(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20230818BHJP
F21V 21/03 20060101ALI20230818BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20230818BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230818BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20230818BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20230818BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230818BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21V21/03 150
F21Y103:10
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019144363
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】布施 純一
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-014317(JP,A)
【文献】特開2012-059461(JP,A)
【文献】特開2018-116876(JP,A)
【文献】特表2019-515453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21V 21/03
F21Y 103/10
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/20
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造営部に固定される照明器具と、
前記照明器具に装着される灯具と、を備え、
前記照明器具は、前記造営部に対して交差させて設けられた器具側取付部を有し、
前記灯具には、前記器具側取付部に接続されると共に、前記造営部に接触する灯具側取付部を有
し、
前記灯具側取付部は、前記造営部に接触する2つの当接部を有し、
前記2つの当接部の間隔は、前記器具側取付部の幅寸法以上であり、
前記2つの当接部の間に、前記器具側取付部が配置されている、照明装置。
【請求項2】
前記器具側取付部及び前記灯具側取付部は、共に平板面を有し、
前記器具側取付部と前記灯具側取付部は、互いの平板面を対向させて配置され、平板面が対向する向きに沿って接続されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記灯具側取付部は、固定部材を用いて前記器具側取付部に接続される、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記器具側取付部及び前記灯具側取付部には、それぞれネジ挿通孔が形成され、
前記固定部材は、ネジ部材とされ、
前記器具側取付部と前記灯具側取付部は、前記ネジ挿通孔に共通に通した前記固定部材によって接続されている、請求項3に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井又は壁等の造営部に取り付けられる照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、天井又は壁等の造営部に取り付けられる照明装置が知られている。この照明装置は、例えば造営部に固定される照明器具と、照明器具に取り付けられる灯具と、を有している。例えば特許文献1に開示された照明装置は、造営部に固定される器具本体と、器具本体に取り付けられる点灯ユニットと、を備えている。この照明装置は、器具本体に設けられた受部に、点灯ユニットに設けられた取付部を取り付けることで、器具本体に点灯ユニットが取り付けられる。受部には、矩形の開口からなる案内部と、長孔から成る保持部と、が形成されている。案内部と保持部とは、連続した孔である。取付部には、受部の案内部に挿入した後、保持部内をスライドさせる突出片が設けられている。取付部は、突出片を案内部に挿入した第1位置から、保持部内をスライドさせて保持される第2位置に配置することで、受部に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された照明装置は、器具本体に設けられた受部の保持部に、点灯ユニットに設けられた取付部の突出片をスライドさせて取り付けることで、器具本体に点灯ユニットを取り付ける構成なので、保持部と突出片との間にスライドを可能する隙間が必要となる。つまり、点灯ユニットと器具本体との間に隙間が生じてしまう。また、この照明装置は、点灯ユニットが器具本体を介して造営部に取り付けられる構成なので、点灯ユニットと造営部とが接触しておらず、点灯ユニットと造営部の間にも隙間が生じる。そのため、この照明装置では、点灯ユニットと器具本体との間の隙間、及び点灯ユニットと造営部との間の隙間によって、点灯ユニットを安定させて取り付けることができないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、天井又は壁等の造営部に安定して灯具を取り付けることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る照明装置は、造営部に固定される照明器具と、前記照明器具に装着される灯具と、を備え、前記照明器具は、前記造営部に対して交差させて設けられた器具側取付部を有し、前記灯具には、前記器具側取付部に接続されると共に、前記造営部に接触する灯具側取付部を有し、前記灯具側取付部は、前記造営部に接触する2つの当接部を有し、前記2つの当接部の間隔は、前記器具側取付部の幅寸法以上であり、前記2つの当接部の間に、前記器具側取付部が配置されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、天井面又は壁面等の造営部に、灯具に設けた灯具側取付部を当接させるので、造営部を基準にして灯具の取付姿勢を定めることができる。よって、造営部に対して灯具を理想の取付姿勢に保つことができるので、造営部に安定して灯具を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る照明装置を灯具側から示した斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る照明装置を照明器具側から示した斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る照明装置であって、照明器具から灯具を取り外した状態を灯具側から示した斜視図である。
【
図4】実施の形態に係る照明装置であって、照明器具から灯具を取り外した状態を照明器具側から示した斜視図である。
【
図5】実施の形態に係る照明装置を分解して示した斜視図である。
【
図6】実施の形態に係る照明装置であって、照明器具から取り外した灯具を吊り紐で吊り支持した状態を示した斜視図である。
【
図7】
図1に示したA部における長手方向の断面図である。
【
図10】実施の形態に係る照明装置であって、照明器具へ灯具を取り付ける状態を長手方向から示した正面図である。
【
図11】実施の形態に係る照明装置であって、照明器具へ灯具を取り付ける状態を短手方向から示した正面図である。
【
図12】
図1に示したA部を別角度から見た拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0010】
実施の形態.
