(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】目元のくま改善用の外用組成物、化粧品及び医薬部外品
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20230818BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20230818BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20230818BHJP
A61K 36/87 20060101ALI20230818BHJP
A61K 36/736 20060101ALI20230818BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20230818BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20230818BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230818BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/67
A61K36/82
A61K36/87
A61K36/736
A61K31/355
A61K31/122
A61Q19/00
A61P17/00
(21)【出願番号】P 2019238748
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】511015098
【氏名又は名称】株式会社ホルス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】三井 幸雄
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-196759(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106983700(CN,A)
【文献】ID 7023339,DATABASE GNPD [ONLINE],MINTEL,2019年11月
【文献】三井 幸雄 ,研究報告 ビタミンKコンプレックスの化粧品への応用,FRAGRANCE JOURNAL Vol.31, No.6,2003年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99、36/00-9068
A61Q1/00-90/00
A61P17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャ種子油と、前記チャ種子油以外の植物油を含み、
前記チャ種子油及び前記植物油由来のフィロキノンを
269μg/100g以上、及び前記チャ種子油及び前記植物油由来のαトコフェロールを20mg/100g以上含有
し、
フィロキノンを300~1000μg/100gとαトコフェロールを10~40mg/100g含有する前記チャ種子油が60~80質量%配合されていることを特徴とする目元のくま改善用の外用組成物。
【請求項2】
前記植物油として、前記フィロキノンを400~600μg/100g含有するブドウ種子油が2質量%以上配合されていることを特徴とする請求項
1に記載の目元のくま改善用の外用組成物。
【請求項3】
前記ブドウ種子油の配合量を8質量%以下としたことを特徴とする請求項
2に記載の目元のくま改善用の外用組成物。
【請求項4】
前記植物油としてアンズ核油が配合され、前記αトコフェロールを30mg/100g以上含有することを特徴とする請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の目元のくま改善用の外用組成物。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の目元のくま改善用の外用組成物
であることを特徴とする化粧品。
【請求項6】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の目元のくま改善用の外用組成物
であることを特徴とする医薬部外品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目元のくま改善用の外用組成物、化粧品及び医薬部外品に関する。
【背景技術】
【0002】
目元のくまは、血栓が血液の流れをふさぐことにより生じる。フィロキノン(ビタミンK1)は、外用塗布により目の下の血栓を溶解する成分として知られており、目元のくまを改善することが可能である。また、αトコフェロールは、酸化防止作用を有しフィロキノンの血栓溶解機能を高める。
ここで、特許文献1には、ビタミンKに酸化防止作用などを有するビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの内の1種以上を配合し、さらに必要に応じてソウハクヒ、緑茶エキス、大豆レシチン、ホホバ油、グリチルリチン酸ジカリウムなどの成分の内1種以上の成分を加えてなり、くすみやくま等を改善する化粧料が開示されている。
