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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】回折バックライトを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20230818BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230818BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20230818BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALN20230818BHJP
【FI】
G02B5/18
G09F9/00 338
G09F9/00 336J
F21S2/00 401
G02F1/13357
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021564225
(86)(22)【出願日】2020-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 US2020029986
(87)【国際公開番号】W WO2020223134
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】62/839,736
(32)【優先日】2019-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】ホークマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】マ,ミン
(72)【発明者】
【氏名】ペン,ジェン
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-511094(JP,A)
【文献】特開昭60-225103(JP,A)
【文献】特開平06-347628(JP,A)
【文献】国際公開第2008/146422(WO,A1)
【文献】特表2010-518432(JP,A)
【文献】特開2000-180739(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103562803(CN,A)
【文献】米国特許第04708437(US,A)
【文献】国際公開第2019/066873(WO,A1)
【文献】特表2018-535506(JP,A)
【文献】国際公開第2018/022028(WO,A1)
【文献】特開2003-084114(JP,A)
【文献】特開2003-307606(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0046513(KR,A)
【文献】特表2003-521684(JP,A)
【文献】特表2003-521728(JP,A)
【文献】特開2013-127961(JP,A)
【文献】特表2011-526050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0011625(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0011635(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G09F 9/00
F21S 2/00
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折バックライトを製造する方法であって、前記方法が、
導光体基板上にユニバーサル格子を形成する工程と、
前記導光体基板上に反射島部を形成する工程と、
前記反射島部を使用して前記ユニバーサル格子の一部分を選択し、格子要素を画定する工程と、を含み、
前記回折バックライトの反射回折格子要素が、前記格子要素と前記反射島部との組み合わせを含む、方法。
【請求項2】
前記導光体基板上にユニバーサル格子を形成する工程が、ナノインプリントモールドを使用して、前記導光体基板のナノインプリント受容層内に前記ユニバーサル格子をナノインプリントする工程を含む、請求項1に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項3】
前記反射島部を形成する工程が、反射材料の層をパターニングして前記反射島部を画定する工程を含み、前記反射材料の層が、金属、金属ポリマー、及び高屈折率誘電体のうちの1又はそれ以上を含む、請求項1に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項4】
前記ユニバーサル格子が、前記導光体基板の表面上に位置しており、前記反射島部が、前記ユニバーサル格子上に形成されている、請求項1に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項5】
前記反射島部を形成する工程が、
前記ユニバーサル格子上に反射材料層を堆積する工程と、
パターニングされたフォトレジストを使用して前記反射材料層をエッチングして、前記反射材料層の一部分を除去し、前記反射島部を画定する工程と、を含む、請求項4に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項6】
前記反射島部を使用して前記ユニバーサル格子の前記一部分を選択し、格子要素を画定する工程が、前記反射島部によって覆われていない前記ユニバーサル格子の露出部分をエッチングすることによって、前記露出部分を除去する工程を含む、請求項4に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項7】
前記反射島部を使用して前記ユニバーサル格子の前記一部分を選択し、格子要素を画定する工程が、前記ユニバーサル格子及び反射島部を光学材料層で覆う工程を含み、前記光学材料層が、前記ユニバーサル格子に屈折率整合されている、請求項4に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項8】
前記反射島部が、前記導光体基板の表面上に位置しており、前記ユニバーサル格子が、前記反射島部上に形成されている、請求項1に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項9】
前記反射島部と前記ユニバーサル格子との間に光学材料層を設ける工程を更に含み、前記光学材料層が、前記導光体基板の材料に屈折率整合され、前記ユニバーサル格子が、前記光学材料層上に形成されている、請求項8に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項10】
前記ユニバーサル格子の一部分を選択する工程が、
フォトレジストを塗布して前記ユニバーサル格子を覆う工程と、
コリメート光源を使用して前記フォトレジストを露光し、前記反射島部が位置する側とは反対側の前記導光体基板の側から前記フォトレジストを照射する工程であって、前記フォトレジストが、ポジ型フォトレジストであり、前記反射島部が、前記フォトレジストが現像された後に残存する前記フォトレジストの一部分を画定するためのフォトマスクとして機能する、工程と、を含み、
前記ユニバーサル格子の一部分を選択して前記格子要素を画定する工程が、残存する前記フォトレジストによって覆われていない前記ユニバーサル格子の露出部分を除去する工程を含む、請求項8に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項11】
前記ユニバーサル格子の前記露出部分を除去する工程が、前記露出部分をエッチングして、前記フォトレジストによって覆われていない前記ユニバーサル格子の材料を除去する工程を含む、請求項10に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項12】
ネガ型フォトレジストを塗布して前記反射島部及び前記格子要素を覆う工程と、
コリメート光源を使用して前記ネガ型フォトレジストを露光して、前記ネガ型フォトレジストを照射し、前記格子要素の上方の前記フォトレジストに開口部を画定する工程と、
前記フォトレジスト内の前記開口部を通して前記格子要素に反射材料を堆積する工程と、を更に含み、
前記反射材料が、前記格子要素のみを覆う、請求項10に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項13】
前記導光体基板上に光学材料層を堆積する工程を更に含み、前記光学材料層が、前記格子要素、前記反射島部、及び前記格子要素を覆う前記反射材料を埋め込んでおり、前記ユニバーサル格子の前記露出部分を除去する工程は、前記露出部分が前記光学材料層によって覆われていることを含む、請求項12に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項14】
