(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-17
(45)【発行日】2023-08-25
(54)【発明の名称】インク循環システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20230818BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20230818BHJP
B41J 2/17 20060101ALI20230818BHJP
B41J 2/19 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
B41J2/175 501
B41J2/18
B41J2/17
B41J2/19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022179200
(22)【出願日】2022-11-09
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】202111463216.8
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511262603
【氏名又は名称】金寶電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】張 博智
(72)【発明者】
【氏名】何 培基
(72)【発明者】
【氏名】董 雅清
(72)【発明者】
【氏名】沈 其廣
(72)【発明者】
【氏名】孫 守志
(72)【発明者】
【氏名】▲フアン▼ 耀徳
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-172007(JP,A)
【文献】特開2020-116813(JP,A)
【文献】特開2016-052749(JP,A)
【文献】特開2021-133513(JP,A)
【文献】特開2018-165014(JP,A)
【文献】特開2016-215626(JP,A)
【文献】特開2012-101519(JP,A)
【文献】特開2008-246843(JP,A)
【文献】特開2001-71534(JP,A)
【文献】国際公開第2021/164951(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/175
B41J 2/18
B41J 2/17
B41J 2/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク循環システムであって、
出力パイプラインおよびインクカートリッジバルブを有するインクカートリッジであって、前記インクカートリッジバルブが前記出力パイプライン上に配置されているインクカートリッジと、
前記インクカートリッジの片側に配置されており、前記インクカートリッジの出力パイプラインに接続されているインクタンクと、
インクパイプラインを介して、前記出力パイプラインおよび前記インクタンクに接続されているインクポンプと、
第1のパイプラインを介して前記インクタンクに接続されている第1のバルブと、
前記出力パイプライン上に配置されている第2のバルブと、
戻りパイプラインを介して、前記出力パイプラインおよび前記インクパイプラインに接続されている第3のバルブと、
前記インクタンクおよび前記戻りパイプラインに接続されているプリンタヘッドと、
前記インクタンク内に配置されている加熱アセンブリと、
ガス圧パイプラインを介して、前記第1のパイプラインに接続されている正負圧アセンブリと、
を含み、前記インクポンプを使用して、前記インクカートリッジからインクを引き出し、前記インクを前記出力パイプラインおよび前記インクパイプラインに沿って、前記インクタンク内に充填し、前記正負圧アセンブリが前記インクタンクに正圧または負圧を供給して、前記インクタンク内のインクを搾り出すまたは取り入れる、インク循環システム。
【請求項2】
前記インク循環システムがインク充填モードにあるとき、前記インクカートリッジのインク量が検出され、前記第1のバルブおよび前記インクカートリッジバルブが開放され、前記第2のバルブが閉鎖され、前記インクポンプが作動して、前記出力パイプラインおよび前記インクパイプラインに沿って、前記インクタンク内にインクが充填され、前記正負圧アセンブリが前記インクタンクに負圧を供給し、前記インクカートリッジバルブを閉鎖して、前記第2のバルブを開放し、続いて、前記インクポンプが閉鎖されて、前記インクタンクのインクレベルが基準を満たしていることを感知した後、前記加熱アセンブリが作動して、前記インクタンクおよび前記プリンタヘッド内のインクを加熱する、請求項1に記載のインク循環システム。
【請求項3】
