(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-18
(45)【発行日】2023-08-28
(54)【発明の名称】離陸時の航空機と滑走路中心線との位置合わせ
(51)【国際特許分類】
B64C 13/18 20060101AFI20230821BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20230821BHJP
【FI】
B64C13/18 Z
G05D1/10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019153772
(22)【出願日】2019-08-26
【審査請求日】2022-08-08
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ジー・デイム
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0310277(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10305993(DE,A1)
【文献】国際公開第2017/056484(WO,A1)
【文献】特開平05-114099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0169450(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0142220(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0138273(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/18
G05D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイス(100)であって、
1つ又は複数のプロセッサー(102)と、
前記1つ又は複数のプロセッサーによって実行されるとき、前記コンピューティングデバイスに、離陸時に航空機(10)を滑走路(30)の中心線(20)と位置合わせするための機能を実行させる命令(114)を格納したコンピューター読み取り可能な媒体(104)であって、前記機能が、
前記航空機の第1の側(12)に搭載された第1のカメラ(304)によって取り込まれた第1の画像(302)にアクセスすること(202)と、
前記第1の側と反対の前記航空機の第2の側(14)に搭載された第2のカメラ(308)によって取り込まれた第2の画像(306)にアクセスすること(204)と、
前記第1の画像内の前記滑走路上の第1の標識線(312)と前記第1の画像内の第1の基準線(314)との間の第1の角度(310)を決定すること(206)と、
前記第2の画像内の前記滑走路上の第2の標識線(318)と前記第2の画像内の第2の基準線(320)との間の第2の角度(316)を決定すること(208)と、
前記第1の角度と前記第2の角度とに基づき、前記航空機が前記滑走路の前記中心線のより近くに移動するように、前記航空機の操縦翼面(322)を移動させること(210)と、
を含
み、
前記第1の基準線が前記第1の画像内で水平線に実質的に平行であり、
前記第2の基準線が前記第2の画像内で前記水平線に実質的に平行であり、
前記航空機の前記第1の側が前記航空機の左舷であり、かつ前記航空機の前記第2の側が前記航空機の右舷であり、かつ前記第1の標識線が前記滑走路の左境界線であり、かつ前記第2の標識線が前記滑走路の右境界線であるか、または
前記航空機の前記第1の側が前記航空機の右舷であり、かつ前記航空機の前記第2の側が前記航空機の左舷であり、かつ前記第1の標識線が前記滑走路の右境界線であり、かつ前記第2の標識線が前記滑走路の左境界線である、コンピューター読み取り可能な媒体(104)と、
を含む、コンピューティングデバイス(100)。
【請求項2】
前記機能が、前記第1の角度を決定する前に、前記第1の標識線と、第3の標識線(324)と、第4の標識線(326)とが前記第1の画像内の水平線(328)において又は前記水平線(328)を越えて一点に集まると判断することによって前記第1の標識線を識別することをさらに含む、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記第1の基準線が前記第1の角度に対して直角三角形の隣辺を形成し、
前記第1の標識線が前記直角三角形の斜辺を形成する、
請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記第1の画像と前記第2の画像とが実質的に同時に取り込まれる、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記航空機が無人航空ビークルである、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記第1のカメラと前記第2のカメラとが前記航空機の中心線(332)に対して実質的に対称に位置決めされている、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記操縦翼面が方向舵である、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項8】
前記機能が、前記第1の角度と前記第2の角度との間の差を決定することをさらに含み、前記操縦翼面を移動させることが、前記差に基づいて前記操縦翼面を移動させることを含む、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記差に基づいて前記操縦翼面を移動させることが、前記操縦翼面と前記航空機の中心線との間の偏角(330)を形成するように前記操縦翼面を移動させることを含み、前記偏角が、前記差に対して単調に増加する関数によって定義される、請求項
8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記機能が、
前記第1の角度と前記第2の角度とに基づいて前記航空機が前記滑走路の前記中心線からずれている方向(334)を決定することであって、前記操縦翼面を移動させることが、前記操縦翼面が、前記航空機の中心線に対して、前記決定された方向と反対の方向(336)にずれるように前記操縦翼面を移動させることを含む、前記方向(334)を決定すること、
前記第1の角度と前記第2の角度とに基づいて前記航空機が前記滑走路の前記中心線からずれている距離(338)を決定することであって、前記操縦翼面を移動させることが、前記操縦翼面と前記航空機の中心線との間の偏角を形成するように前記操縦翼面を移動させることを含み、前記偏角が、前記距離に対して単調に増加する関数によって定義される、前記距離(338)を決定すること、
