(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】電池パックの通気
(51)【国際特許分類】
H01M 50/317 20210101AFI20230818BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20230818BHJP
H01M 50/325 20210101ALI20230818BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230818BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20230818BHJP
F16K 15/14 20060101ALI20230818BHJP
F16K 17/40 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
H01M50/317 201
H01M50/342 201
H01M50/325
H01M50/204 401D
H01M50/249
F16K15/14 A
F16K17/40 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021208761
(22)【出願日】2021-12-22
【審査請求日】2021-12-24
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520490406
【氏名又は名称】リヴィアン アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル アルフレド ヘルナンデス サーブ
(72)【発明者】
【氏名】カイル バターフィールド
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-080292(JP,A)
【文献】特開2009-004193(JP,A)
【文献】中国実用新案第213124586(CN,U)
【文献】国際公開第2012/140791(WO,A1)
【文献】特開2015-082493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30
H01M 50/20
F16K 15/14
F16K 17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックであって、
少なくとも1つの電池セルのための包囲体と、
前記包囲体の少なくとも1つの壁に埋設された1つ以上の通気口であって、前記1つ以上の通気口の各々が、前記包囲体内の過剰な圧力を低減させるように構成される、1つ以上の通気口とを備え、前記1つ以上の通気口が、1つ以上の弁を少なくとも含み、
前記1つ以上の弁は、
通気プラグ弁であって、第1の流量で、前記通気プラグ
弁を通して通気するように構成された通気プラグ弁と、
傘弁であって、前記第1の流量よりも大きい第2の流量で、前記傘弁を通して通気するように構成された、傘弁と、
変形可能な通気構造体であって、当該変形可能な通気構造体は、第3の流量を、前記変形可能な通気構造体を通して可能にするように構成され、前記第3の流量が前記第2の流量よりも大きい、変形可能な通気構造体と、
を含む、電池パック。
【請求項2】
前記通気プラグ弁が、通気ポートの上に固定される、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記通気プラグ弁が、前記壁の1つの表面に対して軸方向に調整可能であり、前記通気プラグが、前記壁の前記1つに設置される、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記通気プラグが、前記電池パック内の第1の閾値圧力に応答して、前記第1の流量で通気するように構成されている、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記傘弁が、傘シールを含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記傘弁が、前記電池パック内の第2の閾値圧力に応答して、前記第2の流量で通気するように構成されている、請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記傘弁が、複数の通気チャネルを画定する複数の支持体を更に備え、前記複数の通気チャネルが傘プラグを通って延在している、請求項6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記変形可能な通気構造体が、前記複数の支持体を含み、前記複数の支持体がそれぞれ、支持体の厚さを画定し、前記支持体の厚さが、前記傘プラグを通して通気される所定の熱量に応答して溶融するように構成され、前記所定の熱量が、前記第3の流量と関連付けられる、請求項7に記載の電池パック。
【請求項9】
前記傘弁が、前記傘シールの中心直径に前記変形可能な構造体を含む、請求項5に記載の電池パック。
【請求項10】
前記傘弁が、前記包囲体への液体の流入を防止するように構成された膜を含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項11】
前記変形可能な通気構造体が、前記変形可能な通気構造体を通した流体流入を防止するように構成されたシールを含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項12】
前記変形可能な通気構造体が、前記第3の流量と関連付けられた熱エネルギーの放出に露出されたときに溶融するように構成されている、請求項11に記載の電池パック。
【請求項13】
前記変形可能な通気構造体が、前記第3の流量と関連付けられた前記熱エネルギーの放出に基づいてサイズ決定される、請求項12に記載の電池パック。
【請求項14】
前記1つ以上の通気口の各々が、それぞれの壁の外面を越えて突出しないように、複数の壁の前記それぞれの壁に埋設される、請求項1に記載の電池パック。
【請求項15】
前記1つ以上の通気口の各々が、ねじ付き部分を有し、前記ねじ付き部分が、前記1つ以上の弁がそれぞれ設置される前記壁のねじ付き凹部と係合するように構成される、請求項14に記載の電池パック。
【請求項16】
前記1つ以上の通気口の各々が、半径方向シールを有し、前記電池パックの周囲の環境に露出される前記1つ以上の弁の各々の一部分を液体が通過することを防止するように、前記半径方向シールが構成される、請求項1に記載の電池パック。
【請求項17】
電池システムが、前記包囲体内に位置付けられた1つ以上のセンサからの信号を処理するように構成された制御回路を更に備える、請求項1に記載の電池パック。
【請求項18】
前記1つ以上のセンサが、前記包囲体内の静止した水を検出するように構成された水センサと、温度センサと、電圧センサと、圧力センサと、を備える、請求項17に記載の電池パック。
【請求項19】
車両システムであって、
複数の電池セルのための包囲体を少なくとも部分的に画定する複数の壁であって、前記包囲体が、熱膨張によって前記包囲体内に過剰な圧力を生じるように、実質的にシールされる、複数の壁と、
前記包囲体の少なくとも1つの壁に埋設された1つ以上の通気口であって、前記1つ以上の通気口の各々が、前記包囲体内の前記過剰な圧力を低減させるように構成された、1つ以上の通気口とを含み、前記1つ以上の通気口が、1つ以上の弁を少なくとも含み、
前記1つ以上の弁は、
第1の流量で、通気プラグを通して通気するように構成された通気プラグ弁と、
