IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

特許7333834内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法
<>
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図1
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図2
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図3
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図4
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図5
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図6
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図7
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図8
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図9
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図10
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図11
  • 特許-内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】内部に冷却マイクロチャネルを有するパッドを備えた軸受、及び方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 37/00 20060101AFI20230818BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20230818BHJP
   F16C 17/04 20060101ALI20230818BHJP
   F16C 33/06 20060101ALI20230818BHJP
   F16C 33/10 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
F16C37/00 A
F16C17/02 Z
F16C17/04 Z
F16C33/06
F16C33/10 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021571824
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2020025259
(87)【国際公開番号】W WO2020244807
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-12-03
(31)【優先権主張番号】102019000007995
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェッギ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フランキ、ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ピベッタ、ヴァレンティーナ
(72)【発明者】
【氏名】パナラ、ダニエル
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-122535(JP,A)
【文献】特公昭46-012681(JP,B1)
【文献】特表2016-539286(JP,A)
【文献】実開昭51-043749(JP,U)
【文献】実開昭58-063423(JP,U)
【文献】特開平09-032848(JP,A)
【文献】特開2014-025533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 37/00
F16C 17/02
F16C 17/04
F16C 33/06
F16C 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受軸の周りを回転するシャフトを支持するための軸受であって、前記軸受が、
ハウジング構造体と、
複数のパッドと、を備え、各前記パッドが、前記ハウジング構造体と連結され、前記軸受によって支持された回転シャフトと協働するように適合された軸受表面と、前記ハウジング構造体に向けられた反対側の裏面と、半径方向リーディング側表面及び半径方向トレーリング側表面であって、前記半径方向リーディング側表面及び前記半径方向トレーリング側表面が、前記軸受軸に対して半径方向に延在する、半径方向リーディング側表面及び半径方向トレーリング側表面と、を備え、
シャフト受容空間と、
前記ハウジング構造体と前記シャフト受容空間との間の潤滑流体容積であって、動作中、前記潤滑流体容積が、その中を循環する潤滑流体で充填される、潤滑流体容積と、を備え、
前記パッドが、複数の冷却マイクロチャネルを備え、各前記冷却マイクロチャネルが、前記潤滑流体容積と流体連通する入口端及び出口端を有し、前記潤滑流体容積内の潤滑流体の循環が、前記冷却マイクロチャネルを通る前記潤滑流体の流れを促進するように配向され、前記冷却マイクロチャネルのうちの少なくとも1つの前記入口端が、それぞれの前記パッドの前記半径方向リーディング側表面に沿って位置付けられ