図1は、実施の形態に係る照明装置を灯具側から示した斜視図である。
図2は、実施の形態に係る照明装置を照明器具側から示した斜視図である。
図3は、実施の形態に係る照明装置であって、照明器具から灯具を取り外した状態を灯具側から示した斜視図である。
図4は、実施の形態に係る照明装置であって、照明器具から灯具を取り外した状態を照明器具側から示した斜視図である。
図5は、実施の形態に係る照明装置を分解して示した斜視図である。
図6は、実施の形態に係る照明装置であって、照明器具から取り外した灯具を吊り紐で吊り支持した状態を示した斜視図である。
【0011】
本実施の形態に係る照明装置100は、
図1~
図4に示すように、天井又は壁等の造営部101に固定される長尺状の照明器具1と、照明器具1に装着される長尺状の灯具2と、を備えている。照明器具1は、造営部101と灯具2との間に配置されている。
【0012】
(照明器具1)
照明器具1は、金属製の板材で構成されている。照明器具1は、
図3~
図5に示すように、長尺かつ平板状に形成された器具本体10と、器具本体10の短手方向Yの両縁部に沿って灯具2側に折り曲げて形成された一対の器具側面部11と、器具本体10の長手方向Xの両縁部に設けられ、灯具2に向かって突き出す一対の器具側取付部12と、を有している。照明器具1は、器具側面部11及び器具側取付部12が突き出す側を灯具2側に配置し、器具本体10を造営部101に突き当てて固定されている。
【0013】
器具本体10には、
図4に示すように、造営部101に埋め込まれた吊りボルト13を通すための貫通孔10aが形成されている。貫通孔10aは、一例として器具本体10の長手方向Xに沿って間隔をあけて2つ形成されている。照明器具1は、
図3及び
図5に示すように、器具本体10の貫通孔10aに通した吊りボルト13を、灯具2を取り付ける側から座金14を介してナット15で締め付けることで、造営部101に固定される。また、
図5及び
図6に示すように、器具本体10には、灯具2を吊り支持する吊り紐17が取り付けられている。
【0014】
器具側面部11には、
図3に示すように、灯具2に対向する端縁辺に沿って、内方に向かって折り曲げたフランジ部11aが形成されている。フランジ部11aは、照明器具1に灯具2を取り付ける際に、灯具2の上面と対向する部分である。なお、器具側面部11は、器具本体10と共に一枚の金属製の板材を折り曲げて形成した構成を示したが、器具本体10とは別部材として成形した後に、器具本体10にネジ若しくはリベット等、又はかしめる等して取り付けてもよい。また、照明器具1に灯具2を取り付けた状態で、フランジ部11aと灯具2の上面とが互いに接触しないように、隙間が設けられている。
【0015】
器具側取付部12は、
図2~
図5に示すように、灯具2に向かって突き出し、且つ造営部101に対して交差させて設けられた平板面を有しており、灯具2を取り付ける取付機構として機能する。器具側取付部12は、図示例の場合、造営部101に対して平板面を略直交させて設けられている。器具側取付部12は、器具本体10とは別部材として成形された後、器具本体10にネジ若しくはリベット等、又はかしめ等で固定されている。但し、器具側取付部12は、器具本体10と共に一枚の金属製の板材を折り曲げて形成してもよい。器具側取付部12には、固定部材16であるネジ部材がネジ込まれるネジ挿通孔12aが形成されている。ネジ挿通孔12aには、例えばネジ部材に対応したバーリング加工が施されたり、ナットが組み込まれたりする。
【0016】
(灯具2)
灯具2は、光源ユニットとも称されるものである。灯具2は、
図1~
図5に示すように、筒体から成る透光性カバー3と、透光性カバー3に内部に収容される取付部材4と、取付部材4に取り付けられた発光部5と、取付部材4に取り付けられ、発光部5に電力を供給する制御部6と、を有している。また、灯具2は、透光性カバー3の両端開口部に設けられた端部カバー7と、端部カバー7と透光性カバー3との間に介在させる封止具8と、端部カバー7の外面に設けられて照明器具1に灯具2を取り付けるための灯具側取付部9と、を有している。灯具2は、照明器具1の器具側面部11に形成されたフランジ部11aに透光性カバー3の上面を対向させて、照明器具1に取り付けられている。