傘弁であって、前記第1の流量よりも大きい第2の流量で、前記傘弁を通して通気するように構成された、傘弁と、
変形可能な通気構造体であって、当該変形可能な通気構造体は、第3の流量を、前記変形可能な通気構造体を通して可能にするように構成され、前記第3の流量が前記第2の流量よりも大きい、変形可能な通気構造体と、
を含む、車両システム。
【請求項20】
電池パックを通気するための方法であって、
車両に電気を提供するために複数の電池セルを配設することと、
複数の壁によって前記複数の電池セルを封入することであって、前記複数の壁が、温度上昇によって包囲体内に過剰な圧力が生じるように、実質的にシールされる、封入することと、
前記複数の壁に複数の通気構造体を埋設することであって、前記複数の通気構造体の各々が、前記包囲体から通気して前記過剰な圧力を低減させるように構成されている、埋設することと、を含み、
前記複数の通気構造体に含まれる第1の通気口タイプが、第1の流量で前記包囲体から通気するように構成され、
前記複数の通気構造体に含まれる第2の通気口タイプが、第2の流量で前記包囲体から通気するように構成され、前記第2の流量が、前記第1の流量よりも大きく、
前記複数の通気構造体に含まれる第3の通気口タイプが、第3の流量で前記包囲体から通気するように構成され、前記第3の流量が、前記第2の流量よりも大きい、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池パックからの圧力及び熱を通気するシステムに関し、より具体的には、電池パックからの圧力及び/又は熱を通気することを可能にするとともに、電池パックへの流体流入を制限又は防止する組立体に関する。
【発明の概要】
【0002】
少なくともいくつかの例示的な図では、1つ以上の電池セルと、電池セルのための包囲体を少なくとも部分的に画定する1つ又は複数の壁と、を備える、電池パックが提供される。包囲体は、温度上昇によって包囲体内に過剰な圧力が生じるように、実質的にシールされる。パックはまた、複数の壁に埋設された1つ又は複数の通気口も含み、これらはそれぞれ、包囲体から通気して過剰な圧力を低減させるように構成されている。複数の通気口は、第1の流量で包囲体から通気するように構成された通気プラグ弁と、第1の流量よりも大きい第2の流量で傘弁を通して包囲体から通気するように構成された傘弁と、を含む、少なくとも1つ又は複数の弁を備え得る。パックはまた、物理的に変形して、変形可能な通気構造体を通した第3の流量を可能にするように構成された変形可能な通気構造体も含み得、第3の流量は、第2の流量よりも大きい。
【0003】
少なくともいくつかの例示的な図では、車両システムは、車体と、車体内部に装着された複数の電池パックと、を備え得る。電池パックは、上で説明したように、1つ以上の電池セルと、1つ以上の壁と、を含み得る。電池パックは、複数の電池セルのための包囲体を少なくとも部分的に画定する複数の壁を備え得る。包囲体は、熱膨張によって包囲体内に過剰な圧力が生じるように、実質的にシールされ得る。電池パックは、複数の壁に埋設された複数の通気構造体を含み得、複数の通気構造体の各々が、過剰な圧力を通気するように構成されている。複数の通気構造体は、第1の流量で固定位置弁を通して包囲体から通気するように構成された固定位置弁と、第1の流量よりも大きい第2の流量で包囲体から通気するように構成された傘弁と、を含む、複数の弁を含み得る。複数の通気構造体はまた、第2の流量よりも大きい第3の流量が、変形可能な通気口を通して包囲体内部から熱を通気することを可能にするように構成された変形可能な通気口も含み得る。
【0004】
少なくともいくつか実施例では、電池組立体又はパックを通気する方法は、複数の電池セルを配設して車両に電気を提供することと、複数の電池セルを複数の壁によって封入することと、を含む。複数の壁は、温度上昇によって過剰な圧力が包囲体内に生じるように、実質的にシールされ得る。本方法は、複数の壁に複数の通気構造体を埋設することを更に含み得る。複数の通気構造体の各々は、包囲体から通気して、過剰な圧力を低減するように構成され得る。複数の通気構造体は、第1の流量で第1の通気構造体を通して包囲体から通気するように構成された第1の弁と、第1の流量よりも大きい第2の流量で第2の通気構造体を通して包囲体から通気するように構成された第2の弁構造体と、を含む、1つ以上の弁を含み得る。複数の通気構造体は、物理的に変形して、第2の流量よりも大きい第3の流量で変形可能な構造体をとして包囲体から通気するように構成された、変形可能な通気構造体を更に含み得る。
【0005】
本開示を、1つ以上の様々な実施形態に従って、以下の図を参照して詳細に説明する。図面は、例示のみを目的として提供され、単に典型的又は例示的な実施形態を示す。これらの図面は、本明細書に開示される概念の理解を容易にするために提供され、これらの概念の広さ、範囲、又は適用性を限定するものと見なされるべきではない。明確にするために、また、説明を容易にするために、これらの図面は必ずしも縮尺どおりに作製されていないことに留意されたい。本開示の上記の並びに他の目的及び利点は、添付図面と併せてなされる、以下の詳細な説明を考慮することで明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、電池パックの、又は電池パックの壁の複数の通気構造体とともに構成された組立体の上面図を示す。
【0007】
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、第1の流量又は第1の最大流量で通気するように構成された通気プラグ弁である、第1の通気構造体の断面図を示す。
【0008】
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、第2の流量又は第2の最大流量で通気するように構成された傘弁である、第2の通気構造体の断面図を示す。
【0009】
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、第3の流量又は第3の最大流量で通気するように構成されたバーストディスクである、変形可能な通気構造体の断面図を示す。
【0010】
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、通気のためのチャネルを画定する複数の支持体を有する傘弁の底面図を示す。
【0011】
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、変形可能な通気構造体で構成された傘弁の底面図を示す。
【0012】
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、第1の流量又は第1の最大流量、第2の流量又は第2の最大流量、及び第3の流量又は第3の最大流量に適応するために複数の通気構造体を有する電池パックを組み立てるための例示的なプロセス700のフローチャートを示す。例示的な一実施例では、プロセス700を使用して、
図2の通気プラグ弁200、
図3の傘弁300、
図4の変形可能な通気構造体400、
図5の変形可能な傘支持体500、
図6の変形可能な傘600、又はそれらの任意の組み合わせを含む、
図1の電池パック100を形成し得る。
【0013】
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な車両及び電池パック組立体の概略図を示す。
【0014】