前記冷却マイクロチャネルが、長軸及び短軸を有する楕円形の断面形状を有し、前記長軸が、前記軸受軸に平行である、
軸受。
【請求項2】
前記軸受がスラスト軸受として構成され、各前記パッドの前記軸受表面が、本質的に平面状であり、各前記パッドが、周方向内側表面及び周方向外側表面を有する、請求項1に記載の軸受。
【請求項3】
なくとも1つの前記冷却マイクロチャネルの前記出口端が、前記半径方向トレーリング側表面に沿って位置付けられている、請求項2に記載の軸受。
【請求項4】
なくとも1つの前記冷却マイクロチャネルの前記出口端が、前記周方向外側表面に沿って位置付けられている、請求項2又は3に記載の軸受。
【請求項5】
少なくとも1つの前記冷却マイクロチャネルの前記入口端が、前記周方向内側表面に沿って位置付けられ、前記少なくとも1つの冷却マイクロチャネルの前記出口端が、前記半径方向トレーリング側表面に沿って位置付けられている、請求項2から4のいずれか項に記載の軸受。
【請求項6】
前記冷却マイクロチャネルの前記入口端が、前記軸受軸から第1の半径方向距離に配置され、各前記冷却マイクロチャネルの前記出口端が、前記軸受軸から第2の半径方向距離に配置され、前記第1の半径方向距離が前記第2の半径方向距離よりも小さく、それにより、各前記冷却マイクロチャネルが、前記入口端から前記出口端まで前記軸受軸から半径方向に離れて延在し、それにより、潤滑流体が、前記入口端で各前記冷却マイクロチャネルに入り、半径方向外側方向に移動してそれぞれの前記冷却マイクロチャネルの前記出口端で出る、請求項2から5のいずれか1項に記載の軸受。
【請求項7】
前記冷却マイクロチャネルが、直線形状及び螺旋形状のうちの1つを有する、請求項2から6のいずれか項に記載の軸受。
【請求項8】
前記パッドの断面において、前記軸受軸を含む平面に従って、前記冷却マイクロチャネルが、半径方向に延在する冷却マイクロチャネルの列を有するマトリックスに従って分布され、複数の前記列が軸方向に重ねられている、請求項2から7のいずれか項に記載の軸受。
【請求項9】
前記マトリックスが、矩形又は菱形のメッシュを有し、前記冷却マイクロチャネルが、前記メッシュの節点に配置されている、請求項8に記載の軸受。
【請求項10】
前記軸受が、ラジアル軸受として構成され、前記ハウジング構造体が、前記シャフト受容空間を取り囲み、各前記パッドの前記軸受表面が、本質的に円筒形であり、前記シャフト受容空間を取り囲み、各前記パッドの前記半径方向リーディング側表面及び前記半径方向トレーリング側表面が、前記軸受軸に平行に延在する、請求項1に記載の軸受。
【請求項11】
なくとも1つの前記冷却マイクロチャネルが、前記半径方向リーディング側表面から前記半径方向トレーリング側表面まで、又は前記パッドの前記裏面まで延在する、請求項10に記載の軸受。
【請求項12】
なくとも1つの前記冷却マイクロチャネルが、前記パッドの前記半径方向リーディング側表面から前記パッドの前記裏面まで延在し、前記半径方向リーディング側表面から前記半径方向トレーリング側表面まで延在する少なくとも1つの追加の冷却マイクロチャネルを更に備える、請求項10又は11に記載の軸受。
【請求項13】
前記パッドの断面において、前記軸受軸を含む平面に従って、前記冷却マイクロチャネルが、広く半径方向に延在する冷却マイクロチャネルの列を有するマトリックスに従って分布され、複数の前記列が、軸方向に沿って順次配置されている、請求項1から12のいずれか項に記載の軸受。
【請求項14】
前記マトリックスが、矩形又は菱形のメッシュを有し、前記冷却マイクロチャネルが、前記メッシュの節点に配置されている、請求項13に記載の軸受。
【請求項15】
前記パッドが、付加製造によって製造される、請求項1から14のいずれか項に記載の軸受。
【請求項16】
各前記パッドが、熱伝導率係数の異なる材料を用いた多層構造のコア層と、コーティング層と、を有し、前記冷却マイクロチャネルが、前記コア層内に設けられている請求項1から15のいずれか項に記載の軸受。
【請求項17】
前記パッドが、コア層及びコーティング層を有し、前記コーティング層が、バビット金属又はホワイト金属で作製され、前記冷却マイクロチャネルが、前記コア層内に設けられている、請求項1から15のいずれか1項に記載の軸受。
【請求項18】
ケーシングと、前記ケーシング内で回転するように配置され、請求項1から17のいずれか項に記載の少なくとも1つの軸受によって支持されるロータと、を備える、回転機械。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか項に記載の軸受を動作させる方法であって、シャフトが、前記軸受のシャフト受容空間内で回転可能に支持され、前記方法が、
前記パッドの前記軸受表面とシャフト表面との間に動圧潤滑ウェッジを提供するように、前記ハウジング構造体と前記回転シャフトとの間に潤滑剤流体を供給しながら前記シャフトを前記シャフト受容空間内で回転させるステップと、
潤滑流体を、前記冷却マイクロチャネルを通って流れるように強制するステップと、を含む、方法。
【請求項20】
請求項1から17のいずれか1項に記載の軸受を製造する方法であって、前記軸受が複数のパッドを備え、各前記パッドがハウジング構造体と連結され、かつ軸受表面を備え、前記方法が、付加製造によって、内部に延在する複数の冷却マイクロチャネルを備え、前記パッドの外側表面上に入口端及び出口端を有する前記パッドを製造する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軸の周りを回転するシャフトを支持するための軸受に関する。より具体的には、本開示は、複数のパッド、好ましくは軸受ハウジングに連結された傾斜パッドを備えたラジアル又はスラスト軸受に関する。本開示は更に、軸受を動作させる方法、並びに軸受を製造する方法、及び少なくとも1つの軸受を含む機械に関する。
