(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】適応光源
(51)【国際特許分類】
H04N 23/74 20230101AFI20230821BHJP
F21L 4/00 20060101ALI20230821BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20230821BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20230821BHJP
H04N 23/611 20230101ALI20230821BHJP
【FI】
H04N23/74
F21L4/00 621
F21L4/00 625
H01L33/00 J
H04N23/56
H04N23/611
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018089652
(22)【出願日】2018-05-08
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ファン デル シデ アーエン
(72)【発明者】
【氏名】プフェッファー ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】マルトィノフ ユーリー
(72)【発明者】
【氏名】ファン フォルスト ヴェイダー クィント
(72)【発明者】
【氏名】シュラマ チャールズ
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-182445(JP,A)
【文献】特開2015-034850(JP,A)
【文献】特開平01-184879(JP,A)
【文献】特開2013-042099(JP,A)
【文献】特開2005-301742(JP,A)
【文献】特開2016-032257(JP,A)
【文献】米国特許第08761594(US,B1)
【文献】特表2013-521710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/74
F21L 4/00
H01L 33/00
H04N 23/56
H04N 23/611
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野を有するカメラと、
赤外光を生成するように構成された発光ダイオード(LED)アレイと、
前記LEDアレイに結合されたレンズのアレイであり、前記赤外光を前記カメラの前記視野に向けるように構成されたレンズのアレイと、
各LEDからの赤外光が前記視野内のそれぞれの部分に向けられるよう、前記視野を選択的に照らすように前記LEDアレイに選択的に電力供給するように構成されたコントローラと、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリであり、当該メモリは命令を格納するように構成され、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記カメラの前記視野内に位置するシーンの第1の画像をキャプチャするように、前記カメラを制御し、
前記LEDアレイ内の各LEDに第1の電流値で電力供給することによって、前記第1の画像をキャプチャするように、前記コントローラを制御し、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記第1の画像から、前記視野の第1の部分内に人物の顔が存在することを決定し、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記LEDアレイのLEDのうちのサブセットを選択し、該サブセットのLEDは、該サブセットのLEDから放たれる赤外光が前記視野の前記第1の部分に向けられて、該赤外光で前記人物の前記顔を照らすように、前記LEDアレイ内に位置しており、
前記コントローラで、前記LEDアレイのLEDのうちの前記サブセットに選択的に電力供給し、前記サブセットは、前記視野の前記第1の部分に赤外光を向けて、該赤外光で前記人物の前記顔を照らすように構成され、
前記サブセット
内の
各LEDに
、前記第1の電流値よりも大きい第2の電流値で電力供給して、前記カメラで、前記シーンの第2の画像をキャプチャし、該第2の画像は、前記赤外光で照らされた前記人物の前記顔を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記第2の画像から、前記第1の画像及び前記第2の画像内の前記人物の正体を決定する、
ことを有する動作を実行させる、メモリと、
を有
し、
前記LEDアレイ内のLEDの数に前記第1の電流値を乗算したものが、前記サブセット内のLEDの数に前記第2の電流値を乗算したものに等しい、
システム。
【請求項2】
前記動作は更に、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記第1の画像から、前記人物の前記顔が前記第1の画像において露出アンダーであることを決定し、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記第1の画像から、前記第1の電流値よりも大きい
前記第2の電流値を決定する、
ことを有
する、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
入力に応答して前記第1の画像の前記キャプチャを引き起こすように構成された入力装置、
を更に有する請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記入力装置は、前記カメラ上に位置するボタンであり、前記入力は、前記ボタンの押し下げである、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記サブセットのLEDは複数のLEDを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の画像がキャプチャされるとき、前記コントローラは、前記LEDアレイのLEDのうちの前記サブセットのみに電力供給する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記LEDはIII-V族化合物半導体から形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記LEDはGaAsから形成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記レンズはフレネルレンズである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
カメラで、該カメラの視野内に位置するシーンの第1の画像をキャプチャし、
前記第1の画像をキャプチャするために、発光ダイオード(LED)アレイの各LEDに第1の電流値で電力供給し、
前記カメラに結合された少なくとも1つのプロセッサで、前記第1の画像から、前記視野の第1の部分内に人物の顔が存在することを決定し、
前記少なくとも1つのプロセッサで、LEDアレイの発光ダイオード(LED)のうちのサブセットを選択し、該サブセットのLEDは、該サブセットのLEDから放たれる赤外光が前記視野の前記第1の部分に向けられて、該赤外光で前記人物の前記顔を照らすように、前記LEDアレイ内に位置しており、
前記LEDアレイに結合されたコントローラで、前記LEDアレイのLEDのうちの前記サブセットに選択的に電力供給し、
前記サブセットのLEDからの赤外光を、前記LEDアレイに結合されたレンズのアレイを通して前記視野の前記第1の部分に向けて、該赤外光で前記人物の前記顔を照らし、
前記サブセット
内の
各LEDに
、前記第1の電流値よりも大きい第2の電流値で電力供給して、前記カメラで、前記シーンの第2の画像をキャプチャし、該第2の画像は、前記赤外光で照らされた前記人物の前記顔を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記第2の画像から、前記第1の画像及び前記第2の画像内の前記人物の正体を決定する、
ことを有
