(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】床下地パネル、床下地構造及び床下地構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04F 15/00 20060101AFI20230818BHJP
E04B 5/43 20060101ALI20230818BHJP
E04B 5/02 20060101ALI20230818BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20230818BHJP
E04B 1/98 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
E04F15/00 101J
E04F15/00 101E
E04B5/43 H
E04B5/43 G
E04B5/02 L
E04B1/76 500Z
E04B1/98 L
(21)【出願番号】P 2020074646
(22)【出願日】2020-04-20
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】593207787
【氏名又は名称】ツカ・カナモノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】針谷 義昭
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-023536(JP,U)
【文献】特開昭63-070761(JP,A)
【文献】特開2013-217032(JP,A)
【文献】特開2005-207031(JP,A)
【文献】特開2007-009542(JP,A)
【文献】実開平03-082721(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00
E04F 15/02
E04B 5/43
E04B 5/02
E04B 1/76
E04B 1/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は前記受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造に用いられる床下地パネルであって、
この床下地パネルの本体部は平面視略四辺形形状を有し、その一側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、
この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には撓みコントロール板材を設け、
この撓みコントロール板材は、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外方に延長する延長部を有し、
この延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定され、
これにより、縦横に敷設された床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に一列に整列し、この列が複数列並列した状態に床下地構造が形成され、
前記撓みコントロール板材の横幅を前記連結板材の横幅よりも大きくしたことを特徴とする床下地パネル。
【請求項2】
前記連結板材及び撓みコントロール板材を前記床下地パネルの本体部の木目又は繊維方向と直交する方向に配設したことを特徴とする請求項1に記載の床下地パネル。
【請求項3】
前記床下地パネルに前記連結板材及び撓みコントロール板材を接着剤と、ビス又は釘により接合固定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の床下地パネル。
【請求項4】
前記連結板材と撓みコントロール板材の厚みを略同一としたことを特徴とする請求項1乃至
3の何れか1項に記載の床下地パネル。
【請求項5】
前記本体部の4つの角部を面取りして切欠部を設けたことを特徴とする請求項1乃至
4の何れか1項に記載の床下地パネル。
【請求項6】
前記撓みコントロール板材を前記連結板材と略平行に2本又は3本設けたことを特徴とする請求項1乃至
5の何れか1項に記載の床下地パネル。
【請求項7】
床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は前記受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造に用いられる床下地パネルであって、
この床下地パネルの本体部はその長辺が短辺の2倍の長さを有する平面視縦長の略長方形形状を有し、その下方短辺の側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの上方短辺の一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、
この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には補強板材を設け、
この補強板材と前記連結板材の中間部と補強板材の上方の前記本体部の裏面中央部にそれぞれ撓みコントロール板材を略平行に設け、
前記補強板材の両端部にも前記支持脚が配置されて隣接する床下地パネルを支持することができ、
前記撓みコントロール板材のそれぞれは、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外方に延長する延長部を有し、
この延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定され、
これにより、縦横に敷設された床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に複数列並列した状態に床下地構造が形成されることを特徴とする床下地パネル。
【請求項8】
前記連結板材、前記補強板材及び撓みコントロール板材を前記床下地パネルの本体部の木目又は繊維方向と直交する方向に配設したことを特徴とする請求項
7に記載の床下地パネル。
【請求項9】
前記床下地パネルに前記連結板材、前記補強板材及び撓みコントロール板材を接着剤と、ビス又は釘により接合固定したことを特徴とする請求項7又は8に記載の床下地パネル。
【請求項10】
前記撓みコントロール板材の横幅を前記連結板材の横幅よりも大きくしたことを特徴とする請求項
7乃至9の何れか1項に記載の床下地パネル。
【請求項11】
前記連結板材と前記補強板材と前記撓みコントロール板材の厚みを略同一としたことを特徴とする請求項
7乃至10の何れか1項に記載の床下地パネル。
【請求項12】
前記本体部の4つの角部を面取りして切欠部を設け、且つ、前記本体部の両側縁の中間部にそれぞれ切欠部を設けたことを特徴とする請求項
7乃至11の何れか1項に記載の床下地パネル。
【請求項13】
前記補強板材と連結板材の中間部と前記補強板材の上方の本体部の裏面中央部に設けたそれぞれの撓みコントロール板材を2本又は3本設けたことを特徴とする請求項
7乃至12の何れか1項に記載の床下地パネル。
【請求項14】
床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は前記受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造において、
前記床下地パネルの本体部が平面視略四辺形形状を有し、その一側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、
この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には撓みコントロール板材を設け、
この撓みコントロール板材は、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外方に延長する延長部を有し、
当該延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定され、
これにより、縦横に敷設された床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に一列に整列し、この列が複数列並列した状態に形成され、
前記撓みコントロール板材の幅を前記連結板材の幅よりも大きく設けたことを特徴とする床下地構造。
【請求項15】
前記床下地パネルに設けた連結板材及び撓みコントロール板材を他の床下地パネルに接着剤と、ビス又は釘によって固定し、縦横に敷設され固定された床下地パネルの全体が一つに連接固定されたことを特徴とする請求項
