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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】分光光度計較正方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/06 20060101AFI20230818BHJP
   G01J 3/18 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
G01J3/06
G01J3/18
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020559477
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 IB2019053318
(87)【国際公開番号】W WO2019207465
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-13
(31)【優先権主張番号】2018901361
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2018904139
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ディアス,デイヴィッド
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-505555(JP,A)
【文献】特開2000-136965(JP,A)
【文献】特開平08-062126(JP,A)
【文献】特開2004-163126(JP,A)
【文献】米国特許第05880823(US,A)
【文献】特開2018-009457(JP,A)
【文献】特開平11-352057(JP,A)
【文献】特開2008-298776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 4/04
G01J 7/00 - G01J 9/04
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光計のモノクロメータが、横方向又は軸方向に整列した電極を有するショートアーク希ガスフラッシュランプであるフラッシュランプからの光を受けることと、
前記受けた光を、選択された波長範囲の複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に送信するように前記モノクロメータを構成することであって、ここで、前記波長範囲は前記フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルによる波長特徴に関連し、前記波長特徴は自己吸収特徴である、構成することと、
スペクトルが前記複数の波長のそれぞれの波長についての対応するパワー又は強度の値を含むように、前記フラッシュランプのスペクトルを決定することと、
前記フラッシュランプに関連する所定の参照スペクトルのセグメントと前記スペクトルを比較することによって、前記波長特徴について第1の波長較正誤差値を決定することであって、ここで、前記所定の参照スペクトルの前記セグメントは前記自己吸収特徴に関連する1つ以上の波長を含むものである、決定することと、
前記第1の波長較正誤差値に基づいて分光光度計を較正することと
を含む、フラッシュランプを備える分光光度計を較正する方法。
【請求項2】
前記波長範囲は、前記フラッシュランプの前記既知のスペクトルプロファイルからの前記自己吸収特徴に関連する波長を実質的に中心とするように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つ以上の更なる波長較正誤差を決定することと、
前記第1の波長較正誤差値及び前記1つ以上の更なる波長較正誤差に基づいて前記分光光度計を較正することと
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上の更なる波長較正誤差を決定することは、
選択された更なる波長範囲の更なる複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に前記受けた光を送信するように前記モノクロメータを構成することであって、前記更なる波長範囲は前記フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルによる更なる波長特徴に関連するものである、構成することと、
前記更なる複数の波長のそれぞれの波長についての対応するパワー又は強度値を含む、前記フラッシュランプの更なるスペクトルを決定することと、
前記フラッシュランプに関連する所定の参照スペクトルの更なるセグメントと前記更なるスペクトルを比較することによって、前記更なる波長特徴について更なる波長較正誤差値を決定することであって、前記所定の参照スペクトルの前記更なるセグメントは前記更なる波長特徴に関連する1つ以上の波長を含むものである、決定することと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記更なる波長特徴は、(i)更なる自己吸収特徴及び(ii)発光特徴のうちの1つ以上を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
正誤差値及び関連する波長の複数のペアを選択することであって、ここで、該複数のペアは、前記第1の波長較正誤差値及び前記1つ以上の更なる波長較正誤差のうちの少なくとも2つを含む、選択することと、
記較正誤差値及び関連する波長の複数のペアを最小2乗2次曲線に当てはめて、前記最小2乗2次曲線の表現方程式についてのパラメータ値を決定することと、
前記決定されたパラメータ値を使用して前記表現方程式からある特定の波長について前記波長較正誤差値を決定することと
を更に含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記表現方程式は、
δλ = Eλ2 + Fλ
であり、ここで、δλは波長較正誤差であり、λは関連する波長であり、E及びFはパラメータ値である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ある波長特徴について前記第1の波長較正誤差値を決定することは、
前記決定されたスペクトルから複数のオフセットスペクトルを決定することであって、ここで、各オフセットスペクトルはある対応するオフセット値に関連する、決定することと、
前記複数のオフセットスペクトルのそれぞれと、前記所定の参照スペクトルの前記セグメントとの間の相関を示す複数の相関値を決定することと、
相関値及び対応するオフセット値の複数のペアの少なくともサブセットの表現相関曲線に対する最良当てはめを決定して、前記表現相関曲線について相関パラメータ値を決定することと、
前記決定された相関パラメータ値に基づいて波長特徴について前記波長較正誤差値を決定することと
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記決定された複数の相関値の最大相関値を決定し、オフセット値と相関値の複数のペアの前記サブセットを前記最大相関値にセンタリングすることを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記オフセットスペクトルは前記決定されたスペクトルのあるバージョンを含み、ここで、前記波長はオフセット値によってシフトされている、請求項8又9に記載の方法。
【請求項11】
前記モノクロメータは、前記分光光度計の前記モノクロメータの少なくとも回折格子の回転角度を漸進的に変更することによって、光を前記複数の波長のそれぞれの波長で送信するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記分光光度計を較正することは、前記第1の波長較正誤差値に基づいて回転角度調整値を決定し、前記回転角度調整値によって前記分光計の前記モノクロメータの前記回折格子の回転角度を調整することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フラッシュランプはキセノンガスを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記受けた光を、選択された波長範囲の複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に送信するように前記モノクロメータを構成することは、比較的に高い分解能でスキャンするように前記モノクロメータを構成することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記選択された範囲の複数の波長の少なくとも幾つかの波長は、約0.05nm~約0.5nmの範囲内の波長で離間する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
