(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】2つのガス入口部を有するプラズマ装置
(51)【国際特許分類】
H05H 1/26 20060101AFI20230821BHJP
A61L 2/14 20060101ALI20230821BHJP
A61N 1/44 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
H05H1/26
A61L2/14
A61N1/44
(21)【出願番号】P 2021576875
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2020098078
(87)【国際公開番号】W WO2020259578
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-02-16
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521562094
【氏名又は名称】エバーニュー・バイオテック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EVERNEW BIOTECH, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チェンナン
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050267(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230696(WO,A1)
【文献】特表2019-531105(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0107290(KR,A)
【文献】特開2002-273156(JP,A)
【文献】国際公開第2018/193997(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00-1/54
A61L 2/14
A61N 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニットと、
前記制御ユニットに接続されたプラズマ発生器と、
を備え、
前記制御ユニットは、
第1ガス入口部及び第1ガス制御部を有する第1ガスモジュールと、
第2ガス入口部及び第2ガス制御部を有する第2ガスモジュールと、
総ガス流検知器と、
高電圧発生器と、
を備え、
前記プラズマ発生器は、
第1端部及び第2端部を有するプラズマチューブと、
前記プラズマチューブの内面上に配置された第1誘電体層と、
前記第1誘電体層上に配置された第1電極と、
前記第1電極上に配置された第2誘電体層と、
前記第2誘電体層上に配置された第2電極と、
前記プラズマチューブの第2端部に配置されたプラズマノズルと、
を備
え、
前記第2電極は、内部に複数の中空の円筒部を有する円筒形状であり、
前記複数の中空の円筒部は、前記第2電極の延在方向に沿って延在している、
2つのガス入口部を有する装置。
【請求項2】
制御ユニットと、
前記制御ユニットに接続されたプラズマ発生器と、
を備え、
前記制御ユニットは、
第1ガス入口部及び第1ガス制御部を有する第1ガスモジュールと、
第2ガス入口部及び第2ガス制御部を有する第2ガスモジュールと、
総ガス流検知器と、
高電圧発生器と、
を備え、
前記プラズマ発生器は、
第1端部及び第2端部を有するプラズマチューブと、
前記プラズマチューブの内面上に配置された第1誘電体層と、
前記第1誘電体層上に配置された第1電極と、
前記第1電極上に配置された第2誘電体層と、
前記第2誘電体層上に配置された第2電極と、
前記プラズマチューブの第2端部に配置されたプラズマノズルと、
を備え、
前記第2電極は、内部に複数の小葉形状の中空の管部を有する円筒形状であり、
前記複数の小葉形状の中空の管部は、前記第2電極の延在方向に沿って延在している、
2つのガス入口部を有する装置。
【請求項3】
前記プラズマ発生器は、実質的に回転対称形状の前記第2電極を備える、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記プラズマ発生器は、前記第1端部及び前記第2端部にそれぞれ配置された上部カバーと底部カバーとを更に備え、
前記上部カバーは、コネクタを介して前記制御ユニットに接続され、
前記底部カバーに、プラズマノズルが配置される、
請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)と、
ブザーと、
交流/直流変換器と、
