(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9728 20170101AFI20230818BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20230818BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20230818BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230818BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20230818BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
A61K8/9728
A61K8/65
A61K8/9789
A61K8/73
A61Q17/04
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2022172155
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2016211136の分割
【原出願日】2016-10-27
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】山下 実夏
(72)【発明者】
【氏名】山口 みずほ
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】Jimos, Japan,Night Mask,Mintel GNPD [online],2016年07月,https://WWW.portal.mintel.com,ID#4159855
【文献】Natural Beauty House, Japan,Serum Essence,Mintel GNPD [online],2016年07月,https://WWW.portal.mintel.com,ID#4127687
【文献】Jimos, Japan,Extra Reset Cream XIV,Mintel GNPD [online],2015年11月,https://WWW.portal.mintel.com,ID#3750843
【文献】Jimos, Japan,Extra Reset Cream XIII,Mintel GNPD [online],2014年02月,https://WWW.portal.mintel.com,ID#2788257
【文献】Qbi World, Japan,Revitalize Moisture Gel Cream Moist,Mintel GNPD [online],2013年08月,https://WWW.portal.mintel.com,ID#2157879
【文献】Qbi World, Japan,Revitalize Booster Lotion,Mintel GNPD [online],2013年07月,https://WWW.portal.mintel.com,ID#2132633
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)酵母抽出物、(B)コラーゲン及び(C)リンゴ果実細胞の培養物を含有し、
さらに、紫外線散乱剤及び/又は紫外線吸収剤を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
さらに、ヒアルロン酸を含有することを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、松樹皮及び酵母から選ばれる1種以上を含む、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
生物が酸素を利用しエネルギーを獲得する際に、紫外線等の影響により、酸素の一部は活性酸素に変化する。活性酸素は、他の物質と反応しやすく、コラーゲン線維の架橋、ヒアルロン酸の断片化等を引き起こし、しわ増大や弾力性低下等の皮膚老化を促進する。このような活性酸素による生体への悪影響を防ぐため、抗酸化機能を有する皮膚外用剤が開発されてきた。
【0003】
抗酸化機能を有する皮膚外用剤としては、例えば、松樹皮抽出物を含む皮膚外用剤(特許文献1)、酵母の培養物から採取した上清を抗酸化剤として含有する化粧品(特許文献2)、ハイビスカス,アロエ,ダイオウ,黄精,ウワウルシ等の植物抽出物を抗酸化剤として含有する化粧料(特許文献3)等が挙げられる。
【0004】
しかしながら、これまで開発されてきた皮膚外用剤は、抗酸化剤の含有量が少ないと抗酸化機能が十分に発揮されない場合があった。また、使用感が好ましくない場合や保湿効果が十分に発揮されない場合があった。そのため、抗酸化機能を有する新たな皮膚外用剤の開発が求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-238426号公報
【文献】特開2012-140618号公報
【文献】特開平06-024937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、抗酸化機能を発揮し、使用感が良く、保湿効果を有する皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、松樹皮及び酵母から選ばれる1種以上と、特定の成分を組み合わせて配合することにより、抗酸化機能が発揮され、使用感が良く、保湿効果を有する皮膚外用剤が得られることを見出し、本発明の完成に至った。本発明は、以下の態様を有する。