フラッシュランプを備える分光光度計を較正する方法であって、
分光計のモノクロメータが、横方向又は軸方向に整列した電極を有するショートアーク希ガスフラッシュランプであるフラッシュランプからの光を受けることと、
前記受けた光を、選択された波長範囲の複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に送信するように前記モノクロメータを構成することであって、ここで、前記波長範囲は前記フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルによる波長特徴に関連し、前記波長特徴は自己吸収特徴である、構成することと、
前記複数の波長のそれぞれの波長についての対応するパワー又は強度の値を含むものである、前記フラッシュランプのスペクトルを決定することと、
前記決定されたスペクトルの前記自己吸収特徴を反転ピークとして考慮することと、
前記反転ピークのピーク中心を評価することと、
前記評価されたピーク中心に基づいて前記分光光度計を較正することと
を含む、方法。
【請求項17】
横方向又は軸方向に整列した電極を有するショートアーク希ガスフラッシュランプと、
前記フラッシュランプから光を受け、或る波長範囲からの複数の選択された波長のそれぞれの波長において漸進的に光を送信するように配置されたモノクロメータと、
記複数の選択された波長のそれぞれの波長についての対応する強度値を検出するように配置された検出器と、
プロセッサ及び記憶媒体を備えるコンピューティングデバイスと
を備え、前記プロセッサは、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法を分光光度計に実施するための、前記記憶媒体上に記憶された命令を実行するように構成されている、分光光度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的に、分光光度計較正方法及びシステムに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年4月24日に出願された「Spectrophotometer calibration methods and systems」という名称のオーストラリア仮特許出願第2018901361号からの優先権を主張し、その全体の内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0003】
本出願は、2018年10月31日に出願された「An optical apparatus having independent grating drives」という名称のオーストラリア仮特許出願第2018904139号からの優先権を更に主張し、その全体の内容は、同様に引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0004】
分光光度計は、関心の材料又は物質(例えば、分子、元素、又は化合物)、すなわち分析物質(analyte)の存在を特定する又はその濃度を決定する試料の分析のために使用される機器である。分光光度計は、紫外(UV)、可視、又は赤外(IR)範囲内の光の形態の電磁エネルギーを発生源から試料に向けるように構成される。例えば、UV-可視分光法の方法は、試料をUV-可視範囲の光に曝露する。試料との相互作用に続く結果として得られる光の特性(例えば、試料によって、透過された、吸収された、散乱された、又は放射された光強度及び/又は光の波長)を測定することによって、分析物質のタイプ又は分析物質の量を評価することができる。例えば、試料に関連する光学吸収量を、分析物質濃度に関連させることができる。
【0005】
フラッシュランプは、フラッシュランプが、通常、一様に明るくかつスペクトル的に広い発光をするため、分光法を実施するための光源としてしばしば使用される。フラッシュランプは、電気アークを生成するために電流パルスがそこを通して流される、ガスのエンベロープ内に収容される一対又はペアの対向する放電電極を備える、ガス充填式電気アークランプの一タイプである。電気放電期間中、アークの体積の内部のガスは、加熱され、イオン化されて、プラズマを生成する。アークから放射される光は、励起された原子及びイオンからの離散的放射と電極間のホットプラズマからの広帯域放射との混合物である。
【0006】
分光光度計は、一般に、正確な波長及びスペクトル帯域幅測定値を確実に得るために較正を必要とする。一般に、分光光度計で日常的に使用される光源と異なる光源が、較正のために使用される。例えば、水銀アークランプは、それが生成する輝線の数及び明瞭さのために、較正のために時として使用される。
【発明の概要】
【0007】
幾つかの実施の形態は、フラッシュランプを備える分光光度計を較正する方法に関し、該方法は、分光計のモノクロメータが、横方向又は軸方向に整列した電極を有するショートアーク希ガスフラッシュランプであるフラッシュランプからの光を受けることと、前記受けた光を、選択された波長範囲の複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に送信するように前記モノクロメータを構成することであって、ここで、前記波長範囲は前記フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルによる波長特徴に関連し、前記波長特徴は自己吸収特徴である、構成することと、スペクトルが前記複数の波長のそれぞれの波長についての対応するパワー又は強度の値を含むように、前記フラッシュランプのスペクトルを決定することと、前記フラッシュランプに関連する所定の参照スペクトルのセグメントと前記スペクトルを比較することによって、前記波長特徴について波長較正誤差値を決定することであって、ここで、前記所定の参照スペクトルの前記セグメントは前記自己吸収特徴に関連する1つ以上の波長を含むものである、決定することと、前記波長較正誤差値に基づいて分光光度計を較正することとを含む。
【0008】
前記波長範囲は、前記フラッシュランプの前記既知のスペクトルプロファイルからの前記自己吸収特徴に関連する波長を実質的に中心とするように選択することができる。
【0009】
幾つかの実施の形態では、方法は、1つ以上の更なる波長較正誤差を決定することと、前記第1の波長較正誤差値及び前記1つ以上の更なる波長較正誤差に基づいて前記分光光度計を較正することとを更に含む。1つ以上の更なる波長較正誤差を決定することは、選択された更なる波長範囲の更なる複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に前記受信された光を送信するように前記モノクロメータを構成することであって、前記更なる波長範囲は前記フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルによる更なる波長特徴に関連するものである、構成することと、前記更なる複数の波長のそれぞれの波長についての対応するパワー又は強度値を含む、前記フラッシュランプの更なるスペクトルを決定することと、前記フラッシュランプに関連する所定の参照スペクトルの更なるセグメントと前記更なるスペクトルを比較することによって、前記更なる波長特徴について更なる波長較正誤差値を決定することであって、前記所定の参照スペクトルの前記更なるセグメントは前記更なる波長特徴に関連する1つ以上の波長を含むものである、決定することとを含むことができる。例えば、前記更なる波長特徴は、(i)更なる自己吸収特徴及び(ii)発光特徴のうちの1つ以上を含むことができる。
【0010】
幾つかの実施の形態では、前記方法は、較正誤差値及び関連する波長の複数のペアを選択することであって、ここで、該複数のペアは、前記第1の波長較正誤差値及び前記1つ以上の更なる波長較正誤差のうちの少なくとも2つを含む、選択することと、前記較正誤差値及び関連する波長の複数のペアを最小2乗2次曲線に当てはめて、前記曲線の表現方程式についてのパラメータ値を決定することと、前記決定されたパラメータ値を使用して前記表現方程式からある特定の波長について前記波長較正誤差値を決定することとを更に含む。
【0011】
例えば、前記表現方程式は、δλ=Eλ+Fλとすることができ、式中、δλは波長較正誤差であり、λは関連する波長であり、E及びFはパラメータ値である。
