(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】基礎構造とその施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/01 20060101AFI20230818BHJP
E02D 27/12 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
E02D27/01 102A
E02D27/12 Z
(21)【出願番号】P 2019085536
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-03-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】平田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】田野 健治
(72)【発明者】
【氏名】貫洞 覚
(72)【発明者】
【氏名】平野 秀和
(72)【発明者】
【氏名】西尾 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】甲田 輝久
(72)【発明者】
【氏名】横山 徹
(72)【発明者】
【氏名】西成田 由
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-125322(JP,A)
【文献】特開2016-186183(JP,A)
【文献】特開2016-186186(JP,A)
【文献】特開平04-044522(JP,A)
【文献】特開2005-155092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/01
E02D 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外周部に沿って配置された複数の外周梁と、前記
複数の外周梁の内側に設けられた
複数の内部梁と、を有し、
前記外周部は一方の長辺と他方の長辺と一対の短辺とからなり、
前記
複数の内部梁
の各々は、
前記内部梁の長さ方向に、前記一方の長辺に隣接するプレキャスト部と、
中央のプレキャスト部と、前記他方の長辺に隣接する現場打設部と
に3分割され、
排水配管が貫通する少なくとも一つの第1の貫通孔
が前記現場打設部だけに設けられ
、人通口が前記中央のプレキャスト部だけに設けられている、
板状集合住宅の基礎構造。
【請求項2】
前記現場打設部の長さは前記内部梁の長さの1/3以下である、請求項1に記載の基礎構造。
【請求項3】
前記少なくとも一つの第1の貫通孔は複数の第1の貫通孔であり、前記複数の第1の貫通孔は前記現場打設部の互いに異なる高さに設けられている、請求項1または2に記載の基礎構造。
【請求項4】
前記複数の第1の貫通孔の口径は互いに異なる、請求項3に記載の基礎構造。
【請求項5】
電気配線の貫通孔、ガス配管の貫通孔、給水配管の貫通孔、通気口、連通
管の少なくともいずれかが前記プレキャスト部に設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項6】
前記複数の外周梁は、プレキャスト梁と、現場打設梁と、前記排水配管が貫通する少なくとも一つの第2の貫通孔と、を有し、前記少なくとも一つの第2の貫通孔は
前記複数の外周梁の前記現場打設梁のみに設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項7】
前記外周梁と前記内部梁の交差部の下に設けられた基礎杭と、前記基礎杭の杭頭に設けられ、前記基礎杭の上方に延びる杭頭補強筋と、有し、
前記外周梁はその下部に幅方向両側に張り出した張出部を有し、前記外周梁の下端筋の少なくとも一部は、前記杭頭補強筋の幅方向外側を通るように前記張出部に設けられている、請求項1から6のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項8】
前記外周梁と前記内部梁の下端レベルが一致している、請求項1から7のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項9】
前記外周梁と前記内部梁の下端レベルが、それぞれの下端筋設置領域が重ならないように鉛直方向にずれている、請求項1から7のいずれか1項に記載の基礎構造。
【請求項10】
外周部を形成する複数の外周梁を施工するとともに、前記
複数の外周梁の内側に
複数の内部梁を施工することを有し、
前記外周部は一方の長辺と他方の長辺と一対の短辺とからなり、
前記
複数の内部梁
の各々は、
前記内部梁の長さ方向に、前記一方の長辺に隣接するプレキャスト部と、
中央のプレキャスト部と、前記他方の長辺に隣接する現場打設部と
に3分割され、
排水配管が貫通する少なくとも一つの第1の貫通孔
が前記現場打設部だけに設けられ
、人通口が前記中央のプレキャスト部だけに設けられる、
