(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】垂直型連続めっき装置のための基板移送装置
(51)【国際特許分類】
C25D 17/06 20060101AFI20230821BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
C25D17/06 E
C25D17/06 G
H05K3/18 L
(21)【出願番号】P 2021501331
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 KR2020016465
(87)【国際公開番号】W WO2022107926
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】521013150
【氏名又は名称】ケーピーエムテック シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】KPMTECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】122, Sandan-ro 163beon-gil, Danwon-gu, Ansan-si, Gyeonggi-do 15429 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、ホゴン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、チュル
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、サンモ
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ユンキュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョンフン
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-173994(JP,A)
【文献】特開平06-299397(JP,A)
【文献】国際公開第2019/078712(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に配置される基板をめっき区間で連続移送する基板移送装置において、
メインフレーム100と、
基板1が装着される基板装着部200と、
前記メインフレーム100に配置され、前記基板装着部200の移送経路を形成するレール部300と、
前記基板1を前記レール部300にローディングし、前記レール部300に沿って初期区間を移動させるローディング部400と、
前記基板装着部200に備えられるクランピング部600と、
前記クランピング部600に結合及び結合解除可能に
形成され、前記基板装着部200を移送するワイヤ部700とを含
み、
前記ローディング部400は、
前記メインフレーム100に締結される固定レール410と、
前記固定レール410に締結され、前記固定レール410に沿って摺動移動可能な移動レール420と、
前記移動レール420に締結され、前記移動レール420に沿って摺動移動可能なスライドユニット430と、
前記スライドユニット430に対して上下移動可能に形成される昇降ユニット440と、
前記昇降ユニット440に配置され、前記クランピング部600に結合可能に形成される加圧ブロック450と、
前記加圧ブロック450に隣接して配置され、前記クランピング部600を加圧して作動させる作動ブロック460とを含み、
前記めっき区間において、前記クランピング部600が前記ワイヤ部700に締結され、前記基板装着部200が前記ワイヤ部700により移送されることで、前記基板1が前記ワイヤ部700により移送される基板移送装置。
【請求項2】
前記加圧ブロック450は、
前記加圧ブロック450の底面が上に向かって凹状に窪み、前記クランピング部600のプッシュローラ620に加圧接触する装着溝451と、
前記装着溝451の下端から傾斜して延設され、前記プッシュローラ620の締結を接触案内する傾斜面452とを含む、請求項
1に記載の基板移送装置。
【請求項3】
前記作動ブロック460は、
前記作動ブロック460の底面に水平方向に延び、前記クランピング部600に備えられる回動ローラ632の上面に加圧接触する水平面461と、
前記水平面461の一側から下方に延び、前記回動ローラ632の前面一側を接触案内する垂直面462とを含む、請求項
1に記載の基板移送装置。
【請求項4】
前記ローディング部400は、
前記移動レール420の一側に締結されるリンカーユニット470を含み、
前記リンカーユニット470は、
前記移動レール420に締結されるリンカーブラケット471と、
前記リンカーブラケット471に締結され、上下軸を中心に回動可能に形成され、前記クランピング部600に接触干渉するフラップ472と、
前記フラップ472に締結され、前記フラップ472を回動駆動するアクチュエータ473とを含む、請求項
1に記載の基板移送装置。
【請求項5】
前記リンカーユニット470は、
前記フラップ472が前記クランピング部600に接触干渉する干渉状態と、
前記フラップ472が前記干渉状態からある程度回動し、前記フラップ472と前記クランピング部600が離隔される非干渉状態とを有し、
前記ローディング部400は、
前記干渉状態において、前記クランピング部600の移動に連動し、前記非干渉状態において、前記クランピング部600の移動から分離される、請求項
4に記載の基板移送装置。
【請求項6】
垂直方向に配置される基板をめっき区間で連続移送する基板移送装置において、
メインフレーム100と、
基板1が装着される基板装着部200と、
前記メインフレーム100に配置され、前記基板装着部200の移送経路を形成するレール部300と、
前記基板1を前記レール部300にローディングし、前記レール部300に沿って初期区間を移動させるローディング部400と、
前記基板装着部200に備えられるクランピング部600と、