【0012】
幾つかの実施の形態では、ある波長特徴について前記波長較正誤差値を決定することは、前記決定されたスペクトルから複数のオフセットスペクトルを決定することであって、ここで、各オフセットスペクトルはある対応するオフセット値に関連する、決定することと、前記複数のオフセットスペクトルのそれぞれと、前記所定の参照スペクトルの前記セグメントとの間の相関を示す複数の相関値を決定することと、相関値及び対応するオフセット値の複数のペアの少なくともサブセットの表現相関曲線に対する最良当てはめを決定して、前記表現相関曲線について相関パラメータ値を決定することと、前記決定された相関パラメータ値に基づいて波長特徴について前記波長較正誤差値を決定することとを含む。
【0013】
幾つかの実施の形態では、前記方法は、前記決定された複数の相関値の最大相関値を決定し、オフセット値と相関値の複数のペアの前記サブセットを前記最大相関値にセンタリングすることを更に含む。前記オフセットスペクトルは前記決定されたスペクトルのあるバージョンを含み、ここで、前記波長はオフセット値によってシフトされている。
【0014】
幾つかの実施の形態では、前記モノクロメータは、前記分光光度計の前記モノクロメータの少なくとも回折格子の回転角度を漸進的に変更することによって、光を前記複数の波長のそれぞれの波長で送信するように構成される。
【0015】
幾つかの実施の形態では、前記分光光度計を較正することは、前記波長較正誤差値に基づいて回転角度調整値を決定し、前記回転角度調整値によって前記分光計の前記モノクロメータの前記回折格子の回転角度を調整することを含む。
【0016】
幾つかの実施の形態では、前記フラッシュランプはキセノンガスを含む。
【0017】
幾つかの実施の形態では、前記受けた光を、選択された波長範囲の複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に送信するように前記モノクロメータを構成することは、比較的に高い分解能でスキャンするように前記モノクロメータを構成することを含む。例えば、前記選択された範囲の複数の波長の少なくとも幾つかの波長は、約0.05nm~約0.5nmの範囲内の波長で離間することができる。
【0018】
幾つかの実施の形態は、フラッシュランプを備える分光光度計を較正する方法に関し、該方法は、分光計のモノクロメータが、横方向又は軸方向に整列した電極を有するショートアーク希ガスフラッシュランプであるフラッシュランプからの光を受けることと、前記受けた光を、選択された波長範囲の複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に送信するように前記モノクロメータを構成することであって、ここで、前記波長範囲は前記フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルによる波長特徴に関連し、前記波長特徴は自己吸収特徴である、構成することと、前記複数の波長のそれぞれの波長についての対応するパワー又は強度の値を含むものである、前記フラッシュランプのスペクトルを決定することと、前記決定されたスペクトルの前記自己吸収特徴を反転ピークとして考慮することと、前記反転ピークのピーク中心を評価することと、前記評価されたピーク中心に基づいて前記分光光度計を較正することとを含む。
【0019】
幾つかの実施の形態は、分光光度計に関し、該分光光度計は、横方向又は軸方向に整列した電極を有するショートアーク希ガスフラッシュランプと、前記フラッシュランプから光を受け、或る波長範囲からの複数の選択された波長のそれぞれの波長において漸進的に光を送信するように配置されたモノクロメータと、前記第1の複数の選択された波長のそれぞれの波長についての対応する強度値を検出するように配置された検出器と、プロセッサ及び記憶媒体を備えるコンピューティングデバイスとを備え、前記プロセッサは、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法を分光光度計に実施するための、前記記憶媒体上に記憶された命令を実行するように構成されている。
【0020】
本明細書全体を通して、用語「備える(comprise)」又は「備える(comprises)」若しくは「備えている(comprising)」等の変形は、述べた要素、完全体、若しくはステップ、又は、要素、完全体、若しくはステップの群の包含を示唆するが、任意の他の要素、完全体、若しくはステップ、又は、要素、完全体、若しくはステップの群の排除を示唆しないと理解されるであろう。
【0021】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、商品等のいずれの論述も、これらの事物の任意のもの又は全てが、従来技術のベースの一部を形成する、本出願の各請求項の優先日以前に存在するため、本開示に関連する分野において共通の一般的な知識であった、又は、理解されている可能性がある、関連すると見なされている可能性がある、若しくは、当業者によって組み合わされていると合理的に予想される可能性がある、ことの承認としては解釈されない。
【0022】
実施形態は、以下で簡潔に述べる添付図面を参照して、例として以下でより詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】分光光度計のブロック図である。
図2】幾つかの実施形態による、図1の分光光度計のモノクロメータの概略図である。
図3】キセノン充填式電気アークフラッシュランプの強度スペクトルのプロットである。
図4図3のスペクトルから選択された比較的狭い波長範囲の高分解能強度スペクトルのプロットである。
図5A】幾つかの実施形態による、図1の分光光度計を較正する方法のプロセスフロー図である。
図5B】幾つかの実施形態による、図1の分光光度計を較正する方法のプロセスフロー図の図5Aの続きである。
図6】幾つかの実施形態による、図5の方法のための波長較正誤差値を決定する方法のプロセスフロー図である。
図7A】強度に対する、公称波長の参照スペクトル上にプロットされた特徴波長のソーススペクトルに対応する参照スペクトルの例示的なセグメント、及び、公称角度位置を中心とする角度変位にわたって回折格子等の分散要素によって回折した実際の波長についての測定された光強度値の対応するセグメントを示す複数線グラフである。
図7B図7Aと同様の、参照スペクトルの更なる例示的なセグメント、及び、ソーススペクトルの異なる特徴波長についてのスキャンされたスペクトルの対応するセグメントを示す複数線グラフである。
図7C図7Aと同様の、参照スペクトルの更なる例示的なセグメント、及び、ソーススペクトルの異なる特徴波長についてのスキャンされたスペクトルの対応するセグメントを示す複数線グラフである。
図8】スキャンされたスペクトルと参照スペクトルとの間の種々の波長における測定された波長誤差(δλ)を示す散布図であり、散布図についての最良当てはめ曲線を提供する線グラフを更に示す。
図9】所与の波長を中心とする波長帯域にわたる予想される光強度スペクトルと、適用されたオフセットλoffsetを有する対応する波長を中心とする波長帯域にわたる測定された光強度スペクトルとの間の相関値「K」を示す散布図であり、散布図についての最良当てはめ曲線を提供する線グラフを更に示す。
図10A図7Aに示す特徴波長スペクトルセグメントについての予想されるオフセット値の範囲に対応する相関値「K」を示す線グラフである。
図10B図7Bに示す特徴波長スペクトルセグメントについての予想されるオフセット値の範囲に対応する相関値「K」を示す線グラフである。
図10C図7Cに示す特徴波長スペクトルセグメントについての予想されるオフセット値の範囲に対応する相関値「K」を示す線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
記述される実施形態は、フラッシュランプを使用して分光光度計を較正する方法に関する。輝線(emission lines)を示すことに加えて、フラッシュランプの出力スペクトルプロファイルが自己吸収特徴(ノッチ)も示すことが本発明者によって認識された。これらの自己吸収特徴は、フラッシュランプ内のガスの原子の低いエネルギーレベルに起因し、吸収を担うガスが発光を担うガスよりずっと冷たいため、吸収線は、比較的狭く、フラッシュランプの発光プロファイル内に位置する。特定のガスを含むフラッシュランプは既知のスペクトルプロファイルを有するため、フラッシュランプの発光プロファイル、特に、輝線の吸収特徴と、その特定のタイプのフラッシュランプについての既知のスペクトルプロファイルとの比較によって、分光光度計を較正することができる。