【0017】
(透光性カバー3)
図7は、
図1に示したA部における長手方向の断面図である。
図8は、
図7に示したB-B線矢視断面図である。
図9は、
図7に示したC-C線矢視断面図である。透光性カバー3は、
図1~
図5に示すように、長尺の筒体から成り、灯具2の外郭を形成するものである。
図7及び
図8に示すように、透光性カバー3の中空内部には、取付部材4と、取付部材4に取り付けられた発光部5及び制御部6が収容されている。透光性カバー3は、
図1~
図5に示すように、両端部に開口部を有しており、該開口部の一部が端部カバー7によって塞がれている。
【0018】
透光性カバー3は、
図5に示すように、短手方向Yにおける断面形状が、上底よりも下底を短くした倒立台形とした構成である。透光性カバー3は、台形の下底が照射側に配置され、台形の上底が照明器具1側に配置されている。透光性カバー3は、倒立台形の各面が平面とされ、外周の各角部にR加工が施されている。なお、透光性カバー3は、断面形状が倒立台形であることに限定されず、例えば三角形状以上の多角形からなる長尺の筒体でもよいし、楕円からなる長尺の筒体でもよい。また、透光性カバー3を構成する各面は、図示した平面に限らず、湾曲面でもよい。
【0019】
透光性カバー3は、少なくとも可視光を透過する透光性の材料が用いられている。透光性の材料とは、例えばポリカーボネイト、アクリル等の樹脂材料、又はガラス材料である。透光性カバー3は、例えば、押出成形によって筒形部材を、製品の仕様等に応じて必要な長さに切断することで、製造することができる。
【0020】
(取付部材4)
取付部材4は、
図5及び
図7~
図9に示すように、透光性カバー3の中空内部に収容され、発光部5及び制御部6等を透光性カバー3内の空間に固定させると共に、透光性カバー3の両端部に配置された端部カバー7及び灯具側取付部9を透光性カバー3に固定させるための部材である。取付部材4は、長尺で平板状の台座40と、台座40における長手方向Xの両端部に取り付けられた固定具41と、を有する。
【0021】
台座40は、取付部材4の主たる部分であり、発光部5及び制御部6等を取り付けるために設けられている。台座40は、金属製の板材を折り曲げて形成されている。台座40の照射側の面には、発光部5が取り付けられている。また、台座40の照明器具1側の面には、制御部6が取り付けられている。
【0022】
なお、台座40は、金属製の板材に限定されず、例えば樹脂、セラミック等、金属以外の材料を用いて形成された構成でもよい。また、台座40は、押出成形、積層造形等、他の方法で形成されたものでもよい。また、台座40は、放熱効率(熱放射率)又は光の利用効率(反射率)等を向上させるために、表面処理を施し又は台座40に機能部材を敷設してもよい。
【0023】
固定具41は、端部カバー7及び灯具側取付部9を透光性カバー3に固定させるために設けられている。固定具41は、台座40に固定される固定部41aと、端部カバー7を貫通して灯具側取付部9に固定されるボス部41bと、を有している。固定部41aは、板金をL字に折り曲げて形成された構成であり、L字の一面が台座40にネジ等の固定部材で固定される取付面として機能し、L字の他面が端部カバー7に対向させて配置され、端部カバー7及び灯具側取付部9を透光性カバー3に固定させる固定面として機能する。なお、固定部41aは、例えばカシメ、溶接又は嵌着等により取付面を台座40に構造的に一体化させてもよい。
【0024】
ボス部41bは、固定部41aの固定面から端部カバー7に向かって突き出すように設けられている。ボス部41bは、例えばカシメ、溶着又は嵌着等の方法によって固定面に取り付けられている。ボス部41bには、固定ネジ42がねじ込まれるネジ孔が形成されている。
【0025】
なお、本実施の形態における灯具2では、台座40と固定具41とを別部材で構成しているが、例えば台座40の両端部分を折り曲げる等して固定具41の固定部41aを形成し、台座40と固定具41の固定部41aを一体に形成してもよい。また、固定具41は、金具に限定されず、例えば樹脂、セラミック等、他の材料を用いて形成してもよいし、押出成形、積層造形等、他の方法で形成してもよい。
