(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】カットアウト
(51)【国際特許分類】
H01H 85/30 20060101AFI20230821BHJP
H01H 85/02 20060101ALI20230821BHJP
H01H 85/042 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
H01H85/30
H01H85/02 S
H01H85/042
(21)【出願番号】P 2019181276
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000231154
【氏名又は名称】日本高圧電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】山田 昌彦
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-124455(JP,U)
【文献】特開昭56-093242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/30
H01H 85/02
H01H 85/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒューズが取り付けられたヒューズ筒と、下方開口する挿通口部を介して前記ヒューズ筒が装着される内部収容域を具備するカットアウト本体とを備え、
内部収容域に装着された状態のヒューズ筒は、
内部収容域内の通電位置と該内部収容域から下方へ突出した断線位置とに上下動可能であり、ヒューズの通電可能な状態では通電位置に位置し、該ヒューズが溶断された状態では通電位置から断線位置へ降動する断線表示部を備えているカットアウトにおいて、
前記カットアウト本体の下部に設けられており、前記断線位置へ降動したヒューズ筒の断線表示部が挿通される挿通空隙が内部に形成されている環状連設体と、
前記環状連設体において前記挿通空隙を介して対向状に配設された発光部と受光部とを備え、発光部から受光部に向けて発せられた光によって前記断線位置へ降動した断線表示部を検出する光センサと
を具備する断線検出装置を備え
、前記環状連設体は、左右二個に分割された環体により構成され、各環体の一方に発光部が配設され、他方に受光部が配設されてなる
ことを特徴とするカットアウト。
【請求項2】
断線検出装置の環状連設体は、
光センサの発光部と受光部との内方で横方向に延成されて該発光部および受光部を挿通空隙と隔てる透光性の保護部材を備えており、
光センサの発光部および受光部と、前記保護部材とのうち少なくとも一方が、横方向へ移動可能に設けられたものであることを特徴とする請求項1に記載にカットアウト。
【請求項3】
断線検出装置の環状連設体が、円環状を成すものであって、
保護部材が、光センサの発光部と受光部との内方に設けられており、環状連設体の内周面に沿う円環状を成し、該光センサの発光部および受光部と、前記保護部材とのうち少なくとも一方が、環状連設体の中心軸線と同軸で回動可能に設けられたものであることを特徴とする請求項2に記載のカットアウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧配電線路の変圧器1次側保護用として用いられるカットアウトに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧配電線路の変圧器1次側保護用として用いられるカットアウトは、一般的に、下方開口する挿通口部が設けられたカットアウト本体と、該カットアウト本体の内部に設けられた内部収容域に前記挿通口部を介して装着されるヒューズ筒とを備え、ヒューズ筒に設けられた断線表示部が、ヒューズの溶断により前記挿通口部から下方へ突出することによって、該溶断を外部から視認できるようになっている。こうした構成のカットアウトとして、例えば、特許文献1の構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的なカットアウトは、電柱や鉄塔の上部に配設されていることから、前記ヒューズが溶断したか否かを確認する点検作業は、該電柱の下から直接目視するか双眼鏡等を用いて目視することにより行われる。こうした点検作業では、目視する作業者とカットアウトとの距離が比較的離れていることから、誤認の虞がある。特に、雨や雪などの悪天候時には目視し難いことから、誤認し易い傾向にある。
