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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】作業装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20230818BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20230818BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20230818BHJP
   F24F 8/167 20210101ALI20230818BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20230818BHJP
【FI】
F24F7/06 B
F24F7/06 101A
F24F13/08 A
F24F8/108 310
F24F8/167
F24F7/003
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019206636
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021081092
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】319013447
【氏名又は名称】株式会社エス・イー・イー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗屋野 伸樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 健次
(72)【発明者】
【氏名】内田 悦嗣
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-319943(JP,A)
【文献】特開2006-239408(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111451(WO,A1)
【文献】特開2017-146086(JP,A)
【文献】特開2002-372266(JP,A)
【文献】特開2001-061909(JP,A)
【文献】特開2014-025624(JP,A)
【文献】特開2010-279679(JP,A)
【文献】特開2017-159234(JP,A)
【文献】独国実用新案第202005004384(DE,U1)
【文献】中国実用新案第202051951(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00-8/99
F24F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流された空気が流れる作業台と、
前記作業台の下流側に設けられ、前記作業台に流れる空気に含まれる異物を除去する異物除去装置と、
前記異物除去装置の下流側に設けられ、前記異物除去装置により異物が除去された空気を浄化する浄化装置と、
を有し、
前記異物除去装置は、前記作業台に設けられ、多数の空気孔が形成された第2の空気孔形成板と、前記空気孔形成板からの空気が通過するように一方向に延びる多数のスリットが形成されたスリット板と、前記スリット板を通過した空気の流れを変える空気流変更部とを有し、
前記空気流変更部は、前記スリット板を通過した空気が当たる天板部と、この天板部の周囲に形成され、空気が通過する通気孔部が形成された側板部と、を有する作業装置。
【請求項2】
前記作業台の上流側に設けられた送気側機器をさらに有し、前記送気側機器は、小型送風機を複数並べた送風部と、前記送風部から送られる空気が通過するように多数の空気孔が形成された第1の空気孔形成板と、前記第1の空気孔形成板からの空気が通過するハニカム構造を有するハニカム板と、を有する請求項1記載の作業装置。
【請求項3】
前記空気流変更部は、前記通気孔部を通過した空気から分離された異物を排出する異物排出部を有する請求項1または2記載の作業装置。
【請求項4】
前記浄化装置は、光触媒フィルタと、前記光触媒フィルタに光を当てる光源とを有する請求項1からいずれか記載の作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば有機溶剤を取り扱う作業場においては、局所排気装置を設け、この局所排気装置により作業者への曝露防止を行っている。
【0003】
この種の局所排気装置として、特許文献1、2に示すように、プッシュ・プル型換気装置を有するものが知られている。プッシュ・プル型換気装置とは、プッシュ側(送気側)機器を作業台の上流側に設けると共に、プル側(吸気側)機器を作業台の下流側に設けて、作業台上で有機溶剤等の処理剤により作業対象物を処理する場合、作業台に向けて整流空気を流し、作業者の処理剤による暴露を防止できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-174375号公報
【文献】特開2017-146086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例においては、処理剤を含む空気を排出することについては考慮されておらず、排気に問題があった。
【0006】
本発明は、処理剤により処理された後の排気を効果的に行うことができる作業装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴とするところは、整流された空気が流れる作業台と、前記作業台の下流側に設けられ、前記作業台に流れる空気に含まれる異物を除去する異物除去装置と、前記異物除去装置の下流側に設けられ、前記異物除去装置により異物が除去された空気を浄化する浄化装置と、を有する作業装置にある。
【0008】
