(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】完全性の喪失検出の手段を備えた多層バッグ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/18 20230101AFI20230818BHJP
A61J 1/10 20060101ALI20230818BHJP
A61J 1/14 20230101ALI20230818BHJP
【FI】
A61J1/18
A61J1/10 331C
A61J1/14 520
(21)【出願番号】P 2021521465
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2019079367
(87)【国際公開番号】W WO2020089156
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-04-21
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクシム ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ギュイモ
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第08202760(FR,A1)
【文献】特開2016-073377(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0123332(US,A1)
【文献】特開2006-044776(JP,A)
【文献】特表2004-517373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/00-1/14
B65D 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌ガスがバッグ内に浸透するように構成された多孔質部分(20)と、ガス不透過性部分(21)とを備えた多層バッグ(2)であって、
前記ガス不透過性部分(21)は、一体的に形成された外層(211)、内層(213)および中間層(212)を備え、前記中間層(212)が前記外層(211)と前記内層(213)との間にシールして封入されて、バッグの内部および外部環境から物理的に隔離されるようになっており、
前記中間層(212)は、マトリックスと、前記マトリックス内に分散された少なくとも1つの顔料とを含み、前記顔料は、前記外層および/または前記内層の損傷から生じる環境変化に反応して、少なくとも1つの光学的性質を変化させるように構成されて
おり、
前記外層および前記内層は両方とも、気体および液体に対して不透過性であることを特徴とする、多層バッグ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの顔料が、以下の状況:
(i)前記中間層が水と接触しているかまたは湿っている、
(ii)前記中間層が、O
2、CO
2、N
2、Ar、H
2、H
2O
2、EtO、
およびそれらの混合物
からなる群から選択されたガスと接触している、
(iii)前記中間層がpH変化に曝されている、
(iv)
前記内層と前記外層が不透明であり、前記中間層が放射の変化に曝されている、
(v)機械的な圧力が前記中間層上にかけられている、
の少なくとも1つで、色を変化させるように構成されている、請求項1に記載の多層バッグ。
【請求項3】
前記中間層(212)が、前記マトリックス内に分散された少なくとも2つの異なる顔料を含む、請求項1~2の1項に記載の多層バッグ。
【請求項4】
前記顔料の少なくとも2つが、前記外層および/または内層の損傷から生じる環境変化に反応して異なる光学的性質を有する、請求項3に記載の多層バッグ。
【請求項5】
前記異なる顔料のうちの少なくとも2つが、状況(i)~(v)のうちの異なる状況で色を変化させるように構成されている、請求項2と組み合わせた請求項4に記載の多層バッグ。
【請求項6】
前記顔料の少なくとも2つが、状況(i)~(v)の同じ状況の異なる複数のレベルに反応して色を変化させるように構成されている、請求項2と組み合わせた請求項4に記載の多層バッグ。
【請求項7】
外層(211)および内層(213)の少なくとも一方が、ポリエチレン、特に低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BoPET)、エチレン-酢酸ビニル/ポリエチレン(EVA/PE)およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1~6の1項に記載の多層バッグ。
【請求項8】
前記マトリックスが、ポリエチレン、特に低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BoPET)、エチレン-酢酸ビニル/ポリエチレン(EVA/PE)およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1~7の1項に記載の多層バッグ。
【請求項9】
