(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】横型ブラインド、ラダーコード連結方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/384 20060101AFI20230818BHJP
E06B 9/322 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
E06B9/384
E06B9/322
(21)【出願番号】P 2019107002
(22)【出願日】2019-06-07
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 公利
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】市橋 薫
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-275351(JP,A)
【文献】特開2014-066117(JP,A)
【文献】特開2004-143753(JP,A)
【文献】特開2008-297719(JP,A)
【文献】実開平02-099196(JP,U)
【文献】実開平04-028596(JP,U)
【文献】特開2019-008956(JP,A)
【文献】特開2011-012444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24 - 9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスラットを回転可能に支持する横型ブラインドであって、
前記複数のスラットの前後に配される2つの垂直コードを有し、前記複数のスラットを支持するラダーコードと、
前記2つの垂直コードそれぞれの上端部が連結され、ヘッドボックス内に回転可能に支持される回転ドラム
とを備え、
前記複数のスラットが該複数のスラットの回転範囲における中間の回転角度となる中間状態において、水平状態に対していずれかの回転方向に傾斜するように、前記2つの垂直コードを設け
、
前記2つの垂直コードのそれぞれは、前記複数のスラットが中間状態にある場合において、該垂直コードと前記
回転ドラムとの連結位置から該垂直コードにおける最上段のスラットの支持位置までの上下方向距離が互いに異なるように設けられることを特徴とする横型ブラインド。
【請求項2】
ヘッドボックス内に回転可能に支持される回転ドラムと、該回転ドラムの回転力を複数のスラットに伝達する伝達状態と、前記回転ドラムの回転力を前記複数のスラットに伝達しない非伝達状態とに切り替え可能なラダークラッチと、前記複数のスラットの前後に配される2つの垂直コードを有し、前記複数のスラットを支持するラダーコードとを備える横型ブラインドにおけるラダーコード連結方法であって、
前記ラダークラッチと前記2つの垂直コードとの連結位置を前記ラダーコードの前記ヘッドボックスからの垂下位置に対して左右方向に異ならせ、前記2つの垂直コードのうち、一方の垂直コードを前記垂下位置側から前記ラダークラッチに連結し、他方の垂直コードを前記垂下位置とは逆側を経由して前記ラダークラッチに連結するラダーコード連結方法。
【請求項3】
複数のスラットを回転可能に支持する横型ブラインドであって、
前記複数のスラットの前後に配される2つの垂直コードを有し、前記複数のスラットを支持するラダーコードと、
ヘッドボックス内に回転可能に支持される回転ドラムと、
前記回転ドラムの回転力を前記複数のスラットに伝達する伝達状態と、前記回転ドラムの回転力を前記複数のスラットに伝達しない非伝達状態とに切り替え可能なラダークラッチとを備え、
前記複数のスラットが該複数のスラットの回転範囲における中間の回転角度となる中間状態において、水平状態に対していずれかの回転方向に傾斜するように、前記2つの垂直コードを設け、
前記2つの垂直コードそれぞれの上端部は、前記ラダークラッチに連結され、
前記2つの垂直コードのそれぞれは、前記複数のスラットが中間状態にある場合において、該垂直コードと前記ラダークラッチとの連結位置から該垂直コードにおける最上段のスラットの支持位置までの上下方向距離が互いに異なるように設けられることを特徴とする横型ブラインド。
【請求項4】
複数のスラットを回転可能に支持する横型ブラインドであって、
前記複数のスラットの前後に配される2つの垂直コードを有し、前記複数のスラットを支持するラダーコードと、
ヘッドボックス内に回転可能に支持される回転ドラムと、
前記回転ドラムの回転力を前記複数のスラットに伝達する伝達状態と、前記回転ドラムの回転力を前記複数のスラットに伝達しない非伝達状態とに切り替え可能なラダークラッチとを備え、
前記複数のスラットが該複数のスラットの回転範囲における中間の回転角度となる中間状態において、水平状態に対していずれかの回転方向に傾斜するように、前記2つの垂直コードを設け、
前記2つの垂直コードそれぞれの上端部は、前記ラダークラッチに連結され、
前記ラダークラッチと前記2つの垂直コードとの連結位置は前記ラダーコードの前記ヘッドボックスからの垂下位置に対して左右方向に異なっており、