前記第1の角度と前記第2の角度とに基づいて前記航空機の機首方位(340)を決定することであって、前記操縦翼面を移動させることが、前記機首方位に基づいて前記操縦翼面を移動させることを含む、前記機首方位(340)を決定すること、
前記第1の画像の複数の画素の線(342)の中から、前記第1の標識線の色に最も近い平均色を有する画素の線を識別することによって前記第1の標識線を識別すること、
前記第1の画像内の前記滑走路上の第3の標識線が不明瞭であると判断することであって、前記第1の角度を決定することが、前記第1の画像内の前記滑走路上の前記第3の標識線が不明瞭であると判断したことに基づいて前記第1の角度を決定することを含む、前記判断すること、
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項11】
離陸時に航空機(10)を滑走路(30)の中心線(20)と位置合わせするための方法(200)であって、前記方法が、
前記航空機の第1の側(12)に搭載された第1のカメラ(304)によって取り込まれた第1の画像(302)にアクセスするステップ(202)と、
前記第1の側と反対の前記航空機の第2の側(14)に搭載された第2のカメラ(308)によって取り込まれた第2の画像(306)にアクセスするステップ(204)と、
前記第1の画像内の前記滑走路上の第1の標識線(312)と前記第1の画像内の第1の基準線(314)との間の第1の角度(310)を決定するステップ(206)と、
前記第2の画像内の前記滑走路上の第2の標識線(318)と前記第2の画像内の第2の基準線(320)との間の第2の角度(316)を決定するステップ(208)と、
前記第1の角度と前記第2の角度とに基づき、前記航空機が前記滑走路の前記中心線のより近くに移動するように、前記航空機の操縦翼面(322)を移動させるステップ(210)と
を含
み、
前記第1の基準線が前記第1の画像内で水平線に実質的に平行であり、
前記第2の基準線が前記第2の画像内で前記水平線に実質的に平行であり、
前記航空機の前記第1の側が前記航空機の左舷であり、かつ前記航空機の前記第2の側が前記航空機の右舷であり、かつ前記第1の標識線が前記滑走路の左境界線であり、かつ前記第2の標識線が前記滑走路の右境界線であるか、または
前記航空機の前記第1の側が前記航空機の右舷であり、かつ前記航空機の前記第2の側が前記航空機の左舷であり、かつ前記第1の標識線が前記滑走路の右境界線であり、かつ前記第2の標識線が前記滑走路の左境界線である、方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、離陸時に航空機を滑走路中心線と位置合わせするためのコンピューティングデバイス及び方法に関し、より具体的には、画像取り込み及び画像解析を使用して離陸時に航空機を滑走路中心線と位置合わせするためのコンピューティングデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無人航空ビークル(unmanned aerial vehicle(UAV))は、国防、警察、学術研究、商業、娯楽などの状況においてますます広く使用されるようになっていく。一部のUAVは、少なくとも部分的に自律的である(例えば、自律型無人航空ビークル(AUAV))。AUAVは、自動離陸などの航法上の課題を提起している。すなわち、搭載されるか又はそうではなくネットワーク接続されたコンピューティングデバイスは多くの場合、AUAVが離陸時に滑走路を進んで加速するときにAUAVを操縦し調整する任務を負う。より具体的には、AUAVは通常、滑走路を進んで加速するときにその(例えば長手方向の)中心線を十分に滑走路の中心線の近くに維持する。
【0003】
これを達成するための一手法は、ニューラルネットワークその他の機械学習技術を使用することであるが、これらの技術は通常、コンピューティングデバイスが運航に先立って何千もの画像を解析することによってそれ自体を訓練することを必要とし、通常、運航時に高水準の計算処理リソースを必要とし、滑走路が非典型的な外観を有する場合に滑走路中心線を誤認する可能性がある。よって、離陸時に航空機を滑走路中心線と位置合わせするより効率的で確実な方法が求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様は、1つ又は複数のプロセッサーと、1つ又は複数のプロセッサーによって実行されると、コンピューティングデバイスに、離陸時に航空機を滑走路の中心線と位置合わせするための機能を実行させる命令を格納したコンピューター読み取り可能な媒体と、を含む、コンピューティングデバイスであり、機能は、航空機の第1の側に搭載された第1のカメラによって取り込まれた第1の画像にアクセスすることと、第1の側と反対の航空機の第2の側に搭載された第2のカメラによって取り込まれた第2の画像にアクセスすることと、第1の画像内の滑走路上の第1の標識線と第1の画像内の第1の基準線との間の第1の角度を決定することと、第2の画像内の滑走路上の第2の標識線と第2の画像内の第2の基準線との間の第2の角度を決定することと、第1の角度と第2の角度とに基づき、航空機が滑走路の中心線のより近くに移動するように、航空機の操縦翼面を移動させることと、を含む。
【0005】
本開示の別の態様は、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに、離陸時に航空機を滑走路の中心線と位置合わせするための機能を実行させる命令を格納した非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体であり、機能は、航空機の第1の側に搭載された第1のカメラによって取り込まれた第1の画像にアクセスすることと、第1の側と反対の航空機の第2の側に搭載された第2のカメラによって取り込まれた第2の画像にアクセスすることと、第1の画像内の滑走路上の第1の標識線と第1の画像内の第1の基準線との間の第1の角度を決定することと、第2の画像内の滑走路上の第2の標識線と第2の画像内の第2の基準線との間の第2の角度を決定することと、第1の角度と第2の角度とに基づき、航空機が滑走路の中心線のより近くに移動するように、航空機の操縦翼面を移動させることと、を含む。
【0006】
本開示の別の態様は、離陸時に航空機を滑走路の中心線と位置合わせするための方法であり、本方法は、航空機の第1の側に搭載された第1のカメラによって取り込まれた第1の画像にアクセスするステップと、第1の側と反対の航空機の第2の側に搭載された第2のカメラによって取り込まれた第2の画像にアクセスするステップと、第1の画像内の滑走路上の第1の標識線と第1の画像内の第1の基準線との間の第1の角度を決定するステップと、第2の画像内の滑走路上の第2の標識線と第2の画像内の第2の基準線との間の第2の角度を決定するステップと、第1の角度と第2の角度とに基づき、航空機が滑走路の中心線のより近くに移動するように、航空機の操縦翼面を移動させるステップと、を含む。
