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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】トイレ空間
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
A47K17/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018230418
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020089679
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】辻 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】沓澤 寛人
(72)【発明者】
【氏名】中尾 俊紀
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-079056(JP,A)
【文献】特開2001-275891(JP,A)
【文献】特開2000-027265(JP,A)
【文献】特開2006-034993(JP,A)
【文献】特開2017-000572(JP,A)
【文献】特開2012-162948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 17/00
H05B 47/00
F21V 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器装置と、
前記便器装置に近付く人体を検知する焦電式、光学式又は超音波式のセンサと、
前記センサの検知結果に基づいて作動し、前記便器装置が設置されたトイレ空間の環境を制御する設備機器と、
前記便器装置の周囲に配置されるキャビネットと、を備えるトイレ空間であって、
前記キャビネットは、前記便器装置を固定支持するフレームと、
前記フレームに接続される前パネルと、を有し、
前記センサは、前記前パネルに配置されるとともに、その検知範囲が前記便器装置の便蓋又は便座の全開又は全閉時において前記便器装置に近付く人体を検知する位置に設定され、
前記設備機器は、照明装置であり、
前記キャビネットは、前記便器装置における便器本体の背面側に配置される背面側キャビネットを含んで構成され、
前記照明装置は、前記背面側キャビネットの前記前パネルに配置され
前記照明装置は、前記背面側キャビネットの側縁と、前記トイレ空間の側壁との間から光を照射する、トイレ空間。
【請求項2】
前記センサは、前記検知範囲が前記便蓋又は前記便座に干渉しないように設定される、請求項1に記載のトイレ空間。
【請求項3】
前記センサは、前記便蓋の幅方向の外側で、閉じた状態の前記便蓋の上面よりも上方の前記前パネルの表面に配置されている、請求項1又は2に記載のトイレ空間。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ空間に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ空間には、便器装置が設けられたトイレ空間内の環境を制御する照明装置や冷暖房装置等、各種の設備機器が設けられている。設備機器として、例えばトイレ空間内のキャビネットの照明装置の起動のために、便器装置が取り付けられるキャビネットの内部にマイクロ波のセンサを配置し、人体が便器装置に近付いたことを検知するトイレ空間が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-79056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トイレ空間内で、各種の設備機器にセンサを用いる場合、施工するトイレ空間の間取りや面積によって、便器装置に使用者がどの程度近づいたかに応じて適切なタイミングで起動させたい場合がある。このため、検知する距離に関連して精度が高く、広範囲で検知可能なセンサが求められる。この場合、センサとして、赤外線センサを用いることが考えられるが、赤外線センサの場合には、赤外線センサの検知範囲に障害となる物体を配置しないようにする必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、便器装置(例えば、後述の便器装置2)と、便器装置2に近付く人体を検知する焦電式、光学式又は超音波式のセンサ(例えば、後述のセンサ7)と、前記センサの検知結果に基づいて作動し、前記便器装置が設置されたトイレ空間(例えば、後述のトイレ空間100)の環境を制御する設備機器と、前記便器装置の周囲に配置されるキャビネットと、を備えるトイレ空間であって、前記センサは、前記キャビネットの前面に配置されるとともに、その検知範囲(例えば、後述の検知範囲70)が前記便器装置の便蓋又は便座の全開又は全閉時において前記便器装置に近付く人体を検知する位置に設定される、トイレ空間に関する。