14に記載の床下地構造。
【請求項16】
前記本体部の4つの角部を面取りして切欠部を設けたことを特徴とする請求項
14又は15に記載の床下地構造。
【請求項17】
前記撓みコントロール板材を前記連結板材と略平行に2本又は3本設けたことを特徴とする請求項
14乃至16の何れか1項に記載の床下地構造。
【請求項18】
前記支持脚が、その上下の高さを調整できるものであることを特徴とする請求項
14乃至17の何れか1項に記載の床下地構造。
【請求項19】
前記支持脚の基台部が建築物の基礎に固定されていることを特徴とする請求項
14乃至18の何れか1項に記載の床下地構造。
【請求項20】
前記連結板材と撓みコントロール板材の厚みを略同一とし、これら連結板材と撓みコントロール板材が設けられていない床下地パネルの裏面に前記連結板材と略同一厚みの断熱材を設けたことを特徴とする請求項
14乃至19の何れか1項に記載の床下地構造。
【請求項21】
前記床下地構造が多層階建築物の二重床構造に適用され、前記床下地パネルの下の空間に防音材を配設したことを特徴とする請求項
20に記載の床下地構造。
【請求項22】
前記床下地パネルとして請求項
7に記載した床下地パネルを使用して床下地構造を形成したことを特徴とする請求項
14に記載の床下地構造。
【請求項23】
前記床下地パネルとして請求項1に記載した床下地パネルと請求項
7に記載した床下地パネルを併用して、請求項
7に記載した床下地パネルを千鳥状に互い違いに配設したことを特徴とする請求項
14に記載の床下地構造。
【請求項24】
床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は前記受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造の施工方法において、
前記床下地パネルとして使用する床下地パネルの本体部が平面視略四辺形形状を有し、その一側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、
この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には撓みコントロール板材を設け、
この撓みコントロール板材は、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外側方向に延長する延長部を有し、
当該延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定し、
これにより、縦方向又は横方向に順次前記床下地パネルを敷設して床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に一列に整列するように固定して、前記撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に複数列並列するように施工され、
前記撓みコントロール板材の幅を前記連結板材の幅よりも大きくしたことを特徴とする床下地構造の施工方法。
【請求項25】
前記床下地パネルに設けた連結板材及び撓みコントロール板材を他の床下地パネルに接着剤と、ビス又は釘によって固定し、縦横に敷設され固定された床下地パネルの全体が一つに連接固定されることを特徴とする請求項
24に記載の床下地構造の施工方法。
【請求項26】
前記床下地パネルの本体部の4つの角部を面取りして切欠部を設けたことを特徴とする請求項
24又は25に記載の床下地構造の施工方法。
【請求項27】
前記撓みコントロール板材を前記連結板材と略平行に2本又は3本設けたことを特徴とする請求項
24乃至26の何れか1項に記載の床下地構造の施工方法。
【請求項28】
前記支持脚の基台部を建築物の基礎に接着剤及び/又はビス留めによって固定することを特徴とする請求項
24乃至27の何れか1項に記載の床下地構造の施工方法。
【請求項29】
前記連結板材と撓みコントロール板材の厚みを略同一とし、これら連結板材と撓みコントロール板材が設けられていない床下地パネルの裏面に前記連結板材と略同一厚みの断熱材を設けることを特徴とする請求項
24乃至28の何れか1項に記載の床下地構造の施工方法。
【請求項30】
前記床下地構造が多層階建築物の二重床構造に適用され、前記床下地パネルの下の空間に防音材を配設することを特徴とする請求項
29に記載の床下地構造の施工方法。
【請求項31】
前記床下地パネルとして請求項
7に記載した床下地パネルを使用して床下地構造を形成することを特徴とする請求項
24に記載の床下地構造の施工方法。
【請求項32】
前記床下地パネルとして請求項1に記載した床下地パネルと請求項
7に記載した床下地パネルを併用して、請求項
7に記載した床下地パネルを千鳥状に互い違いに配設したことを特徴とする請求項
24に記載の床下地構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸建て住宅の床下地構造や多層階建築物の二重床構造に用いられる床下地パネル、当該床下地パネルを用いた床下地構造、及びその床下地構造の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の床下地パネル、床下地構造及びその施工方法に関しては、本願出願人が先に提案した下記特許文献1に記載のものを挙げることができる。
在来工法による戸建住宅の床構造においては、布基礎の上に配設された土台間に大引を配設して鋼製束により適宜支持し、かつ大引間に適宜間隔で補強梁を配設し、しかる後大引および補強梁間の空間に断熱材を配設し、ついで大引および補強梁の上に構造用合板からなる床下地材を配設して床下地を形成することがなされていた。
【0003】
そのため、在来工法による戸建住宅の床構造は複雑であるとともに、施工が煩雑でその施工期間も長いという問題があった。
また、在来工法では、床裏面に凹凸があったため、通気性も良好でなく、床下における換気は充分になされないおそれがあった。
更に、大引や補強梁の断熱性能は断熱材の断熱性能よりも劣ることから、床下地の断熱性能が悪いという問題もあった。
【0004】
上記諸問題を解決すべく、下記特許文献1に記載の発明が提案されたもので、その構成を簡素化して施工を容易と成し、床下の換気も充分になされるとともに断熱性能も向上させた床構造およびその施工方法を提供することを目的とした。
【0005】
その床構造の構成は、床下地パネルを敷き詰めて形成される床下地構造であって、床下地パネルと、この床下地パネルの側縁を受ける土台に設けられた土台側受け部材と、前記床パネルの角部を受ける鋼製束とを備え、前記床パネルは、第1パネルと、第2パネルと、第3パネルと、第4パネルとを含み、前記第1パネルは、一方の二辺側に形成され他のパネルまたは土台側受け部材に載置される被載置部と、他方の二辺側に形成され他のパネルを載置する載置部とを有し、前記載置部の他のパネルとの交差部が前記鋼製束により支持され、前記第2パネルは、一辺側に形成された載置部と、残余の辺側に形成された被載置部とを有し、前記第3パネルは、前記第2パネルの載置部が形成された辺と直交する辺側に形成された載置部と、残余の辺側に形成された被載置部とを有し、前記第4パネルは、各辺側に形成された被載置部を有してなる木造住宅用1階床構造において、それぞれの床パネルが略正方形の床下地板材からなり、載置部が所定幅の長方形板状の連結板材からなり、この連結板材の幅広面の一部を前記床下地板材の側縁部裏面に接合することにより連結板材の他の幅広面の部分が床下地板材の裏面から側方外側に延長して載置部が形成され、更に、床下地板材の裏面略中央部でその一辺と略平行に補強板材を設け、この補強板材が所定幅の長方形板状のものから成り、この補強板材の幅広面を床下地板材の前記被載置部及び載置部を構成する連結板材を除く部分に接合し、前記補強板材は、前記連結板材と略同一の厚みを有し、且つ、敷き詰められた各床パネルにおいて同一方向に整列され、整列された補強板材同士がそれぞれ略平行に配列され、前記連結板材および補強板材の接合が、ビス留めと接着剤による接着とを併用してなされることを特徴とする床構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の従来の床構造は、主に戸建て住宅やアパート向けに開発されたものであるが、その後用途拡大の要請から兼ねてより改善が求められていたものである。
具体的には、建築基準法においては、用途(室名)別にその床版計算(設計)基準が示されており、最低980N/m2~最大11,800N/m2となっている。その範囲内において市場で多く用いられていた施工例では1,800N/m2~4,900N/m2のクラスと判断される。
