IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

特許7333821改善されたツーリング経路生成を伴う産業ロボット装置、及び改善されたツーリング経路に従って産業ロボット装置を動作させる方法
<>
  • 特許-改善されたツーリング経路生成を伴う産業ロボット装置、及び改善されたツーリング経路に従って産業ロボット装置を動作させる方法 図1
  • 特許-改善されたツーリング経路生成を伴う産業ロボット装置、及び改善されたツーリング経路に従って産業ロボット装置を動作させる方法 図2
  • 特許-改善されたツーリング経路生成を伴う産業ロボット装置、及び改善されたツーリング経路に従って産業ロボット装置を動作させる方法 図3
  • 特許-改善されたツーリング経路生成を伴う産業ロボット装置、及び改善されたツーリング経路に従って産業ロボット装置を動作させる方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】改善されたツーリング経路生成を伴う産業ロボット装置、及び改善されたツーリング経路に従って産業ロボット装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20230818BHJP
   G05B 19/42 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
B25J9/22 A
G05B19/42 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021542100
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2020025019
(87)【国際公開番号】W WO2020151917
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】102019000000995
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビアンキ、ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】チアリ、フランチェスコサヴェーリオ
(72)【発明者】
【氏名】リッチ、ステファーノ
(72)【発明者】
【氏名】ジェリッニ、マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】コスタンチーノ、ステファーノ
(72)【発明者】
【氏名】レオニ、ファビオ
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-261878(JP,A)
【文献】国際公開第2011/102142(WO,A1)
【文献】特開2009-085269(JP,A)
【文献】米国特許第04675502(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0169856(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
G05B 19/18-19/416
G05B 19/42-19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業エリア(7)に配置された被加工物(2)に対する産業作業動作を実施するとともに当該被加工物(2)の形状を取得するように構成された装置であって、前記装置が、作業エリア(7)の空間内で移動可能な擬人化ロボット(3)と、コンピュータ(4)と、ロボットコントローラ(5)と、を備え、
前記擬人化ロボット(3)が、2次元レーザスキャナ(13)及び前記被加工物(2)に対して前記産業作業動作を実施することができる作業ツール(12)を含むエンドエフェクタ(10)を含み、
前記2次元レーザスキャナ(13)が、レーザプロジェクタ(14)と、カメラ(15)と、入力ポート(16)と、を含み、
前記ロボットコントローラ(5)が、前記擬人化ロボット(3)に、前記2次元レーザスキャナ(13)の動作中に前記エンドエフェクタ(10)が辿るべき経路である走査経路及び/又は前記作業ツール(12)の動作中に前記エンドエフェクタ(10)が辿るべき経路であるツーリング経路に沿って、前記エンドエフェクタ(10)を移動させるように構成されており、
前記コンピュータ(4)が、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)(41)を備え、前記ロボットコントローラ(5)に、及び前記2次元レーザスキャナ(13)の前記入力ポート(16)に動作可能に接続され、
前記コンピュータ(4)が、前記ロボットコントローラ(5)に前記走査経路に沿った連続位置データを提供し、前記エンドエフェクタ(10)が前記走査経路に沿った意図されるポーズのときに前記2次元レーザスキャナ(13)が前記被加工物(2)に対する走査をするように前記2次元レーザスキャナ(13)の前記入力ポート(16)に同期信号(17)を直接提供し、それによって、前記コンピュータ(4)が、前記走査経路に沿った前記エンドエフェクタ(10)の連続ポーズと同期して、前記被加工物(2)に対する連続走査動作を指令して、前記被加工物(2)に関する3次元形状情報を取得するように構成されている、装置。
【請求項2】
記作業ツール(12)は、前記3次元形状情報を取得した後に、前記エンドエフェクタ(10)が前記ツーリング経路に沿って移動される間に動作される、又は、前記3次元形状情報を取得するために前記エンドエフェクタ(10)が前記走査経路に沿って移動される間に動作されて当該走査経路を含む組み合わされた走査及びツーリング経路が画定されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ロボットコントローラ(5)が、前記エンドエフェクタ(10)の辿るべき経路を受け取って、当該受け取った経路に沿って前記エンドエフェクタ(10)を移動させる信号を提供する経路実行部(21)と、ツーリング経路を生成可能に構成された経路生成部(22)と、を含み、前記コンピュータ(4)が、前記経路生成部(22)を通すことなく前記経路実行部(21)に前記走査経路、前記ツーリング経路、又は前記組み合わされた走査及びツーリング経路に沿った前記連続位置データを直接提供するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