し、
前記LEDアレイ内のLEDの数に前記第1の電流値を乗算したものが、前記サブセット内のLEDの数に前記第2の電流値を乗算したものに等しい、
方法。
【請求項11】
当該方法は更に、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記第1の画像から、前記人物の前記顔が前記第1の画像において露出アンダーであることを決定し、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記第1の画像から、前記第1の電流値よりも大きい
前記第2の電流値を決定する、
ことを有
する、
請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
視野を有するカメラと、
赤外光を生成するように構成された発光ダイオード(LED)アレイと、
前記LEDアレイに結合されたレンズのアレイであり、前記赤外光を前記カメラの前記視野に向けるように構成されたレンズのアレイと、
各LEDからの赤外光が前記視野内のそれぞれの部分に向けられるよう、前記視野を選択的に照らすように前記LEDアレイに選択的に電力供給するように構成されたコントローラと、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリであり、当該メモリは命令を格納するように構成され、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるときに、前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記コントローラで、前記LEDアレイ内の各LEDに第1の電流値で電力供給し、
前記LEDアレイのLEDに前記第1の電流値で電力供給して、前記カメラの前記視野内に位置するシーンの第1の画像をキャプチャするように前記カメラを制御し、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記第1の画像から、前記視野の第1の部分内に人物の顔が存在することを決定し、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記LEDアレイのLEDのうちのサブセットを選択し、該サブセットのLEDは、該サブセットのLEDから放たれる赤外光が前記視野の前記第1の部分に向けられて、該赤外光で前記人物の前記顔を照らすように、前記LEDアレイ内に位置しており、
前記コントローラで、前記サブセット内の各LEDに、前記第1の電流値
よりも大きい第2の電流値で選択的に電力供給し、前記サブセットは、前記視野の前記第1の部分に赤外光を向けて、該赤外光で前記人物の前記顔を照らすように構成され、
前記サブセットのLEDに前記第2の電流値で電力供給して、前記カメラで、前記シーンの第2の画像をキャプチャし、該第2の画像は、前記赤外光で照らされた前記人物の前記顔を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記第2の画像から、前記第1の画像及び前記第2の画像内の前記人物の正体を決定する、
ことを有する動作を実行させる、メモリと、
を有
し、
前記LEDアレイ内のLEDの数に前記第1の電流値を乗算したものが、前記サブセット内のLEDの数に前記第2の電流値を乗算したものに等しい、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、適応(アダプティブ)光源に関する。
【背景技術】
【0002】
現在利用可能な最も効率的な光源の中に、発光ダイオード(LED)、共振器型(resonant cavity)発光ダイオード(RCLED)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)及び端面発光レーザを含む半導体発光デバイスがある。可視スペクトルで動作可能な高輝度発光デバイスの製造のために現在関心ある材料系は、III-V族半導体、特に、III族窒化物材料とも呼ばれる、ガリウム、アルミニウム、インジウム、及び窒素の二元、三元、及び四元合金を含む。典型的に、III族窒化物発光デバイスは、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)又はその他のエピタキシャル技術により、サファイア、炭化シリコン、III族窒化物若しくは複合材の基板、又はその他の好適な基板の上に、異なる組成及びドーパント濃度の複数の半導体層のスタック(積層体)をエピタキシャル成長することによって製造される。スタックは、しばしば、基板上に形成された、例えばSiでドープされた1つ以上のn型層と、該1つ以上のn型層上に形成された活性領域内の1つ以上の発光層と、活性領域上に形成された、例えばMgでドープされた1つ以上のp型層とを含んでいる。これらn型領域及びp型領域の上に、電気コンタクトが形成される。
【0003】
小型及び低電力の要求により、半導体発光デバイスは、例えばカメラ及び携帯電話などの手持ち式の電池駆動装置用の、例えばカメラフラッシュなどの光源にとって魅力的な候補である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態によれば、例えばカメラ用のフラッシュとして使用され又はその他の好適用途に使用され得る光源が提供される。この光源は、当該光源によって放たれる照明パターンが変更され得るように構成される。例えば、カメラフラッシュとして使用されるとき、カメラの視野内の所与のシーンに対して、この光源は、周辺光によってよく照らされていないシーンの部分に多めの光を供給するとともに、周辺光によってよく照らされているシーンの部分に少なめの光を供給し得る。
【0005】
本開示の例において、方法は、シーンの第1の画像をキャプチャすることと、第1の画像からのシーンのセクション内で顔を検出することと、シーンの上記セクションを選択的にIR光で照らすように赤外(IR)光源を作動させることとを含む。IR光源は、IR発光ダイオード(LED)のアレイを含む。この方法は、IR光源からの選択的なIR照明の下で上記シーンの第2の画像をキャプチャすることと、第2の画像内で上記顔を検出することと、第2の画像内の上記顔に基づいて人物を特定することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】光源として少なくとも1つの半導体発光デバイスを含むシステムを例示するブロック図である。
【
図1B】
図1B、1C、2A、2B、及び2Cは、例えば
図1Aのシステムを用いてシーンを照らす方法を例示している。
【
図1C】
図1B、1C、2A、2B、及び2Cは、例えば
図1Aのシステムを用いてシーンを照らす方法を例示している。
【
図2A】
図1B、1C、2A、2B、及び2Cは、例えば
図1Aのシステムを用いてシーンを照らす方法を例示している。
【
図2B】
図1B、1C、2A、2B、及び2Cは、例えば
図1Aのシステムを用いてシーンを照らす方法を例示している。
【
図2C】
図1B、1C、2A、2B、及び2Cは、例えば
図1Aのシステムを用いてシーンを照らす方法を例示している。
【
図4】
図3に例示したシーンの3次元(3D)マップを例示している。
【
図5】
図3に例示したシーンに関するフラッシュ強度プロファイルを例示している。
【
図8】
図7のアレイ内の1つのLEDの断面図である。
【
図9】以下の図の例において照らされるシーンを示している。
【
図10A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図10B】
図10Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図11A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図11B】
図11Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図12A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図12B】
