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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】工作機械のスピンドルへの接触監視
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/22 20060101AFI20230818BHJP
【FI】
B23Q17/22 B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020544775
(86)(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019052773
(87)【国際公開番号】W WO2019166193
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】00235/18
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】599172531
【氏名又は名称】ライシャウァー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル コレスティン ディミトリ ラバジイエフ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ケラー
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-263988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0160571(US,A1)
【文献】実開平05-060709(JP,U)
【文献】実開平06-075642(JP,U)
【文献】特開2014-092503(JP,A)
【文献】特開2016-135533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00 - 17/24
B23B 25/06
B23B 31/00
G01B 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視し、前記スピンドルは、スピンドル軸を構成する装置であって、
前記装置は、
前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)と、
流体入口、前記流体媒体の流れ方向に沿って前記流体入口と同一直線上にあって、前記流れ方向が前記スピンドル軸と平行である流体出口、前記流体入口と前記流体出口の間にある狭窄部、及び真空空間を有する真空ノズル(7)であって、前記真空ノズル(7)の前記流体入口における正の供給圧力が、前記流体入口から前記流体出口まで前記真空ノズル(7)を通る前記流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって加速され、それによって、前記真空空間(7c)内の測定圧力(p3)に影響を与える、前記真空ノズル(7)と、
前記真空ノズルの下流に配置された少なくとも1つの測定ノズル(4)であって、前記流体流が真空ノズル(7)を通った後に前記少なくとも1つの測定ノズル(4)を通って導かれ、前記流体流が前記測定ノズルから出たときに、前記支持面(3)から離れる方向へ向かう前記流体流を生成するように、前記支持面(3)の領域に配置された前記少なくとも1つの測定ノズル(4)と、
前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)を検出するように構成された少なくとも1つの第1の圧力センサー(6)又は圧力スイッチと、
を備え、
前記装置は、前記支持面(3)上に前記ワーク(1)又は前記工具(11)がなく、前記測定ノズル(4)が完全に開いているときに、前記真空空間(9c)の前記測定圧力(p3)が周囲圧力に対して負の値を有し、一方、測定ノズル(4)が完全に閉じているときに、前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)は、周囲圧力に対して正の値を有するように構成される
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第1の圧力センサー(6)は、前記真空空間(9c)内の周囲圧力に対する前記測定圧力(p3)の正の値及び負の値の双方を検出するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視し、前記スピンドルは、スピンドル軸を構成する装置であって、
前記装置は、
前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)と、
流体入口、流体出口、前記流体入口と前記流体出口の間の狭窄部、及び真空空間を有する真空ノズル(7)であって、前記真空ノズル(7)の前記流体入口における正の供給圧力が、前記流体入口から前記流体出口まで前記真空ノズル(7)を通る前記流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は、前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって加速され、それによって、前記真空空間(7c)内の測定圧力(p3)に影響を与える前記真空ノズル(7)であって、前記流体流を超音速に加速するためのラバールノズルとして構成された前記真空ノズル(7)と、
前記真空ノズルの下流に配置された少なくとも1つの測定ノズル(4)であって、前記流体流が真空ノズル(7)を通った後に前記少なくとも1つの測定ノズル(4)を通って導かれ、前記流体流が前記測定ノズルから出たときに、前記支持面(3)から離れる方向へ向かう前記流体流を生成するように、前記支持面(3)の領域に配置された前記少なくとも1つの測定ノズル(4)と、
前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)を検出するように構成された少なくとも1つの第1の圧力センサー(6)又は圧力スイッチと、
を備え、
前記装置は、前記支持面(3)上に前記ワーク(1)又は前記工具(11)がなく、前記測定ノズル(4)が完全に開いているときに、前記真空空間(9c)の前記測定圧力(p3)が周囲圧力に対して負の値を有し、一方、測定ノズル(4)が完全に閉じているときに、前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)は、周囲圧力に対して正の値を有するように構成される
ことを特徴とする、装置。
【請求項4】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視し、前記スピンドルは、スピンドル軸を構成する装置であって、
前記装置は、
前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)と、
流体入口、流体出口、前記流体入口と前記流体出口の間の狭窄部、及び真空空間を有する真空ノズル(7)であって、前記真空ノズル(7)の前記流体入口における正の供給圧力が、前記流体入口から前記流体出口まで前記真空ノズル(7)を通る前記流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は、前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって加速され、それによって、前記真空空間(7c)内の測定圧力(p3)に影響を与える前記真空ノズル(7)と、
前記真空ノズルの下流に配置された少なくとも1つの測定ノズル(4)であって、前記流体流が真空ノズル(7)を通った後に前記少なくとも1つの測定ノズル(4)を通って導かれ、前記流体流が前記測定ノズルから出たときに、前記支持面(3)から離れる方向へ向かう前記流体流を生成するように、前記支持面(3)の領域に配置された前記少なくとも1つの測定ノズル(4)と、
前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)を検出するように構成された少なくとも1つの第1の圧力センサー(6)又は圧力スイッチと、
前記真空ノズル(7)の上流の供給圧力(p1)を確定する少なくとも1つの第2の圧力センサーと、
コントローラ(17)であって、前記少なくとも1つの第1の圧力センサー(6)から信号を受信し、前記少なくとも1つの第2の圧力センサーから信号を受信し、前記少なくとも1つの第1の圧力センサー(6)と前記少なくとも1つの第2の圧力センサーからの信号に基づいて前記測定圧力(p3)と前記供給圧力(p1)との圧力差を確定し、前記圧力差を考慮してワーク(1)又は工具(11)の位置を確定するように構成されたコントローラ(17)と、
を備え、
