(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】植物個体認証装置及び植物個体認証方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20120101AFI20230818BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2022081378
(22)【出願日】2022-05-18
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】522198162
【氏名又は名称】三浦 聡
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】三浦 聡
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-146570(JP,A)
【文献】特開2006-115768(JP,A)
【文献】特開2009-205510(JP,A)
【文献】特開2004-185222(JP,A)
【文献】特開2007-130007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象となる植物個体の植物個体認証装置であって、
認証権限者端末により入力された植物個体の画像を含む植物個体情報を、記憶手段に登録する新規登録手段と、
ユーザ端末に、前記植物個体情報を参照させる参照制御手段と、
前記植物個体の所有者端末により該植物個体の種に応じて規定された期限までに前記記憶手段に登録された該植物個体情報の画像がアップデートされた場合、次回の前記期限まで該植物個体情報の有効性を示すステータスを継続する更新登録手段と、
を有することを特徴とする植物個体認証装置。
【請求項2】
前記植物個体の画像は、植物個体の種に応じて規定された部位画像を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の植物個体認証装置。
【請求項3】
前記更新登録手段は、
前記植物個体の所有者により該植物個体の種に応じて規定された期限までに、前記記憶手段に登録された該植物個体情報の画像がアップデートされた場合に、
前記認証権限者端末に前記記憶手段に登録されたアップデート前の植物個体情報の第1画像と、アップデート後の植物個体情報の第2画像との同定承認リクエストを送信し、
前記同定承認リクエストに対応した同定承認を受信した場合、次回の前記期限まで該植物個体情報の有効性を示すステータスを継続すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の植物個体認証装置。
【請求項4】
前記更新登録手段は、
前記植物個体の所有者により該植物個体の種に応じて規定された期限までに、前記記憶手段に登録された該植物個体情報の画像がアップデートされた場合に、
前記認証権限者端末に前記記憶手段に登録されたアップデート前の植物個体情報の第1画像と、アップデート後の植物個体情報の第2画像との同定判定処理を実行し、
前記同定判定処理により前記第1画像と前記第2画像とが同定と判定された場合、次回の前記期限まで該植物個体情報の有効性を示すステータスを継続すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の植物個体認証装置。
【請求項5】
管理対象となる植物個体の植物個体認証装置における植物個体認証方法であって、
前記植物個体認証装置が、
認証権限者端末により入力された植物個体の画像を含む植物個体情報を、記憶手段に登録する新規登録ステップと、
前記植物個体の所有者端末により該植物個体の種に応じて規定された期限までに前記記憶手段に登録された該植物個体情報の画像がアップデートされた場合、次回の前記期限まで該植物個体情報の有効性を示すステータスを継続する更新登録ステップと、
を有することを特徴とする植物個体認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物個体認証装置及び植物個体認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物情報を管理する技術が知られている。例えば特許文献1には、記憶容量の大きな光カードに動植物の情報を書込んで従来の血統書代わりに使用し、従来の血統書に記載の情報とその後の飼育情報を併せ記録管理する血統履歴管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、絶滅危惧にある貴重な植物個体はその種の保存を適正に行う必要があるが、現時点では、例えば次のような社会的課題を有している。
(1)植物種の保護・保存
例えばオペルクリカリア属パキプス(Operculicarya pachypus)は、高額な園芸植物として注目されている一方、マダガスカルの自生地乱獲が進み、現在ワシントン条約の附属書2に分類され、厳格な輸入規制がされている。しかしながら、依然として現地での乱獲や違法な輸入は現在も後を絶たず、野生絶滅が危惧されている現状にある。
【0005】
また、植物個体の中には国や自治体が天然記念物として指定し、既に手厚い保護を受けているものもあるが、古くから地域社会に親しまれている樹木が、社会への開示や育成状況の共有が不十分のため、自治体や企業などの開発計画で安易に伐採されてしまうる事例がある。
【0006】