記コンピュータ(4)、前記ロボットコントローラ(5)、及び前記装置に提供される更なる処理手段、のうち少なくとも1つが、前記走査経路又は前記組み合わされた走査及びツーリング経路の一部又は全部が辿られた後に、前記同期信号によって対応付けられた前記2次元レーザスキャナ(13)によって得られた走査データと当該走査データの取得された際の位置データとから、前記被加工物(2)の形状の3次元再構成を実施するように構成されている、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記コンピュータ(4)、前記ロボットコントローラ(5)、及び前記装置に提供される更なる処理手段、のうち少なくとも1つが、前記被加工物(2)の形状の前記3次元再構成に基づいて、前記ツーリング経路又は前記組み合わされた走査及びツーリング経路を算出又は調節するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記同期信号が、各々の前記連続位置データと同時に発行されるパルスを含む、請求項から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記産業作業動作が、溶接であり、前記擬人化ロボット(3)が、溶接ロボットであり、前記作業ツール(12)が、溶接トーチである、請求項から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記被加工物(2)が、ターボ機械の部品の鋼層を含む、請求項から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
作業エリア(7)の空間内で移動可能な擬人化ロボット(3)、コンピュータ(4)、及びロボットコントローラ(5)を通じて、作業エリア(7)に配置された被加工物(2)に対して産業作業動作を実施するとともに当該被加工物(2)の3次元形状情報を取得するための方法であって、前記擬人化ロボット(3)が、2次元レーザスキャナ(13)及び前記被加工物(2)に対して前記産業作業動作を実施することができる作業ツール(12)を含む、エンドエフェクタ(10)を備え、前記2次元レーザスキャナ(13)が、レーザプロジェクタ(14)と、カメラ(15)と、入力ポート(16)と、を備え、前記コンピュータ(4)が、前記ロボットコントローラ(5)、及び前記2次元レーザスキャナ(13)の前記入力ポート(16)に動作可能に接続されており、前記方法が、
(a)前記被加工物(2)に関する3次元形状情報を取得する工程を含み、前記工程(a)が、
(i)リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)(41)を用いて前記コンピュータ(4)を動作させて、前記コンピュータ(4)が走査経路に沿った連続位置データを前記ロボットコントローラ(5)に提供し、前記エンドエフェクタ(10)が前記走査経路に沿った意図されるポーズのときに前記2次元レーザスキャナ(13)が前記被加工物(2)に対する走査をするように前記2次元レーザスキャナ(13)の前記入力ポート(16)に同期信号(17)を直接提供する工程と、
(ii)前記ロボットコントローラ(5)を動作させて、前記エンドエフェクタ(10)を前記走査経路に沿って移動させる工程と、を含み、前記工程(i)と前記工程(ii)を実行することによって、前記エンドエフェクタ(10)の連続ポーズと同期して連続走査動作が実施される、方法。
【請求項10】
b)前記3次元形状情報を取得する工程の後に、前記ロボットコントローラ(5)を動作させて、前記作業ツール(12)の動作中に前記エンドエフェクタ(10)が辿るべき経路であるツーリング経路に沿って前記エンドエフェクタ(10)を移動させ、前記ツーリング経路に沿って前記エンドエフェクタ(10)を移動させながら前記作業ツール(12)を動作させるか、又は前記3次元形状情報を取得する工程中に、前記2次元レーザスキャナ(13)の動作中に前記エンドエフェクタ(10)が辿るべき経路である前記走査経路に沿って前記エンドエフェクタ(10)を移動させながら前記作業ツール(12)を動作させて当該走査経路を含む組み合わされた走査及びツーリング経路が画定される工程、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記走査経路並びに/又は前記組み合わされた走査及びツーリング経路の一部又は全部が辿られた後に、前記同期信号によって対応付けられた前記2次元レーザスキャナ(13)によって得られた走査データと当該走査データの取得された際の位置データとから、前記被加工物(2)の形状を3次元再構成する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記被加工物(2)の前記3次元再構成された形状に基づいて、前記ツーリング経路又は前記組み合わされた走査及びツーリング経路を算出又は調節する工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記同期信号が、各々の前記連続位置データと同時に発行されるパルスを含む、請求項から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記産業作業動作が、溶接であり、前記擬人化ロボット(3)が、溶接ロボットであり、前記作業ツール(12)が、溶接トーチである、請求項から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記被加工物(2)が、ターボ機械の部品の鋼層を含む、請求項から14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被加工物のロボット作業、特に、ロボット溶接に関する。本明細書に開示される実施形態は、具体的には、産業ロボット、特に、ロボット溶接装置、より具体的には、エンドエフェクタに2Dレーザスキャナを有する擬人化ロボットに関する。また、本明細書では、そのような産業ロボット(ロボット溶接装置)を動作させるための方法、並びに産業ロボットによって形状を取得するための装置及び方法も開示される。
【0002】
以下、簡略化のために、ロボット溶接が、ロボット作業の限定的な例としてではなく、例示的な例として最も言及される。
【背景技術】
【0003】
