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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】繰出し容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20230821BHJP
   A45D 40/04 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B65D83/00 C
A45D40/04 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020065004
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160790
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】立藏 亮
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-050521(JP,A)
【文献】特開2011-072397(JP,A)
【文献】特開2016-220917(JP,A)
【文献】実開昭63-094789(JP,U)
【文献】実開昭61-151608(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0321478(US,A1)
【文献】実開昭61-039016(JP,U)
【文献】特表2020-520286(JP,A)
【文献】特開2012-040230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
A45D 40/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が繰出し口となる円筒状のケース体と、
前記ケース体の内部に回り止めされた状態で軸線方向に摺動自在に配置された繰出し部材と、
前記ケース体の他端に軸線を中心として相対回転自在に装着された操作体と、
外周面に雄ねじを備え、前記操作体に連結されて前記繰出し部材よりも前記他端側において前記ケース体の内部に配置された軸体と、
前記雄ねじにねじ結合する雌ねじを内周面に備え、前記軸体の外側に配置されるとともに前記繰出し部材に設けられた嵌合筒部に嵌合固定された可動筒体と、
前記嵌合筒部よりも前記ケース体の他端側において前記可動筒体の外側に設けられ、前記操作体の前記ケース体に対する軸線を中心とした一方側への相対回転を許容し、軸線を中心とした他方側への相対回転を阻止するラチェット機構部と、を有し、
前記軸体と前記操作体との間に、前記操作体に対する前記軸体の回転を抑制可能な回転規制部が設けられており、
前記回転規制部は、前記ケース体に対して前記操作体を回転させる際には前記操作体に対する前記軸体の回転を抑制し、前記操作体に対して前記軸体を回転させる際には、前記操作体に対する前記軸体の回転を許容するように構成されていることを特徴とする、繰出し容器。
【請求項2】
前記回転規制部は、前記操作体に対して所定の力で前記軸体を回転させると、前記操作体に対する前記軸体の回転が許容されるように構成されている、請求項1に記載の繰出し容器。
【請求項3】
前記回転規制部は、前記軸体の下端に連なる有頂筒状のベース部の外周面に設けた凸部又は凹部と、前記操作体の内周面に設けた凹部又は凸部とで構成されている、請求項1又は2に記載の繰出し容器。
【請求項4】
前記ベース部は、径方向内側に弾性変形可能な弾性片を有し、
前記ベース部の前記凸部又は凹部は、前記弾性片に設けられている、請求項3に記載の繰出し容器。
【請求項5】
前記ベース部には、前記操作体に対して前記軸体を回転させる際に把持するための板状の把持部が設けられている、請求項3又は4に記載の繰出し容器。
【請求項6】
前記ベース部には、前記操作体に対して前記軸体を回転させる際に、コインを係合可能なスリット状の係合凹部が設けられている、請求項3~5の何れか一項に記載の繰出し容器。
【請求項7】
前記繰出し口を覆うように前記ケース体に対して着脱可能に装着されるオーバーキャップを備え、
前記ベース部は、前記ケース体から取り外した前記オーバーキャップを用いて回転させることができるように構成されている、請求項3~6の何れか一項に記載の繰出し容器。
【請求項8】
前記オーバーキャップの内周面に多角筒状の内周筒部が設けられており、
前記ベース部の外周面に、前記内周筒部に係合する多角筒状の外周筒部が設けられている、請求項7に記載の繰出し容器。
【請求項9】
前記オーバーキャップの前記内周筒部と、前記ベース部の外周筒部とを係合させる際に、
前記ベース部の外周面に設けた凸部又は凹部と、前記操作体の内周面に設けた凹部又は凸部との係合が解除されるように構成されている、請求項に記載の繰出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形内容物を収納する繰出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、口紅、リップクリーム、スティックアイシャドー等の化粧料、薬剤またはスティック糊などの、塗布対象物に塗布可能な固形内容物を収納する容器として、繰出し容器が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、一端が繰出し口となる円筒状のケース体と、ケース体の内部に回り止めされた状態で配置された繰出し部材と、ケース体の他端に軸線を中心として相対回転自在に装着された操作体と、外周面に雄ねじを備え、操作体に回り止めされた状態で連結されてケース体の内側に配置された軸体と、雄ねじにねじ結合する雌ねじを内周面に備え、軸体の外側に配置されるとともに繰出し部材に一体に連結された可動筒体と、を有する繰出し容器が記載されている。