(2)貴重な植物個体の系統保持
例えば「縄文杉」や「三春の滝桜」などは、当該個体が手厚く保護されており、このような植物個体は挿し木、接ぎ木などの栄養培養で同一クローンの個体を増殖していくなど、その個体の系統を後世に残す保護活動が行われている。しかしながら、これらの増殖個体は経年による成長変化により個体を同定することが難しく、同定の信頼性を確保しうる植物情報管理の仕組みが求められる。また、保護を行う国や自治体がどの程度の当該個体が増殖・保護されているかの総数や樹齢などを把握することが望まれている。
【0007】
(3)適正で安心できる植物の流通
業者や保護家・愛好家が育成する植物は、その種の特定をラベリングにて管理し、増殖・譲渡などを通じてその種の保護が長年行われている。一方、その中には類似した誤品が含まれることも散見されており、一般のユーザが安心して信頼のおける専門家が認証した正規の園芸品種を購入できる仕組み作りが求められている。
【0008】
例えばCephalotus follicularis Hummer's Giantは、オーストラリアから輸入された同種の中で最大種として、そのクローンが高額で取引されている。当該品種はかつて原種・野生種であったことが強く推認されていることでも注目されているが、現在は誤品も流通しており園芸品種としてその系統を適正に管理することが求められている。
【0009】
(4)高額な園芸植物の盗難への対策
近年、高額な盆栽や希少種の植物の盗難被害が問題となっている。盗難や盗難品転売を未然防止・牽制しうる盗難対策の仕組みが求められている。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、一つの側面では、適切に植物の情報管理を行うことで植物個体の保護等を支援する植物個体認証システムを提供する目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る植物個体認証装置は、管理対象となる植物個体の植物個体認証装置であって、認証権限者端末により入力された植物個体の画像を含む植物個体情報を、記憶手段に登録する新規登録手段と、ユーザ端末に、前記植物個体情報を参照させる参照制御手段と、前記植物個体の所有者端末により該植物個体の種に応じて規定された期限までに前記記憶手段に登録された該植物個体情報の画像がアップデートされた場合、次回の前記期限まで該植物個体情報の有効性を示すステータスを継続する更新登録手段と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施の形態によれば、適切に植物の情報管理を行うことで植物個体の保護等を支援する植物個体認証システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る植物個体認証システムのネットワーク構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る管理サーバのソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る認証権限者のデータ構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係るユーザDB105bのデータ構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る植物DBのデータ構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る認証個体DBのデータ構成例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る認証個体DB105dのデータ構成要件例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る植物個体認証システムの利用フローモデルを説明する図である。
【
図10】本実施形態に係る植物個体情報の新規登録画面例を示す図である。
【
図11】本実施形態に係る植物個体情報の参照画面例を示す図である。
【
図12】本実施形態に係る植物個体情報のラべル出力例を示す図である。
【
図13】本実施形態に係る植物個体情報の更新登録画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
<システム構成>
(ネットワーク構成)
図1は、本実施形態に係る植物個体認証システムのネットワーク構成例を示す図である。
図1の植物個体認証システム100は、管理サーバ10、認証権限者端末20、及びユーザ端末30を含み、ネットワーク50を介して接続されている。
【0015】
管理サーバ10は、植物個体の情報を管理するサーバ装置である。管理サーバ10は、認証制度運営者(業界団体や運営組織等)により管理される。より具体的に、管理サーバ10は、インターネット等のネットワーク50を介して、まず認証権限者から植物個体の情報が新規登録されるとDB(Data Base)にこれを登録すると共に、登録された植物個体の情報を一般のユーザが広く閲覧可能に公開する。また詳しくは後述するように、植物個体認証システム100において、登録された植物個体の情報は、長い間継続してその情報の正当性を確保するため定期的に更新(更新登録という)される必要があるため、管理サーバ10は、植物個体を所有するユーザから植物個体の情報が更新登録されそれが認証権限者により承認されると、DB上植物個体の情報の有効性を示すステータス(有効、未更新、抹消、不明等)や次回更新登録迄の有効期限等をアップデートする。
