(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B25J 13/08 20060101AFI20230821BHJP
B25J 19/06 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B25J13/08 A
B25J19/06
(21)【出願番号】P 2019103199
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391053696
【氏名又は名称】JOHNAN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 孝三
(72)【発明者】
【氏名】亀山 晋
(72)【発明者】
【氏名】ヴ ヤ チュン
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ブルックス
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-051734(JP,A)
【文献】特開2010-167523(JP,A)
【文献】特開2011-125975(JP,A)
【文献】特開2018-158393(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098713(WO,A1)
【文献】特開2010-269418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業を行うロボットを制御する制御装置であって、
前記ロボットを単独で作業させる独立モードと、前記ロボットを作業者と共同で作業させる協働モードとが設けられており、
前記独立モードまたは前記協働モードで前記ロボットを動作させる動作制御部と、
第1切替部または第2切替部とを備え、
前記独立モード時の単独作業の作業主体は前記ロボットのみであり、前記協働モード時の共同作業の作業主体は前記ロボットおよび作業者の両方であり、
前記独立モード時に前記ロボットが作業者と干渉するおそれがある場合に、前記ロボットが作業者と干渉するのを回避させるように構成され、
前記第1切替部は、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第1所定条件が成立するか否かを判断し、前記独立モードのときに前記第1所定条件が成立した場合に、前記独立モードから前記協働モードに切り替えるように構成され、
前記第2切替部は、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第2所定条件が成立するか否かを判断し、前記協働モードのときに前記第2所定条件が成立した場合に、前記協働モードから前記独立モードに切り替えるように構成されていることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
作業を行うロボットを制御する制御方法であって、
前記ロボットを単独で作業させる独立モード、または、前記ロボットを作業者と共同で作業させる協働モードで前記ロボットを動作させるステップと、
作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第1所定条件が成立するか否かを判断し、前記独立モードのときに前記第1所定条件が成立した場合に、前記独立モードから前記協働モードに切り替えるステップ、または、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第2所定条件が成立するか否かを判断し、前記協働モードのときに前記第2所定条件が成立した場合に、前記協働モードから前記独立モードに切り替えるステップとを備え
、
前記独立モード時の単独作業の作業主体は前記ロボットのみであり、前記協働モード時の共同作業の作業主体は前記ロボットおよび作業者の両方であり、
前記独立モード時に前記ロボットが作業者と干渉するおそれがある場合に、前記ロボットが作業者と干渉するのを回避させることを特徴とする制御方法。
【請求項3】
ロボットを単独で作業させる独立モード、または、前記ロボットを作業者と共同で作業させる協働モードで前記ロボットを動作させる手順と、
作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第1所定条件が成立するか否かを判断し、前記独立モードのときに前記第1所定条件が成立した場合に、前記独立モードから前記協働モードに切り替える手順、または、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第2所定条件が成立するか否かを判断し、前記協働モードのときに前記第2所定条件が成立した場合に、前記協働モードから前記独立モードに切り替える手順と、
を
コンピュータに実行させ
、
前記独立モード時の単独作業の作業主体は前記ロボットのみであり、前記協働モード時の共同作業の作業主体は前記ロボットおよび作業者の両方であり、
