に対して、弁の開閉を指示する信号(以下、開閉信号という。)が出力される。弁SV1ないしSV7は制御部16からの開閉信号に応じて弁の開閉がなされる。
【0029】
チャージングスケール24からは、その上に載置された物体の重量を示す信号(本実施形態ではロードセル信号を想定するが、他の信号であってもよい。)が制御部16に入力される。制御部16は、チャージングスケール24からのロードセル信号に基づいて、冷媒ボンベ23から排出された冷媒の量を、冷媒ユニット31に充填された冷媒の量として計算することができる。
【0030】
制御部16は表示部12とも接続されており、表示部12にメッセージを表示させることができる。また、本実施形態では表示部12は入力装置を兼ねており、表示部12から情報を受信することもできる。制御部16はまた、冷媒作業支援装置1内に設けられるブザー(不図示)とも接続され、制御部16からブザーを作動させることもできるものとする。
【0031】
<動作>
以下、本実施形態の冷媒作業支援装置1の動作について説明する。図10は、冷媒作業支援装置1の動作を説明する図である。
【0032】
制御部16は、これから行う冷媒作業を入力するように指示するメッセージを表示部12に出力し(S31)、冷媒作業者から入力された冷媒作業が「気密試験」である場合(S32:気密試験)、図11に示す処理を実行する(S33)。入力された冷媒作業が「真空引き」である場合(S32:真空引き)、図13に示す処理を実行する(S35)。入力された冷媒作業が「冷媒充填」である場合(S32:冷媒充填)、図14に示す処理を実行する(S37)。入力された冷媒作業が「冷媒回収」である場合(S32:冷媒回収)、図15に示す処理を実行する(S39)。
【0033】
<気密試験>
図11は気密試験に係る処理の流れを説明する図である。気密試験を行う場合、弁SV4が設けられるポート134には窒素ボンベ21が接続されているものとする。
【0034】
制御部16は、表示部12を介して、気密加圧圧力、気密加圧時間、および気密判定閾値の入力を受け付ける(S331)。制御部16は、弁SV1、SV2およびSV7を開く(S332)。なお、弁SV3ないしSV6は閉じているものとする。制御部16は、圧力センサー17、18の両方の圧力がゼロになるまで待機する(S333:NO)。圧力がゼロになった後(S333:YES)、制御部16は弁SV7を閉じ(S334)、窒素ボンベ21の繋がれたポート134に設けられた弁SV4を開き、窒素ボンベ21からの窒素がマニホールド13および冷媒ユニット21を満たすようにする(S335)。制御部16は、タイムアウトするまで(S336:NO)、圧力センサー17、18から取得した圧力が気密加圧圧力に達したか否かを判定する(S337)。気密加圧圧力に達していなければ(S337:NO)、ステップS336に戻る。圧力が気密加圧圧力に達するまでにタイムアウトした場合(S336:YES)、制御部16はブザー(不図示)を動作させて、圧力上昇がタイムアウトした旨を報知するとともに(S338)、圧力が上昇しなかった旨を示す警告メッセージを表示部12に表示させて(S339)、処理を終了する。
【0035】
制御部16は、圧力センサー17、18から取得した圧力が、設定された気密加圧圧力に達した場合(S337:YES)、弁SV1、SV2およびSV4を閉じた後(S340)、弁SV7を5秒間開けてパージを行う(S341)。制御部16は、設定された気密加圧時間が経過するまで待ち(S342:NO)、気密加圧時間が経過したら(S342:YES)、圧力センサー17、18から圧力を取得する(S343)。
【0036】
圧力低下が許容範囲内である場合、すなわち、圧力センサー17、18が計測した圧力を気密加圧圧力で割った値が気密判定閾値以上である場合には(S344:YES)、制御部16は、気密試験に合格した旨を表示部12に出力し(S345)、弁SV7を開いて窒素ガスをパージし(S346)、圧力センサー17、18からの圧力がゼロになったら(S347:YES)、処理を終了する。
【0037】
