(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】下部容器、包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/04 20060101AFI20230818BHJP
B65D 43/16 20060101ALI20230818BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
B65D43/04 200
B65D43/16 300
B65D77/04 A
(21)【出願番号】P 2022126447
(22)【出願日】2022-08-08
【審査請求日】2023-05-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小林 泰爾
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-132507(JP,A)
【文献】特開2005-59904(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0118562(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0206886(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/04
B65D 43/16
B65D 77/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容底面部と、
前記収容底面部から上方へ延びる周壁部と、
前記周壁部の内周側に位置し、容器本体と蓋体とがヒンジ部で連結されている方形の蓋一体型容器を上部容器として、当該上部容器の外縁部を支持して前記収容底面部の上方に載置する載置段部と、
前記載置段部よりも上方に位置し、前記載置段部に載置された前記上部容器の外縁部を係止する係止部と、
前記載置段部に載置された前記上部容器の前記ヒンジ部に対応する部位に設けられた逃がし部と、を有し、
前記逃がし部は、前記上部容器が前記載置段部に載置され、且つ前記係止部により前記外縁部が係止された状態において、前記蓋体の開閉時に生じる前記ヒンジ部の開拡が可能な部位を有する下部容器。
【請求項2】
前記載置段部は、前記ヒンジ部を載置するヒンジ載置段部を有する請求項1に記載の下部容器。
【請求項3】
前記係止部は、前記ヒンジ載置段部の上方に位置し、前記ヒンジ部を係止するヒンジ係止部を有する請求項2に記載の下部容器。
【請求項4】
前記載置段部に載置された前記上部容器の前記容器本体の底面部と前記収容底面部との間に、所定の収容空間部が確保されている請求項1に記載の下部容器。
【請求項5】
前記載置段部は、前記周壁部の全周に亘って環状に形成されている請求項1に記載の下部容器。
【請求項6】
前記周壁部の上端部から側方に平坦に延びるフランジ部をさらに有し、
前記フランジ部の内側端部が、載置かつ係止された状態の前記上部容器の前記蓋体の開方向への移動を途中で規制するストッパー機能を有する請求項1に記載の下部容器。
【請求項7】
容器本体と蓋体とがヒンジ部で連結されている方形の容器である上部容器と、
請求項1から6の何れか1項に記載の下部容器と、を備える包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等を収容することができる下部容器、包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品のテイクアウト販売を行っている各種店舗等においては、弁当や総菜等の各種の食品が、包装用容器に収容された状態で販売されている。また、台の上に並べられた各種惣菜の中から、必要なものを必要な量だけ包装用容器に収容して購入することも行われている。包装用容器へ収容する作業は、店舗従業員が行う場合もあれば、購入者自らが行う場合もある。
【0003】
包装用容器の形状および構造等は多種多様であるが、一例として、容器本体と蓋体とがヒンジ部で接続された蓋一体型容器、いわゆるフードパックが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、容器本体および蓋体に加えて中皿を備えた包装用容器もある(例えば、特許文献2)。このような容器においては、中皿の下に例えば米飯や麺類等が収容され、中皿の上に惣菜や丼の具材等が収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-41599号公報
