(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】制御装置、空調システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/74 20180101AFI20230818BHJP
F24F 1/0047 20190101ALI20230818BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20230818BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20230818BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20230818BHJP
【FI】
F24F11/74
F24F1/0047
F24F5/00 K
F24F13/02 D
F24F110:20
(21)【出願番号】P 2018113028
(22)【出願日】2018-06-13
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆則
(72)【発明者】
【氏名】坪野 正寛
(72)【発明者】
【氏名】大村 峰正
(72)【発明者】
【氏名】中野 学
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-096434(JP,A)
【文献】特開2008-175490(JP,A)
【文献】特開2015-038402(JP,A)
【文献】特開平05-141718(JP,A)
【文献】特開2012-093043(JP,A)
【文献】特開2017-146038(JP,A)
【文献】特開2014-115012(JP,A)
【文献】特開2016-008742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 5/00
F24F 13/32
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象となる空間の空気を吸入して、前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、を含む空調システムにおいて、
湿度と
結露防止のための前記ファンの運転時間の関係を定めた設定テーブルを記憶し、
冷房運転の開始時の前記ファンの風量を所定の値より低下させる運転を、
前記冷房運転の開始時における前記空間の湿度と前記設定テーブルとに基づく当該湿度に応じた運転時間だけ実行する、
制御装置。
【請求項2】
前記冷房運転の開始時における前記空間の湿度について、第1湿度が第2湿度より高い場合、前記ファンの風量を低下させる制御を、前記第2湿度の場合より、前記第1湿度の場合に長時間実行する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記ファンの風量を低下させる制御において、
前記空間の相対湿度が第3湿度より高い間は前記風量を第1風量まで低下させ、前記相対湿度が前記第3湿度まで低下すると、前記第1風量よりも多い第2風量に増加させる、
請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ファンの風量を低下させる制御を、前記冷房運転の開始時における前記空間の相対湿度が所定の値以上の場合のみ実行する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ファンの風量を低下させる制御を、前記冷房運転の実行中に前記空間の相対湿度が所定の値以上となると実行する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記放射パネルモジュールは、前記空間との間で熱交換を行う熱交換流路と、前記熱交換流路をバイパスするバイパス流路と、前記空気の流路を前記熱交換流路と前記バイパス流路とで切り替えるダンパーと、を備え、
前記ファンの風量を低下させる制御を行っている間は、前記空気が前記バイパス流路を通過するように前記ダンパーを制御する、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
空調対象となる空間の空気を吸入して、前記空気の温度を制御する空気調和機と、
前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、
前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、
前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の制御装置と、
を備える空調システム。
【請求項8】
空調対象となる空間の空気を吸入して、前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、湿度と
結露防止のための前記ファンの運転時間の関係を定めた設定テーブルと、を含む空調システムにおいて、
冷房運転の開始時に前記ファンの風量を所定の値より低下させる運転を、