【0008】
[1](A)松樹皮及び酵母から選ばれる1種以上、(B)プラセンタ、ヒアルロン酸及びコラーゲンから選ばれる1種以上、並びに(C)アロエ、ローヤルゼリー及びリンゴ果実細胞の培養物から選ばれる1種以上、を含むことを特徴とする、皮膚外用剤。
【0009】
[2](A)成分が松樹皮であり、(B)成分がプラセンタであることを特徴とする、[1]に記載の皮膚外用剤。
【0010】
[3](A)成分が酵母であり、(B)成分がヒアルロン酸であることを特徴とする、[1]に記載の皮膚外用剤。
【0011】
[4]さらに、紫外線散乱剤及び/又は紫外線吸収剤を含むことを特徴とする、[1]~[3]のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明の皮膚外用剤は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含むことにより、優れた抗酸化機能を発揮する。また、使用感がよく、保湿効果も得られることから、化粧料に適する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】各被験物質(比較例及び実施例1~6)のDPPH阻害活性を示す図である。
【
図2】各被験物質(比較例及び実施例7~12)のDPPH阻害活性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の皮膚外用剤は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む。具体的には、(A)松樹皮及び酵母から選ばれる1種以上、(B)プラセンタ、ヒアルロン酸及びコラーゲンから選ばれる1種以上、並びに(C)アロエ、ローヤルゼリー及びリンゴ果実細胞の培養物から選ばれる1種以上、を含む。以下、(A)~(C)の成分について説明する。
【0015】
(A)成分
(松樹皮)
本発明において使用できる松としては、例えば、フランス海岸松、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダ等のマツ目に属する植物のが挙げられる。これらの中でも、抗酸化作用や保湿効果、使用感等に優れる点で、フランス海岸松(学名:Pinus maritima)が好ましい。
【0016】
本発明に用いる松樹皮としては、上記松の樹皮をそのまま用いてもよいが、松樹皮処理物を用いることが好ましい。本発明における松樹皮処理物とは、上記松の樹皮に処理を施したものを意味し、松樹皮の発酵物を含む概念である。松樹皮処理物としては、松の樹皮を粉砕して得られる松樹皮粉砕物、水及び/又は有機溶媒で抽出して得られる松樹皮抽出物等を挙げることができる。これらは単独、混合のいずれでも使用できる。これらの中でも、使用時の効果や安定性の観点から松樹皮抽出物を用いることが好ましい。なお、本発明における抽出物とは、液状のものだけではなく、抽出液を凍結乾燥等よって乾燥させたものや、賦形剤等を添加して乾燥し粉末化したものを含む概念である。
【0017】
松樹皮抽出物を得る際に使用する抽出溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒(含水エタノールといった含水アルコール)が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び1,1,2-トリクロロエテンが挙げられる。これらの水及び有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合せて用いてもよい。抽出溶媒としては、水を用いることが好ましい。なお、抽出する際の溶媒の温度は、用いる溶媒の沸点以下であれば限定されない。
【0018】
松樹皮抽出物を得る方法については、制限はないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法等等が挙げられる。また、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0019】
超臨界流体抽出法とは、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)等が用いられるが、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0020】
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0021】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n-ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2~20W/V%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行うことによって、OPC(oligomeric proanthocyanidin:オリゴメリック・プロアントシアニジン)、カテキン類等の目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的な松樹皮抽出物を得る方法である。