【文献】特開2015-145285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蓋一体型容器は、容器本体の閉蓋および開蓋が簡単に行える利便性の高い製品であるが、内部が仕切られていないため食品を分離して収容する観点では劣る。
【0007】
これに対し、中皿を備えた包装用容器は、内部を中皿にて上下に仕切ることができるため、異なる食品等を分離して収容する点では優れている。しかしながら、容器本体、蓋体および中皿と、部品が分かれているため、蓋一体型容器のような利便性を有するものではない。
【0008】
本発明の一態様は、蓋一体型容器を上部容器として利用して、蓋一体型容器の利便性を損なうことなく収容空間を上下に分けて食品等を収容できる下部容器、およびこの下部容器と蓋一体型容器とで構成される上下二段の包装用容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る下部容器は、収容底面部と、前記収容底面部から上方へ延びる周壁部と、前記周壁部の内周側に位置し、容器本体と蓋体とがヒンジ部で連結されている方形の蓋一体型容器を上部容器として、当該上部容器の外縁部を支持して前記収容底面部の上方に載置する載置段部と、前記載置段部よりも上方に位置し、前記載置段部に載置された前記上部容器の外縁部を係止する係止部と、前記載置段部に載置された前記上部容器の前記ヒンジ部に対応する部位に設けられた逃がし部と、を有し、前記逃がし部は、前記上部容器が前記載置段部に載置され、且つ前記係止部により前記外縁部が係止された状態において、前記蓋体の開閉時に生じる前記ヒンジ部の開拡が可能な部位を有する。
【0010】
上記構成によれば、下部容器の載置段部および係止部にて、下部容器の上に上部容器を載置して係止させることができる。これにより、下部容器の上に上部容器が安定してセットされた、二段構造の包装用容器が実現する。しかも、下部容器には、下部容器にセットされた状態の上部容器における蓋体の開閉時に生じるヒンジ部の開拡が可能な部位を有する逃がし部が形成されているので、下部容器にセットした状態の上部容器の蓋体を自由に開閉することができる。
【0011】
本発明の一態様として、前記載置段部は、前記ヒンジ部を載置するヒンジ載置段部を有していてもよい。
【0012】
上記構成によれば、上部容器の蓋体の開閉に伴い形状が変化するヒンジ部を安定的に支持することができるので、蓋体の開閉動作が安定する。
【0013】
本発明の一態様として、前記係止部は、前記ヒンジ載置段部の上方に位置し、前記ヒンジ部を係止するヒンジ係止部を有していてもよい。
【0014】
上記構成によれば、上部容器の蓋体の開閉に伴い形状が変化するヒンジ部を係止することで、蓋体の開閉動作が安定する。
【0015】
本発明の一態様として、前記載置段部に載置された前記上部容器の前記容器本体の底面部と前記収容底面部との間に、所定の収容空間部が確保されていてもよい。
【0016】
本発明の一態様として、前記載置段部は、前記周壁部の全周に亘って環状に形成されていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、下部容器の載置段部に、上部容器の外縁部が全周に亘って載置されるので、より安定した状態で上部容器を下部容器の上に載置することができる。
【0018】
本発明の一態様として、前記周壁部の上端部から側方に平坦に延びるフランジ部をさらに有し、前記フランジ部の内側端部が、載置かつ係止された状態の前記上部容器の前記蓋体の開方向への移動を途中で規制するストッパー機能を有していてもよい。
【0019】
上記構成によれば、フランジ部にて上部容器の蓋体の開方向への移動が途中で規制されるので、蓋体を半開きの状態とすることができる。これにより、蓋体が開き切ることを防いで、蓋体が開いた状態での二段構造の包装用容器が占める占有面積を小さくできる。
