(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】航空機固定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B64F 1/12 20060101AFI20230818BHJP
B64F 1/02 20060101ALI20230818BHJP
H01F 7/20 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
B64F1/12
B64F1/02
H01F7/20 Z
(21)【出願番号】P 2020544745
(86)(22)【出願日】2019-03-11
(86)【国際出願番号】 IL2019050266
(87)【国際公開番号】W WO2019180695
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-18
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】509082743
【氏名又は名称】イスラエル エアロスペース インダストリーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゲルマン,ギル
(72)【発明者】
【氏名】エルネケイヴ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ハージック,ヨアブ
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-139198(JP,U)
【文献】特開2016-193716(JP,A)
【文献】登録実用新案第3180441(JP,U)
【文献】実開昭55-168496(JP,U)
【文献】特表2015-530318(JP,A)
【文献】米国特許第09527605(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0280359(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/12
B64F 1/02
H01F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のベース部
を介して前記航空機を固定するための航空機固定システムであって、
少なくとも1つの実質的に平坦なプラットフォームであって、前記航空機が前記プラットフォームに降着するとき、前記ベース部を支持
し、
前記プラットフォームは、1つの連続している上部平面を有する、プラットフォームと、
前記ベース部に組み込まれるように構成された少なくとも1つの磁化可能要素と、
前記プラットフォームに組み込まれるように構成された少なくとも1つの電気永久磁石であって、
前記電気永久磁石は、前記上部平面の大部分を構成し、かつ、前記磁化可能要素の接触面よりも大きな接触面を規定し、前記電気永久磁石は、各々が永久磁石材料である少なくとも2つのセクションを有し、前記電気永久磁石にネット磁界を発生させるように構成され、前記航空機が前記プラットフォームに降着する過程において、前記ベース部と前記プラットフォームとの間の距離が所定の値に至ると、前記ネット磁界によって、前記少なくとも1つの磁化可能要素が前記少なくとも1つの電気永久磁石に吸引される、少なくとも1つの電気永久磁石と、
選択的に前記ネット磁界を発生させる又は打ち消せるために、前記少なくとも1つの電気永久磁石への電流パルスを発生するように構成され、前記少なくとも2つのセクションのうちの少なくとも1つは、前記電流パルスに応じて、磁化方向を変更して、選択的に前記ネット磁界を発生させる又は打ち消せる、電源モジュールと、
前記電流パルスの供給を制御するように構成された制御モジュールと、
を備える、
航空機固定システム。
【請求項2】
少なくとも1つの衝撃吸収部材をさらに備え、
前記少なくとも1つの衝撃吸収部材は、前記プラットフォーム、前記少なくとも1つの磁化可能要素、及び前記少なくとも1つの電気永久磁石のうちの少なくとも1つに連結されている、請求項1に記載の航空機固定システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの衝撃吸収部材は、前記磁化可能要素又は前記プラットフォームと一体に形成されている、請求項2に記載の航空機固定システム。