【0006】
前記センサは、前記検知範囲が前記便蓋又は前記便座に干渉しない位置に設定されることが好ましい。
【0007】
前記設備機器は、照明装置(例えば、後述の照明装置6)であることが好ましい。
【0008】
前記キャビネットは、前記便器装置における便器本体(例えば、後述の便器本体21)の背面側に配置される背面側キャビネット(例えば、後述の背面側キャビネット3)を含んで構成され、前記照明装置は、前記背面側キャビネットの前パネル(例えば、後述の前パネル31)に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人体を正確に検知しやすくしたセンサを有するトイレ空間を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の背面側キャビネット示す正面図である。
図2】本実施形態の背面側キャビネットの側面図である。
図3】本実施形態の背面側キャビネットの上面図である。
図4】本実施形態の間口調整材、連結側板及び照明装置の斜視図である。
図5】他の実施形態の前パネル及び巾木の下端近傍を示す拡大した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態におけるトイレ空間100内の背面側キャビネット3を示す図である。背面側キャビネット3は、トイレ空間100内に配置されるとともに、便器装置2の便器本体21が取り付けられる。
【0012】
トイレ空間100とは、建物内の仕切られた区画で便器装置2が設けられる場所を意味し、例えば便所等である。本実施形態では、トイレ空間100は、図1に示すように、略直方形の空間であり、長手方向がトイレ空間100の手前側の入口(図示省略)と入口に対向する奥側とを結ぶ前後方向に沿っている。トイレ空間100は、奥側の後壁101と、後壁101の幅方向の一方及び他方の一対の側壁102と、出入口用の扉が設けられた前壁(図示省略)と、床面103と、を有する。
なお、本明細書において、上下方向とは天地方向であり、幅方向とは、図1に示すように、トイレ空間100の入口側から後壁101に向かって、背面側キャビネット3を正面から見た場合の左右を結ぶ横方向を意味する。また、左右とは、背面側キャビネット3を正面から見た場合の左右を意味する。
【0013】
図2は、トイレ空間100の側面図である。図3は、トイレ空間100の上面図である。
便器装置2は、図2に示すように、便器本体21と、便蓋22と、給水部23と、排水部24と、を有する。
【0014】
便器本体21は、上部が開口した凹部が形成されたボウル部210を有する平面視略U字状の容器である。便器本体21は、使用者が着座して使用する便器を構成する主要部分であり、ボウル部210の底部には汚物を排出する排水口が形成されている。便器本体21は、下端部が床面103から上方に離れた位置に配置されている。便器本体21は、いわゆる壁掛け式であり、便器本体21が後述する背面側キャビネット3に接続されて、床面103から宙に浮いたように設置されている。便器本体21は、背面側キャビネット3が設けられる床面103から、例えば60mm~110mm程度上方に離れた位置に取り付けられている。
【0015】
便蓋22は、便器本体21のボウル部210における開口を覆う蓋であり、後方側にヒンジで接続されて開閉される。
給水部23は、便器本体21に排水用の水を供給する機構である。給水部23は、建物の内部に設けられた給水管(図示省略)に接続され、ボウル部210に供給する水を貯水する給水タンク230を有する。
排水部24は、便器本体21に接続され、便器本体21の排水口から排出される汚水を下水へ排水するエルボ管241及び蛇腹管242を有する。エルボ管241は、排水口に接続されており、蛇腹管242は、エルボ管241の下流側端部から床下の下水管へと接続される。
【0016】
図3は、トイレ空間100の上面図である。図3では、カウンター330を省略して示している。
背面側キャビネット3は、図1図3に示すように、便器本体21の背面側と、トイレ空間100の後壁101との間に配置される。背面側キャビネット3は、床面103から便器装置2の上部を越えて上方へ延びるとともに、後壁101側へ奥行を有する。背面側キャビネット3は、便器装置2のタンクや止水栓等が配置される給水部23や排水部24等を覆い隠す棚である。
背面側キャビネット3は、収容部30と、前パネル31と、巾木32と、一対の間口調整材4と、一対の連結側板5と、一対の照明装置6と、センサ7と、制御部(図示省略)と、を有する。