前記独立モード時に前記ロボットが作業者と干渉するおそれがある場合に、前記ロボットが作業者と干渉するのを回避させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットを作業者と共同で作業させるロボットの制御装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の制御装置は、カメラによる撮像結果に基づいて作業者の行動を推定し、その作業者の行動に応じてロボットを動作させるように構成されている。たとえば、組立対象品にユニットを実装する場合には、ロボットによりユニットが実装位置に移動された後に、ロボットおよび作業者によりねじ締めが行われてユニットが組立対象品に取り付けられる。次に、ロボットによりケーブルが組立対象品における所定位置に持ち込まれ、そのケーブルを作業者が受け取り、作業者によりケーブルがユニットに接続される。
【0004】
そして、ロボットによりユニットが実装位置に移動されるときに、ロボットまたはユニットの作業領域または稼働領域に作業者が入っている場合には、ロボットが減速または停止される。同様に、ロボットによりケーブルが所定位置に移動されるときに、ロボットの作業領域または稼働領域に作業者が入っている場合には、ロボットが減速または停止される。これにより、ロボットおよびユニットが作業者に衝突するのを抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の制御装置では、ロボットを作業者と協働させることは可能であるが、作業者およびロボットが各々独立した作業を行うことは想定されていない。一方、作業者およびロボットが各々独立した作業をしつつ時折協働作業をする状況において、ロボットを単独でも作業させ、作業者と共同でも作業させることができる制御装置が求められている。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、作業者およびロボットが各々独立した作業をしつつ時折協働作業をする状況において、ロボットを単独でも作業させ、作業者と協働でも作業させることが可能な制御装置、制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による制御装置は、作業を行うロボットを制御するものであり、ロボットを単独で作業させる独立モードと、ロボットを作業者と共同で作業させる協働モードとが設けられている。制御装置は、独立モードまたは協働モードでロボットを動作させる動作制御部と、第1切替部または第2切替部とを備える。独立モード時の単独作業の作業主体はロボットのみであり、協働モード時の共同作業の作業主体はロボットおよび作業者の両方である。独立モード時にロボットが作業者と干渉するおそれがある場合に、ロボットが作業者と干渉するのを回避させるように構成されている。第1切替部は、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第1所定条件が成立するか否かを判断し、独立モードのときに第1所定条件が成立した場合に、独立モードから協働モードに切り替えるように構成されている。第2切替部は、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第2所定条件が成立するか否かを判断し、協働モードのときに第2所定条件が成立した場合に、協働モードから独立モードに切り替えるように構成されている。
【0009】
このように構成することによって、ロボットおよび作業者による共同作業が行われる場合に協働モードに設定されるとともに、作業者が介入しないロボットによる単独作業が行われる場合に独立モードに設定されることにより、ロボットに単独作業および協働作業を選択的に実行させることができる。また、作業者が動作モードを切り替える必要がある場合に、第1所定条件または第2所定条件を容易に成立させて動作モードを切り替えることができる。
【0010】
本発明による制御方法は、作業を行うロボットを制御するものであり、ロボットを単独で作業させる独立モード、または、ロボットを作業者と共同で作業させる協働モードでロボットを動作させるステップと、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第1所定条件が成立するか否かを判断し、独立モードのときに第1所定条件が成立した場合に、独立モードから協働モードに切り替えるステップ、または、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第2所定条件が成立するか否かを判断し、協働モードのときに第2所定条件が成立した場合に、協働モードから独立モードに切り替えるステップとを備える。独立モード時の単独作業の作業主体はロボットのみであり、協働モード時の共同作業の作業主体はロボットおよび作業者の両方である。独立モード時にロボットが作業者と干渉するおそれがある場合に、ロボットが作業者と干渉するのを回避させる。
【0011】