好適には、前記作業台の上流側に設けられた送気側機器をさらに有し、前記送気側機器は、小型送風機を複数並べた送風部と、前記送風部から送られる空気が通過するハニカム構造を有するハニカム板と、前記ハニカム板からの空気が通過するように多数の空気孔が形成された第1の空気孔形成板と、を有するようにする。
【0009】
また、好適には、前記異物除去装置は、前記作業台に設けられ、多数の空気孔が形成された第2の空気孔形成板と、前記空気孔形成板からの空気が通過するように一方向に延びる多数のスリットが形成されたスリット板と、前記スリット板を通過した空気の流れを変える空気流変更部とを有するようにする。
【0010】
前記空気流変更部は、前記スリット板を通過した空気が当たる天板部と、この天板部の周囲に形成され、空気が通過する通気孔部を有する側板部と、を有するようにしてもよい。また、前記空気流変更部は、前記通気孔を通過した空気から分離された異物を排出する異物排出部を有するようにしてもよい。
【0011】
さらに、好適には、前記浄化装置は、光触媒フィルタと、前記光触媒フィルタに光を当てる光源とを有する光触媒式のものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業台の後流側に設けられた異物除去装置により異物を除去した後に、処理剤を含む空気を浄化するようにしたので、浄化装置による空気の浄化を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る作業装置の概略を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に用いた送気側機器本体を示す分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態に用いた異物除去装置を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態に用いた異物除去装置を示す分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態に用いた浄化装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1には、本発明の実施形態係る作業装置10が示されている。作業装置10は、作業台12を有する。作業台12は、板状の作業部14が脚部16により支えられている。作業部14上には、例えばホルマリン等の有機溶剤を用いられた作業対象18が載置され、この作業対象物18が作業者により処理されるようになっている。
【0016】
作業台12の作業部14の上部は、3方向又は4方向に側面が開放されている。このため、3方向又は4方向から作業者が作業することができ、また、複数の作業者が側方から作業することができる。
【0017】
作業台12の上方には、送気側機器20が設けられている。送気側機器20は、例えばアンカーボルト22を介して天井から吊り下げられている。また、送気側機器20は、送気側機器本体24が設けられている。
【0018】
送気側機器本体24は、図2にも示すように、送風部26、第1の空気孔形成板28及びハニカム板30が上下方向に重ねられて構成されている。
【0019】
送風部26は、軸流ファンからなる多数の送風機32が左右方向に並べられて構成されている。第1の空気孔形成板28は、例えばパンチングメタルからなり、多数の円形の第1の空気孔34が左右方向に規則正しく形成されている。
【0020】
ハニカム板30は、ハニカム構造を有する。ここで、ハニカム構造とは、立体図形を隙間なく並べた構造をいい、この実施形態のように、上下方向から見て四角形であってもよいし、六角形であってもよい。この実施形態においては、上下方向から見て四角形状の空気通過室36が左右方向に多数並べられている。送風機32の吹き出し面積は、空気通過室36の吹き出し面積の8割以上であることが好ましい。
【0021】
送風機32、第1の空気孔形成板28及びハニカム板30により送風する空気を整流にする。整流とは、一方向へ指向性が高い流れであり、この実施形態においては、作業台12の作業部14へ向けて空気が送られるようになる。
【0022】
ハニカム板30の厚さは、例えば20~70mmである。また、ハニカム板30と第1の空気孔形成板28との間隔は、例えば30mm(±10mm)である。また、第1の空気孔形成板28は、複数設けてもよく、それぞれの空気孔は上下方向に重なるようにすることが好ましい。さらに送風部26には風量調節機能を持たせ、送気側機器20の吹き出し高さが変わっても風速を維持することができるようにしてもよい。
【0023】
また、作業台12の作業部14の下方には、図3及び図4に示すように、異物除去装置38が設けられている。この異物除去装置38は、作業台12を通過した有機溶剤及び異物が含まれる空気から異物を除去するための装置である。ここで、異物とは、有機溶剤を除いた空気以外の物質であり、例えば水分、ごみ、粉塵等が含まれる。
【0024】
異物除去装置38は、作業部に固定されたケース40を有する。このケース40は、作業部14と一体に形成され、下方に延びる側面部42と、この側面部42から中央に向かって斜め下方に延びる底面部44とを有する。側面部42の内側には、後述する第2の空気孔形成板46を支持する支持孔48が形成されている。
【0025】
また、異物除去装置38は、第2の空気孔形成板46を有する。この第2の空気孔形成板46は、該空気孔形成板46の上面が作業台12の上面と一致するように支持孔48に嵌められている。第2の空気孔形成板46は、前述した第1の空気孔形成板30と同様に例えばパンチングメタルからなり、多数の円形の第2の空気孔50が左右方向に規則正しく形成されている。この第2の空気孔50の開口面積は、前述した第1の空気孔36の開口面積と比較すると、1.3倍が望ましいが、1.1倍以上とする。
【0026】
異物除去装置38は、ケース40の側面部42が下方に延びていると共に、第2の空気孔形成板46が第1の空気孔形成板30に対向するように設けられているので、送気側機器20から送られた空気の整流を異物除去装置36内までも維持するようになっている。