前記装置は、前記支持面(3)上に前記ワーク(1)又は前記工具(11)がなく、前記測定ノズル(4)が完全に開いているときに、前記真空空間(9c)の前記測定圧力(p3)が周囲圧力に対して負の値を有し、一方、測定ノズル(4)が完全に閉じているときに、前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)は、周囲圧力に対して正の値を有するように構成される
ことを特徴とする、装置。
【請求項5】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視し、前記スピンドルは、スピンドル軸を構成する装置であって、
前記装置は、
前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)と、
流体入口、流体出口、前記流体入口と前記流体出口の間の狭窄部、及び真空空間を有する真空ノズル(7)であって、前記真空ノズル(7)の前記流体入口における正の供給圧力が、前記流体入口から前記流体出口まで前記真空ノズル(7)を通る前記流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は、前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって加速され、それによって、前記真空空間(7c)内の測定圧力(p3)に影響を与える前記真空ノズル(7)と、
真空ノズルの下流に配置された少なくとも1つの測定ノズル(4)であって、前記流体流が真空ノズル(7)を通った後に前記少なくとも1つの測定ノズル(4)を通って導かれ、前記流体流が前記測定ノズルから出たときに、前記支持面(3)から離れる方向へ向かう前記流体流を生成するように、前記支持面(3)の領域に配置された前記少なくとも1つの測定ノズル(4)と、
前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)を検出するように構成された少なくとも1つの第1の圧力センサー(6)又は圧力スイッチであって、前記測定圧力(P3)と前記供給圧力(p1)との間の圧力差を測定するように構成された差圧センサーである前記第1の圧力センサー(6)と、
を備え、
前記装置は、前記支持面(3)上に前記ワーク(1)又は前記工具(11)がなく、前記測定ノズル(4)が完全に開いているときに、前記真空空間(9c)の前記測定圧力(p3)が周囲圧力に対して負の値を有し、一方、測定ノズル(4)が完全に閉じているときに、前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)は、周囲圧力に対して正の値を有するように構成される
ことを特徴とする、装置。
【請求項6】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視し、前記スピンドルは、スピンドル軸を構成する装置であって、
前記装置は、
前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)と、
流体入口、流体出口、前記流体入口と前記流体出口の間の狭窄部、及び真空空間を有する真空ノズル(7)であって、前記真空ノズル(7)の前記流体入口における正の供給圧力が、前記流体入口から前記流体出口まで前記真空ノズル(7)を通る流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は、前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって加速され、それによって、前記真空空間(7c)内の測定圧力(p3)に影響を与える前記真空ノズル(7)と、
真空ノズルの下流に配置された少なくとも1つの測定ノズル(4)であって、前記流体流が真空ノズル(7)を通った後に前記少なくとも1つの測定ノズル(4)を通って導かれ、前記流体流が前記測定ノズルから出たときに、前記支持面(3)から離れる方向へ向かう前記流体流を生成するように、前記支持面(3)の領域に配置された前記少なくとも1つの測定ノズル(4)であって、
前記ワーク又は前記工具が、前記支持面(3)に正確に平行平面で当接する場合、前記測定ノズル(4)から規定の距離に配置され、それにより、前記ワーク(1)又は前記工具(11)が前記測定ノズル(4)を完全に閉鎖しないように、前記支持面(3)の前記領域に配置された前記測定ノズル(4)と、
前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)を検出するように構成された少なくとも1つの第1の圧力センサー(6)又は圧力スイッチと、
を備え、
前記装置は、前記支持面(3)上に前記ワーク(1)又は前記工具(11)がなく、前記測定ノズル(4)が完全に開いているときに、前記真空空間(9c)の前記測定圧力(p3)が周囲圧力に対して負の値を有し、一方、測定ノズル(4)が完全に閉じているときに、前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)は、周囲圧力に対して正の値を有するように構成されている
ことを特徴とする、装置。
【請求項7】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視し、前記スピンドルは、スピンドル軸を構成する装置であって、
前記装置は、
前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)と、
流体入口、流体出口、前記流体入口と前記流体出口の間の狭窄部、及び真空空間を有する真空ノズル(7)であって、前記真空ノズル(7)の前記流体入口における正の供給圧力が、流れ方向に沿って前記流体入口から前記流体出口まで前記真空ノズル(7)を通る流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は、前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって加速され、それによって、前記真空空間(7c)内の測定圧力(p3)に影響を与える前記真空ノズル(7)と、
真空ノズルの下流に配置された少なくとも1つの測定ノズル(4)であって、前記流体流が真空ノズル(7)を通った後に前記少なくとも1つの測定ノズル(4)を通って導かれ、前記流体流が前記測定ノズルから出たときに、前記支持面(3)から離れる方向へ向かう前記流体流を生成するように、前記支持面(3)の領域に配置された前記少なくとも1つの測定ノズル(4)と、
前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)を検出するように構成された少なくとも1つの第1の圧力センサー(6)又は圧力スイッチと、
を備え、
前記装置は、前記支持面(3)上に前記ワーク(1)又は前記工具(11)がなく、前記測定ノズル(4)が完全に開いているときに、前記真空空間(9c)の前記測定圧力(p3)が周囲圧力に対して負の値を有し、一方、測定ノズル(4)が完全に閉じているときに、前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)は、周囲圧力に対して正の値を有するように構成され、
前記装置は、少なくとも前記真空ノズル(7)が配置されたハウジングを備える機能ユニット(14b)を備え、
前記機能ユニット(14b)は、スピンドル(2;16)の回転可能な部分におけるボア内に、カートリッジとして配置され、前記ボアはスピンドル軸と平行に走り、前記カートリッジは前記流れ方向に抗してボアに挿入される
ことを特徴とする、装置。
【請求項8】
前記機能ユニット(14b)は、前記測定ノズル(4)を更に備える、請求項に記載の装置。
【請求項9】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視し、前記スピンドルは、スピンドル軸を構成する装置であって、
前記装置は、
前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)と、
流体入口、流体出口、前記流体入口と前記流体出口の間の狭窄部、及び真空空間を有する真空ノズル(7)であって、前記真空ノズル(7)の前記流体入口における正の供給圧力が、前記流体入口から前記流体出口まで前記真空ノズル(7)を通る前記流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は、前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって加速され、それによって、前記真空空間(7c)内の測定圧力(p3)に影響を与える前記真空ノズル(7)と、
真空ノズルの下流に配置された少なくとも1つの測定ノズル(4)であって、前記流体流が真空ノズル(7)を通った後に前記少なくとも1つの測定ノズル(4)を通って導かれ、前記流体流が前記測定ノズルから出たときに、前記支持面(3)から離れる方向へ向かう前記流体流を生成するように、前記支持面(3)の領域に配置された前記少なくとも1つの測定ノズル(4)と、
