(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】PUSCH伝送を処理するデバイス
(51)【国際特許分類】
H04W 72/0446 20230101AFI20230818BHJP
H04W 72/1268 20230101ALI20230818BHJP
【FI】
H04W72/0446
H04W72/1268
(21)【出願番号】P 2022104755
(22)【出願日】2022-06-29
【審査請求日】2022-06-29
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509352749
【氏名又は名称】宏碁股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACER INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】李 建民
(72)【発明者】
【氏名】陳 仁賢
(72)【発明者】
【氏名】羅 立中
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-167568(JP,A)
【文献】特表2020-530214(JP,A)
【文献】国際公開第2019/016952(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)伝送を処理する通信デバイスであって、
少なくとも1つの記憶デバイスと、
前記少なくとも1つの記憶デバイスへ結合される少なくとも1つの処理回路と
を有し、
前記少なくとも1つの記憶デバイスは、命令を記憶しており、
前記少なくとも1つの処理回路は、
複数の物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)繰り返しを示すインジケータをネットワークから受け取ることと、
前記複数のPUSCH繰り返しのための少なくとも1つのノミナル伝送期間を決定することと、
前記インジケータに従って前記少なくとも1つのノミナル伝送期間に前記複数のPUSCH繰り返しを前記ネットワークへ送ることと
の前記命令を実行するよう構成され
、
前記複数のPUSCH繰り返しは、複数のスロットにわたるトランスポートブロックである、
ことを特徴とする通信デバイス。
【請求項2】
前記複数のPUSCH繰り返しは、単一レイヤ伝送に属するか
、あるいは、
前記複数のPUSCH繰り返しは、異なるスロットにある、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信デバイス。
【請求項3】
前記複数のPUSCH繰り返しのうちの少なくとも2つの繰り返しは、同じスロットにある、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信デバイス。
【請求項4】
前記命令は、
前記少なくとも1つのノミナル伝送期間の決定に関する能力を前記ネットワークへ送ることを更に有する、
ことを特徴とする
請求項1に記載の通信デバイス。
【請求項5】
前記能力は、電力整合性及び位相連続性が当該通信デバイスによって維持される最大期間を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの1つの長さは、上位レイヤ設定に従って決定され、
前記少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの前記1つは、複数の連続したスロットを有する、
ことを特徴とする
請求項1に記載の通信デバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの前記1つの前記長さの最小は、2スロットである、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの最後のノミナル伝送期間の長さは、当該通信デバイスによって決定されるか、あるいは、
前記少なくとも1つのノミナル伝送期間は、少なくとも1つのバンド幅部分について設定される、
ことを特徴とする
請求項1に記載の通信デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの最初のノミナル伝送期間の始まりは、前記複数のPUSCH繰り返しのうちの最初のPUSCH繰り返しの開始シンボルであるか、あるいは、
前記少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの最後のノミナル伝送期間の終わりは、前記複数のPUSCH繰り返しのうちの最後のPUSCH繰り返しの最終シンボルである、
ことを特徴とする