今日、自動又はロボット化作業動作、特に、溶接動作は、3D軌道又はツーリング経路、具体的には、溶接経路の非常に正確な知識を必要とし、作業ツール、具体的には、溶接トーチを、3D軌道又はツーリング経路に沿って最大精度で取り扱うために、非常に正確な機械構造及び作動システムを必要とする。
【0004】
ツーリング経路は、試料片上に設計されていてもよいが、実際の被加工物は、わずかに異なる形状を有してもよい。
【0005】
更に、溶接経路又は軌道を精密に辿る能力は、例えば、航空宇宙機械構造の重要部品の非常に薄い鋼層上で、熱的影響を考慮するために必須であり、実際に、熱的影響は、溶接される物体の元の幾何学的形状の変更につながり得る。したがって、航空宇宙機械構成要素が同じ部品に対する数個の溶接経路を含み得ることを考慮すると、各溶接動作の前及び/又は後に、物体の形状の3D測定値を可能な限り正確に得ることが非常に重要であり、溶接経路をその都度正確に調節することが必要とされる。
【0006】
被加工物の多層コーティングの場合にも同様の問題が生じ、被加工物の3D形状は、各層がコーティングされた後にわずかに変化し、他の用途でも、同様の問題が生じる。
【0007】
更に、当該航空宇宙機械構成要素及び他の被加工物は、複雑な3D構造であり、関連する溶接(又は概してツーリング)軌道も、同様に複雑な3D経路を有する。
【0008】
非常に精密な3D形状は、概して、既知の2Dレーザスキャナを適切に使用することによって取得され得、そのため、非常に精密な3D経路は、概して、そこから抽出され得る。
【0009】
既知の2Dレーザスキャナのほとんどは、三角測量原理を使用して、レーザ走査平面との被加工物外面の交差部に、その1つの所与の相互位置に形成されたレーザ線(例えば、レーザプロジェクタによって放射されたレーザビームを好適に掃引することによって提供される)の正確な2D画像を取得する(好適なカメラを通じて)。
【0010】
被加工物形状の3D画像を取得するために、2Dレーザスキャナは、連続2D画像が取得されている間に走査される部品に対して、レーザ線の各点の第3の次元又は座標を提供する走査線軌道又は走査経路に沿って、相対運動に置かれなければならず、次いで、3D形状が、3D点群から再構成され得る。
【0011】
既知の配置では、コンベヤベルトは、被加工物を固定された2Dレーザスキャナに向かって移動させるか、又は反対に、被加工物が静止され、2Dレーザスキャナが、レールに沿って移動可能なキャリッジによって支持され、連続2D画像が、一定の時間間隔で撮影される。走査経路の開始時及び終了時の加速及び減速フェーズなどの、直線運動の一定ではない相互速度及び他の不規則性を考慮するために、エンコーダが、連続レーザ線取得と、被加工物及びスキャナの連続相互位置との間の経時的な正確な同期を提供するために、すなわち、第3の次元の正確な情報を提供するために使用され得る。
【0012】
しかしながら、3Dの複雑性、極めて稀な小規模製造、及び考えられる大きいサイズの当該航空宇宙機械構成要素は、上記の配置を可能にしない。
【0013】
当技術分野では、エンドエフェクタとして、溶接トーチ又は他のツールの他に、2Dレーザスキャナを備えるアセンブリを装着する擬人化ロボットアームを使用することによって、これらの問題を解決することが知られており、被加工物の3D形状は、連続2D画像を取得している間に静止被加工物に対して2Dレーザスキャナを移動させることによって取得され得る。
【0014】
したがって、2Dレーザスキャナは、溶接プール又は一般的に作業エリアを視認するために好適であり、したがって、当該2Dレーザスキャナは、例えば、熱的影響に関するか、又は新たにコーティングされた層に起因する、形状変化として、被加工物又はその関連部品の形状に関する最新情報を有することを可能にする。
【0015】
ロボット擬人化アームの6つの自由度は、2Dレーザカメラと被加工物との間の直線相対運動を直線走査経路に沿って、又は更に複雑な走査経路に沿って得るために利用され得る。
【0016】
しかしながら、各2D画像が撮影される3D形状上の実際の位置の正確な知識を有するという問題が悪化し、コンベヤベルト又はレールシステムが直線運動エンコーダを支持するために存在しないため、直線運動エンコーダを使用する可能性はない。
【0017】
ロボットアーム運動の一定ではない速度及び他の不規則性の負の影響を克服するために、ストップアンドゴーアプローチが使用され得るが、遅過ぎて実際の産業シナリオで実用的に実装されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、産業擬人化ロボット、具体的には、溶接ロボットを含む、改善された装置、及びロボット作業、具体的には、ロボット溶接を実施するための方法であって、作業動作中の被加工物形状の変化を考慮する問題に対処するために、正確な3D走査データの効率的、かつ最新の取得による、方法が、有益であり、技術的に歓迎されることになる。
【0019】
より一般的には、大きい及び/又は繊細な被加工物又は他の物体の正確な形状をより効率的に取得するように適合された方法及びシステムを提供することが望ましいことになる。
【0020】
一態様では、本明細書に開示される主題は、作業エリアに配置された被加工物に対して産業作業動作を実施するように構成された装置を対象とする。装置は、作業エリアの空間内で移動可能な擬人化ロボット、コンピュータ、及びロボットコントローラを備える。擬人化ロボットは、2Dレーザスキャナと、被加工物に対して当該作業動作を実施することができる作業ツールと、を含む、エンドエフェクタを備える。2Dレーザスキャナは、レーザプロジェクタ、カメラ、及び入力ポートを備える。ロボットコントローラは、ロボットを経路に沿ってエンドエフェクタを移動させるように構成され、作業ツールは、移動中に選択的に動作可能である。コンピュータは、リアルタイムオペレーティングシステムが提供され、ロボットコントローラ及び2Dレーザスキャナの入力ポートに動作可能に接続される。コンピュータは、ロボットコントローラに走査経路に沿った連続位置データを提供し、2Dレーザスキャナの入力ポートに同期信号を直接提供し、それによって、走査経路に沿ったエンドエフェクタの連続ポーズと同期して、被加工物に対する連続走査動作を指令して、被加工物に関する3D形状情報を取得するように構成されている。作業ツールは、エンドエフェクタが、続いて、ツーリング経路に沿って移動される、及び/又は当該走査経路に沿って移動され、したがって、組み合わされた走査及びツーリング経路を画定する間に動作されるように構成されている。