【0026】
(発光部5)
発光部5は、
図5及び
図7に示すように、発光素子50及び基板51等を有している。発光素子50は、電力供給により発光する。本実施の形態における灯具2では、発光素子50として、発光ダイオード(Light Emitting Diode;以下、LEDと称す)素子を用いている。発光素子50は、基板51の実装面に、長手方向Xに沿って、列状又は千鳥状等に実装されている。そして、発光素子50は、波長が440~480〔nm〕の青色光を出射するLEDチップ上に、青色光を黄色光に波長変換する蛍光体を配してパッケージ化された面実装部品である疑似白色LED素子である。ここで、発光素子50が出射する光は、光束値が最大であり、発光面に垂直な光軸Lに対して、対称に照射角αだけ広がる。本実施の形態では、発光素子50の照射角αは、120度であるものとする。発光素子50は、固体レーザ(Solid State Laser)、半導体レーザ(Semiconductor Laser)、有機EL(Electro Luminescence)、無機EL等を用いてもよい。基板51は、ガラス-エポキシ基板(FR-4)、ガラス-コンポジット基板(CEM-3)、紙エポキシ基板(FR-3)、紙フェノール基板(XPC)、金属ベース基板等が用いられる。
【0027】
(制御部6)
制御部6は、電源装置である。制御部6は、外部から供給される電力から発光素子50を点灯させる電力に変換して発光素子50に供給する。本実施の形態における制御部6は、
図5及び
図9に示すように、ネジ等の固定部材を用いて取付部材4の台座40に取り付けられた状態で、発光素子50等と共に透光性カバー3の筒内部に収容されている。また、制御部6は、配線材60によって照明器具1に取り付けられた図示省略の端子台に接続されている。配線材60とは、電源線、接地線及び制御線等の電線である。なお、制御部6は、灯具2ではなく、照明器具1に取り付けてもよい。この場合、配線材60は、制御部6から発光素子50に供給される電力の供給経路として機能する給電線となる。
【0028】
(端部カバー7)
端部カバー7は、
図1~
図4に示すように、透光性カバー3の長手方向Xにおける両端部に取り付けられる端部蓋である。端部カバー7は、透光性カバー3の両端部に形成された開口の一部を塞ぐと共に、透光性カバー3の両端部の外周面を覆うように透光性カバー3に取り付けられる。
図5及び
図7に示すように、端部カバー7と透光性カバー3の端部との間には、弾性変形する封止具8が設けられている。端部カバー7は、封止具8を透光性カバー3の端部に押し当てて透光性カバー3に取り付けられている。
【0029】
端部カバー7は、
図5及び
図7に示すように、凹状の第1端部カバー70と、第1端部カバー70の凹内部に配置される凹状の第2端部カバー71と、を有している。第1端部カバー70及び第2端部カバー71は、樹脂材料を用いて形成されている。ただし、第1端部カバー70及び第2端部カバー71の材料は、樹脂材料に限定されない。第1端部カバー70及び第2端部カバー71は、樹脂材料以外の金属材料、セラミック材料等を用いて形成してもよい。また、第1端部カバー70と第2端部カバー71は、図示したように別部材として成形し、その後に嵌め合わせて一体化させてもよいし、あらかじめ一体化された1つの部材として成形してもよい。
【0030】
第1端部カバー70は、
図5に示すように、透光性カバー3の端部に形成された開口の一部を塞ぐ板状の第1カバー主部70aと、第1カバー主部70aの周縁部から透光性カバー3に向かって突き出し、透光性カバー3の端部の外周面を覆う端部カバー外周部70bと、を有している。第1カバー主部70aの外面には、灯具側取付部9を嵌め込む窪み部70dが形成されており、該窪み部70dに第1貫通孔70cが形成されている。
【0031】
第2端部カバー71は、