【0025】
分光光度計を較正するためにフラッシュランプを使用することによって、分光法を実施するために使用されるのと異なる光源(例えば、よく知られているスペクトル位置において狭いスペクトル発光特徴を発光する光源)が分光光度計の較正のために使用される必要性がなくなる。フラッシュランプのスペクトルプロファイル又は測定されたスペクトルと、所定の参照スペクトルのセグメントとの比較を実施することに加えて、代替の手法は、フラッシュランプの自己吸収特徴/ノッチを反転ピークとして考慮し、ピーク中心を更に評価することができる。そのような手法は、望ましくは、比較するための以前に特定された又は記憶された参照スペクトルセグメントを必要とするのではなく、代わりに、スペクトル評価においてフラッシュランプの自己吸収特徴/ノッチ波長の知識を利用する。
【0026】
図1を参照すると、分光光度計100が示され、分光光度計100は、ガス充填式電気アークランプ等のフラッシュランプ110、モノクロメータ120、少なくとも1つの試料ホルダ130、及び少なくとも1つの検出器140を備える。試料ホルダ130は、試料セル(図示せず)を受け取り、固定場所に再現性よく位置決めするように構成される。試料セルは、分光光度計100において分析される試料を受け取るように構成される。
【0027】
フラッシュランプ110は、広帯域光等の光150を生成し、モノクロメータ120に提供するように構成される。モノクロメータ120は、光を構成波長に分散させ又は分割し、検出器140によって検出される実質的に単色の光160を試料ホルダ130に提供するように構成される。単色光160は、例えば、0.1nm~5nmの範囲内の比較的狭い帯域幅を有することができる。較正中、試料ホルダ130は、空のままにされる傾向があり、すなわち、試料は試料ホルダ130内に提供されない。
【0028】
幾つかの実施形態では、分光光度計100及び/又はモノクロメータ120はコンピューティングデバイス170によって制御することができる。コンピューティングデバイス170はプロセッサ172及び記憶媒体174を備えることができる。記憶媒体174は、ハードディスクドライブ又は固体メモリデバイス等の不揮発性記憶媒体とすることができる。プロセッサ172は、コンピューティングデバイス170に、検出器140によって検出される光160の強度を記録させるための、記憶媒体174に記憶された命令(プログラムコード)を実行するように構成することができる。プロセッサ172は、モノクロメータ120に、試料ホルダ130に提供される光の波長を変更させるための、記憶媒体174に記憶された命令(プログラムコード)を実行するように構成することができる。
【0029】
プロセッサ172は、モノクロメータ120に、光を或る波長範囲内の複数の選択された波長のそれぞれの波長で、選択された波長を漸進的に変更(スキャン)することによって送信し、それぞれの選択された波長について検出器140で受信されるそれぞれの光強度又は光パワーを決定、検出、及び/又は測定させるよう、モノクロメータ120を漸進的に構成するための、記憶媒体174に記憶した命令(プログラムコード)を実行するように構成することができる。波長範囲は、フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルによる自己吸収特徴に関連する。幾つかの実施形態では、モノクロメータ120は、フラッシュランプ110のスペクトルプロファイルにおける自己吸収特徴のうちの1つ以上を正確に検出するために、比較的狭い波長範囲内(高分解能)でスキャンされる。
【0030】
幾つかの実施形態では、モノクロメータ120は、例えば、コンピューティングデバイス170の記憶媒体174に記憶された又は外部データベースから取り出された較正パラメータに基づいて光を送信するように構成することができる。較正パラメータは、モノクロメータ120に適用されると、モノクロメータ120に、選択された(所定の)波長で光を送信させる、機器設定又は構成を含むことができる。例えば、機器設定は、モノクロメータ120内の、回折格子204(図2)等の光学要素の配向、回転角度、及び/又は位置に関するものとすることができる。
【0031】
フラッシュランプ110は、比較的高い出力のフラッシュランプとすることができる。幾つかの実施形態では、フラッシュランプ110は、最大300Hzのレートで1パルス(フラッシュ)当たり最大約0.5Jのエネルギーを有するパルス光出力を生成することが可能である。フラッシュランプ110は、或る波長範囲にわたって光を生成することができる。幾つかの実施形態では、フラッシュランプ110は、約190nm~約3300nmの選択された波長範囲にわたって光を生成するように構成することができる。フラッシュランプ110は、加圧されたキセノンガス内に収容された電極を備えるショートアークフラッシュランプとすることができる。例えば、フラッシュランプ110は、Excelitas Technologies社が生産するような、1100シリーズFX-1160ショートアークフラッシュランプ又はHamamatsu社が生産する同様のフラッシュランプを含むことができる。
【0032】
分光光度計100は、分光光度計100内の温度を測定するための、プロセッサ172に接続された温度センサ(図示せず)を更に備えることができる。以下でより詳細に説明するように、幾つかの実施形態では、検知された温度は、分光光度計100のための較正パラメータを決定するときに及び/又は分光光度計100を較正するときに使用することができる。
【0033】
図2を参照すると、幾つかの実施形態による分光光度計100のモノクロメータ120が示される。示すように、モノクロメータ120は、第1のミラー(コリメーションミラー)202、波長分散要素(回折格子204等)、及び第2のミラー206を含む複数の光学要素を備えることができる。モノクロメータ120は、フラッシュランプ110からの光の較正及び/又はコリメーションを支援するために、フラッシュランプ110(図1)と回折格子204との間に入射スリット212も備えることができる。
【0034】
モノクロメータ120は、光学要素のうちの1つ以上に結合された1つ以上のドライブコンポーネント205を更に備えることができる。1つ以上のドライブコンポーネント205は、1つ以上の光学要素の配向及び/又は回転角度を選択的に調整するように構成することができる。例えば、ドライブコンポーネント205は、回折格子204に結合するとともに、回折格子204の回転角度を選択的に調整するように構成することができる。ドライブコンポーネント205は、ステッパモータ又はDCサーボモータ等の直接ドライブコンポーネントを含むことができる。代替的に、ドライブコンポーネント205は、マイクロメータからのサインバー(レバーアーム)ドライブ又はピニオン及びセクタギア等の機械的リンケージを有する間接ドライブコンポーネントを含むことができる。
【0035】
回折格子204の回転角度を調整することによって、モノクロメータ120は、光を異なる選択された波長で送信するように構成することができる。幾つかの実施形態では、プロセッサ174は、モノクロメータに、選択された波長で光を送信させるため、1つ以上の光学要素の回転角度を1つ以上のドライブコンポーネント205に調整させる命令を実行するように構成される。1つ以上の光学コンポーネントの選択されたそれぞれの回転角度について、関連する波長の光は分散され、各波長は、第2のミラー(集束ミラー)206によって焦点面208の異なる場所に集束される。
【0036】
幾つかの実施形態では、プロセッサ172は、等間隔に配置された波長増分に対応することができる、1つ以上の光学要素についての回転角度のセットを選択し、それにより、等間隔に配置された光の波長の範囲を選択するように構成することができる。焦点面の光を検出器140によって検出することによって、1つ以上の光学要素の回転角度の漸進的な変更は、検出される光の波長の漸進的な変更をもたらす。したがって、或る波長範囲にわたって、選択された波長にそれぞれが対応する複数の検出された光強度は、スキャンされた光強度スペクトルを決定又は測定するために、例えば、記憶媒体174に記録することができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、回折格子204の回転角度(θ)は、以下の回折格子の方程式(grating equation)に従って、選択された波長(λ)に関係付けられる。
d.sin(θm) = m.λ
式中、dは回折格子204の回折素子(diffracting element)間の間隔であり、mは回折次数に関連する整数である。
【0038】
