(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】測定データ管理装置、測定データ管理システム、及び、測定データ管理装置用プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20230818BHJP
G01D 7/00 20060101ALI20230818BHJP
B25B 23/14 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
G06Q10/20
G01D7/00 F
G01D7/00 R
B25B23/14 640W
(21)【出願番号】P 2019045212
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(72)【発明者】
【氏名】山口 佳之
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073329(JP,A)
【文献】特開2014-170446(JP,A)
【文献】特開2000-024945(JP,A)
【文献】特開2006-320984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01D 7/00
B25B 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の点検部位を有する点検対象物の点検に用いられるものであって、前記各点検部位に設定された測定箇所を測定する測定工具から送信された測定データを受信し、前記測定データが示す測定値を表示するものであり、
前記各点検部位に応じた数の部位領域と、前記部位領域内に対し、当該部位領域に対応する前記点検部位に設定された前記測定箇所に応じた数配置された測定値入力欄と、前記各測定値入力欄に入力された前記測定値とを表示する表示制御部と、
前記いずれかの部位領域を選択する選択信号を受け付ける選択信号受付部と、
前記測定工具から新たな測定データを受信した場合に、前記選択信号受付部で受け付けた選択信号によって選択された前記部位領域内の前記測定値が入力されていない前記測定値入力欄に対し、前記新たな測定データに係る測定値を入力する測定値入力部と、
前記選択信号受付部で先の選択信号を受け付けてから新たな選択信号を受け付けるまでの間に前記測定工具から受信した前記測定データの受信数をカウントする受信数カウント部と、
前記受信数カウント部でカウントされた受信数と、前記先の選択信号で選択された前記部位領域内の前記測定値入力欄の数と、を比較する受信数比較部と、
前記測定工具から新たな測定データを受信した場合に、前記受信数比較部で前記受信数が前記測定値入力欄の数より多いと判断されると、前記先の選択信号で選択された前記部位領域内の全ての測定値入力欄へ前記測定値の入力が完了している旨を報知する報知部とを具備していることを特徴とする測定データ管理装置。
【請求項2】
前記報知部が、前記選択信号受付部で新たな選択信号を受け付けると共に、前記受信数比較部で前記受信数が前記測定値入力欄の数より少ないと判断されると、前記先の選択信号で選択された前記部位領域内の全ての測定値入力欄へ前記測定値の入力が完了していない旨を報知するものである請求項
1記載の測定データ管理装置。
【請求項3】
前記各測定値入力欄に入力された測定値のいずれかが閾値を越えている
か否かを判断する測定値判断部をさらに具備し、
前記表示制御部が、前記測定値判断部でいずれかの測定値が閾値を超えていると判断された場合に、前記測定値が入力された前記測定値入力欄が設けられた部位領域内の表示を変化させる請求項1
又は2のいずれかに記載の測定データ管理装置。
【請求項4】
前記請求項1乃至
3のいずれかに記載の測定データ管理装置と、
前記測定データ管理装置に前記測定データを送信する測定工具とを備える測定データ管理システム。
【請求項5】
前記測定値入力欄に入力された前記測定値に基づき点検シートデータを作成する点検シート作成部をさらに備える請求項
4記載の測定データ管理システム。
【請求項6】
複数の点検部位を有する点検対象物の点検に用いられるものであって、前記各点検部位に設定された測定箇所を測定する測定工具から送信された測定データを受信し、前記測定データが示す測定値を表示するために用いられるプログラムであり、
