(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】ボンディング設備におけるダイ移送のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20230818BHJP
H01L 21/67 20060101ALI20230818BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/68 E
H01L21/78 Y
(21)【出願番号】P 2021179039
(22)【出願日】2021-11-01
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】10-2020-0146202
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャン チン
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-011416(JP,A)
【文献】特開2014-027246(JP,A)
【文献】特開2005-117019(JP,A)
【文献】特開2007-109680(JP,A)
【文献】国際公開第2007/026497(WO,A1)
【文献】特開2008-117806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/52
H01L 21/67
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディング設備においてダイを移送するための装置であって、
ダイシングテープに付着したダイを下部から押し上げるエジェクターと、
前記エジェクターの上昇又は下降を制御するエジェクター制御部と、
前記エジェクターの内側に位置して真空圧を印加するための気体の流動経路を形成する気体流動部と、
前記気体流動部を介して前記真空圧が加わるように制御する気流制御部と、
前記エジェクターの外側に位置し、真空圧を用いて前記ダイシングテープを吸着するテープ吸着部と、
前記ダイを上部から吸着して移送するピッカーと、
前記ピッカーの昇降駆動を制御するピッカー制御部と、を含み、
前記ピッカー制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させ、
前記ピッカーが前記ダイの上端に接触した状態で、前記エジェクター制御部及び前記ピッカー制御部は、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させ、
前記気流制御部によって下方に真空圧が印加された状態で、前記ピッカー制御部は、前記ピッカーを第2高さだけ上昇させ
、
前記気流制御部は、前記エジェクター及び前記ピッカーが前記第1高さだけ上昇する間に下方に真空圧が印加されるように制御する、装置。
【請求項2】
ボンディング設備においてダイを移送するための装置であって、
ダイシングテープに付着したダイを下部から押し上げるエジェクターと、
前記エジェクターの上昇又は下降を制御するエジェクター制御部と、
前記エジェクターの内側に位置して真空圧を印加するための気体の流動経路を形成する気体流動部と、
前記気体流動部を介して前記真空圧が加わるように制御する気流制御部と、
前記エジェクターの外側に位置し、真空圧を用いて前記ダイシングテープを吸着するテープ吸着部と、
前記ダイを上部から吸着して移送するピッカーと、
前記ピッカーの昇降駆動を制御するピッカー制御部と、を含み、
前記ピッカー制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させ、
前記ピッカーが前記ダイの上端に接触した状態で、前記エジェクター制御部及び前記ピッカー制御部は、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させ、
前記気流制御部によって下方に真空圧が印加された状態で、前記ピッカー制御部は、前記ピッカーを第2高さだけ上昇させ、
前記気流制御部は、前記ピッカーが下降する間に下方に真空圧が印加されるように制御することを特徴とする、装置。
【請求項3】
ボンディング設備においてダイを移送するための装置であって、
ダイシングテープに付着したダイを下部から押し上げるエジェクターと、
前記エジェクターの上昇又は下降を制御するエジェクター制御部と、
前記エジェクターの内側に位置して真空圧を印加するための気体の流動経路を形成する気体流動部と、
前記気体流動部を介して前記真空圧が加わるように制御する気流制御部と、
前記エジェクターの外側に位置し、真空圧を用いて前記ダイシングテープを吸着するテープ吸着部と、
前記ダイを上部から吸着して移送するピッカーと、
前記ピッカーの昇降駆動を制御するピッカー制御部と、を含み、
前記ピッカー制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させ、
前記ピッカーが前記ダイの上端に接触した状態で、前記エジェクター制御部及び前記ピッカー制御部は、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させ、
前記気流制御部によって下方に真空圧が印加された状態で、前記ピッカー制御部は、前記ピッカーを第2高さだけ上昇させ、
前記気体流動部は、前記ダイに空気圧が印加されるための経路を形成し、
前記気流制御部は、前記空気圧が前記気体流動部を介して印加されるように制御し、前記ピッカーが前記エジェクターから離隔するように前記第2高さだけ上昇した状態で上方に空気圧を印加する、装置。
【請求項4】
前記エジェクターは、前記気体流動部を囲むように形成された第1エジェクターと、
前記第1エジェクターを囲むように形成された第2エジェクターと、を含むことを特徴とする、請求項1
から請求項3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ピッカー制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触して上昇する間に、前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターのうち、上端に位置したエジェクターに対応して一緒に上昇するように、前記ピッカーを制御することを特徴とする、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記エジェクター制御部は、
前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターを前記第1高さだけ上昇させ、
前記第1エジェクターを固定させた状態で前記第2エジェクターを前記第1高さの中間地点まで下降させることを特徴とする、請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記エジェクター制御部は、
前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターを前記第1高さの中間地点まで上昇させ、
前記第2エジェクターを前記中間地点で固定させた状態で前記第1エジェクターを上昇させることを特徴とする、請求項
