(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】メッシュ状シートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B26F 3/00 20060101AFI20230818BHJP
C08J 9/00 20060101ALI20230818BHJP
B26D 3/08 20060101ALI20230818BHJP
B26D 7/10 20060101ALI20230818BHJP
B26D 9/00 20060101ALI20230818BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20230818BHJP
B26D 1/08 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
B26F3/00 Z
C08J9/00 Z
B26D3/08 Z
B26D7/10
B26D9/00
B26D7/06 Z
B26D1/08
(21)【出願番号】P 2020030535
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2019050848
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222406
【氏名又は名称】東レプラスチック精工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504383999
【氏名又は名称】株式会社奥谷金網製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】508074549
【氏名又は名称】日建ラス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091384
【氏名又は名称】伴 俊光
(74)【代理人】
【識別番号】100125760
【氏名又は名称】細田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 和彦
(72)【発明者】
【氏名】芹沢 是高
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 智彦
(72)【発明者】
【氏名】福永 剛
(72)【発明者】
【氏名】福島 輝敬
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-078323(JP,A)
【文献】特開2018-192847(JP,A)
【文献】特開平11-116715(JP,A)
【文献】特開平07-011561(JP,A)
【文献】特開昭52-091988(JP,A)
【文献】特許第3995187(JP,B2)
【文献】特公昭47-012233(JP,B1)
【文献】実公平03-057439(JP,Y2)
【文献】特開昭54-125272(JP,A)
【文献】米国特許第04226828(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 3/00
C08J 9/00
B26D 3/08
B26D 7/10
B26D 9/00
B26D 7/06
B26D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と炭素繊維とを含む複合材料からなるメッシュ状シートであって、メッシュ開口部の周縁を形成するストランド部同士がボンド部で連結され、前記メッシュ開口部の合計面積が、端面全体の面積に対し10~95%であり、前記複合材料が炭素繊維を5~50重量%含み、0.05~1.0mmの長さを有する炭素繊維の割合が炭素繊維全体に対し60重量%以上であ
り、
前記熱可塑性樹脂が異なる種類の熱可塑性樹脂を含み、一の熱可塑性樹脂の融点、ガラス転移点または軟化点から20~50℃の高い所定温度において、他の熱可塑性樹脂の粘度が前記一の熱可塑性樹脂の粘度の3~70倍であることを特徴とするメッシュ状シート。
【請求項2】
熱可塑性樹脂と炭素繊維とを含む複合材料からなるメッシュ状シートであって、メッシュ開口部の周縁を形成するストランド部同士がボンド部で連結され、前記メッシュ開口部の合計面積が、端面全体の面積に対し10~95%であり、前記複合材料が炭素繊維を5~50重量%含み、0.05~1.0mmの長さを有する炭素繊維の割合が炭素繊維全体に対し60重量%以上であ
り、
60重量%以上の炭素繊維が一の方向から15°以内に配向されており、前記ストランド部の長手方向が炭素繊維の配向方向と60°以内の角度で配置されていることを特徴とするメッシュ状シート。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂が異なる種類の熱可塑性樹脂を含み、一の熱可塑性樹脂から構成される海相内に、他の熱可塑性樹脂から構成される島相が分散している構造を有する、請求項
2に記載のメッシュ状シート。
【請求項4】
前記メッシュ開口部の形状が、多角形、円形または楕円形である、請求項
2または3に記載のメッシュ状シート。
【請求項5】
前記メッシュ開口部の長目方向長さが0.01mm~100mmである、請求項
2~
4のいずれかに記載のメッシュ状シート。
【請求項6】
前記ストランド部の幅が0.1mm~100mmである、請求項
2~
5のいずれかに記載のメッシュ状シート。
【請求項7】
厚みが0.05mm~100mmである、請求項