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による、電池パック組立体に関する車両情報を提供するように配設されたセンサからデータを受信して処理するための例示的なプロセスのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特に車両推進のための、複数の電子的給電装置を支持する最新の車両及び他のインフラストラクチャは、ともにパッケージ化された複数の電池セルを利用して、電池パック又は組立体を形成し得る。セルは、パック内の複数のモジュール又は組立体に含まれ得る。いくつかの電池パックでは、電池セルは、熱を発生し、電池パックから熱が通気されなかった場合、この熱は、電池セルへの損傷につながり得る。いくつかの電池パックは、ポートに固定された、例えば合成フルオロポリマーで形成された、膜を通した熱の受動的通気に依存する。しかしながら、これらの固定された通気装置は、一般に、例えば熱及び圧力の迅速な蓄積が電池パック内に生じる事象に応答して、迅速に又はより大きい体積の熱を通気することができない。
【0016】
可動膜で構成される可動弁、例えば傘弁は、ガスが電池パックから逃げることとともに、一般に水又は他の液体の流入を防止することを可能にし得る。傘弁は、弁を電池パックに固定する界面の周りのシールが不十分であるので、この性質の傘弁を利用している組立体は、依然として水及び湿気が電池パックに進入し得るという欠陥があり得る。追加的に、これらの弁は、弁が設置される電池パックの表面から外方に突出する傾向がある。この突出は、設置及びパッケージ中に弁に損傷を生じさせる場合があり、この損傷は、電池パックの使用中の水の流入につながり得る。更に、これらの可動弁は、極端な温度又は圧力事象の下で十分な通気を提供しない場合がある。
【0017】
これらの及び他の欠陥は、本明細書で説明する例示的な電池パック及び方法によって対処される。いくつかの実施形態では、複数の通気装置又は構造体を提供して、電池パック又は組立体から比較的大きい熱量を通気するのに十分な通気を増加させるとともに、水の浸入に対する電池パックのシールも向上させ得る。複数の通気構造体は、異なるタイプ又は通気能力を含み得、それによって、異なる事象に応答して電池パックの一般に段階的な通気を可能にする。例えば、通気構造体は、例えば電池パック内部の圧力の緩増又は微増に応答するために、一般に比較的に低い通気流量を可能にする、固定又はプラグ型を含む、複数の弁を含むことができる。複数の弁の別のものは、一時的に撓んで包囲体からの圧力を放出する可動膜又は他のシール構造体を有する、可動弁又は傘型弁であり得る。可動弁は、プラグ/固定弁によって提供される速度を超える第2の速度で包囲体から通気し得る。通気構造体はまた、複数の弁に加えて、変形可能な通気構造体も含み得、これは、例えば溶融すること、破裂することなどによって物理的に変形して、又は別様に機械的に破損して、包囲体からの熱及び/又は圧力の迅速な放出を可能にするように構成されている。したがって、固定弁及び/又は可動弁によって軽減することができない速度で蓄積する熱及び圧力は、変形可能な通気構造体を通して包囲体から通気され得る。いくつかの実施例では、変形可能な通気構造体の機械的な破損は、包囲体壁の開口部を形成又は拡大して、通気を提供する。開口部は、車両が横断し得る予想水位に基づいて、水が流入するリスクを最小にするように位置付けられ得る。開口部はまた、電池パックの包囲体内の熱又は圧力事象に関する視覚的な指示又はキューも提供し得、電池パックの交換又は点検を容易にする。例えば、通気構造体は、閾値限界を超える温度又は圧力への露出に応じて色を変化させる材料で形成され得る。一実施例では、変形可能な通気構造体が所定の閾値又は限度を超える温度又は圧力に露出されたときに、淡色の樹脂(例えば、白色樹脂)が、濃色(例えば、茶色又は黒色)になる。
【0018】
いくつかの例手法において、封入された電池セルの予想される熱若しくは圧力荷重、及び/又は電池セルの電力出力能力に基づいて、複数の異なる通気構造体の各々、例えば、複数の通気プラグ、傘弁、及び変形可能な通気構造体が存在する。いくつかの実施形態では、変形可能な通気構造体は、例えば可動弁又は傘弁の一部である変形可能な構造体を経由して、弁に組み込まれ得る。この、単一の通気装置、例えば可動弁又は傘弁における複数の通気構造体の組み合わせは、電池パックの包囲体及び/又はシール界面の開口部の数を好都合に低減させ得る。
【0019】
したがって、本明細書の例示的な電池システム及び方法は、一般に、3つの異なる流量で熱及び/又は圧力を通気して、電池セルの性能に影響を及ぼす3つの異なるタイプの熱又は圧力の問題に対処し得る。したがって、例示的な電池パックは、電池パック又は包囲体の点検又はその交換を必要とすることなく、異なる熱及び圧力事象、並びに異なる熱及び圧力に基づく事象の複数の発生に応答し得る。追加的に、この手法は、一般に、水及び他の汚染物質が電池の包囲体に進入することからシールする。本開示の手法はまた、以前の設計の欠陥にも対処し、弁及び他の通気口は、例えば外壁面を越えて、電池包囲体の表面から突出し得るが、本開示の通気構造体は、通気構造体及び/又は弁の最外部分が包囲体の外面の平面を越えて突出しないように、包囲体の壁に埋設され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、複数の通気構造体の各々は、ねじ付き部分によって包囲体壁内に位置付けられ、通気構造全体は、包囲体壁の内面に残ったままであるように、かつ/又は包囲体壁の外面を越えて突出しないように位置付けられる。かかるいくつかの実施例では、半径方向シールが、複数の弁の各々のねじ付きシャンク又は一部分と弁の半径方向外面との間に位置付けられて、電池包囲体の周囲の環境への水の流入を防止する。
【0021】
いくつかの実施例では、電池包囲体は、電池パック又は包囲体内に設置された複数のセンサからの信号を処理するように構成された車両制御回路と通信する。複数のセンサは、温度センサ、電圧センサ、圧力センサ、又は電池包囲体内の静止した水を検出するように構成されたセンサのうちの少なくとも1つを含み得る。これらのセンサの各々は、電池包囲体の内部及び周囲の状態に関連するデータを収集するように構成され得る。データは、状態及び警告を車両システムのユーザに提供するように構成された制御回路で構成された車両システムによって処理される。
【0022】
ここで
図1を参照すると、例示的な電池パック又は組立体100は、一般に、本明細書で説明するシステム及び方法の例示的な実施形態を示し得る。電池パック100は、複数の通気構造体108、110、及び112を有するものとして示されている。下で更に考察されるように、通気構造体は、通気プラグ弁200(
図2を参照されたい)、可動弁又は傘弁300(
図3を参照されたい)などの弁を含み得る。通気構造体108、110、112のうちの1つ以上はまた、変形可能な通気構造体も含み得る。いくつかの実施例では、変形可能な通気構造体は、例えば変形可能なバーストディスク通気構造体400(
図4を参照されたい)の形態の、パック100の他の通気構造体とは別個の部品又は装置であり得る。しかしながら、他の実施例では、変形可能な通気構造体は、例えば半径方向支持弁500(
図5を参照されたい)又はバーストディスク傘600(
図6を参照されたい)に関して下で更に説明するように、可動弁が組み込まれ得る。したがって、半径方向支持弁500及び/又はバーストディスク傘600は、通気プラグ200及び/若しくは傘弁300と組み合わせて、又はその代わりに、電池パック100に組み込まれ得る。更に下でも説明するように、電池パック100はまた、
図7の方法700に従って構成され得、また、電池パック組立体804として
図8の車両システム800に組み込まれ得る。電池パック100はまた、
図9の方法900の実行を容易にするのに必要な範囲で、センサとともに構成され得る。