【背景技術】
【0002】
流体軸受では、回転シャフトは、典型的には、流体軸受の軸受表面とシャフトジャーナルとの間に作用する液体又はガス状の潤滑流体の薄層上に支持される。流体軸受は、動圧軸受及び静圧軸受に広く分類され得る。静圧軸受では、油などの高度に加圧された流体が、シャフト表面と軸受表面との間の直接接触を防止し得る。動圧軸受では、回転シャフトは、軸受表面に対して高速で移動し、それによりシャフトと軸受表面との間の潤滑ウェッジ内の流体を加圧する。潤滑ウェッジは、回転シャフトの周りに形成され、動圧潤滑は、軸受表面及び嵌合シャフト表面がそれらの間の潤滑剤の粘着性フィルムによって完全に分離されているときに得られる。
【0003】
静圧軸受は通常、静圧で流体を加圧するために外部ポンプに依存するのに対して、動圧軸受内の圧力は、シャフトの回転によって維持され得る。動圧軸受は、潤滑ウェッジが形成される前の、低速では高い摩擦を有し得、したがって、シャフトの始動及び停止が頻繁ではない高速用途に使用され得る。次いで、軸受は、動圧潤滑モードで連続的に動作され得る。
【0004】
傾斜パッド軸受は、静圧軸受及び動圧軸受の両方として存在する。更に、傾斜パッド軸受は、ラジアル又はジャーナル軸受、並びに軸方向又はスラスト軸受の両方として存在する。ラジアル軸受は、シャフトの軸の周りに間隔の空いた傾斜パッドを含む。傾斜パッドは、シャフトの軸に平行に延在し得るそれぞれの傾斜軸に対して傾斜可能であるように、軸受ハウジングと連結され得る。傾斜パッドの軸受表面は、シャフトが支持されるシャフトハウジング空間に向けられ得る。動作中、回転シャフトは、粘性抗力を介して傾斜パッドの軸受表面に潤滑剤を運ぶことができる。軸受表面とシャフトとの間の潤滑剤の圧力は、パッドの傾斜軸に対して傾斜パッドのわずかな傾きをもたらし、加圧された潤滑剤のウェッジがシャフトと軸受表面との間に形成され得る。パッドの傾斜は、軸受荷重及び速度に応じて変化し得る。
【0005】
流体軸受で遭遇する1つの問題は、動圧並びに静圧の両方が、摩擦に起因して、パッドを含む軸受構成要素の温度の上昇である。有害であり得る温度値は、特に高速及び/又は高負荷の動作条件下で到達し得る。潤滑剤流体を使用して、軸受から熱を除去することができる。油などの潤滑剤流体がパッドの外面に接触し、そこから熱を除去することで、冷却が得られる。しかしながら、パッドの内部は、冷却油によって到達することができず、その結果、非効率的な冷却のみが得られる。
【0006】
米国特許第9,874,247号は、内部に形成された冷却ダクトのネットワークを備えた傾斜パッドを有する流体軸受を開示している。パッドは、付加製造によって製造される。各パッドに少なくとも1つの油注入ノズルが設けられて、加圧油をポンプから冷却ダクトのネットワーク内に供給する。油注入ノズルの使用は、軸受を複雑にし、大きな冷却ダクトを必要とする。ダクトの大きな断面は、高負荷動作条件下でパッドの崩壊を防ぐために、冷却ダクト内に支持構造体を必要とする。ダクト支持構造体は、冷却ダクトを通って循環する冷却油を減らし、かつ軸受の複雑さを増す。
【0007】
欧州特許第3236090号及び同第3236094号は、軸受パッドを含むガスタービン用の軸受を開示している。各軸受パッドは、パッドの内側表面上に構成された少なくとも1つのガス入口及び複数のガス出口を含む。ガス入口は、パッド内に形成されたガス分配ラビリンスを介して、複数のガス出口と流体連通している。ガスは、外部ガス源に流体連結された軸受ハウジング上に配置されたガス入口を通って軸受パッドに供給される。ガス出口を通してガス源によって供給されたガスは、耐荷重性機能を提供する。したがって、軸受の動作は、外側ガス源の存在に依存する。
【0008】
同様の構成が、国際公開第2018/077884号及び米国特許出願公開第2002/0051592号に開示されている。これらの両方の刊行物において、流体は、外部流体源によって流体入口を通って供給される。
【0009】
上記の先行技術の刊行物では、パッド内に形成されたチャネルを通って流れる流体は、外部源によってチャネル内に直接供給される。
【0010】
米国特許出願公開第2016/0265590号は、軸受及び関連する軸受パッドを開示しており、軸受パッドには、第1の入口開口部から第2の出口開口部まで延在する導管が設けられている。導管を通じた流体循環を促進するために、その入口は、パッドの軸受表面、すなわち回転シャフトに面する軸受上に配置され、流体圧力が生成される道を画定する。流体圧力は、シャフトと軸受表面との間の接触なしに、回転するシャフトを支持する。このようにして、導管内の流体の循環は、外部流体源への接続を必要としない。むしろ、導管を通る流体循環を促進するために必要とされる水頭は、軸受表面とパッドの裏面との間の差圧によって提供される。
【0011】
米国特許出願公開第2016/0265590号に開示されている軸受は、外部流体源に依存する必要がないという利点を有するが、軸受表面から導管に入る軸受流体は、軸受の全体的な負荷容量に悪影響を及ぼす。導管入口を通る流体の流れは、軸受表面と回転シャフトとの間の道における流体圧力を低減する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、効率的なパッド冷却構成を有する流体軸受、並びにその製造及び使用方法を提供することが有益となる。
【0013】