本発明によるプログラムは、ロボットを単独で作業させる独立モード、または、ロボットを作業者と共同で作業させる協働モードでロボットを動作させる手順と、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第1所定条件が成立するか否かを判断し、独立モードのときに第1所定条件が成立した場合に、独立モードから協働モードに切り替える手順、または、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第2所定条件が成立するか否かを判断し、協働モードのときに第2所定条件が成立した場合に、協働モードから独立モードに切り替える手順と、をコンピュータに実行させるためのものである。独立モード時の単独作業の作業主体はロボットのみであり、協働モード時の共同作業の作業主体はロボットおよび作業者の両方である。独立モード時にロボットが作業者と干渉するおそれがある場合に、ロボットが作業者と干渉するのを回避させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の制御装置、制御方法およびプログラムによれば、作業者およびロボットが各々独立した作業をしつつ時折協働作業をする状況において、ロボットを単独でも作業させ、作業者と協働でも作業させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態によるロボット制御システムの概略構成を示したブロック図である。
【
図2】本実施形態のロボット制御システムにおける動作モードの切替動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】本実施形態のロボット制御システムにおける独立モード時の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
まず、
図1を参照して、本発明の一実施形態による制御装置1を備えるロボット制御システム100の構成について説明する。
【0016】
ロボット制御システム100は、たとえば工場のセル生産方式の生産現場に適用されるものである。このロボット制御システム100は、
図1に示すように、制御装置1と、ロボット2と、撮像装置3とを備えている。ロボット制御システム100は、生産ラインにおいてロボット2に所定の作業(タスク)を実行させるように構成されている。
【0017】
制御装置1は、撮像装置3の撮像結果に基づいて、ロボット2を制御するように構成されている。制御装置1は、独立モードおよび協働モードが設けられており、独立モードまたは協働モードでロボット2を動作させるように構成されている。
【0018】
ここで、独立モードは、ロボット2を単独で作業させるモードであり、協働モードは、ロボット2を作業者(人)と共同で作業させるモードである。このため、独立モード時にはロボット2が単独作業を行い、協働モード時にはロボット2が共同作業の一部(共同作業のうちロボット2が行う作業)を行うようになっている。すなわち、独立モード時の単独作業の作業主体はロボット2のみであり、協働モード時の共同作業の作業主体はロボット2および作業者の両方である。たとえば、独立モード時には単独作業が繰り返し行われ、協働モード時には共同作業が繰り返し行われる。具体例として、単独作業は、地点P1に搬送されたワークW1をロボット2によって地点P2に移動させる作業であり、共同作業は、地点P3に搬送されたワークW2に対して作業者が加工する作業と、その加工されたワークW2をロボット2によって地点P3から地点P4に移動させる作業とにより構成されている。なお、1つの作業空間において、複数のロボット2および複数の作業者が作業を行っていてもよい。
【0019】
また、制御装置1は、独立モード時に第1所定条件が成立する場合に、独立モードから協働モードに切り替えるように構成されている。この第1所定条件は、作業者が共同作業の開始を要求しているか否かを制御装置1が判断するために設定されている。たとえば、作業者が予め設定された領域(共同作業のうち作業者が行う作業を実行可能な領域)に位置する場合に、第1所定条件が成立すると判断される。
【0020】
また、制御装置1は、協働モード時に第2所定条件が成立する場合に、協働モードから独立モードに切り替えるように構成されている。この第2所定条件は、作業者が共同作業の終了を要求しているか否かを制御装置1が判断するために設定されている。たとえば、作業者が予め設定された領域から去った場合に、第2所定条件が成立すると判断される。
【0021】
この制御装置1は、演算部11と、記憶部12と、入出力部13とを含んでいる。演算部11は、記憶部12に記憶されたプログラムなどに基づいて演算処理を実行することにより、制御装置1を制御するように構成されている。記憶部12にはプログラムなどが記憶されている。このプログラムの一例としては、ロボット2の単独作業用の動作プログラム、および、ロボット2の共同作業用の動作プログラムなどがある。入出力部13には、ロボット2および撮像装置3などが接続されている。なお、演算部11が記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、本発明の「動作制御部」、「第1切替部」および「第2切替部」が実現される。また、制御装置1は、本発明の「コンピュータ」の一例である。
【0022】
ロボット2は、多軸アームと、多軸アームの先端に設けられたエンドエフェクタとしてのハンドとを有する。ロボット2は、ハンドによってワークを保持し、その保持したワークを搬送するように構成されている。
【0023】
撮像装置3は、ロボット2の作業領域を撮像するように構成されている。ロボット2の作業領域は、ロボット2の周囲を取り囲む領域であり、単独作業時の作業領域と共同作業時の作業領域とを含む領域である。たとえば、単独作業時の作業領域には、単独作業時に移動するロボット2およびそのロボット2に保持されるワークが通過する領域が含まれ、共同作業時の作業領域には、共同作業時に移動するロボット2およびそのロボット2に保持されるワークが通過する領域が含まれる。また、撮像装置3には、ロボット2の周辺の音を収集するマイク(図示省略)が設けられている。撮像装置3による撮像結果および集音結果は、制御装置1に入力されるようになっている。