また、特許文献2には、ビタミンK1、ビタミンK2、ビタミンK3、ビタミンK4、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK7およびその同族体、立体異性体、塩のビタミンK群のうち1種または2種以上の混合物を含有することを特徴とする美白化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-51627号公報
【文献】特開平5-320039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようにフィロキノンは目元のくまの改善に有効である。しかしながら、合成のフィロキノンは、日本においては医薬品に区分されるため、化粧品や医薬部外品には配合できない。化粧品や医薬部外品に配合するには、食用植物油脂由来の天然フィロキノンを用いることが考えられるが、含有量が低いと血栓溶解の機能を期待できない。
特許文献1は、ビタミンKを、ピロロキノリンキノン、ユビキノン、又はアボカド油等から得るものであるが、フィロキノン及びαトコフェロールの含有量については記載されていない。
また、特許文献2は、ビタミンK1を必須の成分とするものではない。
そこで本発明は、植物油脂由来の天然フィロキノン及びαトコフェロールを所定量以上含む目の下のくま改善用の外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載に対応した目元のくま改善用の外用組成物においては、チャ種子油と、チャ種子油以外の植物油を含み、チャ種子油及び植物油由来のフィロキノンを269μg/100g以上、及びチャ種子油及び植物油由来のαトコフェロールを20mg/100g以上含有し、フィロキノンを300~1000μg/100gとαトコフェロールを10~40mg/100g含有するチャ種子油が60~80質量%配合されていることを特徴とする。
請求項1に記載の本発明によれば、植物油脂由来の天然フィロキノンとαトコフェロールを所定量以上含み、化粧品や医薬部外品に配合可能な目元のくま改善用の外用組成物を提供することができる。また、チャ種子油にそれ以外の植物油を組み合わせることで、希少なチャ種子油の使用量を抑えることができる。また、外用組成物に含有されるフィロキノンとαトコフェロールの量を増やし、目元のくまの改善効果をより高めることができる。
【0006】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の目元のくま改善用の外用組成物において、植物油として、フィロキノンを400~600μg/100g含有するブドウ種子油が2質量%以上配合されていることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、チャ種子油の使用量を抑えつつ、天然フィロキノンの量を確保することができる。また、ビタミンEが含まれるブドウ種子油を配合することで、フィロキノンの血栓溶解作用を高めることができる。
【0007】
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の目元のくま改善用の外用組成物において、ブドウ種子油の配合量を8質量%以下としたことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明によれば、ブドウ種子油の配合量を所定以下とすることで、外用組成物の品質を安定させることができる。
【0008】
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の目元のくま改善用の外用組成物において、植物油としてアンズ核油が配合され、αトコフェロールを30mg/100g以上含有することを特徴とする。
請求項4に記載の本発明によれば、目元のくまの改善効果をより高めることができる。
【0009】
請求項5に対応した化粧品においては、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の目元のくま改善用の外用組成物であることを特徴とする。
請求項5に記載の本発明によれば、植物油脂由来の天然フィロキノンが配合された化粧品を提供することができる。
【0010】
請求項6に対応した医薬部外品においては、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の目元のくま改善用の外用組成物であることを特徴とする。
請求項6に記載の本発明によれば、植物油脂由来の天然フィロキノンが配合された医薬部外品を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の目元のくま改善用の外用組成物によれば、植物油脂由来の天然フィロキノンとαトコフェロールを所定量以上含み、化粧品や医薬部外品に配合可能な目元のくま改善用の外用組成物を提供することができる。また、チャ種子油をそれ以外の植物油と組み合わせることで、希少なチャ種子油の使用量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例による目元のくま改善用の外用組成物の各成分量と、比較例である外用組成物の各成分量を示す表
【
図2】脂肪酸について、チャ種子油100%と実施例1と比較例1を比較した表