【0007】
本明細書に記載される量又は測定値に関する「約(about)」又は「実質的に(substantially)」という用語は、記載の特性、パラメータ、又は値が厳密に達成される必要はないが、例えば、公差、測定誤差、測定精度限界、及び当業者に公知の他の要因を含む、偏差や変動が、その特性が提供することを意図された効果を妨げない量で発生し得ることを意味する。
【0008】
以上で論じた特徴、機能、及び利点は、様々な例において独立して達成することができ、又は以下の説明及び図面を参照すればそのさらなる詳細を理解できるさらに別の例において組み合わされ得る。
【0009】
例示的な例を特徴付けると考えられる新規の特徴は添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、例示的な例、並びにその好ましい使用形式、さらなる目的及び説明は、本開示の例示的な例の以下の詳細な説明を添付の図と併せて読めば最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一例による、コンピューティングデバイスの概略図である。
【
図3】一例による、航空機に搭載されたそれぞれのカメラで取り込まれた画像を示す図である。
【
図5】一例による、航空機に搭載されたそれぞれのカメラで取り込まれた画像を示す図である。
【
図6】一例による、航空機に搭載されたそれぞれのカメラで取り込まれた画像を示す図である。
【
図7】一例による、航空機に搭載されたそれぞれのカメラで取り込まれた画像を示す図である。
【
図8】一例による、航空機に搭載されたそれぞれのカメラで取り込まれた画像を示す図である。
【
図10】一例による、航空機に搭載されたそれぞれのカメラで取り込まれた画像を示す図である。
【
図11】一例による、(i)滑走路上の航空機の位置に関連した第1の角度と第2の角度との間の差の大きさと(ii)航空機の操縦翼面の偏角の大きさとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述したように、離陸時に航空機(例えば、有人航空機、UAV、AUAV)を滑走路中心線と位置合わせするより効率的で確実な方法が求められている。したがって、本開示はそのような方法及びコンピューティングデバイスを含む。
【0012】
各例内で、コンピューティングデバイスは、航空機の第1の側に搭載された第1のカメラによって取り込まれた第1の画像にアクセスし、第1の側と反対の航空機の第2の側に搭載された第2のカメラによって取り込まれた第2の画像にアクセスすることができる。例えば、コンピューティングデバイスは、第1のカメラに航空機の左舷(例えば翼)から第1の画像を取り込ませ、第2のカメラに航空機の右舷(例えば翼)から第2の画像を取り込ませることができる。第1の画像と第2の画像とは通常、離陸時に同時に取り込まれる。第1のカメラと第2のカメラとは通常、航空機に対して前向きになるように航空機に搭載されることになる。
【0013】
次に、コンピューティングデバイスは、第1の画像内の滑走路上の第1の標識線と第1の画像内の第1の基準線との間の第1の角度を決定することができる。例えば、コンピューティングデバイスは、第1の画像内の滑走路の中心線と第1の画像内の水平線との間の第1の角度を決定することができる。他の例では、第1の標識線は滑走路の左境界線又は右境界線の形を取ることができ、第1の基準線は水平線に平行な任意の線の形を取ることができる。
【0014】
コンピューティングデバイスは第1の標識線を、第1の画像の複数の画素の線の中から、第1の標識線の(例えば既知の)色に最も近い平均色を有する画素の線を識別することによって識別することができる。またコンピューティングデバイスは第1の基準線を、第1の画像の複数の画素の線の中から、空に対応する色を有する第1の画像の領域と地面及び/又は滑走路に対応する色を有する第1の画像の領域との境界を定義する画素の線を識別することによって識別することもできる。
【0015】
またコンピューティングデバイスは、第2の画像内の滑走路上の第2の標識線と第2の画像内の第2の基準線との間の第2の角度を決定することもできる。例えば、コンピューティングデバイスは、第2の画像内の滑走路の中心線と第2の画像内の水平線との間の第2の角度を決定することができる。他の例では、第2の標識線は滑走路の左境界線又は右境界線(例えば、第1の標識線ではない境界線)の形を取ることができ、第2の基準線は水平線に平行な任意の線の形を取ることができる。
【0016】
コンピューティングデバイスは第2の標識線を、第2の画像の複数の画素の線の中から、第2の標識線の(例えば既知の)色に最も近い平均色を有する画素の線を識別することによって識別することができる。またコンピューティングデバイスは第2の基準線を、第2の画像の複数の画素の線の中から、空に対応する色を有する第2の画像の領域と地面及び/又は滑走路に対応する色を有する第2の画像の領域との境界を定義する画素の線を識別することによって識別することもできる。
【0017】
次に、コンピューティングデバイスは、第1の角度と第2の角度とに基づき、航空機が滑走路の中心線のより近くに移動するように、航空機の操縦翼面(例えば、方向舵)を移動させることができる。コンピューティングデバイスは一般に、第1の角度と第2の角度との間の差を決定し、その差を使用して、航空機が前方へ移動しているときに航空機を滑走路の中心線のより近くに移動させるように作用する、航空機の操縦翼面と中心線との間の偏角を決定する。
【0018】
本明細書で開示される方法は、離陸時に航空機を自律的に制御する従来の方法と比較して、開示の方法は一般に、計算処理リソースの消費がより少なく、面倒な運航前の較正がより少なく、より誤りを起こしにくいため、有利になることができる。
【0019】
本開示の実施態様は、コンピューターネットワーク及びコンピューティングデバイス、例えば、離陸時に航空機を自律制御するために使用されるコンピューティングデバイスに特有の技術的改善を提供する。
【0020】
コンピューティングデバイスに特有に技術的問題、例えば、複数のソースに由来する大量の複雑なデータの管理及び使用、並びにそれらと関連付けられる非効率性の全部又は一部を、本開示の実施態様によって解決することができる。例えば、本開示の実施態様は、運航前に参照画像でのコンピューティングデバイスの「訓練」に費やされる時間をなくすことができ、運航時に消費される計算処理リソースの量を減らすことができる。よって、本開示の実施態様は、離陸時に航空機を自律制御するためのより効率の低い方法及びシステムを実施する際のコスト及び複雑さを低減させることができる。別の例として、本開示の実施態様は、滑走路線識別の精度及び信頼度を高める。
【0021】