前記クランピング部600に結合及び結合解除可能に形成され、前記基板装着部200を移送するワイヤ部700とを含み、
前記クランピング部600は、
前記基板装着部200に締結されるクランピング部本体610と、
前記クランピング部本体610に回転可能に締結され、前記ローディング部400の加圧ブロック450に締結されるプッシュローラ620と、
一側に組立軸631を有し、前記組立軸631を中心に回動可能に前記クランピング部本体610に締結され、前記ローディング部400の作動ブロック460に加圧接触する回動ローラ632を備える回動ブラケット630と、
前記クランピング部本体610に対して前記回動ブラケット630を付勢する付勢部640とを含み、
前記めっき区間において、前記クランピング部600が前記ワイヤ部700に締結され、前記基板装着部200が前記ワイヤ部700により移送されることで、前記基板1が前記ワイヤ部700により移送される基板移送装置。
【請求項7】
前記クランピング部本体610は、
一側に第1のグリップ溝611を備え、
前記回動ブラケット630は、
前記第1のグリップ溝611に対応して形成され、前記第1のグリップ溝611と共に前記ワイヤ部700に結合及び結合解除可能に形成される第2のグリップ溝635aを備える、請求項
6に記載の基板移送装置。
【請求項8】
前記クランピング部600は、
前記回動ローラ632が前記作動ブロック460により加圧され、前記第1のグリップ溝611と前記第2のグリップ溝635aが初期状態から離隔し、前記ワイヤ部700から結合解除される第1の作動状態と、
前記作動ブロック460の加圧力が除去され、前記付勢部640により前記回動ローラ632が復帰し、前記第1のグリップ溝611と前記第2のグリップ溝635aとの間に前記ワイヤ部700が結合される第2の作動状態とを有する、請求項
7に記載の基板移送装置。
【請求項9】
前記クランピング部本体610は、
前記組立軸631から離隔され、前記回動ブラケット630とリンク結合される長孔状のガイド孔613を備え、
前記回動ブラケット630は、
前記ガイド孔613に締結され、前記組立軸631を中心とした前記回動ブラケット630の回転移動を案内する移動軸634と、
前記ローディング部400のリンカーユニット470に接触干渉するリンクブロック612とを含む、請求項
6に記載の基板移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板移送装置に関し、より具体的には垂直方向に配置される基板をめっき区間で連続移送するための基板移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板(printed circuit board;PCB)などの平板状の基板をめっきするための装置として、垂直型連続めっき装置(vertical continuous plating;VCP)が知られている。垂直型連続めっき装置は、移送方向に延びるめっき槽に基板を浸漬した状態で移送し、基板の表面などをめっきするためのものである。
【0003】
このような垂直型連続めっき装置において、めっき区間内で基板を移送するために基板移送装置が用いられる。基板移送装置は、複数の基板を所定の間隔で連続移送するように構成されており、現在はチェーンを用いた移送方法が一般に用いられている。
【0004】
しかしながら、このチェーン移送方法においては、現在まで多くの問題が指摘されている。代表的には、チェーンは長期間使用すると変形が生じるので、めっき区間で基板の間隔が一定に保たれないという問題がある。また、チェーンは構造的特性上、所定の脈動や振動が誘発されるので、その脈動などがめっき品質に悪影響を及ぼすという問題も指摘されている。前記問題は、最終的には基板のめっき品質を低下させたり、不規則なめっき偏差を生じさせる。特に、最近の電子機器などは、極度に軽薄短小化が追求されているので、高い精度が求められると共に、基板のめっき品質がより重要視されている。
【0005】
よって、特許文献1(発明の名称:めっき用ハンガー移送装置)、特許文献2(発明の名称:めっき装置のハンガー移送器具)などの新たな移送方法が提案されているが、その活用度は高くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許第10-2030399号公報
【文献】韓国登録特許第10-1434414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、垂直方向に配置される基板をめっき区間で連続移送するための基板移送装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、基板の移送中の脈動、揺れなどを大幅に低減させることができ、基板の間隔を一定に維持することができる基板移送装置を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、基板のめっき品質を改善し、基板間のめっき偏差を低減することができる基板移送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、垂直方向に配置される基板をめっき区間で連続移送する基板移送装置において、メインフレームと、基板が装着される基板装着部と、前記メインフレームに配置され、前記基板装着部の移送経路を形成するレール部と、前記基板を前記レール部にローディングし、前記レール部に沿って初期区間を移動させるローディング部と、前記基板装着部に備えられるクランピング部と、前記クランピング部に結合及び結合解除可能に形成され、前記基板装着部を移送するワイヤ部とを含む基板移送装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態による基板移送装置は、ワイヤを用いた移送方法により、従来のチェーン、ベルト方式などに比べて、移送中の基板の脈動、揺れなどを低減させることができる。よって、基板のめっき品質を改善することができる。
【0012】