本明細書に開示されるのは、軸受軸の周りを回転するシャフトを支持するための流体軸受、例えば動圧軸受、であり、ハウジング構造体及び直接又は間接的に軸受構造体接続された、すなわち、軸受構造体に連結された複数のパッドを含む。いくつかの実施形態では、パッドは傾斜パッドである。各パッドは、軸受によって支持される回転シャフトと協働するように適合された軸受表面と、ハウジング構造体に向けられた反対側の裏面とを含む。ハウジング構造体とシャフト受容空間との間に、潤滑流体容積が設けられる。動作中、潤滑流体容積は、その中を循環する潤滑流体で充填される。軸受からの熱除去を向上させるために、各パッドは複数の冷却マイクロチャネルを含む。各冷却マイクロチャネルは、潤滑流体容積と流体連通する入口端及び出口端を有する。冷却マイクロチャネルは、潤滑流体容積内の潤滑流体の循環が、冷却マイクロチャネルを通る潤滑流体の流れを促進するように配向される。
【0014】
マイクロチャネルの入口は、パッドの軸受表面ではなく、パッドのリーディング側端部に配置される。驚くべきことに、かかる構成は、軸受の耐加重を低下させることなく、マイクロチャネルを通じた流体循環を確実にすることが発見された。
【0015】
冷却マイクロチャネル内で循環する潤滑流体は、効率的な熱除去を提供する。冷却マイクロチャネル内の潤滑流体を循環させるための外部潤滑流体ポンプは必要ではない。
【0016】
本明細書ではまた、回転機械が開示されており、ケーシングと、ケーシング内で回転するように配置され、上記に定義されるような少なくとも1つの流体軸受によって支持されるロータと、を含む。
【0017】
更なる態様によれば、本明細書では、上記のような冷却マイクロチャネルを備えた流体軸受を動作させる方法が開示されている。本方法は、パッドの軸受表面とシャフト表面との間に動圧潤滑ウェッジを提供するように、ハウジング構造体と回転シャフトとの間に潤滑剤流体を供給しながらシャフトを軸受のシャフト受容空間内で回転させる工程を含む。本方法は、冷却マイクロチャネルを通して潤滑流体を強制的に循環させる工程を更に含む。潤滑流体の循環は、回転シャフトの作用によって促進及び支持される。
【0018】
更に別の実施形態によれば、本開示は、軸の周りを回転するシャフトを支持するための軸受を製造する方法に関し、軸受は複数のパッドを含み、各パッドはハウジング構造体と連結され、かつ軸受表面を備える。本方法は、付加製造によって、内部に延在する複数の冷却マイクロチャネルを備え、パッドの外側表面上に入口端及び出口端を有するパッドを製造する工程を含む。
【0019】
本開示の更なる態様、利点、及び特徴は、従属請求項、説明、及び添付の図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の上記の特徴の様態を詳細に理解することができるように、上で簡潔に要約された本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照することによって得ることができる。添付の図面は、本開示の実施形態に関連し、以下において説明される。いくつかの実施形態が図面に示されており、以下の説明で詳述されている。図面において、
図1図1は、図2の線I-Iによる、本開示によるスラスト軸受の平面図を図示する。
図2図2は、図1の線II-IIによる、図1のスラスト軸受の側面図を図示する。
図3図3は、分離して示された図1のスラスト軸受のいくつかの傾斜パッドの上面図を図示する。
図4図4は、図3の線IV-IVによる、側面図を図示する。
図5図5は、図3の線V-Vによる、側面図を図示する。
図6図6は、図3の線VI-VIによる、側面図を図示する。
図7図7は、図3の線VII-VIIによる、側面図を図示する。
図8図8は、図3の線VIII-VIIIによる、断面図を図示する。
図9図9は、図10の線IX-IXによる、本開示による、ラジアル軸受の概略断面図を図示する。
図10図10は、図9の線X-Xによる、ラジアル軸受の概略断面図を図示する。
図11図11は、本開示による、スラスト軸受及びラジアル軸受を含むターボマシンの概略図を図示する。
図12図12は、本開示による、軸受を動作させる方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
軸受パッドから熱を除去するための改善された冷却構成を備えた、新しい流体軸受が本明細書に開示されている。パッドは、ハウジング構造体と連結され、各々、軸受によって回転可能に支持されているシャフトに面する軸受表面を備えている。負荷は、パッドの軸受表面とシャフト表面との間の加圧された潤滑液体又はガスの薄層によって支持される。潤滑流体は、パッドが収容されている軸受の内側容積内で循環する。各パッドには、複数の冷却マイクロチャネルが設けられている。各冷却マイクロチャネルは、入口端及び出口端を有する。冷却マイクロチャネルの入口端及び出口端は、潤滑流体が循環する軸受の内側容積で開口し、それにより、軸受の動作中、潤滑流体は冷却マイクロチャネル内を強制的に循環し、パッドから効率的な熱除去を提供する。パッドは、好適な寸法及び形状の冷却マイクロチャネルを提供するために、付加製造によって有利に製造される。具体的には、マイクロチャネルの入口は、それぞれのパッドのトレーリング側表面に沿って位置し、それにより、マイクロチャネルを通る流体循環は、回転シャフトとパッドの軸受表面との間の道の流体圧力を減少させない。
【0022】
驚くべきことに、本明細書に開示されるような冷却マイクロチャネルを提供することにより、パッドの製造に性能の低い材料が使用されている場合であっても、軸受を効率的に冷却することができることに留意されたい。現在の技術によれば、熱除去を促進するために、銅-クロムなどの高い熱伝導率を有する金属が使用されている。これらの高性能な材料は、高価である。本明細書に開示されるような冷却マイクロチャネルを使用すると、軸受の動作中のパッド温度は、熱的に性能が低い、したがって、鋼などのより安価な材料を使用して低下させることができる。
【0023】