2~
6のいずれかに記載のメッシュ状シート。
【請求項8】
積層構造を有する、請求項
2~
7のいずれかに記載のメッシュ状シート。
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂が異なる種類の熱可塑性樹脂を含み、一の熱可塑性樹脂の融点、ガラス転移点または軟化点から20~50℃の高い所定温度において、他の熱可塑性樹脂の粘度が前記一の熱可塑性樹脂の粘度の3~70倍である、請求項
2~8のいずれかに記載のメッシュ状シート。
【請求項10】
請求項
1または9に記載のメッシュ状シートの製造方法であって、熱可塑性樹脂と炭素繊維とを含む複合材料からなるシート材を長手方向に送りながら、交互に配置される山頂平坦部と谷底平坦部とが稜線で結ばれた形状を有する一の刃を他の刃に向けて入刃することにより前記シート材に千鳥状の切れ目を形成した後に、各々の切れ目を前記長手方向に引き伸ばしてストランド部からなる周縁を有するメッシュ開口部を形成することを特徴とするメッシュ状シートの製造方法。
【請求項11】
炭素繊維の配向方向と垂直な方向に対し15°以内の角度をなす方向に前記切れ目を形成することにより前記ストランド部を形成する、請求項10に記載のメッシュ状シートの製造方法。
【請求項12】
前記切れ目を50%~1000%の引伸率で前記長手方向に引き伸ばす、請求項10または11に記載のメッシュ状シートの製造方法。
【請求項13】
前記千鳥状の切れ目を形成する直前または直後に、前記シート材を前記熱可塑性樹脂の融点、ガラス転移点または軟化点よりも20~50℃高い所定温度で軟化させる、請求項10~12
のいずれかに記載のメッシュ状シートの製造方法。
【請求項14】
前記メッシュ開口部を形成した後に、前記シート材を熱可塑性樹脂の融点、ガラス転移点または軟化点よりも20~50℃高い所定温度で再び軟化させてから、再び引き伸ばして前記メッシュ開口部を追加的に形成する、請求項
10~13
のいずれかに記載のメッシュ状シートの製造方法。
【請求項15】
前記シート材にあらかじめ1重量%以上の割合で水分を含ませる、請求項10~14
のいずれかに記載のメッシュ状シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂と炭素繊維とを含む複合材料からなるメッシュ状シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メッシュ状の開口部を有するものとして、エキスパンドメタルがある。これは、原板となる金属板材の板面に千鳥状配列の切れ目を形成するとともに各々の切れ目を送り方向に引き伸ばして、製品全体を一様にメッシュ状に加工した金属製品である。これらは最小限の金属板を効率よく加工して作られる省資源性にも優れている。
【0003】
そしてエキスパンドメタルは、特許文献1や2にあるように簡易フェンス、仮設足場の踏板、用水路の溝フタ等に代表される建築・土木資材はもちろんのこと、意匠性にも優れることから、園芸用の棚板等の家庭・園芸資材の分野、車載部品、家電用品、建築資材等においても広く用いられている。
【0004】
また、特許文献3のように熱可塑性樹脂炭素繊維複合材料にパンチング加工したものも得られており、軽量化が進んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6404086号公報
【文献】特開2012-170957号公報
【文献】特許第6122375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のメッシュ状シートは金属からなるエキスパンドメタルであり、これらは、主に屋外で使用されるために、風雨、海風、鉄粉、排ガス、微粒子にさらされることで、容易に錆びることなる。
【0007】
さらにエキスパンドメタルは金属であるために重く、このため錆びによる破損によって転倒の危険性もより高くなる。また金属板を剪断した時に作られた凹凸の角により、一段と錆びやすく、手や肌を怪我したり衣服を破る危険性も高い。さらに、錆びによる意匠性も時間の経過とともに低下する。
【0008】
また、樹脂製のメッシュ状のシートも市販されているが、強度も低く開口率も低いので金属のエキスパンドメタルの代替には至っていない。特に、樹脂のエキスパンドシートは加工時に強度が無い上に、エキスパンド加工の引伸時にちぎれて割れやすいといった課題もあり、製品化には至っていない。また、射出成形で疑似的なメッシュ成形品が販売されているが、目が非常に大きく、細かな形状が得られないばかりか、製品が肉厚となり、サイズも大きくないので、金属のメッシュ代替品にはなり得ない。
【0009】
そこで、熱可塑性樹脂炭素繊維複合材料にパンチング加工した製品もあり、活用されているが、パンチングにより樹脂を半分取り除くことになり、廃棄量も増えることから、効率の点で課題が残っていた。
【0010】
すなわち、本発明の課題は、錆びに強くかつ軽量で高強度であり、高開口率で意匠性に優れ、素材の有効利用の高いメッシュ状シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るメッシュ状シートは、熱可塑性樹脂と炭素繊維とを含む複合材料からなるメッシュ状シートであって、メッシュ開口部の周縁を形成するストランド部同士がボンド部で連結され、前記メッシュ開口部の合計面積が、端面全体の面積に対し10~95%であり、前記複合材料が炭素繊維を5~50重量%含み、0.05~1.0mmの長さを有する炭素繊維の割合が炭素繊維全体に対し60重量%以上であることを特徴とするものからなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、錆びに強くかつ軽量で高強度であり、高開口率で意匠性に優れたメッシュ状シートを提供することができる。