5に記載の装置。
【請求項8】
ボンディング設備においてダイを移送するための装置であって、
ダイシングテープに付着したダイを下部から押し上げるエジェクターと、
前記エジェクターの上昇又は下降を制御するエジェクター制御部と、
前記エジェクターの内側に位置して真空圧を印加するための気体の流動経路を形成する気体流動部と、
前記気体流動部を介して前記真空圧が加わるように制御する気流制御部と、
前記エジェクターの外側に位置し、真空圧を用いて前記ダイシングテープを吸着するテープ吸着部と、
前記ダイを上部から吸着して移送するピッカーと、
前記ピッカーの昇降駆動を制御するピッカー制御部と、を含み、
前記ピッカー制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させ、
前記ピッカーが前記ダイの上端に接触した状態で、前記エジェクター制御部及び前記ピッカー制御部は、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させ、
前記気流制御部によって下方に真空圧が印加された状態で、前記ピッカー制御部は、前記ピッカーを第2高さだけ上昇させ、
前記第1高さと前記第2高さは、互いに異なるように設定されることを特徴とする、装置。
【請求項9】
ボンディング設備においてダイを移送するための装置であって、
ダイシングテープに付着したダイを下部から押し上げるエジェクターと、
前記エジェクターの上昇又は下降を制御するエジェクター制御部と、
前記エジェクターの内側に位置して真空圧を印加するための気体の流動経路を形成する気体流動部と、
前記気体流動部を介して前記真空圧が加わるように制御する気流制御部と、
前記エジェクターの外側に位置し、真空圧を用いて前記ダイシングテープを吸着するテープ吸着部と、
前記ダイを上部から吸着して移送するピッカーと、
前記ピッカーの昇降駆動を制御するピッカー制御部と、を含み、
前記ピッカー制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させ、
前記ピッカーが前記ダイの上端に接触した状態で、前記エジェクター制御部及び前記ピッカー制御部は、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させ、
前記気流制御部によって下方に真空圧が印加された状態で、前記ピッカー制御部は、前記ピッカーを第2高さだけ上昇させ、
前記第2高さは、前記第1高さよりも小さく設定されることを特徴とする、装置。
【請求項10】
ボンディング設備においてダイを移送するための方法であって、
ダイシングテープに付着した状態のダイをエジェクターの上部に位置させるステップと、
ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させるステップと、
前記ピッカーが前記ダイの上端に接触した状態で前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させるステップと、
前記エジェクターの下方に真空圧が印加された状態で前記ピッカーを第2高さだけ上昇させるステップと、を含
み、
前記エジェクター及び前記ピッカーを上昇させるステップは、前記エジェクター及び前記ピッカーが前記第1高さだけ上昇する間に下方に真空圧を印加するステップを含む、方法。
【請求項11】
ボンディング設備においてダイを移送するための方法であって、
ダイシングテープに付着した状態のダイをエジェクターの上部に位置させるステップと、
ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させるステップと、
前記ピッカーが前記ダイの上端に接触した状態で前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させるステップと、
前記エジェクターの下方に真空圧が印加された状態で前記ピッカーを第2高さだけ上昇させるステップと、を含み、
前記ピッカーを下降させるステップは、前記ピッカーが下降する間に下方に真空圧を印加するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
ボンディング設備においてダイを移送するための方法であって、
ダイシングテープに付着した状態のダイをエジェクターの上部に位置させるステップと、
ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させるステップと、
前記ピッカーが前記ダイの上端に接触した状態で前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させるステップと、
前記エジェクターの下方に真空圧が印加された状態で前記ピッカーを第2高さだけ上昇させるステップと、を含み、
前記ピッカーを下降させるステップは、前記ピッカーが前記エジェクターから離隔するように前記第2高さだけ上昇した状態で上方に空気圧を印加するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記エジェクターは、前記真空圧又は空気圧が印加される気体流動部を囲むように形成された第1エジェクターと、前記第1エジェクターを囲むように形成された第2エジェクターと、を含み、
前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させるステップは、前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターのうち、上端に位置したエジェクターに対応して一緒に上昇するように、前記ピッカーを制御するステップを含むことを特徴とする、請求項
10から請求項12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させるステップは、
前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターを前記第1高さの中間地点まで上昇させるステップと、
前記第2エジェクターを前記中間地点で固定させた状態で前記第1エジェクターを上昇させるステップと、を含むことを特徴とする、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させるステップは、
前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターを前記第1高さだけ上昇させるステップと、
前記第1エジェクターを固定させた状態で前記第2エジェクターを前記第1高さの中間地点まで下降させるステップと、を含むことを特徴とする、請求項
13に記載の方法。
【請求項16】
ボンディング設備であって、
個別化されたダイを含むウエハを支持し、前記ダイを選択的に分離させるウエハステージと、
ウエハステージから前記ダイを移送するダイ移送ユニットと、
前記ダイ移送ユニットによって移送された前記ダイが搭載されて前記ダイに対する検査が行われるダイステージと、
前記ダイステージから前記ダイをピックアップし、基板上に前記ダイをボンディングするボンディングユニットと、
前記基板を支持し、ボンディング済みの基板をマガジンに伝達するボンディングステージと、を含み、
前記ウエハステージは、