板状集合住宅の基礎構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基礎構造とその施工方法に関し、特に基礎梁の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の基礎杭と上部構造との間に基礎梁が設けられることがある。基礎梁は上部構造の自重や地震荷重を複数の基礎杭に伝達するために設けられている。近年、工期短縮や品質向上のため、プレキャスト化された基礎梁(以下、PCa基礎梁という)が用いられることがある(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-125322号公報
【文献】特開2018-21445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上部構造で発生する排水を下水道などに排出するため、建物の内部には排水配管が設置される。排水配管は上部構造から建物の地下空間まで延びて、建物の外部に埋設された下水管に接続される。このため、排水配管が基礎梁を貫通することがある。通常、排水配管の引き回しルートは好ましい下り勾配が確保されるように計画され、基礎梁の貫通孔の位置は引き回しルートによって決定される。一方、PCa基礎梁は工場製作されるため、据付工事の数ヶ月前には、貫通孔の位置まで含めて設計が完了している必要がある。しかし、建物の設備計画は着工の直前まで確定しないことがあり、また基礎梁は着工後早期に施工されることから、貫通孔の位置がPCa基礎梁の設計時に確定しない可能性がある。このような工程上のミスマッチを避けるため、従来、基礎梁は現場施工されてきた。すなわち、基礎梁配筋、貫通孔のスリーブ設定及びコンクリート打設は現場で行われている。この方法によれば、基礎梁の貫通孔の位置やサイズを現場で調整できるため、工程上のミスマッチが生じる可能性は低い。しかしながら、この結果、上部構造では一般的に行われるプレキャスト構造を基礎梁に採用することが困難な場合が生じている。
【0005】
本発明は、工程上のミスマッチが生じる可能性を低減することが可能なプレキャスト造の基礎構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の板状集合住宅の基礎構造は、建物の外周部に沿って配置された複数の外周梁と、複数の外周梁の内側に設けられた複数の内部梁と、を有している。外周部は一方の長辺と他方の長辺と一対の短辺とからなる。複数の内部梁の各々は、内部梁の長さ方向に、一方の長辺に隣接するプレキャスト部と、中央のプレキャスト部と、他方の長辺に隣接する現場打設部とに3分割されている。排水配管が貫通する少なくとも一つの第1の貫通孔が現場打設部だけに設けられ、人通口が中央のプレキャスト部だけに設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、排水配管が貫通する第1の貫通孔は現場打設部だけに設けられるため、工程上のミスマッチが生じる可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明が適用される板状集合住宅の正面図である。
【
図2】
図1のA-A線からみた基礎梁の平面図である。
【
図7】外周梁とフーチングの上面図を示す
図2のD部拡大図である。
【
図8】
図2のE-E線からみた内部梁の側面図である。
【
図9】従来技術における工程ミスマッチを説明する概念図である。
【
図10】本発明の他の実施形態を示す
図5と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明は基礎梁を有するあらゆる建物に適用できるが、ここでは板状集合住宅を例に説明する。以下の説明及び図面においてX方向は板状集合住宅の桁行方向、Y方向は板状集合住宅の梁間方向、Z方向は鉛直方向ないし上下方向を示し、X方向、Y方向、Z方向は互いに直交している。
図1は板状集合住宅1の正面図を示している。基礎杭3が地盤27に設置され、基礎梁4が基礎杭3の杭頭3Aに設置され、建物の上部構造5が基礎梁4に支持されている。基礎杭3と基礎梁4を合わせて基礎構造2という。
図2は
図1のA-A線からみた基礎梁4の平面図を、
図3は基礎構造2の斜視図を、
図4は基礎構造2の分解斜視図を、
図5は
図2のB-B線に沿った断面図を、
図6は
図2のC-C線に沿った断面図を、
図7は、外周梁6とフーチング9の上面図(
図2のD部拡大図)を示している。なお、
図2においてハッチングをした部位は、現場打設梁6Bまたは現場打設部7Bを示す。
【0010】
板状集合住宅1は桁行方向Xに複数スパンが、梁間方向Yに1スパンが設けられた板状の建物である。基礎梁4は建物の外周部に沿って配置された複数の外周梁6と、外周梁6の内側に設けられた少なくとも一つの内部梁7と、を有している。外周梁6と内部梁7は1階の床スラブ24とともに地下空間8を形成し、地下空間8は内部梁7によって複数の区画8Aに分割されている。
【0011】