ここで図面に目を向けると、図1、2、3、4、5、6、7及び8は、本開示による流体軸受の第1の実施形態を図示する。この実施形態では、軸受はスラスト軸受1として構成されている。図1は軸受1の平面図を示し、図2は軸受1の外部側面図を図示する。
【0024】
軸受1は、軸受1の軸A-Aの周りに延在するリングを含むハウジング構造体3を含む。軸受軸A-Aは、軸受1によって支持されるシャフトの回転シャフトと一致する。
【0025】
複数のパッド5が、ハウジング構造体3と連結されている。図示した実施形態では、パッド5は傾斜パッドであり、いくつかの可能な既知の様態のうちのいずれか1つでハウジング構造体3と連結することができる。いくつかの実施形態(図示せず)では、傾斜パッド5は、例えば国際公開第2018/077884号に開示されているように、付加製造によってハウジング構造体3と一体に製造することができ、パッドをハウジング構造体3に接続する可撓性ウェブを提供する。
【0026】
図3は、上面平面図において分離された3つの傾斜パッドの平面図を図示する。パッドのうちの1つは、上部層が部分的に除去されて示されている。図4、5、6、7及び8は、傾斜パッドの側面図及び断面図を示す。これらの図は、パッド5から熱を除去するための冷却構成の詳細を示す。
【0027】
各パッド5は、パッド5をハウジング構造体3に接続するための接続デバイス5.3が設けられた、本質的に平面の軸受表面5.1及び裏面5.2を含む。各パッド5は、図4、5、6、及び7に詳細に示される4つの側面を更に含む。より具体的には、各パッド5は、半径方向に延在する実質的に平面のリーディング側表面5.4と、半径方向に延在する実質的に平面のトレーリング側表面5.5とを含む。「リーディング(leading)」及び「トレーリング(trailing)」という定義は、軸受によって支持されるシャフトS(図11、後に記載される)の回転方向、及び軸受1内の潤滑流体の流れの方向を指す。回転方向は、図面において矢印Fによって示されている。具体的には、リーディング側表面は、潤滑流体の流れに対してトレーリング側表面の上流にある。各パッド5は、実質的に円筒形の周方向外側表面5.6と、実質的に円筒形の周方向内側表面5.7とを更に含む。リーディング側表面5.4及びトレーリング側表面5.5は、周方向内側表面5.7と周方向外側表面5.6との間に延在する。
【0028】
パッド5の軸受表面5.1は、シャフト受容空間に向けて配向されており、シャフトS(図11、以下に記載される)又はその一部が位置する。シャフトSと軸受構造体3との間に潤滑流体容積Vが形成されている。潤滑流体容積Vは、例えば、潤滑流体、典型的には油で充填される。動作中、シャフトSは、軸受1の軸A-Aの周りを高速で回転し、シャフトSとパッド5の軸受表面5.1との間のクリアランスに沿って潤滑流体の流れをドラッグし、それにより、シャフトSの外側表面とパッド5との間の直接接触が回避される。潤滑流体は、回転シャフトSのドラッグ作用下で、潤滑流体容積V内で矢印Fに従って流れる。
【0029】
本明細書に図示されるように、動圧軸受では、潤滑流体が、外部ポンプ(図示されていない)によって軸受1に継続的に供給され、その結果、潤滑剤流体が、継続的に除去され、交換される。継続的な潤滑流体流は、冷却作用を提供する。
【0030】
いくつかの実施形態では、軸受1は、静圧軸受であり得、軸受作用を提供するために、潤滑流体が軸受に高圧で継続的に供給される。
【0031】
各パッド5は、コア層7及びコーティング層9から構成することができ、それは、軸受表面5.1を形成する。いくつかの実施形態では、コーティング層9は、ホワイト金属又はバビット(Babbit)金属で作製することができ、低摩擦軸受表面5.1を形成する。当業者に既知のように、バビット金属は、流体軸受内で軸受表面に使用されるいくつかの金属合金のうちのいずれかである。
【0032】
コア層7は、単一の金属、例えば鋼若しくはアルミニウムで作製することができ、又はクロム及び銅などの異なる金属材料で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、異なる材料を順番に配置して、異なる熱伝導率係数を有する材料で多層構造を形成し、こうして、熱除去を最適化することができる。
【0033】
選択的レーザ溶融又はレーザ焼結などによって、パッド5を付加製造プロセスで製造することにより、コア層7は、裏面5.2を形成する下部サブ層から始まり、コーティング層9との境界面を形成する最後のサブ層で終わる、異なる材料のサブ層から形成することができる。
【0034】
各パッド5には、複数の冷却マイクロチャネル11が設けられている。各冷却マイクロチャネル11は、関連するパッド5の2つの側面に表面を形成する第1の端部及び第2の端面を有する。より具体的には、図3、4、5、6、7及び8に最もよく示されるように、冷却マイクロチャネル11のうちのいくつかは、リーディング側表面5.4上の入口端と、トレーリング側表面5.5上の出口端とを有する。いくつかの冷却マイクロチャネル11は、リーディング側表面5.4上の入口端と、周方向外側表面5.6上の出口端とを有する。更なる冷却マイクロチャネルは、周方向内側表面5.7上の入口端と、トレーリング側表面5.5上の出口端とを有する。
【0035】
概して、冷却マイクロチャネル11の入口端は、潤滑流体容積V内の潤滑剤流体の流れの方向に従って、したがってシャフトSの回転方向に従って、その出口端の上流に配置される。更に、冷却マイクロチャネル11は、外向き方向に広く傾斜しており、それにより、各冷却マイクロチャネル11の入口端は、軸受1の軸A-Aから第1の距離に位置し、各冷却マイクロチャネル11の出口端は、軸A-Aから第2の距離に位置し、第2の距離は第1の距離よりも大きい。
【0036】