また、本発明の実施形態による基板移送装置は、めっき処理の際に基板の間隔を低減することができ、ワイヤの剛性により、最初に設定された間隔を一定に保つことができる。よって、基板間のめっき偏差を低減することができ、生産性の改善にも一部寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】本発明の一実施形態による基板移送装置の要部斜視図である。
【
図4C】
図4Aに示すクランピング部の第1の作動状態図である。
【
図4D】
図4Aに示すクランピング部の第2の作動状態図である。
【
図5A】
図1Aに示す基板移送装置の第1の作動状態図である。
【
図5B】
図1Aに示す基板移送装置の第2の作動状態図である。
【
図5C】
図1Aに示す基板移送装置の第3の作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。しかしながら、これらの実施形態は本発明の理解を助けるために提供するものであり、本発明の範囲がこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は当該技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供するものであり、不要に本発明の技術的要旨を不明にすると判断される公知の構成については詳細な記述を省略する。
【0015】
図1Aは、本発明の一実施形態による基板移送装置の要部斜視図である。
図1Bは、
図1Aに示す基板移送装置の正面図である。
図1Cは、
図1Aに示す基板移送装置の側面図である。
図1Dは、
図1Aに示す基板移送装置の平面図である。
【0016】
便宜上、
図1Aなどに示す座標軸を基準に、x軸方向を左右方向、y軸方向を前後方向、z軸方向を上下方向とする。
【0017】
図1A~
図1Dに示すように、本実施形態の基板移送装置10は、基板1の移送のために用いられる。
【0018】
基板1は、プリント基板(printed circuit board;PCB)であってもよい。
【0019】
基板移送装置10は、基板1へのめっき(plating)のために用いられる。また、基板1は、基板移送装置10により移送され、めっき処理される。例えば、基板1は、基板移送装置10により移送され、銅(copper)または銅合金(copper alloy)でめっき処理される。
【0020】
しかしながら、基板移送装置10は、必ずしもめっき処理に限定されて適用されるわけではない。例えば、基板移送装置10は、上下に配置される基板1を所定の平面上で移送し、所定の加工処理を施すと共に、それに精密な振動、間隔などの制御が求められる分野、用途などに様々に活用することができる。
【0021】
また、本発明における「めっき」は、概して電気めっきの使用を意図したものであるが、溶融金属浸漬めっき、溶射噴霧めっき、蒸着めっき、陰極噴霧めっきなどの公知の他の方法のめっきを排除するものではない。さらに、場合によっては、各種表面処理加工が広く含まれる。
【0022】
場合によっては、基板移送装置10は、めっき装置の一部を構成する。すなわち、基板移送装置10は、めっき装置内で基板1を移送するために用いられ、めっき装置の一部を構成する。例えば、前記めっき装置は、基板1を垂直に立てて移送し、基板1の表面などに電流を供給してめっきを施す装置である。なお、そのようなめっき装置は、当該技術分野において垂直型連続めっき装置(vertical continuous plating;VCP)と呼ばれる。
【0023】
全体的に、本実施形態の基板移送装置10は、メインフレーム100と、基板1が装着される基板装着部200と、基板装着部200の移送経路を形成するレール部300と、基板1をレール部300にローディング及びアンローディングするローディング部400及びアンローディング部500と、基板装着部200に備えられ、ワイヤ部700に結合可能なクランピング部600と、クランピング部600に結合され、基板装着部200を一側(図の左側)に移送するワイヤ部700とを含む。
【0024】
その作動の概略を説明する。まず、基板装着部200に基板1が装着され、基板装着部200が初期位置(図の右端)に配置される。次に、ローディング部400がクランピング部600に締結され、基板装着部200がローディング部400に備えられるフラップ472によりレール部300に沿って一側(図の左側)に移送される。基板装着部200がローディング部400の一端(図の左端)に移送されると、クランピング部600がワイヤ部700に締結され、クランピング部600とローディング部400の結合が解除される。
【0025】
また、基板装着部200がワイヤ部700により一側(図の左側)に移送される過程で所定のめっき装置によりめっき処理される。なお、
図1Aなどにはめっき装置が省略されている。基板装着部200がワイヤ部700の一側端(図の左端)に移送されると、アンローディング部500がクランピング部600に締結され、クランピング部600とワイヤ部700の結合が解除される。また、アンローディング部500が基板装着部200をレール部300の一端(図の左端)に向けて移送する。
【0026】
アンローディング部500以降は、基板1に必要な後工程が適宜行われる。例えば、基板1が水洗過程を経て次の工程に送られ、基板装着部200が基板1から分離され、初期位置に復帰する。しかしながら、本発明において、アンローディング部500以降の工程は特に限定されるものではない。
【0027】
このような作動は、複数の基板装着部200または基板1において同時多発的に行われる。すなわち、基板移送装置10が複数の基板装着部200を備え、前述した作動が各基板装着部200において同時多発的に行われる。
【0028】
このような基板移送装置10は、めっき過程においてワイヤ部700により基板1が移送されるという1つの特徴を有する。ワイヤ部700による移送方法は、揺れや脈動を減少させることができるので、基板装着部200の間隔を一定に保つことができる。他の観点では、それは基板装着部200の間隔を小さくし、各基板1間のめっき偏差を低減することにも寄与する。
【0029】
以下、このような基板移送装置10の各構成についてより詳細に説明する。
【0030】