【0023】
ここで
図1を参照すると、電池パック100は、壁組立体102によって封入され得る。壁組立体102は、電池モジュール又は組立体104a~iの周りに包囲体を形成し得る。モジュール104の各々は、1つ以上の、場合によっては多数の電池セルを含み得る。パック100の包囲体は、実質的にシールされ得る。より具体的には、壁組立体102によって画定された包囲体に出入りする流体の流れ、例えば周囲空気は、下で更に考察されるように、通気構造体108、110、及び112によって許容されるものに限定され得る。したがって、例えば電池モジュール組立体104の温度の上昇、モジュール104a~iからの通気などによる、壁組立体102内の圧力及び/又は温度の上昇は、一般に、壁組立体102内の圧力の上昇を生じさせ得る。したがって、過剰な圧力は、壁組立体102の包囲体内から、通気構造体108、110、112のうちの1つ以上を経由して通気され得る。電池モジュール組立体104a~iは、より大きい車両システムに提供される電気エネルギー量を発生させるために相互接続される複数の電池セルで構成され得る。電池モジュール組立体104a~iは、電池パック100が電力を提供するように構成された構造体の利用可能なパッキング空間に応じて、垂直に、水平に配設され得るか、又は互いの上に積み重ねられ得る。電池モジュール組立体104a~iは、電池モジュール組立体104a~iによって発生する熱のためのチャネルを形成し得る分割壁によって分離され得る。流れ106は、電池モジュール組立体104a~iによって発生する圧力及び/又は熱の可能な経路を示す。流れ106は、電池モジュール組立体104a~iの使用状況又は電池パック100の他の状態に基づいて、複数のレベルで現れ得る。例えば、電池モジュール組立体104a~iは、電池モジュール組立体104a~iが配設されるシステムによって形成される電流が低い又は通常の動作レベルであるときに、低い流量でより低い量の圧力又は熱を発生し得る。対照的に、下で更に考察されるように、壁組立体102内の圧力のより有意な又は迅速な蓄積に応答して、より大量の圧力及び/又は熱が、他の通気構造体108、110、及び/又は112を通して通気され得る。
【0024】
別の実施例では、電池モジュール100内の電流量及び結果として生じる熱出力又は圧力は、例えば電池モジュール組立体100を電力供給源及び/又は保管のために利用する電気自動車の一部として、能動的使用におけるいくつかの車両システムに関連し得る。例えば、第1の量の圧力又は熱は、車両が車両起動コマンドを監視するために補助電力のみを使用するときに発生し得(例えば、毎秒12ジュールの熱出力に等しい、12ワット)、第2の量の圧力は、車両の電源をオンにして、車両システムの大部分が定常状態で機能及び動作することを可能にしたときに、車両がアイドル状態の電力量を使用しているときに発生し得(例えば、毎秒18ジュールの熱出力に等しい、18ワット)、第3の量の圧力は、車両及び車両内のシステムが全て、より高い又は最大容量で動作しているときに、車両がより高い又は最大の電力量を使用しているときに発生し得る(例えば、毎秒36ジュールの熱出力に等しい、36ワット)。これらの出力の各々は、壁組立体102を備える複数の壁の配設、並びにエネルギー出力、及び電池モジュール組立体104a~iの位置付けに基づいて、例示的な流れ106によって電池パック100の全体にわたって伝搬し得る。
【0025】
別の実施例では、電池モジュール組立体100は、異なるレベル又は閾値の内部圧力又は熱に応答して、モジュール100内から通気するように構成されている。より具体的には、1つ以上の通気プラグ弁は、電池モジュール組立体100内で動作する電池セルによって発生する熱によって形成され得る第1の量の圧力、例えば電池モジュール100内の5kPaの圧力を通気するように構成され得る。より高いレベルの圧力は、他の通気構造体を介してモジュール100から通気され得る。より具体的には、可動弁又は傘型弁は、モジュール100内で追加の圧力を形成する電池セル又は他の状態によるより高いレベルの熱出力に応答して、より高いレベルの圧力、例えば電池モジュール100内の10kPaの圧力を通気するように構成され得る。更に、より高いレベルの圧力及び/又は熱、例えば50kPaの圧力又は600℃は、変形可能な弁によってモジュール100から通気され得る。これらの出力の各々は、壁組立体102を備える複数の壁の配設に基づいて、例示的な流れ106によって、電池モジュール組立体100の全体にわたって伝搬し得る。
【0026】
別の実施例では、電池パック100内の状態は、電池モジュール組立体104a~iから発生する熱の直接的な結果として、又は電池パック100の動作によって生じるいくつかの他の状態によって、高い圧力をもたらし得る。例えば、電池パック100内の状態は、典型的に、1気圧などの周囲圧力であり得る。車両の動作と電池モジュール組立体104a~iからの電流との間で、電池パック100内の状態は、1気圧から1.1気圧に変化し得、これは、車両が第1の流量又は第1の最大流量の軽減に対応する車両起動コマンドを監視するために補助電力のみを使用している間、0.001m3/秒で受動的に通気する必要があるガス粒子の流れ106を形成し得る。第2の最大流量は、1気圧から1.4気圧への圧力の変化に対応し得、これは、車両の電源をオンにして、車両システムの大部分が定常状態で機能及び動作することを可能にしている間、0.01m3/秒でより能動的に通気する必要があるガス粒子の流れ106を形成し得る。第3の流量又は第3の最大流量は、1気圧から2.5気圧への圧力の変化に対応し得、これは、車両及び車両内のシステムが全て、設計閾値を超えてある期間にわたって最大能力で動作しているときに、車両が高い又は最大の電力量を使用しているときに、ほぼすぐに1m3/秒で通気する必要があるガス粒子の流れ106を形成し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、電池パック100は、壁組立体102の全体にわたって複数のタイプの通気構造体を組み込む。通気構造体の各々は、壁組立体102の側面から外へ通気するように配設され得る。通気構造体は、電池パック100の特定のセクション内の圧力又は熱の蓄積を最小にするための流れ106の考慮事項に基づいて配設され得る。例えば、第1の通気構造体のタイプは、通気ポート108a及び108bであり得る。この実施例では、流れ106に基づいて、流れ106を受ける電池モジュール組立体104a~cのみが存在する。したがって、圧力及び/又は熱は、より遅い速度で蓄積し得る。通気ポート108a及び108bは、各々が、
図2の通気プラグ200を含み得、また、壁組立体102の埋め込みねじ山に対して固定高さに位置付けられ得る。固定高さは、低いレベルの圧力及び/又は熱を通気ポート108a及び108bから放出することを可能にするとともに、湿気又は他の流体が通気ポート108a及び108bの中へ流入することを防止する流出流れを形成するための流れ断面積に基づいて判定され得る。一実施例では、通気プラグ200は、5kPaのパック100内の過剰な圧力に十分に対処するために、モジュール100から通気するように構成され得る。
【0028】
第2の通気構造体は、傘弁110a及び110bであり得る。この実施例では、流れ106に基づいて、現在、流れ106を受ける電池モジュール104a~gが存在する。したがって、圧力及び/又は熱は、より高い速度で蓄積して、例えば10kPaを超える、電池パック100内の内部圧力を形成し得る。また、この実施例では、通気ポート108a及び108bは、電池モジュール組立体104a~gによって発生する圧力又は熱の全てを傘弁110a及び110bによって軽減する必要はないという程度の受動的な速度で蓄積された熱の一部分を軽減するための適所にあり得る。傘弁110a及び110bは、