前記インク循環システムがループ印刷モードにあるとき、前記正負圧アセンブリが作動して負圧が供給され、前記第1のバルブが開放され、前記インクタンクのインクレベルが基準を満たしていることを感知した後、前記インクカートリッジバルブが閉鎖され、前記第2のバルブが開放され、前記インクポンプが作動して、前記プリンタヘッド内にインクが充填され、前記加熱アセンブリが前記インクタンクおよび前記プリンタヘッド内のインクを加熱し、前記プリンタヘッドが印刷を開始する、請求項1に記載のインク循環システム。
【請求項4】
前記インク循環システムがインク除去モードにあるとき、前記インクタンクのインクレベルが基準を満たしていることを感知した後、前記インクカートリッジバルブおよび前記第1のバルブが閉鎖され、前記第2のバルブが開放され、前記正負圧アセンブリが負圧の供給を停止し、前記第1のバルブが開放され、前記インクポンプが作動して、前記出力パイプラインおよび前記インクパイプラインに沿って、前記インクタンク内にインクを充填し、前記正負圧アセンブリが前記インクタンクに正圧を供給して、インクを絞り出して前記プリンタヘッドに搬送する、請求項1に記載のインク循環システム。
【請求項5】
前記インク循環システムが気泡除去モードにあるとき、前記インクタンクのインクレベルが基準を満たしていることを感知した後、前記インクカートリッジバルブおよび前記第1のバルブが閉鎖され、前記第2のバルブが開放され、前記正負圧アセンブリが負圧の供給を停止した後、前記第1のバルブおよび前記第3のバルブが開放され、前記第2のバルブが閉鎖され、前記インクポンプが作動して、前記出力パイプラインおよび前記インクパイプラインに沿って、前記インクタンク内にインクを充填し、前記正負圧アセンブリが前記インクタンクに正圧を供給してインクを絞り出し、前記プリンタヘッドおよび前記第3のバルブを通過させる、請求項1に記載のインク循環システム。
【請求項6】
前記第1のパイプライン上に配置されており、前記インクタンクと前記プリンタヘッドとの間のガス圧値を検出するために使用される圧力センサを更に備える、請求項4に記載のインク循環システム。
【請求項7】
前記第1のパイプライン上に配置されており、前記インクタンクと前記プリンタヘッドとの間のガス圧値を検出するために使用される圧力センサを更に備える、請求項5に記載のインク循環システム。
【請求項8】
前記インクタンクのガス圧値がデフォルト値まで減少すると、前記プリンタヘッドが目詰まり状態から解放される、請求項6に記載のインク循環システム。
【請求項9】
前記インクタンクのガス圧値がデフォルト値まで減少すると、前記プリンタヘッドが目詰まり状態から解放される、請求項7に記載のインク循環システム。
【請求項10】
前記インクタンクが、前記インクタンクの外面上に配置されており、前記インクタンク内のインクレベルを検出するために使用される複数のレベルセンサを更に有する、請求項1に記載のインク循環システム。
【請求項11】
前記正負圧アセンブリは、正圧ポンプ、負圧ポンプ、およびガス圧バルブを有しており、前記正圧ポンプおよび前記負圧ポンプがそれぞれ、前記ガス圧パイプラインに接続されており、前記ガス圧バルブが、前記ガス圧パイプラインと前記第1のパイプラインとの間に配置されており、前記ガス圧バルブを使用して、前記第1のパイプラインが前記正圧ポンプまたは前記負圧ポンプに接続されるように切り替える、請求項1に記載のインク循環システム。
【請求項12】
前記インクカートリッジの底部に配置されており、前記インクカートリッジのインク量を検出するために使用される重量センサを更に備える、請求項1に記載のインク循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク循環システムに関し、特に、プリンタに適用されるインク循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のプリンタは、用紙、透明フィルム、広告板、または他の平面媒体上に、デジタル的に保存されたテキストメッセージまたは画像メッセージを出力するために使用される。既存のプリンタの種類には、インパクトプリンタ、レーザプリンタ、およびインクジェットプリンタが含まれる。現在はインクジェットプリンタが主流であり、インクジェットの原理は以下の通りである。異なるインクカートリッジから圧電手段または溶射手段を介して、平面媒体上の同じ場所にインクを噴射してインク滴を形成し、多数のインク滴を組み合わせて特定のパターン、画像、またはテキストを形成する。要するに、プリンタのノズルがプリンタ用紙を迅速にスキャンすると、ノズルが無数の小さなインク滴を噴射して、テキストメッセージまたは画像メッセージのピクセルが形成される。
【0003】
インクによるノズルの目詰まりやインク内の気泡形成等の事態を排除可能なインク循環システムの開発が重要な開発目標となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のインクジェットプリンタは、粘性を有するインクを使用している。長期間使用しないとインクが乾燥してノズルに付着し、ノズルの目詰まりやインクの噴射が不可能となる結果となりやすくなる。あるいは、インクジェットプリンタで印刷すると、インク中に外気が入り込んで気泡を形成し、それによって印刷の品質に影響を与え得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、プリンタヘッドの目詰まりや、プリンタヘッド内の気泡の形成等の状況を効果的に排除し、インクの流動性不良を改善することができるインク循環システムを提供する。