前記マトリックスが流体キャリアを含む、請求項1~8の1項に記載の多層バッグ。
【請求項10】
前記中間層(212)が、前記ガス不透過性部分(21)
の表面上に連続的に延在している、請求項1~9の1項に記載の多層バッグ。
【請求項11】
前記外層および内層(211、213)が、前記中間層(212)の両側に連続的に延在し、前記顔料を周囲の雰囲気から物理的に隔離するようになっている、請求項1~10の1項に記載の多層バッグ。
【請求項12】
各顔料が中間層(212)の全体積にわたって実質的に一定の濃度を示す、請求項1~11の1項に記載の多層バッグ。
【請求項13】
前記多孔質部分(20)が高密度ポリエチレン繊維の不織布を含む、請求項1~12の1項に記載の多層バッグ。
【請求項14】
多層バッグ(2)を製造するためのプロセス(P1)であって、
多孔質シート(20)を提供すること、
ガス不透過性シート(21)を提供すること、
前記多孔質シート(20)を前記ガス不透過性シート(21)に組み付けて前記バッグ(2)を形成すること、を含み、
前記ガス不透過性シートは、一体的に形成された外層(211)、内層(213)、および中間層(212)を備え、前記中間層(212)が前記外層(211)と前記内層(213)の間にシールして封入されてバッグの内部および外部環境から物理的に隔離されるようになっており、前記中間層がマトリックスと前記マトリックス内に分散された少なくとも1つの顔料を含み、前記顔料が前記外層および/または内層の損傷から生じる環境変化に反応して少なくとも1つの光学的性質を変化させるように構成されて
おり、
前記外層および前記内層は両方とも、気体および液体に対して不透過性であることを特徴とする、プロセス。
【請求項15】
前記マトリックスがポリマーマトリックスであり、前記ガス不透過性シート(21)を提供する前記ステップが、前記外層(211)、前記中間層(212)および前記内層(213)を同時に押出すことを含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記マトリックスが流体キャリアであり、前記ガス不透過性シート(21)を提供する前記ステップが、前記中間層をインクまたは塗料として前記外層および内層の少なくとも1つの表面に塗布することを含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
医療機器を包装するためのプロセス(P2)であって、
請求項1~13の1項に記載の多層バッグ(2)を提供するステップ、
前記医療機器(1)を前記多層バッグ内に配置するステップ、
前記多層バッグ(2)を閉じるステップ、
前記多層バッグを滅菌ガスに曝すことにより前記医療機器(1)を滅菌するステップであって、前記滅菌ガスが前記多孔質部分(20)を通って前記多層バッグ(2)内に浸透することを可能にするステップ、を含むプロセス。
【請求項18】
前記医療機器を多層バッグ内に配置するステップは、
前記医療機器を桶内に配置するステップ、
前記
滅菌ガスが前記バッグ内に浸透することを可能にするように構成された多孔質シートで前記桶をシールするステップ、および
前記桶を前記多層バッグ内に配置するステップ、を含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記医療機器が医療用容器であり、前記医療機器を前記桶に配置するステップが、複数の医療用容器をネストに配置することと、前記医療用容器を支持する前記ネストを前記桶に配置することを含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
医療用包装体の完全性の喪失を検出するプロセス(P3)であって、
請求項17~19の1項に記載のプロセス(P2)で医療機器を包装すること、
前記多層バッグのガス不透過性部分(21)の破断(B)を、前記破断の周囲の前記中間層の前記顔料の前記光学的性質の変化により検出することを含むことを特徴とする、プロセス。
【請求項21】
前記破断を検出する前記ステップが、
-前記多層バッグの外観検査であって、前記顔料の前記光学的性質の変化は、人間の肉眼で見える色の変化であること、および/または
-赤外または紫外による検査であって、前記顔料の前記光学的性質の変化が赤外または紫外光の下で見えること、
-赤外または紫外による検査であって、前記顔料の前記光学的性質の変化が、前記
赤外または紫外による検
査により生じた赤外または紫外光によってトリガーされている、請求項20に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、多層バッグ、より詳細には完全性の喪失が検出され得る多層バッグ、およびそのような多層バッグを製造するためのプロセスに関する。さらに、本発明は、そのような多層バッグの完全性の喪失を検出するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
医療機器や非医療機器などの機器は、ある場所で製造されて別の場所で充填される場合や、それほど頻繁ではないが、同じ場所で製造および充填され、充填後に別の場所に配送する必要がある場合など、ある場所から別の場所への輸送が必要になることがよくある。