【請求項4】
少なくとも1つの枢支部材をさらに備え、
前記少なくとも1つの枢支部材は、前記少なくとも1つの磁化可能要素及び前記少なくとも1つの電気永久磁石のうちの少なくとも1つに連結され、かつ、前記磁化可能要素の
前記接触面と各前記電気永久磁石の
前記接触面との間の角度を最小にするために、空間的に旋回するように構成されている、請求項1に記載の航空機固定システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの枢支部材は、前記磁化可能要素又は前記電気永久磁石を含む、請求項4に記載の航空機固定システム。
【請求項6】
前記衝撃吸収部材及び前記枢支部材は、1つの吸収-枢支部材に組み込まれている、請求項2に従属する請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御モジュールは、解除コマンドを取得するように構成されており、
前記解除コマンドを取得すると、前記制御モジュールは、前記ネット磁界を打ち消すための前記電流パルスを発生させるように、前記電源モジュールを指示する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の航空機固定システム。
【請求項8】
前記解除コマンドは、前記航空機の意図的な離陸を示す所定の閾値パラメータを超えるときに生成される、請求項7に記載の航空機固定システム。
【請求項9】
前記解除コマンドは、前記航空機のモータの1分当たりの回転数(RPM)を示す所定の閾値パラメータを超えるときに生成される、請求項7に記載の航空機固定システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの磁化可能要素は、2つ以上の磁化可能要素によって構成されており、
前記2つ以上の磁化可能要素は、前記航空機の重心の対向する両側、又は前記航空機の長手方向の軸に対して対称になるように、前記ベース部に組み込まれている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の航空機固定システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの磁化可能要素は、強磁性要素又は電磁石要素である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の航空機固定システム。
【請求項12】
前記上部平面は、前記プラットフォームの底面に対して実質的に平行してい
る、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の航空機固定システム。
【請求項13】
ベース部を有する航空機を航空機固定システムによって固定する方法であって、
少なくとも1つの実質的に平坦なプラットフォームであって、前記航空機が前記プラットフォームに降着するとき、前記ベース部を支持
し、前記プラットフォームは、1つの連続している上部平面を有する、プラットフォームと、前記ベース部に組み込まれるように構成された少なくとも1つの磁化可能要素と、前記プラットフォームに組み込まれるように構成された少なくとも1つの電気永久磁石であって、
前記電気永久磁石は、前記上部平面の大部分を構成し、かつ、前記磁化可能要素の接触面よりも大きな接触面を規定し、前記電気永久磁石は、各々が永久磁石材料である少なくとも2つのセクションを有し、前記電気永久磁石にネット磁界を発生させるように構成され、前記航空機が前記プラットフォームに降着する過程において、前記ベース部と前記プラットフォームとの間の距離が所定の値に至ると、前記ネット磁界によって、前記少なくとも1つの磁化可能要素が前記少なくとも1つの電気永久磁石に吸引されており、前記少なくとも2つのセクションのうちの少なくとも1つは、
電流パルスに応じて、磁化方向を変更して、選択的に前記ネット磁界を発生させる又は打ち消せる、少なくとも1つの電気永久磁石と、電源モジュールと、制御モジュールと、を備える、前記航空機固定システムを提供するステップと、
前記航空機が前記ネット磁界によって前記プラットフォームに固定されているとき、前記ネット磁界を打ち消すために、前記制御
モジュールが前記電気永久磁石に電流パルスの供給を制御するように前記電源モジュールを指示するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記制御モジュールで解除コマンドを取得するステップと、