【0006】
本発明のインク循環システムは、インクカートリッジ、インクタンク、インクポンプ、第1のバルブ、第2のバルブ、第3のバルブ、プリンタヘッド、加熱アセンブリ、および正負圧アセンブリを含む。インクカートリッジは、出力パイプラインおよびインクカートリッジバルブを有しており、インクカートリッジバルブは、出力パイプライン上に配置されている。インクタンクは、インクカートリッジの片側に配置されており、インクカートリッジの出力パイプラインに接続されている。インクポンプは、インクパイプラインを介して、出力パイプラインおよびインクタンクに接続されている。第1のバルブは、第1のパイプラインを介してインクタンクに接続されている。第2のバルブは、出力パイプライン上に配置されている。第3のバルブは、戻りパイプラインを介して、出力パイプラインおよびインクパイプラインに接続されている。プリンタヘッドは、インクタンクおよび戻りパイプラインに接続されている。加熱アセンブリは、インクタンク内に配置されている。正負圧アセンブリは、ガス圧パイプラインを介して、第1のパイプラインに接続されている。インクポンプを使用して、インクカートリッジからインクを引き出し、出力パイプラインおよびインクパイプラインに沿って、インクタンク内にインクを充填する。正負圧アセンブリは、インクタンクに正圧または負圧を供給して、インクタンク内のインクを搾り出すまたは取り入れる。
【0007】
本発明の一実施形態では、インク循環システムがインク充填モードにあるとき、インクカートリッジのインク量を検出し、第1のバルブおよびインクカートリッジバルブが開放され、第2のバルブが閉鎖され、インクポンプが作動して、出力パイプラインおよびインクパイプラインに沿って、インクタンク内にインクが充填され、正負圧アセンブリがインクタンクに負圧を供給し、インクカートリッジバルブを閉鎖して、第2のバルブが開放され、続いて、インクポンプが閉鎖されて、インクタンクのインクレベルが基準を満たしていることを感知した後、加熱アセンブリが作動して、インクタンクおよびプリンタヘッド内のインクが加熱される。
【0008】
本発明の一実施形態では、インク循環システムがループ印刷モードにあるとき、正負圧アセンブリが作動して、負圧を供給し、第1のバルブが開放され、インクタンクのインクレベルが基準を満たしていることを感知した後、インクカートリッジバルブが閉鎖され、第2のバルブが開放され、インクポンプが作動して、プリンタヘッド内にインクを充填し、加熱アセンブリがインクタンクおよびプリンタヘッド内のインクを加熱し、プリンタヘッドが印刷を開始する。
【0009】
本発明の一実施形態では、インク循環システムがインク除去モードにあるとき、インクタンクのインクレベルが基準を満たしていることを感知した後、インクカートリッジバルブおよび第1のバルブが閉鎖され、第2のバルブが開放され、正負圧アセンブリが負圧の供給を停止し、第1のバルブが開放され、インクポンプが作動して、出力パイプラインおよびインクパイプラインに沿ってインクタンク内にインクが充填され、正負圧アセンブリがインクタンクに正圧を供給して、インクを搾り出してプリンタヘッドに搬送する。
【0010】
本発明の一実施形態では、インク循環システムが気泡除去モードにあるとき、インクタンクのインクレベルが基準を満たしていることを感知した後、インクカートリッジバルブおよび第1のバルブが閉鎖され、第2のバルブが開放され、正負圧アセンブリが負圧の供給を停止した後、第1のバルブおよび第3のバルブが開放され、第2のバルブが閉鎖され、インクポンプが作動して、出力パイプラインおよびインクパイプラインに沿ってインクタンク内にインクが充填され、正負圧アセンブリがインクタンクに正圧を供給し、インクを搾り出してプリンタヘッドおよび第3のバルブを通過させる。
【0011】
本発明の一実施形態では、インク循環システムは、更に、ガス圧パイプライン上に配置されており、インクタンクとプリンタヘッドとの間のガス圧値を検出するために使用される圧力センサを含む。
【0012】
本発明の一実施形態では、インクタンクのガス圧値がデフォルト値まで減少すると、プリンタヘッドが目詰まり状態から解放される。
【0013】
本発明の一実施形態では、インクタンクは、更に、インクタンクの外面上に配置されており、インクタンク内のインクレベルを検出するために使用される複数のレベルセンサを有する。
【0014】
本発明の一実施形態では、正負圧アセンブリは、正圧ポンプ、負圧ポンプ、およびガス圧バルブを有する。正圧ポンプおよび負圧ポンプはそれぞれ、ガス圧パイプラインに接続されており、ガス圧バルブは、ガス圧パイプラインと第1のパイプラインとの間に配置されている。ガス圧バルブを使用して、第1のパイプラインが正圧ポンプまたは負圧ポンプに接続されるように切り替える。