【0008】
そこにおいて、一般住宅及びアパートに関しては、「最低1,800N/m2は守るように、それ以上の余裕度は、設計者の判断が入るため、それは当事者間で決めること」という要旨となっている。
【0009】
より具体的には、上記余裕度(プラスαの部分)というのは、「施工時荷重」と言われるもので、特に石膏ボード等の雨濡れ厳禁建材を屋内に取り込む際に掛かる荷重をどう見込むかが中心となる。
そして、現状ではその「安全圏」を見込んで、トータルで概ね2,500N/m2~2,800N/m2が必要であろうという意見が大勢になっている。
【0010】
上記事項は、SRC造りの建築物等において、建築資材の仮置きや雨濡れ懸念等の恐れの少ない環境にある建築物の床、即ちマンション床等においては1,800N/m2(プラス設計者判断)で対応が出来る。
この点で、一般住宅やアパートの床においては品質過剰、コストアップの要因となっている。
【0011】
従って、現状では過剰品質を削ぎ落し、よりハンドリングのよい、より経済的なものが要請されている訳である。
他方、施工時荷重が3,000N/m2以上の床においては、3,500N/m2クラスが劇場、公会堂、及び体育館等が該当し、3,900N/m2では実験室、4,900N/m2では電算室、機械室等々が該当し、これに対応するようにより重い荷重に耐えられ、施工性に優れ、それなりに経済性のある開発が求められている。
所謂、「過剰な部分は削り」、「不足な部分は補う」ということが求められている訳である。
【0012】
床の強度を示す指標としては、基本的には「局部集中荷重での変位量(撓み量)の変化」があり、「負荷重」に対する「撓み量(変位量)」との関係においてその床の強度が概ね判断できる。
この手法を用いて本願発明に係る床下地パネル又は床下地構造の強度を考慮すると、1,800N/m2~2,300N/m2の範囲にあることが求められ、この範囲をクリアして本願発明が完成したものである。
【0013】
以上の状況に基づき、本願発明においては、上記強度範囲に適合するものあって、上記従来の施工方法の簡易化を図り、そこで用いられる床下地パネルの構造の簡易化及び軽量化を図ることをその第一の課題とする。
同時に、上記床下地構造が戸建て住宅ばかりでなく、マンション等の多層階建築物の二重床構造にも適用できるものとすることもその課題となる。
更には、床下地構造の下面における断熱効果や防音・遮音効果等をも考慮した床下地構造の提供を図ることもその課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は前記受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造に用いられる床下地パネルであって、この床下地パネルの本体部は平面視略四辺形形状を有し、その一側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には撓みコントロール板材を設け、この撓みコントロール板材は、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外方に延長する延長部を有し、この延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定され、これにより、縦横に敷設された床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に一列に整列し、この列が複数列並列した状態に床下地構造が形成され、前記撓みコントロール板材の横幅を前記連結板材の横幅よりも大きくしたことを特徴とする床下地パネルである。
【0015】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記連結板材及び撓みコントロール板材を前記床下地パネルの本体部の木目又は繊維方向と直交する方向に配設したことを特徴とする床下地パネルである。
【0016】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記床下地パネルに前記連結板材及び撓みコントロール板材を接着剤と、ビス又は釘により接合固定したことを特徴とする床下地パネルである。
【0018】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の発明において、前記連結板材と撓みコントロール板材の厚みを略同一としたことを特徴とする床下地パネルである。
【0019】
本発明の第5のものは、上記第1乃至第4の発明において、前記本体部の4つの角部を面取りして切欠部を設けたことを特徴とする床下地パネルである。
【0020】
本発明の第6のものは、上記第1乃至第5の発明において、前記撓みコントロール板材を前記連結板材と略平行に2本又は3本設けたことを特徴とする床下地パネルである。
【0021】
本発明の第7のものは、床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は前記受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造に用いられる床下地パネルであって、この床下地パネルの本体部はその長辺が短辺の2倍の長さを有する平面視縦長の略長方形形状を有し、その下方短辺の側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの上方短辺の一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には補強板材を設け、この補強板材と前記連結板材の中間部と補強板材の上方の前記本体部の裏面中央部にそれぞれ撓みコントロール板材を略平行に設け、前記補強板材の両端部にも前記支持脚が配置されて隣接する床下地パネルを支持することができ、前記撓みコントロール板材のそれぞれは、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外方に延長する延長部を有し、この延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定され、これにより、縦横に敷設された床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に複数列並列した状態に床下地構造が形成されることを特徴とする床下地パネルである。
【0022】
本発明の第8のものは、上記第7の発明において、前記連結板材、前記補強板材及び撓みコントロール板材を前記床下地パネルの本体部の木目又は繊維方向と直交する方向に配設したことを特徴とする床下地パネルである。
【0023】
本発明の第9のものは、上記第7又は第8の発明において、前記床下地パネルに前記連結板材、前記補強板材及び撓みコントロール板材を接着剤と、ビス又は釘により接合固定したことを特徴とする床下地パネルである。
【0024】
本発明の第10のものは、上記第7乃至第9の発明において、前記撓みコントロール板材の横幅を前記連結板材の横幅よりも大きくしたことを特徴とする床下地パネルである。
【0025】
本発明の第11のものは、上記第7乃至第10の発明において、前記連結板材と前記補強板材と前記撓みコントロール板材の厚みを略同一としたことを特徴とする床下地パネルである。
【0026】
本発明の第12のものは、上記第7乃至第11の発明において、前記本体部の4つの角部を面取りして切欠部を設け、且つ、前記本体部の両側縁の中間部にそれぞれ切欠部を設けたことを特徴とする床下地パネルである。
【0027】
本発明の第13のものは、上記第7乃至第12の発明において、前記補強板材と連結板材の中間部と前記補強板材の上方の本体部の裏面中央部に設けたそれぞれの撓みコントロール板材を2本又は3本設けたことを特徴とする床下地パネルである。
【0028】
本発明の第14のものは、床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は前記受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造において、前記床下地パネルの本体部が平面視略四辺形形状を有し、その一側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には撓みコントロール板材を設け、この撓みコントロール板材は、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外方に延長する延長部を有し、当該延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定され、これにより、縦横に敷設された床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に一列に整列し、この列が複数列並列した状態に形成され、前記撓みコントロール板材の幅を前記連結板材の幅よりも大きく設けたことを特徴とする床下地構造である。