いくつかの実施形態では、冷却マイクロチャネル11は、例えば図3に示されるように、直線状であってもよい。他の実施形態では、冷却マイクロチャネル11は、平面図において湾曲した形状を有してもよい。例えば、各冷却マイクロチャネル11は、軸受1の軸A-Aに直交する平面内に置かれた螺旋の一部分に従って延在してもよい。概して、冷却マイクロチャネル11が、軸受1によって支持される回転シャフトと軸受1のパッド5との協働下で、内部を通る潤滑流体の強制循環を促進、強化、又は容易にする任意の形状を有することは有益である。例えば、冷却マイクロチャネル11は、円周の弧の形状、又は双曲線、放物線、又は3D形状を有してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、例えば、図6及び図7に最もよく示されるように、冷却マイクロチャネル11はマトリックスに従って配置される。添付の図面に図示される実施形態では、冷却マイクロチャネル11は、正方形のメッシュ配置に従って配置されている。他の実施形態では、冷却マイクロチャネル11は、菱形のメッシュ配置に従って配置することができる。一般に、冷却マイクロチャネル11は、例えば図6及び図7に見られるように、それぞれのパッド5の軸受表面5.1から増加する距離で列(row)に従って配置される。更に、冷却マイクロチャネル11はまた、軸受軸A-Aから増加する距離でカラム(column)に従って配置することもできる。
【0038】
冷却マイクロチャネル11のマトリックス分布は、パッド5の全容積の効率的な冷却をもたらす。
【0039】
図4、5、6、7及び8に最もよく示されるように、冷却マイクロチャネル11は、層に従って配置される。より具体的には、冷却マイクロチャネル11は、互いに平行であり、軸方向、すなわち軸受1の軸に平行な方向に沿って互いに隣り合って配置された複数の層に従って配置することができる。冷却マイクロチャネル11は、軸受1の軸A-Aから増加する半径方向距離で配置された層に従って、半径方向に互いに隣り合って配置された複数の層に従って更に配置することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、1つ、一部又は全てのパッド5は、温度センサのための座部13を設けることができ、特に図5を参照されたい。冷却マイクロチャネル11は、座部と交差することなく座部13の周りに延在するように好適に成形することができ、その結果、冷却潤滑剤の流れは、座部13内に収容された温度センサによって検出された温度を変化させない。
【0041】
冷却マイクロチャネル11は、図6及び図7に最もよく示されるように、円形、又は好ましくは細長い断面、例えば楕円形の断面を有することができる。冷却マイクロチャネル11の断面は、長軸及び短軸を有する。特に有利な実施形態では、長軸は軸受1の軸A-Aに平行であり、短軸は軸受1の軸A-Aに直交する。この形状は、パッドの成長方向が軸受1の軸A-Aと平行であるため、押しつぶしに対するパッド5の機械的抵抗を増加させ、付加製造によるパッドの製造を容易にもする。
【0042】
冷却マイクロチャネル11の主要断面寸法は、例えば、約0.5mm~約3.00mmの範囲で小さくすることができ、好ましくは約1.00mm~約2.50mmの間であり得る。本明細書に開示される例示的な実施形態のように、冷却マイクロチャネル11が楕円形の断面を有する場合、その主要断面寸法は楕円形断面の長軸である。冷却マイクロチャネルが円形の断面を有する場合、断面の直径が断面の主要寸法である。直径は、上記の範囲内であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、冷却マイクロチャネル11の断面積は、約0.2~約7mmの範囲、好ましくは約0.8~約5mmの間であり得る。
【0044】
各冷却マイクロチャネル11の長さは、本明細書に開示される例示的な実施形態に示されるように、各冷却マイクロチャネルがパッドの1つの側面から別の側面に延在するため、パッド5の寸法及び冷却マイクロチャネル11の配向に依存する。
【0045】
図4、5、6及び7に最もよく示されるように、冷却マイクロチャネル11は、三次元パターンに従って、すなわち軸受軸に対して半径方向及び軸方向に従って分布した列及びカラムに従って配置される。半径方向並びに軸方向における隣接する冷却マイクロチャネル11間のピッチは、いくつかの考慮事項、中でも、パッドの製造に使用される材料の性質、使用される付加製造プロセスの種類に関する冷却マイクロチャネルの断面形状及び寸法に基づいて選択され得る。
【0046】
上述のように、パッド5は、付加製造によって、例えば、選択的レーザ溶融又は選択的レーザ焼結によって、製造することができる。付加製造は、パッド5の厚さ全体にわたって好適な形状及び寸法の冷却マイクロチャネル11が得られることを可能にし、それにより、冷却潤滑剤が、実質的にパッド5のコア層7全体を通って流れることができる。コーティング層9の近くでも冷却が可能であり、したがって、コーティングを形成するバビット金属又はホワイト金属の熱損傷を防止又は低減する。
【0047】
動作中、潤滑流体容積Vを満たす潤滑流体は、冷却マイクロチャネル11を通って強制的に流れるようにされ、その入口端で入り、その出口端で流出する。軸受1を通る潤滑流体の継続的な循環は、外側潤滑ポンプによって維持されるため、熱は、軸受1を出る潤滑流体によって継続的に除去され、示されていないが当該技術分野におい既知の、外部循環及び冷凍回路によって提供される新鮮な冷たい潤滑流体によって置き換えられる。パッド5の効率的な冷却は、非常に単純な機械的構造体で得られる。
【0048】
図1、2、3、4、5、6、7及び8は、本開示によるスラスト軸受1を図示するのに対し、他の実施形態では、軸受は、ラジアル軸受又はジャーナル軸受として構成されてもよい。
【0049】