さらに、前記鉄塔では、カットアウトの設置場所が高所にあることから、前記双眼鏡を用いるか該鉄塔を昇って目視する必要がある。ところが、鉄塔を昇る作業は、高所作業であることから、作業が繁雑化すると共に作業時間が長くなり易く、作業効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、ヒューズの溶断を正確かつ容易に確認することができ、該ヒューズの点検作業の作業効率を向上し得るカットアウトを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ヒューズが取り付けられたヒューズ筒と、下方開口する挿通口部を介して前記ヒューズ筒が装着される内部収容域を具備するカットアウト本体とを備え、内部収容域に装着された状態のヒューズ筒は、内部収容域内の通電位置と該内部収容域から下方へ突出した断線位置とに上下動可能であり、ヒューズの通電可能な状態では通電位置に位置し、該ヒューズが溶断された状態では通電位置から断線位置へ降動する断線表示部を備えているカットアウトにおいて、前記カットアウト本体の下部に設けられており、前記断線位置へ降動したヒューズ筒の断線表示部が挿通される挿通空隙が内部に形成されている環状連設体と、前記環状連設体において前記挿通空隙を介して対向状に配設された発光部と受光部とを備え、発光部から受光部に向けて発せられた光によって前記断線位置へ降動した断線表示部を検出する光センサとを具備する断線検出装置を備えたことを特徴とするカットアウトである。
【0007】
ここで、カットアウト本体は、略円筒形のものであっても良いし、略長方体形の箱状のものであっても良い。同様に、断線検出装置の環状連設体は、略円環状のものであっても良いし、略矩形の環状のものであっても良い。そして、カットアウト本体が略円筒形である場合には、略円環状の環状連設体が好適に用いられ、カットアウト本体が前記箱状である場合には、略矩形環状の環状連設体が好適に用いられる。
【0008】
かかる本発明の構成にあっては、ヒューズが溶断した場合に、該溶断により断線位置へ降動した断線表示部を光センサにより検出するため、該検出を外部出力して管理者に通知したり、該検出を所定の報知手段(光の点灯や音の発生などの手段)により報知したりすることができる。このように光センサによる検出を通知または報知する構成とすれば、ヒューズの溶断を正確且つ容易に確認できる。そして、前述した従来構成のように断線表示部を誤認する問題の発生を抑制でき、さらに前記高所作業も要しない。したがって、本発明の構成によれば、ヒューズの溶断を確認する点検作業を正確且つ容易に実行できると共に、該点検作業の作業効率を、飛躍的に向上させることができる。
【0009】
尚、本発明の構成は、ヒューズの溶断により断線位置へ降動する断線表示部を光センサにより検出するものであることから、もし仮に、光センサの検出に不具合が生じた場合であっても、断線表示部が断線位置にあるか否かを目視により確認することが可能である。すなわち、本発明の構成は、光センサに不具合が生じた場合にも、ヒューズの溶断を確認可能であるという利点も兼ね備えている。
【0010】
また、前述した本発明のカットアウトにあって、断線検出装置の環状連設体は、光センサの発光部と受光部との内方で横方向に延成されて該発光部および受光部を挿通空隙と隔てる透光性の保護部材を備えており、光センサの発光部および受光部と、前記保護部材とのうち少なくとも一方が、横方向へ移動可能に設けられたものである構成が提案される。
【0011】