ダイシングテープに付着した前記ダイを下部から押し上げるエジェクターと、
前記エジェクターの上昇又は下降を制御するエジェクター制御部と、
前記エジェクターの内側に位置して真空圧又は空気圧を印加する気体の流動経路を形成する気体流動部と、
前記気体流動部による前記真空圧又は前記空気圧を制御する気流制御部と、
前記エジェクターの外側に位置し、真空圧を用いて前記ダイシングテープを吸着するテープ吸着部と、を含み、
前記ダイ移送ユニットは、
前記ダイを上部から吸着して移送するピッカーと、
前記ピッカーの昇降駆動を制御するピッカー制御部と、を含み、
前記ピッカー制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させ、
前記気流制御部は、前記ピッカーが下降する間に下方に真空圧が印加されるように制御し、
前記ピッカーが前記ダイの上端に接触し且つ下方に前記真空圧が印加された状態で、前記エジェクター制御部及び前記ピッカー制御部は、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させ、
前記気流制御部によって下方に真空圧が印加された状態で、前記ピッカー制御部は、前記ピッカーを第2高さだけ上昇させ、
前記気流制御部は、前記ピッカーが前記エジェクターから離隔した状態で、上方に空気圧を印加して前記ダイを前記ピッカーに吸着させる、ボンディング設備。
【請求項17】
前記エジェクターは、前記気体流動部を囲むように形成された第1エジェクターと、
前記第1エジェクターを囲むように形成された第2エジェクターと、を含むことを特徴とする、請求項
16に記載のボンディング設備。
【請求項18】
前記エジェクター制御部は、
前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターを前記第1高さの中間地点まで上昇させ、
前記第2エジェクターを前記中間地点で固定させた状態で前記第1エジェクターを上昇させることを特徴とする、請求項
17に記載のボンディング設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディング設備におけるダイ移送のための装置及び方法に係り、より具体的には、薄い厚さを有するダイを効果的に移送することができる装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程は、ウエハ上に半導体素子を製造するための工程であって、例えば露光、蒸着、エッチング、イオン注入、洗浄などを含む。半導体製造工程を経てチップ単位で構成されたダイに対して、パッケージングのための基板(例えば、PCB(Printed Circuit Board))で各ダイをボンディングするための工程が行われることができる。
【0003】
各ダイは、ダイシングテープに粘着された状態でエジェクターによって押し上げられ、ピッカーによって合着されて移送される。一方、ダイの厚さが非常に薄くなるにつれて、ダイに加わる衝撃を最小限に抑えながらダイをピックアップするための方案が議論されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の実施形態は、薄い厚さを有するダイを効果的に移送することができる装置及び方法を提供する。
【0005】
本発明の解決課題は、上述したものに限定されず、上述していない別の解決課題は、以降の記載から当業者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態による半導体ダイボンディング設備でダイを移送するための装置は、ダイシングテープに付着したダイを下部から押し上げるエジェクターと、前記エジェクターの上昇又は下降を制御するエジェクター制御部と、前記エジェクターの内側に位置して真空圧を印加するための気体の流動経路を形成する気体流動部と、前記気体流動部を介して前記真空圧が加わるように制御する気流制御部と、前記エジェクターの外側に位置し、真空圧を用いて前記ダイシングテープを吸着するテープ吸着部と、前記ダイを上部から吸着して移送するピッカーと、前記ピッカーの昇降駆動を制御するピッカー制御部と、を含む。前記ピッカー制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させ、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触した状態で、前記エジェクター制御部及び前記ピッカー制御部は、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させ、前記気流制御部によって下方に真空圧が印加された状態で、前記ピッカー制御部は、前記ピッカーを第2高さだけ上昇させる。
【0007】
一実施形態において、前記気体流動部は、前記ダイに空気圧が印加されるための経路を形成し、前記気流制御部は、前記空気圧が前記気体流動部を介して印加されるように制御し、前記ピッカーが前記エジェクターから離隔した状態で上方に空気圧を印加することができる。
【0008】
一実施形態において、前記気流制御部は、前記ピッカーが下降する間に下方に真空圧が印加されるように制御することができる。
【0009】
一実施形態において、前記気流制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触したときに前記真空圧が解除されるように制御することができる。
【0010】
一実施形態において、前記気流制御部は、前記エジェクター及び前記ピッカーが前記第1高さだけ上昇する間に下方に真空圧が印加されるように制御することができる。
【0011】
一実施形態において、前記エジェクターは、前記気体流動部を囲むように形成された第1エジェクターと、前記第1エジェクターを囲むように形成された第2エジェクターと、を含むことができる。
【0012】
一実施形態において、前記エジェクター制御部は、前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターの上昇を個別に制御することができる。
【0013】
一実施形態において、前記ピッカー制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触して上昇する間に、前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターのうち、上端に位置したエジェクターに対応して一緒に上昇するように、前記ピッカーを制御することができる。
【0014】
一実施形態において、前記エジェクター制御部は、前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターを前記第1高さだけ上昇させ、前記第1エジェクターを固定させた状態で前記第2エジェクターを前記第1高さの中間地点まで下降させることができる。
【0015】
一実施形態において、前記エジェクター制御部は、前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターを前記第1高さの中間地点まで上昇させ、前記第2エジェクターを前記中間地点で固定させた状態で前記第1エジェクターを上昇させることができる。
【0016】