よって本開示の実施態様は、コンピューティングデバイスが離陸時に航空機を制御する方法に新規の効率的な改善を導入することができ、さらには、関連付けられたデータが問題の診断及び解決に使用される方法において新規の効率的な改善を容易にする。
【0022】
次に開示の例について、添付の図面を参照して以下でさらに十分に説明する。添付の図面には、開示の例の全部ではなく一部が示されている。実際、いくつかの異なる例を示すことが可能であり、それらは本明細書に記載される例に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例は、本開示が十分かつ完全であり、当業者に本開示の範囲を十分に伝えるように記載されている。
【0023】
次に
図1を参照すると、コンピューティングデバイス100が示されている。いくつかの例では、
図1に示される構成要素は、複数のコンピューティングデバイスに分散され得る。しかしながら、例示のために、構成要素はコンピューティングデバイス100の一部として図示され、説明されている。コンピューティングデバイス100は、モバイル機器(携帯電話など)、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、タブレットコンピューター、サーバー、複数のサーバーのネットワーク、又は本明細書に記載される機能を実行するように構成することができる同様の(1つ若しくは複数の)デバイスであるか、又はそれらを含み得る。
【0024】
図1に示されるように、コンピューティングデバイス100は、1つ又は複数のプロセッサー102と、非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体104と、通信インターフェース106と、ディスプレイ108と、ユーザーインターフェース110とを含む。
図1に示される構成要素は、システムバス、ネットワーク、又は他の接続機構112によって相互にリンクされ得る。
【0025】
1つ又は複数のプロセッサー102は、非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体104に結合された、マイクロプロセッサー、デジタル信号プロセッサー、マルチコアプロセッサーなどの任意の種類の(1つ又は複数の)プロセッサーとすることができる。非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体104は、一時的又は永続的にデータ又はプログラムを格納するために使用されるデバイスの中でも特に、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)や、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)や、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)のような揮発性メモリ、又は読取り専用メモリ(ROM)や、フラッシュメモリや、磁気ディスク若しくは光ディスクや、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)のような不揮発性メモリなどの任意の種類のメモリとすることができる。
【0026】
加えて、非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体104は、命令114を格納するように構成することができる。命令114は、コンピューティングデバイス100に本明細書に記載される機能のいずれかを行わせるために1つ又は複数のプロセッサー102によって実行され得る。
【0027】
通信インターフェース106は、コンピューティングデバイス100内及び/又はコンピューティングデバイス100と1つ若しくは複数の他のデバイスとの間の通信を可能にするハードウェアを含むことができる。ハードウェアは、例えば、送信機、受信機、及びアンテナを含むことができる。通信インターフェース106は、1つ又は複数の有線通信プロトコル又は無線通信プロトコルに従って、1つ又は複数の他のデバイスとの通信を容易にするように構成することができる。例えば、通信インターフェース106は、1つ又は複数の米国電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE))801.11規格、ZigBee規格、Bluetooth(登録商標)規格などといった1つ又は複数の無線通信規格に従って、コンピューティングデバイス100のための無線データ通信を容易にするように構成することができる。別の例として、通信インターフェース106は、1つ又は複数の他のデバイスとの有線データ通信を容易にするように構成することもできる。
【0028】
ディスプレイ108は、データを表示する任意の種類の表示コンポーネントとすることができる。一例として、ディスプレイ108はタッチスクリーンディスプレイを含むことができる。別の例として、ディスプレイ108は、液晶ディスプレイ(LCD)や発光ダイオード(LED)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイを含むこともできる。
【0029】
ユーザーインターフェース110は、コンピューティングデバイス100にデータ及び制御信号を提供するために使用される1つ又は複数のハードウェアを含むことができる。例えば、ユーザーインターフェース110は、可能な種類のユーザー入力装置の中でも特に、マウスやポインティングデバイス、キーボードやキーパッド、マイクロフォン、タッチパッド、又はタッチスクリーンを含むことができる。一般に、ユーザーインターフェース110は、オペレーターに、コンピューティングデバイス100によって提供された(例えばディスプレイ108によって表示された)グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)と対話させることができる。
【0030】
コンピューティングデバイス100は通常、航空機10の一部である。航空機10(例えば、無人航空ビークル)は、第1のカメラ304と、第2のカメラ308と、操縦翼面322とをさらに含む。
【0031】
第1のカメラ304と第2のカメラ308とは各々通常、可視光カメラの形を取るが、他の形も可能である。操縦翼面322は方向舵の形を取ることができるが、フラップ、補助翼、昇降舵なども含み得る。
【0032】
図2は、離陸時に航空機を滑走路の中心線と位置合わせするための方法200のフローチャートである。
図3を参照すると、方法200は、コンピューティングデバイス100が離陸時に航空機10を滑走路30の中心線20と位置合わせすることを含むことができる。
【0033】
図2を参照すると、ステップ202で方法200は、航空機の第1の側に搭載された第1のカメラによって取り込まれた第1の画像にアクセスするステップを含む。
図3及び