【0022】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点、抽出流体が残留しないという利点、溶媒の循環利用が可能であるため、脱溶媒工程等が省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0023】
上記の抽出により得られた松樹皮抽出物を、カラム法又はバッチ法により精製することが安全性の面から好ましい。カラム法としては、例えば、ダイヤイオンHP-20、Sephadex-LH20、キチン等の吸着性担体を用いた精製方法が挙げられる。
【0024】
松樹皮抽出物の市販品としては、例えば、フラバンジェノール(株式会社東洋新薬製。なお、「フラバンジェノール」は株式会社東洋新薬の登録商標)を用いることができる。
【0025】
本発明の松樹皮の配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.0000001重量%以上が好ましく、0.000001重量%以上がより好ましく、0.00001重量%以上がさらに好ましく、0.0001重量%以上が最も好ましい。また、松樹皮の配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0.3重量%以下が一層好ましく、0.2重量%以下がさらに一層好ましく、0.1重量%以下が最も好ましい。
【0026】
(酵母)
本発明において使用できる酵母菌としては、酵母菌に属する菌であれば限定されない。例えば、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス アワモリ(Saccharomyces awamori)等のサッカロミセス属の酵母、ジゴサッカロミセス ローキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、ジゴサッカロミセス ミソ(Zygosaccharomyces miso)、ジゴサッカロミセス ラクティス(Zygosaccharomyces lactis)等のジゴサッカロミセス属の酵母、カンディダ ベルサチリス(Candida versatilis)、カンディダ スコッティ(Candida scottii)等のカンディダ属の酵母、オーレオバシディウム プルランス(Aureobasidium Pullulans)、オーレオバシディウム マイクロスティクタム(Aureobasideium microstictum)等のオーレオバシディウム属の酵母等が挙げられる。これらの中でも、抗酸化作用や保湿効果、使用感等に優れる点で、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が好ましい。
【0027】
本発明に用いる酵母としては、上記酵母菌をそのまま用いてもよいが、酵母処理物を用いることが好ましい。本発明における酵母処理物とは、上記酵母に例えば、以下に述べる処理を施したものを意味する。酵母処理物としては、死滅させた酵母処理物、酵母抽出物等を挙げることができる。死滅酵母としては、例えば、食用酵母を加熱処理等によって死滅させた後、粉末化させたものを使用できる。酵母抽出物としては、例えば、自己消化、タンパク質分解酵素、酸加水分解等によって分解された酵母分解物を用いてもよく、得られた酵母分解物の抽出液を用いてもよい。酵母抽出物は、例えば、酵母サッカロミセス・セレビシエを酵素加水分解し、濾液を収集する方法によって得ることができる。酵母処理物としては、酵母抽出物を用いることが好ましい。
【0028】
本発明の酵母の配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.0000001重量%以上が好ましく、0.000001重量%以上がより好ましく、0.00001重量%以上がさらに好ましく、0.0001重量%以上が最も好ましい。また、酵母の配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0.3重量%以下が一層好ましく、0.2重量%以下がさらに一層好ましく、0.1重量%以下が最も好ましい。
【0029】
(B)成分
(プラセンタ)
本発明におけるプラセンタとは、動物、好ましくはブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ヒトの胎盤の細胞分裂を促進する成長因子や他の栄養素、魚の卵巣膜の栄養素、及び植物の胚芽の栄養成分の総称を意味する。本発明に用いるプラセンタとしては、上記プラセンタをそのまま用いてもよいが、プラセンタ処理物を用いることが好ましい。本発明におけるプラセンタ処理物とは、上記プラセンタに処理を施したものを意味し、プラセンタの発酵物を含む概念である。本発明のプラセンタ処理物としては、プラセンタ抽出物を用いることが好ましい。プラセンタ抽出物の中でも、抗酸化作用や保湿効果、使用感等に優れる点で、動物由来のプラセンタ抽出物又は魚由来のプラセンタ抽出物を用いることが好ましく、魚の卵巣膜由来のプラセンタ抽出物を用いることが最も好ましい。
【0030】
本発明のプラセンタの配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.0000001重量%以上が好ましく、0.000001重量%以上がより好ましく、0.00001重量%以上がさらに好ましく、0.0001重量%以上が最も好ましい。また、プラセンタの配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0.3重量%以下が一層好ましく、0.2重量%以下がさらに一層好ましく、0.1重量%以下が最も好ましい。
【0031】
