(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】天井構造及び天井構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 9/06 20060101AFI20230821BHJP
【FI】
E04B9/06 A
(21)【出願番号】P 2019208879
(22)【出願日】2019-11-19
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000121729
【氏名又は名称】奥地建産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】東 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】野間 賢
(72)【発明者】
【氏名】今村 高明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 渉
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-093323(JP,A)
【文献】特開平10-102673(JP,A)
【文献】特開2018-071078(JP,A)
【文献】特開平05-306564(JP,A)
【文献】特開平06-167087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00-9/36
E04B 1/62-1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1方向に延び、前記第1方向と水平方向に直交する第2方向に所定の間隔を隔てて互いに平行に配置される第1野縁及び第2野縁と、
前記第1野縁と前記第2野縁との間に配設される補強板と、
前記補強板を下方側から覆うように前記第1野縁及び前記第2野縁に取り付けられる天井板と、を備える天井構造であって、
前記補強板は、
上面部と、
前記上面部と平行な下面部と、
前記下面部の前記第2方向の一方側の端縁から上に向かうに従い前記第2方向の一方側に延びて、前記上面部の前記第2方向の一方側の端縁に連なる第1側面を有する第1端部と、
前記下面部の前記第2方向の一方側とは反対の他方側の端縁から垂直上向きに延びる第2側面を有する第2端部と、を有し、
前記第1野縁は、
前記天井板が取り付けられる第1取付面と、
前記第1端部における前記上面部に接する第1被接触面と、
前記第1被接触面の前記第2方向の一方側の端縁から下に向かうに従い前記第2方向の他方側に延びて、前記第1取付面の前記第2方向の他方側の端縁に連なり、前記第1側面に接する保持面と、を有し、
前記第2野縁は、
前記天井板が取り付けられる第2取付面と、
前記第2端部における前記上面部に接する第2被接触面と、
前記第2被接触面の前記第2方向の他方側の端縁から垂直下向きに延びて、前記第2取付面の前記第2方向の一方側の端縁に連なり、前記第2側面に接する受入面と、を有する、天井構造。
【請求項2】
前記補強板は、前記第1野縁と前記第2野縁との間に配設された状態において、前記下面部が、前記第1取付面及び前記第2取付面と同一平面上に位置するか、又は、前記第1取付面及び前記第2取付面よりも上方側に位置する、請求項1に記載の天井構造。
【請求項3】
前記補強板は、前記第1端部が前記第1被接触面に対してビス止めされると共に、前記第2端部が前記第2被接触面に対してビス止めされる、請求項1又は2に記載の天井構造。
【請求項4】
前記第1野縁において、前記保持面の下端縁は、前記第1被接触面の前記第2方向の他方側の端縁よりも前記第2方向の一方側に位置している、請求項3に記載の天井構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の天井構造を施工する施工方法であって、
前記第1野縁と前記第2野縁との間に前記補強板を配設する補強板配設工程と、
前記補強板を下方側から覆うように、前記第1野縁の前記第1取付面と前記第2野縁の前記第2取付面とに、前記天井板を取り付ける天井板取り付け工程と、を含み、
前記補強板配設工程は、
前記補強板の前記第1端部を、前記第1野縁の前記第1被接触面と前記保持面との間に挿入して、前記保持面に保持させる保持段階と、
前記第1端部が前記保持面に保持された状態において、前記補強板の前記第2端部を、前記第2野縁の前記第2被接触面及び前記受入面に向けて上方に押し上げる押し上げ段階と、を有し、