前記解除コマンドを取得すると、前記ネット磁界を打ち消すために、前記制御
モジュールが前記電気永久磁石に前記電流パルスの供給を制御するように前記電源モジュールを指示する前記ステップを実行するステップと、をさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記解除コマンドは、前記航空機のモータの1分当たりの回転数(RPM)を示す所定の閾値パラメータを超えるときに生成される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示の主題は、物体を固定するシステム及び方法、より詳細には航空機を捕捉及び固定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
様々な航空機、例えば有人及び無人VTOL(垂直離降着)航空機は、現行の滑走路が利用できない軍事及び民事作業の両方を行うために、近年、一層重要になっている。様々なシナリオにおいて、航空機が降着プラットフォームに降着し、降着プラットフォームから再発進することが必要とされる。降着プラットフォームは、船の甲板に配置されるか若しくはその一部であり得るか、又は陸上の他の任意の移動車両であり得る。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2015/0239578号は、ホバリング航空機の発進及び回収のための装置及びシステムを開示している。本開示の装置は、航空機捕捉装置の2つ以上の指状部間でホバリング航空機を捕捉し、サービス及び/又は格納のために捕捉した航空機をドッキングステーションに案内し、航空機をドッキングステーションから発進させるように構成される。装置は、航空機を不正確で変則的なホバリング状態から、安全でよく制御された休止状態にするように構成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概略的な説明
本開示の主題の一態様によれば、航空機のベース部と共用するための航空機固定システムが提供され、この航空機固定システムは、
少なくとも1つの実質的に平坦なプラットフォームであって、前記航空機が前記プラットフォームに降着するとき、前記ベース部を支持する、少なくとも1つの実質的に平坦なプラットフォームと、
前記プラットフォーム及び前記ベース部のうちの一方に組み込まれるように構成された少なくとも1つの磁化可能要素と、
前記プラットフォーム及び前記ベース部のうちの他方に組み込まれるように構成された少なくとも1つの電気永久磁石であって、前記電気永久磁石に磁界を発生させるように構成され、前記航空機が前記プラットフォームに降着する過程において、前記ベース部と前記プラットフォームとの間の距離が所定の値に至ると、前記磁界によって、前記少なくとも1つの磁化可能要素が前記少なくとも1つの電気永久磁石に吸引される、少なくとも1つの電気永久磁石と、
選択的に前記磁界を発生させる又は打ち消せるために、前記少なくとも1つの電気永久磁石への電流を発生するように構成された電源モジュールと、
前記電流の供給を制御するように構成された制御モジュールと、
を備える。
【0005】
本開示の主題の航空機固定システムは、静止状態又は移動状態のプラットフォームに降着する航空機を捕捉及び固定するために使用されるように構成される。プラットフォームは、航空機が通常降着する任意の公知の物体に取り付けられるか、又は配置されるか、又はその物体の一部であり得る。この物体は、例えば、船の着艦甲板、陸上車又は当技術分野で公知の他の任意の航空機担体であり得る。航空機固定システムは、電気永久磁石で発生した磁力を使用して、人間の介在なしに又は人間の最小限の介在で航空機を容易に捕捉及び固定し、これらの磁力を打ち消すそれぞれのコマンドに基づいて航空機を容易に解放する。
【0006】