【0017】
収容部30は、便器本体21の背面と後壁101との間に配置され、便器装置2の給水部23や排水部24、便器装置2の電源(図示省略)等の構成部を内部に収容する略直方形の空間である。収容部30は、フレーム350と、補強木320と、カウンター330と、を有する。
【0018】
フレーム350は、図1に示すように、便器本体21、給水部23及び排水部24等を固定支持する土台を形成する枠である。フレーム350は、一対の縦桟351、上桟352、及び下桟353を有する。
一対の縦桟351は、便器本体21の背面側で、後壁101から前方側に所定距離離れた位置に、上下方向に延びる金属製の枠材である。一対の縦桟351は、便器本体21の幅方向の一方及び他方に配置される。縦桟351には、後述する前パネル31を介して便器本体21が固定される。また、一対の縦桟351の間に、横方向に延びる支持部材354(図2参照)が取り付けられ、給水タンク230が支持部材354に固定支持される。
上桟352は収容部30の上部側で、下桟353は収容部30の下部側で、一対の縦桟351の間に横方向に渡される金属製の枠材である。
【0019】
補強木320は、後壁101に直接取り付けられる板材であり、収容部30の上部でフレーム350に対向する位置に配置される。
【0020】
カウンター330は、収容部30の上部を覆う長方形の板である。カウンター330は補強木320に回動可能にヒンジで接続され、収容部30の上部開口を開閉可能な蓋を構成する。カウンター330の手前側の縁は、上桟352に間接的に支持される。
【0021】
前パネル31は、便器本体21が固定されるフレーム350の縦桟351に接続されて支持され、便器本体21の背面側に取り付けられる。前パネル31は、収容部30の前側と便器本体21とを隔てる四角形の板状の部材である。前パネル31は、便器本体21の下方から上端部を越えて上下方向に延び、背面側キャビネット3の最前面部を構成する。前パネル31は、上端側で幅方向に延びる上端縁31aと、下端側で幅方向に延びる下端縁31bと、幅方向の一方及び他方で上下方向に延びる側縁31c、31dとを有する。
【0022】
前パネル31の幅方向に沿う寸法は、便器本体21の幅よりも大きく、前パネル31は、背面側キャビネット3の幅方向の一方側から他方側へ延びるように配置されている。しかし、図1及び図3に示すように、前パネル31の一対の側端部で上下方向に延びる側縁31c、31dは、それぞれの側端部に対向するトイレ空間100の一対の側壁102から離れた位置に配置されており、側壁102にぴったりと付き合わされてはいない。すなわち、前パネル31の一対の側端部は、それぞれ一対の側壁102から離れて、第1の隙間S1を有して配置されている。第1の隙間S1は、例えば5mm~40mm程度、好ましくは10mm~35mm程度であってよい。
【0023】
前パネル31は、複数の板が隣接して配置されることで構成されており、上部前板部311と、下部右側前板部312と、下部左側前板部313と、下部中央前板部314と、を有する。
【0024】
上部前板部311は、前パネル31の上部に配置される四角形の一枚の板材である。上部前板部311は、縦桟351に固定される。
【0025】
下部右側前板部312は、前パネル31の下部の正面視右側に配置される四角形の板であり、便器本体21の下方の右側に配置される。下部右側前板部312は、ダボと孔の構成により上部前板部311に接続されており、また、後述する下部中央前板部314に接続されることで、間接的に縦桟351に支持される。
【0026】
下部左側前板部313は、前パネル31の下部の正面視左側に配置される四角形の板であり、便器本体21の下方の左側に配置される。下部左側前板部313は、ダボと孔の構成により上部前板部311に接続されており、また、後述する下部中央前板部314に接続されることで、間接的に縦桟351に支持される。
【0027】
下部中央前板部314は、前パネル31の下部の正面視中央側に配置される板であり、便器本体21の形状に沿って上部側が切り欠かれている。下部中央前板部314は、便器本体21の背面側に配置され、縦桟351に固定される。
【0028】
前パネル31の下端部に沿って延びる下端縁31b、すなわち、下部右側前板部312、下部左側前板部313及び下部中央前板部314の下端縁は、図1及び図2に示すように、床面103から上方に離れた位置に配置されており、床面103に直接接続されていない。前パネル31は、床面103から、少なくとも10mm以上離れた位置に取り付けられ、好ましくは20mm~50mm、例えば30mm~40mm程度離れた位置に取り付けられる。
【0029】