(ヒアルロン酸)
本発明のヒアルロン酸としては、ヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸、ヒアルロン酸若しくはアセチルヒアルロン酸の誘導体、又はこれらの塩のいずれを用いてもよく、加水分解ヒアルロン酸等の低分子ヒアルロン酸又はその塩を用いてもよい。これらの中でも、抗酸化作用や保湿効果、使用感等に優れる点で、加水分解ヒアルロン酸を用いることが好ましい。なお、本発明における加水分解ヒアルロン酸とは、平均分子量が1万以下の低分子ヒアルロン酸のことを意味する。本発明における加水分解ヒアルロン酸とは、加水分解ヒアルロン酸又はその塩を含む概念である。
【0032】
本発明に用いるヒアルロン酸の分子量は、繰り返し単位の数や、種類によって様々であり、限定されない。重量平均分子量において数百~数百万のヒアルロン酸を用いてもよく、平均分子量が1万以下の加水分解ヒアルロン酸を用いてもよい。
【0033】
本発明に用いる加水分解ヒアルロン酸の製造方法は、制限されないが、例えば、高分子ヒアルロン酸を緩衝液に溶解後、ヒアルロニダーゼを加えて数日間インキュベートし、酵素を失活させた後、生成する方法等がある。加水分解ヒアルロン酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
【0034】
本発明のヒアルロン酸の配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.0000001重量%以上が好ましく、0.000001重量%以上がより好ましく、0.00001重量%以上がさらに好ましく、0.0001重量%以上が最も好ましい。また、ヒアルロン酸の配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0.3重量%以下が一層好ましく、0.2重量%以下がさらに一層好ましく、0.1重量%以下が最も好ましい。
【0035】
(コラーゲン)
本発明に用いるコラーゲンとしては、動物由来のコラーゲン、魚類由来のコラーゲン、合成コラーゲン、ゼラチン、コラーゲンタンパク質、コラーゲンタンパク質を分解して得られるコラーゲンペプチド、コラーゲン分子をプロテアーゼで処理し、テロペプチド部分を取り除いたアテロコラーゲン等を用いることができる。これらの中でも、抗酸化作用や保湿効果、使用感等に優れる点で、魚類由来のコラーゲンが好ましい。魚類由来のコラーゲンとしては、例えば、魚類の皮、骨、鱗等を温水又は熱水中でゼラチン(変性コラーゲン)を抽出し、これを酸、アルカリ、酵素等により加水分解し、粉末化したものを用いることができる。
【0036】
本発明のコラーゲンの平均分子量(重量平均分子量)は限定されないが、例えば、平均分子量の下限値は、500以上が好ましく、1000以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましく、3000以がさらに好ましく、4000以上が最も好ましい。分子量の上限値は、100000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましく、10000以下がさらに好ましく、8000以下が一層好ましく、6000以下が最も好ましい。なお、抗酸化作用や保湿効果、使用感等に優れる点で、コラーゲンペプチドを用いることを好ましく、平均分子量4000~6000のコラーゲンペプチドを用いることが最も好ましい。
【0037】
本発明のコラーゲンの配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.0000001重量%以上が好ましく、0.000001重量%以上がより好ましく、0.00001重量%以上がさらに好ましく、0.0001重量%以上が最も好ましい。また、コラーゲンの配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0.3重量%以下が一層好ましく、0.2重量%以下がさらに一層好ましく、0.1重量%以下が最も好ましい。
【0038】
(C)成分
(アロエ)
本発明において使用できるアロエとしては、アロエ属(Aloe)に属する植物であれば限定されないが、例えば、アロエベラ(Aloe vera;Aloe barbadensis)、キダチアロエ(Aloe arborescens Mill.var. natalensis Berg.)、アロエプリカティリス(Aloe plicatilis Mill.)、アロエフェロックス(Aloe ferox Mill.)、アロエペリー(Aloe perryi Baker)、アロエバイネシー(Aloe bainesii Th. Dyer.)、アロエアフリカーナ(Aloe africana Mill.)、アロエスコトリナ(Aloe succotrina Lam.)、アロエスピカータ(Aloe spicata Baker)等が挙げられる。これらの中でも、抗酸化作用や保湿効果、使用感等に優れる点で、アロエベラ(Aloe vera;Aloe barbadensis)を用いることが好ましい。
【0039】
本発明に用いるアロエとしては、上記アロエをそのまま用いてもよいが、アロエ処理物を用いることが好ましい。本発明におけるアロエ処理物とは、上記アロエに処理を施したものを意味し、アロエの発酵物を含む概念である。アロエ処理物としては、アロエを乾燥後、粉砕して得られるアロエ粉砕物、アロエ抽出物を挙げることができる。これらの中でも、アロエ抽出物を用いることが好ましい。
【0040】