前記保護部材は透光性であるため、発光部から発せられた光は保護部材を適正に通過して受光部に至る。ここで、ヒューズが溶断した際には内部収容域で小爆発が発生するため、内部収容域の壁面には煙や粉塵等の汚れが付着するところ、内部収容域と連通する挿通空隙においては、保護部材により光センサの発光部と受光部とが保護されているため、該発光部や受光部に煙等の汚れが付着することを防止できると共に、ヒューズ溶断時の衝撃等に伴う破損を防止できる。これにより、光センサによる断線表示部の検出を比較的長期に亘って正確かつ安定して行うことができると共に、断線検出装置の交換サイクルを長期化でき、該断線検出装置のメンテナンスや交換に掛かるコストを飛躍的に低減することができる。こうした本構成によれば、ヒューズが溶断した場合には、ヒューズ筒の交換のみで、光センサによる上述した本発明の作用効果が安定して生ずる。
【0012】
しかも本構成は、光センサの発光部および受光部と保護部材との少なくとも一方を横方向に移動可能とするものであり、該移動により両者の相対位置を変更可能としている。そのため、例えば、保護部材における、発光部や受光部に臨む部位が汚れたり傷付いたりして光センサの検出不備を招いた場合に、これら両者の相対位置を変更して汚れ等のない部位を定位置に配することで正常な検出可能状態を保つことができる。これにより、光センサによる断線表示部の検出を比較的長期に亘って行い得るという前述の作用効果を一層向上できる。
【0013】
また、前述した本発明のカットアウトにあって、断線検出装置の環状連設体が、円環状を成すものであって、保護部材が、光センサの発光部と受光部との内方に設けられており、環状連設体の内周面に沿う円環状を成し、該光センサの発光部および受光部と、前記保護部材とのうち少なくとも一方が、環状連設体の中心軸線と同軸で回動可能に設けられたものである構成が提案される。
【0014】
かかる構成にあっては、保護部材と発光部および受光部との相対位置を変更可能とする機構が極めて簡素化される利点があり、相対位置を変更させる作業負担も軽減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカットアウトによれば、前述したように、ヒューズの溶断を正確かつ容易に確認でき、該ヒューズの点検作業の作業効率を飛躍的に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明にかかるカットアウト1の正面図である。
【
図4】断線検出装置51の、(A)底面図と、(B)斜視図である。
【
図5】断線検出装置51の、(A)縦断面図と、(B)一部を切り欠いて示す斜視図である。
【
図6】(A)保護部材61を上方から視た斜視図と、(B)下方から視た斜視図である。
【
図7】(A)ヒューズ筒31の断線表示部32が通電位置にある状態と、(B)断線位置にある状態とを示す説明図である。
【
図8】別例の断線検出装置81を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明にかかる実施形態を添付図面に従って以下に説明する。
本実施例のカットアウト1は、
図1~3に示すように、略円筒状の磁器躯体11と、該磁器躯体11の上端に接合された上部ストレスコーン21と、該磁器躯体11の下部に接合された下部ストレスコーン22と、磁器躯体11の下端に取り付けられた下部カバー5とを具備するカットアウト本体2を備えている。また、カットアウト本体2の内部に形成された内部収容域12(
図3参照)には、ヒューズ筒3が着脱可能に装着される。具体的には、カットアウト本体2の下部に下向きに開口された挿通口部13を介してヒューズ筒3が内部収容域12に取り付けられる。なお、ヒューズ筒3は、図示しないヒューズが取り付けられている。また、磁器躯体11には、電柱の腕金(図示せず)に固結される取付金具8が取り付けられている。ここで、磁器躯体11、上部ストレスコーン21、下部ストレスコーン22、及び取付金具8等は、従来から公知のものを適用できることから、その詳細を省略する。こうした磁器躯体11等が開示された公知例としては、例えば特開平9-282998号公報がある。
【0018】
さらに、カットアウト本体2における下部カバー5の下部には、円環状の断線検出装置51が取り付けられている。さらに詳述すると、カットアウト本体2を構成する磁器躯体11、下部カバー5、および断線検出装置51は、該磁器躯体11の中心軸線L(
図3参照)を中心とする同軸線状に列設されており、前記内部収容域12が、挿通口部13と断線検出装置51内に形成された挿通空隙54と連通している。
【0019】
ここで、下部カバー5は、