【0015】
本発明の一実施形態では、インク循環システムは、更に、インクカートリッジの底部に配置されており、インクカートリッジのインク量を検出するために使用される重量センサを含む。
【0016】
本発明の一実施形態では、インクタンクおよびインクカートリッジは、金属材料から製造されている。
【0017】
本発明の一実施形態では、出力パイプライン、インクパイプライン、戻りパイプライン、および第1のパイプラインは、テフロン(登録商標)製である。
【発明の効果】
【0018】
上記に基づいて、本発明のインク循環システムのインクポンプを使用して、インクカートリッジからインクを引き出し、出力パイプラインおよびインクパイプラインに沿ってインクタンク内にインクを充填することで、インクの補充という目的を達成する。更に、正負圧アセンブリを介して、インクタンクに負圧を供給してインクタンク内のインクを取り入れ、それによって、インクがプリンタヘッドから漏出するのを防ぐことができる。正負圧アセンブリは、インクタンクに正圧を供給してインクタンク内のインクを搾り出すのに適しており、それにより、インクをプリンタヘッドに搬送することで、インクがプリンタヘッドを通過することを可能にすることによって、プリンタヘッドを目詰まり状態から解放する、またはプリンタヘッドから気泡を除去する。更に、本発明の加熱アセンブリは、インクタンクおよびプリンタヘッド内のインクを加熱してインクの粘度を低下させ、それによって、インクの流動性を改善し、インクによるプリンタヘッドの目詰まりを低減するのに適している。
【0019】
添付の図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の例示的な実施形態を示しており、本明細書と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による、インク循環システムの構造概略図である。
【
図2A】インク充填モードにある、
図1のインク循環システムの動作フローチャートである。
【
図2B】インク充填モードにある、
図1のインク循環システムの動作フローチャートである。
【
図3A】ループ印刷モードにある、
図1のインク循環システムの動作フローチャートである。
【
図3B】ループ印刷モードにある、
図1のインク循環システムの動作フローチャートである。
【
図4A】インク除去モードにある、
図1のインク循環システムの動作フローチャートである。
【
図4B】インク除去モードにある、
図1のインク循環システムの動作フローチャートである。
【
図5A】気泡除去モードにある、
図1のインク循環システムの動作フローチャートである。
【
図5B】気泡除去モードにある、
図1のインク循環システムの動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の例示的な実施形態を詳細に参照すると、本発明の例示的な実施形態の実施例が添付図面に記載されている。可能な限り、同一または同様の部分を示すために、図面および明細書においては同一の参照番号を使用している。
【0022】
図1を参照すると、本発明のインク循環システム100は、インクジェットプリンタに適している。インクジェットプリンタは、プリンタヘッドを介して印刷される用紙、透明フィルム、広告板、または同様の平面媒体上に、インクの微細な液滴を正確に噴霧することで、平面媒体上に文字およびパターンを形成する。本発明のインク循環システム100は、一色のインクに限定されない。複数セットのインク循環システム100を組み合わせることによって、複数の色を有するインクをインクジェットプリンタに出力することができ、それによって混合されて色彩効果を形成する。
【0023】
図1を参照すると、本発明のインク循環システム100は、インクカートリッジ110、インクタンク120、インクポンプ130、第1のバルブ140、第2のバルブ150、第3のバルブ160、プリンタヘッド170、加熱アセンブリ180、および正負圧アセンブリ190を含む。
【0024】
インクカートリッジ110は、インク200を貯蔵するために使用され、出力パイプライン111およびインクカートリッジバルブ112を有する。インクカートリッジバルブ112は、出力パイプライン111上に配置されており、インクカートリッジ110のインクを出力パイプライン111に流入させることができるか否かを制御するのに適している。インクタンク120は、インクカートリッジ110の片側に配置されており、インクカートリッジ110の出力パイプライン111に接続されている。インクタンク120は、インク200の中継ノードとして機能し、ガス圧を供給してインク200を安定化させることで、インク200の貯蔵および出力を容易にする。インクポンプ130は、インクパイプライン131を介して、出力パイプライン111およびインクタンク120に接続されている。