【0004】
この繰出し容器によれば、操作体をケース体に対して軸線を中心として一方側に相対回転させることにより、繰出し部材をケース体の内部で軸線に沿って繰出し方向に移動させて、固形内容物をケース体から繰り出して使用することができる。また、使用後には、操作体をケース体に対して軸線を中心として繰出し時とは反対の他方側に相対回転させることで、繰出し部材を軸線に沿って繰り入れ方向に移動させて、固形内容物をケース体の内部に繰り入れて保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-15417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の繰出し容器のように、操作体をケース体に対して繰出し時とは反対方向に相対回転させることで、内容物をケース体の内部に繰り入れることができるようにした構成では、例えば比較的柔らかい口紅など、ケース体の内部に繰り入れることが好ましくない硬さの固形内容物を収納した場合に、操作体がケース体に対して繰出し時とは反対方向に相対回転されると、固形内容物が形状の崩れや破断などの損傷を生じてしまうおそれがある、という問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、比較的軟らかい固形内容物の収納に適した繰出し容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の繰出し容器は、一端が繰出し口となる円筒状のケース体と、
前記ケース体の内部に回り止めされた状態で軸線方向に摺動自在に配置された繰出し部材と、
前記ケース体の他端に軸線を中心として相対回転自在に装着された操作体と、
外周面に雄ねじを備え、前記操作体に連結されて前記繰出し部材よりも前記他端側において前記ケース体の内部に配置された軸体と、
前記雄ねじにねじ結合する雌ねじを内周面に備え、前記軸体の外側に配置されるとともに前記繰出し部材に設けられた嵌合筒部に嵌合固定された可動筒体と、
前記嵌合筒部よりも前記ケース体の他端側において前記可動筒体の外側に設けられ、前記操作体の前記ケース体に対する軸線を中心とした一方側への相対回転を許容し、軸線を中心とした他方側への相対回転を阻止するラチェット機構部と、を有し、
前記軸体と前記操作体との間に、前記操作体に対する前記軸体の回転を抑制可能な回転規制部が設けられており、
前記回転規制部は、前記ケース体に対して前記操作体を回転させる際には前記操作体に対する前記軸体の回転を抑制し、前記操作体に対して前記軸体を回転させる際には、前記操作体に対する前記軸体の回転を許容するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記回転規制部は、前記操作体に対して所定の力で前記軸体を回転させると、前記操作体に対する前記軸体の回転が許容されるように構成されていることが好ましい。
【0010】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記回転規制部は、前記軸体の下端に連なる有頂筒状のベース部の外周面に設けた凸部又は凹部と、前記操作体の内周面に設けた凹部又は凸部とで構成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記ベース部は、径方向内側に弾性変形可能な弾性片を有し、
前記ベース部の前記凸部又は凹部は、前記弾性片に設けられていることが好ましい。
【0012】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記ベース部には、前記操作体に対して前記軸体を回転させる際に把持するための板状の把持部が設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記ベース部には、前記操作体に対して前記軸体を回転させる際に、コインを係合可能なスリット状の係合凹部が設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記繰出し口を覆うように前記ケース体に対して着脱可能に装着されるオーバーキャップを備え、
前記ベース部は、前記ケース体から取り外した前記オーバーキャップを用いて回転させることができるように構成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記オーバーキャップの内周面に多角筒状の内周筒部が設けられており、
前記ベース部の外周面に、前記内周筒部に係合する多角筒状の外周筒部が設けられていることが好ましい。
【0016】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記オーバーキャップの前記内周筒部と、前記ベース部の外周筒部とを係合させる際に、