幾つかの実施形態では、モノクロメータ120は、実質的に単色の光を送信するために、焦点面208に位置する又は焦点面208に隣接する出口アパーチャ210を更に備える。例えば、光は、0.1nm~5nmの範囲内とすることができる比較的狭い帯域幅で送信することができる。出口アパーチャ210は調整可能とすることができる。例えば、出口アパーチャ210は、送信される比較的狭い波長帯域幅を選択するためのスリット又はアイリスを含むことができる。モノクロメータは、調整可能とすることができる入口アパーチャ(図示せず)を更に備えることができる。例えば、入口アパーチャ(図示せず)は、送信される比較的狭い波長帯域幅を選択するためのスリット又はアイリスを含むことができる。
【0039】
図3を参照すると、キセノン充填式フラッシュランプの強度スペクトル300の一例が示される。スペクトル300は、光源として使用するためのキセノン充填式フラッシュランプ110及び空の試料ホルダ130を装備する分光光度計100を使用して得られる出力スペクトルとすることができる。
【0040】
スペクトル300は、複数の離散的放射ピーク303及び広帯域連続放射バックグラウンドを含む。離散的放射ピーク303は、原子ガスの離散的エネルギーレベル間の遷移から生じ、また、比較的低いプラズマ温度及び圧力における比較的急峻な強度特徴とすることができる。広帯域連続放射は、フラッシュランプ110の電気アーク内の加熱されたプラズマから生じる。離散的放射ピーク303は、フラッシュランプ110内のガスの特徴である。キセノン等の既知のガスを有するフラッシュランプ110の場合、複数の放射ピークが、所定でかつよく知られている対応する波長に存在するであろう。原理上、得られるスペクトル300内の放射ピーク303に対応する波長を、文献、例えば、米国国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)原子スペクトルデータベース(https://physics.nist.gov/asd)において公表されているような特徴的な放射ピークの所定の波長と比較することによって、分光光度計100を較正することができる。幾つかの事例では、電気アーク及び高い放電温度によって誘起されるピーク幅広化及びシフトにより、較正プロシージャにおけるその使用に対して不確実性が付加される場合がある。そのため、幾つかの実施形態では、測定されたスペクトルを、低圧光源から得られるスペクトルと比較して、どのピークがシフトし、また、どれだけシフトしたかを特定することができる。較正方法は、以下で更に詳細に述べられる。
【0041】
図3は、広い波長範囲302と比べて狭い波長範囲である比較的狭い波長範囲304も示す。図3に示すように、狭い波長範囲304は広い範囲302内の波長のサブセットとすることができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、狭い範囲304は、広い範囲302内にない少なくとも幾つかの波長を含むことができる。幾つかの実施形態では、狭い波長範囲304は約974nm~約986nmの波長を含むことができる。幾つかの実施形態では、広い波長範囲302は約190nm~約3300nmの波長を含むことができる。幾つかの実施形態では、広い波長範囲302は約190nm~約2500nmの波長を含むことができる。幾つかの実施形態では、広い波長範囲302は約190nm~約1100nmの波長を含むことができる。
【0042】
図4を参照すると、比較的狭い波長範囲304にわたる、強度スペクトル300の拡大図であるスペクトル400が示される。
【0043】
示されるように、強度スペクトル400は、対応する所定の波長(特徴波長)において自己吸収特徴402を含む。自己吸収特徴402は、幅が拡大化した放射ピーク303にわたって重ね合わされた強度の狭いトラフとしてスペクトル300に現れる。例えば、フラッシュランプ110内の電気アークによって加熱されるホットガスの体積の周りのより冷却したガスのエンベロープを形成するガスが存在する場合があり、自己吸収特徴402は、フラッシュランプ110内のホットガスからの発光の一部がホットガスを囲むより冷却したガスによって吸収される結果として存在する場合がある。自己吸収につながる光吸収は、上述した発光に対する反転プロセスであり、フラッシュランプ110内のガスのエネルギーレベル間の電子遷移によるものとすることもできる。
【0044】
自己吸収特徴は、Xeの第1励起状態に起因する遷移において主に見られる。Xe原子のこの低い励起状態は、量子力学(Quantum Mechanics)による基底状態(ground state)に放射結合しない。低い励起状態は準安定状態とすることができる。放電によってXe原子に付与されるエネルギーは、Xe原子の一部をこの準安定状態のままにする。放電の周辺部の周りの準安定の第1励起状態のこれらのXe原子は、この自己吸収効果を生じる。アークの残りの部分よりずっと低い温度にある放電の周辺部の周りのこれらの準安定状態のXe原子は、アークからの放射帯域幅より狭い吸収帯域幅にわたって、かつ、受容される公表された値により近い輝線中心波長において、放電からの光を吸収する。そのため、自己吸収特徴は、以下でより詳細に論じるように分光光度計を較正するために使用することができる。
【0045】
これらの特徴は、電気アークフラッシュランプ放電において使用される全ての原子種に必ずしも共通であるわけではなく、関与する原子の低いエネルギー状態の構成に依存するであろう。しかしながら、横方向又は軸方向に整列した電極を有する任意のショートアーク希ガスフラッシュランプが適することになる。希ガスは、通常、フラッシュランプにおいて使用される。なぜならば、希ガスは、不活性であり、ランプのための最長寿命を提供する傾向があるためである。上記で述べた原子Xeの第1励起状態に起因する遷移のために、Xeは、適した原子種であり、比較的低い圧力で良好な効率を更に提供する。アルゴン及びクリプトンも使用することができる。幾つかの実施形態では、混合ガス連続ショートアークハイパワーランプを使用することができる。
【0046】
図4に示すように、自己吸収特徴402のスペクトル帯域幅407は、自己吸収特徴402がその上に重ね合わされる放射ピーク303の帯域幅408より狭い。
【0047】
分光光度計100を較正するための方法が例示的なスペクトル300、400を参照して述べられるが、方法は、特定の例示的なスペクトル300、400に関する較正に制限されることを意図されず、例証的かつ記述的な目的のためにスペクトル300、400に対して参照が行われるだけである。
【0048】
図5を参照すると、幾つかの実施形態による、フラッシュランプ110を備える分光光度計100を較正する方法500のためのプロセスフロー図が示される。プロセッサ172は、方法500を実施するための、記憶媒体174に記憶された命令(プログラムコード)を実行するように構成することができる。
【0049】
既知のガスを含むフラッシュランプ110から放射される光150は、502にて、光学的分光光度計100のモノクロメータ120において受信される。
【0050】
モノクロメータ120は、504にて、光150の選択された波長範囲内の又はその波長範囲に及ぶ複数の波長のそれぞれにおいて光160を漸進的に送信するようにさせられる又は構成される。波長範囲は自己吸収波長特徴402に関連する。幾つかの実施形態では、モノクロメータは、回折格子204のうちの少なくとも1つの回折格子の配向(回転角度、θ)を漸進的に変更することによって、複数の波長のそれぞれにおいて光を送信するように構成される。上記で説明したように、プロセッサ172は、モノクロメータ120に、送信される光160の波長を漸進的に変更するため、複数の波長のそれぞれを選択させるための、記憶媒体174に記憶された命令(プログラムコード)を実行するように構成することができる。
【0051】
選択された波長範囲は、フラッシュランプ110のガスのタイプに特徴的であるフラッシュランプ110の既知のスペクトルプロファイルによる自己吸収特徴402に関連する。例えば、キセノン充填式フラッシュランプの場合、対応する自己吸収特徴を有する波長が、例えば、823nm、840nm、881nm、904nm、及び980nmの任意のうちの1つ以上とすることができることが知られている。しかしながら、キセノン充填式フラッシュランプの場合、他の波長が、対応する自己吸収特徴を有することもできることが認識されるであろう。波長範囲は、フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルからの自己吸収特徴に関連する波長を実質的に中心とするように選択することができる。
【0052】