請求項1に記載の通信デバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの1つは、実際の伝送期間及びイベントのうちの少なくとも1つを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信デバイス。
【請求項11】
前記実際の伝送期間の始まりは、前記少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの前記1つにおける前記複数のPUSCH繰り返しのうちの最初のPUSCH繰り返しの開始シンボルであ
る、
ことを特徴とする請求項10に記載の通信デバイス。
【請求項12】
前記実際の伝送期間の始まりは、前記イベントの後の前記複数のPUSCH繰り返しのうちの最初のPUSCH繰り返しの開始シンボルであ
る、
ことを特徴とする請求項10に記載の通信デバイス。
【請求項13】
前記イベントは、電力整合性及び位相連続性能値の少なくとも1つが前記イベントの前及び後の前記複数のPUSCH繰り返しのうちの2つのPUSCH繰り返しにわたって維持されないようにする、
ことを特徴とする請求項10に記載の通信デバイス。
【請求項14】
前記イベントの後に実際の伝送期間はない、
ことを特徴とする請求項13に記載の通信デバイス。
【請求項15】
前記イベントは、前記2つのPUSCH繰り返しの間のギャップの長さが閾値よりも大きいことを有する、
ことを特徴とする請求項13に記載の通信デバイス。
【請求項16】
前記イベントは、前記複数のPUSCH繰り返しのうちの1つのキャンセルを有する、
ことを特徴とする請求項10に記載の通信デバイス。
【請求項17】
前記キャンセルは、前記ネットワークによって送られたダウンリンク制御情報(DCI)に従って決定される、
ことを特徴とする請求項16に記載の通信デバイス。
【請求項18】
前記インジケータは、前記ネットワークによって送られたDCIに従って取得されるか、
あるいは、
前記インジケータは、前記ネットワークによって送られた設定されたグラント設定に従って取得される、
ことを特徴とする
請求項1に記載の通信デバイス。
【請求項19】
前記実際の伝送期間の終わりは、前記イベントの前の前記複数のPUSCH繰り返しのうちの最後のPUSCH繰り返しの最終シンボルである、
ことを特徴とする請求項10に記載の通信デバイス。
【請求項20】
前記実際の伝送期間の終わりは、前記複数のPUSCH繰り返しのうちの最後のPUSCH繰り返しの最終シンボルである、
ことを特徴とする請求項10に記載の通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理アップリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel,PUSCH)伝送を処理するデバイスに関係がある。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project,3GPP(登録商標))Rel-8標準規格及び/又は3GPP(登録商標) Rel-9標準規格をサポートしているロングタームエボリューション(Long Term Evolution,LTE)システムは、ユーザのニーズの高まりを満足するようユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunication System,UMTS)の性能を更に向上させるためにUMTSの後継として3GPP(登録商標)によって開発されている。LTEシステムは、高いデータレート、低いレイテンシ、パケット最適化、並びに改善されたシステム容量及びカバレッジをもたらす新しいラジオインターフェース及び新しいラジオネットワークアーキテクチャを含む。
【0003】
LTEアドバンスド(Advanced)(LTE-A)システムは、その名が示すとおり、LTEシステムの進化である。LTE-Aシステムは、電力状態間のより速い切り替えを目指し、エボルブド(evolved)Node-B(eNB)のカバレッジエッジでの性能を改善し、ピークデータレート及びスループットを増大させ、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation,CA)、協調マルチポイント(Coordinated Multipoint,CoMP)送信/受信、アップリンク(Uplink,UL)多入力多出力(Multiple-Input Multiple-Output,UL-MIMO)、ライセンス支援アクセス(Licensed-Assisted Access,LAA)(例えば、LTEを使用する)、などのような高度な技術を含む。
【0004】