回折バックライトを製造する方法であって、前記方法が、
導光体の表面上に反射島部を形成する工程であって、前記反射島部が、金属、金属ポリマー、及び高屈折率誘電体のうちの1又はそれ以上を含む、工程と、
前記導光体上に光学材料層を堆積して、前記反射島部を覆う工程であって、前記光学材料が、前記導光体の材料に屈折率整合されている、工程と、
ナノインプリントリソグラフィを使用して、前記光学材料層上にユニバーサル格子を形成する工程と、
前記反射島部を使用して前記ユニバーサル格子の一部分を選択し、格子要素を画定する工程と、を含み、
前記回折バックライトの反射回折格子要素が、前記格子要素と前記反射島部との組み合わせを含む、方法。
【請求項15】
前記ユニバーサル格子の一部分を選択する工程が、
フォトレジストを塗布して前記ユニバーサル格子を覆う工程と、
コリメート光源を使用して前記フォトレジストを露光し、前記反射島部が位置する側とは反対側の前記導光体の側から前記フォトレジストを照射する工程であって、前記反射島部が、前記フォトレジストが現像された後に残存する前記フォトレジストの一部分を画定するためのフォトマスクとして機能する、工程と、を含み、
前記ユニバーサル格子の一部分を選択して前記格子要素を画定する工程が、残存する前記フォトレジストによって覆われていない前記ユニバーサル格子の露出部分をエッチングする工程、および前記ユニバーサル格子の前記露出部分を前記光学材料の層で覆う工程のうちの1つを含む、請求項14に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項16】
前記格子要素上に反射材料層を堆積する工程と、前記堆積された反射材料層を前記光学材料の層で更に覆う工程と、を更に含む、請求項15に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項17】
回折バックライトを製造する方法であって、前記方法が、
ナノインプリントモールドを使用してユニバーサル格子をナノインプリントすることによって、導光体の表面に前記ユニバーサル格子を形成する工程と、
前記ユニバーサル格子上に反射島部を形成する工程と、
前記反射島部を使用して前記ユニバーサル格子の一部分を選択し、格子要素を画定する工程と、を含み、
前記回折バックライトの反射回折格子要素が、前記格子要素と前記反射島部との組み合わせを含む、方法。
【請求項18】
前記反射島部を使用して前記ユニバーサル格子の一部分を選択し、格子要素を画定する工程が、前記反射島部によって覆われていない前記ユニバーサル格子の露出部分をエッチングすることによって、前記露出部分を除去する工程、および前記ユニバーサル格子及び前記反射島部を光学材料層で覆う工程のうちの1つを含み、前記光学材料層が、前記ユニバーサル格子に屈折率整合されている、請求項17に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項19】
前記ユニバーサル格子が、前記ユニバーサル格子内に開口部を含み、前記方法が、前記開口部内に反射材料の層を堆積して、前記反射回折格子要素内に含まれない反射島部を設ける工程を更に含む、請求項17に記載の回折バックライトを製造する方法。
【請求項20】
前記ユニバーサル格子上に前記反射島部を形成する工程が、反射材料の層をパターニングして前記反射島部を画定する工程を含み、前記反射材料の層が、金属、金属ポリマー、及び高屈折率誘電体のうちの1又はそれ以上を含む、請求項17に記載の回折バックライトを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月28日に出願された米国仮特許出願第62/839,736号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府資金による研究開発の記載
該当なし
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、多種多様なデバイス及び製品のユーザに情報を伝達するためのほぼ普遍的な媒体である。最も一般的に見られる電子ディスプレイとして、ブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンスディスプレイ(EL)、有機発光ダイオード(OLED)、アクティブマトリクスOLED(AMOLED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ(EP)及び電気機械又は電気流体光変調を採用する種々のディスプレイ(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス、エレクトロウェッティングディスプレイなど)が挙げられる。電子ディスプレイは、概して、アクティブディスプレイ(すなわち、光を放出するディスプレイ)又はパッシブディスプレイ(すなわち、別の光源によって提供される光を変調するディスプレイ)のいずれかに分類することができる。アクティブディスプレイの最も顕著な例としては、CRT、PDP、OLED/AMOLEDが挙げられる。放出光を考慮した場合、一般的にパッシブに分類されるディスプレイは、LCD及びEPディスプレイである。パッシブディスプレイは、本質的に低い電力消費を含むがこれに限定されない魅力的な性能特性を示すことが多いものの、光を放出する能力がないことを考慮すると、多くの実用的な用途での使用が幾分制限される場合がある。
【0004】
放出光に関連するパッシブディスプレイの制限を克服するために、多くのパッシブディスプレイは、外部光源に結合されている。結合された光源は、これらの他のパッシブディスプレイが光を放出し、実質的にアクティブディスプレイとして機能することを可能にし得る。かかる結合された光源の例として、バックライトがある。バックライトは、パッシブディスプレイを照射するために他のパッシブディスプレイの背後に配置される光源(多くの場合パネル)である。例えば、バックライトは、LCD又はEPディスプレイに結合することができる。バックライトは、LCD又はEPディスプレイを透過する光を放出する。放出された光は、LCD又はEPディスプレイによって変調され、変調された光は、次に、LCD又はEPディスプレイから放出される。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で説明する原理による例及び実施形態の種々の特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照するとより容易に理解することができ、同様の参照番号は同様の構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0007】
図1B】本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する特定の主角度方向を有する光ビームの角度成分のグラフィック表現を示す。
【0008】
図2】本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、一例における回折格子の断面図を示す。
【0009】
図3】本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、一例における回折バックライトを製造する方法のフローチャートを示す。
【0010】
図4】本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、別の例における回折バックライトを製造する方法のフローチャートを示す。
【0011】
図5】本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、別の例における回折バックライトを製造する方法のフローチャートを示す。
【0012】
図6A-D】本明細書で説明する原理の実施形態による、一例における回折バックライトの製造工程の断面図を示す。
図6E-G】本明細書で説明する原理の実施形態による、一例における回折バックライトの製造工程の断面図を示す。
【0013】
図7A-C】本明細書で説明する原理の実施形態による、別の例における回折バックライトの製造工程の断面図を示す。
図7D-F】本明細書で説明する原理の実施形態による、別の例における回折バックライトの製造工程の断面図を示す。
【0014】
図8A-C】本明細書で説明する原理の実施形態による、更に別の例における回折バックライトの製造工程の断面図を示す。
図8D-F】本明細書で説明する原理の実施形態による、更に別の例における回折バックライトの製造工程の断面図を示す。
図8G】本明細書で説明する原理の実施形態による、更に別の例における回折バックライトの製造工程の断面図を示す。
【0015】
図9A-B】本明細書で説明する原理の実施形態による、更に別の例における回折バックライトの製造工程の断面図を示す。