本開示の主題の電気永久磁石は、磁石の一部に巻き付けたワイヤに電流パルスを流すことで外部磁界のオン又はオフを切り換えることができるタイプの永久磁石である。磁石は、2つのセクションからなり、一方は、「硬」(高保持力)永久磁石材料であり、他方は、「軟」(低保持力)永久磁石材料である。前記他方の部片の磁化方向は、その部片に巻き付けたワイヤに電流パルスを流すことで切り換えることができる。磁気的な軟及び硬材料の磁化が反対である場合、電気永久磁石は、その磁極間に正味外部磁界を発生させない一方、磁化の方向が揃っている場合、電気永久磁石は、磁化可能要素を引きつけることができる外部磁界を発生させる。電気永久磁石によって生じる磁界は、電流によらずに発生し、これは、電磁石との主要な相違である。それとともに、電気永久磁石は、非常に強力であり、熱を発生させず、移動部分を有さない。電気永久磁石は、「軟」(低保持力)永久磁石材料でできたセクションを所望の方向に磁化するために電流パルスのみを使用する。磁化の方向を切り換えた後、電流は、必要とされない。したがって、電気永久磁石は、エネルギ消費の点で効率的であり、ほとんどの時間は、外部磁界を発生させる電気エネルギを必要としない。電気永久磁石の使用は、磁界の影響を受けやすい領域で使用する場合にも好都合である。例えば、プラットフォームが船の甲板に取り付けられる場合、電気永久磁石によって発生する磁界は、航空機を固定する必要がないときに容易に打ち消すことができる。しかし、航空機が到着したとき、磁界は、それぞれのコマンドに基づいて電気永久磁石によって迅速かつ容易に発生させることができる。電気永久磁石は、各タイプの航空機ごとに特定の変更を行うことなく、様々なタイプの航空機を固定することによって使用することもできる。
【0007】
航空機固定システムは、任意の移動要素を使用することなく、航空機固定システムに接近した航空機を捕捉することを可能にし、航空機が航空機固定システムの様々な位置に降着及び固定することができるように十分に広く構築することができる。これは、プラットフォームに現在接近している降着中の航空機の向きを決めるために、任意の所与の時間にプラットフォーム及び/又は航空機の状態を推定する必要がなく、航空機を降着させ、固定するプロセスを単純化することができる。
【0008】
下記において、「航空機」という用語は、それ自体の降着システム又は外部の降着支援システムにより、支持プラットフォームに降着するように構成され、例えば航空機、VTOL、ヘリコプタ、無人航空機、ドローン、宇宙船及び陸上車両等であり得る、当技術分野で公知の任意の車両を指す。航空機のベース部は、以下:スキッド、ホイール、下側支持部材、脚等のいずれかであり得る。
【0009】
特定の例によれば、少なくとも1つの電気永久磁石は、プラットフォームに組み込まれ、及び少なくとも1つの磁化可能要素は、ベース部に組み込まれる。さらに特定の例によれば、電気永久磁石及びプラットフォームは、単一の部材に組み込まれる。
【0010】
航空機固定システムは、前記プラットフォーム、前記少なくとも1つの磁化可能要素及び前記少なくとも1つの電気永久磁石の少なくとも1つに連結された少なくとも1つの衝撃吸収部材をさらに備えることができる。
【0011】
1つ又は複数の衝撃吸収部材は、前記磁化可能要素又は前記プラットフォームと一体であり得る。
【0012】
航空機固定システムは、前記少なくとも1つの磁化可能要素及び前記少なくとも1つの電気永久磁石の少なくとも1つに連結され、かつ磁化可能要素の接触面とそれぞれの電気永久磁石の接触面との間の角度を最小にするために空間的に旋回するように構成された少なくとも1つの枢支部材をさらに備えることができる。
【0013】
少なくとも1つの枢支部材は、前記磁化可能要素又は前記電気永久磁石を備えることができる。航空機固定システムが、それぞれ磁化可能要素を設けられた1つ又は複数の枢支部材を備える特定の例によれば、航空機が角度の付いた向きでプラットフォームに降着するシナリオにおいて、旋回することで、プラットフォームに接触する磁化可能要素を容易かつ迅速に磁気的に引きつけることが可能になり、それにより航空機全体のプラットフォームへの固定が容易になることが理解される。
【0014】
衝撃吸収部材及び枢支部材は、単一の吸収-枢支部材に組み込まれ得る。
【0015】
制御モジュールは、解除コマンドを受け取るように構成され得、及び前記解除コマンドを受け取ると、前記制御モジュールは、磁界を打ち消すために、前記電源モジュールに電流を発生させるように命令するように構成される。解除コマンドは、制御モジュールに無線で送ることができる。
【0016】
解除コマンドは、航空機のモータの1分当たりの回転数(RPM)を示す所定の閾値パラメータを超えるときに生成されるように構成され得る。
【0017】
少なくとも1つの磁化可能要素は、前記ベース部において、かつ航空機の重心の2つの対向する側に又は航空機の長手方向の軸に関して対称に組み込まれた2つ以上の磁化可能要素によって構成され得る。