外周梁6は基本的にプレキャスト化されているが、後述するように、少なくとも一つの外周梁6、本実施形態では一つの外周梁6だけが現場打設梁6Bとされ、残りはプレキャスト化されている。桁行方向Xの外周梁6はスパン毎に区分されたプレキャスト梁(PCa梁)6Aであり、梁間方向Yの外周梁6は3つのPCa部6Cに等分割されている。梁間方向Yの外周梁6は構造的には一つの梁であり、PCa部6C同士はモルタルで接合される。
【0012】
内部梁7はスパン毎に設けられ、Y方向に互いに対向する外周梁6同士を接続している。各内部梁7は3つの部分、すなわち2つのプレキャスト部(PCa部)7Aと1つの現場打設部7Bに等分割されている。内部梁7は構造的には一つの梁であり、PCa部7A同士はモルタルで接合される。PCa部7Aと現場打設部7Bは現場打設のコンクリートで接合される。本実施形態では内部梁7のY方向端部に現場打設部7Bが設けられているが、内部梁7のY方向中央部に現場打設部7Bを設けてもよい。現場打設部7Bは内部梁7のどこかに設けられていればよく、そのY方向位置やY方向長さは限定されない。梁間方向Yの外周梁6及び内部梁7の分割数は3つに限定されず、2つまたは4つ以上でもよい。PCa梁6A,PCa部6C,7Aは揚重機で据え付けられることから、分割数は揚重機の性能を考慮して決定するのが好ましい。なお、PCa部7Aの範囲をできるだけ確保するため、現場打設部7BのY方向長さは内部梁7のY方向長さの概ね1/3以下とすることが好ましい。
【0013】
外周梁6と内部梁7の交差部にはフーチング9が設けられている。フーチング9は概ね直方体の鉄筋コンクリート構造物であり、現場で施工される。フーチング9は建物の外壁側で上部がカットされた形状となっている。フーチング9の下には基礎杭3が、フーチング9の上には柱10が設けられている。基礎杭3は鋼管杭であり、杭頭3Aには複数の杭頭補強筋11が設けられている。杭頭補強筋11は基礎杭3の杭頭3A近傍の側面に溶接などによって周方向に設けられ、鉛直方向Z上方に延びている。基礎杭3の杭頭3Aと杭頭補強筋11はフーチング9で覆われている。基礎構造2の施工性を考慮し、外周梁6と内部梁7の下端レベルは一致している。フーチング9の下端は外周梁6と内部梁7の下端より下方にある。すなわち、施工時には地盤27はフーチング9の範囲だけが周囲より深く掘削される。
【0014】
外周梁6はその下部に幅方向(Y方向)両側に張り出した張出部12を有している。フーチング9は杭頭補強筋11、外周梁6の鉄筋14、内部梁7の鉄筋15などが集中するため、鉄筋の納まりが困難となる場合がある。特にX方向及びY方向に設けられる鉄筋14,15と円周上に設けられる杭頭補強筋11は干渉が生じやすい。
図4~7に示すように、外周梁6の下端筋14Aの少なくとも一部、本実施形態ではY方向両側の下端筋14Aは張出部12に設けられ、張出部12に設けられた下端筋14Aは杭頭補強筋11の幅方向(Y方向)外側を通っている。このため、鉄筋の配置スペースに余裕が生じ、鉄筋の納まりが改善される。
【0015】
図8は
図2のE-E線からみた内部梁7の側面図である。内部梁7には様々な貫通孔が設けられている。貫通孔は円形であるが、矩形その他の形状であってもよい。現場打設部7Bには排水配管23が貫通する4つの第1の貫通孔16が設けられている(
図2には1本の排水配管23を例として示している)。このうち3つの第1の貫通孔16は浴室、トイレ、キッチン、洗面所などで発生する排水を排出する排水配管が貫通するためのものである。排水配管23は、通常は板状集合住宅1の外部の地下に埋設された公共下水管に接続される。このため、各住戸で発生した排水は集合住宅内で1本または数本の排水配管23に集約され、外周梁6と内部梁7とで仕切られる地下空間8まで引き回され、地下空間8から外周梁6を通って板状集合住宅1の外部に排出される。もう一つの第1の貫通孔16は雨水などを排水する排水配管(以下、上述の排水配管と区別するためドレン配管という)が貫通するためのものである。本実施形態では、ドレン配管も他の排水配管と同様に公共下水管に接続される。現場打設部7Bにはさらに通気口17と連通管18が設けられている。通気口17は、地下空間8に立ち入る人の安全確保のため、内部梁7で区画された地下空間8の各区画8Aを空気が連通可能となるように設けられている。連通管18は、地下空間8の一区画8Aで溢水が発生したときに水を分散させるために、内部梁7の底部に設けられている。中央のPCa部7Aには人が各区画8Aを移動できるようにするための人通口19と、給水配管、ガス配管の共通貫通孔20とが設けられている。端部のPCa部7Aには通気口17と、連通管18と、強電系ケーブルの貫通孔21と、弱電系ケーブルの貫通孔22とが設けられている。
【0016】
排水配管23はフロア間を貫通する部位では概ね鉛直方向に延びており、フロア内では排水が重力で流れるように、所定の下り勾配が付けられている。下り勾配は汚物等が水に同伴して流れやすくするように、例えば1/100~3/100程度の比較的緩い勾配に設定される。地下空間8においても、排水配管23の引き回しルートはこの下り勾配を目安に計画される。しかし、内部梁7を全てPCa化すると工程上のミスマッチが生じる可能性がある。