一画面内に、前記各点検部位に応じた数の部位領域と、前記各部位領域内に対し、当該各部位領域に対応する前記点検部位に設定された前記測定箇所に応じた数配置された測定値入力欄と、前記各測定値入力欄に入力された前記測定値とを表示する表示制御部と、
前記いずれかの部位領域を選択する選択信号を受け付ける選択信号受付部と、
前記測定工具から新たな測定データを受信した場合に、前記選択信号受付部で受け付けた選択信号によって選択された前記部位領域内の前記測定値が入力されていない前記測定値入力欄に対し、前記新たな測定データに係る測定値を入力する測定値入力部と
、
前記選択信号受付部で先の選択信号を受け付けてから新たな選択信号を受け付けるまでの間に前記測定工具から受信した前記測定データの受信数をカウントする受信数カウント部と、
前記受信数カウント部でカウントされた受信数と、前記先の選択信号で選択された前記部位領域内の前記測定値入力欄の数と、を比較する受信数比較部と、
前記測定工具から新たな測定データを受信した場合に、前記受信数比較部で前記受信数が前記測定値入力欄の数より多いと判断されると、前記先の選択信号で選択された前記部位領域内の全ての測定値入力欄へ前記測定値の入力が完了している旨を報知する報知部としての機能を発揮させることを特徴とする測定データ管理装置用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定データ管理装置、測定データ管理システム、及び、測定データ管理装置用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、点検対象物の点検部位に設定された測定箇所を測定工具で測定し、当該測定工具から送信された測定データを受信して管理する測定データ管理装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、測定データ管理装置として、測定箇所を測定する測定工具から送信される測定データが示す測定値を順次表示し、全ての測定データが示す測定値を一覧表示する構成のものが開示されている。
【0004】
しかし、前記特許文献1に係る測定データ管理装置を用いて、複数の測定箇所を測定する測定工具から送信される測定データを管理する場合には、例えば、作業者が、一部の測定箇所の測定を実施し忘れる不手際や一部の測定箇所の測定を重複して実施する不手際(以下、これらをまとめて不手際ともいう)を行っていたとしても、作業者は、複数の測定箇所を全て測定したと判断した後でなければ、その不手際に気付くことができない。すなわち、作業者は、測定箇所を全て測定したと判断した後、一覧表示された測定値の数と測定箇所の数とが一致していないことを確認し初めて前記不手際に気が付く。
【0005】
また、前記不手際に気付いたとしても、どの測定箇所に不手際があったか特定することができず、作業者は、再度全ての測定箇所を測定し直さなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、複数の測定箇所に対して測定作業を実施する場合に、作業者が、全ての測定箇所を測定する過程で不手際があったとしても、当該測定作業の途中で不手際があったことを気付くことができる測定データ管理装置を提供することを主な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る測定データ管理装置は、複数の点検部位を有する点検対象物の点検に用いられるものであって、前記各点検部位に設定された測定箇所を測定する測定工具から送信された測定データを受信し、前記測定データが示す測定値を表示するものであり、前記各点検部位に応じた数の部位領域と、前記部位領域内に対し、当該部位領域に対応する前記点検部位に設定された前記測定箇所に応じた数配置された測定値入力欄と、前記各測定値入力欄に入力された前記測定値とを表示する表示制御部と、前記いずれかの部位領域を選択する選択信号を受け付ける選択信号受付部と、前記測定工具から新たな測定データを受信した場合に、前記選択信号受付部で受け付けた選択信号によって選択された前記部位領域内の前記測定値が入力されていない前記測定値入力欄に対し、前記新たな測定データに係る測定値を入力する測定値入力部とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