図12Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図13A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図13B】
図13Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図14A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図14B】
図14Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図15A】
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aは、
図9に例示したシーンに関する様々な照度プロファイルを例示している。
【
図15B】
図15Aに例示した照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図16】
図16、17A、及び17Bは、ズーム応用のための照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図17A】
図16、17A、及び17Bは、ズーム応用のための照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図17B】
図16、17A、及び17Bは、ズーム応用のための照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図18A】
図18A及び18Bは、広角応用のための照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図18B】
図18A及び18Bは、広角応用のための照度プロファイルを生成するために
図7のアレイ内のLEDに与えられる電流の量を例示している。
【
図19】個々の光学系を備えたLEDのアレイの断面図である。
【
図20】複数のLEDアレイを有する光源を例示している。
【
図22】マトリクス制御要素を有する光源を例示している。
【
図23】異なる色または色温度の光を放射する複数の光エミッタを有する光源を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明では、本発明の実施形態をカメラフラッシュとして説明するが、他の用途も企図され、本発明の範囲内である。
【0008】
全てのカメラフラッシュに伴う1つの問題は、カメラの近くの被写体がしばしば露出オーバーとなる一方で、カメラから遠い被写体が十分な光を得ないことである。本発明の実施形態は、例えばポータブル装置若しくは電池駆動式装置用の、又はより大型の非電池駆動式の写真スタジオフラッシュ用の、例えばカメラフラッシュなどの光源を含む。本発明の実施形態に従った光源は、その照度プロファイルをシーンに適応させ、シーン上の全ての被写体に適量の光を送り届け得る。本発明の実施形態に従った適応照明システムは、例えば半導体発光デバイスなどの半導体光源を含み得るが、好適な如何なる光が使用されてもよい。
【0009】
図1Aは、本発明の実施形態に従った適応照明システム1の一例を示している。システム1は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、コンピュータモニタ、デジタルカメラ、又は任意の好適装置とし得る。システム1はまた、何らかの好適装置用のカメラモジュールであってもよい。システム1は、ドライバ12に接続された光源10を含んでいる。ドライバ12は、後述するように、光源10に電力を供給する。光源10は、赤外(IR)発光ダイオード(LED)の1つ以上のアレイとし得る。ドライバ12は、マイクロプロセッサ14に接続されている。マイクロプロセッサ14は、アプリケーションプロセッサ及びベースバンドプロセッサを含むことができ、それらは、呼び出しをかける及び受けるために無線周波数(RF)トランシーバ13に接続され得るものである。不揮発性メモリ15が、例えば顔検出・認識アプリケーション17などのアプリケーションを格納しており、マイクロプロセッサ14が、それらアプリケーションを、実行のために揮発性メモリ19にロードする。マイクロプロセッサ14は、入力装置18及びカメラ11から入力を受け取る。システム1はまた、3Dセンサ16を含み得る。入力装置18は、例えば、ユーザが写真を撮るために押すボタンなどの、ユーザ起動入力装置とし得る。入力装置18は、例えば写真が自動的に撮影される場合など、一部の実施形態においてユーザ入力を必要としなくてもよい。入力装置18は、一部の実施形態において省略されてもよい。
【0010】
3Dセンサ16は、写真を撮ることに先立ってシーンの3Dプロファイルを作成することができる如何なる好適センサであってもよい。一部の実施形態において、3Dセンサ16は飛行時間(ToF)カメラとし得る。ToFカメラは、被写体から反射された光がToFカメラに戻る時間を測定する。この時間を用いて、シーン内の各被写体までの距離を計算し得る。一部の実施形態において、3Dセンサ16は、ストラクチャード光センサとし得る。ストラクチャード光センサは、特別に設計されたパターンの光をシーンに投射するプロジェクション装置を含む。ストラクチャード光センサにも含まれるカメラはまた、シーンの被写体から反射された光パターンの各部分の位置を測定し、それらの被写体までの距離を三角測量によって決定する。一部の実施形態において、3Dセンサ16は、装置の本体内に互いから距離を置いて位置付けられた1つ以上の補助カメラであってもよい。補助カメラによって見られる被写体の位置を比較することにより、各被写体までの距離を三角測量によって決定することができる。一部の実施形態において、3Dセンサ16は、装置内の主カメラのオートフォーカス信号である。カメラレンズの焦点位置を走査する間に、システムは、それらの位置でシーンのどの部分に焦点が合っているかを検出することができる。そして、対応するレンズ位置を、それらの位置で焦点が合っている被写体までの距離に変換することによって、シーンの3Dプロファイルが構築される。適切なオートフォーカス信号は、例えば、コントラストを測定することによって、又はカメラセンサ内の位相検出センサを利用することによって、従来の方法によって得られる。位相検出センサが使用される場合、一部の実施形態において、適応フラッシュが最適に機能するために、個々の位相検出センサの位置は、後述するように、光源10の別々のセグメントによって照らされる領域に対応し得る。
【0011】
図1Bは、本開示の一部の実施形態においてシステム1(
図1A)を使用する方法300Bのフローチャートである。方法300Bは、マイクロプロセッサ14が、アプリケーション17の命令を不揮発性メモリ15から揮発性メモリ19にロードし、次いで、それら命令を実行することによって実装される。方法300Bは、及びここに記載される如何なる方法も、1つ以上のブロックによって図示される1つ以上の処理、機能、又はアクションを含み得る。それらのブロックは順番に図示されるが、それらのブロックはまた、並列に実行されてもよく、且つ/或いは、ここに記載されるものとは異なる順序で実行されてもよい。また、所望の実装に基づいて、様々なブロックが、より少ないブロックへと組み合わされ、更なるブロックへと分割され、且つ/或いは排除され得る。方法300Bは、ブロック304にて開始し得る。
【0012】
ブロック304にて、マイクロプロセッサ14は、カメラ11に、シーン(カメラの視野に対応する)の第1の画像をキャプチャさせる。ブロック304は、ブロック306によって続かれ得る。
【0013】
ブロック306にて、マイクロプロセッサ14は、第1の画像からのシーンのセクション内で顔を検出する。マイクロプロセッサ14は、シーン内の顔を位置特定するために、例えばOpen Source Computer Vision (OpenCV)ライブラリ内の顔ディテクタなどの顔検出アルゴリズムを使用し得る。ブロック306は、ブロック318によって続かれ得る。
【0014】
ブロック318にて、マイクロプロセッサ14は、シーンの上記セクションを選択的にIR光で照らすように光源10を作動させる。例えば、マイクロプロセッサ14は、シーン(シーンの上記セクション)内での顔の位置に基づいて、光源10内のIR LEDのグループを選択し、そして、ドライバ12に、選択されたIR LEDのみを駆動させる。ブロック318は、ブロック320によって続かれ得る。