【0029】
本発明の第15のものは、上記第14の発明において、前記床下地パネルに設けた連結板材及び撓みコントロール板材を他の床下地パネルに接着剤と、ビス又は釘によって固定し、縦横に敷設され固定された床下地パネルの全体が一つに連接固定されたことを特徴とする床下地構造である。
【0031】
本発明の第16のものは、上記第14又は第15の発明において、前記本体部の4つの角部を面取りして切欠部を設けたことを特徴とする床下地構造である。
【0032】
本発明の第17のものは、上記第14乃至第16の発明において、前記撓みコントロール板材を前記連結板材と略平行に2本又は3本設けたことを特徴とする床下地構造である。
【0033】
本発明の第18のものは、上記第14乃至第17の発明において、前記支持脚が、その上下の高さを調整できるものであることを特徴とする床下地構造である。
【0034】
本発明の第19のものは、上記第14乃至第18の発明において、前記支持脚の基台部が建築物の基礎に固定されていることを特徴とする床下地構造である。
【0035】
本発明の第20のものは、上記第14乃至第19の発明において、前記連結板材と撓みコントロール板材の厚みを略同一とし、これら連結板材と撓みコントロール板材が設けられていない床下地パネルの裏面に前記連結板材と略同一厚みの断熱材を設けたことを特徴とする床下地構造である。
【0036】
本発明の第21のものは、上記第20の発明において、前記床下地構造が多層階建築物の二重床構造に適用され、前記床下地パネルの下の空間に防音材を配設したことを特徴とする床下地構造である。
【0037】
本発明の第22のものは、上記第14の発明において、前記床下地パネルとして請求項7に記載した床下地パネルを使用して床下地構造を形成したことを特徴とする床下地構造である。
【0038】
本発明の第23のものは、上記第14の発明において、前記床下地パネルとして上記第1の発明に記載した床下地パネルと上記第7の発明に記載した床下地パネルを併用して、上記第7の発明に記載した床下地パネルを千鳥状に互い違いに配設したことを特徴とする床下地構造である。
【0039】
本発明の第24のものは、床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は前記受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造の施工方法において、前記床下地パネルとして使用する床下地パネルの本体部が平面視略四辺形形状を有し、その一側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には撓みコントロール板材を設け、この撓みコントロール板材は、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外側方向に延長する延長部を有し、当該延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定し、これにより、縦方向又は横方向に順次前記床下地パネルを敷設して床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に一列に整列するように固定して、前記撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に複数列並列するように施工され、前記撓みコントロール板材の幅を前記連結板材の幅よりも大きくしたことを特徴とする床下地構造の施工方法である。
【0040】
本発明の第25のものは、上記第24の発明において、前記床下地パネルに設けた連結板材及び撓みコントロール板材を他の床下地パネルに接着剤と、ビス又は釘によって固定し、縦横に敷設され固定された床下地パネルの全体が一つに連接固定されることを特徴とする床下地構造の施工方法である。
【0042】
本発明の第26のものは、上記第24又は第25の発明において、前記床下地パネルの本体部の4つの角部を面取りして切欠部を設けたことを特徴とする床下地構造の施工方法である。
【0043】
本発明の第27のものは、上記第24乃至第26の発明において、前記撓みコントロール板材を前記連結板材と略平行に2本又は3本設けたことを特徴とする床下地構造の施工方法である。
【0044】
本発明の第28のものは、上記第24乃至第27の発明において、前記支持脚の基台部を建築物の基礎に接着剤及び/又はビス留めによって固定することを特徴とする床下地構造の施工方法である。
【0045】
本発明の第29のものは、上記第24乃至第28の発明において、前記連結板材と撓みコントロール板材の厚みを略同一とし、これら連結板材と撓みコントロール板材が設けられていない床下地パネルの裏面に前記連結板材と略同一厚みの断熱材を設けることを特徴とする床下地構造の施工方法である。
【0046】
本発明の第30のものは、上記第29の発明において、前記床下地構造が多層階建築物の二重床構造に適用され、前記床下地パネルの下の空間に防音材を配設することを特徴とする床下地構造の施工方法である。
【0047】
本発明の第31のものは、上記第24の発明において、前記床下地パネルとして上記第7の発明に係る床下地パネルを使用して床下地構造を形成することを特徴とする床下地構造の施工方法である。
【0048】
本発明の第32のものは、上記第24の発明において、前記床下地パネルとして上記第1の発明に係る床下地パネルと上記第7の発明に係る床下地パネルを併用して、上記第7の発明に係る床下地パネルを千鳥状に互い違いに配設したことを特徴とする床下地構造の施工方法である。
【発明の効果】
【0049】
上記第1の発明においては、戸建て住宅や多層階建築物の二重床構造において使用される床下地パネルに関し、床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は前記受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造に用いられものである。
そして、この床下地パネルの本体部は平面視略四辺形形状を有し、その一側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には撓みコントロール板材を設け、この撓みコントロール板材は、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外方に延長する延長部を有し、この延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定される。
従って、縦横に敷設された床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に一列に整列することとなり、この列が複数列並列した状態に床下地構造が形成されることとなるのである。
【0050】
以上の構成によって、一つの床下地パネルの裏面中央部に配設固定された上記撓みコントロール板材の延長部が隣接して配設される他の床下地パネルの側縁部の下面に配設されて当該他の床下地パネルと連結固定されることとなる。
即ち、この撓みコントロール板材の延長部は隣接する他の床下地パネルと連結固定されて連結機能をも果たし、且つ、この撓みコントロール板材が一列に整列して固定され、且つ全ての他の床下地パネルも上記連結板材によってその全てが一体的に連結固定されて床下地パネルの全てが一つに一体化される。
これにより、それぞれの床下地パネルに最も負荷が掛る中央部の部位に上記撓みコントロール板材が一列に整列し且つ床下地パネルの全体が一体化することにより、当該床下地構造又は床下地パネル全体の撓み強度が最良に維持されることとなるのである。
このように本発明に係る床下地パネルによって形成される床下地構造においては、床の剛性と弾力性の両者を適切に兼ね備えたものとして実現されることとなるのである。
また、上記床下地パネルの構成も非常に簡易なものとなり、その製造容易化及び軽量化にも寄与し、施工作業の容易化及び製造コストダウンにも寄与することとなる。
本発明においては、前記撓みコントロール板材の横幅を前記連結板材の横幅よりも大きくすることにより、撓みコントロール機能の向上を意図した。