前記ベース部の外周面に設けた凸部又は凹部と、前記操作体の内周面に設けた凹部又は凸部との係合が解除されるように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、比較的軟らかい固形内容物の収納に適した繰出し容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態である繰出し容器の縦断面図である。
図2図1に示す繰出し容器の要部を拡大して示す拡大断面図である。
図3図1に示す繰出し容器の底面図である。
図4図2に示す操作体の正面図である。
図5図1に示す繰出し容器のA-A線における断面図であり、ラチェット機構部の構成を説明するための図である。
図6】固形内容物を繰り出した状態の繰出し容器の縦断面図である。
図7図3に示す状態から軸体を操作体に対して回転させる様子を示す繰出し容器の底面図である。
図8図7に示す状態からさらに軸体を操作体に対して回転させる様子を示す繰出し容器の底面図である。
図9】本発明の第2実施形態である繰出し容器の要部を拡大して示す拡大断面図である。
図10図9に示す繰出し容器の底面図である。
図11】本発明の第3実施形態である繰出し容器の縦断面図である。
図12図11に示す繰出し容器の底面図である。
図13図11に示す繰出し容器のオーバーキャップの縦断面図である。
図14図11に示す繰出し容器のオーバーキャップの底面図である。
図15図11に示す繰出し容器のオーバーキャップをベース部に差し込んだ状態を示す拡大断面図である。
図16】本発明の第4実施形態である繰出し容器の縦断面図である。
図17図16に示す繰出し容器の底面図である。
図18図16に示す繰出し容器のオーバーキャップをベース部に差し込む様子を示す拡大断面図である。
図19図16に示す繰出し容器のオーバーキャップをベース部に差し込んだ状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態である繰出し容器1をより具体的に例示説明する。
【0020】
なお、本明細書においては、上下方向は繰出し容器1の軸線Oに沿う方向とし、上は、固形内容物が繰り出される方向とする、また、径方向は、繰出し容器1の軸線Oを通るとともに軸線Oに垂直な方向を意味するものとする。
【0021】
図1に示すように、本発明の一実施形態(第1実施形態)である繰出し容器1はケース体10を有している。ケース体10は軸線Oに沿って延びる円筒状となっており、その上側となる一端は繰出し口10aとなっている。本実施形態では、繰出し口10aは、軸線Oに垂直な方向に対して斜めに傾斜しているが、軸線Oに垂直であってもよい。
【0022】
ケース体10は、その内部に固形内容物2を収納することができる。固形内容物2としては、例えば、口紅、リップクリーム、スティックアイシャドー等の化粧料、薬剤またはスティック糊などの、塗布対象物に塗布可能なものを採用することができる。本実施形態では、固形内容物2は、略円柱状の口紅である。なお、固形内容物2とは、形状を留めておける程度の堅さを有する内容物を意味し、例えば半練り状のものなど、ある程度の柔らかさのものを含む。ケース体10に収納された固形内容物2は、繰出し口10aにおいてケース体10の外部に露出している。
【0023】
ケース体10に、繰出し口10aを覆うオーバーキャップ3を着脱可能に装着した構成とすることもできる。本実施形態では、オーバーキャップ3は、周壁部3aと頂壁部3bとを備えた有頂円筒状となっており、ケース体10の繰出し口10aを含む上端から所定範囲の覆うように構成されている。ケース体10に装着された状態において、オーバーキャップ3の頂壁部3bと繰出し口10aとの間には上下方向に間隔が空けられており、固形内容物2が繰出し口10aから若干吐出した状態においても、頂壁部3bを固形内容物2に触れさせることなくオーバーキャップ3をケース体10に装着して、固形内容物2の当該突出部分を保護することができるようになっている。
【0024】
ケース体10の内部には、繰出し部材11が設けられている。繰出し部材11は、ケース体10の内部に、回り止めされた状態で軸線Oに沿う方向(軸線方向)に摺動自在に配置されている。
【0025】
本実施形態では、繰出し部材11は、円筒状の周壁部11aと周壁部11aの端部を閉塞する底壁部11bとを備えた有底円筒状となっており、周壁部11aの外周面においてケース体10の内周面に対して摺動可能となっている。また、ケース体10の内周面には軸線Oに平行に上下方向に延びる一対のレール部10bが設けられている。繰出し部材11は、周壁部11aの外周面に設けられた一対の案内溝11cが、それぞれ対応するレール部10bに摺動自在に係合することで、ケース体10に回り止めされた状態で軸線Oに沿う上下方向に摺動自在となっている。
【0026】
繰出し部材11の下面には、周壁部11aと同軸の円筒状の嵌合筒部11dが一体に設けられている。
【0027】
固形内容物2は、繰出し口10aと繰出し部材11との間においてケース体10に収納されており、その一部は繰出し部材11の内部に配置されている。繰出し部材11は、図1に示す位置からケース体10に対して軸線Oに沿って繰出し口10aの側に向けて上方に移動することで、ケース体10の内部に収納されている固形内容物2を繰出し口10aの側に向けて押して、繰出し口10aから外部に繰り出すことができる。
【0028】
ケース体10の繰出し口10aとは反対側の他端には、操作体12が装着されている。操作体12は、ケース体10に対して、軸線Oを中心として相対回転自在となっている。
【0029】