このようなものであれば、点検対象物の各点検部位に応じた数の部位領域と、部位領域内に対し、当該部位領域に対応する点検部位に設定された測定箇所に応じた数配置された測定値入力欄と、各測定値入力欄に入力された測定値とを表示し、測定工具から新たな測定データを受信した場合に、選択信号受付部で受け付けた選択信号によって選択された部位領域内の測定値が入力されていない測定値入力欄に対し、新たな測定データに係る測定値が入力されるように構成したので、作業者は、選択信号を入力する際に、点検部位単位で不手際があったか否かを確認することができる。また、仮に不手際があったとしても、作業者は、点検部位単位で測定箇所を測定し直せばよく、作業効率が格段に向上する。
【0010】
ここで、点検対象物として四輪自動車を例示し、点検部位及び測定箇所を説明すると、例えば、点検部位は、各車輪が支持された足回り部位等であり、測定箇所は、締付トルクを測定するホイールナット、タイヤの溝深さを測定する箇所、ブレーキパットの厚みを測定する箇所等である。すなわち、点検対象物が車両である場合には、点検部位は、車軸を基準として分けられた部位、より具体的には、車軸の両端を基準として分けられた部位ともいえる。
【0011】
具体的には、前記選択信号受付部で先の選択信号を受け付けてから新たな選択信号を受け付けるまでの間に前記測定工具から受信した前記測定データの受信数をカウントする受信数カウント部と、前記受信数カウント部でカウントされた受信数と、前記先の選択信号で選択された前記部位領域内の前記測定値入力欄数と、を比較する受信数比較部と、前記測定工具から新たな測定データを受信した後に、前記受信数比較部で前記受信数が前記測定値入力欄数より多いと判断された場合に、前記先の選択信号で選択された前記部位領域内の全ての測定値入力欄へ前記測定値の入力が完了している旨を報知する報知部とをさらに具備しているものであってもよい。
【0012】
このようなものであれば、作業者は、点検部位単位で一部の測定箇所の測定を重複して実施する不手際があったことを即座に気付くことができる。
【0013】
また、前記報知部が、前記選択信号受信部で新たな選択信号が受信されると共に、前記受信数比較部で前記受信数が前記入力領域数より少ないと判断された場合に、前記先の選択信号で選択された前記部位領域内の全ての測定値入力欄へ前記測定値の入力が完了していない旨を報知するものであってもよい。
【0014】
このようなものであれば、作業者は、点検部位単位で一部の測定箇所の測定を実施し忘れる不手際があったことを即座に気付くことができる。
【0015】
また、前記各測定値入力欄に入力された測定値のいずれかが閾値を越えている否かを判断する測定値判断部をさらに具備し、前記表示制御部が、前記測定値判断部でいずれかの測定値が閾値を超えていると判断された場合に、前記測定値が入力された前記測定値入力欄が設けられた部位領域の表示を変化させるものであってもよい。
【0016】
このようなものであれば、作業者は、測定箇所に不良がある点検部位を容易に認識することができる。
【0017】
また、前記各測定値入力欄に入力された前記測定値に基づき点検シートデータを作成する点検シート作成部をさらに具備するものであってもよい。
【0018】
また、本発明に係る測定データ管理システムは、前記測定データ管理装置と、前記測定データ管理装置に前記測定データを送信する測定工具とを備えるものである。
【0019】
また、本発明に係る測定データ管理装置用プログラムは、複数の点検部位を有する点検対象物の点検に用いられるものであって、前記各点検部位に設定された測定箇所を測定する測定工具から送信された測定データを受信し、前記測定データが示す測定値を表示するために用いられるプログラムであり、前記各点検部位に応じた数の部位領域と、前記部位領域内に対し、当該部位領域に対応する前記点検部位に設定された前記測定箇所に応じた数配置された測定値入力欄と、前記各測定値入力欄に入力された前記測定値とを表示する表示制御部と、前記いずれかの部位領域を選択する選択信号を受け付ける選択信号受付部と、前記測定工具から新たな測定データを受信した場合に、前記選択信号受付部で受け付けた選択信号によって選択された前記部位領域内の前記測定値が入力されていない前記測定値入力欄に対し、前記新たな測定データに係る測定値を入力する測定値入力部としての機能を発揮させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