前記押し上げ段階では、前記第1端部において前記上面部が前記第1被接触面に接すると共に前記第1側面が前記保持面に接し、且つ、前記第2端部において前記上面部が前記第2被接触面に接するように、前記補強板の前記第2端部を押し上げる、天井構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井構造及びその天井構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅等の建築物において、天井部分を構築する天井構造が知られている。例えば特許文献1に開示されるように、天井構造は、複数の野縁と、互いに隣接する野縁間に配設される補強用の補強板と、補強板を下方側から覆うように野縁に取り付けられる石膏ボード等の天井板と、を備えている。
【0003】
特許文献1に開示される天井構造においては、補強板は、専用の取付金具を用いて野縁に取り付け固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
隣接する各野縁に対する補強板の取付金具を介した固定は、取付金具と野縁との間を複数本のビスによってビス止めし、更には取付金具と補強板との間を複数本のビスによってビス止めすることにより行われる。取付金具を介した補強板の固定は、ビス止め箇所が非常に多く、手間のかかる作業になっている。また、取付金具を介した補強板の固定時のビス止め作業は、補強板の各野縁付近の両側に力が付加されるように補強板を下方側から支えながらの作業となるので、1人の作業者による作業としては煩雑な作業である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、隣接する野縁間に補強板が配設された天井構造において、野縁に対する補強板の取付性の向上を図ることが可能な天井構造、及びその天井構造の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る天井構造は、所定の第1方向に延び、前記第1方向と水平方向に直交する第2方向に所定の間隔を隔てて互いに平行に配置される第1野縁及び第2野縁と、前記第1野縁と前記第2野縁との間に配設される補強板と、前記補強板を下方側から覆うように前記第1野縁及び前記第2野縁に取り付けられる天井板と、を備える天井構造である。この天井構造において、前記補強板は、上面部と、前記上面部と平行な下面部と、前記下面部の前記第2方向の一方側の端縁から上に向かうに従い前記第2方向の一方側に延びて、前記上面部の前記第2方向の一方側の端縁に連なる第1側面を有する第1端部と、前記下面部の前記第2方向の一方側とは反対の他方側の端縁から垂直上向きに延びる第2側面を有する第2端部と、を有している。前記第1野縁は、前記天井板が取り付けられる第1取付面と、前記第1端部における前記上面部に接する第1被接触面と、前記第1被接触面の前記第2方向の一方側の端縁から下に向かうに従い前記第2方向の他方側に延びて、前記第1取付面の前記第2方向の他方側の端縁に連なり、前記第1側面に接する保持面と、を有している。前記第2野縁は、前記天井板が取り付けられる第2取付面と、前記第2端部における前記上面部に接する第2被接触面と、前記第2被接触面の前記第2方向の他方側の端縁から垂直下向きに延びて、前記第2取付面の前記第2方向の一方側の端縁に連なり、前記第2側面に接する受入面と、を有している。
【0008】
この天井構造によれば、第1野縁と第2野縁との間に補強板が配設された構造である。補強板において、第1端部は下面部から上面部に向かって傾斜した第1側面を有し、第2端部は下面部から上面部に向かって垂直に延びる第2側面を有している。第1野縁は、補強板の第1端部における上面部に接する第1被接触面と、補強板の前記第1側面の形状に応じて第1被接触面に対して傾斜し前記第1側面に接する保持面と、を有している。第2野縁は、補強板の第2端部における上面部に接する第2被接触面と、補強板の前記第2側面の形状に応じて第2被接触面から垂直下向きに延びて前記第2側面に接する受入面と、を有している。
【0009】
このような天井構造において、第1野縁と第2野縁との間に補強板を配設するときには、従来技術の取付金具は不要であり、第1野縁の第1被接触面と保持面との間に補強板の第1端部を挿入して当該第1端部を保持面に保持させ、その後、第2野縁の第2被接触面及び受入面に向けて補強板の第2端部を上方に押し上げればよい。このように、補強板の第1端部を第1野縁の保持面に保持させることによって、補強板の各野縁付近の両側に力が付加されるように補強板を下方側から支える必要がなく、1人の作業者によって簡単に補強板を取り付けることができる。このため、各野縁に対する補強板の取付性の向上を図ることができる。また、補強板の第2端部の押し上げによって、第1端部における上面部が第1被接触面に接すると共に第1側面が保持面に接し、且つ、第2端部における上面部が第2被接触面に接すると共に第2側面が受入面に接する。これにより、第1野縁と第2野縁との間に補強板を配設することができる。