本発明におけるアロエ抽出物とは、水及び/又は有機溶媒を用いて抽出することによって得られるアロエの抽出物だけでなく、アロエの搾汁物を含む概念である。本発明におけるアロエ抽出物としては、アロエの搾汁物を用いることが好ましい。なお、本発明におけるアロエ搾汁物は、アロエの搾汁物に対してさらに抽出や精製等の処理を施したものを含む概念である。
【0041】
アロエ抽出物を得る際に使用する抽出溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒(含水エタノールといった含水アルコール)が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び1,1,2-トリクロロエテンが挙げられる。これらの水及び有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合せて用いてもよい。抽出溶媒としては、水を用いることが好ましい。なお、抽出する際の溶媒の温度は、用いる溶媒の沸点以下であれば限定されない。
【0042】
アロエの使用部位としては限定されず、茎、葉、花等を用いることができるが、抗酸化作用や保湿効果、使用感等に優れる点で、葉を用いることが好ましい。
【0043】
本発明のアロエの配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.0000001重量%以上が好ましく、0.000001重量%以上がより好ましく、0.00001重量%以上がさらに好ましく、0.0001重量%以上が最も好ましい。また、アロエの配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0.3重量%以下が一層好ましく、0.2重量%以下がさらに一層好ましく、0.1重量%以下が最も好ましい。
【0044】
(ローヤルゼリー)
本発明に用いるローヤルゼリーとしては、ローヤルゼリーをそのまま用いてもよいが、ローヤルゼリー処理物を用いることが好ましい。本発明におけるローヤルゼリー処理物とは、ローヤルゼリーに処理を施したものを意味し、ローヤルゼリーの発酵物を含む概念である。ローヤルゼリー処理物としては、ローヤルゼリー発酵物が好ましい。ローヤルゼリー発酵物としては、ローヤルゼリー発酵液が好ましい。ローヤルゼリー発酵液とは、ローヤルゼリーを基質として、乳酸菌や酵母菌等の微生物で発酵した後、ろ過して得られる液のことをいう。発酵させる微生物の種類は限定されないが、抗酸化作用や保湿効果、使用感等に優れる点で、乳酸桿菌 Lactobacillusを用いることが好ましい。ローヤルゼリー発酵液としては、乳酸桿菌/ローヤルゼリー発酵液が好ましい。
【0045】
本発明のローヤルゼリーの配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.0000001重量%以上が好ましく、0.000001重量%以上がより好ましく、0.00001重量%以上がさらに好ましく、0.0001重量%以上が最も好ましい。また、ローヤルゼリーの配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0.3重量%以下が一層好ましく、0.2重量%以下がさらに一層好ましく、0.1重量%以下が最も好ましい。
【0046】
(リンゴ果実細胞の培養物)
本発明において、リンゴ果実細胞の培養物とは、リンゴ (Malus domestica)の果実細胞の培養物又は培養物を処理したものをいう。これらの中でも、リンゴ果実細胞の培養物の抽出物が好ましい。リンゴ果実細胞の培養物の抽出物としては、例えば、西洋リンゴの一種であるウトビラーストラウバー(Uttwiler Spatlauber)の果実から得られる植物幹細胞を人工培養にて増やし、得られた細胞からエキスを抽出することにより得ることができる。リンゴ果実細胞の培養物の抽出物としては、リンゴ果実培養細胞エキスが好ましい。
【0047】
本発明のリンゴ果実細胞の培養物の抽出物の配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.0000001重量%以上が好ましく、0.000001重量%以上がより好ましく、0.00001重量%以上がさらに好ましく、0.0001重量%以上が最も好ましい。また、リンゴ果実細胞の培養物の配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましく、0.5重量%以下がさらに好ましく、0.3重量%以下が一層好ましく、0.2重量%以下がさらに一層好ましく、0.1重量%以下が最も好ましい。
【0048】
(紫外線散乱剤/紫外線吸収剤)
本発明の皮膚外用剤は、紫外線散乱剤や紫外線吸収剤の有する効果を高めることができる。そのため、本発明の皮膚外用剤は、紫外線散乱剤及び/又は紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
【0049】
本発明において使用できる紫外線散乱剤としては限定されないが、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドープ酸化チタン等の金属酸化物が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛が好ましい。
【0050】