図3に示すように、磁器躯体11に連設される円環状の上部連設管部6aと、該上部連設管部6aの下端から斜め下方へ裾拡がり状に延成された環状鍔部6bと、該環状鍔部6bの下端に連成された円環状の下部連設管部6cとから構成され、該下部連設管部6cに前記断線検出装置51が連設されている。こうした下部カバー5は、上下方向に連通し、前記挿通口部13を構成している。なお、断線検出装置51は、本発明の要部にかかることから、詳細は後述する。
【0020】
前記ヒューズ筒3は、
図3に示すように、図示しないヒューズが取り付けられるヒューズ筒本体31と、該ヒューズ筒本体31の下部に、上下方向に移動可能に設けられた円筒状の断線表示部32とを備える。断線表示部32は、移動下限の断線位置(
図7(B))と、該断線位置の上方の通電位置(
図7(A))とに移動可能となっており、ヒューズ筒本体31の下部に外嵌されたバネの付勢力によって、該断線位置へ付勢されている。そして、ヒューズ筒本体31の内部に取り付けられた前記ヒューズのヒューズリードによって、断線表示部32が前記バネの付勢力に抗して前記通電位置に保持されている(
図7(A)参照)。すなわち、断線表示部32は、ヒューズ筒本体31に取り付けられたヒューズが通電可能の状態で、前記通電位置で保持され、該ヒューズが溶断すると、前記バネの付勢力によって断線位置へ降動する(
図7(B)参照)。
【0021】
断線表示部32の通電位置は、
図3および
図7(A)に示すように、ヒューズ筒3がカットアウト本体2の内部収容域12に装着された状態で、該内部収容域12内に定められている。一方、断線位置は、
図7(B)に示すように、カットアウト本体2に取り付けられた断線検出装置51の挿通空隙54から下方に突出した位置に定められている。このように本実施例のカットアウト1は、ヒューズが溶断した場合に、ヒューズ筒3の断線表示部32が、内部収容域12の挿通口部13を介して断線検出装置51の挿通空隙54から下方へ突出し、該断線表示部32を外部から目視可能となっている。ここで、断線表示部32には、その外周面に、所定色の反射識別テープが貼り付けられており(図示せず)、目視により容易に確認できる構成となっている。尚、こうしたヒューズ筒3は、従来から公知のものを適用できることから、その詳細を省略する。
【0022】
次に、本発明の要部について説明する。
前述したように、本実施例のカットアウト1は、カットアウト本体2に円環状の断線検出装置51が取り付けられてなるものである。本実施例では、断線検出装置51が、図示しないネジによって、前記下部カバー5に固結される。
【0023】
断線検出装置51は、
図4,5に示すように、円環状の環状連設体52と、該環状連設体52に配設された光センサの発光部53aおよび受光部53bと、該光センサからの検出信号に基づいて所定信号の出力制御を行う出力装置(図示せず)と、該光センサおよび出力装置に電力供給するための電池(図示せず)とを備えてなる。さらに、環状連設体52には、前記光センサを構成する発光部53aと受光部53bとを保護するための円環状の保護部材61(
図6参照)が設けられている。
【0024】
環状連設体52は、リング状に形成されたものであり、その内側に、上下方向に貫通する円孔形状の挿通空隙54が形成されている。そして、環状連設体52の内周面には、挿通空隙54を介して互いに対向する部位に設置室55,55が夫々設けられ、さらに、各設置室55,55と挿通空隙54とを連通する窓部56,56が互いに対向するように開口形成されている。そして、一方の設置室55に前記光センサの発光部53aが設置され、他方の設置室55に該光センサの受光部53bが設置されており、該発光部53aから照射した光が前記各窓部56,56を介して該受光部53bにより受光される。
【0025】
また、環状連設体52の内部には、該環状連設体52の内周面に沿って周方向に連続する摺動穴部57が形成されている。この摺動穴部57は、断面矩形状の主摺動部57aと、該主摺動部57aの上端に連通する上部案内溝部57bと、主摺動部57aの下端に連通する下部案内溝部57cとを有している。そして、下部案内溝部57cは、環状連設体52の下面に開口している。こうした摺動穴部57は、環状連設体52の内周面と各設置室55,55との間に位置するように設けられており、各設置室55,55は、摺動穴部57よりも外側の位置に配されている。