一実施形態において、前記第1高さと前記第2高さは、互いに異なるように設定できる。
【0017】
一実施形態において、前記第2高さは、前記第1高さよりも小さく設定できる。
【0018】
本発明の実施形態による半導体ダイボンディング設備においてダイを移送するための方法は、ダイシングテープに付着した状態のダイをエジェクターの上部に位置させるステップと、ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させるステップと、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触した状態で前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させるステップと、下方に真空圧が印加された状態で前記ピッカーを第2高さだけ上昇させるステップと、前記ピッカーが前記エジェクターから離隔した状態で上方に空気圧を印加するステップと、を含む。
【0019】
一実施形態において、前記ピッカーを下降させるステップは、前記ピッカーが下降する間に下方に真空圧を印加するステップを含むことができる。
【0020】
一実施形態において、前記ピッカーを下降させるステップは、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触したときに前記真空圧を解除するステップを含むことができる。
【0021】
一実施形態において、前記エジェクターは、前記真空圧又は空気圧が印加される気体流動部を囲むように形成された第1エジェクターと、前記第1エジェクターを囲むように形成された第2エジェクターと、を含み、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させるステップは、前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターのうち、上端に位置したエジェクターに対応して一緒に上昇するように、前記ピッカーを制御するステップを含むことができる。
【0022】
一実施形態において、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させるステップは、前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターを前記第1高さの中間地点まで上昇させるステップと、前記第2エジェクターを前記中間地点で固定させた状態で前記第1エジェクターを上昇させるステップと、を含むことができる。
【0023】
一実施形態において、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させるステップは、前記第1エジェクター及び前記第2エジェクターを前記第1高さだけ上昇させるステップと、前記第1エジェクターを固定させた状態で前記第2エジェクターを前記第1高さの中間地点まで下降させるステップと、を含むことができる。
【0024】
本発明の実施形態による半導体ボンディング設備は、個別化されたダイを含むウエハを支持し、前記ダイを選択的に分離させるウエハステージと、ウエハステージから前記ダイを移送するダイ移送ユニットと、前記ダイ移送ユニットによって移送された前記ダイが搭載されて前記ダイに対する検査が行われるダイステージと、前記ダイステージから前記ダイをピックアップし、基板上に前記ダイをボンディングするボンディングユニットと、前記基板を支持し、ボンディング済みの基板をマガジンに伝達するボンディングステージと、を含む。前記ウエハステージは、ダイシングテープに付着した前記ダイを下部から押し上げるエジェクターと、前記エジェクターの上昇又は下降を制御するエジェクター制御部と、前記エジェクターの内側に位置して真空圧又は空気圧を印加する気体の流動経路を形成する気体流動部と、前記気体流動部による前記真空圧又は前記空気圧を制御する気流制御部と、前記エジェクターの外側に位置し、真空圧を用いて前記ダイシングテープを吸着するテープ吸着部と、を含む。前記ダイ移送ユニットは、前記ダイを上部から吸着して移送するピッカーと、前記ピッカーの昇降駆動を制御するピッカー制御部と、を含む。前記ピッカー制御部は、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触するように前記ピッカーを下降させ、前記気流制御部は、前記ピッカーが下降する間に下方に真空圧が印加されるように制御し、前記ピッカーが前記ダイの上端に接触し且つ下方に前記真空圧が印加された状態で、前記エジェクター制御部及び前記ピッカー制御部は、前記エジェクター及び前記ピッカーを第1高さだけ上昇させ、前記気流制御部によって下方に真空圧が印加された状態で、前記ピッカー制御部は、前記ピッカーを第2高さだけ上昇させ、前記気流制御部は、前記ピッカーが前記エジェクターから離隔した状態で上方に空気圧を印加して前記ダイを前記ピッカーに吸着させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態によれば、初期にはダイがエジェクターとピッカーに接触した状態でダイシングテープから剥離し、以後、ダイとピッカーが離隔した状態で非接触方式にてダイをピックアップすることができ、それによりダイの損傷を防止しながらピックアップを行うことができる。
【0026】
本発明の効果は、上述したものに限定されず、上述していない他の効果は、以降の記載から当業者に明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態によるボンディング設備の概略的な構造を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態によるボンディング設備においてダイを移送するための装置の概略的な構造を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるエジェクターの断面図である。
【
図4a】本発明の実施形態によるダイを移送するための装置を示すブロック図である。
【
図4b】本発明の実施形態によるダイを移送するための装置を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態によるダイを移送するためのプロセスの一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるダイを移送するためのプロセスを示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるダイを移送するためのプロセスを示す図である。
【
図8】本発明の他の実施形態によるエジェクターの断面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態によるダイを移送するためのプロセスを示す。
【
図10】本発明の他の実施形態によるダイを移送するためのプロセスを示す。
【
図11】本発明の別の実施形態によるダイを移送するためのプロセスを示す図である。
【
図12】本発明の実施形態によるダイを移送するための方法を実行するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように詳細に説明する。本発明は、様々に異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0029】