【0020】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る包装用容器は、容器本体と蓋体とがヒンジ部で連結されている方形の容器である上部容器と、上述した本発明の一態様の下部容器と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、蓋一体型容器を上部容器として利用して、蓋一体型容器の利便性を損なうことなく上下で収容空間を分けて食品等を収容できる下部容器、および下部容器と蓋一体型容器とで構成される二段構造の包装用容器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器の閉蓋状態での斜視図である。
【
図2】
図1の包装用容器の開蓋状態での斜視図である。
【
図3】
図1の包装用容器の上部容器の、開蓋状態での容器本体側から見た斜視図である。
【
図4】
図1の包装用容器の下部容器2の斜視図である。
【
図8】
図1の包装用容器における、閉蓋状態での連結辺側の要部の概略端面図である。
【
図9】
図1の包装用容器における、開蓋状態での連結辺側の要部の概略端面図である。
【
図10】
図1の包装用容器における、下部容器に対する上部容器の向きを説明する図である。
【
図11】
図9に示す開蓋状態の上部容器を180度回転させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一態様に係る包装用容器では、蓋一体型容器自体が、上下を仕切る中皿としての機能および包装用容器の蓋体としての機能を有し、かつ、蓋一体型容器が有する利便性を損なうこともなく、上下に分離した収容が可能となる。
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図10を参照して説明する。本実施形態では、本発明の一態様に係る包装用容器として、食料品を被収容物として収容する食品の包装用容器を例に挙げて説明する。但し、本発明の一態様に係る包装用容器が収容する被収容物は、食料品に限定されない。
【0025】
(包装用容器の概要)
図1、
図2を用いて、本発明の一実施形態に係る包装用容器1の概要について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る包装用容器1の閉蓋状態での斜視図である。
図2は、
図1の包装用容器1の開蓋状態での斜視図である。
【0026】
図1、
図2に示すように、本実施形態では、包装用容器1は、平面視で方形をなし、平面視で矩形をなしている。包装用容器1は、下部容器2と上部容器3と、を備える。上部容器3は、ヒンジ部33を有する蓋一体型容器であり、上部容器3の蓋体32が包装用容器1の蓋となっている。つまり、包装用容器1は、収容空間が上下に分離された二段構造の包装用容器である。下部容器2の後述する収容底面部21が包装用容器1の底を構成し、上部容器3の本体底面部34が包装用容器1の上下を仕切る中底を構成し、上部容器3の蓋体32が包装用容器1の蓋を構成している。
【0027】
そして、包装用容器1は、下部容器2の上に上部容器3を載置して係止させた状態で、上部容器3の蓋体32を自在に開閉することができるようになっている。以下において、下部容器2の上に上部容器3を載置して係止させることを、「セットする」とも称し、その状態を「セットされた状態」とも称する。
【0028】
下部容器2および上部容器3は、特に限定するものではないが、合成樹脂シートを熱成形して製造することができる。合成樹脂シートは、非発泡樹脂シート、発泡樹脂シートの何れでもよい。
【0029】
非発泡樹脂シートの場合には、厚みが0.12mm~0.45mmの範囲内、特に0.18mm~0.30mmの範囲内のシートを用いるのが好ましい。また、発泡樹脂シートの場合には、厚みが0.3mm~3.0mmの範囲内、特に0.5mm~2.0mmの範囲内のシートを用いるのが好ましい。さらに、発泡樹脂シートの場合には、発泡倍率を1.05倍~20.0倍、特に1.5倍~15.0倍にするのが好ましい。
【0030】