【0021】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、作業エリアに配置された被加工物に対して産業作業動作を実施するための方法を対象とする。方法は、被加工物に関する3D形状情報を取得する工程であって、リアルタイムオペレーティングシステムを用いてコンピュータを動作させて、走査経路に沿った連続位置データをロボットコントローラに提供し、2Dレーザスキャナの入力ポートに同期信号を直接提供することと、ロボットコントローラを動作させて、エンドエフェクタを走査経路に沿って移動させ、それによって、エンドエフェクタの連続ポーズと同期して連続走査動作を実施することと、による、取得する工程を含む。方法は、続いて、ロボットコントローラを動作させて、走査経路とは異なるツーリング経路に沿ってエンドエフェクタを移動させ、ツーリング経路に沿ってエンドエフェクタを移動させながら作業ツールを動作させるか、又は走査経路に沿ってエンドエフェクタを移動させながら作業ツールを動作させて、したがって、組み合わされた走査及びツーリング経路を画定する工程を更に含む。
【0022】
上記の態様では、擬人化ロボットのエンドエフェクタにおけるカメラの配置は、有利には、被加工物が静止して保たれることを可能にするが、これは、厳密に必須ではないが、有利には、ロボット移動性能、すなわち、ロボットアームによって提供される最も細かい変位に正確に一致する、輪郭又は形状データ取得における最高解像度、したがって、3Dツーリング経路の最大の正確さが達成されることを可能にする。
【0023】
有利には、3D点群の3つの座標の取得における同期は、リアルタイムオペレーティングシステム及び同期信号の使用によって取得され、外部エンコーダを不要にする。
【0024】
有利には、同じ被加工物に対する後続の作業プロセス中の3Dツーリング経路の更新が容易に達成される。
【0025】
更に、新しい3D形状データもまた、例えば、品質管理のために、作業プロセス中に同じ構成要素によって取得され得る。
【0026】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、作業エリアに配置された物体の形状を取得するように構成された装置を対象とする。装置は、作業エリアの空間内で移動可能な擬人化ロボット、コンピュータ、及びロボットコントローラを備える。擬人化ロボットは、2Dレーザスキャナを含むエンドエフェクタ(10)を備える。2Dレーザスキャナは、レーザプロジェクタ、カメラ、及び入力ポートを備える。ロボットコントローラは、ロボットに走査経路に沿って2Dレーザスキャナを駆動させるように構成されている。コンピュータは、リアルタイムオペレーティングシステムが提供され、ロボットコントローラ及び2Dレーザスキャナの入力ポートに動作可能に接続される。コンピュータは、ロボットコントローラに走査経路に沿った連続位置データを提供し、2Dレーザスキャナの入力ポートに同期信号を直接提供し、それによって、走査経路に沿ったエンドエフェクタの連続ポーズと同期して、物体に対する連続走査動作を指令するように構成されている。
【0027】
別の態様では、本明細書に開示される主題は、作業エリアに配置された物体の3D形状を取得するための方法を対象とする。方法は、リアルタイムオペレーティングシステムを用いてコンピュータを動作させて、走査経路に沿った連続位置データをロボットコントローラに提供し、2Dレーザスキャナの入力ポートに同期信号を直接提供する工程と、ロボットコントローラを動作させて、エンドエフェクタを走査経路に沿って移動させ、それによって、エンドエフェクタの連続ポーズと同期して連続走査動作を実施する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の開示された実施形態、及びその付随する利点の多くのより完全な理解は、添付図面と関連して考慮されるときに、以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解されるように、容易に取得されるだろう。
図1図1は、産業ロボット装置の一実施形態の概略図を示す。
図2図2は、図1のロボット装置による作業動作を実施するための方法に関するフローチャートである。
図3図3は、図1のロボット装置を用いて被加工物の形状を取得するための方法に関するフローチャートである。
図4図4は、改善されたツーリング経路に従って図1のロボット装置を動作させるための方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
一態様によると、本発明の主題は、ロボットツールによって辿られるべきツーリング経路の生成を改善するための装置及び方法を対象とする。具体的には、本明細書に開示される実施形態では、産業擬人化ロボットが、溶接又はコーティング動作などの産業作業動作を、機械部品などの被加工物に対して実施するために使用される。産業擬人化ロボットのアームは、作業ツールを含むエンドエフェクタが、所望のツーリング経路に沿って空間内で移動することを可能にするジョイントを有する。ツーリング経路は、試料片上に設計されていてもよいが、実際の被加工物は、わずかに異なる形状を有し得、そのため、所望のツーリング経路もまた、わずかに異なる。更に、各動作は、同じ被加工物に対する数個の経路を含み得、被加工物の形状は、1つの経路から次の経路へと変化し得、そのため、ツーリング経路もまた、1つの経路から次の経路に変化し得る。
【0030】
ツーリング経路が計算又は調節される、被加工物の実際の形状を取得するために、ロボットアームは、エンドエフェクタに2Dレーザスキャナを備える。ロボットアームは、第3の次元を提供するために連続ポーズに移動される間に各ポーズにおける被加工物の2D画像を撮影し、そのため、被加工物の3D形状は、各画像が撮影された位置と対になった各画像からの2Dデータのアセンブリから再構成され得る。被加工物は、移動される必要はなく、このことは、いくつかの場合で重要である。リアルタイムオペレーティングシステムを備えるコンピュータが、少なくとも走査移動中にロボットアームを制御し、画像の撮影を指令するために使用され、したがって、同期信号を通じて、各画像が、意図されるポーズに実際に到達した後のみに撮影されることを保証し、それゆえに、3D点群の各点が、移動速度及びその移動の任意の不規則性にかかわらず、一貫したデータを有することを保証する。被加工物の形状が取得されると、次の作業動作のツーリング経路は、例えば、以前の溶接動作に起因する熱的影響によって変化している場合がある、実際の形状に計算又は調節される。2Dレーザスキャナが、作業ツールを担持する同じロボットアームエンドエフェクタによって支持されるため、再構成された3D形状、したがって、その形状に対して画定されたツーリング経路の解像度は、そのツーリング経路を辿るロボットアームの実際の能力に自動的に一致し、計算量は、作業が実施されることになる解像度よりも高い解像度で形状を再構成する際に無駄にならず、より低い解像度で計算されたツーリング経路に沿って作業ツールの更なる位置を内挿する必要性もなく、したがって、精度は、可能な限り高い。