【0003】
したがって、最終消費地での出荷や保管を考慮して、バッグは製造工場で機器を包装するために使用されることがある。機器は、シリンジなどの医療用機器や、シリンジを備えたタブであってもよい。医療用途に特に有用な医療機器は、バッグに包装されてその無菌性を維持している(滅菌バッグ)。これらの滅菌バッグは、微生物などの汚染物質がバッグ内部に侵入するのを防ぐためのバリアーを提供することを意図している。
【0004】
そのため、医療機器はクリーンルームで生産されるが、包装後には汚染物を破壊するための滅菌処理が行われている。酸化エチレン(EtO)滅菌が滅菌方法として一般的に用いられている。
【0005】
そのために、滅菌バッグは、ガス、特に滅菌ガス(例えば酸化エチレン)に対して多孔質であり、この滅菌ガスがバッグ内に浸透して医療機器と接触することを可能にするように構成された部分を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2013/0095336号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
滅菌バッグの完全性は、医療機器の最終的な使用のために開封するまで維持されなければならない。そうしないと、医療機器の汚染が起こり、患者に危険な結果をもたらす危険性がある。
【0008】
医療機器を備えた滅菌バッグは、医療機器および滅菌バッグを、それらを損傷するかもしれない機械的な制約から保護するための箱に梱包されている。しかし、滅菌バッグが例えば鋭利なものと接触した場合には、破損が形成されることも除外できない。
【0009】
滅菌バッグの完全性の喪失は、例えば、バッグの壁に形成された小さな破損の場合、容易には見えないかもしれない。そのため、滅菌バッグが一見して損傷していなくても、医療機器がその破損によって汚染されているかもしれない。
【0010】
このような医療機器の汚染を防ぐために、使用時に除染が行われるかもしれない。しかし、このような除染は、同じ箱に入っているすべての医療機器に適用されるため、コストと時間がかかる。
【0011】
そのため、滅菌バッグが損傷した医療機器のみを対象に、このような除染を行うことが望ましい。
【0012】
バッグ内に置かれ、バッグの内側の雰囲気が変わると化学反応で色が変わるように構成された、包装体全体の完全性の喪失の表示器がある。
【0013】
しかし、このような表示器は、上述の滅菌バッグには使用できない。確かに、多孔質部分があるため、バッグの中と外の雰囲気は同じである。そのため、バッグの壁に形成された破損は、バッグの内側の雰囲気を変化させず、表示器の色にも影響を与えない。
【0014】
発明の概要
本発明の目的は、多層バッグがその完全性を喪失したことを示す信頼性の高い方法を備えている、医療機器のための多層バッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、包装体が「その完全性を喪失した」とは、包装体が損傷し、穴があき、または破れたことを意味する。
【0016】
実施形態では、滅菌ガスをバッグ内に浸透させることを可能にするように構成された多孔質部分と、ガス不透過性部分とを備えた多層バッグを提供し、
ガス不透過性部分は、一体的に形成された外層、内層および中間層を備え、中間層が外層と内層の間にシールして封入されるようになっており、
中間層は、マトリックスと、このマトリックス内に分散された顔料とを含み、この顔料は、外層および/または内層の損傷から生じる環境変化に反応して、少なくとも1つの光学的性質を変化させるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
「ガス不透過性」とは、ガスに対して低い透過性を有する部分を意味する。ガス不透過性部分の透過性は、包装体の所望の保存期間、考慮されるガス、および多孔質部分の厚さに依存してもよい。そのため、ガス不透過性部分の内層および外層は非多孔質であり、これらの層のそれぞれは、考慮されるガスに対して低い透過性を有する。
【0018】
「環境変化」とは、中間層(従って顔料)が曝される雰囲気の変化を意味する。バッグの通常の状態では、中間層は外層および内層によってバッグの外側および内側の雰囲気(「周囲の雰囲気」と呼ばれる)から物理的に隔離されている。顔料は、第1の光学的性質(例えば色)を有し、これは外層と内層の間に配置されて周囲の雰囲気から隔離されるときの顔料の状態に依存する。バッグのガス不透過性部分に破損ができると、中間層が周囲の雰囲気に曝され、これが顔料の上記の光学的性質(例えば色)の変化のトリガーとなる。
【0019】
顔料は、以下の状況の少なくとも1つで色を変化させるように構成されていてもよい:
(i)中間層が、水、湿気、または液体状態のH2O2と接触している、
(ii)中間層が、O2、CO2、N2、Ar、H2、NOX、H2O2、EtOまたはそれらの混合物などの決定されたガスと接触している、
(iii)中間層がpH変化に曝される、
(iv)中間層が放射線の変化に曝される、
(v)機械的な圧力が中間層上にかけられる。
【0020】
いくつかの実施形態では、中間層は、マトリックス内に分散された少なくとも2つの異なる顔料を含む。