【0024】
-動作モードの切替動作-
次に、
図2を参照して、本実施形態によるロボット制御システム100における動作モードの切替動作について説明する。この切替動作は、後述する独立モード時の動作または協働モード時の動作と並行して行われる。なお、ロボット制御システム100の動作開始時にはたとえば独立モードに設定される。また、以下の各ステップは制御装置1によって実行される。
【0025】
まず、
図2のステップS1において、動作モードが独立モードであるか否かが判断される。そして、独立モードであると判断された場合には、ステップS2に移る。その一方、独立モードではないと判断された場合(協働モードの場合)には、ステップS4に移る。
【0026】
次に、ステップS2において、第1所定条件が成立するか否かが判断される。たとえば、撮像装置3の撮像結果に基づいて作業者が予め設定された領域に位置すると判断された場合には、第1所定条件が成立すると判断される。そして、第1所定条件が成立すると判断された場合には、ステップS3において、動作モードが独立モードから協働モードに切り替えられ、リターンに移る(ステップS1に戻る)。その一方、第1所定条件が成立しないと判断された場合には、動作モードが独立モードから変更されることなく、リターンに移る。
【0027】
また、ステップS4において、第2所定条件が成立するか否かが判断される。たとえば、作業者が予め設定された領域から去った場合には、第2所定条件が成立すると判断される。そして、第2所定条件が成立すると判断された場合には、ステップS5において、動作モードが協働モードから独立モードに切り替えられ、リターンに移る。その一方、第2所定条件が成立しないと判断された場合には、動作モードが協働モードから変更されることなく、リターンに移る。
【0028】
-独立モード時の動作-
次に、
図3を参照して、本実施形態のロボット制御システム100における独立モード時の動作について説明する。なお、以下の各ステップは制御装置1によって実行される。
【0029】
まず、
図3のステップS11において、単独作業の開始時であるか否かが判断される。そして、単独作業の開始時ではないと判断された場合(独立モードが継続されている場合)には、ステップS12に移る。その一方、単独作業の開始時であると判断された場合(ロボット制御システム100の動作開始直後の場合や、協働モードから独立モードに切り替えられた直後の場合)には、ステップS13に移る。
【0030】
次に、ステップS12において、撮像装置3の撮像結果に基づいて、作業者の体の一部がロボット2の単独作業時の作業領域に侵入したか否かが判断される。そして、作業者の体の一部がロボット2の単独作業時の作業領域に侵入したと判断された場合には、ワークの種類の変更などが行われた可能性があることから、ステップS13に移る。その一方、作業者の体の一部がロボット2の単独作業時の作業領域に侵入していないと判断された場合には、初期化処理を行う必要がない(初期化処理が行われた後に繰り返される単独作業中である)ことから、ステップS14に移る。
【0031】
次に、ステップS13において、初期化処理が行われる。この初期化処理では、たとえば、撮像装置3の撮像結果からワークの種類が判別され、そのワークの種類に応じた動作プログラムが選択されるとともに、撮像装置3の撮像結果からワークの位置が算出され、そのワークの位置に基づいて動作プログラムが補正される。すなわち、画像処理によりワークの種類および位置が認識され、その結果に応じて動作プログラムが選択および補正される。
【0032】
次に、ステップS14において、ロボット2に単独作業を行わせる。この単独作業は、補正された動作プログラムに基づいて行われる。
【0033】
そして、ロボット2による単独作業時に、撮像装置3の撮像結果に基づいてロボット2が作業者と干渉するおそれがあると判断された場合には、ロボット2が作業者と干渉するのを回避させる。干渉を回避させるとは、たとえば、作業者を避けるようにロボット2を迂回させることである。すなわち、ロボット2またはロボット2に保持されるワークが作業者と衝突すると予測される場合には、ロボット2およびワークの通過する経路が変更されることにより、衝突を回避しながら作業が継続される。なお、衝突が予測される場合とは、たとえば、作業者に対するロボット2およびワークの離隔距離Dが所定値Thを下回った場合であり、ロボット2およびワークの経路が変更されることにより、離隔距離Dが所定値Thを下回らないようにされる。所定値Thは、予め設定された値であり、ロボット2およびワークが作業者に対して近づきすぎであるか否かを判定するための閾値である。
【0034】
また、ロボット2による単独作業時には、ワークに応じて、作業者に対するロボット2およびワークの離隔距離Dが調整される。具体的には、ワークに応じて所定値Thが変更されることにより離隔距離Dが調整される。たとえば、ワークの形状が鋭利である場合には、通常時に比べて、所定値Thが大きくされることにより、離隔距離Dが大きくされる。
【0035】
その後、1回の単独作業が終わると、リターンに移る(ステップS11に戻る)。
【0036】
-協働モード時の動作-
次に、本実施形態のロボット制御システム100における協働モード時の動作について説明する。