図4を参照すると、コンピューティングデバイス100は、航空機10の第1の側12(例えば、左舷翼)に搭載された第1のカメラ304によって取り込まれた第1の画像302にアクセスすることができる。いくつかの例では、コンピューティングデバイス100は第1のカメラ304に第1の画像302を取り込ませる。
【0034】
図2を参照すると、ステップ204で方法200は、第1の側と反対の航空機の第2の側に搭載された第2のカメラによって取り込まれた第2の画像にアクセスするステップを含む。
図3及び
図4を参照すると、コンピューティングデバイス100は、航空機10の第2の側14(例えば、右舷翼)に搭載された第2のカメラ308によって取り込まれた第2の画像306にアクセスすることができる。いくつかの例では、コンピューティングデバイス100は、(第1の画像302の取り込みと同時に)第2のカメラ308に第2の画像306を取り込ませる。
図4を参照すると、第1のカメラ304と第2のカメラ308とは、通常、航空機10の中心線332に対して実質的に対称に位置決めされており、通常、中心線332に平行な光軸を各々有するように位置決めされている。
【0035】
図2を参照すると、ステップ206で方法200は、第1の画像内の滑走路上の第1の標識線と第1の画像内の第1の基準線との間の第1の角度を決定するステップを含む。
図3を参照すると、コンピューティングデバイス100は、第1の画像302内の滑走路30上の第1の標識線312と第1の画像302内の第1の基準線314との間の第1の角度310を決定することができる。
図3の例では、第1の標識線312は滑走路30の中心線20であり、第1の基準線314は(例えば空と地面とが接する)水平線328である。他の例(例えば後述する例)では、第1の標識線312は異なる形を取る。第1の基準線314は、代替として、第1の画像302内で水平線328と実質的に平行な任意の線の形を取ることもできる。
【0036】
図3に示されるように、第1の基準線314は直角三角形331の隣辺を形成し、第1の標識線312は第1の角度310に対して直角三角形331の斜辺を形成する。
図3には直角三角形331の対辺333が示されているが、これは、第1の基準線314と直角を成し、第1の基準線314と第1の標識線312とにそれぞれ端点を有する任意の線分の形を取ることができる。
【0037】
いくつかの例では、コンピューティングデバイス100は、対辺333の長さを第1の標識線312(例えば直角三角形331の斜辺)の一部分の長さで割った商の逆正弦を計算することによって第1の角度310を決定する。
【0038】
いくつかの例では、第1の角度310を決定する前に、コンピューティングデバイス100は、第1の標識線312と、第3の標識線324(例えば左境界線)と、第4の標識線326(例えば右境界線)とが第1の画像302内の水平線328において又は水平線328を越えて一点に集まると判断することによって第1の標識線312を識別する。加えて、コンピューティングデバイス100は、第3の標識線324が第1の標識線312の左にあり、第1の標識線312が第4の標識線326の左にあると判断したことに基づいて、第1の標識線312、第3の標識線324、及び第4の標識線326を識別することもできる。
【0039】
例えば
図5を参照すると、コンピューティングデバイス100は第2の標識線318(例えば右境界線)を、第2の画像306の複数の画素の線342の中から、第2の標識線318の(例えば既知の)色に最も近い平均色を有する画素の線を識別することによって識別することができる。
図3を参照すると、コンピューティングデバイス100は第1の標識線312を、第1の画像302の複数の画素の線の中から、第1の標識線312の(例えば既知の)色に最も近い平均色を有する画素の線を識別することによって同様に識別することができる。すなわち、コンピューティングデバイス100は、画素の線を解析して、それぞれの(例えば、赤緑青(RGB)カラースケール上の)平均画素色を決定し、標識線の予期される色に最も近い平均画素色を有する画素の線が確かにその標識線であると判断することができる。
【0040】
図2を参照すると、ステップ208で方法200は、第2の画像内の滑走路上の第2の標識線と第2の画像内の第2の基準線との間の第2の角度を決定するステップを含む。例えば
図3を参照すると、コンピューティングデバイス100は、第2の画像306内の滑走路30上の第2の標識線318と第2の画像306内の第2の基準線320との間の第2の角度316を決定することができる。
図3の例では、第2の標識線318は滑走路30の中心線20であり、第2の基準線320は水平線328である。他の例(例えば後述する例)では、第2の標識線は異なる形を取る。第2の基準線320は、代替として、第2の画像306内で水平線328と実質的に平行な任意の線の形を取ることもできる。
【0041】
図3に示されるように、第2の基準線320は直角三角形337の隣辺を形成し、第2の標識線318は第2の角度316に対して直角三角形337の斜辺を形成する。
図3には直角三角形337の対辺335が示されているが、これは、第2の基準線320と直角を成し、第2の基準線320と第2の標識線318とにそれぞれ端点を有する任意の線分の形を取ることができる。
【0042】
いくつかの例では、コンピューティングデバイス100は、対辺335の長さを第2の標識線318(例えば直角三角形337の斜辺)の一部分の長さで割った商の逆正弦を計算することによって第2の角度316を決定する。
【0043】
いくつかの例では、第2の角度316を決定する前に、コンピューティングデバイス100は、第2の標識線318と、第3の標識線324(例えば左境界線)と、第4の標識線326(例えば右境界線)とが第2の画像306内の水平線328において又は水平線328を越えて一点に集まると判断することによって第2の標識線318を識別する。加えて、コンピューティングデバイス100は、第3の標識線324が第2の標識線318の左にあり、第2の標識線318が第4の標識線326の左にあると判断したことに基づいて、第2の標識線318、第3の標識線324、及び第4の標識線326を識別することもできる。
【0044】
図6に、第1の標識線312が滑走路30の左境界線の形を取り、第2の標識線318が滑走路30の右境界線の形を取る、本開示のさらに別の例を示す。よって、コンピューティングデバイス100は、ステップ206に従って、第1の画像302内の第1の標識線312と第1の画像302内の第1の基準線314との間の第1の角度310を決定することができる。
【0045】
図6に示されるように、第1の基準線314は直角三角形の隣辺を形成し、第1の標識線312は第1の角度310に対して直角三角形の斜辺を形成する。
図6には直角三角形の対辺が示されていないが、これは、第1の基準線314と直角を成し、第1の基準線314と第1の標識線312とにそれぞれ端点を有する任意の線分の形を取ることができる。
【0046】