本発明の紫外線散乱剤の配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、3重量%以上がさらに好ましく、5重量%以上が最も好ましい。また、紫外線散乱剤の配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましく、20重量%以下が一層好ましく、18重量%以下がさらに一層好ましく、15重量%以下が最も好ましい。
【0051】
本発明において使用できる紫外線吸収剤としては限定されないが、例えば、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ベンゾトリアゾール、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。これらの中でも、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル及び/又はジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルが好ましい。
【0052】
本発明の紫外線吸収剤の配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、3重量%以上がさらに好ましく、4重量%以上が最も好ましい。また、紫外線吸収剤の配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、25重量%以下がさらに好ましく、20重量%以下が一層好ましく、18重量%以下がさらに一層好ましく、15重量%以下が最も好ましい。
【0053】
(増粘剤)
本発明の皮膚外用剤は、増粘剤を配合することにより、使用感や安定性を高めることができる。そのため、本発明の皮膚外用剤は、増粘剤を含むことが好ましい。
【0054】
本発明において使用できる増粘剤としては限定されないが、例えば、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル系高分子が挙げられる。これらの中でも、使用感や耐水性を向上させる観点から、アクリル系高分子を用いることが好ましい。アクリル系高分子の中でも、(アクリル酸ジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーを用いることが好ましい。
【0055】
本発明の増粘剤の配合量は制限されないが、例えば、皮膚外用剤の全量に対して、0.01重量%以上が好ましく、0.03重量%以上がより好ましく、0.05重量%以上がさらに好ましく、0.1重量%以上が最も好ましい。また、増粘剤の配合量は、皮膚外用剤の全量に対して、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、2重量%以下がさらに好ましく、1重量%以下が一層好ましく、0.8重量%以下がさらに一層好ましく、0.5重量%以下が最も好ましい。
【0056】
(任意の成分)
本発明の皮膚外用剤は、上記の成分以外に、皮膚外用剤において使用される任意の成分を含むことができる。このような成分としては、例えば、油脂類、ロウ類、アルコール類、エステル類、防腐剤、界面活性剤、キレート剤、pH調整剤、安定化剤、植物又は動物から抽出したエキス等が挙げられる。
【0057】
(成分の配合比率)
本発明の皮膚外用剤において、(A)成分に対する(B)成分の配合比率は限定されないが、(A)成分1重量部に対する(B)成分の量の下限値としては、例えば、0.001重量部以上が好ましく、0.01重量部以上がより好ましく、0.05重量部以上がさらに好ましく、0.1重量部以上が一層好ましく、0.5重量部以上がさらに一層好ましく、0.9重量部以上が最も好ましい。また、(A)成分1重量部に対する(B)成分の量の上限値としては、例えば、100重量部以下が好ましく、50重量部以下がより好ましく、15重量部以下がさらに好ましく、10重量部以下が一層好ましく、8重量部以下がさらに一層好ましく、5重量部以下が最も好ましい。
【0058】
本発明の皮膚外用剤において、(A)成分に対する(C)成分の配合比率は限定されないが、(A)成分1重量部に対する(C)成分の量の下限値としては、例えば、0.0001重量部以上が好ましく、0.001重量部以上がより好ましく、0.002重量部以上がさらに好ましく、0.003重量部以上が一層好ましく、0.005重量部以上がさらに一層好ましく、0.01重量部以上が最も好ましい。また、(A)成分1重量部に対する(B)成分の量の上限値としては、例えば、100重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましく、30重量部以下がさらに好ましく、10重量部以下が一層好ましく、2重量部以下がさらに一層好ましく、1重量部以下が最も好ましい。
【0059】
(本発明の皮膚外用剤)
【0060】
本発明の皮膚外用剤の剤形としては、水系、油性系、乳化系(油中水型、水中油型等)、可溶化系、粉体系、溶剤系等のものが挙げられる。これらの中でも、水中油型乳化物であることが好ましい。
【0061】
本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品のいずれにも用いることができる。本発明の皮膚外用剤は、抗酸化や保湿の効果があり、使用感もよいことから、化粧料として用いることが好ましい。なお、本願における化粧料とは、化粧品に加えて、医薬部外品に分類される化粧料を含む概念のことをいう。
【0062】