【0051】
本発明の第2のものにおいては、前記連結板材及び撓みコントロール板材を前記床下地パネルの本体部の木目又は繊維方向と直交する方向に配設したものであり、その強度の向上を図ったものである。
上記本体部は構造用合板を使用しており、その表面には針葉樹木材の表面に現れた木目又は繊維の方向と直交するように連結板材及び撓みコントロール板材を配設して固定することにより、その強度を最良のものとしている。
【0052】
本発明の第3のものにおいては、前記床下地パネルに前記連結板材及び撓みコントロール板材を接着剤と、ビス又は釘により接合固定したものであり、それらの接合固定強度の最上のものを利用し、床下地パネルの強度の最良のものとして特定した。
【0054】
本発明の第4のものにおいては、前記連結板材と撓みコントロール板材の厚みを略同一としたものであり、例えば、これら両者が設けられていない床下地パネルの裏面に同じ厚みの断熱材を配設することによりこれらの下面を略同一平面となすことも可能となり、全ての床下地パネルの下面を同じ平面とすることができ、床下地構造の下面の空間部のエアーの流れを円滑にすることができる。
【0055】
本発明の第5のものにおいては、前記本体部の4つの角部を面取りして切欠部を設けたものであり、これらの切欠部を設けることによって、当該角部に位置する支持脚の高さ調整を行う際に、床下地パネルの上方から調整作業を行うことができることとなるのである。
【0056】
本発明の第6のものにおいては、前記撓みコントロール板材を前記連結板材と略平行に2本又は3本設けたものであり、それぞれの床下地パネルの撓み強度を向上させるために、上記第4の発明(幅広としたもの)と異なり、その複数本を設けることによって同じ効果を発揮するものである。
【0057】
本発明の第7の床下地パネルにおいては、上記第1の発明に係る床下地パネルの2枚を縦長に配列して一体化した形態のものを特定したものである。
その効果は上記第1の発明と同じであるが、施工に際してはその一つの作業で2枚分の床下地パネルを敷設することができるために、その作業性が向上する。
尚、この第7の発明に係る床下地パネルの裏面中央部に設けた補強板材は、上記連結板材とその名称を異ならせているが、上記連結板材と同様の形態でよく、隣接する床下地パネルとの連結機能は有していないが、その機能は上記連結板材と同様のものである。
【0058】
本発明の第8乃至第13の発明の効果は、上記第2乃至第6の発明と同様である。
【0059】
本発明の第14のものは、上記第1の発明に係る床下地パネルを用いて床下地構造を形成したものであり、その効果も上記第1の発明と同様のものとなる。
【0060】
本発明の第15のものは、前記床下地パネルに設けた連結板材及び撓みコントロール板材を他の床下地パネルに接着剤と、ビス又は釘によって固定し、縦横に敷設され固定された床下地パネルの全体が一つに連接固定されたことを特定したものであり、床下地構造の撓み強度を最良のものとした。
【0062】
本発明の第16のものは、上記第5及び第12の発明と同様の効果を発揮する。
【0063】
本発明の第17のものは、上記第6及び第13の発明と同様の効果を発揮する。
【0064】
本発明の第18のものは、前記支持脚が、その上下の高さを調整できるものであることを限定したものである。
【0065】
本発明の第19のものは、前記支持脚の基台部が、布基礎やコンクリートスラブ等の建築物の基礎に固定されることを限定したものであり、これにより床下地構造の床部全体の撓みや振動がより抑制制御されることとなる。
【0066】
本発明の第20のものにおいては、前記連結板材と撓みコントロール板材の厚みを略同一とし、これら連結板材と撓みコントロール板材が設けられていない床下地パネルの裏面に前記連結板材と略同一厚みの断熱材を設けたことを限定し、本発明に係る断熱効果の向上、床下内のエアーの流通をより向上させたものとなる。
【0067】
本発明の第21のものにおいては、既に述べた通り、前記床下地構造を多層階建築物の二重床構造に適用して、前記床下地パネルの下の空間に防音材を配設してその防音効果、遮音効果を向上させることができる。
【0068】
本発明の第22のものにおいては、前記床下地パネルとして第7の発明に記載した縦長の床下地パネルを使用して床下地構造を形成したものであって、その効果は、上記第14の発明と同様である。
【0069】
本発明の第23のものにおいては、前記床下地パネルとして第1の発明に記載した床下地パネルと第7の発明に記載した床下地パネルを併用して、第7の発明に記載した床下地パネルを千鳥状に互い違いに配設することを特定したものであって、その効果も上記第14の発明と同様ではあるが、縦長の床下地パネルが千鳥状に互い違いに配設固定される関係上、床下地パネルを相互に連結固定する連結板材の位置も互い違いとなり、その床下地構造の全体の強度が向上することとなる。
【0070】
本発明の第24の床下地構造の施工方法においては、上記第1の発明に係る床下地パネルを用いた床下地構造を施工するための施工方法である。
その効果は、上記第1の発明と同様である。
【0071】
本発明の第25乃至第27においては、上記第15乃至第17に係る発明の効果と同様である。
【0072】
本発明の第28乃至第32のものにおいては、上記第19乃至第23の発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】本発明の床下地パネルに係る第1実施形態を図示しており、その(A)が平面図、その(B)が底面図である。
【
図2】本発明の床下地パネルに係る第2実施形態を図示しており、その(A)が平面図、その(B)が底面図である。
【
図3】上記第1実施形態に係る床下地パネルと上記第2実施形態に係る床下地パネルとを併用して床下地を形成した状態を示し、その(A)が平面説明図、その(B)が(A)図のB-B断面説明図である。
【
図4】上記第2実施形態に係る床下地パネルを縦横に敷設する状態を示す概念説明図である。
【
図5】上記第1実施形態に係る床下地パネルを敷設し、当該床下地パネルに撓み荷重Pが上方から負荷された際の撓み荷重の負荷状態を示す要部平面説明図である。
【
図6】上記実施形態に係る床下地パネルの角部を支持する一つの支持脚部分の要部を示し、その(A)が平面説明図、その(B)が正面説明図である。
【
図7】上記実施形態に係る床下地パネルが際根太に載置し固定される状態を図示しており、その(A)が平面説明図、その(B)が正面説明図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る床下地パネルを示し、その(A)が斜視説明図、その(B)が施工状態を示す概念説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の床下地パネルに係る第1実施形態を図示しており、その(A)が平面図、その(B)が底面図である。
【0075】
上記床下地パネル1の本体部30は、短辺が約908mmで、長辺がその2倍の縦長の長方形形状を有し、24mm厚の針葉樹合板からなる構造用パネルを使用している。
上記本体部30の下辺の一側縁部裏面には、連結板材11が接合固定されている。
この連結板材11は、横幅が約90mm乃至105mm程度のもので、その厚みは上記本体部30と同等又はより厚い約28mmのものを使用することができる。
この連結板材11の厚みに関しては、後に説明する撓みコントロール板材の厚みと共に適宜所望のグレードに対応して変化させることができる。
【0076】
この連結板材11は、図示した通り、その上略半分程度を上記本体部30の一側縁部(図では下辺側)の裏面に接合して固定する。接合固定は、接着剤とビス又は釘によって行う。
図1(A)におけるドット(黒点)がビス又は釘を示している。
その下半分は、図示はしていないが隣接する他の床下地パネルの一側縁部(上辺側縁部)を載置して連結固定することができる。この連結固定も接着剤とビス又は釘により行う。固定強度等が最も大きくなるからである。
【0077】
この連結板材11は、上記のように本体部30の下辺の一側縁部に固定されるのであるが、この側縁部の全体に渡り設けるのではなく、その両端部には空間を開けておく。
この空間部に後に説明する支持脚の上端に位置する支持部材が配設されることとなるからである。
【0078】
上記本体部30の4つの角部と両側縁部の略中央部には切欠部15をそれぞれ設けている。
これらの切欠部15は、後に説明するが、本発明に係る床下地パネル1を複数枚縦横に配設した際に、そのパネルの4つの角部の交点と、その両側縁部の中間部に孔部が形成され、その下に位置する支持脚上端の支持部材の中心部に設けた孔部を通してソケットレンチ等の回転工具のソケット部を挿入し、支持脚の高さ調整を行うことができるように設けたものである。