巾木32は、図2に示すように、縦桟351に固定されて前パネル31の下端部の背面側に配置され、前パネル31の幅方向の一方から他方に延びる細長い板材である。巾木32は、前パネル31の背面と前後方向に重なり、床面103に当接する。巾木32の前面は、前パネル31の背面に接している。巾木32は、前パネル31とは異なる色調に形成されており、例えば、トイレ空間100の側壁102と同系色である。
【0030】
巾木32は、図2に示すように、縦桟351に固定されて前パネル31の下端部の背面側に配置され、幅方向の一方から他方に延びる細長い板材である。巾木32の前面は、前パネル31の背面に接している。巾木32は、床面103と前パネル31の下端縁31bとを接続する。巾木32は、前パネル31とは異なる色調に形成されており、例えば、トイレ空間100の側壁102と同系色である。
【0031】
図4は、前パネル31に間口調整材4、連結側板5及び照明装置6が取り付けられた状態の斜視図である。間口調整材4は、背面側キャビネット3の上下方向に沿って延びる縦長の板材であり、長手方向側縁41と、短手方向側縁42と、長孔43と、を有する。
長手方向側縁41は、前パネル31の側縁31c、31dに沿って配置される。
短手方向側縁42は、前パネル31の幅方向に沿って配置される。
長孔43は、間口調整材4の上端側及び下端側に短手方向に沿って形成される。
【0032】
間口調整材4は、図3に示すように、前パネル31の背面側で、前パネルの一対の側縁31c、31d近傍に一対配置される。間口調整材4は、長孔43に挿通させるビス44の位置を調整することにより左右方向に移動可能に取り付けられ、間口調整材4の短手方向側縁42の外側端部が、トイレ空間100の側壁102に当接するように近接させて取り付けられる。ここで、間口調整材4が側壁102に「当接可能」とは、間口調整材4を側壁102に当接させるか、また、施工誤差等で側壁102にぴったりと当接しない場合でも、当接するほどに近接させることが可能であることを意味する。図1及び図4に示すように、間口調整材4の短手方向側縁42の外側端部は、前パネル31よりも幅方向の外側に位置する。
【0033】
間口調整材4は、前パネル31の背面から後方に離れ、前パネル31の背面との間に第2の隙間S2を有して配置される。前パネル31の背面と間口調整材4との間の第2の隙間S2の寸法は、前パネル31の側端部とトイレ空間100の側壁102との間の第1の隙間S1の寸法よりも大きく、例えば、40mm~60mm程度、好ましくは45mm~55mm程度である。第2の隙間S2の方が第1の隙間S1よりも大きいことで、第2の隙間S2の奥行きにより前パネル31の独立性が際立ち、前パネル31が浮遊しているような浮遊感が実現される。
【0034】
間口調整材4は、白色、ベージュ、クリーム色等の光を反射させやすい色調及び素材で構成される。白、ベージュ、クリーム色等の白色系の色調は、黒色系や赤色系等と比べると光を反射させやすい。このため、間口調整材4の反射板としての機能を発揮させやすくなる。
【0035】
間口調整材4は、図1に示すように、間口調整材4の下端部が巾木32の幅方向外側に配置されており、巾木32に対していわゆる「縦勝ち」に配置されている。間口調整材4と巾木32は、正面視で連続したように見え、間口調整材4と巾木32が前パネル31の下側の周囲を上部が開口したコの字状に囲んでいるように配置されている。
【0036】
連結側板5は、前パネル31の背面と間口調整材4とを連結する板であり、前パネル31及び間口調整材4に対して略直交するように取り付けられる。連結側板5は、間口調整材4とほぼ同程度の長さを有する縦長の板材である。連結側板5の幅方向の長さは、第2の隙間S2に対応する。図4に示すように、連結側板5の前パネル31側の短手方向の端部における、前パネル31と接する端面には、前パネル31側に向かって突出するボス51が形成されており、前パネル31の背面側の対応する位置に形成される孔に挿入されて連結される。
【0037】
図4を参照して、連結側板5と間口調整材4の連結手順について説明する。前パネル31の幅方向の寸法は、トイレ空間100の一対の側壁102同士の間の距離よりも短いので、前パネル31の幅方向の外側に第1の隙間S1が開く。第1の隙間S1の大きさに応じて、間口調整材4の位置は、便器本体21寄りか、側壁102寄りか、施工現場で位置を調整される。間口調整材4の長孔43にビス44を挿通させ、間口調整材4と連結側板5とをL字型金具52で仮留めする。間口調整材4の短手方向側縁42の外側(トイレ空間100の側壁102側)の端部が側壁102に当接するように近接させて左右方向に移動させ、位置を調整した後、間口調整材4の上端側及び下端側に挿通されているビス44を締め、一対の間口調整材4を固定する。
【0038】