ヒューマンマシンインターフェース(HMI)と、
を更に備える、
請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、電源に接続される、請求項1
又は2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本非仮出願は、米国特許法第119条(a)(35 U.S.C. §119(a))のもとにおいて、2019年6月24日に出願された米国特許仮出願第62/865,511号について優先権を主張するものである。当該米国特許仮出願の内容の全体は、参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本開示は、微生物又はウイルスを不活性化し、血液の微小循環を改善するためのプラズマ装置に関する。特に、本開示は、異なるガスを注入するための2つのガス入口部を有するプラズマ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
大気中の高温プラズマは、自然現象中に存在する。プラズマは、大きなエネルギーを有するので、表面コーティングやディスプレイ装置などを含む様々な用途に使用されている。また、当技術分野では、低温プラズマ処理も知られている。陽極と陰極との構成は、様々なガスの種類、例えば大気中の空気又は希ガスに由来する低温プラズマを発生させることができる。低温大気圧プラズマの温度は、人体の治療に十分なほど比較的低い。そのため、先行技術において、様々なプラズマ処理の方法が報告されている。プラズマ処理の方法は、治療される人体を損傷することなく、芽胞を含む多数の生物を効果的に死滅させることができるものでなければならない。
【0004】
プラズマ発生器の構成は、意図されたプラズマ処理の方法のパラメータを満たす必要がある。当該パラメータは、ガスの様々な種類又は組合せの注入、注入されるガスの流量、ガスに加えられる電気エネルギーなどである。さらに、プラズマの特性は、注入されるガスの様々な種類又は組合せに応じて異なり、プラズマ処理の効果も異なる。先行技術、例えば、米国特許出願公開第2011/0112522号明細書及び米国特許第10121638号明細書は、ガス入口部を1つだけ有するプラズマ処理の装置を示している。しかしながら、先行技術である欧州特許出願公開第2160081号明細書に開示された装置は、キャリアとして使用されるガスの1つの供給源と、殺菌効果及び/又は創傷治癒を改善する添加剤の少なくとも1つの他の供給源とを必要とし、更にキャリアガスと添加剤とを混合するミキサを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある時点において、1つのガス入口部から入る1種類のガスのみを特定の処理のために使用できる、又は、2つの異なるガス入口部から入る異なる種類のガスを同時に使用し、意図されたガスの混合物を生成して、注入されたガスに応じた特性のプラズマを発生させることができるプラズマ装置を開発することがよく、望ましい。注入されるガスを制御及び測定でき、それに応じてプラズマを発生させることができる構成によって、創傷治癒、滅菌、及び他の意図された目的のためのプラズマ処理が改善され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(1)空気、(2)単一の非腐食性ガス、又は(3)空気と非腐食性ガスとの混合物を供給可能なシステムを構成する。
【0007】
本発明は、直流低温大気圧プラズマを利用して、微生物又はウイルスを不活性化し、血液の微小循環を改善する装置である。本装置は、非侵襲医療用であり、創傷治癒の促進、痛みの緩和、及び炎症の軽減を目的とする。本装置は、内部傷害と外部傷害との両方を対象にすることができる。
【0008】
本装置は、表面処理の目的のために適用されることができる。また、本装置は、個人又は環境の衛生、及び、感染、特に院内感染又は健康管理に関連した感染の制御のみならず、表面の洗浄及び衛生化のために、殺菌及び防腐の利益を提供する。
【0009】
本開示の目的は、2つのガス入口部を有する装置を提供することにある。当該装置は、制御ユニットと、制御ユニットに接続されたプラズマ発生器とを備える。制御ユニットは、第1ガスモジュールと、第2ガスモジュールと、総ガス流検知器と、高電圧発生器とを備える。第1ガスモジュールは、第1ガス入口部と、第1ガス制御部とを有する。第2ガスモジュールは、第2ガス入口部と、第2ガス制御部とを有する。プラズマ発生器は、第1端部及び第2端部を有するプラズマチューブと、プラズマチューブの内面上に配置された第1誘電体層と、第1誘電体層上に配置された第1電極と、第1電極上に配置された第2誘電体層と、第2誘電体層上に配置された第2電極と、プラズマチューブの第2端部に配置されたプラズマノズルとを備える。