このように構成した測定データ管理装置によれば、点検対象物の全ての測定箇所に対して測定作業を実施する場合に、作業者が、全ての測定箇所を測定する過程で不手際があったとしても当該測定作業の途中で不手際があったことを気付くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る測定データ管理システムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】実施形態に係る測定データ管理装置を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る測定データ管理装置の表示部の画面を示す模式図である。
【
図4】実施形態に係る測定データ管理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】その他の実施形態に係る測定データ管理装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る測定データ管理システムを図面に基づいて説明する。
【0023】
本発明に係る測定データ管理システムは、例えば、自動車、鉄道車両、航空機やその他の種々の装置を含む点検対象物の点検において使用されるものである。
【0024】
<実施形態> 本実施形態に係る測定データ管理システム100は、
図1に示すように、測定工具10と、測定工具10に有線又は無線によって接続される測定データ管理装置20と、を備えている。
【0025】
なお、本実施形態では、測定工具10として、締付トルクを測定しながら調節する締付工具であるトルクレンチを例示して説明する。なお、測定工具の他の例としては、デプスゲージやノギス等が挙げられる。
【0026】
前記測定工具10は、締付トルクを測定する測定機構11と、測定データ管理装置20と通信する通信手段12と、を備えたものである。なお、通信手段12が、測定機構11で測定された測定値を示す測定データを送信するデータ送信部12aとしての機能を有している。
【0027】
前記測定データ管理装置20は、CPU、メモリ、タッチパネルディスプレイD(以下、ディスプレイDともいう)などを有するものであり、具体的には、測定工具10と無線により通信可能な例えばスマートフォンやタブレット端末等といった、作業者が携帯可能なモバイル端末である。そして、測定データ管理装置20は、前記メモリに格納された測定データ管理装置用プログラムに基づいて、
図2に示すように、表示制御部21、選択信号受信部22、データ受信部23、受信数カウント部24、受信数比較部25、測定値入力部26、報知部27等としての機能を発揮するように構成されている。なお、測定データ管理装置20は、モバイル端末に限定されず、ノート型PCや据置型PCであってもよい。
【0028】
前記表示制御部21は、
図3に示すように、ディスプレイDに対し、各点検部位に応じた数の部位領域D1と、前記部位領域D1内に対し、当該部位領域D1に対応する点検部位に設定された測定箇所に応じた数配置された測定値入力欄D2と、前記各測定値入力欄D2に入力された測定値mとを表示するものである。具体的には、表示制御部21は、ディスプレイDに対し、点検対象物を示す点検対象画像Wを表示すると共に、点検対象画像Wの周囲に各部位領域D1を表示している。なお、表示制御部21は、点検対象画像Wが示す点検対象物の各点検部位の位置に対応させて部位領域D1を表示している。
【0029】
より具体的には、本実施形態では、点検対象物を各車輪にホイールナットを四本備えた四輪自動車とし、点検部位を四輪自動車の各車輪が支持される足回り部位とし、測定箇所を締付トルクを測定するホイールナットとしている。そして、本実施形態の表示制御部21は、ディスプレイDに対し、四輪自動車を示す点検対象画像Wを表示すると共に、点検対象画像Wが示す四輪自動車の各足回り部位の位置に対応させて部位領域D1を表示している。また、表示制御部21は、各部位領域D1内に対し、当該部位領域D1に対応する足回り部位に取り付けられる車輪のホイールナットの数に応じた数の測定値入力欄D2を表示している。
【0030】
前記選択信号受付部22は、いずれかの部位領域D1を選択する選択信号を受け付けるものである。なお、本実施形態の選択信号受付部22は、作業者がディスプレイDに表示されたいずれかの部位領域D1をタップすることによって入力される選択信号を受け付けるようになっている。また、本実施形態の選択信号受付部22は、点検開始信号と共に入力される初期の部位領域を選択する初期の選択信号も受け付けるようになっている。なお、本実施形態においては、ディスプレイDのタッチパネル機能を利用して選択信号を入力するようになっているが、ディスプレイDがタッチパネル機能を有していない場合には、例えば、マウスやキーボード等の入力機器を利用して選択信号を入力するようにしてもよく、また、音声入力等の他の入力手段によって選択信号を入力するようにしてもよい。