【0013】
さらに熱可塑性樹脂炭素繊維複合材料の有する特徴である高比弾性、高振動減衰性、高摺動性、制電性を有するメッシュ状シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施態様に係るメッシュ状シートの概略斜視図である。
【
図2】
図1のメッシュ状シートの原料となる基材の概略斜視図である。
【
図4】
図2の基材複合材料の構造を示す模式断面図である。
【
図5】本発明の一実施態様に係るメッシュ状シートの側面を電子顕微鏡にて観察した結果を示す模式図である。
【
図6】本発明の一実施態様に係るメッシュ状シートにおける炭素繊維の配向方向を電子顕微鏡観察した結果を示す模式図である
【
図7】本発明に係るメッシュ状シートの部分拡大斜視図である。
【
図8】メッシュ状シートの製造装置を例示する概略側面図である。
【
図9】本発明の一実施態様に係るメッシュ状シートの製造方法を状態(a)から状態(c)まで時系列的に示す模式図である。
【
図10】本発明の一実施態様に係るメッシュ状シートの製造方法において、シート材に切れ目を形成する方法を示す模式図である。
【
図11】本発明の一実施態様に係るメッシュ状シートの製造方法において、シートに加熱する工程を含む製造装置を例示する概略側面図である。
【
図12】本発明の一実施態様に係るメッシュ状シートの製造方法において、メッシュ状シートを加熱したのち、再度引き伸ばす方法を示すメッシュ状シートの製造装置を例示する概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係るメッシュ状シートは、熱可塑性樹脂炭素繊維複合材料からなる。熱可塑性樹脂および炭素繊維を含む複合材料からなる熱可塑性樹脂炭素繊維複合材料において、
図1に示すような開口部周縁となる複数のストランド部、及び前記複数のストランド部どうしを連結するボンド部を形成するエキスパンドシートのメッシュ状の開口部総面積が、端面の総面積の10~95%であり、前記複合材料が炭素繊維を5~50重量%含有しており、繊維長さが0.05~1.0mmである炭素繊維の割合が、炭素繊維全体に対し60重量%以上である。
【0016】
このメッシュ状シートは、
図2に示すシートの基材2を加工することで得られ、
図1においてA-A断面を見ると
図3に示すような構造が観察され、メッシュの孔3と基材2が交互に配列しており、かつ炭素繊維5が熱可塑性樹脂4の中で一方向に配向している。
【0017】
図4はメッシュ状シートの断面図であり、熱可塑性樹脂炭素繊維複合材料70が海島構造を有することを示している。海相は、第1の熱可塑性樹脂71と第2の熱可塑性樹脂72を主成分とする。一方、島相は、炭素繊維5からなる。
【0018】
熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリスチレン)でもよく、またはポリアミド(例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、芳香族ナイロン)でもよく、またはポリイミド、ポリアミドイミド、またはポリカーボネート、またはポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート)でもよく、またはポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルフォキシド、またはポリテトラフルオロエチレン、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエーテル・エーテル・ケトン、ポリオキシメチレンでもよい。また、上記熱可塑性樹脂の誘導体や、上記熱可塑性樹脂の共重合体、さらにそれらの混合物でもよい。
【0019】
特に、熱可塑性樹脂としてはポリアミドが好ましく、ナイロン6、ナイロン66、それらの誘導体もしくは共重合体、または上記のいずれかを含む混合物がより好ましく、ナイロン6、ナイロン66がさらに好ましい。
【0020】
また、ポリオレフィンも好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの誘導体もしくは共重合体、または上記のいずれかを含む混合物がより好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンがさらに好ましい。
【0021】
さらに、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体、その誘導体もしくは共重合体、または上記のいずれかを含む混合物も好ましい。
【0022】
さらに、ポリフェニレンサルファイド、その誘導体もしくは共重合体、または上記のいずれかを含む混合物も好ましい。
【0023】
前記炭素繊維は、PAN系炭素繊維でもピッチ系炭素繊維でもよく、繊維径は1~20μmであり、繊維の断面は真円でも楕円でもよい。引張強度は2~4GPaで、引張弾性率は200~600GPaが好ましい。
【0024】
衝撃強度の観点から、複合材料中の炭素繊維含有量は全体の5~50重量%であることが好ましく、5~30重量%がより好ましく、10~30%重量部がさらに好ましい。
【0025】