次世代ラジオアクセスネットワーク(Next Generation Radio Access Network,NG-RAN)は、LTE-Aシステムを更に強化するために開発されている。NG-RANは、1つ以上の次世代Node-B(gNB)を含み、より広い動作バンドの特性、異なる周波数範囲の異なるヌメロロジ(numerologies)、大規模なMIMO、高度なチャネルコーディング、などを有している。
【0005】
ULリソースが限られていることにより、UEがgNBへのUL伝送を効率的に行うことは困難である。様々なプロシージャが、UL伝送の効率を改善するために、3GPP(登録商標)標準規格の種々のバージョンで設計されている。本発明では、効率を更に改善するようUL伝送のための新しいアーキテクチャを提供するために、複数の時間存続期間が提案される。
【発明の概要】
【0006】
従って、本発明は、上記の問題を解決すべく物理アップリンク(UL)共有チャネル(PUSCH)伝送を処理するデバイスを提供する。
【0007】
これは、本願中の以下の独立請求項に係る、PUSCH伝送を処理する通信デバイスによって、達成される。従属請求項は、対応する更なる開発及び改善に関係がある。
【0008】
以下に続く詳細な説明からより明らかになるように、物理アップリンク(UL)共有チャネル(PUSCH)伝送を処理するための請求される通信デバイスは、少なくとも1つの記憶デバイスと、少なくとも1つの記憶デバイスへ結合される少なくとも1つの処理回路とを有し、少なくとも1つの記憶デバイスは命令を記憶しており、少なくとも1つの処理回路は、複数の物理アップリンク(UL)共有チャネル(PUSCH)繰り返しを示すインジケータをネットワークから受け取る命令と、複数のPUSCH繰り返しのための少なくとも1つのノミナル伝送期間を決定する命令と、インジケータに従って少なくとも1つのノミナル伝送期間に複数のPUSCH繰り返しをネットワークへ送る命令とを実行するよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の例に係る無線通信システムの概略図である。
【
図2】本発明の例に係る通信デバイスの概略図である。
【
図3】本発明の例に係るプロセスのフローチャートである。
【
図5】本発明の例に係るPUSCH繰り返しの伝送の概略図である。
【
図6】本発明の例に係るPUSCH繰り返しの伝送の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の例に係る無線通信システム10の概略図である。無線通信システム10は、簡単に言えば、ネットワークと、複数の通信デバイスとから成る。無線通信システム10は、時分割復信(Time-Division Duplexing,TDD)モード、周波数分割復信(Frequency-Division Duplexing,FDD)モード、TDD-FDD共同動作モード、非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network,NTN)モード又はライセンス支援アクセス(LAA)モードをサポートし得る。つまり、ネットワーク及び通信デバイスは、FDDキャリア、TDDキャリア、ライセンスキャリア(ライセンスサービングセル)及びアンライセンスキャリア(アンライセンスサービングセル)により互いと通信し得る。更に、無線通信システム10は、キャリアアグリゲーション(CA)をサポートしてもよい。つまり、ネットワーク及び通信デバイスは、1次セル(例えば、1次コンポーネントキャリア)及び1つ以上の2次セル(例えば、2次コンポーネントキャリア)を含む複数のサービングセル(例えば、複数のサービングキャリア)により互いと通信し得る。
【0011】
図1で、ネットワーク及び通信デバイスは、単に、無線通信システム10の構造を表すために用いられている。実際に、ネットワークは、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)において少なくとも1つのNode-B(NB)を含むユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(Universal Terrestrial Radio Access Network,UTRAN)であってよい。一例で、ネットワークは、ロングタームエボリューション(LTE)システム、LTE-アドバンスド(LTE-A)システム、LTE-Aシステムの進化、などにおいて少なくとも1つのエボルブドNode-B(eNB)及び/又は少なくとも1つのリレーノードを含むエボルブドUTRAN(E-UTRAN)であってもよい。一例で、ネットワークは、少なくとも1つの次世代Node-B(gNB)及び/又は少なくとも1つの第5世代(5G)基地局(base station,BS)を含む次世代ラジオアクセスネットワーク(NG-RAN)であってもよい。一例で、ネットワークは、通信デバイスと通信するよう特定の通信規格に従う如何なるBSであってもよい。