図2に示すように、本実施形態では、操作体12は、ケース体10と同軸に配置された円筒状の操作体本体部12aと、操作体本体部12aの上端からケース体10の内部に向けて突出する円筒状の装着筒体部12bとを有しており、装着筒体部12bの外周面から径方向外側に向けて突出して設けられた円環状の係止突起12cがケース体10の内周面に設けられた円環状の係止溝10cに係止されることで、ケース体10に対して軸線Oを中心として相対回転自在となっている。なお、操作体本体部12aは、ケース体10と同一の外径寸法となっている。
【0030】
図1に示すように、操作体12には、軸体13が連結されている。軸体13は、外周面に雄ねじ13aを備えた、所謂スクリューロッドである。操作体12に連結された軸体13は、繰出し部材11よりも他端側(下方側)においてケース体10の内部に配置されている。
【0031】
軸体13と操作体12との間には、操作体12に対する軸体13の回転を抑制可能な回転規制部が設けられている。回転規制部は、ケース体10に対して操作体12を回転させる際には操作体12に対する軸体13の回転を抑制し、操作体12に対して軸体13を回転させる際には、操作体12に対する軸体13の回転を許容するように構成されている。したがって、操作体12がケース体10に対して軸線Oを中心として相対回転すると、ベース部14及び軸体13も操作体12とともに、ケース体10及びケース体10に回り止めされている繰出し部材11に対して軸線Oを中心として相対回転する。
【0032】
回転規制部は、操作体12に対して所定の力で軸体13を回転させると、操作体12に対する軸体13の回転が許容されるように構成されている。つまり、繰出し容器1は、例えば一方の手で操作体12を把持しながら、他方の手でベース部14を回転させることで、軸体13を回転させることができるように構成されている。本例の回転規制部は、後述するベース部14に設けた凸部14eと、操作体12に設けた凹部12eとで構成されている。
【0033】
図2に示すように、本実施形態では、軸体13の下端には有頂筒状のベース部14が一体に設けられている。ベース部14は、平坦な天壁14aと、天壁14aの外周縁から垂下する筒状壁14bとを有する有頂円筒状となっている。
【0034】
ベース部14は、筒状壁14bの外周面上部から径方向外側に向けて突出して設けられた係止突起14cが操作体12の操作体本体部12aの内周面に設けられた円環状の係止溝12dに係止されることで、操作体12に装着されている。
【0035】
ベース部14の筒状壁14bには、径方向内側に弾性変形可能な弾性片14dが設けられており、弾性片14dの外面(筒状壁14bの外周面)には、凸部14eが設けられている。弾性片14dは、筒状壁14bに設けられた一対のスリット14fによって形成されており、弾性片14dの上端部を支点として下部側が径方向内側(軸線Oに近づく方向)に弾性変形可能に構成されている。スリット14fは、筒状壁14bの下面に開口し、筒状壁14bを厚さ方向に貫通している。弾性片14dの板厚は、筒状壁14bの板厚よりも薄くなっており、弾性変形しやすくなっている。操作体12の内周面には、凸部14eに係合可能な凹部12eが設けられている。この凸部14eと凹部12eとが係合することで、軸体13及びベース部14の、操作体12に対する回転(軸線Oを中心とする回転)が適度に抑制される。
【0036】
ここで、本例の凸部14eは、球面状の外表面を有する略半球状であり、これに対応する凹部12eの形状は、底面視での輪郭線が凸部14eの半径と略同一径の円弧となる柱状の凹部で構成されている。なお、凸部14e及び凹部12eの形状は、操作体12に対してベース部14を回転させる際に相互に乗り越え可能な形状であればよく、適宜変更可能である。
【0037】
なお、本例ではベース部14に凸部14eを設け、操作体12に凹部12eを設けたが、これとは逆に、ベース部14に凹部を設け、操作体12に凸部を設けてもよい。また、弾性片14d及び凸部14eは、筒状壁14bの周方向の2箇所に設けられているが、1箇所のみでも、3箇所以上に設けてもよい。本例の弾性片14d及び凸部14eは、軸線Oを挟んだ2箇所に対向配置されているが、弾性片14d及び凸部14eの位置は適宜変更可能である。
【0038】
本例では、操作体12の周方向の18箇所に凹部12eが等間隔で配置されているが、凹部12eの数はこれに限られず、18箇所よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0039】
本例のベース部14には、操作体12に対して軸体13を回転させる際に把持するための板状の把持部14gが設けられている。把持部14gは、天壁14aの下面から軸線Oに沿って延びる平板状の構成であり、筒状壁14bの内側の空間を2分割するように設けられている。把持部14gの下端面は、筒状壁14bの下面と同一平面上に位置している。すなわち、把持部14gは、筒状壁14bの下面よりも下方に突出していない。また、把持部14gは、繰出し容器1の下面(筒状壁14bの下面)側にのみ露出しており、繰出し容器1の外周面及び上面には露出しないように構成されている。図3に示すように、本例の把持部14gの両端は、2つの弾性片14dからそれぞれ周方向に90°ずれた位置で、筒状壁14bの内周面に連結している。なお、把持部14gの形状は適宜変更可能である。
【0040】
図1に示すように、軸体13の外側には、可動筒体15が配置されている。可動筒体15は、軸体13の雄ねじ13aにねじ結合する雌ねじ15aを内周面に備えており、繰出し部材11に設けられた嵌合筒部11dに嵌合固定されている。