成形加工性の点から、平均繊維長が0.01~0.5mmである炭素繊維の割合は、全炭素繊維中60%重量%以上である。平均繊維長は0.1~0.5mmがより好ましく、0.2~0.5mmが更に好ましい。平均繊維長が0.01~0.5mmである炭素繊維は、2軸の押出機により炭素繊維と熱可塑性樹脂とを混錬することにより作ることができる。繊維長の長さは、スクリュー軸の回転速度、スクリュー軸の長さ、太さ、溝の深さ、溝の間隔、混錬速度、樹脂温度を調節することで繊維を切断し、調節することができる。
【0026】
該熱可塑性樹脂炭素繊維複合材料を構成する熱可塑性樹脂は、粘度の異なる第1の樹脂と第2の樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂の粘度の比が第1の熱可塑性樹脂の粘度の3~70倍、より好ましくは、5~20倍であることが望ましい。
【0027】
特に、熱可塑性樹脂の融点から20~50℃の高い所定温度において、粘度の違いによる炭素繊維と樹脂の混練性を高めるため、第2の熱可塑性樹脂の粘度が第1の熱可塑性樹脂の粘度の3~70倍、より好ましくは、5~20倍であることが望ましい。低粘度の第1の熱可塑性樹脂が炭素繊維との密着性を向上させ、高粘度の第2の熱可塑性樹脂が材料全体の強度を向上させることで、シートの成形性を向上させることができる。
【0028】
複合材料において、
図5、
図6に示すように炭素繊維の60重量%以上が所定の方向から15°以内に配向していることが好ましい。所定の方向から7.5°以内に配向していることがより好ましく、所定の方向から5°以内に配向していることがさらに好ましい。このように配向させることにより、炭素繊維が所定の方向に向き、振動減衰性が向上し、配向方向の比弾性も向上し、音の伝達性も向上する。炭素繊維の60重量%以上を所定の方向から15°以内に配向させるには、上記の粘度差の2つの熱可塑性樹脂と平均繊維長が0.01~0.5mmの炭素繊維からなるペレットを用いて、一軸の押出機で溶融しながら、ダイスより一定方向に一定方向に押し出し、ロールに接触定着させる方法が採用できる。
【0029】
図7に示すような菱形形状の貫通孔を有するメッシュ状シートにおいて、そのシートの厚さが0.05~10mmで、そのLW(メッシュの長目方向中心間距離)は0.2~200mm、SW(メッシュの短目方向中心間距離)は0.1~195mmである。さらにリブ幅W(刻み幅=送り幅)の内側に孔があり、LWO(開口部の短目方向長さ)とSWO(開口部の長目方向長さ)からなり菱形または六角形を有する。貫通孔の開口部面積の合計がシート全面に対して5~95%である。B(ボンド長さ)は上刃のスライド幅である。
【0030】
従来の補強材を含まない熱可塑性樹脂シートとは異なり、補強材を含む熱可塑性樹脂シートでは、エキスパンド加工の衝撃に耐えることができるので、シートに割れが発生したり、メッシュ状の形状を維持できなくなることが防止できる。
【0031】
図1に示す熱可塑性樹脂炭素繊維複合材料は、炭素繊維と樹脂の密着性が良好であり、シート自体の強度と多孔シートの厚さが0.05~10mmであることにより、エキスパンド加工によるシート割れが発生せず、かつ貫通孔におけるバリの発生や、伸びて膨らみが発生することを抑止することができる。
【0032】
メッシュ状シート1は、
図8に示すようなエキスパンドマシーン80に
図2に示す基材2のシートを通してメッシュ状に加工することで得られる。エキスパンドマシーンは、特許文献2(特開2012-170957公報)にあるような設備でも良い。
【0033】
図9にメッシュとリブの成形方法を時系列的に示す。基材ロール86から出された基材2を送出しロール84で送り出し、押具81で押さえながら、状態(a)に示すように波状の上刃82を左側に移動させたのち、状態(b)に示すように上刃82を下に押し込んでシートをスリット状に切り、状態(c)に示すように上刃82を上に戻したのち左に戻り状態(a)に示したのと同じ位置に戻す。すなわち上刃82を上下させながら左右に動かし、長手方向に引き伸ばすことで、メッシュ状のシートを得る。
【0034】
図10に本発明の一実施態様に係るメッシュ状シートの製造方法において、シート材に切れ目を形成する方法を示す模式図を示す。炭素繊維の方向に対し垂直に切れを入れることによって、シート破断による破損を防ぐことができ、メッシュの構造を維持できる。
【0035】
図11に示す加熱ヒーター付きエキスパンドマシーン(メッシュ加工機械)90を用いて、加熱しながらメッシュ状のシートを成形する方法を示す。基材2に千鳥状の切れ目を形成する直前または直後に、熱可塑性樹脂の融点、ガラス転移点または軟化点から20~50℃の高い所定温度を、加熱ヒーター91a、91b で付与させ軟化した後に、引き伸ばしてストランド部からなる周縁を有するメッシュ状のシートを得る。特に熱可塑樹脂は室温での延伸は破断しやすいので、加熱しながら延伸することで破断を防ぐことができる。
【0036】
図12に示す加熱ヒーター付き引き伸ばし機95を用いて、メッシュ状シートを加熱しながら再延伸する方法を示す。メッシュ状シート1を送出しロール84で送り出し、押具81で押さえながら、加熱ヒーター91で付与させ軟化した後に、巻取りロール96で再度引き伸ばすことで引き伸ばされたメッシュ状シート87を得ることができる。特に熱可塑樹脂は室温での延伸は破断しやすいので、一旦成形したメッシュ状シートを加熱しながら再延伸することで、樹脂が伸びやすくなるので、破断を防ぎながらメッシュ状シートの開口率を上げることができる。
【0037】