【
図3】ヒトモニターによる外用組成物の顔皮膚への効果比較試験その1の結果を示す図
【
図4】ヒトモニターによる外用組成物の顔皮膚への効果比較試験その2の結果を示す図
【
図5】ヒトモニターによる外用組成物の顔皮膚への効果比較試験その3の結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態による目元のくま改善用の外用組成物、化粧品及び医薬部外品について説明する。
【0014】
下表1は、チャ種子油100%とブドウ種子油100%のそれぞれについて成分の検出値を示す表である。なお、不検出の場合は「-」としている。
【表1】
【0015】
表1におけるチャ種子油からは、フィロキノン(ビタミンK1)が546μg/100g検出されると共に、αトコフェロール(ビタミンE)が28.8mg/100g検出されている。茶の実の種類や製造方法等によって異なるが、チャ種子油には、フィロキノンが300~1000μg/100g含まれ、αトコフェロールが10~40mg/100g含まれる。
フィロキノン(ビタミンK1)は外用塗布により目の下の血栓を溶解する成分であり、αトコフェロールは酸化防止作用を有しフィロキノンの血栓溶解機能を高める成分であるため、チャ種子油を目元のくま改善用の外用組成物に用いることは極めて有用である。また、植物油脂由来の天然フィロキノンであるから、化粧品や医薬部外品に配合可能である。
しかしながら、チャ種子油は市場にあまり流通しておらず供給量が少ないため、チャ種子油100%からなる外用組成物を安定的に生産することは難しい。このため、チャ種子油と、それ以外の植物油を含み、チャ種子油及び植物油由来のフィロキノンを100μg/100g以上、及びチャ種子油及び植物油由来のαトコフェロールを30mg/100g以上含有する外用組成物とする。このようにチャ種子油を他の植物油と組み合わせることで、希少なチャ種子油の使用量を抑えることができる。また、外用組成物が、植物油脂由来の天然フィロキノンとαトコフェロールを所定量以上含有することで、目元のくまを効果的に改善することができる。
チャ種子油と他の植物油との混合は、例えば、各油を容器に入れ、常温常圧下で撹拌し、不純物をろ過することにより行う。
【0016】
外用組成物には、フィロキノンを300~1000μg/100gとαトコフェロールを10~40mg/100g含有するチャ種子油が60~80質量%配合されていることが好ましい。これにより、外用組成物におけるフィロキノンとαトコフェロールの量を増やし、目元のくまの改善効果をより高めることができる。
また、日本茶の実には海外の茶の実と比べてフィロキノンが多く含まれているため、チャ種子油に使用する茶の実は、日本茶のものを用いることが好ましい。また、熟した茶の実が自然落下したものを収穫し、常温圧搾によってチャ種子油を抽出することが好ましい。これにより、フィロキノンをより多く含有するチャ種子油を得ることができる。
【0017】
表1においてブドウ種子油100%からフィロキノン(ビタミンK1)が538μg/100g検出されているように、ブドウ種子油にはフィロキノンが400~600μg/100g含まれる。
そこで、チャ種子油と組み合わせる植物油として、フィロキノンを400~600μg/100g含有するブドウ種子油を2質量%以上用いることが好ましい。これにより、チャ種子油の使用量を抑えつつ、天然フィロキノンの量を確保することができる。また、チャ種子油は、レチノール(活性当量)、α-カロテン、βカロテンといったビタミンAを含有するが、ブドウ種子油にはビタミンAが含まれない。その一方で、ブドウ種子油は、チャ種子油には含まれないβ-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールといったビタミンEを含有する。よって、植物由来のビタミンEが含まれるブドウ種子油を配合することで、フィロキノンの血栓溶解作用を高めることができる。
ここで、ブドウ種子油の配合量は8質量%以下とすることが好ましく、4質量%以下とすることがより好ましい。ブドウ種子油の量が多すぎると、チャ種子油やその他の植物油と混合したときにモヤのようなものが現れ、液体である外用組成物の上側と下側とで品質が一定しない虞があるが、ブドウ種子油の配合量を8質量%以下とすることで、外用組成物の品質を安定させることができる。
【0018】
また、外用組成物には、植物油としてアンズ核油が配合されていることが好ましい。
下表2は、アボカド油と、アンズ核油(杏仁油)と、カニナバラ果実油のそれぞれについての成分の検出値を示す表である。
【表2】
【0019】
表2に示すように、特にアンズ核油にはαトコフェロールが多く含まれるため、アンズ核油を配合することで、チャ種子油の使用量を抑えると共に、αトコフェロールの含有量を増やして目元のくまの改善効果をより高めることができる。
また、アボカド油、アンズ核油、及びカニナバラ果実油は、チャ種子油には含まれないβ-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールといったビタミンEを含有する。よって、植物由来のビタミンEが含まれるアボカド油、アンズ核油、又はカニナバラ果実油を配合することで、フィロキノンの血栓溶解作用を高めることができる。