前記冷房運転の開始時における前記空間の湿度と前記設定テーブルとに基づく当該湿度に応じた運転時間だけ実行する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、空調システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気調和機により温度制御された空調エアを床面に配置されたパネルボードに送り、パネルボードを冷却または加熱して、該パネルボードからの冷気または暖気を室内に放射する床放射冷暖房システムが開示されている。この床放射冷暖房システムでは、パネルボードを通過した空調エアをパネルボード端部のグリルより室内へ吹き出す。これにより、パネルボードからの熱放射だけでなく、空調エアによっても室内を冷暖房することができる。また、特許文献1には、室内へ吹き出した空調エアが、再び空気調和機に吸引され再利用されることが記載されている。
【0003】
特許文献2には、床暖房パネルに温水を供給して室内の床を暖房する温調ユニットが開示されている。この温調ユニットは、室内の空気に対して除湿運転や加湿運転を行う換気装置を備えている。例えば、除湿運転の場合、室外から取り込んだ空気を、換気装置が備える熱交換器で冷却して水分を取り除き、除湿後の空気を室内へ供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-232989号公報
【文献】特開2014-119204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の床放射冷暖房システムで冷房運転を行う場合、パネルボードの表面に結露が生じる可能性がある。特許文献1には、結露防止に対する解決手段の記載が無い。特許文献2に記載の除湿運転は、室外の空気を除湿して室内へ供給する方式のため、空調エアを循環させて再利用する特許文献1に記載の床放射冷暖房システムに、その制御を適用することはできない。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる制御装置、空調システム及び制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、制御装置は、空調対象となる空間の空気を吸入して、前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、を含む空調システムにおいて、湿度と結露防止のための前記ファンの運転時間の関係を定めた設定テーブルを記憶し、冷房運転の開始時の前記ファンの風量を所定の値より低下させる運転を、前記冷房運転の開始時における前記空間の湿度と前記設定テーブルとに基づく当該湿度に応じた運転時間だけ実行する。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記冷房運転の開始時における前記空間の湿度について、第1湿度が第2湿度より高い場合、前記ファンの風量を低下させる制御を、前記第2湿度の場合より、前記第1湿度の場合に長時間実行する。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記ファンの風量を低下させる制御において、前記空間の相対湿度が第3湿度より高い間は前記風量を第1風量まで低下させ、前記相対湿度が前記第3湿度まで低下すると、前記第1風量よりも多い第2風量に増加させる。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記ファンの風量を低下させる制御を、前記冷房運転の開始時における前記空間の相対湿度が所定の値以上の場合のみ実行する。
【0013】
本発明の一態様によれば、前記制御装置は、前記ファンの風量を低下させる制御を、前記冷房運転の実行中に前記空間の相対湿度が所定の値以上となると実行する。
【0014】
本発明の一態様によれば、前記放射パネルモジュールは、前記空間との間で熱交換を行う熱交換流路と、前記熱交換流路をバイパスするバイパス流路と、前記空気の流路を前記熱交換流路と前記バイパス流路とで切り替えるダンパーと、を備え、前記制御装置は、前記ファンの風量を低下させる制御を行っている間は、前記空気が前記バイパス流路を通過するように前記ダンパーを制御する。
【0016】
本発明の一態様によれば、空調システムは、空調対象となる空間の空気を吸入して、前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、上記の何れかに記載の制御装置と、を備える。
【0017】
本発明の一態様によれば、制御方法は、空調対象となる空間の空気を吸入して、前記空気の温度を制御する空気調和機と、前記空間に接する面に配置された放射パネルモジュールと、前記空気調和機によって温度制御された前記空気を前記放射パネルモジュールへ送出するファンと、前記放射パネルモジュールを通過した前記空気を前記空間へ吹き出す吹出口と、湿度と結露防止のための前記ファンの運転時間の関係を定めた設定テーブルと、を含む空調システムにおいて、冷房運転の開始時の前記ファンの風量を所定の値より低下させる運転を、前記冷房運転の開始時における前記空間の湿度と前記設定テーブルとに基づく当該湿度に応じた運転時間だけ実行する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、放射式と対流式を組み合わせた空調システムにおける冷房運転時の結露を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態における空調システムの一例を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態における放射パネルとその配置例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態における冷媒回路の一例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の一実施形態における結露防止運転を説明する図である。