第1のバルブ140は、第1のパイプライン141を介してインクタンク120に接続されている。第2のバルブ150は、出力パイプライン111上に配置されており、インクポンプ130と並べて配置されている。第2のバルブ150を使用して、出力パイプライン111とインクタンク120との間の閉鎖回路または開放回路の形成を制御する。第3のバルブ160は、戻りパイプライン161を介して、出力パイプライン111およびインクパイプライン131に接続されている。プリンタヘッド170は、インクタンク120のインクタンクパイプライン121および戻りパイプライン161に接続されている。加熱アセンブリ180は、インクタンク120内に配置されている。加熱アセンブリ180は、インクタンク120内に配置されている。加熱アセンブリ180を使用して、インクタンク120のインク200を加熱することで、インク200の粘度を低減させ、それによって、インク200の流動性を向上させ、インクタンク120およびプリンタヘッド170内でのインクの目詰まりを引き起こす、低温に起因するインク200の粘度の上昇を防ぐ。正負圧アセンブリ190は、ガス圧パイプライン191を介して第1のパイプライン141に接続されている。
【0025】
更に、インクポンプ130を使用して、インクカートリッジ110からインク200を引き出し、出力パイプライン111およびインクパイプライン131に沿って、インクタンク120内にインク200を充填する。正負圧アセンブリ190がインクタンク120に正圧または負圧を供給して、インクタンク120内のインク200を搾り出すまたは取り入れる。
【0026】
図1を参照すると、実施形態では、正負圧アセンブリ190は、正圧ポンプ192、負圧ポンプ193、およびガス圧バルブ194を有する。正圧ポンプ192および負圧ポンプ193はそれぞれ、ガス圧パイプライン191に接続されており、ガス圧バルブ194は、ガス圧パイプライン191と第1のパイプライン141との間に配置されている。ガス圧バルブ194を使用して、第1のパイプライン141が正圧ポンプ192または負圧ポンプ193に接続されるように切り替えることで、安定した正圧/負圧を供給する。正圧ポンプ192および負圧ポンプ193は、正負圧の圧力範囲を調整することもできる。
【0027】
更に、正圧を供給するとは、正圧ポンプ192が外部から空気300を抜き取り、ガス圧パイプライン191および第1のパイプライン141からインクタンク120に空気300を搬送し、それによって、インクタンク120内のインク200を搾り出し、それにより、インクタンクパイプライン121を介してインク200をプリンタヘッド170に搬送することを意味している。負圧を供給するとは、負圧ポンプ193がインクタンク120内の空気300を抜き取り、第1のパイプライン141およびガス圧パイプライン191から外部に空気300を排出し、それにより、インクタンク120、第1のパイプライン141、およびガス圧パイプライン191が真空を形成し、それによって、インクタンク120内のインク200を取り入れ、インク200がプリンタヘッド170から漏出するのを防ぐことを意味している。
【0028】
別の実施形態では、複数セットのインク循環システム100を組み合わせる場合、複数の正負圧アセンブリ190を採用することなく、単一の正負圧アセンブリ190により、複数セットのインク循環システム100に正負圧を供給することができる。
【0029】
図1を参照すると、インクカートリッジ110は、インクカートリッジ110の底部に配置されており、インクカートリッジのインク量を検出するために使用される重量センサ113を含む。重量センサ113は、重量の検出を通して、インクカートリッジ110のインクリザーブが十分であるか否かを判定する。インクカートリッジ110の重量がデフォルト値よりも低い場合、インクカートリッジのインクリザーブが不十分であり、インクカートリッジ110を新しいものと交換するようにユーザに注意を促す通知が発行される。
【0030】
図1を参照すると、インクタンク120は、複数のレベルセンサ122も有する。レベルセンサ122は、インクタンク120の外面上に配置されており、インクタンク120のインクレベルを検出するために使用され、それによって、インクタンク120のインクリザーブを識別する。インクリザーブが正常である場合、インクポンプ130は作動しない。インクリザーブが少な過ぎる場合、インクポンプ130が作動して、インクタンク120にインクを補充する。
【0031】
インクタンク120は、更に、第1のパイプライン141上に配置されており、第1のパイプライン141を介してインクタンク120に接続されており、かつインクタンク120とプリンタヘッド170との間のガス圧値を検出するために使用される圧力センサ123を含む。インクタンク120のガス圧値がデフォルト値に達すると、プリンタヘッド170内の気泡やインクが除去され、プリンタヘッド170が目詰まり状態から解放される。
【0032】