本発明の化粧料としては、例えば、BBクリーム、美容液、乳液、化粧下地、ファンデーション、パック、クレンジング剤、日焼け止め化粧料が挙げられる。これらの中でも、日焼け止め化粧料が好ましい。なお、本発明における日焼け止め化粧料とは、紫外線吸収剤及び/又は紫外線散乱剤を配合することにより日焼け止め機能を持たせた化粧料を含む概念である。具体的には、日焼け止め機能を付与したBBクリームやリップクリーム等についても、日焼け止め化粧料に含まれる。
【0063】
本発明の皮膚外用剤は、抗酸化機能を有するため、抗酸化化粧料又はアンチエイジング化粧料として用いることができる。また、本発明の皮膚外用剤は、優れた保湿効果があるため、保湿化粧料として用いることができる。
【0064】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚の弾性を向上させる効果があるため、皮膚のハリ改善用組成物、シワ又はタルミの改善用組成物、皮膚の弾力性維持用組成物、美容用組成物、及び抗老化用組成物として用いることができる。
【0065】
以下、実施例を記載して本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、種々の態様をとることができる。
【実施例】
【0066】
[試験1:抗酸化作用の評価]
以下に記載する方法により、DPPHラジカル消去活性を測定し、抗酸化作用を評価した。
【0067】
(被験物質の調製)
松樹皮抽出物の調製
松樹皮抽出物(「フラバンジェノール(登録商標)」株式会社東洋新薬製)の濃度が0.0025mg/mLとなるように精製水を用いて希釈し、DPPH活性測定用の被験物質とした。
【0068】
リンゴ果実培養細胞エキスの調製
リンゴ果実培養細胞エキス「PhytoCellTec Md or pf(PCT リンゴエキスPF)」(アリスタヘルスアンドニュートリションサイエンス社製)を精製水に懸濁した。その後、遠心分離(10,000rpm、1分間)を行い、上清を採取した。得られた上清を精製水で2.5mg/mLとなるように希釈し、DPPH活性測定用の被験物質とした。
【0069】
他の被験物質の調製
酵母、プラセンタ、コラーゲン、ヒアルロン酸、アロエ及びローヤルゼリーについては、それぞれ濃度が2.5mg/mLとなるように精製水を用いて希釈し、DPPH活性測定用の被験物質とした。なお、使用した原料は以下にの通りである。
酵母:サッカロミセス溶解質エキス
プラセンタ:鮭の卵巣膜由来のプラセンタ抽出物
コラーゲン:コラーゲンペプチド(平均分子量約5000、イトヨリダイの鱗由来)
ヒアルロン酸:ヒアルロン酸Na、加水分解ヒアルロン酸
アロエ:アロエベラ葉エキス(アロエベラの搾汁物)
ローヤルゼリー:乳酸桿菌/ローヤルゼリー発酵液
【0070】
(DPPHラジカル消去活性の測定)
調製したDPPH活性測定用の被験物質を、表1及び表2に記載される量となるように、96well plateに添加した。Controlでは、被験物質の代わりに精製水を添加した。
【0071】
【0072】
【0073】
blankのwellに100%エタノールを80μL添加後、testのwellに0.25mMDPPHを80μL添加して、20分間室温静置後、VARIOSKANにて516nmにおける吸光度を測定した。得られた吸光度から、式1よりDPPH阻害活性値(阻害率%)を求めた。
(式1)
【0074】
(試験結果)
試験結果を
図1及び
図2に示す。数値がプラスの場合、Controlに比べてDPPH阻害活性が高いことを意味し、マイナスの場合、Controlに比べてDPPH阻害活性が低いことを意味する。(A)~(C)成分を単独で添加した場合、DPPH阻害活性はほとんど認められなかった。一方、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせて添加した場合、高いDPPH阻害活性が認められた。なお、比較例1については(A)成分単独でもDPPH阻害活性が認められたが、(B)成分及び(C)成分を組合せることにより、阻害活性がさらに高まることが確認された。以上より、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせることにより相乗効果が発揮され、抗酸化の効果が顕著に向上することが分かった。したがって、本発明の組成物は抗酸化剤として用いることができる。
【0075】
[試験2:化粧料の単回使用による効果の評価]
以下に記載する方法により、化粧料の単回使用による効果を評価した。
【0076】
(日焼け止め化粧料の調製)
表3に示す処方となるように、日焼け止め化粧料を調製した。
【0077】
【0078】
(単回使用による効果の評価)
専門のパネラー3名に対して、米2粒程度の量の各化粧料を前腕内側の皮膚(4cm×4cm四方)に塗布し、角層水分量、経皮水分蒸散量及び弾力の測定、並びにアンケートによる使用感の評価を行った。
【0079】
1)使用感の評価
各評価項目(のび、べたつき、しっとり感、弾力、なめらかさ、すべすべ感)について、評価を行った。評価は、「1」を「極めて悪い」、「4」を「ふつう」、「7」を「極めて良い」とする7段階で行った。
【0080】
使用感の評価結果を表4に示す(数値は平均値)。(A)成分のみを添加した比較例10及び11、(B)成分のみを添加した比較例12、並びに(C)成分のみを添加した比較例13に比べて、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせて添加した実施例13~17では、いずれの項目についても高い評価が得られた。このことから、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせることにより相乗効果が発揮され、使用感が著しく向上することが分かった。また、酵母エキス、リンゴ果実培養細胞エキス及び加水分解ヒアルロン酸を含む実施例16は、加水分解ヒアルロン酸に代えてヒアルロン酸Naを配合した実施例15に比べ、ほとんどの項目において評価が高かった。このことから、(B)成分として、加水分解ヒアルロン酸を選択した場合、使用感が特に良いことが分かった。