【0016】
認証権限者端末20は、例えばスマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータなどであり、認証権限者が管理サーバ10にアクセスするための情報端末である。認証権限者は認証権限者端末20を用いて管理サーバ10にアクセス・ログインし、サイト上で植物個体情報の参照、登録、変更、抹消(削除)、更新登録承認等を行うことができる。なお、認証権限者は、植物種を判定可能な専門的知見を有する者であって、認証制度運営者によって植物個体の新規登録や更新登録承認など認証制度上の特別な認証権限が付与された者である。具体的に認証権限者としては、植物の生産者、輸入業者、販売業者、又は学識者などが挙げられる。
【0017】
ユーザ端末30は、例えばスマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータなどであり、一般のユーザが管理サーバ10にアクセスするための情報端末である。ユーザはユーザ端末30を用いて管理サーバ10にアクセス・ログインし、植物個体情報の参照、更新登録等を行うことができる。
【0018】
なお、認証権限者端末20及びユーザ端末30には、管理サーバ10にアクセスするために、予め所定のアプリケーションプログラム(例えば汎用ウェブブラウザや専用アプリ)がインストールされる。
【0019】
ネットワーク50は、有線、無線を含む通信ネットワークである。ネットワーク50は、例えば、インターネット、公衆回線網、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などを含む。
【0020】
(ハードウェア構成)
図2は、本実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成例を示す図である。管理サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、及び通信装置15を有する。
【0021】
CPU11は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM12は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM13は、CPU11での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD14は、各種データ及びプログラムを格納する。通信装置15は、ネットワーク50を介して他装置との通信を行う。
【0022】
(ソフトウェア構成)
図3は、本実施形態に係る管理サーバのソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ10は、主な機能部として、新規登録部101、参照検索部102、更新登録部103、及び記憶部105を有する。
【0023】
新規登録部101は、認証権限者端末20により入力された植物個体の画像を含む植物個体情報を、記憶手段(HDD14)に登録する機能を有している。
【0024】
参照検索部102は、ユーザ端末に、植物個体情報を閲覧可能に参照・表示させる機能を有している。
【0025】
更新登録部103は、植物個体の所有者端末(認証権限者端末20及びユーザ端末30)により植物個体の種に応じて規定された期限までに記憶手段に登録された植物個体情報の画像がアップデートされた場合、次回の前記期限まで該植物個体情報の有効性を示すステータスを継続する機能を有している。
【0026】
更に、更新登録部103は、植物個体の所有者により期限までに植物個体情報の画像がアップデートされた場合に、認証権限者にアップデート前の植物個体情報の第1画像と、アップデート後の植物個体情報の第2画像との同定承認リクエストを送信し、同定承認リクエストに対応した同定承認を受信した場合、次回の期限まで植物個体情報の有効性を示すステータスを継続する。
【0027】
また更に、更新登録部103は、植物個体の所有者により期限までに植物個体情報の画像がアップデートされた場合に、認証権限者にアップデート前の植物個体情報の第1画像と、アップデート後の植物個体情報の第2画像との同定判定処理を実行し、同定と判定された場合、次回の期限まで植物個体情報の有効性を示すステータスを継続する。
【0028】
記憶部105は、認証権限者DB105a、ユーザDB105b、植物DB105c、認証個体DB105dを記憶手段に記憶する機能を有している。これら各DBについて詳しくは後述する。
【0029】
なお、これら各機能部は、本発明に係る機能部であって、管理サーバ10が植物個体を管理するために必要な各種機能部を他にも備えていることは言うまでもない。また各機能部は、管理サーバ10を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラム及びアプリケーションプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。また、管理サーバ10における記憶部105の各DBは、ネットワーク50上の外部記憶装置に配置することも可能である。また、上記コンピュータプログラム及びアプリケーションプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納されていてもよい。
【0030】