いくつかの例では、第1の角度310を決定する前に、コンピューティングデバイス100は、第1の標識線312と、中心線20と、第4の標識線326(例えば右境界線)とが第1の画像302内の水平線328において又は水平線328を越えて一点に集まると判断することによって第1の標識線312を識別する。加えて、コンピューティングデバイス100は、第1の標識線312が中心線20の左にあり、中心線20が第4の標識線326の左にあると判断したことに基づいて、第1の標識線312、中心線20、及び第4の標識線326を識別することもできる。
【0047】
図2に戻って、ステップ208に従い、
図6に示されるように、コンピューティングデバイス100は、第2の画像306内の第2の標識線318と第2の画像306内の第2の基準線320との間の第2の角度316を決定することができる。
【0048】
図6に示されるように、第2の基準線320は直角三角形の隣辺を形成し、第2の標識線318は第2の角度316に対して直角三角形の斜辺を形成する。
図6には直角三角形の対辺が示されていないが、これは、第2の基準線320と直角を成し、第2の基準線320と第2の標識線318とにそれぞれ端点を有する任意の線分の形を取ることができる。
【0049】
いくつかの例では、第2の角度316を決定する前に、コンピューティングデバイス100は、第2の標識線318と、中心線20と、第3の標識線324(例えば左境界線)とが第2の画像306内の水平線328において又は水平線328を越えて一点に集まると判断することによって第2の標識線318を識別する。加えて、コンピューティングデバイス100は、第2の標識線318が中心線20の右にあり、中心線20が第3の標識線324の右にあると判断したことに基づいて、第2の標識線318、中心線20、及び第3の標識線324を識別することもできる。
【0050】
図7に、第1の標識線312が滑走路30の右境界線の形を取り、第2の標識線318が滑走路30の左境界線の形を取る、本開示のさらに別の例を示す。よって、コンピューティングデバイス100は、ステップ206に従って、第1の画像302内の第1の標識線312と第1の画像302内の第1の基準線314との間の第1の角度310を決定することができる。
【0051】
図7に示されるように、第1の基準線314は直角三角形の隣辺を形成し、第1の標識線312は第1の角度310に対して直角三角形の斜辺を形成する。
図7には直角三角形の対辺が示されていないが、これは、第1の基準線314と直角を成し、第1の基準線314と第1の標識線312とにそれぞれ端点を有する任意の線分の形を取ることができる。
【0052】
いくつかの例では、第1の角度310を決定する前に、コンピューティングデバイス100は、第1の標識線312と、中心線20と、第3の標識線324(例えば左境界線)とが第1の画像302内の水平線328において又は水平線328を越えて一点に集まると判断することによって第1の標識線312を識別する。加えて、コンピューティングデバイス100は、第1の標識線312が中心線20の右にあり、中心線20が第3の標識線324の右にあると判断したことに基づいて、第1の標識線312、中心線20、及び第3の標識線324を識別することもできる。
【0053】
図2に戻って、ステップ208に従い、
図7に示されるように、コンピューティングデバイス100は、第2の画像306内の第2の標識線318と第2の画像306内の第2の基準線320との間の第2の角度316を決定することができる。
【0054】
図7に示されるように、第2の基準線320は直角三角形の隣辺を形成し、第2の標識線318は第2の角度316に対して直角三角形の斜辺を形成する。
図7には直角三角形の対辺が示されていないが、これは、第2の基準線320と直角を成し、第2の基準線320と第2の標識線318とにそれぞれ端点を有する任意の線分の形を取ることができる。
【0055】
いくつかの例では、第2の角度316を決定する前に、コンピューティングデバイス100は、第2の標識線318と、中心線20と、第4の標識線326(例えば右境界線)とが第2の画像306内の水平線328において又は水平線328を越えて一点に集まると判断することによって第2の標識線318を識別する。加えて、コンピューティングデバイス100は、第2の標識線318が中心線20の左にあり、中心線20が第4の標識線326の左にあると判断したことに基づいて、第2の標識線318、中心線20、及び第4の標識線326を識別することもできる。
【0056】
図2を参照すると、ステップ210で方法200は、第1の角度と第2の角度とに基づき、航空機が滑走路の中心線のより近くに移動するように、航空機の操縦翼面を移動させるステップを含む。例えば
図8及び
図9を参照すると、コンピューティングデバイス100は、第1の角度310と第2の角度316とに基づき、(航空機10の前方移動中に)航空機10が滑走路30の中心線20のより近くに移動するように、操縦翼面322を移動させることができる。
【0057】
いくつかの例では、コンピューティングデバイス100は、第1の角度310と第2の角度316との間の差を決定し、この差に基づいて操縦翼面322を移動させることができる。
図8に、第1の角度310引く第2の角度316の差が負になるように第1の角度310が第2の角度316より小さい例を示す。この例では、航空機は中心線20に対して左にずれている(
図9参照)。よって、コンピューティングデバイス100は、操縦翼面322と中心線332との間の偏角330を用いて操縦翼面322を中心線332の右に移動させることができる。この状況では、偏角330を第2の角度316引く第1の角度310の差に対して単調に増加する関数によって定義することができる。すなわち、第2の角度316引く第1の角度310の差が増加するにつれて、
図9の偏角330も増加する。
【0058】
図11に、(i)第1の角度310と第2の角度316との間の差(例えば、|θ
1-θ
2|)の大きさと(ii)偏角330の大きさ(例えば、|θ
d|)との1つの可能な関係を示す。約90度未満の|θ
1-θ
2|の値(例えば、点339)では、偏角330の大きさは|θ
1-θ
2|におおよそ比例する。約90度より大きい|θ
1-θ
2|の値では、偏角330の大きさは
図11に示されるようにやや非線形になる。
【0059】
図10に、第1の角度310引く第2の角度316の差が正になるように第1の角度310が第2の角度316より大きい例を示す。この例では、航空機は中心線20に対して右にずれている(
図4参照)。よって、コンピューティングデバイス100は、操縦翼面322と中心線332との間の偏角330を用いて操縦翼面322を中心線332の左に移動させることができる。この状況では、偏角330を第1の角度310引く第2の角度316の差に対して単調に増加する関数によって定義することができる。すなわち、第1の角度310引く第2の角度316の差が増加するにつれて、