【0012】
NRは、統合エアインターフェース(unified air interface)により良い性能をもたらすよう5Gシステム(又は5Gネットワーク)のために定義された標準規格である。gNBは、エンハンスド移動体ブロードバンド(enhanced Mobile Broadband,eMBB)、超高信頼低レイテンシ通信(Ultra Reliable Low Latency Communications,URLLC)、大規模マシンタイプ通信(massive Machine Type Communications,mMTC)、などのような高度な機能をサポートする5Gシステムを実現するようデプロイされる。eMBBは、ブロードバンドサービスにより大きいバンド幅及び低い/中程度のレイテンシをもたらす。URLLCは、アプリケーション(例えば、エンド間通信)により高い信頼性及び低いレイテンシの特性をもたらす。アプリケーションの例には、インダストリアルインターネット、スマートグリッド、インフラストラクチャ保護、遠隔手術及び高度道路交通システム(Intelligent Transportation System,ITS)がある。mMTCは、数百万のデバイス及び/又はセンサが接続されている5Gシステムのインターネット・オブ・シングス(Internet-of-Things,IoT)をサポートすることができる。
【0013】
更に、ネットワークはまた、UTRAN/E-UTRAN/NG-RAN及びコアネットワークのうちの少なくとも1つを含んでもよく、コアネットワークは、モビリティ管理エンティティ(Mobility Management Entity,MME)、サービングゲートウェイ(Serving Gateway,S-GW)、パケットデータネットワーク(Packet Data Network,PDN)ゲートウェイ(P-GW)、自己組織化ネットワーク(Self-Organizing Networks,SON)サーバ及び/又はラジオネットワークコントローラ(Radio Network Controller,RNC)、などのようなネットワークエンティティを含み得る。一例で、ネットワークが通信デバイスによって送信された情報を受信した後、情報は、UTRAN/E-UTRAN/NG-RANによってのみ処理され得、情報に対応する決定は、UTRAN/E-UTRAN/NG-RANで行われる。一例で、UTRAN/E-UTRAN/NG-RANは、情報をコアネットワークへ転送してもよく、情報に対応する決定は、コアネットワークが情報を処理した後にコアネットワークで行われる。一例で、情報は、UTRAN/E-UTRAN/NG-RAN及びコアネットワークの両方によって処理されてもよく、決定は、調整及び/又は連携がUTRAN/E-UTRAN/NG-RAN及びコアネットワークによって行われた後に行われる。
【0014】
通信デバイスは、ユーザ装置(User Equipment,UE)、低コストデバイス(例えば、マシンタイプ通信(Machine Type Communication,MTC)デバイス)、デバイス間(Device-to-Device,D2D)通信デバイス、ナローバンド(Narrow Band)インターネット・オブ・シングス(IoT)(NB-IoT)、携帯電話機、ラップトップ、タブレットコンピュータ、電子ブック、ポータブルコンピュータシステム、又はそれらの組み合わせであってよい。更に、ネットワーク及び通信デバイスは、方向(すなわち、伝送方向)に従って送信器又は受信器と見なすことができ、例えば、アップリンク(UL)の場合には、通信デバイスが送信器であり、ネットワークが受信器であり、ダウンリンク(Downlink,DL)の場合には、ネットワークが送信器であり、通信デバイスが受信器である。
【0015】
図2は、本発明の例に係る通信デバイス20の概略図である。通信デバイス20は、