本開示によるラジアル軸受の例示的な実施形態が、図9及び図10に概略的に示されている。ラジアル軸受101は、軸受101の軸A-Aを取り囲むハウジング構造体103を含む。ラジアルパッド105は、軸A-Aに面するハウジング構造体103上に取り付けられている。パッド105は、好ましくは傾斜パッドである。各パッドは、軸受表面105.1及び裏面105.2を有する。デバイス105.3は、ハウジング構造体103に接続するために裏面105.2に設けられている。軸受表面105.1は、軸受表面105.2と軸受101内に回転支持されたシャフト(図9及び図10には示されていない)の表面との間のクリアランスを画定するようにほぼ円筒形である。
【0050】
各パッド105は、リーディング側表面105.4及びトレーリング側表面105.5を更に含む。リーディング側表面105.4は、図9及び図10には示されていない、シャフト受容空間102内で回転するように取り付けられた、シャフトの回転方向Fに対してトレーリング側表面105.5の上流に位置する。リーディング側表面105.4及びトレーリング側表面105.5は、平面であってもよく、軸受101の軸A-Aに対して半径方向に延在することができ、すなわち、それらの各々は、軸A-Aを含む幾何学的平面上に位置することができる。
【0051】
図9の断面図に最もよく示されるように、各パッド105は、コア層107及びコーティング層109を備える。コーティング層109は、パッド105の軸受表面105.1を形成する。
【0052】
各パッド105のコア層107には、複数の冷却マイクロチャネル111が設けられている。
【0053】
冷却マイクロチャネル111は、マトリックスで配置することができ、軸受101の軸A-Aに平行な列に従って配置することができ、軸受101の軸A-Aに直交するカラムに従って更に配置することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、図9に最もよく示されるように、冷却マイクロチャネル111は、リーディング側表面105.4上に入口端と、トレーリング側表面105.5上に出口端とを有することができる。冷却マイクロチャネル111は、軸受101の軸A-Aの周りに延在する弓状の形状を有することができる。示されていない他の実施形態では、冷却マイクロチャネル111の少なくとも一部は、リーディング側表面105.4上に入口端と、パッド105の裏面105.2上に出口端とを有することができる。
【0055】
一般に、冷却マイクロチャネル111の向きは、ハウジング構造体103とシャフトS(図9及び図10には示されていない)との間の潤滑流体容積内で循環する潤滑剤流体が、冷却マイクロチャネル111を通って強制的に循環させられ、入口端を通って入り、その出口端を通って出るようになっている。
【0056】
パッド105は、パッド5に関連して上述したような付加製造によって製造することができる。成長の方向は、軸受101の軸A-Aの方向に平行であることができる。したがって、冷却マイクロチャネル111は、軸A-Aの方向に平行な長軸を有する細長い又は楕円形の断面を有し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、1つ、一部又は全てのパッド105は、上述のスラスト軸受1と同様に、温度センサ(図示されていない)のための座部を設けることができる。冷却マイクロチャネル111は、座部と交差することなく温度センサ座部の周りに延在するように好適に成形することができ、その結果、冷却潤滑剤の流れは、温度センサによって検出される温度を変化させない。
【0058】
図11は、ケーシング203と、その中で回転するためにケーシング203内に回転可能に収容されたロータ205とを含む、ターボマシン201の概略図を図示する。ロータ205のシャフトSは、軸受によって支持され、そのうちの少なくとも1つは、本開示に従って設計される。図11の実施形態では、2つのジャーナル又はラジアル軸受101及び1つのスラスト軸受1が示されている。
【0059】
動作中、軸受1、101内のシャフトSの回転は、冷却マイクロチャネル11及び111を通る潤滑流体の循環を促進し、したがってパッド5、105から熱を除去する。図12は、ターボマシン201の軸受1及び101を動作させる方法のフロー図を示す。
【0060】
上記の実施形態では、滑らかな内側表面及び円形又は楕円形の断面を有する冷却マイクロチャネルが言及されてきた。熱除去の観点から、軸受の熱効率を更に改善するために他の断面形状を使用することができる。軸受パッドを製造するために付加製造技術を使用することにより、事実上任意の形状を冷却マイクロチャネルのために選択することができる。例えば、マルチローブ断面を有する冷却マイクロチャネルは、熱交換面の増加及びヘッド損失の低減という点から有益であり得る。断面は一定であることができ、又は冷却マイクロチャネルの展開に沿って変化してもよい。例えば、非円形断面が、冷却マイクロチャネルの軸に沿って回転することができる。
【0061】
上記は本開示の実施形態を目的とするが、本開示の他の及び更なる実施形態が、その基本的範囲から逸脱することなく考案されてもよく、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【0062】
本発明の様々な実施形態は、以下の項目のうちの1つ以上に含まれ、これは、本明細書に別途記載のない限り、任意の好適な様式で組み合わせることができる。
項目1)軸受軸の周りを回転するシャフトを支持するための軸受であって、軸受は、ハウジング構造体及び複数のパッドを備え、各パッドは、ハウジング構造体と連結され、軸受によって支持される回転シャフトと協働するように適合された軸受表面を備え、ハウジング構造体とシャフト受容空間との間に潤滑流体容積が設けられ、動作中、該潤滑流体容積が、その中を循環する潤滑流体で充填され、各パッドは、複数の冷却マイクロチャネルを備え、各冷却マイクロチャネルが、該潤滑流体容積と流体連通する入口端及び出口端を有し、該冷却マイクロチャネルが、潤滑流体容積内の潤滑流体の循環が冷却マイクロチャネルを通る潤滑流体の流れを促進するように配向されている、軸受。