前記2つの垂直コードのうち、一方の垂直コードは左右方向における前記垂下位置側から前記ラダークラッチに連結され、他方の垂直コードは左右方向における前記垂下位置とは逆側を経由して前記ラダークラッチに連結されることを特徴とする横型ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、横型ブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の横型ブラインドとしては、特許文献1に示されるものがあり、この特許文献1には、ヘッドボックス内において回転可能なシャフトにラダークラッチを介してラダークランプを取付け、ラダーコードの両端をラダークランプから垂下させて複数のスラットを保持し、ラダークラッチがラダークランプの回転によりラダーコードを介してスラットを最大起立角度に起立させるスラット起立機構と、ラダークランプをシャフトに対してスリップさせるスリップ機構と、スラットが最大起立角度に達した状態を維持しつつスリップ機構が作動する状態に移行させる移行機構とを有する横型ブラインドのスラット駆動装置が開示されている。
【0003】
このスラット駆動装置によれば、スラットの最大起立角度をラダークラッチの構成部品の寸法精度に影響されることなく精度良く設定することができ、スラットの最大起立時においてスラットにより確実に遮光することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のスラット駆動装置によるスラットの最大起立角度の設定によれば、スラットの前端を上方に位置付けるように回転させる全閉状態と、その逆側に回転させる反全閉状態とにおける最大起立角度が略同程度となる。したがって、上述のスラット駆動装置には、例えば、ラダーコードの品質に起因する遮蔽性の低下のような、全閉状態または反全閉状態のいずれか一方における遮蔽性の低下を改善する要求には対応することができない、という問題があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、全閉状態または反全閉状態のいずれか一方における遮蔽性の低下を改善することができる横型ブラインド、ラダーコード連結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、複数のスラットを回転可能に支持する横型ブラインドであって、前記複数のスラットの前後に配される2つの垂直コードを有し、前記複数のスラットを支持するラダーコードを備え、前記複数のスラットが該複数のスラットの回転範囲における中間の回転角度となる中間状態において、水平状態に対していずれかの回転方向に傾斜するように、前記2つの垂直コードを設けることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、ヘッドボックス内に回転可能に支持される回転ドラムと、該回転ドラムの回転力を前記複数のスラットに伝達する伝達状態と、前記回転ドラムの回転力を複数のスラットに伝達しない非伝達状態とに切り替え可能なラダークラッチと、前記複数のスラットの前後に配される2つの垂直コードを有し、前記複数のスラットを支持するラダーコードとを備える横型ブラインドにおけるラダーコード連結方法であって、前記ラダークラッチと前記2つの垂直コードとの連結位置を前記ラダーコードの前記ヘッドボックスからの垂下位置に対して左右方向に異ならせ、前記2つの垂直コードのうち、一方の垂直コードを前記垂下位置側から前記ラダークラッチに連結し、他方の垂直コードを前記垂下位置とは逆側を経由して前記ラダークラッチに連結する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、全閉状態または反全閉状態のいずれか一方における遮蔽性の低下を改善することができる。本発明のその他の効果については、以下の発明を実施するための形態の項でも説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る横型ブラインドの全体構成を示す正面図である。
【
図5】ドラム台及びガイド部材の構成を示す平面図である。
【
図8】ラダークラッチへの連結方法を前後で異ならせた垂直コードを示す概略図である。
【
図9】中間状態における横型ブラインドの構成を示す側断面図である。
【
図10】全閉状態における横型ブラインドの構成を示す側断面図である。
【
図11】反全閉状態における横型ブラインドの構成を示す側断面図である。
【
図12】連結部の位置を前後で異ならせた垂直コードを示す概略図である。
【
図13】長さを前後で異ならせた垂直コードを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以降の説明においては、横型ブラインドが設けられた際の室内側の面を正面、室外側の面を背面、正面及び背面に直交する方向を前後方向、横型ブラインドの長手方向を左右方向と称して以後説明を行う。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
(全体構成)