【0021】
この顔料の少なくとも2つは、外層および/または内層の損傷から生じる環境変化に反応して、異なる光学的性質を有していてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、この異なる顔料の少なくとも2つは、状況(i)~(v)の中の異なる状況で色を変化させるように構成されていてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記顔料のうち少なくとも2つは、状況(i)~(v)のうち同じ状況の異なるレベルに反応して色を変化させるように構成されている。
【0024】
外層および内層の少なくとも一方は、ポリエチレン、特に低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BoPET)、エチレン-酢酸ビニル/ポリエチレン(EVA/PE)およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含んでいてもよい。
【0025】
有利には、中間層は、ガス不透過性部分の表面上に連続して延在していてもよい。
【0026】
外層および内層は、好ましくは中間層の両側に連続して延在して、顔料を雰囲気から物理的に隔離するようになっていてもよい。
【0027】
好ましくは、顔料は、中間層の全体積にわたって実質的に一定の濃度を示してもよい。顔料を含むマトリックスは、ポリマー、特に接着性ポリマー、またはインクや塗料のキャリアのような流体媒体であってもよい。
【0028】
ポリマーマトリックスを形成するために、ポリマーは、ポリエチレン、特に低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BoPET)、エチレン-酢酸ビニル/ポリエチレン(EVA/PE)およびこれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0029】
多孔質部分は、高密度ポリエチレン繊維の不織布を含んでいてもよい。
【0030】
別の実施形態は、上記のような多層バッグを製造するためのプロセスに関する。このプロセスは、
多孔質シートを提供し、
ガス不透過性シートを提供し、
多孔質シートをガス不透過性シートに組み付けてバッグを形成するようにすることを含む。
【0031】
このプロセスは、ガス不透過性シートが、一体的に形成された外層、内層、および中間層を備え、中間層が外層と内層の間にシールして封入されており、中間層が、マトリックスと、マトリックス内に分散された少なくとも1つの顔料とを含み、顔料が、外層および/または内層の損傷から生じる環境変化に反応して、少なくとも1つの光学的性質を変化させるように構成されていることを特徴とする。
【0032】
マトリックスがポリマーである場合、ガス不透過性シートを提供するステップは、外層、中間層および内層を同時に押し出すことを含んでいてもよい。
【0033】
あるいは、マトリックスが流体キャリアである場合、ガス不透過性シートを提供するステップは、中間層をインクまたは塗料として外層および内層の少なくとも1つの表面上に塗布することを含んでもよい。
【0034】
別の実施形態は、医療機器を包装するプロセスに関する。このプロセスは、以下のステップ、
上記のような多層バッグを提供するステップ、
医療機器を多層バッグ内に配置するステップ、
多層バッグを閉じるステップ、
多層バッグを滅菌ガスに曝すことによって医療機器を滅菌するステップであって、滅菌ガスが多孔質部分を通って多層バッグ内に浸透することを可能にするステップ、を含む。
【0035】
一実施形態によれば、医療機器を多層バッグ内に配置するステップは、
医療機器を桶(tub)内に配置するステップ、
多層ガスがバッグ内に浸透することを可能にする多孔質シートで桶をシールするステップ、および
桶を多層バッグ内に配置するステップ、を含む。
【0036】
一実施形態によれば、医療機器は医療用容器であり、医療機器を桶に配置するステップは、複数の医療用容器をネストに配置し、医療用容器を支持するネストを桶に配置することを含む。
【0037】
別の実施形態は、多層医療用包装体の完全性の喪失を検出するプロセスに関する。このプロセスは、
上記のようなプロセスで医療機器を包装し、
多層バッグのガス不透過性部分の破損を、破損の周囲の中間層の顔料の光学的性質の変化により検出することを含む。
【0038】
破損を検出するステップは、
-多層バッグの外観検査であって、顔料の光学的性質の変化が人間の肉眼で見える色の変化であること、および/または
-赤外または紫外による検査であって、顔料の光学的性質の変化が赤外または紫外光の下で見えること、
-赤外または紫外による検査であって、顔料の光学的性質の変化が、検査システムで発生した赤外または紫外光によってトリガーされていること、によって行われてもよい。
【0039】
図の簡単な説明