【0020】
また、外用組成物は、不飽和脂肪酸を60~85g/100g含有し、不飽和脂肪酸のうちの60~80%はオレイン酸であることが好ましい。
【0021】
また、外用組成物を化粧品又は医薬部外品に配合することで、植物油脂由来の天然フィロキノンが配合された化粧品又は医薬部外品を提供することができる。
【実施例】
【0022】
図1は本発明の実施例による目元のくま改善用の外用組成物の各成分量と、比較例である外用組成物の各成分量を示す表である。なお、実施例1及び比較例1の成分値は検出値であり、実施例2~6の成分値は計算値である。また、不検出の場合は「-」としている。
実施例1の外用組成物は、チャ種子油(チャ実油)が60質量%、アボカド油が12質量%、カニナバラ果実油(ローズヒップ油)が12質量%、アンズ核油(パーシック油)が12質量%、ブドウ種子油が4質量%からなる。
実施例2の外用組成物は、チャ種子油が40質量%、アボカド油が18.67質量%、カニナバラ果実油が18.67質量%、アンズ核油が18.67質量%、ブドウ種子油が4質量%からなる。
実施例3の外用組成物は、チャ種子油が80質量%、アボカド油が5.33質量%、カニナバラ果実油が5.33質量%、アンズ核油が5.33質量%、ブドウ種子油が4質量%からなる。
実施例4の外用組成物は、チャ種子油が60質量%、大豆油が36質量%、ブドウ種子油が4質量%からなる。
実施例5の外用組成物は、チャ種子油が60質量%、オリーブ油が36質量%、ブドウ種子油が4質量%からなる。
実施例6の外用組成物は、チャ種子油が60質量%、大豆油が18質量%、オリーブ油が18質量%、ブドウ種子油が4質量%からなる。
比較例1の外用組成物は、チャ種子油及びブドウ種子油を含まないものであり、アボカド油が33質量%、カニナバラ果実油が33質量%、アンズ核油が33質量%、ヒマワリ種子油が1質量%からなる。
【0023】
フィロキノンの含有量は、実施例1で368μg/100g、実施例2で269μg/100g、実施例3で467μg/100g、実施例4で373μg/100g、実施例5で361μg/100g、実施例6で369μg/100gとなっており、いずれも100μg/100g以上である。一方、比較例1のフィロキノンの含有量は、30μg/100gとなっており、100μg/100gを下回っている。
また、αトコフェロールの量は、実施例1で35.7mg/100g、実施例2で40mg/100g、実施例3で32mg/100g、実施例4で22mg/100g、実施例5で27mg/100g、実施例6で21mg/100gとなっており、いずれも20mg/100g以上である。
また、実施例1~6にはビタミンAが含有されているが、比較例1にはビタミンAが含有されていない。
【0024】
図2は脂肪酸について、チャ種子油100%と、実施例1(チャ種子油60%)と、比較例1(チャ種子油0%)を比較した表である。なお、不検出の場合は「-」としている。
図2に示すように、実施例1の外用組成物は、不飽和脂肪酸を79.4g/100g含有し、不飽和脂肪酸のうちの約70.8%はオレイン酸である。一方、比較例1は不飽和脂肪酸を80.5g/100g含有し、不飽和脂肪酸のうちのオレイン酸は、約52.7%でしかない。
【0025】
図3はヒトモニターによる外用組成物の顔皮膚への効果比較試験その1の結果を示す図であり、
図3(a)は肌のしみについての結果を示し、
図3(b)は眼下のしわについての結果を示している。
試験方法として、被験者5名に、通常のお手入れに追加して、半顔のみ、実施例1の外用組成物を配合したクリームを、2回/日、洗顔後、眼下に米2粒程塗布してもらった。ロボスキンアナライザーRSA 50SII((株)エムエムアンドニーク社製)にて、使用開始前(0週目)、4週間使用後(4週目)、及び8週間使用後(8週目)における肌のしみ(面積1.2mm
2以上で、色の薄いものから濃いものまですべての数)と、使用開始前(0週目)、及び4週間使用後(4週目)における眼下のしわ(本数)を測定した。比較対象は、クリームを塗布しない(無塗布)側の半顔である。
図3において、「◆」は実施例1の外用組成物が配合されたクリームを塗布した側の半顔の結果の平均値、「■」は無塗布側の半顔の結果の平均値であり、0週を100%としたときの相対値で表している。
図3(a)に示すように、無塗布側の半顔ではしみの数が増加しているのに対し、クリームを塗布した側の半顔ではしみの数に有意(p<0.05)な減少がみられた。
また、
図3(b)に示すように、無塗布側の半顔では眼下のしわの本数が増加しているのに対し、クリームを塗布した側の半顔では減少している。なお、1名の被験者は解析不可であったため、4名の平均値としている。
【0026】
図4はヒトモニターによる外用組成物の顔皮膚への効果比較試験その2の結果を示す図であり、
図4(a)は肌のしみについての結果を示し、
図4(b)は眼下のしわについての結果を示している。
試験方法として、被験者12名を3群に分け、通常のお手入れに追加して、実施例1の外用組成物を配合したクリーム、実施例2の外用組成物を配合したクリーム、又は実施例3の外用組成物を配合したクリームを、2回/日、洗顔後、眼下に米2粒程塗布してもらった。ロボスキンアナライザーRSA 50SII((株)エムエムアンドニーク社製)にて、使用開始前(0週目)、4週間使用後(4週目)、及び8週間使用後(8週目)における肌のしみ(面積1.2mm