前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)を検出するように構成された少なくとも1つの第1の圧力センサー(6)又は圧力スイッチと、
を備え、
前記装置は、前記支持面(3)上に前記ワーク(1)又は前記工具(11)がなく、前記測定ノズル(4)が完全に開いているときに、前記真空空間(9c)の前記測定圧力(p3)が周囲圧力に対して負の値を有し、一方、測定ノズル(4)が完全に閉じているときに、前記真空空間(9c)内の前記測定圧力(p3)は、周囲圧力に対して正の値を有するように構成され
前記装置は、少なくとも前記真空ノズル(7)及び前記測定ノズル(4)をパージするために更なる圧力ポート(9d)を備える
ことを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記真空ノズル(7)の上流に所定の供給圧力(p1)を作り出すための圧力レギュレーター(5)を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記圧力レギュレーター(5)は、2bar以下の供給圧力(p1)を発生させるように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記真空ノズル(7)及び測定ノズル(4)は、前記スピンドル(2;16)の回転可能な部分に配置される、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記真空ノズル(7)は、ジェットノズル(7c)と、前記ジェットノズル(7c)の下流に配置された収集ノズル(7b)と備え、前記真空空間(9c)は、前記ジェットノズル(7c)と前記収集ノズル(7b)との間に位置する領域と連通する、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の圧力センサー(6)又は前記圧力スイッチは、無線信号送信のための装置を備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
無線信号送信のための前記装置は、受動的RFIDトランスポンダーである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視する方法であって、前記スピンドルは、前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)を有し、前記スピンドルは、スピンドル軸を構成し、
前記方法は、
流体入口と、流体媒体の流れ方向に沿って前記流体入口と同一直線上にあり、前記流れ方向が前記スピンドル軸と平行である流体出口と、前記流体入口と前記流体出口の間の狭窄部と、真空空間(9c)とを有する真空ノズル(7)の上流に、正の供給圧力を発生させ、前記正の供給圧力は、前記流体入口から前記流体出口まで真空ノズル(7)を通る前記流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって加速され、それによって前記真空空間(9c)内の測定圧力(p3)に影響を与え、
前記流体流を少なくとも1つの測定ノズル(4)を通して導き、前記流体流が前記真空ノズルを通って導かれた後に、前記流体流が前記支持面(3)から離れる方向へ向けられるように、前記少なくとも1つの測定ノズルは、前記支持面の領域で前記真空ノズルの下流に配置され、
前記真空空間内の前記測定圧力を検出し、
前記測定圧力を考慮して前記支持面(3)に対する前記ワーク(1)又は前記工具(11)の位置を確定する
ことを含み、
前記支持面上に前記ワーク又は前記工具がなく、前記測定ノズルが完全に開いているときに、前記測定圧力は周囲圧力に対して負の値を有し、一方、前記測定ノズルが完全に閉じているときに、前記測定圧力は周囲圧力に対して正の値をする
ことを特徴とする、方法。
【請求項17】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視する方法であって、前記スピンドルは、前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)を有し、
前記方法は、
流体入口と、流体出口と、前記流体入口と前記流体出口の間の狭窄部と、真空空間(9c)とを有する真空ノズル(7)の上流に正の供給圧力を発生させ、前記正の供給圧力は、前記流体入口から前記流体出口まで前記真空ノズル(7)を通る前記流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって超音速に加速され、それによって、前記真空空間(9c)内の測定圧力(p3)に影響を与え、
前記流体流を少なくとも1つの測定ノズル(4)を通して導き、前記流体流が前記真空ノズルを通って導かれた後に、前記流体流が前記支持面(3)から離れる方向へ向けられるように、前記少なくとも1つの測定ノズルは、前記支持面の領域で前記真空ノズルの下流に配置され、
前記真空空間内の前記測定圧力を検出し、
前記測定圧力を考慮して前記支持面(3)に対する前記ワーク(1)又は前記工具(11)の位置を確定する
ことを含み、
前記支持面上に前記ワーク又は前記工具がなく、前記測定ノズルが完全に開いているときに、前記測定圧力は周囲圧力に対して負の値を有し、一方、前記測定ノズルが完全に閉じているときに、前記測定圧力は周囲圧力に対して正の値を有する
ことを特徴とする、方法。
【請求項18】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視する方法であって、前記スピンドルは、前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)を有し、
前記方法は、
流体入口と、流体出口と、前記流体入口と前記流体出口の間の狭窄部と、真空空間(9c)とを有する真空ノズル(7)の上流に正の供給圧力を発生させ、前記正の供給圧力は、前記流体入口から前記流体出口まで前記真空ノズル(7)を通る前記流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって加速され、それによって、前記真空空間(9c)内の測定圧力(p3)に影響を与え、
前記流体流を少なくとも1つの測定ノズル(4)を通して導き、前記流体流が前記真空ノズルを通って導かれた後に、前記流体流が前記支持面(3)から離れる方向へ向けられるように、前記少なくとも1つの測定ノズルは、前記支持面の領域で前記真空ノズルの下流に配置され、
前記真空空間内の前記測定圧力を検出し、
前記測定圧力を考慮して前記支持面(3)に対する前記ワーク(1)又は前記工具(11)の位置を確定する
ことを含み、
前記支持面上に前記ワーク又は前記工具がなく、前記測定ノズルが完全に開いているときに、前記測定圧力は周囲圧力に対して負の値を有し、一方、前記測定ノズルが完全に閉じているときに、前記測定圧力は周囲圧力に対して正の値を有し、
前記測定圧力(p3)は、前記供給圧力(p1)に対して確定される
ことを特徴とする、方法。
【請求項19】
流体媒体を用いて工作機械(20)のスピンドル(2;16)へのワーク(1)又は工具(11)の接触を監視する方法であって、前記スピンドルは、前記ワーク(1)又は前記工具(11)に対する支持面(3)を有し、
前記方法は、
流体入口と、流体出口と、前記流体入口と前記流体出口の間の狭窄部と、真空空間(9c)とを有する真空ノズル(7)の上流に正の供給圧力を発生させ、前記正の供給圧力は、前記流体入口から前記流体出口まで前記真空ノズル(7)を通る前記流体媒体の流体流を生じさせ、前記流体流は前記流体出口に向かう途中で前記狭窄部によって加速され、それによって、前記真空空間(9c)内の測定圧力(p3)に影響を与え、
前記流体流を少なくとも1つの測定ノズル(4)を通して導き、前記流体流が前記真空ノズルを通って導かれた後に、前記流体流が前記支持面(3)から離れる方向へ向けられるように、前記少なくとも1つの測定ノズルは、前記支持面の領域で前記真空ノズルの下流に配置され、
前記真空空間内の前記測定圧力を検出し、
前記測定圧力を考慮して前記支持面(3)に対する前記ワーク(1)又は前記工具(11)の位置を確定する
ことを含み、
前記支持面上に前記ワーク又は前記工具がなく、前記測定ノズルが完全に開いているときに、前記測定圧力は周囲圧力に対して負の値を有し、一方、前記測定ノズルが完全に閉じているときに、前記測定圧力は周囲圧力に対して正の値を有し、
更なる圧力ポート(9d)を用いて前記真空ノズル(7)及び前記測定ノズル(4)をパージすることを更に含む、
ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のスピンドルへの接触を監視する装置、並びに、ワーク又は工具の存在及び位置を確定する対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械において、クランプ装置上のワークの存在及び位置を確定するために、接触監視装置が用いられる。