本実施形態の基板移送装置10は、メインフレーム100を含む。
【0031】
メインフレーム100は、基板移送装置10の全体的な外観を形成し、構成部品の装着のための支持構造を提供する。メインフレーム100は、骨組構造で形成されるが、所定の剛性を有して支持構造を提供するものであれば、その構造や形状が特に限定されるものではない。
【0032】
本実施形態の基板移送装置10は、メインフレーム100に設置されるレール部300を含む。
【0033】
レール部300は、概してメインフレーム100の上部で左右に延設される。本実施形態においては、レール部300がメインフレーム100とは区別される別個の部品である例を示すが、場合によっては、レール部300がメインフレーム100上に一体に形成されてもよい。
【0034】
レール部300は、所定の横断面形状を有して左右に延び、後述するレールブラケットの移動経路を形成する。
【0035】
必要に応じて、レール部300は、前後に離隔した一対で構成されてもよい。すなわち、レール部300は、前方レール310と、前方レール310の後方に所定間隔離隔して前方レール310に対応するように左右に延びる後方レール320とを含んでもよい。この場合、前方レール310は基板1のめっき処理のための移送経路を形成し、後方レール320は基板装着部200を再び初期位置に復帰させるために用いられる。
【0036】
【0037】
図2A~
図2Cに示すように、本実施形態の基板移送装置10は、ローディング部400を含む。
【0038】
ローディング部400は、概して基板装着部200の初期位置(図の右端)に対応するメインフレーム100の一側(右側)領域に配置される。ローディング部400は、初期位置に配置される基板装着部200をワイヤ部700の一端(図の左端)に移送する。複数の基板装着部200が備えられる場合、ローディング部400は、各基板装着部200を順次ワイヤ部700に移送する。各基板装着部200は、ローディング部400により所定の間隔で適宜離隔して配置される。
【0039】
具体的には、ローディング部400は、固定レール410及び移動レール420を含む。
【0040】
固定レール410は、左右に延設され、メインフレーム100に締結される。固定レール410は、メインフレーム100に固定される。移動レール420は、左右に延設され、固定レール410に締結される。ここで、移動レール420は、固定レール410に沿って摺動移動可能に固定レール410に締結される。
【0041】
なお、固定レール410に対する移動レール420の摺動移動は、後述するリンカーユニット470により受動的に行われる。
【0042】
一方、ローディング部400は、スライドユニット430及び昇降ユニット440を含む。
【0043】
スライドユニット430は、移動レール420に沿って摺動移動可能に移動レール420に締結される。スライドユニット430は、所定の駆動手段を有し、移動レール420に対して前後移動可能に形成される。
【0044】
昇降ユニット440は、スライドユニット430に対して上下に摺動移動可能に締結される。昇降ユニット440は、所定の駆動手段を有し、スライドユニット430に対して上下移動可能に形成される。
【0045】
なお、前記駆動手段は、モータ、アクチュエータなどの公知の駆動手段であり、スライドユニット430及び昇降ユニット440の各駆動手段は、必要に応じて、一体化させてもよく、別体に分離してもよい。また、本実施形態においては、スライドユニット430及び昇降ユニット440が略四角形のフレームやプレートの形態に形成される例を示すが、スライドユニット430及び昇降ユニット440の形態は必ずしもこれらに限定されるものではなく、必要に応じて様々に変形される。
【0046】
一方、ローディング部400は、加圧ブロック450を含む。
【0047】
加圧ブロック450は、昇降ユニット440に配置される。本実施形態において、加圧ブロック450は、概して昇降ユニット440の底面で前方に偏って配置される。
【0048】
加圧ブロック450は、装着溝451を備える。装着溝451は、加圧ブロック450の下部から上に向かって凹状に窪んだ溝で形成される。装着溝451は、後述するクランピング部600のプッシュローラ620を加圧支持する。よって、装着溝451は、プッシュローラ620に対応する形状、大きさに形成されることが好ましい。
【0049】
必要に応じて、加圧ブロック450は、傾斜面452を備えてもよい。傾斜面452は、装着溝451の下部で加圧ブロック450の下端に向かってテーパ(taper)状に延設される。よって、加圧ブロック450の下端の開口部(opening)の幅は、装着溝451の幅に比べて、ある程度大きく形成されるので、プッシュローラ620は、傾斜面452により案内されて装着溝451に安定して締結される。
【0050】
一方、ローディング部400は、作動ブロック460を含む。
【0051】
作動ブロック460は、加圧ブロック450に隣接するように昇降ユニット440に配置される。本実施形態において、作動ブロック460は、概して昇降ユニット440の底面で加圧ブロック450の後方に離隔して配置される。
【0052】
作動ブロック460は、後述するクランピング部600の回動ローラ632に対応するように配置され、昇降ユニット440の動作により回動ローラ632を加圧支持する。また、作動ブロック460は、回動ローラ632を加圧して回動させ、クランピング部600をワイヤ部700に結合または結合解除させる。これについては、クランピング部600と共に後述する。
【0053】
このような作動のために、作動ブロック460は、所定の駆動手段により上下移動可能に形成される。作動ブロック460の駆動手段は、昇降ユニット440とは区別され、作動ブロック460を独立して昇降移動させるように形成される。
【0054】
必要に応じて、作動ブロック460は、水平面461及び垂直面462を備えてもよい。水平面461は、昇降ユニット440の底面で略水平に延設され、垂直面462は、水平面461の一端(図の前端)から略垂直に延設される。この場合、水平面461は、回動ローラ632の上面を加圧し、垂直面462は、回動ローラの転がり面に接触案内し、安定した加圧動作が行われるようにする。