【0010】
特定の実施形態において、プラズマ発生器は、実質的に回転対称形状の第2電極を備える。
【0011】
特定の実施形態において、第2電極は、内部に複数の中空の円筒部を有する円筒形状である。
【0012】
特定の実施形態において、第2電極は、内部に複数の中空の小葉を有する円筒形状である。
【0013】
特定の実施形態において、プラズマ発生器は、第1端部及び第2端部にそれぞれ配置された上部カバーと底部カバーとを更に備える。上部カバーは、コネクタを介して制御ユニットに接続される。底部カバーには、プラズマノズルが配置される。
【0014】
特定の実施形態において、制御ユニットは、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)と、ブザーと、交流/直流変換器と、ヒューマンマシンインターフェース(Human Machine Interface:HMI)とを更に備える。
【0015】
特定の実施形態において、制御ユニットは、電源に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
前記の概要及び以下の発明の詳細な説明は、添付の図面と共に読まれたときに更に理解されるであろう。
【0017】
【
図2】
図2は、本開示の装置における第1ガスモジュール及び第2ガスモジュールを示す概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の装置におけるプラズマ発生器を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本開示の装置におけるプラズマ発生器の一部を示す別の断面図である。
【
図5】
図5の(A)及び(B)は、代替的な実施形態における第2電極を示す平面図である(他の構成要素は省略されている)。
【
図6】
図6は、大腸菌(E.coli)が接種された寒天平板に対するプラズマ処理の結果及びその増殖阻止域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施形態は、添付の図面と共に読まれたときに、本開示の前記及び他の技術的内容、特徴、及び効果を明確に示す。人々は、具体的な実施形態による説明を通じて、前記の目的を達成するために採用された本開示の技術的手段及び効果を更に理解するであろう。さらに、本明細書で開示された内容は、当業者によって容易に理解及び実施されることができる。そのため、本開示の思想から逸脱しない全ての均等な変更又は修正は、添付の特許請求の範囲に包まれる。
【0019】
さらに、明細書及び特許請求の範囲に記載された「第1」、「第2」などの序数は、請求された構成要素を説明することのみを意図している。当該序数は、請求された構成要素が任意の進行する序数を有することも、請求された一構成要素と請求された他の構成要素との間又は製造方法の工程間で順序を有することも示唆又は意味していない。これらの序数は、単に、ある名称を有する請求された一構成要素を、同じ名称を有する他の請求された構成要素と区別するために使用されるものである。
【0020】
さらに、明細書及び特許請求の範囲に記載された「上方(above)」、「上(over)」、「上(on)」などの用語は、他の構成要素に直接接触することのみならず、他の要素に間接的に接触することも意図している。
【0021】
本開示は、医療処置、衛生、及び衛生化の目的のための装置に関する。
【0022】
本開示の装置は、直流低温大気圧プラズマを利用して微生物又はウイルスを不活性化し、血液の微小循環を改善することができる。本開示の装置は、創傷治癒の促進、痛みの緩和、及び炎症の軽減を目的とする。
【0023】
本開示の装置は、環境衛生の目的のみならず、表面の洗浄及び衛生化のために、殺菌、殺ウイルス、及び防腐の利益を提供する。
【0024】
一実施形態では、本開示の装置によって発生するプラズマは、処理効率及び前記の他の要求を良く満たすために、空気、非腐食性ガス、又は両者の混合物に由来する。好適な実施形態では、本開示の装置によって発生するプラズマは、空気、不活性ガス、又は両者の混合物に由来する。
【0025】
一実施形態では、本開示の装置は、動物及びヒトの身体に使用されることができる。
【0026】
一実施形態では、本開示の装置は、内部傷害と外部傷害との両方を対象にすることができる。
【0027】
図1が参照される。本開示の装置は、制御ユニット10と、プラズマ発生器30とを備えている。制御ユニット10は、コネクタ20を介してプラズマ発生器30に接続される。制御ユニット10は、ガスの注入の制御並びにガスの流れ及び電力の制御のために配置される。
【0028】