一方、圧力低下が許容範囲を超えた場合、すなわち、圧力センサー17、18が計測した圧力を気密加圧圧力で割った値が気密判定閾値未満である場合(S344:NO)、漏れの確認処理を行う(S348)。図12は漏れの確認に係る処理の流れを説明する図である。制御部16は、弁SV1およびSV2を開け(S3481)、その0.5秒後に、弁SV4を開けて(S3482)、窒素ボンベ21からの窒素を冷媒ユニット31に注入する。制御部16は、圧力センサー17、18から取得した圧力が気密加圧圧力に達したところで(S3483:YES)、弁SV4を閉じ(S3484)、表示部12に、漏れの箇所を確認するように指示するメッセージを表示させる(S3485)。冷媒作業者は、たとえば、泡やディテクターを用いて漏れ箇所を探し、必要に応じて修繕等を行うことができる。制御部16は、冷媒作業者からの指示に応じて、弁SV1、SV2およびSV7を開き、充填した窒素をパージすることができる(S3486)。以上のようにして、漏れ箇所の検査を行うことができる。
【0038】
<真空引き>
図13は、真空引き作業に係る処理の流れを説明する図である。真空引き作業を行う場合、弁SV3が設けられるポート133には、真空ポンプ22が接続されているものとする。
【0039】
制御部16は、表示部12を介して、真空引き時間、初期確認時間、初期確認圧力、終了確認時間、終了確認圧力の入力を受け付ける(S351)。なお、終了確認圧力は、所定の真空負圧の値を設定するようにしてもよい。
【0040】
制御部16は、弁SV1、SV2およびSV7を開く(S352)。なお、弁SV3ないしSV6は閉じているものとする。制御部16は、圧力センサー17、18の両方の圧力がゼロになるまで待機する(S353:NO)。圧力がゼロになった後(S353:YES)、制御部16は弁SV7を閉じ(S354)、真空ポンプ22が繋がれたポート133に設けられた弁SV3を開く(S355)。
【0041】
ここで真空ポンプ22が起動される(S356)。なお、制御部16と真空ポンプ22とを接続して、制御部16から真空ポンプ22に信号を送って真空ポンプ22を起動するようにしてもよい。初期確認時間が経過するまでに(S357:NO)、圧力が初期確認圧力に達せず(S358:NO)、初期確認時間が経過した場合には(S357:YES)、リークが発生している旨の警告を表示部12に表示して(S359)、処理を終了する。
【0042】
初期確認時間が経過するまでに(S357:NO)、圧力が初期確認圧力に達した場合(S358:YES)、制御部16は、設定された真空引き時間が経過すると(S360:YES)、弁SV1、SV2およびSV3を閉じる(S361)。ここで真空ポンプ22が停止される(S362)。なお、制御部16と真空ポンプ22とを接続して、制御部16から真空ポンプ22に信号を送って、あるいは、制御部16が真空ポンプ22のコンセントを遮断することにより、真空ポンプ22を停止するようにしてもよい。
【0043】
終了時間が経過するまで待機した後(S363:YES)、圧力が終了確認圧力を下回った場合には(S364:NO)、ステップS359に進み、リークが発生している旨を表示部12に表示する(S359)。圧力が終了確認圧力以上であれば(S364:YES)、正常終了する。
【0044】
以上のようにして、短時間で圧力が損失する大きなリーク(S358:NO、S357:YES)の確認とともに、徐々に圧力が損失していくスローリーク(S364:NO)の確認を行うことにより、真空引きが確実に行われたことを確認することができる。
【0045】
<冷媒充填>
図14は、冷媒充填作業に係る処理の流れを説明する図である。冷媒充填作業を行う場合、弁SV5が設けられるポート135には冷媒充填ボンベ23が接続されているものとする。
【0046】
制御部16は、表示部12を介して、充填量閾値、均圧確認時間、および均圧確認閾値の入力を受け付ける(S371)。
【0047】
制御部16は、弁SV1、SV2およびSV5を開く(S372)。なお、弁SV3、SV4、SV6およびSV7は閉じているものとする。ここで冷媒充填ボンベ23が開かれ(S373)、冷媒充填ボンベ23からの冷媒がマニホールド13を介して冷媒ユニット31に注入される。