更に、インクタンク120およびインクカートリッジ110は、インク200の酸およびアルカリに耐えるのに適した金属材料(アルミニウムおよびステンレス鋼等)から製造されている。出力パイプライン111、インクパイプライン131、戻りパイプライン161、および第1のパイプライン141は、テフロン(登録商標)製である。テフロン(登録商標)は優れた耐高温性/耐低温性および化学的安定性を有する故に、インク200が出力パイプライン111、インクパイプライン131、戻りパイプライン161、および第1のパイプライン141に流入する際、テフロン(登録商標)はインク200と化学反応を起こさない。更に、インクカートリッジ110、インクタンク120、出力パイプライン111、インクパイプライン131、戻りパイプライン161、および第1のパイプライン141は、全て不透明材料から製造されることで、インク200が外部光源の照射によって劣化するのを防ぐ。
【0033】
図1、
図2A、および
図2Bを参照すると、インク循環システム100がインク充填モードにあるとき、インクカートリッジ内のインク200をインクタンク120および対応するパイプラインに充填することを目的としている。重量センサ113を使用して、インクカートリッジ110のインク量が十分であるか否かを検出する(ステップA1)。インクカートリッジ110の重量がデフォルト値よりも少ない場合、インクカートリッジ110を新しいものと交換するように通知が発行される(ステップA2)。インクカートリッジ110の重量がデフォルト値よりも多い場合、第1のバルブ140およびインクカートリッジバルブ112が開放され、第2のバルブ150が閉鎖される(ステップA3)。インクポンプ130が作動して、インク200を出力パイプライン111およびインクパイプライン131に沿ってインクタンク120に充填する(ステップA4)。複数のレベルセンサ122を使用して、インクタンク120のインクレベルが基準を満たしているか否かを感知する(ステップA5)。感知結果が否定的である場合、ステップA4が再実行される。感知結果が肯定的である場合、ガス圧バルブ194が第1のパイプライン141を負圧ポンプ193に接続されるように切り替え、負圧ポンプ193を作動させて、インクタンク120に負圧を供給し(ステップA6)、それにより、インクタンク120、第1のパイプライン141、およびガス圧パイプライン191が真空を形成する。次に、インクカートリッジバルブ112が閉鎖され、第2のバルブ150が開放され(ステップA7)、それにより、インク200をインクタンク120、出力パイプライン111、およびインクパイプライン131の間で循環させる。続いて、インクポンプが閉鎖されて(ステップA8)、インク200の流動を停止する。
【0034】
次に、ステップA5を繰り返して、インクタンクのインクレベルが基準を満たしているか否かを感知する。感知結果が否定的である場合、インクポンプ130が作動して、インク200をインクタンク120に充填する。感知結果が肯定的である場合、第2のバルブ150が閉鎖され、第3のバルブ160が開放されて(ステップA9)、インクポンプ130が作動し(ステップA10)、それにより、インク200がインクタンク120、戻りパイプライン161、およびインクパイプライン131の間で循環し、インク200がプリンタヘッド170を通過する。更に、第3のバルブ160が閉鎖され、第2のバルブ150が開放されて(ステップA11)、再度ステップA5が繰り返されて、インクタンクのインクレベルが基準を満たしているか否か感知する。感知結果が否定的である場合、インクポンプ130が作動して、インク200をインクタンク120に充填する。感知結果が肯定的である場合、加熱アセンブリ180が作動して、インクタンク120およびプリンタヘッド170内のインク200を加熱する(ステップA12)。続いて、インクタンク120およびプリンタヘッド170内のインク温度が基準を満たしているか否かが感知される。感知結果が否定的である場合、インク温度が基準を満たすまでステップA12が再度実行される。感知結果が肯定的である場合、インク循環システム100は、インクの充填を完了し、動作を終了する。
【0035】
図1、
図3A、および
図3Bを参照する。インク循環システム100がループ印刷モードにあるとき、プリンタヘッド170がスムーズに印刷できるように、印刷前にインクタンク120内のインク200が十分であるか否かを確認し、かつインク200の流動性を維持することを目的としている。最初に、ガス圧バルブ194により、第1のパイプライン141が負圧ポンプ193に接続されるように切り替え、負圧ポンプ193を作動させる(ステップB1)。次に、第1のバルブ140が開放されて(ステップB2)、インクタンク120に負圧を供給し、それにより、インクタンク120、第1のパイプライン141、およびガス圧パイプライン191が真空を形成する。複数のレベルセンサ122を使用して、インクタンク120のインクレベルが基準を満たしているか否かを感知する(ステップB3)。