本発明の一実施態様に係るメッシュ状シートの製造方法において、加熱ヒーターは、ハロゲンヒーターや赤外線ヒーター、セラミックヒータ、スチームヒーター、カーボンヒーター、オイルヒーター、パネルヒーター、シーズヒーター、カートリッジヒーター、ホットプレートなど限定されないが、幅方向に均一に加熱されるヒーターが好ましい。
【0038】
本発明の一実施態様に係るメッシュ状シートの製造方法において、熱可塑性樹脂と炭素繊維とを含む複合材料からなるシートの乾燥重量に対して、1%以上の吸水させたシートをもちいて、
図8~
図12の方法でストランド部からなる周縁を有するメッシュ開口部を形成することを特徴とするメッシュ状シートを製造することができる。特に、熱可塑性樹脂において吸水性を有する樹脂は、一旦水分を得ると柔らかくなり破断しにくくなる。この性質を利用して、シートをスリット状に切り、長手方向に引き伸ばしやすく、破断が抑えられる。このことで、特に厚物シートのメッシュ加工がしやすくなる。
【0039】
得られたメッシュシートはメッシュ状シートロールとして巻き取られる。単板のシートであれば基材ロール86とメッシュ状シートロール87は必要なく、それ以外は同じ設備で製造可能である。
【0040】
基材からメッシュ状シートに加工されることで、引伸率が50%~1000%と拡大し、基材のシート面積を50%~1000%程度まで拡大することができる。さらに、引伸率が50%~250%と拡大し、基材のシート面積を50%~250%程度まで拡大することが好ましい。
【0041】
図1に示すような、シートの上面6aから下面6bに向けて形成された同じ大きさの貫通孔を有するメッシュ状シートは、防錆性や軽量の点でも優れている。また、シートの全体または、一部をメッシュ化することで、製品全体を湾曲に曲げたり、ねじれを入れた形状に、変形させることができる。また曲げの繰り返しもできる。
【0042】
メッシュ状シートの開口率が大きいと、通風量が多くなり、エアコンなどのエアー出入り口に都合がよく、またスピーカーやマイクに使うときにも音の伝達が良くなる。すなわちメッシュ状シートの開孔率は、音の伝達性に関わり、開孔率が大きいと伝達性は良くなるが、大きすぎると、スピーカーカバーの強度が低下して、スピーカーカバーの破損などで、スピーカーコーンの破損が起こる。そのため、前記貫通孔の開口部面積の合計がシート全体の面積に対して10~95%であることが好ましい。50~90%であることがより好ましく、80~90%であることが更に好ましい。
【0043】
上記のメッシュ状シートを用いて、溶融異形押出成形、溶融シート押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形によりスマートスピーカーおよびスマートスピーカー部品等の音響部品および音響製品を製造することができる。
【0044】
複合材料を冷却する際に、その片側の面を金属賦形面と接触させ、非接触面にスプリングバックを生起させることによっても、上記のメッシュ状シートを用いた音響部品および音響製品を成形することができる。
【0045】
上記のメッシュ状シートを用いたスマートスピーカーには、カメラ、温度センサー、湿度センサー、赤外線センサーを付属させても良い。
【0046】
また上記のメッシュ状シートを用いたエアコンのフィルターに抗菌剤を付与して抗菌処理をしてもよいし、フッ素塗剤などを塗布して防水、撥水加工してもよい。
【0047】
上記のメッシュ状シートにシートラミネート加工を施して、表面を絵柄や鏡面に加工してもよい。またメッキや蒸着加工を施してもよい。これらの加工はエアコンのフィルターを車のフロントグリルなどに用いる際に有用である。
【0048】
上記のメッシュ状シートを1次電池、2次電池のフィルターの支持材に使うことも可能である。
【0049】
上記のメッシュ状シートは、医療用機器、スピーカーカバー、マイクカバー、スマートスピーカー、タブレット、携帯電話、腕時計、パソコン、電子機器、ウエアラブル製品、自動車部品、水力、火力発電所、原子力発電所、音響機器、梱包体、断熱材、防振材、防音材、摺動材、ロボット、航空機、ロケット、人工衛星、自動車、自動二輪車、鉄道列車、EMIシールド材、2次電池集電体、燃料電池部品、熱交換機、照明器具のリフレクターまたは家屋のフィルターとして用いることができる。
【実施例】
【0050】
次に、実施例について説明する。各実施例および比較例において、使用した材料および測定方法は以下の通りである。
【0051】
(1)使用した材料
(A)炭素繊維
A1:繊維径が7μmの炭素繊維である。
(B)第1の熱可塑性樹脂
B1:ナイロン6(融点225℃、275℃における粘度:80poise)
B2:ナイロン66(融点:255℃、305℃における粘度:940poise)
B3:PP(融点:170℃、220℃における粘度:75poise)
B4:ABS(ガラス転移点(軟化点):190℃、240℃における粘度:490poise)
B5:PPS(融点:285℃、335℃における粘度:150poise)
B6:PC(ガラス転移点(軟化点)):146℃、290℃における粘度:120poise)
(C)第2の熱可塑性樹脂
C1:ナイロン6(融点:225℃、275℃における粘度:1,150poise)
C2:ナイロン66(融点:255℃、305℃における粘度:5,600poise)
C3:PP(融点:170℃、220℃における粘度:1,700poise)
C4:ABS(軟化点:190℃、240℃における粘度:2,600poise)
C5:PPS(融点:285℃、335℃における粘度:8,100poise)