【0003】
従来技術から、特に、空気式長さ測定の原理に基づく接触監視装置が既知である。この測定原理は、DIN2271規格(2016年12月版)において広範に記載されている。空気式接触監視装置の重要なクラスは、動的圧力測定の原理に基づいている。流体は、測定ノズルにガイドされる。ワークが測定ノズルの出口を覆うと、測定ノズル内の動圧(よどみ圧)が変化する。この変化を測定する。この測定原理に基づく空気式接触監視装置は、様々な製造業者から市販されている。典型的な測定距離は、0.02mm~0.2mmである。
【0004】
空気式接触監視装置の例は、特許文献に見出すこともできる。例えば、特許文献1は、監視装置の放出開口の前にあるワークの位置を監視する監視装置を開示し、ここでは、流体源が、加圧空気を、付勢圧力により、オリフィス要素を介して放出開口に供給する。差圧センサーが、オリフィス要素にわたる圧力降下、すなわち、供給源によって供給される付勢圧力と、放出開口において達する動圧との間の圧力差を測定する。この圧力差の変化は、位置を確定するのに用いられる。
【0005】
空気式接触監視装置の更なる例は、特許文献2~8に開示されている。
【0006】
従来技術には、接触を監視する他の測定原理も提案されている。そのため、特許文献9は、超音波測定を用いる接触監視装置を開示している。特許文献10は、マイクロ波共振器をセンサーとして用いる接触監視装置を開示している。
【0007】
接触の精密な監視は、歯車加工機において特に重要である。ワークの搬送は、ほとんどの場合、クランプ装置との摩擦係合によって行われ、その間、ワークは、クランプ装置の平坦な対向面に平面で位置する。小片、研磨スラリー、及び他の汚染物が、対向面におけるワークの平坦で平行な支持を妨げ、それにより、ワークが傾いた状態でクランプされるおそれがある。これは、一方では、加工の正確さを損ない、より多くの不良品をもたらす。他方では、ワークが傾いてクランプされることにより、摩擦係合の減少をもたらす場合もあり、それにより、或る特定の状況では、ワークが安全に運ばれることがもはや保証されない。平坦面が誤った方法で加工された又は損傷したワークを認識することも重要である。これにより、接触監視装置の正確さに関して非常に高い要件がもたらされる。数マイクロメートルの傾斜でも検出可能であるべきである。既存の接触監視装置は、多くの場合、この目的には不十分な正確性を呈する。高い正確性は、工具の接触を監視するのにも重要である。
【0008】
歯車加工機において、ワークの変更は、数秒以内で自動的に行われることが通常である。したがって、接触の監視は、ワーク変更の短い時間で、非常に素早く行わなければならない。短い測定時間を達成するために、接触監視装置を、回転可能なスピンドルに直接配置することが望ましい。しかしながら、既存の接触監視装置は、この目的には適していない場合が多い。
【0009】
特許文献11は、ベンチュリノズル内に発生する真空を設定する装置を開示している。このために、ベンチュリノズルの後ろの流体の放出領域に、バッフルプレートが配置される。バッフルプレートは、調整ユニットによって軸方向に変位可能である。調整ユニットを用いたバッフルプレートの線形変位により、ベンチュリノズルによって発生する真空が特定の様式で変化することができる。この文献は、接触の監視には関連せず、代わりに、調整可能な真空を精密に発生させることに関連する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】独国特許出願公開第10 2005 002 448号
【文献】独国特許出願公開第102 39 079号
【文献】独国特許出願公開第101 55 135号
【文献】欧州特許出願公開第1 537 946号
【文献】欧州特許出願公開第0 794 035号
【文献】米国特許第5,540,082号
【文献】独国特許出願公開第10 2012 216 073号
【文献】国際公開第2012/160204号
【文献】欧州特許出願公開第3 085 490号
【文献】独国特許出願公開第10 2014 112 116号
【文献】独国特許出願公開第100 17 556号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、高い正確性を可能にするが、小型であり、コスト効果的に実現することができる、工作機械においてワーク又は工具の接触を監視する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載の接触監視装置によって達成される。
【0013】
したがって、流体媒体を用いて、工作機械、特に歯車加工機のスピンドルへのワーク又は工具の接触を監視する装置が提案される。装置は、
ワーク又は工具に対する支持面と、
支持面から離れる方向に向かう流体流を生成するために、支持面の領域に配置された少なくとも1つの測定ノズルと、
装測定ノズルの上流に配置され、真空ノズルを通る流体媒体の流れによって真空空間内に真空を発生させるように構成される真空ノズルと、
真空空間内の測定圧力を検出するように構成される少なくとも1つの第1の圧力センサー又は圧力スイッチとを備える。
【0014】
したがって、圧力センサー又は圧力スイッチは、真空空間における測定圧力を測定するように構成及び配置される。提案される装置では、測定範囲、すなわち、ワーク又は工具の存在又は不在に起因して測定圧力が最大限変化し得る範囲が、既知の装置に比べて大幅に拡大する。測定ノズルが完全に閉鎖している場合、測定圧力は、真空ノズルに供給される(正の)供給圧力に実質的に対応する。一方、測定ノズルが完全に開放している場合、測定圧力は、実質的に負の値に達し得る。したがって、測定圧力の最大の変化は、供給圧力よりも規模が大きい。それに対して、既知の装置では、常に同じ数学的符号の付された圧力値のみが生成される。それにより記録され得る圧力の最大の変化は、常に供給圧力のごく一部である。
【0015】
本発明に係る装置の大幅に拡大された測定範囲に起因して、支持面と工具又はワークとの間の距離の変化が小さくても、測定圧力の比較的大きな変化がもたらされる。それにより、非常に小さな距離も精密かつ再現可能に検出することができる。したがって、本発明は、接触の監視又は距離の測定の正確性及び再現性を増すために、空気圧信号増幅を提供する。
【0016】
「接触の監視」という用語は、本文脈では、支持面に対するワーク又は工具の位置を確定する方法として理解すべきである。この方法の結果は、例えば、連続的な測定値(例えば、距離値)又は二元値(例えば、「十分な接触」か「不十分な接触」か)とすることができる。
【0017】
「真空ノズル」という用語は、本文脈では、流体入口及び流体出口を有する装置として理解すべきである。流体入口を通って装置に入る流体流は、流体出口に向かう途中で狭窄部を通してガイドされ、したがって加速される。この結果、狭窄部及び/又は狭窄部の下流の領域において真空が生じる。この真空を測定する。このために、真空ノズルは、真空ポートを有することができ、この真空ポートには別個の真空空間を接続することができ、この真空空間に第1の圧力センサーが配置される。しかしながら、真空空間は、真空ノズルの一体部分とすることもでき、第1の圧力センサーは、その限りにおいて、別個の真空ポートを必要とすることなく真空ノズルに直接配置することもできる。
【0018】
真空空間は、周囲環境への更なる接続を有しないことが好ましい。したがって、周囲空気に含まれる不純物を吸引するおそれもない。したがって、装置は、特に、油分を含まない加圧空気でも油分を含む加圧空気でも動作することができる。
【0019】
真空ノズルは、特に、単純なベンチュリノズル又はラバールノズルとして形成することができる。しかしながら、より複雑な設計、特に2段設計又は多段設計も可能である。特に、真空ノズルは、流体流を加速させる狭窄部を有するジェットノズルを含むことができる。ジェットノズルの下流には、流体流を再び減速させるために、再び緩やかに広がった別個の収集ノズルを配置することができる。この場合、真空空間は、ジェットノズルと収集ノズルとの間のチャンバーとして形成することができ、又はジェットノズルと収集ノズルとの間の領域と連通することができる。流体流は、真空ノズル内で超音速まで加速することができる。このようにして、周囲圧力と比較して、例えば約-0.9barまでの真空を達成することができる。
【0020】
真空ノズルは、真空吸引ノズル又は真空エジェクターと呼ばれることもある。真空ノズルは、種々の実施形態において低コストで利用可能である。
【0021】