本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって、同一又は類似の構成要素については同一の参照符号を付する。
【0030】
また、いくつかの実施形態において、同一の構成を有する構成要素については同一の符号を使用して代表的な実施形態でのみ説明し、それ以外の他の実施形態では、代表的な実施形態とは異なる構成についてのみ説明する。
【0031】
明細書全体にわたって、ある部分が他の部分と「連結(又は結合)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(又は結合)」されている場合だけでなく、別の部材を挟んで「間接的に連結(又は結合)」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0032】
他に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を持っている。一般的に使用される辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上持つ意味と一致する意味を持つものと解釈されるべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0033】
図1は本発明の実施形態によるボンディング設備100の概略的な構造を示し、
図2は本発明の実施形態によるボンディング設備100においてダイ20を移送するための装置の概略的な構造を示す。ボンディング設備100は、半導体パッケージの製造のためのダイボンディング工程で基板30(例えば、PCB、リードフレーム)上にダイ20をボンディングするために使用できる。
【0034】
本発明の実施形態によるボンディング設備100は、個別化されたダイ20を含むウエハ10を支持し、ダイ20を選択的に分離させるウエハステージ110と、ウエハステージ110からダイ20を移送するダイ移送ユニット120と、ダイ移送ユニット120によって移送されたダイ20が搭載されてダイ20に対する検査が行われるダイステージ124と、ダイステージ124からダイ20をピックアップし、基板30上にダイ20をボンディングするボンディングユニット130と、基板30を支持し、ボンディング済みの基板30をマガジン42に伝達するボンディングステージ200と、を含む。
【0035】
ボンディング設備100は、ダイシング工程によって個別化されたダイ20を含むウエハ10からダイ20をピックアップして基板30上にダイ20をボンディングすることができる。ウエハ10は、ダイシングテープ12上に付着した状態で提供されることができ、ダイシングテープ12は、略円形リング状のマウントフレーム14に装着されることができる。ロードポート102から、複数のウエハ11が収納されたカセット50が投入される。ウエハ移送ユニット104がカセット50からウエハ10を引き出してウエハステージ110上にロードし、ウエハ移送ユニット104は、カセット50とウエハステージ110との間に設置されたガイドレール106に沿って移動することができる。
【0036】
ウエハステージ110上には、円形リング状の拡張リング112が配置されることができ、拡張リング112は、ダイシングテープ12の縁部を支持することができる。また、ウエハステージ110上には、マウントフレーム14を把持するためのクランプ114と、ダイシングテープ12が拡張リング112によって支持された状態でクランプ114を下降させることによりダイシングテープ12を拡張させるクランプ駆動部(図示せず)が配置されることができる。
【0037】
ウエハステージ110上に支持されたウエハ10の下部には、ダイ20を選択的に分離させるためのエジェクティングユニット116が配置されることができる。本発明の実施形態によれば、
図3及び
図4aに示すように、エジェクティングユニット116は、ダイシングテープ12に付着したダイ20を下部から押し上げるエジェクター1161と、エジェクター1161の上昇又は下降を制御するエジェクター制御部1162と、エジェクター1161の内側に位置して真空圧を印加するための気体の流動経路を形成する気体流動部1163と、気体流動部1163を介して真空圧が印加されるように制御する気流制御部1164と、エジェクター1161の外側に位置してダイシングテープ12を吸着するテープ吸着部1165と、を含む。それだけでなく、気体流動部1163は、ダイ20に空気圧が印加されるための経路を形成することができ、気流制御部1164は、空気圧が気体流動部1163を介して印加されるように制御することができる。
【0038】
図3を参照すると、エジェクティングユニット116の中心部に気体流動部1163が位置して気体の吸引又は排出を介してダイシングテープ12及びダイ20に対して真空圧又は空気圧が印加されることができる。図示されてはいないが、気体流動部は、気体吸引のための吸引配管と気体排出のための排出配管にそれぞれ接続されることができる。また、吸引配管内部の気体流動を制御する吸引弁と、排出配管内部の気体流動を制御する排出弁が構成され、吸引弁を制御する吸引スイッチと、排出弁を制御する排出スイッチが提供されることができる。気流制御部1164は、吸引スイッチ又は排出スイッチのオン/オフを制御することにより、気体流動部1163を介して気体が吸引されることにより真空圧が印加されるようにするか、或いは気体が排出されることにより空気圧が印加されるように制御することができる。
【0039】
また、気体流動部1163の周辺を囲むように形成され、昇降駆動を介してダイ20を押し上げるエジェクター1161が位置する。エジェクター1161は、一定の剛性を有するボディで構成されることができ、リニアモータなどの駆動部(図示せず)によって上昇又は下降することができる。エジェクター制御部1162は、エジェクター1161の昇降駆動のための駆動部を制御することによりエジェクターを上昇又は下降させることができる。
【0040】
また、
図3及び
図4bに示されているように、ダイ移送ユニット120は、ダイ20を上部から吸着して移送するピッカー121と、ピッカー121の昇降駆動を制御するピッカー制御部122と、を含む。ピッカー121は、ダイ20をピックアップするために外郭部に真空圧を印加するためのホールが設けられることができる。ピッカー121の外郭部に一定の真空圧が印加され、真空圧によってダイ20がピッカー121に吸着されることができる。一方、ピッカー121は、昇降駆動部によって昇降駆動することができ、別途の駆動装置によって水平方向に移動することによりダイ20を移送することができる。ピッカー121の昇降駆動を制御するためのピッカー制御部122が提供されることにより、ピッカー121の昇降駆動及び昇降高さを制御することができる。
【0041】
図示されてはいないが、ウエハステージ110は、ステージ駆動部(図示せず)によって水平方向に移動可能に構成されることができ、ステージ駆動部は、ウエハ10のロード及びアンロードのためにガイドレール106の端部に隣接するウエハのロード/アンロード領域(