【0031】
ツーリング動作中に、組み合わされた走査及びツーリング経路になるものに沿って、ロボットアームの連続ポーズと同期して再び、更なる画像がまた、撮影され得る。
【0032】
より一般的な態様によると、本明細書に開示される主題は、ロボット装置によって物体の形状を正確に取得するためのシステム及び方法を対象とする。ロボット装置は、リアルタイムオペレーティングシステムを実行するコンピュータを通じて、上述されたように動作される2Dレーザスキャナを担持する。取得された形状は、任意の所望の目的で使用される。
【0033】
ここで、本開示の実施形態が詳述されると、その1つ以上の実施例が図面に示されている。各実施例は、本開示を限定するものではないが、本開示の説明によって提供される。その代わりに、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0034】
図1は、被加工物に対する産業作業動作、特に、溶接を実施するための装置1の第1の実施形態を概略的に示しており、1つの例示的な被加工物2が示されており、当該装置1は、空間内で移動可能な擬人化ロボット3と、コンピュータ4と、ロボットコントローラ5と、を備え、これらは、以下に詳述されるように動作可能に接続されている。当該被加工物2を支持し、かつ作業エリア7を画定するプラットフォーム6も示されているが、厳密に必須ではない。被加工物2は、例えば、ターボ機械の重要部品の非常に薄い鋼層を含み得る。コントローラ5がロボット3とは別個に示されているが、コントローラ5は、ロボット3の中、例えば、ベース8内に含まれてもよいことを理解されたい。
【0035】
以下で明らかになる理由から、コンピュータ4は、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)41を備える。
【0036】
ロボット3は、周知の様式で、ベース8と、ベース8から延在し、かつベース8と回転可能に連結されたアーム9と、を備え、アーム9のベース8から離れた端は、ハンド又はエンドエフェクタ10と呼ばれる。数個のジョイント11が、アーム9に沿って提供され、4つが例として示されている。
【0037】
エンドエフェクタ10は、作業ツール12、特に、溶接トーチを備える。作業ツール12が溶接トーチであるとき、溶接トーチは、被加工物2、例えば、その2つの金属部品の所望の溶接を提供するために、金属を溶融するための熱を提供することができ、他の場合、作業ツールは、被加工物2に対する意図される作業動作、例えば、コーティングのための塗料の放出、接着用接着剤の放出などを実施することができる。
【0038】
エンドエフェクタ10はまた、2Dレーザスキャナ13を備える。2Dレーザスキャナ13は、周知の様式で、レーザプロジェクタ14と、相互に角度付けされたカメラ15と、を備える。
【0039】
2Dレーザスキャナ13は、レーザプロジェクタ14によるレーザ線の生成及びカメラ15による連続画像の取得を制御するための同期信号を受信するための入力ポート16を備える。2Dレーザスキャナ13の入力ポート16に提供される信号は、画像取得を各々トリガするパルスを含む非周期信号とみなされ得る。入力ポート16は、一般に、2Dレーザスキャナ上で利用可能であるが、2Dレーザスキャナが静止しているときに、2Dレーザスキャナに対して被加工物を移動させるために一般的に提供されるコンベヤベルト又は同様の部材に動作可能に接続されるか、又は上で考察されるように、2Dレーザスキャナを静止被加工物に対して移動させるためにレール上で移動するキャリッジに動作可能に接続される、エンコーダから同期信号を受信するように設計されることに留意されたい。
【0040】
既知のロボット装置では、2Dレーザスキャナの入力ポートがエンコーダに接続されるが、装置1では、2Dレーザスキャナ13の入力ポート16は、同期信号接続17に沿ってコンピュータ4に逆に接続され、そこから信号を受信する。
【0041】
データ接続18は、2Dレーザスキャナとコントローラ5との間に提供されて、コントローラ5が、取得された画像を受信することを可能にする。2Dレーザスキャナ13は、画像のプリプロセッサを含み得る。コントローラ5は、画像をバッファリング又は記憶するための画像処理手段及び/又はメモリ手段(簡略化のために図1には示されていない)を更に含み得る。代替的に、コントローラ5は、コンピュータ4又は更なる遠隔コンピュータなどの他の場所で処理されるべき画像を単純に転送し得る。代替的に、場合によって前処理される、受信された取得された画像は、好適なデータ接続(図示せず)に沿って、2Dレーザスキャナ13からコンピュータ4又は遠隔コンピュータに直接送信され得る。
【0042】
更なるデータ及び信号接続19、20が、ロボットコントローラ5とロボット3との間に提供される。一般にロボット3に/そこから向けられて示されているが、接続19上で搬送されるデータ及び信号は、主にそのアーム9のポーズを制御することを意図しており、接続部20は、主に、ポーズに到達したか否かに関するフィードバック信号を搬送する。
【0043】
より具体的には、ロボットコントローラ5が、通常の場合であるように、経路生成部21及び経路実行部22を実装するコンピュータプログラムモジュール(ソフトウェア、ハードウェア又はファームウェア)を備えるとき、データ及び信号接続19、20は、ロボット経路実行部22とロボット3との間に提供される。更なる信号接続23が、そのような場合、経路生成部21から経路実行部22に提供される。経路生成部21が本明細書の任意の構成要素であることが以下の説明から理解されるであろう。
【0044】
ロボットコントローラ5とコンピュータ4との間に、更なるデータ及び信号接続部24、25が提供される。より具体的には、ロボットコントローラ5が経路生成部21及び経路実行部22を備えるとき、データ及び信号接続24、25は、コンピュータ4と経路実行部22との間に提供される。接続部24上で搬送されるデータ及び信号は、主に、以下で考察されるように、ロボット3の、特に、そのアーム9のポーズを制御することを意図している。接続部25は、主に、ポーズに到達したか否かに関するフィードバック信号を搬送する。