【0010】
また、第1野縁と第2野縁との間に補強板を配設するときに、従来技術の取付金具が不要となるので、補強板に対して下方側に突出する取付金具由来の突出部分を無くすことができる。これにより、補強板を下方側から覆うように第1野縁及び第2野縁に取り付けられる天井板に、取付金具由来の段差が生じることを防止することができる。このため、天井構造の全体としての下方側からの美観の向上を図ることができる。
【0011】
上記の天井構造において、前記補強板は、前記第1野縁と前記第2野縁との間に配設された状態において、前記下面部が、前記第1取付面及び前記第2取付面と同一平面上に位置するか、又は、前記第1取付面及び前記第2取付面よりも上方側に位置する構成であってもよい。
【0012】
この態様では、補強板は、第1野縁及び第2野縁の各々において天井板が取り付けられる取付面に対し、下方側に突出することが規制されている。これにより、補強板を下方側から覆うように設けられる天井板は、第1野縁及び第2野縁の各々の取付面に、確実に接した状態とされる。このため、第1野縁及び第2野縁による天井板の保持性が向上すると共に、天井構造の全体としての下方側からの美観の向上を図ることができる。
【0013】
上記の天井構造において、前記補強板は、前記第1端部が前記第1被接触面に対してビス止めされると共に、前記第2端部が前記第2被接触面に対してビス止めされる構成であってもよい。
【0014】
この態様では、第1野縁及び第2野縁に対して補強板を、ビス止めによって固定することができる。
【0015】
上記の天井構造では、前記第1野縁において、前記保持面の下端縁は、前記第1被接触面の前記第2方向の他方側の端縁よりも前記第2方向の一方側に位置している構成であってもよい。
【0016】
この態様では、第1野縁を下方側から見た平面視において、補強板の第1端部のビス止め対象となる第1被接触面は、保持面に対して露出している。これにより、第1野縁の第1被接触面に対する補強板のビス止めを容易に行うことができ、第1野縁に対する補強板の取付性の向上を図ることができる。
【0017】
本発明の他の局面に係る天井構造の施工方法は、上記の天井構造を施工する方法である。この施工方法は、前記第1野縁と前記第2野縁との間に前記補強板を配設する補強板配設工程と、前記補強板を下方側から覆うように、前記第1野縁の前記第1取付面と前記第2野縁の前記第2取付面とに、前記天井板を取り付ける天井板取り付け工程と、を含む。前記補強板配設工程は、前記補強板の前記第1端部を、前記第1野縁の前記第1被接触面と前記保持面との間に挿入して、前記保持面に保持させる保持段階と、前記第1端部が前記保持面に保持された状態において、前記補強板の前記第2端部を、前記第2野縁の前記第2被接触面及び前記受入面に向けて上方に押し上げる押し上げ段階と、を有する。前記押し上げ段階では、前記第1端部において前記上面部が前記第1被接触面に接すると共に前記第1側面が前記保持面に接し、且つ、前記第2端部において前記上面部が前記第2被接触面に接するように、前記補強板の前記第2端部を押し上げる。
【0018】
この天井構造の施工方法によれば、補強板配設工程において、第1野縁の第1被接触面と保持面との間に補強板の第1端部を挿入して当該第1端部を保持面に保持させ(保持段階)、その後、第2野縁の第2被接触面及び受入面に向けて補強板の第2端部を上方に押し上げる(押し上げ段階)。保持段階において補強板の第1端部を第1野縁の保持面に保持させることによって、補強板の各野縁付近の両側に力が付加されるように補強板を下方側から支える必要がなく、1人の作業者によって簡単に補強板を取り付けることができる。これにより、各野縁に対する補強板の取付性の向上を図ることができる。また、押し上げ段階での補強板の第2端部の押し上げによって、第1端部における上面部が第1被接触面に接すると共に第1側面が保持面に接し、且つ、第2端部における上面部が第2被接触面に接すると共に第2側面が受入面に接する。これにより、第1野縁と第2野縁との間に補強板を配設することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、第1野縁と第2野縁との間に補強板が配設された天井構造において、第1野縁及び第2野縁に対する補強板の取付性の向上を図ることが可能な天井構造、及びその天井構造の施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る天井構造を示す斜視図である。