【0079】
次に、上記床下地パネル1において、上記連結板材11と略平行に本体部30の裏面中央部に補強板材31を設けている。
この第1実施形態では、上記補強板材31は上記連結板材11と同様のものを使用しており、その両端部には上記連結板材11と同様に空間部を設けて本体部30の裏面に接合固定されている。
上記両端部の空間部には、支持脚上端の支持部材が配置されることとなる。
【0080】
更に、本発明に係る床下地パネル1においては、 上記補強板材11と前記連結板材31の中間部と補強板材31の上方の前記本体部30の裏面中央部にそれぞれ撓みコントロール板材12を上記連結板材11及び補強板材31と略平行に設けている。この撓みコントロール板材12が本発明の最大の特徴部分となる。
この撓みコントロール板材12の横幅は自由に設定することができるが、この第1実施形態では上記連結板材11の横幅よりも約3倍程度大きいものを使用している。
また、その厚みは上記連結板材11と同様の厚みとすればよく、適宜所望のグレードに対応して設定することができる。
【0081】
ここで、上記連結板材11と上記撓みコントロール板材12は、その撓み強度を高めるために、床下地パネル1の本体部30の木目又は繊維方向と直交する方向に配設する。
上記本体部30としては構造用合板を使用しており、その木材としては針葉樹が利用され、当該表面側に現れた木目又は繊維の方向と直交するように連結板材11、補強板材31、及び撓みコントロール板材12を配設して固定することにより、その強度を最良のものとしているのである。
【0082】
この撓みコントロール板材12も本体部30の裏面に接着剤とビス又は釘によって固定される。図中のドットがビス又は釘を示す。
そして、本発明において最も重要な点は、この撓みコントロール板材12の図中右側の先端部が本体部10の右側縁部よりも外方に延長して延長部12dを形成している点である。
【0083】
この延長部12dの延長長さは、自由に設定することができるが、この延長部12dがこの図では右側に隣接することとなる同一構成から成る他の床下地パネルの側縁部下面に配設され、この右隣の他の床下地パネルに接合固定されるのである。
【0084】
このようにして横方向又は縦方向(床下地パネルを90度右回転した状態)に上記床下地パネル1を横方向又は縦方向に配設することにより上記撓みコントロール板材12が横方向又は縦方向に一列に整列し、これを繰り返すことによりこの一列に整列された撓みコントロール板材12が複数列並行に整列することとなる。
【0085】
以上のように本発明に係る床下地パネル1においては、それが縦横に配設固定されることによりそれぞれの列の撓みコントロール板材12が一列に整列し、且つ、隣接する床下地パネルと連結固定することによって床上から受ける荷重に対する撓み量を出来る限り抑制することができることとなるのである。
【0086】
上記撓み量の制御に関しては、上記撓みコントロール板材12の延長部12dが隣の床下地パネルの側縁部に連結固定されているために、床下地パネル12の中央部に下向き負荷が負荷された際に、上記延長部12dが上向きに跳ね上がることとなり、この上向きの力に対して隣の床下地パネル側から下向きの反力を受けることにより制御されるものと考えられる。
【0087】
このように本発明に係る撓みコントロール板材においては、従来の前記特許文献1に記載の床パネル(パネルの裏面中央部に設けられた補強板材は隣接する床パネルと連結固定されていない。)とはその構成を異にし、その発揮される機能も全く異なるものとなるのである。
【0088】
図2は、本発明の床下地パネルに係る第2実施形態を図示しており、その(A)が平面図、その(B)が底面図である。
【0089】
この床下地パネル2の本体部10は、1辺が約908mmの平面視略正方形形状を有し、24mm厚の針葉樹合板からなる構造用パネルを使用している。
形状は、必ずしも正確に正方形形状でなくともよく、多少縦横の長さの異なる四辺形形状であってもよい。
【0090】
上記本体部10の下辺の一側縁部裏面には、連結板材11が接合固定されている。
この連結板材11は、横幅が約90mm乃至105mm程度のもので、その厚みは上記本体部10と同等又はより厚い約28mmのものを使用することができる。
この連結板材11の厚みに関しては、後に説明する撓みコントロール板材の厚みと共に適宜所望のグレードに対応して変化させることができる。
【0091】
この連結板材11は、図示した通り、その上略半分程度を上記本体部10の一側縁部(図では下辺側)の裏面に接合して固定する。接合固定は、接着剤とビス又は釘によって行う。
図1(A)におけるドット(黒点)がビス又は釘を示している。
その下半分は、図示はしていないが隣接する同一構成から成る他の床下地パネルの一側縁部を載置して連結固定することができる。この連結固定も接着剤とビス又は釘により行う。固定強度等が最も大きくなるからである。
【0092】
この連結板材11は、上記のように本体部10の下辺の一側縁部に固定されるのであるが、この側縁部の全体に渡り設けるのではなく、その両端部には空間を開けておく。
この空間部に後に説明する支持脚の上端に位置する支持部材が配設されることとなるからである。
【0093】
上記本体部10の4つの角部には面取りを行って切欠部15をそれぞれ設けている。
これらの切欠部15は、後に説明するが、本発明に係る床下地パネル1を複数枚縦横に配設した際に、そのパネルの4つの角部の交点に四角の孔部が形成され、その下に位置する支持脚上端の支持部材の中心部に設けた孔部を通してソケットレンチ等の回転工具のソケット部を挿入して高さ調整を行うことができるように設けたものである。
【0094】
更に、本発明に係る床下地パネル1においては、上記連結板材11に略平行に本体部10の裏面中央部に撓みコントロール板材12を設けている。この撓みコントロール板材12が本発明の最大の特徴部分となる。
この撓みコントロール板材12の横幅は自由に設定することができるが、この第1実施形態では上記連結板材11の横幅よりも約3倍程度大きいものを使用している。
また、その厚みは上記連結板材11と同様の厚みとすればよく、適宜所望のグレードに対応して設定することができる。
【0095】
ここで、上記連結板材11と上記撓みコントロール板材12は、その撓み強度を高めるために、上記第1実施形態と同様に床下地パネル1の本体部10の木目又は繊維方向と直交する方向に配設する。
【0096】
この撓みコントロール板材12も本体部10の裏面に接着剤とビス又は釘によって固定される。図中のドットがビス又は釘を示す。
そして、本発明において最も重要な点は、この撓みコントロール板材12の図中右側の先端部が本体部10の右側縁部よりも外方に延長して延長部12dを形成している点である。
【0097】
この延長部12dの延長長さは、自由に設定することができるが、この延長部12dがこの図では右側に隣接することとなる他の床下地パネルの側縁部下面に配設され、この右隣の他の床下地パネルに接合固定されるのである。
【0098】
このようにして横方向又は縦方向(床下地パネルを90度右回転した状態)に上記床下地パネル1を横方向又は縦方向に配設することにより上記撓みコントロール板材12が横方向又は縦方向に一列に整列し、これを繰り返すことによりこの一列に整列された撓みコントロール板材12が複数列並行に整列することとなる。
【0099】
以上のように本発明に係る床下地パネル1においては、それが縦横に配設固定されることによりそれぞれの列の撓みコントロール板材12が一列に整列し、且つ、隣接する床下地パネルと連結固定することによって床上から受ける荷重に対する撓み量を出来る限り抑制することができることとなるのである。
【0100】
上記撓み量の制御に関しては、上記撓みコントロール板材12の延長部12dが隣の床下地パネルの側縁部に連結固定されているために、床下地パネル12の中央部に下向き負荷が負荷された際に、上記延長部12dが上向きに跳ね上がることとなり、この上向きの力に対して隣の床下地パネル側から下向きの反力を受けることにより制御されるものと考えられる。
【0101】
このように本発明に係る撓みコントロール板材においては、従来の前記特許文献1に記載の床パネル(パネルの裏面中央部に設けられた補強板材は隣接する床パネルと連結固定されていない。)とはその構成を異にし、その発揮される機能も全く異なるものとなるのである。
【0102】
図3は、上記第1実施形態に係る床下地パネルと上記第2実施形態に係る床下地パネルとを併用して床下地を形成した状態を示し、その(A)が平面説明図、その(B)が(A)図のB-B断面説明図である。