【0048】
制御部16は、チャージングスケール24からロードセル信号を受信し(S374)、ロードセル信号に基づいて、冷媒ユニット31に充填された冷媒の量(充填量)を算出する(S375)。制御部16は、充填量の単位時間あたりの変化量をメモリ等の記録媒体(不図示)に記録しておき、均圧確認時間の間に均圧確認閾値以上の冷媒が移動したか否かにより、均圧(冷媒充填ボンベ23からの出力圧と、冷媒ユニット31の高圧側の圧力とが一致した状態)に至っていないか否かを判定し(S376)、均圧に至っている場合には(S376:YES)、表示部12に、冷媒ユニット31を運転させ、冷媒ユニット31の高圧側のサービスバルブを閉じ、低圧側のサービスバルブを絞るように指示するメッセージを表示する(S377)。作業者がこのメッセージに従って作業を行うことにより、冷媒ユニット31の低圧側からマニホールド13内の冷媒を冷媒ユニット31に移動させることが可能となる。
【0049】
冷媒ユニット31への冷媒の充填量が、充填量閾値未満である場合は(S378:NO)、ステップS374からの処理を繰り返す。算出した充填量が、充填量閾値以上である場合(S378:YES)、制御部16は、弁SV1、SV2およびSV5を閉じる(S379)。ここで冷媒充填ボンベ23も閉じられる(S380)。なお、ここで制御部16は、冷媒充填ボンベ23を閉じるように指示するメッセージを表示部12に表示して作業者が冷媒充填ボンベ23を閉じるようにしてもよいし、冷媒充填ボンベ23に電動弁または電磁弁を設け、この弁と制御部16とを接続して、冷媒充填ボンベ23の開閉を制御部16から制御するようにしてもよい。冷媒作業者は冷媒ユニット31の動作を確認し(S381)、充填された冷媒の量が足りないような場合には冷媒作業支援装置1の表示部12に充填の指示を行い、制御部16は、これに応じて弁SV1、SV2およびSV5を開き、また冷媒作業者からの指示に応じて弁SV1、SV2およびSV5を閉じる(S382)。このようにして冷媒の充填作業が行われる。
【0050】
冷媒ユニット31への冷媒充填が終了した後、制御部16は、SV6を開けて(S383)、冷媒回収機25を起動するように指示するメッセージを表示部12に表示し、冷媒回収機25を起動させる(S384)。なお、冷媒回収機25と制御部16とを接続させて、制御部16からの信号で冷媒回収機25を動作させてもよい。これにより、マニホールド13内に残留していた冷媒を回収し、冷媒の流出を確実に防ぐことができる。
【0051】
<冷媒回収>
図15は、冷媒回収作業に係る処理の流れを説明する図である。冷媒回収作業を行う場合には、弁SV6が設けられるポート136には冷媒回収機25が接続されているものとする。
【0052】
制御部16は、弁SV1、SV2およびSV6を開く(S391)。なお、弁SV3ないしSV5およびSV7は閉じているものとする。ここで冷媒回収機25が起動される(S392)。なお、冷媒回収機25と制御部16とを接続させて、制御部16からの信号で冷媒回収機25を動作させてもよい。制御部16は、表示部12を介して、冷媒回収作業の終了の指示を受け付けた場合に(S393:YES)、処理を終了する。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の冷媒作業支援装置1によれば、マニホールド13に設けられた複数の弁を自動的に開閉制御することができるので、複数の冷媒作業関連機器をマニホールド13に繋いだまま、使用する冷媒作業関連機器の弁を開けて冷媒作業を行うことができる。したがって、冷媒作業関連機器を付け替える手間を軽減することができる。
【0054】