C6:PC(軟化点:146℃、290℃における粘度:1,800poise)
(D)熱可塑性樹脂炭素繊維複合材料(以下、複合材料と記す場合がある。)
D1:A1を25重量%、B1を55重量%、C1を20重量%含有する。
D2:A1を35重量%、B1を20重量%、C1を45重量%含有する。
D3:A1を20重量%、B2を60重量%、C2を20重量%含有する。
D4:A1を15重量%、B3を40重量%、C3を45重量%含有する。
D5:A1を40重量%、B4を25重量%、C4を35重量%含有する。
D6:A1を10重量%、B5を25重量%、C5を35重量%含有する。
D7:A1を30重量%、B6を25重量%、C6を45重量%含有する。
(E)金属
E1:ステンレス(SUS304)
E2:鉄(SS400)
【0052】
(2)炭素繊維の繊維長、および配向の測定
炭素繊維の繊維長の測定には、マイクロフォーカスX線透過透視装置(島津製作所製SMX-1000 PLUS)を用いた。測定は画面上の繊維の両端の位置を座標から求め、最短距離によって求め、平均長は指定領域の500本の平均から求めた。0.01~0.5mmの炭素繊維の割合は、500本の繊維の重量当たりの割合で求めた。
【0053】
炭素繊維の配向率(全炭素繊維中、一方向から15°以内に配向している炭素繊維の重量当たりの割合(%))は、シートの流れ方向を0°と規定し、500本の炭素繊維を同上装置により観測し、その流れ方向からの傾きが15°以内の炭素繊維を同定し、その重量割合より求めた。
【0054】
(3)熱可塑性樹脂の粘度の測定
熱可塑性樹脂の粘度の測定には、キャピログラフ1D(株式会社東洋精機製作所製)を用いた。粘度は所定の温度での溶融粘度を意味する。
【0055】
(4)開口率の計算式
(SWO×(LWO+B))/(SW×LW)×100=開口率
【0056】
(5)引伸率の計算式
SW/2W×100=引伸率
【0057】
(6)水分付与と水分率の計算
シートを80℃の温水で12h浸漬したのち、乾燥シートと吸水後のシートの重量を計る。((吸水後のシート/乾燥シート)-1)×100=吸水率
【0058】
(7)加熱ヒーター
ハロゲンヒーター幅1000mm、200V、2500Wを用いて加熱し、シートの温度は表面を赤外線放射温度計で測定して求めた。
【0059】
[実施例1]
上記複合材料D1を用いて、厚さ1.0mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.5mm、0.01~0.5mmである炭素繊維の割合が、全炭素繊維中の65重量%、また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。炭素繊維の配向率は86%であった。
【0060】
上記シートを用いて、水分を付与して2.5%に吸水させたのち、
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、炭素繊維配向と垂直に上刃と下刃が入るように、LWが14.41mm、SWが5.66mm、LWOが11.05mm、SWOが3.55mm、Bが1.04mm、Wが0.67mm、開口率が53%の菱形のメッシュ状シートを得た。引伸率は422%であった。海辺で半年暴露しても錆びなかった。
【0061】
[実施例2]
上記複合材料D2を用いて、厚さ0.3mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.31mm、0.01~0.5mmである炭素繊維の割合が、全炭素繊維中の70重量%、また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。炭素繊維の配向率は81%であった。
【0062】
上記シートを用いて、
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、LWが9.95mm、SWが2.79mm、LWOが8.31mm、SWOが2.12mm、Bが0.49mm、Wが0.27mm、開口率が67%のメッシュ状シートを得た。引伸率は517%であった。海辺で半年暴露しても錆びなかった。
【0063】
[実施例3]
上記複合材料D3を用いて、厚さ0.5mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.45mm、0.01~0.5mmである炭素繊維の割合が、全炭素繊維中の62重量%、また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。炭素繊維の配向率は81%であった。
【0064】
上記シートを用いて、
図11に示すような加熱ヒーター付きエキスパンドマシーン90を用いて270℃で加熱しながら、LWが6.2mm、SWが2.15mm、LWOが4.89mm、SWOが0.93mm、Bが0.79mm、Wが0.38mm、開口率が40%のメッシュ状シートを得た。引伸率は283%であった。海辺で半年暴露しても錆びなかった。
【0065】
[実施例4]
上記複合材料D4を用いて、厚さ1.5mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.08mm、0.01~0.5mmである炭素繊維の割合が、全炭素繊維中の71重量%、また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。炭素繊維の配向率は83%であった。
【0066】
上記シートを用いて、