また、認証権限者端末20及びユーザ端末30は、上述のしたようにスマートフォンやPC等の情報端末であるため、例えば、表示手段、操作手段、通信手段、記憶手段などを備えることは言うまでもない。
【0031】
(各DB情報)
図4は、本実施形態に係る認証権限者のデータ構成例を示す図である。認証権限者DB105aは、植物個体認証システム100の認証権限者の権限者情報が予め登録されたDBである。本実施形態に係る認証権限者DB105aは、例えば認証権限者の「認証権限者ID」、「パスワード」、「認証権限者名」、「責任者」、「所在地」、「TEL」、「メールアドレス」、「認証権限者番号」、「初登録日」、「登録植物個体NO」などのデータ項目を有する。
【0032】
「認証権限者ID」は、認証権限者毎に付番される固有の識別子(ID)である。「認証権限者ID」及び「パスワード」は、認証権限者が管理サーバ10にログインするためのID及びパスワードである。「認証権限者名」、「責任者」、「所在地」、「TEL」、「メールアドレス」は、それぞれ認証権限者の認証権限者名(会社名等)、責任者(自然人)、所在地、電話番号、メールアドレスである。
【0033】
「認証権限者番号」は、認証権限者として認証制度運営者から付与された識別子(番号)である。「初登録日」は、認証権限者として認証登録された年月日である。「登録植物個体NO」は、当該認証権限者が新規登録を行った植物個体のNO(Number)である。
【0034】
図5は、本実施形態に係るユーザDB105bのデータ構成例を示す図である。ユーザDB105bは、植物個体認証システム100の利用ユーザのユーザ情報が予め登録されたDBである。本実施形態に係るユーザDB105bは、ユーザの「ユーザID」、「パスワード」、「氏名」、「住所」、「TEL」、「メールアドレス」、「所有植物個体NO」などのデータ項目を有する。
【0035】
「ユーザID」は、ユーザ毎に付番される固有の識別子である。「ユーザID」及び「パスワード」は、ユーザが管理サーバ10にログインするためのID及びパスワードである。「氏名」、「住所」、「TEL」、「メールアドレス」は、それぞれユーザの氏名、住所、電話番号、メールアドレスである。「所有植物個体NO」は、当該ユーザが所有する登録済み植物個体のNO(Number)である。
【0036】
図6は、本実施形態に係る植物DBのデータ構成例を示す図である。植物DB105cは、植物個体認証システム100が管理対象としうる全ての植物に関する情報が予め登録されたDBである。本実施形態に係る植物DB105cは、植物の「植物NO」、「一般名称」、「属」、「種」、「画像登録必須部位」、「更新登録(年)」などのデータ項目を有する。
【0037】
「植物NO」は、植物種毎に付番される固有の識別子(番号)である。「一般名称」は、当該植物の一般名称である。必ずしも学名でなくともよい。「属」、「種」は、当該植物の学会で正式に公表されている属、種である。
【0038】
「画像登録必須部位」は、認証制度上、植物個体の新規登録時及び更新登録時にアップロード及びアップデートが必須と規定された部位画像データである。植物の部位画像は、植物個体の同定を行うにあたって重要なデータの一つであるが、植物の成長(経年変化)の特性・特徴はその種によって大きく異なるため、植物種に応じて特性が現われる部位も異なる。
【0039】
例えばオペルクリカリア属のパキプスにおいては、枝の成長速度は年間10cmに至らず、枝はジグザグに展開するという特性がある。また、サクラ属のエドヒガンザクラやヤマザクラ、ソメイヨシノなどの各種においても、種の判別は幹の色や形状、花及び葉の色や形状で判定可能であり、枝ぶりや幹の模様で植物個体の同定を行うことができる。なお、植物の一般的な同定判定要素としては、全体像は勿論のこと、花、葉、茎、枝といった各部位の形状・色などがある。本実施形態においては、植物個体の同定を高精度に担保するため、植物個体の新規登録時及び更新登録時に植物種に応じて必ず登録すべき植物の部位画像を予め規定した。なお、画像登録必須部位以外の部位について登録が可能であることは言うまでもなく、同定を高精度に行えるという観点からむしろ可能な限り様々な部位画像がアップロードされることが望ましい。
【0040】
「更新登録(年)」は、更新登録を行うべき次回の更新期限日である。更新登録は植物の部位画像のアップデート(アップロード)を含む。植物種に応じて成長速度や経年変化が異なるため、「更新登録(年)」は、植物個体の同定を高精度に担保可能な期間が規定される。より具体的に、成長速度の速い(経年変化の多い)植物種の「更新登録(年)」は短く、成長速度の遅い(経年変化の少ない)植物種の「更新登録(年)」は長く規定される。
【0041】
例えばオペルクリカリア属のパキプスの場合、「画像登録必須部位」は全体、枝である。また「更新登録(年)」が3年となっているのは、3年程度の経年変化があったとしても、更新登録時、認証権限者は目視でこの植物種の特性(特に枝の特性)を踏まえた植物個体の更新登録時の同定を精度よく行うことが可能である。逆に、オペルクリカリア属のパキプスの場合、5年程度の経年変化があると、植物個体の同定承認において精度担保という観点から望ましくない。
【0042】
一方、サクラ属のエドヒガンザクラの場合、「画像登録必須部位」は全体、幹、葉と規定されている。また「更新登録(年)」が5年となっているのは、パキプス以上に経年変化の少なく、5年程度の経年変化があったとしても、更新登録時、認証権限者は目視でこの植物種の特性(特に枝の特性)を踏まえた植物個体の同定承認を精度よく行うことが可能である。