図3の傘弁300によって示され得、また、電池パック100内の電池モジュール組立体104a~iの配設の予想される熱出力に依存して、
図5の半径方向支持弁500及び
図6のバーストディスク傘600の変形可能な特徴を組み込み得る。傘弁110a及び110bは、電池モジュール104a~gによって生成される流れ106が、弁110a及び/又は110bによる応答を形成するのに十分な圧力及び/又は温度を形成するまで、壁組立体102へのシールを維持するように構成され得る。この実施例では、流れ106が高いレベルに到達したときに、傘弁110a及び110bは、電池パック100の外部環境への開口部を形成して、圧力及び/又は熱を壁組立体102内から放出するように構成され得る。
【0029】
第3の通気構造体は、
図1に例示するように、バーストディスク112a及び112bの形態をとり得る、変形可能な通気構造体112であり得る。この実施例では、流れ106に基づいて、現在、例えば電池モジュール組立体104a~i通気数の増加又はパック100内の過剰な圧力及び/又は熱を生じさせる、より極端な事象のため、パック100内の圧力及び/又は流れ106の更なる増加が存在する。したがって、圧力は、かなり高い速度で蓄積して、50kPaを超える電池パック100内の圧力及び/又は600℃を超える温度を形成し得る。その結果、通気プラグ弁又は可動通気弁/傘型通気弁単独では、通気は、パック100からの通気を容易にするのに不十分であり得る。また、この実施例では、バーストディスクは、壁組立体102の構成及び電池パック100内の電池モジュール組立体104a~iの相対的位置付けに依存し得る流れ106の方向に基づいて、この圧力/熱の集積位置に位置付けられ得る。バーストディスク112a及び112bは、
図4のバーストディスク400によって示され得る。バーストディスク112a及び112bは、壁組立体102のためのシールを維持するように構成され得、また、電池モジュール組立体104a~iが長期間にわたってそのレベルの熱の流れに露出されることを防止するために、例えば50kPa又は600℃を超える、圧力又は熱の蓄積に対応する速い速度で機械的に破損して破裂するように構成された変形可能な構造体で構成され得る。通気ポート108a及び108b並びに傘弁110a及び110bはまた、電池モジュール組立体104a~iが高い又は最高許容可能圧力又は温度を超える流れ106を繰り返し生成しなければならない、本開示のいくつかの実施形態による、変形可能な構造体も組み込み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、流れ106が例示的な最大圧力/熱レベルを超えると、電池パック100を点検するための警告を発生し得る。例えば、例示的な又は最大の熱の流れが達成されると、電池壁組立体102に開口部が存在し得、該開口部は、動作状態に応じて、例えば変形可能な通気構造体112の1つ以上の物理的な又は永続的な機械的破損の結果として、電池パック100への流体の流入を可能にし得る。いくつかの実施形態では、複数のセンサ(例えば、電池パック組立体内の静止した水を検出するように構成された水センサ、温度センサ、電圧センサ、及び圧力センサ)を備える、電池パック100内に配設された制御回路が存在し得る。これらのセンサは、
図9のプロセス900で例示されるように、車両運転者にデータ及び警告を提供するように構成され得る。
【0031】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、第1の最大流量で熱を通気する例示的な通気プラグ200の断面図を示す。通気プラグ200はまた、一般に、包囲体へのガス流れを可能にして、(例えば、1つ以上の電池モジュール104a~iが冷えたときの熱収縮による)定常状態での動作圧力を可能にするとともに、低いレベルの熱及び/又は圧力を包囲体の外へ通気することを可能にし得る。一実施例では、通気プラグ200は、通気ポート108a及び108bとして電池パック100に組み込まれ得る。通気プラグ200はまた、
図5の半径方向支持弁500及び
図6のバーストディスク傘600の態様も組み込み得る。
【0032】
通気プラグ200は、壁202に埋設され得る。壁202は、単に一実施例として、
図1の壁組立体102を示し得る。通気プラグ200は、設置されたときに、通気プラグ200が、壁202の外面によって画定された平面を通って突出しないように位置付けられ得る。通気プラグ200の最上位部分は、通気キャップ204であり得る。通気キャップ204は、熱の流れ212が、
図1による電池パック100を取り囲む環境に到達することを可能にするように開口部を備え得るか、又は
図2に示すようなチャネルを形成して、流れ212が流出圧力又は熱の流れとして作用して、流体が環境から通気プラグ200に進入することを抑制し得る。通気キャップ204は、第1の最大流量(例えば、通気キャップ204を通した過剰な圧力又は熱の通気を可能にする、5kPaの内部圧力によって形成される流量)の熱が電池パック100を出ることを可能にするように位置付けられる。いくつかの実施形態では、通気キャップ204は、第3の最大流量の熱の流れに対処するために、
図5の半径方向支持弁500及び
図6のバーストディスク傘600などの変形可能部分を含み得る。
【0033】
半径方向シールリング206は、通気プラグ200を位置させるために、開口部によって形成される側壁に対するシールを形成するように、溝内に位置し得る。半径方向シールリング206は、
図1の電池パック100が位置し得る、流体の流入に対してシールすることが知られている任意の材料、例えばシリコーン、ゴムなどの柔軟材料で構成され得る。半径方向シールリング206は、ねじ付き部分208が受ける荷重から分離され得る。いくつかの実施形態では、シールがねじ付き部分208によって提供されるねじ山荷重に依存しないので、これは、比較的薄い厚さの壁202の使用を可能にし得る。ねじ付き部分208は、半径方向シールリング206の下側に位置し得、また、壁202のねじ付き部分と係合して、壁202内の通気プラグの位置付けを可能にして、通気キャップ204が、取り囲む外面によって画定された平面を越えて突出するのを防止し得る。いくつかの実施形態では、ねじ付き部分208は、壁202の厚さに基づいて、ねじ山係合によって提供されるねじ山荷重を低減させるように構成されている。透過性膜210は、電池パック100の内部から電池パック100を取り囲む環境への加熱されたガスの流出を可能にするとともに、電池パック100を取り囲む環境内にあることが知られている流体の流入を防止する材料で構成され得る。圧力及び/又は熱の流出は、流れ212によって示される。透過性膜210は、より低いレベルの温度及び/又は圧力、例えば熱又は圧力の第1及び第2の最大流量に耐えるように構成され得、また、第3の最大流量で破損するように構成され得る。一実施例では、5kPa又は10kPaなどの低いレベルの圧力は、通気キャップ204及び/又は透過性膜210によって十分に対処され得るが、より高いレベルの温度及び/又は圧力(例えば、50kPa又は600℃)は、下で更に考察されるように、追加の通気能力を必要とし得る。
【0034】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、第2の最大流量で熱を通気する傘弁300の断面図を示す。傘弁300は、傘弁110a及び110bとして電池パック100に組み込まれ得る。傘弁300は、いくつかの実施例では、
図5の半径方向支持弁500及び