図9C-E】本明細書で説明する原理の実施形態による、更に別の例における回折バックライトの製造工程の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
特定の例及び実施形態は、上記で参照した図に示した特徴に加えて、又はその特徴に代えて、他の特徴を有する。これらの特徴及び他の特徴を、上記で参照した図を参照して以下に詳述する。
【0017】
本明細書で説明される原理による例及び実施形態は、回折バックライトを製造する方法であり、種々のタイプの電子ディスプレイへの適用を伴う。特に、本明細書で説明する原理による回折バックライトを製造する種々の方法は、ユニバーサル格子(universal grating)を採用するものであり、その一部分は、格子要素を画定するために反射島部によって選択される。反射島部を使用して格子要素を画定するためにユニバーサル格子の一部分を選択することにより、反射島部及び格子要素の自己整合が提供され得、これらはともに、回折バックライトの反射回折格子要素を提供する。種々の実施形態では、格子要素及び反射島部の自己整合に加えて、本明細書に記載の回折バックライト製造の方法はまた、回折バックライトの範囲内での反射回折格子要素間の並進及び伸長に耐性があり得、並びに、電子ディスプレイ用途のための大面積回折バックライトの製造を容易にし得る。本明細書に記載の方法に従って製造された回折バックライトを採用し得る電子ディスプレイには、マルチビューディスプレイ及び他の同様のディスプレイ、例えば、自動立体視又は「裸眼」の三次元(3D)ディスプレイが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書では、「二次元ディスプレイ」又は「2Dディスプレイ」は、画像を見る方向に関係なく実質的に同じ画像のビューを(すなわち、事前定義された視野角内又は2Dディスプレイの範囲内で)提供するように構成されたディスプレイとして定義される。2Dディスプレイの例として、スマートフォン及びコンピュータモニタに見られる従来の液晶ディスプレイ(LCD)が挙げられる。本明細書では対照的に、「マルチビューディスプレイ」は、異なるビュー方向内のマルチビュー画像、又は異なるビュー方向からの異なるマルチビュー画像のビューを提供するように構成された電子ディスプレイ又はディスプレイシステムとして定義される。特に、異なるビューは、マルチビュー画像のシーン又はオブジェクトの異なる斜視図を表すことができる。本明細書に記載の片側バックライト及び片側マルチビューディスプレイの使用には、携帯電話(例えば、スマートフォン)、時計、タブレットコンピューティング、モバイルコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ)、パーソナルコンピュータ及びコンピュータモニタ、自動車用ディスプレイコンソール、カメラディスプレイ、並びに他の種々のモバイル及び実質的に非モバイルのディスプレイ用途及びデバイスが含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
図1Aは、本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示す。図1Aに示すように、マルチビューディスプレイ10には、ビューの対象となるマルチビュー画像を表示するスクリーン12が含まれる。スクリーン12は、例えば、電話(例えば、携帯電話、スマートフォンなど)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータのコンピュータモニタ、カメラディスプレイ、又は実質的に任意の他のデバイスの電子ディスプレイの表示スクリーンであってもよい。
【0020】
マルチビューディスプレイ10は、スクリーン12に対して異なるビュー方向16で異なるマルチビュー画像のビュー14を提供する。ビュー方向16は、スクリーン12から種々の異なる主角度方向に延在する矢印として示されている。異なるビュー14は、矢印の終端で網掛けされた多角形の箱として示されている(すなわち、ビュー方向16を描写している)。4つのビュー14及び4つのビュー方向16のみが示されているが、これらは全てが例示であり、限定ではない。異なるビュー14が図1Aではスクリーンの上方にあるように示されているが、ビュー14は、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10に表示されているときに、実際にはスクリーン12上又はその近傍に表示されることに留意されたい。スクリーン12の上方にビュー14を描写することは、説明を簡略化するためだけのものであり、特定のビュー14に対応するビュー方向16のそれぞれの1つからマルチビューディスプレイ10を見ることを表すことを意図している。2Dディスプレイは、マルチビューディスプレイ10と実質的に同様であり得るが、2Dディスプレイは、一般に、マルチビューディスプレイ10によって提供されるマルチビュー画像の異なるビュー14とは対照的に、表示された画像の単一のビュー(例えば、ビュー14と同様の1つのビュー)を提供するように構成される。
【0021】
ビュー方向又は等価的にマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する光ビームは、本明細書の定義では、概して、角度成分{θ,φ}によって与えられる主角度方向を有する。角度成分θは、本明細書では、光ビームの「仰角成分」又は「仰角」を指す。角度成分φは、光ビームの「方位角成分」又は「方位角」を指す。定義では、仰角θは、垂直面(例えば、マルチビュー表示スクリーン平面に垂直)における角度であり、方位角φは、水平面(例えば、マルチビュー表示スクリーン平面に平行)における角度である。
【0022】
図1Bは、本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向(例えば、図1Aのビュー方向16)に対応する特定の主角度方向を有する光ビーム20の角度成分{θ,φ}のグラフィック表現を示す。更に、光ビーム20は、本明細書での定義では、特定の点から放出されるか、又は放射される。すなわち、定義では、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連する中心光線を有する。図1Bはまた、光ビーム(又はビュー方向)の原点Oを示す。
【0023】
本明細書では、「導光体」は、全内部反射を使用して構造内に光を導く構造として定義される。特に、導光体は、導光体の動作波長において実質的に透明であるコアを含むことができる。「導光体」という用語は、概して、導光体の誘電体材料とその導光体を取り囲む材料又は媒体との間の界面で光を導くために全内部反射を採用する誘電体光導波路を指す。定義では、全内部反射の条件は、導光体の屈折率が、導光体材料の表面に隣接する周囲の媒体の屈折率よりも大きいことである。一部の実施形態では、導光体は、全内部反射を更に促進するために、前述の屈折率差に加えて、又はその代わりにコーティングを含んでもよい。コーティングは、例えば、反射コーティングであってもよい。導光体は、プレート又はスラブガイド及びストリップガイドのうちの一方又は両方を含むが、これらに限定されない、複数の導光体のいずれであってもよい。
【0024】
種々の実施形態では、導光体自体は、全反射によって光を導くように構成された光学的に透明な材料を含み得る。導光体には、種々の光学的に透明な材料のうちのいずれかを採用でき、これには、種々のタイプのガラス(例えば、シリカガラス、アルカリアルミノシリケートガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、及び実質的に光学的に透明なプラスチック又はポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)又は「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)のうちの1又はそれ以上が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
更に本明細書では、「プレート導光体」のように導光体に適用される場合の用語「プレート」は、区分的又は示差的に平面の層又はシートとして定義され、「スラブ」ガイドと称されることもある。特に、プレート導光体は、導光体の上面及び下面(すなわち、反対側の表面)によって境界が定められた2つの実質的に直交する方向に光を導くように構成された導光体として定義される。更に、本明細書の定義により、上面及び下面は両方とも互いに分離されており、少なくとも異なる意味で互いに実質的に平行であり得る。すなわち、プレート導光体の任意の差動的に小さいセクション内で、上面及び下面は、実質的に平行な平面上又は同一の平面上にある。
【0026】