非発泡樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂シート,ポリプロピレン系樹脂シートなどのポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シート,耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートなどのポリエステル系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートを用いることができる。また、電子レンジの加熱に耐え得るもの、例えば、耐熱性ポリスチレン系樹脂シート、ポリプロピレン系樹脂シート、耐熱性を付与した変性ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートを用いてもよい。
【0031】
発泡樹脂シートとしては、例えば、発泡ポリオレフィン系樹脂シート、発泡ポリスチレン系樹脂シート、発泡ポリエチレンテレフタレートなどの発泡ポリエステル系樹脂シートを用いることができる。
【0032】
合成樹脂シートを積層した積層シートを用いることもでき、積層シートとしては、例えば、非発泡樹脂シートまたは発泡樹脂シートに樹脂フィルムを熱ラミネートした積層シート、共押出法による積層シート、押出ラミネート法による積層シートなどを挙げることができる。
【0033】
熱成形としては、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形などを挙げることができる。
【0034】
下部容器2および上部容器3は、黒色や白色などの有色でもよいし、内部が視認できるように透明あるいは半透明としてもよい。本実施形態では、下部容器2は黒色・不透明であり、上部容器3は無色透明である。下部容器2および上部容器3には、補強のためのリブ等を設けてもよい。
【0035】
(上部容器)
上部容器3は、下部容器2の上方に載置されることで、下部容器2の開口部を塞ぐ蓋としても機能する(
図1,2参照)。
図3は、
図1の包装用容器1の上部容器3の、開蓋状態での容器本体31側から見た斜視図である。上部容器3は、各種の食品を収容する、いわゆるフードパックと称されるものである。
【0036】
図3に示すように、上部容器3は、容器本体31と蓋体32とがヒンジ部33で接続された蓋一体型容器である。蓋体32は、ヒンジ部33により容器本体31に対して水平方向の軸線回りに上下に回動可能である。容器本体31および蓋体32、並びに両者を連結一体化するヒンジ部33の具体的な構成は何れも任意であるが、例えば図示のような構成を採用できる。
【0037】
本実施形態では、容器本体31は平面視で矩形をなし、本体底面部34と、本体側面部35と、凸形状部36と、本体フランジ部37と、を備えている。
【0038】
本体底面部34は、平面視で矩形をなす。本体側面部35は、本体底面部34の外縁から上方に上広がりとなるように傾斜して立ち上がる壁面である。本体側面部35は、本体底面部34の外縁を囲うように四方(四辺)に設けられている。
【0039】
凸形状部36は、本体側面部35の上端の側方に全周に亘って設けられており、上に向かって凸をなす。具体的には、凸形状部36は、本体側面部35の上端において、僅かに側方に延びた後立ち上がり、その後側方に平坦に延び、再度立ち下がることで形成されている。
【0040】
本体フランジ部37は、凸形状部36を形成する外側の壁の下端に全周に亘って設けられている。具体的には、本体フランジ部37は、凸形状部36を形成する外側の壁の下端から側方に平坦に延びるように形成されている。
【0041】
蓋体32は、容器本体31に対応する形状であって平面視で矩形をなし、閉蓋状態において容器本体31と対峙できるように構成されている。蓋体32は、閉蓋状態において上方に膨出した形状となっている。
【0042】
蓋体32は、天面部38と、蓋側面部39と、凹形状部40と、蓋フランジ部41と、を備えている。なお、
図3は、開蓋状態を示しているが、説明の便宜上、蓋体32の各部の構成は、閉蓋状態を基準に説明する。
【0043】
天面部38は、平面視で矩形をなす。蓋側面部39は、閉蓋状態において天面部38の外縁から下方に下広がりとなるように傾斜して立ち下がる壁面である。蓋側面部39は、天面部38の外縁を囲うように四方(四辺)に設けられている。
【0044】
凹形状部40は、蓋側面部39の下端から全周に亘って設けられた、閉蓋状態において上に向かって凹をなす。具体的には、凹形状部40は、閉蓋状態で蓋側面部39の下端において、僅かに側方に延びた後立ち上がり、その後側方に平坦に延び、再度立ち下がることで形成されている。
【0045】