本実施形態に係る横型ブラインドの全体構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る横型ブラインドの全体構成を示す正面図である。なお、
図1においては、図中右側のみにおいて、ヘッドボックス内部の構成が示される。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る横型ブラインド1は、ヘッドボックス10、ブ
ラケット11、横型ブラインド1の下端に配置されるボトムレール12、ヘッドボックス10とボトムレール12との間に遮蔽材として複数配置されるスラット13、ヘッドボックス10から垂下するとともにボトムレール12に下端が固着される昇降コード14、ヘッドボックス10から垂下して複数のスラット13を整列状態に支持し、ボトムレール12に下端が固着されるラダーコード15、駆動装置20を備える。ラダーコード15は、スラット13を前後から挟むように配置された垂直コード15a及び15bと、垂直コード15aと垂直コード15bとの間に架設されて中段を形成し、複数のスラット13を支持する複数の中段コード150(
図8~
図10参照)とを有する。また、複数のスラット13のうち、最上段のスラット13には、スラットクリップ131が取り付けられる。
【0014】
ヘッドボックス10は、ブラケット11により図示しない窓枠などに固定され、長尺の略直方体状に形成された筐体であり、その内部には、連動装置30、回転可能に支持される昇降軸31、回転軸32と、昇降軸31、回転軸32により回転力が伝達される2つの回転装置4が設けられる。
【0015】
ヘッドボックス10の左右方向端部(
図1中)には、複数のスラット13の昇降及び回動を操作する操作装置20が設けられる。この操作装置20は、図示しないプーリに巻き掛けられ、横型ブラインド1の前方において垂下される操作コード21を有し、操作コード21の一方または他方が引かれることによりプーリが回転される。プーリの回転は、連動装置30により昇降軸31及び回転軸32に伝達され、これによって、昇降軸31と回転軸32とがそれぞれ回転駆動される。
【0016】
(回転装置の構成)
回転装置の構成について説明する。
図2、
図3、
図4は、それぞれ、回転装置の構成を示す斜視図、分解斜視図、平面図である。
図5は、ドラム台及びガイド部材の構成を示す平面図である。
図6は、
図4のA-A断面図である。なお、
図2~
図6において、昇降軸、回転軸は省略される。
【0017】
図2~
図6に示すように、回転装置4は、全体として上方が開口した略直方体状に形成されるドラム台40、昇降コード14の上端が固着される昇降ドラム41、ラダーコード14の上端が連結される回転ドラム42、入力軸43、駆動ギア44、軸受けケース45、昇降ドラムカバー46、コードガイド47を備える。ドラム台40は、
図2、
図4、
図6に示すように、軸受けケース45及び昇降ドラムカバー46と協働して、昇降ドラム41、回転ドラム42、入力軸43を左右方向に向く昇降軸31周りに回転可能に支持する。
【0018】
昇降ドラム41は、その回転により昇降コード14を巻取り及び巻解き可能に形成される。昇降ドラム41は、その回転軸方向における一端側において、ドラム台40に取り付けられる昇降ドラムカバー46により上方への移動が規制されつつドラム台40に支持されるとともに、その回転軸方向における他端側に入力軸43が一体回転可能に連結される(
図6参照)。入力軸43は、昇降軸31に挿通されて一体回転可能に軸支され、その一端が昇降ドラム41に挿通し、その他端がドラム台40に取り付けられる軸受けケース45により支持される。昇降ドラム41は、入力軸43を介して、昇降軸31と一体回転可能にドラム台40に支持される。
【0019】
回転ドラム42は、
図3、
図4、
図6に示すように、入力軸43により挿通されて相対回転可能に軸支され、回転体420と従動ギア421とを有する。回転体420は、略円柱状に形成され、従動ギア421は、回転体420の回転軸方向一端側において駆動ギア44と噛み合うギアとして形成される。また、回転体420の外周面には周方向全周に亘って形成される溝部420aが形成され、この溝部420aにおいて、後に詳述するラダークラッチ422が回転ドラム42周りに巻回される。駆動ギア44は、
図2、
図4、
図6に示すように、軸受けケース45に回転可能に支持されるとともに、回転軸32に挿通されて一体回転可能に軸支され、従動ギア421と噛み合って回転ドラム42に回転軸32の回転力を伝達する。
【0020】
コードガイド47は、
図3、
図5に示すように、ドラム台40の底面、ヘッドボックス10の底面の一部を形成するようにドラム台40の下方から取り付けられる部材であり、2つの昇降コードガイド孔470、第1ラダーコードガイド孔471、及び第2ラダーコードガイド孔472が形成される。2つの昇降コードガイド孔470のそれぞれは、昇降コード14が挿通される孔であり、昇降コード14を垂下すべき前後方向の位置に応じて、いずれか一方の昇降コードガイド孔470に昇降コード14が挿通される。
【0021】