照明装置6は、前パネル31の背面側のやや内側(前パネル31の幅方向中央寄り)で、前パネル31の両側縁31c、31dに沿って延びるように一対配置される。詳細には照明装置6は、図2に示すように前パネル31の両側縁31c、31dの背面と、間口調整材4との間で、連結側板5に取り付けられ、背面側キャビネット3の正面視では視認されない位置に配置される。照明装置6は、背面側キャビネット3の一対の側縁31c、31d側からトイレ空間100の一対の側壁102に対して光を照射する間接照明装置である。照明装置6は、照明ケース61と、照明カバー62と、照明素子及びケーブル(図示省略)とを有する。
【0039】
照明ケース61は、内部に照明素子及びケーブルが格納された直方体のケースである。照明ケース61は、前パネル31の上下方向の側縁31c、31dにおける一方側の端部側から他方側の端部側まで延びるように配置される。詳細には、照明ケース61の長さは、前パネル31の側縁31c、31dの長さよりもわずかに短く、照明ケース61の端部は、前パネル31の上下方向の端部よりもやや内側に位置している。なお、図3に示すように、照明ケース61は、前パネル31の一方の側縁31c側と他方の側縁31d側とでは、奥行き方向に互い違いにずれて配置されており、一方の側縁31c側では前パネル31の背面から奥側へ離れた位置で連結側板5に取り付けられ、他方の側縁31d側では前パネル31の背面に当接するように連結側板5に取り付けられている。
【0040】
照明カバー62は、照明ケース61が取り付けられた状態で、照明ケース61における少なくとも前パネル31の幅方向の外側を覆うように取り付けられる。照明カバー62は、トイレ空間100の側壁102側を向くように配置される。
【0041】
照明素子は、照明ケース61の内部に配置されている(図示省略)。照明素子が点灯することで照明装置6が発光する。照明素子は、発光の範囲が前パネル31の上下方向に亘るように、照明ケース61内の上下方向に沿って並ぶように配置されている。
【0042】
センサ7は、トイレ空間100の環境を制御する設備機器としての照明装置6に接続される。センサ7は、便器装置2に近付く人体を検知する焦電式の赤外線人体検知センサである。センサ7は、背面側キャビネット3の前面である前パネル31に取り付けられ、使用者がトイレ空間100に入室して、便器装置2にあらかじめ設定した距離近づくと、人体を検知し、検知結果を制御部へ出力するように設定されている。
【0043】
センサ7は、図2及び図3に示すように、前パネル31に配置されて、その検知範囲70が便器装置2の便蓋22又は便座の全閉時において便蓋22又は便座に干渉しないように設定される。図1に示すように、本実施形態では、センサ7は、便器装置2の正面視左側、便蓋22の幅方向の外側で、便蓋22の上面よりも上方の前パネル31の表面に配置されている。全開時には、センサ7は、開いた便蓋22又は便座の逆U字形状の正面視における面の高さ方向及び幅方向ともに重ならない位置に設けられている。
【0044】
なお、焦電式のセンサ7は熱源の違いに反応し、動かないものに対して検知しないので、仮に検知範囲70内に便蓋22又は便座があり干渉していたとしても、便蓋22又は便座が動いていなければ、センサ7の検知範囲70内で便器装置2に近付く人体を検知することができる。
また、センサ7が光学式又は超音波式のセンサであった場合でも、便蓋22又は便座等が全開時や全閉時の検知状態をあらかじめ記憶させておき、検知範囲70内に便蓋22又は便座があり検知範囲70に干渉しても反応しないように設定をしておけば、照明装置6が動作しないよう設定することができる。
【0045】
検知範囲70は、図2に示すように、便蓋22の上面から上方に向けて設定され、センサ7から延出させる下方の限界の仮想線と上方の限界の仮想線が交わる点から略30~90度程度の範囲である。また、幅方向では、平面視でセンサ7から延出させる左側の限界の仮想線と右側の限界の仮想線が交わる点から略30~90度程度の範囲である。
【0046】
制御部は、センサ7及び照明装置6に接続される。制御部は、センサ7が人体を検知すると、検知結果に応じて照明装置6を作動させ、点灯させる。また、制御部はタイマーに接続されており、照明装置6の点灯後所定時間が経過すると、照明装置6を消灯させる。
【0047】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、トイレ空間100を、便器装置2と、便器装置2に近付く人体を検知する焦電式、光学式又は超音波式のセンサ7と、センサ7の検知結果に基づいて作動し、便器装置2が設置されたトイレ空間100の環境を制御する設備機器と、便器装置2の周囲に配置されるキャビネットと、を含んで構成した。また、センサ7を、キャビネットの前面に配置されるとともに、その検知範囲が便器装置2の便蓋22又は便座の全開又は全閉時において便器装置2に近付く人体を検知する位置に設定した。