【0055】
この場合、作動ブロック460は、傾斜面463をさらに備える。傾斜面463は、垂直面462の下端がある程度傾斜するように切り欠いて形成される。傾斜面463は、回動ローラ632が垂直面462の下端に進入する際に回動ローラ632の円滑な進入を誘導する。
【0056】
一方、ローディング部400は、リンカーユニット470を含む。
【0057】
リンカーユニット470は、移動レール420の底面の一側(図の左側)部位に配置され、移動レール420に締結される。リンカーユニット470は、移動レール420に固定設置されるので、リンカーユニット470及び移動レール420は固定レール410に沿って左右に共に移動する。より明確には、移動レール420は、リンカーユニット470がスライドユニット430と共に一側(図の左側)に移動することにより、固定レール410に対して左右に移動する。
【0058】
リンカーユニット470は、リンカーブラケット471、フラップ472及びアクチュエータ473を備える。リンカーブラケット471は、移動レール420の底面に装着され、フラップ472及びアクチュエータ473は、リンカーブラケット471に締結される。ここで、フラップ472は、第1ヒンジ472aを介してリンカーブラケット471に締結され、アクチュエータ473は、作動アームが第2ヒンジ473aを介してフラップ472に締結される。第1及び第2ヒンジは、それぞれ上下方向の回転軸となり、互いに前後に所定間隔離隔される。
【0059】
このような結合構造により、フラップ472は、第1ヒンジ472aを中心に一方向に回動し、前方にある程度突出して配置されるか、アクチュエータ473により逆方向に回動し、略左右方向に整列して配置される。前者の場合、フラップ472は後述するクランピング部600のリンクブロック612に接触及び干渉し、後者の場合、フラップ472はリンクブロック612から離隔する。よって、前者を「干渉状態」といい、後者を「非干渉状態」という。
【0060】
リンカーユニット470の作動については、クランピング部600と共に後述する。
【0061】
一方、本実施形態の基板移送装置10は、アンローディング部500を含む。
【0062】
図1Aなどに示すように、アンローディング部500は、概してローディング部400の反対側(図の左端)に配置される。アンローディング部500は、ワイヤ部700により移送された基板装着部200をワイヤ部700から結合解除する。すなわち、基板装着部200は、ワイヤ部700から離脱し、アンローディング部500に支持され、アンローディング部500により次の工程に適宜送られる。
【0063】
アンローディング部500は、配置または機能が一部異なるだけで、概して前述したローディング部400と同一または類似するので、その詳細な説明は省略する。
【0064】
【0065】
図3A及び
図3Bに示すように、本実施形態の基板移送装置10は、基板装着部200を含む。
【0066】
基板装着部200は、レール部300に沿って移動可能にレール部300に設置される。また、基板装着部200には、基板1が装着される。基板1は、基板装着部200に装着された状態でレール部300に沿って移動し、所定のめっき装置によりめっき処理される。
【0067】
複数の基板装着部200が備えられてもよい。
図1Aなどにおいては、便宜上、両端に基板装着部200をそれぞれ1個ずつのみ示しているが、より多くの基板装着部200が備えられてもよく、複数の基板装着部200は、左右に隣接して配置され、レール部300に沿って移送される。よって、複数の基板装着部200におけるめっき処理が連続的または同時多発的に行われる。
【0068】
一方、基板装着部200は、レール装着ブラケット210を備える。
【0069】
レール装着ブラケット210は、概して基板装着部200の上部に配置され、レール部300の一側(後方)に延設される。
【0070】
レール装着ブラケット210は、レール部300に沿って転がり移動できるように複数のローラ211、212を備える。レール装着ブラケット210は、概してレール部300の上部の側面に接触して転がる一対の上部ローラ211と、概してレール部300の下部の側面に接触して転がる一対の下部ローラ212とを備えることが好ましい。一対の上部ローラ211及び下部ローラ212は、それぞれ左右に離隔して配置される。
【0071】
また、上部ローラ211は、レール部300の一面(例えば、前面)に接触して転がるように配置され、下部ローラ212は、レール部300の反対面(例えば、背面)に接触して転がるように配置される。よって、レール装着ブラケット210は、基板装着部200をレール部300に支持する機能を兼ね備える。
【0072】
一方、基板装着部200は、基板装着フレーム220を備える。
【0073】
基板装着フレーム220は、レール装着ブラケット210から前方に延び、基板1を装着するための支持構造を提供する。基板装着フレーム220は、所定の形状及び構造を有するフレーム、プレートなどの形態に形成される。本実施形態においては、略四角形のフレームの形態に形成される例を示すが、基板装着フレーム220の形態は必ずしもこれらに限定されるものではなく、必要に応じて適宜変形される。
【0074】
また、基板装着フレーム220は、基板1をクランピングするための上部クランパ221及び下部クランパ222を備える。上部クランパ221は、基板装着フレーム220の上側に左右に離隔して複数配置され、下部クランパ222は、基板装着フレーム220の下側に左右に離隔して複数配置される。
【0075】
図示していないが、必要に応じて、基板装着部200は、振動発生手段を備えてもよい。
【0076】
振動発生手段は、基板装着部200の一側に配置され、基板装着部200に所定の周波数の微細振動を印加する。例えば、振動発生手段は、レール装着ブラケット210の一側に装着され、レール装着ブラケット210に機械的に接触し、レール装着ブラケット210またはそれに支持された基板1を微細振動させる。しかしながら、振動発生手段は、基板1に所定の振動を伝達できる位置であれば、いかなる位置に装着または配置されてもよく、必ずしもレール装着ブラケット210などに装着位置が限定されるものではない。振動発生手段は、基板1に微細振動を印加することにより、基板1に形成される微細孔などにめっき液などが良好に流入するようにし、めっき品質の改善に寄与する。