図1に点線で示されている領域)にウエハステージ110を移動させることができる。また、ステージ駆動部は、ダイ20を選択的にピックアップするためにウエハステージ110を移動させることができる。つまり、ステージ駆動部は、ダイ20のうち、ピックアップしようとするダイ20がエジェクティングユニット116の上部に位置するようにウエハステージ110の位置を調節することができる。
【0042】
エジェクティングユニット116によって分離されたダイ20は、ウエハステージ110の上部に配置されるダイ移送ユニット120によってピックアップされることができる。ダイ移送ユニット120は、ダイ20をピックアップした後、ウエハステージ110の一側に配置されるダイステージ124上にダイ20を移送することができ、ボンディングユニット130は、ダイステージ124上のダイ20をピックアップして基板30上にボンディングすることができる。このために、ピッカー121は、垂直及び水平方向に移動可能に構成されることができる。
【0043】
基板30は、第1マガジン40から引き出されてボンディングステージ200上に移送されることができ、ボンディング工程が完了した後、第2マガジン42に移送されて収納されることができる。ボンディング設備100は、ボンディングステージ200上に基板30を移送するための基板移送ユニット140を含むことができる。例えば、基板移送ユニット140は、第1マガジン40、ボンディングステージ200及び第2マガジン42の間で基板30を案内するためのガイドレール142と、基板30の一側端部を把持するためのグリッパー144と、グリッパー144を水平方向(X軸方向)に移動させるためのグリッパー駆動部146と、を含むことができる。グリッパー駆動部146は、グリッパー144によって基板30の一側端部が把持された後、グリッパー144を移動させて基板30を前記ボンディングステージ200上にロードすることができる。図示されてはいないが、基板移送ユニット140は、ボンディング工程が完了した後、基板30を第2マガジン42に移動させるための第2グリッパー(図示せず)をさらに含むことができる。
【0044】
ボンディング設備100は、ダイステージ124上のダイ20をピックアップし、基板30上にボンディングするためにボンディングユニット130を垂直方向に移動させる第1ヘッド駆動部132と、ダイステージ124とボンディングステージ200との間でボンディングユニット130を水平方向に対して垂直な第2水平方向(例えば、Y軸方向)に移動させる第2ヘッド駆動部134と、を含むことができる。詳細に図示されてはいないが、ボンディングユニット130は、ダイ20を真空圧を用いてピックアップするためのボンディングツールと、ダイ20を加熱するためのヒーターと、を含むことができる。つまり、ボンディングユニット130は、ダイステージ124上のダイ20をピックアップして基板30上にボンディングすることができる。また、ボンディングユニット130は、ウエハ10からダイ20をピックアップして基板30上に直接ボンディングすることもできる。
【0045】
一方、ボンディングステージ200の上部には、基板30の位置調節、すなわち整列のために基板30上のフィデューシャルマーク及びダイ20がボンディングされる領域を撮像するためのカメラが配置されることができる。また、図示されてはいないが、ボンディング設備100は、ウエハ10上のダイ20の検出、ダイステージ124上のダイ20の検出、ボンディングユニット130によってピックアップされたダイ20の検出などのために多数のカメラを含むことができる。
【0046】
以下、本発明の実施形態によるダイをピックアップするための装置及び方法について説明する。電子機器の小型化に伴い、ウエハ10及びダイ20の厚さも薄くなっている。薄いダイ20の場合、エジェクター1161によって押し上げられ、ピッカー121によって吸着されるときにダイ20に損傷が発生する可能性がある。
【0047】
そのため、エジェクター1161によってダイ20が押し上げられ、ピッカー121がダイ20と接触せずに一定の距離だけ離隔した状態で、気体流動部1163からの空気圧を用いてダイ20を押し上げて非接触方式でダイ20をピックアップする方式が使用できる。
【0048】
図5を参照すると、まず、エジェクター1161が最初の位置から昇降してダイ20の下部に密着し、ピッカー121がダイ20のピックアップのために上部に位置する(
図5の(a))。以後、ピッカー121がダイ20から間隔を置いて止まり(
図5の(b))、エジェクター1161が一定の高さだけ昇降してダイ20を押し上げることによりダイ20をウエハから1次的に剥離させる(
図5の(c))。ここで、ダイ20とピッカー121との間には一定の間隔があって非接触状態にあり、この状態で下方に真空圧を印加してダイシングテープ12がエジェクター1161に密着するようにすることにより、ダイ20をダイシングテープ12から2次的に剥離させる(
図5の(d))。その後、上方への空気圧を印加してダイ20がダイシングテープ12から完全に剥離してピッカー121に吸着される(
図5の(e))。以後、ピッカー121はダイ20の移送のために上昇し、エジェクター1161は最初の位置に下降することができる(
図5の(f))。
【0049】
一方、ダイ20がさらに薄くなり(30μm未満)、薄くなったダイ20に撓み(warpage)が発生してダイ20がダイシングテープ12から剥離しないため、ダイ20のピックアップが失敗するおそれがある。例えば、非常に薄いダイ20は、重量があまりにも軽く、撓みが発生した場合には、
図5のステップ(d)で下方に真空圧を印加してもダイ20の浮きによりダイシングテープ12がエジェクター1161に完全に密着しないため剥離しないことがある。
【0050】
そのため、本発明の実施形態は、ダイ20に損傷が発生することを抑制しつつ成功的にダイ20をピックアップすることができる装置及び方法を提供する。本発明の実施形態によれば、初期にはピッカー121が下降してダイ20に接触した状態でピッカー121とエジェクター1161を同時に昇降させてダイ20をダイシングテープ12から剥離させ、その後、ピッカー121を昇降させてダイ20から非接触した状態で気体の圧力を用いてピッカー121によってダイ20がピックアップされるようにすることができる。
【0051】
以下、本発明の実施形態によるダイのピックアップのための装置及び方法について詳細に説明する。
【0052】
図6及び
図7は本発明の一実施形態によるダイ20をピックアップするためのプロセスを示す。
図6はダイ20をピックアップするときにエジェクター1161及びピッカー121の位置及び気体の流動方向を示し、
図7は
図6の各ステップによるエジェクター1161及びピッカー121の高さを示す。
【0053】
本発明の実施形態によれば、ピッカー制御部122は、ピッカー121がダイ20の上端に接触するようにピッカー121を下降させる。
図6及び
図7のステップ(a)を参照すると、ピッカー121がダイ20をピックアップするために下降する。同時にエジェクター1161が最初の位置から昇降してダイ20の下部に密着することができる。また、気流制御部1164は、ピッカー121が下降する間に下方に真空圧が印加されるように制御する。下方に真空圧を印加することにより、撓んだ(warped)ダイ20が平らになるようにすることにより、ダイ20の撓みによるピックアップ失敗を予防することができる。