「圧力センサー」という用語は、本文脈では、測定値「圧力」をアナログ又はデジタルの電気信号に変換する任意の装置として理解すべきである。圧力センサーには様々な測定原理がある。例として、既知の測定原理は、例えば、伸張可能なメンブレンに配置された歪みゲージを用いる。圧力差は、メンブレンの変形をもたらす。この変形を歪みゲージによって検出する。異なる測定原理は、圧電効果を用いる。当業者には、複数の様々な圧力センサーが既知であり、本発明は、特定の種類の圧力センサーに限定されない。圧力センサーは、特に、絶対圧センサーとすることができるか、又は、いくつかの基準圧力に対して測定圧力を確定する差圧センサーとすることができる。基準圧力は、例えば、真空ノズルの入口における周囲圧力又は供給圧力とすることができる。
【0022】
「圧力スイッチ」は、本文脈では、圧力に応じて接触部を開放又は閉鎖する装置として理解すべきである。
【0023】
本文脈では、全ての圧力値は、周囲圧力に対しての値であり、すなわち、周囲圧力よりも小さい圧力値には負の数学的符号が付される。この定義は、本文脈において、圧力値が確定される方法にかかわらず用いられる。
【0024】
「測定ノズル」という用語は、本文脈では広義で理解すべきである。測定ノズルは、任意の形状を有することができる。測定ノズルは、開口を有し、この開口により、流体流が測定ノズルから放出される際に支持面から離れることになる。流体流は、支持面に対して垂直に測定ノズルを出ることが好ましい。
【0025】
測定範囲全体をカバーする圧力値を確定することを可能にするために、第1の圧力センサーが、真空空間における測定圧力の正の値も負の値も検出するように設けられることが有利である。測定範囲全体を効果的に使用するために、装置が意図したように動作する場合、すなわち、流体が意図された供給圧力で真空ノズルに供給される場合、支持面上にワーク又は工具が存在しない状態の真空空間における測定圧力が、実際に負の値に達するように、装置の寸法が決められることが好ましい。特に、測定ノズルの寸法及び真空ノズルと測定ノズルとの間の導管の寸法、並びに真空ノズルの構造は、好適な様式で調和する。ここで意図された供給圧力は、2bar未満であることが好ましく、0.8bar~1.6barの範囲内にあることが特に好ましい。
【0026】
接触監視装置は、真空ノズルの上流に所定の供給圧力を発生させるために、圧力レギュレーターを備えることができる。代替的に又は加えて、接触監視装置は、真空ノズルの上流の供給圧力を確定するために、第2の圧力センサーを備えることができる。
【0027】
装置は、コントローラーを更に備えることができる。また、コントローラーは、第1の圧力センサー又は圧力スイッチから、測定圧力に応じた信号を受信し、受信した信号を考慮してワーク又は工具の位置を確定するように構成される。信号は、特に、測定圧力に本質的に連続的に依存する測定信号とすることができるが、或る特定の圧力閾値を下回る又は超えることを示す単純な二値信号とすることもできる。
【0028】
コントローラーは、ワーク又は工具の位置を確定する際に、真空ノズルの上流の供給圧力を考慮するように更に構成することができる。このために、コントローラーは、上記第2の圧力センサーからの信号を受信することができる。しかしながら、供給圧力は、圧力レギュレーターによって固定され、対応する圧力値は、圧力センサーとは別の方法でコントローラーに供給されることも想定可能である。
【0029】
測定ノズルは、ワーク又は工具が、支持面に正確に平行平面で当接する場合、測定ノズルを完全に閉鎖するように支持面の領域に配置することができる。したがって、平行平面で当接する場合、測定圧力は、実質的に供給圧力に対応する。このようにして、測定範囲全体が使用される。
【0030】
代替的に又は加えて、測定ノズルは、ワーク又は工具が、支持面に正確に平行平面で当接する場合、測定ノズルから規定の距離に配置され、それにより、ワーク又は工具が測定ノズルを完全に閉鎖しないように、支持面の領域に配置することもできる。この場合、正確に平行平面で当接する場合でも、或る特定の量の流体が真空ノズルを通って流れ、その結果、測定圧力は、正確に平行平面で当接する場合でも、供給圧力よりも小さくなる。このようにして、測定範囲全体は使用されない。しかしながら、その代わりに、装置は、例えば、装置が距離の変化に最大限反応する範囲、すなわち、距離に対する圧力の関係を示す特性曲線が最も急である範囲で動作することができる。
【0031】
真空ノズル及び測定ノズルは、非常にコンパクトに形成することができる。それにより、真空ノズル及び測定ノズルは、スピンドルの回転可能な部分に配置することができる。それにより、真空ノズルと測定ノズルとの間の測定ライン(チュービング)は、非常に短く構成することができる。これにより、装置の応答が向上し、測定時間の短縮が促進される。
【0032】
装置は、特に、少なくとも真空ノズルが配置されるハウジングを備える小型機能ユニットを備えることができる。必要に応じて、測定ノズルは、機能ユニットの一部とすることもできる。機能ユニットは、スピンドルの回転可能な部分のボア内に配置される、特に、流れ方向に抗してそのようなボアに挿入される、例えば、内部に摺動又は螺合されるカートリッジを形成することができる。この場合、ボアは、スピンドル軸に対して平行に延在することが好ましい。
【0033】
コントローラーへの信号送信を容易にするために、第1の圧力センサー又は圧力スイッチ及び/又は第2の圧力センサーは、無線信号送信、特に、受動的RFIDトランスポンダーのための装置を備えることができる。
【0034】
装置の清掃を容易にするために、装置は、少なくとも真空ノズル及び測定ノズルをパージするための更なる圧力ポートを備えることができる。加圧空気が再び流体入口を通って装置を出ることを防ぐために、更なる圧力ポートにおける圧力が流体入口における供給圧力を超えると閉鎖する逆止弁を、流体入口に設けることができる。同様に、流体が、通常動作中に更なる圧力ポートを通して放出されることを防ぐ逆止弁を、更なる圧力ポートに設けることができる。
【0035】
装置は、少なくとも1つの更なる真空ノズルを備えることができ、装置は、更なる真空ノズルを用いて以下のタスク、すなわち、
2つの機械要素間の距離を測定することと、
動圧を測定することと、
流量を測定することと、
流量を調節することと、
圧力を調節することと、
のうちの1つを行うように構成することができる。
【0036】
本発明は、流体媒体を用いて、工作機械、特に歯車加工機のスピンドルへのワーク又は工具の接触を監視する方法を更に提供する。スピンドルは、ワーク又は工具に対する支持面を有する。
本方法は、
少なくとも1つの測定ノズルを通して支持面から離れる方向に向かう流体流を生成することであって、流体流は、測定ノズルの上流で真空ノズルを通して導かれ、真空ノズルは、真空ノズルを通る流体媒体の流れによって、真空空間内に真空を発生させるように構成されることと、
真空空間内の測定圧力を測定することと、
測定圧力を考慮して、支持面に対するワーク又は工具の位置を確定することと、
を有する。
【0037】
本方法は、真空空間における測定圧力が、支持面上にワーク又は工具がない場合、負の値に達するように実行されることが好ましい。
【0038】
上述したように、本方法は、コントローラーによって実行することができ、コントローラーは、測定圧力の影響を受けた信号を受信し、コントローラーは、受信した信号を考慮して、ワーク又は工具の位置を確定する。また、コントローラーは、必要に応じて、真空ノズルの上流の供給圧力を確定し、供給圧力も考慮してワーク又は工具の位置を確定することができる。
【0039】
測定圧力の影響を受ける信号は、コントローラーに無線で送信することができることが有利である。このことは、供給圧力に対する信号にも当てはまる。特に、それぞれの信号は、受動的RFIDトランスポンダーによって送信することができる。
【0040】
本方法は、更なる圧力ポートを通して導入される流体を用いて、真空ノズル及び測定ノズルをパージすることを更に含むことができる。
【0041】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下に記載する。図面は、単に説明のためのものであり、限定として理解すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、歯車がクランプされた、接触監視装置を備えるクランプ装置の正面図を示す。切抜き部Aにおいて、クランプ装置及び歯車が中央長手方向断面において示されている。
図1a図1aは、切抜き部Aの拡大図を示す。
図2図2は、従来技術に係る接触監視装置における測定距離bに対する測定圧力の関係の例示的な図を示す。
図3図3は、本発明に係る接触監視装置における測定距離bに対する測定圧力の関係の例示的な図を示す。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る接触監視装置の象徴的な図を示す。
図5図5は、本発明の第2の実施形態に係る接触監視装置の象徴的な図を示す。
図6図6は、本発明の第3の実施形態に係る接触監視装置の象徴的な図を示す。