【0015】
ブロック320にて、マイクロプロセッサ14は、カメラ11に、ブロック318にて生成された選択的なIR照明の下で、シーンの第2の画像をキャプチャさせる。ブロック320は、ブロック322によって続かれ得る。
【0016】
ブロック322にて、マイクロプロセッサ14は、第2の画像内で上記顔を検出する。第2の画像内の顔は最適露出を有し得る。ブロック322は、ブロック324によって続かれ得る。
【0017】
ブロック324にて、マイクロプロセッサ14は、第2の画像内の顔に基づいて人物を特定又は照合する。マイクロプロセッサ14は、第2の画像内の顔に基づいて人物を特定又は照合するために、例えばOpenCVライブラリ内の顔レコグナイザなどの顔認識アルゴリズムを使用し得る。方法300Bは、ブロック324にて終了し得る。
【0018】
図1Cは、本開示の一部の実施形態においてシステム1(
図1A)を使用する方法300Cのフローチャートである。方法300Cは、方法300B(
図1B)の一バリエーションとし得る。方法300Cは、ブロック302にて開始し得る。
【0019】
ブロック302にて、マイクロプロセッサ14は、IR光でシーンを均一に照らすように光源10を作動させる。例えば、マイクロプロセッサ14は、ドライバ12に、光源10内のIR LEDの各々を第1の個々電流で駆動させる。ブロック302は、ブロック304によって続かれ得る。
【0020】
ブロック304にて、マイクロプロセッサ14は、カメラ11に、シーン(カメラの視野に対応する)の第1の画像をキャプチャさせる。ブロック304は、ブロック306によって続かれ得る。
【0021】
ブロック306にて、マイクロプロセッサ14は、第1の画像からのシーンのセクション内で顔を検出する。ブロック306は、ブロック318によって続かれ得る。
【0022】
ブロック318にて、マイクロプロセッサ14は、シーンの上記セクションを選択的にIR光で照らすように光源10を作動させる。例えば、マイクロプロセッサ14は、シーン(シーンの上記セクション)内での顔の位置に基づいて、光源10内のIR LEDのグループを選択し、そして、ドライバ12に、選択されたIR LEDの各々を第2の個々電流で駆動させる。第2の個々電流は、第1の個々電流よりも大きいとすることができ、光源10を駆動するのに使用される第2の個々電流の合計(“第2の合計電流”)は、光源10を駆動するのに使用される第1の個々電流の合計(“第1の合計電流”)に等しいとし得る。他の例では、第2の個々電流は、第1の個々電流よりも小さいとすることができ、第2の合計電流は、第1の合計電流よりも小さくなり得る。ブロック318は、ブロック320によって続かれ得る。
【0023】
ブロック320にて、マイクロプロセッサ14は、カメラ11に、ブロック318にて生成された選択的なIR照明の下で、シーンの第2の画像をキャプチャさせる。ブロック320は、ブロック322によって続かれ得る。
【0024】
ブロック322にて、マイクロプロセッサ14は、第2の画像内で上記顔を検出する。第2の画像内の顔は最適露出を有し得る。例えば、シーン内の顔が、第1の画像内で露出アンダーであるとき、第2の画像内の顔は、選択されたIR LED(その顔の方に狙いを定めており、且つ、合計電流使用量を増加させることなく、より大きい電流で駆動される)からの、より多くのIR光で照らされる。他の一例において、シーン内の顔が、第1の画像内で露出オーバーであるとき、第2の画像内の顔は、選択されたIR LED(その顔の方に狙いを定めており、且つ、合計電流使用量を減少させながら、より少ない電流で駆動される)からの、より少ないIR光で照らされる。ブロック322は、ブロック324によって続かれ得る。
【0025】
ブロック324にて、マイクロプロセッサ14は、第2の画像内の顔に基づいて人物を特定又は照合する。方法300Cは、ブロック324にて終了し得る。
【0026】
図2Aは、本開示の一部の実施形態においてシステム1(
図1A)を使用する方法200Aのフローチャートである。方法200Aは、方法300B(
図1B)の一バリエーションとし得る。方法200Aは、ブロック202にて開始し得る。
【0027】
ブロック202にて、例えば写真を撮影することを指示するといった入力が生成される。ブロック204にて、カメラ11が、フラッシュ(光源10)をオフにしてシーン(カメラの視野に対応する)の第1の画像を撮影する。ブロック206にて、第1の画像からのシーンのセクション内で顔が検出される。ブロック210にて、光源10が、低光出力モード(典型的に、“トーチモード”と呼ばれる)でオンにされる。このとき、光源10の照度プロファイルは均一に保たれる。“均一”とは、シーンの全ての部分が既知の照明プロファイルで照らされることを意味する。ブロック212にて、光源10が均一な照度プロファイル及び低い輝度でオンであり続ける間に、中間画像がキャプチャされる。ブロック214にて、中間画像からのシーンの上記セクション内で上記顔が検出される。ブロック216Aにて、システム(例えば、マイクロプロセッサ14)が、顔(又はシーン全体)の全ての部分が最適露出を達成するための最適輝度を計算する。これは、第1の画像内の顔(又はシーン)のピクセル輝度値を中間画像内の顔(又はシーン)のそれぞれのピクセル輝度値から減算し、その差を、最適露出レベルを達成するようにスケーリングすることによって、行われることができる。ブロック218にて、ブロック216Aで計算された照度プロファイルに従って光源10が作動される。ブロック220にて、ブロック216Aで計算された照度プロファイルに従って光源10が作動されている間に、カメラ11によって第2の画像が撮影される。ブロック222にて、第2の画像内で上記顔が検出される。ブロック224にて、第2の画像内の顔に基づいて人物が特定又は照合される。
【0028】
図2Bは、本開示の一部の実施形態においてシステム1(
図1A)を使用する方法200Bのフローチャートである。方法200Bは、方法300B(
図1B)の一バリエーションとし得る。方法200Bは、ブロック202にて開始し得る。
【0029】
ブロック202にて、例えば写真を撮影することを指示するといった入力が生成される。ブロック204にて、カメラ11が、フラッシュ(光源10)をオフにしてシーン(カメラの視野に対応する)の第1の画像を撮影する。ブロック206にて、第1の画像からのシーンのセクション内で顔が検出される。ブロック208にて、顔(又はシーン全体)の3Dプロファイルが生成される。例えば、3Dセンサ16が顔(又はシーン)の3Dプロファイルを生成してもよいし、あるいは、3Dセンサ16が顔(又はシーン)に関するデータを検知して該データをマイクロプロセッサ14に送信し、そして、マイクロプロセッサ14が顔(又はシーン)の3Dプロファイルを生成してもよい。ブロック216Bにて、システム(例えば、マイクロプロセッサ14)が、3Dプロファイルに基づいて、顔(又はシーン)の全ての部分が最適露出を達成するための最適輝度を計算する。例えば、マイクロプロセッサは、カメラ11から遠い顔(又はシーン)の部分に追加のIR照明を提供することを決定し得る。ブロック218にて、ブロック216Bで実行された計算に基づいて、シーンが光源10によって照らされる。ブロック220にて、ブロック216Bで計算された照度プロファイルに従って光源10が作動されている間に、カメラ11によって第2の画像が撮影される。ブロック222にて、第2の画像内で上記顔が検出される。ブロック224にて、第2の画像内の顔に基づいて人物が特定又は照合される。
【0030】
図2Cは、本開示の一部の実施形態においてシステム1(
図1A)を使用する方法200Cのフローチャートである。方法200Cは、方法300B(
図1B)の一バリエーションとし得る。方法200Cは、ブロック202にて開始し得る。
【0031】