【
図3】天井構造に備えられる補強板を示す斜視図である。
【
図5】天井構造の施工方法であって補強板配設工程の保持段階を示す図である。
【
図6】天井構造の施工方法であって補強板配設工程の押し上げ段階を示す図である。
【
図7】天井構造の施工方法であって補強板配設工程のビス止め段階を示す図である。
【
図8】天井構造の施工方法であって天井板取り付け工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る天井構造及びその施工方法について図面に基づいて説明する。なお、以下では、方向関係についてはXYZ直交座標軸を用いて説明する。X軸方向が第1方向を示し、Y軸方向がX軸方向と水平方向に直交する第2方向を示し、Z軸方向がX軸方向及びY軸方向の両方向と直交する上下方向を示す。また、X軸方向の一方側を「+X側」と称し、X軸方向の一方側とは反対の他方側を「-X側」と称する。同様に、Y軸方向の一方側を「+Y側」と称し、Y軸方向の一方側とは反対の他方側を「-Y側」と称する。Z軸方向についても同様に、Z軸方向の一方側(上方側)を「+Z側」と称し、Z軸方向の一方側とは反対の他方側(下方側)を「-Z側」と称する。
【0022】
[天井構造の構成]
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係る天井構造1を示す図であり、
図1が斜視図であり、
図2が部分断面図である。
図3及び
図4は、天井構造1に備えられる補強板5を示す図であり、
図3が斜視図であり、
図4が側面図である。天井構造1は、住宅等の建築物における天井部分を構築する構造体である。天井構造1は、野縁受2と、第1野縁3と、第2野縁4と、補強板5と、天井板6と、を備える。
【0023】
野縁受2は、梁等の構造材に吊り下げ支持されたものである。
図1に示すように、野縁受2は、Y軸方向に延び、X軸方向に所定の間隔を隔てて複数配設されている。複数の野縁受2は、それぞれ平行に配置されている。
【0024】
第1野縁3及び第2野縁4は、連結具21(
図2)を介して複数の野縁受2の下面(-Z側の面)に跨って取り付けられる。第1野縁3と第2野縁4とは、X軸方向に延び、Y軸方向に所定の間隔を隔てて互いに平行に配置されている。天井構造1においては、第1野縁3及び第2野縁4の2つの野縁を1組とし、その1組の第1野縁3及び第2野縁4がY軸方向に複数並設される。
【0025】
補強板5は、平面視で矩形状に形成された平板体であって、例えば合板によって構成される。補強板5は、第1野縁3と第2野縁4との間に水平な状態で配設される。
【0026】
天井板6は、補強板5を下方側(-Z側)から覆うように、第1野縁3及び第2野縁4に水平な状態で取り付けられる。天井板6は、例えば石膏ボードによって構成される。天井板6の下面(-Z側の面)には、例えばクロス材等の天井仕上げ材が取り付けられる。なお、天井構造1においては、天井板6の下方側(-Z側)が、建築物の室内空間となる。
【0027】
図3及び
図4に示すように、補強板5は、上面部51と、下面部52と、第1端部53と、第2端部54とを有している。上面部51は、補強板5の+Z側の水平に延びる上面を構成する。下面部52は、上面部51と平行であって、補強板5の-Z側の水平に延びる下面を構成する。第1端部53は、補強板5の+Y側の側面部を構成する。第2端部54は、補強板5の-Y側の側面部を構成する。
【0028】
補強板5において、第1端部53は、下面部52のY軸方向の+Y側の端縁52Aから上(+Z側)に向かうに従いY軸方向の+Y側に延びて、上面部51のY軸方向の+Y側の端縁51Aに連なる第1側面531を有する。すなわち、第1端部53は、下面部52から上面部51に向かって傾斜した傾斜面となる第1側面531を有している。また、補強板5において、第2端部54は、下面部52のY軸方向の-Y側の端縁52Bから垂直上向きに延びて、上面部51のY軸方向の-Y側の端縁51Bに連なる第2側面541を有する。すなわち、第2端部54は、下面部52から上面部51に向かって垂直に延びる垂直面となる第2側面541を有している。
【0029】
第1野縁3は、第1上端連結部31と、第1下端部32と、第1一側部33と、第1他側部34と、を有している。