2以上で、色の薄いものから濃いものまですべての数)と、使用開始前(0週目)、及び4週間使用後(4週目)における眼下のしわ(本数)を測定した。
図4において、「◆」は実施例1の外用組成物を配合したクリームを塗布した結果の平均値、「■」は実施例2の外用組成物を配合したクリームを塗布した結果の平均値、「▲」は実施例3の外用組成物を配合したクリームを塗布した結果の平均値であり、0週を100%としたときの相対値で表している。
図4(a)に示すように、いずれの実施例においてもしみの数が減少している。また、
図4(b)に示すように、いずれの実施例においても眼下のしわの本数が減少している。したがって、実施例1~3のいずれの外用組成物も目元のくまに対して有効であることが分かる。
また、特にしみの数について、実施例2(チャ種子油40%含有)は、実施例1(チャ種子油60%含有)及び実施例3(チャ種子油80%含有)に比べて効果がやや小さい。したがって、チャ種子油は、60~80質量%配合されていることが好ましい。さらに、実施例1と実施例3とではしみの減少効果の差が比較的小さいことからすれば、希少なチャ種子油の使用量がより少ない実施例1の外用組成物が、目元のくまの改善効果、安定供給性、及びコスト面において最もバランスがよいと判断できるため、チャ種子油は、60質量%配合されていることが最も好ましい。
【0027】
ここで、本発明に用いるチャ種子油が希少である理由について説明する。
理由の一つとしては、以下(1)~(3)のような背景から、チャ種子油の原料となる茶の実自体の生産量が少ないことが挙げられる。
(1)お茶は通常、茶葉に栄養をいかせるために、花を咲かし、実をつけるような栽培を行わない。
(2)また、実をつけないようにするには手入れを欠かさず行う必要がある。このため、実がつくことは茶農園にとって手入れを怠っていた証拠であり、恥ずべきことである。したがって、より一層実をつけない栽培が徹底された。
(3)お茶の木は元々ストレスがかからない限り花が咲きにくく、自家不和合性によって同一の木の中では実をつけないため、手入れを怠らない限り中々実をつけることがない。
また、もう一つの理由としては、実からの抽出に手間がかかることが挙げられる。表1にあるように成分を余すことなく抽出するためには、特にフィロキノンが多く含有されるように抽出するためには、有機溶剤などでの抽出ではなく、常温圧搾による抽出を行う必要がある。しかしながら常温圧搾では、実の重量当たり10質量%程度の油脂しか得ることができない。
このため、チャ種子油が市場に出回る量は非常に少ない。そこで本発明は、チャ種子油を多植物の油脂と混合することで、目元のくまの改善効果の維持と安定供給とを両立している。
【0028】
図5はヒトモニターによる外用組成物の顔皮膚への効果比較試験その3の結果を示す図であり、
図5(a)は肌のしみについての結果を示し、
図5(b)は眼下のしわについての結果を示している。
試験方法として、被験者16名を4群に分け、通常のお手入れに追加して、実施例1の外用組成物を配合したクリーム、実施例4の外用組成物を配合したクリーム、実施例5の外用組成物を配合したクリーム、又は実施例6の外用組成物を配合したクリームを、2回/日、洗顔後、眼下に米2粒程塗布してもらった。ロボスキンアナライザーRSA 50SII((株)エムエムアンドニーク社製)にて、使用開始前(0週目)、4週間使用後(4週目)、及び8週間使用後(8週目)における肌のしみ(面積1.2mm
2以上で、色の薄いものから濃いものまですべての数)と、使用開始前(0週目)、及び4週間使用後(4週目)における眼下のしわ(本数)を測定した。
図5において、「◆」は実施例1の外用組成物を配合したクリームを塗布した結果の平均値、「■」は実施例4の外用組成物を配合したクリームを塗布した結果の平均値、「▲」は実施例5の外用組成物を配合したクリームを塗布した結果の平均値、「×」は実施例6の外用組成物を配合したクリームを塗布した結果の平均値であり、0週を100%としたときの相対値で表している。
図5(a)に示すように、いずれの実施例においてもしみの数が減少している。また、
図5(b)に示すように、いずれの実施例においても眼下のしわの本数が減少している。したがって、実施例4~6のいずれの外用組成物も目元のくまに対して有効であることが分かる。
また、実施例1、4~6において
チャ種子油の含有率は60質量%で同じであるが、特にしみの数について、実施例1(αトコフェロールを30mg/100g以上含有)は、実施例4~6(αトコフェロールが30mg/100g未満)に比べてよい結果を示している。したがって、外用組成物は、αトコフェロールを30mg/100g以上含有することが好ましい。
【0029】
また、ヒトモニターの被験者のうち8名に対し、実施例1の外用組成物を配合したクリームを8週間使用した結果、使用前と比べてどのような効果が感じられたかをアンケートした結果、ほぼ全員の被験者から、目元がしっとりすることを実感できた、肌の質感やハリが改善した、等の意見が寄せられた。これらの意見から、実施例1の外用組成物を配合したクリームを塗布することで、保湿効果や肌質改善も期待できると考えられる。