図7図7は、本発明の第4の実施形態に係る接触監視装置の象徴的な図を示す。
図8図8は、図5の原理に従って動作する、本発明に係る接触監視装置を通る中央長手方向断面図を示す。
図9図9は、本発明に係る接触監視装置を伴う歯車加工機におけるワーク及び工具の概略図を示す。
図10図10は、切抜き部Bを有するワークスピンドルの詳細図を示す。
図10a図10aは、図10における切抜き部Bの拡大詳細図を示す。
図11図11は、切抜き部Cを有するワークスピンドルの詳細図を示す。
図11a図11aは、図11における切抜き部Cの拡大詳細図を示す。
図12図12は、切抜き部Dを有する研削スピンドルの詳細図を示す。
図12a図12aは、図12における切抜き部Dの拡大詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面において、同じ参照符号は、同じ又は同様の領域、圧力、機能要素、又は更なる要素に用いられる。
【0044】
機能原理
図1及び図1aにおいて、ワーク1は、自動ワーククランプ装置2に配置された歯車の形態で示されている。歯車1は、図1における底部に設けられた面に、平坦な前面を有する。歯車1のこの前面がクランプ装置2の支持面3に載る。支持面3は、ワーク1の位置に対する基準面としての役目を果たす。支持面3とワークの前面との間には、測定スリットbが形成される。支持面3には、1つ以上の、好ましくは3つの測定ノズル4が形成される。測定ノズル4には、概略的に示されている圧力ポート10aを介して、供給圧力p1で加圧空気が提供される。
【0045】
そのような空気圧構成の場合、従来技術では、ワークが測定ノズルからの加圧空気の放出を防ぐ結果として発生する測定ノズル内の動圧が、ほとんどの場合、直接又は間接的に求められる。図2は、測定スリットbのサイズに対する測定ノズル内の測定圧力p2の関係を例示的に示している。測定圧力は、供給圧力及び測定スリットの大きさの関数である。すなわち、p2=f(p1,b)。測定スリットが非常に大きい場合(本例では、例えばb>1mm)、ワークを通る測定ノズルからの加圧空気の放出は、顕著には妨げられない。ワークによって生じる動圧は、無視できるほど小さく、測定ノズル内の測定圧力p2は、閾値pminに対応する。しかしながら、ワークが測定ノズルを完全に閉鎖すると(b=0)、動圧は最大に達し、測定ノズル内の測定圧力p2は、供給圧力p1に対応する。
【0046】
絶対圧p2を測定する代わりに、圧力差Δp=p1-p2を測定することもできる。したがって、これもまた供給圧力p1及び測定スリットbの関数を示す。圧力差Δpは、ワークが測定ノズルからの加圧空気の放出を妨げない場合に最大に達する。すなわち、Δpmax=p1-pmin。圧力差Δpは、ワークが測定ノズルを完全に閉鎖する場合にゼロになる。最大圧力差Δpmaxは、ワークの存在に起因した最大の圧力変化に対応する。最大圧力差Δpmaxは、利用可能な測定範囲のサイズを規定する。図2の例では、最大圧力差は、供給圧力p2=1.6barの場合、Δpmax≒0.5barである。
【0047】
実際、最大圧力差Δpmaxは、多くの場合、供給圧力に僅かにしか依存しないことがわかっている。例として、図2の例において、例えば供給圧力p1=0.8barの場合でも、最大圧力差は、約0.5barであることがわかっている。従来技術に係る測定原理を用いると、本例では、測定範囲のサイズは、供給圧力の大きさとは実質的に無関係に、常に約0.5barである。
【0048】
この測定範囲が拡大される場合、これは、はるかに高い供給圧力及び/又は高流量でのみ達成することができる。しかしながら、より高い供給圧力は、比較的小さく軽いワークを押しやることになり、確実な当接が達成されなくなる。流量の増加は、経済的な理由から棄却される。
【0049】
これに対して、本発明では、真空ノズルの真空空間において圧力p3の(絶対又は相対)測定が行われる。図3は、測定スリットbのサイズに応じたこの圧力の推移を例示的に示している。測定スリットが完全に閉鎖している場合(b=0)、空気流は真空ノズルを通らない。したがって、真空ノズル内で測定される圧力は、供給圧力p1に対応する。測定スリットが完全に開放している場合(本例では、b>1mm)、空気は、妨げられることなく真空ノズルを通って流れることができる。この結果、ベルヌーイの原理に起因して、真空ノズル内に真空が生じ、この真空は、本例では、最大で、pmin≒-0.9barの圧力最小値に達する。この例では、最大圧力差Δpmaxは、Δpmax=p1-pmin≒1.6bar-(-0.9bar)=2.5barである。測定範囲の大きさは、約2.5barであり、したがって、従来技術に係る測定原理の場合の約5倍である。ただし、ここでは、測定範囲は、供給圧力p1に強く依存する。測定範囲は、供給圧力が大きくなるにつれて大きくなる。したがって、供給圧力の精密な監視又は少なくとも確定が、ここでは特に重要である。
【0050】
具体的な実施形態
図4図7において、本発明に係る接触監視装置の4つの異なる実施形態が、例として非常に概略的かつ象徴的に示されている。
【0051】
図4の第1の実施形態では、動作圧力p0を有する圧力ポート9aが、圧力レギュレーター5に接続される。圧力レギュレーター5は、規定の供給圧力p1をもたらす。供給圧力は、0.8bar~1.6barの範囲にあることが好ましい。圧力ライン9bを介して、加圧空気が供給圧力p1で真空ノズル7に供給される。真空ノズルは、真空空間9c(図4に象徴的にのみ示されている)と連通し、真空空間9cは、圧力センサー6に接続される。圧力センサー6は、絶対圧センサー又は差圧センサーとすることができる。差圧センサーの場合、特に、供給圧力p1と真空空間9c内の圧力p3との間の圧力差を測定することができる。測定ライン10aを介して、真空ノズル7から放出される加圧空気が少なくとも1つの測定ノズル4に達し、3つの測定ノズル4は、クランプ装置2の環状支持面3において周方向に沿って等しく分布することが好ましい。
【0052】
加圧空気は、放出圧力p4で各測定ノズル4を通って流れる。流量及び放出圧力p4は、支持面3に対するワーク1の位置、具体的には測定スリットbのサイズに依存する。真空ノズル内では、上述したように、加圧空気の流れを通して真空が発生し、真空ノズル内の真空の量は、測定スリットbのサイズに強く依存する。圧力センサー6を用いて真空空間9cにおける圧力を求めることにより、測定ノズルにおいて放出される流量、ひいては測定スリットbのサイズを、真空ノズル内の圧力p3の測定によって間接的に求めることができる。ここで、最大真空は、ワークが支持面までの測定距離に存在しないことを示す。しかしながら、ワーク1が測定ノズル4を完全に閉鎖している場合、加圧空気はこれ以上流れることができない。この場合、p3=p4=p1であり、すなわち測定圧力p3は、供給圧力p1に対応し、また、放出圧力p4は、供給圧力に対応する。ワーク1の当接を確定するために、p1に近い正の圧力値をスイッチ点として設定することができる。
【0053】
図4に示されている全ての単一の要素5、6、7、9b、及び9cは、共通の機能ユニット14aとして組み立てることができ、回転スピンドルの固定基部において用いることができる。一方、測定ノズル4は、スピンドルの回転可能な部分に位置する。次に、加圧空気は、測定ライン10a及び図示されていない市販の回転ジョイントを介してそれぞれの測定ノズル4にガイドされる。
【0054】
図5では、本発明に係る接触監視装置の第2の実施形態が示されている。この実施形態は、更なる圧力ポート9dを用いてパージ機能を実現する点で、第1の実施形態とは異なる。機能ユニット14a全体のパージのために、加圧空気が、供給圧力よりも高い圧力で、特に、圧力レギュレーターの入口に加わる完全な動作圧力p0で、更なる圧力ポート9dから真空ノズル7の入口に導入される。加圧空気は、真空ノズル7、測定ライン10a、及び測定ノズル4を清掃するために、これらの構成要素を通って流れる。逆止弁8により、パージ中に、更なる圧力ポート9dによって導入される加圧空気が、通常の圧力ポート9aを通して放出されることを防ぎ、また、通常の測定動作中、通常の圧力ポート9aによって導入される加圧空気が、更なる圧力ポート9dを通って放出されることを防ぐ。
【0055】
本発明に係る接触監視装置の第3の実施形態が、図6に示されている。真空ノズルは、事前に作製される真空ノズルカートリッジ7a内に具現される。ここでは、真空ノズルカートリッジ7a及び対応する圧力センサー6が、機能ユニット14aの外側の回転するスピンドル上に配置される。一方、圧力レギュレーター5を備える縮小された機能ユニット14aは、固定基部にとどまり、供給圧力p1を有する較正された加圧空気を、回転ジョイントを介して回転スピンドルに提供する。そこから、加圧空気が真空ノズルカートリッジ7aに達し、少なくとも1つの測定ノズル4に更に達する。圧力レギュレーター5の真空ノズルカートリッジ7aへの距離がより大きいため、第2の圧力センサー6が、供給圧力p1の精密な測定のために、圧力レギュレーター5のすぐ上流に設けられる。当然ながら、この実施形態にも、必要に応じて、図5に係るパージ機能を与えることができる。