蓋フランジ部41は、凹形状部40を形成する外側の壁の下端に全周に亘って設けられている。具体的には、蓋フランジ部41は、閉蓋状態において凹形状部40を形成する外側の壁の下端から側方に平坦に延びるように形成されている。
【0046】
本実施形態では、容器本体31の凸形状部36が蓋体32の凹形状部40に嵌合することで、蓋体32が容器本体31に係止(嵌合)され、上部容器3が閉蓋状態となる。本体フランジ部37と蓋フランジ部41とは、閉蓋状態で重なり合うように構成されている。
【0047】
ヒンジ部33は、本体フランジ部37と蓋フランジ部41との間の連結部分に設けられている。容器本体31と蓋体32とはヒンジ部33にて連結されている。本実施形態では、ヒンジ部33は、本体フランジ部37および蓋フランジ部41における長辺の側に形成されている。以下、ヒンジ部33が位置する辺を連結辺と称し、連結辺と相対する辺を開封辺と称する。
【0048】
ヒンジ部33は種々の形状が可能であり、
図3では、ヒンジ部33として断面円弧状のものを示している。ヒンジ部33は、断面コの字状のものであってよい。また、ヒンジ部33は、開蓋状態においては平坦状であって、閉蓋状態では折り曲げ部によって上下二つ折りに折り畳まれる構成などであってもよい。折り曲げ部は、ヒンジ部33の中央において直線状に形成された部分である。
【0049】
上述した本体フランジ部37および蓋フランジ部41と、ヒンジ部33とが、上部容器3の外縁部に位置している。上部容器3の外縁部の少なくとも一部が、下部容器2の後述する載置段部24(
図4参照)に支持されることで、上部容器3は下部容器2の上方に載置される。すなわち、「外縁部」とは、ヒンジ部33が形成されている一辺側の連結辺と、当該ヒンジ部33が形成されていない本体フランジ部37および蓋フランジ部41の一辺側である、前記連結辺と相対する開封辺と、を少なくとも含むものである。
【0050】
蓋フランジ部41における開封辺には、蓋摘み部(摘み部)42が形成されている。同様にして、本体フランジ部37における開封辺には、本体摘み部(摘み部)43が形成されている。上部容器3の閉蓋状態において、蓋摘み部42と本体摘み部43とは重なり合うように構成されている。
【0051】
蓋摘み部42を指先に摘むことで、容器本体31に対して蓋体32を容易に開くことができる。また、蓋摘み部42と本体摘み部43とが重なり有っている部分を一緒に摘むことで、下部容器2から上部容器3を容易に取り外すことができる。本実施形態では、蓋摘み部42および本体摘み部43は何れも、開封辺の両端に形成されている。
【0052】
(下部容器)
下部容器2は、上方に上部容器3を載置可能に構成されており、上部容器3を載置することで二段構造の包装用容器1を実現する包装用容器の一種である(
図1,2参照)。
【0053】
図4は、
図1の包装用容器1の下部容器2の斜視図である。
図5は、
図4の下部容器2の平面図である。
図6は、
図5のA-A線矢視断面図である。
図7は、
図5のB-B線矢視断面図である。なお、
図6、
図7においては、切断断面を実際より太く記載して強調している。
図8は、
図1の包装用容器1における、閉蓋状態での連結辺側の要部の概略端面図である。
図9は、
図1の包装用容器1における、開蓋状態での連結辺側の要部の概略端面図である。
図9に示すヒンジ部33の状態が、ヒンジ部33の開拡状態である。なお、
図8、
図9においては、包装用容器1の連結辺側を縦方向に切断した端面のみを示している。
図10は、
図1の包装用容器1における、下部容器2に対する上部容器3の向きを説明する図である。
図11は、
図9に示す開蓋状態の上部容器を180度回転させた状態を示す図である。
【0054】
図4、
図5に示すように、下部容器2は、上部容器3に対応する形状であって平面視で矩形をなし、上方が開放されている。下部容器2は、収容底面部21と、収容底面部21から上方に延びる周壁部22と、容器フランジ部(フランジ部)23と、載置段部24と、係止部25と、逃がし部26と、を備えている。
【0055】
本実施形態では、収容底面部21は、平面視で概ね矩形をなし、外縁は平面視で九十九折状を呈している。また、収容底面部21の外縁部には、他の部分よりも一段低くなった凹部21-1が形成され、凹部21-1以外の部分は平坦に形成されている。
【0056】