図6のバーストディスク傘600の態様も組み込み得る。
【0035】
傘弁300は、壁302に埋設され得る。壁302は、
図1の壁組立体102の壁を示し得る。傘弁300は、その埋設された位置において、傘弁300を備える組立体全体が、壁302の外面によって画定された平面を通って突出しないように構成され得る。半径方向シールリング304は、傘弁300を位置させるために、開口部によって形成される側壁に対するシールを形成するように、溝内に位置し得る。半径方向シールリング304は、
図1の電池パック100が位置し得る、流体の流入に対してシールすることが知られている任意の材料で構成され得る。ねじ付き部分306は、半径方向シールリング304の下側に位置し得、また、壁302のねじ付き部分に一致して、壁302内の通気プラグの位置付けを可能にして、傘弁300の最上位部分が、取り囲む外面によって画定された平面を越えて突出するのを防止し得る。
【0036】
傘シール308は、電池パック100の内部から電池パック100を取り囲む環境への加熱されたガスの流出を可能にするとともに、電池パック100を取り囲む環境内にあることが知られている流体の流入を防止する材料で構成され得る。圧力及び/又は熱の流出は、流れ312によって示される。傘シール308は、熱レベルが第2の最大流量に一致するか又はそれを超えたときに、傘シール308と傘弁308の本体との間に熱の流出を可能にする間隙を形成するように構成され得、また、第3の最大流量で破損するように構成され得る。傘シール308は、支持構造体310によって適所に保持され得る。支持構造体310は、傘シール308の縁部を変位させるのに十分な熱が発生した(例えば、少なくとも10kPaの圧力が電池パック内部に存在する)ときに、流れ312が、
図1による電池パック100を取り囲む環境に到達することを可能にするように開口部を備え得る。いくつかの実施形態では、支持構造体310は、
図5の半径方向支持弁500などの変形可能部分を含み得、これは、第3の最大流量(例えば、電池パック内部の50kPaを超える圧力又は600℃を超える温度によって可能になるガス流量)に露出されたときに変形するように構成され得る。いくつかの実施形態では、傘シールは、第3の最大流量での流れに対処するために、バーストディスク傘600で構成され得る。
【0037】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、第3の最大流量でパック100の包囲体から通気するように構成され得る、バーストディスク組立体400の断面図を示す。バーストディスク組立体400は、変形可能な通気構造体112a及び112bとして電池パック100に組み込まれ得る。バーストディスク組立体400はまた、
図5の半径方向支持弁500及び
図6のバーストディスク傘600の態様も組み込み得る。
【0038】
バーストディスク組立体400は、壁402に埋設され得る。壁402は、
図1の壁組立体102の壁を示し得る。バーストディスク組立体400は、その最終調整位置において、バーストディスク組立体400を備える組立体全体が、壁402の外面によって画定された平面を通って突出しないように構成され得る。バーストディスク組立体400の最上位部分は、変形可能部分404であり得る。変形可能部分404は、環境からの流体の流入が通気プラグ200に進入することを抑制するために、シールを形成するように構成され得る。変形可能部分404は、第3の最大流量を超える熱の流れに露出されたときに変形して開口部を形成して、熱の流れ410が電池パック100を出ることを可能にするように構成され得る(例えば、50kPaを超える内部圧力又は600℃に露出されたときに溶融し得る)。例えば、変形可能部分404は、それが変形すると、事象に露出された結果として変形する前に変形可能部分404が位置付けられていた開口空間に加えて、事象の結果として、色の変化又は他の残留物のいずれかによって、温度事象の視覚的指示を残し得る。いくつかの実施形態では、変形可能部分404は、第3の最大流量の流れに対処するために、
図5の半径方向支持弁500及び
図6のバーストディスク傘600などの変形可能部分を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの他の構造体は、変形可能部分404の形状に組み込まれて、バーストディスク組立体400が、比較的低い流量、例えば上で考察される第1及び/又は第2の最大流量の通気に関与することを可能にして、電池パック100が、包囲体からの増加した流れを形成する、壁組立体102内の圧力/温度、例えば第3の最大流量などの、更に増加した流量に到達する確率を低減させ得る。
【0039】
半径方向シールリング406は、バーストディスク組立体400を位置させるために、開口部によって形成される側壁に対するシールを形成するように、溝内に位置し得る。半径方向シールリング406は、
図1の電池パック100への流体、例えば水の流入をシールすることが知られている任意の材料で構成され得る。ねじ付き部分408は、半径方向シールリング406の下側に位置し得、また、壁402のねじ付き部分に一致して、壁402内のバーストディスク組立体400の位置付けを可能にして、変形可能部分404が、取り囲む外面によって画定された平面を越えて突出するのを防止し得る。変形可能部分404は、電池パック100の予想される環境に基づいて、流体又はガスが電池パック100に進入することを防止するためのシールを形成するのに好適な任意の材料で構成され得るとともに、第3の最大熱レベルを超える熱レベルに露出されたときに(例えば、50kPaを超える電池パック又はモジュールの内部圧力、又は600℃を超えるパック100内の温度に関連する状態に露出されたときに)変形して開口部を形成するように構造化された材料で作製される。圧力/熱の流出は、流れ410によって示される。変形可能部分404は、第1及び第2の熱の最大流量(例えば、5kPa及び10kPaの内部電池パックの圧力にそれぞれ対応するガス流量)に耐えるように構成され得、また、より高いレベルの温度及び/又は圧力、例えば第3の最大流量で破損するように構成され得る。いくつかの実施形態では、変形可能部分404は、変形することなく第1及び第2の最大熱流量の流出を可能にするために、構造要素を組み込み得る。
【0040】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、
図3とともに、支持構造体310として傘弁300に組み込まれ得る、変形可能な構造体500の底面図を示す。変形可能な構造体500はまた、
図2とともに、透過性膜210の支持構造体として通気プラグ200に組み込まれ得、また、
図4とともに、変形可能な構造体404の一部としてバーストディスク組立体400に組み込まれ得る。
【0041】
変形可能な構造体500は、支持リング502によって画定された外周を有し得る。外側支持リング502は、
図2の通気プラグ200、
図3の傘弁300、又は
図4のバーストディスク組立体400のうちの1つの挿入を可能にするために穿孔及びねじ切りされた
図1の壁組立体102の壁の一部分の直径であり得る。内側支持リング504は、
図3の傘シール308の下部分の直径であり得る。支持アーム506a~dは、内側支持リング504を外側支持リング502に接続する。いくつかの実施形態では、
図1の壁組立体102の厚さ、及び
図1の電池パック100内で生成されることが予想される第3の最大流量に依存して、図示よりも多い又は少ない4つの支持アーム506a~dが存在し得る。
【0042】