尚、この図に示した床構造は、多層階建築物の二重床構造に適用したものである。
【0103】
図3から解る通り、左上角部に上記第2実施形態に係る床下地パネル2が位置し、その下方には上記第1実施形態に係る床下地パネル1が順次配置され、その右の列には一番上から上記第1実施形態に係る床下地パネル1が順次配置され、当然その一番下には上記第2実施形態に係る床下地パネル2が配置されることとなる。以下その右隣の列も上記の配列の繰り返しとなる。
【0104】
この配列施工方法によって、上記第1実施形態に係る床下地パネル1は、千鳥状に互い違いに配列されることとなるのである。
このように、床下地パネル1の本体部30は、縦の長さが横の長さの2倍となっており、上記第2実施形態に係る略正方形の床下地パネル2を2個縦方向に並べて合体した形状を有しているものである。
【0105】
より詳細に説明すると、上記第1実施形態に係る床下地パネル1は、上記第2実施形態に係る床下地パネル1を縦方向に2個並べて合体し、この床下地パネル1の本体部30はその長辺が短辺の2倍の長さを有する平面視縦長の略長方形形状を有し、その下方短辺の側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネル1の上方短辺の一側縁部を載置し固定できる連結板材11を有し、この連結板材11と略平行に前記床下地パネル1の裏面略中央部には補強板材31を設け、この補強板材31と前記連結板材11の中間部と補強板材31の上方の前記本体部30の裏面中央部にはそれぞれ撓みコントロール板材12を略平行に設け、前記補強板材31の両端部にも前記支持脚20が配置されて隣接する他の床下地パネル1、2を支持することができ、前記撓みコントロール板材12のそれぞれは、その先端部に前記床下地パネル2の本体部30の側縁から外方に延長する延長部12dを有し、この延長部12dは、隣接して敷設される他の床下地パネル1、2の側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネル1、2の裏面に設けられた撓みコントロール板材12の基端側に位置するように固定され、これにより、縦横に敷設された床下地パネル1、2の撓みコントロール板材12が縦方向又は横方向に複数列並列した状態に床下地構造が形成されることとなるのである。
【0106】
このように、本発明に係る床下地構造は、
図3に図示した通り、上記第1及び第2実施形態の床下地パネル1、2を併用して敷設することができるのである。
当然、上記実施形態1のみで全てを敷設して床下地構造を形成することもできるし、同様に、上記第2実施形態に係る床下地パネル2のみで床下地構造を形成することもできる。
【0107】
以上の説明から解る通り、本発明に係る床下地構造というのは、床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は前記受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造において、前記床下地パネルの本体部が平面視略四辺形形状を有し、その一側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には撓みコントロール板材を設け、この撓みコントロール板材は、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外方に延長する延長部を有し、当該延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定され、これにより、縦横に敷設された床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に一列に整列し、この列が複数列並列した状態に形成されることを特徴とする床下地構造となる。
【0108】
ここにおいて、上記床下地パネルとしては、上記第1実施形態のものと上記第2実施形態のものとの何れか一方又はその両方を併用して施工することが出来ることとなる。
上記
図3は、その床下地パネル1、2を併用して、床下地パネル1を千鳥状に互い違いに施工した例である。
【0109】
ここで、
図3に図示した床下地構造は、例えば一つの部屋の床下地構造の左上コーナー部分を示したものであり、即ち、部屋のコーナー部の上側縁部と左側縁部を示すものである。
この一つの部屋を上記実施形態2に係る略正方形の床下地パネル2(
図2に記載のもの)のみによって全てを敷き詰める場合、部屋の右側縁部に位置する縦一列と下側縁部に位置する横一列の床下地パネルとしては、上記床下地パネル2と少し異なる形態のものを使用することができる。
【0110】
即ち、右側縁部に配置させる床下地パネルは、右側縁部には際根太や土台側の受け部材が設けられているため、撓みコントロール板材12の延長部12dは不要となり、且つ、この撓みコントロール板材12は本体部10の右側縁部から少し基端側に後退した位置にその先端部が位置していなければならない。上記際根太や受け部材をよけるため、即ち干渉を避けるためである。
【0111】
他方、下側縁部に配置させる床下地パネルは、その下側縁部にも際根太や土台側の受け部材があるため、連結板材11を設ける必要がなくなる。
そして、部屋の右側縁部と下側縁部が交わる右下角部の1枚の床下地パネルにおいては、上記の連結板材11が不要で且つ撓みコントロール板材12の延長部12dも不要で、その先端部も床下地パネルの右側縁部から基端側に後退した位置に配置したものを使用することができる。
【0112】
しかし、部屋の右側縁部と下側縁部の際根太や土台側の受け部材の構造を異ならせることによって、上記実施形態2に係る床下地パネル2のみによって床下地構造を形成することも可能となるのである。
この点は、上記実施形態1に係る床下地パネル1が右側縁部又は下側縁部に配置される場合にも同様のことが言える。
【0113】
図4は、上記第2実施形態に係る床下地パネルを縦横に敷設する状態を示す概念説明図である。
この図に示した通り、本発明に係る床下地構造は、床下地パネル2のみによって施工することもでき、その角部を支持脚20が支持し、
図4の右斜め上側及び左斜め上側の側縁部は、例えば、戸建て住宅であれば、土台部に設けた受け部材に載置し固定することでき、多層階建築物であれば、壁面側に際根太を配設して載置し固定することができ、縦横に順次敷設されるのである。
【0114】
尚、土台部に設ける受け部材の例としては、本願出願人が提案した上記特許文献1の
図10乃至
図12及びその明細書における説明にその具体例を記載している。
支持脚20は、下端の基台部21とこの基台部21から垂立する支柱部22と上端の支持部材23とから成り、この実施形態では鋼製束を使用しており、その支柱部22の上端で支持部材23が上下に移動できる構成を有し、高さ調整可能なものを利用している。
【0115】
このようにして縦横に配設された床下地パネル2においては、
図4からも見て取れるように、撓みコントロール板材12が一列に整列し、隣接する床下地パネル2の側縁部の下面に固定され、隣接する床下地パネル2が連結固定される。これにより床下地パネル2の撓み量は最小に抑制維持されることとなるのである。
【0116】
図5は、上記第1実施形態に係る床下地パネルを敷設し、当該床下地パネルに撓み荷重Pが上方から負荷された際の撓み荷重の負荷状態を示す要部平面説明図である。
この図では、床下地パネル1の角部とその両側縁部の中間部において支持脚20によって支持されている状態と連結板材11と撓みコントロール板材12の配設状態をよく見て取ることができるが、図中の中央部において上から下に向かって撓み荷重Pが負荷された際の荷重の負荷状態を仮想線である二点鎖線で示した。
【0117】
この図に示された通り、中央部において上方から下方に向かって荷重が負荷されると、撓みコントロール板材12が当該上から下向きの荷重を受け、その撓みコントロール板材12の両端部には当該荷重は上向きに拡散される。
撓みコントロール板材12の延長部12dは隣の床下地パネル1の側縁部に固定されている関係で、当該隣の他の床下地パネル1からの上からの反力を受け、上記荷重Pに対して抵抗する反力となり、上記荷重Pは抑制されることとなるのである。
【0118】
尚、支持部材23の中央には孔部26が形成され、この孔部26を介してソケットレンチ等の回転工具のソケット部を挿入させて、当該孔部26の底部に配設されたナット部材を回動させることにより支持脚の高さが高低自在に調整される。これについては後に説明する。
【0119】