【0026】
こうした環状連設体52の摺動穴部57には、前記保護部材61が周方向に回動可能に配設されている。ここで、保護部材61は、
図6に示すように、所定上下幅の湾曲板が周回されてなる主保護周部62と、該主保護周部62の上縁から上方へ突成された上挿通周部63aと、該主保護周部62の下縁から下方に突成された下挿通周部63bと備え、さらに、下挿通周部63bには、該下挿通周部63bの下端から下方へ突出する操作片部64が設けられている。前記上挿通周部63aと下挿通周部63bとは、主保護周部62に沿って形成されており、前記操作片部64は、下挿通周部63bの周方向の一部から下方へ突成されている。ここで、環状連設体52に設けられた状態の保護部材61においては、主保護周部62が前記摺動穴部57の主摺動部57aに回動可能に内装され、上挿通周部63aが前記上部案内溝部57bに回動可能に内装され、下挿通周部63bが前記下部案内溝部57cに回動可能に内装されている。そして、操作片部64は、下部案内溝部57cを介して環状連設体52の下方に突出している。この操作片部64を作業者がつまんで下部案内溝部57cに沿って保護部材61を移動させることにより、保護部材61を、環状連設体52に対して周方向へ回動させることができる。尚、保護部材61は、環状連設体52の中心軸線(前記中心軸線Lに相当)を中心とする同軸線状に配設されている。
【0027】
このように環状連設体52に配設された保護部材61は、該環状連設体52の前記窓部56,56と各設置室55,55との間に位置し、該保護部材61の主保護周部62によって、前記窓部56,56を介した該設置室55,55と挿通空隙54との連通を遮断する。これにより、各設置室55,55に設置された発光部53aと受光部53bとが、前記保護部材61の主保護周部62によって保護される。ここで、保護部材61は、透光性を有する材料により形成されたものであるため、発光部53aから発せられた光を、受光部53bが適正に受光できる。さらに、本実施例にあっては、保護部材61を環状連設体52に対して周方向へ一定間隔で回動させる機構を有している。この回動間隔は、前記した設置室55の窓部56の周方向幅よりも広くなるように設定されている。こうした機構により、保護部材61を、前記間隔で回動させる毎に、窓部56との相対位置を変えることができる。尚、一定間隔で回動させる機構としては、従前から公知の機構を適用可能である。例えば、環状連設体52と保護部材61との一方に設けられた凸部と、他方に一定間隔で複数設けられた凹部とが互いに軽く係止する構成が適用できる。
【0028】
また、環状連設体52における前記設置室55,55と異なる部位には、前記出力装置と電池とが夫々配設されている。さらに、環状連設体52には、LEDを備えた報知ランプが配設されており(図示せず)、該報知ランプは、出力装置から出力された信号によって発光制御される。すなわち、本実施例にあって、前記光センサは、発光部53aから連続的または断続的に発光するように作動制御され、前記出力装置には、発光部53aでの発光を示す信号と、受光部53bでの受光を示す信号とが夫々入力される。そして、出力装置は、発光部53aから信号を入力し且つ受光部53bから信号を入力しない場合に、前記報知ランプに所定信号を出力することによって該報知ランプを発光させる。
【0029】
次に、前述した断線検出装置51の作動態様について説明する。
本実施例のカットアウト1は、
図3,7(A)に示すように、ヒューズの通電状態で、ヒューズ筒3の断線表示部32が通電位置にある。この状態で、断線検出装置51では、光センサの発光部53aが連続的または断続的に発光して、受光部53bが受光する。そのため、前記出力装置では、報知ランプへ信号出力せず、該報知ランプが発光しない(消灯した状態で保たれる)。
【0030】
一方、ヒューズ筒3のヒューズが溶断すると、該ヒューズ筒3の断線表示部32が前記通電位置から断線位置へ降動する。この断線位置では、