選択された波長範囲は、フラッシュランプ110から受信される光150の比較的広い波長範囲302から選択された比較的狭い波長範囲304とすることができる。例えば、キセノン充填式フラッシュランプの場合、比較的狭い波長範囲304は、976nm~約984nmを含むことができる。幾つかの実施形態では、選択された範囲の複数の波長の少なくとも幾つかは、約0.05nm~約0.5nmの範囲内の波長で離間して、十分に高い分解能での1つ以上の吸収特徴の検出を可能にし、また例えば、幾つかの実施形態では、自己吸収特徴の半値全幅(FWHM:full width half maximum)の決定を支援する。幾つかの実施形態では、波長範囲に及ぶ複数の波長は、約0.5nm~約15nmの範囲内の間隔によって変化する。
【0053】
例えば、スペクトル400等のフラッシュランプのスペクトル又は部分スペクトルは、506にて、スキャン又は決定される。例えば、スペクトルは、選択された波長範囲の複数の波長のそれぞれに対応するパワー又は強度値を決定することによって決定することができる。幾つかの実施形態では、コンピューティングデバイス170のプロセッサ172は、複数の選択された波長のそれぞれについて検出器140で検出された光160のパワー又は強度値を示すデータを得る命令を実行するように構成することができる。決定されたスペクトルは、比較的狭い波長範囲304にわたる(に及ぶ)、検出光のパワー又は強度値を示すものとすることができる。データは、コンピューティングデバイス170の記憶デバイス上に又は記憶媒体174内に記録することができる。
【0054】
波長較正誤差値は、508にて、決定されたスペクトル400を、フラッシュランプ110に関連する所定の参照スペクトル(図示せず)のセグメントと比較することによって決定される。
【0055】
図7A図7Cのそれぞれは、強度に対する、公称波長の参照スペクトル上にプロットされた特徴波長のソーススペクトルに対応する参照スペクトルの例示的なセグメント、及び、公称角度位置を中心とする角度変位にわたる第2の格子によって回折した実際の波長についての測定された光強度値の対応するセグメントを示す。
【0056】
参照スペクトルのセグメントは、選択された波長範囲を含む又は少なくともそれと重なる波長範囲に及ぶことができる。所定の参照スペクトル又は所定の参照スペクトルのセグメントは、例えば、コンピューティングデバイス170の不揮発性記憶媒体174上に記憶することもできるし、遠隔ストレージから取り出すこともできる。所定の参照スペクトル又は所定の参照スペクトルのセグメントは、選択された範囲内の複数の波長のそれぞれについて強度/パワー値を測定し、NIST原子スペクトルデータベースに記録された文書化された輝線/吸収線等の、正確な公表データを使用して波長特徴(ノッチ及びピーク)の波長位置を補正するために測定値をリサンプリング/補間することによって、決定されているものとすることができる。幾つかの実施形態では、所定の参照スペクトルのセグメントは、キセノン充填式ショートアークフラッシュランプについての自己吸収特徴を含むスペクトルに対応する。例えば、所定の参照スペクトルは、キセノンガスについて約881.9nm又は980.1nmに自己吸収特徴402を含むことができる(例えば、図7C参照)。幾つかの実施形態による波長較正誤差値を決定する方法600は、図6のプロセスフロー図に示される。プロセッサ172は、方法600を実施するための、記憶媒体174に記憶された命令(プログラムコード)を実行するように構成することができる。
【0057】
初期オフセット値は、602にて決定される。オフセット値は、決定された波長が、所定の参照スペクトルの波長の左又は右にシフトする量を示すものとすることができる。初期オフセット値は、決定されたスペクトルの波長が、所定の参照スペクトルから偏移する量の最良推定とすることができる。幾つかの実施形態では、初期オフセット値及びエンドオフセット値並びにオフセット増分量を含むオフセット値範囲が決定される。初期オフセット値からエンドオフセット値までの範囲にわたってスペクトルマッチングプロセスを実施することによって、その範囲内のオフセット値を決定することができ、そのオフセット値において、オフセットスペクトル及び参照スペクトルが、「一致する(match)」(すなわち、最も高く相関する)と言われることができることが予想される。
【0058】
初期オフセット値は、予想される最悪の場合の波長偏移より大きさがほんの少し大きくなるように設定される。幾つかの実施形態では、初期オフセット値は、分光光度計を構築するために使用されるコンポーネントの公差からの最悪の場合の予想誤差、並びに、分光光度計及びこれらのコンポーネントのアライメントからの最悪の場合の予想誤差を合計し、そこから、未較正分光光度計についての最悪の場合の波長誤差を計算することによって、決定することができる。例えば、ドライブコンポーネント205の角度精度、回折格子204のルーリングの精度、及び機械的公差の分光光度計の組み合わせた動作温度範囲にわたる積み重ねが、未較正分光光度計が980nmにおいて誤差が最大2nmである可能性があることを示す場合、適した初期オフセット値は-2nmとすることができ、適したエンドオフセット値は+2nmとすることができ、任意の分光光度計の実際の波長較正誤差がこの範囲内に位置しなければならないことを知る。
【0059】
オフセットスペクトルは、604にて、決定されスキャンされたスペクトルから決定される。幾つかの実施形態では、オフセットスペクトルは、決定されスキャンされたスペクトルの波長を、初期又は現在オフセット値だけシフトすることによって決定される。例えば、図7Aに示すように、測定されたスペクトル又は決定されスキャンされたスペクトル704は、参照スペクトル702からオフセット値だけオフセットする。測定されたスペクトルと参照スペクトルとの間の関係は、図7B及び図7Cに示す特徴波長について更に示される。
【0060】
オフセットスペクトルと所定の参照スペクトルとの間の相関を示す相関値は、606にて決定される。幾つかの実施形態では、相関値は、ピアソン相関係数(Pearson correlation coefficient)等のオフセットスペクトルと所定の参照スペクトルとの間の線形相関の尺度である。幾つかの実施形態では、オフセット値及び関連する相関値は、相関リスト内で照合される。
【0061】
1つの実施形態では、オフセットスペクトルと参照スペクトルとの間の相関値「K」は、ピアソン相関係数を使用して計算される。相関値「K」は-1~1の値であり、値1は完全相関を示す。図10Aは、図7Aに示す特徴波長スペクトルセグメントに対応する予想オフセット値の範囲-3.5nm<λoffset<3.5nmについての相関値「K」のグラフである。図10Aに示すように、λoffset=-3.5nmにおける相関値はおよそ-0.1847である。
【0062】
同様に、図10Bは、図7Bに示す特徴波長スペクトルセグメントに対応する予想オフセット値の範囲についての相関値「K」を示し、図10Cは、図7Cに示す特徴波長スペクトルセグメントに対応する予想オフセット値の範囲についての相関値「K」を示す。
【0063】
例えば、現在オフセット値がエンドオフセット値より小さい場合に、十分な数の相関値が、608にて決定されていない場合、オフセット値は、610にてオフセット増分量だけ増分され、方法は、604に戻って、更なるオフセット値及び関連する相関値の複数のペアを決定する。
【0064】
例えば、現在オフセット値がエンドオフセット値より小さくない点で、十分な数の相関値が、608にて決定されている場合、オフセット値及び相関値の複数のペアは、612にて表現曲線に当てはめられる。例えば、表現曲線は、以下の方程式に基づく最小2乗2次曲線(least squares quadratic curve)及び図9に示す最小2乗2次曲線とすることができる。
【数1】
【0065】
幾つかの実施形態では、決定されたオフセット値及び相関値の複数のペアのサブセットのみが、表現曲線に当てはめられる。幾つかの実施形態では、決定された複数の相関値の最大相関値が特定され、オフセット値及び相関値の複数のペアのサブセットは、最大相関値を中心とする。例えば、サブセットは、オフセット値及び相関値の5つのペアを含むことができ、2つは、オフセット値及び最大相関値のペアの両側にある。幾つかの実施形態では、最大相関値が、例えば0.95等の閾値量より小さい場合、方法600は、誤差がある状態で終了することができる。同様に、幾つかの実施形態では、オフセット値及び相関値の複数のペアの最初の2つ又は最後の2つのいずれかが、特定された最大相関値を含む場合、方法600は、誤差がある状態で終了することができる。
【0066】
