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特許7333577バルブ装置、このバルブ装置を用いた流体制御装置および半導体製造装置
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  • 特許-バルブ装置、このバルブ装置を用いた流体制御装置および半導体製造装置 図1
  • 特許-バルブ装置、このバルブ装置を用いた流体制御装置および半導体製造装置 図2
  • 特許-バルブ装置、このバルブ装置を用いた流体制御装置および半導体製造装置 図3
  • 特許-バルブ装置、このバルブ装置を用いた流体制御装置および半導体製造装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】バルブ装置、このバルブ装置を用いた流体制御装置および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20230818BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
F16K27/00 B
H01L21/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019059802
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020159477
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】余湖 隆司
(72)【発明者】
【氏名】里見 優樹
(72)【発明者】
【氏名】茂木 雄太
(72)【発明者】
【氏名】稲田 敏之
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108458129(CN,A)
【文献】特開2007-057474(JP,A)
【文献】特開昭52-114122(JP,A)
【文献】特開2002-130479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0059902(US,A1)
【文献】特開平10-169881(JP,A)
【文献】特開2001-235099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00-1/54
27/00-27/12
31/06-31/11
H01L 21/00-21/02
21/04-21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路と、弁が開くと前記第1流路と連通する第2流路と、前記第1流路と常時連通する第3流路とを有するバルブボディと、
前記第2流路と接続される第4流路と前記第3流路と接続される第5流路と、前記第4流路と前記第5流路とが合流する共通流路とを有し、前記バルブボディと締結部材により連結される継手ブロックと、
前記バルブボディの第3流路の開口と前記継手ブロックの第5流路の開口との間に設けられ、かつ、前記バルブボディと前記継手ブロックにより圧せられるオリフィスガスケットと、を有し、
前記第1流路と前記第2の流路との間はダイヤフラムで開閉され、かつ、前記第1流路と前記第3流路とを接続する流路の一部は前記ダイヤフラムで画定されている、バルブ装置。
【請求項2】
前記バルブボディの第2流路の開口と前記継手ブロックの第4流路の開口との周囲に設けられ、かつ、前記バルブボディと前記継手ブロックにより圧せられるガスケットをさらに有する、請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記第1流路と前記第2流路と前記第3流路は、前記バルブボディの共通面で開口している、請求項1又は2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
複数の流体機器が配列された流体制御装置であって、
前記複数の流体機器は、請求項1ないし3のいずれかに記載のバルブ装置を含む、流体制御装置。
【請求項5】
密閉されたチャンバ内においてプロセスガスによる処理工程を要する半導体装置の製造プロセスにおいて、前記プロセスガスの流量制御に請求項1ないし3のいずれかに記載のバルブ装置を用いた半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バルブ装置、このバルブ装置を用いた流体制御装置および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセス等の各種製造プロセスにおいては、バルブが閉じた状態においても流入口から流出路に一定流量のガス等の流体を流すいわゆるブリードバルブが用いられることがある。
たとえば、特許文献1は、バルブシートにブリード用の流通孔を設けることにより、バルブ閉状態であっても流入路から流出路に一定流量のガスを流すことができるバルブ装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-14415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたバルブ装置では、ブリード用の流通孔を変更して流量を変更するのは容易ではない。また、ブリード用の流通孔に塵等が詰まって流量が変化したような場合に、メインテナンス性が良くない。
【0005】
本発明の一の目的は、バルブ閉状態であっても流入路から流出路に一定流量のガスを流すことができるバルブ装置であって、ブリード流量の変化に容易に対応でき、メインテナンス性も改善したバルブ装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記のバルブ装置を用いた流体制御装置、半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバルブ装置は、流体が流入する第1流路と、前記第1流路と弁が開くと連通する第2流路と、前記第1流路と常時連通する第3流路とを有するバルブボディと、