図5に示すように、透光性カバー3の端部に形成された開口の一部を塞ぐ板状の第2カバー主部71aと、第2カバー主部71aの周縁部から第1端部カバー70に向かって突き出す端部カバー内周部71bと、を有している。第2カバー主部71aには、第2貫通孔71cが形成されている。第2貫通孔71cの開口縁には、第1端部カバー70に向かって突き出し、第1貫通孔70cに嵌め込まれる周壁部71dが形成されている。
【0032】
上記構成の端部カバー7は、
図7に示すように、第2端部カバー71の端部カバー内周部71bが形成する開口面と、第1端部カバー70の端部カバー外周部70bが形成する開口面と、が向き合うように第1端部カバー70と第2端部カバー71とが嵌め合わされ、箱状に形成される。このとき、第1端部カバー70の第1貫通孔70cに、第2端部カバー71の周壁部71dが嵌め込まれる。
【0033】
(封止具8)
封止具8は、樹脂材料を用いて凹状に形成された構成であり、弾性変形して透光性カバー3及び端部カバー7に密着するシール部材である。封止具8は、
図5に示すように、透光性カバー3の端部に形成された開口の一部を塞ぐ板状の封止具主部80と、封止具主部80との周縁部から端部カバー7に向かって突き出す封止具周縁部81と、を有している。封止具主部80は、
図7に示すように、端部カバー7が透光性カバー3に取り付けられた状態で、固定部41aの固定面と、第2端部カバー71の第2カバー主部71aと間で挟持される。
図5に示すように、封止具主部80の第2端部カバー71と対向する面には、第2端部カバー71に向かって突き出す封止具筒状部82が2つ並列させて設けられている。封止具筒状部82は、円筒状に形成されており、内部に固定具41のボス部41bが挿入される。ボス部41bが挿入された封止具筒状部82は、第2貫通孔71cに挿入されると共に、第2貫通孔71cに挿入された状態で第1貫通孔70cに挿入される。
【0034】
封止具周縁部81は、
図5及び
図7に示すように、端部カバー7が透光性カバー3に取り付けられた状態で、端部カバー外周部70bと端部カバー内周部71bの間に嵌め込まれる。また、封止具周縁部81には、透光性カバー3の端部に対向する側に、透光性カバー3の端部を嵌め込む溝部83が周方向に沿って形成されている。つまり、封止具8は、端部カバー外周部70bと端部カバー内周部71bの間に封止具周縁部81が嵌め込まれ、封止具周縁部81の溝部83に透光性カバー3の端部が嵌め込まれることで、透光性カバー3及び端部カバー7に密着する。
【0035】
以上のように、端部カバー7は、透光性カバー3の端部との間に挟まれて配置された封止具8に密着した状態で、透光性カバー3に取り付けられる。端部カバー7は、封止具8を挟んで透光性カバー3の端部に嵌合することによって、透光性カバー3を密閉構造とすることができる。ここで、端部カバー7に取り付けられる取付部材4及び透光性カバー3は、照明装置100の使用環境温度及び灯具2の点灯時と消灯時とにおける温度の変化によって、特に、長手方向Xにおける伸縮量が異なる。端部カバー7は、透光性カバー3の密閉を維持しながら、透光性カバー3及び取付部材4の長手方向Xにおける端部同士が、相互に移動可能となるような構造となっている。
【0036】
(灯具側取付部9)
図10は、実施の形態に係る照明装置であって、照明器具1へ灯具2を取り付ける状態を長手方向から示した正面図である。
図11は、実施の形態に係る照明装置であって、照明器具1へ灯具2を取り付ける状態を短手方向から示した正面図である。
図12は、
図1に示したA部を別角度から見た拡大図である。灯具側取付部9は、
図1~
図5に示すように、灯具2の長手方向Xの両端部に設けられ、灯具2を照明器具1に取り付けるための金具ある。灯具側取付部9は、金属製の板材を折り曲げて形成されている。ただし、灯具側取付部9は、例えば樹脂、セラミック等、他の材料を用いて形成してもよいし、押出成形、積層造形等、他の方法で形成してもよい。ここで、
図10に示すように、灯具2の長手方向Xの両端部に設けられた2つ灯具側取付部9の間隔L1は、照明器具1の長手方向Xの両端部に設けられた器具側取付部12の間隔L2以上(L1≧L2)である。
【0037】