ブロック202にて、例えば写真を撮影することを指示するといった入力が生成される。ブロック204にて、カメラ11が、フラッシュ(光源10)をオフにしてシーン(カメラの視野に対応する)の第1の画像を撮影する。ブロック206にて、第1の画像からのシーンのセクション内で顔が検出される。ブロック208にて、顔(又はシーン全体)の3Dプロファイルが生成される。ブロック210にて、光源10が、低光出力モード(典型的に、“トーチモード”と呼ばれる)でオンにされる。このとき、光源10の照度プロファイルは均一に保たれる。“均一”とは、シーンの全ての部分が照らされることを意味する。ブロック212にて、光源10をトーチモードにして、中間画像がキャプチャされる。ブロック214にて、中間画像からのシーンの上記セクション内で上記顔が検出される。ブロック216Cにて、システム(例えば、マイクロプロセッサ14)が、
図2A及び
図2Bに関する文章にて上述したような、撮影された第1の画像及び中間画像と3Dプロファイルとの入力に基づいて、顔(又はシーン)の全ての部分が最適露出を達成するための最適輝度を計算する。ブロック218にて、ブロック216Cで実行された計算に基づいて、シーンが光源10によって照らされる。ブロック220にて、ブロック216Cで計算された照度プロファイルに従って光源10が作動されている間に、カメラ11によって第2の画像が撮影される。ブロック222にて、第2の画像内で上記顔が検出される。ブロック224にて、第2の画像内の顔に基づいて人物が特定又は照合される。
【0032】
図2A、2B、及び2Cの各々において、入力は、例えば、ユーザがボタンを押すことなどのユーザ入力、マイクロプロセッサ14によって生成された入力(例えば、マイクロプロセッサ14が、所定の時間に又は所定の間隔で写真を撮るようにプログラムされる場合)、又はその他の好適な入力とし得る。
図3は、入力が生成されたときに写真にキャプチャされることになるシーンを例示している。
図3に示すシーンは、前景の第1の人物30と、背景の第2の人物32とを含んでいる。このシーンは単に説明目的で選ばれたものである。カメラから様々な距離に複数の物体又は人物を有する他のシーンも、本発明の使用に適している。
【0033】
図4は、
図3に示したシーンに関する3Dプロファイルを例示している。
図4では、明るい色調ほどカメラからの短い距離に対応し、暗い色調ほどカメラからの大きい距離に対応する。従って、前景の人物30は最も明るい色調を有しており、人物30がカメラに最も近いことを示している。背景の人物32はより暗い色調を有しており、人物32がカメラから遠いことを示している。背景は、カメラから最も遠い距離を指し示す黒色である。
【0034】
フラッシュから遠く離れた位置にある被写体が高めの光強度を受け、フラッシュに近い位置にある被写体が少なめの光を受けるとし得る。よく知られているように、光の照度は距離の逆2乗則(照度~1/距離2)に従って低下する。故に、シーンの3Dプロファイルを用いて、シーンのそれぞれの部分に配分すべき光の必要量を計算することができる。必要な強度プロファイルを計算するアルゴリズムはまた、第1の画像のキャプチャで集められる情報であるシーン内の被写体の各々が周辺光から受けている照度を考慮に入れて、それに従ってフラッシュ光の量を調節してもよい。例えば、既によく照らされている被写体30(例えば、それらが明るい色である又は反射しているため)は、3Dプロファイルによって決定される光源からの距離のみに基づいて計算され得るものよりも少ない光を受けてもよく、よく照らされていない被写体32(例えば、それらが暗い又は反射していないため)は、上記計算され得るものよりも多い光を受けてもよい。
【0035】
デジタルカメラ及びその画像プロセッサは、典型的に、顔認識アルゴリズムを含んでいる。一部の実施形態において、顔認識アルゴリズムからの情報を用いて、他の被写体と比較して、顔をより良く照らし得る。写真全体を良好に露光するのに十分な光がない場合、顔がより多くの光の恩恵を受ける。人が近すぎて露出オーバーの危険がある場合には、より多くの光が顔に向けられないように、この機能はオフにされるべきである。一部の実施形態において、3Dプロファイルからの相対的な光の計算は、写真における“赤目”を最小化するよう、人物の目に向けて送られる光の量を低減させてもよい。
【0036】
一部の実施形態において、3Dプロファイルからの相対的な光の計算は、フラッシュから非常に離れていて適切に照らされることができないシーンの部分(例えば、背景内の顔)を特定してもよい。シーンの有益な部分(例えば、前景内の顔)に向けて送られる光の量を最大化し、ひいては、利用可能な駆動電流能力のいっそう良好な使用を提供するために、シーンのそれらの部分は最小限の量の光が送られる。
【0037】
一部の実施形態において、ユーザインタフェース(例えば、スマートフォンのタッチスクリーン)が、シーンの各部分に送られる光の相対量をユーザが制御することを可能にし得る。例えば、ユーザは、フラッシュの適応機能をオン及びオフすることができ、3Dプロファイルから相対的な光を計算するために使用されるアルゴリズム(上述)の様々な部分をオン及びオフすることができ、また、手動でシーン上にフラッシュアクセントを作り出すことができる。
【0038】
幾つかの照明モードが、本発明の実施形態によって企図される。
【0039】
一部の実施形態において、第1グループの照明モードにて、非常に均一に照らされた有用な写真を達成するように、光源10からの照明がシーンにわたって分配される。特に、一部の実施形態において、露出オーバーが最小化され、前景が周辺光によってよく照らされている場合に、光源10からの全ての光が背景に向けられる。一部の実施形態において、光源10はフィルイン(fill in)フラッシュとして機能し、背景が周辺光によってよく照らされている場合に、光源10からの全ての光が前景に向けられる。一部の実施形態において、前景と背景が周囲照明によって均等に照らされているとき、光源10からの光は大部分が背景に送られる。一部の実施形態において、暗い前景の場合、光源10からの光は、良好な写真のために十分なだけ前景を照らし、光源10からの光の残りは背景に送られる。
【0040】
一部の実施形態において、第2グループの照明モードにて、選択された被写体が照らされる。特に、一部の実施形態において、顔認識と組み合わせて、顔が、最良の照明のために最も高く重み付けられ得る。一部の実施形態において、顔認識と組み合わせて、例えば、照らされた顔と顔に最も近い背景との間のコントラストを高めるために、顔(又はその他の被写体)の周りの背景は少なめの光を受け得る。一部の実施形態において、シーンの選択されたゾーンは、例えばユーザ入力によって特定される。光源10からの光は、選択されたゾーン内のみに向けられてもよい。選択されるゾーンの例は、ズームインされる画像、又は別の方法で特定されるシーンの部分を含む。一部の実施形態において、例えば名刺の写真では、光源10からの光が非常に高い均一度で放たれる。
【0041】
図5は、
図4に示した計算に基づいて
図3のシーンに供される光を例示している。
図5において、明るい色調ほど光源からの多い光に対応し、暗い色調ほど光源からの少ない光に対応する。
図5に例示するように、より多くの光が、背景の人物32に対応する領域42に与えられる一方で、より少ない光が、前景の人物30に対応する領域40に与えられる。追加の光が、背景の人物の顔52に与えられる。人物30又は人物32のいずれも現れない(図示されていない)背景に、最も少ない量の光が与えられ得る。
【0042】
図6、7、及び8は、
図1Aに例示したシステム1にて使用され得る光源10の一例を示している。好適な如何なる光源を使用されてもよく、本発明の実施形態は、
図6、7、及び8に示す構造に限定されない。
【0043】
図7は、LED62の正方形アレイ60の上面図である。LED62は、白色LED、IR LED、又はこれらの組み合わせとし得る。LED62は、単一の基板上にモノリシックに成長され得る。他の例では、LED62は、単一の基板上にモノリシックに成長される必要はなく、ダイシングされた後に、隣接するLEDがともに非常に接近するようにマウント上に配列されてもよい。一部の実施形態において、LED62間のギャップは、個々のLED62の寸法(例えば、幅)の1/3未満である。3×3の正方形アレイが図示されているが、好適な如何なる数のLEDが使用されてもよく、また、アレイは、正方形である必要はなく、長方形又は任意の好適形状とし得る。個々のLEDのサイズは、例えば、光学レンズを含めた構築体積、カメラの視野、及びアレイ内のLED数のような、幾つかの設計パラメータに依存し得る。例えば、アレイは、カメラの全視界(すなわち、シーン全体)を照らすのに十分なLEDを含んでいなければならない。スマートフォン用途では、アレイの全幅は、一部の実施形態において2mm以下とし得る。もっと大きいカメラでは、アレイの幅は、一部の実施形態において10mm以下とし得る。これらの個々のLEDは正方形であるが、これは必要でなく、長方形のLED又は任意の好適形状のLEDが使用されてもよい。