【0043】
なお、本実施形態に係る同定とは、植物個体が同一であると見きわめること、同一判定すること、生物の分類上の所属や種名を調べて決定することをいうものである。
【0044】
図7は、本実施形態に係る認証個体DBのデータ構成例を示す図である。
図8は、本実施形態に係る認証個体DB105dのデータ構成要件例を示す図である。認証個体DB105dは、認証権限者及びユーザによって、各々の植物個体に関する情報が登録されたDBである。認証個体DB105d上、植物個体情報は同個体が存続する限り情報更新され後に引き継がれていく。認証個体DB105dの項目については、
図8の「項目の要件」の通りであるが、以下のいくつかの項目について更に説明する。
【0045】
項目NO1の「植物個体NO」は、植物個体毎に付番される固有の識別子(番号)である。項目NO2の「植物NO」は、植物DB105cの「植物NO」に対応し、当該植物個体と、植物DB105cに登録されている植物種とが紐付けられる。
【0046】
項目NO4の「有効期限」は、新規登録・更新登録日を始期とし植物属に応じて規定された有効期間の満了日(次回更新登録期限日ともいえる)を示す。「有効期限」の間は、認証個体DB105dに登録されている当該植物個体情報の有効性が認証権限者により確認された期間である。項目NO5の「ステータス」は、認証個体DB105dに登録されている当該植物個体のステータスを示す。例えば、有効、未更新、抹消(枯死など)、不明(盗難・行方不明等)の類型に分類されうる。
【0047】
項目NO8の「親株の植物個体NO」は、植物個体の系統保持のための情報であり、当該植物個体からみて親株の植物個体NOを示す。
【0048】
項目NO11の「個体の画像情報」は、植物の部位画像データである。植物画像の部位は、全体、花、葉、茎、枝など、様々な部位の画像データを含み、また上述したように、植物DB105cの「画像登録必須部位」において、当該植物種に対して規定された部位の画像データを必ず含む。
【0049】
項目NO12の「個体を登録した認証権限者ID」、項目NO13の「個体を登録した認証権限者」は、認証個体DB105dに当該植物個体を新規登録した認証権限者のID及び名称を示す。項目NO14の「個体を承認した認証権限者ID」、項目NO15の「個体を承認した認証権限者」は、当該植物個体の更新登録承認を行った認証権限者のID及び名称を示す。
【0050】
項目NO16の「認証初度登録日」は、認証個体DB105dに当該植物個体が最初に新規登録された年月日を示す。項目NO17の「認証更新日」は、最後に更新登録・承認された年月日を示す。
【0051】
項目NO18の「所有者のユーザID」、項目NO19の「個体所有者」、項目NO20の「個体所有者の連絡先」は、現在における当該植物個体の所有者(オーナー)のID、氏名又は名称、並びに連絡先を示す。所有者は一般のユーザのみならず、例えば当該植物個体を販売中の認証権限者である場合もある。
【0052】
なお、認証個体DB105dの項目に応じて、「1:参照」、「2:登録」、「3.変更・削除」といった参照・編集権限が設定されている。一般ユーザはいずれの項目についても原則「1:参照」のみの権限が付与されるが、項目NO11の「個体の画像情報」については、有効期限までにおける登録更新時に所有する植物個体の画像データを自らアップデートできるように「2:登録」の権限も付与される。
【0053】
なお、各DBの上記データ項目はあくまで一例であり、必要に応じてその他の項目を有していてもよい。
【0054】
<全体概要>
図9は、本実施形態に係る植物個体認証システムの利用フローモデルを説明する図である。
S1:認証制度運営者は、特定の生産・輸入・販売業者や学識者等、認証権限者の資格・権限を希望する者に対し、所定の審査や講習を経て、認証権限者の権限付与を行う。また認証制度運営者は、必要に応じて認証権限者に対する権限取消も行うことができる。
【0055】
S2:認証権限者は、認証権限者端末20を用いて管理サーバ10にアクセスし、認証個体DB105d上、植物個体情報の新規登録を行う。管理サーバ10(新規登録部101)は、認証権限者端末20により入力された植物個体の画像を含む植物個体情報を、認証個体DB105dに登録する。認証権限者は、必要に応じて登録した植物個体情報の変更・抹消も行うことができる。
【0056】
なお例えば、認証権限者が特定の生産・輸入・販売業者である場合、新規登録する植物個体情報は、自ら生産・輸入・販売した植物個体の情報である。また例えば、認証権限者が学識者である場合、新規登録する植物個体情報は、非認証権限者からの依頼等に応じて行う植物個体の情報である。
【0057】
ここで、植物個体情報の新規登録に際し、認証権限者は新規登録する実際の植物個体を慎重に観察し接触し、ときに他の認証権限者の意見等を交えながら、自身の責任の下、正当な植物種を特定する必要がある。即ち、認証権限者は登録した植物個体情報の正当性・正確性に責任を有する。
【0058】
S3:認証権限者は、認証権限者端末20を用いて管理サーバ10にアクセスし、認証個体DB105d上、植物個体情報を参照することができる。管理サーバ10(参照検索部102)は、認証権限者端末20に、植物個体情報を閲覧可能に参照・表示させる。例えば、認証権限者が特定の輸入・販売業者である場合、参照する植物個体情報は、これから輸入・購入しようとする植物個体の情報である。またユーザに販売しようとする植物情報の情報(資料)である。