表現曲線についてのパラメータ値は、614にて、表現曲線に対するオフセット値及び相関値の複数のペアの最良当てはめから決定される。例えば、決定されたパラメータは、上記2次方程式のA及びBとすることができる。
【0067】
波長偏移値は、616にて表現曲線についての方程式の決定されたパラメータから決定される。例えば、波長偏移値は、以下の方程式から決定することができる。
【数2】
【0068】
再び図5を参照すると、モノクロメータ120は、光150の選択された第2の又は更なる波長範囲内の又はその波長範囲に及ぶ第2の又は更なる複数の波長のそれぞれにおいて光160を漸進的に送信するようにさせられる又は構成される。第2の又は更なる波長範囲は、510にて、第2の若しくは更なる自己吸収特徴(図示せず)又は放射ピーク303等の更なる波長特徴に関連する。幾つかの実施形態では、モノクロメータ120は、回折格子204の配向(回転角度、θ)を漸進的に変更することによって、複数の波長のそれぞれにおいて光を送信するように構成される。上記で説明したように、プロセッサ172は、モノクロメータ120に、送信される光160の波長を漸進的に変更するため、複数の波長のそれぞれを選択させるための、記憶媒体174に記憶された命令(プログラムコード)を実行するように構成することができる。
【0069】
選択された第2の又は更なる波長範囲は、フラッシュランプ110のガスのタイプの特徴であるフラッシュランプ110の既知のスペクトルプロファイルによる、第2の若しくは更なる自己吸収特徴又は放射ピーク303等の更なる波長特徴に関連する。選択された第2の波長範囲は、フラッシュランプ110から受信される光150の比較的広い波長範囲から選択された比較的狭い波長範囲とすることができる。選択された範囲304のサイズは、所定のスペクトル400の特定の既知の波長特徴に依存することができる。例えば、広い波長特徴は広い波長範囲304を必要とする場合がある。幾つかの実施形態では、選択された範囲の第2の又は更なる複数の波長の少なくとも幾つかは、隣接する波長から約0.05nm~約0.5nmに離間する。幾つかの実施形態では、波長範囲に及ぶ複数の波長は、約0.5nm~約15nmの範囲内の間隔だけ変化する。
【0070】
フラッシュランプの更なるスペクトルは、512にてスキャン又は決定される。幾つかの実施形態では、更なるスペクトルは、第2の又は更なる複数の波長のそれぞれについてパワー又は強度値を決定又は測定することによって決定される。例えば、コンピューティングデバイス170のプロセッサ172は、第2の又は更なる複数の選択された波長のそれぞれについて検出器140で検出された光160のパワー又は強度を示すデータを得る命令を実行するように構成することができる。例えば、第2の又は更なるスペクトルは、比較的狭い第2の波長範囲にわたる(に及ぶ)、検出光の強度を示すものとすることができる。データは、コンピューティングデバイス170の記憶デバイス上に又は記憶媒体174内に記録することができる。
【0071】
更なる波長較正誤差値は、516にて、決定された更なるスペクトル400を、フラッシュランプ110に関連する所定の参照スペクトル(図示せず)の関連セグメントと比較することによって決定される。
【0072】
幾つかの実施形態では、十分な数の波長特徴についての波長較正誤差が決定されていない場合、方法500は、510に戻って、更なる波長特徴についての波長較正誤差を決定する。十分な数の波長特徴(波長及び波長較正誤差の複数のペア)についての波長較正誤差が決定されている場合、方法500は518に進む。波長較正誤差の十分な数は、閾値より大きい数とすることができる。例えば、閾値は、分光光度計の設計及び/又は要件に依存することができる。
【0073】
例えば、表現誤差曲線に当てはめるために使用される、必要な較正誤差値の数は、必要とされる較正精度、モデル化され補正される誤差の形態、及び/又はモデル化されない他の誤差源のサイズに依存することができる。幾つかの実施形態では、補正される主要な誤差は、分光光度計の格子回転軸を基準とするエンコーダパターンの機械的配置の偏心性に関連することができる。通常、このタイプの誤差の形態は、正弦波であるが、使用される角度範囲にわたって、単純な放物線で適切にモデル化することができる。そのような場合、補正を規定するのに、3つの較正誤差値で十分とすることができる。しかしながら、ランダム誤差源として扱うことができる、エンコーダ上の循環補間誤差における2次誤差源も存在し得る。ランプフラッシュノイズ及び/又は測定ノイズを、ランダム誤差源として扱うこともできる。幾つかの実施形態では、例えば、3つの較正誤差値からの比較的長い距離にある波長における何らかの過剰の誤差に寄与する、循環補間誤差、フラッシュランプノイズ、及び/又は測定ノイズから生じる非モデル化誤差を軽減するため、4つ以上の較正誤差値を、518にて表現曲線に当てはめるために決定することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ゼロ次ピーク及び11の更なる特徴波長が使用され、それらは、小さいランダム誤差から生じる当てはめられた放物線誤差及び限界誤差(limit error)を制限するため、比較的粗い均一な間隔で選択することができる。幾つかの実施形態では、従来のソフトウェアモデリング及びモンテカルロ(Monte-Carlo)シミュレーション処理は、適した数の波長特徴(波長及び波長較正誤差の複数のペア)を決定するために使用することができる。
【0074】
508及び514にて決定される波長及び波長較正誤差の複数のペア(波長較正誤差リストとして照合することができる)は、図8に示す表現曲線に当てはめられる。幾つかの実施形態では、波長及び波長較正誤差の複数のペアは、以下のようなゼロオフセットを有する最小2乗2次曲線に当てはめられる。
【数3】
【0075】
1つの実施形態では、配列(array)(λ,δλ)は、各特徴波長についての波長値λ及び特徴波長に関連する対応する波長偏移/差/誤差δλ(相関値)で埋められる。(0,0)オフセットを有する最小2乗2次曲線は、図8に示す(λ,δλ)の配列に当てはめられる。図8に示すように、散布図は配列(λ,δλ)の値を示し、線グラフは最良当てはめ曲線である。
【0076】
E及びF等のパラメータ値は、520にて、波長及び波長較正誤差の複数のペアに対する曲線の最良当てはめから決定される。パラメータ値を決定するための曲線当てはめは、誤差を最小にするためにパラメータ値を最適化することを含むことができる。
【0077】
任意の特定の波長についての波長較正誤差値は、522にて、決定されたパラメータ値を使用する表現方程式から決定される。
【0078】
回折格子204についての回転角度調整値は、524にて、波長較正誤差値に基づいて決定される。例えば、回転角度調整値は、上記で論じた回折格子の方程式を使用して決定することができる。幾つかの実施形態では、回転角度調整値は、分光光度計100内の温度に更に依存することができる。例えば、回折格子204についての回転角度調整値は、分光光度計100内に設けられる温度センサから決定される温度に更に基づくことができる。
【0079】
モノクロメータの回折格子204の回転角度は、526にて、回転角度調整値によって調整され、それにより、モノクロメータに、較正された波長で光を送信させるよう分光計を較正する。例えば、コンピューティングデバイス170のプロセッサ172は、回転角度調整によってモノクロメータの回折格子204を調整する命令を実行するように構成することができる。
【0080】
2重モノクロメータにおける上記較正方法の実装態様は、オーストラリア仮特許出願第2018904139号に記載される(その全体の内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする)。オーストラリア仮特許出願第2018904139号の図3図13cを参照して述べるように、モノクロメータのそれぞれは、それぞれのゼロ次角度を最初に決定することによって較正される。それぞれのゼロ次角度が決定されると、モノクロメータのそれぞれは、上記較正方法を使用して較正され、一方、他のモノクロメータはそのゼロ次位置に設定される。
【0081】
幾つかの実施形態では、較正方法は、2つ以上の分散要素を含むモノクロメータを較正するために使用することもでき、各分散要素は、任意の適した構成で1つ以上の回折格子及び/又は1つ以上のプリズムを含むことができる。
【0082】
上記の例示的な実施形態は、分光光度計を参照して述べられたが、較正方法が、望遠鏡、カラー測定機器、及び医療装置等の異なる光学装置内のモノクロメータを較正するために使用することもできることも当業者は同様に理解することになる。
【0083】