【0044】
図6は、光源10の断面図である。LED62のアレイ60は、アレイ60から取り出される光の大部分が光学系64に向けて放出されるように位置付けられている。図示の例では、光学系64は、アレイ60から離間されている。他の例では、光学系64は、アレイ60の上に置かれてもよい。光学系64は、光をコリメートして光をシーンの適切な領域に向ける任意の好適構造とし得る。光学系64は、例えば、レンズ、複数のレンズ、1つ以上のフレネルレンズ、1つ以上の屈折レンズ、1つ以上の全反射レンズ素子、1つ以上のリフレクタ、1つ以上のコリメータ、又はその他の好適な光学系とし得る。以下の例では、光学系64はフレネルレンズである。光源10は、箱66の形状をしていてもよく、アレイ60が箱の底に配置され得るとともに、光学系64が箱の頂部を形成し得る。箱の内側の側壁68、アレイ60によって占有されない底の部分、及び光学系64によって占有されない蓋の部分は、光学設計の部分であり、従って、適宜に反射性又は光吸収性とし得る。
【0045】
図8は、
図6及び7に示したアレイ内の単一のLED62の一例の断面図である。好適な如何なるLEDが使用されてもよく、本発明の実施形態は、
図8に例示する構造に限定されない。
図8のデバイスでは、大部分の光が、成長基板を通じてLEDから取り出される。このようなデバイスは、フリップチップデバイスとして参照されることがある。
図8のLEDは、技術的に知られているように、成長基板70上にIII族窒化物(例えば、青色LED若しくはUV LED用の窒化ガリウム)又はIII族ヒ化物(例えば、IR LED用のガリウム砒素)の半導体構造を成長させることによって形成される。成長基板70は、サファイアであることが多いが、例えば非III族窒化物材料、SiC、Si、GaN、又は複合基板など、好適な如何なる基板であってもよい。III族窒化物又はIII族ヒ化物の半導体構造が上に成長される成長基板の表面は、成長前にパターン加工、粗面加工、又はテクスチャ加工されてもよく、そうすることはデバイスからの光取り出しを向上させ得る。成長表面とは反対側の成長基板の表面(すなわち、フリップチップ構成において光の大部分がそれを通して取り出される表面)は、成長の前又は後にパターン加工、粗面加工、又はテクスチャ加工されてもよく、そうすることはデバイスからの光取り出しを向上させ得る。
【0046】
半導体構造は、n型領域とp型領域との間に挟み込まれた発光領域又は活性領域を含んでいる。先ずn型領域72が成長され得る。n型領域72は、異なる組成及びドーパント濃度の複数の層を含み得る。該複数の層は、例えば、n型あるいは意図的にはドープされないものとし得るバッファ層若しくは核生成層などのプリパレーション層と、発光領域が効率的に発光するのに望ましい特定の光学特性、材料特性若しくは電気特性に合わせて設計されるn型、若しくはp型であってもよい、デバイス層とを含み得る。n型領域72の上に、発光領域又は活性領域74が成長される。好適な発光領域の例は、単一の厚い若しくは薄い発光層、又はバリア層によって分離された複数の薄い若しくは厚い発光層を含んだマルチ量子井戸発光領域を含む。次いで、発光領域74の上に、p型領域76が成長され得る。n型領域72と同様に、p型領域76は、異なる組成、厚さ及びドーパント濃度の複数の層を含むことができ、該複数の層は、意図的にはドープされていない層又はn型層を含んでいてもよい。
【0047】
半導体構造の成長後に、p型領域76の表面上に反射性のpコンタクト78が形成される。pコンタクト78は、しばしば、例えば反射メタル及びガードメタルなどの複数の導電層を含む。ガードメタルは、反射メタルのエレクトロマイグレーションを防止あるいは抑制し得る。反射メタルは銀であることが多いが、如何なる好適な1つ以上の材料が使用されてもよい。pコンタクト78を形成した後、nコンタクト80が上に形成されるn型領域72の部分を露出させるよう、pコンタクト78、p型領域76及び活性領域74の一部が除去される。nコンタクト80とpコンタクト78は、例えばシリコンの酸化物又はその他の好適材料などの誘電体で充填され得る間隙82によって、互いに電気的に分離(アイソレート)される。複数のnコンタクトビアが形成されてもよく、nコンタクト80及びpコンタクト78は、
図8に例示される構成に限定されない。n及びpコンタクトは、技術的に知られているように、誘電体/金属スタックを有するボンドパッドを形成するように再配線されてもよい(図示せず)。
【0048】
上述のように、アレイ60内のLED62は、単一のウエハ上に形成され、その後に、アレイ状の個々のLED62がなおも単一の成長基板部分に取り付けられたアレイ60として、ウエハからダイシングされ得る。他の例では、多数のLED62が単一のウエハ上に形成され、その後にウエハからダイシングされて、それ故に、ダイシング済みの個々のLEDが、アレイ60を形成するようにマウント上に配置されるようにし得る。
【0049】
基板70は、半導体構造の成長後に、又は個々のデバイスを形成した後に、薄化され得る。一部の実施形態において、
図8のデバイスから基板が除去される。
図8のデバイスから取り出される光の大部分は、基板70(又は、基板70を除去することによって露出された半導体構造の表面)を通じて取り出される。本発明の実施形態は、フリップチップLEDに限定されず、好適な如何なるデバイスが使用されてもよい。
【0050】
発光デバイスから取り出される光の経路内に、波長変換構造84が配置され得る。波長変換構造は、例えば、コンベンショナルな蛍光体、有機蛍光体、量子ドット、有機半導体、II-VI族若しくはIII-V族半導体、II-VI族若しくはIII-V族半導体量子ドット若しくはナノ結晶、染料、ポリマー、又は発光するその他の材料とし得る1つ以上の波長変換材料を含む。波長変換材料は、LEDによって発せられた光を吸収して、1つ以上の異なる波長の光を発する。LEDによって発せられた未変換の光が、この構造から取り出される光の最終的なスペクトルの一部をなすことが多いが、必ずしもそうである必要はない。構造から取り出される光の最終的なスペクトルは、白色、多色、又は単色とし得る。一般的な組み合わせの例は、黄色発光の波長変換材料と組み合わされた青色発光のLED、緑色発光及び赤色発光の波長変換材料と組み合わされた青色発光のLED、青色発光及び黄色発光の波長変換材料と組み合わされたUV発光のLED、並びに青色発光、緑色発光及び赤色発光の波長変換材料と組み合わされたUV発光のLEDを含む。構造から取り出される光のスペクトルを調整するために、他の色の光を発する波長変換材料が追加されてもよい。波長変換構造84は、例えばTiO2などの、光散乱要素又は光拡散要素を含んでいてもよい。
【0051】
一部の実施形態において、波長変換構造84は、LEDとは別個に製造されて、例えばウエハボンディング又はシリコーン若しくはエポキシなどの好適な接着剤によってLEDに取り付けられる構造体である。そのような予め製造される波長変換素子の一例は、セラミック蛍光体であり、それは、例えば、粉末蛍光体又は蛍光体の前駆物質を、個々の波長変換素子へと後にダイシングされ得るものであるセラミックスラブへと焼結することによって形成される。セラミック蛍光体はまた、例えば、テープキャスティングによって形成されてもよく、その場合、ダイシング又は切断を必要とせずに、セラミックが正確な形状に製造される。好適な非セラミックのプリフォーム波長変換素子の例は、ロール、キャスト、又はその他の方法でシートへと形成される例えばシリコーン又はガラスなどの透明材料に分散され、次いで個々の波長変換素子へと個片化される粉末蛍光体、