他の特徴、利点、および実施形態は、以下の詳細な説明の中で、添付図面に基づいて現れるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、本発明によるパッケージの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明による多層バッグのガス不透過性部分の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明による多層バッグに破損がある、
図2のガス不透過性部分の断面図である。
【
図4】
図4は、本発明による多層バッグを製造するためのプロセスを示す概略図である。
【
図5】
図5は、本発明による多層バッグを用いて医療機器を包装するプロセスを示す概略図である。
【
図6】
図6は、
図5のプロセスで医療機器を多層バッグ内に配置するステップを示す概略図である。
【
図7】
図7は、本発明による多層バッグを備えた医療用包装体の完全性の喪失を検出するプロセスを示す概略図である。
【0041】
読みやすさを考慮して、図は縮尺に合わせて描かれていない。
【0042】
図中で同一の参照数字は、同一の要素、または少なくとも同一の機能を果たす要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
発明の実施形態の詳細な説明
図1は、本発明による医療用包装体の概略図である。
【0044】
医療機器1は多層バッグ2に封入されている。
【0045】
多層バッグは、多孔質部分20およびガス不透過性部分21を備える。多孔質部分およびガス不透過性部分は、並んで組み立てられ、それによって1つ以上の医療機器1を受容するためのシールされた筐体を形成する。
【0046】
ガス、特に滅菌ガス(酸化エチレンなど)に対して多孔質である多孔質部分20は、医療機器を汚染除去するために、滅菌ガスがバッグ内に浸透することを可能にするように構成されている。多孔質部分は、特にTYVEK(商標)の名称で知られている高密度ポリエチレン繊維の不織布で作られてもよい。もっとも、この多孔質部分は、微生物や細菌などの汚染物質に対して不透過性である。
【0047】
ガス不透過性部分21は、互いに一体的である少なくとも3つの層の積み重ねで形成されており、すなわち少なくとも3つの層が、1つのガス不透過性シートを形成し、互いに分離できないようになっている。
【0048】
ガス不透過性部分は、多孔質部分よりもはるかに低いガス透過性を示す。この透過性は、通常、包装体の保存期間や、部分が不透過性でなければならないガスに依存し、また多孔質部分の厚さに依存してもよい。必要な透過率は、包装体の保存期間が終了した時点での、バッグ内の考慮すべきガスの最大含有量に基づいて決定してもよい。
【0049】
図2に示すように、ガス不透過性部分21は、多層バッグの外側面21oに位置する外層211と、多層バッグの内側面21iに位置する内層213とを備えている。
【0050】
外層211および内層213は両方とも、気体および液体に対して不浸透性である。部分20とは逆に、層211および213は実質的に非多孔質である。
【0051】
外層の厚さは1~100μm、好ましくは5~70μm、例えば12μmであってもよく、内層の厚さは1~100μm、好ましくは5~70μm、例えば51μmであってもよい。
【0052】
外層211および内層213は、典型的には、ポリエチレン、特に低密度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセンポリエチレン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BoPET)、エチレン-酢酸ビニル/ポリエチレン(EVA/PE)およびこれらの混合物からなる群から選択されたポリマーを含んでいてもよい。
【0053】
外層211および内層213は、典型的には、任意の従来の方法によって製造されてもよく、例えば、外層211および内層213は、米国特許出願公開第2013/0095336号明細書に記載されているように、押し出し、吹き付け、キャストまたは積層されてもよい。
【0054】
ガス不透過性部分は、外層および内層211,213の間に延在する中間層212をさらに備えている。外層および内層は、中間層212の両側に沿って連続的に延在しており、この中間層を周囲の雰囲気から物理的に隔離するようになっている。「周囲の雰囲気」とは、多層バッグを取り囲むそこにある(present)雰囲気を意味する。この雰囲気は、バッグの滅菌後にバッグの内側の雰囲気が無菌であるのに対してバッグの外側の雰囲気が非無菌であることを除き、多孔質部分20によりバッグの内側と外側で実質的に同じである。
【0055】
中間層は、顔料が分散されたマトリックスを含む。
【0056】
顔料は、ガス不透過性部分に生じた破損や穴あきによる環境変化に反応して、少なくとも1つの光学的性質を変化させるように構成されており、この変化は、肉眼(可視光を使用)または赤外または紫外光を使用して、視覚的に検出可能である。光学的性質は、典型的には、顔料の色であってもよい。
【0057】
この光学的性質は、多層バッグが製造されて医療機器を包装するために使用されているときの第1の状態である。ガス不透過性部分が形成されると、多層バッグの完全性が維持される限り第1の状態が維持されていると考えられ、なぜなら内層および外層211,213が中間層212(従って顔料)を周囲の雰囲気から物理的に隔離するためである。