【0030】
第1上端連結部31は、第1野縁3の+Z側の上端部を構成し、連結具21を介して野縁受2に連結される。第1野縁3は、第1上端連結部31が連結具21を介して野縁受2に連結されることにより、野縁受2に取り付けられる。第1下端部32は、第1野縁3の-Z側の下端部を構成し、その下端に水平に延びる第1取付面321を有している。第1取付面321は、第1野縁3において天井板6が取り付けられる面である。第1取付面321において、例えばY軸方向の中央には、天井板6の取り付けの際に、第1取付面321に対して天井板6を位置合わせするための「溝」や「切欠き」などが設けられている。
【0031】
第1一側部33は、第1野縁3の+Y側の側面部を構成し、第1一側被接触面331と第1受入面332とを有する。第1一側被接触面331は、水平に延びる平面状に形成され、第1野縁3に対して+Y側に補強板5A(
図1)が配設される場合に、当該補強板5Aの-Y側の端部(第2端部)における上面部に接する。第1受入面332は、第1一側被接触面331のY軸方向の-Y側の端縁331Aから垂直下向きに延びて、第1取付面321のY軸方向の+Y側の端縁321Aに連なる面である。すなわち、第1受入面332は、第1一側被接触面331から第1取付面321に向かって垂直に延びる垂直面となる。第1受入面332は、補強板5Aの-Y側の端部(第2端部)を受け入れて、当該端部の側面(第2側面)に接する。
【0032】
第1他側部34は、第1野縁3の-Y側の側面部を構成し、第1他側被接触面341と第1保持面342とを有する。第1他側被接触面341は、水平に延びる平面状に形成され、補強板5の第1端部53における上面部51に接する。第1他側被接触面341は、第1野縁3に備えられる「第1被接触面」の一例である。第1保持面342は、第1他側被接触面341のY軸方向の+Y側の端縁341Aから下(-Z側)に向かうに従いY軸方向の-Y側に延びて、第1取付面321のY軸方向の-Y側の端縁321Bに連なる面である。すなわち、第1保持面342は、第1他側被接触面341から第1取付面321に向かって傾斜した傾斜面となる。第1保持面342は、補強板5の第1端部53を保持することが可能であって、当該第1端部53の第1側面531に接する。第1保持面342の下端縁342Aは、第1他側被接触面341のY軸方向の-Y側の端縁341Bよりも、Y軸方向の+Y側に位置している。
【0033】
第2野縁4は、第2上端連結部41と、第2下端部42と、第2一側部43と、第2他側部44と、を有している。
【0034】
第2上端連結部41は、第2野縁4の+Z側の上端部を構成し、連結具21を介して野縁受2に連結される。第2野縁4は、第2上端連結部41が連結具21を介して野縁受2に連結されることにより、野縁受2に取り付けられる。第2下端部42は、第2野縁4の-Z側の下端部を構成し、その下端に水平に延びる第2取付面421を有している。第2取付面421は、第2野縁4において天井板6が取り付けられる面である。第2取付面421において、例えばY軸方向の中央には、天井板6の取り付けの際に、第2取付面421に対して天井板6を位置合わせするための「溝」や「切欠き」などが設けられている。
【0035】
第2一側部43は、第2野縁4の+Y側の側面部を構成し、第2一側被接触面431と第2受入面432とを有する。第2一側被接触面431は、水平に延びる平面状に形成され、補強板5の第2端部54における上面部51に接する。第2一側被接触面431は、第2野縁4に備えられる「第2被接触面」の一例である。第2受入面432は、第2一側被接触面431のY軸方向の-Y側の端縁431Aから垂直下向きに延びて、第2取付面421のY軸方向の+Y側の端縁421Aに連なる面である。すなわち、第2受入面432は、第2一側被接触面431から第2取付面421に向かって垂直に延びる垂直面となる。第2受入面432は、補強板5の第2端部54を受け入れて、当該第2端部54の第2側面541に接する。
【0036】
第2他側部44は、第2野縁4の-Y側の側面部を構成し、第2他側被接触面441と第2保持面442とを有する。第2他側被接触面441は、水平に延びる平面状に形成され、第2野縁4に対して-Y側に補強板5B(
図1)が配設される場合に、当該補強板5Bの+Y側の端部(第1端部)における上面部に接する。第2保持面442は、第2他側被接触面441のY軸方向の+Y側の端縁441Aから下(-Z側)に向かうに従いY軸方向の-Y側に延びて、第2取付面421のY軸方向の-Y側の端縁421Bに連なる面である。すなわち、第2保持面442は、第2他側被接触面441から第2取付面421に向かって傾斜した傾斜面となる。第2保持面442は、補強板5Bの+Y側の端部(第1端部)を保持することが可能であって、当該端部の側面(第1側面)に接する。第2保持面442の下端縁442Aは、第2他側被接触面441のY軸方向の-Y側の端縁3441Bよりも、Y軸方向の+Y側に位置している。