【0077】
【0078】
図4A及び
図4Bに示すように、本実施形態の基板移送装置10は、クランピング部600を含む。
【0079】
クランピング部600は、基板装着部200の一側に装着される。より具体的には、同図に示すように、クランピング部600は、前述したレール装着ブラケット210の上面に配置され、レール装着ブラケット210に装着される。よって、クランピング部600は、基板装着部200と共に移動する。
【0080】
クランピング部600は、複数の基板装着部200に対応するように、複数備えられる。すなわち、複数の基板装着部200は、それぞれのクランピング部600を備える。
【0081】
クランピング部600は、ローディング部400またはアンローディング部500に締結されてローディング部400またはアンローディング部500により移送されるか、ワイヤ部700に締結されてワイヤ部700により移送される。クランピング部600は少なくともめっき処理区間ではワイヤ部700に締結されるので、クランピング部600または基板装着部200はめっき処理区間内でワイヤ部700により移送されることが好ましい。
【0082】
一方、クランピング部600は、クランピング部本体610を備える。
【0083】
クランピング部本体610は、レール装着ブラケット210に締結される。クランピング部本体610は、クランピング部600の各構成要素を装着支持する所定のフレーム、ブラケット、ボディなどの形態に形成される。しかしながら、クランピング部600の形態は必ずしもこれらに限定されるものではなく、それと同一または類似の機能を有する様々な形態に変形される。
【0084】
クランピング部本体610には、第1のグリップ溝611が形成される。第1のグリップ溝611は、概してクランピング部本体610の後端部位に形成され、ワイヤ部700に対応する部分円形または円弧の形状に形成される。第1のグリップ溝611は、後述する第2のグリップ溝635aに対応し、ワイヤ部700を把持するための結合構造を提供する。
【0085】
また、クランピング部本体610は、リンクブロック612を備える。リンクブロック612は、クランピング部本体610の後端部位で上向きに所定の高さで突設される。リンクブロック612は、前述したリンカーユニット470に干渉し、移動レール420または基板装着部200を移動させる。これについては、クランピング部600の作動と共に後述する。
【0086】
クランピング部本体610は、ガイド孔613を備える。ガイド孔613は、クランピング部本体610を左右に貫通するように形成され、後述する移動軸634の移動軌跡に沿って長孔状に延びる。よって、ガイド孔613は、移動軸634の移動を案内する。
【0087】
一方、クランピング部600は、プッシュローラ620を備える。
【0088】
プッシュローラ620は、クランピング部本体610の前端部位に配置され、クランピング部本体610に回転可能に支持される。プッシュローラ620は、略前後方向の回転軸を有し、クランピング部本体610に締結される。
【0089】
プッシュローラ620は、前述したローディング部400の加圧ブロック450に締結される。すなわち、加圧ブロック450は、昇降ユニット440により下降し、装着溝451にプッシュローラ620が加圧支持されることにより、プッシュローラ620に締結される。加圧ブロック450の下端の傾斜面452は、このような装着溝451とプッシュローラ620の締結位置を矯正する。
【0090】
基板装着部200は、このようなプッシュローラ620と加圧ブロック450の結合により、前述したスライドユニット430と共に左右に移動する。すなわち、プッシュローラ620は、基板装着部200の左右移動のための支持手段として機能する。
【0091】
一方、クランピング部600は、回動ブラケット630を備える。
【0092】
回動ブラケット630は、プッシュローラ620から前後に所定間隔離隔し、クランピング部本体610に回動可能に締結される。具体的には、回動ブラケット630は、後端に組立軸631を有し、その組立軸631を介してクランピング部本体610に回動可能に締結される。組立軸631は、略左右方向の回転軸を形成する。
【0093】
また、回動ブラケット630は、回動ローラ632を備える。回動ローラ632は、左右方向のローラ軸632aを有し、回動ブラケット630の前端に回動可能に締結される。なお、これは、前述したプッシュローラ620が前後方向の回転軸を有するのと対照的である。
【0094】
回動ローラ632は、前述した作動ブロック460により加圧されて移動する。すなわち、回動ローラ632は、作動ブロック460により下方に加圧されて移動したり、加圧が解除されて上方に復帰する。このような回動ローラ632の移動は、組立軸631を中心とした回動ブラケット630の回動により行われる。
【0095】
ここで、前述した作動ブロック460は、水平面461が回動ローラ632の上側に接触して加圧し、垂直面462が回動ローラ632の前方に接触案内することにより、安定して加圧動作が行われるようにする。また、作動ブロック460の下端の傾斜面463は、作動ブロック460と回動ローラ632間の初期接触が円滑に行われるようにする。
【0096】
さらに、回動ブラケット630は、スプリング軸633及び移動軸634を備える。スプリング軸633は、後述する付勢部640を締結するためのものであり、同図に示すように、ローラ軸632aの下側に離隔して配置され、左右方向の回転軸を形成する。
【0097】
移動軸634は、スプリング軸633から所定間隔離隔して配置され、前述したガイド孔613に締結される。移動軸634は、回動ローラ632の移動に対応してガイド孔613に沿って移動する。それにより、回動ローラ632または回動ブラケット630の回動動作が案内される。
【0098】