灯具側取付部9は、取付部材4の固定具41と共に端部カバー7を挟持する平板面の装着部90と、装着部90の上端縁に設けられた当接部91と、を有している。
【0038】
装着部90は、
図5、
図7、
図10及び
図11に示すように、上部が第1端部カバー70から照明器具1側に向かって張り出すように、第1端部カバー70の第1カバー主部70aに形成された窪み部70dに嵌め込まれる。装着部90には、
図5に示すように、固定ネジ42の軸部を通すための固定ネジ挿通孔90aが形成されている。固定ネジ挿通孔90aは、装着部90を端部カバー7に取り付けた際に、固定具41のボス部41bのネジ孔と共通する位置に形成されている。灯具側取付部9は、装着部90における端部カバー7側の面とボス部41bの端面とを当接させた状態で、固定ネジ挿通孔90aに通した固定ネジ42の軸部をボス部41bのネジ孔にネジ込むことにより、端部カバー7を挟持した状態で固定具41に取り付けられる。
【0039】
灯具側取付部9と器具側取付部12は、
図7に示すように、互いの平板面を対向させて配置され、平板面が対向する向きに沿って接続されている。具体的には、
図3~
図5に示すように、第1端部カバー70から照明器具1側に向かって張り出した装着部90の上部に、固定部材16であるネジ部材の軸部を通すためのネジ挿通孔90bが形成されている。ネジ挿通孔90bは、器具側取付部12のネジ挿通孔12aと共通する位置に形成されている。灯具側取付部9の装着部90の上部と、器具側取付部12の平板面とを対向させて配置し、ネジ挿通孔90bに通した固定部材16の軸部を器具側取付部12のネジ挿通孔12aにネジ込むことにより、灯具側取付部9と器具側取付部12とが接続される。なお、ネジ挿通孔90bは、図示した貫通孔に限定されず、例えば切り欠き等の他の形態でもよい。
【0040】
固定部材16であるネジ部材は、頭部にドライバーが差し込まれるプラス溝又はマイナス溝が形成されており、ドライバーを用いて器具側取付部12のネジ挿通孔12aにネジ込まれる。なお、ネジ挿通孔12aが造営部101に近接する位置に形成されており、ドライバー等を使用することが困難となる場合がある。そのような場合には、固定部材16は、レンチなどを使用して施工できる角ボルト等を用いてもよい。また、固定部材16は、照明器具1の器具側取付部12に対して灯具側取付部9の移動を規制できればよく、例えばリベット等のネジ込まない部材でもよい。
【0041】
更に、照明器具1の器具側取付部12と灯具側取付部9とは、固定部材16を用いて接続する構成に限定されない。図示することは省略したが、灯具側取付部9と器具側取付部12とは、相互に係合することによって接続される構成でもよい。例えば、灯具側取付部9と器具側取付部12のうち、一方に弾性変形する係合片を設け、他方に係合片と対向する部分に係合部を設けて、係合片が係合部に係合する構成でもよい。この場合、灯具2を照明器具1から取り外す際に、ドライバーの先端などを挿入して係合状態を解除できる構成とするとよい。このような構成によって、施工時間の短縮が図られるとともに、固定部材16の紛失を防止することができる。
【0042】
上記したように灯具側取付部9は、端部カバー7に対して、ネジ等を用いて直接的に固定されていない。灯具側取付部9は、固定具41のボス部41bに密着する封止具8を介して位置決めされ、端部カバー7に間接的に固定される。すなわち、灯具側取付部9は、灯具2の長手方向Xにおいて、端部カバー7の外側に配置され、端部カバー7を貫通している取付部材4のボス部41bに固定されると共に、一部が照明器具1の器具側取付部12に接続される。
【0043】
当接部91は、
図7~
図9に示すように、灯具2が照明器具1に取り付けられた状態で、造営部101に当接するものである。当接部91は、造営部101に当接する張出部91aと、張出部91aから端部カバー7に向かって斜め下方に突き出す傾斜面部91bと、を有している。当接部91は、
図5及び
図8に示すように、灯具2の短手方向Yにおいて、ネジ挿通孔90bを間に挟んで間隔をあけて2つ設けられている。
図11に示すように、左右の当接部91の間隔L3は、器具側取付部12の幅寸法L4以上である(L3≧L4)。
図8及び