周壁部22は、収容底面部21の外縁から上方に上広がりとなるように傾斜して立ち上がるように形成され、周壁部22の上端部22aで囲まれる部分が開口部となっている。周壁部22は、収容底面部21の外縁と接続された第1周壁部22-1と、第1周壁部22-1の上方に位置する第2周壁部22-2とを有している。
【0057】
第1周壁部22-1は、下部容器2の中央に向かって迫り出す(膨らむ)ように形成され、第1周壁部22-1の上端と第2周壁部22-2の下端との間に、平坦な段差部が設けられている。この段差部が載置段部24を構成する。
【0058】
なお、第1周壁部22-1における収容底面部21と平行な面で切った断面形状および載置段部24の内側の縁の形状も、九十九折状を呈している。
【0059】
載置段部24は、周壁部22の内周側に位置し、上部容器3の外縁部を支持して収容底面部21の上方に上部容器3を載置する。載置段部24が設けられることで、下部容器2の上方に上部容器3を載置することができる(
図1、
図2参照)。本実施形態では、載置段部24は、上部容器3の外縁部に少なくとも一部が突き当たることで上部容器を支持している。
【0060】
図8、
図9に示すように、載置段部24に載置された上部容器3の容器本体31の本体底面部(底面部)34と収容底面部21との間には、所定の高さhを有する所定の収容空間部が確保されている。つまり、載置段部24は、載置段部24に載置された上部容器3の本体底面部34と収容底面部21との間に、所定の高さhを確保し得る高さに設けられている。
【0061】
また、本実施形態では、載置段部24は、ヒンジ部33を載置するヒンジ載置段部24-1を有している。ヒンジ載置段部24-1は、ヒンジ部33と突き当たってヒンジ部33を支持している。このような構成とすることで、
図8、
図9に示すように、上部容器3の蓋体32の開閉に伴い形状が変化するヒンジ部33をヒンジ載置段部24-1に載置して安定的に支持することができ、蓋体32の開閉動作が安定する。
【0062】
また、本実施形態では、第1周壁部22-1は、全周に亘って第2周壁部22-2よりも内側に位置している。そのため、載置段部24は周壁部22の全周に亘って環状に形成されている。このような構成とすることで、上部容器3の外縁部が全周に亘って下部容器2に支持され、より安定した状態で上部容器3を下部容器2の上に載置することができる。
【0063】
また、本実施形態では、第1周壁部22-1は、各辺の中央部分および四隅のコーナ部において他の部分よりも大きく迫り出しており、各辺の中央部分および四隅のコーナ部に位置する載置段部24が他の部分よりも広い面積を有している。このような構成とすることで、第1周壁部22-1が下部容器2の迫り出しによっても一定程度の収容量を確保しつつ、要所に設けられた広い面積の載置段部24にて、安定的に上部容器3を支持することができる。
【0064】
なお、載置段部24の構成は、
図4、
図5に例示した構成に限定されるものではなく、上部容器3の外縁部と突き当たって上部容器3を支持(保持)できるものであればよい。例えば、第2周壁部22-2に下部容器2の中央に向かって凸をなし、水平方向に延在するリブ形状に形成し、その上面を載置段部としてもよい。また、下部容器2の開口部が平面視で面取りされた矩形形状となるように、周壁部22の内側の四隅のコーナ部にのみ載置段部を設けてもよい。
【0065】
係止部25は、載置段部24よりも上方に位置し、載置段部24に載置された上部容器3の外縁部を係止する。係止部25が設けられることで、上部容器3を下部容器2に係止することができる。本実施形態では、係止部25は、周壁部22の内周側に設けられている。
【0066】
本実施形態では、係止部25は、周壁部22の上端部22aに位置しており、
図6に示すように、第2周壁部22-2に下部容器2の中央に向かって凸をなすリブ形状に設けられている。係止部25の下面に上部容器3の外縁部の上面が突き当たることで上部容器3が係止される。本実施形態では、このような係止部25は、周壁部22の上端部22aに上端部22aの縁が延びる方向に延設され、各辺において2個ずつ合計8個設けられている。
【0067】
また、本実施形態では、係止部25は、ヒンジ載置段部24-1の上方に位置し、ヒンジ部33を係止するヒンジ係止部25-1を有している。このような構成とすることで、
図8、