前記第2流路と接続される第4流路と前記第3流路と接続される第5流路と、前記第4流路と前記第5流路とが合流する共通流路とを有し、前記バルブボディと締結部材により連結される継手ブロックと、
前記バルブボディの第3流路の開口と前記継手ブロックの第5流路の開口との間に設けられ、かつ、前記バルブボディと前記継手ブロックにより圧せられる金属製のオリフィスガスケットと、を有する。
【0007】
好適には、前記バルブボディの第2流路の開口と前記継手ブロックの第4流路の開口との周囲に設けられ、かつ、前記バルブボディと前記継手ブロックにより圧せられる金属製のガスケットをさらに有する。
【0008】
さらに好適には、前記第1流路と前記第2流路と前記第3流路は、前記バルブボディの共通面で開口している。
【0009】
本発明の流体制御装置は、複数の流体機器が配列された流体制御装置であって、
前記複数の流体機器は、上記のバルブ装置を含む、構成である。
【0010】
本発明の半導体製造装置は、密閉されたチャンバ内においてプロセスガスによる処理工程を要する半導体装置の製造プロセスにおいて、前記プロセスガスの流量制御に上記のバルブ装置を用いた、構成である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バルブ閉状態であっても流入路から流出路に一定流量の流体を流すことができるとともに、ブリード流量の変化に容易に対応でき、メインテナンス性も改善したバルブ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るバルブ装置の外観斜視図。
図2図1のバルブ装置の内部構造を概略的に示す部分断面図。
図3】半導体製造装置の構成の一例を示す概略図。
図4】流体制御装置の一例を示す外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書および図面においては、機能が実質的に同様の構成要素には、同じ符号を使用することにより重複した説明を省略する。
なお、図中に示す矢印A,Bは、バルブ装置10に流れる流体の流れを示すものであって、矢印Aがバルブ装置10への流体の流入方向を示し、矢印Bがバルブ装置10からの流体の流出方向を示しているが、逆方向になってもよい。
【0014】
図1および図2に示すように、バルブ装置10は、バルブボディ11、アクチュエータ15、ダイヤフラム19、下流側の継手ブロック20、上流側の継手ブロック40、オリフィスガスケット50、ガスケット51,52を有する。
【0015】
バルブボディ11は、上面視において矩形状を有しており、それぞれ底面から弁室11aに向かって延びる、本発明の第1流路としての流入路12と本発明の第2流路としての第1の流出路13Aおよび本発明の第3流路としての第2の流出路13Bが形成されている。
第1の流出路13Aは、弁室11aの底面で開口し、この開口の周囲にバルブシート16が設けられている。
流入路12および第2の流出路13Bの弁室11a側の端部は、環状の接続流路14により接続され、流入路12および第2の流出路13Bは常時連通している。
ダイヤフラム19は、接続流路14、バルブシート16および第1の流出路13Aの開口を覆うように配置され、ダイヤフラム19の外周縁部が押えアダプタ17を介してアクチュエータ15のケーシング15aの下端部によりバルブボディ11に押圧固定されている。
【0016】
ダイヤフラム押え18は、アクチュエータ15により上下方向に駆動され、ダイヤフラム押え18によって弁体としてのダイヤフラム19がバルブシート16に押し付けられているバルブ閉状態では、流入路12と第1の流出路13Aとの連通は遮断される。ダイヤフラム19がバルブシート16から離れると、流入路12と第1の流出路13Aとが連通する。このように、バルブ装置10では、三方弁が構成されている。
アクチュエータ15は、例えば、空圧により駆動されるものが採用されるが、これに限定されるわけではない。
【0017】
継手ブロック20は、第1の流出路13Aと接続される本発明の第4流路としての第1流路22Aと、第2の流出路13Bと接続される本発明の第4流路としての第2流路22Bと、第1流路22Aと第2流路22Bとが合流する共通流路23とが形成されている。
継手ブロック40は、流入路12と接続される流路41が形成されている。
継手ブロック20,40は、複数の締結部材BTにより、バルブボディ11に締結される。
【0018】
オリフィスガスケット50は、バルブボディ11の第2の流出路13Bの開口と継手ブロック20の第2流路22Bの開口との間に設けられ、かつ、前記と前記継手ブロックにより圧せられる。オリフィスガスケット50は、金属製や合成樹脂製で、流体が通過するオリフィス孔(第2の流出路13Bおよび第2流路22Bの径よりも小径)を有し、バルブボディ11の第2の流出路13Bと継手ブロック20の第2流路22Bとの間をシールするシール部材としての役割と、オリフィス孔により流量を制限する役割とを果たす。
【0019】
ガスケット51は、金属製や合成樹脂製で、バルブボディ11の第1の流出路13Aの開口と継手ブロック20の第1流路22Aの開口の周囲に設けられ、第1の流出路13Aと第1流路22Aとの間をシールする。
ガスケット52は、金属製や合成樹脂製で、バルブボディ11の流入路12の開口と継手ブロック40の流路41の開口の周囲に設けられ、流入路12と流路41の間をシールする。
【0020】