【0059】
S4:一般のユーザは、ユーザ端末30を用いて管理サーバ10にアクセスし、認証個体DB105d上、植物個体情報を参照することができる。管理サーバ10(参照検索部102)は、ユーザ端末30に、植物個体情報を閲覧可能に参照・表示させる。ユーザが参照する植物個体情報は、例えばこれから購入しようとする植物個体の情報である。勿論、ユーザ参照動機は、購入といった目的のみに限られず、調査や研究といった目的も含め植物個体情報を自由に参照することが可能である。
【0060】
S5:植物個体の所有者(一般のユーザ及び認証権限者)は、ユーザ端末30を用いて管理サーバ10にアクセスし、有効期限内に認証個体DB105d上に登録されている植物個体情報の更新登録を行う。具体的に、少なくとも所有者は所有する植物個体の最新の画像データをアップデート(アップロード)する。アップデートすべき画像データは、上述したように、認証個体DB105d上当該所有する植物個体の「植物NO」をキーとして植物DB105cの「画像登録必須部位」において規定された部位の画像データを必ず含む。なお、有効期限内に植物個体情報の更新登録が完了されなかった植物個体については、認証個体DB105d上の「ステータス」は未更新となる。
【0061】
S6:管理サーバ10は、植物個体情報の更新登録が行われると、認証個体DB105d上「個体を登録した認証権限者」又は「個体を承認した認証権限者」の有する認証権限者端末20に、更新登録された植物個体情報についての、認証権限者による更新登録の承認リクエストを送信する。
【0062】
S7:認証権限者は、から更新登録の承認リクエストを受信すると、更新登録された植物個体情報(特に画像データ)を慎重に観察し、ときに他の認証権限者の意見等を交えながら、自身の責任の下、更新登録された植物個体情報の正当性・正確性、アップデート前及びアップデート後の最新の画像データの同定を確認した場合、更新登録を承認すべく管理サーバ10に承認を応答する。なお一方、認証権限者が更新登録された植物個体情報の正当性・正確性を確認できない場合、管理サーバ10に非承認(所有者への差し戻し)を応答する。
【0063】
管理サーバ10(更新登録部103)は、植物個体の所有者端末(認証権限者端末20又はユーザ端末30)により植物個体の種に応じて規定された期限までに認証個体DB105d上の植物個体情報の画像がアップデートされた場合、次回の期限まで植物個体情報の有効性を示す項目NO5の「ステータス」を有効のまま維持・継続する。
【0064】
<画面例>
(植物個体情報の新規登録画面例)
図10は、本実施形態に係る植物個体情報の新規登録画面例を示す図である。上述したように認証権限者は、認証権限者端末20を用いて管理サーバ10に認証権限者ID及びパスワードを入力してログイン・アクセスし、認証個体DB105d上、植物個体情報の新規登録を行うことができる(
図9のS2)。
【0065】
具体的に、認証権限者は、新規登録したい植物個体について、手元の現物個体をよく確認・観察・鑑定し、認証個体DB105dの項目NO1~24に対応する情報1001を入力する。項目NO11の「個体の画像情報」には、登録必須部位を含め、当該植物個体の画像データをアップロード1002する。項目NO3の「植物NO」OPP001のオペルクリカリア パキプスの場合、植物DB105cの「画像登録必須部位」によれば、画像登録が必須の部位は、全体、枝の画像である。但し、アップロードされるべき植物の部位画像は、必須部位であれば何でもよいというわけではない。認証個体DB105dの部位画像は、今後現物個体の同定を行うにあたって重要な判定材料として用いられるため、認証権限者は必須部位であってその中でも当該個体の固有の特徴がよく現われている画像を選別してアップロードすることが望ましい。
【0066】
なお、項目NO2の「植物NO」は植物DB105cが参照されて選択入力が可能である。このとき選択入力された植物DB105c上の「植物NO」に対応する「一般名称」「属」「種」の値が、項目NO3、6、7に自動入力されてもよい。また植物DB105cの「画像登録必須部位」に応じて、新規登録画面上、登録すべき登録必須部位が促される。また植物DB105cの「更新登録(年)」、項目NO16の「認証初度登録日」(及び項目NO17の「認証更新日」)に応じて、項目NO4の「有効期限」が自動入力されてもよい。植物DB105cの「更新登録(年)」が3年の場合、項目NO16の「認証初度登録日」に2018/1/1が入力されると、項目NO4の「有効期限」に2021/1/1が自動入力されうる。
【0067】
(植物個体情報の参照画面例)
図11は、本実施形態に係る植物個体情報の参照画面例を示す図である。上述したように認証権限者及びユーザは、管理サーバ10にインターネット等のネットワーク50を介してアクセスし、認証個体DB105d上の植物個体情報を問合せ・参照することができる(
図9のS3及びS4)。
【0068】
具体的に、認証権限者及びユーザは、登録されている植物個体について、例えば「植物個体NO」をキーとして検索1003するなどして、認証個体DB105dの項目NO1~24に対応する情報1004を参照することが可能である。また、項目NO11の「個体の画像情報」において、登録必須部位を含め、当該植物個体の画像データを参照表示1005が可能である。特に項目NO11の「個体の画像情報」は、手元所有の現物個体と比較し同定(同一判定)を行うことで、現物個体が確かに認証個体DB105dに登録された正当な植物個体であるとの判定材料として用いられる。