支持アーム506a~dは、閾値の時間量にわたって第3の最大流量に露出されたときに、変形又は溶融するように構造化される材料のタイプ、例えばプラスチック、ナイロンなどで作製され得る。例えば、第3の最大流量は、電池パック内の600℃の温度又は電池パック内の50kPaの圧力によって生じ得、閾値の時間量は、1秒であり得る。この実施例では、支持アーム506a~dは、少なくとも1秒にわたって上述した状態に露出されたときに溶融するように構造化される。いくつかの実施形態では、変形可能な構造体500は、
図3の支持構造体310として構成され得る。この実施形態では、支持アーム506a~dが溶融すると、傘シール308が
図1の電池パック100外側に落下して、
図2の壁組立体102に開口部を形成して、壁組立体102によって形成される包囲体から、速い速度で熱が流出することを可能にし得る。一実施例では、支持アーム506a~dの各々は、構造的に安全な断面積を維持するとともに、第3の最大流量に対応する事象中に加熱/加圧されたガスの迅速な溶融及び流出も可能にするように、比較的狭い半径方向幅を有し得るとともに、比較的大きい軸方向高さを有し得る。
【0043】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、
図3とともに、傘シール308として傘弁300に組み込まれ得る、バーストディスク傘600の底面図を示す。バーストディスク傘600はまた、
図2とともに、透過性膜210の代替的な実施形態として通気プラグ200に組み込まれ得、また、
図4とともに、変形可能な構造体404の一部としてバーストディスク組立体400に組み込まれ得る。
【0044】
バーストディスク傘600は、支持リング602によって画定された外周を有し得る。外側支持リング602は、
図2の通気プラグ200、
図3の傘弁300、又は
図4のバーストディスク組立体400のうちの1つの挿入を可能にするために穿孔及びねじ切りされた
図1の壁組立体102の壁の一部分の直径であり得る。内側支持リング604は、
図3の傘シール308の下部分の直径であり得る。支持アームは、内側支持リング504を外側支持リング502に接続する。いくつかの実施形態では、
図1の壁組立体102の厚さ、及び
図1の電池パック100内で生成されることが予想される第3の最大流量に依存して、図示よりも多い又は少ない4つの支持アームが存在し得る。
【0045】
支持アームは、第3の最大流量に露出されたにもかかわらず、それらの形状及び構造体を維持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、傘バーストディスク直径606は、
図1の電池パック100の内側から電池パック100を取り囲む環境への熱の迅速な流出を可能にするために、閾値の時間量にわたって第3の最大流量に露出されたときに、溶融するか、破損するか、変形するか、又は別様に物理的に変形するように構成され得る。例えば、少なくとも1秒にわたる50kPa又は摂氏600度のモジュール100内の内部圧力に応答して、傘バーストディスク直径606は、溶融するか又は物理的に変形するように構成され得る。いくつかの実施形態では、バーストディスク傘600は、
図3の傘シール308として構成され得る。この実施形態では、傘バーストディスク直径606が溶融するときに、傘シール308が、取り囲む外周のシールを保持し得るとともに、傘バーストディスク直径606があった開口直径が、
図1の電池パック100の外部へ熱が流れることを可能にする開口部を形成し、また、
図2の小さい壁組立体102形成して、壁組立体102によって速い速度で形成された包囲体から熱が流出することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、傘バーストディスク直径606は、閾値の期間にわたって第3の最大流量を超える熱の流れ事象が生じたときに、
図1の壁組立体102の壁により小さい開口部が存在するように、
図4の変形可能部分404よりも小さい直径であり得る。
【0046】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、第1の最大流量、第2の最大流量、及び第3の最大流量に適応するために複数の通気口とともに構成された電池パックを作製するための例示的なプロセス700のフローチャートを示す。例示的な一実施例では、プロセス700は、本開示のいくつかの実施形態による、
図1の電池パック100、
図2の通気プラグ200、
図3の傘弁300、
図4のバーストディスク400、
図5の変形可能な構造体500、
図6のバーストディスク傘600、又はそれらの任意の組み合わせを形成するために使用され得る。
【0047】
702において、複数の電池セルが、電気を提供するように配設される。いくつかの実施形態では、車両に給電するために、複数の電池セルが
図1の電池パック100内に配設され得る。いくつかの実施形態では、複数の電池セルは、電池セル端子間の接続のネットワークを通して接続することによって電力を提供するように配設される。704において、複数の電池セルが、複数の壁の中に封入され得、該壁は、複数の電池セルが位置付けられる(例えば、
図1の壁組立体102内に封入される)環境に対してシールされる。706において、例えば通常の動作状態の間の複数の電池セルの最大エネルギー出力に基づいて、第1の最大圧力レベル又は流量又は熱又は圧力が判定され得る。例えば、第1の最大流量は、例えば車両起動コマンドを監視するための補助電力のみを使用している、
図1の電池パック100が設置され得る車両を反映し得る。708において、第1の壁の第1の領域に基づいて、第1の最大流量を補償するための、いくつかの第1の通気構造体又は通気口のタイプが判定される。いくつかの実施形態では、通気構造体は、
図2の通気プラグ200などの、1つ以上の固定された通気口であり得る。
【0048】
710において、複数の電池セルによって発生する第2の熱量に基づいて、第2の温度又は熱若しくは圧力の流量が判定され得る。例えば、第2の最大流量は、車両が給電されたときに、
図1の電池パック100が設置され得る車両が最大の電力量を使用しているときを反映し得る(例えば、電池パック100内で動作する電池セルによって発生する熱によって形成される10kPaの圧力に対応する、通気構造体を通って電池パックを出るガスの流量)。712において、第2の壁の第2の領域に基づいて、第2の最大流量を補償するために、第2の数の第2の通気構造体又は通気口のタイプが判定される。いくつかの実施形態では、通気構造体は、
図3の傘弁300などの複数の可動弁であり得る。
【0049】
714において、複数の電池セルによって発生する第3の熱量に基づいて、第3の最大流量が判定され得る。例えば、第3の熱量は、電池モジュール104a~iのうちの1つ以上の温度事象などの極端な事象又は他の極端な状態を受けている、
図1の電池パック100が設置され得る車両を反映し得る(例えば、電池パック内の少なくとも600℃の内部温度及び/又は50kPaの圧力によって生じる電池パックを出るガスの流量)。716において、第3の壁の第3の領域に基づいて、第3の最大流量を補償するための、第3の数の第3の通気構造体又は通気口のタイプが判定され、第3の通気構造体は、一組の変形可能な構造体を備え得る。いくつかの実施形態では、718において、708及び712で判定された通気構造体の第1及び第2の数にそれぞれ組み込むことを必要とする、変形可能な構造体の数が判定される。いくつかの実施形態では、工程716及び718は、第1及び第2の通気構造体を修正することで第3の最大流量を適切に補償しないと判定された場合に、ともに実行される。いくつかの実施形態では、第3の最大流量が生じた場合に形成される開口部の数を低減させるために、716のみが実行される。いくつかの実施形態では、複数の壁に加えられるシール界面の数を低減させるために、718のみが実行される。