【0045】
トーチ制御線26は、ツール12を駆動する信号、例えば、そのスイッチオン及びオフ、溶接トーチの場合のその電力レベル、並びに/又は他の変数のために、コントローラ5から(具体的には経路実行部22から)エンドエフェクタ10に提供される。代替的に、作業ツール12は、好適な接続(図示せず)に沿ってコンピュータ4によって直接制御され得る。
【0046】
ロボット装置1は、以下のように動作し、以下で考察される方法が実装されることを可能にする。
【0047】
図2のフローチャートに示すように、及び図1を引き続き参照して考察されるように、溶接又は他の作業動作を実施するための方法100では、ロボットコントローラ5は、コンピュータ4と共に、画定されたツーリング軌道若しくはツーリング経路、又は溶接経路に沿ってロボット3を移動させ(工程101)、そのような移動中に、トーチ又は他の作業ツール12が適切に駆動される(工程102)。ツーリング経路は、ロボット3、特に、エンドエフェクタ10が、作業ツール12の動作中に辿るべき経路である。
【0048】
より詳細には、ロボットコントローラ5、具体的には、その経路実行部22は、ロボットアーム9のジョイント11の位置を好適なアクチュエータ(図示せず)を通じて制御し、それにより、エンドエフェクタ10は、作業エリア7を含む及びそれを取り囲む空間内の移動の最大6つの自由度で全体的に提供される。経路実行部22によって出力される信号は、経時的に変化する信号として表され得(必ずしも経時的に信号が連続していないが)、信号全体の各値は、6つの自由度の場合、Q(t)=[q1(t),q2(t),...q6(t)]などの、ロボット内部座標内の複数の値を含む。各量qi(tn)は、例えば、アーム9の特定のジョイント11が特定の時間tnに想定しなければならない角度を表し、そのため、Q(tn)は、tnにおけるエンドエフェクタ10のポーズを表し、経時的なポーズの変数Q(t)は、エンドエフェクタ10によって辿られる経路を表現する。ここでは、及び以下では、指数に対してイタリック表記が使用されることに留意されたい。
【0049】
エンドエフェクタ10によって辿られなければならない経路は、空間座標の別の系において、通常、P(t)=[x(t),y(t),z(t)]のようにデカルト座標にある、ロボットコントローラ5の経路実行部22に提供され、経路実行部22のタスクは、空間変換を実施するものである。デカルト座標の代わりに、任意の他の好適な空間基準系が使用されてもよい。
【0050】
上述されたような経路生成部21は、通常、ロボットコントローラ5内に存在し、所望の作業動作、被加工物の形状、試料片に対するその変化、ツール速度、及び他の変数に従って、経路P(t)を生成するタスクを有し得る。更に、以下の説明から明らかなように、経路P(t)はまた、例えば、実施されている作業プロセスの熱的影響及び/又は他の結果に起因する、被加工物の形状の変化に従って生成され得る。特に、2Dレーザスキャナ13からの走査データがロボットコントローラ5によって処理されるときに、経路生成部21が経路P(t)を生成することになる。
【0051】
代替的に、デカルト空間内の作業又はツーリング経路P(t)を生成する後者のタスクは、特に、2Dレーザスキャナ13からの走査データがコントローラ4によって、若しくは外部コンピュータによって処理されるとき、又は経路生成部21が欠落しているときに、コンピュータ4によって実施され得る。
【0052】
完全なツーリング経路P(t)は、一度に提供され、ツーリング経路Q(t)に変換されてもよいが(P(t)及びQ(t)の両方は、同じ実体の異なる表現であるため、ツーリング経路と呼ばれる)、好ましくは、工程103において、ロボットコントローラ5、特に、経路生成部21、又はコンピュータ4は、外部基準系内のツーリング軌道又は経路に沿って次のポーズP(tn+1)を出力し、工程104では、ロボットコントローラ5、特に、経路実行部22は、ロボット基準系Q(tn+1)にポーズを変換し、エンドエフェクタ10をそのポーズに移動させる。
【0053】
工程105でチェックされるように、所望のツーリング軌道が完了していない限り、上で考察される工程が、その後、工程106で指数nの増分によって示されるように、次のポーズについて繰り返される。工程105、106によって例示される方法よりも、工程の繰り返しを制御する異なる方法が、等しく使用され得ることを理解されたい。また、概略的に示されているような制御が明らかに使用される場合、作業が所望の軌道全体に沿って実施されることを確保するために、追加の「偽の」開始点又は「偽の」終点を軌道に追加することが必要な場合があることも理解されたい。
【0054】
図3及び図1のフローチャートを参照して説明される被加工物2の形状を取得するための方法200では、RTOS41を実行しているコンピュータ4(簡単に、以下、RTOSコンピュータ4)は、場合によっては上で考察されるように、ツーリング経路P(t)に加えて、デカルト座標又は他の空間基準系の、すなわち、例えば、走査経路S(t)=[s1(t),s2(t),...s6(t)]のように、ロボット座標系に経路実行部22によって同様に変換される、走査経路R(t)を生成するタスクを有する。R(t)及びS(t)の両方は、それらが同じ実体、すなわち、ロボット3、特に、エンドエフェクタ10が2Dレーザスキャナ13の動作中に辿るべき経路の異なる表現であるため、走査経路と呼ばれることに留意されたい。
【0055】
具体的には、工程201では、エンドエフェクタ10は、走査軌道R(t)に沿って現在のポーズR(tn)にある。これは、コンピュータ4によって、RTOS41のおかげで、及び/又は場合によっては接続20及び25に沿ったフィードバックによって、確保され得る。その後、工程202では、RTOSコンピュータ4は、外部座標系で、走査軌道R(t)に沿って次のポーズR(tn+1)を出力する。工程203では、ポーズR(tn+1)は、ロボットコントローラ5の経路実行部22によって、例えば、S(tn+1)=[s1(tn+1),s2(tn+1),...s6(tn+1)]のように、ロボット座標系に変換され、エンドエフェクタ10は、そのような新しいポーズに移動される。
【0056】
エンドエフェクタ10が走査経路R(t)に沿って移動される間、連続2D画像は、2Dレーザスキャナ13によって撮影される。