例えばシリコーンなどの透明材料内に置かれ、そしてLEDのウエハ又は個々のLEDを覆ってラミネートされる粉末蛍光体、及びシリコーンと混合されて透明基板上に置かれた蛍光体を含む。波長変換素子は、予め形成される必要はなく、例えば、透明バインダと混合された波長変換材料であって、LEDによって放出される光の経路内にラミネートされ、ディスペンスされ、堆積され、スクリーン印刷され、電気泳動的に堆積され、又はその他の方法で位置付けられるものであってもよい。
【0052】
波長変換構造84は、
図8に例示されるようにLEDと直に接触して配置される必要はなく、一部の実施形態において、波長変換構造84は、LEDから離間される。
【0053】
波長変換構造84は、アレイ内の複数のLED又は全てのLEDを覆うモノリシック素子であってもよいし、又は、別個のセグメントへと構造化されて、各々が対応するLEDに取り付けられてもよい。波長変換構造84のそれら別個のセグメントの間のギャップは、各セグメントからの発光をそのセグメントのみに閉じ込めるように、光学的に反射性の材料で充填され得る。
【0054】
アレイ60内のLED62を、例えばマウント、印刷回路基板、又はその他の好適構造などの構造に電気的及び物理的に接続するために、例えばはんだ、スタッドバンプ、金層、又はその他の好適構造などのインターコネクト(図示せず)が使用され得る。マウントは、個々のLED62が
図1Aのドライバ12によって個別に制御され得るように構成され得る。個々のLED62によって放たれた光が、シーンの異なる部分を照らす。個々のLEDへの電流を変化させることにより、シーンの対応する部分に供される光を変更することができる。各LED62に適切なレベルの電流を供給することによって、上述のようにして計算されたそのシーンに関する最適な照度プロファイルが得られる。
【0055】
例えばモバイル装置又は電池駆動装置などの一部の装置では、
図1Aの適応照明システムに利用可能な最大電流量が、しばしば、装置バッテリの能力によって制限される。全てのLED62への駆動電流レベルを定めるとき、システム1は典型的に、利用可能な最大電流バジェットを考慮に入れ、それにより、LED間の正しい強度比が維持され且つ総光出力が最大化されながら、総駆動電流が最大値を超えないように、各LED62の駆動電流レベルを定める。
【0056】
図9は、以下に
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aに示す例において照らされるシーンを示している。各例で各LED62に供給される電流の量が、
図10B、11B、12B、13B、14B、及び15Bに示される。
図9において破線で特定される、顔とし得るものであるターゲット88は、上述のような3Dプロファイルからの計算に従って、シーンの残りの部分よりも多くの光を必要とする。
図10A、11A、12A、13A、14A、及び15Aの各々において、領域に供給される光の量は、色調の暗さが増すにつれて減少する。各図に示される配光は相対的であるとし得る。
【0057】
図10Aは、
図10Bに示すように全てのLED62が同じ量の電流を供給されるときに、シーンがどのように照らされるかを示している。シーンの中心が明るく照らされる一方で、シーンの外縁はあまり照らされない。従って、シーンの中心に近いターゲットの部分が、シーンのエッジ(端)に近いターゲットの部分よりも多く照らされる。
【0058】
図11Aは、3つのLEDのみが電流を供給され、それら3つの各々が同じ量の電流を受け、他の6つのLEDが電流を受けないときに、シーンがどのように照らされるかを示している。電流を供給される3つのLED91、92、及び93は、
図11Bに示すように、中央のLEDと、左端の列の下側2つのLEDである。
図11Aに示すように、概ねターゲットに対応するシーンの右側が、シーンの残りの部分よりも明るく照らされる。
図11BのLED91、92、及び93の電流密度は、全てのLEDが等しい電流を供給される
図10Bに示した場合の3倍の高さとし得る。
図11Aにおけるターゲットの照度は、
図10Aにおけるターゲットの照度の約1.6倍の高さである。
【0059】
より高い照度を得るために、
図12A、12B、13A、及び13Bに示される2つの例に示すように、より少ないセグメントをスイッチオンすることができる。
【0060】
図12Aは、2つのLEDのみが電流を供給され、それら各々が同じ量の電流を受け、他の7つのLEDが電流を受けないときに、シーンがどのように照らされるかを示している。電流を供給される2つのLED94及び95は、
図12Bに示すように、左端の列の下側2つのLEDである。
図12Aに示すように、概ねターゲットに対応するシーンの右側が、シーンの残りの部分よりも明るく照らされる。
図12Aにおけるターゲットの照度は、
図11Aにおけるターゲットの照度よりも高い。
【0061】
図13Aは、単一のLEDのみが電流を供給され、他の8つのLEDが電流を受けないときに、シーンがどのように照らされるかを示している。電流を供給されるLED96は、
図13Bに示すように、左端の列の中央のLEDである。
図13Aに示すように、概ねターゲットに対応するシーンの右側が、シーンの残りの部分よりも明るく照らされるが、高く照らされるスポットが、
図12A及び11Aにおいてよりも小さい。
図13Aにおけるターゲットの照度は、
図11Aにおけるターゲットの照度よりも高い。
【0062】
ターゲット全体にわたる照度の均一性を向上させるために、
図14A、14B、15A、及び15Bに示される2つの例に示すように、異なるLEDに供給される電流を異ならせ得る。
【0063】
図14Aは、6つのLEDが可変レベルの電流を供給され、3つのLEDが電流を受けないときに、シーンがどのように照らされるかを示している。左の列の中央のLED96は、LED96を囲む5つのLED97、98、99、100、及び101の5倍の多さの電流を供給されている。
図14Bに示すように、右の列の3つのLEDは電流を受けていない。
図14Aに示すように、概ねターゲットに対応するシーンの右側が、シーンの残りの部分よりも明るく照らされる。ターゲットの照度は、例えば
図13Aにおいてよりも均一である。
【0064】
図15Aは、4つのLEDが可変レベルの電流を供給され、5つのLEDが電流を受けないときに、シーンがどのように照らされるかを示している。左の列の中央のLED102は、中央の列の一番下のLED105の4倍の多さであり且つ中央のLED104及び左の列の一番下のLED103の2倍の多さの電流である電流を供給されている。
図15Bに示すように、一番上の行のLED及び右の列のLEDは電流を受けていない。
図15Aに示すように、概ねターゲットに対応するシーンの右側が、シーンの残りの部分よりも明るく照らされる。ターゲットの照度は、例えば
図13Aにおいてよりも均一である。
【0065】
図16、17B、及び18Bは、ズーム応用及び広角応用のために、
図6のLED62のアレイ60にどのように電流を印加し得るかを示している。カメラレンズをズームインするコマンドが受信されると、
図16及び17Bに示すように、アレイの中心付近のLEDがより多くの電流を受け取る。
図17Aは、
図17Bに示すようにLEDが可変レベルの電流を供給されるときに、シーンがどのように照らされるかを示している。
【0066】
カメラレンズをズームアウトするコマンドが受信されると、
図18Bに示すように、アレイのエッジ付近のLEDがより多くの電流を受け取る。
図18Aは、
図18Bに示すようにLEDが可変レベルの電流を供給されるときに、シーンがどのように照らされるかを示している。
【0067】
図16では、ズーム応用のために、中央のLED110のみが電流を供給され、中央のLEDを囲む8つのLEDは電流を受けていない。シーンの中心が明るく照らされることになり、シーンのエッジは、より少ない光を受けることになる。シーンの中心における照度は、9つ全てのLEDが等しい電流を受ける
図10Aにおけるシーンの中心に対して2.2倍だけ増大され得る。
【0068】
図17Bでは、ズーム応用のために、中央のLED111が、LED112の2倍の多さであり且つLED114の4倍の多さである電流を供給されている。シーンの中心が、シーンのエッジよりも多く照らされる。シーンの中心における照度は、9つ全てのLEDが等しい電流を受ける