制御ユニット10は、第1ガスモジュール11と、第2ガスモジュール12と、総ガス流検知器13と、高電圧発生器14とを備えている。
【0029】
特定の実施形態では、制御ユニット10は、ヒューマンマシンインターフェース(Human Machine Interface:HMI)15と、ブザー16と、交流/直流変換器17と、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)18とを更に備えている。
【0030】
図2が参照される。第1ガスモジュール11は、第1ガス入口部111と、第1ガス制御部112とを有する。第2ガスモジュール12は、第2ガス入口部121と、第2ガス制御部122とを有する。ガスモジュール11,12は、本開示の装置にガスを注入し、ガスをプラズマ発生器30に送る。
【0031】
ガス入口部111,121は、異なる外部のガス容器(図示せず)に接続される。一実施形態では、ガス入口部111,121は、それぞれ制御部112,122によって個々に操作される。他の特定の実施形態では、ある時点において2つのガス入口部111,121のいずれか一方を開放してガスを注入するか、又は、両方の入口部111,121を同時に開放して異なる2種類のガスを注入し、注入されたガスの混合物を生成するか、選択することができる。
【0032】
第1ガス入口部111を介して供給されるガスと、第2ガス入口部121を介して供給されるガスとは、異なるものである。例えば、ガス入口部111を介して空気が注入され、ガス入口部121を介して非腐食性の他の種類のガスが注入される。ガス入口部111,121を介して供給されるガスは、純粋なガス又はガスの混合物であり得る。
【0033】
2つのガス制御部112,122は、ガスの注入及び流量を制御するように配置されている。総ガス流検知器13は、注入されたガスの流量を検知するように配置されている。
【0034】
制御ユニット10は、装置に電力を供給するための電源に接続される。
【0035】
プログラマブルロジックコントローラ(PLC)18は、本開示の装置の構成要素の機能及び性能を制御するために、制御ユニット10に配置されている。PLC18によって制御される構成要素には、カウントダウンタイマ(図示せず)、ガス制御部112,122、総ガス検知器13、高電圧発生器14、ブザー16、及び主電源オン/オフスイッチのうちの少なくとも1つを含むが、これに限定されない。特定の実施形態では、オン/オフスイッチによって操作されるPLC18は、プラズマ発生器30を制御し、プラズマ処理を開始又は停止させる。
【0036】
ガス入口部111,121は、特性の異なるプラズマを発生させる本開示の装置を提供するために、異なるガスの供給源に接続されることができる。好適な実施形態では、第1ガス入口部111へのガス注入は、第2ガス入口部121へのガス注入と区別される。ガス入口部111,121に供給されるガスは、ガス制御部112,122によって検知及び制御される。
【0037】
特定の実施形態では、ガス入口部111,121を介して供給されるガスは、プラズマ発生器30にガスを供給する単一の通路に合流する。合流したガスの流れは、総ガス流検知器13によって検知される。
【0038】
図1に示すように、種類の異なるガスがプラズマを発生させるために使用される特定の実施形態では、本開示の装置は、第1ガスモジュール11と、第2ガスモジュール12とを備えている。しかしながら、プラズマを発生させるために1種類のガスのみが使用される代替的な実施形態(図示せず)では、本開示の装置は、1つのガスモジュールのみを備える。
【0039】
図3が参照される。プラズマ発生器30は、注入されたガス及び発生したプラズマが流れる円形状の管であることが好ましい。プラズマ発生器30は、第1端部311と第2端部312とを有するプラズマチューブ31を備えている。プラズマチューブ31の第1端部311は、制御ユニット10に接続されている。第1端部311には、高電圧電流供給ケーブル及び制御ユニット10から供給される外部からのガスが通る頭部である上部カバー3111が配置されている。上部カバー3111は、プラズマチューブ31に対してねじで締められることができる。第2端部312には、底部カバー3121が配置されている。底部カバー3121の表面には、サイズ及び設計の異なる使い捨てのスペーサ及び/又は他の付属品のための固定具が存在している。当該使い捨てのスペーサ及び/又は他の付属品は、底部カバー3121の保護、処理領域の調整、及び衛生の目的のために貼り付けられる。底部カバー3121は、プラズマチューブ31に対してねじで締められることができる。
【0040】