上記構成のバルブ装置10では、バルブ閉状態では、継手ブロック40の流路41、バルブボディ11の流入路12、第2の流出路13Bを介してオリフィスガスケット50のオリフィス孔から一定流量の流体が共通流路23に供給される。すなわち、バルブ閉状態であっても流入路から流出路に一定流量の流体を流すことができるバルブ装置10が提供される。オリフィス孔を通じて流すブリード流量を変更したい場合には、その流量に合わせた径のオリフィスガスケット50に交換すれば容易に対応できる。オリフィスガスケット50の交換は、バルブボディ11を取り外すことで実施できるので、保守が非常に容易である。すなわち、バルブボディ11の底面(共通面)で3本の流路が開口されているので、バルブボディ11のみを取り外せば、ガスケットの交換が容易可能となる。また、バルブ開状態では、第2の流出路13Bはオリフィス孔により流量を制限されているので、第1の流出路13Aへの流体の供給が支配的になる。すなわち、1つのバルブを開閉することで、流量の異なる流体を提供することができる。言い換えれば、弁開閉で、選択的に大流量/小流量の供給ができる
【0021】
次に、図3を参照して、上記したバルブ装置10の適用される半導体製造装置の一構成例について説明する。
【0022】
図3に示す半導体製造装置1000は、密閉されたチャンバ(処理チャンバ800)内においてプロセスガスによる処理工程を要する半導体装置の製造プロセスにおいて、プロセスガスの流量制御にバルブ装置10を用いたものである。たとえば、図3に示す半導体製造装置1000は、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition 法)による半導体製造プロセスを実行するためのシステムであり、600はプロセスガス供給源、700はガスボックス、710はタンク、800は処理チャンバ、900は排気ポンプを示している。
【0023】
基板に膜を堆積させる処理プロセスにおいては、処理ガスを安定的に供給するためにガスボックス700から供給される処理ガスをバッファとしてのタンク710に一時的に貯留し、処理チャンバ800の直近に設けられたバルブ720を高頻度で開閉させてタンクからの処理ガスを真空雰囲気の処理チャンバへ供給する。
【0024】
ALD法は、化学気相成長法の1つであり、温度や時間等の成膜条件の下で、2種類以上の処理ガスを1種類ずつ基板表面上に交互に流し、基板表面上原子と反応させて単層ずつ膜を堆積させる方法であり、単原子層ずつ制御が可能であるため、均一な膜厚を形成させることができ、膜質としても非常に緻密に膜を成長させることができる。
ALD法による半導体製造プロセスでは、処理ガス(プロセスガス)の流量を精密に調整する必要があるとともに、基板の大口径化等により、処理ガスの流量をある程度確保する必要もある。
【0025】
ガスボックス700は、正確に計量したプロセスガスを処理チャンバ800に供給するために、各種の流体機器を集積化した流体制御装置をボックスに収容したものである。流体制御装置は、複数の流体機器が配列されたものである。バルブ装置10は、ガスボックス内に一流体機器として設けられる。
【0026】
タンク710は、ガスボックス700から供給される処理ガスを一時的に貯留するバッファとして機能する。
処理チャンバ800は、ALD法による基板への膜形成のための密閉処理空間を提供する。
排気ポンプ900は、処理チャンバ800内を真空引きする。
【0027】
図4を参照して、本発明のバルブ装置10が適用される流体制御装置の一例を説明する。
図4に示す流体制御装置には、幅方向W1,W2に沿って配列され長手方向G1,G2に延びる金属製のベースプレートBSが設けられている。なお、W1は背面側、W2は正面側,G1は上流側、G2は下流側の方向を示している。ベースプレートBSには、複数の流路ブロック992を介して各種流体機器991A~991Eが設置され、複数の流路ブロック992によって、上流側G1から下流側G2に向かって流体が流通する図示しない流路がそれぞれ形成されている。
【0028】
ここで、「流体機器」とは、流体の流れを制御する流体制御装置に使用される機器であって、流体流路を画定するボディを備え、このボディの表面で開口する少なくとも2つの流路口を有する機器である。具体的には、開閉弁(二方弁)991A、レギュレータ991B、プレッシャーゲージ991C、開閉弁(三方弁)991D、マスフローコントローラ991E等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。なお、導入管993は、上記した図示しない流路の上流側の流路口に接続されている。
バルブ装置10はこのような流体制御装置の一つの流体機器として用いられる。
【0029】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【符号の説明】
【0030】
10 :バルブ装置
11 :バルブボディ
11a :弁室
12 :流入路(第1流路)
13A :第1の流出路(第2流路)
13B :第2の流出路(第3流路)
14 :接続流路
15 :アクチュエータ
15a :ケーシング
16 :バルブシート
17 :押えアダプタ
18 :ダイヤフラム押え
19 :ダイヤフラム
20 :継手ブロック
22A :第1流路(第4流路)
22B :第2流路(第5流路)
23 :共通流路
40 :継手ブロック
41 :流路
50 :オリフィスガスケット
51 :ガスケット
52 :ガスケット
600 :プロセスガス供給減
700 :ガスボックス
710 :タンク
720 :バルブ
800 :処理チャンバ
900 :排気ポンプ
991A :開閉弁(二方弁)
991B :レギュレータ
991C :プレッシャーゲージ
991D :開閉弁(三方弁)
991E :マスフローコントローラ
992 :流路ブロック
993 :導入管
1000 :半導体製造装置
BS :ベースプレート
BT :締結部材
図1
図2
図3
図4