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、LWが14.37mm、SWが5.33mm、LWOが9.41mm、SWOが2.04mm、Bが1.48mm、Wが1.02mm、開口率が29%のメッシュ状シートを得た。引伸率は261%であった。海辺で半年暴露しても錆びなかった。
【0067】
[実施例5]
上記複合材料D5を用いて、厚さ0.5mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.15mm、0.01~0.5mmである炭素繊維の割合が、全炭素繊維中の66重量%、また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。炭素繊維の配向率は88%であった。
【0068】
上記シートを、
図11に示すような加熱ヒーター付きエキスパンドマシーン90を用いて150℃で加熱しながら、LWが19.53mm、SWが11.23mm、LWOが17.57mm、SWOが10.08mm、Bが0.45mm、Wが1.04mm、開口率が83%のメッシュ状シートを得た。引伸率は540%であった。海辺で半年暴露しても錆びなかった。
【0069】
[実施例6]
上記複合材料D6を用いて、厚さ0.5mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.20mm、0.01~0.5mmである炭素繊維の割合が、全炭素繊維中の85重量%、また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。炭素繊維の配向率は91%であった。
【0070】
上記シートを、
図11に示すような加熱ヒーター付きエキスパンドマシーン90を用いて285℃で加熱しながら、LWが5.10mm、SWが1.83mm、LWOが3.17mm、SWOが0.53mm、Bが0.64mm、Wが0.54mm、開口率が21%のメッシュ状シートを得た。引伸率は169%であった。海辺で半年暴露しても錆びなかった。
【0071】
[実施例7]
上記複合材料D7を用いて、厚さ2.0mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.32mm、0.01~0.5mmである炭素繊維の割合が、全炭素繊維中の76重量%、また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。炭素繊維の配向率は76%であった。
【0072】
上記シートを、
図11に示すような加熱ヒーター付きエキスパンドマシーン90を用いて180℃で加熱しながら、LWが10.03mm、SWが5.97mm、LWOが5.58mm、SWOが1.32mm、Bが1.85mm、Wが1.75mm、開口率が16%の六角形のメッシュ状シートを得た。引伸率は171%であった。海辺で半年暴露しても錆びなかった。
【0073】
[実施例8]
実施例2と同じ複合材料D2を用いて、厚さ0.5mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.31mm、0.01~0.5mmである炭素繊維の割合が、全炭素繊維中の70重量%、また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。炭素繊維の配向率は81%であった。
【0074】
上記シートから
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、LWが5.74mm、SWが2.01mm、LWOが3.33mm、SWOが0.53mm、Bが0.69mm、Wが0.65mm、開口率が18%のメッシュ状シートを得た。引伸率は155%であり、素材のロス率は2%であった。海辺で半年暴露しても錆びなかった。
【0075】
[実施例9]
実施例8で得られたエキスパンドシート1を、
図12に示すような加熱ヒーター付き引き伸ばし機95を用いて230℃で加熱しながら、LWが5.28mm、SWが3.23mm、LWOが3.56mm、SWOが2.00mm、Bが0.64mm、Wが0.43mm、開口率が49%の引き伸ばされたメッシュ状シート97を得た。引伸率は376%であり、素材のロス率は3%であった。海辺で半年暴露しても錆びなかった。
【0076】
[実施例10]
実施例9で用いたシートを、
図11に示すような加熱ヒーター付きエキスパンドマシーン90を用いて230℃で加熱しながら、LWが5.70mm、SWが2.62mm、LWOが3.92mm、SWOが1.12mm、Bが0.69mm、Wが0.61mm、開口率が35%の引き伸ばされたメッシュ状シート97を得た。引伸率は215%であり、素材のロス率は2%であった。海辺で半年暴露しても錆びなかった。
【0077】
[比較例1]
上記金属E1を用いて、厚さ1.0mmのシートを作製した。このシートを用いて、
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、LWが14.11mm、SWが6.97mm、LWOが11.68mm、SWOが4.75mm、Bが0.82mm、Wが1.02mm、開口率が60.4%の菱形のメッシュ状シートを得た。引伸率は342%であった。海辺で半年暴露した結果、錆びてメッシュの割れが見られた。
【0078】
[比較例2]
上記金属E2を用いて、厚さ0.5mmのシートを作製した。このシートを用いて、