底部カバー3121には、ノズル3122が配置されている。ノズル3122は、底部カバー3121の突出部である。ノズル3122の直径は、1mm~15mmの範囲である。好適な実施形態では、ノズル3122の直径は、1mm~10mmの範囲である。ノズル3122の表面には、サイズ及び設計の異なる使い捨てのスペーサ及び/又は他の付属品のための固定具が存在している。当該使い捨てのスペーサ及び/又は他の付属品は、ノズル3122の保護、処理領域の調整、及び衛生の目的のために貼り付けられる。
【0041】
図4が参照される。
図4は、プラズマ発生器30の一部の
図3におけるA-A’線に対応する断面図である。
【0042】
プラズマチューブ31は、内面を有する。プラズマチューブ31の内面上には、第1誘電体層32が配置されている。第1誘電体層32上には、第1電極33が配置されている。第1電極33上には、第2誘電体層34が配置されている。第2誘電体層34上には、第2電極35が配置されている。
図4では、誘電体層が電極に直接接触しているが、本開示はこれに限定されない。本開示は、
図3に示すように、誘電体層が電極に間接的に接触する実施形態も含む。
【0043】
図4では、第2誘電体層34が第1電極33上に配置されることが示されている。一方、
図3に係る代替的な実施形態では、第2誘電体層34が第1電極33に部分的に重なり、第1誘電体層32と部分的に対面していることに注目されるべきである。このように、本開示の代替的な実施形態では、誘電体層と電極とは。部分的に重なっている。特定の実施形態において、第1電極33は陰極であり、第2電極35は陽極である。
【0044】
図5は、第2電極35を示す平面図である(他の構成要素は省略されている)。第2電極35は、プラズマ発生器30の中央部に配置され、回転対称の形状である。
【0045】
一実施形態では、第2電極35は、
図5の(A)に示すように、内部に複数の中空の円筒部を有する円筒形状である。代替的な実施形態では、第2電極35は、
図5の(B)に示すように、内部に複数の小葉(leaflet)形状の中空の管部を有する円形状である。
【0046】
しかしながら、第2電極35の円筒部又は小葉の数は、図示の数に限定されない。第2電極35内の円筒部または小葉の数は、1と任意の適合する数との範囲内であり得る。
【0047】
本開示の装置は、微生物が接種された寒天平板上の湿潤固体培地において試験される。
【0048】
実験は、接種された平板上において、本開示の装置を使用し、時間依存的かつ局所的なスポット状のプラズマ処理を、装置のノズルを移動させることなく目標の微生物の箇所に向かって行うことによってなされる。
【0049】
実験計画は、以下の工程を含む。
1.微生物の増殖したTSBプレートから単一のコロニーを選択し、TSB培地の入った5mlチューブ内に継代して、微生物を振盪培養器において30℃の条件下で14~24時間培養する。
2.培養液100μlを採取して10倍希釈し、分光計でOD600を検知する(1 OD=1×109 cfu/ml)。
3.水を用いて連続希釈を行い、微生物の濃度を105(8.67×105 cfu/ml)に希釈する。
4.500μlの希釈された微生物(105)を採取し、TSBプレートにおいて培養する。
5.本開示の装置で発生させたプラズマによって、プレート上の微生物を処理する。ノズルの開口部とプレートとの間の距離は、5mmである。
6.微生物を30℃の条件下で1~2日間培養し、増殖阻止域を観察する。
【0050】
【0051】
微生物の増殖阻止域は、大腸菌の視認可能な増殖がない円形状の領域と定義される。
【0052】
実験は、以下の計画により、プラズマを発生させるための空気及びアルゴンを供給して行われた。
【0053】
プラズマ処理は、ガスの種類、処理時間、ノズルの開口部とプレートとの間の距離など、処理の手順によって異なる。
【0054】
図6に示すように、プレート上の微生物は、空気とアルゴンとの異なる比率によって処理された。
【0055】
図6に示すように、100%アルゴン、100%空気、並びに75%アルゴン及び25%空気の各々による処理は、直径11mmの増殖阻害帯に寄与した。
【0056】
本明細書には、本開示の好適な実施形態が提示及び説明されているが、このような実施形態が例としてのみ提供されるものであり、組み合わせて実施可能であることは、当業者にとって明らかであろう。当業者において、多数の変形、変更、及び置換が本発明から逸脱することなく見出されるであろう。本発明の実施において、本明細書で説明された本発明の実施形態に対する様々な代替案が採用され得ることが理解されるべきである。以下の請求項が本発明の範囲を規定することと、請求項にこれらの請求項の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの均等物が含まれることとが意図されている。