一部の実施形態では、プレート導光体は、実質的に平坦(すなわち、平面に限定される)であり得るため、プレート導光体は、平面導光体である。他の実施形態では、プレート導光体は、1つ又は2つの直交する寸法で湾曲させることができる。例えば、プレート導光体は、円筒形のプレート導光体を形成するために一次元で湾曲されてもよい。ただし、曲率半径は、プレート導光体内で全反射が維持されて光を導くのに十分な大きさの曲率半径を有している。本明細書での定義により、「導光体基板」は、導光体、例えば、プレート導光体を含む基板である。
【0027】
本明細書では、「回折格子」は、概して、回折格子に入射する光の回折を提供するように配置された複数の特徴部(すなわち、回折特徴部)として定義される。一部の例では、複数の特徴部は、周期的又は準周期的に配置することができる。例えば、回折格子は、一次元(1D)アレイで配置された複数の特徴部(例えば、材料表面の複数の溝又は隆起)を含むことができる。他の例では、回折格子は、二次元(2D)アレイの特徴部であってもよい。回折格子は、例えば、材料表面の2Dアレイのバンプ又は穴であってもよい。
【0028】
従って、本明細書での定義では、「回折格子」は、回折格子に入射する光の回折を提供する構造である。光が導光体から回折格子に入射する場合、提供される回折又は回折散乱は、結果として、回折格子が回折によって導光体から出てくる光をカップリングすることができるという意味で、「回折カップリング」を指す。回折格子はまた、回折によって(すなわち、回折角で)光の角度を方向転換又は変更する。特に、回折の結果として、回折格子を出る光は、概して、回折格子に入射する光(すなわち、入射光)の伝搬方向とは異なる伝搬方向を有する。回折による光の伝搬方向の変化は、本明細書では「回折リダイレクション」を指す。従って、回折格子は、回折格子に入射する光を回折的に方向転換する回折特徴部を含む構造であると理解することができ、光が導光体から入射する場合、回折格子は導光体からの光を回折的に取り出すことができる。
【0029】
更に、本明細書での定義では、回折格子の特徴部は「回折特徴部」を指し、材料表面で、材料表面内で、及び材料表面上(すなわち、2つの材料間の境界)で、1又はそれ以上の回折特徴部であり得る。表面は、例えば、導光体の表面であってもよい。回折特徴部は、表面で、表面内で、又は表面上で、溝、隆起、穴、及びバンプのうちの1又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、光を回折する種々の構造の任意のものを含むことができる。例えば、回折格子は、材料表面に複数の実質的に平行な溝を含むことができる。別の例では、回折格子は、材料表面から隆起する複数の平行な隆起を含むことができる。回折特徴部(例えば、溝、隆起、穴、バンプなど)は、正弦波プロファイル、矩形プロファイル(例えば、二元回折格子)、三角形プロファイル及び鋸歯プロファイル(例えば、ブレーズド格子)のうちの1又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、回折を提供する種々な断面形状又はプロファイルのうちの任意のものを有していてもよい。
【0030】
本明細書で説明する種々の例では、回折格子(例えば、以下に記載されるようなマルチビーム要素の回折格子)を採用して、導光体(例えば、プレート導光体)から出た光を光ビームとして回折的に散乱させるか、又はカップリングすることができる。特に、局所的に周期的な回折格子の回折角θ、又は局所的に周期的な回折格子によって提供される回折角θは、式(1)で与えられ得る。
【数1】
式中、λは光の波長、mは回折次数、nは導光体の屈折率、dは回折格子の特徴部間の距離又は間隔、θは回折格子上の光の入射角である。簡略化のために、式(1)では、回折格子が導光体の表面に隣接し、導光体の外側の材料の屈折率が1に等しい(すなわち、nout=1)と仮定する。回折次数mは、概して、整数で与えられる。回折格子によって生成された光ビームの回折角θは、回折次数が正(例えば、m>0)である式(1)で与えられ得る。例えば、一次回折は、回折次数mが1に等しい場合(すなわち、m=1)に提供される。
【0031】
図2は、本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、一例における回折格子30の断面図を示す。例えば、回折格子30は、導光体40の表面上に位置してもよい。更に、図2は、入射角θで回折格子30に入射する光ビーム50を示している。光ビーム50は、導光体40内の導波光ビームである。また、図2には、入射光ビーム50の回折の結果として回折格子30によって回折的に生成され取り出される指向性光ビーム60が示されている。指向性光ビーム60は、式(1)で与えられる回折角θ(又は本明細書では「主角度方向」)を有する。回折角θは、例えば、回折格子30の回折次数「m」に対応し得る。
【0032】
本明細書での定義により、「ユニバーサル格子」又は同等の「ユニバーサル回折格子」は、基板、例えば、導光体基板の範囲を実質的に覆うか、又はそれと同等の範囲を有する回折格子として定義される。例えば、ユニバーサル格子は、定義上、導光体基板の長さにほぼ等しい長さを有してもよく、また、基板の幅にほぼ等しい幅を有してもよい。一部の実施形態では、ユニバーサル格子の範囲は、基板の1又はそれ以上の縁部に沿った境界領域又はストリップを除外し得る。他の実施形態では、「ユニバーサル格子」は、以下に詳述するように、ユニバーサル格子から形成された、又はユニバーサル格子を使用して形成された格子要素の境界を単に超えて、一部の実施形態ではその境界を十分に超えて延在する回折格子として定義され得る。一部の実施形態では、ユニバーサル回折格子は、回折格子によって回折される光の波長である波長λよりも小さい回折特徴部サイズ及び回折特徴部間隔の一方又は両方を有するサブ波長回折格子であってもよく、又はこれを含んでもよい。
【0033】
一部の実施形態では、ユニバーサル格子は、均一な回折格子であるか、又はユニバーサル格子の範囲全体にわたって回折特徴部の均一な間隔又は実質的に均一な間隔(すなわち、格子ピッチ)を有し得る。例えば、均一な回折格子は、複数の回折特徴部を含み得、複数の回折特徴部のうちの各回折特徴部は、隣接する回折特徴部と同様のサイズであり、隣接する回折特徴部から同様の間隔を有している。
【0034】
他の実施形態では、ユニバーサル格子は、複数のサブ格子を含み得る。一部の実施形態では、複数のサブ格子のうちの異なるサブ格子は、互いに異なる特性を有し得る。例えば、サブ格子は、複数のサブ格子の他のサブ格子とは異なる回折特徴部間隔及び異なる回折特徴部配向の一方又は両方を含んでもよい。一部の実施形態では、サブ格子の回折特徴部は湾曲していてもよく、例えば、回折特徴部は、湾曲した溝又は隆起の一方又は両方を含んでもよい。
【0035】
一部の実施形態では、複数のサブ格子のサブ格子は、アレイ状に配置され得る。アレイは、種々の実施形態では、一次元(1D)アレイ又は二次元(2D)アレイのいずれかであり得る。更に、一部の実施形態では、ユニバーサル格子は、ユニバーサル格子の範囲全体にわたって繰り返される複数のサブ格子アレイを含み得る。他の実施形態では、複数のサブ格子の異なるサブ格子は、ユニバーサル格子の範囲全体に実質的にランダムに分布され得る。
【0036】
更に他の実施形態では、ユニバーサル格子は、チャープ回折格子、又はチャープ回折格子のアレイを更に含み得る。定義上、「チャープ」回折格子は、チャープ回折格子の範囲又は長さ全体にわたって変化する回折特徴部の回折間隔を示すか、又は有する回折格子である。一部の実施形態では、チャープ回折格子は、距離とともに線形に変化する回折特徴部間隔のチャープを有するか、又は示し得る。このように、チャープ回折格子は、定義上、「直線的にチャープされた」回折格子である。他の実施形態では、チャープ回折格子は、回折特徴部間隔の非線形チャープを示し得る。指数チャープ、対数チャープ、又は別の実質的に不均一又はランダムであるが単調に変化するチャープを含むがこれらに限定されない、種々の非線形チャープが使用され得る。正弦波チャープ又は三角形若しくは鋸歯状チャープなどであるがこれらに限定されない、非単調チャープも採用され得る。一部の実施形態では、ユニバーサル格子のサブ格子は、チャープ回折格子を含み得る。
【0037】
本明細書では、「コリメータ」は、光をコリメートするように構成された実質的に任意の光学デバイス又は装置として定義される。種々の実施形態では、コリメータによって提供されるコリメーションの量は、実施形態ごとに、所定の程度又は量で変化し得る。更に、コリメータは、2つの直交する方向(例えば、垂直方向及び水平方向)のうちの一方又は両方でコリメーションを提供するように構成され得る。すなわち、コリメータは、一部の実施形態では、光コリメーションを提供する2つの直交する方向のうちの一方又は両方の形状を含み得る。
【0038】