図1に示される通信デバイス又はネットワークであってよいが、本願では制限されない。通信デバイス20は、マイクロプロセッサ又は特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit,ASIC)のような少なくとも1つの処理回路200と、少なくとも1つの記憶デバイス210と、少なくとも1つの通信インターフェースデバイス220とを含み得る。少なくとも1つの記憶デバイス210は、少なくとも1つの処理回路200によってアクセス及び実行されるプログラムコード214を記憶し得る如何なるデータ記憶デバイスであってもよい。少なくとも1つの記憶デバイス210の例には、加入者識別モジュール(Subscribe Identity Module,SIM)、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory,ROM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(Random-Access Memory,RAM)、コンパクトディスク型リードオンリーメモリ(Compact Disc Read-Only Memory,CD-ROM)、デジタルバーサタイルディスク(Digital Versatile Disc)ROM(DVD-ROM)、ブルーレイディスク(Blue-ray Disc)ROM(BD-ROM)、磁気テープ、ハードディスク、光データ記憶デバイス、不揮発性記憶デバイス、非一時コンピュータ可読媒体(例えば、有形媒体)、などがあるが、これらに限られない。少なくとも1つの通信インターフェースデバイス220は、好ましくは、少なくとも1つのトランシーバであり、少なくとも1つの処理回路200の処理結果に従って信号(例えば、データ、メッセージ及び/又はパケット)を送信及び受信するために使用される。
【0016】
図3は、本発明の例に係るプロセス30のフローチャートである。プロセス30は、物理UL共有チャネル(PUSCH)伝送を処理するために通信デバイスで利用され得る。プロセス30は、プログラムコード214にコンパイルされてよく、次のステップを含む:
ステップ300:開始。
ステップ302:複数のPUSCH繰り返しを示すインジケータをネットワークから受け取る。
ステップ304:複数のPUSCH繰り返しのための少なくとも1つのノミナル伝送期間を決定する。
ステップ306:インジケータに従って少なくとも1つのノミナル伝送期間に複数のPUSCH繰り返しをネットワークへ送る。
ステップ308:終了。
【0017】
プロセス30に従って、通信デバイスは、複数のPUSCH繰り返し(repetitions)を示すインジケータをネットワークから受け取る。通信デバイスは、複数のPUSCH繰り返しのための少なくとも1つのノミナル伝送期間(nominal transmission duration)を決定する。次いで、通信デバイスは、インジケータに従って少なくとも1つのノミナル伝送期間に複数のPUSCH繰り返しをネットワークへ送る。つまり、少なくとも1つのノミナル伝送期間は、PUSCH繰り返しを送るための新しい時間存続期間を提供するよう決定される。よって、PUSCH繰り返しは、ネットワークによって正確に受け取られ得る。
【0018】
プロセス30の実現は、上記の説明に制限されない。以下の例が、プロセス30を実現するために適用されてもよい。
【0019】
一例で、複数のPUSCH繰り返しは、単一レイヤ伝送に属する。一例で、複数のPUSCH繰り返しは、複数のスロット(例えば、時間スロット)にわたるトランスポートブロック(Transport Block,TB)である。一例で、複数のPUSCH繰り返しは、異なるスロットにある。一例で、複数のPUSCH繰り返しのうちの少なくとも2つの繰り返し(例えば、2、3、4、・・・、など)は、同じスロットにある。
【0020】
一例で、通信デバイスは更に、少なくとも1つのノミナル伝送期間の決定に関する能力をネットワークへ送る。例えば、能力は、2つのUL伝送(例えば、PUSCH)の間の最大時間ギャップ、ノミナル伝送期間における全てのUL伝送(例えば、PUSCH)の間の最大総時間ギャップ、ノミナル伝送期間における時間ギャップの総数、及び/又はUL伝送のための変調次数を含み得る。よって、ノミナル伝送期間にUL伝送を実行するように通信デバイスが指示される場合に、より少ないDMRSが、UL伝送(例えば、PUSCH)のためのチャネル推定を行うために必要とされる。一例で、ノミナル伝送期間におけるDMRSの数は、UL伝送の変調次数に従って決定され得る。一例で、ノミナル伝送期間におけるDMRSの位置は、固定位置であってよく、あるいは、ネットワークによって送られた指示(例えば、ULグラント又は上位レイヤ設定)に従って決定されてもよい。一例で、通信デバイスがPUSCH及び物理UL制御チャネル(PUCCH)のためのDMRSバンドリングをサポートすることができるように、能力は、電力整合性(power consistency)及び位相連続性(phase continuity)が通信デバイスによって維持される最大期間を有する。
【0021】