第1ラダーコードガイド孔471及び第2ラダーコードガイド孔472は、いずれも垂直コード15a,15bが挿通される孔であり、前後方向に互いに異なる位置に設けられ、ヘッドボックス10から垂下する垂直コード15a,15bの前後方向の離間距離が、回転ドラム42の直径より小さくなるように垂直コード15a,15bを案内する。第1ラダーコードガイド孔471は、第2ラダーコードガイド孔472に対して後方側、即ち室外側に形成され、後方側の垂直コード15aが挿通される。第2ラダーコードガイド孔472は、第1ラダーコードガイド孔471に対して前方側、即ち室内側に形成され、前方側の垂直コード15bが挿通される。
【0022】
(ラダークラッチの構成)
ラダークラッチの構成について説明する。
図7は、ラダークラッチの構成を示す平面図である。
図8は、ラダークラッチへの連結方法を前後で異ならせた垂直コードを示す概略図である。なお、説明上、
図8においては、スラットクリップを省略している。
【0023】
ラダークラッチ422は、線状に形成された弾性部材であり、
図7に示すように、回転ドラム42において略円柱状に形成された回転体420の外周に形成された溝部420aに対して、回転ドラム42と一体回転する程度の強さで締結するように巻き付けられる。また、ラダークラッチ422は、その両端がそれぞれ周方向逆側を向くように折り返されて形成された第1連結部422a、第2連結部422bを有する。
【0024】
第1連結部422aは第2連結部422bに対して横型ブラインド1の前後方向後側に位置し、第2連結部422bは第1連結部422aに対して横型ブラインド1の前後方向前側に位置するものとする。また、第1連結部422a及び第2連結部422bは、ラダークラッチ422の両端部がその周方向において所定距離だけ重なるように形成される。第1連結部422aには後方の垂直コード15aが連結部材151を介して連結され、第2連結部422bには前方の垂直コード15bが連結部材151を介して連結される。連結部材151は、垂直コード15a,15bのそれぞれの上端部に設けられる部材であり、第1連結部422a、第2連結部422bに係止されるように形成される。
【0025】
図8に示すように、第1連結部422aにはその折り返し位置において垂直コード15aを挿通可能な挿通部422a1が形成され、同様に、第2連結部422bにはその折り返し位置において垂直コード15bを挿通可能な挿通部422b1が形成される。垂直コード15a,15bのそれぞれは、連結部151を含むその上端部がラダークラッチ422の先端部から挿通部422a1,422b1に挿通されることによって、第1連結部422a、第2連結部422bに連結される。連結部材151は、挿通部422a1,422b1を挿通不能に形成される。
【0026】
このように構成されるラダークラッチ422は、伝達状態と非伝達状態とに切り替えられる。伝達状態においては、ラダークラッチ422が回転体420に締結されて回転体420と一体回転し、この際、回転軸32の回転力が伝達されてスラット13が回転する。一方、非伝達状態においては、ラダークラッチ422の回転体420への締結が解除されて回転体420と相対回転し、この際、スラット13はそれ以上回転されない。
【0027】
ラダークラッチ422は、第1連結部422a又は第2連結部422bがドラム台40に形成される規制部401a又は401b(
図9~
図11参照)に当接するまで、回転体420を締結するように形成され、第1連結部422a又は第2連結部422bが規制部401a又は401bに当接後は、締結力が緩む方向に回転体420が回転を継続することで、回転体420への締結が解除される。これによって、ラダークラッチ422は、横型ブラインド1を全閉状態(
図10参照)とする回転角度から反全閉状態(
図11参照)とする回転角度までの回転角度範囲においては回転体420と一体回転し、それ以外の回転角度範囲においては回転体420と相対回転する。
【0028】
左右方向において、ラダークラッチ422の巻き付け位置、即ち、回転体420に形成される溝部420aの位置は、第1ラダーコードガイド孔471、第2ラダーコードガイド孔472が形成される位置とは異なっており、具体的には、第1ラダーコードガイド孔471、第2ラダーコードガイド孔472に対して、
図7中左側にずれた位置となっている。
【0029】
図8に示すように、垂直コード15a,15bは、第1連結部422a、第2連結部422bに対する連結方法が互いに異なっている。具体的には、第1連結部422aに対しては、垂直コード15aが第1ラダーコードガイド孔471、第2ラダーコードガイド孔472が形成される側(
図7中左側)から挿通される。一方、第2連結部422bに対しては、垂直コード15bが第1ラダーコードガイド孔471、第2ラダーコードガイド孔472が形成される側とは逆側(
図7中右側)から挿通される。換言すれば、垂直コード15aが第1ラダーコードガイド孔471、第2ラダーコードガイド孔472側から第1連結部422aに連結され、垂直コード15bは、第1ラダーコードガイド孔471、第2ラダーコードガイド孔472側とは逆側を経由して第2連結部422bに連結される。
【0030】