本明細書では、「コリメーション係数」は、光がコリメートされる程度として定義される。特に、コリメーション係数は、本明細書の定義では、コリメートされた光のビーム内の光線の角度広がりを定義する。例えば、コリメーション係数σは、コリメート光のビーム内の光線の大部分が特定の角度広がり(例えば、コリメートされた光ビームの中心又は主角度方向について+/-σ度)内にあることを指定してもよい。一部の例では、コリメートされた光ビームの光線は、角度に関してガウス分布を有してもよく、角度広がりは、コリメートされた光ビームのピーク強度の1/2によって決定される角度であってもよい。
【0039】
本明細書では、「光源」は、光源(例えば、光を生成及び放出するように構成された光エミッタ)として定義される。例えば、光源は、アクティブ化又はオンされたときに光を放出する光エミッタ、例えば、発光ダイオード(LED)を含んでもよい。特に、本明細書では、光源は、実質的に任意の光源であるか、又は発光ダイオード(LED)、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマベースの光エミッタ、蛍光ランプ、白熱灯、及び事実上他の任意の光源のうちの1又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、実質的に任意の光エミッタを含み得る。光源によって生成される光は、色を有することができ(すなわち、特定の波長の光を含み得る)、又はある範囲の波長(例えば、白色光)であり得る。一部の実施形態では、光源は、複数の光エミッタを含み得る。例えば、光源は、光エミッタのうちの少なくとも1つが色又は同等の波長を有する光を生成する光エミッタの集合又はグループを含んでもよく、この色又は波長は、当該集合又はグループのうちの他の少なくとも1つの光エミッタによって生成される光の色又は波長とは異なる。異なる色として、例えば、原色(例えば、赤色、緑色、青色)が挙げられる。
【0040】
本明細書では、「ナノインプリントリソグラフィ」は、モールド又はパターニングツールを使用し、インプリントプロセスを介して、又はインプリントプロセスを使用して、基板のインプリント可能な表面にパターンを転写することとして定義される。ここで、モールド又はパターニングツールで表される特徴には、ナノスケールサイズ又はナノスケール許容値が含まれる。一部の例では、インプリント可能な表面は、モールドよりも比較的軟質の基板自体の材料を含み得る。別の例では、インプリント可能な表面は、基板の表面上に堆積又は塗布された比較的軟質の材料の層を含み得る。いずれの場合も、インプリント可能な表面の比較的軟質の材料は、モールドが除去された後、かつ更なる加工中に、インプリントされたパターンを受容し、保持するように構成される。インプリント中にモールドを受容する、より軟質の材料の表面は、本明細書では「受容層」又は「受容表面」と称される。
【0041】
一部の実施形態では、比較的軟質の材料は、インプリントされたパターンの保持を容易にするために、インプリント中に硬化又は硬質化され得る。硬化は、本質的に、モールドによって決定される形状又はパターンで受容層を「凍結」又は固定する。例えば、光硬化性材料の層、例えば、これらに限定されないが、光(例えば、赤外線、可視光線、又は紫外線(UV)照射)にさらされると硬質化する光活性化モノマー、オリゴマー、又はポリマー(例えば、フォトレジスト)が受容層として使用されてもよい。硬化前に、光硬化性材料は軟質(例えば、液体又は半液体)であり、モールドのインプリントパターンを容易に受け入れる。光にさらされると、光硬化性材料がモールドの周りで硬化する。このように、受容層の硬化した光硬化性材料は、モールドのインプリントパターンを保持する。
【0042】
別の例では、基板の表面に層又はフィルムとして塗布された熱可塑性材料を、受容層として使用してもよい。インプリントする前に、熱可塑性材料層をほぼ材料のガラス転移温度まで加熱し、それによって材料を軟化させる。モールドが軟化した材料に押し込まれ、材料はガラス転移温度未満に冷却されて、押し付けられたモールドの周囲で材料が硬化又は硬質化する。インプリントパターンは、硬化した熱可塑性材料によって保持される。受容層として使用される熱可塑性ポリマーの例として、ポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)及びメチルメタクリレート(MMA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
一部の実施形態では、次に、軟質材料層に形成されたインプリントパターンは、例えば、リソグラフィ及びエッチングによって、モールドのポジ画像として基板に更に転写することができる。転写されたパターンは更に加工されて、基板に特徴部が形成される。かかる特徴部は通常、ナノメートルスケールのサイズである。特徴部は、ドライエッチング技術、例えば、これらに限定されないが、基板材料を選択的に除去して特徴部を形成するために反応性イオンエッチング(RIE)及びプラズマエッチング又は湿式化学エッチング技術を使用して転写することができる。一部の実施形態では、成形された受容層はまた、乾式及び湿式エッチング技術の一方又は両方を使用してエッチングされるか、又は除去され得る。
【0044】
更に、本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち「1又はそれ以上」を有することが意図されている。例えば、「反射島部(reflective island)」は、1又はそれ以上の反射島部を意味しており、従って、「反射島部」は、本明細書では「反射島部(複数可)」を意味する。また、本明細書における「頂」、「底」、「上部」、「下部」、「上」、「下」、「前」、「後」、「第1」、「第2」、「左」又は「右」のいずれの言及も、本明細書の制限を意図するものではない。本明細書において、「約」という用語は、値に適用される場合、値を生成するために使用される機器の許容範囲内を意味し、また、特に明示的に指定されない限り、プラス又はマイナス10%、プラス又はマイナス5%、プラス又はマイナス1%を意味する場合がある。更に、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、過半数、又はほぼ全て、又は全て、又は約51%~約100%の範囲内の量を意味する。更に、本明細書の例は、例示のみを目的とするものであり、説明の目的で提示されており、限定するためではない。
【0045】
本明細書で説明する原理の一部の実施形態では、回折バックライトを製造する方法が提供される。図3は、本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、一例における回折バックライトを製造する方法(100)のフローチャートを示す。図示のように、回折バックライトを製造する方法(100)は、導光体基板上にユニバーサル格子を形成する工程(110)を含む。一部の実施形態では、ユニバーサル格子を形成する工程(110)により、導光体基板の表面上又は表面に隣接してユニバーサル格子を設けることができる。他の実施形態では、ユニバーサル格子は、光学材料の層の表面上に、すなわち、導光体基板の表面上に設けられ得る。
【0046】
種々の実施形態では、ユニバーサル格子を形成する工程(110)には、種々の異なるパターニング方法のいずれかが採用され得、これには、フォトリソグラフィ、集束イオンビームリソグラフィ、及び電子ビームリソグラフィ、並びにナノインプリントリソグラフィ(NIL)が含まれるが、これらに限定されない。特に、一部の実施形態では、導光体基板上にユニバーサル格子を形成する工程(110)は、ナノインプリントモールドを使用して、導光体基板のナノインプリント受容層にユニバーサル格子をナノインプリントする工程を含み得る。一部の実施形態では、ナノインプリント受容層は、導光体基板の材料、例えば、導光体基板自体の表面を含み得る。他の実施形態では、ナノインプリント受容層は、導光体基板の表面上に堆積されるか、又は設けられた層又は材料を含み得る。例えば、この層は、導光体基板の屈折率に整合する屈折率を有する、ナノインプリントリソグラフィに従って形成可能な光学材料の層、例えば、ガラス又はPMMA導光体基板の表面上のポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の層であってもよい。
【0047】
図3に示される回折バックライトを製造する方法(100)は、導光体基板上に反射島部を形成する工程(120)を更に含む。一部の実施形態では、反射島部を形成する工程(120)は、反射材料の層をパターニングして反射島部を画定する工程を含む。種々の実施形態では、反射材料の層は、金属、金属ポリマー(例えば、ポリマーアルミニウム)、及び高屈折率誘電体のうちの1又はそれ以上を含み得る。例えば、反射材料の層は、1又はそれ以上の蒸発堆積、スパッタ堆積、若しくはそれらと同等の方法で、又はそれらを使用して堆積されてもよい。次に、反射材料層は、例えば、フォトリソグラフィ又はインプリントリソグラフィを使用してパターニングされ得る。別の例では、反射島部は、インクスタンピング、スクリーン印刷、又は同様の印刷プロセスを含むように形成されてもよい(120)。更に別の例では、反射島部を形成する工程(120)には、反射島部プリフォームが採用されるプリフォーム堆積が採用されてもよい。