図9に示すように、上部容器3の蓋体32の開閉に伴い形状が変化するヒンジ部33をヒンジ係止部25-1にて係止することができ、蓋体32の開閉動作が安定する。
【0068】
なお、係止部25の構成および設ける位置は、
図4、
図5に例示した構成に限定されるものではなく、載置段部24に載置された上部容器3の外縁部を係止できるものであればよい。
【0069】
逃がし部26は、載置段部24に載置された上部容器3のヒンジ部33に対応する部位に設けられている。本実施形態では、逃がし部26は、周壁部22に設けられている。
逃がし部26は、上部容器3が載置段部24に載置され、且つ係止部25により外縁部が係止された状態において、蓋体32の開閉時に生じるヒンジ部33の開拡が可能な部位を有している。つまり、逃がし部26は、載置かつ係止された状態(セットされた状態)の上部容器3におけるヒンジ部33の開拡時の形状の変化を逃がして、蓋体32の開閉を可能にする。
【0070】
逃がし部26が設けられることで、上部容器3が下部容器2の上にセットされた状態でも、上部容器3の蓋体32を自在に開閉することがきる。逃がし部26は、容器本体31に対して蓋体32を90度以上の角度で開くことを可能にする。
【0071】
本実施形態では、ヒンジ載置段部24-1とヒンジ係止部25-1との間隔を、ヒンジ部33の開拡時の形状の変化を逃がし得る距離とすると共に、ヒンジ係止部25-1の上方に蓋体32の開閉を可能とする空間を確保することで逃がし部26が形成されている。ヒンジ部33以外の部分で上部容器3の外縁部を係止し、ヒンジ係止部25-1を設け無い構成とすることで、ヒンジ載置段部24-1の上方に蓋体32の開閉を可能とする空間を確保し、逃がし部26としてもよい。要は、逃がし部26は、セットされた状態の上部容器3のヒンジ部33が位置する部分に、蓋体32の開閉時のヒンジ部33の開拡時の形状の変化を可能とする空間を確保できる形状であればよい。
【0072】
容器フランジ部23は、周壁部22の上端部22aから側方に平坦に延びるように形成されている。容器フランジ部23は、周壁部22の上端部22aの全周に亘って設けられている。
【0073】
図9に示すように、容器フランジ部23の内側端部、つまり周壁部22の上端部22aは、下部容器2の上にセットされた上部容器3の蓋体32の開方向への移動を途中で規制するストッパー機能を有している。このような構成とすることで、下部容器2の上にセットされた上部容器3の蓋体32が開き過ぎることを防いで半開き状態とすることができる。これにより、蓋体32が開いた状態での二段構造の包装用容器1が占める占有面積を小さくできる。
【0074】
本実施形態では、
図4、
図5に示すように、載置段部24および係止部25、並びに逃がし部26は、収容底面部21の中心を中心として点対称に設けられている。このような構成とすることで、
図10の符号101および符号102の図に示すように、下部容器2に対して上部容器3を180度回転させても上部容器3をセットすることができる。そして、
図11に示すように、上部容器3を180度回転させても上部容器3の蓋体32の開閉が可能である。
【0075】
これにより、上部容器3を載置する際、上部容器3の開封辺を下部容器2の2つある長辺のどちら側に位置させるか等を考慮する必要がなく、下部容器2と上部容器3との形状のみ合わせることで容易にセットすることができる。
【0076】
また、本実施形態では、
図4、
図5、
図7に示すように、容器フランジ部23の対角位置に一対の隅切り部27が形成されている。隅切り部27は、セットされた上部容器3の摘み部である蓋摘み部42および本体摘み部43の先端を下部容器2の外縁部よりはみ出させて、摘み部を摘んでの蓋体32の開操作を容易にするものである。このような隅切り部27が、容器フランジ部23の対角位置に一対設けられることで、180度回転させて上部容器3をセットした場合でも、必ず摘み部をはみ出させることができる。
【0077】
また、本実施形態では、隅切り部27が位置する第2周壁部22-2のコーナ部には、第2周壁部22-2の上端から第1周壁部22-1の上端に向かって末広がりとなるように傾斜した傾斜面28が形成されている。傾斜面28が設けられることで、セットされた上部容器3の蓋摘み部42および本体摘み部43が、斜め上方を向くようになり、先端部が斜め上方を向いてはみ出るようになる。これにより、蓋摘み部42および本体摘み部43の両方を摘み、下部容器2から上部容器3を取り外す操作がより容易になる。