【0058】
顔料の光学的性質の変化が可逆的でない場合、多層バッグの製造時に顔料が曝される雰囲気(以下、第1の雰囲気という)は、外層と内層の間に中間層がシールして入れられるまで顔料の光学的性質が第1の状態に保たれることを確実にする目的で、好ましくは制御されてもよい。
【0059】
顔料の光学的性質の変化が可逆的である場合、第1の雰囲気を制御することは必須でなくてもよい。実際、多層バッグの製造中に顔料が雰囲気中のある要素に曝されてその光学的性質を変化させたとしても、外層と内層の間に中間層が埋め込まれると、顔料が上記した要素から隔離されるため、この光学的性質は第1の状態に変化して戻るかもしれない。
【0060】
顔料の光学的性質は、中間層(従って顔料)が異なる雰囲気(以下、第2の雰囲気と呼ぶ)に曝されたときにのみ、第2の状態に変化してもよい。このような曝露は、
図3に示すように、ガス不透過性部分に破損Bまたは穴あきが生じることによって発生してもよい。この破損または穴あきにより、中間層212の一部が周囲の雰囲気に曝される。これにより、中間層のこの部分に存在する顔料は、その光学的性質を第2の状態に変化させ、それによって、破損または穴あきを検出できるようになる。
【0061】
内層と外層のうちの一方のみに生じた破損は、顔料のおかげで有利に検出されてもよい。実際、実質的に非多孔質の他の層がバッグの内側を汚染から守っていても、バッグに入っている製品の保存期間が短くなるかもしれない。その上、内層に破損が形成された場合、バッグの内側の雰囲気は、無菌ではないかもしれない中間層と接触するかもしれず、その結果、バッグの内側に含まれる製品が汚染されるかもしれない。したがって、部分的な破損の検出が注目されるかもしれない。
【0062】
好ましくは、顔料の光学的性質の変化は、破損または穴あきのすぐ近くでのみ生じる。そのため、この変化は破損または穴あきを特定することを可能にする。
【0063】
好ましくは、顔料は中間層内に均一に存在し、これは破損または穴あきが多層バッグのガス不透過性部分の表面全体で検出されてもよいことを意味する。
【0064】
マトリックス内の顔料の濃度は、第2の状態が第1の状態と十分に異なるように選択されて、使用する検出手段に応じて破損または穴あきの位置を容易かつ安全に検出することを可能にするようになっている。
【0065】
好ましくは、顔料の濃度は、中間層の全体積にわたって実質的に一定である。
【0066】
異なるタイプの顔料を使用してもよい。当業者であれば、検出すべき状況に応じて、市場で入手可能な顔料の中から適切な顔料を選択することができる。
【0067】
一実施形態によれば、顔料は、水に接触するかまたは湿ると色が変わる。また、顔料は、液体状態のH2O2と接触するとき色を変化させてもよい。
【0068】
一実施形態によると、顔料は、O2、CO2、N2、Ar、H2、H2O2、NOX(窒素酸化物)、EtO、またはそれらの混合物などの所定のガス、好ましくは所定の濃度の前記ガスと接触すると色が変わる。例えば、顔料は、O2で酸化されて酸化が色の変化を生じさせるオキシヘモグロビン、H2で金属パラジウムに還元されて還元が色の変化を生じさせる酸化パラジウムの化合物のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0069】
一実施形態によれば、顔料は、pH変化に反応して色を変化させる。例えば、顔料は、ブロモクレゾールパープル、メチルレッドおよびブロモチモールブルーのうちの少なくとも1つの化合物を含んでいてもよい。
【0070】
一実施形態によれば、顔料は、放射(光)の変化に曝されると色が変化する。この性質は、内層と外層が不透明であり、これらの層の少なくとも1つに破損が生じて、中間層が可視光、赤外または紫外光に曝される場合に、適用することができる。光学的性質の変化のトリガーとなる光は、特に肉眼で検査を行う場合は、多層バッグが曝されている周囲の光であってもよい。あるいは、光学的性質の変化のトリガーとなる光は、紫外または赤外などの特定の放射を発する検査システムによって生成されてもよい。例えば、顔料は、オキサジンまたはビスイミダゾールを含んでもよい。
【0071】
一実施形態によれば、顔料は、機械的な圧力が中間層にかけられると色を変化させる。
【0072】
本明細書では、簡潔にするために「顔料」と記載しているが、マトリックスは2つ以上の異なる顔料を含んでいてもよい。これらの顔料は、異なる光学的性質を有してもよく、これは異なる環境条件(例えば、異なるガスへの曝露)および/または異なるレベルの所与の状況(例えば、顔料が曝露される異なる濃度のガス)によって引き起こされよもよい。
【0073】
また、マトリックスは、環境変化に反応せず、単に中間層のベースカラーを提供する顔料を含んでいてもよい。この非反応性の顔料と、環境変化に反応するように構成された1つまたは複数の顔料を組み合わせることで、完全性および完全性喪失の状況のための所望の色を得ることを可能にしてもよい。
【0074】