【
図6】本発明の一実施形態における結露防止運転のフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態における結露防止運転の他の例を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施形態における放射パネルの接続例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態>
以下、本実施形態の空調システムについて図を参照しつつ説明を行う。
図1は、本発明の一実施形態における空調システムの一例を示す概略図である。
空調システム100は、室内機10と、室外機20と、放射パネルモジュール40A,40Bと、ダクト13と、を備える。以下、放射パネルモジュール40A,40B等を総称して放射パネルモジュール40と記載する場合がある。
室内機10は、空調対象となる室内の空間W0の天井裏などに設置され、吸込口W1から空間W0の空気Wを吸入し、この空気Wを適切な温度に調節してダクト13へ送出する。空間W0の床、壁面、天井などには、少なくとも1つの放射パネルモジュール40が配置され、ダクト13へ送出された温度制御済みの空気は、放射パネルモジュール40へ供給される。放射パネルモジュール40は、ふく射熱を空間W0へ放射する放射パネルと、室内機10から供給される空気Wが通過する風路を備える。放射パネルは空間W0と接するように床、壁、天井などの表面にその放射面(放射パネル)が空間W0側を向くように配置され、放射パネルの裏面を通過する温度制御済みの空気Wが放射パネルを冷却または加熱する。放射パネルが冷却または加熱されることにより、放射パネルを介してふく射熱が空間W0へ伝達し、空間W0を冷房または暖房する。なお、放射パネルモジュール40A、放射パネルモジュール40Bは、配管等で接続されていて、放射パネルモジュール40Aを通過した空気Wは、放射パネルモジュール40Bへ供給される。室内機10から供給される空気Wは、放射パネルモジュール40A、放射パネルモジュール40Bを通過し、吹出口W2Aから空間W0へ吹き出され、空間W0を冷却または加熱する。このように空調システム100は、放射式および対流式の2方式による空調を行って空間W0の冷暖房を行う。
【0021】
次に放射パネルモジュール40の構成および配置の一例について説明する。
図2は本発明の一実施形態における放射パネルモジュールとその配置例を示す図である。
図2に放射パネルモジュール40の平面図を示す。
図2に示す例では、空間W0の床面に4つの放射パネルモジュール40A,40B,40C,40Dが配置されている。放射パネルモジュール40Aを例に放射パネルモジュール40の構成を説明する。放射パネルモジュール40Aは、ダンパー42Aと、流路形成部材41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6と、ダンパー制御部43Aと、入口部44Aと、出口部45Aと、を備えている。また、放射パネルモジュール40Aの上側の面(空間W0の床面)は、図示しない放射パネルで形成されている。ダンパー制御部43Aは、制御装置30の指示に基づいてダンパー42Aの開閉動作を制御する。ダンパー42Aが実線で示す位置にあるとき(開状態とする)、入口部44Aから流入した空気Wは、実線矢印が示す方向にバイパス流路46Aを通過し、出口部45Aから送り出される。一方、ダンパー制御部43Aの制御によりダンパー42Aが破線で示す位置にあるとき(閉状態とする)、入口部44Aから流入した空気Wは、破線矢印が示す方向に熱交換流路47A1,47A2,47A3,47A4,47A5,47A6,47A7を通過し、出口部45Aから送り出される。
【0022】
空気Wが、熱交換流路47A1等を通過すると、放射パネルモジュール40Aからのふく射熱が増大し、暖房時には床(放射パネル)が暖かくなる。反対に空気Wがバイパス流路46Aを通過した場合には、放射パネルモジュール40Aが配置された領域の床の温度上昇は抑えられ、暖かい空気Wは対流式の空調で利用される。例えば、ユーザが、放射パネルモジュール40Aが配置された領域で過ごす場合、リモートコントローラ等によって、放射パネルモジュール40Aのダンパー42Aを切り替える指示を行い、空気Wが熱交換流路47A1等を通過するように制御することができる。あるいは、冷房運転時にユーザが、放射パネルモジュール40Aが配置された領域で過ごす場合、足元が冷えるのを抑えるためにリモートコントローラにより、ダンパー42Aを切り替える指示を行い、空気Wがバイパス流路46Aを通過するように制御することができる。放射パネルモジュール40B~40Dについても同様に構成されている。
【0023】
図示するように放射パネルモジュール40Aと放射パネルモジュール40Bは配管50Aで接続されている。同様に放射パネルモジュール40Cと放射パネルモジュール40Dは配管50Cで接続されている。ダクト13は2つに分岐して、入口部44A,44Cと接続している。室内機10からダクト13を介して温度制御済みの空気Wが放射パネルモジュール40Aの入口部44Aと放射パネルモジュール40Cの入口部44Cへ供給される。放射パネルモジュール40Aへ供給された空気Wは、バイパス流路46A又は熱交換流路47A1等を通過して出口部45Aから配管50Aを介して放射パネルモジュール40Bの入口部44Bへ供給される。同様に放射パネルモジュール40Cへ供給された空気Wは、放射パネルモジュール40Cの内部を通過して出口部45Cから配管50Cを介して放射パネルモジュール40Dの入口部44Dへ供給される。放射パネルモジュール40B,40Dについても同様である。放射パネルモジュール40B,40Dがそれぞれ出口部45B,45Dから送り出した空気は、吹き出し口W2A~W2Dから空間W0へ吹き出される。