図7(B)に示すように、断線表示部32が断線検出装置51の挿通空隙54を介して下方へ突出することから、該断線表示部32によって前記発光部53aから発せられた光が遮られる。これにより、出力装置は、受光部53bからの信号を入力できなくなり、前記報知ランプへ信号を出力して、該報知ランプを発光させる。このようにヒューズが溶断すると、報知ランプが発光することから、この報知ランプの発光を作業者が視認することによって、該ヒューズの断線を正確かつ容易に確認できる。ここで、報知ランプの発光は、比較的距離の離れた場所から視認し易いことから、カットアウト1の設置された電柱の下からでも容易に視認できる。
【0031】
また、本実施例の断線検出装置51は、光センサの発光部53aと受光部53bとが保護部材61により保護されていることから、該発光部53aや受光部53bへ煙や粉塵等の汚れの付着を防止できる。これと共に、ヒューズ溶断時の衝撃等による該発光部53aや受光部53bの破損を抑制できる。さらに、この保護部材61は、その操作片部64を操作することにより、窓部56,56を介して挿通空隙54に露出する露出部位を変更することができる。これにより、窓部56,56に臨む前記露出部位が汚れたり破損したりした場合に、前記操作片部64を操作して回動させることで、該汚れや破損等を生じていない部位を、新たな露出部位とすることができる。ここで、本実施例では、保護部材61を一定間隔毎に回動できることから、この回動毎に、汚れや破損等を生じていない部位を適正に露出部位とすることができる。こうしたことから、ヒューズの交換時や点検時に保護部材61の前記操作を行うことにより、光センサの誤作動を抑制でき、前述したヒューズ断線を検出する機能が正確かつ安定して発揮される状態で維持できる。
【0032】
このように本実施例のカットアウト1によれば、ヒューズの断線を前記報知ランプの発光によって正確かつ容易に視認できる。そのため、前述した従来構成のように、断線表示部を直接目視する作業を要せず、高所作業の必要性も低減できる。さらに、本実施例の構成によれば、雨や雪等の悪天候時であっても、正確に視認することが可能である。また、本実施例の断線検出装置51は、ヒューズの溶断により断線位置へ降動した断線表示部32を光センサにより検出するものであることから、もし仮に光センサの不具合(電力供給停止や故障など)が生じた場合にあっても、断線表示部32が断線位置にあるか否かを確認することによって、ヒューズの状態を確認できるという利点もある。
【0033】
また、本実施例の構成は、光センサの発光部53aと受光部53bとを保護する透光性の保護部材61を備えていることから、汚れの付着や損傷の発生などを防止でき、発光部53aや受光部53bを比較的長期に亘って使用でき、メンテナンスにかかる作業負担やコスト増を低減できる。さらに、こうした保護部材61が周方向に回転可能に配設されていることから、該保護部材61の回動によって、窓部56,56を介して挿通空隙54に露出する露出部位を変更できる。そのため、保護部材61の回転により露出部位を変更することで、該露出部位が汚れたり損傷したりすることにより生ずる光センサの誤作動を防止できる。
【0034】
また、本実施例の断線検出装置51は、光センサ(発光部53aおよび受光部53b)に電力供給するための電池を備えていることから、台風や地震等の災害時でも、ヒューズの断線を正確に確認できるという利点も有する。
【0035】
本発明は、前述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することが可能である。
例えば、前述した実施例にあって、断線検出装置51の挿通空隙54を下方から覆う蓋を設けた構成とすることも可能である。こうした蓋としては、透明なものや、断線表示部32を通過可能な開口部を設けたものとすることができる。または、放射状の切り込み部が形成された弾性部材からなる蓋を用いる構成としても良い。かかる構成では、ヒューズの溶断により断線表示部32が降動すると、前記切り込み部が断線表示部32に押されて下方へ弾性変形して、該断線表示部32が各切り込み部の隙間から下方へ突出する。
【0036】
前述した実施例では、断線検出装置51は、光センサに電力供給する電池を備えた構成であるが、これに限らず、電線から配電される構成とすることも可能である。かかる構成によれば、電池の寿命による交換作業を必要としないという優れた利点がある。
【0037】