【0018】
プラットフォームは、折り畳むことができる。
【0019】
プラットフォームは、プラットフォームに固定されている間に前記航空機とともに前記プラットフォームを移動する移動機構を備えることができる。
【0020】
少なくとも1つの磁化可能要素は、強磁性要素又は電磁石要素であり得る。
【0021】
少なくとも1つの電気永久磁石は、上部平面を備えることができる。上部平面は、プラットフォームの底面に実質的に平行であり得る。電気永久磁石の上面の平面性は、航空機が、特定の所定の場所又は位置に正確に降着することなく、任意の特定の位置に降着する能力をもたらし、これは、航空機が降着する現実の困難な状態(例えば、風、雨、海上の船の不安定なプラットフォーム、制限された視界等)においてきわめて重要であり得る。
【0022】
少なくとも1つの電気永久磁石又は前記プラットフォームは、ベース部の移動範囲を限定するために、その上面から延びる1つ又は複数の範囲限定部を備えることができる。
【0023】
少なくとも1つの電気永久磁石の上面は、前記少なくとも1つの磁化可能要素の外面の摩擦係数よりも大きい摩擦係数によって特徴付けられ得る。
【0024】
本開示の主題の別の態様によれば、ベース部を有する航空機を航空機固定システムによって固定する方法が提供され、前記方法は、
少なくとも1つの実質的に平坦なプラットフォームであって、前記航空機が前記プラットフォームに降着するとき、前記ベース部を支持するための少なくとも1つの実質的に平坦なプラットフォームと、前記プラットフォーム及び前記ベース部のうちの一方に組み込まれるように構成された少なくとも1つの磁化可能要素と、前記プラットフォーム及び前記ベース部のうちの他方に組み込まれるように構成された少なくとも1つの電気永久磁石であって、前記電気永久磁石に磁界を発生させるように構成され、前記航空機が前記プラットフォームに降着する過程において、前記ベース部と前記プラットフォームとの間の距離が所定の値に至ると、前記磁界によって、前記少なくとも1つの磁化可能要素が前記少なくとも1つの電気永久磁石に吸引される、少なくとも1つの電気永久磁石と、電源モジュールと、制御モジュールとを備える、前記航空機固定システムを提供するステップと、
前記航空機が前記磁界によって前記プラットフォームに固定されているとき、前記磁界を打ち消すために、前記制御ユニットが、前記電気永久磁石に電流を供給するように前記電源を指示するステップと、
を含む。
【0025】
方法は、制御モジュールにおいて解除コマンドを受け取り、かつ前記解除コマンドを受け取ると、前記磁界を打ち消すために、前記電気永久磁石に電流を供給するように前記制御ユニットによって前記電源に命令する前記ステップを行うステップをさらに備えることができる。
【0026】
解除コマンドは、航空機のモータの1分当たりの回転数(RPM)を示す所定の閾値パラメータを超えるときに生成されるように構成され得る。
【0027】
本明細書に開示される主題をよりよく理解し、主題が実際にどのように実施され得るかを例証するために、非限定的な例のみを用いて、添付図面を参照して実施形態が以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図面の簡単な説明
【
図1A】本開示の主題の一例による航空機固定システムの斜視図であり、航空機が航空機固定システムに固定されている。
【
図2】
図1Aの航空機固定システムによって固定される別の航空機の底部斜視図である。
【
図3】本開示の主題の別の例による航空機固定システムの斜視図であり、航空機が航空機固定システムに固定されている。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施形態の詳細な説明
まず、全体として1で示されている本開示の主題の航空機固定システムの一例を航空機10とともに示す図である
図1A及び
図1Bに注目する。
【0030】
航空機固定システム1は、磁力を用いて、静止した又は動くプラットフォームに降着した航空機10を固定するために使用されるように構成される。航空機固定システム1は、航空機が通常降着する任意の公知の物体(図示せず)に取り付けられるか、又は配置されるか、又はその物体の一部であり得る実質的に平坦なプラットフォーム20を備える。この物体は、例えば、船の着艦甲板、陸上車両又は当技術分野で公知の他の任意の航空機担体であり得る。