図4の偏角330も増加する。
【0060】
コンピューティングデバイス100は、第1の角度310と第2の角度316とに基づいて航空機が滑走路30の中心線20からずれている方向334を決定することができる。例えば
図10を参照すると、コンピューティングデバイス100は、第1の角度310は第2の角度316より大きいと判断し、次いで、航空機10は中心線20に対して方向334に(例えば右に)ずれていると判断することができる。この状況では、コンピューティングデバイス100は、
図4に示されるように操縦翼面322を方向336に(例えば左に)移動させることができる。例えば
図8を参照すると、コンピューティングデバイス100は、第1の角度310は第2の角度316より小さいと判断し、次いで、航空機10は中心線20に対して方向334に(例えば左に)ずれていると判断することができる。この状況では、コンピューティングデバイス100は、
図9に示されるように操縦翼面322を方向336に(例えば右に)移動させることができる。
【0061】
図4及び
図9の例を参照すると、コンピューティングデバイス100は、第1の角度310と第2の角度316とに基づいて航空機10が滑走路30の中心線20からずれている距離338を決定することができる。例えば
図4では、コンピューティングデバイス100は、第1の角度310と第2の角度316との間の差に基づいて航空機10は中心線20の右にずれていると判断することができる。第1の角度310引く第2の角度316の差が大きいほど、
図4の距離338も大きい。よって、コンピューティングデバイス100は、距離338に対して単調に増加する関数によって定義される偏角330を形成するように操縦翼面322を左に移動させることができる。
【0062】
例えば
図9では、コンピューティングデバイス100は、第1の角度310と第2の角度316との間の差に基づいて航空機10は中心線20の左にずれていると判断することができる。第2の角度316引く第1の角度310の差が大きいほど、
図9の距離338も大きい。よって、コンピューティングデバイス100は、距離338に対して単調に増加する関数によって定義される偏角330を形成するように操縦翼面322を右に移動させることができる。
【0063】
いくつかの例では、コンピューティングデバイス100は航空機10の機首方位を解決することができる。例えば
図4及び
図9を参照すると、航空機10の機首方位340が中心線20からそれる方向を指し示す場合、コンピューティングデバイス100は偏角330を増やすことができる。対照的に、航空機10の機首方位340が中心線20の方向を指し示す場合、コンピューティングデバイス100は偏角330を減らすことができる。
【0064】
いくつかの例では、コンピューティングデバイス100は、航空機10が滑走路30を進むときに航空機10の速度を解決することができる。例えば、航空機10の速度が低い場合、コンピューティングデバイス100は偏角330を増やすことができる。航空機10がより高速の場合、コンピューティングデバイス100は偏角330を減らすことができる。
【0065】
いくつかの例では、コンピューティングデバイス100は、滑走路上に標された特定の線が例えば雪のために不明瞭であると判断することができる。例えば
図3を参照すると、コンピューティングデバイス100が、滑走路30の左境界線又は右境界線が不明瞭であると判断した場合、コンピューティングデバイス100は、第1の画像302内で第1の標識線312の形を取り、第2の画像306内で第2の標識線318の形を取る中心線20を用いて上記の方法を行うことができる。例えば
図6を参照すると、コンピューティングデバイス100が、滑走路30の中心線20が不明瞭であると判断した場合、コンピューティングデバイス100は、第1の標識線312の形を取る滑走路30の左境界線と第2の標識線318の形を取る右境界線とを用いて上記の方法を行うことができる。別の例として
図7を参照すると、コンピューティングデバイス100が、滑走路30の中心線20が不明瞭であると判断した場合、コンピューティングデバイス100は、第1の標識線312の形を取る滑走路30の右境界線と第2の標識線318の形を取る左境界線とを用いて上記の方法を行うことができる。
【0066】
よって本開示の各例は、以下に記載される列挙項目(EC)のうちの1つに関連し得る。
【0067】
EC1は、1つ又は複数のプロセッサーと、1つ又は複数のプロセッサーによって実行されると、コンピューティングデバイスに、離陸時に航空機を滑走路の中心線と位置合わせするための機能を実行させる命令を格納したコンピューター読み取り可能な媒体と、を含む、コンピューティングデバイスであり、機能は、航空機の第1の側に搭載された第1のカメラによって取り込まれた第1の画像にアクセスすることと、第1の側と反対の航空機の第2の側に搭載された第2のカメラによって取り込まれた第2の画像にアクセスすることと、第1の画像内の滑走路上の第1の標識線と第1の画像内の第1の基準線との間の第1の角度を決定することと、第2の画像内の滑走路上の第2の標識線と第2の画像内の第2の基準線との間の第2の角度を決定することと、第1の角度と第2の角度とに基づき、航空機が滑走路の中心線のより近くに移動するように、航空機の操縦翼面を移動させることと、を含む。
【0068】
EC2はEC1に記載のコンピューティングデバイスであり、機能は、第1の角度を決定する前に、第1の標識線と、第3の標識線と、第4の標識線とが第1の画像内の水平線において又は水平線を越えて一点に集まると判断することによって第1の標識線を識別することをさらに含む。
【0069】
EC3はEC1又は2に記載のコンピューティングデバイスであり、第1の基準線は第1の角度に対して直角三角形の隣辺を形成し、第1の標識線は直角三角形の斜辺を形成する。
【0070】
EC4はEC1~3のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、第1の標識線は滑走路の中心線であり、第2の標識線も滑走路の中心線である。
【0071】
EC5はEC1~3のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、航空機の第1の側は航空機の左舷であり、航空機の第2の側は航空機の右舷であり、第1の標識線は滑走路の左境界線であり、第2の標識線は滑走路の右境界線である。
【0072】
EC6はEC1~3のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、航空機の第1の側は航空機の左舷であり、航空機の第2の側は航空機の右舷であり、第1の標識線は滑走路の右境界線であり、第2の標識線は滑走路の左境界線である。
【0073】