【0024】
放射パネルモジュール40A~40Dのダンパー42A等は、各々独立して制御することができるので、例えば、放射パネルモジュール40Aのみ空気Wが熱交換流路47A1等を流れるようにダンパー42Aを閉状態とし、放射パネルモジュール40B~40Dについては、それぞれダンパー42B~42Dを開状態に制御することができる。
【0025】
吹き出し口W2A~W2Dから空間W0へ吹き出された空気Wは、空間W0を冷房または暖房して、再び吸込口W1から室内機10へ吸入される。
図1、
図2に例示するように、天井の吸入口W1と吹出口W2A~W2Dとを離れた位置に設け、その間に複数の放射パネルモジュール40を並べて配置することができる。例えば、吸入口W1と吹出口W2A等とが、空調対象の部屋の両端に近い位置に設けられていれば、対流式の空調において部屋全体を偏りなく空調することができる。また、複数の放射パネルモジュール40を、配管50を介して任意の方向に接続することで2次元平面状に放射パネルを配置することができる。これにより、放射式の空調によっても部屋全体を空調することができる。
【0026】
なお、ダンパー42Aの切り替えは、完全な開状態と閉状態との間で切り替える制御に限定されない。例えば、ステッピングモータを用いて、開状態と閉状態との間を多段階に切り替えられるように制御してもよい。これにより、熱交換流路47A1等に流入する空気Wの流量とバイパス流路46Aに流入する空気Wの流量とを調整し、より細やかな温度制御を行うことができる。例えば、暖房中に床の温度が高いと感じた場合、ユーザの指示によりダンパー制御部43Aは、ダンパー42Aの位置を開状態と閉状態の中間の位置に制御してもよい。すると、閉状態に制御した場合よりは少ない量の空気Wが熱交換流路47A1等へ流入するため、床の温度上昇を抑えることができる。
【0027】
吸込口W1から吸入された空気Wは、室内機10が備える室内熱交換器2との間で熱交換を行い、適切な温度に制御され、ファン9によって再びダクト13へ送出される。室内機10は、室内熱交換器2、ファン9、温度センサ11、湿度センサ12、制御装置30を備える。温度センサ11は、吸込口W1から吸入された空気Wの温度を計測する。湿度センサ12は、吸込口W1から吸入された空気Wの湿度(相対湿度)を計測する。制御装置30は、温度センサ11および湿度センサ12の計測値に基づいて、ファン9の回転数を制御し、空気Wをダクト13へ送出する。室内機10は、室外機20と冷媒配管6、図示しない通信線等で接続される。室内機10と室外機20は、冷凍サイクルを構成しており、冷媒を冷凍サイクル内で循環させることによって冷媒の加熱・冷却を行い、室内熱交換器2を通じて空気Wを所望の温度に制御する。
【0028】
ここで、
図3を用いて、室内機10と室外機20による冷凍サイクルの運転について説明する。
図3は、本発明の一実施形態における冷媒回路の一例を示す図である。
図3に示すように室内機10は、室内熱交換器2、ファン9を備える。室外機20は、圧縮機1、膨張弁3、室外熱交換器4、四方弁5を備える。圧縮機1、室内熱交換器2、膨張弁3、室外熱交換器4、四方弁5は冷媒配管6で接続される。
圧縮機1は、冷媒を圧縮し、圧縮後の高温、高圧の冷媒を吐出する。暖房運転では、冷媒は矢印8の方向に循環する。つまり、圧縮機1が吐出した冷媒は、四方弁5を介して室内熱交換器2に供給される。冷媒は、室内熱交換器2にて、吸込口W1から吸入した空気Wへ放熱し、凝縮して液化する。凝縮した冷媒は、膨張弁3によって減圧され、低圧の冷媒となる。低圧の冷媒は、室外熱交換器4へ供給され、外気からの吸熱により気化する。気化した冷媒は、四方弁5を通過して圧縮機1へ吸入される。圧縮機1は低圧の冷媒を圧縮して高圧の冷媒を吐出する。
【0029】
また、冷房運転では、冷媒は矢印7の方向に循環する。つまり、圧縮機1が吐出した高圧の冷媒は、四方弁5を介して室外熱交換器4に供給され外気へ放熱し凝縮する。凝縮した冷媒は膨張弁3によって減圧される。低圧の冷媒は、室内熱交換器2へ供給され、空気Wから吸熱して空気Wを冷却し、気化する。気化した冷媒は、四方弁5を通過して圧縮機1へ吸入される。圧縮機1は低圧の冷媒を圧縮して高圧の冷媒を吐出する。
【0030】
室外機20の制御装置21は、暖房と冷房に応じた四方弁5の切り替えや、温度センサ11が計測した空気Wの温度と設定温度との差に応じた回転数で圧縮機1を駆動するなどして、空間W0の温度がユーザが設定した設定温度となるように冷凍サイクルの運転を行う。空気Wと冷媒は、室内熱交換器2で熱交換する。制御装置30は、所定の回転数でファン9を制御して、所望の温度に制御された熱交換後の空気Wをダクト13へ送出する。また、例えば、制御装置30は、湿度センサ12が計測する空気Wの湿度に基づいてファン9の回転数を低下させて風量を抑えることにより空間W0の湿度を低下させる等して結露を防止する結露防止運転を行う。次に制御装置30が備える結露防止運転について説明する。
【0031】