また、前述した実施例では、断線検出装置51が、光センサにより断線表示部32を検出した場合に発光させる報知ランプを備えた構成であるが、これに限らず、例えば、断線表示部32の検出を示す電磁波を発信する機能を備えた構成とすることもできる。この構成にあって、出力装置は、発光部53aから信号を入力し且つ受光部53bから信号を入力しない場合に、前記電磁波を断続的に発信する。かかる構成の場合には、ヒューズの断線を点検する作業者が、この電磁波を受信する機能を有する携帯装置を用いることで、該断線か否かを正確かつ容易に確認できる。
さらに、断線表示部32の検出を示す信号を、所定場所に設置された管理装置へ送信する機能を備えた構成とすることも可能である。この構成にあって、出力装置は、発光部53aから信号を入力し且つ受光部53bから信号を入力しない場合に、前記信号を発信する。かかる構成の場合には、所定場所の前記管理装置でヒューズの断線を確認できる。
【0038】
また、前述の実施例は、断線検出装置51がカットアウト本体2の下部カバー5にネジにより固定される構成としたが、これに限らず、様々な連設手段によって該下部カバー5に断線検出装置を連設する構成とできる。
例えば、
図8に示すように、別例の断線検出装置81は、左右二個に分割された半円環体82a,82bにより環状連設体82が構成されている。ここで、各半円環体82a,82bは、半円環形の半リング体83,83と、各半リング体83,83に夫々設けられた外嵌部84,84とから構成されている。そして、左右の半円環体82a,82bは、夫々の一端に設けられた連設手段(例えば、蝶番等)によって軸支されており、夫々の他端に係合手段87a,87bが形成されている。こうした環状連設体82は、各半円環体82a,82bの外嵌部84,84によって下部カバー5を覆うようにして、前記係合手段87a,87bを係合させる。これにより、環状連設体82の各外嵌部84,84が下部カバー5に外嵌され、断線検出装置81が下部カバー5に後付けされる。
かかる別例の断線検出装置81は、各半円環体82a,82bに、前述した実施例と同様の設置室と窓86,86とが夫々形成され、一方の設置室に光センサの発光部が配設され、他方の設置室に該光センサの受光部が配設される。さらに、各半円環体82a,82bには、夫々の設置室に配設された前記発光部と受光部とを保護する保護部材が周方向に移動可能に配設されている。ここで、各半円環体82a,82bには、夫々の内周面に沿って実施例と同じ断面形状の摺動穴部が略半円周長で形成されており、各摺動穴部に前記保護部材が摺動可能に内装されている。この別例の保護部材は、実施例の保護部材と同様の断面形状を成すものであり、円弧状を成す。そして、各半円環体82a,82bに配設される夫々の保護部材に、前記摺動穴部を構成する下部案内溝90から下方に突出する操作片部94が設けられている。こうした各保護部材は、夫々の操作片部94を操作することによって、各窓86,86に対向する露出部位を変更できる。
こうした別例の構成は、下部カバー5との連設手段が異なる以外は実施例と同様の構成とできることから、該実施例と同様の作用効果を奏し得る。
【0039】
また、前述の実施例は、カットアウト本体2の磁器躯体11が円筒状を成すものであるが、これに限らず、略長方体状の箱型からなる磁器躯体であっても良い。ここで、箱形の磁器躯体からなるカットアウト本体を有する構成の場合には、矩形環状の断線検出装置を備えたものが好適である。こうした矩形環状の断線検出装置では、その環状連設体も矩形状であることから、該環状連設体の、互いに対向する内側面に設けられた窓部を介して光センサの発光部と受光部とが配設される。そして、各窓部が設けられた内側面に沿って横方向に移動可能な保護部材を設けた構成とすることが好適である。かかる構成にあっても、各保護部材を横方向に移動させることによって、各窓部に対向する露出部位を変更できる。このように箱型のカットアウト本体と矩形環状の断線検出装置とを備えた構成にあっても、前述した実施例と同様の作用効果を奏し得る。
【符号の説明】
【0040】
1 カットアウト
2 カットアウト本体
3 ヒューズ筒
12 内部収容域
13 挿通口部
32 断線表示部
51 断線検出装置
52 環状連設体
53a 発光部(光センサ)
53b 受光部(光センサ)
54 挿通空隙
61 保護部材