一例で、少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの1つの長さは、上位レイヤ設定(higher layer configuration)に従って決定され、少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちのその1つは、複数の連続したスロットを有する。一例で、少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちのその1つの長さの最小は、2スロットである。
【0022】
一例で、少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの最後のノミナル伝送期間の長さは、通信デバイス(又はネットワーク)によって決定される。一例で、少なくとも1つのノミナル伝送期間は、少なくとも1つのバンド幅部分(Bandwidth Part,BWP)について、例えば夫々、設定される。
【0023】
一例で、少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの最初のノミナル伝送期間の始まりは、複数のPUSCH繰り返しのうちの最初のPUSCH繰り返しの開始シンボルである。一例で、少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの最後のノミナル伝送期間の終わりは、複数のPUSCH繰り返しのうちの最後のPUSCH繰り返しの最終シンボルである。
【0024】
一例で、少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの1つは、実際の伝送期間及びイベントのうちの少なくとも1つを有する。実際の伝送期間は、1つ以上のDMRSを含み得る。一例で、実際の伝送期間の始まりは、少なくとも1つのノミナル伝送期間のうちの1つにおける複数のPUSCH繰り返しのうちの最初のPUSCH繰り返しの開始シンボルである。一例で、実際の伝送期間の終わりは、イベントの前の複数のPUSCH繰り返しのうちの最後のPUSCH繰り返しの最終シンボルである。一例で、実際の伝送期間の始まりは、イベントの後の複数のPUSCH繰り返しのうちの最初のPUSCH繰り返しの開始シンボルである。一例で、実際の伝送期間の終わりは、複数のPUSCH繰り返しのうちの最後のPUSCH繰り返しの最終シンボルである。よって、複数の時間存続期間が、PUSCH繰り返しを実行するために使用される。
【0025】
一例で、イベントは、電力整合性及び位相連続性能値の少なくとも1つが(例えば、イベントの前及び後の)複数のPUSCH繰り返しのうちの2つのPUSCH繰り返しにわたって維持されないようにする。一例で、イベントは、それら2つのPUSCH繰り返しの間のギャップの長さが閾値よりも大きいことを有する。一例で、イベントの後に実際の伝送期間はない。つまり、通信デバイスは、イベントの後にPUSCH繰り返しを再開しない場合がある。一例で、イベントは、例えば、通信デバイス又はネットワークによる、複数のPUSCH繰り返しのうちの1つのキャンセルを有する。一例で、キャンセルは、ネットワークによって送られたダウンリンク(DL)制御情報(Downlink Control Information,DCI)に従って決定される。一例で、キャンセルは、異なる伝送方向、例えば、UL伝送及びDL受信のコリジョン、によって引き起こされる。通信デバイスは、電力整合性及び位相連続性が維持され得ないので、イベントの後の実際の伝送期間に少なくとも1つのDRMSを送信し得る。
【0026】
一例で、インジケータは、ネットワークによって送られたDCIに従って取得される。一例で、インジケータは、ネットワークによって送られた設定されたグラント設定(configured grant configuration)に従って取得される。
【0027】
通信デバイスがある時間期間に電力整合性及び位相連続性を維持可能である場合には、通信デバイスは、より多くのPUSCHを送信することができ、一方で、送信されるDMRSは少なくなる(例えば、DMRSの数は、PUSCHの数よりも少ない)。DMRSを送信しないことで節約されたリソースは、PUSCHの伝送効率を改善するようPUSCHを伝送するために使用され得る。相応して、ネットワークは、より少ないDMRSを用いてPUSCHを受信するためにその時間期間に高度な受信技術(例えば、ジョイントチャネル推定)を実行することができる。イベントがある時間期間に起こる場合に、通信デバイスはその時間期間に電力整合性及び位相連続性を維持しない可能性がある。イベントは、次の状況の少なくとも1つを含み得る:変調自身が変化する;リソースブロック(resource block,RB)の長さ及びRBの周波数位置に関するRB割り当てが変化する;通信デバイスのネットワークのサービングセルの伝送電力レベルが変化する;通信デバイス(例えば、周波数レンジ2(FR2)UE)のULビームスイッチングが起こる;PUSCH受信若しくはPUCCH繰り返しの間にXを超えるスケジュールされていない直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing,OFDM)シンボルがあるか、又はPUSCH受信若しくはPUCCH繰り返しの間にDL受信が起こる。