一実施形態では、マトリックスは、黄色の非反応性の第1の顔料と、酸素に曝されると白から青に移行するように構成された第2の顔料と、湿度に曝されると白から青または別の色に移行するように構成された第3の顔料を含んでいてもよい。このようにして、バッグの完全性が維持されている限り中間層は黄色であるが、バッグに破損が形成され、第2の顔料が酸素に曝されると、緑色(黄色と青色の組み合わせ)になる。
【0075】
別の実施形態では、バッグの完全性が維持されている限り中間層が緑色で、破損が外層および/または内層に生じたときには赤色になることが望まれる場合、そのような特定の色の遷移を提供する独自の顔料を見つけるのは難しいかもしれない。しかし、当業者であれば、湿気に曝されると緑から白に変化する第1の顔料と、湿気に曝されると白から赤に変化する第2の顔料を組み合わせることができる。両方の顔料が同じ湿度で反応しなくてもよく、例えば第1の顔料は比較的低いレベルの湿気に反応するのに対し、第2の顔料は比較的高いレベルの湿気に反応してもよい。その結果、バッグの内層および/または外層に破損が形成された後に、異なる色が得られてもよい。
-バッグが低いレベルの湿度に曝されると、第1の顔料が緑であり、第2の顔料が白であり、結果的な色は緑である;
-バッグが高いレベルの湿度に曝されると、第1の顔料は白になり、第2の顔料は赤になり、結果的な色は赤である;
-バッグが中程度のレベルの湿度、低いレベルと高いレベルの中間、に曝されると、第1の顔料は緑から白へと移行し始め、第2の顔料は白から赤へと移行し始め、結果的な色は白になるかもしれない;
-例えば、ガス不透過性部分の製造時に問題が発生して第1の顔料が不活性化した場合、第1の顔料が反応せずに緑色のままで、第2の顔料が反応して赤色になると、中程度の湿度に曝されたときに茶色(緑と赤の組み合わせ)の色が観察されてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、バッグが所定の保存期間に達したときに、その光学的性質を変化させるように顔料が選択されてもよい。この場合、内層と外層の低い透過性を考慮して、顔料の光学的性質の変化のトリガーとなるのに十分な、時間の経過によりこれらの層を通過するガスの量を決定する。
【0077】
いくつかの実施形態では、顔料はポリマーマトリックスに含まれている。いくつかの実施形態では、ポリマーは、接着剤であってもよく、こうしてガス不透過性部分の内層および外層を結合してもよい。
【0078】
ポリマーマトリックスは、ポリエチレン、特に低密度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセンポリエチレン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BoPET)、エチレン-酢酸ビニル/ポリエチレン(EVA/PE)およびこれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、顔料は、インクまたは塗料に含まれる。したがって、マトリックスは流体キャリア(液体またはペースト)であってもよく、これは溶媒と、可溶化剤、界面活性剤などの添加剤を含んでもよい。
【0080】
必要に応じて、少なくとも1つの追加的な層(図示せず)が、外層と中間層の間、および/または中間層と内層の間に、例えばこれらの層間の接着性を高めるために、またはガス不透過性部分に追加的な機能性を付与するために、設けてもよい。この追加層は、無水物変性直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、またはこれらの混合物からなる群から選択されたポリマーで構成されてもよい。この追加的な層の厚さは、0.5~50μm、典型的には2μmで構成されてもよい。
【0081】
好ましくは、ガス不透過性部分は多孔質部分よりも大きな表面を有する。多孔質部分の表面は、一般的に、医療機器の効率的な汚染除去を可能にするのに十分であり、一方で滅菌後のバッグの気孔率を低減するために制限されるように画定される。好ましくは、多孔質部分に対するガス不透過性部分の表面比は、0.8以上、好ましくは0.9以上、好ましくは0.95以上である。
【0082】
また、中間層は、多層バッグに生じた損傷を検出する可能性を最大化する目的で、ガス不透過性部分の表面の90%を超えて、好ましくはガス不透過性部分の表面全体を覆っていることが有利である。
【0083】
図1では、医療機器1は桶の形で表現されているが(例えば、注射器などの医療用容器を受容するためのもの)、もちろん、無菌状態を維持する必要のある他のタイプの医療機器であってもよい。
【0084】
顔料がポリマーマトリックスに含まれている場合、ガス不透過性部分は、上記で説明したように、制御された雰囲気の中で、層211、212、213を共押出しすることによって作られてもよい。
【0085】
そのためには、各層を構成するポリマーは、押出機で溶融され積層されて、少なくとも3つの層の一体的なシートを形成してもよい。
【0086】
顔料を、融合ステップの前に、中間層のマトリックスを形成するポリマーにマスターバッチとして添加してもよい。それは、中間層全体に実質的に均質に分布するように、押出機の中で融合したポリマーと密に混合させてもよい。
【0087】