【0050】
720において、複数の通気構造体が、第1、第2、及び第3の最大流量を補償するために、複数の壁内に配設され、また、特に閾値の時間量にわたる第3の最大圧力又は流量を補償するために、複数の変形可能な構造体を組み込み得る。例えば、閾値の時間量は、1秒であり得、第3の最大圧力は、50kPaであり得る。この実施例では、壁に配設された変形可能な構造体は、少なくとも1秒にわたって600℃の温度及び/又は50kPaの内部圧力に露出された後に溶融又は破損するように構造化され得、それによって、
図1の電池パック100内に蓄積した熱の迅速な通気を可能にするための拡大された開口を形成する。
【0051】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、車両802と、電池パック804と、を含む、例示的な車両システム800のブロック図を示す。電池パック804は、本開示のいくつかの実施形態による
図7の方法700によって形成される
図1~
図6の特徴のいずれか又は全てを組み込み得る、
図1の電池パック100に示される要素のいずれか又は全てを組み込み得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、車両802は、電池パック804、監視回路812、及び報告回路816で構成され得る。電池パック804は、センサ806と、通信回路808と、を更に備え得る。いくつかの実施形態では、複数のセンサが存在し得る。いくつかの実施形態では、複数のセンサは、電池パック内の静止した水を検出するように構成された水センサ、温度センサ、電圧センサ、又は圧力センサのうちの少なくとも1つを備え得る。1つ又は複数のセンサが使用される実施形態では、電池パック804は、制御回路を利用して、1つ又は複数のセンサを車両802に接続し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、通信回路808は、通信経路810によってセンサ806からデータを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、通信回路808は、通信経路814によってセンサ806から監視回路812へとデータを通信し得る。いくつかの実施形態では、監視回路812は、電池パック812の外部に構成され得る。いくつかの実施形態では、監視回路812は、比較方法を利用して、センサ806からのデータを通信経路818によって報告回路816に提供するがどうかを判定し得る。いくつかの実施形態では、監視回路812の比較方法は、通信回路808によって報告されたときにセンサ806から受信したデータ値と閾値の保持とを比較し得る。例えば、センサ806は、水位センサであり得る。この実施例では、センサ806は、電池パック804内にある水位、例えば1センチメートル(cm)を検出する。水位データ値(本実施例では、1cmで続ける)は、通信経路814によって通信回路808から監視回路812へと送信され得る。監視回路は、センサ806からの1cmのデータ値と、閾値、例えば0.5センチメートルとを比較し得る。この実施例では、監視回路812は、電池パック804内のセンサ806によって報告された水の量が閾値を超えたと判定し得、また、点検通知を生成しなければならない旨の通知を、通信経路818によって報告回路816に送信し得る。いくつかの実施形態では、報告回路816は、電池パック804内で点検が必要である旨の通知を、車両802について生成させ得る(例えば、水が電池パック804に進入して、点検が必要である旨の警告が生成され得る)。
【0054】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、電池パックに関する車両情報を提供するように配設されたセンサからデータを受信して処理するための通知プロセス900のフローチャートを示す。通知プロセス900は、本開示のいくつかの実施形態による
図7の方法700によって形成される
図1~
図6の特徴のいずれか又は全てを組み込み得る、
図8の車両システム800によって実行され得、また、
図1の電池パック100を監視するために使用され得る。
【0055】
902において、制御回路を使用して、電池パック内のセンサからのデータを監視し得る。例えば、制御回路は、車両システム800の一群の通信回路808、監視回路812、及び報告回路816であり得る。電池パックはまた、本開示のいくつかの実施形態による
図7の方法700によって形成される
図1~
図6の特徴のいずれか又は全てを組み込み得る、804からの電池パック又は
図1の電池パック100であり得る。904において、データが、電池パック内のセンサから、制御回路によって受信され得る。例えば、センサは、電池パック内の静止した水を検出するように構成された水センサ、温度センサ、電圧センサ、又は圧力センサのうちの1つであり得る。いくつかの実施形態では、センサは、通信経路810によってデータを通信回路808に提供する、
図8のセンサ806であり得る。
【0056】
906において、センサから受信したデータの値が、所定の閾値と比較され得る。いくつかの実施形態では、この比較は、
図8による監視回路812で生じ得る。例えば、監視回路812は、センサ806からの1センチメートルのデータ値と、0.5センチメートルであり得る閾値とを比較し得る。センサからのデータ値が閾値を超えていないと判定された場合(908で「いいえ」)、902において、システムが、制御回路使用して、電池パックセンサからのデータの監視を続ける。センサからのデータ値が閾値を超えていると判定された場合(908で「はい」)、システムは、ユーザに点検警告を提供する。水のレベルの実施例から続けて、
図8による監視回路812は、電池パック804内のセンサ806によって報告された水の量が閾値を超えていると判定し得、また、点検通知を生成しなければならない旨の通知を、通信経路818によって報告回路816に送信し得る。いくつかの実施形態では、報告回路816は、電池パック804内で点検が必要である旨の通知を、車両802について生成させ得る(例えば、水が電池パック804に進入して、点検が必要である旨の警告が生成され得る)。
【0057】
上で考察されるシステム及びプロセスは、例示的なものであり、限定するものではないことを意図する。当業者は、本明細書で考察されるプロセスのアクションが、省略され得ること、修正され得ること、組み合わせられ得ること、かつ/又は再配設され得ること、並びに任意の追加のアクションが、本発明の範囲から逸脱することなく実行され得ることを認識するであろう。より一般的には、上記の開示は、例示的なものであり、限定するものではないことを意味する。以下の特許請求の範囲は、本開示が含むものに関する限度を設定することを意味する。更に、任意の一実施形態で説明される特徴及び制限は、本明細書の任意の他の実施形態に適用され得ること、及び一実施形態に関するフローチャート又は実施例は、好適な様態の任意の他の実施形態と組み合わせられ得ること、異なる順序で行われ得ること、又は並列に行われ得ることに留意されたい。加えて、本明細書で説明するシステム及び方法は、リアルタイムで実行され得る。上で説明したシステム及び/又は方法が、他のシステム及び/若しくは方法に適用され得ること、又はそれに従って使用され得ることにも留意されたい。
【0058】
本開示のいくつかの部分は、「慣例」又は実施例に関連し得るが、任意のかかる基準は、単に本開示に文脈を提供しているに過ぎず、最新技術を構成しているものに関していかなる承認も形成しない。