【0081】
【0082】
2)角層水分量、水分蒸散量及び弾力の測定
20~30代の女性3名を被験者とし、角層水分量、水分蒸散量及び弾力の測定を行った。15分間馴化(室温20~25℃)後、塗布前における角層水分量、水分蒸散量及び弾力を測定した。その後、米2粒程度の量の各日焼け止め化粧料を前腕部内側の皮膚(4cm×4cm)に塗布し、塗布15分後、30分後、1時間後及び3時間後に測定を行った。
【0083】
角層水分量は、SKICON-200EX(ヤヨイ社製)を用いて測定した。水分蒸散量は、テヴァメーター(登録商標)TM300(Courage+Khazaka社製)を用いて測定した。弾力は、皮膚粘弾力測定装置Cutometer MPA580(Courage+Khazaka社製)を用いて測定した。
【0084】
塗布前及び塗布後における角層水分量の変化率を表5に示す(塗布前の数値を1とし、塗布後の数値を塗布前に対する相対値として示す)。(A)成分のみを添加した比較例10及び11、(B)成分のみを添加した比較例12、並びに(C)成分のみを添加した比較例13に比べて、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせて添加した実施例13~17では、角層水分量が大きく増加していた。このことから、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせることにより相乗効果が発揮され、角層水分量が顕著に増加することが分かった。したがって、本発明の組成物は保湿剤として有効であり、角層水分量の増加剤として用いることができる。
【0085】
【0086】
塗布前及び塗布後における水分蒸散量の変化率を表6に示す(塗布前の数値を1とし、塗布後の数値を塗布前に対する相対値として示す)。(A)成分のみを添加した比較例10及び11、(B)成分のみを添加した比較例12、並びに(C)成分のみを添加した比較例13に比べて、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせて添加した実施例13~17では、水分蒸散量が大きく抑制されていた。このことから、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせることにより相乗効果が発揮され、水分蒸散量が顕著に抑制されることが分かった。したがって、本発明の組成物は保湿剤として有効であり、水分蒸散量の抑制剤として用いることができる。
【0087】
【0088】
塗布前及び塗布後における弾力の変化率を表7に示す(塗布前の数値を1とし、塗布後の数値を塗布前に対する相対値として示す)。(A)成分のみを添加した比較例10及び11、(B)成分のみを添加した比較例12、並びに(C)成分のみを添加した比較例13に比べて、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせて添加した実施例13~17では、皮膚の弾力が大きく増加した。このことから、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせることにより相乗効果が発揮され、皮膚の弾力が顕著に向上することが分かった。したがって、本発明の組成物は皮膚の弾力向上剤として用いることができる。
【0089】
【0090】
[試験3:化粧料の連続使用による効果の評価]
試験2で調製した上記日焼け止め化粧料を用いて、化粧料を連続使用した際の効果を評価した。具体的には、20~30代の女性2名を被験者とした臨床試験を行った。被験者は、2週間、毎朝、米2粒程度の量の各日焼け止め化粧料を前腕部外側(4cm×4cm)に塗布した。塗布期間の開始前及び終了後に、色彩色差計(コニカミノルタ社製CR-400)を用いてL値を測定した。
【0091】
塗布前及び塗布後におけるL値の変化率を表8に示す(塗布前の数値を1とし、塗布後の数値を塗布前に対する相対値として示す)。なお、L値は肌の明るさの指標となる数値であり、L値が高い程、日焼けしていないことを意味する。(A)成分のみを添加した比較例10及び11、(B)成分のみを添加した比較例12、並びに(C)成分のみを添加した比較例13に比べて、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせて添加した実施例13~17では、L値が大きく増加した。このことから、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせることにより相乗効果が発揮され、顕著な日焼け防止効果が発揮されることが分かった。したがって、本発明の組成物は日焼け止め化粧料として用いることができる。
【0092】
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の皮膚外用剤は、抗酸化機能を有しており、使用感に優れ、保湿効果も高いことから、化粧品、医薬部外品、医薬品として利用できる。また、本発明の皮膚外用剤は、優れた日焼け止め効果を有することから、日焼け止め化粧料として利用できる。