図1Aの例によれば、プラットフォーム20は、船の着艦甲板2に配置されている。下記に詳細に説明するように、航空機固定システム1は、電気永久磁石で発生した磁力を使用して、航空機10を容易に捕捉及び固定し、これらの磁力を打ち消すそれぞれのコマンドに基づいて、場合により人間の介在なしに又は人間の最小限の介在で航空機10を容易に解放する。
【0031】
図1A及び
図1Bに示す航空機10は、3つの脚部12の形態のベース部を有するUAV(無人航空機)の概略図である。プラットフォーム20は、航空機10のプラットフォーム20への降着時、前記脚部12を支持するように構成されている。
【0032】
プラットフォーム20に加えて、航空機固定システムは、脚部12の先端部18に連結された強磁性プレート16(
図1Bに示す)の形態の3つの磁化可能要素と、単一の部材のプラットフォーム20に組み込まれた電気永久磁石22と、電源モジュール30と、制御モジュール40とをさらに備える。
【0033】
図1Aに示すように、電気永久磁石22は、上部平面22’を有する。上部平面22は、プラットフォーム20の底面に平行である。上面22’の平面性は、航空機10が、特定の所定の場所又は位置に正確に降着することなく、任意の特定の場所に降着する能力をもたらし、これは、航空機が降着する現実の困難な状態(例えば、風、雨、海上の船の不安定なプラットフォーム、制限された視界等)においてきわめて重要であり得る。プラットフォーム20は、先端部18の移動範囲を限定するために、その上面から延びる範囲限定部21を有する。特定の例によれば、上面22’は、強磁性プレート16の外面の摩擦係数よりも大きい摩擦係数によって特徴付けられ得る。
【0034】
電気永久磁石22は、強磁性プレート16を磁気的に引きつけ、それにより航空機10をプラットフォーム20に固定するために磁界を発生させるように構成されている。電気永久磁石22によって発生する磁界は、航空機10のプラットフォーム20への降着中、前記先端部18とプラットフォーム20との間の距離が例えば5mmの所定の値に至ると、磁界が強磁性プレート16を電気永久磁石22に磁気的に引きつけるように構成され、それにより降着プロセス及び航空機10のプラットフォーム20への固定を容易にするようなものである。本開示の主題の電気永久磁石22は、磁石の一部に巻き付けたワイヤに電流パルスを流すことで外部磁界のオン又はオフを切り換えることができるタイプの永久磁石である。磁石は、2つのセクションからなり、一方は、「硬」(高保持力)永久磁石材料であり、他方は、「軟」(低保持力)永久磁石材料である。前記他方の部片の磁化方向は、その部片に巻き付けたワイヤに電流パルスを流すことで切り換えることができる。磁気的な軟及び硬材料の磁化が反対である場合、電気永久磁石22は、その磁極間に正味外部磁界を発生させない一方、磁化の方向が揃っている場合、電気永久磁石22は、強磁性プレート16を引きつけることができる外部磁界を発生させる。電気永久磁石22によって生じる磁界は、電流によらずに発生し、これは、電磁石との主要な相違である。したがって、電気永久磁石22は、非常に強力であり、熱を発生させず、移動部分を有さない。電気永久磁石22は、「軟」(低保持力)永久磁石材料でできたセクションを所望の方向に磁化するために電流パルスのみを使用する。磁化の方向を切り換えた後、電流は、必要とされない。したがって、電気永久磁石22は、エネルギ消費の点で効率的であり、ほとんどの時間は、外部磁界を発生させる電気エネルギを必要としない。電気永久磁石22の使用は、磁界の影響を受けやすい領域で使用する場合にも好都合である。例えば、プラットフォーム20が船の甲板に取り付けられる場合、電気永久磁石22によって発生する磁界は、航空機を固定する必要がないときに容易に打ち消すことができる。しかし、航空機が到着したとき、磁界は、それぞれのコマンドに基づいて電気永久磁石22によって迅速かつ容易に発生させることができる。
【0035】
電気永久磁石22は、電源モジュール30と電気通信し、電源モジュール30は、前記外部磁界を選択的に発生させ、かつ打ち消すために、電気永久磁石22への電流パルスを発生させるように構成されている。制御モジュール40は、電流の供給を制御するために電源モジュール30と電気通信する。
【0036】