図9は、内部梁7を全てPCa化したときの、集合住宅の主な設計工程と工事工程を示している。設計が開始されると、まず各住戸の大まかな間取りなどが決定され、次に構造設計や設備計画が行われる。排水配管23のルートは設備計画で決定されるが、そのためにはトイレやキッチンなどの配置が決定している必要がある。従って、排水配管23のルートは設備計画の後半から終盤にならないと確定しないことがある。一方、工事については設計が終了し、建築確認などの手続が終わり次第着工可能となる。着工後は基礎杭3がまず施工され、続いて基礎梁4が施工される。PCa基礎梁は、据付のタイミングにあわせて予め設計及び製作が行われる。PCa基礎梁の設計では貫通孔計画、すなわち貫通孔の設置位置、形状及び大きさに関する情報が必要となる。しかし、PCa基礎梁の設計は着工よりかなり早いタイミングで行われるため、その時点で貫通孔計画が確定していない可能性がある。すなわち、工程上のミスマッチが生じる可能性がある。ミスマッチが生じると、PCa基礎梁の施工が遅れるなど工期に重大な影響が生じる可能性がある。これを避けるためには、予め決定された貫通孔の位置に合わせて排水配管23の引き回しを計画する必要がある。しかし、上述のように排水配管23は下り勾配に関して厳しい制約があるため、合理的な引き回しルートが実現できないなど、設備計画に大きな影響が生じる可能性がある。以上の問題はPCa基礎梁に特有のものであり、現場打設の基礎梁では貫通孔計画は施工時までに確定していればいいため、このような問題は基本的に起こらない。
【0017】
本実施形態では、少なくとも排水配管23が貫通する第1の貫通孔16は現場打設部7Bだけに設けられている。上述のように、現場打設部7Bでは貫通孔計画が早期に確定している必要がないため、工程上のミスマッチが生じにくい。一方、排水配管23以外の配管、ケーブル等が貫通する貫通孔は引き回しの自由度が高いため、事前に貫通孔の位置が決定していても引き回し上の大きな制約は生じない。例えば、水道水や消化水などの給水配管は通常加圧されているため、勾配に関して大きな制約はなく、下り勾配と上り勾配が混在していても大きな問題とはならない。ケーブルは勾配に関する制約がないため、引き回しルートへの影響はほとんどない。さらに、配管やケーブルが貫通しない貫通孔(通気口17、連通管18、人通口19)に関してはこのような問題はそもそも生じない。
【0018】
排水配管23が貫通する第1の貫通孔16は少なくとも一つ設けられていればよく、その数は限定されない。しかし、本実施形態では、設備計画の自由度を確保するため、複数の第1の貫通孔16が設けられており、第1の貫通孔16の少なくとも一部は互いに口径が異なっており、且つ互いに異なる高さに設けられている。また、PCa部7Aに設けられる貫通孔はできる限り集約することが好ましい。例えば本実施形態では、給水配管と消火配管とガス配管の貫通孔20は共用されている。これによってPCa部7Aの貫通孔の数を削減することができ、PCa部7Aの設計が簡略化される。
【0019】
前述のように、桁行方向Xの外周梁6は、複数のプレキャスト梁6Aと、一つの現場打設梁6Bとからなっている。現場打設梁6Bは排水配管23が貫通する部位だけに設けられている。本実施形態では排水配管23を外部に引き出すための貫通孔(以下、第2の貫通孔25という)は一つの現場打設梁6Bだけに設けられている。従って、桁行方向Xの外周梁6のうち現場打設梁6Bは一つだけであり、残りはすべてPCa梁6Aとなっている。排水配管23の引き回しによっては複数の現場打設梁6Bを設けることも可能である。
【0020】
このように、本実施形態では内部梁7のうち、排水配管23が貫通する第1の貫通孔16が設けられる部位だけが現場打設部7Bとされ、その他はPCa部7Aとされている。また、外部梁6のうち、排水配管23が貫通する第2の貫通孔25が設けられる部位だけが現場打設梁6Bとされ、その他はPCa梁6AまたはPCa部6Cとされている。例えば桁行方向Xに6スパン、梁間方向Yに1スパンの板状集合住宅1で、梁間方向Yの梁が3分割される場合、外周梁6は17個のPCaブロックと1個の現場打設ブロックとからなり、内部梁7は10個のPCaブロックと5個の現場打設ブロックとからなる。従って、PCaブロックは合計27個、現場打設ブロックは合計6個となる。つまり、全体の約8割をPCa造とすることができるため、工期短縮と基礎構造の品質確保が可能となる。
【0021】
図10は本発明の他の実施形態を示す
図5と同様の図である。本実施形態では、外周梁6と内部梁7の下端レベルが、それぞれの下端筋設置領域61,71が重ならないように鉛直方向Zにずれている。より具体的には、内部梁7の下端レベルと外周梁6の張出部12の上端レベルが一致している。これによって鉄筋の配置スペースにさらに余裕が生じ、鉄筋の納まりが一層改善される。
【符号の説明】
【0022】
1 板状集合住宅
2 基礎構造
3 基礎杭
6 外周梁
6A プレキャスト梁(PCa梁)
6B 現場打設梁
6C プレキャスト部(PCa部)
7 内部梁
7A プレキャスト部(PCa部)
7B 現場打設部
9 フーチング
11 杭頭補強筋
12 張出部
16 第1の貫通孔
25 第2の貫通孔