【0048】
一部の実施形態では、ユニバーサル格子は、導光体基板の表面上に位置しており、反射島部は、ユニバーサル格子上に形成されている(120)。従って、ユニバーサル格子を形成する工程(110)は、反射島部を形成する工程(120)の前に行われる。特に、一部の実施形態では、反射島部を形成する工程(120)は、ユニバーサル格子上に反射材料の層を堆積し、次にパターニングされたフォトレジストを使用して反射材料層をエッチングして、反射材料層の一部分を除去し、反射島部を画定する工程を含む。
【0049】
他の実施形態では、反射島部を形成する工程(120)は、ユニバーサル格子を形成する工程(110)の前に行われる。例えば、反射島部は、導光体基板の表面上に形成され得(120)、その後、ユニバーサル格子は、反射島部上に塗布される受容層内に形成されてもよい(110)。結果として、反射島部は、導光体基板の表面上に配置され得、次いで、ユニバーサル格子が、反射島部上に形成される(110)。
【0050】
図3に示されるように、回折バックライトを製造する方法(100)は、反射島部を使用してユニバーサル格子の一部分を選択し、格子要素を画定する工程(130)を更に含む。選択する工程(130)によって画定される格子要素は、元のユニバーサル格子の比較的小さな部分を含む回折格子を表している。更に、画定された格子要素は、反射島部によって決定される導光体基板上のサイズ及び位置を有する。例えば、格子要素は、サイズが実質的に類似していてもよく、ユニバーサル格子部分を選択する工程(130)の結果として、反射島部と実質的に同じ位置に配置されていてもよく、又は整合していてもよい。種々の実施形態では、回折バックライトの反射回折格子要素は、格子要素と反射島部との組み合わせを含む。
【0051】
一部の実施形態では、反射島部を使用してユニバーサル格子の一部分を選択し、格子要素を画定する工程(130)は、反射島部によって覆われていないユニバーサル格子の露出部分をエッチングすることによって、露出部分を除去する工程を含む。特に、選択する工程(130)は、格子要素をフォトリソグラフィで画定するためのフォトマスクとして反射島部を採用し得る。
【0052】
例えば、ユニバーサル格子の一部分を選択する工程(130)は、ユニバーサル格子を覆うためにフォトレジストを塗布する工程を含んでもよい。次に、コリメート光源を使用してフォトレジストを露光し、反射島部が配置されている側とは反対側の導光体基板の側からフォトレジストを照射する。種々の実施形態では、フォトレジストはポジ型フォトレジストであり得、反射島部は、フォトレジストが現像された後に残存するフォトレジストの一部分を画定するためのフォトマスクとして機能する。次に、ユニバーサル格子の一部分を選択して格子要素を画定する工程(130)は、残存するフォトレジストによって覆われていないユニバーサル格子の露出部分を除去する工程を更に含む。例えば、ユニバーサル格子の露出部分を除去する工程は、露出部分をエッチングして、フォトレジストによって覆われていないユニバーサル格子の材料を除去する工程を含んでもよい。
【0053】
他の実施形態では、選択する工程(130)は、エッチング又は同様のプロセスを採用して、ユニバーサル格子の1又はそれ以上の部分を除去して格子要素を画定することができ、反射島部は、エッチングマスクとして採用される。更に他の実施形態では、反射島部を使用してユニバーサル格子の一部分を選択し、格子要素を画定する工程(130)は、ユニバーサル格子及び反射島部を光学材料の層で覆う工程を含み、光学材料層は、ユニバーサル格子に屈折率整合されている。
【0054】
一部の実施形態(図3には示されていない)では、回折バックライトを製造する方法(100)は、ネガ型フォトレジストを塗布して反射島部及び格子要素を覆う工程を更に含む。塗布の後、コリメート光源を使用してネガ型フォトレジストを露光して、ネガ型フォトレジストを照射し、格子要素の上方のフォトレジストに開口部を画定することができる。次いで、反射材料は、フォトレジストの開口部を通して格子要素上に堆積され得る。結果として、反射材料は、格子要素のみを覆うことができる。
【0055】
一部の実施形態では、光学材料の層は、光学材料層が格子要素、反射島部、及び格子要素を覆う反射材料を埋め込むように、導光体基板上に堆積され得る。除去されるユニバーサル格子の露出部分は、光学材料層によって覆われた露出部分である。
【0056】
図4は、本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、別の例における回折バックライトを製造する方法(200)のフローチャートを示す。図4に示されるように、回折バックライトを製造する方法(200)は、導光体の表面上に反射島部を形成する工程(210)を含む。種々の実施形態において、反射島部は、金属、金属ポリマー、及び高屈折率誘電体のうちの1又はそれ以上を含み得るが、これらに限定されない。一部の実施形態では、反射島部を形成する工程(210)は、回折バックライトを製造する方法(100)に関して、上記の反射島部を形成する工程(120)と実質的に同様であり得る。例えば、反射島部は、反射材料の堆積層のフォトリソグラフィパターン形成を使用して形成されてもよい(210)。更に、導光体は、一部の実施形態では、上記の回折バックライトを製造する方法(100)の導光体基板と実質的に同様であり得る。
【0057】
図4に示されるように、回折バックライトを製造する方法(200)は、導光体上に光学材料の層を堆積して反射島部を覆う工程(220)を更に含む。種々の実施形態において、光学材料は、導光体の材料に屈折率整合されている。例えば、導光体は、ガラス又はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を含んでもよく、光学材料は、両方とも約1.5の屈折率を有するPMMAを含んでもよい。
【0058】
図4に示される回折バックライトを製造する方法(200)は、光学材料層上にユニバーサル格子を形成する工程(230)を更に含む。一部の実施形態では、ユニバーサル格子を形成する工程(230)は、回折バックライトを製造する方法(100)に関して上述したように、ユニバーサル格子を形成する工程(110)と実質的に同様であり得る。例えば、一部の実施形態では、ユニバーサル格子を形成する工程(230)には、ナノインプリントリソグラフィが使用されてもよい。
【0059】
種々の実施形態では、回折バックライトを製造する方法(200)は、反射島部を使用してユニバーサル格子の一部分を選択し、格子要素を画定する工程(240)を更に含む。種々の実施形態において、回折バックライトの反射回折格子要素は、格子要素と反射島部との組み合わせを含む。一部の実施形態では、ユニバーサル格子の一部分を選択する工程(240)は、上記の回折バックライトを製造する方法(100)のユニバーサル格子の一部分を選択する工程(130)と実質的に同様であり得る。例えば、選択する工程(240)は、フォトレジストを塗布してユニバーサル格子を覆う工程と、コリメート光源を使用してフォトレジストを露光し、反射島部が位置する側とは反対の導光体の側からフォトレジストを照射する工程と、を含んでもよい。ここで、反射島部はフォトマスクとして機能する。更に、ユニバーサル格子の一部分を選択して格子要素を画定する工程(240)は、例えば、残存するフォトレジストによって覆われていないユニバーサル格子の露出部分をエッチングする工程、又はユニバーサル格子の露出部分を光学材料の層で覆う工程のうちの1つを含んでもよい。
【0060】
図5は、本明細書で説明する原理と一致する実施形態による、別の例における回折バックライトを製造する方法(300)のフローチャートを示す。図5に示されるように、回折バックライトを製造する方法(300)は、ナノインプリントモールドを使用してユニバーサル格子をナノインプリントすることによって、導光体の表面上にユニバーサル格子を形成する工程(310)を含む。一部の実施形態では、ユニバーサル格子を形成する工程(310)は、上記のように、回折バックライトを製造する方法(100)のユニバーサル格子を形成する工程(110)と実質的に同様であり得る。
【0061】