【0056】
図7において、本発明に係る接触監視装置の第4の実施形態が示されている。固定基部における縮小された機能ユニット14aの他に、小さくコンパクトな第2の機能ユニット14bが回転スピンドル上に配置される。この機能ユニット14bは、少なくとも1つの測定ノズル4のすぐ上流に配置され、短い測定ライン10aを介して各測定ノズルに接続される。真空ノズルは、微小設計で、又はここでも事前に形成される真空ノズルカートリッジ7aとして実現することができる。真空空間9cは、気密接続ライン、例えば短いボアを介して、遠隔の圧力センサー6に接続される。非常にコンパクトなセンサーを圧力センサー6として用いることができる。コントローラーと無線接続する現行の圧力センサーが、この目的では好適であることが有利である。しかしながら、より多くの空間を必要とする圧力レギュレーター5、及び動作圧力p0用の圧力ポート9aは、制約の少ない回転スピンドルの固定基部における設置空間に配置される。次いで、較正された加圧空気p1は、圧力レギュレーター5により、図示されていない市販の回転ジョイントを介して機能ユニット14bに提供される。この実施形態の利点は、一方では真空ノズルと測定ノズル4との間の距離、及び他方では真空ノズルの真空空間9cと対応する圧力センサーとの間の距離を、非常に短く実現することができることである。それにより、非常に短い測定時間が可能になる。
【0057】
図4図7に係る全ての実施形態の更なる選択肢は、或る特定の制約を有することができる。
-圧力センサー6の代わりに、電子的に数値評価する必要がなく、よりコスト効果的な圧力スイッチを使用することもできる。
-圧力p1が真空ノズル7の上流で測定され、それに応じてその数値評価を考慮に入れる場合、先行の圧力レギュレーター弁5は不要とすることができる。特に、圧力レギュレーター5の代わりに、比例減圧弁又は調整可能な若しくは固定された減圧弁を用いることもできる。
【0058】
機能ユニットの実施形態
図8は、図5に係る一実施形態における完全な機能ユニット14aを示している。この実施形態は、市販の要素を用いて組み立てることができ、また、様々な用途において標準としてコスト効果的に用いることができる。
【0059】
圧力レギュレーター5は、基体上に形成される。圧力ライン9bは、基体におけるボアの形態で実現される。真空ノズルは、事前形成された真空ノズルカートリッジ7aとして形成され、このカートリッジは、流れの方向に抗して基体の対応するボアに挿入される。真空空間9cは、基体の流れの方向に対して垂直に延在するボアとして形成され、このボアは、真空ノズルカートリッジ7aの真空ポートに接続する。圧力センサー6は、このボアに接続される。逆止弁8が基体に螺合される。圧力ポート9a、9dが逆止弁8に形成される。
【0060】
歯車加工機における使用
図9において、歯車加工機20における本発明に係る接触監視装置の使用が、概略的かつ例示的に示されている。ワークスピンドル15が機械ベッド19上に配置される。図示されていない機械スタンド上に、工具スピンドル16が配置される。各場合において、図8に係る機能ユニット14aが、ワークスピンドル及び工具スピンドルに割り当てられる。機能ユニットは、ワークスピンドル上のワーク1又は工具スピンドル上の工具11の存在を確定する機能を果たす。機械の様々な機能は、機械コントローラー17を介して制御される。制御パネル18が、歯車加工機を動作させる機能を果たす。
【0061】
較正
異なるワークバッチを処理する場合、ワーク1とクランプ手段2との間の放出条件は変化し得る。したがって、工具タイプとクランプ手段との各組合せに対して別個の較正を行う必要がある場合がある。これに関して、ワーク自体は、通常、公差、例えば、前面の異なる粗さ等級並びに形状及び位置の公差を有するため、測定の許容可能な公差範囲を確定することは合理的であり得る。
【0062】
以下、可能な較正プロセスが記載される。このために、通常、例えば、制御パネル18においてp1=1.6bar等の規定値を入力することによって、圧力p1を最初に確定する。CNCコントローラー17を用いて、この値を、圧力レギュレーター5において自動的に設定することができる。圧力センサー6における第1の測定値p3の測定は、クランプ装置2上にワーク1を固定することによって行われ、このワーク1は、このクランプ装置2の基準面3に完全に当接する。圧力センサー6の電気出力信号が、CNCコントローラー17に送信され、CNCコントローラー17に記憶され、必要に応じて、制御パネル18上において手動で確認される。この場合、この測定値p3は、圧力p1に等しいか又は圧力p1に近似する。圧力センサー6における第2の測定値p3の確定は、クランプ装置2の基準面3とワーク1における平行な支持面との間に好適な距離ゲージ12を配置することによって行われる。上記距離ゲージの高さは、許容可能な最大測定距離bに対応する。圧力センサー6のこの第2の電気出力信号もCNCコントローラー17に送信され、CNCコントローラー17において第1の測定値p3と同様に処理される。ユーザーは、この場合では通常、真空範囲にあるこの圧力p3を、制御パネル18から直接読み取ることもできる。
【0063】
測定動作に関する更なる考察
測定動作に関するいくつかの更なる考察を以下に要約する。以下に記載される全ての手段は、別個に実現することも一緒に実現することもできる。
【0064】
測定動作中、各圧力レギュレーター5及び圧力センサー6の電気出力信号は、所定の規則に従ってCNCコントローラー17によって評価することができ、制御パネル18を介して変更することができる。制御パネル18上にマルチタッチモニターを使用することによって、圧力値p1及びp3のインタラクティブ表示を容易にすることが好ましい。これらの圧力は、図3に示されている図と同様に視覚的に示すことができる。ユーザーは、必要に応じて、マルチタッチモニターを介して、各第2の又は更なる測定値に、個別に規定された公差を割り当てることができる。すなわち、ユーザーは、これらの測定値を、実地試験データに関して評価することができ、及び/又はこれらの測定値に対して限界値及びオフセットを割り当てることができる。必要に応じて、固定値又は限界値に、割り当てられた公差を与えることができ、許容可能な測定範囲を割り当てることができ、又はスイッチ点を規定することができる。これらの設定は、ユーザーの手動介入なしで、CNCコントローラー17を介して有効にすることができる。したがって、機能ユニット14aには、メンテナンス作業の場合にのみアクセスが可能であることが保証されなければならない。
【0065】
CNCコントローラー17を介して、個々のワーク1の測定値データを記録し、その測定値データを対応するワークバッチに割り当てることが更に可能である。繰り返し用いられるワーク1の場合、測定距離bに関する測定値は、CNCコントローラー17内にパラメーターセットとして保存することができる。同じワークを再び製造する場合、これらのパラメーターセットを再取得し、このために用いることができる。これは、データのログ記録及び/又は基準パラメーターセットの記憶により可能になる。同じバッチの更なるワーク1が基準面3上に配置される場合、現在の測定値p3が、測定距離bの記憶された公差範囲と自動的に比較される。それにより、クランプ手段2及びワーク1の既知の組合せの場合、比較値を容易に再取得し、用いることができる。測定値が許容可能な公差範囲外にある場合、制御パネル18上にその偏差を示すことができ、及び/又はCNCコントローラー17により、対応する補正手段を始動することができる。さらに、圧力p1及びp3の許容外の偏差、並びに確定された測定距離bを監視することができる。それにより、この方法は、プロセスデータの収集、製造プロセスの追跡可能性及び再現性、並びにプロセスの安全性の保証に大きく寄与する。
【0066】
制御パネル18を伴う本CNCコントローラー17へのこの特に優れた統合機能により、加圧空気の調節、測定空気の遮断、電気測定信号の増幅、視覚化によるコントローラー機能、及び特に効果的なパージ機能の実現等の更なる特別な機能を提供することができる。
【0067】
したがって、総じて、回転するスピンドル15、16への接触を監視する装置の迅速でコンパクトかつ精密な実施形態を実現することができる。
【0068】
更なる機能:距離の測定、動圧の測定、流れの測定、流れの調節、圧力の調節
上述したような装置を用いると、大きな変化を加えることなく更なる機能を実現することができる。特に、そのような装置は、最小距離、動圧、又は流量の測定、及び流量又は圧力の調節に用いることができる。
【0069】