感知結果が否定的である場合、インクカートリッジバルブ112が開放され、第2のバルブ150が閉鎖されて(ステップB4)、インクポンプ130が作動して、出力パイプライン111およびインクパイプライン131に沿って、インクタンク120内にインク200を充填する(ステップB5)。感知結果が肯定的である場合、インクカートリッジバルブ112が閉鎖され、第2のバルブ150が開放される(ステップB6)。次に、インクポンプ130が作動して、インク200をプリンタヘッド170に充填し(ステップB7)、加熱アセンブリ180が作動して、インクタンク120およびプリンタヘッド170内のインク200を加熱する(ステップB8)。次に、インクタンク120およびプリンタヘッド170内のインク温度が基準を満たしているか否かを感知する(ステップB9)。感知結果が否定的である場合、インク温度が基準を満たすまでステップB8が再度実行される。感知結果が肯定的である場合、プリンタヘッド170は、印刷およびインク200の出力を開始する(ステップB10)。
【0036】
図1、
図4A、および
図4Bを参照すると、インク循環システム100がインク除去モードにあるとき、インクにより目詰まりしているプリンタヘッド170を除去することを目的としている。複数のレベルセンサ122を使用して、インクタンク120のインクレベルが基準を満たしているか否かを感知する(ステップC1)。感知結果が否定的である場合、インクカートリッジバルブ112が開放され、第2のバルブ150が閉鎖されて(ステップC2)、インクポンプ130が作動して、インク200を出力パイプライン111およびインクパイプライン131に沿って、インクタンク120に充填する(ステップC3)。感知結果が肯定的である場合、インクカートリッジバルブ112が閉鎖され、第2のバルブ150が開放される(ステップC4)。次に、第1のバルブ140が閉鎖されて(ステップC5)、負圧ポンプ193が閉鎖されて(ステップC6)、負圧の供給が停止される。次に、ガス圧バルブ194により、第1のパイプライン141が正圧ポンプ192に接続されるように切り替えて、第1のバルブ140が開放され(ステップC7)、インクポンプ130が作動してインク200を出力パイプライン111およびインクパイプライン131に沿って、インクタンク120に充填する(ステップC3)。正圧ポンプ192が作動して外部から空気300を抜き取り、ガス圧パイプライン191および第1のパイプライン141からインクタンク120に空気300を搬送し、それによって、インクタンク120内のインク200を搾り出し、それにより、インク200がインクタンクパイプライン121を通ってプリンタヘッド170に搬送されて(ステップC8)、プリンタヘッド170において目詰まりしているインク200を除去する。
【0037】
次に、圧力センサ123を使用して、インクタンク120とプリンタヘッド170との間のガス圧値がデフォルト値まで減少したか否かを検出する(ステップC9)。検出結果が否定的である場合、ステップC8が繰り返される。検出結果が肯定的である場合、プリンタヘッド170内のインク200が除去され、プリンタヘッド170が目詰まり状態から解放される。次に、正圧ポンプ192が閉鎖され(ステップC10)、ガス圧バルブ194により、第1パイプライン141が負圧ポンプ193に接続されるように切り替える(ステップC11)。ステップC1が再度繰り返され、検出結果が否定的である場合、インクカートリッジバルブ112が開放され、第2のバルブ150が閉鎖されて(ステップC2)、インクポンプ130が作動してインク200を出力パイプライン111およびインクパイプライン131に沿ってインクタンク120に充填する(ステップC3)。検出結果が肯定的である場合、インクカートリッジバルブ112が閉鎖され、第2のバルブ150が開放される(ステップC12)。最後に、負圧ポンプ193が作動して、インクタンク120に負圧を供給して空気を抜き取り(ステップC13)、インクタンク120、第1のパイプライン141、およびガス圧パイプライン191が真空を形成することで、インク200がプリンタヘッド170から漏出するのを防ぐ。
【0038】
要するに、インク200が乾燥してプリンタヘッド170内で目詰まりした場合、インク除去モードを使用して正圧を供給し、それにより、流動性を有するインク200がプリンタヘッド170に搬送されることで、乾燥したインク200を除去することができ、それによって、プリンタヘッド170のスムーズな流れを維持する。
【0039】
図1、
図5A、および