図5に示される回折バックライトを製造する方法(300)は、ユニバーサル格子上に反射島部を形成する工程(320)と、反射島部を使用してユニバーサル格子の一部分を選択して格子要素を画定する工程(330)と、を更に含む。上記のように、回折バックライトの反射回折格子要素は、格子要素と反射島部との組み合わせを含み得る。一部の実施形態では、反射島部を形成する工程(320)及びユニバーサル格子の一部分を選択する工程(330)の一方又は両方は、それぞれ、上記の反射島部を形成する工程(120)及びユニバーサル格子を形成する工程(110)と実質的に同様であり得る。例えば、ユニバーサル格子上に反射島部を形成する工程(320)は、反射材料の層をパターニングして反射島部を画定する工程を含んでもよく、反射材料の層は、金属、金属ポリマー、及び高屈折率誘電体のうちの1又はそれ以上を含む。
【0062】
一部の実施形態では、反射島部を使用してユニバーサル格子の一部分を選択し、格子要素を画定する工程(330)は、反射島部によって覆われていないユニバーサル格子の露出部分をエッチングすることによって、露出部分を除去する工程を含む。更に他の実施形態では、ユニバーサル格子の一部分を選択する工程(330)は、ユニバーサル格子及び反射島部を光学材料の層で覆う工程を含み、光学材料層は、ユニバーサル格子に屈折率整合されている。
【0063】
一部の実施形態では、ユニバーサル格子は、ユニバーサル格子内に開口部を含み得る。開口部は、例えば、フォトリソグラフィ加工(例えば、ユニバーサル格子のエッチング)によって設けられてもよい。これらの実施形態では、方法(300)は、開口部に反射材料の層を堆積して、反射回折格子要素ではない反射島部を設ける工程を更に含み得る。
【実施例
【0064】
上記の方法(100)、(200)、(300)のうちの1又はそれ以上による回折バックライトの製造の複数の実施例を以下に示す。これらの実施例は、限定ではなく例として、前述の方法を採用した結果を示している。
【0065】
図6A~6Gは、本明細書で説明する原理の実施形態による、一例における回折バックライト400の製造工程の断面図を示している。特に、図6A~6Cは、導光体基板410を含む回折バックライト400を示している。一部の実施形態では、導光体基板410は、回折バックライトを製造する方法(100)、(200)、(300)に関して、上記の導光体基板又は導光体のいずれかと実質的に同様であり得る。特に、回折バックライト400の導光体は、種々の実施形態による導光体基板410を含み得る。
【0066】
図6Aに示されるように、ユニバーサル格子420は、導光体基板410の表面上に設けられる。ユニバーサル格子420は、概して、導光体基板410の表面全体又は実質的に表面全体にわたって延在する。一部の実施形態では、ユニバーサル格子420は、回折バックライトを製造する方法(100)、(300)に関して上記で説明されたユニバーサル格子を形成する工程(110)によって提供されるユニバーサル格子と実質的に同様であり得る。例えば、ユニバーサル格子420は、ナノインプリントリソグラフィを使用して、導光体基板410上に設けられてもよい。
【0067】
図6Bは、ユニバーサル格子420の部分422の上に形成され、それを覆う反射島部430を示している。更に、図6Bに示されるように、ユニバーサル格子420の別の部分424は露出されており、ユニバーサル格子420によって覆われていない。一部の実施形態では、反射島部430は、上記の回折バックライトを製造する方法(100)、(300)の反射島部を形成する工程(120)、(320)によって提供されるものとして、上記の反射島部と実質的に同様であり得る。
【0068】
種々の実施形態において、露出部分424が除去されて、回折バックライト400の格子要素426が画定され得る。特に、一部の実施形態では、露出部分424は、図6Cに示されるように、ユニバーサル格子420の材料に屈折率整合された光学材料440の層でユニバーサル格子420及び反射島部430を覆うことによって除去され得る。上記のように、光学材料440は、ユニバーサル格子420を覆うことで露出部分424におけるその回折特徴部を効果的に排除するように、ユニバーサル格子420の屈折率と実質的に同様の屈折率を有する。他の実施形態では、図6Dに示されるように、ユニバーサル格子420の露出部分424は、エッチングマスクとして反射島部430を使用して露出部分424をエッチングすることによって除去され得る。
【0069】
露出部分424の除去により、ユニバーサル格子の部分422が格子要素426として選択される。一部の実施形態では、露出部分424の除去は、回折バックライトを製造する方法(100)、(300)に関して説明したように、反射島部430を使用してユニバーサル格子420の一部分を選択して格子要素を画定する工程(130)、(330)を表し得る。例えば、図6Cでは、反射島部430は、覆われた部分422を効果的に保護して、光学材料層が塗布されるときに格子要素426を選択及び画定し、一方、図6Dでは、反射島部430は、覆われた部分422がエッチングで除去されることを防止するエッチングレジストとして機能することによって、格子要素426を選択及び画定する。
【0070】
一旦画定されると、格子要素426は、反射島部430とともに、回折バックライト400の反射回折格子要素402を表すことができる。一部の実施形態(例えば、図6C)では、反射回折格子要素402は、導光体基板410及び光学材料440の層を含む導光体に埋め込まれている。他の実施形態(例えば、図6D)では、反射回折格子要素402は、回折バックライト400の導光体として機能する導光体基板410の表面上又は表面にあり得る。
【0071】
一部の実施形態では、ユニバーサル格子420は、ユニバーサル格子420内に開口部を含み得る。更に、一部の実施形態では、反射材料の層を開口部に堆積して、反射回折格子要素の一部ではない、又は反射回折格子要素に含まれていない反射島部を設けることができる。図6Eは上面図を示し、図6Fは、ユニバーサル格子420内の複数の開口部428を示す回折バックライト400の側面図を示す。また、限定ではなく例として、複数の開口部の各開口部428内に配置された反射島部432も示されている。図6Fに示されるように、開口部428内の反射島部432は、ユニバーサル格子420のいずれも覆っておらず、従って、反射回折格子要素の一部ではない。他方、格子要素426の選択及び画定の後、反射島部430及び格子要素426(ユニバーサル格子の覆われた部分を含む)は、図6Gに示されるように、反射回折格子要素402の一部となる。
【0072】
図7A~7Fは、本明細書で説明する原理の実施形態による、別の例における回折バックライト400の製造工程の断面図を示している。図6A~6Fのように、図7A~7Fに示される回折バックライト400は、導光体基板410を含む。更に、図7Aは、導光体基板410の表面上に形成された反射島部430を示している。一部の実施形態では、反射島部430及びそれを形成する工程は、上記の回折バックライトを製造する方法(100)、(200)の導光体基板又は導光体上に反射島部を形成する工程(120)、(210)によって提供される反射島部と実質的に同様であり得る。
【0073】
図7Bは、導光体基板410上及び反射島部430上に堆積された光学材料440の層によって覆われた回折バックライト400の導光体基板410及び反射島部430を示している。図示のように、光学材料440は、導光体基板410に屈折率整合され得る。すなわち、光学材料440は、導光体基板410の屈折率と実質的に同様の屈折率を有し得る。一部の実施形態では、光学材料440の層は、上記の回折バックライトを製造する方法(200)の層材料を堆積する工程(220)に従って、導光体基板410上に堆積され得る。
【0074】
図7Cは、光学材料440の受容層に設けられるか、又は形成されたユニバーサル格子420を示している。一部の実施形態では、光学材料440の層の表面は、受容層として機能し得る。他の実施形態(図示せず)では、材料の別の層が、受容層として機能するように、光学材料表面上に設けられるか、又は光学材料表面に塗布され得る。ユニバーサル格子420は、上記のように、回折バックライトを製造する方法(100)、(200)、(300)のユニバーサル格子を形成する工程(110)、(230)、(310)に従って設けるか、又は形成することができる。
【0075】
図7Dは、ユニバーサル格子420上に塗布されたポジ型フォトレジスト450を示している。また、コリメート光源を使用してポジ型フォトレジスト450を露光し、反射島部430が配置されている側とは反対側の導光体基板410の側からポジ型フォトレジスト450を照射することを表す矢印も示されている。図示のように、反射島部430は、ポジ型フォトレジスト450が現像された後に残存するポジ型フォトレジスト450の部分452を画定するためのフォトマスクとして機能する。フォトレジストの別の部分454は、ポジ型フォトレジスト450を現像することによって除去される。特に、図7Dに示されるように、反射島部430は、コリメート光源からの一部の光(矢印)を遮断し、遮断された光が、反射島部430の真上にあるポジ型フォトレジスト450の部分452に到達して照射(すなわち、露光)することを防止する。ポジ型フォトレジスト450の別の部分454は、図示のように、光源からの光に露光され、ポジ型フォトレジストが現像されるときに別の部分454を除去することを可能にする。