【0069】
また、認証権限者及びユーザは、登録されている植物個体の情報を、出力することが可能である。例えば「出力」1006を押下操作した場合、任意の出力形式(非図示)で、認証個体DB105d上の植物個体情報を出力できる。
【0070】
図12は、本実施形態に係る植物個体情報のラべル出力例を示す図である。本実施形態に係るラベルは、印刷装置(非図示)からQRコード(登録商標)及び「個体名称」が園芸ラベル用紙に印刷されて出力されたものである。コードは、QRコードは、少なくとも認証個体DB105d上からの「植物個体NO」を含む植物個体情報がコード化された情報である。なおQRコード(登録商標)は、バーコードなど他のコード形式であってもよい。認証権限者及びユーザは、出力したラベルを、園芸ラベルとして植物個体(現物)の鉢植に付加することで、販売・鑑賞時等において当該植物個体に関する情報表示に役立てることができる。
【0071】
(植物個体情報の更新登録画面例)
図13は、本実施形態に係る植物個体情報の更新登録画面例を示す図である。上述したように植物個体の所有者は、管理サーバ10にアクセスし、認証個体DB105d上、植物個体情報の更新登録を行うことができる(
図9のS5)。この定期更新制度により植物個体情報の正確性・信頼性を長期にわたって確保することが可能である。
【0072】
具体的に、所有者は、更新登録したい植物個体について、認証個体DB105dの項目NO1~24に対応する情報1007を確認する。変更等がある場合は、認証権限者に変更を依頼する。また、所有者は、項目NO11の「個体の画像情報」に、登録必須部位を含め、更新登録する当該植物個体の最新の画像データをアップデート(アップロード)1008する。また更新登録時にアップデートされるべき植物の部位画像は、前回の画像と同一部位を撮影した画像である。
【0073】
また所有者が一般のユーザである場合、ユーザが更新登録した内容につき認証権限者による承認が必要である。認証権限者は、前回の画像データと、一般の所有者ユーザにより今回アップデートされた対応画像データとの目視比較により、更新登録された植物個体が確かに認証個体DB105dにそれまで登録されていた当該植物個体と同定(経年変化を考慮しても同一)であると判断した場合、更新登録を承認する(
図9のS7)。
【0074】
以下の実施形態についても言及する。
・更新登録時、管理サーバ10がAIプログラム等により、前回の画像データと、今回アップデートされた対応画像データとを比較し、経年変化を加味した画像同一判定(自動同定判定)をしてもよい。算出された同一類似スコアが所定スコア以上の場合、所有者が項目NO11の「個体の画像情報」に、更新登録する当該植物個体の最新の画像データをアップデート(アップロード)後、即座に更新登録の承認が可能となる。
【0075】
・植物個体の盗難時等、所有者は認証権限者に依頼し、認証個体DB105d上、当該植物個体の「ステータス」を盗難と変更してもらう。
【0076】
・一般のユーザが参照可能な情報項目は、プライバシー・セキュリティ保護の観点から個人情報に関する情報(例えばNO項目19,20など)を除いたものとすることも可能である。
【0077】
・有効期限を超過し、更新登録がされていない植物個体は「未更新」のステータスでデータ保持されるが、認証権限者が有効期限日に遡及した更新を行うか、新たな植物個体NOで再登録するかのいずれかを行うことができる。
【0078】
・認証個体DB105dの各項目(フィールド)は、項目に応じて必須項目、任意項目を設けることも可能である。
【0079】
・植物個体認証制度を運用・管理する認証制度運営者は、植物の業界団体組織等となるが、認証制度運営者の役割としては、認証権限者の権限付与や取消、登録された認証個体DBに不適正な登録がないかなどの監査及び是正、盗品として登録された個体についてのインターネットでの画像調査、植物の属や種の変更や新種の登録があった際の植物DB105cの再構成がある。
【0080】
<絶滅危惧種の保護活動における活用事例>
例えばワシントン条約(以下CITES)附属書1に指定されている植物は、日本国内においても「種の保存法」による規制されており、CITES1の動植物はそのまま種の保存法の「国際希少野生動植物種」に分類され、「国内取引の原則禁止」がルールとして定められている。
【0081】
昨今、園芸品種として高額で流通している塊根植物では「Pachypodium ambongense」がこれに該当しており、国内での実生の歴史は浅い為、幹幅が10cmを超える(推定樹齢が50年を超える)個体は、経産省が定める由来を示すコード(Source code)「O」が付される。また、許可を得て輸入された個体に対してもソースコードが輸入許可証に記載されているため、植物個体認証システム100の植物個体DB105dに輸入・採取の許可NO(例えば項目NO23)に、当該コードを登録しておくことを認証ルールとして設ける。
【0082】
認証権限者が上記に指定されている種のソースコードを記載せずに認証を行った場合や、虚偽のソースコードをもって認証した場合には、参照可能となる一般のユーザや他の認証権限者などがソースコードを確認し、不審な登録の疑いある場合に認証制度運営者に通知でき、認証制度運営者の調査によって、例えば、外国為替及び外国貿易法違反や種の保存法違反の疑義を当局に報告する仕組みを設ける。
【0083】