項目2)ハウジングと複数のパッドとを備える軸受であって、各パッドが、軸受表面、リーディング側表面、及びトレーリング側表面を備え、各パッドが、複数の冷却マイクロチャネルを更に備え、各冷却マイクロチャネルが、リーディング側表面上に配置された入口端と、パッドのトレーリング側表面上に配置された出口端とを有する、軸受。
項目3)軸受がスラスト軸受として構成されており、各パッドの軸受表面が、本質的に平面状であり、各パッドが、周方向内側表面、周方向外側表面、半径方向リーディング側表面、及び半径方向トレーリング側表面を有する、項目1又は2に記載の軸受。
項目4)少なくとも1つの冷却マイクロチャネルの入口端が、リーディング側表面に沿って位置付けられ、該少なくとも1つの冷却マイクロチャネルの出口端が、トレーリング側表面に沿って位置付けられている、項目1又は3に記載の軸受。
項目5)少なくとも1つの冷却マイクロチャネルの入口端が、リーディング側表面に沿って位置し、該少なくとも1つの冷却マイクロチャネルの出口端が、周方向外側表面に沿って位置する、項目1~4のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目6)少なくとも1つの冷却マイクロチャネルの入口端が、周方向内側表面に沿って位置し、該少なくとも1つの冷却マイクロチャネルの出口端が、トレーリング側表面に沿って位置する、項目1~5のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目7)各冷却マイクロチャネルの入口端が、軸受軸から第1の半径方向距離に配置され、各冷却マイクロチャネルの出口端が、軸受軸から第2の半径方向距離に配置され、第1の距離が第2の距離よりも小さく、それにより、各冷却マイクロチャネルが、入口端から出口端まで軸受軸から半径方向に離れて延在し、それにより、潤滑流体が、入口端で各冷却マイクロチャネルに入り、半径方向外側方向に移動するそれぞれの冷却マイクロチャネルの出口端で出る、項目1~6のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目8)各パッドの断面において、軸受の軸を含む平面に従って、冷却マイクロチャネルが、半径方向に延在する冷却マイクロチャネルの列を有するマトリックスに従って分布され、複数の該列が軸方向に重ねられている、項目1~7のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目9)冷却マイクロチャネルが、半径方向において互いに隣接して配置された複数の平行層に従って分布され、冷却マイクロチャネルの後続の層が、軸受軸から増加する距離に配置されている、項目1~8のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目10)冷却マイクロチャネルが、軸受軸に平行な方向に沿って互いに隣接し配置された複数の平行層に従って分布されている、項目1~9のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目11)軸受が、ラジアル軸受として構成され、ハウジング構造体が、シャフト受容空間を取り囲み、各パッドの軸受表面が、本質的に円筒形であり、シャフト受容空間を取り囲み、各パッドが、軸受の軸に平行に延在するリーディング側表面及びトレーリング側表面を有する、項目1~10のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目12)少なくとも1つの冷却マイクロチャネルが、リーディング側表面からトレーリング側表面まで延在する、項目11に記載の軸受。
項目13)少なくとも1つの冷却マイクロチャネルが、パッドのリーディング側表面から裏面まで延在する、項目11又は12に記載の軸受。
項目14)各パッドの断面において、軸受の軸を含む平面に従って、冷却マイクロチャネルが、広く半径方向に延在する冷却マイクロチャネルの列を有するマトリックスに従って分布され、複数の該列が、軸方向に沿って順次配置されている、項目1~13のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目15)マトリックスが、矩形又は菱形のメッシュを有し、冷却マイクロチャネルが、メッシュの節点に配置されている、項目14に記載の軸受。
項目16)該パッドが、付加製造によって製造される、項目1~15のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目17)該冷却マイクロチャネルが、長軸及び短軸を有する楕円形の断面形状を有し、長軸が、軸受の軸に平行である、項目1~16のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目18)各パッドが、コア層及びコーティング層を有し、コーティング層が、好ましくはバビット金属又はホワイト金属で作製され、冷却マイクロチャネルが、コア層内に設けられている、項目1~17のうちの1つ以上に記載の軸受。
項目19)ケーシングと、ケーシング内で回転するように配置され、項目1~18のいずれか一項に記載の少なくとも1つの軸受によって、好ましくは少なくとも2つのラジアル軸受及び項目1~18いずれか一項に記載の1つのスラスト軸受によって支持されるロータと、を備える、回転機械。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12