図4は、本発明の一実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
制御装置30は、例えばマイコン等のコンピュータ装置である。図示するように制御装置30は、センサ情報取得部31と、設定情報取得部32と、タイマ33と、記憶部34と、制御部35と、通信部36とを備えている。なお、制御装置30は、室内機10に関して種々の制御を行うが、本明細書では結露防止運転に関する機能の説明を中心に行う。
【0032】
センサ情報取得部31は、温度センサ11から空気Wの温度の計測値、湿度センサ12から空気Wの湿度の計測値を取得する。
設定情報取得部32は、ユーザがリモートコントローラ等から入力した各種設定情報を取得する。例えば、設定情報取得部32は、運転の開始と停止の指示、冷房・暖房の設定、室温の設定、風量の設定、床のどのエリア(放射パネルモジュール40A~40Dの何れか)を温めるか(又は冷却するか)、あるいはどのエリアを温めないか(又は冷却しないか)等の設定情報を受け付ける。
タイマ33は、時間を計測する。
記憶部34は、センサ情報取得部31が取得した温度や湿度の計測値、設定情報取得部32が取得した各種設定情報など種々の情報を記憶する。また、記憶部34は、制御装置30の機能を実現する各種プログラムを記憶する。
【0033】
制御部35は、室内機10の制御、室外機20と連携して空調システム100の制御を行う。例えば、設定情報取得部32が、冷房の運転開始指示、冷房時の設定温度を取得すると、室外機20の制御装置21へ、温度センサ11の計測値と共にそれらの設定情報を通知する。制御装置21は、温度センサ11の計測値と設定温度の差に基づいて、圧縮機1を駆動し、空気Wが所望の温度となるよう冷凍サイクルを運転する。また、例えば、設定情報取得部32が、所定の風量の設定情報を取得すると、制御部35は、ダクト13へ供給される空気Wの風量(あるいは吹出口W2A等から吹き出される空気Wの風量)が所定の風量となるようファン9の回転数を制御する。例えば、風量が強、中、弱の3段階で設定できる場合、それらの設定ごとにファン9の回転数が定められていて、制御部35は、ユーザが設定した風量の設定に対応する回転数でファン9を駆動する。また、例えば、冷房時にユーザが、放射パネルモジュール40Aのエリアをあまり冷やさないように設定した場合、制御部35は、ダンパー制御部43Aへ、ダンパー42Aを開状態とするよう指示する。
【0034】
制御部35は、ファン9の回転数を低下させたり、ダンパー42A等を切り替えたりして、冷房時における放射パネルモジュール40の放射パネルへの結露を防ぐ。例えば、空調システム100が、冷房運転をする場合、運転を開始してしばらくの間は、空間W0に存在する空気に含まれる水蒸気の量が多い可能性がある。その状態で放射パネルモジュールが冷却されると、放射パネルの表面に結露が生じる可能性がある。その為、本実施形態では、冷房運転の開始時に結露防止運転を行う。
【0035】
(結露防止運転)
例えば、制御部35は、(1)冷房運転の開始時に除湿運転を行う。具体的には、圧縮機1の制御などの冷凍サイクルに関する制御については、ユーザが指定した設定条件に基づく冷房運転を実行したまま、ファン9の回転数だけを低下させる。ファン9の回転数を低下させると、室内熱交換器2を通過する空気Wの単位時間あたりの風量が少なくなる。そのため、空気Wは、室内熱交換器2との熱交換でより低温に冷却される。空気Wが冷却されることにより、空気Wの水分が取り除かれ、熱交換後の空気Wの湿度はファン9の回転数が大きいときに比べ低下する。例えば、ファン9の回転数制御により、室内熱交換器2で冷却された空気Wの温度が、湿度センサ12が計測する湿度から計算される露点温度より低くなるような風量とすることができれば、室内熱交換器2による除湿効果を高めることができる。このようにして除湿された空気Wをダクト13、放射パネルモジュール40を介して室内へ還流させる。これにより、室内の湿度も低下し、放射パネルへの結露が発生しにくくなる。
【0036】
また、制御部35は、(2)冷房運転の開始時には、放射空調を行わず、対流空調を行う。つまり、ダンパー制御部43Aは、制御部35の指示に基づいて、ダンパー42Aを開状態(実線の位置)に制御する。すると、空気Wは、入口部44Aから流入し、バイパス流路46Aを通過して、出口部45Aから流出する。これにより、バイパス流路46Aを通過する間の冷却された空気Wから放射パネルへの熱伝達は低減され、放射パネルは、空気Wが熱交換流路47A1等を通過する場合に比べて冷却されることなく、放射パネルの温度は比較的高く保たれる。そのため、放射パネルの表面に結露が生じる可能性が低くなる。制御部35は、他の放射パネルモジュール40B~40Dについても同様に空気Wが通過する経路の切り替えを行う。
【0037】
このように、バイパス流路46Aを通過させつつ、空気Wを空間W0内に循環させる対流空調を継続すると、(1)の制御による除湿効果によって、空間W0内の空気に含まれる水蒸気の量が減少する。水蒸気の量が少ない状態であれば、放射パネルを冷却し、放射空調を行っても放射パネルの表面に結露する可能性は低くなる。制御部35は、例えば、湿度センサ12による計測値に基づいて結露の可能性が低い運転環境であることが判定できる状態となると、結露防止運転を終了する。結露防止運転が終了すると、制御部35、制御装置21によって、通常の冷房運転が実行される。例えば、制御部35は、ユーザが指定した風量に対応する回転数でファン9を駆動する。また、例えば、制御部35は、ユーザが指定したエリアだけを冷却するようにダンパー42A等の開閉制御を行う。また、制御装置21は、温度センサ11の計測した温度と設定温度に基づいて冷却能力の調整を行う。