【0027】
また、異物除去装置38は、ケース40の側面部42の内側にスリット板52を有する。このスリット板52には、多数のスリット54が一方向に延び、互いに平行であるように形成されている。このスリット54により、空気は、平行な層流となってスリット板52を通過する。このスリット板52は、第2の空気孔形成板46と共にケース40に対して着脱自在となっている。
【0028】
また、異物除去装置38は、ケース40の底面部44に空気流変更部56が設けられている。この空気流変更部56は、スリット板52のスリット54を通過した異物及び有機溶剤を含む空気の流れを変えるものである。
【0029】
空気流変更部56は、例えば円筒形に形成され、孔が形成されていない天板部58と、天板部58の周囲にあって下方へ延びる側板部60とを有する。天板部58には孔が形成されていないので、スリット板52を通過した空気が当たり、天板部58の周囲に空気が流れるように空気の流れ方向を変える。また、側板部60は、下端に形成された段上げ部62を除いて通気孔部64が周囲に規則正しい間隔をもって多数形成されている。天板部58の周囲方向へと流れが変えられた空気又はケース40の底面部44に当たった空気は、さらに通気孔部64に導かれて流れの方向が変えられる。
【0030】
排気管66は、該排気管66の一端がケース40の底面部44から上方へ突出するように異物除去装置38に接続されている。この排気管66は、後述する浄化装置68に接続されている。
【0031】
また、異物除去装置38には、異物排出部70が設けられている。異物排出部70は、ドレン管72と、このドレン管72に接続されたタンク等の異物受部74とを有する。ドレン管72の一端は、排気管66の周囲でケース40の底面部44に接続されている。この排気管66の一端は、底面部44から上方へ突出しており、この排気管66へ異物が入り込まないようにしてある。空気流入変更部56により空気の流れが変えられるので、空気から異物が分離され、分離された異物が異物排出部70のドレン管72を介して異物受部74に排出される。
【0032】
異物除去装置38は、異物の除去のみならず、空気の流れを変えるようになっているので、空気の風速が抑制され、消音効果がある。
【0033】
第2の空気孔形成板46の空気孔50の開口面積、スリット板52のスリット54の開口面積、空気流変更部56の通気孔部64の開口面積及び排気管66一端の開口面積から選ばれた少なくとも2つの開口面積は、略同じにすることが好ましい。これにより流入抵抗の増加を防ぎ、騒音をさらに小さくすることができる。
【0034】
この実施形態にあっては、排気管66は一つであるが、複数設けるようにしてもよい。この場合、排気管66を集合させるためのダクト集合チャンバを設け、それぞれの排気管66の風量を調節するようにオリフィスダンパー形状とすることができる。排気管66をダクト集合チャンバの上方に設けることにより底面に粉塵等を集め、これを清掃可能なようにすることもできる。
【0035】
異物除去装置38の後流側に浄化装置68が設けられている。浄化装置68は、図5に示すように、筐体76に吸気口78と排気口80が形成されている。
【0036】
吸気口78と排気口80にはフィルタ82,84が交換可能なように設けられている。筐体76内には送風機86が配置されている。この送風機86は、この実施形態においては、筐体76の吸気口78側に配置されているが、排気口80側に配置してもよい。また、筐体76内には、例えば3枚の光触媒フィルタ88,90,92が配置されている。さらに光触媒フィルタ88,90の間及び光触媒フィルタ90,92の間には、蛍光灯やLEDからなる光源94が配置されている。光源94にはオゾンランプが含まれていてもよい。
【0037】
光源94からの光が光触媒フィルタ88,90,92に当たると、光触媒反応を発現し、異物除去装置38から送られた空気に含まれる有機溶剤を分解する。排気口80は、作業台12が設けられた室から壁を隔てた室に接続されるか、又は屋外に接続され、有機溶剤が除去された空気が排出される。
【0038】
浄化装置68には、異物除去装置38により異物が除去された空気が流入するので、異物、例えば水分が光触媒フィルタ88,90,92に付着して有機溶剤の分解効率の悪化を防止することができる。
【0039】
なお、上記実施形態においては、光触媒式の浄化装置が用いられているが、本発明はこれに限定されず、例えば活性炭等を用いた浄化装置であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態においては、送気側機器20と異物除去装置38とが作業台12の作業部14を挟んで上下方向(垂直方向)に設けられ、作業部14には上下方向の整流が生じるようにしているが、他の実施形態として、送気側機器20と異物除去装置38とを作業台12の作業部14を挟んで左右方向(水平方向)に設け、作業部14には左右方向の整流が生じるようにしてもよい。この場合、作業部14の上部は1~2方向の側面が解放可能であるが、複数の作業者が作業できるように2方向の側面が解放されていることが望ましい。
【符号の説明】
【0041】
10 作業装置
12 作業台
14 作業部
16 脚部
18 作業対象物
20 送気側機器
22 アンカーボルト
24 送気側機器本体
26 送風部
28 第1の空気孔形成板
30 ハニカム板
32 送風機
34 第1の空気孔
36 空気通過室
38 異物除去装置
40 ケース
42 側面部
44 底面部
46 第2の空気孔形成板
48 支持孔
50 第2の空気孔
52 スリット板
54 スリット
56 空気流変更部
58 天板部
60 側板部
62 段上げ部
64 通気孔部
66 排気管
68 浄化装置
70 異物排出部
72 ドレン管
74 異物受部
76 筐体
78 吸気孔
80 排気孔
82,84 フィルタ
86 送風機
88,90,92 光触媒フィルタ
94 光源
図1
図2
図3
図4
図5