図10Aにおけるシーンの中心に対して1.15倍だけ増大され得る。
【0069】
図18Bでは、広角応用のために、アレイのエッジの8つのLED118が等しい電流を受け、中央のLED116は電流を受けていない。シーンの中心における照度は、9つ全てのLEDが等しい電流を受ける
図10Aにおけるシーンの中心における照度の0.85倍まで低減され得る。
【0070】
図1Aの適応照明システム1は、各ターゲットに対応するLEDのみに電流を供給することによって、又は各ターゲットに対応するLEDに多めの電流を供給することによって、複数のターゲット(例えば、顔)を照らすために使用され得る。適応照明システム1を用いて、カメラから遠い要素に対応するLEDのみに電流を供給することによって、又はカメラから遠い要素に対応するLEDに多めの電流を供給することによって、カメラに近い要素とカメラから遠い要素とを含むシーンにおける露出オーバーを抑制し得る。
【0071】
以上の例に関して与えられた照度値は、単一のフレネルレンズを備えた図示の3×3アレイについて計算されている。以上の例の各LEDの光出力は、LEDのドライバ電流によって、又は一定電流を持つパルス時間によって制御されることができる。
【0072】
図19、20、21、22、及び23は、これに代わる光源を示している。
【0073】
図19の光源では、アレイ内の各LED62が、
図6に示したようなアレイ全体用の単一の光学系ではなく、個々の光学系122を有している。各光学系122は、そのLEDからの光を、シーンの特定の部分に向ける。光学系122は、例えば、レンズ、ドームレンズ、フレネルレンズ、リフレクタ、全反射レンズ、又はその他の好適構造を含む好適な如何なる光学系であってもよい。光学系122は同じである必要はなく、アレイ内の異なるLED62に対して異なる光学系が使用されてもよい。
【0074】
図20の光源は、複数の光学素子を備えた複数のLEDアレイを含んでいる。例えば、
図20は、各々が単一の対応するフレネルレンズを備えた2つの3×3アレイを示す。より多数又は少数のアレイが使用されてもよく、また、アレイは図示したデバイスに限定されない。一部の実施形態において、各アレイがシーンの一部を照らす。
図20のアレイ124はシーンの上部128を照らし、アレイ126はシーンの下部130を照らす。一部の実施形態において、これらのアレイは、重なり合う部分にいっそう多くの光を提供するために、重なりをもってシーンの一部を照らす。例えば、これらのアレイは、エッジよりも多くの光を必要とすることが多いシーンの部分であり得るシーンの中心において重なり合い得る。
【0075】
図21の光源は、例えばレーザなどの狭ビーム発光デバイスを使用する。
図21の光源は、レーザ140を含んでおり、該レーザからの光の経路内に波長変換素子142が配置されている。集束光学系144が、所望サイズの光ビームを作り出し得る。ビームは、シーン150に入射する前に、第1走査ミラー146及び第2走査ミラー148に入射する。これらの走査ミラーは、光ビームがシーン全体を走査するように動かされることができ、その間に、ドライバが、シーンの異なる部分が異なる量の光を受け得るように光源の強度を制御する。より高い強度を必要とするシーンの部分をビームが走査するとき、レーザに供給される電流が増加し、より低い強度のみを必要とするシーンの部分をビームが走査するとき、レーザに供給される電流が減少する。
【0076】
図22の光源は、例えばデジタルマイクロミラースイッチングデバイス又はマルチセグメント液晶ディスプレイなどの、マトリクス制御素子を含んでいる。LED又はレーザ152からの光が、マトリクス制御素子154を照らす。反射される光又は透過する光の強度が、計算された照度プロファイルに応じて変更される。マトリクススイッチング素子154からの反射光又は透過光が、シーン156上に投射される。マトリクススイッチング素子154は、多数の小型ミラーをピクセルとして有し得る。各ミラーの向きを変えることで、各ピクセルの強度を調整することができる。ミラーの向きはまた、複数の異なるミラーからのビームを重ね合わせることによって、より明るい領域を作り出すことにも使用され得る。
【0077】
図23の光源は色調節可能(カラーチューナブル)である。
図23の光源は、シーン164を照らすときに重なるビーム166及び168をそれぞれ放出するように配置された2つのアレイ160及び162を含んでいる。
図6に示したアレイのような2つのアレイが図示されているが、他の好適な光エミッタが使用されてもよい。このシステムは、異なる発光スペクトルを持つ3つ又はそれより多くのアレイを含んでいてもよい。アレイ160及び162は、異なる色の光を発する。例えば、アレイ160及び162の双方が白色光を発し得るが、アレイ160は、アレイ162とは異なる色温度を持つ白色光を発し得る。すなわち、アレイ160及びアレイ162のうちの一方が暖白色光を発する。例えば、暖白色光を発するアレイは、1700Kほどの低さの色温度を持つ光を発することができ、寒白色光を発するアレイは、10000Kほどの高さの色温度を持つ光を発することができる。これら2つのアレイ間での色温度の差は、一部の実施形態において少なくとも1000K、一部の実施形態において少なくとも2000K、一部の実施形態において少なくとも3000K、そして一部の実施形態において少なくとも4000Kとし得る。これに代えて、アレイ160及び162は、異なる単色光を発してもよい。各アレイ内の各LEDに供給される適切な電流が、アレイ160及び162からの光の足し合わせが、シーンの各部分に対して適切な照度及び色温度を有するように計算される。更なる色又は色温度の光を発するアレイ(又はその他の光エミッタ)が追加されてもよい。
【0078】
一部の実施形態において、複数のスペクトルを発する複数のLEDが、
図6に示したような単一の光学系、又は
図19に示したような個々の光学系とともに、単一のインターリーブされたアレイにて組み合わされ得る。異なる色のLEDがグループに編成され、各グループがシーンの一部を照らし、各グループが、各異なる色の少なくとも1つのLEDを含む。
【0079】
上述の色調節可能(カラーチューナブル)光源は、シーンの異なる部分を異なる相関色温度(CCT)の光で照らすために使用され得る。例えば、カラーチューナブル光源は、異なる周辺光源のCCTを等化させるために使用され得る。低CCTの周辺光を有するシーンのセクションが、より高いCCTの光で照らされ得るとともに、高CCTの周辺光を有するシーンのセクションが、より低いCCTの光で照らされ得る。
【0080】
一部の実施形態において、光源10は、複数の異なるカメラと共に使用され得る。例えば、1つのスマートフォンが複数のカメラを有することがあり、相異なるスマートフォンモデルが異なるカメラを使用することがある。それらのカメラは各々、特定の視野を有することができ、それに対して、そのカメラ用のフラッシュが調節される(例えば、視野の隅に最小レベルの照明を提供するように調節される)。従って、従来のフラッシュでは、各カメラが、そのカメラの視野に調節された別個のフラッシュを必要とする。本発明の実施形態に従った適応照明システムを用いると、各カメラのデフォルト電流分布を規定しておいて、そのカメラが選択されたときにそれを選択することができ、それ故に、単一の光源を複数のカメラに使用し得る。各カメラのデフォルトは、以上の実施形態で説明したように、撮影されるシーンに従って変更され得る。
【0081】
以上の例では、半導体発光デバイスは、青色光又はUV光を発するIII族窒化物LED及びIR光を発するIII族ヒ化物LEDであるが、例えばレーザダイオードなどの、LED以外の半導体発光デバイスや、例えばその他のIII-V族材料、III族リン化物、II-VI族材料、ZnO、又はSi系材料などの、その他の材料系からなる半導体発光デバイスが使用されてもよい。
【0082】
本発明を詳細に説明したが、当業者が認識するように、本開示を所与として、ここに記載の発明概念の精神を逸脱することなく、本発明に変更が為され得る。特に、複数の異なる例又は実施形態からの様々な要素が組み合わされてもよい、本発明の範囲は、図示して説明した特定の実施形態に限定されるものではない。