【0057】
具体的には、工程204では、接続17を介した同期信号は、RTOSコンピュータ4によって制御され、具体的には、その状態は、工程202において次のポーズR(tn+1)の出力以前の出力である、トリガパルスを生成するように簡単に変化する。
【0058】
同期信号に基づいて、具体的には、工程205において、2Dレーザスキャナ13による、その入力ポート16における、同期信号のそのようなパルスの受信時に、2D画像は、2Dレーザスキャナ13によって撮影される。同期信号のおかげで、画像がS(tn)に相当する現在のポーズR(tn)で撮影されることが確保される。
【0059】
より詳細には、レーザプロジェクタ14は、レーザ平面で好適に掃引される(又は好適な光学系を通って成形される)レーザビームを放出して、それが被加工物2の外面を遮断すると、第1の方向に延在する走査線を形成する。カメラ15は、被加工物2の表面によって反射された光を捕捉し、周知の三角測量原理を通じて、走査線上に位置する各表面点の距離が、2Dレーザスキャナ13自体によって、あるいは下流構成要素、特に、ロボットコントローラ5若しくはコンピュータ4、又は更には外部コンピュータによって、計算される。計算された距離、走査線に沿ったレーザスポットの位置、及び走査平面の位置は、走査経路R(t)に沿ったエンドエフェクタ10の位置によって決定され、工程206で収集される、被加工物2の形状の3D点を提供する。
【0060】
工程201及び202は、別個の後続の工程として示され、工程202は、3D形状取得方法200を加速させるために、工程201の直後に、好ましくは可能な限りすぐ後に行われることが理解されるであろう。工程202は更に、工程201と厳密に同時であってもよく、実際、実施されるために工程205のために掛かる時間、したがって、現在のポーズR(tn)で撮影される画像のために掛かる時間は、概して、コントローラ5の経路実行部22による変換、及び現在のポーズから次のポーズまでの移動の作動の開始のために掛かる時間よりも短く、したがって、コンピュータ4がその2つの指令(コントローラに対する、及び2Dレーザスキャナに対する)を同時に発行した場合でも、画像がS(tn)に相当する現在のポーズR(tn)で撮影されることが依然として確保されることになる。
【0061】
工程207でチェックされるように、所望の走査軌道が完了していない限り、上で考察される工程が、その後、工程208でカウンタnの増分によって示されるように、次のポーズについて繰り返される。工程207、208によって例示される方法よりも、工程の繰り返しを制御する異なる方法が、等しく使用され得ることを理解されたい。また、概略的に示されているように制御が明らかに使用される場合、最後のポーズで画像が撮影されず、その結果、追加の「偽の」終点が、軌道に追加されるべきであることも理解されたい。
【0062】
RTOS41は、コンピュータ4上で実行され、それによって、発行された同期信号は、意図されるポーズに実際に到達した後のみ、2D画像が工程205で取得されることを保証し、それゆえに、工程205で収集される3D点群の各点が、ロボット3の移動速度、及びその移動の任意の不規則性にかかわらず、一貫したデータを有することを保証する。工程201及び205の完全な同期は、二重矢印209によって概略的に例示される。
【0063】
形状取得中のエンドエフェクタの移動は、レーザプロジェクタ14によって放出されるレーザ平面に直交する方向に沿った並進である必要はなく、むしろ、例えば、レーザ平面の回転が使用され得ることに留意されたい。ロボットの移動はまた、原則として、レーザスポットから走査線の長さを形成するために使用され得、したがって、レーザプロジェクタの掃引機構又は任意の光学系を回避し、次いで、走査軌道R(t)が、むしろ複雑、例えば、蛇行パターンになることに留意されたい。
【0064】
RTOS41はまた、作業動作中に利用され得ることが強調され(図2参照)、ツーリング軌道P(t)がコンピュータ4によって提供される場合、例えば、全体的に一定の熱出力を得るために、減速中に溶接トーチに供給される電力を減少させ、加速中に電力を増加させるように、移動全体を通して一定ではなく、移動に従って作業ツール12を駆動する。
【0065】
改善されたツーリング経路に従って図1のロボット装置を動作させるための方法300は、図4のフローチャート、並びに先で考察される図2及び図3を参照して開示されている。
【0066】
任意選択の工程301では、公称ツーリング経路P(t)が、例えば、メモリ手段から取得される。
【0067】
次いで、装置は、工程302で、作業エリア7における被加工物2の実際の形状に関する情報を取得する。この工程は、図3のフローチャートに関連して上で考察される方法200に従って実施され、それによって、同期信号を通じて、ロボット3のポーズと2Dレーザスキャナ13によって取得されたプロファイルデータとの間の最も高い時間対応が確保され、そのため、各収集された3D点が、一貫性の高いデータを有し、最終的には、完全な走査動作を通じて、被加工物2は、コントローラ5内又はコンピュータ4上(又は外部コンピュータ内)で実行されるプログラムによって、形状に実質的に再構成される。
【0068】
次いで、コントローラ5の経路生成部21又はコンピュータ4は、工程302で得られた被加工物形状に従って、ツーリング経路P(t)、特に、溶接経路を計算するか、又は公称若しくは他の現在アクティブなツーリング経路を調節するために、工程303で使用される。
【0069】
次いで、作業動作が、工程303で計算されたツーリング経路P(t)に沿って被加工物2上で実施される。この工程は、図2のフローチャートに関連して上で考察される方法100に従って実施される。
【0070】
工程305でチェックされたように、所望の全体的な作業動作が同じ被加工物2に対して完了していない限り、工程302は、次いで、工程304における後続の作業動作の前に、作業エリア7における被加工物2の実際の形状に関する最新情報を得るために戻される。工程305によって例示される方法とは異なる、工程の繰り返しを制御する方法が、等しく使用されてもよいことを理解されたい。
【0071】
ロボット装置を動作させるこの方法300の利点は、任意選択の工程301で得られた公称ツーリング経路が試料片に対して設計されていてもよいが、実際の被加工物2が、わずかに異なる形状を有してもよいことを考慮して認識される。
【0072】