【0037】
以上説明した通り、本実施形態に係る天井構造1は、第1野縁3と第2野縁4との間に補強板5が配設された構造である。補強板5において、第1端部53は下面部52から上面部51に向かって傾斜した第1側面531を有し、第2端部54は下面部52から上面部51に向かって垂直に延びる第2側面541を有している。第1野縁3は、補強板5の第1端部53における上面部51に接する第1他側被接触面341と、補強板5の第1端部53における第1側面531の形状に応じて第1他側被接触面341に対して傾斜し前記第1側面531に接する第1保持面342と、を有している。第2野縁4は、補強板5の第2端部54における上面部51に接する第2一側被接触面431と、補強板5の第2端部54における第2側面541の形状に応じて第2一側被接触面431から垂直下向きに延びて前記第2側面541に接する第2受入面432と、を有している。
【0038】
このような天井構造1において、第1野縁3と第2野縁4との間に補強板5を配設するときには、従来技術の取付金具は不要であり、第1野縁3の第1他側被接触面341と第1保持面342との間に補強板5の第1端部53を挿入して当該第1端部53を第1保持面342に保持させ、その後、第2野縁4の第2一側被接触面431及び第2受入面432に向けて補強板5の第2端部54を上方に押し上げればよい。このように、補強板5の第1端部53を第1野縁3の第1保持面342に保持させることによって、補強板5の各野縁3,4付近の両側(第1端部53及び第2端部54)に力が付加されるように補強板5を下方側から支える必要がなく、1人の作業者によって簡単に補強板5を取り付けることができる。このため、各野縁3,4に対する補強板5の取付性の向上を図ることができる。
【0039】
また、第1端部53を第1野縁3の第1保持面342に保持させた状態での補強板5の第2端部54の押し上げによって、第1端部53における上面部51が第1他側被接触面341に接すると共に第1側面531が第1保持面342に接し、且つ、第2端部54における上面部51が第2一側被接触面431に接すると共に第2側面541が第2受入面432に接する。これにより、第1野縁3と第2野縁4との間に補強板5を配設することができる。
【0040】
また、第1野縁3と第2野縁4との間に補強板5を配設するときに、従来技術の取付金具が不要となるので、補強板5に対して下方側に突出する取付金具由来の突出部分を無くすことができる。これにより、補強板5を下方側から覆うように第1野縁3及び第2野縁4に取り付けられる天井板6に、取付金具由来の段差が生じることを防止することができる。このため、天井構造1の全体としての下方側からの美観の向上を図ることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る天井構造1において、補強板5は、第1野縁3と第2野縁4との間に配設された状態において、下面部52が、第1野縁3の第1取付面321及び第2野縁4の第2取付面421と同一平面上に位置するか、又は、第1取付面321及び第2取付面421よりも上方側(+Z側)に位置する構成であってもよい。
【0042】
このような構成によって、補強板5は、第1野縁3及び第2野縁4の各々において天井板6が取り付けられる取付面321,421に対し、下方側(-Z側)に突出することが規制されている。これにより、補強板5を下方側から覆うように設けられる天井板6は、第1野縁3及び第2野縁4の各々の取付面321,421に、確実に接した状態とされる。このため、第1野縁3及び第2野縁4による天井板6の保持性が向上すると共に、天井構造1の全体としての下方側(-Z側)からの美観の向上を図ることができる。
【0043】
図1及び
図2に示すように、補強板5は、第1端部53が第1野縁3の第1他側被接触面341に対してビスSCによってビス止めされると共に、第2端部54が第2野縁4の第2一側被接触面431に対してビスSCによってビス止めされる。これにより、第1野縁3及び第2野縁4に対して補強板5を、ビスSCを用いたビス止めによって固定することができる。この際、既述の通り、第1野縁3において、第1保持面342の下端縁342Aは、第1他側被接触面341のY軸方向の-Y側の端縁341Bよりも、Y軸方向の+Y側に位置している。すなわち、第1野縁3を下方側(-Z側)から見た平面視において、補強板5の第1端部53のビス止め対象となる第1他側被接触面341は、第1保持面342に対して露出している。これにより、第1野縁3の第1他側被接触面341に対する補強板5のビス止めを容易に行うことができ、第1野縁3に対する補強板5の取付性の向上を図ることができる。