【0037】
協働モード時には、ロボット2および作業者により共同作業が行われる。制御装置1は、協働モード時に、動作プログラムに基づいて、ロボット2に共同作業の一部を行わせる。
【0038】
共同作業時に、撮像装置3の集音結果に基づいて作業者が大声を発したと判断された場合には、緊急時処理が行われるようにしてもよい。緊急時処理の一例としては、ロボット2の移動速度を低くすること、ロボット2の移動速度を低くしてから停止すること、ロボット2を即座に停止すること、および、ロボット2をゆっくりと初期位置に戻すことなどを挙げることができる。なお、作業者が予め設定された言葉(たとえば、「危ない」、「ストップ」など)を発した場合、および、物を落としたような異常な音が発生した場合に、緊急時処理が行われるようにしてもよい。
【0039】
また、共同作業時に、撮像装置3の撮像結果に基づいて作業者の習熟度を認識し、その習熟度に応じてロボット2の移動速度を調整するようにしてもよい。また、習熟度が極端に変化した場合に、警告を発するようにしてもよい。
【0040】
また、共同作業時に、撮像装置3の撮像結果に基づいて作業者の身体的特徴(たとえば、利き腕、腕の長さなど)を認識し、その身体的特徴に応じてロボット2の位置(移動軌跡)を調整するようにしてもよい。たとえば、作業者の作業範囲を認識して、それと干渉しないようにロボット2の移動軌跡を補正してもよい。
【0041】
また、共同作業時に、ロボット2が保持するワークに作業者が触れた場合に、ロボット2の保持力を弱めてワークを作業者に引き渡すようにしてもよい。
【0042】
また、共同作業時に、安全性確保のために、ロボット2が作業者を回避する回避動作を行うようにしてもよい。
【0043】
-効果-
本実施形態では、上記のように、独立モードおよび協働モードが設けられ、第1所定条件が成立する場合に独立モードから協働モードに切り替えられることによって、ロボット2に単独作業および協働作業を選択的に実行させることができる。これにより、単独作業を繰り返し行いながら、繰り返される単独作業の間に共同作業を挟み込んで実施することができる。その結果、作業者およびロボット2が各々独立した作業をしつつ時折協働作業をする状況において、ロボット2を単独でも作業させ、作業者と協働でも作業させることができる。たとえば、単独作業で大ロット品が生産され、共同作業で小ロット品が生産されるようにしてもよい。
【0044】
ここで、本実施形態のロボット制御システム100をセル生産方式に適用した場合には、同じセル構成のままロボット2が単独作業も協働作業も行うことができるので、複雑な工程を効率よくこなすことができる。
【0045】
具体例としては、
(A)組立作業で一定量の部材(ワーク)を使いきるまでロボット2が単独作業をしているが、部材を使い切り新たな部材を配給する際に作業者が予め設定された領域(たとえばロボット2の作業領域)に入り共同作業が行われる場合
(B)通常はロボット2が所定の位置に置かれた部材を取って単独作業をしているが、部材に不良があったとき作業者が部材を渡すために予め設定された領域(たとえばロボット2の作業領域)に入り共同作業が行われる場合
を挙げることができる。
【0046】
また、本実施形態では、作業者が予め設定された領域に位置するときに第1所定条件が成立すると判断されることによって、作業者が共同作業を開始する場合に、第1所定条件を容易に成立させて協働モードに切り替えることができる。
【0047】
また、本実施形態では、作業者が予め設定された領域から去ったときに第2所定条件が成立すると判断され、協働モードから独立モードに切り替えられることによって、作業者が共同作業を終了する場合に、第2所定条件を容易に成立させて独立モードに切り替えることができる。
【0048】
また、本実施形態では、独立モード時にロボット2が作業者と干渉するのを回避させることによって、ロボット2による単独作業時の安全性を確保することができる。また、作業者との干渉を回避させながら単独作業を継続させることによって、生産性の低下を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、独立モード時にロボット2の作業領域に作業者が侵入した場合に初期化処理が行われることによって、ワークの種類の変更などに即座に対応することができる。
【0050】
また、本実施形態では、独立モード時にワークに応じて離隔距離Dが調整されることによって、ワークの形状が鋭利である場合に離隔距離Dが大きくされることにより、安全性の向上を図ることができる。
【0051】
したがって、本実施形態では、ロボット2と作業者とが同じ空間を共有しながら、それぞれが独立した作業を行いつつも、時折協働するような状況において、安全性を担保しながらも、ロボット2の生産性を落とさず、ロボット2を作業者と自然に協働させることができ、また、ロボットの作業領域と作業者の作業領域とを区別する場合に比べて、作業空間が大きくなるのを抑制することができる。
【0052】
-他の実施形態-
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0053】