【0031】
前記データ受信部23は、データ送信部12aから送信された測定データを受信するものである。
【0032】
前記受信数カウント部24は、選択信号受付部22で先の選択信号を受け付けてから新たな選択信号を受け付けるまでの間に測定工具10から受信した測定データの受信数をカウントするものである。
【0033】
前記受信数比較部25は、受信数カウント部24でカウントされた受信数と、先の選択信号で選択された部位領域D1内の測定値入力欄D2数と、を比較するものである。
【0034】
前記測定値入力部26は、データ受信部23が測定工具10から新たな測定データを受信した場合に、選択信号受付部22で受け付けた選択信号によって選択された部位領域D1内の測定値mが入力されていない測定値入力欄D2に対し、当該新たな測定データが示す測定値mを入力するものである。具体的には、測定値入力部26は、データ受信部23が測定工具10から新たな測定データを受信した後に、受信数比較部25で受信数が測定値入力欄D2数より多くない、言い換えれば、受信数が測定値入力欄D2数以下と判断された場合に、先の選択信号によって選択された部位領域D1内の測定値mが入力されていない測定値入力欄D2に対し、当該新たな測定データが示す測定値mを入力するものである。
【0035】
また、前記測定値入力部26は、選択信号受信部22が新たな選択信号を受け付けると共に、受信数比較部25で受信数が測定値入力欄D2数と同数と判断された場合に、その後にデータ受信部23で受信した新たな測定データが示す測定値を、新たな選択信号で選択された部位領域D1内の測定値mが入力されていない測定値入力欄D2に入力するようになっている。すなわち、先の選択信号によって選択された部位領域D1から新たな選択信号によって選択された部位領域D1に切り替えている。
【0036】
前記報知部27は、データ受信部23が測定工具10から新たな測定データを受信した場合に、受信数比較部25で受信数が測定値入力欄D2数より多いと判断されると、先の選択信号で選択された部位領域D1内の全ての測定値入力欄D2へ測定値mの入力が完了している旨を報知するものである。
【0037】
また、前記報知部27は、選択信号受信部22で新たな選択信号が受信されると共に、受信数比較部25で受信数が測定値入力欄D2数より少ないと判断されると、先の選択信号で選択された部位領域D1内の全ての測定値入力欄D2へ測定値mの入力が完了していない旨を報知するものである。
【0038】
なお、前記報知部27は、報知手段を介して報知するものであり、報知手段としては、ディスプレイDや図示しないスピーカー等が挙げられる。本実施形態の報知部27は、報知内容を示す文字をディスプレイDに表示させると共に、報知内容を示す音をスピーカーから流すようになっている。
【0039】
次に、本実施形態に係る測定データ管理装置の動作を
図4に基づき説明する。
【0040】
先ず、選択信号受信部22が、初期の選択信号(以下、先の選択信号ともいう)の受け付けを待つ第1待機状態となる(ステップS1)。そして、第1待機状態において、先の選択信号を受付けると、データ受部23が、測定工具10から測定データを受信を待つ第2待機状態となる(ステップS2)。なお、第2待機状態において、データ受信部23が、測定工具10から測定データを受信するまでは、初期の選択信号を適宜変更できるようになっている。
【0041】
次に、第2待機状態において、データ受信部23が測定データを受信すると、受信数カウント部24が、データ受信部23で受信した測定データの受信数をカウントする(ステップS3)。
【0042】
次に、受信数カウント部24が受信数をカウントすると、受信数比較部25が、受信数カウント部24でカウントされた受信数と、先の選択信号によって選択された部位領域D1内の測定値入力欄D2数と、を比較し、受信数が測定値入力欄D2数よりも多いか否かを判断する(ステップS4)。
【0043】
そして、受信数比較部24が、受信数が測定値入力欄D2数より多くない、言い換えれば、受信数が測定値入力欄D2数以下と判断した場合に、測定値入力部26が、先の選択信号によって選択された部位領域D1の測定値mが入力されていない測定値入力欄D2へデータ受信部23で受信した測定データが示す測定値mを入力する(ステップS5)。