連結板材11は、縦方向に配列された隣接する床下地パネル1の上側縁部をその下面で連結固定する。
撓みコントロール板材12は、横方向に一列に整列し、隣接する他の床下地パネル1の左側縁部の下面に配設されて当該床下地パネルの側縁部と連結固定されるのである。
【0120】
図6は、上記実施形態に係る床下地パネルの角部を支持する一つの支持脚部分の要部を示し、その(A)が平面説明図、その(B)が正面説明図である。
支持脚20は、その下端の基台部21と、この基台部21から上方に垂立する支柱部22と、この支柱部22の上方で上下に移動できる支持面付きナット部材24と、この支持面付きナット部材24の上面に配設された支持部材23とから成る。
支持面付きナット部材24においては、そのナット部材が回動することにより支持面が上下に移動できる。つまり、ナット部材は支持面を支持しつつ回動できる。
【0121】
上記支柱部22には雄ネジが刻設され、この雄ネジの上方に上記支持面付きナット部材24が螺合し、この支持面付きナット部材24のナット部材を回動することにより支持面が上下動を行い、支持部材23の高さ調整を行うことができる。これにより床下地パネルの高さ調整を行うことができる。
上記支持部材23と上記支持面付きナット部材24の支持面との間には緩衝材を配設している。
【0122】
上記支持部材23の中心部には孔部26が形成され、上方から上記支持面付きナット部材24のナット部材を回転工具により回動し、支持部材23の高さ調整を行うことができる。
この上方からの施工操作を可能とするために、床下地パネルの本体部30の4つの角部とその両側縁の中間部に切欠部15を設けているのである。
【0123】
図7は、上記実施形態に係る床下地パネルが際根太に載置し固定される状態を図示しており、その(A)が平面説明図、その(B)が正面説明図である。
この図に示した例は、本発明に係る床下地パネルを多層階建築物の二重床構造に適用し、その壁面部分に設けた際根太に上記床下地パネルを載置し固定した状態を示している。
【0124】
このように、上記実施形態に係る床下地パネルは、戸建て住宅の床部ばかりでなく、マンション等の多層階建築物二重床構造にも適用できる。
この場合にも、床下地パネルの本体部10の角部に設けた切欠部15の存在によって、下方で支持する支持脚20に設けた支持面付きナット部材24を上方から回動させることができる。
また、この図においては、多層階建築物の二重床構造を例示しており、際根太25の壁側には緩衝材としてのパッキン40を介在させ、床部の振動が壁面に伝達しないように構成している。
【0125】
図8は、本発明の第3実施形態に係る床下地パネルを示し、その(A)が斜視説明図、その(B)が施工状態を示す概念説明図である。
ここに示した本発明の第3実施形態に係る床下地パネル3は、基本的には上記第2実施形態のものと同様であるが、撓みコントロール板材12を連結板材11に略平行に本体部10の裏面に3本設けたものである。
【0126】
また、これら3本の撓みコントロール板材12の中央部に位置するものの横幅は、他の2本の撓みコントロール板材12の横幅よりも大きく形成している。
その他の構成は、上記第1実施形態のものと同様である。
【0127】
このように、撓みコントロール板材12は、本体部10の裏面に1本又は3本設けることができ、その数は必要に応じて適宜設定することができるが、好ましくは1本乃至3本程度が望ましい。施工の作業性を考慮したものである。
上記実施形態1乃至3に係る床下地パネル1乃至3と同様に、本発明に係る床下地構造及び床下地構造の施工方法を実現することができることとなる。
【0128】
本発明に係る床下地構造の施工方法については、上記実施形態に係る床下地パネルを用いて順次施工することができる。
即ち、床下地パネルと、この床下地パネルの側縁部を受ける際根太又は土台側に設けた受け部材と、前記床下地パネルの角部を受ける支持脚とを備え、前記際根太又は受け部材、及び支持脚上に前記床下地パネルを縦横に敷き詰めて形成される床下地構造の施工方法において、前記床下地パネルとして使用する床下地パネルの本体部が平面視略四辺形形状を有し、その一側縁部の裏面には隣接する他の床下地パネルの一側縁部を載置し固定できる連結板材を設け、この連結板材と略平行に前記床下地パネルの裏面略中央部には撓みコントロール板材を設け、この撓みコントロール板材は、その先端部に前記床下地パネルの本体部の側縁から外側方向に延長する延長部を有し、当該延長部は、隣接して敷設される他の床下地パネルの側縁部裏面に配設され、当該他の床下地パネルの裏面に設けられた撓みコントロール板材の基端側に位置するように固定し、これにより、縦方向又は横方向に順次前記床下地パネルを敷設して床下地パネルの撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に一列に整列するように固定して、前記撓みコントロール板材が縦方向又は横方向に複数列並列するように施工されることを特徴とする床下地構造の施工方法である。
【0129】
上記施工方法においては、上記第2実施形態に係る床下地パネル2を使用して説明しているが、この施工方法においては、上記第1実施形態に係る縦長の床下地パネル1のみを利用することもできるし、これら第1及び第2実施形態に係る床下地パネル1、2を併用して配列・敷設することもできる。
この併用によって、上記
図3において説明した通り、上記第1実施形態に係る縦長の床下地パネル1を千鳥状に互い違いに配設施工することができ、この配設方法により極めて撓み量が少なく弾力性と剛性を兼ね備えた床下地構造が施工されることとなるのである。
【0130】
要は、上記床下地パネルを用いて床下地構造を施工する施工方法により撓みコントロール板材12を横方向又は縦方向に一列に整列させ、この一列に整列した撓みコントロール板材を更に並列するように整列させて敷設し、固定することによって床下地構造が形成されるのである。
【0131】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明においてはその実施形態を種々変更して実施することができる。
床下地パネルの本体部の外形形状は、略四辺形形状であればよく、略正方形でも、縦長の長方形形状であってもよい。
【0132】
そのサイズも適宜設定することができ、その厚みも適宜必要に応じて設定することができる。
連結板材及び撓みコントロール板材の横幅も自由に設定することができるし、撓みコントロール板材の本数も1本のみでなく、2本又は3本程度の範囲内で、適宜自由に変更して設定することができる。
【0133】
床下地パネルの本体部の4つの角部に設けた切欠部の大きさも自由に設定することができる。
また、撓みコントロール板材の延長部の長手方向の長さも必要に応じて適宜設定することができる。
【0134】
この延長部の長さは、この撓みコントロール板材が設けられた床下地パネルの中央部の上からの負荷に応じて、その延長部が固定される隣接する床下地パネルから受ける反力が最大となるような長さに設定すればよい訳である。
【0135】
更に、床下地構造を構成する支持脚の土台部を基礎部に接着剤及びビスによって固定することにより、当該床下地構造の全体が一体的に基礎部に固定されることとなり、上記撓み強度も最上のものとなるのである。
【0136】
上記床下地構造においては、連結板材と撓みコントロール板材の厚みを略同一とし、これら連結板材と撓みコントロール板材が設けられていない床下地パネルの裏面に前記連結板材と略同一厚みの断熱材を設けることも自由である。
これにより、床下地の断熱効果を高めると同時に、床下のエアーの流通を良好に維持することができることとなる。
【0137】
上記床下地構造が多層階建築物の二重床構造に適用され、前記床下地パネルの下の空間に防音材や遮音材を配設することもできる。
マンション等の多層階建築物の防音効果を向上させるためである。
【0138】
以上、本発明に係る床下地パネルに関しては、各種の実施形態に設計変更することができるが、このように連結板材と撓みコントロール板材が設けられた床下地パネルを用いて、床下地パネルの全体を一つに連結固定した床下地構造として構成でき、その剛性と共に撓み量の少ない適度な弾力性を有する床下地構造を提供することができ、また、このような床下地パネルを用いた床下地構造を施工する施工方法を提供することができた。
【符号の説明】
【0139】
1、2、3 床下地パネル
10、30 本体部
11 連結板材
12 撓みコントロール板材
12d 延長部(撓みコントロール板材の)
15 切欠部
20 支持脚
21 基台部
22 支柱部
23 支持部材
24 支持面付きナット部材
25 際根太
26 孔部
40 パッキン