【0038】
通信部36は、制御装置21との間の通信を行う。例えば、設定情報取得部32が、運転停止指示を取得すると、通信部36は、その運転停止指示を室外機20の制御装置21へ送信する。また、通信部36は、ダンパー制御部43A等と通信を行う。例えば、制御部35が、ダンパー42Aを閉状態にするよう指示した場合、通信部36は、その指示情報を、ダンパー制御部43Aへ送信する。
【0039】
次に本実施形態の結露防止運転の一例について
図5を用いて説明する。
図5は、本発明の一実施形態における結露防止運転を説明する図である。
図5(a)にファン9の回転数の時間推移を示し、
図5(b)にダンパー42A等の開閉状態の変化を示す。
図5(a)の縦軸はファン9の回転数、
図5(b)の縦軸はダンパー42A等が開か閉かを示す。また、
図5(a)~(b)の各グラフの横軸は時間を示し、各グラフの同じ位置は同じ時刻を示している。また、実線のグラフは、冷房運転開始時の湿度がh1%で、破線のグラフは冷房運転開始時の湿度がh2%の場合の制御を示す。ここで、h1>h2である。
【0040】
時刻t0に冷房運転を開始する。制御部35は、(1)冷却能力を維持したままファン9の風量を所定の値より低下させる除湿運転を行う。所定の値とは、例えば、ユーザが設定できる最低の風量である。あるいは、結露防止運転用に設けられたユーザが設定できる最低の風量よりもさらに小さな風量であってもよい。好ましくは、制御部35は、(1)除湿運転と(2)すべての放射パネルモジュール40において空気Wをバイパス流路へ通過させる制御、の両方を行う。
図5(a)、(b)は、制御部35が、ファン9の回転数を低速のR1に設定し、ダンパー制御部43Aを介してダンパー42Aを開状態としたことを示している。除湿運転により、空気Wの温度低下にもかかわらず、空気Wの相対湿度の上昇は抑えられる(あるいは低下する)。なお、ユーザの指定する風量に対応するファン9の回転数がR1の場合、制御部35は、結露防止運転中も回転数をR1で駆動してもよいし、ユーザが指定できる最も低速の回転数よりもさらに低速な回転数R1´を設け、結露防止運転時には回転数R1´でファン9を駆動するようにしてもよい。
【0041】
冷房運転開始時の相対湿度がh2%の場合、冷房運転の開始から所定の時間T1が経過した時刻t1になると、制御部35は、結露防止運転を終了する。つまり、制御部35は、ファン9の回転数をユーザが設定した風量に対応するR2へ上昇させる。また、制御部35は、ユーザによる冷暖房を行うエリアの設定に基づいて、放射パネルモジュール40A等のダンパー制御部43A等へ、ダンパー42A等を開状態から閉状態へ切り替えるように指示を行う。
同様に冷房運転開始時の相対湿度がh1%の場合、冷房運転の開始から所定の時間T2が経過した時刻t2になると、制御部35は、結露防止運転を終了する。制御部35は、ユーザの設定に基づいて、ファン9の回転数の上昇、各放射パネルモジュール40における空気Wの流路の切り替えを行う。
【0042】
図示するように時間T2>時間T1である。冷房運転開始時の相対湿度が高ければ、その分、空気中の水蒸気を取り除かなければならないため、制御部35は、冷房運転開始時の相対湿度が低い場合に比べて長い時間、結露防止運転を行う。反対に冷房運転開始時の相対湿度が低ければ、除湿に要する時間は少なくて済むので、制御部35は、相対的に短い時間、結露防止運転を行う。
時間T1、T2は冷房運転開始時の相対湿度ごとに予め定められていてもよい。あるいは、時間T1、T2は冷房運転開始時の温度および相対湿度ごとに予め定められていてもよい。または、時間T1、T2は冷房運転開始時の温度および相対湿度および設定温度ごとに予め定められていてもよい。時間T1,T2は記憶部34に記録されている。
【0043】
あるいは、結露防止運転の停止を時間で制御するのではなく、制御部35は、湿度センサ12が計測する湿度を監視し、相対湿度が所定の閾値以下になると、結露防止運転を停止してもよい。
【0044】
図6は、本発明の一実施形態における冷房運転における結露防止処理のフローチャートである。
図1~
図2の空調システム100を例に説明を行う。まず、ユーザの指示により、冷房運転を開始する(ステップS11)。ユーザの指示には、室内の設定温度、風量、どのエリア(放射パネルモジュール40A~40D)の床を冷却するかの設定情報が含まれている。設定情報は、室内機10と室外機20の間で共有される。冷房運転の実行中、通信部36は、センサ情報取得部31が取得した温度センサ11による空気Wの温度を、所定の時間間隔で室外機20の制御装置21へ送信する。制御装置21は、空気Wの温度が、設定温度に近づくように圧縮機1の回転数を調整し、冷凍サイクルを運転する。
室内機10では、制御部35が、冷房運転が開始されたことに基づいて、結露防止運転を実行する(ステップS12)。例えば、制御部35は、回転数を最低に設定して、ファン9を駆動する。また、制御部35は、ダンパー制御部43Aへダンパー42Aを開状態にするよう指示する。同様に制御部35は、ダンパー制御部43B~43Dへ、各々ダンパー42B~42Dを開状態にするよう指示する。また、制御部35は、湿度センサ12が計測した空気Wの湿度に基づいて結露防止運転を実行する時間を決定する。例えば、記憶部34には、湿度と結露防止運転の実行時間(