また、回動ブラケット630は、グリッパ635を備える。グリッパ635は、概して回動ブラケット630の後端部位で下方に延設される。グリッパ635は、第2のグリップ溝635aを備え、第2のグリップ溝635aは、前述した第1のグリップ溝611に対応する部分円形または円弧の形状に形成される。クランピング部600は、第1のグリップ溝611と第2のグリップ溝635a間でワイヤ部700に加圧接触し、ワイヤ部700に締結される。
【0099】
一方、クランピング部600は、付勢部640を備える。
【0100】
付勢部640は、クランピング部本体610と回動ブラケット630間で回動ブラケット630を付勢する。付勢部640は、一端(前端)がクランピング部本体610に回動可能に締結され、反対側の他端(後端)が回動ブラケット630に回動可能に締結される。
【0101】
付勢部640は、第1のグリップ溝611及び第2のグリップ溝635aが互いに接近する方向に回動ブラケット630を付勢する。よって、外力が加えられない状態では、第1のグリップ溝611及び第2のグリップ溝635aは互いに接近する方向に付勢され、ワイヤ部700などに締結される。
【0102】
また、その状態で外力が作用すると(すなわち、作動ブロック460が回動ローラ632を加圧すると)、外力により付勢部640が弾性的に圧縮変形する。そうすると、第1のグリップ溝611及び第2のグリップ溝635aは、互いに離隔する方向に移動し、ワイヤ部700などから離脱する。
【0103】
必要に応じて、付勢部640は、クランピング部本体610の前端部位とスプリング軸633間に締結されたシリンダ641と、シリンダ641の前後端間を付勢する圧縮スプリング642とから構成されてもよい。また、図示していないが、圧縮スプリング642などには、異物などの流入を遮断するためのカバー部材が被せられる。
【0104】
図4Cは、
図4Aに示すクランピング部の第1の作動状態図である。
【0105】
図4Cは、外力が加えられていない状態を示す図である。
図4Cに示すように、第1の作動状態において、付勢部640が回動ブラケット630を付勢し、第1のグリップ溝611及び第2のグリップ溝635aが互いに接近する方向に配置される。この状態において、第1のグリップ溝611及び第2のグリップ溝635aがワイヤ部700に加圧接触し、ワイヤ部700に締結される。
【0106】
このような第1の作動状態は、概してワイヤ部700によるクランピング部600または基板装着部200の移動区間で維持される。あるいは、第1の作動状態は、基板1がめっき処理される移動区間で維持される。すなわち、クランピング部600または基板装着部200は、第1の作動状態でワイヤ部700に締結され、ワイヤ部700の移動に伴って移送され、めっき処理される。
【0107】
図4Dは、
図4Aに示すクランピング部の第2の作動状態図である。
【0108】
図4Dは作動ブロック460により回動ローラ632に加圧力が作用した状態を示す図である。
図4Dに示すように、第2の作動状態において、回動ローラ632が作動ブロック460により下方にある程度加圧されるので、回動ブラケット630が組立軸631を中心にある程度回動(図の反時計方向)する。また、グリッパ635が組立軸631を中心に対応する方向(図の反時計方向)に回動し、第1のグリップ溝611と第2のグリップ溝635a間が離隔され、ワイヤ部700から結合解除される。
【0109】
このような第2の作動状態は、概してワイヤ部700の移送区間を除くローディング部400またはアンローディング部500の移送区間で維持される。あるいは、第2の作動状態は、めっき処理の前後の移送区間で維持される。すなわち、クランピング部600または基板装着部200は、第2の作動状態でワイヤ部700の前端区間まで移送されるか、ワイヤ部700の後端で離脱する。
【0110】
一方、
図1Aなどに示すように、本実施形態の基板移送装置10は、ワイヤ部700を含む。
【0111】
ワイヤ部700は、メインフレーム100に支持され、基板装着部200を左右に移送する。ワイヤ部700は、概して基板1がめっき処理される区間で基板1の移送手段として用いられる。
【0112】
ワイヤ部700は、柔軟な材質の金属ワイヤで形成される。ワイヤ部700は、耐食性を有し、基板1などの重量に対して好ましい張力を維持するステンレス製の金属ワイヤで形成されることが好ましい。しかしながら、ワイヤ部700の材質が必ずしもこれらステンレスなどに限定されるものではなく、場合によっては、それと同一または類似の性質を有する他の材質に代替される。
【0113】
ワイヤ部700は、長手方向(図の左右方向)に移送される。よって、ワイヤ部700に締結された基板装着部200などがワイヤ部700に伴って移送され、移送過程で所定のめっき処理が行われる。
【0114】
図には明確に示していないが、ワイヤ部700は、牽引ホイールなどの所定の駆動手段により長手方向に移送される。また、ワイヤ部700は、閉ループを形成し、長手方向に移送され、必要に応じて、好ましい張力を維持するための張力維持手段などが付加されてもよい。しかしながら、本実施形態において、ワイヤ部700の移送経路や形態などは、特に限定されるものではない。
【0115】
このようなワイヤ部700は、従来の方法に比べて、移送の際の脈動を減少させ、基板1または基板装着部200の間隔を小さくするのに寄与する。
【0116】
これについて説明する。従来から普遍的に用いられている方法はチェーンを用いるものであるが、その場合、チェーンの構造的特性上、移動の際に所定の脈動が発生する。また、基板装着部に対応するハンガーなどが単にチェーンの上に載置されて移送される構造を有するので、長時間駆動するとハンガーの位置が変更されるという問題が生じていた。さらに、他の方法としてベルトを用いるものが知られているが、これはウレタン素材などで作製されたベルトが伸びるので、関連分野において有用ではない。本実施形態の基板移送装置10は、ワイヤ部700を用いた新たな方法の移送構造を導入することにより、このような従来の問題を解決している。
【0117】
以下、このような基板移送装置10の動作について説明する。
【0118】
図5Aは、