このように、垂直コード15a,15bの挿通方向を異ならせることによって、前後の垂直コード15a,15bの長さを異ならせて形成することなく、垂直コード15a,15bがヘッドボックス10から垂下された際における、垂直コード15aの連結位置と垂直コード15aにおけるスラット13の支持位置との上下方向距離と、垂直コード15bの連結位置と垂直コード15bにおけるスラット13の支持位置との上下方向距離とを異ならせることができる。なお、上下方向距離を異ならせることによる効果については後述する。
【0031】
(横型ブラインドの動作)
横型ブラインドの動作について説明する。
図9、
図10、
図11は、それぞれ、中間状態、全閉状態、反全閉状態における横型ブラインドの構成を示す側断面図である。なお、
図9~
図11は、いずれも、前後方向及び上下方向に平行するとともに、第1ラダーコードガイド孔、第2ラダーコードガイド孔を通る平面により切断した横型ブラインドを
図1中左側から見た状態を示す。したがって、
図9~
図11においては、図中左側が後側、即ち室外側となり、図中右側が前側、即ち室内側となっている。
【0032】
図9に示すように、中間状態において、スラット13は、垂直コード15a,15bのラダークラッチ422への連結方法を上述したように異ならせることによって、前方の縁端部が後方の縁端部よりも上方に位置付けられるように傾斜される。ここで、中間状態とは、スラット13の回転位置が全閉状態から反全閉状態までのスラット13の回転角度範囲における中間位置にある状態を示す。換言すれば、中間状態とは、上述したラダークラッチ422が一体回転する回転角度範囲における中間位置を示す。
【0033】
このように、中間状態においてスラット13が傾斜するように垂直コード15a,15bを配することによって、スラット13の回転角度範囲を回転方向における一方側または逆方側にずらすことができる。本実施形態においては、
図10に示すように、横型ブラインド1を全閉状態とする回転方向(
図10中反時計回り)にスラット13の回転角度範囲がずらされており、これによって、全閉状態におけるスラット13をより起立させた状態とすることができ、延いては、全閉状態における遮蔽性を向上させることができる。また、このようにスラット13の回転角度範囲がずらされた場合、
図11に示すように、反全閉状態におけるスラット13の傾斜角度はより大きくなる。
【0034】
このように、中間状態においてスラット13をスラット13が略水平面を向く水平状態からいずれかの回転方向に傾斜させるように、ラダークラッチ422に連結される垂直コード15a,15bを設けることによって、スラット13の一方向への回転時の遮蔽性、即ち全閉状態、反全閉状態における遮蔽性を向上させることができ、また、ラダーコード15の品質に起因する遮蔽性の低下を改善するように調整することが容易となる。
【0035】
(変形例)
前後で垂直コードを異ならせた変形例について説明する。
図12は、連結部材の位置を前後で異ならせた垂直コードを示す概略図である。
図13は、長さを前後で異ならせた垂直コードを示す概略図である。
【0036】
図12に示すように、垂直コード15a,15bの第1連結部422a,第2連結部422bへの挿通方向を互いに同様とし、垂直コード15a,15bのそれぞれにおける連結部材151を設ける位置(上端部からの距離)を互いに異ならせることによっても、中間状態においてスラット13が傾斜する状態とすることができる。さらに、連結部材151を設ける位置を調整可能とすれば、遮蔽性の改善度合いを調整することができる。
【0037】
また、
図13に示すように、垂直コード15a,15bの第1連結部422a,第2連結部422bへの挿通方向を互いに同様とし、垂直コード15a,15bの長さ、具体的には、最上段の中段コード150と垂直コード15a,15bとの連結位置、即ち最上段のスラット13の支持位置から、垂直コード15a,15bの上端までの長さを互いに異ならせることによっても、中間状態においてスラット13が傾斜する状態とすることができる。
【0038】
また、中間状態における第1連結部422a,第2連結部422bから最上段の中段コード150の対応する連結位置までの上下方向距離を互いに異ならせるように第1ラダーコードガイド孔471、第2ラダーコードガイド孔472を前後方向に非対称に構成しても良い。
【0039】
なお、本発明は、上述したラダークラッチ422を有する回転ドラム42に限らず、回転軸32の回転力をスラット13に伝達する伝達状態と、回転軸32の回転力をスラット32に伝達しない非伝達状態とに切り替え可能な機構を有した全ての回転ドラム42に適用可能である。
【0040】
さらに、ラダーコードの品質に起因してスラットのいずれか一方向への遮蔽性に低下がみられるため、ラダークラッチへの前後の垂直コードの連結位置(方向)を異ならせ、全閉状態、反全閉状態におけるスラットの遮蔽性を同等とする場合にも有効である。
【0041】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0042】
1 横型ブラインド
10 ヘッドボックス
13 スラット
15 ラダーコード
15a,15b 垂直コード
42 回転ドラム
422 ラダークラッチ