図5の時間T1、T2)との関係を定めたテーブルが記録されていて、制御部35は、このテーブルを参照して結露防止運転の実行時間を決定する。制御部35は、タイマ33が計測した時間を参照して、結露防止運転の開始から、決定した実行時間が経過すると、結露防止運転を終了する。結露防止運転を終了すると、例えば、制御部35は、ファン9の回転数をユーザが指定した風量に対応する回転数へ上昇させる。また、制御部35は、ユーザが設定したエリアが冷却されるように、ダンパー制御部43A等へダンパー42Aを閉状態にするよう指示する。結露防止運転が終了すると、通常の冷房運転が実行される。
【0045】
冷房運転の開始時に限らず、冷房運転の実行中であっても、結露防止運転を行ってもよい。例えば、制御部35は、結露防止運転の開始条件が成立したかどうかを判定し(ステップS13)、開始条件が成立していれば、ファン9の回転数低下などの結露防止運転を実行する(ステップS14)。例えば、湿度センサ12が計測する湿度が所定の閾値以上に上昇すると制御部35は、結露防止運転を実行すると判定してもよい。あるいは、冷房運転が所定時間以上継続すると制御部35は、結露防止運転を実行すると判定してもよい。あるいは、設定温度を所定の温度以上変化(低下)させた場合に制御部35は、結露防止運転を実行すると判定してもよい。開始条件が成立した場合、制御部35は、所定の実行時間だけ結露防止運転を行い、その後、冷房運転に復帰する。
また、開始条件が成立していなければ、冷房運転を継続する(ステップS15)。
【0046】
次に制御部35が、冷房運転を終了するかどうかを判定する(ステップS16)。例えば、制御部35は、設定情報取得部32が冷房運転の停止を指示する情報を取得すると、冷房運転を終了すると判定する。冷房運転を終了しない場合(ステップS16;No)、ステップS13以降の処理を繰り返す。冷房運転を終了する場合(ステップS16;Yes)、制御装置21、30は、冷房運転の終了処理を行う(ステップS16)。例えば、制御装置21は、圧縮機1を停止する。また、制御部35は、ファン9を停止する。
【0047】
図7は、本発明の一実施形態における結露防止運転の他の例を説明する図である。
図5では、冷房運転開始時の湿度に基づく結露防止運転の実行例を説明した。
図7では、結露防止運転後の湿度の変化に応じて、ファン9の回転数制御およびダンパー42A等の開閉制御を行う例を説明する。
図7に相対湿度とファン9の回転数とダンパー42A等の開閉状態の経時的な変化を示す。h3、h4は判定に用いる相対湿度の閾値でh3>h4である。
時刻t0に冷房運転を開始する。冷房運転開始時の湿度はh3%より高いとする。湿度センサ12が計測する湿度がh3%より高いことに基づき、制御部35は、結露防止運転Aを実行する。具体的には、制御部35は、(1)ファン9の回転数をR3に低下させる除湿運転と、(2)ダンパー42A~42Dを開にする制御を行う。なお、R3とは、例えば、
図5で例示したR1やR1´である。
【0048】
結露防止運転Aの実行中、制御部35は、湿度センサ12が計測する湿度を監視する。図示するように、結露防止運転Aの効果により、空間WOの湿度は徐々に低下する。時刻t3に湿度がh3%に低下すると、制御部35は、湿度がh3%まで低下したことに基づいて結露防止運転Aを終了し、代わりに結露防止運転Bを実行する。具体的には、制御部35は、(1)ファン9の回転数をR3からR4へ上昇させ、R4で運転する。(2)ダンパー42A~42Dは開のままとする。回転数R4は、R3より高速で結露が生じない程度の風量に対応する。また、回転数R4は、ユーザが設定した風量より小さな風量に対応する回転数である。
【0049】
制御部35は、引き続き湿度センサ12が計測する湿度を監視する。時刻t4に湿度がh4%に低下すると、制御部35は、結露防止運転Bを終了する。つまり、制御部35は、ファン9の回転数をR5へ上昇させ、ダンパー42A~42Dを閉に切り替える。回転数R5は、例えば、ユーザが設定した冷房運転時の風量に対応する回転数である。結露防止運転Bを終了すると、制御部35は、冷房運転を行う。
【0050】
図7の例のように、制御部35は、結露防止運転中の湿度を監視し、湿度の低下に応じてファン9の回転数を上昇させてもよい。これにより、冷却された空気Wをより多く空間WOへ供給することができ、結露防止運転中であっても冷房能力を発揮することができる。また、ファン9の回転数を上昇させている間もダンパー42A等を開とすることで、結露の発生を抑制することができる。
なお、
図7の例では、ファン回転数の切り替えを1段としたが、例えば、湿度の閾値を3段階設け(例えば、h31%>h32%>h33%)、湿度がh31%、h32%、h33%へ低下する度にファン9の回転数を上昇させる制御を行ってもよい。
【0051】
本実施形態によれば、空調対象となる空間W0の空気Wを吸入して、空気Wの温度を制御する空気調和機(室内機10、室外機20)と、空間W0に接する面に配置された放射パネルモジュール40と、空気調和機によって温度制御された空気Wを放射パネルモジュール40へ送出するファン9と、放射パネルモジュール40を通過した空気Wを空間W0へ吹き出す吹出口W2A等とを備える空調システム100において、冷房運転時の放射パネルモジュール40の表面(空間W0に接する面)への結露を防止することができる。また、冷房時は湿度が低い方が快適さが増すことが知られているが、本実施形態によれば、冷房運転の開始時に室内の湿度を低下させるので、室内の温度が設定温度に至るまでの間の快適性を高めることができる。
【0052】
なお、