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、LWが8.01mm、SWが2.90mm、LWOが6.52mm、SWOが1.47mm、Bが0.73mm、Wが0.71mm、開口率が45.9%のメッシュ状シートを得た。引伸率は204%であった。海辺で半年暴露した結果、錆びてメッシュの割れが見られた。
【0079】
[比較例3]
熱可塑性樹脂C2を用いて、押出成形にて厚み0.5mmのシートを作製した。このシートを用いて、
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、LWが4.00mm、SWが2.00mm、LWOが2.90mm、SWOが0.90mm、Bが0.40mm、Wが0.40mmのメッシュ状シートを作製しようとしたが、加工中にシートが破れメッシュは得られなかった。素材のロス率は100%であった。
【0080】
[比較例4]
上記の熱可塑性樹脂C3を用いて、押出成形にて厚み1.5mmのシートを作製した。このシートを用いて、
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、LWが14.60mm、SWが5.60mm、LWOが9.00mm、SWOが2.00mm、Bが1.50mm、Wが1.10mmのメッシュ状シートを作製しようとしたが、加工中にシートが破れメッシュは得られなかった。素材のロス率は100%であった。
【0081】
[比較例5]
上記の熱可塑性樹脂C4を用いて、押出成形にて厚み0.5mmのシートを作製した。このシートを、
図11に示すような加熱ヒーター付きエキスパンドマシーン90を用いて150℃で加熱しながら、LWが19.70mm、SWが9.50mm、LWOが17.80mm、SWOが8.20mm、Bが0.60mm、Wが1.00mmのメッシュ状シートを作製しようとしたが、加工中にシートが破れメッシュは得られなかった。素材のロス率は100%であった。
【0082】
[比較例6]
上記の熱可塑性樹脂B5にガラス繊維を40%含む樹脂からなる厚さ2.0mmのシートを射出成形で作製した。このシートを、
図11に示すような加熱ヒーター付きエキスパンドマシーン90を用いて285℃で加熱しながら、ガラス繊維配向と垂直に上刃と下刃が入るように、LWが4.00mm、SWが2.90mm、LWOが1.80mm、SWOが1.30mm、Bが0.50mm、Wが1.00mmのメッシュ状シートを作製しようとしたが、加工中にシートが破れメッシュは得られなかった。また、
図8に示すエキスパンドマシーンは刃が摩耗して加工中に停止した。素材のロス率は100%であった。
【0083】
[比較例7]
上記の熱可塑性樹脂B6を用いて、ガラス繊維を30%含む樹脂からなる厚さ2.0mmのシートを射出成形で作製した。上記シートから
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、ガラス繊維配向と垂直に上刃と下刃が入るように、LWが10.00mm、SWが6.00mm、LWOが5.20mm、SWOが2.20mm、Bが1.00mm、Wが2.00mmのメッシュ状シートを作製しようとしたが、加工中にシートが破れメッシュは得られなかった。素材のロス率は100%であった。
【0084】
[比較例8]
実施例1と同じ複合材料D1のシートから
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、炭素繊維配向と水平に上刃と下刃が入るように、LWが14.4mm、SWが5.70mm、LWOが11.00mm、SWOが3.60mm、Bが1.00mm、Wが0.70mmのメッシュ状シートを作製しようとしたが、加工中にシートが破れメッシュは得られなかった。素材のロス率は100%であった。
【0085】
[比較例9]
実施例6と同じ複合材料D6のシートを、
図11に示すような加熱ヒーター付きエキスパンドマシーン90を用いて285℃で加熱しながら、炭素繊維配向と水平に上刃と下刃が入るように、LWが5.10mm、SWが1.80mm、LWOが3.80mm、SWOが0.60mm、Bが0.60mm、Wが0.60mmのメッシュ状シートを作製しようとしたが、加工中にシートが破れメッシュは得られなかった。素材のロス率は100%であった。
【0086】
[比較例10]
実施例1で用いたD3シートを用いて、炭素繊維配向と水平に上刃と下刃が入るように、
図8に示すようなエキスパンドマシーンを用いて、LWが5.80mm、SWが2.00mm、LWOが3.40mm、SWOが0.6mm、Bが0.70mm、Wが0.70mm、のメッシュ状シートを作製しようとしたが、加工中にシートが破れメッシュは得られなかった。素材のロス率は100%であった。
【0087】
【0088】
【符号の説明】
【0089】
1 メッシュ状シート
2 基材
3 孔
4 熱可塑性樹脂
5 炭素繊維
6a シートの上面
6b シートの下面
70 複合材料
71 第1の熱可塑性樹脂
72 第2の熱可塑性樹脂
80 エキスパンドマシーン(メッシュ加工機械)
81 押具
82 上刃
83 下刃
84 送出しロール
86 基材ロール
87 メッシュ状シートロール
90 加熱ヒーター付きエキスパンドマシーン(メッシュ加工機械)
91,91a、91b 加熱ヒーター
95 加熱ヒーター付き引き伸ばし機
96 巻取りロール
97 引き伸ばされたメッシュ状シート
LW メッシュの長目方向中心間距離(長辺)
SW メッシュの短目方向中心間距離(短辺)
W リブ幅(刻み幅=送り幅)
LWO 開口部の長目方向長さ(内長辺)
SWO 開口部の短目方向長さ(内短辺)
B ボンド長さ