【0076】
図7Eは、ポジ型フォトレジスト450が現像された後に残存するポジ型フォトレジスト450の部分452を示している。残存部分452は、ユニバーサル格子420の部分422を覆い、保護する。一方、ユニバーサル格子420の別の部分424は、保護されておらず、従って、露出部分424となる。種々の実施形態では、ユニバーサル格子420の部分422は、ポジ型フォトレジスト450の残存部分452によって覆われていないユニバーサル格子420の露出部分424を除去することによって格子要素426を画定するために選択され得るか、又はより具体的には更に選択され得る。例えば、ユニバーサル格子420の露出部分424は、エッチングによって除去されてもよい。
【0077】
図7Fは、ポジ型フォトレジストの残存部分を除去した後の回折バックライト400を示している。図7Fに示されるように、反射回折格子要素402は、下にあり、かつ格子要素426と整合されている反射島部430を含んでいる。
【0078】
図8A~8Gは、本明細書で説明する原理の実施形態による、更に別の例における回折バックライト400の製造工程の断面図を示す。図6A~6F及び7A~7Fのように、図8A~8Gに示される回折バックライト400は、導光体基板410を含む。更に、図8Aは、導光体基板410の表面上に形成された反射島部430を示している。反射島部430は、上記のように設けることができる。例えば、反射島部430は、導光体基板表面に塗布された反射材料層のフォトリソグラフィパターン形成を使用して形成されてもよい。
【0079】
図8Bは、導光体基板410の表面上の反射島部430上に設けられたユニバーサル格子420を示している。上記のように、ユニバーサル格子420は、ナノインプリントリソグラフィを使用して、導光体基板410表面上に設けることができる。例えば、光学材料層(例えば、屈折率整合された光学材料440の層)を含む受容層は、導光体基板410表面上及び反射島部上に堆積されてもよい。次に、ナノインプリントモールドを使用して、例えば、ユニバーサル格子420をナノインプリントすることができる。
【0080】
図8Cに示されるように、ポジ型フォトレジスト450は、ユニバーサル格子420上に塗布され得、反射島部430は、ポジ型フォトレジストが現像された後に残存するポジ型フォトレジスト450の部分452を画定するフォトマスクとして使用され得る。例えば、図8Cは、図7Dに関して上記で説明したように、コリメート光源を使用してポジ型フォトレジスト450を露光し、反射島部430が配置されている側とは反対側の導光体基板410の側からポジ型フォトレジスト450を照射することを表す矢印を示している。また、前述のように、フォトレジストの別の部分454は、ポジ型フォトレジスト450を現像することよって除去され、残存部分452が残される。更に、上記のように、残存部分452により、ユニバーサル格子420の部分422が選択され、格子要素426が画定される。
【0081】
図8Dは、フォトレジスト現像後のポジ型フォトレジスト450の残存部分452によって覆われていないユニバーサル格子420の露出部分を除去した後の格子要素426を示している。図示のように、エッチングを使用して露出部分を除去し、反射島部430上に格子要素426を設けることができる。
【0082】
一部の実施形態では、格子要素426は、反射材料の層でコーティングされ得る。種々の実施形態では、反射材料層は、格子要素426のコーティングが反射材料層内の格子要素426の回折格子を維持するように、比較的薄くてもよい。
【0083】
図8Eは、上記のようにコリメートされた光を使用して露光されるネガ型フォトレジスト460を使用し、続いて反射材料470を堆積して、格子要素426上に反射材料層コーティングを提供する工程を示している。特に、反射島部430をフォトマスクとして使用した後にネガ型フォトレジスト460を現像すると、格子要素426が露出される。次に、スパッタリング、蒸発堆積、又は同様の方法を使用して反射材料470が堆積され、ネガ型フォトレジスト460の露出部分462と露出された格子要素426との両方をコーティングすることができる。
【0084】
図8Fに示されるように、ネガ型フォトレジスト460の露出部分462の除去、及び格子要素426を覆っていない反射材料470の付随するリフトオフにより、反射島部430及び格子要素426の後に、反射材料470のコーティングが残される。ネガ型フォトレジスト460の厚さは、種々の実施形態による、ネガ型フォトレジスト460の露出部分462上の反射材料470のリフトオフをサポートするように選択され得る。
【0085】
図8Gは、一部の実施形態による、反射島部430及び反射材料でコーティングされた格子要素426を覆うために屈折率整合された光学材料440を堆積した後の回折バックライト400を示している。図示のように、回折バックライト400の導光体は、屈折率整合された光学材料440と導光体基板410との組み合わせを含む。更に、回折バックライト400の反射回折格子要素402は、反射島部430と、反射材料470のコーティングを有する、整合した格子要素426とを含む。
【0086】
図9A~9Eは、本明細書で説明する原理の実施形態による、更に別の例における回折バックライト400の製造工程の断面図を示す。図9Aは、例えば、上記の図8A~8Bに関して説明したように、ユニバーサル格子420で覆った回折バックライト400の導光体基板410及び反射島部430を示している。ユニバーサル格子420は、上記のように、回折バックライトを製造する方法(100)、(200)、(300)のユニバーサル格子を形成する工程(110)、(230)、(310)に従って設けるか、又は形成することができる。特に、ナノインプリントモールドを使用するナノインプリントリソグラフィを使用して、例えば、ユニバーサル格子420を形成することができる。
【0087】
図9Bは、ユニバーサル格子420上に塗布されたネガ型フォトレジスト460を示している。また、コリメート光源を使用してネガ型フォトレジスト460を露光し、反射島部430が配置されている側とは反対側の導光体基板410の側からネガ型フォトレジスト460を照射することを表す矢印も示されている。図示のように、反射島部430は、ネガ型フォトレジスト460が現像された後に残存する露出部分462を画定するためのフォトマスクとして機能する。ネガ型フォトレジスト460の別の部分464は、ネガ型フォトレジスト460を現像して、反射島部430と整合したユニバーサル格子420の部分422を露出させることによって除去される。結果として、反射島部430を使用して、部分422が選択され、格子要素426が画定される。
【0088】
図9Cは、ネガ型フォトレジスト460及びユニバーサル格子420の露出部分422上に堆積された反射材料470の層を示している。上記のように、反射材料470は、堆積された反射材料層内のユニバーサル格子の回折格子を維持するのに十分に薄くてもよい。
【0089】
図9Dは、ネガ型フォトレジスト460の露出部分462の除去及び付随する反射材料470のリフトオフの後、ユニバーサル格子420上に残存する反射材料層の部分472を示している。図示のように、反射材料層の残存部分472は、反射島部と整合され、格子要素426を効果的に画定する。すなわち、フォトマスクとして反射島部430を使用してネガ型フォトレジスト460を露光し、続いて反射材料層を堆積及びリフトオフすることにより、ユニバーサル格子420の部分422が選択され、格子要素426が画定される。
【0090】
図9Eは、反射島部430及び反射材料でコーティングされた格子要素426を覆うために屈折率整合された光学材料440を堆積した後の回折バックライト400を示している。図示のように、回折バックライト400の導光体は、屈折率整合された光学材料440と導光体基板410との組み合わせを含む。更に、回折バックライト400の反射回折格子要素402は、反射島部430と、反射材料470のコーティングを有する、整合した格子要素426とを含む。
【0091】
このように、反射島部を採用してユニバーサル格子の一部分を格子要素として選択するか、又は格子要素を画定する回折バックライトを製造する複数の方法の例及び実施形態を説明した。ここで、反射島部及び格子要素は、回折バックライトの反射回折格子要素を含んでいる。上述の例は、本明細書で説明する原理を表す多くの特定の例の一部を単に例示するものであることを理解されたい。当業者は明らかに、以下の特許請求の範囲によって規定される範囲から逸脱することなく、多数の他の構成を容易に考案することができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A-D】
図6E-G】
図7A-C】
図7D-F】
図8A-C】
図8D-F】
図8G
図9A-B】
図9C-E】