【0041】
図2に示すように、本例の可動筒体15においては、その下方側の一部にのみ雌ねじ15aが設けられている。また、可動筒体15は、繰出し部材11の側を向く上端側に設けられた係止突起15bが嵌合筒部11dの内周面に設けられた円環状の係止溝11eに係止されるとともに、嵌合筒部11dとの間にスプライン部16が設けられることにより、嵌合筒部11dに回り止めされた状態で嵌合固定されている。したがって、可動筒体15は、繰出し部材11とともにケース体10に回り止めされた状態で、軸線Oに沿う上下方向に移動自在となっている。
【0042】
図1に示すように、嵌合筒部11dよりもケース体10の他端側(下端側)における可動筒体15の外側には、ラチェット機構部20が設けられている。ラチェット機構部20は、操作体12のケース体10に対する軸線Oを中心とした一方側への相対回転を許容し、軸線Oを中心とした他方側への相対回転を阻止するように作動する。
【0043】
図2に示すように、本実施形態では、ラチェット機構部20は、操作体12の側に設けられた一対の爪部21と、ケース体10の側に設けられた歯車部22とを有している。
【0044】
一対の爪部21は、それぞれ、操作体12と一体に設けられている。より具体的には、図4図5に示すように、一対の爪部21は、それぞれ、操作体12の装着筒体部12bの上端から突出する脚部21aと、脚部21aに支持されるとともに脚部21aに対して軸線Oを中心とした周方向に延びる湾曲片21bと、湾曲片21bの先端から径方向外側に向けて延びる爪片21cとを一体に備えている。それぞれの爪片21cの湾曲片21bとは反対側を向く面は、軸線O及び径方向に平行(軸線Oを中心とした周方向に垂直)である。一対の爪部21は、それぞれ、湾曲片21bが脚部21aを支点として湾曲度合いを強める方向に弾性変形することで、可動筒体15とケース体10との間で、爪片21cが径方向の内外方向に変位するように弾性変形することができる。
【0045】
一方、歯車部22は、図5に示すように、ケース体10の内周面に一体に設けられた複数(12箇所)の係止面22aと、ケース体10の内周面に一体に設けられた複数(12箇所)の乗越え面22bと、を有している。それぞれの係止面22aは、操作体12がケース体10に対して軸線Oを中心として他方側に相対回転したときに、爪片21cに係合して爪部21を係止することで、操作体12のケース体10に対する軸線Oを中心とした他方側への相対回転を阻止するように構成されている。それぞれの乗越え面22bは、隣り合う2つの係止面22aの間で、一方の係止面22aの径方向外側部分から他方の係止面22aの径方向内側部分に向けて湾曲して延びており、操作体12がケース体10に対して軸線Oを中心として一方側に相対回転したときに、係止面22aを乗り越えるように爪部21の爪片21cを案内することで、操作体12のケース体10に対する軸線Oを中心とした一方側への相対回転を許容するように構成されている。
【0046】
なお、ラチェット機構部20に設けられる爪部21及び係止面22aないし乗越え面22bの数は、種々変更可能である。
【0047】
図1に示すように、本実施形態の繰出し容器1は、操作体12がケース体10に対して軸線Oを中心として相対回転したときに、操作体12とケース体10との間に摺動抵抗を付与する摺動抵抗付与部30を備えた構成とすることができる。摺動抵抗付与部30は、操作体12と一体に設けられて、嵌合筒部11dとラチェット機構部20との間の部分において、ケース体10の内周面に弾性的に接することで、操作体12がケース体10に対して軸線Oを中心として相対回転したときに、操作体12とケース体10との間に摺動抵抗を付与するように構成されている。
【0048】
図2図4に示すように、本実施形態では、摺動抵抗付与部30は、一対の柱部31、支持体32、4つの弾性片33及び4つの摺動突起部34を備えた構成とされている。
【0049】
より具体的には、一対の柱部31は、それぞれ操作体12の装着筒体部12bの上端に、一対の脚部21aの間において一体に連ねて設けられている。図4に示すように、一対の柱部31は、操作体12から可動筒体15とケース体10との間においてケース体10の一端側に向けて上方に延びている。一対の柱部31の上端は脚部21aよりも上方に位置している。
【0050】
図2図4に示すように、支持体32は、操作体12と同軸の円筒状となっており、一対の柱部31の上端に一体に連ねて設けられている。図2に示すように、支持体32は、可動筒体15とケース体10との間に配置されている。
【0051】
図2図4に示すように、4つの弾性片33は、それぞれ細長い板状となっており、支持体32の上端に、周方向に等しい間隔を空けて一体に連ねて設けられている。図2に示すように、それぞれの弾性片33は、支持体32からケース体10の一端側(上端側)に向けて延びており、支持体32を支点として径方向に弾性変形自在となっている。
【0052】
なお、柱部31、支持体32及び弾性片33は、それぞれケース体10の内周面に対して間隔を空けて配置されている。
【0053】
図2図4に示すように、4つの摺動突起部34は、それぞれ対応する弾性片33の先端の外側を向く面に一体に設けられ、それぞれ当該面から径方向外向きに突出している。図2に示すように、それぞれの摺動突起部34は、支持体32を支点として弾性片33を径方向内側に向けて弾性変形させた状態で、ケース体10の内周面に接している。このように、摺動突起部34はケース体10の内周面に弾性的に接しており、これにより、操作体12がケース体10に対して軸線Oを中心として相対回転したときに、操作体12とケース体10との間に摺動抵抗が付与される。摺動抵抗付与部30が操作体12とケース体10との間に付与する摺動抵抗は、固形内容物2をケース体10から繰り出す際の操作性等を鑑みて、予め実験等を行って適度な値に設定することができる。