図2では、放射パネルモジュール40の内部に熱交換流路とバイパス流路を設け、放射パネルモジュール40同士を接続することにより空気Wの流路を形成する構成例を挙げたがこれに限定されない。放射パネルモジュール40内には、熱交換流路のみを設け、ダクト13と各放射パネルモジュール40を個別に配管などにより直接接続し、冷却または加熱対象の放射パネルモジュール40には空気Wを送出し、対象ではない放射パネルモジュール40には空気Wを送出しない構成としてもよい。
図8にこのような空調システム100の構成例を示す。
【0053】
図8は、本発明の一実施形態における放射パネルの接続例を示す図である。
図8に示す例では、空間W0の床面に4つの放射パネルモジュール60A,60B,60C,60Dが配置されている。放射パネルモジュール60Aは、流路形成部材61A1,61A2,61A3,61A4,61A5と、入口部64Aと、出口部65Aと、を備えている。また、放射パネルモジュール60Aの床側の面は、図示しない放射パネルで形成されている。入口部64Aは、配管L1と接続され、空気Wはダクト13、配管L1を通過して放射パネルモジュール60Aへ供給される。また、配管L1には、弁V1が設けられ、制御装置30(制御部35)が弁V1を開にすると空気Wは放射パネルモジュール60Aへ供給され、弁V1を閉にすると空気Wは放射パネルモジュール60Aへ供給されない。弁V1を開にした場合、放射パネルモジュール60Aの熱交換流路を通過した空気Wは出口部65Aから配管L2へ送出される。出口部65Aと配管L2を接続する配管には、出口部65Aから配管L2の方向への流れのみを許すよう逆止弁が設けられていてもよい。配管L2へ送出された空気Wは、吐出口W2A等から空間W0へ吐き出される。他の放射パネルモジュール60B~60Dについても同様である。各放射パネルモジュール60B~60Dには、空気W供給用の配管(それぞれ配管L4、L3、L6)が接続されていて、各配管には弁(それぞれ弁V4、V3、V6)が設けられている。
【0054】
例えば、放射パネルモジュール60Aには空気Wを供給せず、放射パネルモジュール60Cに空気Wを供給する場合、制御部35は、弁V1を閉、弁V2を閉、弁V3を開に制御する。すると、空気Wは、ダクト13から配管L3を通って放射パネルモジュール60Cに供給され、放射パネルモジュール60Cの内部を通過する。放射パネルモジュール60Cから送出された空気Wは吐出口W2A等から吐き出される。放射パネルモジュール60A、60Cの両方に空気Wを供給する場合は、制御部35は、弁V1を開、弁V2を閉、弁V3を開に制御する。また、放射パネルモジュール60A、60Cの両方に空気Wを供給しない場合は、制御部35は、弁V1を閉、弁V2を開、弁V3を閉に制御する。すると、空気Wは、ダクト13から配管L2を通って、吐出口W2A等へ至る。この流れは、
図2の例で、ダンパー42A、42Bを共に開状態に制御したときと同様である。つまり、
図8の構成の場合、弁V1、弁V2、弁V3の開閉を連動させることにより、空気Wが各放射パネルモジュール60A等の熱交換流路を通過するか、バイパス流路(配管L2、L5)を通過するかを切り替えることができる。
【0055】
例えば、冷房運転開始時における結露防止運転中には、制御部35は、ファン9の回転数低下と共に弁V1を閉、弁V2を開、弁V3を閉に制御する。同様に制御部35は、弁V4を閉、弁V5を開、弁V6を閉に制御する。これにより、空気Wをバイパス流路に導くことができ、結露を防ぐことができる。
【0056】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、冷房運転御開始時であっても、湿度センサが計測した湿度が所定の値以上の場合のみ結露防止運転を行うようにしてもよい。また、結露防止運転は、ファン9の回転数を低下させる制御だけでもよい。あるいは、結露防止運転は、空気Wをバイパス流路へ供給する制御だけでもよい。また、上記実施例では、放射パネルモジュール40等を床面に配置する例を挙げたが、天井や壁面に配置してもよい。なお、弁V1~V6は、空気Wの流路を放射パネルモジュール60とバイパス流路(配管L2、L5)とで切り替える切り替え機構の一例である。
【符号の説明】
【0057】
1・・・圧縮機
2・・・室内熱交換器
3・・・膨張弁
4・・・室外熱交換器
5・・・四方弁
6・・・冷媒配管
9・・・ファン
10・・・室内機
11・・・温度センサ
12・・・湿度センサ
13・・・ダクト
20・・・室外機
21・・・制御装置
30・・・制御装置
31・・・センサ情報取得部
32・・・設定情報取得部
33・・・タイマ
34・・・記憶部
35・・・制御部
36・・・通信部
40A、40B、40C、40D・・・放射パネルモジュール
41A1,41A2,41A3,41A4,41A5,41A6・・・流路形成部材
42A・・・ダンパー
43A・・・ダンパー制御部
44A・・・入口部
45A・・・出口部
46A・・・バイパス流路
47A1,47A2,47A3,47A4,47A5,47A6,47A7・・・熱交換流路
50A、50C・・・配管
60A、60B、60C、60D・・・放射パネルモジュール
61A1、61A2、61A3、61A4、61A5・・・流路形成部材
64A・・・入口部
65A・・・出口部
100・・・空調システム
L1、L2、L3、L4、L5、L6・・・配管
V1、V2、V3、V4、V5、V6・・・弁
W・・・空気
W0・・・空間
W1・・・吸込口
W2A、W2B、W2C、W2D・・・吹出口