図12に示すように、左右の当接部91の間には、灯具2が照明器具1に取り付けられた状態において、照明器具1の器具側取付部12が配置される。傾斜面部91bは、左右の当接部91の間に配置された器具側取付部12の移動を規制する位置決めとして機能する。
【0044】
本実施の形態に係る照明装置100は、
図10及び
図11に示すように、造営部101に固定した照明器具1の下方に灯具2を配置し、灯具2を照明器具1に向かって上方へ移動させる。灯具2は、
図7~
図9に示すように、灯具側取付部9の当接部91を造営部101に接触させて位置と姿勢が定められた状態で、照明器具1に取り付けられる。つまり、照明装置100は、灯具2が照明器具1に取り付けられる状態において、天井面又は壁面等の造営部101に当接部91が当接するので、照明器具1の造営部101に対する設置状態の如何に関わらず、造営部101を基準にして灯具2の取付姿勢を定めることができる。このため、灯具2は、造営部101に対して理想の姿勢を保つことができる。また、照明装置100は、従来技術のように照明器具1に灯具2を左右方向にスライドさせて取り付ける構成ではないので、狭小な施工空間でも照明器具1に灯具2を取り付けることができる。
【0045】
また、当接部91は、ネジ部材から成る固定部材16を間に挟んで、短手方向Yにおける外側に対をなして設けられているので、固定部材16が器具側取付部12のネジ挿通孔12aにねじ込まれる際に、固定部材16の軸心を回転中心とする灯具側取付部9の回動を規制することができる。
【0046】
また、灯具2の長手方向Xにおける両端部に設けられた灯具側取付部9は、
図7及び
図10に示すように、器具側取付部12の外側に位置し、灯具2が照明器具1に取り付けられる際に、器具側取付部12を案内する機能と、灯具2が照明器具1に取り付けられた状態で、器具側取付部12の移動を規制する機能と、を有している。
【0047】
以上のように、本実施の形態に係る照明装置100は、造営部101に固定される照明器具1と、照明器具1に装着される灯具2と、を有している。照明器具1は、造営部101に対して交差させて設けられた器具側取付部12を有している。灯具2には、器具側取付部12に接続されると共に、造営部101に接触する灯具側取付部9を有している。よって、本実施の形態に係る照明装置100は、灯具2が照明器具1に取り付けられる状態において、天井面又は壁面等の造営部101に灯具側取付部9が当接するので、造営部101を基準にして灯具2の取付姿勢を定めることができる。よって、照明装置100は、造営部101に対して灯具2を理想の取付姿勢に保つことができるので、造営部101に安定して灯具2を取り付けることができる。
【0048】
以上に実施の形態に基づいて照明装置100を説明したが、照明装置100は上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。上記した照明装置100に構成は、一例であって、他の構成要素を含んでもよい。要するに、照明装置100は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。
【符号の説明】
【0049】
1 照明器具、2 灯具、3 透光性カバー、4 取付部材、5 発光部、6 制御部、7 端部カバー、8 封止具、9 灯具側取付部、10 器具本体、10a 貫通孔、11 器具側面部、11a フランジ部、12 器具側取付部、12a ネジ挿通孔、13 吊りボルト、14 座金、15 ナット、16 固定部材、17 吊り紐、40 台座、41 固定具、41a 固定部、41b ボス部、42 固定ネジ、50 発光素子、51 基板、60 配線材、70 第1端部カバー、70a 第1カバー主部、70b 端部カバー外周部、70c 第1貫通孔、70d 窪み部、71 第2端部カバー、71a 第2カバー主部、71b 端部カバー内周部、71c 第2貫通孔、71d 周壁部、80 封止具主部、81 封止具周縁部、82 封止具筒状部、83 溝部、90 装着部、90a 固定ネジ挿通孔、90b ネジ挿通孔、91 当接部、91a 張出部、91b 傾斜面部、100 照明装置、101 造営部。