図1Aに示す基板移送装置の第1の作動状態図である。
【0119】
便宜上、
図5Aなどにおいては、ローディング部400部位での作動を中心に説明する。アンローディング部500部位では反対の順序で同一または類似の作動が行われる。
【0120】
また、
図5Aなどにおいては、複数の基板1-1、1-2が連続してローディングされると仮定し、第1基板1-1が先にローディング及び移送されている状態で、第2基板1-2が新たにローディングされる過程を中心に説明する。さらに、便宜上、第1基板1-1の移送に関する構成要素については第1基板装着部200-1などといい、第2基板1-2の移送に関する構成要素については同様に第2基板装着部200-2などという。
【0121】
図5Aに示すように、第1基板1-1が第1基板装着部200-1に装着され、ワイヤ部700により移送される過程において、第2基板1-2が装着された第2基板装着部200-2が初期位置に配置される。
【0122】
第2基板装着部200-2が初期位置に配置されると、スライドユニット430が対応する位置に移動し、加圧ブロック450が下降する。よって、加圧ブロック450が第2基板装着部200-2に配置される第2クランピング部600-2(すなわち、プッシュローラ620)に締結される。次に、作動ブロック460が下降し、第2クランピング部600-2(すなわち、回動ローラ632)を下方に加圧支持する。すなわち、第2クランピング部600-2は、
図4Dの第2の作動状態となる。
【0123】
それと共に、第1基板装着部200-1に配置される第1クランピング部600-1がリンカーユニット470に接触する。具体的には、リンカーユニット470のフラップ472が第1クランピング部600-1の移動経路上に回動し、第1クランピング部600-1の一側(すなわち、リンクブロック612)がフラップ472に接触する。よって、リンカーユニット470が第1クランピング部600-1に干渉し、第1クランピング部600-1と共にワイヤ部700に伴って移送される。
【0124】
また、移動レール420及び第2基板装着部200-2は、このようなリンカーユニット470と共に一側(図の左側)に牽引される。
【0125】
図5Bは、
図1Aに示す基板移送装置の第2の作動状態図である。
【0126】
図5Bに示すように、第1基板装着部200-1が予め設定された所定位置まで移動すると、スライドユニット430が駆動され、第2基板装着部200-2が第1基板装着部200-1に隣接する位置に移送される。ここで、第2基板装着部200-2が予め設定された所定の間隔で第1基板装着部200-1から離隔し、概してワイヤ部700の前端部位に配置される。
【0127】
次に、第2基板装着部200-2の第2クランピング部600-2がワイヤ部700に締結される。具体的には、作動ブロック460が昇降し、第2クランピング部600-2(すなわち、回動ローラ632)の拘束が解除されると、第2付勢部640-2により第2回動ブラケット630-2が回動する。よって、第2クランピング部600-2(すなわち、グリッパ635)がワイヤ部700に締結される。すなわち、第2クランピング部600-2が
図4Cの第1の作動状態に切り替わる。また、加圧ブロック450も昇降し、第2基板装着部200-2がワイヤ部700により移送される。
【0128】
これと共に、リンカーユニット470が第1クランピング部600-1から離脱する。すなわち、リンカーユニット470のフラップ472が逆方向に回動し、第1クランピング部600-1から接触解除される。よって、第1基板装着部200-1がフラップ472に干渉されることなくワイヤ部700により移送される。
【0129】
図5Cは、
図1Aに示す基板移送装置の第3の作動状態図である。
【0130】
図5Cに示すように、次にスライドユニット430が
図5Aの初期位置に復帰し、新たに投入される第3基板装着部200-3のために待機する。スライドユニット430が前述した第2基板装着部200-2と同様に第3基板装着部200-3に締結され、前述した作動過程を繰り返す。
【0131】
また、リンカーユニット470のフラップ472が再び回動し、スライドユニット430の復帰及び第2基板装着部200-2の移動により、第2クランピング部600-2と次第に接近し、第2クランピング部600-2に接触して干渉する。よって、前述したように、リンカーユニット470が第2クランピング部600-2に干渉し、ワイヤ部700に伴って移送される。
【0132】
前述したように、本発明の実施形態による基板移送装置10は、垂直方向に配置される基板1をめっき区間で連続移送するために用いられる。
【0133】
特に、本発明の実施形態による基板移送装置10は、ワイヤを用いた移送方法により、従来のチェーン、ベルト方式などに比べて、移送中の基板の脈動、揺れなどを低減させることができる。よって、基板1のめっき品質を改善することができる。
【0134】
また、本発明の実施形態による基板移送装置10は、めっき処理の際に基板1の間隔を好適に調節することができ、ワイヤの剛性により、最初に設定された間隔を一定に保つことができる。よって、基板1間のめっき偏差を低減することができ、生産性の改善にも一部寄与する。
【0135】
以上、本発明の実施形態について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲で構成要素の付加、変更、削除、追加などにより本発明を様々に修正及び変更することができ、それらも本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0136】
1 基板
10 基板移送装置
100 メインフレーム
200 基板装着部
210 レール装着ブラケット
220 基板装着フレーム
300 レール部
400 ローディング部
410 固定レール
420 移動レール
430 スライドユニット
440 昇降ユニット
450 加圧ブロック
460 作動ブロック
470 リンカーユニット
500 アンローディング部
600 クランピング部
610 クランピング部本体
620 プッシュローラ
630 回動ブラケット
640 付勢部