【0044】
[天井構造の施工方法]
次に、上記の天井構造1を施工する施工方法について、
図5~
図8を参照して説明する。天井構造1の施工は、作業者(大工)によって実施される。作業者は、天井構造1の施工方法に従って作業を進めることにより、天井構造1を構築することができる。
【0045】
天井構造1の施工方法は、
図5~
図7に示す補強板配設工程と、
図8に示す天井板取り付け工程とを含む。補強板配設工程は、第1野縁3と第2野縁4との間に補強板5を配設する工程である。天井板取り付け工程は、補強板5を下方側から覆うように、第1野縁3の第1取付面321と第2野縁4の第2取付面421とに、天井板6を取り付ける工程である。
【0046】
補強板配設工程は、
図5に示す保持段階と、
図6に示す押し上げ段階と、
図7に示すビス止め段階とを含む。
【0047】
補強板配設工程の保持段階では、作業者は、第1野縁3の第1他側被接触面341と第1保持面342との間に補強板5の第1端部53を挿入して、当該第1端部53を第1保持面342に保持させる。補強板5の第1端部53を第1野縁3の第1保持面342に保持させた状態では、作業者は、第1端部53を下方側から支える必要はなく、第2端部54だけを下方側から支えればよい(
図5参照)。
【0048】
補強板5の第1端部53が第1野縁3の第1保持面342に保持された状態において、作業者は、保持段階から押し上げ段階へと作業を移行する。押し上げ段階では、作業者は、補強板5の第2端部54を、第2野縁4の第2一側被接触面431及び第2受入面432に向けて、上方に押し上げる。補強板5の第2端部54の押し上げによって、第1端部53における上面部51が第1野縁3の第1他側被接触面341に接すると共に、第1端部53における第1側面531が第1野縁3の第1保持面342に接する。更に、補強板5の第2端部54の押し上げによって、第2端部54における上面部51が第2野縁4の第2一側被接触面431に接すると共に、第2端部54における第2側面541が第2野縁4の第2受入面432に接する(
図6参照)。
【0049】
補強板5の第2端部54の押し上げが完了すると、作業者は、押し上げ段階からビス止め段階へと作業を移行する。ビス止め段階では、作業者は、電動ドライバー等の工具を用いて、第1野縁3及び第2野縁4の各々に補強板5をビスSCによってビス止めする。この際、作業者は、補強板5の第2端部54の押し上げ作業から連続的に、まず、第2野縁4の第2一側被接触面431に対して第2端部54をビスSCによってビス止めする作業を行う(
図7参照)。
【0050】
補強板5の第1端部53が第1野縁3の第1保持面342に保持された状態であるので、補強板5の第2端部54が第2野縁4にビス止めされることによって、補強板5を下方側から支えなくても、当該補強板5が落下することはない。すなわち、作業者は、補強板5から手を離した状態で、第1野縁3の近くに移動することができる。そして、作業者は、第1野縁3の第1他側被接触面341に対して補強板5の第1端部53をビスSCによってビス止めする作業を行う(
図7参照)。これにより、第1野縁3と第2野縁4との間に補強板5を配設することができる。
【0051】
第1野縁3と第2野縁4との間に補強板5を配設する作業が完了すると、作業者は、天井板取り付け工程へと作業を移行する。天井板取り付け工程では、作業者は、補強板5を下方側から覆うように、第1野縁3の第1取付面321と第2野縁4の第2取付面421とに、天井板6を取り付ける。天井板6の取り付け作業が完了すると、作業者は、複数の天井板6同士の境界部分などを覆うようにパテ剤を展延塗布し、その後、天井板6の下面にクロス材等の天井仕上げ材を取り付けることができる。
【符号の説明】
【0052】
1 天井構造
3 第1野縁
321 第1取付面
341 第1他側被接触面(第1被接触面)
342 第1保持面
4 第2野縁
421 第2取付面
431 第2一側被接触面(第2被接触面)
432 第2受入面
5 補強板
51 上面部
52 下面部
53 第1端部
531 第1側面
54 第2端部
541 第2側面
6 天井板
SC ビス
X 第1方向
Y 第2方向