【0078】
(効果)
以上のように、本実施形態の下部容器2および包装用容器1によれば、蓋一体型容器である上部容器3を、包装用容器1の収容空間の上下を仕切る中皿としての機能および包装用容器1の蓋体として機能させ、かつ、蓋一体型容器が有する利便性を損なうこともなく、上下に分離した収容が可能となる。しかも、下部容器2には、上部容器3のヒンジ部33の開拡時の形状の変化を逃がして蓋体32の開閉を可能にする逃がし部26が形成されているので、下部容器2にセットした状態でも、上部容器3の蓋体32を自由に開閉することができる。
【0079】
これにより、ご飯や麺等を収容した下部容器2の上に、天ぷら等の惣菜を収容した上部容器3をセットした状態でも、簡単に蓋体32を開閉して惣菜等を追加することができる。
【0080】
また、上記構成では、載置段部24および係止部25が収容底面部21の中心Pを中心として点対称に設けられているので、上部容器3を180度回転させても下部容器2の上にセットすることができる。
【0081】
これにより、上部容器3のヒンジ部の位置等を考慮することなく、下部容器2と上部容器3との形状のみ合わせることで容易にセットすることができ、使い勝手が良い。
【0082】
しかも、上記構成では、逃がし部26についても、収容底面部21の中心Pを中心として点対称に設けられているので、上部容器3を180度回転させてセットした状態でも、上部容器3の蓋体32を自由に開閉することができる。
【0083】
つまり、上記構成によれば、下部容器2に対して上部容器3を180度回転させてもセット可能であり、かつ、下部容器2に対して上部容器3を180度回転させても上部容器3の蓋体32を開閉可能である。
【0084】
なお、ここでは、上部容器3を180度回転対称にてセットできる構成を例示したが、下部容器2にセットした状態の上部容器3の蓋体32の開閉が自在な構成において、このような構成はなくともよい。
【0085】
また、蓋一体型容器である上部容器3を上下二段の包装用容器の蓋体と中皿として機能させているので、蓋体32に対しては、容器本体31との係止(嵌合)と下部容器2の係止部25による係止とが二重に働く。これにより、持ち運びの際に、蓋体32が不用意に開いて収容物が無駄になることを効果的に防止できる。
【0086】
また、既存の蓋一体型容器に合わせて下部容器2を設計することで、既存の蓋一体型容器を用いて上下二段の包装用容器1を実現できる。これにより、新たに上部容器3を設計するとしても、上部容器3については、単体使用と、下部容器2と組み合わせた組合せ使用と、に共用できる。
【0087】
その結果、持続可能な開発目標(SDGs)の、目標12「つくる責任つかう責任」および目標14「海の豊かさを守ろう」等の達成に貢献できる。
【0088】
蓋一体型容器を上部容器として、下部容器に載置する例を示したが、使用例はこれに限られない。蓋一体型容器でなく、嵌合蓋を下部容器に嵌合させて使用することができる。
【0089】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1 包装用容器
2 下部容器
3 上部容器
21 収容底面部
22 周壁部
22a 上端部
23 容器フランジ部(フランジ部)
24 載置段部
24-1 ヒンジ載置段部
25 係止部
25-1 ヒンジ係止部
26 逃がし部
31 容器本体
32 蓋体
33 ヒンジ部(外縁部)
34 本体底面部(底面部)
37 本体フランジ部(外縁部)
41 蓋フランジ部(外縁部)
【要約】
【課題】蓋一体型容器を上部容器として利用して、蓋一体型容器の利便性を損なうことなく収容空間を上下に分けて収容できる下部容器、および下部容器と蓋一体型容器とで構成される包装用容器を実現する。
【解決手段】下部容器(2)は、収容底面部(21)と、周壁部(22)と、蓋一体型容器である上部容器(3)の外縁部を支持して上部容器(3)を収容底面部(21)の上方に載置する載置段部(24)と、載置された上部容器(3)の外縁部を係止する係止部(25)と、載置された上部容器(3)のヒンジ部(33)に対応する部位に設けられた逃がし部(26)と、を有する。逃がし部(26)は、載置かつ係止された状態の上部容器(3)の蓋体(32)の開閉時に生じるヒンジ部(33)の開拡が可能な部位を有する。
【選択図】
図2