図5Bを参照すると、インク循環システム100が気泡除去モードにあるとき、プリンタヘッド170から気泡を除去することを目的としている。複数のレベルセンサ122を使用して、インクタンク120のインクレベルが基準を満たしているか否かを感知する(ステップD1)。感知結果が否定的である場合、インクカートリッジバルブ112が開放され、第2のバルブ150が閉鎖され(ステップD2)、インクポンプ130が作動して、インク200を出力パイプライン111およびインクパイプライン131に沿ってインクタンク120に充填する(ステップD3)。感知結果が肯定的である場合、インクカートリッジバルブ112が閉鎖され、第2のバルブ150が開放される(ステップD4)。次に、第1のバルブ140が閉鎖され(ステップD5)、負圧ポンプ193が閉鎖されて(ステップD6)、負圧の供給を停止する。第2のバルブ150が閉鎖され、第3のバルブ160が開放される(ステップD7)。次に、ガス圧バルブ194により、第1のパイプライン141が正圧ポンプ192に接続されるように切り替え、第1のバルブ140を開放し(ステップD8)、インクポンプ130が作動して、インク200を出力パイプライン111およびインクパイプライン131に沿って、インクタンク120に充填する(ステップD3)。正圧ポンプ192が作動して、外部から空気300を抜き取り、ガス圧パイプライン191および第1のパイプライン141からインクタンク120に空気300を搬送し、それによって、インクタンク120内のインク200を搾り出し、それにより、インク200がプリンタヘッド170および第3のバルブ160を通過し(ステップD9)、インク200が戻りパイプライン161、インクパイプライン131、およびインクタンクパイプライン121を循環して流れることで、プリンタヘッド170から気泡を除去する。
【0040】
次に、圧力センサ123を使用して、インクタンク120とプリンタヘッド170との間のガス圧値がデフォルト値まで減少したか否かを検出する(ステップD10)。検出結果が否定的である場合、ステップD9が繰り返される。検出結果が肯定的である場合、プリンタヘッド170内の気泡は除去されている。次に、正圧ポンプ192が閉鎖される(ステップD11)。第2のバルブ150が開放され、第3のバルブ160が閉鎖され(ステップD12)、ガス圧バルブ194により、第1のパイプライン141が負圧ポンプ193に接続されるように切り替える(ステップD13)。ステップD1が再度繰り返され、検出結果が否定的である場合、インクカートリッジバルブ112が開放され、第2のバルブ150が閉鎖され(ステップD2)、インクポンプ130が作動して、インク200を出力パイプライン111およびインクパイプライン131に沿って、インクタンク120に充填する(ステップD3)。検出結果が肯定的である場合、インクカートリッジバルブ112が閉鎖され、第2のバルブ150が開放される(ステップD14)。最後に、負圧ポンプ193が作動して、インクタンク120に負圧を供給して空気を抜き取り(ステップD15)、それにより、インクタンク120、第1のパイプライン141、およびガス圧パイプライン191が真空を形成することで、インク200がプリンタヘッド170から漏出するのを防ぐ。
【0041】
要するに、インク200が気泡を含んだ状態でプリンタヘッド170に入ると、気泡除去モードを使用して正圧を供給し、それにより、インク200が循環してプリンタヘッド170を通過することで、プリンタヘッド170およびインク200から気泡を除去する。
【0042】
上記に基づいて、本発明のインク循環システムのインクポンプを使用して、インクカートリッジからインクを抜き取り、出力パイプラインおよびインクパイプラインに沿ってインクタンクにインクを充填することで、インクの補充という目的を達成する。更に、正負圧アセンブリを介してインクタンクに負圧を供給して、インクタンク内のインクを取り入れ、それによって、インクがプリンタヘッドから漏出するのを防ぐことができる。正負圧アセンブリは、インクタンクに正圧を供給して、インクタンク内のインクを搾り出すのに適しており、それにより、インクがプリンタヘッドに搬送されて、インクがプリンタヘッドおよび第3のバルブを通過することを可能にすることによって、プリンタヘッドを目詰まり状態から解放し、またはプリンタヘッドから気泡を除去する。更に、本発明の加熱アセンブリは、インクタンク内のインクおよびプリンタヘッドを加熱して、インクの粘度を低下させ、それによって、インクの流動性を改善し、インクによるプリンタヘッドの目詰まりを低減させるのに適している。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のインク循環システムは、プリンタに適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
100:インク循環システム
110:インクカートリッジ
111:出力パイプライン
112:インクカートリッジバルブ
113:重量センサ
120:インクタンク
121:インクタンクパイプライン
122:レベルセンサ
123:圧力センサ
130:インクポンプ
131:インクパイプライン
140:第1のバルブ
141:第1のパイプライン
150:第2のバルブ
160:第3のバルブ
161:戻りパイプライン
170:プリンタヘッド
180:加熱アセンブリ
190:正負圧アセンブリ
191:ガス圧パイプライン
192:正圧ポンプ
193:負圧ポンプ
194:ガス圧バルブ
200:インク
300:空気