【0054】
本実施形態では、操作体12と摺動抵抗付与部30を構成する柱部31、支持体32、弾性片33及び摺動突起部34は、合成樹脂材料の射出成形により一体に形成されている。
【0055】
上記構成を有する本実施形態の繰出し容器1は、図6に示すように、オーバーキャップ3をケース体10から取り外した状態で、ケース体10を一方の手などで保持(把持)しつつ他方の手などで軸線Oを中心とした一方側に操作体12を回転操作するなどして、操作体12をケース体10に対して軸線Oを中心とした一方側に相対回転させることで、固形内容物2をケース体10の繰出し口10aから外部に繰り出すことができる。
【0056】
すなわち、操作体12をケース体10に対して軸線Oを中心とした一方側に相対回転させると、操作体12とともにベース部14及び軸体13がケース体10に対して軸線Oを中心とした一方側に相対回転する。この時、回転規制部を構成するベース部14の凸部14eと操作体12の凹部12eとは係合状態を維持し、操作体12に対するベース部14及び軸体13の回転を抑制する。軸体13に設けられた雄ねじ13aにねじ結合する雌ねじ15aを備えた可動筒体15は、嵌合筒部11dに嵌合固定されて繰出し部材11とともにケース体10に回り止めされているので、軸体13がケース体10に対して軸線Oを中心とした一方側に相対回転すると、雄ねじ13aにねじ結合する雌ねじ15aを備えた可動筒体15は、雄ねじ13aと雌ねじ15aのねじ作用によりケース体10の内部を軸線Oに沿って繰出し口10aの側に向けて上方に移動する。可動筒体15が上方に移動すると、これに嵌合固定された繰出し部材11も上方に移動する。これにより、固形内容物2は、上方に移動する繰出し部材11により下側から上側に向けて押され、繰出し口10aからケース体10の外部に繰り出される。固形内容物2のケース体10からの繰出し量(突出量)は、操作体12を相対回転させる量によって調整することができる。よって、操作体12をケース体10に対して軸線Oを中心とした一方側に所望の量だけ相対回転させることで、ケース体10の繰出し口10aから、所望の量の固形内容物2を繰り出して、使用することができる。
【0057】
一方、操作体12を、ケース体10に対して軸線Oを中心として、固形内容物2の繰出し時とは反対側となる他方側に相対回転させると、ラチェット機構部20により当該相対回転が阻止される。したがって、操作体12が不意にケース体10に対して軸線Oを中心とした他方側に相対回転するように操作されても、固形内容物2の下端側部分を支持する繰出し部材11が下方に向けて移動することはなく、これにより、固形内容物2がケース体10の内部に繰り入れられることが防止される。したがって、例えば比較的柔らかい口紅など、ケース体10の内部に繰り入れることが好ましくない硬さの固形内容物2を収納した場合であっても、操作体12が不意にケース体10に対して軸線Oを中心とした他方側に相対回転するように操作されて、固形内容物2が形状の崩れや破断などの損傷を生じることを防止することができる。
【0058】
このように、本実施形態の繰出し容器1では、操作体12のケース体10に対する軸線Oを中心とした一方側への相対回転を許容し、軸線Oを中心とした他方側への相対回転を阻止するラチェット機構部20を設けるようにしたので、例えば比較的柔らかい口紅など、ケース体10の内部に繰り入れることが好ましくない硬さの固形内容物2を収納した場合であっても、操作体12により繰出し部材11が固形内容物2をケース体10の内部に繰り入れるように作動することを防止して、固形内容物2が形状の崩れや破断などの損傷を生じることを防止することができる。
【0059】
ここで、例えば、固形内容物2を繰出し口10aから少し出し過ぎてしまった場合には、図3に示す状態から、図7図8に示すように、操作体12に対してベース部14を回転させることで、固形内容物2をケース体10の内部に繰り入れることができる。
【0060】
すなわち、ベース部14を、操作体12に対して軸線Oを中心とした一方側(図7、8の矢印方向)に相対回転させると、ベース部14とともに軸体13が操作体12及びケース体10に対して軸線Oを中心とした一方側に相対回転する。この時、図7、8に示すように、回転規制部を構成するベース部14の凸部14eは、操作体12の凹部12eから徐々に抜け出して、隣接する凹部12eと凹部12eの間の陸部12fを乗り越え、周方向に隣接する凹部12eに再び係合する。なお、凸部14eが凹部12eから抜け出して陸部12fを乗り越える際に、弾性片14dは径方向内側に弾性変形し、凸部14eが凹部12eに再び係合することにより、弾性片14dはその復元力により元の位置に戻る。このように、ベース部14の操作体12に対する回転に伴い、凸部14eと凹部12eとの係合状態は一時的に解除され、再び係合する、ということを繰り返す。すなわち、回転規制部は、操作体12に対するベース部14及び軸体13の回転を許容する。
【0061】
このように、本実施形態の繰出し容器1では、固形内容物2を繰出し口10aから少し出し過ぎてしまった場合であっても、ベース部14及び軸体13を操作体12に対して回転させることで、固形内容物2を引き戻すことができる。