本開示の広い全般的な範囲から逸脱することなく、上述した実施形態に対して多数の変形及び/又は修正を行うことができることが当業者によって認識されるであろう。したがって、本実施形態は、全ての点で、制限的でなく、例証的であると考えられる。
なお、出願当初の特許請求の範囲の記載は以下の通りである。
請求項1:
分光計のモノクロメータが、横方向又は軸方向に整列した電極を有するショートアーク希ガスフラッシュランプであるフラッシュランプからの光を受けることと、
前記受けた光を、選択された波長範囲の複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に送信するように前記モノクロメータを構成することであって、ここで、前記波長範囲は前記フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルによる波長特徴に関連し、前記波長特徴は自己吸収特徴である、構成することと、
スペクトルが前記複数の波長のそれぞれの波長についての対応するパワー又は強度の値を含むように、前記フラッシュランプのスペクトルを決定することと、
前記フラッシュランプに関連する所定の参照スペクトルのセグメントと前記スペクトルを比較することによって、前記波長特徴について波長較正誤差値を決定することであって、ここで、前記所定の参照スペクトルの前記セグメントは前記自己吸収特徴に関連する1つ以上の波長を含むものである、決定することと、
前記波長較正誤差値に基づいて分光光度計を較正することと
を含む、フラッシュランプを備える分光光度計を較正する方法。
請求項2:
前記波長範囲は、前記フラッシュランプの前記既知のスペクトルプロファイルからの前記自己吸収特徴に関連する波長を実質的に中心とするように選択される、請求項1に記載の方法。
請求項3:
1つ以上の更なる波長較正誤差を決定することと、
前記第1の波長較正誤差値及び前記1つ以上の更なる波長較正誤差に基づいて前記分光光度計を較正することと
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
請求項4:
1つ以上の更なる波長較正誤差を決定することは、
選択された更なる波長範囲の更なる複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に前記受信された光を送信するように前記モノクロメータを構成することであって、前記更なる波長範囲は前記フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルによる更なる波長特徴に関連するものである、構成することと、
前記更なる複数の波長のそれぞれの波長についての対応するパワー又は強度値を含む、前記フラッシュランプの更なるスペクトルを決定することと、
前記フラッシュランプに関連する所定の参照スペクトルの更なるセグメントと前記更なるスペクトルを比較することによって、前記更なる波長特徴について更なる波長較正誤差値を決定することであって、前記所定の参照スペクトルの前記更なるセグメントは前記更なる波長特徴に関連する1つ以上の波長を含むものである、決定することと
を含む、請求項3に記載の方法。
請求項5:
前記更なる波長特徴は、(i)更なる自己吸収特徴及び(ii)発光特徴のうちの1つ以上を含む、請求項4に記載の方法。
請求項6:
較正誤差値及び関連する波長の複数のペアを選択することであって、ここで、該複数のペアは、前記第1の波長較正誤差値及び前記1つ以上の更なる波長較正誤差のうちの少なくとも2つを含む、選択することと、
前記較正誤差値及び関連する波長の複数のペアを最小2乗2次曲線に当てはめて、前記曲線の表現方程式についてのパラメータ値を決定することと、
前記決定されたパラメータ値を使用して前記表現方程式からある特定の波長について前記波長較正誤差値を決定することと
を更に含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
請求項7:
前記表現方程式は、
δλ = Eλ 2 + Fλ
であり、ここで、δλは波長較正誤差であり、λは関連する波長であり、E及びFはパラメータ値である、請求項6に記載の方法。
請求項8:
ある波長特徴について前記波長較正誤差値を決定することは、
前記決定されたスペクトルから複数のオフセットスペクトルを決定することであって、ここで、各オフセットスペクトルはある対応するオフセット値に関連する、決定することと、
前記複数のオフセットスペクトルのそれぞれと、前記所定の参照スペクトルの前記セグメントとの間の相関を示す複数の相関値を決定することと、
相関値及び対応するオフセット値の複数のペアの少なくともサブセットの表現相関曲線に対する最良当てはめを決定して、前記表現相関曲線について相関パラメータ値を決定することと、
前記決定された相関パラメータ値に基づいて波長特徴について前記波長較正誤差値を決定することと
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
請求項9:
前記決定された複数の相関値の最大相関値を決定し、オフセット値と相関値の複数のペアの前記サブセットを前記最大相関値にセンタリングすることを更に含む、請求項8に記載の方法。
請求項10:
前記オフセットスペクトルは前記決定されたスペクトルのあるバージョンを含み、ここで、前記波長はオフセット値によってシフトされている、請求項8又9に記載の方法。
請求項11:
前記モノクロメータは、前記分光光度計の前記モノクロメータの少なくとも回折格子の回転角度を漸進的に変更することによって、光を前記複数の波長のそれぞれの波長で送信するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
請求項12:
前記分光光度計を較正することは、前記波長較正誤差値に基づいて回転角度調整値を決定し、前記回転角度調整値によって前記分光計の前記モノクロメータの前記回折格子の回転角度を調整することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
請求項13:
前記フラッシュランプはキセノンガスを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
請求項14:
前記受けた光を、選択された波長範囲の複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に送信するように前記モノクロメータを構成することは、比較的に高い分解能でスキャンするように前記モノクロメータを構成することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
請求項15:
前記選択された範囲の複数の波長の少なくとも幾つかの波長は、約0.05nm~約0.5nmの範囲内の波長で離間する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
請求項16:
フラッシュランプを備える分光光度計を較正する方法であって、
分光計のモノクロメータが、横方向又は軸方向に整列した電極を有するショートアーク希ガスフラッシュランプであるフラッシュランプからの光を受けることと、
前記受けた光を、選択された波長範囲の複数の波長のそれぞれの波長において漸進的に送信するように前記モノクロメータを構成することであって、ここで、前記波長範囲は前記フラッシュランプの既知のスペクトルプロファイルによる波長特徴に関連し、前記波長特徴は自己吸収特徴である、構成することと、
前記複数の波長のそれぞれの波長についての対応するパワー又は強度の値を含むものである、前記フラッシュランプのスペクトルを決定することと、
前記決定されたスペクトルの前記自己吸収特徴を反転ピークとして考慮することと、
前記反転ピークのピーク中心を評価することと、
前記評価されたピーク中心に基づいて前記分光光度計を較正することと
を含む、方法。
請求項17:
横方向又は軸方向に整列した電極を有するショートアーク希ガスフラッシュランプと、
前記フラッシュランプから光を受け、或る波長範囲からの複数の選択された波長のそれぞれの波長において漸進的に光を送信するように配置されたモノクロメータと、
前記第1の複数の選択された波長のそれぞれの波長についての対応する強度値を検出するように配置された検出器と、
プロセッサ及び記憶媒体を備えるコンピューティングデバイスと
を備え、前記プロセッサは、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法を分光光度計に実施するための、前記記憶媒体上に記憶された命令を実行するように構成されている、分光光度計。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C