【0028】
図4は、本発明の例に係るTBの概略図である。
図4では、4つの場合が考えられている。場合1では、2つのTB、TB0及びTB1が、スロットSL0~SL5で伝送又はスケジュールされる。TB TB0は、スロットSL0~SL2で伝送され、TB TB1は、スロットSL3~SL5で伝送される。TBの長さは、スロットの長さと同じである。場合2では、TB0及びTB1は同じTBである。つまり、RB TB0が、スロットSL0~SL5で伝送又はスケジュールされる。TBの長さは、スロットの長さと同じである。場合3では、TB TB0が、スロットSL0~SL5で伝送又はスケジュールされる。TBの長さは、5スロットの長さと同じである。場合4では、4つのTB TB0~TB3が、スロット0で伝送又はスケジュールされる。一例で、TB TB0からTB3は、同じTBである。一例で、スロットの長さは、4TBの長さ以上である。上記の場合では、TBはPUSCHで伝送されることに留意されたい。
【0029】
図5は、本発明の例に係るPUSCH繰り返しの伝送の概略図である。実際の伝送期間は、本例では、8つのPUSCH繰り返しPSH0~PSH7を含む。PUSCH繰り返しの長さは、スロットの長さと同じである。ノミナル伝送期間は、4つのPUSCH繰り返しを含む。よって、実際の伝送期間は、本例では、2つのノミナル伝送期間を含む。つまり、通信デバイスがPUSCH繰り返しPSH0~PSH7を送信するために、複数の時間期間が提供される。ノミナル伝送期間の長さは、上位レイヤ信号(例えば、無線リソース制御(Radio Resource Control,RRC)信号及び/又は媒体アクセス制御(Medium Access Control,MAC)信号)、物理レイヤ信号(例えば、DCI)、変調次数(例えば、二位相偏移変調(Binary Phase-Shift Keying,BPSK)、四位相偏移変調(Quadrature Phase-Shift Keying,QPSK)又は16直交振幅変調(16 Quadrature Amplitude Modulation,16-QAM))、サブキャリア間隔、などの少なくとも1つに従って、決定され得る。通信デバイスは、PUSCH繰り返しPSH0~PSH7を伝送するためのリソースを示しかつノミナル伝送期間の長さ、つまり、4スロットを示すULグラントDCIを受信し得る。
【0030】
図6は、本発明の例に係るPUSCH繰り返しの伝送の概略図である。通信デバイスは、スロットの伝送方向を示すUL/DL設定により設定されてよい。
図6では、ノミナル伝送期間NTD0は、夫々ULスロット、フレキシブルスロット及びULスロットである3つのスロットST0~ST2を含む。スロットST0は、PUSCH繰り返しPSH0及びPSH1を含む。スロットST1は、イベントを含み、スロットST1内のPUSCH繰り返しは省略(例えば、ドロップ又はキャンセル)される。スロットST2は、PUSCH繰り返しPSH2及びPSH3を含む。スロットST0及びST2は、PUSCH繰り返しPSH0~PSH3が実際に伝送される実際の伝送期間ATD0及びATD2と見なされ得る。よって、ノミナル伝送期間は、本例では、2つの実際の伝送期間を含む。
【0031】
実際の伝送期間ATD0の始まりは、PUSCH繰り返しPSH0(つまり、実際の伝送期間ATD0における最初のPUSCH繰り返し)の開始シンボルである。実際の伝送期間ATD0は、少なくとも1つのDMRS、例えば、PUSCH繰り返しPSH0の開始シンボルを含み得る。実際の伝送期間ATD0の終わりは、PUSCH繰り返しPSH1の最終シンボル(つまり、イベントの前の最後のPUSCH繰り返し)である。イベントの例は、上記の説明を参照することができ、ここでは述べられない。
【0032】
実際の伝送期間ATD2の始まりは、PUSCH繰り返しPSH2の開始シンボル(イベント後の最初のPUSCH繰り返し)である。実際の伝送期間ATD2は、少なくとも1つのDMRS、例えば、PUSCH繰り返しPSH2の開始シンボルを含み得る。つまり、関連するPSHの少なくとも1つのDMRSは、イベントの直後に伝送される。実際の伝送期間ATD2の終わりは、PUSCH繰り返しPSH3(つまり、最後のPUSCH繰り返し)の最終シンボルである。
【0033】
一例で、イベントの長さが値(例えば、Xシンボル)よりも短い場合に、通信デバイスは、例えば、電力整合性及び位相連続性が大きくは変化しないので、実際の伝送期間ATD2で如何なるDMRSも送信しなくてもよい。