例えば、違法な取引による個体である疑いがある場合、認証制度運営者は、違法な輸入や取引があるものとしてその疑義を当局に報告と当局の求めに応じた根拠法に基づく情報の開示、違法行為に認証権限者が関与している場合の認証権限の解除を行う。一方、適法な取引によるもので認証個体DBへの登録上の不備の場合、認証制度運営者は、ソースコードの付加などの認証個体DB登録内容の是正、認証権限者の他の認証・登録内容の調査を行う。
【0084】
上記によって植物個体認証システム100の普及によって社会の目が違法な取引を監視する仕組みが機能し、不法な輸入や取引を牽制し、絶滅危惧種の保護に貢献することが期待できる。
【0085】
<総括>
本実施形態に係る植物個体認証によれば、例えば下記の効果を奏することが可能である。
(1)絶滅危惧種や天然記念物においては、植物の個体認証によって、その数や流通の状況を把握することがでる。また植物個体DB105dに輸入・採取の許可NO(例えば項目NO23)を登録することで、違法な採取・輸入の規制や栽培家による保全状況を把握することができ、適正な種の保護を行うことが期待できる。更に植物個体DB105dにはワシントン条約や国、自治体で定められたカテゴリ(例えば項目NO8)を登録することで保護に対する意識を高める効果も期待できる。
【0086】
国や自治体が天然記念物などに指定した厳格な保護を要する植物個体や地域住民が樹木を保護することとした植物個体は、認証権限者によって植物個体DB105dに登録し、インターネット上に公開することで、保護活動の社会への発信に役立てることができる。また、植物個体DBには国の天然記念物、自治体の天然記念物、地域住民による保護活動対象の樹木等の保護ステータス(例えば項目NO8)を登録することで保護に対する意識を高める効果も期待できる。
【0087】
(2)貴重な植物個体の系統を後世に適正に引き継いでいくために、当該植物個体及び当該個体から挿し木や実生などで増殖された植物個体を認証し、植物個体DB105dにおいて項目NO21の「養殖方法」への登録を行う。また増殖個体は項目NO9の「親株の認証NO」が登録されるため、相互の「認証個体NO」が紐付くこととなる。結果として当該植物の系統を高い精度で永続的に保護し、増殖個体のブランディングや幅広い移植などに繋げていくことが期待できる。
【0088】
(3)希少で高額な植物を購入する際に、一般のユーザ(購入者)は園芸ラベルに記されたQRコード(登録商標)もしくは植物個体の写真をスマホ等で読み込み、植物個体DB105dに問い合わせを行うことで、正規登録認証された有効な個体であることを確認でき、結果として安心して植物個体を購入することが期待できる。
【0089】
また、生産・輸入・販売業者は、認証制度運営者から認証者権限を得て、正規の品種の植物個体を認証制度下のブランディングのもと販売を行うことができる。また、近年の植物に対するDNA分析などにおいて、既に野生絶滅している種の植物が園芸品種として流通していることが判明した場合などは、植物個体DB105dから当該品種の保有状況が確認できるため、植物個体DB105dの再構成を行うことで正確な管理を行うことができる。これによって植物個体の再評価や自生地の復元活動などに繋げることも期待できる。
【0090】
(4)植物個体が盗難に遭った際は、植物個体DB105dにおいて項目NO5の「ステータス」に盗難・行方不明などを記録しておき、例えば転売された場合、購入者が植物個体の「ステータス」を問い合わせたり、インターネットサービスで不法に出品される際には、当該植物個体の画像から盗品であることを推認・特定することが可能となり、盗難への牽制、盗品の判定・回収などに役立てることができる。
【0091】
このように希少な植物を保護・販売する業界や自治体が、デファクトスタンダードとして本発明を利用することで、更なる植物保護活動の進化や業界の発展に繋がっていくことを期待することができる。
【0092】
以上、本実施形態によれば、適切に植物の情報管理を行うことで植物個体の保護等を支援する植物個体認証システムを提供することができる。なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【0093】
本発明は、上述の実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記録媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し作動させる処理でも実現可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 管理サーバ
20 認証権限者端末
30 ユーザ端末
50 ネットワーク
100 植物個体認証システム
101 新規登録部
102 参照検索部
103 更新登録部
105 記憶部
【要約】 (修正有)
【課題】適切に植物の情報管理を行うことで植物個体の保護等を支援する植物個体認証装置及び植物個体認証方法を提供する。
【解決手段】管理サーバ10において、認証権限者端末により入力された植物個体の画像を含む植物個体情報を、記憶手段に登録する新規登録部101、ユーザ端末に、植物個体情報を参照させる参照制御部102及び植物個体の所有者端末により植物個体の種に応じて規定された期限までに記憶手段に登録された植物個体情報の画像がアップデートされた場合、次回の期限まで該植物個体情報の有効性を示すステータスを継続する更新登録部103を備える。
【選択図】
図3