センサ7を焦電式赤外線人体検知センサとすることで、検知する距離が正確でかつ広範囲に設定することができる。また、電波式と異なり、キャビネットの前面に配置して、検知範囲70を便器装置2の便蓋22又は便座の全開又は全閉時において便器装置2に近付く人体を検知する位置に設定することで、焦電式赤外線人体検知センサを確実かつ正確に作動させることができる。よって、トイレ空間100がどのような間取り又は面積であっても、便蓋22又は便座の開閉の状況にかかわらず、人体を正確に検知し易く構成することができる。
【0048】
本実施形態では、センサ7を、検知範囲70が便蓋22又は便座に干渉しないように設定した。これにより、焦電式赤外線人体検知センサを確実かつ正確に作動させることができ、上記と同様の効果を奏する。
【0049】
本実施形態では、設備機器を照明装置6とした。キャビネットの照明装置6の点灯のためにセンサ7を設けることで、便器装置2に使用者が所定距離近づいたときにキャビネットの照明装置6を点灯させることができる。よって、キャビネットの照明装置6を必要以上に長い間点灯させておくことがなくなるので、電力の消費を抑えることができ、かつ、照明装置6の演出的効果を得ることができる。
【0050】
キャビネットを、便器装置2における便器本体21の背面側に配置される背面側キャビネット3を含んで構成し、照明装置6を、背面側キャビネット3の前パネル31に配置させた。前パネル31に配置された照明装置6の起動を制御するためにセンサ7が配置されているので、照明装置6を必要以上に長い間点灯させておくことがなくなり、上記と同様の効果を奏する。
また、センサ7を便器本体21の背面側に配置される背面側キャビネット3の前パネル31に配置させることで、センサ7の検知範囲70を広範囲かつ自在に設定させやすくなる。また、センサ7に接続する制御部や電源等を背面側キャビネット3の内部に配置して設置することができるので、設置が容易になり美観が向上する。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0052】
例えば、センサ7は、上記実施形態では焦電式の赤外線人体検知センサであるが、電波式以外であれば、光学式又は超音波式センサ等であってもよい。
また、センサ7は、照明装置6に接続されているが、これに限られない。センサの検知結果に基づいて作動するトイレ空間の環境を制御する設備機器として、他に、トイレ空間の冷暖房装置、音響装置、室内照明灯等であってよい。
【0053】
また、例えば、上記実施形態では、センサ7は照明装置6を起動させるためにのみ人体を検知しているが、これに限られない。センサは、照明装置の他に、上述の設備機器や、さらに加えて便座の加温装置、便蓋の開閉装置等も含め、他の装置を起動させるための人体の検知を兼用するように設定してもよく、制御部で複数の装置の制御を行ってもよい。
【0054】
また、例えば、上記実施形態では、キャビネットとして背面側キャビネット3のみが例示されているが、便器装置2の周囲に配置されるキャビネットであれば、背面側キャビネット3に限られない。トイレ空間の構造によっては、トイレ空間の側壁に沿って配置されたり、上部に備え付けられたりする他のキャビネットが配置されていてもよく、他のキャビネットにセンサが配置されていてもよい。
【0055】
図5は、背面側キャビネット3Aの他の実施形態における前パネル31A及び巾木32Aの下端近傍を示す拡大した側面図である。
図5に示すように、前パネル31Aの背面と巾木32Aの間に下側用照明装置600を設けてもよい。下側用照明装置600は、前パネル31Aの下端縁の幅方向に沿って配置される。より具体的には、前パネル31Aの下端部の背面側を側面視でコの字状に切り欠いて、切欠き部319を形成する。前パネル31Aの下端部の切欠き部319及び巾木32Aの間に空間を形成し、この空間に下方に向かって照らす下側用照明装置600を配置する。
下側用照明装置600から照射される光と、上記実施形態の照明装置6から照射される光とは、前パネル31Aの下端部の幅方向外側の角で重なる。前パネル31Aの下側の周囲を下側用照明装置600と照明装置6とが連続して囲むように配置される。これより、前パネルが床面103から浮遊した状態であることが視認しやすくなる。
【0056】
下側用照明装置600は、背面側キャビネット3の下端縁31b側からトイレ空間100の床面103に対して光を照射する間接照明装置であってよい。
また、他の下側用照明装置として、前パネルと床面との間に配置して、トイレ空間内を直接照らす直接照明として構成したものでもよい。
【符号の説明】
【0057】
2 便器装置
3 背面側キャビネット(キャビネット)
6 照明装置(設備機器)
7 センサ
100 トイレ空間
図1
図2
図3
図4
図5