【0062】
また、本実施形態の繰出し容器1では、回転規制部が、操作体12に対して所定の力で軸体13を回転させると、操作体12に対する軸体13の回転が許容されるように構成されている。このような構成により、操作体12に対してベース部14を回転させるという簡単な操作で、繰り出し過ぎた固形内容物2を引き戻すことができる。
【0063】
また、本実施形態の繰出し容器1では、回転規制部が、軸体13の下端に連なる有頂筒状のベース部14の外周面に設けた凸部14e(又は凹部)と、操作体12の内周面に設けた凹部12e(又は凸部)とで構成されている。これにより、簡易な構成でベース部14と操作体12との間に回転規制部の構成を設けることができ、製造も容易となる。
【0064】
また、本実施形態の繰出し容器1では、ベース部14が、径方向内側に弾性変形可能な弾性片14dを有し、凸部14eが弾性片14dに設けられている。このような構成により、操作体12に対してベース部14を軽い力で回転させることができる。
【0065】
また、本実施形態の繰出し容器1では、ベース部14に、操作体12に対して軸体13を回転させる際に把持するための板状の把持部14gが設けられている。このような構成により、操作体12に対するベース部14及び軸体13の回転操作が容易となる。
【0066】
また、本実施形態の繰出し容器1では、把持部14gが筒状壁14bの下面から下方に突出していないため、意図せず把持部14gに接触してベース部14が操作体12に対して回転してしまう、という虞がない。また、本例の把持部14gは、繰出し容器1の下面(操作体12の下面12g)側にのみ露出し、繰出し容器1の外周面及び上面には露出しない。つまり、図1、2に示すように正立姿勢で自立させた際には、外部から把持部14gが視認されないため、把持部14gを設けたことによる意匠性の低下も抑制することができる。なお、本例では、ベース部14の下面が、操作体12の下面12gよりも僅かに上方に位置しているが、これに限られるものではない。すなわち、本例のように操作体12の内側にベース部14が完全に収まるようにしてもよいし、操作体12の下面12gよりも下方にベース部14が突出するようにしてもよい。あるいは、操作体12の下面12gとベース部14の下面とが同一平面上に位置していてもよい。
【0067】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と基本的な機能が同一である部分は、図中、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
図9図10は、本発明の第2実施形態としての繰出し容器200を示している。図9図10に示す繰出し容器200では、先の実施形態の把持部14gに代えて、ベース部14に、コインCを係合可能なスリット状の係合凹部14hが設けられている。なお、係合凹部14hに係合させる部材は、例えば円板状の金属製のコインC(硬貨)とすることができるが、これに限られず、適度な剛性を有する板状の部材であればよく、その種類は特に限定されない。係合凹部14hは、筒状壁14bの内側の空間において、天壁14aの下面から軸線Oに平行に延びる2枚の平板状の板部14jに挟まれた空間である。2枚の板部14jは相互に平行であり、2枚の板部14jの下端面は、筒状壁14bと同一平面上に位置している。2枚の板部14jの両端はそれぞれ、2つの弾性片14dからそれぞれ周方向に略90°ずれた位置で、筒状壁14bの内周面に連結している。なお、板部14j及び係合凹部14hの形状は適宜変更可能である。
【0069】
繰出し容器200にあっては、係合凹部14hにコインC等を係合させることにより、操作体12に対してベース部14及び軸体13を回転させることができる。このような構成により、操作体12に対してベース部14を回転させるという簡単な操作で、繰り出し過ぎた固形内容物2を引き戻すことができる。
【0070】
図11図15は、本発明の第3実施形態としての繰出し容器300を示している。図11図15に示す繰出し容器300は、繰出し口10aを覆うようにケース体10に対して着脱可能に装着されるオーバーキャップ3を備え、ベース部14が、ケース体10から取り外したオーバーキャップ3を用いて回転させることができるように構成されている。
【0071】
具体的に、オーバーキャップ3の周壁部3aの内周面には、多角筒状の内周筒部3cが設けられており、ベース部14の外周面に、内周筒部3cに係合する多角形状の外周筒部14kが設けられている。外周筒部14kは、操作体12の下面12gよりも下方に突出する底板14pの外周面に設けられている。底板14pは、筒状壁14bの下端部に連なっている。また、底板14pは、弾性片14dの下端から下方に間隔を空けて設けられている。すなわち、弾性片14dが径方向内側に向けて弾性変形する際、底板14pの位置は変化しない。
【0072】
なお、本例の内周筒部3cは、周壁部3aの内周面の下端部に位置しているが、これに限られるものではない。また、図12図14に示すように、本例の内周筒部3c及び外周筒部14kは、軸線O側から見た平面視で正10角形となるように構成されているが、これに限られるものではなく、他の多角形状としてもよい。
【0073】