また、本実施形態の冷媒作業支援装置1によれば、弁の開閉を制御部16により自動的に行うことができるので、弁の開閉の順番やタイミングを間違えることを予防することが可能になり、冷媒作業を確実に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態の冷媒作業支援装置1の前面に設けられた表示部12には、冷媒作業に関する作業指示が表示され、作業者は表示部12に表示される説明を見ながら作業を行うことができるので、冷媒作業に不慣れな作業者であっても確実に冷媒作業を行うことが可能となり、経験の少ない作業員であっても、冷媒ユニット31のメンテナンスを行うことができる。
【0056】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0057】
たとえば、本実施形態では、動作時に冷媒作業を1つ指定するものとしたが、複数の冷媒作業を指定するようにしてもよい。また、複数の冷媒作業を組み合わせた作業を指定するようにしてもよい。さらに、複数の冷媒作業の順番を指定するようにしてもよい。この場合、図11ないし図15に示す処理を、指定された順番で実行するようにすればよい。
【0058】
また、本実施形態では、表示部12に表示する情報は最低限のもののみを説明したが、冷媒作業に関する各種の情報を表示することができる。たとえば、制御部16は、冷媒作業が指定された場合に、冷媒作業の説明を表示部12に表示するようにすることができる。また、制御部16は、図11ないし図15に示す処理の進行状況を表示部12に表示するようにすることもできる。たとえば、制御部16は、圧力センサー17、18から取得した圧力や、チャージングスケール24から受信したロードセル信号に基づいて計算した充填量などを表示部12に表示することもできる。また、制御部16は、冷媒作業に関して、窒素ボンベ21や真空ポンプ22、冷媒充填ボンベ23、冷媒回収機25などを動作させるように冷媒作業者に対する指示を表示部12に表示するようにすることもできる。
【0059】
また、本実施形態では、冷媒充填作業では、冷媒充填ボンベ23から冷媒ユニット31に移動する冷媒の流量(充填スピード)は一定であるものとしたが、最後に充填スピードを下げるようにしてもよい。図16は、図14に示した冷媒充填作業に係る冷媒作業支援装置1の動作の変形例を示す図であり、冷媒の充填量が充填量閾値に達する少し前に、冷媒の充填速度を落とすように調整を行う処理の例を示している。図16の例では、冷媒ユニット31への冷媒の充填量が、充填量閾値から、事前に設定した所定値を引いた値になった場合(S401:YES)、制御部16は、SV5を閉じ、短時間後に開けるという閉開動作を行うことで、冷媒ユニット31への冷媒の充填スピード(単位時間あたりに移動される冷媒量)を下げる(S402)。冷媒充填ボンベ23から排出される冷媒の勢いは強くなることが多く、充填量閾値への到達直前にチャージングスケール24からロードセル信号を受信した後、次にロードセル信号を受信するまでの間に、充填量が充填量閾値を超えてしまうことが生じうる。そこで、充填量閾値に達する少し前に、充填スピードを下げることにより、冷媒が正確に充填量閾値となるように充填することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態では、気密試験、真空引き、冷媒充填および冷媒回収を別々の作業として実施することを記載したが、2つ以上の作業を連続的に行うことも可能である。この場合、複数の作業を連続で行うモードを事前に設定しておき、作業者からモードの指定を受け付けるようにしてもよいし、実施する作業とその順番の指定を作業者から受け付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 冷媒作業支援装置
11 筐体
12 表示部
13 マニホールド
14 第1のマニホールド
15 第2のマニホールド
16 制御部
17 圧力センサー
18 圧力センサー
21 窒素ボンベ
22 真空ポンプ
23 冷媒充填ボンベ
24 チャージングスケール
25 冷媒回収機
26 回収ボンベ
SV1 弁
SV2 弁
SV3 弁
SV4 弁
SV5 弁
SV6 弁
SV7 弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17