更に、1つの及び同じ被加工物2は、例えば、被加工物2が複数の構成要素を含む複雑な機械構造を有するため、多くの場合、複数の後続の動作、例えば、対応する複数の溶接経路に沿った溶接動作の対象になる。例えば、以前の溶接経路に起因する熱膨張を考慮するために、後続の溶接経路を精密に調節するために、各溶接動作後の被加工物2の幾何学的形状をチェックすることが非常に望ましい。
【0073】
別の例示的な場合として、被加工物2に対するコーティング動作を実施するために、数個の経路が必要とされ得る。各層は、被加工物2をわずかに増大させ、したがって、後続の層コーティング中に必要なその形状及びコーティング経路を変化させる。
【0074】
非常に精密なツーリング経路が、各個々の動作で、作業ツール12に提供される。2Dレーザスキャナ13が、作業ツール12を担持する同じロボットアームエンドエフェクタ10によって支持されるため、工程302で得られた再構成された3D形状、したがって、工程303でその形状に対して画定されたツーリング経路の解像度は、工程304でそのツーリング経路を辿るロボットアーム9の実際の能力に自動的に一致し、計算量は、作業が実施されることになる解像度よりも高い解像度で形状を再構成する際に無駄にならず、より低い解像度で計算されたツーリング経路に沿って作業ツール12の更なる位置を内挿する必要性もなく、したがって、精度はもちろんのこと、計算効率も可能な限り高い。
【0075】
コンピュータ4は、現実のエンコーダをシミュレートし、したがって、本明細書では「シミュレートされたエンコーダ」と呼ばれるものを具現化し、一般にエンコーダポートであることを意味する2Dレーザスキャナ13の入力ポート16に好適な信号を生成することが理解されるであろう。
【0076】
要約すると、有利には、後続の溶接又は他の作業プロセスに起因する3D経路のリアルタイム更新、並びにロボット移動及び外部制御能力に従う3D溶接又はツーリング経路の可能な限り最高の解像度が提供される。
【0077】
プロファイルデータ取得における最大精度は、同期信号によって達成される。
【0078】
ツーリング軌道はまた、周知のように、自動電圧制御(AVC)を使用して作業ツール12によって提供されるフィードバックに従って、更にわずかに調節された「オンライン」であってもよい。
【0079】
追加的に、又は原則として更に代替的に、例えば、ツーリング経路が直線状であるとき、作業動作は、被加工物の3D形状が取得されている間に、走査経路と同じツーリング経路に沿って実施され得る。言い換えると、被加工物2の表面全体を被覆する完全な走査経路上でエンドエフェクタ10を移動させている間に工程302を実施し、その後、作業動作を実施する完全なツーリング経路上でエンドエフェクタ10を移動させる代わりに、組み合わされたツーリング及び走査経路に沿ったエンドエフェクタ10の単一の移動は、作業動作を実際に実施すること、同時に、その形状に関する少なくとも部分的なデータを取得するために被加工物2を走査することの両方のために利用され得る。取得された形状が、次の作業動作のツーリング経路を調節するために利用され得る、及び/又はわずかな調節が、ローカルで実施され得る。
【0080】
コンピュータ4は、パーソナルコンピュータ、又は任意の好適なリアルタイムオペレーティングシステムで動作され得る任意の好適なコンピューティング装置であり得る。
【0081】
産業ロボット装置、特に、ロボット溶接装置が上記に示され、言及されてきたが、装置はまた、任意の作業ツールを欠くロボット装置であってもよく、単に被加工物又は物体の形状を取得することを意図するロボット装置であり得る。そのような場合、ロボットヘッド10は、2Dレーザスキャナ13を支持することになるが、溶接トーチ又は他のツール12は、存在しないことになる。
【0082】
被加工物の形状が上記で言及されているが、この用語は、ロボット装置1によって実際に取得されるものが、プラットフォーム6若しくは他の支持手段(床を含む)に面するのではなく露出される被加工物2の外面の一部分の形状、又は更に、例えば、現在の作業動作の関心対象である、被加工物2の外面のより小さいエリアの形状であるため、限定的な様式で解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0083】
異なる交換可能な作業ツール12が提供されてもよい。
【0084】
構成要素間のデータ及び/又は信号接続は、有線接続であってもよく、又は無線接続であってもよい。
【0085】
エンドエフェクタに追加のカメラが存在してもよい。
【0086】
場合によっては、同じ作業プロセス中のツーリング経路(又は組み合わされた経路)の一部の局所的な更新が実施され得、考察されるように、既知の自動電圧制御(AVC)は、作業動作中にツーリング軌道又は経路(又は組み合わされた経路)をわずかに調節するために、追加的に提供され得る。
【0087】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法工程の順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。本明細書全体を通して「一実施形態」又は「実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所における「一実施形態では」又は「実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な様式で組み合わされてもよい。
【0088】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であり、挙げられた要素以外に更に要素があってもよいと意味することを意図している。
【0089】
「動作する」という用語は、例えば、「コンピュータを動作させる」、「作業ツールを動作させる」、及び「コントローラを動作させる」などの表現形態で使用されるとき、必ずしも人物自体を指すものではなく、むしろ、本明細書に説明及び特許請求される方法及びその工程を実施するために、その中に記憶され得る、及び/又は別の構成要素によって付与され得る、一連の命令に従う関連する構成要素を包含する。
【0090】
「直接」という用語は、2つの構成要素間の信号(複数可)及びデータの交換に関連して使用されるとき、更なる信号処理又はデータ処理構成要素が間に存在しないことを示すことを意味するが、例えば、有線ケーブル及びコネクタなどの、その間で信号又はデータを処理しない構成要素が存在することを包含することを意味する。
図1
図2
図3
図4