【0054】
図6及び
図7のステップ(b)でピッカー121がダイ20の上端に接触し、ピッカー121はダイ20に接触した状態で停止する。ここで、気流制御部1164は、ピッカー121がダイ20の上端に接触したときに真空圧が解除されるように制御することができる。
【0055】
以後、
図6及び
図7のステップ(c)のようにピッカー121がダイ20の上端に接触した状態で、エジェクター制御部162及びピッカー制御部122は、エジェクター161及びピッカー121を第1高さh1だけ上昇させる。ここで、気流制御部1164は、エジェクター1161及びピッカー121が第1高さh1だけ上昇する間に下方に真空圧が印加されるように制御することができる。ダイ20がピッカー121に接触した状態で上昇することにより、ダイ20をダイシングテープ12から1次的に剥離させることができ、ダイ20が平らな状態で上昇するので、ダイシングテープ12の浮きなしに効果的にダイ20を剥離させることができる。
【0056】
一実施形態において、第1高さh1と第2高さh2は、互いに異なるように設定できる。ここで、第2高さh2が第1高さh1よりも小さく設定できる。第2高さh2は、空気圧によってダイシングテープ12を上方に膨張させてダイ20をピッカー121に吸着させるための高さなので、第1高さh1よりも小さく設定すればダイ20が容易に吸着されるだろう。ただし、これは、ユーザーの意図によって異なるように設定できるもので、実施形態によって第2高さh2が第1高さh1よりも大きいこともある。
【0057】
以後、
図6及び
図7のステップ(d)のように気流制御部1164によって下方に真空圧が印加された状態で、ピッカー制御部122は、ピッカー121を第2高さh2だけ上昇させる。つまり、ピッカー121がエジェクター1161から一定の距離を持つように離隔するようにする。ダイ20の上昇ステップでダイ20がダイシングテープ12から完全に剥離した場合、ダイ20はピッカー121に吸着されるだろう。
【0058】
ただし、場合によってはダイ20がダイシングテープ12から完全に剥離しないこともあるので、さらに非接触方式のピックアップと同様の方式が使用できる。
図6及び
図7のステップ(e)のように、気流制御部1164は、ピッカー121がエジェクター1161から離隔した状態で上方に空気圧を印加してダイ20をピッカー121に吸着させる。それにより、ダイ20をダイシングテープ12から完全に分離させ、ダイ20がピッカー121に吸着されるようにすることができる。以後、
図6及び
図7のステップ(f)のようにピッカー121が上昇してダイ20を移送し、エジェクター1161は下降して最初の位置に戻ることができる。
【0059】
一方、本発明の他の実施形態によれば、エジェクター1161は、多数の単位エジェクターで提供されることができる。つまり、エジェクター1161を多段に構成することができる。例えば、
図8に示すように、エジェクター1161は、気体流動部1163を囲むように形成された第1エジェクター1161Aと、第1エジェクター1161Aを囲むように形成された第2エジェクター1161Bと、を含むことができる。
【0060】
エジェクター制御部1162は、第1エジェクター1161A及び第2エジェクター1161Bの昇降を個別に制御することができ、それによりエジェクター1161の時間的/空間的多段駆動を可能にすることができる。一方、エジェクター1161が単一の単位エジェクターで構成される場合にも、時間的に多段駆動を可能にすることができる。
【0061】
この場合、ピッカー制御部122は、ピッカー121がダイ20の上端に接触して上昇する間、第1エジェクター1161A及び第2エジェクター1161Bのうち、上端に位置したエジェクターに対応して一緒に上昇するようにピッカー121を制御することができる。
【0062】
図9及び
図10は本発明の他の実施形態によるダイ20をピックアップするためのプロセスを示す。
図9はダイ20をピックアップするときにエジェクター1161及びピッカー121の位置及び気体の流動方向を示し、
図10は
図9の各ステップによるエジェクター1161及びピッカー121の高さを示す。
【0063】
本発明の実施形態によれば、ピッカー制御部122は、ピッカー121がダイ20の上端に接触するようにピッカー121を下降させる。
図9及び
図10のステップ(a)を参照すると、ピッカー121がダイ20をピックアップするために下降する。同時に、第1エジェクター1161A及び第2エジェクター1161Bが最初の位置から一緒に上昇してダイ20の下部に密着することができる。また、気流制御部1164は、ピッカー121が下降する間に下方に真空圧が印加されるように制御する。下方に真空圧を印加することにより、撓んだ(warped)ダイ20が平らになるようにすることにより、ダイ20の撓みによるピックアップ失敗を予防することができる。
【0064】
図9及び
図10のステップ(b)において、ピッカー121がダイ20の上端に接触し、ピッカー121は、ダイ20に接触した状態で停止する。ここで、気流制御部1164は、ピッカー121がダイ20の上端に接触したときに真空圧が解除されるように制御することができる。
【0065】
以後、
図9及び
図10のステップ(c)のようにピッカー121がダイ20の上端に接触した状態で、エジェクター制御部162及びピッカー制御部122は、第1エジェクター1161A、第2エジェクター1161B、及びピッカー121を第1高さh1の中間地点まで上昇させる。ここで、気流制御部1164は、第1エジェクター1161A、第2エジェクター1161B、及びピッカー121が第1高さh1の中間地点まで上昇する間に下方に真空圧が印加されるように制御することができる。
【0066】
また、
図9及び
図10のステップ(c)のように第2エジェクター1161Bを中間地点で固定させた状態で第1エジェクター1161Aを上昇させることができる。同様に、ここで、気流制御部1164は、第1エジェクター1161A及びピッカー121が上昇する間に下方に真空圧が印加されるように制御することができる。
【0067】
本実施形態によれば、第1エジェクター1161A及び第2エジェクター1161Bを段階的に上昇させることにより、ダイ20が外側から順次ダイシングテープ12から剥離するようにすることができ、それによりダイ20をより効果的に剥離させることができる。
【0068】
以後、
図9及び
図10のステップ(d)のように気流制御部1164によって下方に真空圧が印加された状態で、ピッカー制御部122は、ピッカー121を第2高さh2だけ上昇させる。つまり、ピッカー121が第1エジェクター1161Aから一定の距離を持つように離隔するようにする。ピッカー121の上昇ステップでダイ20がダイシングテープ12から完全に剥離した場合、ダイ20はピッカー121に吸着されるだろう。
【0069】
同様に、
図9及び
図10のステップ(e)のように、気流制御部1164は、ピッカー121がエジェクター1161から離隔した状態で上方に空気圧を印加してダイ20をピッカー121に吸着させる。それにより、ダイ20をダイシングテープ12から完全に分離させ、ダイ20がピッカー121に吸着されるようにすることができる。以後、ピッカー121が上昇してダイ20を移送し、エジェクター1161は、下降して最初の位置に戻ることができる。