例えば、航空機10がプラットフォーム20に降着する前に、制御モジュール40は、オペレータ又は別の発信元から固定コマンドを受け取るように構成されている。固定コマンドを受け取ると、制御モジュール40は、外部磁界を発生させるために、電気永久磁石22への電流パルスを発生させるように構成されている。これにより、電気永久磁石22は、航空機10の降着時に外部磁界によって航空機を固定するために航空機10を受け入れる準備が整う。
【0037】
航空機10が電気永久磁石22に固定されている場合、制御モジュール40は、オペレータ又は別の発信元から解除コマンドを受け取るように構成されている。解除コマンドを受け取ると、制御モジュール40は、外部磁界を打ち消すために、電源モジュール30に電流パルスを発生させるように命令するように構成され、それにより航空機が離陸することを可能にする。固定コマンド及び/又は解除コマンドは、無線で制御モジュール40に送ることができる。
【0038】
特定の例によれば、解除コマンドは、航空機のモータの1分当たりの回転数(RPM)を示す所定の閾値パラメータを超えるときに生成され得る。例えば、航空機が離陸しようとしており、そのエンジンが作動している場合、解除コマンドは、航空機から制御ユニット40に送ることができる。閾値パラメータは、航空機10を離陸させ、電気永久磁石22から切り離す特定のエンジン力であり得る。このエンジン力が特定の閾値よりも大きい場合、解除コマンドは、自動的に生成されて制御ユニット40で受け取ることができ、次に外部磁界を打ち消す。
【0039】
図面に示さない別の例によれば、電気永久磁石22は、電気永久磁石のアレイで構成することができる。電気永久磁石は、互いから等間隔に配置することができる。
【0040】
脚部12の各1つは、ピストルの形態の衝撃吸収部材を有する。
【0041】
先端部18の各1つは、脚部12の残りの部分に対して3D回転するように構成された枢支部材である。このため、先端部18は、電気永久磁石22への航空機10の降着時に空間的に旋回して、それぞれの強磁性プレート16の接触面と電気永久磁石22の上面22’との間の角度を最小にするように構成されている。
【0042】
図1A及び
図1Bの例によれば、航空機10が角度の付いた向きで電気永久磁石22に降着するシナリオにおいて、先端部18が旋回することで、プラットフォームに接触する強磁性プレート16を容易かつ迅速に磁気的に引きつけることが可能になり、それにより航空機10のプラットフォーム20への固定が容易になることが理解される。
【0043】
強磁性プレート16は、航空機10の重心が強磁性プレート16のそれぞれの1つから等しい距離でそれらの間に位置するように配置されている。強磁性プレート16を航空機10の重心に対してそのような態様で配置することで、航空機10をプラットフォーム20に適切に固定することが可能になる。
【0044】
図示していないが、プラットフォーム20は、取り付けられる本体に折り畳んで収めることができる。
図3に示すように、プラットフォーム20は、プラットフォームに固定されている間に航空機とともにプラットフォーム20を移動するための、ホイール80の形態の移動機構を備えることもできる。移動機構は、プラットフォーム20を、固定された航空機とともに別の場所まで引っ張るための引張り部材85をさらに備える。
【0045】
別の例によれば、磁化可能要素は、電磁石要素であり得、電磁石要素は、電流が供給されているときに電気永久磁石22に磁気的に引きつけることができる。
【0046】
ここで、航空機110が示されている
図2を参照する。航空機110は、2つのスキッド112の形態のベース部を有するヘリコプタの概略図である。プラットフォーム20は、プラットフォーム20への航空機110の降着時、スキッド112を支持するように構成されている。
【0047】
航空機110は、強磁性プレート116の形態の18個の磁化可能要素も有する。各9個の強磁性プレート116は、スキッド112の各スキッドに連結されている。航空機110は、プラットフォーム20に降着し、外部磁界が発生したときに電気永久磁石22に磁気的に固定されるように構成されている。したがって、両方の航空機110及び10は、プラットフォーム20と共用することができ、電気永久磁石22によって固定することができる。強磁性プレート116は、航空機110の重心が強磁性プレート116間に配置されるように配置することができる。
【0048】
強磁性プレート116を航空機110の重心に対してそのような態様で配置することで、航空機110をプラットフォーム20に適切に固定することが可能になる。