本実施形態の繰出し容器300にあっては、図15に示すように、ケース体10から取り外したオーバーキャップ3を倒立姿勢として、下方からベース部14に差し込むことにより、内周筒部3cと外周筒部14kとが係合する。そして、操作体12に対してオーバーキャップ3を回転(軸線Oを中心とした相対回転)させることにより、操作体12に対してベース部14及び軸体13を回転させることができる。このようにして、先の実施形態と同様に、繰り出し過ぎた固形内容物2をケース体10内に引き戻すことができる。
【0074】
図16図19は、本発明の第4実施形態としての繰出し容器400を示している。図16図19に示す繰出し容器400では、オーバーキャップ3の内周筒部3cと、ベース部14の外周筒部14kとを係合させる際に、ベース部14の外周面に設けた凸部14e(又は凹部)と、操作体12の内周面に設けた凹部12e(又は凸部)との係合が解除されるように構成されている。
【0075】
具体的に、本例のベース部14には、弾性片14dの下端部から径方向外側に延びる外向きフランジ14rが設けられている。外向きフランジ14rは、弾性片14dとともに径方向内側に弾性変形可能である。また、外向きフランジ14rの下面の外周縁部には、傾斜面14sが設けられている。また、外向きフランジ14rの外周面及び筒状壁14bの下端部に連なる底板14pの外周面には、外周筒部14kが設けられている。
【0076】
図18図19に示すように、ケース体10から取り外したオーバーキャップ3を倒立姿勢として、下方からベース部14に差し込むことにより、外向きフランジ14r及び弾性片14dが径方向内側に弾性変形し、凸部14eと、操作体12の凹部12eとの係合が解除される。これと同時に、オーバーキャップ3の内周筒部3cと、ベース部14の外周筒部14kとが係合する。そして、操作体12に対してオーバーキャップ3を回転(軸線Oを中心とした相対回転)させることにより、操作体12に対してベース部14及び軸体13を回転させることができる。このようにして、先の実施形態と同様に、繰り出し過ぎた固形内容物2をケース体10内に引き戻すことができる。
【0077】
なお、本例では、オーバーキャップ3を下方からベース部14に差し込む際に、オーバーキャップ3の開口端部(本例では内周筒部3cの端部)が、傾斜面14sに摺動することにより、スムーズに外向きフランジ14r及び弾性片14dを径方向内側に弾性変形させることができる。
【0078】
また、図16図17に示す通常の状態では、外向きフランジ14rの外周面が、底板14pの外周面よりも径方向外側に位置している。そして、外向きフランジ14r及び弾性片14dが径方向内側に弾性変形することで、外向きフランジ14rの外周面と、底板14pの外周面とが同一の径方向位置となるように構成されている。
【0079】
なお、本例では、凸部14eが、軸線Oに平行に延びる三角柱状の突起で構成され、これに対応する凹部12eも軸線Oに平行に延びる三角柱状の凹部12eで構成されているが、凸部14e及び凹部12eの形状、数、位置等は適宜変更可能である。
【0080】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0081】
例えば、前記実施形態では、ラチェット機構部20を、爪部21、係止面22a及び乗越え面22bを有する構成としたが、これに限らず、操作体12のケース体10に対する軸線Oを中心とした一方側への相対回転を許容し、軸線Oを中心とした他方側への相対回転を阻止することができる構成であれば、その構成は種々変更可能である。
【0082】
また、前記実施形態では、摺動抵抗付与部30を、柱部31、支持体32、弾性片33及び摺動突起部34を一体に備えた構成としたが、これに限らず、ケース体10の内周面に弾性的に接して、操作体12がケース体10に対して軸線Oを中心として相対回転したときに、操作体12とケース体10との間に摺動抵抗を付与することができる構成であれば、その構成は種々変更可能である。
【0083】
さらに、前記実施形態では、摺動抵抗付与部30を、支持体32に、それぞれ摺動突起部34を備えた4つの弾性片33が、周方向に等間隔に並べて設けられた構成としたが、これに限らず、弾性片33の数や配置は任意に設定することができる。
【0084】
さらに、前記実施形態の繰出し容器1は、摺動抵抗付与部30が設けられない構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0085】
1、200、300、400:繰出し容器
2:固形内容物
3:オーバーキャップ
3a:周壁部
3b:頂壁部
10:ケース体
10a:繰出し口
10b:レール部
10c:係止溝
11:繰出し部材
11a:周壁部
11b:底壁部
11c:案内溝
11d:嵌合筒部
11e:係止溝
12:操作体
12a:操作体本体部
12b:装着筒体部
12c:係止突起
12d:係止溝
12e:凹部
12f:陸部
12g:下面
13:軸体
13a:雄ねじ
14:ベース部
14a:天壁
14b:筒状壁
14c:係止突起
14d:弾性片
14e:凸部
14f:スリット
14g:把持部
14h:係合凹部
14j:板部
14k:外周筒部
14p:底板
14r:外向きフランジ
14s:傾斜面
15:可動筒体
15a:雌ねじ
15b:係止突起
16:スプライン部
20:ラチェット機構部
21:爪部
21a:脚部
21b:湾曲片
21c:爪片
22:歯車部
22a:係止面
22b:乗越え面
30:摺動抵抗付与部
31:柱部
32:支持体
33:弾性片
34:摺動突起部
O:軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19