例えば、研削スピンドル16の動作中、熱による変化が生じ、これは、このスピンドル16の長さの小さな変化につながり、また、処理中のワーク1における誤差をもたらす可能性がある。研削スピンドル16における固定基部に対するこれらの小さな長さ変化は、上述の装置を用いる距離の空気圧測定によって検出することができ、コントローラー17を介して補正することができる。
【0070】
これらの測定方法において、較正のために、測定距離b全体がティーチングプロセス(teach process)においてスキャンされ、較正圧力p1の他に、測定圧力p3が、少なくとも5つの既定の距離ステップにおいてコントローラー17に送信され、関連する測定距離bに割り当てられることが好ましい。このために、歯車加工機20の始動中、又は、ワーク及びクランプ手段の交換中、ワーク1と基準面3との間に対応する段階的高さを有する距離ゲージ12が、クランプ装置2に挿入される。非線形圧力曲線p3が、使用性を向上するとともに、コントローラー17を用いて圧力値をより精密に設定するように線形化される。
【0071】
測定カーブ及び現在の測定圧力p3に基づいて、コントローラー17は、それぞれの測定距離b、それぞれの動圧、及びそれぞれの流量を計算し、それらを必要に応じて制御パネル18に送信する。さらに、各機能ユニット14aについて、図3と同様の測定カーブを制御パネル18上に視覚的に示すことができ、その測定カーブを比較のためにコントローラー17に記憶することができる。測定距離b全体のスキャン、種々のデータの線形化及び計算による確定は、全ての実施形態及び用途について実現されることが好ましい。
【0072】
歯車加工機20において、通常、油分を含まないシール空気によって動作する光学測定装置が使用されることが多い。測定装置あたりの空気の必要量は、通常、7L/分~10L/分であり、通常1barの供給圧力で動作する。したがって、例えば、光学測定装置を備える歯車加工機において、油分を含まないシール空気を約80L/分で8つのNC軸に提供し続けなければならない。この空気量を与え続けることは、無視できないコスト要因となる。したがって、ちょうど必要量のシール空気のみを提供することが望ましい。上述した種類の装置は、流れ調節の目的で機能することができる。
【0073】
シール空気は、高速で回転するワーク及び工具スピンドルを安全にシールするのにも必要である。しかしながら、このためには油分を含む空気も使用することができる。圧力及び空気量は、スピンドルのサイズに応じて調整される。ここでも、このシール空気は、ちょうど必要量でのみ提供されることが同じく理想的である。この場合も、上述した種類の装置は、流れ調節の機能を果たすことができる。
【0074】
流れ調節のためにそのような装置を用いる場合、真空ノズルの上流に配置された比例減圧弁によって圧力センサー6における圧力p3を調節することで、一定量の加圧空気が保証される。それにより、圧力p1は、圧力センサー6において常に所望の流量に比例する一定の圧力p3が検出されるように調節される。この調節は、コントローラー17によって行うことができる。
【0075】
装置の様々な使用可能性が、測定ライン10a、10b、10c、10d、10eによって図9に概略的に示されている。測定ライン10aは、接触監視装置を示し、測定ライン10bは任意の距離測定を示し、測定ライン10cは任意の動圧測定を示し、測定ライン10dは任意の流れ測定を示し、測定ライン10eは任意の流れ調節を示す。
【0076】
微小設計の実施形態
図10及び図10aは、図7に係る微小設計の接触監視装置の実現形態を示している。微小機能ユニット14bは、クランプ手段2におけるワークスピンドルの回転領域に配置される。微小機能ユニット14bは、真空ノズルカートリッジとして形成される。微小機能ユニット14bは、ジェットノズル7及び収集ノズル7の形態の2つのノズル部材を備える。図示されていない圧力レギュレーター5が、ワークスピンドル15の固定基部に締結される。圧力p1を有する加圧空気は、そこから、図示されていない回転ジョイントを介して圧力ポート9bに提供され、引き続きそこからジェットノズル7に提供される。ジェットノズルは、進入する加圧空気を大幅に加速させるように連続的なテーパーを有する。ジェットノズルは、チャンバー内に開口し、このチャンバーは、クランプ手段2におけるボアの形態で真空空間9cと連絡している。真空空間9cにおいて、図示されていない圧力センサーが配置される。ジェットノズル7から放出された気体は、高速で収集ノズル7に達する。収集ノズル7内で、気体は、更なる連続的なテーパーを通って、緩やかに拡大する放出領域にガイドされ、それにより、気体流は再び減速する。気体は、そこから直径dを有する測定ノズル4に引き続き流れる。ジェットノズル7及び収集ノズル7は、微小機能ユニット14bの共通のハウジング内に収納される。微小機能ユニット14b全体は、ワークスピンドルのクランプ手段2のボア内に更なるシール13を介して気密に保持される。
【0077】
接触監視装置の較正のために、様々な厚さを有する距離ゲージ12を用いて、規定のサイズbを有する測定スリットを得ることができる。
【0078】
図11及び図11aでは、必要に応じて、測定ノズル4は、基準面3に対して量cだけ下がっている。この実施形態では、ワーク1の当接は、機能ユニット14bを通ってちょうど規定の流量が流れる場合に検出される。
【0079】
図12及び図12aは、工具スピンドル16における本発明に係る接触監視装置の使用を示している。工具スピンドルにおいて、ここでは回転研削ディスク11の形態の回転加工工具がクランプされる。研削ディスク11の接触監視は、図10図10a、図11、及び図11aの実施形態におけるワーク1の接触監視と同様に行われる。対応する上述の記載が参照される。
【0080】
ここでも、異なるタスクを有する測定ライン10a、10b、10c、10d、10eによって、更なる使用可能性が示されている。ここで示されている異なる種類の測定について、図9に関する上述の記載が参照される。
【0081】
圧力センサー及び信号送信に関する考察
図示されていない圧力センサー6に関して、全ての実施形態において、例えば、CNCコントローラー17に無線で接続することができる小さなセンサーを使用することができる。ここでは、無線信号送信は、例えば、既知の近距離無線通信(略してNFC)又はRFID技術によって行うことができる。(好ましくは受動的)RFID圧力トランスポンダーが無線圧力確定に用いられる場合、RFID圧力トランスポンダーは、例えば、金属スピンドル15において、RFID技術によって安全な信号送信を介してCNCコントローラー17に接続することができる。対応する信号送信の概念は、国際公開第2015/036519号に広範に記載されている。この国際公開の開示は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。この実施形態の場合、最小の公差のために非常に魅力的な価格の解決策を提供することができる。
【0082】
利点
要約すると、図示の実施形態は、特に以下の特徴及び利点を有する。これらの特徴及び利点は、別個で又は組み合わせて実現することができる。
-測定範囲は、空気圧信号強化に起因して、従来技術に比べてはるかに大きい。
-空気式接触監視及び距離測定は、汚染に強く、高速で機能し、0.01mm未満の測定スリットを確実に検出し、非常に高い再現性を有し、ワークの確実な係合を認識する。
-装置は、標準設計(機能ユニット14aと同様)又は微小設計(機能ユニット14bと同様)で実現することができる。
-ワークの接触監視の他に、図示の装置は、距離の測定、動圧及び流量の測定、並びに圧力及び流量の調節等の更なる用途にも用いることができる。
-加圧空気の代わりに、別の気体又は液体を流体として用いることもできる。
【符号の説明】
【0083】
1 ワーク
2 クランプ装置
3 基準面
4 測定ノズル
5 圧力レギュレーター
6 圧力センサー
7 真空ノズル
7a 真空ノズルカートリッジ
7b 収集ノズル
7c ジェットノズル
8 逆止弁
9a 動作圧力p0用の圧力ポート
9b 較正圧力p1用の圧力ライン
9c 真空空間
9d パージ機能用の圧力ポート
10a 接触を監視するための測定ライン
10b 距離を測定するための測定ライン
10c 動圧の測定するための測定ライン
10d 流れの測定するための測定ライン
10e 流量を調節するための測定ライン
11 工具
12 距離ゲージ
13 シール
14a 機能ユニット
14b 微小機能ユニット
15 ワークスピンドル
16 工具スピンドル
17 CNCコントローラー
18 制御パネル
19 機械ベッド
20 歯車加工機
A~D 図面内詳細図又は断面図又は切抜き部
b 測定スリット
c 測定ノズル用の凹部測定
d 測定ノズル用の直径
p0 動作圧力
p1 供給圧力
p2 測定圧力
p3 測定圧力
p4 放出圧力
pmin 最小測定圧力
Δpmax 最大圧力差

図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図10a
図11
図11a
図12
図12a