【0070】
一方、本発明の他の実施形態によれば、第1エジェクター1161A及び第2エジェクター1161Bが同時に第1高さh1だけ上昇した後、外側に位置した第2エジェクター1161Bを下降させることにより、ダイシングテープ12からダイ20を外側から順次剥離させることができる。
【0071】
図11は本発明の別の実施形態によるダイ20をピックアップするためのプロセスを示す。
【0072】
本発明の実施形態によれば、ピッカー制御部122は、ピッカー121がダイ20の上端に接触するようにピッカー121を下降させる。
図11のステップ(a)を参照すると、ピッカー121がダイ20をピックアップするために下降する。同時に、第1エジェクター1161A及び第2エジェクター1161Bが最初の位置から一緒に上昇してダイ20の下部に密着することができる。また、気流制御部1164は、ピッカー121が下降する間に下方に真空圧が印加されるように制御する。下方に真空圧を印加することにより、撓んだ(warped)ダイ20が平らになるようにすることにより、ダイ20の撓みによるピックアップ失敗を予防することができる。
【0073】
図11のステップ(b)でピッカー121がダイ20の上端に接触し、ピッカー121は、ダイ20に接触した状態で停止する。ここで、気流制御部1164は、ピッカー121がダイ20の上端に接触したときに真空圧が解除されるように制御することができる。
【0074】
以後、
図11のステップ(c)のようにピッカー121がダイ20の上端に接触した状態で、エジェクター制御部162及びピッカー制御部122は、第1エジェクター1161A、第2エジェクター1161B、及びピッカー121を第1高さだけ上昇させる。ここで、気流制御部1164は、第1エジェクター1161A、第2エジェクター1161B、及びピッカー121が第1高さh1だけ上昇する間に下方に真空圧が印加されるように制御することができる。
【0075】
また、
図11のステップ(c)のように第1エジェクター1161Aを固定させた状態で、第2エジェクター1161Bを第1高さh1の中間地点まで下降させることができる。同様に、ここで、気流制御部1164は、第2エジェクター1161Bが下降する間に下方に真空圧が印加されるように制御することができる。
【0076】
本実施形態によれば、第1エジェクター1161A及び第2エジェクター1161Bを一緒に上昇させた後、外側の第2エジェクター1161Bを下降させることにより、ダイ20が外側から順次ダイシングテープ12から剥離するようにすることができ、それによりダイ20をより効果的に剥離させることができる。
【0077】
以後、
図11のステップ(d)のように気流制御部1164によって下方に真空圧が印加された状態で、ピッカー制御部122は、ピッカー121を第2高さh2だけ上昇させる。つまり、ピッカー121が第1エジェクター1161Aから一定の距離を持つように離隔するようにする。ピッカー121の上昇ステップでダイ20がダイシングテープ12から完全に剥離した場合、ダイ20はピッカー121に吸着されるだろう。
【0078】
同様に、気流制御部1164は、ピッカー121が第1エジェクター1161Aから離隔した状態で上方に空気圧を印加してダイ20をピッカー121に吸着させる。それによりダイ20をダイシングテープ12から完全に分離させ、ダイ20がピッカー121に吸着されるようにすることができる。以後、ピッカー121が上昇してダイ20を移送し、エジェクター1161は、下降して最初の位置に戻ることができる。
【0079】
図12は本発明の実施形態によるダイ20を移送するための方法を実行するためのフローチャートである。
図12の各動作は、各制御部又はプロセッサによって制御されてボンディング設備100の各モジュールによって行われることができる。
【0080】
本発明の実施形態によるダイ20を移送するための方法は、ダイシングテープ12に付着した状態のダイ20をエジェクター1161の上部に位置させるステップ(S1205)と、ピッカー121がダイ20の上端に接触するようにピッカー121を下降させるステップ(S1210)と、ピッカー121がダイ20の上端に接触した状態でエジェクター1161及びピッカー121を第1高さh1だけ上昇させるステップ(S1215)と、下方に真空圧が印加された状態でピッカー121を第2高さh2だけ上昇させるステップ(S1220)と、ピッカー121がエジェクター1161から離隔した状態で上方に空気圧を印加してダイ20をピッカー121に吸着させるステップ(S1225)と、を含む。
【0081】
一実施形態において、ピッカー121を下降させるステップ(S1210)は、ピッカー121が下降する間に下方に真空圧を印加するステップを含むことができる。
【0082】
一実施形態において、ピッカー121を下降させるステップは、ピッカー121がダイ20の上端に接触したときに真空圧を解除するステップを含むことができる。
【0083】
一実施形態において、エジェクター1161及びピッカー121を上昇させるステップ(S1215)は、エジェクター1161及びピッカー121が第1高さh1だけ上昇する間に下方に真空圧を印加するステップを含むことができる。
【0084】
一実施形態において、エジェクター1161は、真空圧又は空気圧が印加される気体流動部1163を囲むように形成された第1エジェクター1161Aと、第1エジェクター1161Aを囲むように形成された第2エジェクター1161Bと、を含み、エジェクター1161及びピッカー121を第1高さh1だけ上昇させるステップ(S1215)は、第1エジェクター1161A及び第2エジェクター1161Bのうち、上端に位置したエジェクターに対応して一緒に上昇するようにピッカー121を制御するステップを含むことができる。
【0085】
エジェクター1161及びピッカー121を上昇させるステップ(S1215)は、第1エジェクター1161A及び第2エジェクター1161Bを第1高さh1の中間地点まで上昇させるステップと、第2エジェクター1161Bを中間地点で固定させた状態で第1エジェクター1161Aを上昇させるステップと、を含むことができる。
【0086】
エジェクター1161及びピッカー121を上昇させるステップ(S1215)は、第1エジェクター1161A及び第2エジェクター1161Bを第1高さh1だけ上昇させるステップと、第1エジェクター1161Aを固定させた状態で第2エジェクター1161Bを第1高さh1の中間地点まで下降させるステップと、を含むことができる。
【0087】
本実施形態及び本明細書に添付された図面は、本発明に含まれる技術的思想の一部を明確に示しているものに過ぎず、本発明の明細書及び図面に含まれている技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推することができる変形例と具体的な実施形態はいずれも本発明の権利範囲に含まれることが自明であるというべきである。
【0088】
したがって、本発明の思想は、説明された実施形態に局限されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等であるか或いは等価的変形があるすべてのものは、本発明の思想の範疇に属するというべきである。