【0034】
一例で、イベントの長さが第1値(例えば、Xシンボル)よりも長く、実際の伝送期間ATD2の長さが第2値(例えば、Yシンボル又はY個の繰り返し)よりも短い場合に、通信デバイスは、実際の伝送期間ATD2に如何なるPUSCH繰り返しも送信しなくてもよい。
【0035】
一例で、イベントの長さが第1値(例えば、Xシンボル)よりも長く、実際の伝送期間ATD2の長さが第2値(例えば、Yシンボル又はY個の繰り返し)よりも長い場合に、通信デバイスは、実際の伝送期間ATD2に少なくとも1つのPUSCH繰り返しを送信し得る。
【0036】
上記の「決定する」(determine)動作は、「計算する」(compute)、「計算する」(calculate)、「取得する」(obtain)、「生成する」(generate)、「出力する」(output)、「使用する」(use)、「選択する/選択する」(choose/select)、「決定する」(decide)又は「~よう構成される」(is configured to)動作によって置換されてもよい。上記の「~に従って」(according to)という語句は、「~に応答して」(in response to)によって置換されてもよい。上記の「~に関連した」(associated with)という語句は、「~の」(of)又は「~に対応する」(corresponding to)によって置換されてもよい。上記の「介して」(via)という用語は、「~の上に」(on)、「~の中に」(in)、又は「~で」(at)によって置換されてもよい。
【0037】
当業者は、上記の説明及び例に対して組み合わせ、修正及び/又は変更を容易に行うはずである。提案されるステップを含む上記の説明、ステップ及び/又はプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア(ハードウェアデバイスと、ハードウェアデバイス上でリードオンリーソフトウェアとして存在するコンピュータ命令及びデータとの組み合わせとして知られる)、電子システム、又はそれらの組み合わせであってよい手段によって実現可能である。手段の例は、通信デバイス20であってよい。
【0038】
ハードウェアの例には、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は混合回路が含まれ得る。例えば、ハードウェアは、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array,FPGA)、プログラマブルロジックデバイス、結合されたハードウェア部品、又はそれらの組み合わせを含み得る。他の例では、ハードウェアは、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0039】
ソフトウェアの例には、記憶ユニット、例えば、コンピュータ可読媒体に保持(例えば、記憶)されているコードの組、命令の組及び/又は関数の組が含まれ得る。コンピュータ可読媒体は、SIM、ROM、フラッシュメモリ、RAM、CD-ROM/DVD-ROM/BD-ROM、磁気テープ、ハードディスク、光データ記憶デバイス、不揮発性記憶ユニット、又はそれらの組み合わせを含み得る。コンピュータ可読媒体(例えば、記憶ユニット)は、内部で(例えば、集積された)又は外部で(例えば、分離された)少なくとも1つのプロセッサへ結合されてもよい。1つ以上のモジュールを含み得る少なくとも1つのプロセッサは、コンピュータ可読媒体にあるソフトウェアを実行し得る(例えば、実行するよう構成され得る)。コードの組、命令の組及び/又は関数の組は、少なくとも1つのプロセッサ、モジュール、ハードウェア及び/又は電子システムに、関連するステップを実行させ得る。
【0040】
電子システムの例には、システム・オン・チップ(System on Chip,SoC)、システム・イン・パッケージ(System in Package,SiP)、コンピュータ・オン・モジュール(Computer on Module,CoM)、コンピュータプログラム製品、装置、携帯電話機、ラップトップ、タブレットコンピュータ、電子ブック又はポータブルコンピュータシステム、及び通信デバイス20が含まれ得る。
【0041】
総括すると、本発明は、PUSCH伝送を処理する通信デバイスを提供する。複数の時間期間が、PUSCH伝送の新しいアーキテクチャを提供するよう提案される。よって、PUSCH伝送の効率は改善される。
【符号の説明】
【0042】
10 無線通信システム
20 通信デバイス
200 処理回路
210 記憶デバイス
214 プログラムコード
220 通信インターフェースデバイス