顔料がインクまたは塗料に含まれている場合は、インクや塗料をガス不透過性部分の外層および内層の少なくとも一方の表面に塗布してから、これらの層を組み立ててもよい。インクまたは塗料の塗布と層の組み立ては、上記のように制御された雰囲気の中で行われてもよい。
【0088】
その後、ガス不透過性シートを適切な寸法に切断し、多孔質部分に組み付けて多層バッグを作成してもよい。ガス不透過性部分はバッグに熱シールしてもよい。
【0089】
この多層バッグは、例えば、注射器などの医療用容器を包装するために、次のように使用してもよい。
【0090】
既知の方法では、複数の医療用容器をネストに配置し、ネストを桶内に置き、桶を多孔質シート(例えばTYVEK(商標))でシールする。
【0091】
シールされた桶を、その後、上述のように多層バッグ内に配置する。可能であれば、医療用容器の汚染に対する保護を高めるために、多層バッグを別の多層バッグ内に配置する。
【0092】
そして、医療用容器は、滅菌ガスを含む雰囲気が与えられ、滅菌ガスが多孔質部分を介してバッグ内に入ることを可能にすることで、滅菌される。
【0093】
顔料の種類によっては、多層バッグの破損の検出と位置の特定は、作業者が可視光(肉眼を使用)で行う場合と、紫外(UV)または赤外(IR)光を使用する検査システムで行う場合があり、顔料の光学的性質の変化を明らかにする。
【0094】
図4に模式的に示されているように、本発明は、先に述べたような多層バッグを製造するためのプロセスP1にも関しており、このプロセスは以下のステップ、
P11:多孔質シートを提供するステップ、
P21:ガス不透過性シートを提供するステップ、
P13:多孔質シートをガス不透過性シートに組み付けてバッグを形成するステップ、を含み、
ここでガス不透過性シートは、外層、内層および中間層を、中間層が外層と内層との間にシールして封入されるように、一体的に形成したものであり、中間層が、マトリックスと、マトリックス中に分散された顔料とを含む。
【0095】
好ましくは、プロセスP1において、ガス不透過性シートを提供するステップは、外層、中間層および内層を同時に押し出すことを含む。有利には、P1において、多孔質シートおよびガス不透過性シートは、それぞれ上述した多孔質部分およびガス不透過性部分に対応する。典型的には、本発明の多層バッグについて述べた外層、内層および中間層の性質は、P1にも適用される。
【0096】
図5に模式的に示されているように、本発明は、医療機器を包装するためのプロセスP2にも関し、以下のステップ、
-P21:先述の多層バッグを提供するステップであって、多層バッグは有利にはプロセスP1によって製造される、ステップ、
-P22:医療機器を多層バッグ内に配置するステップ、
-P23:多層バッグを閉じるステップ、
-P24:多層バッグを二酸化エチレンなどの滅菌ガスに晒して医療機器を滅菌するステップであって、滅菌ガスが多孔質部分を通って多層バッグ内に浸透することを可能にする、ステップを含む。
【0097】
好ましくは、プロセスP2において、医療機器を多層バッグに配置するステップP22は(
図6参照)、
-P221:医療機器を桶内に配置するステップ、
-P222:多層ガスがバッグの中に浸透するように構成された多孔質シートで桶をシールするステップ、および
-P223:桶を多層バッグ内に配置するステップ、を含む。
【0098】
有利には、多層バッグは、当業者に知られている任意の方法で熱シールによって閉じられる。
【0099】
有利には、プロセスP2において、医療機器は医療用容器であり、医療機器を桶に配置するステップは、複数の医療用容器をネストに配置することと、医療用容器を支持するネストを桶に配置することを含む。
【0100】
図7に模式的に示されているように、本発明はまた、医療用包装体の完全性の喪失を検出するためのプロセスP3であって、それは、
プロセスP2で医療機器を包装すること、
多層バッグのガス不透過性部分の破損を、破損周辺の中間層の顔料の光学的性質の変化によって検出すること(ステップP32)、を含む。
【0101】
好ましくは、プロセスP3において、破損を検出するステップは、
-多層バッグの外観検査であって、顔料の光学的性質の変化が人間の肉眼で見える色の変化であること、および/または
-赤外または紫外による検査であって、顔料の光学的性質の変化が赤外または紫外光の下で見えること、
-赤外または紫外による検査であって、顔料の光学的性質の変化は、検査システムで発生した赤外または紫外光によってトリガーされていること、で行われる。
【0102】
検出原理は、多層バッグが多孔質部分を含まない他の用途にも有利であってもよい。多層バッグは、ガス不透過性の筐体を形成しており、この筐体の少なくとも一部分は、外層、内層、および中間層が一体的に形成されており、中間層が外層と内層との間にシールして封入されており、中間層は、マトリックスおよびマトリックス内に配された顔料を含み、顔料は、外層および/または内層の損傷から生じる環境変化に反応して、少なくとも1つの光学的性質を変化させるように構成されている。好ましくは、筐体全体が外層、中間層および内層の前記アセンブリで形成され、破損が筐体のどの場所でも検出されてもよいようになっている。