たとえば、上記実施形態では、ロボットがワークを搬送する例を示したが、これに限らず、ロボットがワークに対して加工などを行うようにしてもよい。すなわち、上記実施形態では、ロボット2が多軸アームおよびハンドを有する例を示したが、これに限らず、ロボットの構造はどのようなものであってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、作業者の位置に基づいて第1所定条件が成立するか否かが判断される例を示したが、これに限らず、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第1所定条件が成立するか否かが判断されるようにしてもよい。たとえば、以下の項目(1)~(7)の全てを満たす場合に第1所定条件が成立すると判断してもよいし、以下の項目(1)~(7)の中から適宜選択された少なくとも1つの項目を満たす場合に第1所定条件が成立すると判断してもよい。
【0055】
(1)作業者が予め設定された領域に位置していること
(2)作業者の胸部の前面がロボットに向いていること
(3)作業者の頭部の前面がロボットに向いていること
(4)作業者が予め設定された動作(ジェスチャー)を行ったこと
(5)作業者の視線がロボットに向いていること
(6)作業者が予め設定された音を発したこと
(7)作業者が予め設定されたワークをロボットに提供したこと(ロボットとの共同作業が開始される開始地点に、作業者が予め設定されたワークを配置したこと)
また、上記実施形態では、作業者の位置に基づいて第2所定条件が成立するか否かが判断される例を示したが、これに限らず、作業者の位置、作業者の姿勢、作業者の動作、作業者の視線の向き、作業者が発する音、および、作業者によって提供されるワークの少なくとも1つに基づいて、第2所定条件が成立するか否かが判断されるようにしてもよい。なお、第2所定条件の成否を判断する項目は上記した第1所定条件の成否を判断する項目と同じであるが、たとえば各項目において設定される内容(パラメータ)が異なっていてもよい。たとえば、以下の項目(8)~(14)の全てを満たす場合に第2所定条件が成立すると判断してもよいし、以下の項目(8)~(14)の中から適宜選択された少なくとも1つの項目を満たす場合に第2所定条件が成立すると判断してもよい。
【0056】
(8)作業者が予め設定された領域から去ったこと
(9)作業者の胸部の前面がロボットに向いていないこと
(10)作業者の頭部の前面がロボットに向いていないこと
(11)作業者が予め設定された動作を行ったこと
(12)作業者の視線がロボットに向いていないこと
(13)作業者が予め設定された音を発したこと
(14)作業者が予め設定されたワークをロボットに提供したこと(ロボットの単独作業が開始される開始地点に、作業者が予め設定されたワークを配置したこと)
また、上記実施形態では、作業者を避けるようにロボット2を迂回させることにより、作業者との干渉を回避させる例を示したが、これに限らず、ロボットの移動速度を低くすること、または、ロボットの移動を一時的に停止することにより、作業者との干渉を回避させるようにしてもよい。
【0057】
また、上記実施形態において、ロボット2による単独作業時に、ロボット2が作業者との衝突を回避しながら作業を継続する際に、ロボット2が減速および停止されないようにしてもよい。すなわち、独立モードは、ロボット2を減速および停止させることなく、作業者との衝突を避けながらロボット2を単独で作業させるモードであってもよい。なお、ロボット2を減速および停止させることなくとは、たとえば、ロボット2の移動速度が一定(回避の前後において同じまま)であってもよいし、ロボット2の迂回に伴う移動先への到達時刻の遅れが発生しないようにロボット2の移動速度が高くされてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、ステップS2において1回の単独作業が行われる例を示したが、これに限らず、単独作業が複数の作業単位によって構成されている場合には、ステップS2において作業単位が順に行われるようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、ワークの形状が鋭利である場合に離隔距離Dが大きくされる例を示したが、これに限らず、ワークの温度が高い場合に離隔距離が大きくされるようにしてもよいし、ワークが不安定である場合に離隔距離が大きくされるようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、ワークに応じて離隔距離Dが調整される例を示したが、これに限らず、ワークに応じてロボットの移動速度が調整されるようにしてもよい。たとえば、ワークの形状が鋭利である場合、ワークの温度が高い場合、および、ワークが不安定である場合に、ロボットの移動速度を低くしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、ロボット2の単独作業時の作業領域に作業者の体の一部が侵入した場合に初期化処理が行われる例を示したが、これに限らず、ロボットの単独作業時の作業領域中の予め設定された領域に作業者の体の一部が侵入した場合に初期化処理が行われるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、作業を行うロボットを制御する制御装置、制御方法およびプログラムに利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 制御装置(コンピュータ)
2 ロボット
3 撮像装置
11 演算部
12 記憶部
13 入出力部
100 ロボット制御システム