EC7はEC1~6のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、第1の基準線は第1の画像内で水平線に実質的に平行であり、第2の基準線は第2の画像内で水平線に実質的に平行である。
【0074】
EC8はEC1~7のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、第1の画像と第2の画像とは実質的に同時に取り込まれる。
【0075】
EC9はEC1~8のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、航空機は無人航空ビークルである。
【0076】
EC10はEC1~9のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、第1のカメラと第2のカメラとは航空機の中心線に対して実質的に対称に位置決めされている。
【0077】
EC11はEC1~10のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、操縦翼面は方向舵である。
【0078】
EC12はEC1~11のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、機能は、第1の角度と第2の角度との間の差を決定することをさらに含み、操縦翼面を移動させることは、差に基づいて操縦翼面を移動させることを含む。
【0079】
EC13はEC12に記載のコンピューティングデバイスであり、差に基づいて操縦翼面を移動させることは、操縦翼面と航空機の中心線との間の偏角を形成するように操縦翼面を移動させることを含み、偏角は、差に対して単調に増加する関数によって定義される。
【0080】
EC14はEC1~13のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、機能は、第1の角度と第2の角度とに基づいて航空機が滑走路の中心線からずれている方向を決定することをさらに含み、操縦翼面を移動させることは、操縦翼面が、航空機の中心線に対して、決定された方向と反対の方向にずれるように操縦翼面を移動させることを含む。
【0081】
EC15はEC1~14のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、機能は、第1の角度と第2の角度とに基づいて航空機が滑走路の中心線からずれている距離を決定することをさらに含み、操縦翼面を移動させることは、操縦翼面と航空機の中心線との間の偏角を形成するように操縦翼面を移動させることを含み、偏角は、距離に対して単調に増加する関数によって定義される。
【0082】
EC16はEC1~15のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、機能は、第1の角度と第2の角度とに基づいて航空機の機首方位(340)を決定することをさらに含み、操縦翼面を移動させることは、機首方位に基づいて操縦翼面を移動させることを含む。
【0083】
EC17はEC1~16のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、機能は、第1の画像の複数の画素の線の中から、第1の標識線の色に最も近い平均色を有する画素の線を識別することによって第1の標識線を識別することをさらに含む。
【0084】
EC18はEC1~17のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスであり、機能は、第1の画像内の滑走路上の第3の標識線が不明瞭であると判断することをさらに含み、第1の角度を決定することは、第1の画像内の滑走路上の第3の標識線が不明瞭であると判断したことに基づいて第1の角度を決定することを含む。
【0085】
EC19は、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスに、離陸時に航空機を滑走路の中心線と位置合わせするための機能を実行させる命令を格納した非一時的なコンピューター読み取り可能な媒体であり、機能は、航空機の第1の側に搭載された第1のカメラによって取り込まれた第1の画像にアクセスすることと、第1の側と反対の航空機の第2の側に搭載された第2のカメラによって取り込まれた第2の画像にアクセスすることと、第1の画像内の滑走路上の第1の標識線と第1の画像内の第1の基準線との間の第1の角度を決定することと、第2の画像内の滑走路上の第2の標識線と第2の画像内の第2の基準線との間の第2の角度を決定することと、第1の角度と第2の角度とに基づき、航空機が滑走路の中心線のより近くに移動するように、航空機の操縦翼面を移動させることと、を含む。
【0086】
EC20は、離陸時に航空機を滑走路の中心線と位置合わせするための方法であり、本方法は、航空機の第1の側に搭載された第1のカメラによって取り込まれた第1の画像にアクセスするステップと、第1の側と反対の航空機の第2の側に搭載された第2のカメラによって取り込まれた第2の画像にアクセスするステップと、第1の画像内の滑走路上の第1の標識線と第1の画像内の第1の基準線との間の第1の角度を決定するステップと、第2の画像内の滑走路上の第2の標識線と第2の画像内の第2の基準線との間の第2の角度を決定するステップと、第1の角度と第2の角度とに基づき、航空機が滑走路の中心線のより近くに移動するように、航空機の操縦翼面を移動させるステップと、を含む。
【0087】
様々な有利な構成の説明は例示と説明のために提示されており、網羅的であることも開示された形態の例に限定することも意図されていない。当業者には多くの改変形態及び変形形態が明らかであろう。さらに、様々な有利な例は他の有利な例と比較して異なる利点を説明している場合がある。選択された1つ又は複数の例は、各例の原理、実際の応用を説明し、当業者が、企図される特定の用途に適する様々な改変を伴った様々な例について本開示を理解することを可能にするために選択され、記載されている。
【符号の説明】
【0088】
10 航空機
12 第1の側
14 第2の側
20 中心線
30 滑走路
100 コンピューティングデバイス
102 プロセッサー
104 コンピューター読み取り可能な媒体
106 通信インターフェース
108 ディスプレイ
110 ユーザーインターフェース
112 システムバス、ネットワーク、又は他の接続機構
114 命令
200 方法
302 第1の画像
304 第1のカメラ
306 第2の画像
308 第2のカメラ
310 第1の角度
312 第1の標識線
314 第1の基準線
316 第2の角度
318 第2の標識線
320 第2の基準線
322 操縦翼面
324 第3の標識線
326 第4の標識線
328 水平線
330 偏角
331 直角三角形
332 中心線
333 直角三角形331の対辺
334 方向
335 直角三角形337の対辺
336 方向
337 直角三角形
338 距離
339 点
340 航空機の機首方位
342 画素の線