【0044】
一方、受信数比較部24が、受信数が測定値入力欄D2数より多いと判断した場合には、報知部27が、先の選択信号によって選択された部位領域D1の全ての測定値入力欄D2へ測定値mの入力が完了していない旨を報知する(ステップS6)。
【0045】
また、待機状態において、データ受信部23における測定データの受信がないルート、或いは、ステップS5又はステップS6を通るルートを経由した状態で、選択信号受信部22が新たな選択信号を受付けると(ステップS7)、受信数比較部25は、受信数が測定値入力欄D2数と同数か否かを判断する(ステップS8)。ここで、待機状態において、データ受信部23における測定データの受信がないルート、或いは、ステップS5又はステップS6を通るルートを経由すると、必ず受信数が測定値入力欄D2数以下になった状態となる。このため、この状態において、受信数比較部25は、受信数が測定値入力欄D2数と同数か否かを判断することにより、結果として、受信数比較部25は、受信数が測定値入力欄D2数より少ないか否かを判断することになる。
【0046】
そして、受信数比較部25が、受信数が測定値入力欄D2数と同数と判断した場合には、先の選択信号によって選択された部位領域D1が新たな選択信号によって選択された部位領域D1に切り替えられる(ステップS9)。なお、その後は、再び第2待機状態へ移行する。
【0047】
一方、受信数比較部25が、受信数が測定値入力欄D2数と同数でないと判断した場合、言い換えれば、受信数が測定値入力欄D2数より少ないと判断した場合には、先の選択信号によって選択された部位領域D1の全ての測定値入力欄D2へ測定値mの入力が完了した旨を報知する(ステップS10)。その後は、再び第2待機状態へ移行する。
【0048】
なお、測定データ管理装置20は、選択信号によって選択する部位領域D1を変更しながら、測定値入力部26によって全ての部位領域D1に設けられた全ての測定値入力欄D2へ測定値mが入力されるまで、ステップS2~ステップS10を繰り返すようになっている。
【0049】
<その他の実施形態> その他の実施形態としては、例えば、測定データ管理装置20が、
図5に示すように、測定値の閾値を記憶する閾値記憶部28と、各測定値入力欄D2に入力された測定値mのいずれかが閾値を越えている否かを判断する測定値判断部29をさらに具備するものであってもよい。この場合、表示制御部21が、測定値判断部29でいずれかの測定値mが閾値を超えていると判断された場合に、測定値mが入力された測定値入力欄D2が設けられた部位領域D1の表示を変化させるように構成すればよい。
【0050】
具体的には、測定値mがタイヤの溝深さである場合には、予め定められたタイヤの溝として最低限必要な深さを閾値とし、測定値mが閾値以下となっている場合に、当該測定値mが入力された測定値入力欄D2が設けられた部位領域D1の表示を変化させるように構成すればよい。また、測定値mがブレーキパッドの厚みである場合には、予め定められたブレーキパッドとして最低限必要な厚みを閾値とし、測定値mが閾値以下となっている場合に、当該測定値mが入力された測定値入力欄D2が設けられた部位領域D1の表示を変化させるように構成すればよい。
【0051】
この場合、測定値判定部29は、受信数比較部25で受信数が測定値入力欄D2数と同数と判断された場合に、前記判定を実行するようにしてもよい。また、測定値判定部29は、測定値入力部26によって測定値入力欄D2に測定値mが入力される毎に、前記判定を実行するようにしてもよい。
【0052】
なお、部位領域D1の表示を変化させる方法としては、例えば、該当する部位領域D1のみを他の部位領域D1と異なる色で表示したり、閾値を超える測定値mが入力された測定値入力欄D2を他の測定値入力欄D2と異なる色で表示したり、閾値を超える測定値mを他の測定値mと異なる色で表示することが挙げられる。
【0053】
その他、本発明は前記各実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
100 測定データ管理システム
10 測定工具
20 測定データ管理装置
D ディスプレイ
D1 部位領域
D2 測定値入力欄
m 測定値
21 表示制御部
22 選択信号受信部
23 データ受信部
24 受信数カウント部
25 受信数比較部
26 点検結果入力部
27 報知部
28 閾値記憶部
29 測定値判定部